説明

近距離無線通信装置

【課題】接続されていたプロファイルの接続がユーザの意思によらず切断され、切断されたままの状態が維持されることを防止する。
【解決手段】車載装置100は、携帯電話機200に対しA2DPの拒絶応答を送信した(S107)時点を基準として経過時間を計時開始し、その経過時間が所定時間経過する前に、携帯電話機200に対しHFPの切断応答を送信した(S109)場合には、携帯電話機200との間でHFPを再接続する(S110〜S112)。また、車載装置100は、携帯電話機200との間でHFPを再接続した後、携帯電話機200からA2DPの接続要求が再度要求された場合には、その要求を受け入れる(S116)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続相手である他の近距離無線通信装置との間で複数のプロファイルを同時に接続可能な近距離無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近距離無線通信装置として、Bluetooth(登録商標、以下BTと略記する)通信機能を有するBT通信装置が知られており、例えば特許文献1〜3に記載の技術のように、接続相手である別のBT通信装置との間でBTの通信規格で規定されている複数のプロファイルを同時に接続可能(いわゆるマルチプロファイル接続可能)なBT通信装置が知られている。なお、プロファイルとは機能毎に定義された通信プロトコルを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−281652号公報
【特許文献2】特開2007−158670号公報
【特許文献3】特開2008−53805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マルチプロファイル接続可能なBT通信装置の中には、接続相手のBT通信装置との間で例えばHFP(Hands-Free Profile)等を接続すると、さらに例えばA2DP(Advanced AudioDistribution Profile)等を接続しようとするBT通信装置がある。以下、A2DP等を接続しようとするBT通信装置を第1BT通信装置とし、この第1BT通信装置と接続されるBT通信装置を第2BT通信装置と呼ぶ。
【0005】
第1BT通信装置は、接続相手の第2BT通信装置との間でHFPを接続している間にA2DPの接続要求を送信し、第2BT通信装置によりA2DPの接続要求が受け入れられないと、先に接続していたHFPの接続を切断してしまう(以下、「問題の動作」と記載)。
【0006】
この「問題の動作」について詳しく説明する。第2BT通信装置が上記問題の動作を行なう第1BT通信装置との間でHFPを接続すると、上記問題の動作を行なう第1BT通信装置は、第2BT通信装置に対しA2DPの接続要求を送信する。ここで、第2BT通信装置が、その仕様に起因してA2DPの接続要求を受け入れない、または、リソース不足に起因してA2DPの接続要求を受け入れることができないと、上記問題の動作を行なう第1BT通信装置は、A2DPの接続要求を送信する前に接続していたHFPをユーザの意思によらず切断し、HFPの接続が切断されたままの状態が維持されてしまう。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、接続されていたプロファイルの接続がユーザの意思によらず切断され、切断されたままの状態が維持されることを防止することのできる近距離無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、当該近距離無線通信装置が他の近距離無線通信装置との間で所定のプロファイルを接続している間に他の近距離無線通信装置から当該近距離無線通信装置に対し要求された別のプロファイルの接続要求を受け入れなかったことに起因して所定のプロファイルの接続が切断されたか否か(すなわち、接続されていた所定のプロファイルの接続がユーザの意思によらず切断されたか否か)が通信切断検出手段によって検出される。そして、通信切断検出手段によって所定のプロファイルの接続が切断されたことが検出されたことに基づいて、通信再接続手段によって所定のプロファイルが再接続される。これにより、接続されていたプロファイルの接続がユーザの意思によらず切断された場合に、切断されたままの状態が維持されることを防止することができるようになる。
【0009】
上記請求項1に記載の構成において、請求項2に記載の発明のように、通信切断検出手段は、他の近距離無線通信装置との間で所定のプロファイルを接続している間に他の近距離無線通信装置から要求された別のプロファイルの接続要求を当該近距離無線通信装置が受け入れなかった時点を基準として経過時間を経時開始し、その経過時間が所定時間経過する前に所定のプロファイルの接続が切断されたことをもって、所定のプロファイルの接続が切断されたことを検出したとするとよい。これにより、例えば計時カウンタを備える等の簡素な構成にて、ユーザの意思によらないプロファイルの接続の切断を検出することができるようになる。
【0010】
ところで、当該近距離無線通信装置が、他の近距離無線通信装置に対し要求したプロファイルを接続し、他の近距離無線通信装置から当該近距離無線通信装置に対し要求されたプロファイルの接続要求を受け入れない仕様を有している場合があり、この仕様を有している場合には次のような事態が生じることも考えられる。
【0011】
すなわち、通信再接続手段によって他の近距離無線通信装置との間で所定のプロファイルが再接続されると、他の近距離無線通信装置から別のプロファイルの接続要求が再度要求される。当該近距離無線通信装置が上記仕様に起因してこの接続要求を受け入れないと、再接続した所定のプロファイルの接続が他の近距離無線通信装置によって再度切断されてしまう。その結果、接続されていたプロファイルのユーザの意思によらない切断とその切断されたプロファイルの再接続とが繰り返されてしまう。
【0012】
そこで、上記請求項1または2に記載の構成において、当該近距離無線通信装置が上記仕様を有する場合には、請求項3に記載の発明のように、通信再接続手段は、所定のプロファイルを再接続した後、他の近距離無線通信装置から別のプロファイルの接続要求が再度要求された場合には、その要求を受け入れるようにする。これにより、再接続した所定のプロファイルの接続が他の近距離無線通信装置によって再度切断されることがなくなるため、接続されていたプロファイルのユーザの意思によらない切断とその切断されたプロファイルの再接続とは繰り返されなくなる。
【0013】
また、当該近距離無線通信装置は、リソースが不足している場合には、他の近距離無線通信装置から要求されたプロファイルの接続を受け入れない場合があり、接続を受け入れない場合には次のような事態が生じることも考えられる。
