説明

送信コントローラ用補助ユーザーインターフェース

【課題】送信コントローラにコンポーネントを拡張的に追加することなく、送信コントローラに、より良好なユーザーインターフェースを提供する。
【解決手段】補助ユーザーインターフェースデバイスと互換性のある送信コントローラは、作動パラメータを記憶するメモリと、制御ユーザーインターフェースと、補助ユーザーインターフェースコネクタと、送信コントローラプロセッサとを有する。送信コントローラプロセッサは、補助ユーザーインターフェースデバイスに作動パラメータに送信し、補助ユーザーインターフェースデバイスからのパラメータ命令に従って作動パラメータを変更するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスレファレンス)
本願は、2010年5月5日に「模型乗り物用補助ユーザーインターフェース」を発明の名称として出願された、係属中の米国仮特許出願第61/331,745号の出願日に基づく優先権を主張するものであり、本願ではすべての目的のために、この米国特許出願第61/331,745号の全内容を参考例として援用する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、模型乗り物用送信コントローラに関し、より詳細には、模型乗り物用送信コントローラのためのユーザーインターフェースに関するものである。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ラジコン模型乗り物(モデルビークル)、例えば、ラジコン自動車、ボートまたは飛行機は、送信コントローラによって遠隔的に制御できる。送信コントローラは、専用のハードウェアの内蔵インターフェースを備える、専用のハードウェアデバイスとなっていることが多い。送信コントローラでは、機械的ハードウェア部品、例えば、つまみ、ダイヤル、ホイールおよびスイッチを通してユーザー入力のすべてを受信できる。ユーザーへの出力は、ハードウェアコンポーネントのラベルの付いた位置および数個のLEDを通してしか提供できない。
【0004】
送信コントローラの内蔵ユーザーインターフェースは、2つの部品、すなわち制御ユーザーインターフェースとパラメータユーザーインターフェースとに分割できる。制御ユーザーインターフェースは、模型乗り物の動きを直接制御するものであり、例えば、代表的な模型自動車では、制御ユーザーインターフェースは、ハンドル(ハンドル)と、スロットルトリガーとを含む。ユーザーがハンドルを回転すると、乗り物の車輪もそれに従って移動できる。ユーザーがグリップに向けてトリガーを変位させると、乗り物は加速でき、ユーザーがグリップから離れるようにトリガーを変位させると、乗り物にブレーキをかけることができる。
【0005】
パラメータユーザーインターフェースは、乗り物の作動を間接的に制御する作動パラメータをユーザーが設定できるようにするものである。これらパラメータは、送信コントローラのメモリ内に記憶できる。これらパラメータは、送信コントローラが制御ユーザーインターフェースからの入力を模型乗り物への出力にどのように変換するかに影響し得る。送信コントローラは、パラメータおよび制御ユーザーインターフェースへの入力に基づき、模型乗り物への出力信号を決定することができる。換言すれば、これらパラメータは、送信コントローラが制御ユーザーインターフェースからの制御命令を変更するかどうかを判断でき、制御命令を変更する場合、これらパラメータは、制御命令をどのように変更するかを決定できる。
【0006】
例えば、ステアリングのサーボが逆に設定されている模型乗り物がある。この場合、送信コントローラが右に曲がるように乗り物に命令したとき、乗り物は左に曲がり、送信コントローラが左に曲がるように乗り物に命令したとき、乗り物は右に曲がることになる。従って、乗り物を右に曲げたいユーザーは、乗り物が左に曲がるのを見ることになり、逆に乗り物を左に曲げたいときには、乗り物が右に曲がるのを見ることになる。この問題を解決するために、送信コントローラは、メモリに記憶されているサーボ反転パラメータを有することができる。サーボ反転パラメータをオフに設定した場合、送信コントローラは、信号を通常どおり送信できる。サーボ反転パラメータがオンに設定されている場合、送信コントローラは、乗り物に送信される左/右命令を反転でき、乗り物の反転されたステアリングサーボを補償できる。従って、乗り物を左に曲げるユーザー命令は、乗り物が右に曲がることを送信コントローラに命令する。このため、反転されたステアリングサーボにより、乗り物は左に曲げられる。同様に、乗り物を右に曲げる旨のユーザー命令は、乗り物を左に曲げるよう、送信コントローラが命令を出すようにするので、反転されたステアリングサーボによって乗り物は右に曲げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
