説明

送風装置

【課題】ステッピングモータによってダンパの切り換えが行えなくってしまうことを防止することのできる送風装置を提供する。
【解決手段】室内の空気を吸気するための吸気口25と、吸気した空気を外へ排気するための排気口28と、吸気口25から吸気した空気を室内へ戻す吹出口26とを有する本体ケース20内に、吸気口25から空気を吸引して送風する送風ファン40と、この送風ファン40から送風される空気の送風方向を、軸51を中心にして回動移動することによって排気口28や吹出口26などへ切り換えるダンパ50とを設け送風装置10であって、ダンパ50を回動移動させるステッピングモータと、このステッピングモータの出力軸の回転速度を減速させる減速ギアとを設け、ダンパ50は、その減速ギアを介してステッピングモータにより回動移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の空気を排気したり循環させたりする送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室の換気や暖房を行う換気装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる換気装置は、浴室の空気を吸い込む吸込口と、浴室内へ空気を吹き出す吹出口と、この吹出口から吹き出す空気を暖めるヒータと、その吹出口に連通した排気風路と、吸込口から空気を吸い込んで送風する送風ファンと、送風ファンによって送風される空気を吹出口または排気風路へ案内する切換ダンパとを備えている。
【0004】
浴室を換気する場合には、送風ファンによって吸込口から吸い込まれた空気が切換ダンパにより排気風路へ案内されて外へ排気される。浴室を暖房する場合には、切換ダンパが切り換えられて吸込口から吸い込まれた空気が吹出口へ案内され、ヒータによって暖められて浴室へ温風が吹き出すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−308999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような換気装置の切換ダンパの切換は、シンクロナスモータやステッピングモータによって行われる。
【0007】
ところで、シンクロナスモータは高価であるという問題があり、ステッピングモータは安価であるが駆動トルクが小さく、このため、切換ダンパが停止位置で埃などにより固着した場合、切換ダンパの切り換えが行えなくなってしまうという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、ステッピングモータによってダンパの切り換えが行えなくってしまうことを防止することのできる送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、室内の空気を吸気するための吸気口と、吸気した空気を外へ排気するための排気口と、前記吸気口から吸気した空気を前記室内へ戻す吹出口とを有する本体ケース内に、前記吸気口から空気を吸引して送風する送風機と、この送風機から送風される空気の送風方向を、軸を中心にして回動移動することによって前記排気口や吹出口などへ切り換えるダンパとを設けた送風装置であって、
前記ダンパを回動移動させるステッピングモータと、
前記ステッピングモータの出力軸の回転速度を減速させる減速ギアとを設け、
前記ダンパは、前記減速ギアを介して前記ステッピングモータにより回動移動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ダンパの切り換えを減速ギアを介して行うので、ダンパの切り換えが行えなくってしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に係る浴室用の空調装置とフロントパネルの外観を示した斜視図である。
【図2】図1に示す空調装置の平面図である。
【図3】図1に示す空調装置の構成を示す断面図である。
【図4】図1に示す空調装置の本体ケースの内ケースの外観と、駆動機構の構成を示した斜視図である。
【図5】図4に示す内ケースの底面図である。
【図6】図4に示す駆動機構の構成を示した側面図である。
【図7】図6のA−A線に沿う断面図である。
【図8】(A)減速ギアの平面図、(B)減速ギアの正面図、(C)減速ギアの側面図、(D)減速ギアの底面図である。
【図9】図8に示す減速ギアの断面図である。
【図10】(A)図4に示す駆動機構のリンク部材の正面図、(B)リンク部材の側面図、(C)リンク部材の背面図である。
【図11】図10に示すリンク部材の従断面図である。
【図12】ダンパ室の側壁に装着したリンク部材に減速ギアを装着した状態を示した説明図である。