【0014】
すなわち、通信再接続手段によって他の近距離無線通信装置との間で所定のプロファイルが再接続されると、他の近距離無線通信装置から別のプロファイルの接続要求が再度要求される。当該近距離無線通信装置が、既に、その別のプロファイルの接続を、その他の近距離無線通信装置と行っている場合、当該近距離無線通信装置は、リソース不足により、他の近距離無線通信装置から要求された別のプロファイルの接続を受け入れることができない。このように、当該近距離無線通信装置がリソースが不足していることに起因して、他の近距離無線通信装置からの接続要求を受け入れないと、再接続した所定のプロファイルの接続が他の近距離無線通信装置によって再度切断されてしまう。その結果、接続されていたプロファイルのユーザの意思によらない切断とその切断されたプロファイルの再接続とが繰り返されてしまう。
【0015】
そこで、上記請求項1または2に記載の構成において、当該近距離無線通信装置が上記仕様を有する場合には、請求項4に記載の発明のように、通信再接続手段は、通信切断検出手段によって所定のプロファイルの接続が切断されたことが検出されたことに基づいて、別のプロファイルを接続するに当たり、別のプロファイルの既接続を切断することにより、必要なリソースを確保した上で、別のプロファイルを再接続するとよい。これにより、再接続した所定のプロファイルの接続が他の近距離無線通信装置によって再度切断されることがなくなるため、接続されていたプロファイルのユーザの意思によらない切断とその切断されたプロファイルの再接続とは繰り返されなくなる。
【0016】
また、上記目的を達成するため、請求項5に記載の発明では、接続相手である他の近距離無線通信装置との間で複数のプロファイルを同時に接続可能な近距離無線通信装置において、他の近距離無線通信装置との間で所定のプロファイルを接続している間に要求された別のプロファイルの接続要求を当該近距離無線通信装置が受け入れない場合には所定のプロファイルの接続を切断する他の近距離無線通信装置から別のプロファイルの接続を要求されたことに基づいて、一旦、別のプロファイルの接続要求を受け入れることを保留し、その保留している間に別のプロファイルを接続するに当たり必要なリソースを確保した後、別のプロファイルの接続要求を受け入れることとした。
【0017】
近距離無線通信装置としての上記構成では、当該近距離無線通信装置は、他の近距離無線通信装置から別のプロファイルの接続要求を受けた場合に、その別のプロファイルの接続要求を受け入れないのではなく、一旦、別のプロファイルの接続要求を受け入れることを保留する。そのため、上記他の近距離無線通信装置は、その保留中、当該近距離無線通信装置との間で接続していた所定のプロファイルを切断しない。そして、当該近距離無線通信装置は、別のプロファイルの接続要求を受け入れることを保留している間に、換言すれば、所定のプロファイルが接続されている間に、別のプロファイルを接続するに必要なリソースを確保し、そのリソースを確保した後に、別のプロファイルの接続要求を受け入れる。したがって、所定のプロファイルの接続が切断されることなく、別のプロファイルが接続されることになる。このようにして、接続されていたプロファイルの接続がユーザの意思によらず切断されることを防止することができるようになる。したがって、上記構成によれば、接続されていたプロファイルの接続がユーザの意思によらず切断されることがなくなるため、切断されたままの状態が維持されることを防止することができるようになる。
【0018】
上記請求項5に記載の構成においては、請求項6に記載の発明のように、別のプロファイルの接続要求を受け入れることを保留する旨を示す保留応答を別の近距離無線通信装置に対し送信することが望ましい。
【0019】
なお、上記請求項5または6に記載の構成において、請求項7に記載の発明のように、所定のプロファイル以外に接続しているプロファイルを切断することにより、必要なリソースを確保することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る近距離無線通信装置の第1の実施の形態について、(a)は車載装置の構成を示すブロック図であり、(b)は携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態について、動作の一例を示すシーケンス図である。
【図3】本発明に係る近距離無線通信装置の第2の実施の形態について、携帯機の構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態について、動作の一例を示すシーケンス図である。
【図5】第3の実施の形態について、動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
本発明に係る近距離無線通信装置の第1の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。なお、本実施の形態では、近距離無線通信装置は、Bluetooth(登録商標)(以下、BTと略記する)通信機能を有するBT対応の車載装置100として具体化されており、当該車載装置100が搭載されている図示しない車両の車室内に、BT通信機能を有するBT対応の携帯電話機200が持ち込まれ、これら車載装置100及び携帯電話機200がBT通信可能な状態にある場合を説明する。また、BT対応の携帯電話機200が特許請求の範囲に記載の「他の近距離無線通信装置」に相当する。
【0022】
図1(a)に示されるように、車載装置100は、制御部101と、BT通信部102と、音声処理部103と、マイクロホン104と、オーディオアンプ105と、スピーカ106及び107と、チューナーデッキ108と、記憶部109と、表示制御部110と、表示装置111と、タッチ操作入力部112と、タッチ操作入力装置113とを備えて構成されている。
【0023】
制御部101は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM及びI/Oバス等を有し、車載装置100の通信動作やデータ管理動作等の動作全般を制御する。
【0024】
BT通信部102は、制御部101に接続されており、制御部101によって制御されて携帯電話機200との間でBT通信を行なう。BT通信部102は、BTの通信規格で規定されている複数のプロファイルとしてハンズフリー通話を規定するHFP(Hands Free Profile)や音楽ストリーミングデータのパケット転送を規定するA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)等を同時に接続可能(いわゆるマルチプロファイル接続可能)である。なお、これらHFPやA2DPは、機能毎に定義された通信プロトコルを意味する。また、HFPが特許請求の範囲に記載の「所定のプロファイル」に相当し、A2DPが特許請求の範囲に記載の「別のプロファイル」に相当する。
