説明

迅速な走行可能時間を提供する車輌窓装着において有用な接着剤

1つの実施形態において、本発明は、a)1000を超えるMpにおいてゲル浸透クロマトグラフィーによって求められる約2.5未満の多分散性を有する1つ又はそれ以上のイソシアナート官能性ポリエーテル系プレポリマー;b)組成物を−10℃の温度でポンプ送出することができ、かつ、基体に塗布することができる十分な量での1つ又はそれ以上の可塑剤、好ましくは、約15重量パーセント以下の量での1つ又はそれ以上の可塑剤;c)組成物が、所定のプレスフロー(press flow)粘度、すなわち、約8グラム/分以上を示すような十分な量での1つ又はそれ以上のフィラー;d)イソシアナート成分と、イソシアナート反応性基との反応のための1つ又はそれ以上の触媒を含む組成物であって、DIN EN1465の高速度衝撃試験に従って約1.6MPa以上の高速度衝撃を塗布後30分で明らかにする組成物である。好ましくは、接着剤は、塗布後30分で、4m/sでの高速度衝撃試験において約1.6MPa以上のピーク強度及び約2.5J以上のエネルギー吸収を示し、より好ましくは、完全に硬化した後では、DIN EN1465に従って10mm/分での準静的な重ね剪断試験において少なくとも3MPaの強度を示す。好ましい実施形態において、フィラーは、1つ又はそれ以上のカーボンブラック、1つ又はそれ以上の非着色フィラー、1つ又はそれ以上の炭酸カルシウム、1つ又はそれ以上のチキソトロープ、或いは、それらの組み合わせを含む。好ましい実施形態において、1つ又はそれ以上のカーボンブラック組成物が、組成物が少なくとも1010Ω・cmの抵抗率を有するような量で存在する。別の好ましい実施形態において、1つ又はそれ以上のフィラーと、1つ又はそれ以上のイソシアナート官能性ポリエステル系プレポリマーとの組み合わせが、組成物が約8グラム/分以上のプレスフロー粘度を示す十分な量で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(出願日の利益の主張)
本出願は、2008年12月23日出願の米国特許出願第61/140,241号の出願日の利益を主張し、これは、本明細書により、すべての目的のために参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、ガラスを車輌及び建物に接合することにおいて有用である接着剤として有用なイソシアナート官能性プレポリマーを含む組成物に関する。別の実施形態において、本発明は、そのような組成物を利用して2つ以上の基体を互いに接合する方法であり、この場合、そのような基体には、ガラス、建物及び車輌が含まれ得る。別の実施形態において、本発明は、本発明の組成物を使用して、車輌において窓を取り換える方法である。
【背景技術】
【0003】
様々な接着剤組成物が、ガラス(窓)を建物及び車輌に取り付ける(接合する)ために使用される(Rizk、米国特許第4、780、520号;Bhat、米国特許第5、976、305号;Bhat、米国特許第5、922、809号;Hsiehら、米国特許第6、015、475号;Zhou、米国特許第6、709、539号;Rosenbergら、米国特許第7、226、523号;Wu、米国特許第6、512、033号;Zhou、米国特許第7、101、950号;Zhou、米国特許第7、361、292号;Nakataら、米国特許第6、657、035号;及び、Bosshardら、カナダ国特許第2、564、992号を参照のこと。これらはすべてが参照により本明細書に組み込まれる)。自動車工場において、窓が、ロボットを使用して、また、様々な高性能接着剤(例えば、非導電性接着剤及び高モジュラス接着剤など)の使用を容易にする、コンピューターにより制御された加工を使用して装着される。新しい車輌は窓装着後の数日間は大きな距離で動かされないので、硬化速度は大きな問題とならない。逆に、車輌において窓を取り換える必要があるときには、取り換えが多くの場合、作業する装着者によって車輌から離れた場所で行われる。この環境では、車輌の所有者は、窓装着後できる限り早く車輌を運転することを望むので、硬化速度が重要である。迅速な走行可能時間(drive away time)を容易にする車両用の、窓を取り換えることにおいて有用な接着剤が公知である(Bhat、米国特許第5、976、305号;Zhou、米国特許第6、709、539号;及び、Rosenbergら、米国特許第7、226、523号を参照のこと)。窓を装着するために使用される様々な高性能接着剤組成物を自動車工場において導入することは、取り換え窓の装着者に問題を引き起こす。第1に、多様な性能要求のすべてを満たす接着剤を市場において入手することができない。第2に、多くの高性能接着剤成分を、迅速な走行可能状態(drive away)を可能にするために配合することは困難である。従って、取り換え窓装着者は多くの場合、接着剤を元々の接着剤の性質に一致させることができるように、様々な接着剤を在庫として持っていなければならない。
【0004】
必要とされるものが、ガラスを構造物に接合するための接着剤で、様々な高性能な性質(例えば、大きいモジュラス及び非導電性など)を示すために配合することができ、かつ、広範囲の様々な環境条件のもとで塗布されるとき、早い安全走行可能時間(速い強度発達)を示し、かつ、高価な成分を必要とせず、かつ、塗布されるときに垂れ下がり又は糸曳きを生じさせない接着剤として有用である組成物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4、780、520号
【特許文献2】米国特許第5、976、305号
【特許文献3】米国特許第5、922、809号
【特許文献4】米国特許第6、015、475号
【特許文献5】米国特許第6、709、539号
【特許文献6】米国特許第7、226、523号
【特許文献7】米国特許第6、512、033号
【特許文献8】米国特許第7、101、950号
【特許文献9】米国特許第7、361、292号
【特許文献10】米国特許第6、657、035号
【特許文献11】カナダ国特許第2、564、992号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1つの実施形態において、本発明は、a)1000を超えるMpにおいてゲル浸透クロマトグラフィーによって求められる約2.5未満の平均多分散性を有する1つ又はそれ以上のイソシアナート官能性ポリエーテル系プレポリマー;b)組成物を−10℃の温度でポンプ送出することができ、かつ、基体に塗布することができる十分な量での1つ又はそれ以上の可塑剤、好ましくは、約15重量パーセント以下の量での1つ又はそれ以上の可塑剤;c)組成物が、所定のプレスフロー(press flow)粘度、すなわち、約8グラム/分以上を示すような十分な量での1つ又はそれ以上のフィラー;及び、d)イソシアナート成分と、イソシアナート反応性基との反応のための1つ又はそれ以上の触媒を含む組成物であって、DIN EN1465の高速度衝撃試験に従って約1.6MPa以上の高速度衝撃を塗布後30分で明らかにする組成物である。好ましくは、接着剤は、塗布後30分で、4m/sでの高速度衝撃試験において約1.6MPa以上のピーク強度及び約2.5J以上のエネルギー吸収を示し、より好ましくは、接着剤は、完全に硬化した後では、DIN EN1465に従って10mm/分での準静的な重ね剪断試験において少なくとも3MPaの強度を示す。好ましい実施形態において、フィラーは、1つ又はそれ以上のカーボンブラック、1つ又はそれ以上の非着色フィラー、1つ又はそれ以上の炭酸カルシウム、1つ又はそれ以上のチキソトロープ、或いは、それらの組み合わせを含む。好ましい実施形態において、1つ又はそれ以上のカーボンブラック組成物が、組成物が少なくとも1010Ω・cmの抵抗率を有するような量で存在する。別の好ましい実施形態において、1つ又はそれ以上のフィラーと、1つ又はそれ以上のイソシアナート官能性ポリエステル系プレポリマーとの組み合わせが、組成物が約8グラム/分以上のプレスフロー粘度を示す十分な量で存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
別の実施形態において、本発明は、2つ以上の基体を、前記基体が接触している領域の少なくとも一部分に沿って配置される本発明による組成物とともに接触させることを含む、2つ以上の基体を互いに接合する方法である。
