説明

近似式算出装置及びその方法、並びに、放電可能容量推定装置

【課題】放電特性に基づいて推定した大電流に対する放電持続時間が0以下であっても、任意の放電電流と放電持続時間との関係式における未知定数を決定することができる定数決定装置及びその方法、並びに、当該定数決定装置を用いた放電可能容量推定装置を提供する。
【解決手段】CPU23aは、バッテリ13の放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの大小2電流I1、I2それぞれに対応する放電持続時間t1、t2を推定し、大小2電流及び推定した大小2電流に対応する放電持続時間をポイケルトの式(In・t=C)に代入して、未知定数n、Cを決定する。CPU23aはまた、大電流に対応する放電持続時間が0以下であった場合、所定の正値を大電流に対応する放電持続時間の代わりに、関係式に代入して、未知定数n、Cを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近似式算出装置及びその方法、並びに、バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める装置及びその方法、並びに、当該装置を用いた放電可能容量推定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、バッテリの任意の放電電流Iと当該任意の放電電流Iを持続できる放電持続時間tとの関係を示すグラフである。同図からも明らかなように、放電電流Iが増加するに従って放電持続時間tは指数関数的に減少する。このような任意の放電電流Iと放電持続時間tとの関係は、下記式(1)に示すポイケルトの式(=関係式)で正確に近似できることが開示されている(特許文献1)。
n・t=C …(1)
【0003】
式中のn(=第1定数)は放電電流によって放電持続時間が変わる程度を示す目安であり、nが大きい程、放電電流Iの増加に対する放電持続時間tの低下が大きくなる。通常の鉛バッテリではnは1.1〜1.4程度である。C(=第2定数)はバッテリの放電可能容量の大小の目安となるものであり、放電可能容量が大きいほど、つまりCが大きい程、放電持続時間tが長くなる。
【0004】
これら定数n、Cが求まれば、任意の放電電流Iに対する放電持続時間tを求めることができ、任意の放電電流Iと求めた放電持続時間tとの積によって放電可能容量(Ah)を知ることができる。上述した定数n、Cは、放電電流Iと、その放電電流Iを持続できる放電持続時間tとから成るデータ対(I、t)を少なくとも2つ以上求めることができれば、上記式(1)に示すポイケルトの式にデータ対(I、t)を代入したり、2つ以上のデータ対(I、t)を最小二乗法を用いて近似したりして、定数n、Cを求めることができる。
【0005】
そこで、特許文献1には、バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧のデータ対から得た放電特性に基づいて、特定の大小2電流I1、I2に対応する放電持続時間t1、t2を推定し、これによって求めたデータ対(I1、t1)、(I2、t2)をポイケルトの式に代入して、定数n、Cを求めることが記載されている。上述した大小2電流としては、放電における最大電流と該最大電流の100分の1程度の小電流としている。
【0006】
なお、特定の大小2電流I1、I2に対応する放電持続時間t1、t2の推定は以下のようにして行われている。まず、バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧のデータ対から得た放電特性に基づいて、バッテリの内部抵抗に大小2放電電流I1、I2を流した時に発生する電圧降下を推定する。そして、バッテリの充電容量から上記電圧降下により放電できない容量と放電終止時に残しておく必要のある容量とを差し引いて、大小2放電電流に対する放電可能容量X1、X2を推定し、推定した放電可能容量X1、X2を2電流I1、I2で除した値を放電持続時間t1、t2として推定している。
【特許文献1】特開2004−301784公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の放電可能容量推定装置では、推定した大電流に対する放電可能容量が0又は0より小さい値であった場合、この放電可能容量を大電流で除して求めた放電持続時間も0又は0より小さい値となってしまう。このように、推定した2つ以上のデータ対(I、t)中に放電持続時間tが0又は0以下のものが含まれていると、これらデータ対(I、t)を近似してポイケルトの式を求めることができない。
【0008】
これは、例えば、推定したデータ対が(I1、0)、(I2、t2)であった場合、図12に示すように、この2つのデータ対(I1、0)、(I2、t2)を通る曲線L1をポイケルトの式によって近似する必要がある。しかしながら、上述したポイケルトの式は式(1)からも明らかなように、曲線L1に示すような放電電流Iが0より大きい領域で放電持続時間t=0以下を通るような曲線を表すことができない。別の言い方をすると、2つ以上のデータ対(I、t)から定数n、Cを求める式が対数となり、答えを出すことができない。
【0009】
そこで、推定した2つ以上のデータ対(I、t)のうち、放電持続時間が0以下のものを除いたデータ対をポイケルトの式で近似することが考えられる。しかしながら、図12に示す例のように、放電持続時間が0以下のデータ対(I1、0)を除いた結果、データ対が(I1、t1)の1つになってしまう場合、この1つのデータ対からはポイケルトの式を求めることができない。このため、例えば、図12に示すように、求めたい放電電流I(<I1)における放電持続時間が0でなく、放電可能容量も0でないにも拘わらず、放電可能容量を推定することができないという問題も生じる。
【0010】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、放電特性に基づいて推定した2つ以上の放電電流、放電持続時間から成るデータ対のうち、放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかない場合であっても、任意の放電電流と放電持続時間との関係をポイケルトの式(=関係式)によって近似することができる近似式算出装置及びその方法、並びに、当該近似式算出装置を用いた放電可能容量推定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める装置であって、前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電持続時間を推定する特定放電持続時間推定手段と、前記特定の大きさの放電電流及び当該特定の大きさの放電電流に対応して前記推定された放電持続時間から成る複数のデータ対を前記関係式で近似した近似式を求める近似式算出手段とを備え、前記近似式算出手段は、前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、前記放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、前記放電持続時間が0以下のデータ対を構成する放電電流のうちの最小放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いて前記近似式を求めることを特徴とする近似式算出装置に存する。
【0012】
請求項4記載の発明は、バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める方法であって、前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電持続時間を推定し、前記特定の大きさの放電電流及び当該特定の大きさの放電電流に対応して前記推定された放電持続時間から成る複数のデータ対を前記関係式で近似した近似式を求め、前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、前記放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、前記放電持続時間が0以下のデータ対を構成する放電電流のうちの最小放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いて前記近似式を求めることを特徴とする近似式算出方法に存する。
【0013】
請求項1及び4記載の発明によれば、バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電持続時間を推定する。特定の大きさの放電電流及び当該特定の大きさの放電電流に対応して推定された放電持続時間から成る複数のデータ対を、放電電流の第1定数乗と放電持続時間との積が第2定数となることを表す関係式で近似して近似式を求める。また、複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、放電持続時間が0以下のデータ対を構成する放電電流のうちの最小放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いて上記関係式で近似して近似式を求める。従って、放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかない場合であっても、放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、放電持続時間が0以下のデータ対を構成する放電電流のうちの最小放電電流及び例えば限りなく0に近い所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いることができ、正確に上記関係式で近似した近似式を求めることができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める装置であって、前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電持続時間を推定する特定放電持続時間推定手段と、前記特定の大きさの放電電流及び当該特定の大きさの放電電流に対応して前記推定された放電持続時間から成る複数のデータ対を関数式で近似して前記近似式を求める近似式算出手段とを備え、前記近似式算出手段は、前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、前記放電持続時間が0となる放電電流を推定し、前記放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、前記推定した放電持続時間が0となる放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いて前記近似式を求めることを特徴とする近似式算出装置に存する。
【0015】
請求項5記載の発明は、バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める方法であって、前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電持続時間を推定し、前記特定の大きさの放電電流及び当該特定の大きさの放電電流に対応して前記推定された放電持続時間から成る複数のデータ対を関数式で近似して前記近似式を求め、前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、前記放電持続時間が0となる放電電流を推定し、前記放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、前記推定した放電持続時間が0となる放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いて前記近似式を求めることを特徴とする近似式算出方法に存する。
【0016】
請求項2及び5記載の発明によれば、バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電持続時間を推定する。特定の大きさの放電電流及び当該特定の大きさの放電電流に対応して推定された放電持続時間から成る複数のデータ対を、放電電流の第1定数乗と放電持続時間との積が第2定数となることを表す関係式で近似して近似式を求める。また、複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、放電持続時間が0となる放電電流を推定し、放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、推定した放電持続時間が0となる放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いて近似式を求める。従って、放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかない場合であっても、放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、推定した放電持続時間が0となる放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いることができ、正確に上記関係式で近似した近似式を求めることができる。
【0017】
請求項3記載の発明は、バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める装置であって、前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電可能容量を推定し、前記特定の大きさの放電電流及び該放電電流に対応して推定された放電可能容量から成る複数の放電可能容量データ対を求める特定放電可能容量推定手段と、前記複数の放電可能容量データ対から、前記特定の大きさの放電電流及び該放電電流に対応して前記推定された放電可能容量を前記放電電流で除して求めた放電持続時間とから成る放電持続時間データ対を求め、該求めた放電持続時間データ対を前記関数式で近似した前記近似式を求める近似式算出手段とを備え、前記近似式算出手段は、前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、所定の正の放電可能容量と前記放電可能容量データ対を構成する放電可能容量の何れか一つとの容量差分を求め、前記複数の放電可能容量データ対の代わりに、前記複数の放電可能容量データ対を構成する放電可能容量の各々に前記容量差分を加算して得た複数の加算放電可能容量データ対のうち前記放電可能容量が0よりも大きい加算放電可能容量データ対から、前記放電持続時間データ対を求めることを特徴とする近似式算出装置に存する。
【0018】
請求項6記載の発明は、バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める方法であって、前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電可能容量を推定し、前記特定の大きさの放電電流及び該放電電流に対応して推定された放電可能容量から成る複数の放電可能容量データ対を求め、前記複数の放電可能容量データ対から、前記特定の大きさの放電電流及び該放電電流に対応して前記推定された放電可能容量を前記放電電流で除して求めた放電持続時間とから成る放電持続時間データ対を求め、該求めた放電持続時間データ対を前記関数式で近似した前記近似式を求め、前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、所定の正の放電可能容量と前記放電可能容量データ対を構成する放電可能容量の何れか一つとの容量差分を求め、前記複数の放電可能容量データ対の代わりに、前記複数の放電可能容量データ対を構成する放電可能容量の各々に前記容量差分を加算して得た複数の加算放電可能容量データ対のうち前記放電可能容量が0よりも大きい加算放電可能容量データ対から、前記放電持続時間データ対を求めることを特徴とする近似式算出方法に存する。
【0019】
請求項3及び6記載の発明によれば、バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電可能容量を推定し、特定の大きさの放電電流及び該放電電流に対応して推定された放電可能容量から成る複数の放電可能容量データ対を求める。複数の放電可能容量データ対から、特定の大きさの放電電流及び該放電電流に対応して推定された放電可能容量を放電電流で除して求めた放電持続時間とから成る放電持続時間データ対を求め、該求めた放電持続時間データ対を関数式で近似した前記近似式を求める。
【0020】
また、複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、所定の正の放電可能容量と放電可能容量データ対を構成する放電可能容量の何れか一つとの容量差分を求め、複数の放電可能容量データ対の代わりに、複数の放電可能容量データ対を構成する放電可能容量の各々に容量差分を加算して得た複数の加算放電可能容量データ対のうち放電可能容量が0よりも大きい加算放電可能容量データ対から、放電持続時間データ対を求める。従って、放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかない場合であっても、容量加算して得た放電持続時間データ対には、放電持続時間が0より大きいデータ対が少なくとも2つ以上ある。このため、放電持続時間データのうち放電持続時間が0より大きい少なくとも2つ以上の加算データを用いて、近似式を求めることができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1、2又は3記載の近似式算出装置と、前記近似式算出手段によって算出された近似式を用いて、任意の放電電流に対する放電持続時間を求め、前記任意の放電電流と前記求めた放電持続時間とを乗じた値から、前記バッテリの放電可能な容量を推定する放電可能容量推定手段とを備えたことを特徴とする放電可能容量推定装置に存する。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、放電可能容量推定手段は、請求項1、2又は3記載の近似式算出装置によって求めた近似式を用いて、任意の放電電流に対する放電持続時間を求め、任意の放電電流と求めた放電持続時間とを乗じた値から、バッテリの放電可能な容量を推定する。従って、複数のデータ対のうち、少なくとも放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかない場合であっても、近似式を求めて、任意の放電電流に対する放電可能容量を推定することができる。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の放電可能容量推定装置であって、前記放電可能容量推定手段は、前記特定放電持続時間推定手段が推定した複数放電電流に対する放電持続時間が全て0以下であった場合、任意の放電電流に対応する放電可能容量を0と推定することを特徴とする放電可能容量推定装置に存する。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、放電可能容量推定手段は、特定放電持続時間推定手段が推定した複数放電電流に対する放電持続時間が全て0以下であった場合、任意の放電電流に対応する放電可能容量を0と推定する。従って、近似式を算出しなくても、正確な放電可能容量を推定することができる。
【0025】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の放電可能容量推定装置であって、前記放電可能容量推定手段は、前記複数のデータ対のうち、放電持続時間が0以下のデータが少なくとも一つあったとき、前記放電持続時間が0となる放電電流を推定し、前記任意の放電電流が前記推定した放電持続時間が0となる放電電流以上の場合、前記任意の放電電流に対応する放電可能容量を0と推定することを特徴とする放電可能容量推定装置に存する。
