説明

近接検出装置

【目的】 複数の磁気センサを用いず、接続部材の回転により生じる誤検出を防止する近接検出装置を提供する。
【構成】 中継パイプ20がガス栓10に接続された状態で周方向に300度回転可能であり且つソケット30がパイプ20に接続されたか否かを検出する近接検出装置であって、ソケット30に設けられ且つソケット30がパイプ20に接続された接続状態でパイプ20の回転と共に旋回可能なマグネット500と、栓10に設けられ且つ前記接続状態でN極510に対向する内側ヨーク200aと、栓10に設けられ且つ前記接続状態でS極520に対向する外側ヨーク200bと、ヨーク200a、200bの間に配置される磁気センサ300とを備える。N極510が旋回の内側、S極520が旋回の外側に向いている。ヨーク200a、200bがN極510、S極520の旋回経路と略同じ円弧状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネットと、このマグネットの近接に応じて変化する磁束密度を検出する磁気センサとを備えた近接検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の近接検出装置としては、例えば、タイヤに連結された空気室内に該タイヤの空気圧の変化に応じて進退可能に設けられた可動体にマグネットを取り付け、このマグネットの進退に応じて変化する磁束密度を磁気センサで検出させることにより、タイヤの空気圧の減少を検出するタイヤ空気圧検出装置がある(特許文献1の図4参照)。
【0003】
前記近接検出装置は、ホース又はホースの先端部に設けられた接続具にマグネットを取り付ける一方、ガス栓に磁気センサを設け、前記マグネットが前記磁気センサに近接することにより変化する磁束密度を前記磁気センサに検出させることにより、前記ホース又は接続具が前記ガス栓に接続されているか否かを検出するガス器具用のセンサとして用いることが考えられている。
【0004】
ところで、前記ガス器具は、前記ホース又は接続具が前記ガス栓に接続された状態で前記ホースの周方向に回転可能となっている(特許文献2の図3及び図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−329524号公報
【特許文献2】特開平11−63344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記ホース又は接続具が回転すると、該ホース又は接続具に設けられたマグネットが前記ガス栓に設けられた磁気センサから離れてしまうため、前記近接検出装置は前記ホース又は接続具と前記ガス栓との接続が外れたと誤検出する可能性があった。
【0007】
もっとも、複数の前記磁気センサをガス栓に環状に配置すれば、前記ホース又は接続具が回転し、これに伴って前記マグネットが周方向に移動したとしても、該マグネットの近傍に位置する前記磁気センサによりホース又は接続具がガス栓に接続されていることを検出することができるが、複数の前記磁気センサが必要であり、該磁気センサに接続される配線が複雑になる。しかも、前記近接検出装置は、個々の前記磁気センサを制御して前記ホース又は接続具が前記ガス栓に接続されているか否かを検出しなければならないため、その制御が難しくなる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、複数の磁気センサを用いることなく、接続部材の周方向への回転により生じる前記誤検出を防止することができる近接検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の近接検出装置は、接続部材が接続対象に接続された状態で周方向に少なくとも所定角度回転可能になっており、且つ前記接続部材が前記接続対象に接続されたか否かを検出する装置である。この近接検出装置は、前記接続部材に設けられており且つ該接続部材の回転と共に旋回可能であるマグネットと、前記接続対象に設けられており且つ前記接続部材が前記接続対象に接続された状態で前記マグネットの第1の極に対向する第1のヨークと、前記接続対象に設けられており且つ前記接続部材が前記接続対象に接続された状態で前記マグネットの第2の極に対向する第2のヨークと、前記第1、第2のヨークの間に配置される磁気センサとを備えており、前記マグネットは第1の極が該マグネットの旋回の内側、第2の極が前記旋回の外側に向いており、前記第1のヨークは、前記マグネットの第1の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっており、前記第2のヨークは、前記マグネットの第2の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっている。
【0010】
このような第1の近接検出装置による場合、前記接続部材が前記接続対象に接続されると、前記接続部材に設けられたマグネットの第1、第2の極が前記接続対象に設けられた第1、第2のヨークに対向し、前記マグネット、第1、第2のヨーク及び磁気センサにより磁気回路が構成される。この磁気回路の磁束密度の変化が前記磁気センサにより検出され、これにより前記接続部材が前記接続対象に接続されたことが検出される。また、前記接続部材が前記接続対象に接続された状態で周方向に回転し、これに伴って前記マグネットが旋回した場合であっても、第1、第2のヨークは、前記マグネットの第1、第2の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状であるので、前記マグネットの第1、第2の極が第1、第2のヨークに対向した状態が維持される。すなわち、前記磁気回路が構成された状態が維持されるので、前記接続部材の回転により該接続部材が前記接続対象に接続されていないと誤検出されるのを防止することができる。また、前述のように旋回する前記マグネットを一つの磁気センサで検出することができるので、本近接検出装置の制御を簡単に行うことができる。
【0011】
前記第1又は第2のヨークの前記磁気センサに対向する部分に、該磁気センサに向けて凸部を設けることが可能である。この場合、前記凸部が前記磁気センサに向けて設けられているため、前記磁気回路の磁束を前記磁気センサに集中させることができる。よって、本第1の近接検出装置の検出精度を向上させることができる。
【0012】
前記接続部材が360度回転可能になっている場合、前記第1のヨークは、前記マグネットの第1の極の旋回経路と略同じ円環状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっており、前記第2のヨークは、前記マグネットの第2の極の旋回経路と略同じ円環状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっていることが好ましい。
【0013】