【0008】
さらに別の実施形態において、本発明は、i)窓を車輌から取り除くこと;ii)本発明による組成物を、取り換え窓に、又は、前記窓を前記車輌に保持するために適合化される前記車輌のフランジに塗布すること;iii)前記車輌の前記フランジ及び前記取り換え窓を、前記取り換え窓と、前記車輌の前記フランジとの間に配置される前記開示された組成物と接触させること;及びiv)前記接着剤を硬化させることを含む、車輌の窓を取り換える方法である。
【0009】
本発明の組成物は、基体を互いに接合するための接着剤として有用である。様々な基体を、本発明の組成物を使用して互いに接合することができ、例えば、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、金属及び被覆基体(例えば、耐摩耗性被覆が表面に配置されるプラスチックなど)などを、本発明の組成物を使用して互いに接合することができる。本発明の組成物は、類似する基体及び異なる基体を互いに接合するために使用することができる。本発明の組成物は、ガラス、又は、耐摩耗性被覆が表面に配置されるプラスチックを他の基体(例えば、車輌及び建物など)に接合するために特に有用である。本発明の組成物はまた、モジュール式成分(例えば、車輌のモジュール式成分)の部品を互いに接合することにおいて有用である。ガラス、又は、耐摩耗性被覆が表面に配置されるプラスチックを、車輌の被覆部分及び非被覆部分に接合することができる。本発明の組成物は、取り換え窓を構造物に接合することにおいてとりわけ有用である。好都合なことに、接着剤は、約−10℃〜約80℃の間の温度において、ポンプ送出可能であり、垂れ下がり抵抗性であり、かつ、部品を互いに接合する。好ましくは、組成物は約2mm未満の非硬化サンプルの垂れ下がりを示す。このことは、本発明の組成物から調製される接着剤が広範囲の様々な周囲温度で塗布されることを可能にする。材料を加熱することは、接着剤を塗布するために必要ない。さらに、接着剤は、上記で記載される温度での接着剤の塗布の後、好ましくは1時間の迅速な運転可能時間、より好ましくは30分の迅速な運転可能時間を容易にする、大きい初期耐衝撃性及び迅速な強度発達の組み合わせを明らかにする。特に、そのような条件のもとで装着されたフロントガラスは米国連邦自動車安全基準(FMVSS)212を満たす。いくつかの好ましい実施形態において、本発明の組成物は非導電性であり、少なくとも1010Ω・cmの抵抗率を明らかにする。本発明の組成物は好ましくは、本明細書中下記で記載される方法に従った高速度衝撃試験において23℃で約0.8MPa以上の30分後最大負荷を明らかにし、より好ましくは約1.2MPa以上の30分後最大負荷、最も好ましくは約1.6MPa以上の30分後最大負荷を明らかにする。ハンドガンによる組成物の塗布可能性を、本明細書中下記で記載されるプレスフロー粘度試験の助けをかりて評価することができる。例えば、この試験によれば、組成物は、1分あたり約8グラム以上のプレスフロー粘度を示し、より好ましくは、1分あたり約12グラム以上のプレスフロー粘度を示し、最も好ましくは、1分あたり約16グラム以上のプレスフロー粘度を示す。プレスフロー粘度試験では、4mmのノズル直径及び4barの圧力を有するBallan型プレスフロー測定デバイスが使用される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「1つ又はそれ以上」は、本明細書中で使用される場合、列挙される成分の少なくとも1つ又は2つ以上が、開示されるように使用され得ることを意味する。「名目的(な)」は、官能性に関して使用される場合、理論的官能性を意味し、一般には、これは、使用された成分の化学的量論から計算することができる。一般に、実際の官能性は、原料における不完全さ、反応物の不完全な変換、及び、副生成物の形成のために異なる。多分散性が多分散性指数PDIとして表され、数平均分子量(Mn)によって除される重量平均分子量(Mw)を意味する。重量平均分子量及び数平均分子量がゲル浸透クロマトグラフィー(これはまた、GPC又はSECと呼ばれる)によって求められる。本発明の目的のために、Mn及びMwの両方が、Mp=1000を超えるピークのみを評価することによって求められる。Mn、Mw及びPDIについてのクロマトグラムの評価が、最新技術によるGPC機器のソフトウエアによって行われる。好ましい実施形態において、DionexからChromeleonソフトウエアとともに得られる機器を使用することができ、二連のPLゲルMixed D分離カラム、及び、溶媒としてのGPC規格のTHFにより、1,000〜150,000の分子量範囲における分離が可能である。カラムが、1000〜150’000の間の範囲において6個のPSty校正標準物により校正される。ViscotekからOmnisecソフトウエアとともに得られる粘度検出器との組み合わせでのRI検出器の使用は、Mn、Mw及びPDIについての標準的評価及び固有粘度補正された評価の両方を容易にする(後者は、いわゆる万能分子量を与える)。
【0011】
1つ又はそれ以上のイソシアナート官能性ポリエーテル系プレポリマーが、接着剤特性を組成物に与えるための十分な量で存在する。そのようなプレポリマーは、硬化したときに架橋ポリウレタンの調製を可能にするために十分で、かつ、ポリマーが不安定であるほど大きくない平均イソシアナート官能性を有する。この関連での「安定性」は、プレポリマー、又は、プレポリマーから調製される接着剤が、周囲温度での少なくとも6ヶ月の貯蔵寿命を有することを意味しており、但し、これは、プレポリマー、又は、プレポリマーから調製される接着剤が、その塗布又は使用を妨げるそのような期間中における粘度の増大を明らかにしないという点においてである。好ましくは、プレポリマー、又は、プレポリマーから調製される接着剤は、述べられた期間中において、約50パーセントを超える粘度の増大を受けない。プレポリマーは、1つ又はそれ以上のポリイソシアナートを、平均して分子あたり1個を超えるイソシアナート反応性基を含有する1つ又はそれ以上の化合物と反応させることによって調製される。プレポリマーは好ましくは、プレポリマーから調製される接着剤における60分後の許容され得る強さと、プレポリマーの安定性とを容易にするフリーイソシアナート含有量を有する。好ましくは、フリーイソシアナート含有量は、プレポリマーの重量に基づいて約1.2重量パーセント以上で、より好ましくは約1.4重量パーセント以上で、最も好ましくは約1.6重量パーセント以上であり、かつ、好ましくは約2.2重量パーセント以下で、より好ましくは約2.0重量パーセント以下で、さらに一層より好ましくは約1.8重量パーセント以下である。約2.2重量パーセントを超える場合、プレポリマーから調製される接着剤は、意図された使用のためには低すぎる60分後の重ね剪断強度を明らかにし得る。約1.2重量パーセントよりも低い場合、プレポリマーの粘度が高くなりすぎて、取り扱うことができず、また、作業時間が短くなりすぎる。当分野における専門家には周知のことであるように、多分散性は定義上、1.0以上である。プレポリマーは好ましくは約2.5以下の多分散性を示し、より好ましくは約2.3以下の多分散性を示し、最も好ましくは約2.1以下の多分散性を示す。
【0012】
好ましくは、プレポリマーの粘度は約200Pa・s以下であり、より好ましくは約150Pa・s以下であり、最も好ましくは約120Pa・s以下である。好ましくは、プレポリマーの粘度は約50Pa・s以上である。接着剤の粘度はフィラーにより調節することができ、だが、フィラーは一般には、最終的な接着剤の未処理強度を改善しない。約50Pa・s未満の場合、プレポリマーから調製される接着剤は不良な高速度引張り強さを示すことがある。約150Pa・sを超える場合、プレポリマーは不安定であり、かつ、ポンプ送出することが困難であり得る。「粘度」は、本明細書中で使用される場合、毎秒5回転の速度及び23℃の温度で、RVスピンドル#5を用いるBrookfield粘度計モデルDV−Eによって測定される。
【0013】