【0025】
音声処理部103は、マイクロホン104及びオーディオアンプ105に接続されている。このうち、マイクロホン104は、公知のマイクロホンから構成されており、車室内にあって例えばハンドルの近傍等のユーザが発した音声を集音し易い部位に配置されている。オーディオアンプ105は、公知のスピーカからなる2個のスピーカ106及び107を有して構成されている。
【0026】
また、音声処理部103は、制御部101及びBT通信部102に接続されており、BT通信部102が携帯電話機200との間でHFPを接続している間、ユーザが発した音声がマイクロホン104から送話音声データとして入力されると、その入力された送話音声データを音声処理してBT通信部102に出力する一方、受話音声データがBT通信部102から入力されると、その入力された受話音声データをオーディオアンプ105に出力する。
【0027】
また、音声処理部103は、ストリーミングデータを蓄積する機能とストリーミングデータを再生する機能とを有している。音声処理部103は、BT通信部102が携帯電話機200との間でA2DPを接続している間、携帯電話機200から送信されたストリーミングデータを受信すると、受信したストリーミングデータを蓄積し、蓄積したストリーミングデータを再生してオーディオアンプ105に出力する。
【0028】
オーディオアンプ105は、音声処理部103に接続されており、この音声処理部103から受話音声データや音楽ストリーミングデータが入力されると、それら入力された受話音声データや音楽ストリーミングデータを増幅してスピーカ106及び107から出力する。また、オーディオアンプ105は、チューナーデッキ108にも接続されており、例えば音楽用記録媒体から再生した楽曲音やラジオ放送局から受信したラジオ番組等がこのチューナーデッキ108から入力されると、それら入力された楽曲音やラジオ番組を増幅してスピーカ106及び107から出力する。
【0029】
記憶部109は、各種データを記憶可能に構成されており、例えば電話番号と登録名との対応を表す電話帳データ、車載装置100からの発信動作または当該車載装置100との間でHFPを接続している携帯電話機200からの発信動作に係る発信時刻と発信電話番号との対応を表す発信履歴データ、車載装置100との間でHFPを接続している携帯電話機200の着信動作に係る着信時刻と着信電話番号との対応を表す着信履歴データ等を記憶可能に構成されている。記憶部109は、制御部101に接続されており、制御部101によって上記各種データが適宜読み出されたり書き込まれたりする。
【0030】
表示制御部110は、制御部101及び各種画像を画面に表示する表示装置111に接続されており、制御部101から表示指令通知が入力されると、その入力された表示指令通知に基づいて表示装置111の表示動作を制御する。
【0031】
タッチ操作入力部112は、制御部101及び画面上にタッチスイッチを形成するタッチ操作入力装置113に接続されており、ユーザが画面上に形成されたタッチスイッチを操作したことに応じてタッチ操作入力装置113から操作検出通知が入力されると、その入力された操作検出通知を制御部101に出力し、制御部101は、タッチ操作入力部112から入力した操作検出通知を解析する。
【0032】
図1(b)に示されるように、携帯電話機200は、制御部201と、電話通信部202と、BT通信部203と、キー入力部204と、記憶部205と、表示部206と、マイクロホン207と、スピーカ208とを備えて構成されている。
【0033】
制御部201は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM及びI/Oバス等を有し、携帯電話機200の動作全般を制御する。
【0034】
電話通信部202は、制御部201に接続されており、制御部201によって制御されて図示しない通信網との間で電話通信を行なう。なお、この通信網は、携帯電話基地局や基地局制御装置等の周知の携帯電話通信サービスを提供する設備を含むものである。
【0035】
BT通信部203は、制御部201に接続されており、制御部201によって制御されて車載装置100との間でBT通信を行なう。BT通信部203は、上記BT通信部102と同様に、BTの通信規格で規定されている複数のプロファイルとしてHFPやA2DP等を同時に接続可能(いわゆるマルチプロファイル接続可能)である。
【0036】
キー入力部204は、制御部201に接続されており、ユーザが操作する各種キーが配列されて構成されている。ユーザによって各種キーが操作されると、キー入力部204は、その操作されたキーに対応する信号を制御部201に出力する。
【0037】
記憶部205は、各種データを記憶可能に構成されており、例えば電話番号と登録名との対応を表す電話帳データや電話通信部202によって通信網から受信したストリーミングデータ等の各種データを記憶する。記憶部205は、制御部201に接続されており、制御部201によって各種データが適宜読み出されたり書き込まれたりする。
【0038】
表示部206は、制御部201に接続されており、制御部201から表示指令通知が入力されると、その入力された表示指令通知に基づいて各種画像を表示する。
【0039】
マイクロホン207は、公知のマイクロホンから構成されており、制御部201に接続されている。スピーカ208は、公知のスピーカから構成されており、制御部201に接続されている。制御部201は、BT通信部203が車載装置100との間でA2DPを接続している間、記憶部205に蓄積されているストリーミングデータを車載装置100に対し送信する。
【0040】
ところで、携帯電話機200のなかには、接続相手である車載装置100との間でHFPを接続すると、さらにA2DPを接続しようとするものがある(換言すれば、携帯電話機200のなかには、接続相手である車載装置100との間でプロファイルを接続することが可能であるならば、接続することが可能な全てのプロファイルを接続しようとするものがある)。また、携帯電話機200は、車載装置100との間でHFPを接続している間にA2DPの接続要求を送信し、A2DPの接続要求が受け入れられないと、先に接続していたHFPの接続を切断してしまうものがある。このHFPの接続を切断する動作については、課題の欄において「問題の動作」として既述している。
【0041】
