透かしエンコーダ及びデコーダイネーブルソフトウェア及び装置
【課題】透かしエンコード及びデコード機能の統合により、透かしイネーブルアプリケーションや装置は付加的機能と透かしを介して利用可能な情報とを提供する。
【解決手段】透かしエンコーダ及びデコーダがオペレーティングシステム、インターネットブラウザ300、メディアプレーヤ、他のアプリケーションや装置に統合される。上記透かしは例えば、メディアオブジェクトに関係するメタデータや動作にリンクする。上記透かしイネーブル機能を活用する為に、統合アプリケーションは、関係するメタデータや動作にアクセスする為に透かしデコーダを使用する。統合アプリケーションのユーザーインターフェースは、透かしを介してリンクされたメタデータや動作を呈示するよう拡張される。同様に、透かしエンコーダが、メディアオブジェクトを拡張子透かし入りオブジェクトに変換する為にアプリケーションに統合される。
【解決手段】透かしエンコーダ及びデコーダがオペレーティングシステム、インターネットブラウザ300、メディアプレーヤ、他のアプリケーションや装置に統合される。上記透かしは例えば、メディアオブジェクトに関係するメタデータや動作にリンクする。上記透かしイネーブル機能を活用する為に、統合アプリケーションは、関係するメタデータや動作にアクセスする為に透かしデコーダを使用する。統合アプリケーションのユーザーインターフェースは、透かしを介してリンクされたメタデータや動作を呈示するよう拡張される。同様に、透かしエンコーダが、メディアオブジェクトを拡張子透かし入りオブジェクトに変換する為にアプリケーションに統合される。
【発明の詳細な説明】
【関連出願データ】
【0001】
本特許出願は、参照して本願に組み込まれる2000年5月24日提出の米国仮出願60/191,778号の優先権を請求する。本願は更に、1998年10月1日提出の出願09/165,142号、2000年2月14日提出の出願09/503,881号、2000年2月17日提出の出願09/507,096号、2000年5月15日提出の出願09/526,982号、2000年5月20日提出の出願09/531,076号、2000年7月20日提出の出願09/620,019号の一部継続出願であり、上記出願は参照して本願明細書に組み込まれる。
【0002】
本特許出願は更に、2000年5月15日提出の09/525,865号における発明の名称「Integrating Digital Watermarks into Multimedia Content」、2000年5月2日提出の09/563,664号における「Connected Audio and Other Media Objects」、2000年5月15日提出の09/571,422号における「Methods and Systems for Controlling Computers or Linking to Internet Resources from Physical and Electronic Objects」、2000年5月18日提出の09/574,726号における「Methods and Systems Employing Digital Watermarking」の米国特許出願に関連し、上記出願もまた、参照して本願明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0003】
本発明は電子透かしに関し、特にソフトウェア及び装置の電子透かしエンコーダ及びデコーダのアプリケーションに関する。
【背景技術】
【0004】
電子透かしは、機械読み取り可能コードをメディアに埋め込むよう物質的なメディアや電子的なメディアを変えるプロセスである。メディアは自動検出プロセスを介して検出されるが、埋め込まれたコードがユーザーには知覚できない又は実質上知覚できないようメディアが変えられる場合がある。最も一般には、電子透かしは画像や音声信号や映像信号などのメディア信号に適用される。しかし、電子透かしは他のタイプのメディアオブジェクトに適用される場合もあり、上記メディアオブジェクトは、文書(例えば、行や単語や文字のシフトを通じて)、ソフトウェア、多次元のグラフィックスモデル、オブジェクトの表面テクスチャを含む。
【0005】
電子透かしシステムは一般に2つの主要な構成要素を持ち、上記構成要素とは、透かしをホストメディア信号に埋め込むエンコーダと、透かしを含むらしい信号(容疑信号)から埋め込まれた透かしを検出し読み取るデコーダである。エンコーダはホストメディア信号を変えることで透かしを埋め込む。読み取り構成要素は透かしがあるかどうかを検出する為に容疑信号を分析する。透かしが情報をエンコードするアプリケーションでは、読み取り装置は検出された透かしから上記情報を抽出する。
【0006】
多数の特定の透かし技術が既知である。読者は上記分野の文献に通じているものと推定される。知覚できない透かしをメディア信号に埋め込み検出する特定の技術は、本発明の譲受人の同時係属出願09/503,881号に詳述されている。他の透かし技術は、NEC(発明者Cox他)、IBM(発明者Morimoto and Braudaway他)、Dice(発明者Cooperman他)、Philips(発明者Kalker, Linnartz, Talstra他)等の発行された特許から既知である。音声透かし技術は、Aris(発明者Winograd. Metois, Wolosewicz他)、Solana(発明者Lee, Warren他)、Dice、AudioTrack、Philips等の発行された特許から既知である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、透かしエンコード及びデコード機能のソフトウェアアプリケーションや装置やシステムへの統合に関する。透かしエンコーダ及びデコーダはオペレーティングシステム、インターネットブラウザ、メディアプレーヤ、他のアプリケーションや装置に統合される。上記統合により、透かしイネーブルアプリケーションや装置は付加的機能と透かしを介して利用可能な情報とを備えることが可能になる。透かしは、例えば、メディアオブジェクトに関連するメタデータや動作にリンクする場合がある。上記透かしイネーブル機能を利用する為に、統合されたアプリケーションは、関連するメタデータと動作にアクセスする為に透かしデコーダを使用する。統合されたアプリケーションのユーザーインターフェースは、透かしを介してリンクされるメタデータと動作を呈示する為に拡張される。同様に、透かしエンコーダは、メディアオブジェクトを機能拡張透かし入りオブジェクトへと変換する為にアプリケーションに統合される場合がある。
【0008】
本発明の1つの態様は、機能拡張ファイルブラウザシステムである。上記ファイルブラウザにより、メディアオブジェクトファイルを含むファイルをユーザーがブラウズ可能になる。ファイルブラウザは、選択されたメディアオブジェクトファイルのオブジェクト識別子をデコードする拡張機能を含む。上記拡張機能は、メディアオブジェクトファイルに関連するメタデータや動作をオブジェクト識別子を介して検索し表示する。
【0009】
本発明の他の態様は、オブジェクト識別子をエンコードする拡張機能を持つファイルブラウザである。上記拡張機能により、オブジェクト識別子を選択されたメディアオブジェクトファイル内へとエンコードする事がユーザーにとって可能になる。ファイルブラウザのユーザーインターフェースの拡張機能では、ファイルブラウザは、オブジェクト識別子のエンコードを制御するオプションを表示する。オブジェクト識別子は、メディアオブジェクトに埋め込まれた透かしへとエンコードされる場合がある。
【0010】
本発明の他の態様は、ホストアプリケーションに組み込まれた透かしデコーダシステムである。ホストアプリケーションは、メディアオブジェクトファイルの表象を表示するユーザーインターフェースを持つ。ホストアプリケーションは更に、選択されたメディアオブジェクトファイルの透かしをデコードしメタデータを表示する拡張機能を持ち、上記メタデータはメディアオブジェクトファイルに透かしを介して関連付けられる。
【0011】
本発明の他の態様は、機能拡張インターネットブラウザである。ブラウザは、リスナープログラムを用いて機能拡張され、上記リスナープログラムは、HTML文書のメディアオブジェクトを認識し、オブジェクト識別子でマークされたオブジェクトをリスナープログラムが発見した場合にハンドラをHTML文書に挿入する。ハンドラは、オブジェクト識別子を介してリンクされたメタデータをユーザーの入力に応じて表示する。
【0012】