好ましくは、プレポリマーを調製する際に使用されるポリイソシアナートには、脂肪族ポリイソシアナート、脂環族ポリイソシアナート、芳香脂肪族(araliphatic)ポリイソシアナート、複素環式ポリイソシアナート又は芳香族ポリイソシアナート、或いは、それらの混合物が含まれる。好ましくは、使用されるポリイソシアナートは、平均イソシアナート官能性が少なくとも約2.0であり、かつ、当量重量が少なくとも約80である。好ましくは、ポリイソシアナートのイソシアナート官能性は少なくとも約2.0であり、より好ましくは少なくとも約2.2であり、最も好ましくは少なくとも2.4であり、かつ、好ましくは最大でも約4.0であり、より好ましくは最大でも約3.5であり、最も好ましくは最大でも約3.0である。より大きい官能性もまた使用することができ、しかし、これは過度な架橋を引き起こすことがあり、その結果、粘度が大きくなりすぎて、容易な取り扱い及び塗布ができない接着剤をもたらすことがあり、また、硬化した接着剤が脆くなりすぎる原因となり得る。好ましくは、ポリイソシアナートの当量重量は少なくとも約80であり、より好ましくは少なくとも約110であり、最も好ましくは少なくとも約120であり、かつ、好ましくは最大でも約300であり、より好ましくは最大でも約250であり、最も好ましくは最大でも約200である。
【0014】
好ましいポリイソシアナートの例には、Wuの米国特許第6,512,033号(第3欄3行〜49行)(これは参照により本明細書に組み込まれる)によって開示されるポリイソシアナートが含まれる。より好ましいイソシアナートが、芳香族イソシアナート、脂環式イソシアナート及びそれらの誘導体である。好ましくは、芳香族イソシアナートは、イソシアナート基が芳香族環に直接に結合する。一層より好ましいポリイソシアナートには、ジフェニルメタンジイソシアナート及びそのポリマー状誘導体、イソホロンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート及びそのポリマー状誘導体、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、並びに、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートが含まれる。最も好ましいイソシアナートはジフェニルメタンジイソシアナートである。
【0015】
用語「イソシアナート反応性化合物」には、本明細書中で使用される場合、名目的には少なくとも2つのイソシアナート反応性成分を有する有機化合物のどれもが含まれる。本発明の目的のために、活性水素含有成分は、分子におけるその位置のために、Wohlerによって、Journal of the American Chemical Society、第49巻、3181頁(1927)に記載されるZerewitinoff試験に従って、著しい活性を示す水素原子を含有する成分を示す。そのような活性水素成分の例示として、−COOH、−OH、−NH、−NH−、−CONH、−SH及び−CONH−が挙げられる。好ましい活性水素含有化合物には、ポリオール、ポリアミン、ポリメルカプタン及びポリ酸が含まれる。より好ましくは、イソシアナート反応性化合物はポリオールであり、一層より好ましくはポリエーテルポリオールである。
【0016】
好ましくは、プレポリマーの調製において有用なポリオールには、Wuの米国特許第6,512,033号(第4欄10行〜64行)(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるポリオールが含まれ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(アルキレンカーボナート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル及びそれらの混合物が含まれる。好ましいポリオールが、1つ又はそれ以上のアルキレンオキシドユニットをポリオールの骨格に含有するポリエーテルポリオールである。好ましいアルキレンオキシドユニットは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びそれらの混合である。アルキレンオキシドは直鎖アルキレンユニット又は分岐鎖アルキレンユニットを含有することができる。好ましくは、ポリオールは、プロピレンオキシドユニット、エチレンオキシドユニット又はそれらの混合を含有する。アルキレンオキシドユニットの混合がポリオールに含有される実施形態において、種々のユニットがランダムに配置され得るか、又は、それぞれのアルキレンオキシドのブロックで配置され得る。1つの好ましい実施形態において、ポリオールは、プロピレンオキシド鎖を、ポリオールをキャップ化するエチレンオキシド鎖とともに含む。好ましい実施形態において、ポリオールは、ジオール及びトリオールの混合物である。好ましくは、イソシアナート反応性化合物は、官能性が少なくとも約1.8であり、より好ましくは少なくとも約1.9であり、最も好ましくは少なくとも約1.95であり、かつ、好ましくは最大でも約4.0であり、より好ましくは最大でも約3.5であり、最も好ましくは最大でも約3.0である。好ましくは、イソシアナート反応性化合物の当量重量が少なくとも約200であり、より好ましくは少なくとも約500であり、より好ましくは少なくとも約1,000であり、かつ、好ましくは最大でも約5,000であり、より好ましくは最大でも約3,000であり、最も好ましくは最大でも約2,500である。
【0017】
プレポリマーを調製するために使用されるイソシアナート含有化合物の量は、所望される特性、すなわち、本明細書中前記で議論されるような適切なフリーイソシアナート含有量及び粘度を与えるそのような量である。好ましくは、イソシアナートは、1当量の活性水素あたり約1.3当量以上のイソシアナート(NCO)の量で、より好ましくは約1.4当量以上のイソシアナートの量で、最も好ましくは約1.5当量以上のイソシアナートの量で、プレポリマーを調製するために使用される。好ましくは、プレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアナートは約2.0当量以下のイソシアナートの量で使用され、より好ましくは1.8当量以下のイソシアナートの量で使用され、最も好ましくは約1.6当量以下のイソシアナートの量で使用される。
【0018】
1つの好ましい実施形態において、接着剤はさらに、それに分散される1つ又はそれ以上の有機系ポリマーを含有するプレポリマーを含む。好ましくは、有機系ポリマーは、有機系ポリマーの粒子が分散されている分散トリオールを含むことによってプレポリマーに含まれる。好ましい分散トリオールがZhouの米国特許第6,709,539号(第4欄13行〜第6欄18行)に開示される(これは参照により本明細書に組み込まれる)。好ましくは、有機粒子を分散させるために使用されるトリオールはポリエーテルトリオールであり、より好ましくはポリオキシアルキレン系トリオールである。好ましくは、そのようなポリオキシアルキレンオキシドトリオールはポリオキシプロピレン鎖をポリオキシエチレン末端キャップとともに含む。好ましくは、使用されるトリオールは、分子量が約4,000以上であり、より好ましくは約5,000以上である。好ましくは、そのようなトリオールは、分子量が約8,000以下であり、より好ましくは約7,000以下である。好ましくは、分散トリオールに分散される粒子は、トリオールに分散される熱可塑性ポリマー、ゴム改質熱可塑性ポリマー又はポリウレアを含む。ポリウレアは好ましくは、ポリアミン及びポリイソシアナートの反応生成物を含む。好ましくは、そのような分散トリオール系プレポリマーは約5重量パーセント未満の量で接着剤に含まれる。
【0019】
