説明

近接場光発生素子の製造方法

【課題】 本発明の目的は、高度な微細加工技術を用いなくても、素子先端部分を簡便かつ低コストで加工することである。
【解決手段】 本発明は、多角推の形状をした錐台102を有し、錐台102の先端に形成された開口から近接場光を発生する近接場光発生素子の製造方法であって、錐台102の側面上に金属膜を形成する形成工程と、金属膜を形成した後に錐台102の側面上と頂面において残存している金属膜の残滓に対して外力を与えることにより残滓を除去する残滓除去工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、近接場光を発生させる近接場光発生素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近接場光発生素子は、高密度な情報記録再生を行う光記録装置における光ヘッドや、高解像度での観察を行う近接場光顕微鏡における光プローブなどに用いられている。近接場光技術は、光の回折限界を超える微小領域の光学情報を扱うことが出来るため、従来の光技術では到達し得ない、高い記録密度や分解能を得られると期待されている。
【0003】
近接場光発生素子は、微小かつ強力な近接場光のスポットを得ることが主たる課題である。その課題に対して、既にいくつかの形状が提案されている。特許文献1では、近接場光発生素子の先端に設けた光学的開口の輪郭形状を三角形として、入射光の偏光方向と三角形の一辺が直交する構造にすることで、その一辺に局在化した強い近接場光を発生させている(三角開口方式)。非特許文献1および特許文献2では、四角錐の4つの側面のうち対向する2面に金属膜を形成し、その2面が四角錐頂点付近で光の波長以下のギャップを有し、2面の金属膜はそれぞれギャップ部に曲率半径が数十nm 以下の頂点を有しており、ギャップ部に局在化した強い近接場光を発生させている(ボウタイアンテナ方式)。
【0004】
特許文献1の三角開口方式の近接場光発生素子については既に製造方法が開示されており、比較的容易に製造することが出来る。しかしながら、非特許文献1および特許文献2のボウタイアンテナ方式の近接場光発生素子については、金属膜頂点やギャップ部の形状に数nm から数十nm 程度の加工を必要とすることから、一般的には電子線描画装置や集束イオンビーム装置などの極めて高度な微細加工技術を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001 −118543 号公報
【特許文献2】特開2002 −221478 号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Technical Digest of 6th international conference on nearfield optics and related techniques, the Netherlands,Aug.27-31,2000,p100
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来技術のうち、ボウタイアンテナ方式の近接場光発生素子の製造において、金属膜頂点やギャップ部の形状加工に用いる高度な微細加工技術では、一回工程で近接場光発生素子単体のみでしか加工ができず、特に近接場光発生素子の先端部分(素子先端部分)を加工するのに長時間が掛かり、更に加工費用が高くなることから、比較的簡便かつ大量生産に適したボウタイアンテナ方式の近接場光発生素子の製造方法が求められている。
【0008】
そこで、本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、高度な微細加工技術を用いなくても、上記素子先端部分を簡便かつ低コストで加工することができる近接場光発生素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明の製造方法は、多角錐の形状をした錐台を有し、前記錐台の先端に形成された開口から近接場光を発生する近接場光発生素子の製造方法であって、前記錐台の側面上に金属膜を形成する形成工程と、前記金属膜を形成した後に前記錐台の前記側面上と頂面において残存している前記金属膜の残滓に対して外力を与えることにより前記残滓を除去する残滓除去工程と、を含むことを特徴とするものである。
また、前記残滓除去工程は、研磨材を用いることにより前記残滓を研磨して除去する工程を含むことを特徴とするものである。
また、前記残滓除去工程は、前記頂面に残存している前記残滓に対して前記外力による衝撃を与えて前記残滓を塑性変形させた後、超音波洗浄により前記残滓を除去することを特徴とするものである。
また、前記残滓除去工程は、前記残滓に対して所定圧力の気体を噴き付けることにより、前記残滓を除去することを特徴とするものである。
また、前記残滓除去工程は、前記残滓に対して所定圧力の気体により固体粒子を噴き付け、前記残滓を除去することを特徴とするものである。
また、前記残滓除去工程は、溶液中に前記金属膜を浸漬した状態で前記残滓を研磨することを特徴とするものである。
また、前記残滓除去工程は、前記研磨を開始した後に超音波洗浄を行うことを特徴とするものである。
【0010】
また、前記所定圧力の気体により前記固体粒子を噴き付ける工程において、時間経過に伴って前記固体粒子の径とは異なる径を有する他の固体粒子を噴き付ける工程を含むことを特徴とするものである。
また、前記研磨材と前記残滓との摩擦抵抗は、前記研磨材により前記残滓が少なくなるにつれて減少するものであり、前記研磨を行う工程において、前記摩擦抵抗を測定し、測定した前記摩擦抵抗が所定値に達するまで前記残滓を研磨することを特徴とするものである。