本発明の他の態様は、ブランド化情報を持つメディアオブジェクトをレンダリングする方法である。上記方法は、メディアオブジェクトのオブジェクト識別子をデコードし、オブジェクト識別子をメタデータサーバに送り、メタデータサーバからブランド識別子を受け取り、ブランド識別子の表現を表示する。
【0013】
本発明の他の態様は、メディアプレーヤのユーザーインターフェースを拡張する方法である。メディアオブジェクトの再生を要求する入力に応じて、上記方法はメディアオブジェクトからオブジェクト識別子を抽出する。上記方法は、メディアオブジェクトに関連するメタデータを捜す為にオブジェクト識別子を使用する。上記方法は次に、メディアオブジェクトに関連するメタデータの表現を含むようにメディアプレーヤのユーザーインターフェースを拡張する。
【0014】
本発明の更なる特徴は、以下の詳細な記述及び添付の図面を参照して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】透かしデコーダをオペレーティングシステムや他のアプリケーションプログラムに統合することにより可能なユーザーインターフェースの外観の例である。
【図2】メタデータを表示する図1のファイルブラウザへのユーザーインターフェースの他の実施の形態である。
【図3】透かしデコーダをインターネットブラウザに統合することにより可能なユーザーインターフェースの外観の例である。
【図4】透かしを介してメディアオブジェクトにリンクされたオプションの展開されたメニューを持つ図3の例を示す。
【図5】透かしデコーダをメディアプレーヤに統合することにより可能なユーザーインターフェースの外観の例である。
【図6】透かしエンコーダをオペレーティングシステムや他のアプリケーションプログラムに統合することにより可能なユーザーインターフェースの外観の例である。
【図7】透かしエンコーダ又はデコーダの少なくとも一方のアプリケーションにおけるソフトウェアインプリメンテーションの操作環境としての役割を果たすコンピュータシステムの図である。
【図8】単語「機密」を含む画像を有する図である。
【図9】一般的な電子透かしのフィールドの図である。
【図10】一般的なEメールシステムの図である。
【図11】図10に示す透かし読み取り検出プログラムの更に詳細な図である。
【図12】透かしコンテンツフィルタを持つコンテンツフィルタリング及び索引付けシステムを示す図である。
【図13】分散透かし検出器システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[序論]
画像ファイル、映像ファイル、音声ファイル等のメディアオブジェクトを付加的な情報や動作に関連させる為に透かしが使用される場合がある。透かしは、メディアオブジェクト内部にエンコードされたりメディアオブジェクト外部に記憶されたりしたメタデータ又は処理動作にメディアオブジェクトを関連させることができる。メタデータは透かしメッセージでエンコードされたり、メディアオブジェクトファイル内部に記憶されたり、メディアオブジェクトファイル外部に記憶されたりする。透かしはメタデータがメディアオブジェクト外部に記憶された場合には、上記メタデータへの知覚できない永続的なリンク、例えばオブジェクト識別子(数、アドレス、ポインタ等)をメディアオブジェクト内部にエンコードする場合がある。メディアオブジェクトがどこに移動しても、透かしデコーダイネーブルソフトウェアや装置が、透かしを媒体信号から抽出して、オブジェクトに関連するメタデータや動作に透かしリンクを介してアクセスできる。
【0017】
メディアオブジェクトに関連するメタデータや動作をメディアオブジェクトの透かしを介して検索する特定のインフラストラクチャは、変化する場合がある。メタデータや処理動作は、同一の装置やシステムのメタデータデータベースにメディアオブジェクトとして存在したり、有線又は無線のネットワークを介してアクセス可能な遠隔の装置やシステムに存在したりする。インターネットのような分散コンピューティング環境での1つの方法は、透かしメッセージから抽出されたオブジェクト識別子を取り込み識別子に関連する1つ以上のタスクを実行するデータベースサーバを実装することであり、上記タスクは例えば、要求しているコンピュータや装置(「クライアント」)にメタデータ又はURLリンクを返すこと、別のサーバへの識別子のルーティング、幾つかのプログラム又はプログラムのセットの実行等である。透かしメッセージとは、透かしを介して、ホストメディアオブジェクトの中にエンコードされた補助データを指す。
【0018】
以下の節では、オペレーティングシステム、インターネットブラウザ、及び他のアプリケーションで上記機能を利用する(ハードウェア装置、ソフトウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせのいずれでも実装される)方法を要約する。
【0019】
[オペレーティングシステム及び他のアプリケーションとの透かしデコーダの統合]
【0020】
<オペレーティングシステムの場合>
透かしデコーダはオペレーティングシステムのファイルブラウザ構成要素に統合される場合がある。デコーダによってファイルブラウザは透かしを抽出し透かしイネーブルメディアオブジェクトについてのメタデータを検索できる。ユーザーがファイルをブラウズする際に、透かしを検出する為に透かしデコーダがフォアグラウンドタスク又はバックグラウンドタスクとして自動的に又はユーザー起動で作動する場合がある。ブラウザは透かしを発見する際に、透かしに関連するアプリケーション(単数又は複数)により指示された通りにメディアオブジェクトの表象に注釈を付ける。インプリメンテーションに依存して、ブラウザは次にオブジェクトに関連する付加的な情報や動作を透かしを介して検索し、それに応じてメディアオブジェクトの表象に注釈を付ける場合がある。例えば、ブラウザは、透かしを介してリンクされた情報の記述や動作による注釈(例えば、簡潔な記述又はhttpリンクの少なくとも一方)をメディアオブジェクトに付けたり、実際の情報や動作による注釈をオブジェクトに付けたりする。
【0021】
透かしを検出するプロセス及び透かしを介して情報や動作を参照するプロセスは、ユーザーに見えないように実装される場合がある。例えば、ファイルブラウザは、透かし検出プロセス又は情報検索プロセスへの介入をユーザーに要求することなく、透かしリンクを介して得られる情報又はオプションを表示する。
【0022】
或いは、ファイルブラウザは、透かしのペイロードによりトリガされる透かし検出及び処理の様々な段階を制御する機会を、ユーザーに付与することもできる。例えば、ユーザーはオプションを付与される場合があり、上記オプションは、透かしデコーダがメディアオブジェクトを操作することを可能にし、透かしのペイロードによりトリガされる動作がどのように進行するのかを決定する。透かしが検出され次第、例えば、メディアオブジェクトに特徴的な音声やロゴ等の標識による注釈を付けることができ、透かしに埋め込まれたリンクを介して情報と動作がアクセス可能であることを上記標識がユーザーに知らせる。ユーザーには、例えば、オブジェクトに関連する目に見えるロゴをユーザーインターフェースで選択することにより、メディアオブジェクトに関連する付加的な情報にアクセスするオプションがある。音声の「ロゴ」は、ユーザーがオブジェクトを選択する(例えば、ユーザーインターフェースで図による表示の上にカーソルを通過させる)場合に再生される場合がある。
【0023】
アプリケーションのユーザーインターフェースには、透かしリンク並びに関連情報と動作の存在をユーザーに知らせる様々な図の効果又は音声の効果の少なくとも一方による注釈を付けられることがある。透かし検出プロセスやメタデータ検索プロセスの別の段階を知らせる為に、ユーザーインターフェースでの変化が利用されてもよい。例えば、まず透かしの存在を検出すると、デコーダ(又はホストアプリケーション)は単純なロゴやオーディオクリップ等の一般的な標識を再生する。その後、透かしを介してリンクされたメタデータ又は命令の少なくとも一方を適切なメタデータサーバが戻すと、ユーザーインターフェースはオブジェクトに関連する特定の情報を呈示する。
【0024】