プレポリマーは、いずれかの好適な方法によって調製することができ、例えば、塊状重合及び溶液重合などによって調製することができる。プレポリマーを調製するための反応が、無水条件下で、好ましくは不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下など)で、かつ、雰囲気中の水分によるイソシアナート基の架橋を防止するために行われる。この反応は好ましくは、サンプルの滴定によって求められる残存イソシアナート含有量が所望の理論値に非常に近くなるまで、約0℃〜約150℃の間の温度で行われ、より好ましくは約25℃〜約90℃の間の温度で行われる。「イソシアナート含有量」は、プレポリマーの総重量に対するイソシアナート成分の重量百分率を意味する。プレポリマーを調製するための反応をウレタン触媒の存在下で行うことができる。そのような触媒の例には、カルボン酸の第一スズ塩が含まれ、例えば、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、酢酸第一スズ及びラウリン酸第一スズなどが含まれる。同様に、ジアルキルスズジカルボキシラート、例えば、ジブチルスズジラウラート及びジブチルスズジアセタートなどが、第三級アミン及びスズメルカプチドが公知であるように、ウレタン触媒として当分野では公知である。好ましくは、プレポリマーを調製するための反応はオクタン酸第一スズによって触媒される。用いられる触媒量は、一般には、イソシアナートの性質に依存して、触媒される混合物の約0.005重量部〜約5重量部の間である。好ましくは、反応は可塑剤との混合で行われる。下記の手順が、所望される多分散性を有するプレポリマーを調製するために使用される。好ましくは、少なくとも1.9(好ましくは少なくとも1.95)の有効官能性を有するポリエーテルジオールと、少なくとも2.8(好ましくは少なくとも2.9)の有効官能性を有するポリエーテルトリオールとが、少なくとも2.0の官能性を有する芳香族ポリイソシアナートと反応させられる。これらのポリエーテルポリオールは、30パーセントまでのエチレンオキシドユニットを含むことができる。好ましいポリエーテルジオールは、OH価から計算されるとき、約1,000〜約6,000の分子量を有し、好ましいポリエーテルトリオールは、OH価から計算されるとき、約3,000〜約9,000の分子量を有する。PDIが2.5を超える他のそれほど好ましくないイソシアナート官能性プレポリマーを、プレポリマー混合物の平均多分散性指数PDI(Mw/Mn)が2.5以下であるような量で加えることができる。ポリマー混合物のPDIを、当分野における専門家には周知であるように、個々の成分(プレ)ポリマーのMn及びMwのデータから計算することが可能である。下記の式により、関係性が与えられる:
【数1】

Xi=接着剤混合物におけるすべてのプレポリマーのモル分率、wi=接着剤混合物におけるすべてのプレポリマーの重量分率。
【0020】
プレポリマーは、接着剤が基体を互いに接合し得るような十分な量で本発明の組成物に存在する。好ましくは、ポリウレタンプレポリマーが、組成物の重量に基づいて約10重量パーセント以上の量で存在し、より好ましくは約30重量パーセント以上の量で存在し、最も好ましくは約50重量パーセント以上の量で存在する。好ましくは、ポリウレタンプレポリマーは、組成物の重量に基づいて約65重量パーセント以下の量で存在し、より好ましくは約60重量パーセント以下の量で存在し、最も好ましくは約55重量パーセント以下の量で存在する。
【0021】
本発明において有用であるポリウレタンプレポリマーはさらに可塑剤を含むことができる。プレポリマーにおいて有用な可塑剤は、ポリウレタン接着剤用途において有用な一般的な可塑剤であり、また、当業者には周知であり、以降、低極性(の)可塑剤として示される。可塑剤は、プレポリマーを最終的な接着剤組成物に分散させるために十分な量で存在する。可塑剤をプレポリマーの調製期間中又は接着剤組成物の配合期間中のどちらかで接着剤に加えることができる。好ましくは、可塑剤がプレポリマー配合物(プレポリマー+可塑剤)の約0重量パーセント以上で存在し、より好ましくは約1重量パーセント以上で存在し、最も好ましくは約6重量パーセント以上で存在する。好ましくは、可塑剤はプレポリマー配合物の約15重量パーセント以下で存在し、より好ましくは約13重量パーセント以下で存在する。
【0022】
本発明の組成物は、組成物のレオロジー特性、粘度特性、ポンプ送出性特性及び垂れ下がり特性を制御するための成分を含む。これらの目的のために組成物において含まれる物質には、1つ又はそれ以上のフィラー、1つ又はそれ以上のイソシアナート官能性ポリエステル系プレポリマー、或いは、それらの混合物が含まれる。これらの物質は、組成物が、レオロジー、粘度及び垂れ下がりの所望される特性を示すような十分な量で加えられる。好ましくは、これらの成分は、手動分注ガンによる塗布を可能とするために、組成物が約8グラム/分以上(より好ましくは約12グラム/分以上、最も好ましくは約16グラム/分以上)のプレスフロー粘度を示すように加えられる。好ましい実施形態において、1つ又はそれ以上のフィラーと、1つ又はそれ以上のイソシアナート官能性ポリエステル系プレポリマーとの混合物が組成物において使用される。
【0023】
組成物は1つ又はそれ以上のフィラーを含む。フィラーが、本明細書中前記で記載されるような様々な理由のために加えられ、1つ又はそれ以上のタイプのフィラーを本発明の組成物において利用することができる。フィラーを、組成物を強化するために、また、適切な粘度及びレオロジーを与えるために、また、コストと、組成物及び組成物の各部分の所望される性質とのバランスを取るために加えることができる。好ましいクラスのフィラーは、1つ又はそれ以上のカーボンブラック、1つ又はそれ以上の粘土、1つ又はそれ以上の非着色フィラー、1つ又はそれ以上のチキソトロープ、或いは、それらの組み合わせを含む。好ましい実施形態において、フィラーは1つ又はそれ以上のカーボンブラック及び1つ又はそれ以上の粘土を含む。
【0024】
本発明において有用なフィラーの好ましい一群が、コストと、粘度とのバランスをそれぞれの部分に与えるフィラーである。そのようなフィラーは、好ましくは非着色フィラーであり、粘度と、コストとの許容され得るバランスを配合物に与えるための十分な量で、かつ、組成物の所望される性質を達成するための十分な量で使用される。この目的のために有用なフィラーには、タルク、炭酸カルシウム及びカオリンが挙げられる。好ましい非着色フィラーには、炭酸カルシウム又はカオリンが含まれる。本発明において有用な炭酸カルシウムは、標準的な炭酸カルシウムである。そのような標準的な炭酸カルシウムは非処理であり、すなわち、それらは、他の化学物質(例えば、有機酸又は有機酸のエステルなど)による処理によって改変されていない。カオリンはカオリナイトとしてもまた公知であり、AlSi(OH)の化学式によって表される化合物を含み、ほとんどの場合、粘土サイズの、平板様六角形形状の結晶として存在する。好ましくは、非着色フィラーは、組成物のレオロジーを、ハンドガンによって塗布可能な接着剤として機能するために好適にするために十分な量で存在する。好ましくは、非着色フィラーは約0重量パーセント以上の量で存在し、一層より好ましくは約3重量パーセント以上の量で存在し、最も好ましくは約5重量パーセント以上の量で存在する。好ましくは、非着色フィラーは約32重量パーセント以下の量で存在し、最も好ましくは約25重量パーセント以下の量で存在する。炭酸カルシウムが非着色フィラーである場合、炭酸カルシウムは好ましくは非被覆である。炭酸カルシウムは好ましくは、本発明の組成物の約0重量パーセント以上の量で存在し、より好ましくは約15重量パーセント以上の量で存在し、より好ましくは約20重量パーセント以上の量で存在する。好ましくは、炭酸カルシウムは本発明の組成物の約35重量パーセント以下の量で使用され、より好ましくは約28重量パーセント以下の量で使用される。
【0025】
本発明の組成物はさらに、組成物の強度及びレオロジーを改善するために存在する強化用フィラーを含むことができる。好ましいクラスの強化用フィラーはカーボンブラックの1つ又はそれ以上の形態を含む。強化用フィラーは、組成物を強化するための十分な量で、かつ、組成物のレオロジーを改善するための十分な量で存在する。自動車用途において、非導電性は、少なくとも1010Ω・cmの、組成物のインピーダンスを意味することが一般に理解される。好ましくは、強化用フィラーは、組成物の各部分が非導電性であるような量で存在する。多すぎる特定の強化用フィラー(例えば、カーボンブラックの1つ又はそれ以上の形態など)が存在するならば、組成物が導電性となる場合がある。カーボンブラックが強化用フィラーとして使用されるとき、使用されるカーボンブラックは標準的なカーボンブラックであり得る。標準的なカーボンブラックは、カーボンブラックを非導電性にするための特異的な表面処理又は酸化が施されないカーボンブラックである。1つ又はそれ以上の非導電性カーボンブラックを、標準的なカーボンブラックとの併用で使用することができ、だが、そのような包含は不必要なコスト増大をもたらし得る。標準的なカーボンブラックの、組成物における量は、所望される色、粘度、垂れ下がり抵抗及び強度をもたらすそのような量である。