また、前記研磨材は、表面に凹凸部を有しかつ前記凹凸部は前記錐台よりも柔らかい部材からなることを特徴とするものである。
また、前記部材が繊維からなることを特徴とするものである。
また、前記部材が多孔質の素材からなることを特徴とするものである。
また、前記残滓除去工程は、前記錐台の向かい合う2つの側面上に前記金属膜を成形した後に前記2つの側面上のそれぞれに残った前記残滓を同時に除去する工程からなることを特徴とするものである。
また、前記残滓除去工程は、まず前記錐台の向かい合う2つの側面のいずれかの一側面に前記金属膜を成形した後に残った前記残滓を除去し、次に他側面に前記金属膜を成形した後に残った前記残滓を除去することを特徴とするものである。
また、前記錐台は複数個からなり、前記複数個の前記錐台の向かい合う前記2つの側面上に金属膜を形成した後、前記複数個の前記錐台のそれぞれに残った前記残滓の除去を同時に行うことを特徴とするものである。
また、前記金属膜がAu からなることを特徴とするものである。
また、前記固体粒子はドライアイス粉末からなることを特徴とするものである。
また、前記形成工程は、前記錐台の第一の側面、及び前記錐台の面のうち、前記第一の側面に対向する第二の側面を除く他面に犠牲層を形成する工程と、前記第一の側面に対向する第二の側面と前記犠牲層の少なくとも一部との上に前記金属膜の母材を形成する工程と、前記母材を形成した後に、前記犠牲層と前記犠牲層の上の前記母材をリフトオフ法を用い除去する工程と、を含むことを特徴とするものである。
また、前記犠牲層が金属からなることを特徴とするものである。
また、前記犠牲層の膜厚が5nm 以上かつ100nm 以下であることを特徴とするものである。
また、前記残滓除去工程において、前記錐台の後端側から先端側に向けて光を照射し、前記錐台の前記開口から外部へ透過される光の透過率を測定し、測定した前記透過率が所定値に達するまで前記残滓を研磨することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高度な微細加工技術を用いなくても、上記素子先端部分を簡便かつ低コストで加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図と側面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図と側面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の断面拡大図と上面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の断面拡大図と上面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の断面拡大図と上面図と斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の製造方法を示す断面拡大図と上面図である。
【図9】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の製造方法を示す断面拡大図である。
【図10】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の製造方法を示す断面拡大図と上面図である。
【図11】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の製造方法を示す斜視図と断面拡大図である。
【図12】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の上面図と断面拡大図と斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図と側面図である。
【図14】本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図と側面図である。
【図15】本発明の実施の形態2における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図と側面図である。
【図16】本発明の実施の形態2における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図と側面図である。
【図17】本発明の実施の形態3における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態3における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図である。
【図19】本発明の実施の形態3における近接場光発生素子の断面図である。
【図20】本発明の実施の形態4における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図である。
【図21】本発明の実施の形態5における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態1における近接場光発生素子の概略を示す。図1(a )は斜視図であり、図1(b )は上面図である。光学的に透明な基板101上に四角錐台102が配置され、四角錐台102は側面102a(図1 では金属膜103 に隠れて見えない)、102b (図1 では金属膜104に隠れて見えない)、102c 、102d および頂面102e を有する。基板101 は石英ガラスなどを用いる。側面102aと側面10 2bは互いに対向配置され、また側面102cと側面102dも互いに対向配置されている。側面102a上には金属膜103が形成され、側面102b上には金属膜104 が形成されている。金属膜103および金属膜104はいずれも膜厚数nm から数十nm 程度のAu 膜を用いる。この金属膜103と金属膜104がいわゆるボウタイアンテナを形成している。