また、本実施の形態では、車載装置100は、他の近距離無線通信装置に対し要求したプロファイルのみを接続し、他の近距離無線通信装置から当該車載装置100に対し要求されたプロファイルの接続要求を受け入れない仕様を有している。具体的には、車載装置100は、当該車載装置100から携帯電話機200へプロファイルの接続要求を送信し、携帯電話機200からプロファイルの接続応答を受信した場合には、携帯電話機200との間でプロファイルを接続する。しかしながら、車載装置100は、携帯電話機200からプロファイルの接続要求を受信した場合には、その受信したプロファイルの接続要求を受け入れることなく拒絶してプロファイルの拒絶応答を送信し、携帯電話機200との間でプロファイルを接続しない。
【0042】
こうした仕様を有する本実施の形態の車載装置100が上記問題の動作を行なう携帯電話機200と間でHFPの接続を行なうと、次のような事態が生じることがある。以下、図2を参照しつつ説明する。
【0043】
図2に示されるように、車載装置100は、まず、ステップS101の処理として、携帯電話機200に対しHFPの接続要求を送信する。HFPの接続要求を受信した携帯電話機200は、このHFPの接続要求を拒絶することなく受け入れ、続くステップS102の処理として、車載装置100に対しHFPの接続応答(Accepted)を送信する。HFPの接続応答を受信した車載装置100は、続くステップS103の処理として、携帯電話機200との間でHFPの接続状態となる。
【0044】
ここで、携帯電話機200は、車載装置100との間でHFPを接続すると、さらにA2DPを接続しようとする。そのため、携帯電話機200は、ステップS104の処理として、車載装置100に対しA2DPのサービスをサポートしているか否かを確認するサービス問い合わせを送信する。車載装置100は、A2DPのサービスをサポートしていることから、携帯電話機200からサービス問い合わせを受信すると、続くステップS105の処理として、携帯電話機200に対しA2DPサービス有の旨を示すサービス問い合わせ応答を送信する。そして、携帯電話機200は、車載装置100からA2DPサービス有の旨を示すサービス問い合わせ応答を受信すると、続くステップS106の処理として、車載装置100に対しA2DPの接続要求を送信する。
【0045】
しかしながら、車載装置100は、上記仕様を有することから、携帯電話機200から受信したA2DPの接続要求を受け入れず拒絶し、続くステップS107の処理として、携帯電話機200に対しA2DPの拒絶応答(Not accepted)を送信する。そして、携帯電話機200は、車載装置100からA2DPの拒絶応答を受信した(すなわち、A2DPの接続要求が受け入れられなかった)ことから、続くステップS108の処理として、車載装置100に対しHFPの切断要求を送信する(問題の動作)。
【0046】
その結果、車載装置100は、続くステップS109の処理として、携帯電話機200に対しHFPの切断応答(Accepted)を送信し、携帯電話機200は、先に接続していたHFPの接続をユーザの意思によらず切断し、HFPの接続が切断されたままの状態が維持されてしまう。ちなみに、従来技術は、図2中に示した破線よりも上のステップS109の処理まで行なっていた。
【0047】
そこで、本実施の形態では、車載装置100(詳しくは制御部101)は、携帯電話機200との間でHFPを接続している間に携帯電話機200から送信されたA2DPの接続要求を受け入れなかったことに起因してユーザの意思によらずHFPの接続が切断されたか否かを検出し、切断されたことが検出された場合には、携帯電話機200との間でHFPを再接続することとした。
【0048】
詳しくは、制御部101は、携帯電話機200から送信されたA2DPの接続要求を車載装置100が受け入れなかった時点、すなわち車載装置100がステップS107の処理として携帯電話機200に対しA2DPの拒絶応答(Not accepted)を送信した時点を基準として経過時間を計時開始し、その経過時間が所定時間(例えば「100[ミリ秒]」等)経過する前に、携帯電話機200との間でHFPの接続が切断された場合、すなわち車載装置100がステップS109の処理として携帯電話機200に対しHFPの切断応答を送信した場合には、携帯電話機200との間でHFPを再接続する。なお、制御部101の計時処理並びにステップS107及び109の処理が特許請求の範囲に記載の通信切断検出手段に相当する。
【0049】
このようにしてユーザの意思によらずHFPの接続が切断されたことを検出すると、車載装置100は、続くステップS110の処理として、携帯電話機200に対しHFPの接続要求を送信する。HFPの接続要求を受信した携帯電話機200は、このHFPの接続要求を拒絶することなく受け入れ、続くステップS111の処理として、車載装置100に対しHFPの接続応答(Accepted)を送信する。HFPの接続応答を受信した車載装置100は、続くステップS112の処理として、携帯電話機200との間でHFPの接続状態となる。なお、制御部101のステップS110〜S112の処理が特許請求の範囲に記載の通信再接続手段に相当する。
【0050】
既述したように、携帯電話機200は、車載装置100との間でHFPを再接続すると、さらにA2DPを接続しようとする。そのため、携帯電話機200は、ステップS113の処理として、車載装置100に対しA2DPのサービスをサポートしているか否かを確認するサービス問い合わせを送信する。車載装置100は、A2DPのサービスをサポートしていることから、携帯電話機200からサービス問い合わせを受信すると、続くステップS114の処理として、携帯電話機200に対しA2DPサービス有の旨を示すサービス問い合わせ応答を送信する。そして、携帯電話機200は、車載装置100からA2DPサービス有の旨を示すサービス問い合わせ応答を受信すると、続くステップS115の処理として、車載装置100に対しA2DPの接続要求を送信する。
【0051】
ここで、車載装置100が上記仕様に起因してこのA2DPの接続要求を受け入れないと、再接続したHFPの接続が携帯電話機200によってユーザの意思によらず再度切断されてしまう。その結果、接続されていたHFPの接続のユーザの意思によらない切断とその切断されたHFPの再接続とが繰り返されてしまう。
【0052】
そこで、本実施の形態では、車載装置100(詳しくは制御部101)は、上述した「問題の動作」を実行する携帯電話機200に関して、携帯電話機200との間でHFPを再接続した後、携帯電話機200からA2DPの接続要求が再度要求された場合には、その要求を受け入れることとした。
【0053】
具体的には、車載装置100は、携帯電話機200からA2DPの接続要求を受信すると、このA2DPの接続要求を拒絶することなく受け入れ、続くステップS116の処理として、携帯電話機200に対しA2DPの接続応答(Accepted)を送信する。そして、車載装置100は、続くステップS117の処理として、携帯電話機200との間でHF
