近接場光発生板、熱アシスト磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、及び、ハードディスク装置
【課題】近接場光発生板の所望の部分を媒体に向かって突出させることが容易な近接場光発生板、熱アシスト磁気ヘッド、この熱アシスト磁気ヘッドを備えたHGA及びこのHGAを備えたハードディスク装置を提供することにある。
【解決手段】本発明の近接場光発生板36は、媒体10と対向するように配置され、その媒体対向面Sの内の一の部分36bと他の部分36aとが互いに異なる導電材料から形成されている。媒体対向面の内の一の部分と他の部分とが互いに異なる複数の導電材料から形成されているので、このような媒体対向面は、媒体対向面側から研磨やエッチング等による表面除去工程により、一の部分と他の部分との高さの差が材料の違いに基づいて容易に形成される。
【解決手段】本発明の近接場光発生板36は、媒体10と対向するように配置され、その媒体対向面Sの内の一の部分36bと他の部分36aとが互いに異なる導電材料から形成されている。媒体対向面の内の一の部分と他の部分とが互いに異なる複数の導電材料から形成されているので、このような媒体対向面は、媒体対向面側から研磨やエッチング等による表面除去工程により、一の部分と他の部分との高さの差が材料の違いに基づいて容易に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接場光発生板、熱アシスト磁気記録方式により信号の書き込みを行う熱アシスト磁気ヘッド、この熱アシスト磁気ヘッドを備えたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)及びこのHGAを備えたハードディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置の高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドのさらなる性能の向上が要求されている。記録密度を高めるために、KUの大きな磁性材料を記録媒体として用いる一方で、書き込み磁界印加の直前に記録媒体に熱を加えることによって磁性材料の保磁力を小さくして書き込みを行う、いわゆる熱アシスト磁気記録方式が提案されている。
【0003】
このような熱アシスト磁気ヘッド記録装置として、特許文献1及び2及び非特許文献1には、媒体対向面に導電性の板状の近接場光発生板を配置し、これに対して裏面側から光を照射することにより近接場光を発生させる熱アシスト磁気ヘッドが開示されている。特に、特許文献2や非特許文献1には、近接場光発生板の一部を媒体に向かって突出させた構造が開示されており、このような構造では媒体に対して近接場光がその突出された部分から選択的にかつ高強度に放射させられるものと考えられる。
【特許文献1】特開2001−255254号公報
【特許文献2】特開2003−114184号公報
【非特許文献1】T. Matsumoto et al., Near-Field Optical Probe with A Beaked MetallicPlate for Thermally Assisted magnetic Recording, pp. 6-7, MORIS2006 WORKSHOPTechnical Digest, June 6-8, 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の文献では、近接場光発生板の所望の部分を媒体に向かって突出させる方法について詳しく開示はされていなかった。
【0005】
従って、本発明の目的は、近接場光発生板の所望の部分を媒体に向かって突出させることが容易な近接場光発生板、熱アシスト磁気ヘッド、この熱アシスト磁気ヘッドを備えたHGA及びこのHGAを備えたハードディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる近接場光発生板は、主面が媒体と対向するように配置され、その主面の内の一の部分と他の部分とが互いに異なる導電材料から形成された近接場光発生板である。
【0007】
本発明によれば、近接場発生板の主面すなわち媒体対向面の内の一の部分と他の部分とが互いに異なる導電材料から形成されている。したがって、このような媒体対向面は、媒体対向面側からの研磨やエッチング等の表面除去工程により、一の部分と他の部分との表面高さの差を材料物性の違いに基づいて容易に形成できるものである。したがって近接場光発生板における媒体への突出度合いを各部分毎に制御しやすく、媒体対向面の内の所望の部分を選択的に媒体に向かって突出させた近接場光発生板が容易に得られる。
【0008】
ここで、導電材料は、それぞれ、Pd,Pt,Rh,Ir,Ru,Au,Ag,Cu及びAlからなる金属群から選択される一つの1種の金属又は複数種の合金であることが好ましい。これにより、可視光の波長領域において効果的に表面プラズモンを誘起し、近接場光を発生させることができるという効果がある。
【0009】
また、一の部分の導電材料は、他の部分の導電材料よりも硬度が高い又はエッチング速度が低いことが好ましい。これにより、研磨やエッチングによる表面除去工程により容易に一の部分の表面高さを他の部分よりも高くすることができる。
【0010】
また、一の部分が他の部分に比べて媒体に向かって突出していることが好ましい。特に突出している部分に電荷が集中するので、この突出している部分から近接場光を選択的に媒体に向けて放射させることができ、記録密度の向上に資する。
【0011】
また、媒体対向面に対して垂直な方向から見て、その一の部分が尖端部を有していると、特に一の部分の尖端部の先端から選択的に近接場光が放射されて好ましい。尖端部は一の部分に1つのみ有することが好ましい。
【0012】
また、一の部分はAuCuからなり、他の部分はAuからなることが好ましい。
【0013】
本発明にかかる熱アシスト磁気ヘッドは、媒体対向面に露出して磁界を発生する磁極、外部から光を受け入れて前記媒体対向面に導く導波路、及び、前記導波路の媒体対向面に配置された上述の近接場光発生板を備えた熱アシスト磁気ヘッドである。
【0014】
また、本発明にかかる他の熱アシスト磁気ヘッドは、媒体対向面に露出して磁界を発生する磁極、外部から光を受け入れて媒体対向面に導く導波路、及び、導波路の媒体対向面に配置された上述の近接場光発生板を備え、媒体対向面において、近接場光発生板の一の部分が他の部分よりも磁極に近い。これにより、近接場光発生板のうち近接場光が選択的に放射される一の部分と磁極とが近くなるので、近接場光による媒体加熱から記録磁界印加までの時間を短くすることができ、近接場光によって加熱された媒体の温度が大きく低下する前に媒体に対して記録磁化を印加することができる。
【0015】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、上述の熱アシスト磁気ヘッドと、熱アシスト磁気ヘッドを支持するサスペンジョンとを備えたヘッドジンバルアセンブリである。
【0016】
また、本発明に係るハードディスク装置は、上述のヘッドジンバルアセンブリと、磁気記録媒体と、を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接場発光部の所望の部分を媒体に向かって容易に突出させることができるので、近接場光のスポット径をより小さくすることができ、熱アシスト磁気記録方式による高密度記録を容易に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一の要素は、同一の参照番号を用いて示されている。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
【0019】
図1は、本発明によるハードディスク装置及びHGA(ヘッドジンバルアセンブリ)の一実施形態における要部の構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1の熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。ここで、HGAの斜視図においては、HGAの磁気ディスク表面に対向する側が上になって表示されている。
【0020】
(ハードディスク装置)
図1の(A)において、ハードディスク装置1は、スピンドルモータ11の回転軸の回りを回転する複数の磁気記録媒体である磁気ディスク10、熱アシスト磁気ヘッド21をトラック上に位置決めするためのアセンブリキャリッジ装置12、この熱アシスト磁気ヘッド21の書き込み及び読み出し動作を制御し、さらに後に詳述する熱アシスト磁気記録用のレーザ光を発生させる光源であるレーザダイオードを制御するための記録再生及び発光制御回路(制御回路)13を備える。
【0021】
アセンブリキャリッジ装置12には、複数の駆動アーム14が設けられている。これらの駆動アーム14は、ボイスコイルモータ(VCM)15によってピボットベアリング軸16を中心にして角揺動可能であり、この軸16に沿った方向にスタックされている。各駆動アーム14の先端部には、HGA17が取り付けられている。各HGA17には、熱アシスト磁気ヘッド21が、各磁気ディスク10の表面に対向するように設けられている。磁気ディスク10の表面に対向する面が熱アシスト磁気ヘッド21の媒体対向面S(エアベアリング面とも呼ばれる)である。なお、磁気ディスク10、駆動アーム14、HGA17及び熱アシスト磁気ヘッド21は、単数であってもよい。
【0022】
(HGA)
HGA17は、図1の(B)に示すように、サスペンション20の先端部に、熱アシスト磁気ヘッド21を固着し、さらにその熱アシスト磁気ヘッド21の端子電極に配線部材203の一端を電気的に接続して構成される。サスペンション20は、ロードビーム200と、このロードビーム200上に固着され支持された弾性を有するフレクシャ201と、フレックシャの先端に板ばね状に形成されたタング部204と、ロードビーム200の基部に設けられたベースプレート202と、フレクシャ201上に設けられておりリード導体及びその両端に電気的に接続された接続パッドからなる配線部材203とから主として構成されている。
【0023】
配線部材としては、図2に示すように、記録信号用の一対の電極パッド237、237、読出信号用の一対の電極パッド238、238、光源駆動用の一対の電極パッド247、248を有している。
【0024】
なお、本発明のHGA17におけるサスペンションの構造は、以上述べた構造に限定されるものではないことは明らかである。なお、図示されていないが、サスペンション20の途中にヘッド駆動用ICチップを装着してもよい。
【0025】
(熱アシスト磁気ヘッド)
図2〜図4に示すように、熱アシスト磁気ヘッド21は、スライダ22と、光源支持基板230及び熱アシスト磁気記録用の光源となるレーザダイオード40を備えた光源ユニット23とが、スライダ基板220の背面2201及び光源支持基板230の接着面2300を接面させて接着、固定された構成を有している。ここで、スライダ基板220の背面2201は、スライダ22の媒体対向面Sとは反対側の面である。また、光源支持基板230の底面2301がフレクシャ201のタング部204に、例えば、エポキシ樹脂等の接着剤により接着されている。
【0026】
(スライダ)
スライダ22は、スライダ基板220及びデータ信号の書き込み及び読み出しを行う磁気ヘッド部32を備えている。
【0027】
スライダ基板220は、板状を呈し、適切な浮上量を得るように加工された媒体対向面Sを有する。スライダ基板220は導電性のアルティック(Al2O3−TiC)等から形成されている。
【0028】
磁気ヘッド部32は、スライダ基板220の媒体対向面Sに対して略垂直な側面である集積面2202に形成されている。磁気ヘッド部32は、磁気情報を検出する磁気検出素子としてのMR効果素子33、磁界の生成により磁気情報を書き込む垂直(面内でも良い)磁気記録素子としての電磁コイル素子34、MR効果素子33及び電磁コイル素子34の間を通して設けられている平面導波路としての導波路35、磁気ディスクの記録層部分を加熱するための近接場光を発生させる近接場光発生板36、及び、これらMR効果素子33、電磁コイル素子34、導波路35及び近接場光発生板36を覆うように集積面2202上に形成された絶縁層38と、絶縁層38の層面から露出した、MR効果素子33に2つずつ接続されている一対の信号端子用の電極パッド371、371、電磁コイル素子34に2つずつ接続されている一対の信号端子用の電極パッド373、373、及び、スライダ基板220と電気的に接続されているグランド用の電極パッド375を備えている。MR効果素子33、電磁コイル素子34及び近接場光発生板36は、媒体対向面Sに露出している。以下、詳細に説明する。
【0029】
図4は熱アシスト磁気ヘッド21の磁気ヘッド部近傍の断面図である。図4に示すように、MR効果素子33は、MR積層体332と、このMR積層体332を挟む位置に配置されている下部シールド層330及び上部シールド層334とを含む。下部シールド層330及び上部シールド層334は、例えば、フレームめっき法を含むパターンめっき法等によって形成された厚さ0.5〜3μm程度のNiFe、CoFeNi、CoFe、FeN若しくはFeZrN等の磁性材料で構成することができる。上下部シールド層334及び330は、MR積層体332が雑音となる外部磁界の影響を受けることを防止する。