【0014】
頂面102eは長方形であり、側面102aおよび側面102bに接する辺の長さをd1とし、側面102cおよび側面102dに接する辺の長さをg1とする。側面102aおよび側面102b上の金属膜103および金属膜104は、頂面102e近傍において先鋭化された形状を有しており、その鋭さがd1で表される。また、金属膜103と金属膜104は頂面102e近傍において隙間を有しており、その大きさがg1によって表される。d1 、g1のいずれも数nmから数十nm程度の値を有する。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態1 における近接場光発生素子の四角錐台102の製造方法を示す断面図である。側面102aと側面102bおよび頂面102eを横切り、基板101に垂直な面を断面A とし、側面102cと側面102d および頂面102e を横切り基板101に垂直な面を断面Bとする。図2左に断面A 、図2右に断面Bにおける断面図を示す。
【0016】
まず、ステップS201に示すように、基板101の上面にエッチングマスク201を形成する。エッチングマスク201はフォトリソグラフィーで加工されたフォトレジスト薄膜である。エッチングマスク201は長方形であり、その2辺は断面A に平行であり、それらの長さはg2である。残りの2辺は断面Bに平行であり、それらの長さはd2である。
【0017】
次にステップS202に示すように、基板101のエッチングをおこなう。エッチングはウエットエッチングでもドライエッチングでも良いが、等方性エッチングである必要がある。例えば、基板101 を石英ガラスとすると、フッ化水素酸水溶液によるウエットエッチングを用いると良い。基板101 のエッチングにより、エッチングマスク201の下には四角錐台102が形成される。
【0018】
次にステップS203に示すように、エッチングマスク201を除去する。エッチングマスク201の除去にはアセトンなどの有機溶媒や発煙硝酸などを用いる。エッチングマスク201を除去すると、四角錐台102の頂面102eが露出する。頂面102eは、上述したように、長方形であり一辺の長さがd1 、直交するもう一辺の長さがg1となっている。ここで重要なのは、d1とg1の比が、エッチングマスク201の辺の長さd2とg2の比と等しいことである。エッチングマスク201の縦横比と基板101のエッチング量を調整することで、d1とg1それぞれの寸法を制御することが出来る。
図3(a)は四角錐台102の側面102a上に金属膜を形成する方法を示す断面図である。まず、ステップS301のように、側面102b上に、側面102bに対して垂直な方向D301から、スプレーコート法など指向性を有する樹脂膜形成方法を用いて、犠牲層301を形成する。このとき犠牲層301は、側面102bだけでなく、側面102bに隣接する側面102c 、102dおよび頂面102e上にも形成される。成膜方法の指向性により陰になるから、側面102bと向かい合わせとなる側面102a上には、犠牲層301は形成されない。犠牲層301はフォトレジストなどの樹脂膜からなり、その膜厚は数十nm から数μmである。
【0019】
次に、ステップS302に示すように、側面102a上に、側面102aに対して垂直な方向D302から、真空蒸着法など指向性を有する金属膜形成方法を用いて、金属膜302を形成する。このとき、金属膜302は側面102a上と頂面102e に載る犠牲層301 上だけでなく、側面102c 、102dに載る犠牲層301上にも形成される。
【0020】
次に、ステップS303に示すように、犠牲層301をアセトンなどの有機溶媒を用いてリフトオフする。また、その際に超音波を付加するとより容易に犠牲層301を剥離することが出来る。このとき、犠牲層301に載る金属膜302も剥離され、側面102aに載る金属膜302のみが残る。金属膜302の頂面102e側には残滓303が残る。図3(b)は図3(a)のS303においてのD303方向の側面図である。図3(b)に示すように、側面側にも残滓303a、303bが残る。
【0021】
次に、図4(a) は四角錐台102の側面102b上に金属膜を形成する方法を示す断面図である。ステップS401 に示すように、側面102a上に、側面102aに対して垂直な方向D401から、スプレーコート法など指向性を有するフォトレジスト形成方法を用いて、犠牲層401 を形成する。このとき犠牲層401は、側面102aだけでなく、側面102aに隣接する側面102c 、102dおよび頂面102e上にも形成される。成膜方法の指向性により陰になるから、側面102aと向かい合わせとなる側面102b上には、犠牲層401は形成されない。犠牲層401はフォトレジストからなり、その膜厚は数十nm から数μmである。
【0022】
次に、ステップS402に示すように、側面102b上に、側面102bに対して垂直な方向D402から、真空蒸着法など指向性を有する金属膜形成方法を用いて、金属膜402を形成する。このとき、金属膜402は側面102b上と頂面102eに載る犠牲層401上だけでなく、側面102c 、102dに載る犠牲層401上にも形成される。 次に、ステップS403に示すように、アセトンなどの有機溶媒を用いて犠牲層401を剥離する。また、その際に超音波を付加するとより容易に犠牲層401を剥離することが出来る。このとき、犠牲層401に載る金属膜402も剥離され、側面102bに載る金属膜402のみが残る。金属膜402の頂面102e側には残滓403が残る。図4(b)は43(a)のS403においてのD403方向の側面図である。図4(b)に示すように、側面側にも残滓403a、403bが残る。