及びA2DPの接続状態となる。なお、制御部101のステップS116の処理が特許請求の範囲に記載の通信再接続手段に相当する。
【0054】
以上説明した第1の実施の形態では、車載装置100は、携帯電話機200に対しA2DPの拒絶応答を送信した(S107)時点を基準として経過時間を計時開始し、その経過時間が所定時間経過する前に、携帯電話機200に対しHFPの切断応答を送信した(S109)場合には、携帯電話機200との間でHFPを再接続することとした(S110〜S112)。これにより、計時するだけの簡素な構成にて、接続されていたHFPの接続のユーザの意思によらない切断を検出することができるようになり、接続されていたHFPの接続がユーザの意思でなく切断された場合に、切断されたままの状態が維持されることを防止することができるようになる。
【0055】
また、第1の実施の形態では、車載装置100は、他の近距離無線通信装置に対し要求したプロファイルのみを接続し、他の近距離無線通信装置から当該車載装置100に対し要求されたプロファイルの接続要求を受け入れない仕様を有しているが、「問題の動作」を行う携帯電話機200に対しては、携帯電話機200との間でHFPを再接続した後、携帯電話機200からA2DPの接続要求が再度要求された場合には、その要求を受け入れることとした(S116)。これにより、再接続したHFPの接続が携帯電話機200によって再度切断されることがなくなるため、接続されていたHFPの接続のユーザの意思でない切断とその切断されたHFPの再接続とが繰り返されなくなる。
【0056】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る近距離無線通信装置の第2の実施の形態について、図3及び図4を参照して説明する。
【0057】
なお、本実施の形態では、先の第1の実施の形態と同様に、近距離無線通信装置は、Bluetooth(登録商標)(以下、BTと略記する)通信機能を有するBT対応の車載装置100として具体化されており、当該車載装置100が搭載されている図示しない車両の車室内に、BT通信機能を有するBT対応の携帯電話機200及びBT通信機能を有するBT対応の携帯機300が持ち込まれ、これら車載装置100、携帯電話機200、携帯機300がBT通信可能な状態にある場合を説明する。
【0058】
また、本実施の形態では、車載装置100は、他の近距離無線通信装置に対し要求したプロファイルのみを接続し、他の近距離無線通信装置から当該車載装置100に対し要求されたプロファイルの接続要求を受け入れない仕様を有していないが、リソースが不足している場合には、他の近距離無線通信装置から要求されたプロファイルの接続を受け入れない。
【0059】
以下、先の第1の実施の形態と異なる部分を中心に詳述する。図3に示されるように、携帯機300は、制御部301と、BT通信部302と、記憶部303と、表示部304と、操作部305と、スピーカ306とを備えて構成されている。
【0060】
制御部301は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM及びI/Oバス等を有し、携帯機300の動作全般を制御する。
【0061】
BT通信部302は、制御部301に接続されており、制御部301によって制御されて車載装置100との間でBT通信を行なう。BT通信部302は、BTの通信規格で規定されている複数のプロファイルとしてA2DP等を接続可能である。
【0062】
記憶部303は、例えばストリーミングデータ等の各種データを記憶可能に構成されている。記憶部303は、制御部301に接続されており、制御部301によって各種データが適宜読み出される。
【0063】
表示部304は、制御部301に接続されており、制御部301から表示指令通知が入力されると、その入力された表示指令通知に基づいて各種画像を表示する。
【0064】
操作部305は、制御部301に接続されており、ユーザが操作する例えばプッシュボタン等にて構成されている。ユーザによってプッシュボタンが操作されると、操作部305は、その操作されたプッシュボタンに対応する信号を制御部301に出力する。
【0065】
スピーカ306は、公知のスピーカから構成されており、制御部301に接続されている。
【0066】
制御部301は、BT通信部302が車載装置100との間でA2DPを接続している間、記憶部303に蓄積されているストリーミングデータを車載装置100に対し送信する。また、制御部301は、BT通信部302が車載装置100との間でA2DPを接続されていない場合、記憶部303に蓄積されているストリーミングデータを再生してスピーカ306から出力する。
【0067】
ところで、携帯電話機200は、先の第1の実施の形態と同様に、「問題の動作」を行なう。また、本実施の形態では、車載装置100は、他の近距離無線通信装置に対し要求したプロファイルのみを接続し、他の近距離無線通信装置から当該車載装置100に対し要求されたプロファイルの接続要求を受け入れない仕様を有していないが、リソースが不足している場合には、他の近距離無線通信装置から要求されたプロファイルの接続を受け入れない。具体的には、車載装置100は、携帯電話機200や携帯機300からプロファイルの接続要求を受信すると、当該車載装置100のリソースの残量を確認し、リソースが不足している場合には、すなわち、要求されたプロファイルを接続するリソースがない場合には、携帯電話機200や携帯機300に対しプロファイルの拒絶応答(Not accepted)を送信する。
【0068】
こうした本実施の形態の車載装置100が上記問題の動作を行なう携帯電話機200と間でHFPの接続を行なうと、次のような事態が生じることがある。以下、図4を参照しつつ説明する。
【0069】
図4に示されるように、車載装置100は、既に、携帯機300との間でA2DPの接続状態にあるものとし(ステップS201の処理)、こうした状態において、車載装置100が携帯電話機200に対しHFPの接続要求を送信したものとする(ステップS202の処理)。
【0070】
このとき、HFPの接続要求を受信した携帯電話機200は、このHFPの接続要求を拒絶することなく受け入れ、続くステップS203の処理として、車載装置100に対しHFPの接続応答(Accepted)を送信する。HFPの接続応答を受信した車載装置100は、続くステップS204の処理として、携帯電話機200との間でHFPの接続状態となる。
【0071】
ここで、携帯電話機200は、車載装置100との間でHFPを接続すると、さらにA2DPを接続しようとする。そのため、携帯電話機200は、ステップS205の処理として、車載装置100に対しA2DPのサービスをサポートしているか否かを確認するサービス問い合わせを送信する。車載装置100は、A2DPのサービスをサポートしていることから、携帯電話機200からサービス問い合わせを受信すると、続くステップS206の処理として、携帯電話機200に対しA2DPサービス有の旨を示すサービス問い合わせ応答を送信する。そして、携帯電話機200は、車載装置100からA2DPサービス有の旨を示すサービス問い合わせ応答を受信すると、続くステップS207の処理として、車載装置100に対しA2DPの接続要求を送信する。