サーバはプログラムコードを戻し得る。このプログラムコードは例えばJavaアプレット、ビジュアルベーシックスクリプト、XML又は他の命令のセットの幾つかであり、ユーザーに情報を呈示し付加的な情報と動作へのリンク(例えば、ウェブサイト、他のコンテンツ、他のプログラムコードへの、URLやホットリンク)を提供する。上記コードを受け取り次第、クライアントコンピュータや装置は上記コードを実行する。クライアントは一般に、透かしリンクをデコードしサーバへのリンクに基づく要求を出したコンピュータや装置である。上記コードは、透かしを持つメディアオブジェクト及び関連するメディアオブジェクトのレンダリングの制御を含む様々な機能を実行し、うち幾つかの機能はリンクされたメタデータにより戻され得る。サーバは、メディアオブジェクト又は他の関連する媒体信号が透かしを持つメディアオブジェクトと同時に再生されるようデコード即ち解読することを制御する為に、コードを戻し得る。加えて、サーバは、局地的に実行されるライセンスプログラム又は遠隔のライセンスコンピュータ(例えば、インターネット上のライセンスサーバ)の少なくとも一方でユーザーが電子的にライセンスを確立し使用権利を得られるように、コード又はリンクの少なくとも一方を戻し得る。
【0025】
サーバは、(URLや命令などを与えることにより)取り込まれる動作を定義するXML等のデータを戻し得る。上記のような動作の定義を受け取るクライアントコンピュータや装置は、動作を実行したり、ユーザーの入力(例えば、コンピュータのユーザーインターフェースでオプションのグラフィック表示をクリックする、音声認識エンジンを介してボイスコマンドに応答する、など)に応えて実行されるオプションとして動作をユーザーに呈示し得る。
【0026】
ユーザーインターフェースでオブジェクトのグラフィック表示を選択することで、ユーザーはリンクされた情報や動作にアクセスできる。例えば、メタデータや動作がオブジェクトにリンクされているかどうかを決定する為に、或いはリンクされた動作やメタデータの検索を起動する為に、ユーザーはオブジェクトを表すアイコンやレンダリングされたオブジェクトの一種(例えば画像)を「クリックする」ことができる。
【0027】
透かしデコーダは、周期的な間隔でのイベントに応えて又はユーザーの要求に応えて特定位置(例えば、ディレクトリ、ハードディスクドライブなど)でのメディアオブジェクト中の透かしの存在を検索するように設計され得る。例えば、透かしデコーダはファイル検索ユーティリティと同様に、メディアオブジェクトファイルから又はファイルのグループから透かしリンクを抽出する為にユーザーが呼び出すユーティリティサービスとして実装される。別の例として、オペレーティングシステムは、選択された記憶領域(例えばハードディスクドライブ)内の任意のタイプの全ファイルに対して立ち上げ時にデコーダを呼び出すように設計され得る。更にオペレーティングシステムは、メディアオブジェクト中の透かしリンクを周期的に検査するためにデコーダをバックグラウンドユーティリティとして実行し得る。タイマ経過時又は所定の時間間隔で透かし検出をトリガする為にタイマサービス又はクロックサービスが使用され得る。更にオペレーティングシステムは、例えばファイルのダウンロードやファイルの保管などの、所定のイベントが生じるとデコーダを実行し得る。上記のようなイベントに応じてデコーダをトリガすることで、オペレーティングシステムが実行されているシステムや装置にメディアオブジェクトが入力される場合及びメディアオブジェクトが編集される場合は常に、確実にメディアオブジェクトが検査されることをオペレーティングシステムが保証する。
【0028】
透かしデコーダの効率を改善する為に、ファイルシステムは、何時どのメディアオブジェクトが透かしについて検査されたのかを追跡する方式を実装し得る。1つの上記方式は、各メディアオブジェクトが検査されたか、各メディアオブジェクトが透かしを持つかどうか、持つ場合は透かしがいつ検出されたかを示す為に、属性を各メディアオブジェクトに割り当てる。その後、デコーダは、検査されていなかったメディアオブジェクト又は変更されたメディアオブジェクトのみを検査する為に、又は最新の検査から任意の期間が経過したメディアオブジェクトについてのみ検査する為に、上記情報を利用する。メディアオブジェクトが変更されるたびに、新しいオブジェクト及び変更されたオブジェクトのみが再検査されることが確実になるよう、マークが検査されたことを示す属性はリセットされ得る。
【0029】
概念を説明する為に、ウィンドウズ(登録商標)オペレーティングシステムのインプリメンテーションを考察する。図1は、透かしの埋め込みやメディアオブジェクトの読み取りをサポートするウィンドウズエクスプローラユーザーインターフェースの拡張機能の例を示す。メディアオブジェクトファイルは一般に、ウィンドウズエクスプローラファイルブラウザのユーザーインターフェース102のアイコン100で表現される。カーソルをファイルアイコン100の上に位置付けながらマウスを右クリックすることで、ユーザーは選択されたメディアオブジェクトに関連するオプションのコンテキストメニュー104にアクセスできる。
【0030】
上記の「透かしを意識した」ファイルブラウザは、「透かしを読み取る」又は「透かし」等のオプションのリスティングによりコンテキストメニューのオプションを増やす。ユーザーがカーソルを「透かしを読み取る」オプションの上に位置付けると、オペレーティングシステムは透かしデコーダをメディアオブジェクト上に呼び出す。透かしデコーダは、メタデータデータベースにアクセスし、透かしリンクに関連するデータベースから項目を検索する為に、透かしリンクを抽出しネットワーク通信ソフトウェアと協調して作動する。ファイルブラウザは上記項目をウィンドウ106に表示する。
【0031】
メタデータデータベースにアクセスするには様々な方法がある。メタデータは局地的に(同一の装置にメディアオブジェクトとして)ローカルエリアネットワークに又は広域ネットワークに記憶され得る。インターネット等のコンピュータネットワークの遠隔コンピュータにデータベースが配置されている場合は、データベースと接続する為にネットワーク通信ソフトウェアが使用され得る。
【0032】
選択されると、「透かし」オプションは、情報の読み取り及び埋め込みの為の更なるオプション(「情報を読み取る...」及び「情報を埋め込む...」)を表示する。画像情報106とラベル表示されたウィンドウは、画像に埋め込まれた透かしリンクを介して画像に関連するメタデータと動作を表示する。上記の例では、ウィンドウ106は画像のサムネイル、画像属性(例えば、幅、高さ、解像度、ピクセルあたりのビット数)、付加的な情報と動作(リンク114、116の関係する画像の検索など)への一連のHTMLリンク108〜116を表示する。
【0033】
透かしを介してリンクされる項目を表示する別の方法は、図2に示す付加的なプロパティページに項目を挿入することである。ファイルブラウザを実行している間は、カーソルをメディアオブジェクトのアイコンの上に位置付けながらマウスを右クリックすることで、ユーザーはプロパティ(図1のオプション118)にアクセスできる。プロパティの選択に応じて、オペレーティングシステムは図2に示すようなプロパティのウィンドウを表示する。メディアオブジェクトに関連するプロパティページの各々にはタブ(例えば、全般、画像、透かし、セキュリティ)がある。図2では透かしページが選択されている。図1のウィンドウ106に表示されるオプションと同様に、透かしページは付加的な情報や動作への一連のHTMLリンク202〜210をリスティングする。選択されると、潜在的なURLの情報を検索する為にリンクはインターネットブラウザを呼び出す。検索208〜210のような動作については、リンクはメディアオブジェクトの属性等の付加的なパラメータをURLでサーバに渡し、次にサーバは上記パラメータを用いて検索を実行し結果をインターネットブラウザに戻す。
【0034】
ファイルが透かしを持つデータを含むことを反映させるその他の方法は、ファイルの透かしの存在を示す為に、グラフィックの「透かし標識」アイコンをファイルのアイコンに重ね合わせることである。
【0035】
態様は変化する場合があるが、図1及び図2に示した例はウィンドウズエクスプローラファイルブラウザのシェル拡張機能である。デコーダはウィンドウズエクスプローラのCOMオブジェクトクライアントとして実装される。COMオブジェクトクライアントはオペレーティングシステムにシェル拡張ハンドラとして登録されている。図1はコンテキストメニューを示し、図2はプロパティページハンドラを示す。
【0036】