【0023】
次に、最後の工程として、前記残滓303、303a、303bと403、403a、403bを除去することで、ステップS404の近接場光発生素子の金属膜103と104が加工される。
【0024】
以下に、図4での残滓303と残滓403が残るメカニズムについてその詳細を述べる。図5(a)は、図3のステップS302の頂面近傍の拡大図であり、図5(b)は、その上面図である。図5の状態からリフトオフ法を利用し、犠牲層301を剥離すると犠牲層301に載る金属膜302も剥離される。そのとき側面102a上には金属膜302の一部である金属膜302aが残るが、それと共に頂面102e側にも金属膜302の一部である金属膜302eが図3に示す残滓303として残ってしまう。また、残滓303が残る同様なメカニズムにより、金属膜103の下側面102aと102aに隣接する2側面102cと102dが成す稜線にも、図3に示す残滓303a、303bが残る。
【0025】
残滓303と303a、303bが残っている詳細な様子を図6に示す。図6(a)は図3のステップ303の頂面近傍の拡大図であり、図6(b)はその上面図である。
また、図4のステップS401の犠牲層401をリフトオフしても前記と同様なメカニズムで図4のステップS403のように残滓403が残ってしまう。また、残滓403が残る同様なメカニズムにより、金属膜104の下側面102bと102bに近接する2側面102cと102dが成す稜線にも、残滓403a、403bが残る。図7(a)は、図4のステップS403の頂面近傍の拡大図であり、図7(b)は、その上面図である。また、図7(c)は図4のステップS403の斜視図であり、それぞれ残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bが残っていることがわかる。
【0026】
次の図8では、残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを除去する方法を示す。四角錐台102の上方および側方から、外力P801から外力P805の内、いずれかの外力を与えて、残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを同時に塑性変形させ除去する。前記残滓除去方法の詳細については以下に述べる。
【0027】
まず、図9(a)に示すように、研磨材W901を用いD901方向に研磨を行うことで残滓303と残滓403を同時に除去することができる。また、図9(b)のように、錐台102を囲むような研磨材W902を用い、D902方向に研磨を行うことで、残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを同時に除去することができる。その際には、アセトン中に浸漬した状態で行うこともできる。前記の方法と超音波洗浄を並行して行うことで更に効率よく残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを除去することができる。また、表面に凹凸部を有しかつ前記凹凸部が四角錐台102より柔らかい材質である研磨材W901またはW902を用いると、四角錐台102を傷付けることなく研磨を行うことができる。また、四角錐台102の凹凸部が繊維からなりあるいは多孔質である場合は更なる研磨効果が得られる。
また、図10(a)に示すように、残滓303と403の上方から、W1001 を用いD1001方向へ衝撃を与え残滓303と残滓403を、図10(b )の1001と1002のような形に塑性変形させる。その後、更に超音波洗浄を追加することで残滓303と残滓403を同時に除去することができる。
【0028】
また、図11(a)に示すように、CO2ガスジェット(ドライアイスペレット)の吹き付け洗浄などのように、高圧力(所定圧力)を有する気体でドライアイスS1101などの固体粒子を四角錐台102の上方からD1101方向に吹き付ける方法を用いることによっても、残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを除去することが出来る。なお、上記所定圧力を有する気体には、例えば圧縮空気などが挙げられる。
【0029】
なお、圧縮空気の所定圧力は、8〜14気圧の範囲内であることが好ましい。但し、金属残滓のサイズによっては圧縮空気の所定圧力が当該範囲外であっても、金属残滓を取り去ることができるのは勿論のことである。
【0030】
また、図11(b)のように、残滓303と残滓403 の突出部先端の延長線から所定の角度を持ったD1101 方向から高圧力の気体によりドライアイスS1101などの固体粒子を吹き付ける方法を用いると、残滓303 と残滓403 を容易に除去することが出来る。また、前記の所定の角度が約90 度である場合、残滓にかかる力が最大となり更なる残滓の除去効果が得られる。前記所定の角度を持った前記固体粒子を吹き付ける方法は残滓303a、303bと残滓403a、403bの除去にも用いることができる。
【0031】
なお、所定圧力の気体により固体粒子を噴き付ける工程において、時間経過に伴って固体粒子の径とは異なる径を有する他の固体粒子が吹き付けられてもよい。当該他の固体粒子には、最初に吹き付けられた固体粒子の種類と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