【0026】
請求項9記載の発明によれば、放電可能容量推定手段は、複数のデータ対のうち、放電持続時間が0以下のデータが少なくとも一つあったとき、放電持続時間が0となる放電電流を推定し、任意の放電電流が推定した放電持続時間が0となる放電電流以上の場合、任意の放電電流に対応する放電可能容量を0と推定する。従って、任意の放電電流の大きさに応じた正確な放電可能容量を推定することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように請求項1及び4記載の発明によれば、放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかない場合であっても、放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、放電持続時間が0以下のデータ対を構成する放電電流のうちの最小放電電流及び例えば限りなく0に近い所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いることにより、正確に放電電流の第1定数乗と放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める。
【0028】
請求項2及び5記載の発明によれば、放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかない場合であっても、放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、推定した放電持続時間が0となる放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いることにより、正確に放電電流の第1定数乗と放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求めることができる。
【0029】
請求項3及び6記載の発明によれば、放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかない場合であっても、容量加算して得た放電持続時間データ対には、放電持続時間が0より大きいデータ対が少なくとも2つ以上ある。このため、放電持続時間データのうち放電持続時間が0より大きい少なくとも2つ以上の加算データを用いて、正確に放電電流の第1定数乗と放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める。
【0030】
請求項7記載の発明によれば、複数のデータ対のうち、少なくとも放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかない場合であっても、近似式を求めて、任意の放電電流に対する放電可能容量を推定することができるので、正確に求めたい任意の放電電流に対する放電可能容量を推定することができる。
【0031】
請求項8記載の発明によれば、近似式を算出しなくても、正確な放電可能容量を推定することができる。
【0032】
請求項9記載の発明によれば、任意の放電電流の大きさに応じた正確な放電可能容量を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
第1実施形態
以下、本発明によるバッテリの近似式算出装置及びその方法、並びに、放電可能容量推定装置を図面に基づいて説明する。まず最初に、本発明の近似式算出方法を用いた放電可能容量推定装置の基本的な考え方を、図1〜図4を参照して説明する。
【0034】
一般に、バッテリの放電持続時間(使用寿命)はその放電電流や温度によって変化する他、バッテリの電解液比重によっても変化するが、放電電流と放電持続時間との関係がポイケルトの式で近似できることが知られている。
【0035】
ポイケルトの式は次式(1)のように表される。
n・t=C …(1)
式中、Iは放電電流、tは放電電流Iでの放電を持続できる時間である放電持続時間、nとCは放電データから決定される未知定数である。このポイケルトの式によれば、放電電流Iのn乗と放電持続時間tとの積は一定値Cとなる。つまり、nは放電電流によって放電持続時間が変わる程度を示す目安と言え、nが大きい程、放電電流Iの増加に対する放電持続時間tの低下が大きくなる。通常の鉛バッテリではnは1.1〜1.4程度である。Cはバッテリの放電可能容量の大小の目安となるものと言え、放電可能容量が大きいほど、つまりCが大きい程、放電持続時間tが長くなる。以上のことから明らかなように、nが請求項中の第1定数、Cが請求項中の第2定数に相当する。
【0036】
式(1)の未知の定数n、Cが求まれば、任意の放電電流Iに対する放電持続時間tを求めることができ、任意の放電電流Iと求めた放電持続時間tとの積によって放電可能容量(Ah)を知ることができる。
【0037】
少なくとも2つの放電電流I1、I2と該放電電流に対応する放電持続時間t1、t2との関係が明らかなときには、これら2つのデータ対(I1、t1)、(I2、t2)をポイケルトの式で近似して、放電電流Iと放電持続時間tとの関係を近似したポイケルトの式を求めることができる。上述したポイケルトの式を求める方法のとして、例えば、式(1)に示すポイケルトの式にデータ対(I1、t1)、(I2、t2)を代入して定数n、Cを求める方法と、データ対(I1、t1)(I2、t2)を最小二乗法を用いて近似する方法とがある。
【0038】
まず、式(1)に示すポイケルトの式にデータ対(I1、t1)、(I2、t2)を代入して定数n、Cを求める方法について説明する。上記式(1)は次式(2)のように書き直すことができる。
logt=−nlogI+C′ …(2)
ここで、C′=logCである。
【0039】
今、上記放電電流I1、I2と該放電電流に対する放電持続時間t1、t2を式(2)を代入すると、次の2式が生成できる。
logt1=−nlogI1+C′
logt2=−nlogI2+C′
この2つの式の両辺の差をとると、次式が得られる。
logt1−logt2=−nlogI1+nlogI2
この式を書き直すと、次式が得られる。
log(t1/t2)=nlog(I2/I1)
n=log(t1/t2)/log(I2/I1) …(3)
C=I1n・t1=I2n・t2 …(4)
【0040】
また、上述した方法では、2つのデータ対を近似する場合にしか使えないが、後述する最小二乗法を用いれば、3つ以上のデータ対もポイケルトの式で近似することができる。詳しく述べると、m個の放電電流I1…Imとこの放電電流I1…Imに対応する放電持続時間t1…tmとの関係が明らかなときには、これらm個のデータ対(I1、t1)…(Im、tm)を下記に示す式に代入して、定数n、Cを決定する。
【数1】

このように定数n、Cが決定されたポイケルトの式を、放電電流Iと放電持続時間tとの関係を示す近似式として得ることができる。
【0041】
また、バッテリが実際に負荷に放出できる放電可能容量(Ah)は、バッテリの開回路電圧に相当する充電容量(電流時間積)から、放電終止時に残しておく必要のある容量と、放電中にバッテリの内部で発生する電圧降下に相当する容量、すなわち、電圧降下により放電できない容量とを差し引いた、残りの容量とも言える。バッテリの端子電圧は、バッテリの充電状態を反映した電圧値を示し、その内部状態、すなわち、平衡状態にあるときと不平衡状態にあるときで異なるだけでなく、バッテリから放電電流が流れることによって、バッテリ内部に発生する電圧降下を反映した値を取ることも知られている。そこで、高率放電時に計測した放電電流及び端子電圧のデータ対から上述した2放電電流I1、I2に対応する放電可能容量X1、X2を推定し、推定した放電可能容量X1、X2を2放電電流I1、I2それぞれで除することにより放電持続時間t1、t2を推定することができる。この推定方法について以下説明する。
【0042】
例えば、車載バッテリでは、エンジンの始動の際にスタータモータを通じて放電が行われるが、このとき、突入電流と一般に呼ばれる、定常電流値と比べて非常に大きな値の最大電流値まで短時間に増大し最大電流値から定常電流値まで短時間に減少する放電電流が流れる。一般に、このような放電電流を高率放電と呼ぶが、この高率放電時の放電電流とバッテリ端子電圧を高速サンプリングによって測定して得たデータ対について例えば最小二乗法を用いた近似処理を施し二次近似曲線を求め、横軸を放電電流、縦軸を端子電圧とするグラフにプロットすると、図1に示すような放電電流−端子電圧の関係を示す特性曲線が描かれる。
【0043】
二次近似特性曲線のうち電流増加方向についての特性曲線に現れる放電電流の増大に伴う端子電圧の低下要因には、バッテリの内部抵抗による各種の電圧降下が含まれているが、放電電流の最大電流(ピーク電流)Ipの電流軸に着目して電圧降下の内訳を検討し、最大電流Ipと小電流I0の2電流での放電可能容量の求め方の説明を行う。
【0044】
先ず、最大電流Ipでの電圧降下には、バッテリのそのときの充電状態における内部純抵抗Rj(オーミック抵抗)を最大電流Ipが流れることによる電圧降下(Rj×Ip)が含まれている。なお、この内部純抵抗Rjは、例えば上述した高率放電時にサンプリングによって得たデータ対によって得られる2つの二次近似曲線(放電電流増加時と放電電流減少時との2つ)を解析することによって推定することができるが、ここではその具体的な方法の詳細な説明は省略する。
【0045】
次に、純抵抗による電圧降下(Rj×Ip)以外の電圧降下は、バッテリ内に発生する分極による電圧降下である。したがって、放電電流−端子電圧の二次近似特性曲線から純抵抗による電圧降下分を除去することによって、放電電流に対する分極電圧降下の二次近似特性曲線を得ることができる。
【0046】