【図13】(A)押さえ部材を示した側面図、(B)押さえ部材の平面図である。
【図14】空調装置の制御系の構成を示したブロック図である。
【図15】ダンパが涼風モードや乾燥モードの位置に停止された場合の減速ギアの回動位置を示した説明図である。
【図16】ダンパの原点位置を検出した場合の減速ギアの回動位置を示した説明図である。
【図17】涼風モードまたは乾燥モードのときのダンパの位置を示した説明図である。
【図18】ダンパが全閉したときの状態を示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明に係る送風装置の1つである空調装置の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0013】
図1ないし図3に示す浴室用の空調装置10は、予め浴室12の天井13に設けた開口部14内に収納される本体ケース20と、送風ファン(送風機)40と、ダンパ50と、ヒータ(加熱手段)60と、ダンパ50を回動移動させる駆動機構100(図4参照)等とを備えている。
[本体ケース]
本体ケース20は、樹脂製の内ケース21と、この内ケース21を覆った金属製の外ケース30とを有している。
[内ケース]
内ケース21は、送風ファン室22と送風路27とダンパ室23とを形成し、下面が開口されている。送風路27は、図5に示すように送風ファン室22の外周側(送風ファン40の外周側)の外周風路27Aと、この外周風路27Aとダンパ室23との間を連通した連通風路27Bとを有している。
【0014】
外周風路27Aは、図5に示す環状壁部21Aと天井壁部21T等とで形成されている。連通風路27Bは、側壁部21Bと天井壁部27T等とで形成されている。
【0015】
そして、送風ファン室22と送風路27とダンパ室23とが連通され、ダンパ室23の側壁部23A(図3において右側壁部)には排気口28が形成されている。
【0016】
図4に示すように、送風路27の天井壁部27Tには、イオン発生器200(図5参照)を装着する装着穴27Taが形成されている。また、ダンパ室23の天井壁部23Tには、回路基板(図示せず)を取り付ける取付部23Taが形成されている。なお、図3において、ダンパ室23の天井壁部23Tおよび外周風路27Aの天井壁部27Tと外ケース30の天井壁部30Tとが接合されているが、実際には、天井壁部23T,27Tと天井壁部30Tとの間には、回路基板やイオン発生器200が配設されるように隙間が形成されている。
【0017】
また、送風路27の天井壁部27Tの下面には、図5に示すように、イオン発生器200の下流側に複数の整流板27Sが形成されている。各整流板27Sは所定の高さを有するとともに、イオン発生器200からダンパ室23近傍まで延びている。
【0018】
イオン発生器200は、プラスイオンを発生する電極201と、マイナスイオンを発生する電極202とを有している。
【0019】
内ケース21の下面の開口には、図1および図3に示すように、底板24が取り付けられていて開口が閉塞されている。底板24には、吸気口25と吹出口26とが形成されている。
【0020】
また、内ケース21の下部にはフランジ21Fが形成され、このフランジ21Fにはフロントパネル70が着脱可能に装着される。
【0021】
内ケース21の送風ファン室22には、送風ファン40が回転自在に装着されており、この送風ファン40を回転させるモータMが内ケース21の天井壁部21Tに設けた穴21Hと、外ケース30の天井壁部30Tに設けた穴(図示せず)とに装着され、それら穴21Hを密閉している。
【0022】
送風ファン40の回転によって吸気口25から浴室12の空気が吸い込まれて送風路27を介してダンパ室23へ送風されるようになっている。
【0023】
内ケース21のダンパ室23には、ダンパ50がその一端に設けた軸51を中心にして回動移動可能に配置されている。軸51は、内ケース21のダンパ室23の両側壁部に設けた支持部23Kに回動自在に保持されている。
[外ケース]
外ケース30は、ほぼ直方体状に形成され、下面が開口されている。外ケース30の側面には内ケース21の排気口28に対向して排気口31が形成され、内ケース21の排気口28と外ケース30の排気口31とが接合され、排気口31には接続ダクト32が取り付けられている。この接続ダクト32には図示しない排気ダクトが接続されて、浴室の空気が外へ排気されるようになっている。
[フロントパネル]
フロントパネル70には、吸気口25に対向した吸込開口71と、吹出口26に対向した吹出開口72とが形成されている。吸込開口71は、図3に示すように内ケース21の吸気口25に連通し、吹出開口72は内ケース21の吹出口26に連通している。