本願の第2の近接検出装置は、中継部材が接続対象に接続された状態で周方向に少なくとも所定角度回転可能になっており、且つ接続部材が前記中継部材に接続されたか否かを検出する装置である。この第2の近接検出装置は、前記接続部材に設けられており且つ該接続部材が前記中継部材に接続された状態で該中継部材の回転と共に旋回可能であるマグネットと、前記接続対象に設けられており且つ前記接続部材が前記中継部材に接続された状態で前記マグネットの第1の極に対向する第1のヨークと、前記接続対象に設けられており且つ前記接続部材が前記中継部材に接続された状態で前記マグネットの第2の極に対向する第2のヨークと、前記第1、第2のヨークの間に配置される磁気センサとを備えている。前記マグネットは第1の極が該マグネットの旋回の内側、第2の極が前記旋回の外側に向いており、前記第1のヨークは、前記マグネットの第1の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっており、前記第2のヨークは、前記マグネットの第2の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっている。
【0014】
このような第2の近接検出装置による場合、前記接続部材が前記中継部材に接続されると、前記接続部材に設けられたマグネットの第1、第2の極が、前記接続対象に設けられた前記第1、第2のヨークに対向し、前記マグネット、第1、第2のヨーク及び磁気センサにより磁気回路が構成される。この磁気回路の磁束密度の変化が前記磁気センサにより検出され、これにより前記接続部材が前記中継部材に接続されたことが検出される。また、前記接続部材が前記中継部材に接続された状態で該中継部材が周方向に回転し、これに伴って前記マグネットが旋回した場合であっても、第1、第2のヨークは、前記マグネットの第1、第2の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状であるので、前記マグネットの第1、第2の極は第1、第2のヨークに対向した状態を維持することができる。すなわち、前記磁気回路が構成された状態を維持することができるので、前記中継部材の回転により該接続部材が前記接続対象に接続されていないと誤検出されるのを防止することができる。また、前述のように旋回する前記マグネットを一つの磁気センサで検出することができるので、本近接検出装置の制御を簡単に行うことができる。
【0015】
前記第1又は第2のヨークの前記磁気センサに対向する部分に、該磁気センサに向けて凸部を設けることが可能である。この場合、前記凸部が前記磁気センサに向けて設けられているため、前記磁気回路の磁束を前記磁気センサに集中させることができる。よって、本第1の近接検出装置の検出精度を向上させることができる。
【0016】
前記第2の近接検出装置は、前記中継部材に前記接続部材の接続方向に移動自在に設けられた可動部を更に備えている場合、前記マグネットは、前記接続部材ではなく、前記可動部に設けられており、前記可動部は、前記接続部材が前記中継部材に接続されるのに伴って、該接続部材に押圧され、前記接続方向に移動するようになっている。
【0017】
この場合、前記接続部材が前記中継部材に接続されるときに、該接続部材に前記可動部が押圧され、前記接続方向に移動する。すると、前記可動部に設けられたマグネットの第1、第2の極が、前記接続対象に設けられた前記第1、第2のヨークに近接して対向し、前記マグネット、第1、第2のヨーク及び磁気センサにより磁気回路が構成される。この磁気回路の磁束密度の変化が前記磁気センサにより検出され、これにより前記接続部材が前記中継部材に接続されたことが検出される。また、前記接続部材が前記中継部材に接続された状態で該中継部材が前記可動部と共に周方向に回転し、これに伴って前記マグネットが旋回した場合であっても、第1、第2のヨークは、前記マグネットの第1、第2の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状であるので、前記マグネットの第1、第2の極は第1、第2のヨークに対向した状態を維持することができる。すなわち、前記磁気回路が構成された状態を維持することができるので、前記接続部材の回転により該接続部材が前記中継部材に接続されていないと誤検出されるのを防止することができる。また、前述のように旋回する前記マグネットを一つの磁気センサで検出することができるので、本近接検出装置の制御を簡単に行うことができる。
【0018】
前記中継部材が、前記接続対象に接続される第1端部と、この第1端部に対して略直角であり且つ前記接続部材が接続される第2端部とを有している場合、前記可動部は、前記中継部材の第2端部に設けられ且つ前記マグネットの第1、第2の極が第1、第2のヨークに対向する検出位置から前記マグネットの第1、第2の極が第1、第2のヨークに対向しない検出解除位置にかけて移動可能になっている。
【0019】
この場合、前記接続部材が前記中継部材に接続されるときに、該接続部材に前記可動部が押圧され、前記検出解除位置から検出位置にかけて移動する。すると、前記可動部に設けられたマグネットの第1、第2の極が、前記接続対象に設けられた前記第1、第2のヨークに近接して対向し、前記マグネット、第1、第2のヨーク及び磁気センサにより磁気回路が構成される。この磁気回路の磁束密度の変化が前記磁気センサにより検出され、これにより前記接続部材が前記中継部材に接続されたことが検出される。また、前記接続部材が前記中継部材に接続された状態で該中継部材の第1端部が周方向に回転し、これに伴って該中継部材の第2端部、可動部及びマグネットが旋回した場合であっても、第1、第2のヨークは、前記マグネットの第1、第2の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状であるので、前記マグネットの第1、第2の極は第1、第2のヨークに対向した状態を維持することができる。すなわち、前記磁気回路が構成された状態を維持することができるので、前記接続部材の回転により該接続部材が前記中継部材に接続されていないと誤検出されるのを防止することができる。また、前述のように旋回する前記マグネットを一つの磁気センサで検出することができるので、本近接検出装置の制御を簡単に行うことができる。
【0020】
前記中継部材が360度回転可能になっている場合、前記第1のヨークは、前記マグネットの第1の極の旋回経路と略同じ円環状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっており、前記第2のヨークは、前記マグネットの第2の極の旋回経路と略同じ円環状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る近接検出装置の概略的斜視図であって、(a)はソケットが中継用パイプに接続される前の状態を示す図、(b)はソケットが中継用パイプに接続された後の状態を示す図である。
【図2】前記近接検出装置の概略的断面図であって、(a)はソケットが中継部材に接続される前の状態を示す図、(b)はソケットが中継部材に接続された後の状態を示す図である。
【図3】前記近接検出装置の概略的分解斜視図である。
【図4】前記近接検出装置のマグネットと第1、第2のボディに収容された第1、第2のヨークとの位置関係を示す概略的正面図であって、(a)はマグネットのN極、S極が内側、外側ヨークに対向していない状態を示す図、(b)はマグネットのN極、S極が内側、外側ヨークに対向した状態を示す図である。