なお、ダヴィット・リンデン著の「最新電池ハンドブック」P10図2.1「作動電流の関数としてのセル」によれば、分極はある程度大きな放電電流を流したとき、その大きさに応じた一定値に飽和する飽和分極電圧降下が存在するといえる。
【0047】
そこで、分極電圧降下の二次近似特性曲線の最大電圧降下を最大電流Ipにおける飽和分極電圧降下Vpipとする。また、最大電流Ipにおける飽和分極電圧降下Vpipをその点の電流値Ipol(図2参照)によって除算し単位放電電流当たりの分極電圧降下を求めた上で、これに高率放電時の小電流を乗じることによって、小電流における最大の分極電圧降下である飽和分極電圧降下を求めることができる。この飽和分極電圧降下の具体的な求め方については、分極電圧降下の二次近似特性曲線の求め方とともに後述する。
【0048】
そこで、最大電流Ipでの放電を持続したときにバッテリ内部に発生する最大の電圧降下については、現時点での内部純抵抗Rjによる電圧降下(Rj×Ip)に、最大電流Ipにおける飽和分極電圧降下Vpipを加算したものを総電圧降下Vmaxとして推定する。このような電圧降下がバッテリ内に発生することによって、この電圧降下分放電可能な電気量が減少することになる。
【0049】
一方、放電開始前の端子電圧からバッテリの現開回路電圧OCVnを推測又は実測して求める。現開回路電圧OCVnはバッテリに現在、蓄積されている電気量、つまり充電容量に対応する電圧である。従って、現開回路電圧OCVnから、上述した総電圧降下Vmaxと放電終止時電圧Veとを差し引いた、残りの電圧は放電可能容量(Ah)に応じた電圧といえる。そこで、以下の式を用いて、ADC率(%)を求める。
ADC率={(OCVn−Vmax−Ve)/(Vf−Ve)}×100% …(7)
但し、上式においてVfは新品時の満充電電圧であり、Veは新品時の放電終止電圧であり、何れもバッテリの設計値から求めることができる。
【0050】
さらに、上記求めたADC率(%)に満充電電圧Vfに対応する電気量SOCfと放電終止電圧Veに対応する電気量SOCeとの差(ΔSOC)を乗じて求めたものを、高率放電時の最大電流Ipで放電し続けたときに放電可能な電気量(ADCip(Ah))として推定する。
ADCip=ADC率×ΔSOC …(8)
上述したSOCf、SOCeもバッテリの設計値から求めることができる。
【0051】
また、最大電流Ip以下の大きさの複数の放電電流について、上述した小電流の場合と同様の方法で(飽和分極電圧をVpip/Ipol・Iで算出する方法)、放電可能容量を推定し、プロットして見たところ、図3にAで示すような直線が得られた。これを実測した各放電電流と放電可能な電気量との関係を示す曲線Bと比較して見ると、最大電流Ipとこれに比べて十分に小さい、例えば、100分の1以下の小電流I0とにおいて、推定値と実測値が非常に近似していることが確認できた。
【0052】
そこで、高率放電時の最大電流Ipと、実験的に実測値との一致度合が高い比較的小さな予め定めた小電流I0とを、上述した2電流I1、I2とし、各電流について上述のようにして推定した放電可能容量X1、X2を求め、この求めた放電可能容量X1、X2をI1、I2で割って放電持続時間t1(=X1/I1)、t2(=X2/I2)を求め、これにより得た2つのデータ対(I1、t1)、(I2、t2)をポイケルトの式で近似する。同図には、この決定によって得られた曲線Cも一緒にプロットしているが、最小電流から最大電流まで広い範囲での放電電流に対して放電可能容量の推定曲線Cと実測曲線Bが非常に近似していることが確認された。従って、この電流を2電流のうちの小電流として予め定めておく。
【0053】
なお、上述した分極電圧降下の二次近似特性曲線は、電流増大時の放電電流−端子電圧の二次近似特性曲線から純抵抗Rjによる電圧降下分を除去することによって得られ、図2に示すように、得られた分極電圧降下の二次近似特性曲線を
V=aI2+bI+c
とする。このバッテリの端子電圧Vは、バッテリの純抵抗Rj以外の内部抵抗による電圧降下Voを表したものである。
【0054】
この式から、単位電流当たりの純抵抗以外の内部抵抗による電圧降下ΔV/ΔIを求めるため微分すると、次式が得られる。
ΔV/ΔI=2aI+b
【0055】
この式のΔV/ΔIが零になった点が、上記近似曲線の最大値であるので、
0=2aI+b
なる式が得られ、この式を整理すると、
I=−b/2a
となる。
【0056】
したがって、この電流値Iを分極電圧降下の二次近似特性曲線を表す近似式に代入することによって、最大電流Ipにおける最大の分極電圧降下である飽和分極電圧降下(Vpip)を求めることができる。
【0057】
なお、何等かの分極が残っている非平衡状態から放電が開始した場合、放電開始時点において推定した平衡状態の開回路電圧OCVと端子電圧の差に相当する電圧は、上述したようにして近似式から求めた最大電流Ipにおける分極電圧降下に含まれていないので、近似式から求めた最大電流での飽和分極電圧降下(Vpip)に加算したものを飽和分極電圧降下とする必要がある。
【0058】
これに対し、小電流での飽和分極電圧降下については、最大電流Ipにおける最大の分極電圧降下である飽和分極電圧降下(Vpip)をその点の電流値によって除算し単位放電電流当たりの分極電圧降下を求め、これに高率放電時の小電流値を乗じることによって、小電流における最大の分極電圧降下である飽和分極電圧降下を求めることができる。
【0059】
なお、何等かの分極が残っている非平衡状態から放電が開始した場合には、最大電流の場合と同様に、放電開始時点において推定した平衡状態の開回路電圧OCVと端子電圧の差に相当する電圧を、小電流での飽和分極電圧降下に加算したものを飽和分極電圧降下とする必要がある。
【0060】
ところで、上述した最大電流Ipに対応する放電可能容量を推定した結果、図4に示すように、最大電流Ipに対応する放電可能容量が0(Ah)以下となり、放電持続時間が0(s)以下となることがある。上述した従来で説明したように、ポイケルトの式では、曲線L1で示すような放電電流Iが0より大きい領域で放電持続時間t=0以下を通るような関係を近似することができない。しかも、この場合、放電持続時間が0より大きいデータ対が(I0、t0)の一つしかなく、この1つのデータ対(I0、t0)からはポイケルトの式を求めることができない。
【0061】
そこで、図4に示すように、放電持続時間が0(s)、つまり放電可能容量が0(Ah)に対応する放電電流Iαを推定する。この放電電流Iαに対応する放電可能容量は0(Ah)となるが、これを式(3)及び(4)又は(5)及び(6)に代入しても定数n、Cを求めることができないので、本実施形態では、予め定めた0に限りなく近い正値Xαを放電可能容量として放電持続時間t(=Xα/Iα)を求め、これらデータ対(Iα、Xα/Iα)を、データ対(Ip、tp)の代わりに、式(3)及び(4)または式(5)及び(6)に代入して定数n、Cを求める。このことから明らかなように、Xα/Iαが請求項中の所定の正の放電持続時間に相当する。
【0062】
図4中、曲線L21はデータ対(I0、t0)、(Iα、Xα/Iα)から求めたポイケルトの式を表す曲線である。同図に示すように、Xα/Iα、つまり放電可能容量Xαとしては、0に近ければ近いほど、曲線L21が曲線L1に近づき、高精度となるが、計算上の都合、例えば0.01(Ah)とすることが考えられる。また、小電流I0に対応する放電可能容量の例えば100分の1を放電可能容量Xαとすることも考えられる。
【0063】
次に、放電電流Iαの推定方法について説明する。放電可能容量が0となる放電電流Iαとは、上述した式(7)のADC率が0となる放電電流であり、下記の式(9)が得られる。
OCVn−Vmax(=Rj×Iα+Vpip)−Ve=0 …(9)
OCVn−Rj×Iα−Vpip−Ve=0
Iα=(OCVn−Vpip−Ve)/Rj
【0064】
図5は本発明のバッテリの定数決定方法を適用した本発明の一実施形態に係る車載バッテリの放電可能容量推定装置の概略構成を一部ブロックにて示す説明図であり、図中符号1で示す本実施形態の装置は、エンジン3に加えてモータジェネレータ5を有するハイブリッド車両に搭載されている。
【0065】
そして、このハイブリッド車両は、通常時はエンジン3の出力のみをドライブシャフト7からディファレンシャルケース9を介して車輪11に伝達して走行させ、高負荷時には、バッテリ13からの電力によりモータジェネレータ5をモータとして機能させて、エンジン3の出力に加えてモータジェネレータ5の出力をドライブシャフト7から車輪11に伝達し、アシスト走行を行わせるように構成されている。
【0066】
また、このハイブリッド車両は、減速時や制動時にモータジェネレータ5をジェネレータ(発電機)として機能させ、運動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリ13を充電させるように構成されている。
【0067】
なお、車両の場合、イグニッションスイッチ又はアクセサリ(ACC)スイッチがオンされることによって、そのときオン状態にある負荷への電源供給に伴い、バッテリの放電電流が流れる。モータジェネレータ5はさらに、図示しないスタータスイッチのオンに伴うエンジン3の始動時に、エンジン3のフライホイールを強制的に回転させるスタータモータとして用いられるが、その場合にモータジェネレータ5には、短時間に大きな突入電流が流される。スタータスイッチのオンによりモータジェネレータ5によってエンジン3が始動されると、イグニッションキー(図示せず。)の操作解除に伴って、スタータスイッチがオフになってイグニッションスイッチのオン状態に移行し、これに伴ってバッテリ13から流れる放電電流は、負荷に応じた定常電流に移行する。
【0068】
話を構成の説明に戻すと、本実施形態の装置1は、アシスト走行用のモータやスタータモータとして機能するモータジェネレータ5等、電装品に対するバッテリ13の放電電流Iや、ジェネレータとして機能するモータジェネレータ5からのバッテリ13に対する充電電流を検出する電流センサ15と、バッテリ13に並列接続した1Mオーム程度の抵抗値を有し、バッテリ13の端子電圧Vを検出する電圧センサ17とを備えている。