【0030】
MR積層体332は、面内通電型(CIP(Current In Plane))巨大磁気抵抗(GMR(Giant Magneto Resistance))多層膜、垂直通電型(CPP(CurrentPerpendicular to Plane))GMR多層膜、又はトンネル磁気抵抗(TMR(Tunnel Magneto Resistance))多層膜等の磁気抵抗効果膜を含み、非常に高い感度で磁気ディスクからの信号磁界を感受する。
【0031】
MR積層体332は、例えば、TMR効果多層膜を含む場合、IrMn、PtMn、NiMn、RuRhMn等からなる厚さ5〜15nm程度の反強磁性層と、例えば強磁性材料であるCoFe等、又はRu等の非磁性金属層を挟んだ2層のCoFe等から構成されており反強磁性層によって磁化方向が固定されている磁化固定層と、例えばAl、AlCu等からなる厚さ0.5〜1nm程度の金属膜が真空装置内に導入された酸素によって又は自然酸化によって酸化された非磁性誘電材料からなるトンネルバリア層と、例えば強磁性材料である厚さ1nm程度のCoFe等と厚さ3〜4nm程度のNiFe等との2層膜から構成されておりトンネルバリア層を介して磁化固定層との間でトンネル交換結合をなす磁化自由層とが、順次積層された構造を有している。
【0032】
MR効果素子33と導波路35との間には、下部シールド層330と同様の材料からなる素子間シールド層148が形成されている。素子間シールド層148は、MR効果素子33を、電磁コイル素子34より発生する磁界から遮断して読み出しの際の外来ノイズを防止する役割を果たす。また、素子間シールド層148と導波路35との間に、さらに、バッキングコイル部が形成されていてもよい。バッキングコイル部は、電磁コイル素子34から発生してMR効果素子33の上下部電極層を経由する磁束ループを打ち消す磁束を発生させて、磁気ディスクへの不要な書き込み又は消去動作である広域隣接トラック消去(WATE)現象の抑制を図るものである。
【0033】
MR積層体332の媒体対向面Sとは反対側のシールド層330、334間、シールド層330、334、148の媒体対向面Sとは反対側、下部シールド層330とスライダ基板220との間、及び、素子間シールド層148と導波路35との間にはアルミナ等から形成された絶縁層38が形成されている。
【0034】
なお、MR積層体332がCIP−GMR多層膜を含む場合、上下部シールド層334及び330の各々とMR積層体332との間に、アルミナ等により形成されたアルミナ等の絶縁用の上下部シールドギャップ層がそれぞれ設けられる。さらに、図示は省略するが、MR積層体332にセンス電流を供給して再生出力を取り出すためのMRリード導体層が形成される。一方、MR積層体332がCPP−GMR多層膜又はTMR多層膜を含む場合、上下部シールド層334及び330はそれぞれ上下部の電極層としても機能する。この場合、上下部シールドギャップ層とMRリード導体層とは不要であって省略される。
【0035】
MR積層体332のトラック幅方向の両側には、図示は省略するが、磁区の安定化用の縦バイアス磁界を印加するための、CoTa,CoCrPt,CoPt等の強磁性材料からなるハードバイアス層が形成される。
【0036】
電磁コイル素子34は、垂直磁気記録用が好ましく、図4に示すように、媒体対向面Sに露出する主磁極層340、ギャップ層341a、コイル絶縁層341b、コイル層342、及び補助磁極層344を備えている。
【0037】
主磁極層340は、コイル層342によって誘導された磁束を、書き込みがなされる磁気ディスク(媒体)の記録層まで収束させながら導くための導磁路である。ここで、主磁極層340の媒体対向面S側の端部のトラック幅方向(図4の奥行き方向)の幅及び積層方向(図4の左右方向)の厚みは、他の部分に比べて小さくすることが好ましい。この結果、高記録密度化に対応した微細で強い書き込み磁界を発生可能となる。具体的には、例えば、磁気ヘッド部を媒体対向面S側から見た図5に示すように、リーディング側すなわちスライダ基板220側の辺の長さがトレーリング側の辺の長さよりも短い逆台形となるように媒体対向面S側の主磁極層340の先端を先細にすることが好ましい。すなわち、主磁極層340の媒体対向面側の端面には、ロータリーアクチュエータでの駆動により発生するスキュー角の影響によって隣接トラックに不要な書き込み等を及ぼさないように、ベベル角θが付けられている。ベベル角θの大きさは、例えば、15°程度である。実際に、書き込み磁界が主に発生するのは、トレーリング側の長辺近傍であり、磁気ドミナントの場合にはこの長辺の長さによって書き込みトラックの幅が決定される。
【0038】
ここで、主磁極層340は、例えば、媒体対向面S側の端部での全厚が約0.01〜約0.5μmであって、この端部以外での全厚が約0.5〜約3.0μmの、例えばフレームめっき法、スパッタリング法等を用いて形成されたNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成されていることが好ましい。また、トラック幅は、例えば、100nmとすることができる。
【0039】
図4に示すように、補助磁極層344の媒体対向面S側の端部は、補助磁極層344の他の部分よりも層断面が広いトレーリングシールド部を形成している。補助磁極層344は、主磁極層340の媒体対向面S側の端部とアルミナ等の絶縁材料により形成されたギャップ層341a,コイル絶縁層341bを介して対向している。このような補助磁極層344を設けることによって、媒体対向面S近傍における補助磁極層344と主磁極層340との間において磁界勾配がより急峻になる。この結果、信号出力のジッタが小さくなって読み出し時のエラーレートを小さくすることができる。
【0040】
補助磁極層344は、例えば、厚さ約0.5〜約5μmの、例えばフレームめっき法、スパッタリング法等を用いて形成されたNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成されている。
【0041】
ギャップ層341aは、コイル層342と主磁極層340とを離間しており、例えば、厚さ約0.01〜約0.5μmの、例えばスパッタリング法、CVD法等を用いて形成されたAl2O3又はDLC等から構成されている。
【0042】
コイル層342は、例えば、厚さ約0.5〜約3μmの、例えばフレームめっき法等を用いて形成されたCu等から構成されている。主磁極層340の後端と補助磁極層344の媒体対向面Sから離れた部分とが結合され、コイル層342はこの結合部分を取り囲むように形成されている。コイル層342は、図4等において1層であるが、2層以上又はヘリカルコイルでもよい。
【0043】
コイル絶縁層341bは、コイル層342と、補助磁極層344とを離間し、例えば、厚さ約0.1〜約5μmの熱硬化されたアルミナやレジスト層等の電気絶縁材料から構成されている。
【0044】
導波路35は、MR効果素子33と電磁コイル素子34との間に位置していて集積面2202と平行に伸長しており、磁気ヘッド部32の媒体体対向面Sから、磁気ヘッド部32の媒体対向面とは反対側の面32aまで伸びており、図6に示すように、矩形の板状のものである。導波路35は、ともに媒体対向面Sに対して垂直に形成された、トラック幅方向において対向する2つの側面351a,351b、集積面2202と平行な2つの上面352a、下面352b、媒体対向面Sを形成する出口面353、及び、出口面353とは反対側の入口面354を有している。導波路35の上面352a、下面352b、2つの側面351a、351bは、導波路35よりも屈折率が小さく導波路35に対するクラッドとして機能する絶縁層38と接している。
【0045】
この導波路35は、入口面354から入射した光を、この両側面351a、351b、及び上面352a、下面352bで反射させつつ、媒体対向面S側の端面である出口面353に導くことが可能となっている。導波路35の図6におけるトラック幅方向の幅W35は例えば、1〜200μmとすることができ、厚みT35は例えば2〜10μmとすることができ、高さH35は10〜300μmとすることができる。
【0046】
導波路35は、何れの部分においても、絶縁層38を形成する材料よりも高い屈折率nを有する、例えばスパッタリング法等を用いて形成された誘電材料から構成されている。例えば、絶縁層38が、SiO2(n=1.5)から形成されている場合、導波路35は、Al2O3(n=1.63)から形成されていてもよい。さらに、絶縁層38が、Al2O3(n=1.63)から形成されている場合、導波路35は、Ta2O5(n=2.16)、Nb2O5(n=2.33)、TiO(n=2.3〜2.55)又はTiO2(n=2.3〜2.55)から形成されていてもよい。導波路35をこのような材料で構成することによって、材料そのものが有する良好な光学特性によるだけではなく、界面での全反射条件が整うことによって、レーザ光の伝播損失が小さくなり、近接場光の発生効率が向上する。
【0047】
近接場光発生板36は、図2、図4〜図7に示すように、導波路35の出口面353のほぼ中央に配置されている板状部材である。図4及び図6に示すように、近接場光発生板36は、その主面が媒体対向面Sに露出して媒体と対向するように導波路35の出口面353に埋設されている。図5に示すように、近接場光発生板36は、媒体対向面Sから見て三角形状を呈し、導電材料により形成されている。導電材料としては、Au等の金属や合金等が挙げられる。
【0048】
三角形の底辺36dがスライダ基板220の集積面2202と平行すなわちトラック幅方向と平行に配置され、底辺36dと向き合う尖った尖端部36cが底辺36dよりも電磁コイル素子34の主磁極層340側に配置されており、具体的には、尖端部36cが主磁極層340のリーディング側エッジと対向するように配置されている。近接場光発生板36の好ましい形態は、底辺36dの両端の2つの底角がいずれも同じとされた二等辺三角形である。
【0049】
図5及び図7に示すように、近接場光発生板36は、主磁極340から遠い導電層36a(他の部分)と、主磁極340に近い導電層36b(一の部分)とが、それぞれ互いに異なる導電材料から形成されている。互いに異なるとは組成が異なるということであり、組成が異なることにより研磨速度やエッチング速度等の表面除去速度を、主磁極340から遠い導電層36a(他の部分)と、主磁極340に近い導電層36b(一の部分)とで異ならせることができる。具体的には、近接場光発生板36の導電層36a,36bは、それぞれ、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Au、Ag、Cu及びAlからなる群から選択される1種の金属又は複数種の合金から形成されていることが好ましい。
【0050】
また、近接場光発生板の主磁極340に近い導電層36bには、近接場光を選択的に発光させる場所として、とがった尖端部36cが含まれていることが好ましく、特に、ひとつの尖端部のみを有しているとより好ましい。図5において、尖端部36cの尖端の曲率半径は5〜100nmとすることが好ましい。
【0051】
三角形の高さH36は、入射されるレーザ光の波長よりも十分に小さく、20〜400nmとすることが好ましい。底辺36dの幅W36は、入射されるレーザ光の波長よりも十分に小さく、20〜400nmとすることが好ましい。
【0052】
また、本実施形態では、特に図7に示すように、主磁極340に近い導電層36bの媒体対向面36bSは、主磁極340から遠い導電層36aの媒体対向面36aSよりも媒体10に向かって突出している。例えば、主磁極340に近い導電層36bの厚みT36bは例えば10〜100nmとすることができ、媒体対向面36aSと媒体対向面36bSとの段差Dは例えば5〜50nmとすることができる。
【0053】
このような近接場光発生板36が導波路35の出口面353に設けられていると、近接場光発生板36の導電層36bの内の尖端部36c近傍に電界が集中して尖端部36c近傍から媒体に向かって選択的に近接場光が発生する。これについては後で詳述する。
【0054】
そして、このスライダ22において、図2に示すように、電極パッド371、371がそれぞれフレクシャ201の電極パッド237、237にボンディングワイヤにより電気的に接続され、電極パッド373、373がそれぞれフレクシャ201の電極パッド238、238にボンディングワイヤにより接続され、これによりそれぞれ電磁コイル素子及びMR効果素子が駆動される。また、図4のビアホール375aによりスライダ基板220と電気的に接続された電極パッド375が、図2に示すように、フレクシャ201の電極パッド247とボンディングワイヤにより接続され、スライダ基板220の電位を電極パッド247により例えばグラウンド電位に制御できる。
【0055】
(光源ユニット)
次いで、熱アシスト磁気ヘッド21の光源ユニット23の構成要素について説明する。
【0056】
図2〜図4に示すように、光源ユニット23は、光源支持基板230、及び、外形形状が板状のレーザダイオード(光源)40を主として備える。
【0057】