サーボ反転のような二進パラメータに対し、送信コントローラ内の内蔵スイッチを使用できる。しかしながら、パラメータがより複雑な場合、代表的なハードウェアユーザーインターフェースのコンポーネントは、扱いにくい場合がある。例えば、加速度曲線パラメータは、スロットルトリガーの動きの可変量に応答して、模型乗り物が加速するように送信コントローラがどれだけ多く命令を出すかを決定できる。ダイヤル、スイッチなどだけで加速度曲線を特定することは、ほとんどのユーザーにとって困難である。更にユーザーが、加速度曲線をグラフのように見ることができない場合、ユーザーは加速度曲線を正しく決定したかどうかを判断する手段を有することはできない。
【0008】
代表的なハードウェアユーザーインターフェースコンポーネントにとって、ユーザーにフィードバックを提供する能力にも限界がある。ラベルおよび数個のLEDだけでユーザーに乗り物の速度、バッテリーの電圧、エンジンのRPM(回転速度)などを伝えることは困難である。内蔵されたグラフィックユーザーインターフェースを有する送信コントローラは、より高度なユーザーインターフェースをユーザーに提供できる。しかしながら、かかる送信コントローラを製造することは、コスト上、不可能であり得る。グラフィックディスプレイおよび汎用ユーザー制御装置を追加するには、送信コントローラのコストを大幅に増大させる追加コンポーネントが必要である。更に、これらコンポーネントに給電することにより、送信コントローラのバッテリーの寿命が大幅に短くなってしまう。
【0009】
従って、送信コントローラにコンポーネントを拡張的に追加することなく、送信コントローラに、より良好なユーザーインターフェースを追加したいというニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の概要)
一実施形態では、補助ユーザーインターフェースデバイスと互換性のある送信コントローラが提供される。送信コントローラは作動パラメータを有するメモリと、制御ユーザーインターフェースと、補助ユーザーインターフェースコネクタと、送信コントローラプロセッサとを有する。送信コントローラプロセッサは、補助ユーザーインターフェースデバイスに作動パラメータを送信すると共に、補助ユーザーインターフェースデバイスからのパラメータ命令に従って作動パラメータを変更するようになっている。送信コントローラプロセッサは、更に制御ユーザーインターフェースからの制御命令を受信し、制御命令および1つ以上の作動パラメータに基づいて出力信号を決定し、出力信号を模型乗り物に送信するようにもなっている。
【0011】
本発明およびその利点をより完全に理解するために、次の添付図面を参照し、下記の詳細な説明について参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係わるポータブル電子デバイスと送信コントローラと受信機との組み合わせを示す。
【図2A】送信コントローラの一例から分解されたポータブル電子デバイスの一例の右側背面斜視図を、所定の縮尺で示す。
【図2B】送信コントローラの一例に取り付けられたポータブル電子デバイスの一例の右側背面斜視図を、所定の縮尺で示す。
【図2C】送信コントローラの一例に取り付けられたポータブル電子デバイスの一例の左側正面斜視図を、所定の縮尺で示す。
【図2D】送信コントローラの一例に取り付けられたポータブル電子デバイスの一例のオーバーヘッド図を、所定の縮尺で示す。
【図2E】送信コントローラの一例に取り付けられたポータブル電子デバイスの一例の正面図を、所定の縮尺で示す。
【図2F】送信コントローラの一例に取り付けられたポータブル電子デバイスの一例の右側面図を、所定縮尺で示す。
【図2G】送信コントローラの一例に取り付けられたポータブル電子デバイスの一例の左側面図を、所定の縮尺で示す。
【図3】本発明の一実施例に係わる、遠隔測定データを表示するポータブル電子デバイスのユーザーインターフェースを示す。
【図4】本発明の一実施例に従い、パラメータの設定を変更するためのスライダーを表示するポータブル電子デバイスのユーザーインターフェースの一例を示す。
【図5】本発明の一実施例に従い、ユーザーが編集できる曲線を表示するポータブル電子デバイスのユーザーインターフェースの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
次の説明では、本発明を完全に理解できるようにするために、特定の細部の多くについて記載する。しかしながら、当業者であれば、かかる特定の細部がなくても本発明を実施できることが理解できよう。他の場合、本発明を不必要に詳細に記載して本発明を不明瞭にしないよう、周知の要素は略図またはブロック図で示した。更に、本発明を完全に理解するために、特定の細部が不要であると見なされ、対応する技術における当業者の理解の範囲内と見なされる限り、ほとんどの部分では、特定の細部などについては省略した。
【0014】
本発明によれば、送信コントローラは、ポータブル電子デバイスと通信できる能力を有することができる。この送信コントローラは、ポータブル電子デバイスがなくても単独で機能でき、基本的な内蔵された非グラフィックパラメータユーザーインターフェースを提供できる。拡張されたパラメータユーザーインターフェースを提供するため、送信コントローラにはポータブル電子デバイスを接続し、このポータブル電子デバイスは、補助ユーザーインターフェースとして働くことができる。ユーザーが送信コントローラを使用しながら、ポータブル電子デバイスと相互対話できるように、送信コントローラにポータブル電子デバイスを取り付けてもよい。
