送信用アンテナ
【課題】ケースを装着した後でも、コイルのインダクタンス値の調整を容易に行うことが可能な送信用アンテナを提供する。
【解決手段】送信用アンテナ100は、磁性体からなるコア3と、このコア3に巻かれたコイル4と、これらのコア3およびコイル4を覆うケース1と、このケース1の外周に被せた、磁性体からなる中空の調整部材10とを備えている。調整部材10の位置を調整することによって、コイル4のインダクタンス値を所望の値に容易に調整することができる。
【解決手段】送信用アンテナ100は、磁性体からなるコア3と、このコア3に巻かれたコイル4と、これらのコア3およびコイル4を覆うケース1と、このケース1の外周に被せた、磁性体からなる中空の調整部材10とを備えている。調整部材10の位置を調整することによって、コイル4のインダクタンス値を所望の値に容易に調整することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルの巻かれたコアがケース内に収納された送信用アンテナに関し、特に、コイルのインダクタンス値の調整を行うための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のキーレスエントリーシステムにおいては、車両のドアに送信用アンテナが設けられる。そして、この送信用アンテナから所定の周波数の電波を送信し、送受信アンテナを内蔵した携帯機が上記電波の伝播範囲にあるか否かに応じて、車両のドアを解錠または施錠するようになっている。携帯機が電波の伝播範囲に入ると、携帯機から車両の受信用アンテナへ解錠信号が送信されてドアの解錠が行われる。一方、携帯機が電波の伝播範囲から抜け出ると、携帯機から車両の受信用アンテナへ施錠信号が送信されてドアの施錠が行われる。
【0003】
周知のように、送信用アンテナでは、印加される交流電流の周波数が、コイルとコンデンサとで構成される共振回路の共振周波数と一致する場合に、コイルに流れる電流が最大となる。印加電流の周波数が共振周波数から離れるにつれて、コイルに流れる電流は急激に減少する。このため、コイルのインダクタンス値やコンデンサの容量値のばらつきにより、共振周波数がばらつくと、アンテナに誘起される起電力が低下する。その結果、送信用アンテナと携帯機との通信距離が短くなり、ドアの解錠・施錠動作が不安定になるという問題が生じる。
【0004】
そこで、送信用アンテナのコイルのインダクタンス値を調整して、共振周波数を所望の値に設定する方法が従来から提案されている。例えば、特許文献1−3には、このようなインダクタンス値の調整手段が記載されている。
【0005】
特許文献1には、磁性体コアと、この磁性体コアに巻かれたコイルとを備えたアンテナ用コイル部品において、コイルの巻軸方向に移動可能に配置される移動コアを設け、この移動コアと磁性体コアとの相対位置を変化させることにより、コイルのインダクタンス値を調整する技術が記載されている。
【0006】
特許文献2には、巻線が巻かれたコアを有する送信用アンテナにおいて、コアよりも小型の小コアを構成するネジと、コアに対してネジを磁気結合し、コアとネジとの距離を調整する距離調整部とを設け、ネジの捩じ込み量を調整することによって共振周波数の設定を行う技術が記載されている。
【0007】
特許文献3には、ボビンの外周に巻かれたコイルを備えたトランスにおいて、ボビンの内側に設けた第1のコアと、ボビンの外側に設けた第2のコアとを、それぞれ上下に移動させることにより、相互インダクタンスの粗調整および微調整を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−181947号公報
【特許文献2】再表2003/036761号公報
【特許文献3】実開昭62−184709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1−3に記載された調整方法においては、コイルが巻かれたコアをケースで覆う前に、コイルのインダクタンス値が調整されるようになっている。しかしながら、前述のような車両のドアに設けられる送信用アンテナの場合、所望の共振周波数が得られるようにインダクタンス値を調整したとしても、当該アンテナを車両のドアに取り付けると、ドアを構成する金属部品等の影響により、実際の共振周波数が調整値からずれることがある。この場合、特許文献1−3の方法では、ケースを一旦取り外した後に、コイルのインダクタンス値の調整作業を再度行い、作業終了後に再びケースを装着しなければならいので、調整作業が煩雑となる。
【0010】
そこで本発明の目的は、ケースを装着した後でも、コイルのインダクタンス値の調整を容易に行うことが可能な送信用アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る送信用アンテナは、磁性体からなるコアと、このコアに巻かれたコイルと、これらのコアおよびコイルを覆うケースと、このケースの外周に被せた、磁性体からなる中空の調整部材とを備えている。
【0012】