[ダンパ]
ダンパ50は、図3に示す位置と図18に示す位置との間を回動移動するようになっており、図3に示す位置に位置されると吹出口26が閉塞(全閉)され(排気口31が全開)、送風ファン40によってダンパ室23へ送風されてきた空気が排気口28へ案内されるようになっている。また、ダンパ50が図18に示す位置に位置されると排気口28が閉塞(全閉)され(吹出口26が全開)、ダンパ室23へ送風されてきた空気が吹出口26へ案内される。
【0024】
ダンパ50の一側端にはカム板52が設けられており、このカム板52には長孔53が形成されている。この長孔53内には、後述するカムピン146が挿入され、このカムピン146の後述する回動移動により、ダンパ50が軸51を中心にして開閉動作(回動移動)するようになっている。
【0025】
吹出口26の下にはヒータ60が取り付けられており、吹出口26から浴室へ吹き出す空気を加熱するようになっている。ヒータ60はPTCヒータである。
[駆動機構]
駆動機構100は、図4に示すように、ダンパ室23の側壁23Sの外側に設けられている。駆動機構100は、ギヤードモータであるステッピングモータ101と、樹脂製の減速ギア110と、樹脂製のリンク部材140と、樹脂製の押さえ部材160等とを有している。
【0026】
ステッピングモータ101の出力軸102(図6参照)には、樹脂製の駆動ギア103が装着され、この駆動ギア103が減速ギア110に噛合している。ステッピングモータ101は、図6および図7に示すように、側壁23SのネジボスB1,B2にネジN1,N2により固定されている。
[減速ギア]
減速ギア110は、図8に示すように、周囲の3/4ほどギア111を形成した円板部112を有し、この円板部112の一側面の中央部に円形の膨出部113が形成されている。この膨出部113の中心部には軸部114が一体形成されている。
【0027】
円板部112の他側面には、円形の凹部112aが形成されており、この凹部112aは図9に示すように膨出部113内まで達している。この凹部112aから外方へ延びた穴112Hが円板部112に形成され、凹部112aと穴112Hとが図9に示すように連続している。
【0028】
また、円板部112の凹部112a内の中心位置にはDカットの軸115が形成されており、この軸115は凹部112aから外方へ突出している。円板部112のギア111が形成されていない部分の端部には外方(径方向)に突出した突起116が形成されている。
[リンク部材]
リンク部材140は、図10および図11に示すように、Dカットの軸孔141を形成した軸部142を有し、軸部142の一端には径方向に延び且つ減速ギア110の穴112Hに嵌合する第1アーム部143が形成されている。第1アーム部143の先端部には孔143aが形成され、この孔143a内には磁石144が装着されている。
【0029】
軸部142の他端には、第1アーム部143と反対方向へ延びた第2アーム部145が形成され、第2アーム部145の先端部の左側面(図11において)には円形のカムピン146が形成されている。
【0030】
リンク部材140は、図7および図12に示すように、ダンパ室23の側壁23Sに設けた軸孔23Jにリンク部材140の軸部142を嵌入させて、回動自在に側壁23Sに装着されている。リンク部材140の軸部142の軸孔141には、減速ギア110の軸115が嵌入されるとともに、減速ギア110の凹部112aおよび穴112Hにリンク部材140の軸部142および第1アーム部143が嵌入されて、減速ギア110がリンク部材140に装着されている。
【0031】
減速ギア110は、側壁23Sの軸孔23Jに対してリンク部材140と一体となって回動する。リンク部材140に装着された減速ギア110のギア111にはステッピングモータ101の出力軸102の駆動ギア103が噛合している。
[押さえ部材]
押さえ部材160は、図13に示すように、左右に延びた押さえ板部161と、この押さえ板部161の中央部に形成した筒部162とを有している。押さえ板部161の両端には、ネジ孔161a,161bが形成され、筒部162の穴162aには、図6および図7に示すように、減速ギア110の軸部114が回動自在に挿入されている。
【0032】
押さえ部材160は、図4および図6に示すように、ネジN3,N4によりダンパ室23の側壁23Sに設けたネジボスB3,B4に固定されている。これにより、減速ギア110の軸部114の両端が押さえ部材160と側壁23Sとで回動自在に支持された状態となっている。
[検知装置]
図4および図6において、170は減速ギア110の原点位置を検知する検知装置(検知手段)であり、この実施例では磁石144を検知するホール素子(図示せず)を有している。検知装置170は、図4および図6に示すように、ネジN5によりダンパ室23の側壁23Sに設けたネジボスB5に固定されている。