【0015】
ポータブル電子デバイスをモバイルスマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)およびデジタルミュージックプレイヤーのようなデバイスとすることができる。これらデバイスは一般に、入手可能であり、プログラム可能である。ポータブル電子デバイスを使用することにより、送信コントローラは内蔵LCDディスプレイ、タッチスクリーン、オーディオ出力などではなく、ポータブル電子デバイスと通信するのに必要なハードウェアだけを用いてグラフィカルユーザーインターフェースを提供できる。送信コントローラおよびポータブル電子デバイスを所有するユーザーは、ポータブル電子デバイス内で利用できるハードウェアコンポーネントを利用することにより、送信コントローラ内の追加ハードウェアコンポーネントの出費を節約できる。
【0016】
多くのポータブル電子デバイスは、パソコンのグラフィカルユーザーインターフェースに匹敵する豊富なグラフィカルユーザーインターフェースを提供できる。入力をするために、これらデバイスは、タッチスクリーンまたはキーボードを有することができる。これらデバイスは、パソコンのモニタと同じカラーレンジを備えた高解像度ディスプレイを有することができる。これらデバイスは、ミュージックプレイヤーとして利用できることが多いので、高品位のオーディオ出力を発生できる。一部のデバイスは、バイブレーション機能を有することができる。
【0017】
多くのポータブル電子デバイスは、外部デバイスと通信するための外部インターフェースも有する。この外部デバイスは、パソコンであることが多い。この外部インターフェースを通して、ポータブル電子デバイスはパソコンと通信でき、逆にパソコンは、ポータブル電子デバイスと通信できる。本発明の一実施形態では、ポータブル電子デバイスは、外部インターフェースを使って模型乗り物の送信コントローラと通信し、よってポータブル電子デバイスが送信コントローラのための補助ユーザーインターフェースとして機能できるようにする。
【0018】
図1を参照すると、ここには本発明の一実施形態に係わるポータブル電子デバイス102と送信コントローラ104と受信機106との組み合わせ100が示されている。送信コントローラ104と受信機106とは、当技術分野で知られているように、無線リンク108を通して無線通信できる。これらの名称にも係わらず、送信コントローラ104と受信機106とは、無線通信信号を送受信することが可能である。従って、送信コントローラ104と受信機106の各々は、トランシーバと称すことができるが、これら2つのデバイスを区別するために本願では「送信コントローラ」なる用語と、「受信機」なる用語を使用することにする。
【0019】
ポータブル電子デバイス102は、スマートフォンまたはデジタルミュージックプレイヤーとすることができる。ポータブル電子デバイスの例としてアップル社によって製造されているiPhone(登録商標)およびiPod Touch(登録商標)がある。これらポータブル電子デバイスの例の双方は、タッチスクリーンを通してユーザー入力を取り込むことができる。ポータブル電子デバイス102は、このポータブル電子デバイス102の外部インターフェース102Aを通して送信コントローラ104に接続できる。外部インターフェース102Aは、ポータブル電子デバイス102の従来のハードウェアインターフェース、例えば、パソコンと通信するために、ポータブル電子デバイス102によって使用される接続部とすることができる。
【0020】
送信コントローラ104は、ユーザーが双方のデバイスを同時に、より容易に操作できるよう、ポータブル電子デバイス102のためのドック(dock)を有することができる。代表的なポータブル電子デバイス102は、代表的な送信コントローラ104よりも容積が物理的に小さく、すなわち少なくとも容積が実質的に大きいものではない。この理由は、ユーザーは送信コントローラ104により、乗り物を制御しながら同時にポータブル電子デバイス102を操作することが予想されるからである。送信コントローラ104が両手で保持されるようになっている場合、実質的により大きなポータブル電子デバイス102は、ユーザーが操作するのが困難となり得る。
【0021】
ポータブル電子デバイス102は、送信コントローラ104と通信するためのソフトウェアアプリケーションを実行できる。インターネットのダウンロードを通してポータブル電子デバイス102にソフトウェアアプリケーションを提供できる。インターネットのダウンロードは多くのポータブル電子デバイスにとって一般的なソフトウェアアプリケーションの配信方法となっている。
【0022】
送信コントローラ104は、プロセッサ104Aを有することができる。このプロセッサ104Aは、無線リンク108を通して受信機106にどんな出力信号が送信されているかを判断できる。制御ユーザーインターフェース104Bからのユーザー入力およびメモリ104Cに記憶されている1つ以上のパラメータから、出力信号を決定できる。制御ユーザーインターフェース104Bは、模型乗り物の作動をユーザーが直接制御できるようにしている送信コントローラ104のコンポーネントとすることができる。これらコンポーネントは、ハンドルおよびスロットルトリガーを含むことができる。プロセッサ104Aが送信すべき出力信号を決定すると、プロセッサは無線周波数モジュールを通して信号を送ることができる。