このようにすると、ケースの外周に被せた調整部材の位置に応じて、コイルのインダクタンス値が変化する。このため、調整部材の位置を調整することによって、ケースを取り外さなくても、コイルのインダクタンス値を、所定の共振周波数が得られる値に調整することができる。
【0013】
本発明においては、ケースの一端側から信号端子が突出している場合、調整部材は、ケースの他端側の外周に被せられていることが好ましい。これによると、調整部材を、信号端子やそれに接続されるリード線の存在しない側から、容易にケースに装着することができる。
【0014】
また、この場合、コイルとともに共振回路を構成するコンデンサは、ケースの一端側の内部に設けられていることが好ましい。これによると、コンデンサが信号端子の近傍に配置されるので、コンデンサと信号端子間の長い配線が不要となり、製造が容易となる。
【0015】
本発明においては、ケースに調整部材を被せない状態での送信周波数が、当該アンテナに要求される送信周波数よりも高い値に設定されていることが好ましい。コイルのインダクタンス値は、調整部材の位置を調整することにより、マイナス(減少)方向のみに変化する。したがって、上記のように送信周波数を設定することにより、インダクタンス値を高い値から低い値へと変化させて、所望の値に容易に調整することができる。
【0016】
本発明においては、調整部材を被せたときのアンテナの特性を測定するための測定用端子が設けられていてもよい。これによると、コイルのインダクタンス値や共振周波数などを測定する機器を測定用端子に接続し、測定値を確認しながら調整部材の位置を調整することにより、アンテナの特性を容易に調整することができる。
【0017】
本発明においては、調整部材を位置決めするための位置決め部がケースに設けられていてもよい。これによると、ケースに調整部材を被せる際に、調整部材をケース上で容易に位置決めすることができるので、調整作業を効率良く行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の送信用アンテナによれば、ケースを装着した後であっても、コイルのインダクタンス値を容易に調整できるので、所望の共振周波数を得るための調整作業を簡単に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】調整部材を装着する前の送信用アンテナを示す図である。
【図2】調整部材の斜視図である。
【図3】調整部材のケースへの装着を説明する図である。
【図4】ケースの端部に調整部材を被せた状態を示す図である。
【図5】調整部材を移動させた状態を示す図である。
【図6】調整部材を移動させた状態を示す図である。
【図7】調整部材の位置によるコイルのインダクタンス値の変化を示すグラフである。
【図8】インダクタンス値の調整原理を説明する図である。
【図9】複数の調整部材を用いた実施形態を示す図である。
【図10】複数の調整部材を用いた他の実施形態を示す図である。
【図11】ケースに位置決め部を設けた実施形態を示す図である。
【図12】調整部材の他の例を示す斜視図である。
【図13】調整部材の他の例を示す斜視図である。
【図14】調整部材の他の例を示す斜視図である。
【図15】調整部材を別の位置に被せた場合の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、調整部材を装着する前の送信用アンテナ100を示しており、(a)はケースを切り欠いた状態での平面図、(b)は同側面図、(c)は(a)のX−Xにおける正面断面図である。
【0021】
送信用アンテナ100は、ケース1と、このケース1が装着される基台2とを備えている。ケース1の内部には、棒状のコア3と、このコア3に巻かれたコイル4とが収納されており、これらはケース1で覆われている。ケース1は、プラスチック等の樹脂から形成されている。基台2も同様の材料から形成されている。コア3は、フェライトなどの磁性体から形成されており、図1(a)(b)の左右方向に延びている。コイル4は、エナメル被覆を施した銅線からなり、コア3の先端側(ケース1の先端部1a側)の一部を露出させた状態で、所定の巻数でコア3の上に巻かれている。また、コア3の後端側には、コイル4の始端部および終端部の銅線を固定するためのテープ5が巻かれている。
【0022】
コア3の後端と隣接して、基板6が設けられている。この基板6上には、コイル4とともに共振回路を構成するコンデンサ7が実装されている。コンデンサ7は、ここではチップ型のコンデンサであるが、ディスクリート型のコンデンサであってもよい。また、基板6には、一対の信号端子8が接続されている。信号端子8は、基台2に保持されており、ケース1の後端側(先端部1aと反対側)から突出している。信号端子8には、外部よりアンテナ駆動用の信号(交流電流)が入力される。さらに、基板6には、アンテナの特性を測定するための一対の測定用端子9が設けられている。測定用端子9には、アンテナのパラメータであるインダクタンス値L、静電容量値C、抵抗値Rなどを測定するLCR測定器や、共振周波数を測定する周波数測定器などが接続される。測定用端子9は、ケース1を貫通して、信号端子8と直交する方向に突出している。