光源支持基板230はアルティック(Al2O3−TiC)等からなる基板であり、スライダ基板220の背面2201に接着している接着面2300を有している。図4に示すように、接着面2300にはアルミナ等の断熱層230aが形成されている。この接着面2300を底面とした際の一つの側面である素子形成面2302上に、アルミナ等の絶縁材料から形成された絶縁層41が設けられており、この絶縁層41の上に、電極パッド47、48が形成され、電極パッド47上にレーザダイオード40が固定されている。
【0058】
詳しくは、図2及び図3に示すように、電極パッド47、48は、絶縁層41の表面かつ媒体対向面Sと交差する面411、言い換えると、スライダ基板220の集積面2202と平行な面411上に、レーザ駆動用に形成されている。電極パッド47は、図4に示すように、絶縁層41内に設けられたビアホール47aにより光源支持基板230と電気的に接続されている。また、電極パッド47は、レーザダイオード40駆動時の熱をビアホール47aを介して光源支持基板230側へ逃がすためのヒートシンクとしても機能する。
【0059】
電極パッド47は、図2に示すように、絶縁層41の面411の中央部にトラック幅方向に伸びて形成されている。一方、電極パッド48は、電極パッド47からトラック幅方向に離間した位置に形成されている。各電極パッド47、48は、半田リフローによるフレクシャ201との接続のために、さらに、フレクシャ201側に向かって伸びている。
【0060】
電極パッド47、48は、それぞれ、フレクシャ201の電極パッド247、248とリフロー半田により電気的に接続されており、これにより光源の駆動が可能となっている。また、電極パッド47は上述のように光源支持基板230と電気的に接続されているため、電極パッド247により光源支持基板230の電位を例えばグラウンド電位に制御することが可能となっている。
【0061】
電極パッド47、48は、例えば、厚さ10nm程度のTa、Ti等からなる下地層を介して形成された、厚さ1〜3μm程度の、例えば真空蒸着法やスパッタリング法等を用いて形成されたAu、Cu等の層から形成することができ。
【0062】
そして、レーザダイオード40は、電極パッド47の上にAu−Sn等の導電性の半田材料からなる半田層42(図4参照)により電気的に接続されている。このとき、レーザダイオード40は、電極パッド47の一部のみを覆うように電極パッド47に対して配置されている。
【0063】
図8のように、レーザダイオード40は、通常、光学系ディスクストレージに使用されるものと同じ構造を有していてよく、例えば、n電極40aと、n−GaAs基板40bと、n−InGaAlPクラッド層40cと、第1のInGaAlPガイド層40dと、多重量子井戸(InGaP/InGaAlP)等からなる活性層40eと、第2のInGaAlPガイド層40fと、p−InGaAlPクラッド層40gと、*n−GaAs電流阻止層40hと、p−GaAsコンタクト層40iと、p電極40jとが順次積層された構造を有する。これらの多層構造の劈開面の前後には、全反射による発振を励起するためのSiO2、Al2O3等からなる反射膜50及び51が成膜されており、レーザ光が放射される出光端400には、一方の反射膜50における活性層40eの位置に開口が設けられている。このようなレーザダイオード40は、膜厚方向に電圧が印加されることにより、出光端400からレーザ光を出射する。
【0064】
放射されるレーザ光の波長λLは、例えば600〜650nm程度である。ただし、近接場光発生板36(図2)の金属材料に応じた適切な励起波長が存在することに留意しなければならない。例えば、近接場光発生板36としてAu及びその合金を用い、三角形の高さH36が100nm程度の場合、レーザ光の波長λLは、600nm近傍が好ましい。
【0065】
レーザダイオード40の大きさは、上述したように、例えば、幅(W40)が200〜350μm、長さ(奥行き、L40)が250〜600μm、厚み(T40)が60〜200μm程度である。ここで、レーザダイオード40の幅W40は、電流阻止層40hの対向端の間隔を下限として、例えば、100μm程度までに小さくすることができる。ただし、レーザダイオード40の長さは、電流密度と関係する量であり、それほど小さくすることはできない。いずれにしても、レーザダイオード40に関しては、搭載の際のハンドリングを考慮して、相当の大きさが確保されることが好ましい。
【0066】
また、このレーザダイオード40の駆動においては、ハードディスク装置内の電源が使用可能である。実際、ハードディスク装置は、通常、例えば2V程度の電源を備えており、レーザ発振動作には十分の電圧を有している。また、レーザダイオード40の消費電力も、例えば、数十mW程度であり、ハードディスク装置内の電源で十分に賄うことができる。
【0067】
そして、図4において、レーザダイオード40のn電極40aが電極パッド47にAuSn等の半田層42により固定されている。ここで、レーザダイオード40の出光端400が図4の下向きすなわち出光端400が接着面2300と平行になるようにレーザダイオード40が光源支持基板230に固定されており、出光端400はスライダ22の導波路35の入口面354と対向可能となっている。実際のレーザダイオード40の固定においては、例えば、電極パッド47の表面に厚さ0.7〜1μm程度のAuSn合金の蒸着膜を成膜し、レーザダイオード40を乗せた後、熱風ブロア下でホットプレート等による200〜300℃程度までの加熱を行って固定すればよい。また、図2及び図8に示すように、電極パッド48と、レーザダイオード40のp電極40jと、がボンディングワイヤにより電気的に接続されている。なお、電極パッド47と接続される電極は、n電極40aでなくてもp電極40jでもかまわず、この場合、n電極40aが電極パッド48とボンディングワイヤにより接続される。
【0068】
ここで、上述したAuSn合金による半田付けをする場合、光源ユニットを例えば300℃前後の高温に加熱することになるが、本実施形態によれば、この光源ユニット23がスライダ22とは別に製造されるため、スライダ内の磁気ヘッド部がこの高温の悪影響を受けずに済む。
【0069】
そして、上述のスライダ22の背面2201と光源ユニット23の接着面2300とが、図4に示すように、例えば、UV硬化型接着剤等の接着剤層44により接着されており、レーザダイオード40の出光端400が導波路35の入口面354と対向するように配置されている。
【0070】
なお、レーザダイオード40及び電極パッドの構成は、当然に、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、レーザダイオード40は、GaAlAs系等、他の半導体材料を用いた他の構成のものであってもよい。さらに、レーザダイオード40と電極との半田付けに、他のろう材を用いて行うことも可能である。さらにまた、レーザダイオード40を、ユニット基板上に直接、半導体材料をエピタキシャル成長させることによって形成してもよい。
【0071】
ここで、スライダ22及び光源ユニット23の大きさは任意であるが、例えば、スライダ22は、トラック幅方向の幅700μm×長さ(奥行き)850μm×厚み230μmの、いわゆるフェムトスライダであってもよい。この場合、光源ユニット23は、これとほぼ同じ幅及び長さを有することができる。実際、例えば、通常用いられるレーザダイオードの典型的な大きさは、幅250μm×長さ(奥行き)350μm×厚み65μm程度であり、例えば、この大きさの光源支持基板230の側面にこの大きさのレーザダイオード40を設置することが、十分に可能となっている。なお、光源支持基板230の底面に溝を設け、この溝内にレーザダイオード40を設けることも可能である。
【0072】
また、導波路35の入口面354に達したレーザ光のファーフィールドパターンのスポットにおいて、トラック幅方向の径を、例えば0.5〜1.0μm程度とし、この径に直交する径を、例えば1〜5μm程度とすることができる。これに対応して、このレーザ光を受け取る導波路35の厚みT35を、例えばスポットよりも大きな2〜10μm程度とし、導波路35のトラック幅方向の幅(W35)を、例えば1〜200μm程度とすることが好ましい。
【0073】
なお、断熱層230aは、スライダ基板220の背面2201に形成されていてもよく、全く設けなくても実施は可能である。
【0074】
(製造方法)
続いて、上述の熱アシスト磁気ヘッドの製造方法について簡単に説明する。
【0075】
まず、スライダ22を製造する。具体的には(図4参照)、スライダ基板220を用意し、公知の方法を用いてMR効果素子33及び素子間シールド層148を形成し、さらに下地としてAl2O3等の絶縁層38の一部(以下38aとする)を形成する。
【0076】
続いて、導波路35及び近接場光発生板36を形成する。この工程を、図9及び図10を参照して詳しく説明する。図9及び図10は、導波路35及び近接場光発生板36の形成方法の一実施形態を説明する斜視図である。
【0077】
まず、図9の(A)に示すように、最初に、Al2O3等の絶縁層38a上に、導波路35の一部となる、絶縁層38aよりも屈折率の高いTa2O5等の誘電体膜35aを成膜し、その上に、導電層36a及び導電層36bを順次製膜し、その上に、リフトオフ用の底部が窪んだレジストパターン1002を形成する。ここで導電層36a及び36bは、互いに異なる導電材料から形成する。
【0078】
次いで、図9の(B)に示すように、イオンミリング法等を用いて、レジストパターン1002の直下を除いて、導電層36a及び36bの不要部分を除去することにより、誘電体膜35aの上に、下部が広い台形状の断面形状を有し導電層36a及び36bからなる近接場光発生板用積層体36を形成する。
【0079】
その後、図9の(C)に示すように、レジストパターン1002を除去した後に、台形状の近接場光発生板用積層体36の両斜面側からそれぞれイオンミリング法等により各斜面の一部をそれぞれ除去して、断面三角形状の近接場光発生板用積層体36を形成する。
【0080】
続いて、図9の(D)に示すように、近接場光発生板用積層体36を覆うように誘電体膜35a上に誘電体膜35aと同じ材料による誘電体膜35bを成膜し、将来媒体対向面が形成される側に近接場光発生板用積層体36の端面を形成するためのレジストパターン1003を積層し、図10の(A)に示すように、将来媒体対向面が形成される側とは反対側において、近接場光発生板用積層体36及び誘電体膜35bをイオンミリング法等により除去し、その後、除去した部分に誘電体膜35bと同じ材料により誘電体膜35cを成膜する。
【0081】
さらに、図10の(B)に示すように、誘電体膜35b、35c上に、さらに、誘電体膜35bと同じ材料により誘電体膜35dを積層し、所定の幅となるように、誘電体膜35a,35b,35c,35dをパターニングすることにより、導波路35がほぼ完成する。
【0082】
さらに、その後、図10の(C)に示すように、導波路35を覆うように絶縁層38aと同じ材料で絶縁層38bを更に形成することにより、クラッド層としての絶縁層38が完成する。そして、近接場光発生板用積層体36が露出している側から所定距離に渡って表面を除去することにより所定の厚みの近接場光発生板36及び媒体対向面Sを形成する。
【0083】
この表面除去方法は特に限定されず、例えば、機械的研磨や化学機械研磨(CMP)等のラッピング(研磨)法、イオンビームエッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング、化学エッチング等のエッチング法、これらの任意の組み合わせ等の種々の方法により媒体対向面側の表面を所定厚み除去する工程である。そして、近接場光発生板36においては、導電層36a及び36bが互いに異なる導電材料からなるので、表面除去速度(研磨速度、エッチング速度等)に違いが生じ、導電層36aと導電層36bとの間に図7に示す微小な段差Dを容易に生じさせることができる。
【0084】
ここで、導電層36a及び36bの導電材料の組み合わせは、媒体対向面の表面除去の方法に応じて、あらかじめ当該表面除去方法において表面除去速度が互いに異なる組み合わせとする。すなわち、媒体に向かって突出させたい部分に相対的に表面除去速度が低い導電材料の層を配置し、媒体に向かって突出させたくない部分に相対的に表面除去速度が高い導電材料の層を配置する。具体的には、例えば、ラッピングの場合には互いに硬度の異なる導電材料を用いればよく、エッチングの場合には互いにエッチング速度が異なる導電材料を用いればよい。
【0085】
また、近接場光発生板36の主磁極340から遠い導電層36aの表面除去速度が、主磁極340に近い導電層36bの表面除去速度よりも大きくなるような導電材料の組成の組合せとすることが好ましい。例えば、研磨速度、すなわち、硬度に差をつける観点からは、近接場光発生板36の主磁極340から遠い導電層36aがAuからなり、主磁極340に近い導電層36bがAuCuからなる態様が好ましい。
【0086】
以上の工程により、近接場光発生板36を備えた導波路35を形成することができる。
【0087】