【0033】
検知装置170の側面170a(図6参照)にはストッパ板120が配置されており、ストッパ板120は、図4および図6に示すように側壁23Sの外側の下部に設けた段部23Dに設けられている。
【0034】
このストッパ板120に減速ギア110の突起116が当接して減速ギア110の回動を停止させるものである。その突起116がストッパ板120に当接した位置に減速ギア110が回動されると、ダンパ50は全閉し(吹出口26に対して)、この位置を減速ギア110の原点とするものであり、減速ギア110が原点位置へ回動されると検知装置170が磁石144を検知するように設定されている。
【0035】
この実施例では、減速ギア110が原点位置へ回動する手前で検知装置170が磁石144を検知するようになっている。
[制御系]
図14は空調装置10の制御系の構成を示したブロック図である。図14において、180は浴室12の外である例えば洗面所などに設ける操作部であり、この操作部180は操作キー(図示せず)の操作によって換気、乾燥、暖房、涼風などの各モードを設定する。300は操作部180の操作や検知装置170の検知に基づいてステッピングモータ101やモータMやヒータ60やイオン発生器200を制御する制御装置(制御手段)である。
【0036】
制御装置300は、ステッピングモータ101を駆動させる際、初期時に通常速度より遅い速度で所定角度まで回転させ、この後、通常の速度で回転させる。
[動 作]
次に、上記のように構成される空調装置10の動作について説明する。
【0037】
先ず、空調装置100を浴室12の天井13に設置し、この設置の施工が終了した場合について説明する。
【0038】
最初に、操作部180を操作して電源を投入する。この電源の投入により、制御装置300はステッピングモータ101を正転させる。このステッピングモータ101の正転により、減速ギア110を図6において反時計回りに回動させていく。
【0039】
減速ギア110の反時計回りの回動により、カムピン146は図3および図17において時計回りに回動してダンパ50を軸51を中心にして時計回りに回動させていく。ダンパ50は減速ギア110を介してステッピングモータ101により回動移動されるので、ステッピングモータ101の動作トルクが小さくてもダンパ50を回動移動させることができる。
【0040】
減速ギア110の反時計回りの回動により減速ギア110の突起116をストッパ板120に当接させる。
【0041】
制御装置300は、検知装置170がオンしてからも所定のパルスを出力して、減速ギア110の突起116をストッパ板120に確実に当接させる。これにより、減速ギア110の原点位置すなわちダンパ50の原点位置を確実に検出することができる。
【0042】
また、減速ギア110の突起116をストッパ板120に当接させることにより、減速ギア110を設けたことによるバックラッシュの影響を受けることなく原点位置を確実に検出することができる。
【0043】
この際のステッピングモータ101の回転速度は、最初から終わりまで通常の速度で回転させるが、初期時だけ低速で回転させてもよい。
【0044】
制御装置300は、ダンパ50を図18に示す位置、すなわち減速ギア110を図16に示す位置を基準にして、ステッピングモータ101を制御してダンパ50を所定の位置へ移動させていく。
[涼風モード、乾燥モード]
例えば、操作部180の操作により涼風モードが設定されると、制御装置300は予め設定されている設定数のパルスを出力して、ステッピングモータ101を逆転駆動させ、ダンパ50を図17に示す中間位置へ移動させる。ダンパ50を図18に示す位置を基準にして設定数のパルスによりステッピングモータ101を逆転駆動させるものであるから、ダンパ50を常に図17に示す中間位置へ正確に移動させることができることになる。ダンパ50が図17に示す中間位置に移動しているときは、減速ギア110は図15に示す位置に回動移動している。
【0045】
ステッピングモータ101を駆動させる際、制御装置300は、初期時では低速(高トルク)でステッピングモータ101を駆動させ、この後低トルクの通常の速度で駆動させる。このため、ダンパ50が図18に示す位置に埃などで固着していても、ダンパ50を確実に回動移動させることができる。つまり、ダンパ50の切り換えが行えなくってしまうことを防止することができる。
【0046】
ダンパ50が図17に示す中間位置へ移動すると、制御装置300はモータMを駆動させて送風ファン40を回転させる。送風ファン40の回転により、図17に示すように吸気口25から浴室12の空気が矢印Oに示すように吸い込まれていき、吸気口25へ吸い込まれた空気の一部が送風路27を介して矢印Qに示すように排気口28から外へ排気されることになる。