CO2ガスジェット吹き付け洗浄の原理は、約−80℃のドライアイス粒子を圧縮空気によってノズルから残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bに衝突させる。その時、衝撃力による前記残滓の除去効果1と、また前記残滓が急激に冷却化されることで、マイクロクラックの発生による前記残滓の除去効果2が生まれる。また、前記残滓の界面に到達したドライアイス粒子が昇華する際の膨張エネルギーが発生することによって更なる前記残滓の除去効果3が生まれる。CO2ガスジェット吹き付け洗浄は対象物になる錐台102を傷つける事はなく、残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bのみを除去することかできる方法である。
【0033】
また、冷却された前記高圧力の気体だけを噴き付けることでも、前記の残滓除去効果2と3による残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを除去することができる。
【0034】
図12は残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bの除去後の頂面附近の様子を示す。図12(a)は図4ステップS404の頂面近傍の拡大図であり、図12(b)は図4ステップS404の頂面近傍の上面図である。また、図12(c)は図4ステップS404の頂面近傍の斜視図である。残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを除去することで、図12に示すように近接場光発生素子の近接場光発現に必要なサイズd1 、g1を持つ頂面102eを製造することができる。
【0035】
また、前記のいずれかの残滓除去方法を利用し、残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを同時に除去しなくても、図13(a)と(b)に示すように、ステップS303での残滓303、303a、303bを除去した後、また図14(a)と(b)のステップS403での残滓403、403a、403bを除去することで、残滓303、303a、303bと403、403a、403bをそれぞれ除去することができる。残滓303、303a、303bを先に除去することにより、図14のステップS401での犠牲層401の形成を容易かつ精度よく行うことができる。
また、犠牲層301と犠牲層401を薄くすることで、残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを更に低減させることができ、より容易に残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを除去することができる。
【0036】
本実施の形態でのすべての説明は、四角錐体以外の多面の側面を有する錐台に対しても有効である。マスクパターンを変更することで多面の側面を有する錐台を製造してから、金属膜の形成方法や残滓除去方法などは四角錐台での方法とほぼ同様である。
本実施の形態では、基板101上に複数個の四角錐台102を形成しても、金属膜形成時に互いに陰にならないため都合がよい。
【0037】
かかる本実施の形態の特徴によれば、ボウタイアンテナ方式の近接場光発生素子の最も重要なパラメータである2面の金属膜の頂面近傍での鋭さ、および頂面近傍での2面の金属膜の隙間を電子線描画装置や集束イオンビーム装置などの極めて高度な微細加工技術を用いなくも、容易に十分な精度で加工することができる。更に錐台に金属膜を成形した後、比較的低レベルな金属膜残滓除去方法を用いることで、容易に前記の鋭さ、および前記の隙間を数nmから数十nm程度とすることができる。
また、金属膜形成方法や金属膜の残滓を除去する手段が比較的簡単であるため、近接場光発生素子の製造において歩留まりが向上し低価額 での大量生産が可能になる。
また、残滓の除去により入射光の集光効率が向上することでS/N 比が向上し、より強力な近接場光を発生させることができる。集光効率が向上するということは比較的弱い入射光でも近接場光の発生が可能となり消費電力が減少する。
【0038】
(実施の形態2)
図15は、本発明の実施の形態2における近接場光発生素子の製造方法を示す断面図である。本実施の形態は実施の形態1に類似なものであるが、犠牲層として樹脂膜の代わりに金属膜を用いる点が異なる。以下に詳細を述べる。製造する近接場光発生素子の形状は図1に示したものとほぼ同様である。図15 は四角錐台102の側面102a上に金属膜を形成する方法を示す断面図である。図15左に断面A 、図10右に断面Bにおける断面図を示す。まず実施の形態1と同様の方法で四角錐台102を基板101上に形成する。つまり、図2のステップS203までは同様に加工をおこなう。
【0039】
次に、ステップS1501に示すように、側面102b上に、側面102bに対して垂直な方向D1501から、真空蒸着法など指向性を有する成膜方法を用いて、犠牲層1501を形成する。このとき犠牲層1501は、側面102bだけでなく、側面102bに隣接する側面102c 、102dおよび頂面102e上にも形成される。成膜方法の指向性により陰になるから、側面102bと向かい合う側面102a上には、犠牲層1501は形成されない。犠牲層1501はAl膜からなり、その膜厚は数nm から数百nmである。
【0040】
次に、ステップS1502に示すように、側面102a上に、側面102aに対して垂直な方向D1502 から、真空蒸着法など指向性を有する金属膜形成方法を用いて、金属膜1502を形成する。このとき、金属膜1502は側面102aだけでなく、犠牲層1501の一部の上にも形成されている。
【0041】
次に、ステップS1503に示すように、犠牲層1501を剥離する。このとき、犠牲層1501に載る金属膜1502も剥離され、側面102aに載る金属膜1502 のみが残る。また、金属膜1502の頂面102e側に残滓1503と側面側に図15(b)の残滓1503aと1503bが残る。犠牲層1501の剥離には、リン酸を主成分とした水溶液を用いる。
【0042】