【図5】図4の第1、第2のボディを除去した概略的正面図であって、(a)はマグネットのN極、S極が内側、外側ヨークに対向していない状態を示す図、(b)はマグネットのN極、S極が内側、外側ヨークに対向した状態を示す図である。
【図6】前記近接検出装置のマグネットと第1、第2のヨークとの位置関係を示す模式図であって、(a)はマグネットのN極、S極が内側、外側ヨークに対向していない状態を示す図、(b)はマグネットのN極、S極が内側、外側ヨークに対向し、磁気回路が構成された状態を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る近接検出装置の概略的斜視図であって、(a)はソケットが中継用パイプに接続される前の状態を示す図、(b)はソケットが中継用パイプに接続された後の状態を示す図である。
【図8】前記近接検出装置の概略的断面図であって、(a)はソケットが中継パイプに接続される前の状態を示す図、(b)はソケットが中継パイプに接続された後の状態を示す図である。
【図9】前記近接検出装置の概略的分解斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る近接検出装置の概略的斜視図であって、(a)はゴムホースが中継用パイプに接続される前の状態を示す図、(b)はゴムホースが中継用パイプに接続された後の状態を示す図である。
【図11】前記近接検出装置の概略的断面図であって、(a)はゴムホースが中継パイプに接続される前の状態を示す図、(b)はゴムホースが中継パイプに接続された後の状態を示す図である。
【図12】前記近接検出装置の概略的分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例1乃至3に係る近接検出装置ついて上記図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0023】
まず、本発明の実施例1に係る近接検出装置について上記図1乃至図6を参照しつつ説明する。図1及び図2に示す近接検出装置は、ガスファンヒータ等のガス器具のガス栓10(接続対象)に接続された中継用パイプ20(中継部材)に、ソケット30(接続部材)が接続されたか否かを検出する装置である。以下、ガス栓10、中継パイプ20及びソケット30について説明した後に、前記近接検出装置について説明する。
【0024】
ガス栓10は、板状のベース部11と、このベース部11に設けられた円筒状の栓部12とを有する。ベース部11は前記ガス器具の本体に取り付けられる。栓部12は、大径部12aと、この大径部12aとベース部11との間を繋ぎ部位であり且つ該大径部12aよりも内径及び外径が小さい小径部12bとを有する。大径部12aの上縁部には円弧状の突起部12a1が設けられている。
【0025】
中継用パイプ20は略L字状のパイプである。この中継用パイプ21は、第1端部21と、この第1端部21に対して略直角な第2端部22とを有する。第1端部21は、ガス栓10の大径部12aに挿入される。この第1端部21が大径部12aに挿入された状態で、第1端部21は周方向に約300度回転可能となっている。第2端部22は、第1端部21の回転に応じて周方向に旋回すると、大径部12aの突起部12a1に当接するようになっている。すなわち、第2端部22が突起部12a1に当接することにより、中継パイプ20の第1端部21が約300度以上回転しないようになっている。図2に示すように、第2端部22の基端部の外形は多段形状となっている。また、第2端部22の先端部は、その外径が前記基端部よりも外径が小さい円柱状であって、その外周面に周方向に溝が形成されている。すなわち、第2端部22の先端部はソケット30に外嵌されるプラグ部となっている。
【0026】
ソケット30はゴムホース40の一端部に設けられた略円筒状のゴムや樹脂製の製品である。このソケット30は、第2端部22の先端部に外嵌し、接続される。この接続状態において、ゴムホース40から流入したガスが、ソケット30、中継パイプ20及び栓部12を通じて前記ガス器具に供給されるようになっている。
【0027】
上記近接検出装置は、図1及び図2に示すように、第1、第2のボディ100a、100bと、内側、外側ヨーク200a、200b(第1、第2のヨーク)と、磁気センサ300と、基板400と、マグネット500とを備えている。
【0028】
第1、第2のボディ100a、100bは樹脂製の射出成形品である。この第1、第2のボディ100a、100bは、図3に示すように、略半円弧状の本体部110a、110bと、本体部110a、110bの裏面の下側外縁部に立設された1/4円弧状の円弧壁部120a、120bと、この円弧壁部120a、120bの後端部に略直角に設けられたフランジ130a、130bとを有する。
【0029】
本体部110aの内径はガス栓10の大径部12aの図示右半分の外径に、本体部110bの内径はガス栓10の大径部12aの図示左半分の外径に対応した大きさとなっている。すなわち、本体部110a、110bが大径部12aを取り囲むように取り付けられる。本体部110a、110bの上端部の正面には、該本体部110a、110bが大径部12aに取り付けられた状態で、大径部12aの突起部12a1との干渉を避けるための凹部111a、111bが設けられている。また、本体部110aの上端部には半円柱状の凸部112aが設けられている。一方、本体部110bの上端部には凸部112aが嵌合する半円状の嵌合凹部112bが設けられている。
【0030】
本体部110aの凹部111a以外の正面部分には円弧状の内側、外側スリット113a、114aが設けられている。内側スリット113aは、内側ヨーク200aの後述する第1の円弧板210aの形状に対応した円弧状の凹部である。すなわち、内側スリット113aに内側ヨーク200aの第1の円弧板210aが嵌合する。また、外側スリット114aは、外側ヨーク200bの後述する第1の円弧板210bの形状に対応した円弧状の凹部である。すなわち、外側スリット114aに外側ヨーク200bの第1の円弧板210bが嵌合する。同様に、本体部110bの凹部111b以外の正面部分にも内側、外側スリット113b、114bが設けられている。内側スリット113bは、内側ヨーク200aの後述する第2の円弧板220aの形状に対応した円弧状の凹部である。すなわち、内側スリット113bに内側ヨーク200aの第2の円弧板220aが嵌合する。また、外側スリット114bは、外側ヨーク200bの後述する第2の円弧板220bの形状に対応した円弧状の凹部である。すなわち、外側スリット114bに外側ヨーク200bの第2の円弧板220bが嵌合する。
【0031】
本体部110aの下端部の背面側部分には収容孔が設けられている。前記収容孔は、内側スリット113aと外側スリット114aとの間に位置している。本体部110bの下端部の背面部分にも、図2に示すように、収容孔115bが設けられている。収容孔115bは、図3に示すように、内側スリット113bと外側スリット114bとの間に位置している。本体部110aの収容孔と本体部110bの収容孔115bとは、本体部110a、110bが大径部12aに取り付けられた状態で、後述するように磁気センサ300が実装された基板400を収容する一つの孔となる。