【0023】
送信コントローラ104は、補助ユーザーインターフェースコネクタ104Eを通してポータブル電子デバイス102の外部インターフェース102Aに接続できる。外部インターフェース102Aと補助ユーザーインターフェースコネクタ104Eとの間の接続は、有線でもよいし無線でもよく、有線接続は直接接触を介して行うか、またはこれら2つのデバイスの間のケーブルを通して行うことができる。一部の実施形態では、補助ユーザーインターフェースコネクタ104Eは、一端が送信コントローラ104に永続的に取り付けられているケーブルを含むことができる。
【0024】
外部インターフェース102Aと補助ユーザーインターフェースコネクタ104Eとの間の無線接続は、ブルートゥース(登録商標)接続とすることができる。外部インターフェース102Aと補助ユーザーインターフェースコネクタ104Eとの間の無線接続は、Wi−Fi(登録商標)としても知られるIEEE802.11のような規格を使用する無線ローカルエリアネットワーク接続とすることもできる。外部インターフェース102Aおよび補助ユーザーインターフェースコネクタ104Eは、ブルートゥースすなわち802.11トランシーバを含むことができる。ポータブル電子デバイス102は、モバイルスマートフォンでもよく、多くのモバイルスマートフォンは、ブルートゥースおよび802.11送信機を含む。補助ユーザーインターフェース104Eは、送信コントローラ104に組み込まれたブルートゥースすなわち802.11トランシーバ、またはブルートゥースすなわち802.11トランシーバを有する外部ドングル(dongle)を利用できる。
【0025】
外部インターフェース102Aと補助ユーザーインターフェースコネクタ104Eとの間で無線接続を使用する1つの利点は、1つの送信コントローラ104だけで異なるタイプのポータブル電子デバイス102を容易にサポートできることである。異なるポータブル電子デバイスメーカーは、ポータブル電子デバイスのための異なる物理的接続を利用できる。従って、送信コントローラ104は、各タイプのポータブル電子デバイスのために別個の外部インターフェース102Aを必要とし得る。これと対照的に、ブルートゥースすなわち802.11のような無線規格は、一般に種々のデバイスによってサポートできる。
【0026】
外部インターフェース102Aと補助ユーザーインターフェースコネクタ104Eとの間で無線接続を使用する別の利点は、この無線接続により、送信コントローラ104からポータブル電子デバイス102を分離できることである。例えば、ユーザーのピットマン(pit man)は、ユーザーが送信コントローラ104により乗り物を操作し続けながら、ポータブル電子デバイス102を利用できる。更に、IEEE802.11のような無線ローカルエリアネットワーク接続を使用する場合、1つの送信コントローラ104だけで同時に多数のポータブル電子デバイス102と通信できる。従って、ユーザーとユーザーのピットマンの各々は、ユーザーが送信コントローラ104を用いて乗り物を制御しながら、機能中のポータブル電子デバイス102を有することができる。
【0027】
ポータブル電子デバイス102が接続されていないとき、ユーザーはパラメータユーザーインターフェース104Dを通してメモリ104C内のパラメータを変更できる。パラメータユーザーインターフェース104Dにより、ユーザーはサーボの反転、ステアリングの感度およびスロットルの感度のような基本パラメータを変更することが可能となっている。これら基本パラメータは、ユーザーが模型乗り物を操作するのに十分であるが、パラメータインターフェース104Dの入出力能力によって制限できる。
【0028】
ユーザーがポータブル電子デバイス102を補助ユーザーインターフェースコネクタ104Eに接続すると、ポータブル電子デバイス102は、ユーザーが追加パラメータおよび追加フィードバックにアクセスできるようにするグラフィカルユーザーインターフェースをユーザーに提供できる。グラフィカルユーザーインターフェースは、送信コントローラ104だけを通して利用できる同じパラメータおよびフィードバックへのアクセスをユーザーに提供することもできる。ポータブル電子デバイス102が接続されているときには、パラメータユーザーインターフェース104Dは不作動状態になり得る。
【0029】
パラメータを表示するために、補助ユーザーインターフェースデバイス102は、プロセッサ104Aからパラメータをリクエストできる。このリクエストに応答し、パラメータ104Aは、メモリ104Cからポータブル電子デバイス102へパラメータを送信できる。
【0030】
ユーザーがポータブル電子デバイス102を利用して、あるパラメータを変更することを選択すると、ポータブル電子デバイス102は、送信コントローラ104へ、あるパラメータ命令を送信する。このパラメータ命令は、ユーザー入力に従ってメモリ104C内のパラメータを変更することをプロセッサ104Aに命令する。
【0031】