別の可能な態様は、メタデータオプションを受け取り表示するメタデータ検索アプリケーションを起動する為にシェル実行コマンドを利用するシェル拡張機能の実装である。上記インプリメンテーションは、ファイルブラウザユーザインタフェースにコンテキストメニューの拡張などの拡張機能を増設する。ユーザーがファイルブラウザユーザインタフェース内でメディアファイルオブジェクトを選択すると、任意のタイプのメディアオブジェクトに関連するメタデータ検索プログラムを起動する為に、ファイルブラウザユーザインタフェースはコンテキストメニューをオプションと共に表示する。多数の動作が上記オプションに結び付けられ得る。1つの動作はメタデータ検索アプリケーションプログラムの起動である。もう1つの動作は選択されたオプションを実行するメディアプレーヤの起動である。もちろん、両方の動作をマルチタスクオペレーティングシステムで同時に起動可能である。
【0037】
メタデータ検索アプリケーションの1つの例は、透かしメッセージを抽出しオブジェクト識別子をメッセージからメタデータサーバへ転送する透かしデコーダであり、メタデータサーバはその後メタデータを戻す。前述のように、検索アプリケーションは、透かしが既に抽出されてメタデータの検索に最近使用されている場合は、オブジェクト識別子を透かしから抽出する必要はない。代わりに、検索アプリケーションはメタデータと動作のユーザーへの表示へと移行できる。
【0038】
検索アプリケーションを起動する為に、シェル実行コマンドはメディアオブジェクトの名前及び位置を検索アプリケーションに渡す。検索アプリケーションは、リンクされたメタデータと動作を表示する為に、それ自信のユーザーインターフェースを呈示することができ、又は、リンクされたメタデータと動作をファイルブラウザに渡して、当該ファイルブラウザがその後プロパティページやコンテキストメニュー等の拡張の内部でメタデータと動作を表示することができる。検索アプリケーションは、透かしをデコードする又はメタデータサーバからのメタデータの更新を要求する前に許可を願い出るようユーザーに促す場合がある。更に、検索アプリケーションは、ウェブサーバのメタデータの要求を出し、また、サーバから戻されたメタデータと動作をHTML文書で表示する為に、インターネットブラウザ等の1つ以上の他のアプリケーションを起動し得る。
【0039】
上述のアプローチは画像や映像や音声のファイルを含む様々なメディアオブジェクトファイルに対し実装できる。更に、オブジェクト識別子は透かしで挿入される必要はないが、その代わりにメディアオブジェクトファイルのどこかほかの場所、例えばファイルヘッダ等に置かれる場合がある。
【0040】
<ブラウザの場合>
透かしデコーダはインターネットブラウザアプリケーションに統合される場合もある。ファイルブラウザのように、インターネットブラウザはローカルコンピュータで又はネットワーク全体にわたってファイルのディレクトリをブラウズできる。マイクロソフト社のインターネットエクスプローラやネットスケープナビゲータのような市販されているブラウザは一般に、HTTPやFTPのような転送プロトコルをサポートし、HTML、Java、ビジュアルベーシック、スクリプト(例えば、Javaスクリプト、ビジュアルベーシックスクリプト等)を含むコードを解釈又はコンパイルする為に付加的な構成要素を持つ。更に、インターネットブラウザはコンピュータ又は他の装置のユーザーインターフェースでの表示の為にHTMLを構文解析してレンダリングできる。
【0041】
透かしデコーダのインターネットブラウザへの統合を説明する為に、以下の例を考察する。インターネットブラウザがウェブページをインターネット上のメディアオブジェクトと共にダウンロードし構文解析する際、インターネットブラウザは上記オブジェクトのリスティングを保存しオブジェクトを透かしの存在について検査する。リスティングにおいて、インターネットブラウザは、オブジェクトの表象及び場合によってはメディアオブジェクトが発生されたURL等の他のデータに、透かしの存在を反映させる為に透かしによる注釈を付ける。メディアオブジェクトの目に見える表象を呈示するアプリケーションウィンドウ(例えばアプリケーションバー)を見ることで、ユーザーはリスティングにアクセスし得る。画像については、メディアオブジェクトを表現する1つの方法は、画像のサムネイルの使用による。画像及び他のオブジェクトは、グラフィックのアイコン、テキストの記述、又はその両方で表現され得る。
【0042】
透かしオブジェクトは、特徴的な音声やロゴのような、目に見える標識や音声の標識により区別され得る。ユーザーは、幾つかのやり方で透かしイネーブルオブジェクトの表象を選択することで、メディアオブジェクトに関連するメタデータや動作を見る。例えば、ユーザーは、透かしを介してオブジェクトにリンクされたメタデータや動作のメニューにアクセスする為に、サムネイル、アイコン、ロゴ、又はテキストの記述をクリックできる。
【0043】
透かし入りオブジェクトを示す他の方法は、ユーザーがグラフィカルユーザインタフェースに表示された透かし入りオブジェクト又はオブジェクトの表象の上にカーソルを通過させる際に、ソフトウェアアプリケーションのグラフィカルユーザインタフェースにおけるカーソルの体裁を変えることである。カーソルを変える1つの方法は、カーソルを通常のポインタから、検出された透かしオブジェクトのタイプに関連する特徴的なグラフィックアイコンへと変えることである。他の方法は、一連のフレームにわたりカーソルが何らかの他の形状又は図によるデザインにモーフィングするように、カーソルを動画化することである。同様に、ユーザーインターフェースは、ユーザーが透かし入りオブジェクトの上にカーソルを通過させる際に、透かし入りオブジェクトの外観を変えることができる。更に、ユーザーインターフェースは、ユーザーがオブジェクトの上にカーソルを通過させる際に、透かしを含むことを知らせる為に特徴的な音声を生成できる。
【0044】
米国特許出願09/165,142号が、HTMLページの画像からの透かしをデコードし、透かしの存在を示すロゴによる注釈を画像に付ける方法の例を提供する。上記出願は、メディアオブジェクトの表象(画像のサムネイル)をブラウザのアプリケーションウィンドウに呈示する方法を記載する。上記のアプリケーションウィンドウの1つは、インターネットのウェブページ又はその他の所をブラウズ中に発生した画像のヒストリを呈示する画像のサムネイルを表示する為に利用され得る。ユーザーは、画像を個別の「ブックマーク(bookmark)」又は「お気に入り(favorites)」リストに追加する為に、画像をクリックし得る。別のアプリケーションウィンドウは、ブックマークリストの画像のサムネイルを表示する為に利用され得る。画像又は画像の表現を選択することで、ブラウザは選択された画像に関連するネットワーク資源にリンクする(例えば関連URLを介して)。上記ネットワーク資源は画像が生成されたウェブページである場合がある。一方、資源は画像に埋め込まれた透かしリンクを介して参照されたウェブページである場合もある。透かしメッセージは、URL又はウェブページ等のネットワーク資源のURLを捜す為に利用されるオブジェクト識別子をエンコードする場合もある。例えば、URLは所有者のウェブページ又はライセンスサーバにリンクしてもよい。
【0045】
米国特許出願09/165,142号に記載の方法は、映像信号や音声信号のような他のメディアオブジェクトに応用してもよい。
【0046】
メディアオブジェクトに透かしを介してリンクされたメタデータと動作にユーザーがアクセスすることを可能とする1つの方法は、メタデータと動作をインターネットブラウザのユーザーインターフェースのメニューに表示することである。図3は、メディアオブジェクトに関連するメタデータと動作をインターネットブラウザのユーザーインターフェース300に表示する方法の例を示す。ブラウザリスナープログラムは、いつウェブページがダウンロードされたかを示すイベントをインターネットブラウザから受け取る。リスナーはブラウザからウェブページのメディアオブジェクトの単数又は複数のアドレスを要求する。アドレスはメディアオブジェクトがメモリ(メインメモリ、仮想メモリ、キャッシュ等)のどこに存在するかを示す。リスナーは透かしデコーダをメディアオブジェクト又はオブジェクト上に呼び出し、透かしデコーダにメモリのオブジェクトのアドレスを渡す。
【0047】
透かしを発見すると、リスナーはハンドラプログラムをメモリのウェブページに挿入する。上記ハンドラプログラムは、透かしの存在を示し情報と動作へのホットリンクを提供するロゴ又は他の標識をユーザーに呈示する役割を担う。例えば、図3の標識は、ブラウザのユーザーインターフェースで透かし入り画像オブジェクトのレンダリングの一種304に重ね合わされたロゴ302である。
【0048】