【0032】
フランジ130a、130bは、ベース部11の下端部の図示右左部分上に設置され、該ベース部11と共に上記ガス器具の本体に取り付けられる。このようにフランジ130a、130bが固定されることにより、本体部110a、110bが大径部12aに取り付けられた状態が維持される。円弧壁部120aは、フランジ130a、130bが固定された状態で、栓部12の図示右左外側に配置される。
【0033】
内側ヨーク200aは2枚の第1、第2の円弧板210a、220aで構成されている。第1、第2の円弧板210a、220aとしては電磁鋼板を用いている。第1、第2の円弧板210a、220aは、本体部110a、110bの内側スリット113a、113bに嵌合する。本体部110a、110bが大径部12aに取り付けられると、第1、第2の円弧板210a、220aの下端部同士が突き合わされ、内側ヨーク200aがマグネット500の後述するN極510の旋回経路と略同じ円弧状をなし、大径部12aの周りに配置される。
【0034】
外側ヨーク200bも、2枚の第1、第2の円弧板210b、220bで構成されている。第1、第2の円弧板210b、220bとしては電磁鋼板を用いている。第1、第2の円弧板210b、220bの下端部には、上方に向けて折り曲げられた第1、第2の凸片211b、221bが設けられている。第1、第2の円弧板210b、220bは、本体部110a、110bの外側スリット114a、114bに嵌合する。本体部110a、110bが大径部12aに取り付けられると、第1、第2の円弧板210b、220bの第1、第2の凸片211b、221bが突き合わされ、外側ヨーク200bがマグネット500の後述するS極520の旋回経路と略同じ円弧状をなして内側ヨーク200aの外側に配置される。また、第1、第2の凸片211b、221bは、図2、図5及び図6に示すように、第1のボディ100aの収容孔及び第2のボディ100bの収容孔115bに収容された磁気センサ300に向けて凸となっている。このため、後述する磁気回路の磁束が磁気センサ300に集中する。すなわち、第1、第2の凸片211b、221bが特許請求の範囲に記載された凸部に相当する。
【0035】
磁気センサ300は後述する磁気回路の磁束密度の変化を検出するようになっている。この磁気センサ300としてはホール素子、MR素子(磁気抵抗素子)又はリードスイッチ等を用いることができる。本実施例1では、磁気センサ300としてホール素子を用いている。この磁気センサ300は基板400の下面上に実装される。磁気センサ300は基板400と共に本体部110aの収容孔及び本体部110bの収容孔115bに収容された状態で、内側ヨーク200aと外側ヨーク200bとの間に配置される。
【0036】
基板400は周知のプリント基板である。この基板400は上記ガス器具の制御装置或いは表示装置に接続されている。
【0037】
マグネット500はソケット30の先端縁部に埋設されている。このマグネット500は、埋設状態で、N極510(第1の極)がソケット30の先端側に、S極520(第2の極)がソケット30の後端側に位置している。このため、マグネット500は、ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に接続されると、図4及び図5に示すように、N極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向配置される。これにより、図6(b)に示すように、マグネット500、内側、外側ヨーク200a、200b、磁気センサ300により磁気回路が構成される。
【0038】
また、マグネット500は、ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に接続された状態で中継パイプ20が回転することにより、図5(b)に示すように、同方向且つ同範囲(すなわち、約300度)で旋回するようになっている。このとき、N極510がマグネット500の旋回の内側、S極520が前記旋回の外側となる。
【0039】
以下、上述した構成の近接検出装置の組立手順について説明する。まず、内側ヨーク200aの第1、第2の円弧板210a、220aを第1、第2のボディ100a、100bの内側スリット113a、113bに挿入し、外側ヨーク200bの第1、第2の円弧板210b、220bを第1、第2のボディ100a、100bの外側スリット114a、114bに挿入する。
【0040】
その後、磁気センサ300が実装された基板400を第1のボディ100aの収容孔又は第2のボディ100bの収容孔115bに挿入する。この状態で、第1、第2のボディ100a、100bの本体部110a、110bをガス栓10の大径部12aに取り付ける。このとき、第1のボディ100aの凸部112aが第2のボディ100bの嵌合凹部112bに嵌合する。これと共に、第1、第2のボディ100a、100bのフランジ130a、130bがガス栓10のベース部11上に重ね合わされる。この状態で、第1、第2のボディ100a、100bのフランジ130a、130b及びガス栓10のベース部11を上記ガス器具の本体に取り付ける。このとき、磁気センサ300が実装された基板400を第1のボディ100aの収容孔及び第2のボディ100bの収容孔115b内に収容され、内側ヨーク200aと外側ヨーク200bとの間に配置される。また、外側ヨーク200bの第1、第2の凸片211b、221bが磁気センサ300に向く。
【0041】
以下、このように組み立てられた近接検出装置の使用方法について説明すると共に、各部の動作について説明する。図1(a)及び図2(a)に示すように、ソケット30が中継パイプ20の第2端部22から取り外された状態においては、図4(a)、図5(a)及び図6(a)に示すように、マグネット500のN極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向しないため、前記磁気回路が構成されていない。このため、磁気センサ300の出力電圧が変化しない。
【0042】
図1(b)及び図2(b)に示すように、ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に接続されると、図4(b)、図5(b)及び図6(b)に示すように、ソケット30に埋設されたマグネット500のN極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向する。これにより、図6(b)に示すように、マグネット500、内側、外側ヨーク200a、200b、磁気センサ300により磁気回路が構成される。この磁気回路の磁束密度の変化が磁気センサ300により検出され、該磁気センサ300の出力電圧が変化する。前記出力電圧の変化が基板400を通じて上記ガス器具の制御装置或いは表示装置に向けて入力されると、該制御装置或いは表示装置が、ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に接続されたことを示す表示を行う(例えば、LEDランプの点灯など)。