【0047】
他方、残りの空気が送風路27を介して矢印Pに示すように吹出口26から浴室12へ吹き出す。
【0048】
このように、浴室12の空気の一部が外へ排気されるので、ドアのアンダーカットなどから浴室12外の空気が浴室12に入り、吹出口26から風が浴室12へ送り込まれてくるので、浴室12は涼風状態となる。
【0049】
乾燥モードの場合には、ダンパ50の回動移動は上記と同様に行われ、ヒータ60が通電されて吹出口26から温風が吹き出され、排気口28から湿った空気が排気されて浴室12の乾燥が行われる。
[換気モード、暖房モード]
ダンパ50が図17に示す中間位置に移動している状態から、換気モードまたは暖房モードを操作部180の操作により設定すると、制御装置300は所定の設定数のパルスを出力してステッピングモータ101を逆転あるいは正転駆動させて、ダンパ50を図3または図18に示す位置へ移動させる。この移動の際のパルス数は、ダンパ50の先端部50aが吹出口26の縁部26aや送風路27の天井壁部27Tに当接するより多い数に設定され、ダンパ50の先端部50aが吹出口26の縁部26aや送風路27の天井壁部27Tに確実に当接される。
【0050】
すなわち、多めのパル数を出力することにより、減速ギア110のバックラッシュの影響を受けることなく、ダンパ50の先端部50aを吹出口26の縁部に確実に当接させることができる。
【0051】
また、その移動の際、ダンパ50は図17に示す中間位置に固着されることはほとんどないので、通常の速度でダンパ50を移動させるが、上記と同様に、初期時に低速でステッピングモータ101を駆動させ、この後通常の速度で駆動させてもよい。
【0052】
ダンパ50が図3に示す位置に移動されると、空気が図3の矢印Qに示すように排気口28から排気されることにより浴室12の換気が行われる。また、図18に示す位置へ移動されると、矢印Pに示すように空気が吹出口26から吹き出し、ヒータ60の通電により温風が浴室12へ送り込まれ、浴室12の暖房が行われることになる。
[停止モード]
換気モード中あるい涼風モード中に、操作部180の停止スイッチ(図示せず)が操作されると、制御装置300はモータMの駆動を停止させるとともに、ステッピングモータ101を正転駆動させて図3または図17の中間位置にあるダンパ50を図18に示す位置へ回動移動させる。この回動移動の際、図18に示す位置へ移動させるに必要なパルス数より多いパルス数を出力して、減速ギア110の突起116をストッパ板120に確実に当接させ、これによりダンパ50の原点位置を確実に検出してステッピングモータ101を停止させる。
【0053】
この際、上述のようにバックラッシュの影響を受けることなく原点位置を確実に検出することができる。
【0054】
ダンパ50を図3に示す位置から図18に示す位置へ移動させる場合、上記と同様に、初期時では低速(高トルク)でステッピングモータ101を駆動させ、この後通常の速度(低トルク)で駆動させる。このため、ダンパ50が図3に示す位置に埃などで固着していても、ダンパ50を確実に回動移動させることができる。
【0055】
ダンパ50を図17に示す中間位置から図18に示す位置へ移動させる場合、ステッピングモータ101を通常の速度で駆動させるが、上記と同様にして初期時に低速で駆動させてもよい。
【0056】
この停止状態のとき、操作部180の操作により各モードが設定されると、制御装置300は、ダンパ50を図18に示す位置を基準にしてステッピングモータ101を制御し、ダンパ50を所定の位置へ移動させていく。
[24時間換気]
ダンパ50が図18に示す位置に移動されている場合(停止モードの場合)、操作部180の操作により24時間換気(常時換気)が設定されると、制御装置300は、ダンパ50を図18に示す位置を基準にしてステッピングモータ101を制御して、ダンパ50を図3に示す位置へ移動させ、モータMを駆動させて送風ファン40を回転させる。
【0057】
このダンパ50の移動の際、上記と同様に、図3に示す位置へ移動させるに必要なパルス数より多めのパル数を出力して、ダンパ50の先端部50aを吹出口26の縁部に確実に当接させる。この際、上述のよに多めのパルス数を出力することにより、バックラッシュの影響を受けることなく、ダンパ50の先端部50aを吹出口26の縁部に確実に当接させることができる。
【0058】
また、このダンパ50の移動の際には、初期時に低速でステッピングモータ101を駆動させ、この後通常の速度で駆動させる。このため、ダンパ50が図18に示す位置に埃などで固着していても、ダンパ50を確実に回動移動させることができる。