ユーザーがロゴの上にカーソルを通過させて選択する際に、図4に示すように、ロゴに関連するハンドラプログラムはオプションのメニュー400を表示する。リスナープログラムは、メタデータサーバ(例えば、局所的なサーバ又は遠隔のサーバ)と接続し、透かしから抽出されたオブジェクト識別子をサーバに渡し、関連する項目をサーバから受け取ることにより、上記オプションを検索する。上記項目は、メディアオブジェクトに関係するウェブページへのURLリンク、メディアオブジェクトに関する情報、ライセンスサーバ等の動作へのリンクを含む。
【0049】
特定のインプリメンテーションは変化する場合があるが、図3及び図4に示した例は、マイクロソフト社のインターネットエクスプローラブラウザへの文書閲覧拡張機能を利用して実装される。マイクロソフトのダイナミックHTMLは、インターネットエクスプローラリスナープログラムがHTML文書を変更するコードを挿入することを可能とするインターフェースを提供する。上記インターフェースを利用して、リスナープログラムは、表示を制御し入力に応答するJavaスクリプトを、図3に示す画像に重ね合わされたロゴへ挿入する。
【0050】
幾つかのアプリケーションでは、メディアコンテンツ及びウェブサイト開発者が透かしリンクに関連する機能を選択的にイネーブル又はディセーブルにする事を望む場合がある。上記特徴を実装する1つの方法は、メディアオブジェクトのコンテナ(例えばHTML)として動作するメディアオブジェクトファイル又は何らかの他のファイルを制御パラメータ(ヘッダファイルのフラグなど)を含むように変更することである。上記制御パラメータは、透かしイネーブルメディアオブジェクトの存在を示し、透かしリンクがイネーブルかディセーブルかを示す。制御パラメータは、特に消されない限り或いは逆の場合でない限り、デフォルトがアクティブであるように設計され得る。コンテンツ開発者がウェブサイト等の幾つかのマルチメディア作品にオブジェクトを組み込む場合、コンテンツ開発者は制御パラメータを介して透かしリンクをディセーブルにする事を選べる。編集ツール並びに他のアプリケーションプログラム及び装置は、透かしリンクをディセーブルにするよう特に指示されない限り、フラグを表示するよう設計され得る。
【0051】
他のアプリケーションでは、関連するメタデータへの永続的なリンクとして透かしが作用することが重要である。メディアオブジェクトは、別のシステムの中を移動する、コード化又はデコードの少なくとも一方をなされる、変更される、などの際に、メディアオブジェクトファイルに記憶された従来のメタデータを失う。上記の場合は、透かしは変換の様々な形式(例えば、デジタルからアナログへの変換、アナログからデジタルへの変換、圧縮など)に強いので、透かしリンクはメタデータを復元する為に利用され得る。
【0052】
透かしを介して利用可能になる機能を選択的に制御する他の方法は、ユーザーがメディアオブジェクトでの透かしのデコードをイネーブル又はディセーブルにすることを可能にすることである。
【0053】
更に透かしはブラウザのファイルキャッシュシステムの属性として利用可能である。上記によりキャッシュブラウザアプリケーションは、本願全体を通して記載されているように、キャッシュに保存されたファイルのうちどれが透かしを持つのかを識別でき、透かしに埋め込まれた情報に関連する機能を実行できる。
【0054】
<他のアプリケーションの場合>
以上に略述した特徴は、メディアオブジェクトを処理する任意のソフトウェアアプリケーションや装置に実装できる。例えば、メディアオブジェクトデータベースマネージメントシステムが同様の機能を実装する場合がある。デジタル資産マネージメントシステム及びデジタル権利マネージメントシステムが、メディアオブジェクトの利用を追跡し制御する為に透かしイネーブルリンクを使用する場合がある。
【0055】
ワードプロセシング、スプレッドシート、プレゼンテーションプログラム、メディアオブジェクト編集ツール等の、メディアオブジェクトに直面する他のアプリケーションは全て、メディアオブジェクトを付加的な情報と動作にリンクする為に、以上に略述した特徴の一種を幾つか利用できる。
【0056】
多くのアプリケーションプログラムは、本願に記載の技術を用いて拡張されたファイルブラウザ機能を持つ。例えば、ファイルオブジェクトをブラウズする為にファイルを開く(FileOpen)コマンドがよく使用される。上述のコンテキストメニュー拡張機能及びプロパティページ拡張機能が、ファイルをブラウズするサービスを提供するアプリケーションの為に実装され得る。
【0057】
更に透かしエンコード機能及び透かしデコード機能が、Napster、Gnutella、Freenet、Scour等のようなピアツーピアファイル共有システム等のファイル共有システムに統合され得る。ファイル共有システムでは、コンピュータネットワークで相互に接続された多くのクライアントコンピュータでファイル共有ソフトウェアが実行される。上記ソフトウェアは、当該ソフトウェアが実行されるコンピュータとネットワークを介して相互に接続された他のコンピュータとでの共有に利用可能なファイルを追跡する。ファイル共有ソフトウェアは、ファイル転送(ファイルのコンピュータへのアップロード及びダウンロード)を制御し、ファイルが完全でウイルスがないことを確認し、ファイル共有システムでファイルの検索に利用されるメタデータを移送し、使用権利を得たりファイル又は関係する製品やサービスの知的所有権を購入する為の付加的な情報及び機会へのリンクを移送する為に、透かし又は他の形式でファイルに埋め込まれたデータを利用し得る。上記機能にアクセスする為に、ファイル共有ソフトウェアは、透かし又は埋め込まれた他のデータをデコードするソフトウェアを含む。上記機能を挿入し変更する為に、ファイル共有ソフトウェアは、透かし又は埋め込まれる他のデータをエンコードするソフトウェアを含む。上記アプリケーションのより多くの情報については、参照して以上に組み込まれる2000年7月20日提出の米国特許出願09/620,019号における「Using Embedded Data with File Sharing」を参照されたい。
【0058】
<コンテキストセンシティブ透かしリンク>
透かしを介してメディアオブジェクトにリンクされた動作及び情報はコンテキストセンシティブである場合がある。「コンテキスト」の幾つかの例は、アプリケーションコンテキスト(例えば、オブジェクト上で作動しているアプリケーションプログラムのこと)、オブジェクト位置コンテキスト(ユーザーに相対的にオブジェクトが存在する場所)を含む。例えば、ユーザーがオブジェクトを編集ツールで操作する時は、ワードプロセシング文書、スプレッドシート、プレゼンテーション等の文書へのオブジェクトの挿入とは対照的に、リンクの動きは異なる場合がある。更に、透かしリンクの動きは、イントラネットで又はインターネットでオブジェクトがユーザーに相対的に局地的かどうかに基づいて変化する場合がある。
【0059】
デコーダアプリケーションは、メディアオブジェクトのコンテキストに応じて、異なるメタデータ又は処理動作にリンクし得る。上記機能を実装する為に、透かしデコーダはコンテキスト情報をメタデータデータベースに提供し、メタデータデータベースは次にコンテキスト特定メタデータを提供するか、又はコンテキスト特定動作を起動する。例えば、オブジェクトが編集ツールによって編集された場合は、デコーダは、透かしから抽出されたリンクに加えて編集ツールについての情報をデータベースに提供する。同様に、デコーダは、ユーザーのコンピュータに対してオブジェクトが存在する場所を示すコンテキスト情報を提供し得る。コンテキスト情報をキーとして利用して、メタデータデータベースはコンテキストに関連するメタデータを戻す、又はコンテキストに関連する処理動作を起動する。
【0060】
コンテキストセンシティブな挙動を実装する別の方法は、透かしにリンクされた動作や情報の呈示をメディアオブジェクトのコンテキストに基づいてデコーダに制御させることである。コンテキストがアプリケーションによって定義されている場合は、上述のアプローチは、リンクされたメタデータと動作の全てにアプリケーションをアクセスさせ、リンクされた動作や情報のユーザーへの呈示をアプリケーションに制御させることと似たようなものである。上記のシナリオでは、メタデータデータベースは少なくともリンクされた情報や動作の記述子を戻し、アプリケーションはコンテキストに基づいて応用する情報や動作のサブセットのどれかを選択する。コンテキストがオブジェクトの位置によって定義されている場合は、デコーダは同様な方法で動作する。例えば、デコーダはリンクされた動作や情報のサブセットをコンテキストに基づいて選択する場合がある。