【0072】
しかしながら、車載装置100は、既に携帯機300とA2DPの接続を行っており、新たにA2DPの接続を行うリソースがないことから、携帯電話機200から受信したA2DPの接続要求を受け入れることができず拒絶し、続くステップS208の処理として、携帯電話機200に対しA2DPの拒絶応答(Not accepted)を送信する。そして、携帯電話機200は、車載装置100からA2DPの拒絶応答を受信した(すなわち、A2DPの接続要求が受け入れられなかった)ことから、続くステップS209の処理として、車載装置100に対しHFPの切断要求を送信する(問題の動作)。
【0073】
その結果、車載装置100は、続くステップS210の処理として、携帯電話機200に対しHFPの切断応答(Accepted)を送信し、携帯電話機200は、先に接続していたHFPの接続をユーザの意思によらず切断し、HFPの接続が切断されたままの状態が維持されてしまう。また、車載装置100は、携帯機300との間でA2DPの接続状態が維持されたままとなる(ステップS211の処理)。ちなみに、従来技術は、図4中に示した破線よりも上のステップS211の処理まで行なっていた。
【0074】
そこで、本実施の形態では、車載装置100(詳しくは制御部101)は、携帯電話機200との間でHFPを接続している間に携帯電話機200から送信されたA2DPの接続要求を受け入れなかったことに起因してユーザの意思によらずHFPの接続が切断されたか否かを検出し、切断されたことが検出された場合には、A2DPを接続するに必要なリソースを確保した上で、携帯電話機200との間でHFPを再接続することとした。
【0075】
詳しくは、制御部101は、携帯電話機200から送信されたA2DPの接続要求を車載装置100が受け入れなかった時点、すなわち車載装置100がステップS208の処理として携帯電話機200に対しA2DPの拒絶応答(Not accepted)を送信した時点を基準として経過時間を計時開始する。その経過時間が所定時間(例えば「100[ミリ秒]」等)経過する前に、携帯電話機200との間でHFPの接続が切断された場合、すなわち車載装置100がステップS210の処理として携帯電話機200に対しHFPの切断応答を送信した場合には、携帯機300との間で接続していたA2DPの接続を切断することで携帯電話機200との間でA2DPを接続するに必要なリソースを確保した上で、携帯電話機200との間でHFPを再接続する。
【0076】
具体的には、制御部101は、続くステップS212の処理として、携帯機300に対しA2DPの切断要求を送信する。その結果、A2DPの接続要求を受信した携帯機300は、このA2DPの切断要求を拒絶することなく受け入れ、続くステップS213の処理として、車載装置100に対しA2DPの切断応答(Accepted)を送信し、車載装置100と携帯機300との間のA2DPの接続が切断され、車載装置100のリソースが確保される。なお、制御部101のステップS212の処理が特許請求の範囲に記載の通信再接続手段に相当する。
【0077】
このようにして車載装置100のリソースが確保されると、車載装置100は、続くステップS214の処理として、携帯電話機200に対しHFPの接続要求を送信する。HFPの接続要求を受信した携帯電話機200は、このHFPの接続要求を拒絶することなく受け入れ、続くステップS215の処理として、車載装置100に対しHFPの接続応答(Accepted)を送信する。HFPの接続応答を受信した車載装置100は、続くステップS216の処理として、携帯電話機200との間でHFPの接続状態となる。なお、制御部101のステップS214〜S216の処理が特許請求の範囲に記載の通信再接続手段に相当する。
【0078】
既述したように、携帯電話機200は、車載装置100との間でHFPを再接続すると、さらにA2DPを接続しようとする。そのため、携帯電話機200は、ステップS217の処理として、車載装置100に対しA2DPのサービスをサポートしているか否かを確認するサービス問い合わせを送信する。車載装置100は、A2DPのサービスをサポートしていることから、携帯電話機200からサービス問い合わせを受信すると、続くステップS218の処理として、携帯電話機200に対しA2DPサービス有の旨を示すサービス問い合わせ応答を送信する。そして、携帯電話機200は、車載装置100からA2DPサービス有の旨を示すサービス問い合わせ応答を受信すると、続くステップS219の処理として、車載装置100に対しA2DPの接続要求を送信する。
【0079】
車載装置100は、携帯電話機200からA2DPの接続要求を受信すると、携帯電話機200との間でA2DPを接続するに必要なリソースが確保されていることから、このA2DPの接続要求を拒絶することなく受け入れ、続くステップS220の処理として、携帯電話機200に対しA2DPの接続応答(Accepted)を送信する。そして、車載装置100は、続くステップS221の処理として、携帯電話機200との間でHFP及びA2DPの接続状態となる。
【0080】
なお、本実施の形態の車載装置100は、携帯電話機200や携帯機300との間でA2DPを接続するよりも、HFPを接続することを優先する。
【0081】
以上説明した第2の実施の形態では、先の第1の実施の形態と同様に、車載装置100は、携帯電話機200に対しA2DPの拒絶応答を送信した(S208)時点を基準として経過時間を計時開始し、その経過時間が所定時間経過する前に、携帯電話機200に対しHFPの切断応答を送信した(S210)場合には、携帯電話機200との間でHFPを再接続することとした(S214〜S216)。これにより、計時するだけの簡素な構成にて、接続されていたHFPの接続のユーザの意思でない切断を検出することができるようになり、接続されていたHFPの接続がユーザの意思でなく切断された場合に、切断されたままの状態が維持されることを防止することができるようになる。
【0082】
また、第2の実施の形態では、車載装置100は、リソースが不足している場合には、他の近距離無線通信装置から要求されたプロファイルの接続を受け入れないものであり、A2DPを接続するに必要なリソースを確保した上で、携帯電話機200との間でHFPを再接続することとした。携帯電話機200との間でA2DPを接続するに必要なリソースを確保しないままHFPの再接続を行なうと、接続されていたHFPのユーザの意思でない切断とその切断されたHFPの再接続とが繰り返されるところ、A2DPを接続するに必要なリソースを確保した上で携帯電話機200との間でHFPを再接続することから、再接続したHFPの接続が携帯電話機200によって再度切断されることがなくなるため、接続されていたHFPのユーザの意思によらない切断とその切断されたHFPの再接続とは繰り返されなくなる。