次に、図16は四角錐台102の側面102b上に金属膜を形成する方法を示す断面図である。ステップS1601に示すように、側面102a上に、側面102aに対して垂直な方向D1601から、真空蒸着法など指向性を有する成膜方法を用いて、犠牲層1601を形成する。このとき犠牲層1601は、側面102aだけでなく、側面102aに隣接する側面102c 、102dおよび頂面102e上にも形成される。成膜方法の指向性により陰になるから、側面102aと向かい合わせとなる側面102b上には、犠牲層101は形成されない。犠牲層1601はAl膜からなり、その膜厚は数nm から数百nm である。
【0043】
次に、ステップS1602に示すように、側面102b上に、側面102bに対して垂直な方向D1602から、真空蒸着法など指向性を有する金属膜形成方法を用いて、金属膜1602を形成する。このとき、金属膜1602は側面102bだけでなく、犠牲層1601の一部の上にも形成されている。
【0044】
次にステップS1603 に示すように、リン酸を主成分とした水溶液を用いて犠牲層1601をリフトオフする。このとき、犠牲層1601に載る金属膜1602も剥離され、側面102aに載る金属膜1602のみが残る。また、金属膜1602の頂面102e側に残滓1603と側面側に図16(b)の残滓1603aと1603bが残る。
【0045】
次に、最後の工程としてS1603に示しているように、残滓1503、1503a、1503bと残滓1603、1603a、1603bを除去することで、ステップS1604の近接場光発生素子の金属膜103と金属膜104が加工される。
【0046】
実施の形態2においての残滓1503、1503a、1503bと残滓1603、1603a、1603bが残るメカニズムについては実施の形態1での残滓303と残滓403が残るメカニズムとほぼ同様であるため説明を省略する。
【0047】
残滓1503、1503a、1503bと残滓1603、1603a、1603bを除去する方法としては、実施の形態1に示すような方法と同様な方法で行う。前記残滓を除去することで、図12に示す形態とほぼ同様な近接場光発生素子の近接場光発現に必要なサイズd1 、g1を持つ頂面102eを製造することができる。また、実施の形態1で説明した研磨材W901、W902とほぼ同様の表面特徴や材質を有する研磨材を用いることで、残滓1503、1503a、1503bと残滓1603、1603a、1603bを効率よく除去することができる。
【0048】
また、犠牲層1501と犠牲層1601の膜厚が5nm 以下である場合、残滓1503と残滓1603の除去度合は良くなるが犠牲層1501と犠牲層1601の剥離に長時間がかかってしまい、効率が悪い。逆に犠牲層の膜厚が500nm 以上である場合は、犠牲層1501と犠牲層1601の剥離が短時間で行われるが、残滓1503と残滓1603の除去度合は悪くなる。犠牲層1501と犠牲層1601の膜厚が約100nm の場合、犠牲層1501と犠牲層1601が比較的短時間で剥離でき、更に残滓1503と残滓1603の除去度合も良くなる。
【0049】
本実施の形態でのすべての説明は、四角錐台以外の多面の側面を有する錐台に対しても有効である。
本実施の形態では、実施の形態1 の効果に加えて、真空蒸着法などの金属膜形成法を利用し犠牲層を形成するため、実施の形態1の樹脂犠牲層成膜の方法に比べ犠牲層の膜厚や指向性などの制御が容易に行われる。また、複数個の近接場光発生素子の作製において、犠牲層成膜を更に精度よく行うことができるため、金属膜形成の精度が向上すると共に、残滓のサイズやそれの低滅のための制御も比較的容易であることから、更なる歩留まり向上効果が得られる。
【0050】
(実施の形態3 )
実施の形態3では、実施の形態1あるいは2と同様な方法で複数個の四角錐台を製作してそれらの向かい合う両側面に金属膜を形成した後、複数個の四角錐台の頂面と側面に残っている金属膜の残滓を除去する方法を示す。
【0051】
図9と同様な方法で図17(a)に示すように、研磨材W1701 を用いD1701 方向に研磨を行うことで、複数個の近接場光発生素子の側面上と頂面に残っている残滓303、と残滓403を同時に除去することができる。
【0052】
また、図17(b)のように、錐台102を囲むような研磨材W1702を用い、D1702方向に研磨を行うことで、複数個の近接場光発生素子の側面上と頂面に残っている残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを同時に除去することができる。
【0053】
また、金属膜の残滓を除去する方法として、 図10と同様な方法で図18に示すように、W1802を用いD1802方向へ衝撃を与えることでも、複数個の近接場光発生素子の頂面に残っている残滓303と残滓403を同時に除去することができる。
【0054】
前記の残滓除去方法を用い、残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bを除去することで、複数個の近接場光発生素子の近接場光発現に必要なサイズd1 、g1を持つ頂面102eを製造することができる。図19には複数個の近接場光発生素子の残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bの除去後の断面図を示す。
【0055】
本実施の形態では、実施の形態1 と2の効果に加え、近接場光発生素子の製造において複数個の金属膜残滓を同時に除去できるので、更なる近接場光発生素子の製造効率の向上効果が得られると共に大量生産に適している。
【0056】
(実施の形態4 )