【0023】
図2は、本発明で用いる調整部材10の一例を示している。調整部材10は、中空部10aを有する筒状の磁性体(例えば鉄)からなる。中空部10aは、図1(a)のX−X断面におけるケース1の外形よりも僅かに大きい寸法に形成されている。したがって、調整部材10は、ケース1にほぼ隙間なく嵌め込むことができる。
【0024】
この調整部材10を、図3のように、ケース1の先端部1a側からケース1へ嵌め込み、図4のように、ケース1の外周に被せる。図4では、調整部材10の端面10bは、ケース1の先端部1aと同一面をなしている。このときの調整部材10の端面10bの位置Y1を、以下では「基準位置」と呼ぶ。
【0025】
図5は、調整部材10を基準位置Y1から距離dだけ移動させた状態を示しており、調整部材10はY2の位置でケース1に被せられている。図6は、調整部材10をY2の位置から更に距離d(基準位置Y1から2d)だけ移動させた状態を示しており、調整部材10はY3の位置でケース1に被せられている。図5および図6の状態においては、調整部材10がコア3の一部を取り囲んでいる。
【0026】
このようにして、調整部材10の位置をY1,Y2,Y3,…と変えたときのコイル4のインダクタンス値は、図7に示すグラフのように変化する。すなわち、調整部材10が基準位置Y1から離れるに従って、インダクタンス値は減少する。なお、インダクタンス値は、調整部材10がコイル4の中央部に位置するときに最小となり、コイル4の中央部から遠ざかるにつれて増加することが実験的に確認された。
【0027】
図8は、送信用アンテナにおけるインダクタンス値の調整原理を説明する図である。コアKに巻かれたコイルWに交流電流を通電すると、コイルWのインダクタンス値に応じた磁束φpが発生する。このときの共振周波数foは、コイルWのインダクタンス値をL1とし、コイルWと直列に接続されたコンデンサ(図示省略)の静電容量をCとしたとき、
fo=1/2π√(L1・C) ・・・ (1)
となる。ここで、図8(a)のように、コアKの先端部近傍にリング状の磁性体Aを置くと、発生した磁束φpが磁性体Aと鎖交する。その結果、図8(b)のように、磁性体Aに誘導電流Iが発生し、この誘導電流Iに基づいて、逆向きの磁束φqが発生する。これは、見かけ上、コイルWがマイナスのインダクタンス値(−L2とする)を持つことを意味する。そして、インダクタンス値L1と、インダクタンス値−L2との総和(L1−L2)が、送信用アンテナにおける実際のインダクタンス値Lとなる。そのため、磁性体Aが存在するときの共振周波数は、上記(1)式のfoから
fv=1/2π√[(L1−L2)・C] ・・・ (2)
へと変化する。さらに、磁性体Aの位置をコアKの長手方向に変化させると、磁性体Aに発生する誘導電流Iの値が変化し、これに応じて逆向きの磁束φqも変化するので、コイルWのインダクタンス値Lが変化すると考えられる。
【0028】
以上のことから、前述した実施形態のように、ケース1の外周に被せた調整部材10(図8の磁性体Aに相当)の位置をコア3の長手方向に変化させると、当該位置に応じてコイル4のインダクタンス値が変化することになる。このため、送信用アンテナ1を例えば車両のドアに取り付けた後に、共振周波数の調整を行う必要が生じた場合でも、ケース1を取り外すことなく、調整部材10の位置を調整することによって、コイル4のインダクタンス値を所望の値に容易に調整することができる。
【0029】
なお、実際の調整作業においては、調整部材10をケース1の外周の所定位置に固定する必要があるので、調整部材10は、例えば接着剤によってケース1に固定される。
【0030】
ところで、調整部材10を基準位置Y1から移動させて調整を行う場合、コイル4のインダクタンス値は、マイナス(減少)方向のみに変化する。そこで、本実施形態においては、ケース1に調整部材10を被せない状態での送信周波数(共振周波数)が、送信用アンテナ100に要求される送信周波数(共振周波数)よりも高い値に設定されている。例えば、要求される送信周波数が125±3KHzであるならば、設計段階において送信周波数を128±3KHzに設計しておく。また、調整部材10により送信周波数を122±3KHzまで調整できるようにしておく。このようにすることで、調整部材10の位置に応じてコイル4のインダクタンス値を高い値から低い値へと変化させて、送信周波数を所望値の125±3KHzに容易に調整することができる。
【0031】
また、本実施形態では、送信用アンテナ100に、測定用端子9が設けられており、この端子に前述したLCR測定器や周波数測定器などを接続することができる。このため、コイル4のインダクタンス値や共振周波数などを測定器で確認しながら、調整部材10の位置を調整することにより、アンテナの特性を容易に調整することができる。
【0032】
また、本実施形態では、調整部材10は、信号端子8が突出している側と反対側において、ケース1の外周に被せられている。このため、調整部材10を、信号端子8やそれに接続されるリード線(図示省略)の存在しないケース1の先端部1a側から、容易にケース1に装着することができる。