【0083】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る近距離無線通信装置の第3の実施の形態について、図5を参照して説明する。
【0084】
なお、本実施の形態では、先の第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、近距離無線通信装置は、Bluetooth(登録商標)(以下、BTと略記する)通信機能を有するBT対応の車載装置100として具体化されており、当該車載装置100が搭載されている図示しない車両の車室内に、BT通信機能を有するBT対応の携帯電話機200及びBT通信機能を有するBT対応の携帯機300が持ち込まれ、これら車載装置100、携帯電話機200、携帯機300がBT通信可能な状態にある場合を説明する。
【0085】
また、本実施の形態では、携帯電話機200は、先の第1の実施の形態と同様に、「問題の動作」を行なう。
【0086】
また、本実施の形態では、先の第2の実施の形態と同様に、車載装置100は、他の近距離無線通信装置に対し要求したプロファイルのみを接続し、他の近距離無線通信装置から当該車載装置100に対し要求されたプロファイルの接続要求を受け入れない仕様を有していない。しかしながら、車載装置100は、先の第2の実施の形態とは異なり、リソースが不足している場合には、他の近距離無線通信装置から要求されたプロファイルの接続要求を受け入れることを保留し、その保留している間にリソースを確保した後、他の近距離無線通信装置から要求されたプロファイルの接続要求を受け入れる。具体的には、車載装置100は、携帯電話機200や携帯機300からプロファイルの接続要求を受信すると、当該車載装置100のリソースの残量を確認し、リソースが不足している場合には、すなわち、要求されたプロファイルを接続するリソースがない場合には、携帯電話機200や携帯機300に対しプロファイルを受け入れることを保留する保留応答(Pending)を送信する。
【0087】
以下、図5を参照しつつ説明する。図5に示されるように、車載装置100は、既に、携帯機300との間でA2DPの接続状態にあるものとし(ステップS301の処理)、こうした状態において、車載装置100が携帯電話機200に対しHFPの接続要求を送信したものとする(ステップS302の処理)。
【0088】
このとき、HFPの接続要求を受信した携帯電話機200は、このHFPの接続要求を拒絶することなく受け入れ、続くステップS303の処理として、車載装置100に対しHFPの接続応答(Accepted)を送信する。HFPの接続応答を受信した車載装置100は、続くステップS304の処理として、携帯電話機200との間でHFPの接続状態となる。
【0089】
ここで、携帯電話機200は、車載装置100との間でHFPを接続すると、さらにA2DPを接続しようとする。そのため、携帯電話機200は、ステップS305の処理として、車載装置100に対しA2DPのサービスをサポートしているか否かを確認するサービス問い合わせを送信する。車載装置100は、A2DPのサービスをサポートしていることから、携帯電話機200からサービス問い合わせを受信すると、続くステップS306の処理として、携帯電話機200に対しA2DPサービス有の旨を示すサービス問い合わせ応答を送信する。そして、携帯電話機200は、車載装置100からA2DPサービス有の旨を示すサービス問い合わせ応答を受信すると、続くステップS307の処理として、車載装置100に対しA2DPの接続要求を送信する。
【0090】
なお、先の図4に示した第2の実施の形態では、車載装置100は、既に携帯機300とA2DPの接続を行っており、新たにA2DPの接続を行うリソースがないことから、携帯電話機200から受信したA2DPの接続要求を受け入れることができず拒絶し、続くステップS208の処理として、携帯電話機200に対しA2DPの拒絶応答(Not accepted)を送信していた。そして、携帯電話機200は、車載装置100からA2DPの拒絶応答を受信した(すなわち、A2DPの接続要求が受け入れられなかった)ことから、続くステップS209の処理として、車載装置100に対しHFPの切断要求を送信していた(問題の動作)。
【0091】
その結果、車載装置100は、続くステップS210の処理として、携帯電話機200に対しHFPの切断応答(Accepted)を送信し、携帯電話機200は、先に接続していたHFPの接続をユーザの意思によらず切断する。このように、第2の実施形態では、車載装置100と携帯電話機200とのHFP接続が、僅かな時間ではあるが、切断されてしまうものであった。
【0092】
そこで、本実施の形態では、車載装置100(詳しくは制御部101)は、携帯電話機200との間でHFPを接続している間に携帯電話機200から送信されたA2DPの接続要求を受け入れることを保留し、その保留している間に、既に携帯機300との間で接続しているA2DPを切断することにより、携帯電話機200との間でA2DPを接続するに必要なリソースを確保した後、携帯電話機200から送信されたA2DPの接続要求を受け入れることとした。なお、携帯機300との間で接続しているA2DPが特許請求の範囲に記載の所定のプロファイル以外に接続しているプロファイルに相当する。
【0093】
詳しくは、制御部101は、携帯電話機200から送信されたA2DPの接続要求を受信すると、当該車載装置100のリソースの残量を確認し、リソースが不足している場合には、すなわち、要求されたプロファイルを接続するリソースがない場合には、A2DPの接続要求を受け入れることを保留し、ステップS308の処理として、保留する旨を示す保留応答(Pending)を携帯電話機200に対し送信する。A2DPの保留応答(Pending)を受信した携帯電話機200は、A2DPの拒絶応答(Not Accepted)を受信したわけではないため、車載装置100との間で接続していたHFPを切断することなく、A2DPの接続に係る処理の進行を一旦停止する。
【0094】
制御部101は、このようにしてA2DPの接続要求を受け入れることを保留している間に、続くステップS309の処理として、携帯機300に対しA2DPの切断要求を送信する。携帯機300は、このA2DPの切断要求を拒絶することなく受け入れ、続くステップS310の処理として、車載装置100に対しA2DPの切断応答(Accepted)を送信する。その結果、車載装置100と携帯機300との間のA2DPの接続が切断され、車載装置100のリソースが確保される。