ポータブル電子デバイス102は、送信コントローラ104を通して乗り物との間で信号を送信したり、信号を受信できる。ポータブル電子デバイス102によって提供されるグラフィカルユーザーインターフェースを通し、ユーザーはメモリ104Cに記憶されている種々のパラメータを設定できる。ユーザーは、模型乗り物を操作する間、模型乗り物を操作していないとき、またはその双方において、メモリ104C内にパラメータを設定できる。
【0032】
模型乗り物には遠隔測定センサ112を実装できる。遠隔測定センサ112によって捕捉された遠隔測定データを、受信機106に提供でき、受信機106は、無線リンク108を通して送信コントローラ104へデータを送信できる。この遠隔測定データは、モータの温度、モータのRPM、速度、バッテリー電圧および燃料レベルのようなデータを含むことができる。次に、送信コントローラ104は、取り付けられている場合に、ポータブル電子デバイス102にデータを提供できる。送信コントローラ104の内蔵コンポーネントを通してユーザーに遠隔測定データを提供できるが、ポータブル電子デバイス102を内蔵させると、ユーザーに対する遠隔測定データのプレゼンテーションを大幅に改善できる。例えば、グラフィカルディスプレイを利用するのに加えて、ポータブル電子デバイス102は、オーディオおよびバイブレーション機能を通してユーザーにフィードバックを提供できる。
【0033】
補助ユーザーインターフェースの出力機能を活用するパラメータの一例として、模型乗り物内の加速度センサがある。この加速度センサは、模型乗り物のバンプ、衝突、ジャンプおよび着地を検出するのに使用できる。この加速度センサは、受信機106、無線リンク108および送信コントローラ104を通して加速度データをポータブル電子デバイス102に提供できる。模型乗り物の加速度が急激に変化する時間の間、ポータブル電子デバイス102は振動し、ユーザーに別のフィードバックを提供する。このフィードバックは触覚で検知できるので、ユーザーが送信コントローラ104またはポータブル電子デバイス102を見ていなくても、ユーザーはフィードバックを受けることができる。
【0034】
ポータブル電子デバイス102は、送信コントローラ104のプロセッサ104Aと通信できる。ポータブル電子デバイス102は、プロセッサ104Aに書き込みコマンドを送信することができ、送信コントローラ104のメモリ内の特定パラメータの値を変更することをプロセッサ104Aに命令できる。ポータブル電子デバイス102は、プロセッサ104Aに読み出しコマンドを送信でき、メモリ104C内の特定パラメータの値または遠隔測定センサ110により記録された特定の遠隔測定値をポータブル電子デバイス102に提供することを、プロセッサ104に命令できる。ポータブル電子デバイス102は、読み出しコマンドを不要にするよう、ポータブル電子デバイス102に値を周期的に送信することもできる。
【0035】
図2A〜2Gを参照すると、これら図には、本発明の一実施例に従い、補助ユーザーインターフェースを提供する取り付けられたポータブル電子デバイス202を備えた送信コントローラ200が示されている。図2A〜2Gの各々は、本発明の実施形態の相対的比率を、所定の縮尺で示している。送信コントローラ200は、ハンドル204と、スロットルトリガー206とを含む。ハンドル204とスロットルトリガー206は、送信コントローラ200上の他の任意のユーザー入力コンポーネントと共に、送信コントローラ200のための制御ユーザーインターフェースを構成できる。ユーザーは、この制御ユーザーインターフェースを通して送信コントローラ200との無線通信により模型乗り物を駆動できる。ユーザーは通常、右手でハンドル204を操作し、左手でスロットルトリガー206を操作するよう、両手を使って模型乗り物を運転できる。
【0036】
送信コントローラ200は、ハンドル204およびスロットルトリガー206を支持するベースを有する。図2Aに示されるように、ベース内の凹部は3つの壁を有するドック208を形成し、これら壁はポータブル電子デバイス202を所定位置に保持できる。ドック208は、送信コントローラ200をポータブル電子デバイス202の外部インターフェース212へ接続するための補助ユーザーインターフェースコネクタ210を有する。図2Aおよび2Bに示されるように、ポータブル電子デバイス202は、ドック208内にスライドし、補助ユーザーインターフェースコネクタ210を外部インターフェース212に接続させることができる。図2A〜2Gの実施形態では、ポータブル電子デバイス202は、外部インターフェース212に直接接続する。しかしながら、上記のようにケーブルまたは無線接続を使用することもできる。
【0037】
接続時にポータブル電子デバイス202は、送信コントローラ200のための補助ユーザーインターフェースを提供できる。この補助ユーザーインターフェースは、ポータブル電子デバイス202のタッチスクリーンを利用でき、送信コントローラ200の基本ユーザーインターフェースでは利用できない、別の入出力機能を奏することができる。ユーザーがハンドル204およびスロットル制御206を用いて模型乗り物を操作している間、ユーザーがポータブル電子デバイス202のスクリーンを容易に見ることができる場合、ドック208および補助ユーザーインターフェースコネクタ210を設けてもよい。ユーザーは、自分の左手で送信コントローラ200を握り続けながら、右手をハンドル204から移動することにより、ポータブル電子デバイス202のタッチスクリーンを操作することもできる。