【0069】
また、本実施形態の装置1は、上述した電流センサ15及び電圧センサ17の出力がインタフェース回路(以下、「I/F」と略記する。)21におけるA/D変換後に取り込まれるマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略記する。)23をさらに備えている。
【0070】
そして、前記マイコン23は、CPU23a、RAM23b、及び、ROM23cを有しており、このうち、CPU23aには、RAM23b及びROM23cの他、前記I/F21が接続されており、また、上述した図示しないスタータスイッチ、イグニッションスイッチやアクセサリスイッチ、モータジェネレータ5以外の電装品(負荷)のスイッチ等が、さらに接続されている。
【0071】
前記RAM23bは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、前記ROM23cには、CPU23aに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されている。
【0072】
なお、上述した電流センサ15及び電圧センサ17の出力である電流値及び電圧値は、短い周期で高速にサンプリングされてI/F21を介して、マイコン23のCPU23aに取り込まれ、取り込まれた電流値及び電圧値は、各種の処理のために使用される。
【0073】
次に、前記ROM23cに格納された制御プログラムに従いCPU23aが行う処理を、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0074】
イグニッション(IG)スイッチがオンされバッテリ13からの給電を受けてマイコン23が起動しプログラムがスタートすると、CPU23aは、比較的長いサンプリング周期での放電電流及び端子電圧のサンプリングを開始し(ステップS1)、電流センサ15の検出したバッテリ13の放電電流Iと電圧センサ17の検出したバッテリ13の端子電圧VとのA/D変換値を対にしてI/F21を介して測定データを読み込む処理を実行して放電電流が予め定めた所定値を越えるのを監視する。放電電流が所定値を越えたときには、突入電流が流れ始めたと判断し、サンプリング周期を例えば100μsecの短い周期に切り替えて近似式を求めるための処理に入る(ステップS2)。放電電流の最大電流(ピーク電流)を検出する近似式を求めるための処理の途中で行われる。
【0075】
なお、近似式を求める処理は、最小二乗法が用いられ、サンプリングした放電電流と端子電圧とに基づいて、電流増加時の近似式を求めるための各Σ項の演算を行い、サンプリング値が連続してn回減少しているとき、放電電流がピーク値から減少に転じていると判断し、以後、サンプリングした放電電流と端子電圧とに基づいて、電流減少時の近似式を求めるための各Σ項の演算を行う。その後に、放電電流が予め定めた所定値を越えて減少するかどうかを監視し、放電電流が所定値を越えて減少したとき、突入電流が終了したと判断して近似式を求めるための処理を終了し(ステップS3)、演算した電流増加時の各Σ項を用いて電流増加時の近似式を、演算した電流減少時の各Σ項を用いて電流減少時の近似式をそれぞれ求める(ステップS4)。
【0076】
なお、図6のフローチャートには明記していないが、求めた近似式が有効なものであるかどうかの判定を行うことが当然に必要であり、この判定は、近似式の各係数を決定するための各Σ項の演算結果を利用して求めることができる電流増加時と電流減少時の相関係数と、ピーク電流の大きさとを予め定めた値と比較することによって行うことができる。特に、2つの所定値を設けることによって、誤差要因を取り除くことができる。
【0077】
上述のようにして求まった二次近似式からバッテリの純抵抗を求めるための演算処理を実行する(ステップS5)。この演算処理においては、二次式に濃度分極成分による電圧降下が含まれている場合、この濃度分極電圧降下を除いた修正二次近似式を求める修正二次近似式算出処理を行い、この修正二次近似式を用いてバッテリの純抵抗を求めるための演算処理を実行することになり、この場合には、増加する放電電流及び減少する放電電流に対する電流−電圧特性の2つの修正二次近似式のピーク値での微分値を算出した上で、2つの微分値の中間の値をバッテリの純抵抗として求める演算を行う。そして、この求めたバッテリの純抵抗は種々の目的で使用するため、RAM23bのデータエリアに格納されて記憶される。
【0078】
この微分値の中間の値を求める方法としては、突入電流の流れ方によって2つの方法がある。突入電流の増加方向の時間と減少方向の時間とがほぼ等しいときには、2つの微分値の加算平均値を純抵抗Rjとして求める演算を行う。
【0079】
これに対して、突入電流の増加方向の時間と減少方向の時間とが大きく異なるときには、増加する放電電流に対する電流−電圧特性の修正二次近似式のピーク値での微分値に、放電電流の総時間に占める増加する放電電流の流れた時間の比率を乗じたものと、減少する放電電流に対する電流−電圧特性の2つの修正二次近似式のピーク値での微分値に、放電電流の総時間に占める減少する放電電流の流れた時間の比率を乗じたものとを加算した加算値を純抵抗として求める演算を行う。いずれの方法で純抵抗を求めた場合にも、バッテリの純抵抗Rjは2つの微分値の中間の値として求められる。
【0080】
また、上述した例では、第1及び第2の近似式が共に二次近似式としているが、第1の近似式が一次近似式であるときには、修正近似式を求める処理は当然に不要になる。そして、この場合には、一次式の傾きを微分値に代えて利用することになる。
【0081】
次に、ステップS4において算出した、電流増加時の近似式から純抵抗による電圧降下分Rj×Iを削除し、電流増加時の純抵抗以外の要因による電圧降下の近似式、すなわち、電流増加時の分極近似式(V=aI2+bI+c)を求め、求めた分極近似式の最大点での電圧降下量を、最大電流Ip時の飽和分極電圧降下Vpipとして求める(ステップS6)。
【0082】
少電流I0での放電を持続したときにバッテリ内部に発生する最大の電圧降下Vmax=Rj×I0+Vpip/Ipol・I0とし、上述した式(7)及び(8)を用いて、小電流I0時の放電可能容量ADCi0を算出する(ステップS7)。次に、ステップS7で算出した放電可能容量ADCi0が0以下であれば(ステップS8でN)、任意の放電電流Iに対する放電可能容量を0として(ステップS9)、処理を終了する。これに対して、ステップS7で算出した放電可能容量ADCi0が0より大きければ(ステップS8でY)、少電流I0を放電電流I1とし、放電可能容量ADCi0を放電可能容量X1として、RAM23b内に格納して(ステップS10)、次に進む。
【0083】
次に、最大電流Ipでの放電を持続したときにバッテリ内部に発生する最大の総電圧降下Vmax=Rj×Ip+Vpipとし、上述した式(7)及び(8)を用いて、最大電流Ip時の放電可能容量ADCipを算出する(ステップS11)。次に、ステップS11で算出した放電可能容量ADCipが0より大きければ(ステップS12でY)、最大電流Ipを放電電流I2とし、放電可能容量ADCipを放電可能容量X2として、RAM23b内に格納して(ステップS13)、次のステップS14に進む。
【0084】
これに対してステップS11で算出した放電可能容量ADCipが0以下であれば(ステップS12でN)、上記式(9)を用いて、放電可能容量=0となる放電電流Iαを算出し(ステップS15)、算出した放電電流Iαを放電電流I2とし、0に限りなく近い正値Xαを放電可能容量X2として、RAM23b内に格納して(ステップS16)、次のステップS14に進む。
【0085】
次に、ステップS15又はS16とステップS13で求めた2放電電流I1、I2と、放電可能容量X1、X2を2放電電流I1、I2で除して求めた放電持続時間t1、t2とを式(3)及び(4)又は(5)及び(6)に代入して、未知定数n、Cを求めることにより、ポイケルトの式で表される近似式を決定する(ステップS14)。その後、ステップS14で決定したポイケルトの式を用いて、任意の放電電流Iに対する放電持続時間tを求め、任意の放電電流Iと放電持続時間tとの積を、任意の放電電流Iに対する放電可能容量として算出して(ステップS17)、処理を終了する。
【0086】
但し、放電可能容量ADCipが0以下であり、ステップS15及びS16を経由して、ステップS17に進んだ場合、このステップS17においてCPU23aは、求めたい任意の放電電流Iが放電電流Iα以上の場合、ポイケルトの式を用いずに、放電可能容量0と推定する。これに対して、求めたい任意の放電電流Iが放電電流Iαより小さい場合、ポイケルトの式を用いて、上述したように放電可能容量を算出する。以上の動作から明らかなように、CPU23aが、請求項中の特定放電持続時間推定手段、近似式算出手段、放電可能容量推定手段に相当する。
【0087】
上述した放電可能容量推定装置によれば、2つのデータ対(Ip、tp)、(I0、t0)のうち、放電持続時間が0より大きいデータ対が(I0、t0)の一つしかなくても、放電持続時間が0以下のデータ対(Ip、tp≦0)の代わりに、放電持続時間が0となる放電電流Iα及び所定の正の放電持続時間(Xα/Iα)から成るデータ対(Iα、、Xα/Iα)を用いてポイケルトの式で表された近似式を求めることができる。これにより、ポイケルトの式における未知定数n、Cを決定して、任意の放電電流Iに対する放電可能容量を推定することができる。
【0088】
また、上述した放電可能容量推定装置によれば、小電流I0に対するバッテリの放電可能容量ADCi0まで0以下であった場合(つまり、小電流I0に対応する放電持続時間が0以下)、言い換えると全てのデータ対の放電持続時間が0以下である場合、任意の放電電流Iに対応する放電可能容量を0と推定している。これにより、未知定数n、Cを決定しなくても正確な放電可能容量を推定することができる。