その後、図4に示すように公知の方法により、電磁コイル素子34を形成し、その後、アルミナ等による絶縁層38を形成し、接続のための電極パッド371等を形成し、その後エアベアリング面やその裏面のラッピングを行うことによりスライダ22が完成する。この後、スライダ22の電磁コイル素子34やMR効果素子33のテストを各スライダごとに行い良品を選別する。
【0088】
続いて、光源ユニット23を製造する。まず、図4に示すように、アルティック製等の光源支持基板230を用意し、その表面に公知の方法により断熱層230a、絶縁層41及び電極パッド47、48を形成し、電極パッド47の上にレーザダイオード40をAuSn等の導電性の半田材により固定し、その後、基板の切断分離等により所定の大きさに整形する。これにより、光源ユニット23が完成する。このようにして得た光源ユニットも、レーザダイオードの特性評価、特に、高温連続通電試験による駆動電流のプロファイルを観察し、十分に寿命が長いと考えられるものを選択する。
【0089】
その後、図11(A)に示すように、良品とされた光源ユニット23の接着面2300と、良品とされたスライダ22の背面2201のいずれか又は両方にUV硬化型接着剤44aを塗布する。UV硬化型接着剤としては、UV硬化型エポキシ樹脂や、UV硬化型アクリル樹脂等が挙げられる。また、光源ユニット23とスライダ22との接着に、UV硬化型接着剤以外の接着剤例えば、レーザダイオード40と電極パッド47との接着に用いたAuSn等の半田層を用いても実施は可能である。
【0090】
そして、図11(B)に示すように、光源ユニット23の接着面2300とスライダ22の背面2201とを重ね合わせた後、電極パッド47,48間に電圧を印加してレーザダイオード40を発光させると共に、導波路35の出口面353に光検出器DTを対向配置し、光源ユニット23とスライダ22とを相対的に図11(B)の矢印方向に移動させ、最も光検出器DTの出力が高くなる位置を探し出し、その位置で、外部からUV硬化型接着剤に紫外線を照射することによりUV硬化型接着剤44aを硬化させ、これによりレーザダイオードの光軸と導波路35の光軸とを合わせた状態で光源ユニット23とスライダ22との接着をすることができる。
【0091】
(作用)
続いて、本実施形態にかかる熱アシスト磁気ヘッド21の作用について説明する。
【0092】
書き込み又は読み出し動作時には、熱アシスト磁気ヘッド21は、回転する磁気ディスク(媒体)10の表面上において流体力学的に所定の浮上量をもって浮上する。この際、MR効果素子33及び電磁コイル素子34の媒体対向面S側の端が磁気ディスク10と微小なスペーシングを介して対向することによって、データ信号磁界の感受による読み出しとデータ信号磁界の印加による書き込みとが行われる。
【0093】
ここで、データ信号の書き込みの際、光源ユニット23から導波路35を通って伝播してきたレーザ光が近接場光発生板36に到達し、近接場光発生板36から近接場光が発生する。この近接場光によって、後述するように、熱アシスト磁気記録を行うことが可能となる。
【0094】
ここで、近接場光は、入射されるレーザ光の波長及び導波路35の形状にも依存するが、一般に、媒体対向面Sから見て近接場光発生板36の境界で最も強い強度を有する。特に、本実施形態では、図4において、レーザダイオード40の積層方向が図4の左右方向とされており、近接場光発生板36に到達する光の電界ベクトルは図4の左右方向、すなわち、図5の上下方向となる。さらに、本実施形態では、図7に示すように、電界ベクトルの方向に突出する尖端部36cを含む導電層36bが、導電層36aよりも媒体に向かって突出しているので、導電層36bの尖端部36c近傍にて最も強い近接場光の放射が起こり、導電層36aのエッジや角からの近接場光の放射を抑制できる。そして、磁気ディスクの記録層部分を光により加熱する熱アシスト作用において、この尖端部36c近傍と対向する部分が、主要な加熱作用部分となる。
【0095】
この近接場光の電界強度は、入射光に比べて桁違いに強く、この非常に強力な近接場光が、磁気ディスク表面の対向する局所部分を急速に加熱する。これにより、この局所部分の保磁力が、書き込み磁界による書き込みが可能な大きさまでに低下するので、高密度記録用の高保磁力の磁気ディスクを使用しても、電磁コイル素子34による書き込みが可能となる。なお、近接場光は、媒体対向面Sから磁気ディスクの表面に向かって、例えば10〜30nm程度の深さまで到達する。従って、10nm又はそれ以下の浮上量である現状において、近接場光は、十分に記録層部分に到達することができる。また、このように発生する近接場光のトラック幅方向の幅や媒体移動方向の幅は、上述の近接場光の到達深さと同程度であって、また、この近接場光の電界強度は、距離が離れるに従って指数関数的に減衰するので、非常に局所的に磁気ディスクの記録層部分を加熱することができる。
【0096】
以上に述べたような熱アシスト磁気記録方式を採用することにより、高保磁力の磁気ディスクに垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドを用いて書き込みを行い、記録ビットを極微細化することによって、例えば、1Tbits/in2級の記録密度を達成することも可能となり得る。
【0097】
なお、本実施形態では、光源ユニット23を用いることによって、スライダ22の導波路35の入口面(端面)354に、導波路35の層面に平行な方向に伝播するレーザ光を入射させることができる。すなわち、集積面2202と媒体対向面Sとが垂直である構成を有する熱アシスト磁気ヘッド21において、適切な大きさ及び方向を有するレーザ光が、確実に供給可能となる。その結果、磁気ディスクの記録層の加熱効率が高い熱アシスト磁気記録を実現可能としている。
【0098】
また、本実施形態によれば、磁気ヘッド部32がスライダ基板220に固定され、光源であるレーザダイオード40が光源支持基板230にそれぞれ別に固定されているので、スライダ基板220に固定された電磁コイル素子34と、光源支持基板230に固定されたレーザダイオード40とをそれぞれ独立に試験した上で、良品であるスライダ22と良品である光源ユニット23とを互いに固定することにより良品である熱アシスト磁気ヘッド21を歩留まり良く製造できる。
【0099】
また、磁気ヘッド部32がスライダ基板220の側面に設けられているので、従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法を用いて磁気ヘッド部32の電磁コイル素子34やMR効果素子33等を容易に形成できる。
【0100】
さらに、レーザダイオード40が媒体対向面Sから離れた位置かつスライダ22の近傍にあるので、レーザダイオード40から発生する熱による電磁コイル素子34やMR効果素子33等への悪影響やレーザダイオード40と磁気ディスク10との接触等の可能性が抑制されると共に、光ファイバ、レンズ、ミラー等が必須では無いので光の伝播損失が低減でき、さらに、磁気記録装置全体の構造も簡単にできる。
【0101】
なお、レーザダイオード40の配置方法は上述の記載に限定されず、スライダ基板220と光源支持基板230とが一体化されたものであっても良く、また、光ファイバ等によりレーザダイオード40からの光を導波路35や近接場光発生板36に導いてもよい。さらに、スライダ基板220の媒体対向面に導波路35及び近接場光発生板36を配置しても本発明の実施は可能である。
【0102】
また、電磁コイル素子34が、長手磁気記録用であってもかまわない。この場合、主磁極層340及び補助磁極層344の代わりに、下部磁極層及び上部磁極層が設けられ、さらに、下部磁極層及び上部磁極層の媒体対向面S側の端部に挟持された書き込みギャップ層が設けられる。この書き込みギャップ層位置からの漏洩磁界によって書き込みが行われる。
【0103】
また、近接場光発生板の形状も、上述のものに限られず、たとえば、三角形でなく尖端部36cの尖端がやや平らになった台形状でも実施可能であり、また、三角形状または台形状の板を、その尖端部同士が所定距離離間して対向するように一対配置した、いわゆる「蝶ネクタイ型」構造でも実施可能である。この「蝶ネクタイ型」構造においては、その中心部に非常に強い電界の集中が発生する。いずれの場合であっても、近接場光を発生させたい部分とそれ以外の部分とで近接場光発生板の材質を替え、近接場光を発生させたい部分を他の部分に比べて媒体に向かって突出させればよい。例えば、台形の場合には尖端部(上底側)が他の部分(下底側)よりも媒体に突出するように材質を選択すればよい。また、一対の板を配置した蝶ネクタイ構造の場合には、各板の尖端部が各板の他の部分よりも媒体に突出するように材質を選択すればよい。
【0104】
また、近接場光発生板36において、媒体対向面Sに直交する厚み方向の全てを同一材質とする必要は無く、例えば、図12に示すように、媒体対向面側は互いに異なる導電材料から形成された2つの導電層36a、36bから形成されている一方、媒体対向面とは反対側はひとつの導電層36bから形成されても構わない。すなわち、媒体対向面Sにおいて互いに異なる導電材料から形成された2つの導電層があればよい。また、導電層が2つでなく3つ以上あっても構わない。
【0105】
また、表面除去工程前の近接場光発生板の製法も上述のものに限定されず、例えば、媒体対向面側からミリング法等により導波路の端面に近接場光発生板を収容するトレンチを掘り、そのトレンチ内に導電材料をスパッタリング等により埋め込むことにより形成しても良い。
【0106】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、本発明によるハードディスク装置及びHGAの一実施形態における要部の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のHGAの先端付近の拡大斜視図である。
【図3】図3は、図1の熱アシスト磁気ヘッドの構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】図4は、図3の熱アシスト磁気ヘッドの媒体対向面に垂直な断面図である。
【図5】図5は、図4の熱アシスト磁気ヘッドの媒体対向面から見た概略図である。
【図6】図6は、図3の熱アシスト磁気ヘッドにおける導波路及び近接場光発生板を示す斜視図である。
【図7】図7は、図6の近接場光発生板の拡大図であり、(a)は媒体対向面から見た平面図、(b)は(a)の水平断面図である。
【図8】図8は、レーザダイオードの構成を示す概略斜視図である。
【図9】図9は、導波路及び近接場光発生板の製造方法を(A)〜(D)の順に示す斜視図である。
【図10】図10は、導波路及び近接場光発生板の製造方法を(A)〜(D)の順に示す図9に続く斜視図である。
【図11】図11は、熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を(A),(B)の順に示す斜視図である。
【図12】図12は、近接場光発生板の他の形態を示す水平断面図である。
【符号の説明】
【0108】
1…ハードディスク装置、10…磁気ディスク(記録媒体)、17…ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)、20…サスペンジョン、21…熱アシスト磁気ヘッド、22…スライダ、220…スライダ基板、2202…集積面、23…光源ユニット、230…光源支持基板、32…磁気ヘッド部、33…MR効果素子(磁気検出素子)、34…電磁コイル素子(磁気記録素子)、35…導波路、354…入口面(端面)、36…近接場光発生板、40…レーザダイオード(光源)、400…出光端、S…媒体対向面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接場光発生板、熱アシスト磁気記録方式により信号の書き込みを行う熱アシスト磁気ヘッド、この熱アシスト磁気ヘッドを備えたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)及びこのHGAを備えたハードディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置の高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドのさらなる性能の向上が要求されている。記録密度を高めるために、KUの大きな磁性材料を記録媒体として用いる一方で、書き込み磁界印加の直前に記録媒体に熱を加えることによって磁性材料の保磁力を小さくして書き込みを行う、いわゆる熱アシスト磁気記録方式が提案されている。
【0003】
このような熱アシスト磁気ヘッド記録装置として、特許文献1及び2及び非特許文献1には、媒体対向面に導電性の板状の近接場光発生板を配置し、これに対して裏面側から光を照射することにより近接場光を発生させる熱アシスト磁気ヘッドが開示されている。特に、特許文献2や非特許文献1には、近接場光発生板の一部を媒体に向かって突出させた構造が開示されており、このような構造では媒体に対して近接場光がその突出された部分から選択的にかつ高強度に放射させられるものと考えられる。
【特許文献1】特開2001−255254号公報
【特許文献2】特開2003−114184号公報