【0033】
さらに、本実施形態では、コイル4とともに共振回路を構成するコンデンサ7は、ケース1の内部において先端部1aと反対側に設けられている。このため、コンデンサ7が信号端子8の近傍に配置されるので、コンデンサ7と信号端子8間の長い配線が不要となり、製造が容易となる。
【0034】
以上述べた実施形態においては、1個の調整部材10を用いてコイル4のインダクタンス値を調整する場合を例に挙げたが、本発明では、調整部材10を複数個用いて、インダクタンス値の調整を行うようにしてもよい。図9は2個の調整部材10をケース1に被せた状態、図10は3個の調整部材10をケース1に被せた状態を示している。このように、複数個の調整部材10を用いた場合は、1個の調整部材10を用いた場合に比べて、インダクタンス値の変化は大きくなる。但し、発明者らの実験によれば、調整部材10の数によるインダクタンス値の変化よりも、調整部材10の位置によるインダクタンス値の変化のほうが顕著であることが確認された。
【0035】
このように、インダクタンス値への影響は、調整部材10の位置によるところが大きいため、調整部材10のケース長手方向の長さについては、ケースに合わせて適宜選定すればよい。例えば、図9や図10のように複数の調整部材10を用いてもよいし、図9や図10の各調整部材10の長さを合計した長さに相当する、単一の調整部材を用いてもよい。
【0036】
また、以上述べた実施形態においては、調整部材10を接着剤によりケース1に固定する例を挙げたが、他の手段による固定も可能である。例えば、図11に示すように、ケース1の先端部1a側の外周に、一定間隔を置いて複数のリブ(突起)11を形成し、リブ11の間に調整部材10を嵌め込んで固定するようにしてもよい。この場合、リブ11が位置決め部として機能するので、ケース1に調整部材10を被せる際に、調整部材10をケース1上で容易に位置決めすることができる。その結果、調整作業を効率良く行うことが可能となる。
【0037】
また、本発明で用いる調整部材は、図2に示したような筒状の調整部材10に限らず、図12に示すようなリング状の調整部材20であってもよい。さらに、調整部材の形状も、図2や図12のような角形に限定されるものではなく、例えば、図13に示すような円筒形の調整部材30や、図14に示すような円形リング状の調整部材40を用いてもよい。要するに、調整部材の形状は、ケース1の形状に合わせて選定すればよい。なお、調整部材は、ケース1を取り囲むように閉ループを形成している必要がある。
【0038】
また、図4〜図6、図9および図10においては、調整部材10をケース1の先端側に被せる場合を例に挙げたが、原理的には、図15に示すように、ケース1の後端側に調整部材10を被せても、コイル4のインダクタンス値を調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る送信用アンテナは、前述した車両のキーレスエントリーシステムのほか、所在検知システムや入退出管理システムなどの無線送受信システムに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ケース
1a 先端部
3 コア
4 コイル
7 コンデンサ
8 信号端子
9 測定用端子
10、20、30、40 調整部材
10a 中空部
11 リブ(位置決め部)
100 送信用アンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルの巻かれたコアがケース内に収納された送信用アンテナに関し、特に、コイルのインダクタンス値の調整を行うための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のキーレスエントリーシステムにおいては、車両のドアに送信用アンテナが設けられる。そして、この送信用アンテナから所定の周波数の電波を送信し、送受信アンテナを内蔵した携帯機が上記電波の伝播範囲にあるか否かに応じて、車両のドアを解錠または施錠するようになっている。携帯機が電波の伝播範囲に入ると、携帯機から車両の受信用アンテナへ解錠信号が送信されてドアの解錠が行われる。一方、携帯機が電波の伝播範囲から抜け出ると、携帯機から車両の受信用アンテナへ施錠信号が送信されてドアの施錠が行われる。
【0003】
周知のように、送信用アンテナでは、印加される交流電流の周波数が、コイルとコンデンサとで構成される共振回路の共振周波数と一致する場合に、コイルに流れる電流が最大となる。印加電流の周波数が共振周波数から離れるにつれて、コイルに流れる電流は急激に減少する。このため、コイルのインダクタンス値やコンデンサの容量値のばらつきにより、共振周波数がばらつくと、アンテナに誘起される起電力が低下する。その結果、送信用アンテナと携帯機との通信距離が短くなり、ドアの解錠・施錠動作が不安定になるという問題が生じる。
【0004】