【0038】
図3を参照すると、ここにはポータブル電子デバイスのユーザーインターフェース300の例が示されている。ポータブル電子デバイスのユーザーインターフェース300は、明るい光の中でも視覚性を良好にするための高いコントラストのカラースキームを有することができる。ポータブル電子デバイスユーザーインターフェース300は、パネル302、304、306および308を含む。ユーザーは、表示されるパネルの数、サイズ、配置および内容を指定できる。
【0039】
ユーザーインターフェース300において、パネル302は、ラップタイマーを表示し、パネル304は、ラップカウンターを表示し、パネル306は、バッテリー電圧を表示し、パネル308はエンジンRPMを表示する。ユーザーインターフェースにより表示されるパネルのサイズ、数、配置および内容はユーザーによって変更できる。例えば、パネル308に示されるエンジンRPMの代わりに、ユーザーは3つのパネルの第2行からパネル302、304および306を有する列の右までを表示することを選択できる。パネル内に表示できる内容に対する別の選択は、モータの温度、乗り物の速度、残りのラップ、全経過時間および乗り物の燃料レベルを含む。
【0040】
特に、パネル308は、RPMダイアルのグラフィカルディスプレイを含む。これらグラフィカルディスプレイは、ポータブル電子デバイスのLCDディスプレイに容易に示すことができる。しかしながら、通常、LCDディスプレイまたは均等物を有しない送信コントローラにかかるグラフィカルディスプレイを示すには、別のコンポーネントを内在させなければならないので、送信コントローラのコストおよび複雑さが増す。
【0041】
図4を参照すると、ここには第2ポータブル電子デバイスのユーザーインターフェース400の一例が示されている。このポータブル電子デバイスインターフェース400は、ユーザーが取り付けられている送信コントローラのメモリに記憶されているパラメータ設定を変更できるようにする。ユーザーが種々のパラメータを設定できるようにする4つのスライダー402、404、406、408が示されている。
【0042】
関連する送信コントローラのパラメータユーザーインターフェースを通して設定できるパラメータの他に、ポータブル電子デバイスを通して設定できるパラメータが更に存在してもよいし、またはこれらパラメータが重なっていてもよい。一実施形態は、種々のパラメータを設定するための送信コントローラ104の内蔵パラメータユーザーインターフェース上の機構を、MF(多機能)ダイヤルと称されるダイヤルとすることができる。このMFダイヤルおよび関連するハードウェアを通して、ユーザーはパラメータを選択したり変更したりすることができる。
【0043】
ポータブル電子デバイスインターフェース400では、特定の時間において、MFダイヤルおよびポータブル電子デバイスインターフェース400のうちの1つしか所定のパラメータを制御できない。スライダー402、すなわちステアリング感度のためのスライダーは、無効にされた状態に示されている。その理由は、このスライダーはMFダイヤルによって制御中であるからである。ユーザーは、ステアリング感度を変更するために、スライダー402ではなく、MFダイヤルを使用しなければならない。
【0044】
ユーザーは、任意のパラメータのMFダイヤル制御装置を無効にするのに、MFダイヤル有効ボタン412を押せばよい。ユーザーがMFダイヤル有効ボタン412を押すと、スライダー402は、有効状態となる。その理由は、ステアリング感度はもうMFダイヤルによって制御されていないからである。次に、すべてのスライダー402、404、406および408を利用できる。
【0045】
ユーザーは機能選択ボタン414を押すことにより、MFダイヤルによってパラメータを順次制御できる。ユーザーが機能選択ボタン414を押した場合、MFダイヤルによって制御されているパラメータは、ステアリング感度からABS*へ切り換えできる。従って、スライダー402が有効にされ、スライダー404が無効にされる。
【0046】
MFダイヤルアイコン416は、ボタン412および414がMFダイヤルに関連するビジュアルリマインダーとして働くことができる。グラフ418は、MFダイヤルによって制御されるパラメータのグラフィカルディスプレイをユーザーに提供する。
【0047】
代表的なポータブル電子デバイス102は、代表的な送信コントローラ104よりも、より豊富な入出力機能を提供できるので、ポータブル電子デバイス102は、実用的なユーザー制御およびフィードバックを提供できるが、送信コントローラ104だけを使用した場合、ユーザー制御およびフィードバックは、非実用的となる。図5を参照すると、ここには加速度曲線のようなカーブ502の形態をとる、パラメータを変更するためのユーザーインターフェース500が示されている。ユーザーインターフェース500を通し、ユーザーは現在記憶されている曲線502を見ることができ、これを変えるためにポータブル電子デバイス102のタッチスクリーンを利用できる。ユーザーは、タッチスクリーンを用いて加速度曲線502上のポイント504を視覚的に押し、ドラッグすることができる。曲線502を変更するための、同様な便利なユーザーインターフェースは、送信コントローラ104の内蔵ダイヤルおよびLEDだけを使用した場合、構成が困難となる。