【0043】
ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に接続された状態で該中継パイプ20の第1端部21が回転すると、第2端部22、ソケット30、ゴムホース40及びマグネット500が第1端部21の周りを旋回する。このようにマグネット500が旋回したとしても、内側ヨーク200aがマグネット500のN極510の旋回経路と略同じ円弧状をなし、外側ヨーク200bがマグネット500のS極520の旋回経路と略同じ円弧状をなしているため、N極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向した状態が維持される。すなわち、本近接検出装置は、前記磁気回路が構成された状態が維持されるので、中継パイプ20の第1端部21の回転によりソケット30と中継パイプ20との接続が外れたと誤検出されるのを防止することができる。しかも、旋回したマグネット500を一つの磁気センサ300で検出することができるので、本近接検出装置の制御を簡単に行うことができる。
【0044】
また、ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に完全に接続されていないときには、マグネット500のN極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向しないため、前記磁気回路が構成されない。このため、磁気センサ300の出力電圧が変化しない。よって、前記制御装置或いは表示装置により、ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に接続されたことを示す表示がなされない。このため、使用者はソケット30が中継パイプ20の第2端部22に完全に接続されていないと気がつくことができる。
【実施例2】
【0045】
次に、本発明の実施例2に係る近接検出装置について上記図7乃至図8を参照しつつ説明する。図7は本発明の第2の実施の形態に係る近接検出装置の概略的斜視図であって、(a)はソケットが中継用パイプに接続される前の状態を示す図、(b)はソケットが中継用パイプに接続された後の状態を示す図、図8は前記近接検出装置の概略的断面図であって、(a)はソケットが中継パイプに接続される前の状態を示す図、(b)はソケットが中継パイプに接続された後の状態を示す図、図9は前記近接検出装置の概略的分解斜視図である。
【0046】
本実施例2では、図7及び図8に示すように、中継パイプ20の第2端部22に上側、下側キャップ23、24が取り付けられている点、下側キャップ24に可動リング50(可動部)が取り付けられる点、及びマグネット500がソケット30ではなく可動リング50に設けられている点で実施例1と相違している以外、実施例1と同じである。従って、その相違点についてのみ詳しく説明し、重複する説明については省略する。
【0047】
上側キャップ23は、図7乃至図9に示すように、略円筒状のキャップ本体23aと、キャップ本体23aの上端に設けられたリング状の段差部23bとを有している。段差部23bの内形は第2端部22の上記基端部の段差形状に対応した形状となっている。段差部23bの内径は第2端部22の上記基端部の段差部分の外径よりも若干小さくなっている。キャップ本体23aの内径は第2端部22の上記基端部の段差部分よりも下側の部分の外径よりも若干小さくなっている。キャップ本体23a及び段差部23bは、その円周部の一部を上下方向に破断した破断部23a1、23b1が設けられている。このため、キャップ本体23a及び段差部23bは拡径可能となっている。すなわち、キャップ本体23a及び段差部23bが拡径された状態で、第2端部22の基端部が挿入される。その後、キャップ本体23a及び段差部23bは解放され、復元することにより、第2端部22の基端部に外嵌するようになっている。この状態で、キャップ本体23aは第2端部22の先端部を隙間を有して囲う。
【0048】
下側キャップ24はその中間部にリング状のフランジ24aが設けられた略円筒体である。この下側キャップ24の上端部の外径はキャップ本体23aの内径よりも若干小さくなっている。また、下側キャップ24の内径は第2端部22の上記先端部の外径よりも若干大きくなっている。すなわち、図8に示すように、下側キャップ24内に第2端部22の先端部が挿入され、該下側キャップ24の上端部がキャップ本体23aと第2端部22の先端部との間の隙間に挿入されるようになっている。
【0049】
可動リング50は円筒状の樹脂製の射出成形品や非磁性材料品(例えば、ステンレス等の非磁性金属材料品等)である。この可動リング50の上縁部にはマグネット500が埋設されている。マグネット500は、埋設状態で、N極510が上側に、S極520(第2の極)が下側に位置している。また、可動リング50の内径は、上側キャップ23のキャップ本体23aの外径よりも大きく、上側キャップ23の段差部23b及び下側キャップ24のフランジ24aの外径よりも小さくなっている。すなわち、可動リング50は、中継パイプ20の第2端部22に取り付けられた上側キャップ23のキャップ本体23aの回りに配置され、上側キャップ23の段差部23bと下側キャップ24のフランジ24aとの間で上下動可能になっている。なお、図8(b)に示すように、可動リング50が段差部23bに当接し、マグネット500が第1、第2のヨーク200a、200bに対向する位置を検出位置と称し、図8(a)に示すように、可動リング50がフランジ24aに当接し、マグネット500が第1、第2のヨーク200a、200bに対向しない位置を検出解除位置と称する。
【0050】
ソケット30は、第2端部22に取り付けられた下側キャップ23に外嵌することにより、可動リング50を検出解除位置から検出位置へと移動させるようになっている。このようにしてソケット30が中継パイプ20の第2端部22に接続される。
【0051】
以下、上述した上側、下側キャップ23、24及び可動リング50を第2端部22に取り付ける手順について説明する。まず、破断部23a1、23b1の縁部を把持して上側キャップ23を拡径する。この状態で、上側キャップ23内に中継パイプ20の第2端部22の基端部を挿入する。その後、上側キャップ23を解放すると、上側キャップ23が縮径し、第2端部22の基端部に装着される。
【0052】
その後、可動リング50に上側キャップ23のキャップ本体23aを挿入する。この状態で、下側キャップ23内に第2端部22の先端部を挿入しつつ、該下側キャップ23の上端部をキャップ本体23aと前記先端部との間の上記隙間に挿入する。
【0053】