そこで、送信用アンテナのコイルのインダクタンス値を調整して、共振周波数を所望の値に設定する方法が従来から提案されている。例えば、特許文献1−3には、このようなインダクタンス値の調整手段が記載されている。
【0005】
特許文献1には、磁性体コアと、この磁性体コアに巻かれたコイルとを備えたアンテナ用コイル部品において、コイルの巻軸方向に移動可能に配置される移動コアを設け、この移動コアと磁性体コアとの相対位置を変化させることにより、コイルのインダクタンス値を調整する技術が記載されている。
【0006】
特許文献2には、巻線が巻かれたコアを有する送信用アンテナにおいて、コアよりも小型の小コアを構成するネジと、コアに対してネジを磁気結合し、コアとネジとの距離を調整する距離調整部とを設け、ネジの捩じ込み量を調整することによって共振周波数の設定を行う技術が記載されている。
【0007】
特許文献3には、ボビンの外周に巻かれたコイルを備えたトランスにおいて、ボビンの内側に設けた第1のコアと、ボビンの外側に設けた第2のコアとを、それぞれ上下に移動させることにより、相互インダクタンスの粗調整および微調整を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−181947号公報
【特許文献2】再表2003/036761号公報
【特許文献3】実開昭62−184709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1−3に記載された調整方法においては、コイルが巻かれたコアをケースで覆う前に、コイルのインダクタンス値が調整されるようになっている。しかしながら、前述のような車両のドアに設けられる送信用アンテナの場合、所望の共振周波数が得られるようにインダクタンス値を調整したとしても、当該アンテナを車両のドアに取り付けると、ドアを構成する金属部品等の影響により、実際の共振周波数が調整値からずれることがある。この場合、特許文献1−3の方法では、ケースを一旦取り外した後に、コイルのインダクタンス値の調整作業を再度行い、作業終了後に再びケースを装着しなければならいので、調整作業が煩雑となる。
【0010】
そこで本発明の目的は、ケースを装着した後でも、コイルのインダクタンス値の調整を容易に行うことが可能な送信用アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る送信用アンテナは、磁性体からなるコアと、このコアに巻かれたコイルと、これらのコアおよびコイルを覆うケースと、このケースの外周に被せた、磁性体からなる中空の調整部材とを備えている。
【0012】
このようにすると、ケースの外周に被せた調整部材の位置に応じて、コイルのインダクタンス値が変化する。このため、調整部材の位置を調整することによって、ケースを取り外さなくても、コイルのインダクタンス値を、所定の共振周波数が得られる値に調整することができる。
【0013】
本発明においては、ケースの一端側から信号端子が突出している場合、調整部材は、ケースの他端側の外周に被せられていることが好ましい。これによると、調整部材を、信号端子やそれに接続されるリード線の存在しない側から、容易にケースに装着することができる。
【0014】
また、この場合、コイルとともに共振回路を構成するコンデンサは、ケースの一端側の内部に設けられていることが好ましい。これによると、コンデンサが信号端子の近傍に配置されるので、コンデンサと信号端子間の長い配線が不要となり、製造が容易となる。
【0015】
本発明においては、ケースに調整部材を被せない状態での送信周波数が、当該アンテナに要求される送信周波数よりも高い値に設定されていることが好ましい。コイルのインダクタンス値は、調整部材の位置を調整することにより、マイナス(減少)方向のみに変化する。したがって、上記のように送信周波数を設定することにより、インダクタンス値を高い値から低い値へと変化させて、所望の値に容易に調整することができる。
【0016】
本発明においては、調整部材を被せたときのアンテナの特性を測定するための測定用端子が設けられていてもよい。これによると、コイルのインダクタンス値や共振周波数などを測定する機器を測定用端子に接続し、測定値を確認しながら調整部材の位置を調整することにより、アンテナの特性を容易に調整することができる。
【0017】
本発明においては、調整部材を位置決めするための位置決め部がケースに設けられていてもよい。これによると、ケースに調整部材を被せる際に、調整部材をケース上で容易に位置決めすることができるので、調整作業を効率良く行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の送信用アンテナによれば、ケースを装着した後であっても、コイルのインダクタンス値を容易に調整できるので、所望の共振周波数を得るための調整作業を簡単に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】調整部材を装着する前の送信用アンテナを示す図である。
【図2】調整部材の斜視図である。