【0061】
コンテキスト情報の特定の例は、インターネットで“クッキー(cookie)”技術を利用してユーザーのコンピュータによりウェブサーバに供給されたユーザー情報である。まず、ユーザーのコンピュータは、画像や音声や映像の信号などのメディアオブジェクトからの透かしをデコードする。その後ユーザーのコンピュータは、ユーザー情報を含むクッキーと共に、透かしから抽出された情報をメタデータサーバ又はルータ(一般にサーバと呼ぶ)に送信する。サーバは、ユーザー個人専用の情報や動作を捜す為に、クッキーからのユーザー情報をメディアオブジェクトの透かしから抽出された情報と共に操作する。メタデータサーバは、例えば、クッキーを構文解析し、情報を参照したりネットワーク資源(ウェブページのURL)へとアドレス指定したりする為に、クッキーの情報に関係するデータベースでクッキーを利用する。サーバは更に、透かし入りオブジェクトに関係する情報やリンクのサブセットを捜す為に、透かし情報を利用することにより関係する情報やリンクを制限する。その後、サーバやデータベース操作で参照された他のネットワーク資源は、ディスプレイや音声出力装置でのレンダリングの為に関連する情報をユーザーのコンピュータに戻す。上記アプローチは、戻される情報を、ユーザーの関心を引きそうな特定のニュース、広告、コンテンツなどに限定する為に利用可能である。同様の効果は、クッキー情報として同様な方法で利用されるユーザーのプレファレンスを供給するようユーザーのコンピュータをプログラムすることで実現する。
【0062】
<多様なタイプの透かしのサポート>
透かし技術が普及するに伴い、メディアオブジェクトが、各々が透かしエンコーダ及び透かしデコーダのセットに関連する、異なるタイプの透かしを持つ場合がある。各々に異なるタイプの透かしに対応する為に、デコーダは各々に異なる透かしプロトコルをサポートするように設計可能である。透かしプロトコルは、任意のタイプの透かしをデコードする方法を指定するキー及び他のパラメータを提供する。或いは、一般的なアプリケーションプログラムインターフェース(API)が、各々に異なるコア透かしエンコーダ及びコア透かしデコーダソフトウェアモジュールや装置用に指定され得る。上述の方式により、透かしエンコーダ機能及び透かしデコーダ機能を呼び出し依然として透かしプロトコル又はコア透かし方法の少なくとも一方から独立している多くの各々に異なるタイプのアプリケーションや装置の開発が容易になる。
【0063】
各々に異なるコア透かし方法をサポートする為に、ユーザーは各々に異なるコア透かしエンコーダモジュール又はデコーダモジュールの少なくとも一方の2つ以上をインストールする場合がある。例えば、コアモジュールがプラグイン又はダイナミックリンクライブラリとして実装される場合がある。モジュールをインストールすると、インストレーション処理は、透かしのタイプがサポートされていることを反映させる為に、ウィンドウズオペレーティングシステムのレジストリ等のレジストリを更新する。上記のように、各々に異なるタイプのメディア用の透かしデコーダや単一タイプのメディア用の各々に異なるタイプの透かしデコーダがサポートされる場合がある。
【0064】
メディアオブジェクトが未知のタイプの透かしを含む場合は、メディアオブジェクトファイルは、例えばファイルヘッダのパラメータを通じて、透かしのタイプを指定することがある。ファイルブラウザ、又はコア透かしモジュールの他のクライアントは、タイプパラメータをメディアオブジェクトから抽出しAPIを介して上記パラメータ及びメディアオブジェクトへの参照をコアモジュールに渡すことで、適切なデコーダを呼び出す場合がある。APIは要求を適切なコアモジュールへとルーティングし、次に上記コアモジュールは透かしメッセージを抽出しAPIに戻す。APIは要求しているアプリケーションにメッセージを渡す。
【0065】
タイプパラメータが利用できないイベントでは、オブジェクトを処理するアプリケーションや装置は、何らかのプロトコルが存在するかを検査する為に、サポートされている透かしプロトコルの全てを徹底的に列挙する場合がある。メディアやファイルの任意のタイプ用透かしプロトコルは、装置やアプリケーション(例えば、オペレーティングシステムのレジストリ)に登録される場合がある。各プロトコルを検査する為に、アプリケーションは、プロトコルに関連する透かしが存在するかどうかを上記のプロトコルについて決定する透かしスクリーニングプロセスを呼び出す。
【0066】
<メディアオブジェクトのブランド化>
透かしは、他のサービスへの電子的なアクセスを容易にすることに加え、「ブランド化(branding)」を確立する為に利用できる。上記のブランド化アプリケーションでは、クライアントの透かしデコーダイネーブルアプリケーション又は装置は、オブジェクトからの埋め込まれた透かしメッセージを読み取り、サムネイル画像(例えばブランドの「ブランド画像」)等のデジタルのロゴにアクセスする為に透かしメッセージを利用する。デコーダイネーブルアプリケーションは、透かしメッセージから得たオブジェクト識別子をサーバ(インターネット上のメタデータサーバ等)に送信し、サーバは応じてロゴを返す。アプリケーションは次にロゴをレンダリングし、ロゴは望ましくは、クライアントコンピュータや装置のユーザーインターフェース上でメディアオブジェクトのレンダリングの一種又はメディアオブジェクトのグラフィック表現に重ね合わせられる。
【0067】
幾つかのシナリオでは、サーバは更に、汎用の「使用権利」サーバ又はメディア所有者に保持された特定用途向けの「使用権利」をポイントするアドレス(例えばURL)を戻す。インターネットコンテキストでは、サーバは関係するウェブサイトへの1つ以上のリンクを戻し得る。接続権利及び共同のブランド化サービスはインターネット上の中央サーバを介して提供され得る。
【0068】
動作及びメタデータにリンクする為にオブジェクト識別子を利用して、透かしイネーブルアプリケーションは、ブランド化サービス及び使用権利サービスを拡張する多数のオプションを持つ。アプリケーションは、オブジェクト識別子に関連する「更新可能な」使用権利を表示可能である。目に見えるメディアオブジェクトでは、アプリケーションは、レンダリングされたオブジェクトの一部の上に(例えば、映像のフレームの角に、所定の時間ごとに周期的に)目に見えるように重ね合わせられたロゴ、又はメディアオブジェクトの再生が開始する前のスプラッシュスクリーン起動の際に表示されたブランド化されたロゴを表示し得る。ブランド化情報を目立たないようにする為に、メニューを通じた要求と同時に(例えば、オブジェクトの表現又は「ヘルプ」メニューをユーザーがクリックした時に)ブランド化情報がアクセス可能になる場合がある。
【0069】
ブランド化サービスは、コンテンツ所有者のホームページ又はライセンスサーバへのホットリンク等の付加的な機能により、著作権通知の概念を実質的な常に存在するブランド化の機会へと変換する。ブランド化サービスは、透かしペイロードのコピーマネージメント命令等の他の透かしイネーブル機能と組み合わされる場合があり、上記透かしペイロードは、例えばオブジェクトが再生されるか、コピーされるか(可能なコピーの数)、書き込まれるか、他の装置又はシステムに転送されるか、などを示す制御パラメータである。使用を制御する上記命令の提供に加えて、透かしペイロードは消費者に付加価値を提供し(例えば、メディアオブジェクトに関連する付加的な情報やサービスにリンクする)、確実にメディアオブジェクトを良好にラベル表示し再生中にブランド化する。
【0070】
複雑なブランド化ホットリンク、使用権利サービス、コンテキストセンシティブリンクの追加は、上記特徴をサポートするソフトウェアプログラム、メタデータ、プログラム及びメタデータへのポインタと、透かしリンクを関連させることでなされる場合がある。上記特徴の追加は、メディアオブジェクト識別子の受け取りに応じて実行される又は戻される動作又はメタデータの少なくとも一方のリストに上記特徴が加えられることで、メタデータサーバでなされる場合がある。更に、デコーダイネーブルアプリケーションは、各々に異なるサービス又はメタデータのセットをオブジェクト識別子に提供する2つ以上のサーバにメディアオブジェクト識別子を送るようプログラムされる場合がある。
【0071】
<メタデータの集合>