【0089】
さらに、上述した放電可能容量推定装置によれば、任意の放電電流Iが放電電流Iαより小さい場合、ステップS14で定数n、Cが決定されたポイケルトの式を用いて、任意の放電電流Iに対応するバッテリの放電可能な容量を推定し、任意の放電電流Iが放電電流Iα以上の場合、任意の放電電流Iに対応する放電可能容量を0と推定している。従って、任意の放電電流の大きさに応じた正確な放電可能容量を推定することができる。
【0090】
なお、上述した実施形態では、放電可能容量に相当する正値Xαを予め定め、この正値Xαを放電電流0のときの放電電流Iαで除した値Xα/Iαを所定の正の放電持続時間とし、データ対(Ip、tp≦0)の代わりに、データ対(Iα、Xα/Iα)を用いてポイケルトの式を求めていた。しかしながら、正の放電持続時間tαを予め定め、データ対(Ip、tp≦0)の代わりに、データ対(Iα、tα)を用いてポイケルトの式を求めても良い。
【0091】
また、上述した実施形態では、最大電流Ipに対応する放電可能容量ADCipが0以下である場合、(Ip、tp)の代わりに、(Iα、Xα/Iα)を用いてポイケルトの式における定数n、Cを決定していた。上述したようにIαは放電可能容量0のときの放電電流、Xαは予め定めた正値の放電可能容量、I0は小電流、ADCi0は小電流I0に対応する放電可能容量である。しかしながら、図7に示すように、例えば、tpが0若しくは限りなく0に近い負値であった場合、(Ip、tp)の代わりに、(Ip、tα(所定の正の放電持続時間)を代入して、ポイケルトの式を決定してもよい。ただし、ADCipが負値である程度大きい場合は上述した実施形態のように(Iα、Xα/Iα)を代入した方が正確に定数n、Cを求めることができる。
【0092】
図7中、曲線L22はデータ対(I0、t0)、(Ip、tα)から求めたポイケルトの式を表す曲線である。同図に示すように、この場合もtαは0に近い値であるほど、曲線L22が曲線L1に近づき、高精度にポイケルトの式で近似することができる。また、このようにデータ対(Ip、tp)の代わりに、データ対(Ip、tα)を用いてポイケルトの式を求める場合も、tp≦0であれば、上記式(9)を用いて、放電可能容量=0となる放電電流Iαを求め、求めた任意の放電電流Iが放電電流Iα以上の場合、ポイケルトの式を用いずに、放電可能容量0と推定することが考えられる。
【0093】
さらに、上述した実施形態では、式(9)を用いて、放電可能容量が0となる放電電流Iαを推定していた。しかしながら、放電電流Iαの推定方法は上述した実施形態に限ったものでなく、例えば、負値のADCipの絶対値が大きい程、最大電流Ipと放電電流Iαとの差が大きくなることに着目して、放電電流Iαを推定することも考えられる。
【0094】
第2実施形態
上述した実施形態では、2電流Ip、I0と、2電流Ip、I0に対する放電持続時間tp、t0との関係が明らかであるときのポイケルトの式の求め方を説明していた。しかし、3以上の電流I1…Imと、3以上の電流に対応する放電持続時間t1…tmとの関係が予め明らかであり、3つ以上のデータ対(I1、t1)…(Im、tm)(但しI1<I2…<Im)が得られるときは以下に示す方法でポイケルトの式を求めても良い。
【0095】
第2実施形態における放電可能容量推定装置の動作について、図8に示すCPU23aの処理手順を示すフローチャートを参照して以下説明する。まず、CPU23aは、カウント値nをリセットする(ステップS20)。次に、放電持続時間tnが0以下であるか否かを判断する(ステップS21)。放電持続時間tnが0よりも大きければ(ステップS21でN)、カウント値nが総データ対数mに達したか否かを判断する(ステップS22)。カウント値nが総データ対数mに達していなければ(ステップS22でN)、カウント値nをインクリメントして(ステップS23)、再びステップS21に戻る。
【0096】
一方、カウント値nが総データ対数mに達していれば(ステップS22でY)、データ対(I1、t1)…(Im、tm)を構成する放電持続時間は全て0より大きい値であると判断し(∵t1>…>tm>0)、これらデータ対(I1、t1)…(Im、tm)を式(5)及び(6)に代入してポイケルトの式を求める(ステップS24)。
【0097】
放電持続時間tnが0以下であれば(ステップS21でY)、カウント値nが1であるか否かを判断する(ステップS25)。カウント値nが1より大きければ(ステップS25でN)、上記式(9)を用いて、放電可能容量=0となる放電電流Iαを算出し(ステップS26)、放電持続時間が0以下のデータ対(In、tn)…(Im、tm)の代わりに、データ対(Iα、tα(=所定の正の放電持続時間))を用いてポイケルトの式を求める(ステップS27)。具体的には、放電持続時間が0より大きいデータ対(I1、t1)…(In+1、tn+1)とデータ対(Iα、tα)とを式(5)及び(6)に代入してポイケルトの式を求める。
【0098】
その後、ステップS24又はS27で決定したポイケルトの式を用いて、任意の放電電流Iに対する放電持続時間tを求め、任意の放電電流Iと放電持続時間tとの積を、任意の放電電流Iに対する放電可能容量として算出して(ステップS28)、処理を終了する。但し、放電可能容量が0以下のデータ対があり、ステップS27を経由して、ステップS28に進んだ場合、このステップS28においてCPU23aは、求めたい任意の放電電流Iが放電電流Iα以上である場合、ポイケルトの式を用いずに、放電可能容量0と推定する。これに対して、求めたい任意の放電電流Iが放電電流Iαより小さい場合、ポイケルトの式を用いて、上述したように放電可能容量を算出する。
【0099】
一方、カウント値nが1であれば(ステップS25でY)、データ対(I1、t1)…(Im、tm)を構成する放電持続時間は全て0以下であると判断し(∵0>t1>…>tm)、放電可能容量0とする(ステップS29)。
【0100】
上述した放電可能容量算出装置によれば、放電持続時間が0以下のデータ対が一つでもあるときに、放電持続時間が0となる放電電流Iαを推定し、放電持続時間が0以下のデータ対(In、tn)…(Im、tm)の代わりに、推定した放電持続時間が0となる放電電流Iα及び所定の正の放電持続時間tαから成るデータ対(Iα、tα)を用いてポイケルトの式で表された近似式を求めていた。これにより、放電持続時間が0より大きいデータ対が(I1、t1)の一つしかないときも勿論、放電持続時間0以下のデータ対(In、tn)…(Im、tm)の代わりに、データ対(Iα、tα)を用いてポイケルトの式を求めることができる。
【0101】
なお、上述した第2実施形態では、放電持続時間0以下のデータ対の代わりに、(Iα、tα)を用いて、ポイケルトの式における定数n、Cを決定していた。しかしながら、例えば、放電持続時間が0以下のデータ対(In、tn)…(Im、tm)のうちの最大放電持続時間tnが0若しくは限りなく0に近い負値であった場合、放電持続時間が0以下のデータ対(In、tn)…(Im、tm)を構成する放電電流のうちの最小放電電流In及び所定の正の放電持続時間tαから成るデータ対(In、tα)を用いて、ポイケルトの式を決定してもよい。もちろんこの場合もtαは0に近い値であるほど高精度にポイケルトの式で近似することができる。
【0102】
また、このようにデータ対(In、tn)…(Im、tm)の代わりに、データ対(In、tα)を用いてポイケルトの式を求める場合も、放電持続時間が0以下のデータ対が一つでもあれば、上記式(9)を用いて、放電可能容量=0となる放電電流Iαを求め、求めた任意の放電電流Iが放電電流Iα以上の場合、ポイケルトの式を用いずに、放電可能容量0と推定することが考えられる。
【0103】
また、上述した第2実施形態では、放電持続時間が0以下のデータ対が一つでもあるときに、放電持続時間0以下のデータ対の代わりに、(Iα、tα)や(In、tα)を用いてポイケルトの式を求めていた。言い換えると、放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかないときと、放電持続時間が0より大きいデータ対が2つ以上あっても0以下のデータ対が一つでもあるときとの両方、放電持続時間0以下のデータ対の代わりに、(Iα、tα)や(In、tα)を用いてポイケルトの式を求めていた。
【0104】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかないときに、放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、データ対(Iα、tα)や(In、tα)を用いてポイケルトの式を求めるものであればよい。従って、例えば、放電持続時間が0以下のデータ対があっても、放電持続時間が0より大きいデータ対が2つ以上あれば、その放電持続時間が0より大きい2つ以上のデータ対を用いてポイケルトの式を求め、放電持続時間が0より大きいデータ対が1つしかないときのみ、(Iα、tα)や(In、tα)を用いてポイケルトの式を求めてもよい。
【0105】
放電持続時間が0以下のデータ対があっても、放電持続時間が0より大きいデータ対が2つ以上あれば、その放電持続時間が0より大きい2つ以上のデータ対を用いれば、ポイケルトの式は求めることができる。しかしながら、上述した第2実施形態のように放電持続時間が0以下のデータ対が一つでもあるときに、放電持続時間0以下のデータ対の代わりに、(Iα、tα)や(In、tα)を用いてポイケルトの式を求め方が、(Iα、tα)や(In、tα)を用いない場合に比べて、データ対数を多くすることができ、より正確に近似されたポイケルトの式を求めることができる。
【0106】
第3実施形態
