説明

逆合成開口レーダ装置

【課題】 パターン照合に用いる参照画像を高速で生成することにより目標の類別にかかる時間の短縮化を可能にする。
【解決手段】 ビデオ信号からISAR画像を生成するISAR画像生成部、ISAR画像からフリーズ画を生成すると共に、輝度変換テーブルを用いて当該フリーズ画を各種輝度変換し、その際ISAR画像の目標情報を抽出するフリーズ画生成・計測部、目標データデータベースから目標情報に基づいて対応する目標データを目標選定信号として抽出するパラメータ照合部、複数の目標モデルを予め格納する目標モデルデータベースから目標選定信号に基づいて対応する目標モデルを選定する目標選定部、レーダ諸元等を用い選定された目標モデルから参照画像を生成する疑似ISAR画像生成部、フリーズ画と参照画像とを用いてパターン照合を行うパターン照合部を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、疑似的にISAR画像を生成して目標の類別向上を図る逆合成開口レーダ(Inverse Synthetic Aperture Rader:以下ISARとする)装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ISARは航空機等に搭載されて用いられる高分解能レーダとして知られている。従来のISAR装置では、受信機で発生させた送信種信号を高周波信号(RF信号)にしてアンテナから自由空間へ電波として放射し、目標により反射された反射エコーをアンテナで受信し、パルス圧縮した後、A/D変換してデジタルのビデオ信号を生成し、そのビデオ信号に対してレンジ方向(アンテナからの距離方向)の高分解能化、すなわちISAR処理を行っている。このISAR処理では、ビデオ信号に対して開口面について合成を行い、クロスレンジ方向(レンジ方向に直交する方向)についての高分解能化と、前述のパルス圧縮によるレンジ方向についての高分解能化を行って目標の画像信号を形成する(例えば、特許文献1参照)。この種のレーダ装置に適用される目標の識別技術としては、ISAR画像による目標識別を行うときに、フリーズ操作により作成された単一のISAR画像(フリーズ画)と目標モデルより作成された疑似ISAR画像(参照画像)とでパターン照合(ISAR画像との画像間照合)が実施される。つまり、ISAR画像の特徴的なパラメータを検出して、対象画像の特徴的なパラメータと、識別用データベースに予め蓄積されている所定情報との照合を行い、その照合結果に基づいて、所要のISAR画像を抽出するようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−181929号公報(図10)
【特許文献2】特開2000−3436号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレーダ装置は、以上のように構成されているが、次のような問題がある。特許文献1に記載の技術では、パターン照合に用いる参照画像として、データベースに登録されているすべての目標についての疑似ISAR画像を生成する必要があるため、より高速にリアルタイムで生成されるISAR画像ごとに対応して疑似ISAR画像とのパターン照合を行うことは不可能であった。
また、特許文献2に記載の技術では、既存の目標モデルでRCS(Radar Cross Section :レーダ反射断面積)分布を作成し、疑似ISAR画像を作成しているため、既存の目標モデルで作成した参照画像(疑似ISAR画像)との間でしかパターン照合を行うことができなかった。なお、RCSは、レーダの受信アンテナの方向に対する目標の有効反射電力と等価な反射強度を有する球の断面積で表される値である。
【0005】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、パターン照合に用いる参照画像を高速で生成することにより目標の類別にかかる時間の短縮化を可能にする逆合成開口レーダ装置を得ることを目的とする。
また、この発明は、参照画像を生成する際に用いる既存の目標モデルのデータ不足している場合において、実観測で収集した観測情報を用いて疑似ISAR画像を生成できるようにする逆合成開口レーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る逆合成開口レーダ装置は、収集した目標の反射エコーから得たビデオ信号に対して収集時の観測条件を用いて合成開口処理を行い目標のISAR画像を生成するISAR画像生成部と、生成されたISAR画像からフリーズ画を生成すると共に、輝度変換テーブルを用いて当該フリーズ画を各種輝度変換し、その際ISAR画像の目標情報を抽出するフリーズ画生成・計測部と、目標ごとに目標の幅、長さおよび位置を含む目標データを予め格納する目標データデータベースと、フリーズ画生成・計測部で抽出された目標情報に基づいて目標データデータベースを照合し対応する目標データを目標選定信号として抽出するパラメータ照合部と、複数の目標モデルを予め格納する目標モデルデータベースと、パラメータ照合部で生成された目標選定信号に基づいて目標モデルデータベースを照合し対応する目標モデルを選定する目標選定部と、入力されるレーダ諸元、実観測時に得られた環境条件および収集時の観測条件に基づいて、目標選定部で選定された目標モデルから疑似ISAR画像を生成し参照画像として出力する疑似ISAR画像生成部と、フリーズ画生成・計測部で生成されたフリーズ画と疑似ISAR画像生成部で生成された参照画像とを用いてパターン照合を行い、類似性を示す照合結果を得るパターン照合部と、パターン照合に用いたフリーズ画と参照画像を表示信号に変換する照合結果処理部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、ISAR画像のフリーズ画から自動的に目標情報を抽出して目標選定信号を生成し、この目標選定信号を用いて、参照画像を生成するための目標モデルを限定するようにしたので、高速で参照画像を生成することができ、リアルタイムに生成されるフリーズ画像ごとのパターン照合を可能とし、目標の類別にかかる時間の短縮化を可能にする効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
先ず、目標とレーダの位置関係と、画像の形成について説明する。
目標は、例えば船舶の場合、図2に示すようなレーダとの位置関係が考えられる。合成開口の開始時距離R0から合成開口終了時Rτまで、レーダを接近する場合には、レーダのニアレンジが船首、ファーレンジが船尾となり、レーダ受信信号のレンジ情報を横方向に、強度情報(反射強度)を縦方向にとってレンジプロファイル、すなわちフリーズ図に対し各レンジセルの反射強度を表現した画像が図4に示すように生成される。また、レーダ受信信号のレンジ情報を横方向に、ドップラ情報を縦方向にとったISAR画像のフリーズ画(動画表示中に停止した任意のISAR画像)が図3に示すように操作表示部(図1の7)で表示される。
【0009】
図1はこの発明の実施の形態1による逆合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図である。
図示してないが、逆合成開口レーダ装置では、受信機で発生させた送信種信号を高周波信号にしてアンテナから自由空間へ電波として放射し、目標により反射された反射エコーをアンテナで収集し、パルス圧縮した後、A/D変換してデジタルのビデオ信号が生成される。ISAR画像生成部1には、ビデオ信号と収集時の観測条件が入力される。ISAR画像生成部1では、観測条件を用いてビデオ信号に対し開口面について合成開口処理を行うことにより、クロスレンジ方向(レンジ方向に直行する方向)についての高分解能化、すなわちISAR処理を行う。さらに、クロスレンジ方向の高分解能化に加え、パルス圧縮によるレンジ方向について高分解能化を行い、目標の画像信号(ISAR画像)を生成し、フリーズ画生成・計測部2に出力する。なお、ここで用いられる観測条件は、ISAR処理に必要なパラメータであり、具体的にはアンテナの諸元、アンテナの位置と移動速度、および目標の相対位置と相対速度である。また、アンテナの諸元とは、送信出力、波長、パルス幅等である。
【0010】
次に、ISAR画像生成部1の動作におけるISAR処理の一般的な手順について、図5のフローチャートで説明する。
ISAR画像生成部1では、入力されたビデオ信号に対して、時間軸上でデータの距離と振幅情報により目標を追尾し、パルスヒット毎のレンジセル単位の移動量を距離補償量として算出する(ステップST1)。その距離補償量を用いて、目標の移動による距離のずれに対してレンジセル単位でビデオ信号を距離補償する(ステップST2)。その結果、目標はあたかも静止しているかのように扱える。次に、周波数軸上で時間と周波数情報によりオートフォーカスし、追尾速度から目標のドップラ周波数を積分して位相量を位相補償量として算出する(ステップST3)。その位相補償量により、目標の移動によるドップラシフトを複素演算により求めてビデオ信号を補償する(ステップST4)。その補償後のビデオ信号に対してFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を行い、目標の動揺(ロール、ピッチ、ヨーの周波数)成分を弁別する(ステップST5)。そして、信号の振幅を検出し、ISAR画像を生成して出力する。また、一合成開口分の同一レンジ方向の振幅値を積分したレンジプロファイルのISAR画像を生成する(ステップST6)。
【0011】
フリーズ画生成・計測部2では、ISAR画像生成部1で生成されたISAR画像から、例えば図3に示すようなフリーズ画を生成してパターン照合部44に出力する。ここで、操作表示部7に表示されるフリーズ画は、複数の異なる輝度変換テーブルにより輝度が変換される。これらの輝度変換テーブルの種類としては、例えば、図6に示すように三角波変換a、線形変換b、区分線形変換c、LOG変換d、平坦化e等があり、図右側に輝度変換されたフリーズ画が対応して示される。また同時に、フリーズ画生成・計測部2では、自動で輝度変換テーブルを変化させることで、図7に示すように目標の特徴を検出し、ISAR画像のアスペクト、目標の長さ等の目標情報を抽出する。