幾つかのアプリケーションでは、メディアオブジェクトは2つ以上の異なる資源からのメタデータに関連付けられ得る。メタデータは、メディアオブジェクトを記憶するファイルに記憶され得る。例えば、JPEG2000、TIFF、JPEG、PSDのようなファイルフォーマットは、メディア信号(例えば画像)に加えてメタデータを記憶可能とし得る。メディアオブジェクトに関連するメタデータ及び命令は、メディアオブジェクトと同一の装置又は遠隔装置(例えば遠隔データベース)に記憶され得る。上記タイプのアプリケーションでは、デコーダは異なる資源の各々からのメタデータを抽出するようにプログラムされ得る。ファイルタイプのメディアタイプは、上記の各々異なる資源からのメタデータを抽出するようデコーダに信号を送る。一方、透かしメッセージ又はファイルメタデータは、メタデータの各々異なる資源を列挙し得る。
【0072】
上記アプリケーションでは、デコーダの設計は、1つ以上の各々に異なる資源からのメタデータを得て、次に全ての情報の集合を呈示するようなされ得る。デコーダは、集合機能を自動的に実行したり、表示の為にメタデータの所望の資源を選択するようユーザーに促したりする。
【0073】
<付加的な機能>
透かしメッセージペイロードを利用し、また、他のデータ及び動作への透かしリンクを利用する多くの特徴が実装される。幾つかの例を以下に強調して示す。
【0074】
(メタデータ)
メタデータは多くの形式で表され付加的な機能を提供できる。一般に、メタデータはメディアオブジェクトについての情報である。メタデータは更に、実行すべき装置命令や、情報や命令の参照(オブジェクト、ユーザー、プログラム、又は、データベースに対する、装置識別子、URL、ポインタ、インデックス、キー等)も含む。装置命令は、例えば、オブジェクトのレンダリング、デコード、解読または他の処理を制御し得る。一方、命令は幾つかの補助的機能を提供し得る。
【0075】
メタデータの重要なアプリケーションの1つは、所有権情報の提供である。もう一方はライセンス条件及び使用権利の提供である。
【0076】
メタデータは、ユーザーや他のアプリケーションが使用するメディアオブジェクトの属性を記述する為に利用可能である。例えば、1つの属性はコンテンツを制限された通りに指定し、無認可のユーザーに対しアプリケーションがコンテンツをレンダリングするのを防ぐ。もう一方の属性はオブジェクトを商用に指定し、オブジェクトがレンダリングされる前に支払い及びライセンスを捜すようアプリケーションに要求する。
【0077】
(複数の透かし)
メディアオブジェクトは、2つ以上の透かし又は透かしメッセージを含む場合があり、透かし又は透かしメッセージの各々は情報や動作の別個のセットに関連付けられている。例えば、メディアオブジェクトは、クリエータID、ディストリビュータID等を含む場合があり、上記IDはそれぞれ、クリエータやディストリビュータについての情報にリンクする。
【0078】
オブジェクト生成時、又はオブジェクトが転送された後、コピーされた後、編集された後に、透かしをメディアオブジェクトに追加する方法は多数ある。1つの方法は、個別の透かしをメディアオブジェクトの異なる部分にインターリーブすることである。上記方法はメディアオブジェクトの独立した属性を変更することで達成される。上記文脈では、独立した、という単語は各透かしが他の透かしの検出の妨害にならないことを意味する。2つの独立した透かしがメディアオブジェクトの同一の分離しているサンプルを変える場合があるが、不正な読み取りが全く生じないように変える。
【0079】
独立した透かしは、ホストメディア信号の各々に異なる空間的な位置又は時間的位置(例えば、画像、映像、音声、図によるモデル等)に設置され得る。独立した透かしは各々に異なる周波数帯や周波数係数に設置され得る。更に透かしは、信号の各々に異なる部分の信号の独立した特徴、例えば位相、エネルギー、電力等を変調することで独立させられる場合もある。
【0080】
概念を説明する為に静止画像オブジェクトの例を考察する。独立した透かしの各々は異なるプロトコルを通じて定義することができ、上記プロトコルは各々に異なる透かしメッセージ(例えば、メディアオブジェクトのクリエータ、ディストリビュータ、ユーザー等についての各々に異なる透かしリンク)のエンコードに利用される。独立した空間的透かしは、透かしの各々を画像の空間的な位置のユニークなセットにマッピングすることでインターリーブされ得る。
【0081】
同様にして、独立した透かしは、各透かしをユニークな時間的位置にマッピングすることで音声や映像のような時間的データのシーケンスにエンコードされ得る。
【0082】
(デジタル権利マネージメント)
透かしは、メディアオブジェクトの利用を制御する情報と処理動作にリンクされ得る。例えば、メタデータは、オブジェクトの知的所有権の所有者をライセンス条件及び条項と共に示す場合がある。更に、透かしリンク又はメタデータは、オブジェクトの利用を制御する処理動作、例えばユーザーへの支払い提出要求やデコードキーの交換(例えば、解読や復元など)をトリガする。オブジェクトのデコードの幾らかは透かしを抽出するよう要求される場合があるが、ユーザーが適正な使用権利を得るまでコンテンツの残りはエンコード又は暗号化の少なくとも一方をされたままの場合がある。
【0083】
デジタル権利マネージメント機能は、メタデータサーバ等のライセンスサーバ又は使用権利サーバに実装可能である。上記サーバは、透かしメッセージに基づき所有者及びライセンス条件を決定し、オブジェクト使用の認可の為に要求された動作を実行し、上記動作は例えば、ユーザーからの支払い情報の電子的な受け取り、ライセンスに対するユーザーの同意の確立及び記録、トランザクションの詳細の所有者への転送、使用キーのユーザーへの復帰である。ユーザーがメディアオブジェクトを再生したりレンダリングしたりする際に、透かしデコーダは、例えば使用例、プレーヤの装置ID、使用時間等の、使用に関する情報にログする為にメッセージをサーバに送信可能である。
【0084】
(使用制御用の透かし及びコンテキスト情報)
透かしデコーダは、上記オブジェクトの使用を制御する為に、メディアオブジェクトに埋め込まれた透かしから抽出した情報に加えてコンテキスト情報も使用できる。例えば、透かしデコーダのプログラムは、透かしの制御データ及びオブジェクトの存在する装置やシステムから引き出されたコンテキスト情報の制御データに依存して、メディアオブジェクトの表現、編集、コピー、転送を制御するようになされる場合がある。例えば、メディアオブジェクトが任意ファイルの外部(例えば、特定のウェブページ、コンピュータシステム、コンピュータネットワーク等)にある場合は、透かしはデコーダにメディアオブジェクトのレンダリングを禁止するよう命令し得る。上記の制御データを含む透かしがデコードされた後、デコーダは、特定の操作をイネーブルにする為になくてはならない関連コンテンツ情報を決定する。上記は、操作をイネーブルにする前に、ユーザー識別子、コンピュータ識別子、ファイル識別子、記憶メディア識別子、コンピュータ識別子、ネットワーク識別子などの存在を確認するような動作を包含する場合がある。上記識別子は、上記識別子が識別するエントリに関連して記憶されるか、上記エントリからダイナミックに引き出される。例えば、ファイル識別子は、ファイルヘッダ又はフッタに記憶されたりファイルのコンテンツから引き出され得る。記憶装置識別子は、記憶装置に記憶されたり記憶装置のコンテンツ又は記憶装置の幾つかの属性から引き出され得る。
【0085】
メディアオブジェクトの上記コンテキストセンシティブ制御は、音楽や映画のようなメディアファイルの使用の制御には特に有用であるが、透かしがエンコードされ得る他のタイプのメディア信号にも適用される。例えば、上記コンテキストセンシティブ制御は、ウェブページ、コンピュータ、記憶装置(例えばCDやDVD)、ファイル共有ネットワーク、加入サービスの支払済み加入者のコンピュータ、関係するメディアオブジェクトの収集物、などのコンテキストからメディアオブジェクトが削除される際に、メディアオブジェクトのレンダリング、コピー、転送を禁止する為に利用され得る。
【0086】
(資産マネージメント)
メディアオブジェクトに埋め込まれた透かしは資産マネージメントにおいて役割を果たす場合がある。オブジェクトが処理される(開かれる、編集される、コピーされる、など)度に、デコーダを装備するアプリケーションが処理イベントについての情報にログする。一方、上記アプリケーションはインターネットを介してモニタサーバにトランザクションイベントを送ってもよい。トランザクションイベントは、オブジェクトについての情報、例えば上記オブジェクトのID、ユーザーのID、使用の時間及び位置、使用の性質(再生の数)などを指定する場合がある。モニタサーバ又はアプリケーションは、上記トランザクションイベントをデータベースに記録し、要求に応じて、任意のオブジェクトの使用又は任意のエントリによる使用についてのレポートを生成する。トランザクション記録の任意のフィールドは、データベースに照会し特定のレポートを生成する為に使用可能である。