実施の形態4では、実施の形態1と2と3での研磨材を用いた残滓除去方法において、図20に示すように、研磨材W2001と残滓303と403との引っかかりに対する摩擦抵抗F2002を抵抗測定器M2003によって測定する。次に、摩擦抵抗測定値F2002aをコントローラM2004に与え、コントローラM2004が、アクチュエータM2005により研磨材W2001を動かす力F2006を制御するとこで、研磨終了時までF2002とF2006をフィードバックしながら研磨を行うことができる。前記の残滓除去方法を用いると、残滓が除去される度合をモニタリングすることができるため、更に定量的に精度かつ効率よく残滓除去を行うことができる。また大量生産にも適している。また、研磨材として図9(b)のW902を用いることで、図7の残滓303a、303bと残滓403a、403bの除去においても、前記と同様な方法により前記残滓が除去される度合をモニタリングすることができ、同様な効果が得られる。
【0057】
ここで、残滓303a、303b、403a、403bと研磨材W2001との摩擦抵抗F2002は、研磨材W2001により残滓303a、303b、403a、403bが少なくなるにつれて減少するものである。このため、コントローラM2004は、抵抗測定器M2003によって測定された摩擦抵抗F2002が所定値に達した場合には、アクチュエータM2005の動作を停止させる。
【0058】
これにより、残滓303a、303b、403a、403bを適切に除去し、それ以外の部分を削らないようにすることができ、錐台102の先端部分において近接場光を発生し得る開口をより確実に設けることができる。
【0059】
なお、前記の方法は複数個の近接場光発生素子の金属膜残滓除去にも有効である。
【0060】
(実施の形態5 )
実施の形態5では、実施の形態1と2と3に説明したいずれかの残滓除去方法と、以下に説明する残滓除去方法と並行することができる。
【0061】
図21に示すように、光源M2101からレーザー光L2102をレンズM2103に通し、集光された光L2104を基板101に入射させる。次に、頂面102eから透過された光L2105をレンズM2106で集光する。次に、光透過率測定器M2108が計算した検出光L2107の透過率R2109をコントローラM2110 に与え、光源M2101からのレーザー光L2102を制御することで、研磨終了時までレーザー光L2102と検出光L2107をフィードバックしながら残滓303、303a、303bと残滓403、403a、403bの除去を行うことができる。
【0062】
前記の残滓除去方法を用いると、 残滓が除去される度合をモニタリングすることができるため、更に定量的に精度かつ効率よく残滓除去を行うことができる。また大量生産にも適している。また、前記の方法は複数個の近接場光発生素子の金属膜残滓除去にも有効である。
【0063】
ここで、コントローラM2110は、計算された透過率R2109が所定値に達した場合には、残滓303、303a、303b、403、403a、403bの研磨を停止させる。これにより、残滓303、303a、303b、403、403a、403bを適切に除去し、それ以外の部分を削らないようにすることができ、錐台102の先端部分において近接場光を発生し得る開口をより確実に設けることができる。
【符号の説明】
【0064】
101 基板
102 四角錐台
102a 側面
102b 側面
102c 側面
102d 側面
102e 側面
103 金属膜
104 金属膜
201 エッチングマスク
301 犠牲層
D301 側面102bに対して垂直な方向
302 金属膜
D302 側面102aに対して垂直な方向
D303 側面102aの観察方向
302a 金属膜
302e 金属膜
303、303a、303b残滓
401 犠牲層
D401 側面102aに対して垂直な方向
402 金属膜
D402 側面102bに対して垂直な方向
D403 側面102aの観察方向
403、403a、403b残滓
P801 外力
P802 外力
P803 外力
P804 外力
P805 外力
W901、W902 研磨材
D901 研磨方向
W1001 衝撃材
D1001 衝撃方向
D1101 外力方向
S1101 固体粒子
1501 犠牲層
D1501 側面102bに対して垂直な方向
1502 金属膜
D1502 側面102aに対して垂直な方向
1502a 金属膜
1502e 金属膜
1503、1503a、1503b 残滓
1601 犠牲層
D1601 側面102aに対して垂直な方向
1602 金属膜
D1602 側面102bに対して垂直な方向
1603、1603a、1603b 残滓
W1701、W1702 研磨材
D1701、D1702 研磨方向
W1801 衝撃材
D1801 衝撃方向
W2001 研磨材
F2002 摩擦抵抗
M2003 抵抗測定器
F2002a 摩擦抵抗測定値
M2004 コントローラ
M2005 アクチュエータ
F2006 研磨材W2001を動かす力
M2101 光源
L2102 レーザー光
M2103 レンズ
L2104 集光光
L2105 透過光
M2106 レンズ
L2107 検出光
M2108 光透過率測定器
R2109 透過率
M2110 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角推の形状をした錐台を有し、前記錐台の先端に形成された開口から近接場光を発生する近接場光発生素子の製造方法であって、
前記錐台の側面上に金属膜を形成する形成工程と、前記金属膜を形成した後に前記錐台の前記側面上と頂面において残存している前記金属膜の残滓に対して外力を与えることにより前記残滓を除去する残滓除去工程と、を含むことを特徴とする近接場光発生素子の製造方法。
【請求項2】
前記残滓除去工程は、研磨材を用いることにより前記残滓を研磨して除去する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項3】