【0012】
ISAR画像は、光学画像のようにそのまま人の目で識別できる画像ではなく、観測点から送信される電波が観測物に到達し、その電波反射の割合により明暗が分布する特殊な画像である。したがって、ISARで目標識別を行うには、予め電波の反射を計算機上でシミュレーションし、その結果として得られる参照画像(疑似ISAR画像)とISAR画像(フリーズ画)との類別を行う必要がある。参照画像生成部3は、そのための疑似ISAR画像を生成する手段であり、疑似ISAR画像生成部32と目標選定部33を備えている。
目標選定部33は、パラメータ照合部42から与えられる目標選定信号に基づいて目標モデルデータベース6を照合し対応する目標モデルを選定し、疑似ISAR画像生成部32へ出力する。疑似ISAR画像生成部32では、選定された目標モデルと実観測時に得られるシーステート等プラットフォームの環境条件および収集時の観測条件に基づいてRCS分布を生成し、レーダ諸元とこの生成したRCS分布に基づいて、図8に示すような擬似ISAR画像を参照画像として生成する。ここで、レーダ諸元は、送信出力、波長、パルス幅等のアンテナの諸元である。また、目標モデルは、例えば船舶の場合、船舶に電波が当たった時にどのようなISAR画像が生成できるかシミュレーションで作成(作成されたものを擬似ISAR画像と呼ぶ)するために必要なポリゴン上のモデルであり、目標モデルデータベース6に予め複数格納されている。この場合、疑似ISAR画像を生成するための目標モデルを目標選定信号により選定することで、照合までにかかる時間を短縮化することが可能となる。
【0013】
画像照合部4は、パラメータ照合部42、パターン照合部44、照合結果処理部45を備えている。また、画像照合部4の動作で用いる目標データデータベース5には、目標ごとに目標の幅、長さおよび位置を含む目標データが予め格納されている。パラメータ照合部42では、フリーズ画生成・計測部2で抽出された目標情報に基づいて目標データデータベース5を照合し、対応する目標データを目標選定信号として抽出し、目標選定部33へ出力する。パターン照合部44では、フリーズ画生成・計測部2で得られたISAR画像のフリーズ画と疑似ISAR画像生成部32で生成された参照画像(疑似ISAR画像)とを用いてパターン照合(相関処理)を行い、類似性を数値や割合で表した照合結果を得、照合結果処理部45へ出力する。照合結果処理部45では、ISAR画像から生成されたフリーズ画および選定された参照画像が、操作表示部の解像度、表示輝度ダイナミックレンジ、操作情報等に合致した表示信号に変換され、オペレータが操作する操作表示部7へ出力される。また、照合結果、パラメータ照合で用いた目標データ、観測条件、環境条件等も同様に表示信号に変換され操作表示部7へ出力される。
【0014】
次に、操作表示部7では、始めにISAR画像のフリーズ画がモニタに表示され、さらに、そのフリーズ画に対して輝度変換テーブルごとに行った輝度変換後のフリーズ画が表示される。例えば図9に示すように、画面の下側に変換前のフリーズ画(b)を表示し、上側に各輝度変換後のフリーズ画(a)を順次表示し、現在表示されている輝度変換方法が最適なものかを判断できるようにしている。一連の輝度変換テーブルを適用した後に、ISAR画像より抽出した目標情報が表示される。以後、パラメータ照合、パターン照合を実施した結果の画像が表示される。表示上では、図10に示すように、画面の下側に選定された参照画像(b)が表示され、上側に対応する変換後のフリーズ画(a)が表示され、パラメータ照合およびパターン照合が行われる。さらに、目標の照合結果表示時には、照合結果だけでなく、フリーズ画像、参照画像、観測情報も表示される。
【0015】
以上のように、この実施の形態1によれば、フリーズ画生成・計測部2により、ISAR画像のフリーズ画の生成と同時に、自動で輝度変換テーブルを変化させることにより、ISAR画像の目標情報を抽出するので、自動でISAR画像より目標情報を抽出することが可能となり、オペレータ操作を要せず、生成されたフリーズ画像ごとにパラメータ照合を行うことが可能となる。また、上記目標情報を用いてパラメータ照合部42で抽出した目標選定信号に基づいて、目標選定部33により疑似ISAR画像生成部32に与える目標モデルを限定するので、目標モデルデータベース6に格納されたすべての目標モデルのデータに対して参照画像(疑似ISAR画像)を逐次生成する必要がなく、高速で参照画像を生成することができ、リアルタイムに生成されるフリーズ画像ごとのパターン照合を可能にする。すなわち、有効な参照画像を得る処理を簡略化し、パターン照合までにかかる時間の短縮化を図ることができる。
【0016】
実施の形態2.