【非特許文献1】T. Matsumoto et al., Near-Field Optical Probe with A Beaked MetallicPlate for Thermally Assisted magnetic Recording, pp. 6-7, MORIS2006 WORKSHOPTechnical Digest, June 6-8, 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の文献では、近接場光発生板の所望の部分を媒体に向かって突出させる方法について詳しく開示はされていなかった。
【0005】
従って、本発明の目的は、近接場光発生板の所望の部分を媒体に向かって突出させることが容易な近接場光発生板、熱アシスト磁気ヘッド、この熱アシスト磁気ヘッドを備えたHGA及びこのHGAを備えたハードディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる近接場光発生板は、主面が媒体と対向するように配置され、その主面の内の一の部分と他の部分とが互いに異なる導電材料から形成された近接場光発生板である。
【0007】
本発明によれば、近接場発生板の主面すなわち媒体対向面の内の一の部分と他の部分とが互いに異なる導電材料から形成されている。したがって、このような媒体対向面は、媒体対向面側からの研磨やエッチング等の表面除去工程により、一の部分と他の部分との表面高さの差を材料物性の違いに基づいて容易に形成できるものである。したがって近接場光発生板における媒体への突出度合いを各部分毎に制御しやすく、媒体対向面の内の所望の部分を選択的に媒体に向かって突出させた近接場光発生板が容易に得られる。
【0008】
ここで、導電材料は、それぞれ、Pd,Pt,Rh,Ir,Ru,Au,Ag,Cu及びAlからなる金属群から選択される一つの1種の金属又は複数種の合金であることが好ましい。これにより、可視光の波長領域において効果的に表面プラズモンを誘起し、近接場光を発生させることができるという効果がある。
【0009】
また、一の部分の導電材料は、他の部分の導電材料よりも硬度が高い又はエッチング速度が低いことが好ましい。これにより、研磨やエッチングによる表面除去工程により容易に一の部分の表面高さを他の部分よりも高くすることができる。
【0010】
また、一の部分が他の部分に比べて媒体に向かって突出していることが好ましい。特に突出している部分に電荷が集中するので、この突出している部分から近接場光を選択的に媒体に向けて放射させることができ、記録密度の向上に資する。
【0011】
また、媒体対向面に対して垂直な方向から見て、その一の部分が尖端部を有していると、特に一の部分の尖端部の先端から選択的に近接場光が放射されて好ましい。尖端部は一の部分に1つのみ有することが好ましい。
【0012】
また、一の部分はAuCuからなり、他の部分はAuからなることが好ましい。
【0013】
本発明にかかる熱アシスト磁気ヘッドは、媒体対向面に露出して磁界を発生する磁極、外部から光を受け入れて前記媒体対向面に導く導波路、及び、前記導波路の媒体対向面に配置された上述の近接場光発生板を備えた熱アシスト磁気ヘッドである。
【0014】
また、本発明にかかる他の熱アシスト磁気ヘッドは、媒体対向面に露出して磁界を発生する磁極、外部から光を受け入れて媒体対向面に導く導波路、及び、導波路の媒体対向面に配置された上述の近接場光発生板を備え、媒体対向面において、近接場光発生板の一の部分が他の部分よりも磁極に近い。これにより、近接場光発生板のうち近接場光が選択的に放射される一の部分と磁極とが近くなるので、近接場光による媒体加熱から記録磁界印加までの時間を短くすることができ、近接場光によって加熱された媒体の温度が大きく低下する前に媒体に対して記録磁化を印加することができる。
【0015】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、上述の熱アシスト磁気ヘッドと、熱アシスト磁気ヘッドを支持するサスペンジョンとを備えたヘッドジンバルアセンブリである。
【0016】
また、本発明に係るハードディスク装置は、上述のヘッドジンバルアセンブリと、磁気記録媒体と、を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接場発光部の所望の部分を媒体に向かって容易に突出させることができるので、近接場光のスポット径をより小さくすることができ、熱アシスト磁気記録方式による高密度記録を容易に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一の要素は、同一の参照番号を用いて示されている。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
【0019】
図1は、本発明によるハードディスク装置及びHGA(ヘッドジンバルアセンブリ)の一実施形態における要部の構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1の熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。ここで、HGAの斜視図においては、HGAの磁気ディスク表面に対向する側が上になって表示されている。
【0020】
(ハードディスク装置)
図1の(A)において、ハードディスク装置1は、スピンドルモータ11の回転軸の回りを回転する複数の磁気記録媒体である磁気ディスク10、熱アシスト磁気ヘッド21をトラック上に位置決めするためのアセンブリキャリッジ装置12、この熱アシスト磁気ヘッド21の書き込み及び読み出し動作を制御し、さらに後に詳述する熱アシスト磁気記録用のレーザ光を発生させる光源であるレーザダイオードを制御するための記録再生及び発光制御回路(制御回路)13を備える。
【0021】
アセンブリキャリッジ装置12には、複数の駆動アーム14が設けられている。これらの駆動アーム14は、ボイスコイルモータ(VCM)15によってピボットベアリング軸16を中心にして角揺動可能であり、この軸16に沿った方向にスタックされている。各駆動アーム14の先端部には、HGA17が取り付けられている。各HGA17には、熱アシスト磁気ヘッド21が、各磁気ディスク10の表面に対向するように設けられている。磁気ディスク10の表面に対向する面が熱アシスト磁気ヘッド21の媒体対向面S(エアベアリング面とも呼ばれる)である。なお、磁気ディスク10、駆動アーム14、HGA17及び熱アシスト磁気ヘッド21は、単数であってもよい。
【0022】
(HGA)
HGA17は、図1の(B)に示すように、サスペンション20の先端部に、熱アシスト磁気ヘッド21を固着し、さらにその熱アシスト磁気ヘッド21の端子電極に配線部材203の一端を電気的に接続して構成される。サスペンション20は、ロードビーム200と、このロードビーム200上に固着され支持された弾性を有するフレクシャ201と、フレックシャの先端に板ばね状に形成されたタング部204と、ロードビーム200の基部に設けられたベースプレート202と、フレクシャ201上に設けられておりリード導体及びその両端に電気的に接続された接続パッドからなる配線部材203とから主として構成されている。
【0023】
配線部材としては、図2に示すように、記録信号用の一対の電極パッド237、237、読出信号用の一対の電極パッド238、238、光源駆動用の一対の電極パッド247、248を有している。
【0024】
なお、本発明のHGA17におけるサスペンションの構造は、以上述べた構造に限定されるものではないことは明らかである。なお、図示されていないが、サスペンション20の途中にヘッド駆動用ICチップを装着してもよい。
【0025】
(熱アシスト磁気ヘッド)
図2〜図4に示すように、熱アシスト磁気ヘッド21は、スライダ22と、光源支持基板230及び熱アシスト磁気記録用の光源となるレーザダイオード40を備えた光源ユニット23とが、スライダ基板220の背面2201及び光源支持基板230の接着面2300を接面させて接着、固定された構成を有している。ここで、スライダ基板220の背面2201は、スライダ22の媒体対向面Sとは反対側の面である。また、光源支持基板230の底面2301がフレクシャ201のタング部204に、例えば、エポキシ樹脂等の接着剤により接着されている。
【0026】
(スライダ)
スライダ22は、スライダ基板220及びデータ信号の書き込み及び読み出しを行う磁気ヘッド部32を備えている。
【0027】
スライダ基板220は、板状を呈し、適切な浮上量を得るように加工された媒体対向面Sを有する。スライダ基板220は導電性のアルティック(Al2O3−TiC)等から形成されている。
【0028】
磁気ヘッド部32は、スライダ基板220の媒体対向面Sに対して略垂直な側面である集積面2202に形成されている。磁気ヘッド部32は、磁気情報を検出する磁気検出素子としてのMR効果素子33、磁界の生成により磁気情報を書き込む垂直(面内でも良い)磁気記録素子としての電磁コイル素子34、MR効果素子33及び電磁コイル素子34の間を通して設けられている平面導波路としての導波路35、磁気ディスクの記録層部分を加熱するための近接場光を発生させる近接場光発生板36、及び、これらMR効果素子33、電磁コイル素子34、導波路35及び近接場光発生板36を覆うように集積面2202上に形成された絶縁層38と、絶縁層38の層面から露出した、MR効果素子33に2つずつ接続されている一対の信号端子用の電極パッド371、371、電磁コイル素子34に2つずつ接続されている一対の信号端子用の電極パッド373、373、及び、スライダ基板220と電気的に接続されているグランド用の電極パッド375を備えている。MR効果素子33、電磁コイル素子34及び近接場光発生板36は、媒体対向面Sに露出している。以下、詳細に説明する。
【0029】
図4は熱アシスト磁気ヘッド21の磁気ヘッド部近傍の断面図である。図4に示すように、MR効果素子33は、MR積層体332と、このMR積層体332を挟む位置に配置されている下部シールド層330及び上部シールド層334とを含む。下部シールド層330及び上部シールド層334は、例えば、フレームめっき法を含むパターンめっき法等によって形成された厚さ0.5〜3μm程度のNiFe、CoFeNi、CoFe、FeN若しくはFeZrN等の磁性材料で構成することができる。上下部シールド層334及び330は、MR積層体332が雑音となる外部磁界の影響を受けることを防止する。
【0030】
MR積層体332は、面内通電型(CIP(Current In Plane))巨大磁気抵抗(GMR(Giant Magneto Resistance))多層膜、垂直通電型(CPP(CurrentPerpendicular to Plane))GMR多層膜、又はトンネル磁気抵抗(TMR(Tunnel Magneto Resistance))多層膜等の磁気抵抗効果膜を含み、非常に高い感度で磁気ディスクからの信号磁界を感受する。
【0031】
MR積層体332は、例えば、TMR効果多層膜を含む場合、IrMn、PtMn、NiMn、RuRhMn等からなる厚さ5〜15nm程度の反強磁性層と、例えば強磁性材料であるCoFe等、又はRu等の非磁性金属層を挟んだ2層のCoFe等から構成されており反強磁性層によって磁化方向が固定されている磁化固定層と、例えばAl、AlCu等からなる厚さ0.5〜1nm程度の金属膜が真空装置内に導入された酸素によって又は自然酸化によって酸化された非磁性誘電材料からなるトンネルバリア層と、例えば強磁性材料である厚さ1nm程度のCoFe等と厚さ3〜4nm程度のNiFe等との2層膜から構成されておりトンネルバリア層を介して磁化固定層との間でトンネル交換結合をなす磁化自由層とが、順次積層された構造を有している。
【0032】
MR効果素子33と導波路35との間には、下部シールド層330と同様の材料からなる素子間シールド層148が形成されている。素子間シールド層148は、MR効果素子33を、電磁コイル素子34より発生する磁界から遮断して読み出しの際の外来ノイズを防止する役割を果たす。また、素子間シールド層148と導波路35との間に、さらに、バッキングコイル部が形成されていてもよい。バッキングコイル部は、電磁コイル素子34から発生してMR効果素子33の上下部電極層を経由する磁束ループを打ち消す磁束を発生させて、磁気ディスクへの不要な書き込み又は消去動作である広域隣接トラック消去(WATE)現象の抑制を図るものである。
【0033】
MR積層体332の媒体対向面Sとは反対側のシールド層330、334間、シールド層330、334、148の媒体対向面Sとは反対側、下部シールド層330とスライダ基板220との間、及び、素子間シールド層148と導波路35との間にはアルミナ等から形成された絶縁層38が形成されている。
【0034】
なお、MR積層体332がCIP−GMR多層膜を含む場合、上下部シールド層334及び330の各々とMR積層体332との間に、アルミナ等により形成されたアルミナ等の絶縁用の上下部シールドギャップ層がそれぞれ設けられる。さらに、図示は省略するが、MR積層体332にセンス電流を供給して再生出力を取り出すためのMRリード導体層が形成される。一方、MR積層体332がCPP−GMR多層膜又はTMR多層膜を含む場合、上下部シールド層334及び330はそれぞれ上下部の電極層としても機能する。この場合、上下部シールドギャップ層とMRリード導体層とは不要であって省略される。