以下、前記近接検出装置の使用方法について説明すると共に、各部の動作について説明する。図7(a)及び図8(a)に示すように、ソケット30が中継パイプ20に取り付けられた下側キャップ23から取り外された状態においては、可動リング50が自重により検出解除位置に位置している。すなわち、マグネット500のN極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向しないため、上記磁気回路が構成されていない。このため、磁気センサ300の出力電圧が変化しない。
【0054】
図7(b)及び図8(b)に示すように、ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に接続されると、可動リング50がソケット30によって検出解除位置から検出位置に押し上げられる。これにより、マグネット500のN極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向し、マグネット500、内側、外側ヨーク200a、200b、磁気センサ300により磁気回路が構成される。この磁気回路の磁束密度の変化が磁気センサ300により検出され、該磁気センサ300の出力電圧が変化する。前記出力電圧の変化が基板400を通じて上記ガス器具の制御装置或いは表示装置に向けて入力されると、該制御装置或いは表示装置が、ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に接続されたことを示す表示を行う(例えば、LEDランプの点灯など)。
【0055】
ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に接続された状態で該中継パイプ20の第1端部21が回転すると、第2端部22、上側キャップ23、下側キャップ23、可動リング50、ソケット30、ゴムホース40及びマグネット500が第1端部21の周りを旋回する。このようにマグネット500が旋回したとしても、内側ヨーク200aがマグネット500のN極510の旋回経路と略同じ円弧状をなし、外側ヨーク200bがマグネット500のS極520の旋回経路と略同じ円弧状をなしているため、N極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向した状態が維持される。すなわち、本近接検出装置は、前記磁気回路が構成された状態が維持されるので、中継パイプ20の第1端部21の回転によりソケット30と中継パイプ20との接続が外れたと誤検出されるのを防止することができる。しかも、旋回したマグネット500を一つの磁気センサ300で検出することができるので、本近接検出装置の制御を簡単に行うことができる。
【0056】
また、ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に完全に接続されていないときには、可動リング50が検出位置に位置せず、マグネット500のN極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向しないため、前記磁気回路が構成されない。このため、磁気センサ300の出力電圧が変化しない。よって、前記制御装置或いは表示装置により、ソケット30が中継パイプ20の第2端部22に接続されたことを示す表示がなされない。このため、使用者はソケット30が中継パイプ20の第2端部22に完全に接続されていないと気がつくことができる。
【実施例3】
【0057】
次に、本発明の実施例3に係る近接検出装置について上記図10乃至図12を参照しつつ説明する。図10は本発明の第3の実施の形態に係る近接検出装置の概略的斜視図であって、(a)はゴムホースが中継用パイプに接続される前の状態を示す図、(b)はゴムホースが中継用パイプに接続された後の状態を示す図、図11は前記近接検出装置の概略的断面図であって、(a)はゴムホースが中継パイプに接続される前の状態を示す図、(b)はゴムホースが中継パイプに接続された後の状態を示す図、図12は前記近接検出装置の概略的分解斜視図である。
【0058】
本実施例3では、図10及び図11に示すように、第1、第2のボディ100a、100bの形状の点及びゴムホース40がソケット30を介さずに直接中継パイプ20の第2端部22に接続される点で実施例2と相違している以外、実施例2と略同じである。従って、その相違点についてのみ詳しく説明し、重複する説明については省略する。
【0059】
第1、第2のボディ100a、100bは、図10乃至図13に示すように、本体部110a、110bの形状及び1/4円弧状の円弧壁部120a、120bと、フランジ130a、130bを有していない点で、実施例2の第1、第2のボディ100a、100bと相違する。
【0060】
本体部110aは、凸部112aの代わりに、一対の係止凸部112a’が設けられている。本体部110bは、嵌合凹部112bの代わりに、一対の係止凹部112b’が設けられている。本体部110a、110bがガス栓10の大径部12aに取り付けられる際に、係止凸部112a’が係止凹部112b’に係止される。これにより、本体部110a、110bがガス栓10の大径部12aに取り付けられた状態が維持される。
【0061】
ゴムホース40は、図11(b)に示すように、第2端部22に取り付けられた下側キャップ23に外嵌することにより、可動リング50を検出解除位置から検出位置へと移動させるようになっている。このようにしてゴムホース40が中継パイプ20の第2端部22に接続される。すなわち、本実施例では、ゴムホース40が特許請求の範囲における接続部材に相当する。
【0062】
以下、前記近接検出装置の使用方法について説明すると共に、各部の動作について説明する。図10(a)及び図11(a)に示すように、ゴムホース40が中継パイプ20に取り付けられた下側キャップ23から取り外された状態においては、可動リング50が自重により検出解除位置に位置している。すなわち、マグネット500のN極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向しないため、磁気回路が構成されていない。このため、磁気センサ300の出力電圧が変化しない。
【0063】
図10(b)及び図11(b)に示すように、ゴムホース40が中継パイプ20の第2端部22に接続されると、可動リング50がゴムホース40によって検出解除位置から検出位置に押し上げられる。これにより、マグネット500のN極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向し、マグネット500、内側、外側ヨーク200a、200b、磁気センサ300により磁気回路が構成される。この磁気回路の磁束密度の変化が磁気センサ300により検出され、該磁気センサ300の出力電圧が変化する。前記出力電圧の変化が基板400を通じて上記ガス器具の制御装置或いは表示装置に向けて入力されると、該制御装置或いは表示装置が、ゴムホース40が中継パイプ20の第2端部22に接続されたことを示す表示を行う(例えば、LEDランプの点灯など)。
【0064】
ゴムホース40が中継パイプ20の第2端部22に接続された状態で該中継パイプ20の第1端部21が回転すると、第2端部22、上側キャップ23、下側キャップ23、可動リング50、ゴムホース40及びマグネット500が第1端部21の周りを旋回する。このようにマグネット500が旋回したとしても、内側ヨーク200aがマグネット500のN極510の旋回経路と略同じ円弧状をなし、外側ヨーク200bがマグネット500のS極520の旋回経路と略同じ円弧状をなしているため、N極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向した状態が維持される。すなわち、本近接検出装置は、前記磁気回路が構成された状態が維持されるので、中継パイプ20の第1端部21の回転によりゴムホース40と中継パイプ20との接続が外れたと誤検出されるのを防止することができる。しかも、旋回したマグネット500を一つの磁気センサ300で検出することができるので、本近接検出装置の制御を簡単に行うことができる。
【0065】
また、ゴムホース40が中継パイプ20の第2端部22に完全に接続されていないときには、可動リング50が検出位置に位置せず、マグネット500のN極510が内側ヨーク200aに、S極520が外側ヨーク200bに対向しないため、前記磁気回路が構成されない。このため、磁気センサ300の出力電圧が変化しない。よって、前記制御装置或いは表示装置により、ゴムホース40が中継パイプ20の第2端部22に接続されたことを示す表示がなされない。このため、使用者はゴムホース40が中継パイプ20の第2端部22に完全に接続されていないと気がつくことができる。
【0066】
なお、上述した近接検出装置は、特許請求の範囲に記載された範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく説明する。
【0067】
上記実施例では、ガス器具本体取り付けられるガス栓10が接続対象であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、前記接続対象は室内に設けられるガス供給用のガス栓等であっても良い。
【0068】
上記実施例では、中継パイプ20の第2端部22にソケット30又はゴムホース40が接続されるとしたが、ガス栓10の栓部12にソケット30又はゴムホース40を直接接続するようにしても構わない。この場合、中継パイプ20ではなく、ソケット30又はゴムホース40が栓部12に接続された状態で周方向に回転することとなる。
【0069】
中継パイプ20は、前記接続対象とソケット30又はゴムホース40等の接続部材との間を中継し得る中継部材である限りどのようなものを用いても構わない。また、上記実施例では、中継パイプ20は略L字状であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、中継パイプ20として円筒状のものを用いることも可能である。
【0070】
また、上記実施例では、中継パイプ20はガス栓10の大径部12aに接続された状態で、約300度回転するとしたが、これに限定されるものではない。中継パイプ20が回転する角度は任意に設定することが可能であり、360度回転するようにしても構わない。この点は、ソケット30又はゴムホース40ガス栓10に直接接続される場合も同様である。
【0071】
また、上記実施例では、ソケット30又はゴムホース40が接続部材であるとしたが、これに限定されるものではなく、前記接続対象又は中継部材に接続し得るものである限りどのようなものを用いても構わない。
【0072】
可動リング50は円環状体であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、中継パイプ20の第2端部22に設けられたガイド溝に上下動自在に取り付けられた直方体等であっても良い。
【0073】
上記実施例では、内側ヨーク200aは、第1、第2の円弧板210a、220aを有するとしたが、これに限定されるものではない。内側ヨーク200aは、マグネットの一方の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状の部材である限りどのようなものを用いても構わない。例えば、第1、第2の円弧板210a、220aを一つの円弧板とすることも可能である。また、前述の通り、中継パイプ20等が360度回転可能である場合には、内側ヨーク200aは、マグネットの一方の極の旋回経路と略同じ円環状又は前記旋回経路に近似する多角形状とすることができる。また、上記実施例では、内側ヨーク200aは、電磁鋼板で構成されているとしたが、その他の磁性体等で代用することが可能である。
【0074】
上記実施例では、外側ヨーク200bは、第1、第2の円弧板210b、220bを有するとしたが、これに限定されるものではない。外側ヨーク200bは、マグネットの他方の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状の部材である限りどのようなものを用いても構わない。例えば、第1、第2の円弧板210b、220bを一つの円弧板とすることも可能である。また、前述の通り、中継パイプ20等が360度回転可能である場合には、外側ヨーク200bは、マグネットの他方の極の旋回経路と略同じ円環状又は前記旋回経路に近似する多角形状とすることができる。また、上記実施例では、内側ヨーク200aは、電磁鋼板で構成されているとしたが、その他の磁性体等で代用することが可能である。
【0075】
上記実施例では、第1、第2の円弧板210b、220bの下端部を上方に向けて折り曲げた第1、第2の凸片211b、221bが、磁気センサ300に向けられているとしたが、同様の凸部である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、前述の如く、外側ヨーク200bを一つの円弧板とする場合には、該円弧板の一部を折り曲げて磁気センサ300に向けた凸部とすることができる。また、前記凸部を外側ヨーク200bに代えて、内側ヨーク200aに設けることも可能である。この場合には、磁気センサ300を内側ヨーク200aに向けて配置する。勿論、内側ヨーク200aの凸部として第1、第2の円弧板210b、220bの下端部を下方に向けて折り曲げた第1、第2の凸片を用いることも可能である。なお、該凸部を省略することも可能である。
【0076】
磁気センサ300は、上述したようにホール素子、MR素子(磁気抵抗素子)又はリードスイッチ等の磁気センサを用いることができる。この磁気センサ300は、内側ヨーク200aと外側ヨーク200bとの間に配置されていれば良い。
【0077】
上記実施例では、ソケット30又はゴムホース40が中継パイプ20に接続された状態で、マグネット500はN極510が上側、S極520が下側に位置し、内側、外側ヨーク200a、200bに対向するとしたが、N極510が下側、S極520が上側に位置するようにしても構わない。この場合、ソケット30又はゴムホース40が中継パイプ20に接続された状態で、N極510が外側ヨーク200bに、S極520が内側ヨーク200aに対向することとなる。また、ゴムホース40を前記接続対象又は中継部材に接続する場合には、マグネット500をゴムホース40の上縁部に設けることが可能である。例えば、実施例3において、第2端部22の先端部にゴムホース40が直接接続される場合には、マグネット500をゴムホース40の上縁部に設けるようにすれば良い。