【図3】調整部材のケースへの装着を説明する図である。
【図4】ケースの端部に調整部材を被せた状態を示す図である。
【図5】調整部材を移動させた状態を示す図である。
【図6】調整部材を移動させた状態を示す図である。
【図7】調整部材の位置によるコイルのインダクタンス値の変化を示すグラフである。
【図8】インダクタンス値の調整原理を説明する図である。
【図9】複数の調整部材を用いた実施形態を示す図である。
【図10】複数の調整部材を用いた他の実施形態を示す図である。
【図11】ケースに位置決め部を設けた実施形態を示す図である。
【図12】調整部材の他の例を示す斜視図である。
【図13】調整部材の他の例を示す斜視図である。
【図14】調整部材の他の例を示す斜視図である。
【図15】調整部材を別の位置に被せた場合の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、調整部材を装着する前の送信用アンテナ100を示しており、(a)はケースを切り欠いた状態での平面図、(b)は同側面図、(c)は(a)のX−Xにおける正面断面図である。
【0021】
送信用アンテナ100は、ケース1と、このケース1が装着される基台2とを備えている。ケース1の内部には、棒状のコア3と、このコア3に巻かれたコイル4とが収納されており、これらはケース1で覆われている。ケース1は、プラスチック等の樹脂から形成されている。基台2も同様の材料から形成されている。コア3は、フェライトなどの磁性体から形成されており、図1(a)(b)の左右方向に延びている。コイル4は、エナメル被覆を施した銅線からなり、コア3の先端側(ケース1の先端部1a側)の一部を露出させた状態で、所定の巻数でコア3の上に巻かれている。また、コア3の後端側には、コイル4の始端部および終端部の銅線を固定するためのテープ5が巻かれている。
【0022】
コア3の後端と隣接して、基板6が設けられている。この基板6上には、コイル4とともに共振回路を構成するコンデンサ7が実装されている。コンデンサ7は、ここではチップ型のコンデンサであるが、ディスクリート型のコンデンサであってもよい。また、基板6には、一対の信号端子8が接続されている。信号端子8は、基台2に保持されており、ケース1の後端側(先端部1aと反対側)から突出している。信号端子8には、外部よりアンテナ駆動用の信号(交流電流)が入力される。さらに、基板6には、アンテナの特性を測定するための一対の測定用端子9が設けられている。測定用端子9には、アンテナのパラメータであるインダクタンス値L、静電容量値C、抵抗値Rなどを測定するLCR測定器や、共振周波数を測定する周波数測定器などが接続される。測定用端子9は、ケース1を貫通して、信号端子8と直交する方向に突出している。
【0023】
図2は、本発明で用いる調整部材10の一例を示している。調整部材10は、中空部10aを有する筒状の磁性体(例えば鉄)からなる。中空部10aは、図1(a)のX−X断面におけるケース1の外形よりも僅かに大きい寸法に形成されている。したがって、調整部材10は、ケース1にほぼ隙間なく嵌め込むことができる。
【0024】
この調整部材10を、図3のように、ケース1の先端部1a側からケース1へ嵌め込み、図4のように、ケース1の外周に被せる。図4では、調整部材10の端面10bは、ケース1の先端部1aと同一面をなしている。このときの調整部材10の端面10bの位置Y1を、以下では「基準位置」と呼ぶ。
【0025】
図5は、調整部材10を基準位置Y1から距離dだけ移動させた状態を示しており、調整部材10はY2の位置でケース1に被せられている。図6は、調整部材10をY2の位置から更に距離d(基準位置Y1から2d)だけ移動させた状態を示しており、調整部材10はY3の位置でケース1に被せられている。図5および図6の状態においては、調整部材10がコア3の一部を取り囲んでいる。
【0026】
このようにして、調整部材10の位置をY1,Y2,Y3,…と変えたときのコイル4のインダクタンス値は、図7に示すグラフのように変化する。すなわち、調整部材10が基準位置Y1から離れるに従って、インダクタンス値は減少する。なお、インダクタンス値は、調整部材10がコイル4の中央部に位置するときに最小となり、コイル4の中央部から遠ざかるにつれて増加することが実験的に確認された。
【0027】
図8は、送信用アンテナにおけるインダクタンス値の調整原理を説明する図である。コアKに巻かれたコイルWに交流電流を通電すると、コイルWのインダクタンス値に応じた磁束φpが発生する。このときの共振周波数foは、コイルWのインダクタンス値をL1とし、コイルWと直列に接続されたコンデンサ(図示省略)の静電容量をCとしたとき、
fo=1/2π√(L1・C) ・・・ (1)
となる。ここで、図8(a)のように、コアKの先端部近傍にリング状の磁性体Aを置くと、発生した磁束φpが磁性体Aと鎖交する。その結果、図8(b)のように、磁性体Aに誘導電流Iが発生し、この誘導電流Iに基づいて、逆向きの磁束φqが発生する。これは、見かけ上、コイルWがマイナスのインダクタンス値(−L2とする)を持つことを意味する。そして、インダクタンス値L1と、インダクタンス値−L2との総和(L1−L2)が、送信用アンテナにおける実際のインダクタンス値Lとなる。そのため、磁性体Aが存在するときの共振周波数は、上記(1)式のfoから