【0048】
本発明は、送信コントローラのコストおよび複雑さを大幅に高めることなく、模型乗り物の送信コントローラに対する改良された入出力能力を提供できる。送信コントローラは、ポータブル電子デバイスが模型乗り物のための取り付け可能な補助ユーザーインターフェースとして働くことができるようにする補助ユーザーインターフェースコネクタを有することができる。
【0049】
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明は限定的な意味に解すべきではない。当業者が本発明の説明を参照すれば、開示された実施形態の種々の変形だけでなく、本発明の別の実施形態も明らかとなろう。従って、特許請求の範囲は本発明の要旨内のかかる変形例または実施形態もカバーするものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助ユーザーインターフェースデバイスと互換性のある送信コントローラであって、該送信コントローラは、
1つ以上の作動パラメータを有するメモリと、
模型乗り物を制御するための制御ユーザーインターフェースと、
前記補助ユーザーインターフェースデバイスに接続するための補助ユーザーインターフェースコネクタと、
送信コントローラプロセッサとを備え、該送信コントローラプロセッサは、
前記1つ以上の作動パラメータを前記補助ユーザーインターフェースデバイスに送信し、
前記補助ユーザーインターフェースデバイスからのパラメータ命令に従って、前記1つ以上の作動パラメータを変更し、
前記制御ユーザーインターフェースからの制御命令を受信し、
前記制御命令および前記1つ以上の作動パラメータに基づき、出力信号を決定し、
前記出力信号を前記模型乗り物に送信するようになっている、前記送信コントローラ。
【請求項2】
前記送信コントローラが、前記補助ユーザーインターフェースコネクタに接続されているときに、前記補助ユーザーインターフェースデバイスを前記送信コントローラに固定するようになっているドックを更に備える、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項3】
前記ドックは、前記送信コントローラのベース内に凹部を備える、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項4】
前記補助ユーザーインターフェースコネクタは、無線トランシーバを備える、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項5】
前記制御ユーザーインターフェースは、前記模型乗り物のステアリングおよびスロットルを制御する、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項6】
前記1つ以上の作動パラメータはサーボ反転パラメータを含む、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項7】
前記1つ以上の作動パラメータは、加速度曲線を含む、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項8】
前記送信コントローラが模型乗り物への無線リンクを備え、前記送信コントローラプロセッサは、前記補助ユーザーインターフェースデバイスからの命令に従って、前記1つ以上の作動パラメータを変更するようになっている、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項9】
前記制御ユーザーインターフェースが前記模型乗り物を制御するように作動でき、前記送信コントローラプロセッサは、前記補助ユーザーインターフェースデバイスからの命令に従って、前記1つ以上の作動パラメータを変更するようになっている、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項10】
前記送信コントローラプロセッサは、
前記模型乗り物からの遠隔測定信号を受信し、
前記遠隔測定信号を前記補助ユーザーインターフェースデバイスに提供するようになっている、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項11】
前記遠隔測定信号は、モータの温度、モータのRPM、乗り物の速度、バッテリー電圧および燃料レベルから成る群のうちの1つを示す、請求項10に記載の送信コントローラ。
【請求項12】
前記補助ユーザーインターフェースデバイスは、ポータブル電子デバイスを備える、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項13】
前記補助ユーザーインターフェースデバイスは、携帯電話を備える、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項14】