組成物の非導電性が所望されるならば、標準的なカーボンブラックを、組成物が非導電性であるレベルで利用することができる。強化用フィラー(例えば、カーボンブラックの1つ又はそれ以上の形態など)は好ましくは、組成物の重量に基づいて約0重量パーセント以上の量で組成物に存在し、より好ましくは約10重量パーセント以上の量で組成物に存在し、最も好ましくは約14重量パーセント以上の量で組成物に存在する。強化用フィラー(例えば、カーボンブラックの1つ又はそれ以上の形態など)は好ましくは、組成物の重量に基づいて約20重量パーセント以下の量で組成物に存在し、より好ましくは約18重量パーセント以下の量で組成物に存在し、最も好ましくは約16重量パーセント以下の量で組成物に存在する。導電性カーボンブラックが使用されるならば、組成物のインピーダンスを妨げて、1010Ω・cmを超えるために、濃度を組成物全体において約18重量パーセント未満で保つように注意しなければならない。この量よりも少ない組成は、非導電性であると見なされる。様々な標準的なカーボンブラックが当分野では周知であり、これらには、RAVEN(商標)790、RAVEN(商標)450、RAVEN(商標)500、RAVEN(商標)430、RAVEN(商標)420及びRAVEN(商標)410のカーボンブラック(これらはColombianから入手可能である)、並びに、CSX(商標)カーボンブラック(これはCabotから入手可能である)、並びに、PRINTEX(商標)30カーボンブラック(これはDegussaから入手可能である)が含まれる。様々な非導電性カーボンブラックが当分野では周知であり、これらには、RAVEN(商標)1040及びRAVEN(商標)1060のカーボンブラック(これらはColombianから入手可能である)が含まれる。
【0026】
組成物において有用なフィラーの別のクラスが、本発明の組成物の費用有効性、粘度及び非導電性性質を改善するという目的のために加えられる粘土である。本発明において有用な好ましい粘土には、カオリン、表面処理カオリン、焼成カオリン、ケイ酸アルミニウム及び表面処理された無水ケイ酸アルミニウムが含まれる。粘土は、手で分注可能な接着剤の配合を容易にする任意の形態で使用することができる。好ましくは、粘土は、粉砕粉末、噴霧乾燥ビーズ又は微粉砕粒子の形態で混合される。粘土を本発明の組成物の約0重量パーセント以上の量で使用することができ、より好ましくは約10重量パーセント以上の量で使用することができ、一層より好ましくは約16重量パーセント以上の量で使用することができる。好ましくは、粘土は本発明の組成物の約30重量パーセント以下の量で使用され、より好ましくは約23重量パーセント以下の量で使用される。
【0027】
接着剤組成物はさらに、チキソトロープ(流動学的添加物)として機能するフィラーを含むことができる。様々なそのようなチキソトロープが当業者には周知であり、これらには、フュームドシリカなどが含まれる。好ましいヒュームドシリカには、有機修飾されたヒュームドシリカが含まれる。チキソトロープを、所望されるレオロジー学的特性を与えるための十分な量で組成物に加えることができる。好ましくは、チキソトロープは、本発明の組成物の重量に基づいて約0重量パーセント以上の量で存在し、好ましくは約0.5重量パーセント以上の量で存在する。好ましくは、必要に応じて使用されるチキソトロープは、本発明の組成物の重量に基づいて約3重量パーセント以下の量で存在し、より好ましくは約2重量パーセント以下の量で存在する。
【0028】
組成物はさらに、周囲温度(約23℃)で固体である1つ又はそれ以上のポリエステル系ポリオールを含有する1つ又はそれ以上のイソシアナート官能性プレポリマーを含むことができる。ポリエステル系ポリオールは、プレポリマーが、基体が周囲温度で重力のために互いに関して動かないようにするための十分な未処理強度を提供するような融点を有する。窓を車輌又は建物に装着することに関して、ポリエステル系プレポリマーは、窓が装着後に滑ることを防止する。好ましくは、ポリエステルポリオールは約40℃以上の融点を有し、一層より好ましくは約45℃以上の融点を有し、最も好ましくは約50℃以上の融点を有する。好ましくは、ポリエステルポリオールは約85℃以下の融点を示し、一層より好ましくは約70℃以下の融点を示し、最も好ましくは約60℃以下の融点を示す。ポリエステル系イソシアナートプレポリマーは、1つ又はそれ以上のポリエステルポリオールと、好ましくは芳香族ポリイソシアナートとを使用して調製することができる。ポンプ送出性を容易にするために、ポリエステル系イソシアナートプレポリマーは可塑剤により希釈することができる。プレポリマーにおけるポリエステルポリオールの量は、本発明の組成物のポンプ送出性を支援するための十分な量である。好ましくは、ポリエステルポリオールは、プレポリマーの重量に基づいて約70重量パーセント以上の量でポリエステルポリオール系イソシアナートプレポリマーに存在し、より好ましくは約80重量パーセント以上の量でポリエステルポリオール系イソシアナートプレポリマーに存在する。好ましくは、ポリエステルポリオールは、プレポリマーの重量に基づいて約95重量パーセント以下の量でポリエステルポリオール系イソシアナートプレポリマーに存在し、より好ましくは約90重量パーセント以下の量でポリエステルポリオール系イソシアナートプレポリマーに存在する。好ましくは、ポリエステルポリオール系イソシアナートプレポリマーは、組成物の必要とされる未処理強度及び所望されるレオロジーを支援するための十分な量で接着剤組成物に存在する。量が多すぎるならば、接着剤組成物は周囲温度でハンドガンにより塗布することができない。好ましくは、ポリエステルポリオール系イソシアナートプレポリマーは、接着剤組成物の重量に基づいて約0重量パーセント以上の量で接着剤組成物に存在し、より好ましくは約1重量パーセント以上の量で接着剤組成物に存在し、最も好ましくは約2重量パーセント以上の量で接着剤組成物に存在する。好ましくは、ポリエステルポリオール系イソシアナートプレポリマーは約10重量パーセント以下の量で接着剤組成物に存在し、一層より好ましくは約5重量パーセント以下の量で接着剤組成物に存在し、最も好ましくは約3重量パーセント以下の量で接着剤組成物に存在する。ポリエステルポリオールは、周囲温度で結晶性であり、かつ、所望される温度範囲で融解する、定義された特性要求を満たすポリエステル組成物のいずれであってもよい。好ましいポリエステルポリオールが、線状二酸及び線状ジオールから調製される。1つのより好ましい二酸がアジピン酸である。より好ましいジオールがC2〜6ジオールであり、ブタンジオール、ペンタンジオール及びヘキサンジオールが最も好ましい。ポリエステル系ポリイソシアナートプレポリマーを、本明細書中前記で記載されるプロセス及びイソシアナートを使用して調製することができる。好ましいポリステルポリオールが、Creanovaから、DYNACOLの商品名、並びに、7381、7360及び7330の名称で入手可能であり、7381が最も好ましい。
【0029】
本発明の組成物はさらに、硬化した形態における組成物のモジュラスを改善するという目的のために多官能性イソシアナートを含むことができる。「多官能性」は、イソシアナートに関連して使用される場合、3以上の官能性を有するイソシアナートを示す。ポリイソシアナートは、約3以上の名目的官能性を有するモノマーイソシアナート、オリゴマーイソシアナート又はポリマーイソシアナートのいずれであってもよい。より好ましくは、多官能性イソシアナートは約3.2以上の名目的官能性を有する。好ましくは、多官能性イソシアナートは約5以下の名目的官能性を有し、一層より好ましくは約4.5以下の名目的官能性を有し、最も好ましくは約4.2以下の名目的官能性を有する。多官能性イソシアナートは、組成物において使用されるイソシアナートポリイソシアナートプレポリマーとの反応性を有し、かつ、硬化した組成物のモジュラスを改善するイソシナートのいずれであってもよい。ポリイソシアナートは、モノマー状;モノマー状イソシアナートの三量体イソシアヌラート又はビウレット;オリゴマー状又はポリマー状、すなわち、1つ又はそれ以上のモノマー状イソシアナートの数ユニットの反応生成物であり得る。好ましい多官能性イソシアナートの例には、ヘキサメチレンジイソシアナートの三量体、例えば、Bayerから、DESMODUR N3300、DESMODUR N−100の商標及び名称で入手可能なヘキサメチレンジイソシアナート三量体など、並びに、ポリマー状イソシアナート、例えば、ポリマーMDI(メチレンジフェニルジイソシアナート)(例えば、PAPI20ポリマー状イソシアナートをはじめとする、The Dow Chemical Companyによって、PAPIの商標で販売されるポリマーMDIなど)などが含まれる。多官能性イソシアナートは、本発明の硬化した組成物のモジュラスを与えるための十分な量で存在する。多すぎる量が使用されるならば、組成物の硬化速度が受け入れられないほどに低下する。少なすぎる量が使用されるならば、所望されるモジュラスレベルを達成することができない。多官能性イソシアナートは好ましくは、接着剤組成物の重量に基づいて約0.5重量パーセント以上の量で存在し、より好ましくは約1.0重量パーセント以上の量で存在し、最も好ましくは約1.4重量パーセント以上の量で存在する。多官能性イソシアナートは好ましくは、接着剤組成物の重量に基づいて約8重量パーセント以下の量で存在し、より好ましくは約5重量パーセント以下の量で存在し、最も好ましくは約3重量パーセント以下の量で存在する。