fv=1/2π√[(L1−L2)・C] ・・・ (2)
へと変化する。さらに、磁性体Aの位置をコアKの長手方向に変化させると、磁性体Aに発生する誘導電流Iの値が変化し、これに応じて逆向きの磁束φqも変化するので、コイルWのインダクタンス値Lが変化すると考えられる。
【0028】
以上のことから、前述した実施形態のように、ケース1の外周に被せた調整部材10(図8の磁性体Aに相当)の位置をコア3の長手方向に変化させると、当該位置に応じてコイル4のインダクタンス値が変化することになる。このため、送信用アンテナ1を例えば車両のドアに取り付けた後に、共振周波数の調整を行う必要が生じた場合でも、ケース1を取り外すことなく、調整部材10の位置を調整することによって、コイル4のインダクタンス値を所望の値に容易に調整することができる。
【0029】
なお、実際の調整作業においては、調整部材10をケース1の外周の所定位置に固定する必要があるので、調整部材10は、例えば接着剤によってケース1に固定される。
【0030】
ところで、調整部材10を基準位置Y1から移動させて調整を行う場合、コイル4のインダクタンス値は、マイナス(減少)方向のみに変化する。そこで、本実施形態においては、ケース1に調整部材10を被せない状態での送信周波数(共振周波数)が、送信用アンテナ100に要求される送信周波数(共振周波数)よりも高い値に設定されている。例えば、要求される送信周波数が125±3KHzであるならば、設計段階において送信周波数を128±3KHzに設計しておく。また、調整部材10により送信周波数を122±3KHzまで調整できるようにしておく。このようにすることで、調整部材10の位置に応じてコイル4のインダクタンス値を高い値から低い値へと変化させて、送信周波数を所望値の125±3KHzに容易に調整することができる。
【0031】
また、本実施形態では、送信用アンテナ100に、測定用端子9が設けられており、この端子に前述したLCR測定器や周波数測定器などを接続することができる。このため、コイル4のインダクタンス値や共振周波数などを測定器で確認しながら、調整部材10の位置を調整することにより、アンテナの特性を容易に調整することができる。
【0032】
また、本実施形態では、調整部材10は、信号端子8が突出している側と反対側において、ケース1の外周に被せられている。このため、調整部材10を、信号端子8やそれに接続されるリード線(図示省略)の存在しないケース1の先端部1a側から、容易にケース1に装着することができる。
【0033】
さらに、本実施形態では、コイル4とともに共振回路を構成するコンデンサ7は、ケース1の内部において先端部1aと反対側に設けられている。このため、コンデンサ7が信号端子8の近傍に配置されるので、コンデンサ7と信号端子8間の長い配線が不要となり、製造が容易となる。
【0034】
以上述べた実施形態においては、1個の調整部材10を用いてコイル4のインダクタンス値を調整する場合を例に挙げたが、本発明では、調整部材10を複数個用いて、インダクタンス値の調整を行うようにしてもよい。図9は2個の調整部材10をケース1に被せた状態、図10は3個の調整部材10をケース1に被せた状態を示している。このように、複数個の調整部材10を用いた場合は、1個の調整部材10を用いた場合に比べて、インダクタンス値の変化は大きくなる。但し、発明者らの実験によれば、調整部材10の数によるインダクタンス値の変化よりも、調整部材10の位置によるインダクタンス値の変化のほうが顕著であることが確認された。
【0035】
このように、インダクタンス値への影響は、調整部材10の位置によるところが大きいため、調整部材10のケース長手方向の長さについては、ケースに合わせて適宜選定すればよい。例えば、図9や図10のように複数の調整部材10を用いてもよいし、図9や図10の各調整部材10の長さを合計した長さに相当する、単一の調整部材を用いてもよい。
【0036】
また、以上述べた実施形態においては、調整部材10を接着剤によりケース1に固定する例を挙げたが、他の手段による固定も可能である。例えば、図11に示すように、ケース1の先端部1a側の外周に、一定間隔を置いて複数のリブ(突起)11を形成し、リブ11の間に調整部材10を嵌め込んで固定するようにしてもよい。この場合、リブ11が位置決め部として機能するので、ケース1に調整部材10を被せる際に、調整部材10をケース1上で容易に位置決めすることができる。その結果、調整作業を効率良く行うことが可能となる。
【0037】
また、本発明で用いる調整部材は、図2に示したような筒状の調整部材10に限らず、図12に示すようなリング状の調整部材20であってもよい。さらに、調整部材の形状も、図2や図12のような角形に限定されるものではなく、例えば、図13に示すような円筒形の調整部材30や、図14に示すような円形リング状の調整部材40を用いてもよい。要するに、調整部材の形状は、ケース1の形状に合わせて選定すればよい。なお、調整部材は、ケース1を取り囲むように閉ループを形成している必要がある。