【0095】
車載装置100のリソースが確保されると、車載装置100は、先のステップS307の処理において受信し受け入れることを保留していたA2DPの接続要求を受け入れ、続くステップS311の処理として、携帯電話機200に対しA2DPの接続応答(Accepted)を送信する。そして、車載装置100は、続くステップ312の処理として、携帯電話機200との間でHFP及びA2DPの接続状態となる。
【0096】
なお、本実施の形態の車載装置100でも、携帯電話機200や携帯機300との間でA2DPを接続するよりも、HFPを接続することを優先する。
【0097】
以上説明した第3の実施の形態では、車載装置100は、携帯電話機200との間でHFPを接続しているときに、携帯電話機200からA2DPの接続要求を受信すると、一旦、そのA2DPの接続要求を受け入れることを保留する。その保留している間に、既に携帯機300との間で接続しているA2DPを切断することにより、携帯電話機200との間でA2DPを接続するに必要なリソースを確保した後、携帯電話機200から送信されたA2DPの接続要求を受け入れる。
【0098】
携帯電話機200は、車載装置100からA2DPの拒絶応答を受信したわけではないため、車載装置100との間で接続していたHFPを切断することなく、A2DPの接続に係る処理の進行を一旦停止(保留)するだけである。したがって、上記構成によれば、接続されていたHFPの接続がユーザの意思によらず切断されることがないため、HFPが切断されたままの状態が維持されることを防止することができるようになる。
【符号の説明】
【0099】
100…Bluetooth対応車載装置(近距離無線通信装置)、101…制御部(通信切断検出手段、通信再接続手段)、102…Bluetooth通信部、103…音声処理部、104…マイクロホン、105…オーディオアンプ、106,107…スピーカ、108…チューナーデッキ、109…記憶部、110…表示制御部、111…表示装置、112…タッチ操作入力部、113…タッチ操作入力装置、200…Bluetooth対応携帯電話機(近距離無線通信装置)、201…制御部、202…電話通信部、203…Bluetooth通信部、204…キー入力部、205…記憶部、206…表示部、207…マイクロホン、208…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続相手である他の近距離無線通信装置との間で複数のプロファイルを同時に接続可能な近距離無線通信装置において、
当該近距離無線通信装置が前記他の近距離無線通信装置との間で所定のプロファイルを接続している間に前記他の近距離無線通信装置から要求された別のプロファイルの接続要求を当該近距離無線通信装置が受け入れなかったことに起因して前記所定のプロファイルの接続が切断されたか否かを検出する通信切断検出手段と、
前記通信切断検出手段によって前記所定のプロファイルの接続が切断されたことが検出されたことに基づいて、前記他の近距離無線通信装置との間で前記所定のプロファイルを再接続する通信再接続手段とを備えることを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の近距離無線通信装置において、
前記通信切断検出手段は、前記他の近距離無線通信装置との間で所定のプロファイルを接続している間に前記他の近距離無線通信装置から要求された別のプロファイルの接続要求を当該近距離無線通信装置が受け入れなかった時点を基準として経過時間を計時開始し、その経過時間が所定時間経過する前に前記所定のプロファイルの接続が切断されたことをもって、前記所定のプロファイルの接続が切断されたことを検出することを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の近距離無線通信装置において、
当該近距離無線通信装置は、他の近距離無線通信装置に対し要求したプロファイルを接続し、他の近距離無線通信装置から当該近距離無線通信装置に対し要求されたプロファイルの接続要求を受け入れない仕様を有しており、
前記通信再接続手段は、前記所定のプロファイルを再接続した後、前記他の近距離無線通信装置から別のプロファイルの接続要求が再度要求された場合には、その要求を受け入れることを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の近距離無線通信装置において、
当該近距離無線通信装置は、リソースが不足している場合には、他の近距離無線通信装置から要求されたプロファイルの接続を受け入れず、
前記通信再接続手段は、前記通信切断検出手段によって前記所定のプロファイルの接続が切断されたことが検出されたことに基づいて、前記別のプロファイルを接続するに当たり必要なリソースを確保した上で、別のプロファイルを再接続することを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項5】
接続相手である他の近距離無線通信装置との間で複数のプロファイルを同時に接続可能な近距離無線通信装置において、
前記他の近距離無線通信装置との間で所定のプロファイルを接続している間に要求された別のプロファイルの接続要求を当該近距離無線通信装置が受け入れない場合には前記所定のプロファイルの接続を切断する前記他の近距離無線通信装置から前記別のプロファイルの接続を要求されたことに基づいて、一旦、前記別のプロファイルの接続要求を受け入れることを保留し、その保留している間に前記別のプロファイルを接続するに当たり必要なリソースを確保した後、前記別のプロファイルの接続要求を受け入れることを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の近距離無線通信装置において、
前記別のプロファイルの接続要求を受け入れることを保留する旨を示す保留応答を前記別の近距離無線通信装置に対し送信することを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の近距離無線通信装置において、
前記所定のプロファイル以外に接続しているプロファイルを切断することにより、前記必要なリソースを確保することを特徴とする近距離無線通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−5098(P2012−5098A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210304(P2010−210304)
【出願日】平成22年9月20日(2010.9.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】