図11はこの発明の実施の形態2による逆合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明を省略する。図1に対して異なる点を示すと、参照画像生成部3内において、疑似ISAR画像生成部32に代わって機能が異なる疑似ISAR画像生成部321が設けられ、目標選定部33との間に新たにRCS分布生成部31を設けられている。また、RCS分布記憶部8が設けられている。
この実施の形態2の疑似ISAR画像生成部321は、実施の形態1の疑似ISAR画像生成部32が持っている目標モデルからRCS分布を生成する機能を備えていない。一方、RCS分布生成部31では、目標選定部33で選定された目標モデルからRCS分布を生成し、また目標選定部33が該当する目標モデルを選定しなかった場合には、実観測により得られたビデオ信号、観測条件および環境条件に基づいてRCS分布を推定して生成する。疑似ISAR画像生成部321では、RCS分布生成部31で目標モデルから生成されたRCS分布あるいは実観測データから生成されたRCS分布とレーダ諸元とに基づいて、参照画像としての疑似ISAR画像の生成を行う。疑似ISAR画像生成部321は、目標データが存在しない時に生成したRCS分布をRCS分布記憶部8に格納しておいて、次回以降の疑似ISAR画像の生成時において、目標データがない場合に検索して使用するよう管理する。
【0017】
以上のように、実施の形態2によれば、上記実施の形態1と同様に、有効な参照画像を得る処理を簡略化し、パターン照合までにかかる時間を短縮化することができる。加えて、既存の目標モデルでRCS分布を作成し疑似ISAR画像を生成する以外に、実観測で収集した観測情報からRCS分布を作成して疑似ISAR画像を生成して、パターン照合することができるため、事前の目標モデルのストック不足にも対応可能になる。
【0018】
実施の形態3.
図12はこの発明の実施の形態3による逆合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、図2に相当する部分には同一符号を付す。図2に対して異なる点を示すと、フリーズ画生成・計測部2の代わりにフリーズ画生成部21を設け、画像照合部4内にフリーズ画計測部41を設けている。また、参照画像生成部3内において、目標選定部33が無く、RCS分布生成部31が直接目標モデルデータベース6とデータのやりとりを行うようにしている。また、画像照合部4内において、新たに目標選定部43が設けられ、パラメータ照合部42に代わってパラメータ照合部421が設けられている。
フリーズ画生成部21は、実施の形態2のフリーズ画生成・計測部2の動作のうち、フリーズ画の生成のみを行う手段である。すなわち、ISAR画像生成部1で生成されたISAR画像から、オペレータ指示により、図3に示すようなフリーズ画を生成して画像照合部4に出力する。また、操作表示部7に表示されるフリーズ画は、複数の異なる輝度変換テーブルにより輝度変換される。
【0019】
疑似ISAR画像生成部3において、RCS分布生成部31では、目標モデルデータベース6から目標データを抽出し、そのRCS分布を生成する。また、RCS分布生成部31では、目標モデルデータベース6に該当する目標データが存在しなかった場合には、実観測により得られたビデオ信号、観測条件、環境条件等の観測情報に基づいてRCS分布を推定し生成する。さらに、目標データが存在しない時に生成したRCS分布と当該RCS分布を生成したときに用いた観測情報とを、目標データベース6または図11に示されるような別の記憶部に格納し、次回以降の疑似ISAR画像の生成時において、目標データがない場合に検索して使用するよう管理する。疑似ISAR画像生成部32では、レーダ諸元とRCS分布生成部31で得られたRCS分布に基づいて、疑似ISAR画像を生成し、参照画像として目標選定部43に出力する。
【0020】