次に第3実施形態における放電可能容量推定装置について説明する。第3実施形態における放電可能容量推定装置の構成としては、上述した第1及び第2実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。まず、第3実施形態における放電可能容量推定装置の動作について図9のフローチャートを参照して説明する。
【0107】
CPU23aは、特定放電可能容量推定手段として働き、上述したように最大電流Ip、小電流I0に対応する放電可能容量ADCip、ADCi0を求めて、放電可能容量データ対(Ip、ADCip)、(Ip、ADCi0)を得る(ステップS30)。放電可能容量ADCip、ADCi0何れも0より大きければ(ステップS31、S32でY)、この放電可能容量データ対(I0、ADCi0)、(Ip、ADCi0)から放電持続時間データ対(I0、t0(=ADCi0/I0))、(Ip、tp(=ADCip/Ip))を求め、求めた放電持続時間データ対(I0、t0)、(Ip、tp)を式(3)及び(4)又は(5)及び(6)に代入してポイケルトの式を決定する(ステップS33)。
【0108】
次に、ステップS33で決定したポイケルトの式を用いて、任意の放電電流Iに対する放電持続時間t(=C/In)を求め、任意の放電電流Iと放電持続時間t(=C/In)との積(C/In)・Iを、任意の放電電流Iに対する放電可能容量ADCとして算出して(ステップS34)、処理を終了する。
【0109】
一方、放電可能容量ADCipが0以下であり、放電可能容量ADCi0が0より大きければ(ステップS31でY、S32でN)、まず、所定の正の放電可能容量Xαと放電可能容量ADCipとの容量差分β1(=Xα−ADCip)を求める(ステップS35)。
【0110】
そして、放電可能容量データ対(I0、ADCi0)、(Ip、ADCip)を構成する放電可能容量ADCi0、ADCip各々に容量差分β1を加算して、加算放電可能容量データ対(I0、ADCi0+β1)、(Ip、ADCip+β1)を求め、この求めた加算放電可能容量データ対から加算放電持続時間データ対(I0、(ADCi0+β)/I0)、(Ip、(ADCip+β)/Ip)を求める。なお、ADCi0/I0=t0、ADCip/Ip=tpなので、加算放電持続時間データ対(I0、t0+β/I0)、(Ip、tp+β/Ip)と書き直せる。βはXα(>0)−ADCip(<0)なので、加算放電持続データ対を構成する放電持続時間t0+β/I0、tp+β/Ipは何れも0より大きい値となる。
【0111】
そして、この求めた加算放電持続時間データ対(I0、t0+β/I0)、(Ip、tp+β/Ip)を式(3)及び(4)又は(5)及び(6)に代入してポイケルトの式を決定する(ステップS36)。このステップS36で決定したポイケルトの式In・t=Cに任意の放電電流Iを代入して、放電電流Iに対する放電持続時間t(=C/In)を求め、求めた放電持続時間tと放電電流Iを乗じた放電可能容量I・tと放電電流Iとの関係をプロットすると、図10に示す曲線L4が求められる。また、L3は、実際の放電電流と放電可能容量との関係を示す曲線である。
【0112】
図10からも明らかなように、曲線L4は、放電電流Iと実際の放電可能容量に容量差分β1を加算した容量との関係を示している。従って、放電可能容量を求める時には、ステップS36で決定したポイケルトの式に任意の放電電流Iを代入して、放電持続時間t=C/Inを求め、求めた放電持続時間t=C/Inと放電電流Iとを乗じて放電可能容量(C/In)・Iを求める。この求めた放電可能容量(C/In)・Iはβ1が加算された値なので、求めた放電可能容量(C/In)・Iからこの差分β1を引いた値(C/In)・I−β1を放電可能容量として求め(ステップS37)、処理を終了する。
【0113】
これに対して、放電可能容量ADCi0、ADCip何れも0以下であったとき(ステップS31でN)、CPU23aは、任意の放電電流Iに対する放電可能容量を0として(ステップS38)、処理を終了する。
【0114】
第4実施形態
上述した第3実施形態では、2電流Ip、I0と、2電流Ip、I0に対する放電持続時間tp、t0との関係が明らかであるときのポイケルトの式の求め方を説明していた。しかし、3以上の電流I1…Imと、3以上の電流に対応する放電可能容量X1…Xmとの関係が予め明らかであり、3つ以上の放電可能容量データ対(I1、X1)…(Im、Xm)(但しI1<I2…Im)が得られるときは以下のようにして第3実施形態を適用すればよい。
【0115】
今、3つ以上のデータ対(I1、X1)…(Im、Xm)のうち、データ対(I1、X1)…(In−1、Xn−1)が放電可能容量が0より大きいデータ対であり(∵X1>…>Xn−1>0)、データ対(In、Xn)…(Im、Xm)が放電可能容量が0以下のデータ対である(∵0>Xn>…>Xm)。このとき、例えば、所定の正の放電可能容量Xαと放電可能容量データ対を構成する0以下の放電可能容量Xn…Xmの何れか1つの放電可能容量Xk(n≦k≦m)との容量差分β1(=Xα−Xk)を求める(n、m、kは整数)。
【0116】
次に、複数の放電可能容量データ対を構成する放電可能容量X1…Xm各々に容量差分β1(=tα−tk)を加算して得た加算放電可能容量データ対(I1、X1+β1)…(Im、Xm+β1)のうち放電可能容量が0よりも大きい加算放電可能容量データ対(I1、X1+β1)…(Ik、Xk+β1(=Xα))を求める。Xk以上の放電可能容量から構成される放電可能容量データ対(I1、X1)…(Ik、Xk)に容量差分β1(=Xα−Xk)を加算して得た加算放電可能容量データ対(I1、X1+β1)…(Ik、Xk+β1)は、その放電可能容量X1+β1…Xk+β1が0よりも大きくなる。
【0117】
そして、この放電可能容量が0よりも大きい加算放電可能容量データ対(I1、X1+β1)…(Ik、Xk+β1)から、加算放電持続時間データ対(I1、t1+β1/I1)…(Ik、tk+β/Ik)を求める。当然、加算放電持続時間データ対を構成する放電持続時間t1+β1/I1…tk+β1/Ikは何れも0より大きい値となり、この放電持続時間データを用いて、ポイケルトの式で表された加算近似式を求める。
【0118】
このようにして求めたポイケルトの式から放電可能容量を求める場合は、上述した第3実施形態と同様に、ポイケルトの式に任意の放電電流Iを代入して、放電持続時間t=C/Inを求め、求めた放電持続時間t=C/Inと放電電流Iとを乗じて値から容量差分β1を差し引いた値を放電可能容量として求める。
【0119】
上述した放電可能容量推定装置によれば、放電持続時間が0以下の放電持続時間データ対が一つでもあるとき、上述したように容量加算した放電持続時間データ対(I1、t1+β1/I1)…(Ik、tk+β1/Ik)を用いてのポイケルトの式を算出することが考えられる。これにより、放電持続時間が0より大きい放電持続時間データ対が(I1、t1)の一つしか得られないときも勿論、容量加算して得た放電持続時間が0より大きい2つ以上の放電持続時間データ対(I1、t1+β1/I1)…(Ik、tk+β1/Ik)を用いてのポイケルトの式を求めることができるようになる。
【0120】
従って、放電持続時間が0より大きい放電持続時間データ対が一つしかない場合であっても、容量加算することにより、放電持続時間が0より大きい放電持続時間データ対(I1、t1+β1/I1)…(Ik、tk+β/Ik)を2つ以上得ることができる。このため、放電持続時間が0より大きい少なくとも2つ以上の加算放電持続時間データ対を用いて、ポイケルトの式で近似した近似式を求めることができる。
【0121】
また、この場合も、放電持続時間が0以下のデータ対が一つでもあれば、上記式(9)を用いて、放電可能容量=0となる放電電流Iαを求め、求めた任意の放電電流Iが放電電流Iα以上の場合、ポイケルトの式を用いずに、放電可能容量0と推定することが考えられる。
【0122】
また、上述した第4実施形態では、放電持続時間が0以下の放電持続時間データ対が一つでもあるときに、容量加算して求めた加算放電持続時間データ対(I1、t1+β1/I1)…(Ik、tk+β1/Ik)を用いてポイケルトの式を求めていた。言い換えると、放電持続時間が0より大きいデータ対が一つしかないときと、放電持続時間が0より大きいデータ対が2つ以上あっても0以下のデータ対が一つでもあるときとの両方、容量加算して求めた加算放電持続時間データ対(I1、t1+β1/I1)…(Ik、tk+β1/Ik)を用いてポイケルトの式を求めていた。
【0123】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも放電持続時間が0より大きい放電持続時間データ対が一つしかないときに、容量加算や時間加算して求めた加算放電持続時間データ対(I1、t1+β1/I1)…(Ik、tk+β1/Ik)を用いるものであればよい。従って、例えば、放電持続時間が0以下の放電持続時間データ対があっても、放電持続時間が0より大きい放電持続時間データ対が少なくとも2つ以上得られれば、その放電持続時間が0より大きい2つ以上の放電持続時間データ対を用いてポイケルトの式を求め、放電持続時間が0より大きいデータ対が1つしか得られないときのみ、容量加算して求めた加算放電持続時間データ対(I1、t1+β1/I1)…(Ik、Xk+β1/Ik)を用いてポイケルトの式を求めてもよい。
【0124】
放電持続時間が0以下のデータ対があっても、放電持続時間が0より大きいデータ対が2つ以上あれば、その放電持続時間が0より大きい2つ以上のデータ対を用いれば、ポイケルトの式は求めることができる。しかしながら、上述した第4実施形態のように放電持続時間が0以下のデータ対が一つでもあるときに、加算放電持続時間データ対を用いてポイケルトの式を求め方が、用いない場合に比べて、少なくとも一つ以上データ対数を多くすることができ、より正確に近似されたポイケルトの式を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】高率放電時の放電電流とバッテリ端子電圧との変化を示すグラフである。
【図2】飽和分極電圧降下の推定の仕方を説明するためのグラフである。