【0078】
上記実施例では、上記近接検出装置の各部を構成する素材、形状、個数や寸法等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。
【0079】
なお、上記実施例では、上記近接検出装置は、ソケット30又はゴムホース40が中継パイプ20に接続されたか否かを検出する装置であるとして説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、上記近接検出装置は、接続部材が接続対象に接続された状態で周方向に少なくとも所定角度回転可能になっており、且つ前記接続部材が前記接続対象に接続されたか否かを検出する装置、又は中継部材が接続対象に接続された状態で周方向に少なくとも所定角度回転可能になっており、且つ接続部材が前記中継部材に接続されたか否かを検出する装置である限り、どのようなものを用いても構わない。
【符号の説明】
【0080】
10・・・ガス栓(接続対象)
20・・・中継パイプ(中継部材)
30・・・ソケット(接続部材)
40・・・ゴムホース(接続部材)
50・・・可動リング(可動部)
100a・第1のボディ
100b・第2のボディ
200a・内側ヨーク(第1のヨーク)
200b・外側ヨーク(第2のヨーク)
211b・第1の凸片(凸部)
221b・第2の凸片(凸部)
300・・・磁気センサ
400・・・基板
500・・・マグネット
510・・N極(第1の極)
520・・S極(第2の極)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部材が接続対象に接続された状態で周方向に少なくとも所定角度回転可能になっており、且つ前記接続部材が前記接続対象に接続されたか否かを検出する近接検出装置であって、
前記接続部材に設けられており且つ該接続部材の回転と共に旋回可能であるマグネットと、
前記接続対象に設けられており且つ前記接続部材が前記接続対象に接続された状態で前記マグネットの第1の極に対向する第1のヨークと、
前記接続対象に設けられており且つ前記接続部材が前記接続対象に接続された状態で前記マグネットの第2の極に対向する第2のヨークと、
前記第1、第2のヨークの間に配置される磁気センサとを備えており、
前記マグネットは第1の極が該マグネットの旋回の内側、第2の極が前記旋回の外側に向いており、
前記第1のヨークは、前記マグネットの第1の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっており、
前記第2のヨークは、前記マグネットの第2の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっていることを特徴とする近接検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の近接検出装置において、
前記第1又は第2のヨークの前記磁気センサに対向する部分には、該磁気センサに向けて凸部が設けられていることを特徴とする近接検出装置。
【請求項3】
前記接続部材が360度回転可能になっている場合の請求項1又は2記載の近接検出装置において、
前記第1のヨークは、前記マグネットの第1の極の旋回経路と略同じ円環状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっており、
前記第2のヨークは、前記マグネットの第2の極の旋回経路と略同じ円環状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっていることを特徴とする近接検出装置。
【請求項4】
中継部材が接続対象に接続された状態で周方向に少なくとも所定角度回転可能になっており、且つ接続部材が前記中継部材に接続されたか否かを検出する近接検出装置であって、
前記接続部材に設けられており且つ該接続部材が前記中継部材に接続された状態で該中継部材の回転と共に旋回可能であるマグネットと、
前記接続対象に設けられており且つ前記接続部材が前記中継部材に接続された状態で前記マグネットの第1の極に対向する第1のヨークと、
前記接続対象に設けられており且つ前記接続部材が前記中継部材に接続された状態で前記マグネットの第2の極に対向する第2のヨークと、
前記第1、第2のヨークの間に配置される磁気センサとを備えており、
前記マグネットは第1の極が該マグネットの旋回の内側、第2の極が前記旋回の外側に向いており、
前記第1のヨークは、前記マグネットの第1の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっており、
前記第2のヨークは、前記マグネットの第2の極の旋回経路と略同じ円弧状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっていることを特徴とする近接検出装置。
【請求項5】
請求項4記載の近接検出装置において、
前記第1又は第2のヨークの前記磁気センサに対向する部分には、該磁気センサに向けて凸部が設けられていることを特徴とする近接検出装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の近接検出装置において、
前記中継部材に前記接続部材の接続方向に移動自在に設けられた可動部を更に備え、
前記マグネットは、前記接続部材ではなく、前記可動部に設けられており、
前記可動部は、前記接続部材が前記中継部材に接続されるのに伴って、該接続部材に押圧され、前記接続方向に移動するようになっていることを特徴とする近接検出装置。
【請求項7】
請求項6記載の近接検出装置において、
前記中継部材は、前記接続対象に接続される第1端部と、この第1端部に対して略直角であり且つ前記接続部材が接続される第2端部とを有しており、
前記可動部は、前記中継部材の第2端部に設けられ且つ前記マグネットの第1、第2の極が第1、第2のヨークに対向する検出位置から前記マグネットの第1、第2の極が第1、第2のヨークに対向しない検出解除位置にかけて移動可能になっていることを特徴とする近接検出装置。
【請求項8】
前記中継部材が360度回転可能になっている場合の請求項4、5、6又は7記載の近接検出装置において、
前記第1のヨークは、前記マグネットの第1の極の旋回経路と略同じ円環状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっており、
前記第2のヨークは、前記マグネットの第2の極の旋回経路と略同じ円環状又は前記旋回経路に近似する多角形状となっていることを特徴とする近接検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−257908(P2010−257908A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109844(P2009−109844)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】