画像照合部4において、フリーズ画計測部41では、フリーズ画生成部21からのフリーズ画に対して、オペレータ指定により目標の検索条件および目標の特徴点の位置等の選定条件を指定することにより、目標の幅、長さ、位置等の計測結果を抽出し、パラメータ照合部42に出力する。パラメータ照合部42では、この測定結果に基づいて目標データデータベース5を照合し、対応する目標データを目標選定信号として抽出し、目標選定部43に出力する。目標選定部43では、この目標選定信号に基づいて、疑似ISAR画像生成部33で生成された参照画像(疑似ISAR画像)を選定し、パターン照合部44へ出力する。パターン照合部44では、フリーズ画生成部2で生成されたISAR画像のフリーズ画と、目標選定部43で選定された参照画像とを用いて画像毎に輝度レベルのパターン照合(相関処理)を行い、類似性を数値や割合で表した照合結果を得、照合結果処理部45へ出力する。照合結果処理部45では、フリーズ画および選定された参照画像が、操作表示部の解像度、表示輝度ダイナミックレンジ、操作情報等に合致した表示信号に変換され、オペレータが操作する操作表示部7へ出力される。また、照合結果、観測条件、環境条件も同様に表示信号に変換され、操作表示部7へ出力される。
操作表示部7では、上記実施の形態1で説明したと同じ方法で、フリーズ画、参照画像、その他のデータの表示が行われる。
【0021】
以上のように、この実施の形態3によれば、RCS分布生成部31により、目標モデルデータベース6の目標モデルからRCS分布を生成し、また、目標モデルデータベース6に該当する目標モデルが存在しなかった場合に、実観測により得られた観測情報を用いてRCS分布を推定して生成し、疑似ISAR画像生成部321で、レーダ諸元とRCS分布生成部31で生成されたRCS分布とに基づいて、参照画像としての疑似ISAR画像を生成するようにしたので、既存の目標モデルでRCS分布を作成し疑似ISAR画像を生成する以外に、実観測で収集した観測情報からRCS分布を作成して疑似ISAR画像を生成して、パターン照合することができるため、事前の目標モデルのストック不足にも対応可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1による逆合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の各実施の形態に係る目標とレーダの位置関係を示す説明図である。
【図3】この発明の各実施の形態に係るISAR画像のフリーズ画を示す説明図である。
【図4】この発明の各実施の形態に係るレンジプロファイルを示す説明図である。
【図5】この発明の各実施の形態に係るISAR処理の一般的な動作手順を示すフローチャートである。
【図6】この発明の各実施の形態に係る輝度変換テーブルの種類を例示する説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る目標情報の抽出を示す説明図である。
【図8】この発明の各実施の形態に係る参照画像を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の各実施の形態に係る輝度変換前後のフリーズ画の表示例を示す説明図である。
【図10】この発明の各実施の形態に係る輝度変換後のフリーズ画と参照画像の表示例を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態2による逆合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態3による逆合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ISAR画像生成部、2 フリーズ画生成・計測部、3 参照画像生成部、4 画像照合部、5 目標データデータベース、6 目標モデルデータベース、7 操作表示部、8 RCS分布記憶部、21 フリーズ画生成部、31 RCS分布生成部、32,321 疑似ISAR画像生成部、33,43 目標選定部、41 フリーズ画計測部、42,421 パラメータ照合部、44 パターン照合部、45 照合結果処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集した目標の反射エコーから得たビデオ信号に対して収集時の観測条件を用いて合成開口処理を行い目標のISAR画像を生成するISAR画像生成部と、
生成されたISAR画像からフリーズ画を生成すると共に、輝度変換テーブルを用いて当該フリーズ画を各種輝度変換し、その際ISAR画像の目標情報を抽出するフリーズ画生成・計測部と、
目標ごとに目標の幅、長さおよび位置を含む目標データを予め格納する目標データデータベースと、
前記フリーズ画生成・計測部で抽出された目標情報に基づいて前記目標データデータベースを照合し対応する目標データを目標選定信号として抽出するパラメータ照合部と、
複数の目標モデルを予め格納する目標モデルデータベースと、
前記パラメータ照合部で生成された目標選定信号に基づいて前記目標モデルデータベースを照合し対応する目標モデルを選定する目標選定部と、