【0035】
MR積層体332のトラック幅方向の両側には、図示は省略するが、磁区の安定化用の縦バイアス磁界を印加するための、CoTa,CoCrPt,CoPt等の強磁性材料からなるハードバイアス層が形成される。
【0036】
電磁コイル素子34は、垂直磁気記録用が好ましく、図4に示すように、媒体対向面Sに露出する主磁極層340、ギャップ層341a、コイル絶縁層341b、コイル層342、及び補助磁極層344を備えている。
【0037】
主磁極層340は、コイル層342によって誘導された磁束を、書き込みがなされる磁気ディスク(媒体)の記録層まで収束させながら導くための導磁路である。ここで、主磁極層340の媒体対向面S側の端部のトラック幅方向(図4の奥行き方向)の幅及び積層方向(図4の左右方向)の厚みは、他の部分に比べて小さくすることが好ましい。この結果、高記録密度化に対応した微細で強い書き込み磁界を発生可能となる。具体的には、例えば、磁気ヘッド部を媒体対向面S側から見た図5に示すように、リーディング側すなわちスライダ基板220側の辺の長さがトレーリング側の辺の長さよりも短い逆台形となるように媒体対向面S側の主磁極層340の先端を先細にすることが好ましい。すなわち、主磁極層340の媒体対向面側の端面には、ロータリーアクチュエータでの駆動により発生するスキュー角の影響によって隣接トラックに不要な書き込み等を及ぼさないように、ベベル角θが付けられている。ベベル角θの大きさは、例えば、15°程度である。実際に、書き込み磁界が主に発生するのは、トレーリング側の長辺近傍であり、磁気ドミナントの場合にはこの長辺の長さによって書き込みトラックの幅が決定される。
【0038】
ここで、主磁極層340は、例えば、媒体対向面S側の端部での全厚が約0.01〜約0.5μmであって、この端部以外での全厚が約0.5〜約3.0μmの、例えばフレームめっき法、スパッタリング法等を用いて形成されたNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成されていることが好ましい。また、トラック幅は、例えば、100nmとすることができる。
【0039】
図4に示すように、補助磁極層344の媒体対向面S側の端部は、補助磁極層344の他の部分よりも層断面が広いトレーリングシールド部を形成している。補助磁極層344は、主磁極層340の媒体対向面S側の端部とアルミナ等の絶縁材料により形成されたギャップ層341a,コイル絶縁層341bを介して対向している。このような補助磁極層344を設けることによって、媒体対向面S近傍における補助磁極層344と主磁極層340との間において磁界勾配がより急峻になる。この結果、信号出力のジッタが小さくなって読み出し時のエラーレートを小さくすることができる。
【0040】
補助磁極層344は、例えば、厚さ約0.5〜約5μmの、例えばフレームめっき法、スパッタリング法等を用いて形成されたNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成されている。
【0041】
ギャップ層341aは、コイル層342と主磁極層340とを離間しており、例えば、厚さ約0.01〜約0.5μmの、例えばスパッタリング法、CVD法等を用いて形成されたAl2O3又はDLC等から構成されている。
【0042】
コイル層342は、例えば、厚さ約0.5〜約3μmの、例えばフレームめっき法等を用いて形成されたCu等から構成されている。主磁極層340の後端と補助磁極層344の媒体対向面Sから離れた部分とが結合され、コイル層342はこの結合部分を取り囲むように形成されている。コイル層342は、図4等において1層であるが、2層以上又はヘリカルコイルでもよい。
【0043】
コイル絶縁層341bは、コイル層342と、補助磁極層344とを離間し、例えば、厚さ約0.1〜約5μmの熱硬化されたアルミナやレジスト層等の電気絶縁材料から構成されている。
【0044】
導波路35は、MR効果素子33と電磁コイル素子34との間に位置していて集積面2202と平行に伸長しており、磁気ヘッド部32の媒体体対向面Sから、磁気ヘッド部32の媒体対向面とは反対側の面32aまで伸びており、図6に示すように、矩形の板状のものである。導波路35は、ともに媒体対向面Sに対して垂直に形成された、トラック幅方向において対向する2つの側面351a,351b、集積面2202と平行な2つの上面352a、下面352b、媒体対向面Sを形成する出口面353、及び、出口面353とは反対側の入口面354を有している。導波路35の上面352a、下面352b、2つの側面351a、351bは、導波路35よりも屈折率が小さく導波路35に対するクラッドとして機能する絶縁層38と接している。
【0045】
この導波路35は、入口面354から入射した光を、この両側面351a、351b、及び上面352a、下面352bで反射させつつ、媒体対向面S側の端面である出口面353に導くことが可能となっている。導波路35の図6におけるトラック幅方向の幅W35は例えば、1〜200μmとすることができ、厚みT35は例えば2〜10μmとすることができ、高さH35は10〜300μmとすることができる。
【0046】
導波路35は、何れの部分においても、絶縁層38を形成する材料よりも高い屈折率nを有する、例えばスパッタリング法等を用いて形成された誘電材料から構成されている。例えば、絶縁層38が、SiO2(n=1.5)から形成されている場合、導波路35は、Al2O3(n=1.63)から形成されていてもよい。さらに、絶縁層38が、Al2O3(n=1.63)から形成されている場合、導波路35は、Ta2O5(n=2.16)、Nb2O5(n=2.33)、TiO(n=2.3〜2.55)又はTiO2(n=2.3〜2.55)から形成されていてもよい。導波路35をこのような材料で構成することによって、材料そのものが有する良好な光学特性によるだけではなく、界面での全反射条件が整うことによって、レーザ光の伝播損失が小さくなり、近接場光の発生効率が向上する。
【0047】
近接場光発生板36は、図2、図4〜図7に示すように、導波路35の出口面353のほぼ中央に配置されている板状部材である。図4及び図6に示すように、近接場光発生板36は、その主面が媒体対向面Sに露出して媒体と対向するように導波路35の出口面353に埋設されている。図5に示すように、近接場光発生板36は、媒体対向面Sから見て三角形状を呈し、導電材料により形成されている。導電材料としては、Au等の金属や合金等が挙げられる。
【0048】
三角形の底辺36dがスライダ基板220の集積面2202と平行すなわちトラック幅方向と平行に配置され、底辺36dと向き合う尖った尖端部36cが底辺36dよりも電磁コイル素子34の主磁極層340側に配置されており、具体的には、尖端部36cが主磁極層340のリーディング側エッジと対向するように配置されている。近接場光発生板36の好ましい形態は、底辺36dの両端の2つの底角がいずれも同じとされた二等辺三角形である。
【0049】
図5及び図7に示すように、近接場光発生板36は、主磁極340から遠い導電層36a(他の部分)と、主磁極340に近い導電層36b(一の部分)とが、それぞれ互いに異なる導電材料から形成されている。互いに異なるとは組成が異なるということであり、組成が異なることにより研磨速度やエッチング速度等の表面除去速度を、主磁極340から遠い導電層36a(他の部分)と、主磁極340に近い導電層36b(一の部分)とで異ならせることができる。具体的には、近接場光発生板36の導電層36a,36bは、それぞれ、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Au、Ag、Cu及びAlからなる群から選択される1種の金属又は複数種の合金から形成されていることが好ましい。
【0050】
また、近接場光発生板の主磁極340に近い導電層36bには、近接場光を選択的に発光させる場所として、とがった尖端部36cが含まれていることが好ましく、特に、ひとつの尖端部のみを有しているとより好ましい。図5において、尖端部36cの尖端の曲率半径は5〜100nmとすることが好ましい。
【0051】
三角形の高さH36は、入射されるレーザ光の波長よりも十分に小さく、20〜400nmとすることが好ましい。底辺36dの幅W36は、入射されるレーザ光の波長よりも十分に小さく、20〜400nmとすることが好ましい。
【0052】
また、本実施形態では、特に図7に示すように、主磁極340に近い導電層36bの媒体対向面36bSは、主磁極340から遠い導電層36aの媒体対向面36aSよりも媒体10に向かって突出している。例えば、主磁極340に近い導電層36bの厚みT36bは例えば10〜100nmとすることができ、媒体対向面36aSと媒体対向面36bSとの段差Dは例えば5〜50nmとすることができる。
【0053】
このような近接場光発生板36が導波路35の出口面353に設けられていると、近接場光発生板36の導電層36bの内の尖端部36c近傍に電界が集中して尖端部36c近傍から媒体に向かって選択的に近接場光が発生する。これについては後で詳述する。
【0054】
そして、このスライダ22において、図2に示すように、電極パッド371、371がそれぞれフレクシャ201の電極パッド237、237にボンディングワイヤにより電気的に接続され、電極パッド373、373がそれぞれフレクシャ201の電極パッド238、238にボンディングワイヤにより接続され、これによりそれぞれ電磁コイル素子及びMR効果素子が駆動される。また、図4のビアホール375aによりスライダ基板220と電気的に接続された電極パッド375が、図2に示すように、フレクシャ201の電極パッド247とボンディングワイヤにより接続され、スライダ基板220の電位を電極パッド247により例えばグラウンド電位に制御できる。
【0055】
(光源ユニット)
次いで、熱アシスト磁気ヘッド21の光源ユニット23の構成要素について説明する。
【0056】
図2〜図4に示すように、光源ユニット23は、光源支持基板230、及び、外形形状が板状のレーザダイオード(光源)40を主として備える。
【0057】
光源支持基板230はアルティック(Al2O3−TiC)等からなる基板であり、スライダ基板220の背面2201に接着している接着面2300を有している。図4に示すように、接着面2300にはアルミナ等の断熱層230aが形成されている。この接着面2300を底面とした際の一つの側面である素子形成面2302上に、アルミナ等の絶縁材料から形成された絶縁層41が設けられており、この絶縁層41の上に、電極パッド47、48が形成され、電極パッド47上にレーザダイオード40が固定されている。
【0058】
詳しくは、図2及び図3に示すように、電極パッド47、48は、絶縁層41の表面かつ媒体対向面Sと交差する面411、言い換えると、スライダ基板220の集積面2202と平行な面411上に、レーザ駆動用に形成されている。電極パッド47は、図4に示すように、絶縁層41内に設けられたビアホール47aにより光源支持基板230と電気的に接続されている。また、電極パッド47は、レーザダイオード40駆動時の熱をビアホール47aを介して光源支持基板230側へ逃がすためのヒートシンクとしても機能する。
【0059】
電極パッド47は、図2に示すように、絶縁層41の面411の中央部にトラック幅方向に伸びて形成されている。一方、電極パッド48は、電極パッド47からトラック幅方向に離間した位置に形成されている。各電極パッド47、48は、半田リフローによるフレクシャ201との接続のために、さらに、フレクシャ201側に向かって伸びている。
【0060】
電極パッド47、48は、それぞれ、フレクシャ201の電極パッド247、248とリフロー半田により電気的に接続されており、これにより光源の駆動が可能となっている。また、電極パッド47は上述のように光源支持基板230と電気的に接続されているため、電極パッド247により光源支持基板230の電位を例えばグラウンド電位に制御することが可能となっている。
【0061】
電極パッド47、48は、例えば、厚さ10nm程度のTa、Ti等からなる下地層を介して形成された、厚さ1〜3μm程度の、例えば真空蒸着法やスパッタリング法等を用いて形成されたAu、Cu等の層から形成することができ。
【0062】
そして、レーザダイオード40は、電極パッド47の上にAu−Sn等の導電性の半田材料からなる半田層42(図4参照)により電気的に接続されている。このとき、レーザダイオード40は、電極パッド47の一部のみを覆うように電極パッド47に対して配置されている。
【0063】
図8のように、レーザダイオード40は、通常、光学系ディスクストレージに使用されるものと同じ構造を有していてよく、例えば、n電極40aと、n−GaAs基板40bと、n−InGaAlPクラッド層40cと、第1のInGaAlPガイド層40dと、多重量子井戸(InGaP/InGaAlP)等からなる活性層40eと、第2のInGaAlPガイド層40fと、p−InGaAlPクラッド層40gと、*n−GaAs電流阻止層40hと、p−GaAsコンタクト層40iと、p電極40jとが順次積層された構造を有する。これらの多層構造の劈開面の前後には、全反射による発振を励起するためのSiO2、Al2O3等からなる反射膜50及び51が成膜されており、レーザ光が放射される出光端400には、一方の反射膜50における活性層40eの位置に開口が設けられている。このようなレーザダイオード40は、膜厚方向に電圧が印加されることにより、出光端400からレーザ光を出射する。