【0030】
接着剤はまた、イソシアナート成分と、水又は活性水素含有化合物との反応を触媒する触媒を含有する。そのような化合物は当分野では周知である。触媒は、イソシアナート成分と、水又は活性水素含有化合物との反応について当業者には公知である触媒のいずれであってもよい。好ましい触媒には、有機スズ化合物、金属アルカン酸塩及び第三級アミンが挙げられる。様々なクラスの触媒の混合物を使用することができる。第三級アミン及び金属塩の混合物が好ましい。一層より好ましいものが、第三級アミン、例えば、ジモルホリノジエチルエーテルなど、及び、金属アルカン酸塩、例えば、オクタン酸ビスマスなどである。有用な触媒に含まれるものが有機スズ化合物であり、例えば、アルキルスズオキシド、アルカン酸第一スズ、ジアルキルスズカルボキシラート及びスズメルカプチドなどである。アルカン酸第一スズには、オクタン酸第一スズが含まれる。アルキルスズオキシドには、ジアルキルスズオキシドが含まれ、例えば、ジブチルスズオキシド及びその誘導体などが含まれる。有機スズ触媒は好ましくは、ジアルキルスズジカルボキシラート又はジアルキルスズジメルカプチドである。総炭素原子がより少ないジアルキルスズジカルボキシラートが、本発明の組成物におけるより活性な触媒であるので好ましい。好ましいジアルキルジカルボキシラートには、1,1−ジメチルスズジラウラート、1,1−ジブチルスズジアセタート及び1,1−ジメチルジマレアートが含まれる。好ましい金属アルカン酸塩には、オクタン酸ビスマス又はネオデカン酸ビスマスが含まれる。有機スズ触媒又は金属アルカン酸塩触媒は、接着剤の重量に基づいて100万部あたり約60部以上の量で存在し、より好ましくは100万部あたり120部以上の量で存在する。有機スズ触媒又は金属アルカン酸塩触媒は、接着剤の重量に基づいて約1.0重量パーセント以下の量で存在し、より好ましくは0.5重量パーセント以下の量で存在し、最も好ましくは0.1重量パーセント以下の量で存在する。
【0031】
有用な第三級アミン触媒には、ジモルホリノジアルキルエーテル、ジ((ジアルキルモルホリノ)アルキル)エーテル、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルピペラジン4−メトキシエチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン及びそれらの混合物が含まれる。1つの好ましいジモルホリノジアルキルエーテルがジモルホリノジエチルエーテルである。1つの好ましいジ((ジアルキルモルホリノ)アルキル)エーテルが(ジ−(2−(3,5−ジメチルモルホリノ)エチル)エーテル)である。第三級アミンが、好ましくは、接着剤の重量に基づいて、約0.01重量パーセント以上の量で用いられ、より好ましくは約0.05重量パーセント以上の量で用いられ、一層より好ましくは約0.1重量パーセント以上の量で用いられ、最も好ましくは約0.2重量パーセント以上の量で用いられ、かつ、約2.0重量パーセント以下の量で用いられ、より好ましくは約1.75重量パーセント以下の量で用いられ、一層より好ましくは約1.0重量パーセント以下の量で用いられ、最も好ましくは約0.4重量パーセント以下の量で用いられる。
【0032】
本発明の組成物はまた、好ましくは、レオロジー学的特性を所望のコンシステンシーに改変するために1つ又はそれ以上の可塑剤又は溶媒を含有する。そのような物質は、水非含有で、イソシアナート基に対して不活性で、かつ、プレポリマーと相容性でなければならない。そのような物質は、プレポリマーを調製するための反応混合物に加えることができるか、又は、最終的な接着剤組成物を調製するための混合物に加えることができ、しかし、好ましくは、プレポリマー及び付加物を調製するための反応混合物に加えられ、その結果、そのような混合物はより容易に混合され、かつ、取り扱われ得るようにされる。好適な可塑剤及び溶媒が当分野では周知であり、これらには、直鎖アルキルフタラート及び分岐アルキルフタラート(例えば、ジイソノニルフタラート、ジオクチルフタラート及びジブチルフタラートなど)、「HB−40」として市販されている部分水素化テルペン、トリオクチルホスファート、フェノールのアルキルスルホン酸エステル(Mesamoll、Bayer)、トルエン−スルファミド、アジピン酸エステル、ひまし油、キシレン、1−メチル−2−ピロリジノン及びトルエンが含まれる。使用される可塑剤量は、所望のレオロジー学的特性を与え、かつ、成分を本発明の組成物において分散させるために十分なそのような量である。好ましくは、可塑剤は約0重量パーセント以上の量で本発明の組成物に存在し、より好ましくは、約1重量パーセント以上の量で本発明の組成物に存在し、最も好ましくは、約6重量パーセント以上の量で本発明の組成物に存在する。可塑剤は約15重量パーセント以下の量で存在し、より好ましくは約13重量パーセント以下の量で存在する。
【0033】
本発明の組成物はさらに、安定剤を含むことができ、この場合、安定剤は、接着剤組成物を水分から保護するために機能し、それにより、接着剤配合物におけるアドバンスメント(advancement)を阻害し、かつ、接着剤配合物におけるイソシアナートの時期尚早な架橋を防止する。水分硬化性接着剤について当業者には公知である安定剤を好ましくは本発明において使用することができる。そのような安定剤に含まれるものが、ジエチルマロナート、パラトルエンスルホン酸系イソシアナート、ベンゾイルクロリド及びオルトアルキルホルマートである。そのような安定剤は、好ましくは、接着剤組成物の総重量に基づいて約0.1重量パーセント以上の量で使用され、好ましくは約0.5重量パーセント以上の量で使用され、より好ましくは約0.8重量パーセント以上の量で使用される。そのような安定剤は、接着剤組成物の重量に基づいて約5.0重量パーセント以下の量で使用され、より好ましくは約2.0重量パーセント以下の量で使用され、最も好ましくは約1.4重量パーセント以下の量で使用される。
【0034】
本発明の組成物はさらに、定着促進剤を含むことができ、例えば、Mahdiの米国特許出願公開第2002/0100550号(段落0055〜段落0065)及びHsiehの米国特許第6,015,475号(第5欄27行〜第6欄41行)(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に開示される定着促進剤などを含むことができる。有用であるそのような定着促進剤の量もまた、これらの参考文献において開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
組成物はさらに、空気中の水分を組成物に引き入れるために機能する親水性物質を含むことができる。この物質は、空気中の水分を組成物に引き寄せることによって配合物の硬化速度を高める。好ましくは、親水性物質は液体である。好ましい親水性(吸湿性)物質には、ピロリジノン系化合物、例えば、1−メチル−2−ピロリジノン(これは、 から、M−Pyrolの商標で入手可能である)などが挙げられる。親水性物質は好ましくは約0.1重量パーセント以上の量で存在し、より好ましくは約0.3重量パーセント以上の量で存在し、かつ、好ましくは約1.0重量パーセント以下の量で存在し、最も好ましくは約0.6重量パーセント以下の量で存在する。
【0036】