前記補助ユーザーインターフェースデバイスは、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)を備える、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項15】
前記補助ユーザーインターフェースデバイスは、デジタルミュージックプレイヤーを備える、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項16】
前記補助ユーザーインターフェースデバイスは、前記送信コントローラよりも小さい物理的容積を有する、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記1つ以上の作動パラメータに基づき、少なくとも前記制御信号を変更するかどうかを判断することにより、出力信号を決定するようになっている、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記1つ以上の作動パラメータに基づき、少なくともどのように制御信号を変更するかを判断することにより、出力信号を決定するようになっている、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項19】
前記1つ以上の作動パラメータを変更するための、内蔵されたパラメータユーザーインターフェースを更に備える、請求項1に記載の送信コントローラ。
【請求項20】
前記補助ユーザーインターフェースデバイスが前記補助ユーザーインターフェースコネクタに接続されているときに、前記内蔵されたパラメータユーザーインターフェースの少なくとも一部が、作動不能となる、請求項19に記載の送信コントローラ。
【請求項21】
補助ユーザーインターフェースデバイスと互換性のある送信コントローラであって、該送信コントローラは、
模型乗り物を制御するための制御ユーザーインターフェースと、
前記制御ユーザーインターフェースの少なくとも一部を支持するベースと、
前記ベース内に設けられた補助ユーザーインターフェースデバイスのドッグとを備える、送信コントローラ。
【請求項22】
前記制御ユーザーインターフェースは、ハンドルおよびスロットルトリガーを備える、請求項21に記載の送信コントローラ。
【請求項23】
前記補助ユーザーインターフェースデバイスのドックは、少なくとも3つの壁を備える、請求項21に記載の送信コントローラ。
【請求項24】
前記少なくとも3つの壁のうちの1つに位置する、補助ユーザーインターフェースデバイスのためのコネクタを更に備える、請求項21に記載の送信コントローラ。
【請求項25】
前記凹部の内部に固定された補助ユーザーインターフェースを更に備える、請求項21に記載の送信コントローラ。
【請求項26】
補助ユーザーインターフェースデバイスを用いて操作する方法であって、
送信コントローラと模型乗り物との間に無線リンクを形成するステップと、
前記送信コントローラのメモリ内に少なくとも1つの作動パラメータを記憶するステップと、
前記送信コントローラに補助ユーザーインターフェースデバイスを接続するステップと、
前記補助ユーザーインターフェースデバイスに前記少なくとも1つの作動パラメータを送信するステップと、
前記補助ユーザーインターフェースデバイスからパラメータ命令を受信するステップと、
前記模型乗り物と無線リンクしている間、前記パラメータ命令に従って前記少なくとも1つの作動パラメータを変更するステップと、
前記送信コントローラの制御ユーザーインターフェースから制御命令を受信するステップと、
前記制御命令および前記少なくとも1つの作動パラメータに基づき、出力信号を決定するステップと、
前記無線リンクを通して前記模型乗り物に前記出力信号を送信するステップとを備える、操作方法。
【請求項27】
前記送信コントローラの内蔵されたパラメータユーザーインターフェースを作動させるステップと、
前記内蔵されたパラメータユーザーインターフェースの作動に従い、前記少なくとも1つの作動パラメータを変更するステップとを更に備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記補助ユーザーインターフェースデバイスを前記送信コントローラに接続するステップは、
無線接続を通して、前記補助ユーザーインターフェースデバイスを前記送信コントローラに接続することを含む、請求項26に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図2F】
image rotate

【図2G】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−235099(P2011−235099A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−102822(P2011−102822)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(306048443)トラクサス・エルピー (8)
【氏名又は名称原語表記】Traxxas,L.P.
【Fターム(参考)】