【0064】
放射されるレーザ光の波長λLは、例えば600〜650nm程度である。ただし、近接場光発生板36(図2)の金属材料に応じた適切な励起波長が存在することに留意しなければならない。例えば、近接場光発生板36としてAu及びその合金を用い、三角形の高さH36が100nm程度の場合、レーザ光の波長λLは、600nm近傍が好ましい。
【0065】
レーザダイオード40の大きさは、上述したように、例えば、幅(W40)が200〜350μm、長さ(奥行き、L40)が250〜600μm、厚み(T40)が60〜200μm程度である。ここで、レーザダイオード40の幅W40は、電流阻止層40hの対向端の間隔を下限として、例えば、100μm程度までに小さくすることができる。ただし、レーザダイオード40の長さは、電流密度と関係する量であり、それほど小さくすることはできない。いずれにしても、レーザダイオード40に関しては、搭載の際のハンドリングを考慮して、相当の大きさが確保されることが好ましい。
【0066】
また、このレーザダイオード40の駆動においては、ハードディスク装置内の電源が使用可能である。実際、ハードディスク装置は、通常、例えば2V程度の電源を備えており、レーザ発振動作には十分の電圧を有している。また、レーザダイオード40の消費電力も、例えば、数十mW程度であり、ハードディスク装置内の電源で十分に賄うことができる。
【0067】
そして、図4において、レーザダイオード40のn電極40aが電極パッド47にAuSn等の半田層42により固定されている。ここで、レーザダイオード40の出光端400が図4の下向きすなわち出光端400が接着面2300と平行になるようにレーザダイオード40が光源支持基板230に固定されており、出光端400はスライダ22の導波路35の入口面354と対向可能となっている。実際のレーザダイオード40の固定においては、例えば、電極パッド47の表面に厚さ0.7〜1μm程度のAuSn合金の蒸着膜を成膜し、レーザダイオード40を乗せた後、熱風ブロア下でホットプレート等による200〜300℃程度までの加熱を行って固定すればよい。また、図2及び図8に示すように、電極パッド48と、レーザダイオード40のp電極40jと、がボンディングワイヤにより電気的に接続されている。なお、電極パッド47と接続される電極は、n電極40aでなくてもp電極40jでもかまわず、この場合、n電極40aが電極パッド48とボンディングワイヤにより接続される。
【0068】
ここで、上述したAuSn合金による半田付けをする場合、光源ユニットを例えば300℃前後の高温に加熱することになるが、本実施形態によれば、この光源ユニット23がスライダ22とは別に製造されるため、スライダ内の磁気ヘッド部がこの高温の悪影響を受けずに済む。
【0069】
そして、上述のスライダ22の背面2201と光源ユニット23の接着面2300とが、図4に示すように、例えば、UV硬化型接着剤等の接着剤層44により接着されており、レーザダイオード40の出光端400が導波路35の入口面354と対向するように配置されている。
【0070】
なお、レーザダイオード40及び電極パッドの構成は、当然に、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、レーザダイオード40は、GaAlAs系等、他の半導体材料を用いた他の構成のものであってもよい。さらに、レーザダイオード40と電極との半田付けに、他のろう材を用いて行うことも可能である。さらにまた、レーザダイオード40を、ユニット基板上に直接、半導体材料をエピタキシャル成長させることによって形成してもよい。
【0071】
ここで、スライダ22及び光源ユニット23の大きさは任意であるが、例えば、スライダ22は、トラック幅方向の幅700μm×長さ(奥行き)850μm×厚み230μmの、いわゆるフェムトスライダであってもよい。この場合、光源ユニット23は、これとほぼ同じ幅及び長さを有することができる。実際、例えば、通常用いられるレーザダイオードの典型的な大きさは、幅250μm×長さ(奥行き)350μm×厚み65μm程度であり、例えば、この大きさの光源支持基板230の側面にこの大きさのレーザダイオード40を設置することが、十分に可能となっている。なお、光源支持基板230の底面に溝を設け、この溝内にレーザダイオード40を設けることも可能である。
【0072】
また、導波路35の入口面354に達したレーザ光のファーフィールドパターンのスポットにおいて、トラック幅方向の径を、例えば0.5〜1.0μm程度とし、この径に直交する径を、例えば1〜5μm程度とすることができる。これに対応して、このレーザ光を受け取る導波路35の厚みT35を、例えばスポットよりも大きな2〜10μm程度とし、導波路35のトラック幅方向の幅(W35)を、例えば1〜200μm程度とすることが好ましい。
【0073】
なお、断熱層230aは、スライダ基板220の背面2201に形成されていてもよく、全く設けなくても実施は可能である。
【0074】
(製造方法)
続いて、上述の熱アシスト磁気ヘッドの製造方法について簡単に説明する。
【0075】
まず、スライダ22を製造する。具体的には(図4参照)、スライダ基板220を用意し、公知の方法を用いてMR効果素子33及び素子間シールド層148を形成し、さらに下地としてAl2O3等の絶縁層38の一部(以下38aとする)を形成する。
【0076】
続いて、導波路35及び近接場光発生板36を形成する。この工程を、図9及び図10を参照して詳しく説明する。図9及び図10は、導波路35及び近接場光発生板36の形成方法の一実施形態を説明する斜視図である。
【0077】
まず、図9の(A)に示すように、最初に、Al2O3等の絶縁層38a上に、導波路35の一部となる、絶縁層38aよりも屈折率の高いTa2O5等の誘電体膜35aを成膜し、その上に、導電層36a及び導電層36bを順次製膜し、その上に、リフトオフ用の底部が窪んだレジストパターン1002を形成する。ここで導電層36a及び36bは、互いに異なる導電材料から形成する。
【0078】
次いで、図9の(B)に示すように、イオンミリング法等を用いて、レジストパターン1002の直下を除いて、導電層36a及び36bの不要部分を除去することにより、誘電体膜35aの上に、下部が広い台形状の断面形状を有し導電層36a及び36bからなる近接場光発生板用積層体36を形成する。
【0079】
その後、図9の(C)に示すように、レジストパターン1002を除去した後に、台形状の近接場光発生板用積層体36の両斜面側からそれぞれイオンミリング法等により各斜面の一部をそれぞれ除去して、断面三角形状の近接場光発生板用積層体36を形成する。
【0080】
続いて、図9の(D)に示すように、近接場光発生板用積層体36を覆うように誘電体膜35a上に誘電体膜35aと同じ材料による誘電体膜35bを成膜し、将来媒体対向面が形成される側に近接場光発生板用積層体36の端面を形成するためのレジストパターン1003を積層し、図10の(A)に示すように、将来媒体対向面が形成される側とは反対側において、近接場光発生板用積層体36及び誘電体膜35bをイオンミリング法等により除去し、その後、除去した部分に誘電体膜35bと同じ材料により誘電体膜35cを成膜する。
【0081】
さらに、図10の(B)に示すように、誘電体膜35b、35c上に、さらに、誘電体膜35bと同じ材料により誘電体膜35dを積層し、所定の幅となるように、誘電体膜35a,35b,35c,35dをパターニングすることにより、導波路35がほぼ完成する。
【0082】
さらに、その後、図10の(C)に示すように、導波路35を覆うように絶縁層38aと同じ材料で絶縁層38bを更に形成することにより、クラッド層としての絶縁層38が完成する。そして、近接場光発生板用積層体36が露出している側から所定距離に渡って表面を除去することにより所定の厚みの近接場光発生板36及び媒体対向面Sを形成する。
【0083】
この表面除去方法は特に限定されず、例えば、機械的研磨や化学機械研磨(CMP)等のラッピング(研磨)法、イオンビームエッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング、化学エッチング等のエッチング法、これらの任意の組み合わせ等の種々の方法により媒体対向面側の表面を所定厚み除去する工程である。そして、近接場光発生板36においては、導電層36a及び36bが互いに異なる導電材料からなるので、表面除去速度(研磨速度、エッチング速度等)に違いが生じ、導電層36aと導電層36bとの間に図7に示す微小な段差Dを容易に生じさせることができる。
【0084】
ここで、導電層36a及び36bの導電材料の組み合わせは、媒体対向面の表面除去の方法に応じて、あらかじめ当該表面除去方法において表面除去速度が互いに異なる組み合わせとする。すなわち、媒体に向かって突出させたい部分に相対的に表面除去速度が低い導電材料の層を配置し、媒体に向かって突出させたくない部分に相対的に表面除去速度が高い導電材料の層を配置する。具体的には、例えば、ラッピングの場合には互いに硬度の異なる導電材料を用いればよく、エッチングの場合には互いにエッチング速度が異なる導電材料を用いればよい。
【0085】
また、近接場光発生板36の主磁極340から遠い導電層36aの表面除去速度が、主磁極340に近い導電層36bの表面除去速度よりも大きくなるような導電材料の組成の組合せとすることが好ましい。例えば、研磨速度、すなわち、硬度に差をつける観点からは、近接場光発生板36の主磁極340から遠い導電層36aがAuからなり、主磁極340に近い導電層36bがAuCuからなる態様が好ましい。
【0086】
以上の工程により、近接場光発生板36を備えた導波路35を形成することができる。
【0087】
その後、図4に示すように公知の方法により、電磁コイル素子34を形成し、その後、アルミナ等による絶縁層38を形成し、接続のための電極パッド371等を形成し、その後エアベアリング面やその裏面のラッピングを行うことによりスライダ22が完成する。この後、スライダ22の電磁コイル素子34やMR効果素子33のテストを各スライダごとに行い良品を選別する。
【0088】
続いて、光源ユニット23を製造する。まず、図4に示すように、アルティック製等の光源支持基板230を用意し、その表面に公知の方法により断熱層230a、絶縁層41及び電極パッド47、48を形成し、電極パッド47の上にレーザダイオード40をAuSn等の導電性の半田材により固定し、その後、基板の切断分離等により所定の大きさに整形する。これにより、光源ユニット23が完成する。このようにして得た光源ユニットも、レーザダイオードの特性評価、特に、高温連続通電試験による駆動電流のプロファイルを観察し、十分に寿命が長いと考えられるものを選択する。
【0089】
その後、図11(A)に示すように、良品とされた光源ユニット23の接着面2300と、良品とされたスライダ22の背面2201のいずれか又は両方にUV硬化型接着剤44aを塗布する。UV硬化型接着剤としては、UV硬化型エポキシ樹脂や、UV硬化型アクリル樹脂等が挙げられる。また、光源ユニット23とスライダ22との接着に、UV硬化型接着剤以外の接着剤例えば、レーザダイオード40と電極パッド47との接着に用いたAuSn等の半田層を用いても実施は可能である。
【0090】
そして、図11(B)に示すように、光源ユニット23の接着面2300とスライダ22の背面2201とを重ね合わせた後、電極パッド47,48間に電圧を印加してレーザダイオード40を発光させると共に、導波路35の出口面353に光検出器DTを対向配置し、光源ユニット23とスライダ22とを相対的に図11(B)の矢印方向に移動させ、最も光検出器DTの出力が高くなる位置を探し出し、その位置で、外部からUV硬化型接着剤に紫外線を照射することによりUV硬化型接着剤44aを硬化させ、これによりレーザダイオードの光軸と導波路35の光軸とを合わせた状態で光源ユニット23とスライダ22との接着をすることができる。
【0091】
(作用)
続いて、本実施形態にかかる熱アシスト磁気ヘッド21の作用について説明する。
【0092】
書き込み又は読み出し動作時には、熱アシスト磁気ヘッド21は、回転する磁気ディスク(媒体)10の表面上において流体力学的に所定の浮上量をもって浮上する。この際、MR効果素子33及び電磁コイル素子34の媒体対向面S側の端が磁気ディスク10と微小なスペーシングを介して対向することによって、データ信号磁界の感受による読み出しとデータ信号磁界の印加による書き込みとが行われる。
【0093】
ここで、データ信号の書き込みの際、光源ユニット23から導波路35を通って伝播してきたレーザ光が近接場光発生板36に到達し、近接場光発生板36から近接場光が発生する。この近接場光によって、後述するように、熱アシスト磁気記録を行うことが可能となる。
【0094】