接着剤組成物において一般に使用される他の成分を本発明の組成物において使用することができる。そのような物質が当業者には周知であり、これらには、紫外線安定剤及び酸化防止剤などが含まれ得る。
【0037】
本発明の接着剤組成物は、当分野では周知である手段を使用して構成成分を一緒にブレンド混合することによって配合することができる。一般に、構成成分は好適なミキサーにおいてブレンド混合される。そのようなブレンド混合は好ましくは、時期尚早の反応を防止するために酸素及び雰囲気中の水分の非存在下での不活性雰囲気において行われる。ポリエステル系イソシアナート官能性プレポリマーが使用される実施形態において、接着剤組成物は、ポリエステル系イソシアナート官能性プレポリマーの融点を超える温度で、かつ、著しい副反応が生じる温度よりも低い温度でブレンド混合される。この実施形態において、利用される温度は約40℃〜約90℃未満であり、より好ましくは約50℃〜約70℃である。何らかの可塑剤を、イソシアナート含有プレポリマーを調製するための反応混合物に加え、その結果、そのような混合物が容易に混合され、かつ、取り扱われ得るようにすることが好都合であり得る。代替では、可塑剤を、構成成分のすべてをブレンド混合している期間中に加えることができる。接着剤組成物が配合されると、接着剤組成物は、接着剤組成物が空気中の水分及び酸素から保護されるように、好適な容器に詰められる。空気中の水分及び酸素との接触は、ポリウレタンプレポリマーが含有するイソシアナート基の時期尚早の架橋を生じさせ得る。
【0038】
本発明の接着剤組成物は、本明細書中前記で記載されるように、様々な基体を互いに接合するために使用される。組成物は、多孔性の基体及び非多孔性の基体を互いに接合するために使用することができる。接着剤組成物が基体に塗布され、その後で、第1の基体における接着剤が第2の基体と接触させられる。好ましい実施形態において、接着剤が塗布される表面は塗布前に清浄化され、下塗りされる。例えば、米国特許第4,525,511号、同第3,707,521号及び同第3,779,794号を参照のこと(これらすべての関連部分が参照により本明細書に組み込まれる)。一般に、本発明の接着剤は、空気中の水分の存在下、周囲温度で塗布される。空気中の水分に対する暴露が、接着剤の硬化を生じさせるために十分である。硬化を、さらなる水を加えることによって、又は、熱を対流熱及びマイクロ波加熱などによって硬化途中の接着剤に加えることによって加速させることができる。好ましくは、本発明の接着剤は、約6分以上の作業時間を提供するために配合され、より好ましくは約10分以上の作業時間を提供するために配合される。好ましくは、作業時間は約15分以下であり、より好ましくは約12分以下である。
【0039】
接着剤組成物は好ましくは、ガラス、又は、耐摩耗性被覆により被覆されたプラスチックを他の基体(例えば、金属又はプラスチックなど)に接合するために使用される。好ましい実施形態において、第1の基体が、ガラスの、又は、耐摩耗性被覆により被覆されたプラスチックの、窓であり、第2の基体が窓枠である。別の好ましい実施形態において、第1の基体が、ガラスの、又は、耐摩耗性被覆により被覆されたプラスチックの、窓であり、第2の基体が自動車の窓枠である。好ましくは、ガラス窓は清浄化され、そして、接着剤が接合させられることになる領域に塗布されたガラスプライマーを有する。耐摩耗性被覆により被覆されたプラスチックは、透明であるいずれかのプラスチックであってもよく、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、水素化ポリスチレン、又は、50パーセントを超えるスチレン含有量を有する水素化スチレン共役ジエンブロックコポリマーなどであってもよい。被覆は、耐摩耗性であるどのような被覆も含むことができ、例えば、ポリシロキサン被覆などを含むことができる。好ましくは、被覆は、紫外線用の着色された遮光添加物を有する。好ましくは、ガラス又はプラスチックの窓は、UV光が接着剤に達しないようにするために、接着剤と接触させられることになる領域に配置される不透明な被覆を有する。
【0040】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、窓を構造物又は車輌において、最も好ましくは車輌において取り換えるために使用される。最初の工程が、以前の窓を取り除くことである。これは、古い窓を定位置に保持する接着剤のビードを切断し、その後、古い窓を取り除くことによって達成することができる。その後で、新しい窓が清浄化され、そして、必要ならば、下塗り処理される。窓フランジにある古い接着剤を取り除くことができ、だが、それは必要ではなく、ほとんどの場合、古い接着剤は定位置に残され、しかし、切削工具により平らに切削することができる。窓フランジには、好ましくは、ペイントプライマーが下塗りされる。接着剤が、車輌に設置されたときには接着剤が窓フランジと接触するように位置する窓の周辺部に対してビードにおいて塗布される。その後、接着剤が表面に置かれた窓が、窓と、フランジとの間に位置する接着剤とともにフランジ内に置かれる。代替では、接着剤を窓フランジに塗布することができる。接着剤ビードは、窓と、窓フランジとの間の接合部を封止するために機能する連続ビードである。接着剤の連続ビードは、接触したとき、窓と、フランジとの間における連続封止を形成するために、ビードがそれぞれの端で接触するように置かれるビードである。その後で、接着剤を硬化させることができる。本発明の組成物はまた、20Kgを超え、約120Kgに至るまでの大質量の基体を上記基体に接合するために有用である。大質量の基体の1つのクラスにおいて、本発明の組成物は大型の窓であり、例えば、大量輸送車両において利用される大型の窓などである。
【0041】
特定の用途において、本発明の重合可能な組成物は、プライマー又は活性化ワイプとともに利用することができる。プライマー又は活性化ワイプは典型的には、1つ又はそれ以上の上記基体の表面に塗布される。どのような溶媒も蒸発させることができ、その後、重合可能な組成物が基体と接触させられる。好ましくは、プライマー又は活性化ワイプの塗布から、重合可能な組成物を基体に塗布するまでの期間が約0.5分以上であり、より好ましくは約1分以上であり、最も好ましくは約2分以上である。
【0042】
別の実施形態において、本発明の組成物は、モジュール式成分を互いに接合するために使用することができる。モジュール式成分の例には、車輌モジュール、例えば、ドア、窓又はサンルーフなどが含まれる。
【0043】
「粘度」は、本明細書中に記載される場合、Bhatの米国特許第5,922,809号(第12欄38行〜49行)(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示される手順に従って求められる。「分子量」は、本明細書中に記載される場合、本明細書中前記(セクション[008])で記載される方法に従って求められる。
【0044】
本発明の例示的な実施形態
下記の実施例は、本発明を例示するために提供され、しかし、その範囲を限定するためには意図されない。すべての部及び百分率が、別途示されない限り、重量比である。
成分:
【表1】

【0045】
プレポリマーの調製
プレポリマー1を、60.000gのポリオキシプロピレンジオール1を15.000gのポリオキシプロピレントリオール1と混合することによって調製する。10.983gの可塑剤及び13.000gのジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナートを加える。その後、0.009gのメチルエチルケトン及び1.000gのジエチルマロナートにおける0.001gのオルトリン酸を加える。反応混合物を反応槽において50℃に加熱し、0.007gのオクタン酸第一スズを加える。反応を50℃で1時間行う。
【0046】
プレポリマー2を、22.799gのポリオキシプロピレンジオール2を33.476gのポリオキシプロピレントリオール2と混合することによって調製する。34.120gの可塑剤及び9.597gのジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナートを加える。その後、0.009gのメチルエチルケトン及び1.000gのジエチルマロナートにおける0.001gのオルトリン酸を加える。反応混合物を反応槽において50℃に加熱し、0.007gのオクタン酸第一スズを加える。反応を50℃で1時間行う。