前記残滓除去工程は、前記頂面に残存している前記残滓に対して前記外力による衝撃を与えて前記残滓を塑性変形させた後、超音波洗浄により前記残滓を除去することを特徴とする請求項1に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項4】
前記残滓除去工程は、前記残滓に対して所定圧力の気体を噴き付けることにより、前記残滓を除去することを特徴とする請求項1に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項5】
前記残滓除去工程は、前記残滓に対して所定圧力の気体により固体粒子を噴き付けることにより、前記残滓を除去することを特徴とする請求項1に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項6】
前記残滓除去工程は、溶液中に前記金属膜を浸漬した状態で前記残滓を研磨することを特徴とする請求項2に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項7】
前記残滓除去工程は、前記研磨を開始した後に超音波洗浄を行うことを特徴とする請求項2に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項8】
前記所定圧力の気体により前記固体粒子を噴き付ける工程において、時間経過に伴って前記固体粒子の径とは異なる径を有する他の固体粒子を噴き付ける工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項9】
前記研磨材と前記残滓との摩擦抵抗は、前記研磨材により前記残滓が少なくなるにつれて減少するものであり、
前記研磨を行う工程において、前記摩擦抵抗を測定し、測定した前記摩擦抵抗が所定値に達するまで前記残滓を研磨することを特徴とする請求項2、6及び7のいずれかに記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項10】
前記研磨材は、表面に凹凸部を有しかつ前記凹凸部は前記錐台よりも柔らかい部材からなることを特徴とする請求項2及び9のいずれかに記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項11】
前記部材が繊維からなることを特徴とする請求項10に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項12】
前記部材が多孔質の素材からなることを特徴とする請求項10に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項13】
前記残滓除去工程は、前記錐台の向かい合う2つの側面上に前記金属膜を成形した後に前記2つの側面上のそれぞれに残った前記残滓を同時に除去することを特徴とする請求項

1乃至5、7のいずれかに記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項14】
前記残滓除去工程は、まず前記錐台の向かい合う2つの側面のいずれかの一側面に前記金属膜を成形した後に残った前記残滓を除去し、次に他側面に前記金属膜を成形した後に残った前記残滓を除去することを特徴とする請求項1乃至5、7のいずれかに記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項15】
前記錐台は複数個からなり、前記複数個の前記錐台の向かい合う2つの側面上に金属膜を形成した後、前記複数個の前記錐台のそれぞれに残った前記残滓の除去を同時に行うことを特徴とする請求項1に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項16】
前記金属膜がAu からなることを特徴とする請求項1、13乃至15のいずれかに記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項17】
前記固体粒子は、ドライアイス粉末からなることを特徴とする請求項5及び8のいずれかに記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項18】
前記形成工程は、
前記錐台の第一の側面、及び前記錐台の面のうち、前記第一の側面に対向する第二の側面を除く他面に犠牲層を形成する工程と、前記第二の側面と前記犠牲層の少なくとも一部の上に前記金属膜の母材を形成する工程と、前記母材を形成した後に、前記犠牲層と前記犠牲層の上の前記母材を除去する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項19】
前記犠牲層が金属からなることを特徴とする請求項18に記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項20】
前記犠牲層の膜厚が5nm 以上かつ500nm 以下であることを特徴とする請求項18及び19のいずれかに記載の近接場光発生素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−37527(P2012−37527A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208109(P2011−208109)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【分割の表示】特願2007−6233(P2007−6233)の分割
【原出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】