【0059】
ダンパ50が図3に示す位置へ移動されて送風ファン40が回転されると、浴室12の空気が矢印Oに示すように吸気口25から吸い込まれていき、送風路27を介して矢印Qに示すように排気口28から外へ排気されて浴室12の換気が行われ、この浴室12を通して他の部屋の換気も行われることになる。
【0060】
この24時間換気の場合、1時間で建物の換気が0.5回行われるように送風ファンの回転数が設定される。
【0061】
上述のように、ダンパ50を回動移動させる際、初期時にステッピングモータ101を低速で回動せるが、この後、通常速度でステッピングモータ101を回動させるので、ダンパ50を所定の位置へ速やかに移動させることができる。
【0062】
また、図7に示すように、減速ギア110の軸部114の両端が押さえ部材160とダンパ23室の側壁23Sとで回動自在に支持された状態となっているので、ステッピングモータ101の駆動時に、駆動ギア103から減速ギア110が浮き上がってしまうことがなく、このため、ステッピングモータ101の駆動トルクを減速ギア110に十分に伝達することができることになる。
[固着された場合]
次に、ダンパ50が例えば図18に示す位置に固着して回動移動しない場合について説明する。
【0063】
ダンパ50が図18に示す位置に位置している場合、減速ギア110は図16に示す位置に位置し、減速ギア110の突起116がストッパ板120に当接し、検知装置170が磁石144を検知し、ダンパ50の原点位置を検出している。
【0064】
この状態で、制御装置300は、ステッピングモータ101を高トルク(低速)で駆動させるがダンパ50が回動移動しない場合、検知装置170は磁石144を検知し続け、検知装置170はオフしない。
【0065】
制御装置300は、検知装置170がオフしない間、ステッピングモータ101を低速駆動させるパルスを出力し続け、このパルス数が減速ギア110を図16において時計回りに30度回動するだけの数に達しても検知装置170がオフしなかった場合、ダンパ50は固着されていると判断して、減速ギア110を反時計回り(図16において)に回動させるパルスを出力させ、この後、減速ギア110を時計回り(図16において)に30度回動するだけの低速用のパルスを出力させる。これら動作を検知装置170がオフするまで繰り返し行い、その繰り返し回数が例えば10回になっても検知装置170がオフしないとき、ダンパ50は固着されたままと判断して、制御装置300は操作部180に設けた表示部(図示せず)にエラー表示させるとともにステッピングモータ101の駆動を停止させる。
【0066】
ダンパ50が図3に示す位置に固着された場合、ダンパ50が図3に示す位置から図18に示す位置へ移動するに必要なパルス数を制御装置300が出力しても、検知装置170が磁石144を検知しないとき、すなわち検知装置170がオンしないとき、制御装置300は、ダンパ50が図3に示す位置に固着されたと判断する。
【0067】
そして、制御装置300は、上記と同様にして、ステッピングモータ101を正転・逆転を複数回繰り返し、この後、図18に示す位置へ移動するに必要なパルスを出力する。このパルスの出力によってダンパ50が回動移動しない場合、検知装置170が磁石144を検知しないので検知装置170はオフのままであり、制御装置300は、ダンパ50が図3に示す位置に固着されたままと判断し、操作部180に設けた表示部(図示せず)にエラー表示させ、ステッピングモータ101の駆動を停止させる。
[リンク部材について]
ところで、図9に示す減速ギア110の凹部112aと穴112Hに、図11に示すリンク部材140の軸部142と第1アーム部143が図12に示すように嵌入されるとともに、減速ギア110の軸115がリンク部材140の軸孔141に嵌入されていることにより、減速ギア110の回転力は軸115を介してリンク部材140の軸部142に伝達する他に、減速ギア110の穴112Hを介してリンク部材140の第1アーム部143に伝達するので、ダンパ50を回動移動させる際に、減速ギア110の軸115のみに大きな負荷が掛かってしまうことがなく、このため、樹脂製の軸115であってもダンパ50の回動移動の際に破損してしまうことがない。
[ダンパの回動移動について]
ダンパ50の回動移動は、図3、図17および図18に示すように、カムピン146を回動させることにより行うものである。つまり、ステッピングモータ101を正転・逆転させて減速ギア110を正転・逆転させることにより行うものであり、減速ギア110を1回転させる必要がない。このため、ダンパ50を軸51から大きく離れた矢印Rの範囲の位置だけで回動移動させることができ、ステッピングモータ101に掛かる負荷を小さくすることができる。