【0047】
プレポリマー3を、60.580gのSAN(スチレンアクリロニトリル)グラフト化ポリオキシプロピレントリオール3、31.980gの可塑剤及び7.4100gのジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナートを反応槽に加えることによって調製する。その後、0.009gのメチルエチルケトンにおける0.001gのオルトリン酸。反応混合物を50℃に加熱し、0.020gのオクタン酸第一スズを加える。反応を50℃で1時間行う。
【0048】
ポリエステルプレポリマー4を、71.70gのポリエステルジオール1、17.50gの可塑剤及び10.80gのジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナートを反応槽に加えることによって調製する。反応混合物を反応槽において50℃に加熱し、0.007gのオクタン酸第一スズを加える。反応を50℃で1時間行う。
【0049】
接着剤の調製
接着剤組成物を、成分1及び成分2を遊星形ミキサーに入れることによって調製し、30分間脱気する。その後、成分3及び成分4を指定量で加える。混合物を真空下で30分間混合する。その後、成分5〜成分7を加え、混合物を15分間混合する。これらの成分、成分番号及び量は下記の表において提供される。
【0050】
耐衝撃試験を、TMIから得られる衝撃振子試験機(タイプ43−01)で4m/sの衝撃速度において行う。高速度耐衝撃性及び最大強度を下記の方法に従って試験する。接着剤を、テープの上にあふれるようにサンプル調製ホルダーのプロングの間に塗布する。その後、試験片(76×25×5mm)をプロングの頂上に置き、過剰な接着剤を、ビードが完全な形状(25×13×5mm)であることを保証するためにスパチュラでゆっくり除く。その後、試験試料を、所望される硬化時間及び環境条件のために保存する。その後、衝撃振り子を持ち上げ、衝撃振り子に掛け金をかけ、試験試料を所定位置で固定し、ハンマーを離した。それぞれの試験について、下記が測定される。
【0051】
試験された接着剤において使用される成分及び量が下記の表に示される。すべての実施例について示される成分の総重量が100gである。
【表2】

【数2】

Xi=接着剤混合物におけるすべてのプレポリマーのモル分率、wi=接着剤混合物におけるすべてのプレポリマーの重量分率。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1,000を超えるMpにおいてGPCによって求められる約2.5以下である平均多分散性指数を有する1つ又はそれ以上のイソシアナート官能性ポリエーテル系プレポリマー;
b)15重量パーセント未満の1つ又はそれ以上の可塑剤;
c)イソシアナート成分とイソシアナート反応性基との反応のための、1つ又はそれ以上の触媒;
d)組成物が、所定のプレスフロー(press flow)粘度、すなわち、約8グラム/分以上を示すような十分な量での1つ又はそれ以上のフィラー
を含む組成物であって、
DIN EN1465に従う4m/sでの高速度衝撃試験において1.6MPa以上のピーク強度及び約2.5J以上のエネルギー吸収を塗布後30分で明らかにする、組成物。
【請求項2】
前記1つ又はそれ以上の可塑剤が、組成物の重量に基づいて約7重量パーセント〜約13重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記フィラーが、1つ又はそれ以上のカーボンブラック、1つ又はそれ以上の非着色フィラー、1つ又はそれ以上のチキソトロープ、或いは、それらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記1つ又はそれ以上のフィラーが、非導電性カーボンブラック及び/又は導電性カーボンブラックを、組成物が非導電性であるような量で含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記1つ又はそれ以上の導電性カーボンブラックが、組成物の重量に基づいて約10重量パーセント〜約18重量パーセントの量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記1つ又はそれ以上のフィラーが1つ又はそれ以上の粘土を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記1つ又はそれ以上の粘土フィラーが、組成物の重量に基づいて約10重量パーセント〜約30重量パーセントの量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記1つ又はそれ以上のフィラーが1つ又はそれ以上のカーボンブラック及び1つ又はそれ以上の粘土を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
23℃で固体である1つ又はそれ以上のイソシアナート官能性ポリエステル系プレポリマーをさらに含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記1つ又はそれ以上のイソシアナート官能性ポリエステル系プレポリマーが、組成物の重量に基づいて約1重量パーセント〜約4重量パーセントの量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記1つ又はそれ以上のフィラーがさらに、1つ又はそれ以上の非着色フィラーを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記1つ又はそれ以上の非着色フィラーが、組成物の重量に基づいて約3重量パーセント〜約15重量パーセントの量で存在する、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記1つ又はそれ以上のフィラーがさらに、1つ又はそれ以上のチキソトロープを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記1つ又はそれ以上のチキソトロープが、組成物の重量に基づいて約0.1重量パーセント〜約3重量パーセントの量で存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記触媒が、1つ又はそれ以上の有機金属化合物、1つ又はそれ以上のアミン、或いは、それらの混合物を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ポリイソシアナートをさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
2つ以上の基体を互いに接合する方法であって、前記2つ以上の基体を、前記基体が接触している領域の少なくとも一部分に沿って配置される請求項1から18のいずれか一項に記載される組成物とともに接触させることを含む、方法。
【請求項18】
前記基体の少なくとも1つが窓ガラスである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
他方の基体の少なくとも1つが建物又は車輌である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
車輌の窓を取り換える方法であって、
i)前記窓を前記車輌から取り除くこと;
ii)請求項1から16のいずれか一項に記載される組成物を、取り換え窓に、又は、前記窓を前記車輌に保持するために適合化される前記車輌のフランジに塗布すること;
iii)前記車輌の前記フランジ及び前記取り換え窓を、前記取り換え窓と、前記車輌の前記フランジとの間に配置される前記組成物と接触させること;及び
iv)前記接着剤を硬化させること
を含む、方法。

【公表番号】特表2012−510556(P2012−510556A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539527(P2011−539527)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/035278
【国際公開番号】WO2010/074768
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】