ここで、近接場光は、入射されるレーザ光の波長及び導波路35の形状にも依存するが、一般に、媒体対向面Sから見て近接場光発生板36の境界で最も強い強度を有する。特に、本実施形態では、図4において、レーザダイオード40の積層方向が図4の左右方向とされており、近接場光発生板36に到達する光の電界ベクトルは図4の左右方向、すなわち、図5の上下方向となる。さらに、本実施形態では、図7に示すように、電界ベクトルの方向に突出する尖端部36cを含む導電層36bが、導電層36aよりも媒体に向かって突出しているので、導電層36bの尖端部36c近傍にて最も強い近接場光の放射が起こり、導電層36aのエッジや角からの近接場光の放射を抑制できる。そして、磁気ディスクの記録層部分を光により加熱する熱アシスト作用において、この尖端部36c近傍と対向する部分が、主要な加熱作用部分となる。
【0095】
この近接場光の電界強度は、入射光に比べて桁違いに強く、この非常に強力な近接場光が、磁気ディスク表面の対向する局所部分を急速に加熱する。これにより、この局所部分の保磁力が、書き込み磁界による書き込みが可能な大きさまでに低下するので、高密度記録用の高保磁力の磁気ディスクを使用しても、電磁コイル素子34による書き込みが可能となる。なお、近接場光は、媒体対向面Sから磁気ディスクの表面に向かって、例えば10〜30nm程度の深さまで到達する。従って、10nm又はそれ以下の浮上量である現状において、近接場光は、十分に記録層部分に到達することができる。また、このように発生する近接場光のトラック幅方向の幅や媒体移動方向の幅は、上述の近接場光の到達深さと同程度であって、また、この近接場光の電界強度は、距離が離れるに従って指数関数的に減衰するので、非常に局所的に磁気ディスクの記録層部分を加熱することができる。
【0096】
以上に述べたような熱アシスト磁気記録方式を採用することにより、高保磁力の磁気ディスクに垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドを用いて書き込みを行い、記録ビットを極微細化することによって、例えば、1Tbits/in2級の記録密度を達成することも可能となり得る。
【0097】
なお、本実施形態では、光源ユニット23を用いることによって、スライダ22の導波路35の入口面(端面)354に、導波路35の層面に平行な方向に伝播するレーザ光を入射させることができる。すなわち、集積面2202と媒体対向面Sとが垂直である構成を有する熱アシスト磁気ヘッド21において、適切な大きさ及び方向を有するレーザ光が、確実に供給可能となる。その結果、磁気ディスクの記録層の加熱効率が高い熱アシスト磁気記録を実現可能としている。
【0098】
また、本実施形態によれば、磁気ヘッド部32がスライダ基板220に固定され、光源であるレーザダイオード40が光源支持基板230にそれぞれ別に固定されているので、スライダ基板220に固定された電磁コイル素子34と、光源支持基板230に固定されたレーザダイオード40とをそれぞれ独立に試験した上で、良品であるスライダ22と良品である光源ユニット23とを互いに固定することにより良品である熱アシスト磁気ヘッド21を歩留まり良く製造できる。
【0099】
また、磁気ヘッド部32がスライダ基板220の側面に設けられているので、従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法を用いて磁気ヘッド部32の電磁コイル素子34やMR効果素子33等を容易に形成できる。
【0100】
さらに、レーザダイオード40が媒体対向面Sから離れた位置かつスライダ22の近傍にあるので、レーザダイオード40から発生する熱による電磁コイル素子34やMR効果素子33等への悪影響やレーザダイオード40と磁気ディスク10との接触等の可能性が抑制されると共に、光ファイバ、レンズ、ミラー等が必須では無いので光の伝播損失が低減でき、さらに、磁気記録装置全体の構造も簡単にできる。
【0101】
なお、レーザダイオード40の配置方法は上述の記載に限定されず、スライダ基板220と光源支持基板230とが一体化されたものであっても良く、また、光ファイバ等によりレーザダイオード40からの光を導波路35や近接場光発生板36に導いてもよい。さらに、スライダ基板220の媒体対向面に導波路35及び近接場光発生板36を配置しても本発明の実施は可能である。
【0102】
また、電磁コイル素子34が、長手磁気記録用であってもかまわない。この場合、主磁極層340及び補助磁極層344の代わりに、下部磁極層及び上部磁極層が設けられ、さらに、下部磁極層及び上部磁極層の媒体対向面S側の端部に挟持された書き込みギャップ層が設けられる。この書き込みギャップ層位置からの漏洩磁界によって書き込みが行われる。
【0103】
また、近接場光発生板の形状も、上述のものに限られず、たとえば、三角形でなく尖端部36cの尖端がやや平らになった台形状でも実施可能であり、また、三角形状または台形状の板を、その尖端部同士が所定距離離間して対向するように一対配置した、いわゆる「蝶ネクタイ型」構造でも実施可能である。この「蝶ネクタイ型」構造においては、その中心部に非常に強い電界の集中が発生する。いずれの場合であっても、近接場光を発生させたい部分とそれ以外の部分とで近接場光発生板の材質を替え、近接場光を発生させたい部分を他の部分に比べて媒体に向かって突出させればよい。例えば、台形の場合には尖端部(上底側)が他の部分(下底側)よりも媒体に突出するように材質を選択すればよい。また、一対の板を配置した蝶ネクタイ構造の場合には、各板の尖端部が各板の他の部分よりも媒体に突出するように材質を選択すればよい。
【0104】
また、近接場光発生板36において、媒体対向面Sに直交する厚み方向の全てを同一材質とする必要は無く、例えば、図12に示すように、媒体対向面側は互いに異なる導電材料から形成された2つの導電層36a、36bから形成されている一方、媒体対向面とは反対側はひとつの導電層36bから形成されても構わない。すなわち、媒体対向面Sにおいて互いに異なる導電材料から形成された2つの導電層があればよい。また、導電層が2つでなく3つ以上あっても構わない。
【0105】
また、表面除去工程前の近接場光発生板の製法も上述のものに限定されず、例えば、媒体対向面側からミリング法等により導波路の端面に近接場光発生板を収容するトレンチを掘り、そのトレンチ内に導電材料をスパッタリング等により埋め込むことにより形成しても良い。
【0106】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、本発明によるハードディスク装置及びHGAの一実施形態における要部の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のHGAの先端付近の拡大斜視図である。
【図3】図3は、図1の熱アシスト磁気ヘッドの構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】図4は、図3の熱アシスト磁気ヘッドの媒体対向面に垂直な断面図である。
【図5】図5は、図4の熱アシスト磁気ヘッドの媒体対向面から見た概略図である。
【図6】図6は、図3の熱アシスト磁気ヘッドにおける導波路及び近接場光発生板を示す斜視図である。
【図7】図7は、図6の近接場光発生板の拡大図であり、(a)は媒体対向面から見た平面図、(b)は(a)の水平断面図である。
【図8】図8は、レーザダイオードの構成を示す概略斜視図である。
【図9】図9は、導波路及び近接場光発生板の製造方法を(A)〜(D)の順に示す斜視図である。
【図10】図10は、導波路及び近接場光発生板の製造方法を(A)〜(D)の順に示す図9に続く斜視図である。
【図11】図11は、熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を(A),(B)の順に示す斜視図である。
【図12】図12は、近接場光発生板の他の形態を示す水平断面図である。
【符号の説明】
【0108】
1…ハードディスク装置、10…磁気ディスク(記録媒体)、17…ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)、20…サスペンジョン、21…熱アシスト磁気ヘッド、22…スライダ、220…スライダ基板、2202…集積面、23…光源ユニット、230…光源支持基板、32…磁気ヘッド部、33…MR効果素子(磁気検出素子)、34…電磁コイル素子(磁気記録素子)、35…導波路、354…入口面(端面)、36…近接場光発生板、40…レーザダイオード(光源)、400…出光端、S…媒体対向面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面が媒体と対向するように配置され、
前記主面の内の一の部分と他の部分とが互いに異なる導電材料から形成された近接場光発生板。
【請求項2】
前記導電材料は、それぞれ、Pd,Pt,Rh,Ir,Ru,Au,Ag,Cu及びAlからなる金属群から選択される1種の金属単体又は複数種の合金である請求項1記載の近接場光発生板。
【請求項3】
前記一の部分の導電材料は、前記他の部分の導電材料よりも硬度が高い又はエッチング速度が低い請求項1又は2記載の近接場光発生板。
【請求項4】
前記一の部分が前記他の部分に比べて媒体に向かって突出している請求項1〜3のいずれか記載の近接場光発生板。
【請求項5】
前記媒体対向面に対して垂直な方向から見て、前記一の部分に尖端部を有する請求項3又は4記載の近接場光発生板。
【請求項6】
前記一の部分はAuCuからなり、前記他の部分はAuからなる請求項3〜5のいずれか記載の近接場光発生板。
【請求項7】
媒体対向面に露出して磁界を発生する磁極、外部から光を受け入れて前記媒体対向面に導く導波路、及び、前記導波路の媒体対向面に配置された請求項1〜6のいずれか記載の近接場光発生板を備えた熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項8】
媒体対向面に露出して磁界を発生する磁極、外部から光を受け入れて前記媒体対向面に導く導波路、及び、前記導波路の媒体対向面に配置された請求項3〜6のいずれか記載の近接場光発生板を備え、
前記媒体対向面において、前記近接場光発生板の前記一の部分が前記他の部分よりも前記磁極に近い熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項9】
請求項7又は8記載の熱アシスト磁気ヘッドと、前記熱アシスト磁気ヘッドを支持するサスペンジョンとを備えたヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のヘッドジンバルアセンブリと、磁気記録媒体と、を備えたハードディスク装置。
【請求項1】
主面が媒体と対向するように配置され、
前記主面の内の一の部分と他の部分とが互いに異なる導電材料から形成された近接場光発生板。
【請求項2】
前記導電材料は、それぞれ、Pd,Pt,Rh,Ir,Ru,Au,Ag,Cu及びAlからなる金属群から選択される1種の金属単体又は複数種の合金である請求項1記載の近接場光発生板。
【請求項3】
前記一の部分の導電材料は、前記他の部分の導電材料よりも硬度が高い又はエッチング速度が低い請求項1又は2記載の近接場光発生板。
【請求項4】
前記一の部分が前記他の部分に比べて媒体に向かって突出している請求項1〜3のいずれか記載の近接場光発生板。
【請求項5】
前記媒体対向面に対して垂直な方向から見て、前記一の部分に尖端部を有する請求項3又は4記載の近接場光発生板。
【請求項6】
前記一の部分はAuCuからなり、前記他の部分はAuからなる請求項3〜5のいずれか記載の近接場光発生板。
【請求項7】
媒体対向面に露出して磁界を発生する磁極、外部から光を受け入れて前記媒体対向面に導く導波路、及び、前記導波路の媒体対向面に配置された請求項1〜6のいずれか記載の近接場光発生板を備えた熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項8】
媒体対向面に露出して磁界を発生する磁極、外部から光を受け入れて前記媒体対向面に導く導波路、及び、前記導波路の媒体対向面に配置された請求項3〜6のいずれか記載の近接場光発生板を備え、
前記媒体対向面において、前記近接場光発生板の前記一の部分が前記他の部分よりも前記磁極に近い熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項9】
請求項7又は8記載の熱アシスト磁気ヘッドと、前記熱アシスト磁気ヘッドを支持するサスペンジョンとを備えたヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のヘッドジンバルアセンブリと、磁気記録媒体と、を備えたハードディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−159192(P2008−159192A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348253(P2006−348253)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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