【0068】
つまり、カムピン146の回動中心(減速ギア110の軸115)に対して、ダンパ50の軸51の位置と反対側の位置でカムピン146が回動移動するように設定したものであるから、ステッピングモータ101に掛かる負荷を小さくすることができる。
【0069】
また、減速ギア110を1回転させる必要がないことにより、減速ギア110の最短の回動移動でダンパ50を所定位置へ移動させることができ、このため迅速に所定位置へダンパ50を回動移動させることができ、無駄な電力を消費してしまうことも防止することができる。
【0070】
さらに、ステッピングモータ101でダンパ50を回動移動させるものであるから、ダンパ50の回動位置の精度を高めることができる。
[イオン発生]
イオン発生器200は、暖房モードや送風モードが設定されたとき、イオン発生器200が動作し、図5に示す電極201からプラスのイオンが発生し、電極202からマイナスのイオンが発生し、これらイオンが吹出口26から浴室12内へ送り込まれるが、送風路27の天井壁部27Tに設けた整流板27Sによりプラスイオンとマイナスイオンとが直ちに結合して消滅してしまうことがなく、このため、多量のプラスイオンとマイナスイオンを浴室12へ供給することができる。
【0071】
上記実施例は、ダンパ50の切り換えをステッピングモータ101の正転や逆転で行っているが、1方向に回転させることによってダンパ50の切り換えを行うようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施例は、浴室用の空調装置10について説明したが、これに限らず、空気の流れをダンパの切り換えで行う送風装置であればよい。
【0073】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0074】
10 空調装置(送風装置)
25 吸気口
26 吹出口
28 排気口
40 送風ファン
50 ダンパ
51 軸
101 ステッピングモータ
110 減速ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気を吸気するための吸気口と、吸気した空気を外へ排気するための排気口と、前記吸気口から吸気した空気を前記室内へ戻す吹出口とを有する本体ケース内に、前記吸気口から空気を吸引して送風する送風機と、この送風機から送風される空気の送風方向を、軸を中心にして回動移動することによって前記排気口や吹出口などへ切り換えるダンパとを設けた送風装置であって、
前記ダンパを回動移動させるステッピングモータと、
前記ステッピングモータの出力軸の回転速度を減速させる減速ギアとを設け、
前記ダンパは、前記減速ギアを介して前記ステッピングモータにより回動移動されることを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記減速ギアの軸を中心にして該減速ギアの回動移動とともに回動移動するカムピンを設け、
該カムピンの回動移動によって前記ダンパを回動移動させ、
前記ダンパの軸の位置と反対側の位置で前記ピンが回動移動するように設定したことを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記ダンパが停止位置から他の位置へ移動する際、初期動作時に通常速度より遅い低速で前記ステッピングモータを駆動させ、この後通常の速度でステッピングモータを駆動させる制御手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記ダンパが所定の停止位置に位置していることを検知する検知手段を設け、 前記ダンパを前記所定の停止位置から他の位置へ移動させる際、
前記制御手段は、ダンパを所定角度まで前記低速で回動移動させるパルスを出力し、この後、前記検知手段がダンパを検知しているとき、ダンパを前記所定角度の位置から停止位置へ戻すパルスを出力し、これら動作を複数回繰り返すことを特徴とする請求項3に記載の送風装置。
【請求項5】
前記吹出口から吹き出す空気を暖める加熱手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の送風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−242039(P2012−242039A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114544(P2011−114544)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】