【0038】
また、図4〜図6、図9および図10においては、調整部材10をケース1の先端側に被せる場合を例に挙げたが、原理的には、図15に示すように、ケース1の後端側に調整部材10を被せても、コイル4のインダクタンス値を調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る送信用アンテナは、前述した車両のキーレスエントリーシステムのほか、所在検知システムや入退出管理システムなどの無線送受信システムに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ケース
1a 先端部
3 コア
4 コイル
7 コンデンサ
8 信号端子
9 測定用端子
10、20、30、40 調整部材
10a 中空部
11 リブ(位置決め部)
100 送信用アンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体からなるコアと、
前記コアに巻かれたコイルと、
前記コアおよび前記コイルを覆うケースと、
前記ケースの外周に被せた、磁性体からなる中空の調整部材と、
を備えたことを特徴とする送信用アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の送信用アンテナにおいて、
前記ケースの一端側から信号端子が突出しており、
前記調整部材は、前記ケースの他端側の外周に被せられていることを特徴とする送信用アンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載の送信用アンテナにおいて、
前記ケースの一端側の内部に、前記コイルとともに共振回路を構成するコンデンサが設けられていることを特徴とする送信用アンテナ。
【請求項4】
請求項1に記載の送信用アンテナにおいて、
前記ケースに調整部材を被せない状態での送信周波数が、当該アンテナに要求される送信周波数よりも高い値に設定されていることを特徴とする送信用アンテナ。
【請求項5】
請求項1に記載の送信用アンテナにおいて、
前記調整部材を被せたときのアンテナの特性を測定するための測定用端子を有することを特徴とする送信用アンテナ。
【請求項6】
請求項1に記載の送信用アンテナにおいて、
前記ケースに、前記調整部材を位置決めするための位置決め部を設けたことを特徴とする送信用アンテナ。
【請求項1】
磁性体からなるコアと、
前記コアに巻かれたコイルと、
前記コアおよび前記コイルを覆うケースと、
前記ケースの外周に被せた、磁性体からなる中空の調整部材と、
を備えたことを特徴とする送信用アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の送信用アンテナにおいて、
前記ケースの一端側から信号端子が突出しており、
前記調整部材は、前記ケースの他端側の外周に被せられていることを特徴とする送信用アンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載の送信用アンテナにおいて、
前記ケースの一端側の内部に、前記コイルとともに共振回路を構成するコンデンサが設けられていることを特徴とする送信用アンテナ。
【請求項4】
請求項1に記載の送信用アンテナにおいて、
前記ケースに調整部材を被せない状態での送信周波数が、当該アンテナに要求される送信周波数よりも高い値に設定されていることを特徴とする送信用アンテナ。
【請求項5】
請求項1に記載の送信用アンテナにおいて、
前記調整部材を被せたときのアンテナの特性を測定するための測定用端子を有することを特徴とする送信用アンテナ。
【請求項6】
請求項1に記載の送信用アンテナにおいて、
前記ケースに、前記調整部材を位置決めするための位置決め部を設けたことを特徴とする送信用アンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−109553(P2011−109553A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264529(P2009−264529)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(510123839)オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 (110)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(510123839)オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 (110)
【Fターム(参考)】
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