【図3】ポイケルトの式を特定のバッテリの関係式に決定する方法を説明するとともに決定した関係式と実測曲線との対比を行うために使用するグラフである。
【図4】放電持続時間と放電電流との関係を示すグラフである。
【図5】本発明のバッテリの放電可能容量推定装置の基本構成図を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態におけるCPU23aの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】放電持続時間と放電電流との関係を示すグラフである。
【図8】第2実施形態におけるCPU23aの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第3実施形態におけるCPU23aの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】放電可能容量と放電電流との関係を示すグラフである。
【図11】バッテリの任意の放電電流Iと当該放電電流Iを持続できる放電持続時間tとの関係を示すグラフである。
【図12】従来の問題点を説明するためのバッテリの任意の放電電流Iと当該放電電流Iを持続できる放電持続時間tとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0126】
n 定数(第1定数)
C 定数(第2定数)
23a CPU(特定放電持続時間推定手段、特定放電可能容量推定手段、定数決定手段、放電可能容量推定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める装置であって、
前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電持続時間を推定する特定放電持続時間推定手段と、
前記特定の大きさの放電電流及び当該特定の大きさの放電電流に対応して前記推定された放電持続時間から成る複数のデータ対を前記関係式で近似した近似式を求める近似式算出手段とを備え、
前記近似式算出手段は、前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、前記放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、前記放電持続時間が0以下のデータ対を構成する放電電流のうちの最小放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いて前記近似式を求めることを特徴とする近似式算出装置。
【請求項2】
バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める装置であって、
前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電持続時間を推定する特定放電持続時間推定手段と、
前記特定の大きさの放電電流及び当該特定の大きさの放電電流に対応して前記推定された放電持続時間から成る複数のデータ対を関数式で近似して前記近似式を求める近似式算出手段とを備え、
前記近似式算出手段は、前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、前記放電持続時間が0となる放電電流を推定し、前記放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、前記推定した放電持続時間が0となる放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いて前記近似式を求めることを特徴とする近似式算出装置。
【請求項3】
バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める装置であって、
前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電可能容量を推定し、前記特定の大きさの放電電流及び該放電電流に対応して推定された放電可能容量から成る複数の放電可能容量データ対を求める特定放電可能容量推定手段と、
前記複数の放電可能容量データ対から、前記特定の大きさの放電電流及び該放電電流に対応して前記推定された放電可能容量を前記放電電流で除して求めた放電持続時間とから成る放電持続時間データ対を求め、該求めた放電持続時間データ対を前記関数式で近似した前記近似式を求める近似式算出手段とを備え、
前記近似式算出手段は、前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、所定の正の放電可能容量と前記放電可能容量データ対を構成する放電可能容量の何れか一つとの容量差分を求め、前記複数の放電可能容量データ対の代わりに、前記複数の放電可能容量データ対を構成する放電可能容量の各々に前記容量差分を加算して得た複数の加算放電可能容量データ対のうち前記放電可能容量が0よりも大きい加算放電可能容量データ対から、前記放電持続時間データ対を求めることを特徴とする近似式算出装置。
【請求項4】
バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める方法であって、
前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電持続時間を推定し、
前記特定の大きさの放電電流及び当該特定の大きさの放電電流に対応して前記推定された放電持続時間から成る複数のデータ対を前記関係式で近似した近似式を求め、
前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、前記放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、前記放電持続時間が0以下のデータ対を構成する放電電流のうちの最小放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いて前記近似式を求めることを特徴とする近似式算出方法。
【請求項5】
バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める方法であって、
前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電持続時間を推定し、
前記特定の大きさの放電電流及び当該特定の大きさの放電電流に対応して前記推定された放電持続時間から成る複数のデータ対を関数式で近似して前記近似式を求め、
前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、前記放電持続時間が0となる放電電流を推定し、前記放電持続時間が0以下のデータ対の代わりに、前記推定した放電持続時間が0となる放電電流及び所定の正の放電持続時間から成るデータ対を用いて前記近似式を求めることを特徴とする近似式算出方法。
【請求項6】
バッテリの放電電流と、該放電電流を持続的に放電することができる放電持続時間との関係を、前記放電電流の第1定数乗と前記放電持続時間との積が第2定数となることを示す関係式で近似した近似式を求める方法であって、
前記バッテリの放電中に計測した放電電流及び端子電圧に基づいて、特定の大きさの複数放電電流それぞれに対応する放電可能容量を推定し、前記特定の大きさの放電電流及び該放電電流に対応して推定された放電可能容量から成る複数の放電可能容量データ対を求め、
前記複数の放電可能容量データ対から、前記特定の大きさの放電電流及び該放電電流に対応して前記推定された放電可能容量を前記放電電流で除して求めた放電持続時間とから成る放電持続時間データ対を求め、該求めた放電持続時間データ対を前記関数式で近似した前記近似式を求め、
前記複数のデータ対のうち放電持続時間が0以下のデータ対が少なくとも一つあるとき、所定の正の放電可能容量と前記放電可能容量データ対を構成する放電可能容量の何れか一つとの容量差分を求め、前記複数の放電可能容量データ対の代わりに、前記複数の放電可能容量データ対を構成する放電可能容量の各々に前記容量差分を加算して得た複数の加算放電可能容量データ対のうち前記放電可能容量が0よりも大きい加算放電可能容量データ対から、前記放電持続時間データ対を求めることを特徴とする近似式算出方法。
【請求項7】
請求項1、2又は3記載の近似式算出装置と、
前記近似式算出手段によって算出された近似式を用いて、任意の放電電流に対する放電持続時間を求め、前記任意の放電電流と前記求めた放電持続時間とを乗じた値から、前記バッテリの放電可能な容量を推定する放電可能容量推定手段とを備えたことを特徴とする放電可能容量推定装置。
【請求項8】
請求項7記載の放電可能容量推定装置であって、
前記放電可能容量推定手段は、前記特定放電持続時間推定手段が推定した複数放電電流に対する放電持続時間が全て0以下であった場合、任意の放電電流に対応する放電可能容量を0と推定することを特徴とする放電可能容量推定装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載の放電可能容量推定装置であって、
前記放電可能容量推定手段は、前記複数のデータ対のうち、放電持続時間が0以下のデータが少なくとも一つあったとき、前記放電持続時間が0となる放電電流を推定し、前記任意の放電電流が前記推定した放電持続時間が0となる放電電流以上の場合、前記任意の放電電流に対応する放電可能容量を0と推定することを特徴とする放電可能容量推定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−64871(P2007−64871A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253254(P2005−253254)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】