入力されるレーダ諸元、実観測時に得られた環境条件および収集時の観測条件に基づいて、前記目標選定部で選定された目標モデルから疑似ISAR画像を生成し参照画像として出力する疑似ISAR画像生成部と、
前記フリーズ画生成・計測部で生成されたフリーズ画と前記疑似ISAR画像生成部で生成された参照画像とを用いてパターン照合を行い、類似性を示す照合結果を得るパターン照合部と、
パターン照合に用いたフリーズ画と参照画像を表示信号に変換する照合結果処理部とを備えたことを特徴とする逆合成開口レーダ装置。
【請求項2】
収集した目標の反射エコーから得たビデオ信号に対して収集時の観測条件を用いて合成開口処理を行い目標のISAR画像を生成するISAR画像生成部と、
生成されたISAR画像からフリーズ画を生成すると共に、輝度変換テーブルを用いて当該フリーズ画を各種輝度変換し、その際ISAR画像の目標情報を抽出するフリーズ画生成・計測部と、
目標ごとに目標の幅、長さおよび位置を含む目標データを予め格納する目標データデータベースと、
前記フリーズ画生成・計測部で抽出された目標情報に基づいて前記目標データデータベースを照合し対応する目標データを目標選定信号として抽出するパラメータ照合部と、
複数の目標モデルを予め格納する目標モデルデータベースと、
前記パラメータ照合部で生成された目標選定信号に基づいて前記目標モデルデータベースを照合し対応する目標モデルを選定する目標選定部と、
前記目標選定部により選定された目標モデルからRCS分布を生成し、また前記目標選定部が該当する目標モデルを選定しなかった場合には実観測により得られたビデオ信号、観測条件および環境条件に基づいてRCS分布を推定して生成するRCS分布生成部と、
レーダ諸元と前記RCS分布生成部で生成されたRCS分布とに基づいて、疑似ISAR画像を生成し参照画像として出力する疑似ISAR画像生成部と、
前記フリーズ画生成部で生成されたフリーズ画と前記疑似ISAR画像生成部目標選定部で生成された参照画像とを用いてパターン照合を行い、類似性を示す照合結果を得るパターン照合部と、
パターン照合に用いたフリーズ画と参照画像を表示信号に変換する照合結果処理部とを備えたことを特徴とする逆合成開口レーダ装置。
【請求項3】
収集した目標の反射エコーから得たビデオ信号に対して収集時の観測条件を用いて合成開口処理を行い目標のISAR画像を生成するISAR画像生成部と、
生成されたISAR画像からフリーズ画を生成すると共に、輝度変換テーブルを用いて当該フリーズ画を各種輝度変換するフリーズ画生成部と、
指定された目標の検索条件および特徴点の位置に基づいて、前記フリーズ画生成部からのフリーズ画から目標の幅、長さおよび位置を計測結果として抽出するフリーズ画計測部と、
目標ごとに目標の幅、長さおよび位置を含む目標データを予め格納する目標データデータベースと、
前記計測結果に基づいて前記目標データデータベースを照合し、対応する目標データを目標選定信号として抽出するパラメータ照合部と、
複数の目標モデルを予め格納する目標モデルデータベースと、
前記目標モデルデータベースの目標モデルからRCS分布を生成し、また前記目標モデルデータベースに該当する目標モデルがない場合には実観測により得られたビデオ信号、観測条件および環境条件に基づいてRCS分布を推定して生成するRCS分布生成部と、
レーダ諸元と前記RCS分布生成部で生成されたRCS分布に基づいて、疑似ISAR画像を生成し参照画像として出力する疑似ISAR画像生成部と、
前記パラメータ照合部で抽出された目標選定信号に基づいて前記疑似ISAR画像生成部で生成された参照画像を選定する目標選定部と、
前記フリーズ画生成部で生成されたフリーズ画と前記目標選定部で選定された参照画像とを用いてパターン照合を行い、類似性を示す照合結果を得るパターン照合部と、
パターン照合に用いたフリーズ画と参照画像を表示信号に変換する照合結果処理部とを備えたことを特徴とする逆合成開口レーダ装置。
【請求項4】
RCS分布生成部は、目標データが存在しない時に生成したRCS分布を記憶部に格納し、次回以降の疑似ISAR画像の生成時において、目標データがない場合に検索して使用することを特徴とする請求項2または請求項3記載の逆合成開口レーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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