【0087】
(ディレクトリサービスとの統合)
ライトウェイトディレクトリアクセスプロトコル(LightweightDirectoryAccessProtocol)(LDAP)のようなディレクトリサービスは、付加的な機能を提供する為に透かしを使用可能又は透かしデコーダと共に動作可能である。LDAPは、読み取り、検索、追加、削除などのディレクトリ操作の実行の為に使用されるネット上のプロトコルである。
【0088】
例えば、LDAPサービスは、いつ透かしリンクを抽出しメディアオブジェクトの属性を更新するかを決定する為に使用可能である。例えば、LDAPサービスは、メタデータサーバから所定時間に透かしデコーダを呼び出しメディアオブジェクトの属性の更新を検索することで、メディアオブジェクトの属性の周期的な更新を制御し得る。透かしデコーダを含む又は透かしデコーダにアクセスするLDAP検索フィルタは更に、コンピュータ中のファイルディレクトリに記憶されたファイル中の透かし入りメディア信号の発見の為に、提供され得る。
【0089】
(メディアオブジェクトのプレーヤ及びデリバリの統合)
透かしデコーダは、メディアオブジェクトの再生又は編集の為にソフトウェア及び装置と共に統合され得る。様々なプレーヤがあり、ほんの少数を挙げてみただけでもLiquid Audio、マイクロソフト、RealNetworks等から市販されている。上記統合により、メディアオブジェクトにリンクされたメタデータと動作は、プレーヤのユーザーインターフェースを通じてシームレスにユーザーへとアクセス可能になる。例えば、ユーザーが映像ファイル及び音声ファイルを再生する際に、透かしイネーブルプレーヤは、リンクされたメタデータや動作に自動的又はユーザーの選択に際してアクセスし表示し得る。どちらの場合も、メタデータや動作がオブジェクト識別子を介して遠隔サーバから得られることをユーザーが意識する必要はない。更に、上記統合は、いつどこでオブジェクトが再生されても、再生時にコンテンツ所有者がオブジェクトをライセンスや資産使用制御の情報や動作へリンクさせることを可能にする。本願全体を通して詳述されているように、上記情報と動作の実装は、データや命令をオブジェクト内部の透かしに配置する、又はオブジェクト外部のメタデータや動作にリンクする透かしにオブジェクト識別子を入れることで可能である。
【0090】
多くの場合、透かしを介して提供された機能へのアクセスはユーザーに見えないよう行うことが望ましい。従ってメディアプレーヤは、透かしを介してリンクされた項目がユーザーインターフェースに自然な拡張として出現するよう上記項目を表示する為に拡張可能である。オブジェクトを再生する為にユーザー又は他のプログラムがメディアプレーヤを呼び出したら、メディアプレーヤは、透かし内部の又は透かしを介してリンクされたメタデータや動作をメディアプレーヤのユーザーインターフェースの拡張に表示する。
【0091】
メディアプレーヤの起動時や何らかの他の時間(例えば、バックグラウンドタスクとして、ユーザーの要求に応えて、メディアプレーヤの存在するコンピュータや装置にオブジェクトがロードされた時など)に、上記メタデータや動作は検索され得る。1つのシナリオでは、メディアプレーヤはユーザーのオブジェクト再生要求に応えて透かしデコーダをオブジェクト上に呼び出す。上記シナリオでは、メディアプレーヤはオブジェクトのアドレスを透かしデコーダに渡し、次に透かしデコーダはオブジェクトに埋め込まれた透かしのデコーダを試みる。透かしを設置すると、デコーダは透かしから抽出されたオブジェクト識別子をメタデータサーバに転送し、次にメタデータサーバはオブジェクト識別子に関連するメタデータや動作を戻す。メタデータ検索中、メディアプレーヤはメディアオブジェクトの再生へと移行する。リンクされたメタデータが届くと、メディアプレーヤへの拡張機能は戻されたメタデータや動作を表示する。
【0092】
図5は、メタデータと動作を示すマイクロソフトのウィンドウズメディアプレーヤの拡張された一種の例を示す。上記の例では、メディアオブジェクトに関連するメタデータ及びリンクを示す為にプレーヤのユーザインタフェースィンドウが底部分502に展開されている。ユーザーがカーソルを項目「クリップ」、「著者」、「著作権」の上に位置付けると、底部タブ504は上記項目に関連するURLを表示する。項目の1つをクリックすることで、プレーヤはインターネットブラウザを呼び出し、上記インターネットブラウザは選択されたURLの資源へと照会を送る(例えば、HTML文書をダウンロードする為のHTTP要求を要求する)。
【0093】
透かしデコーダは、メディアプレーヤを起動する別のアプリケーションに呼び出され得る。ファイルブラウザ又はインターネットブラウザのどちらかによりユーザーが音声ファイル又は映像ファイルをブラウズする場合を考察する。所望の再生するメディアオブジェクトを発見した後に、ユーザーは再生するオブジェクトを選択する。例えば、ウィンドウズエクスプローラのコンテキストメニューを介して、又は上述のようにHTML文書への挿入を介して、ユーザーは「再生」オプションを選択できる。第1の場合は、シェル拡張機能が、関連するメタデータを得る為に透かしデコーダを呼び出しプログラム(例えば、COMオブジェクト、スクリプト等)を実行し、上記プログラムはメディアプレーヤを実行し透かしを介してリンクされた付加的なメタデータを表示する。第2の場合は、HTML文書のJavaスクリプト又は他の挿入物は、デコーダを呼び出し、メディアプレーヤを同様に実行するプログラムを開始する。
【0094】
ウィンドウズメディアプレーヤを制御するプログラムを実装する1つの方法は、Advanced Streaming Redirector (ASX)ファイルの使用による。上記ファイルは、プレーヤを起動し透かしを介してリンクされたメタデータ(例えば、URLリンク及びオブジェクトについての情報)を表示するスクリプトを含む。ウィンドウズメディアプレーヤを制御する為のASXファイル及び上記ファイルの使用についての情報に関しては、マイクロソフトのディベラッパーのネットワークを参照されたい。
【0095】
(コンテンツ許可ツール)
ウェブページ設計ツールを含むメディアコンテンツ許可ツールは、ウェブページコンテンツなどのコンテンツに透かしを埋め込む透かし埋め込み機能を含み得る。上記の埋め込まれたデータはその後、埋め込まれた透かしデータに関連する機能を実行するよう透かしデコーダイネーブルソフトウェア又は装置及びソフトウェアに信号を送る。
【0096】
上記ツールは更に、メディアオブジェクトを透かしについてスクリーニングするよう、コンテンツ開発者が透かしデコーダ特徴をコンテンツ許可環境内で使用することを可能にする為に、透かしデコーダ機能を含み得る。編集されているメディアオブジェクト内部の透かしが情報(例えば、著作権所有者情報、ライセンス条件など)を運ぶ場合は、許可ツールは上記情報をユーザーへと運ぶことができる。透かしが使用制御情報を含む場合、許可ツールは上記情報に基づいてメディアオブジェクトの使用を制御できる。例えば、メディアオブジェクト内の透かしは、ユーザーがライセンスサーバから許可を得ない限り許可ツールがメディアオブジェクトを編集することを禁止する命令を運ぶ場合がある。
【0097】
(ウェブサーバ統合及び関連アプリケーション)
透かしエンコーダ機能及び透かしデコーダ機能は更に、付加的な機能にくわえて本願に記載された機能をサポートする為に、ネットワークサーバアプリケーションソフトウェアに統合され得る。特に、透かしエンコーダ及び透かしデコーダはウェブサーバに統合できる。
【0098】
サーバへ、又はサーバから、或いはサーバを通過して転送されるメディアコンテンツに透かしを埋め込む為に、透かしエンコーダはウェブサーバに統合できる。透かしをサーバに埋め込む1つの理由は、サーバへの、又はサーバからの、或いはサーバを通過する上記情報の転送時に、トランザクション特定情報のメディアオブジェクトへのエンコードを行う為である。トランザクション特定情報は、サーバと何らかのほかのコンピュータとの間の電子トランザクションに関係する。例えば、メディアオブジェクトファイルのダウンロード又はアップロードの前に、サーバはファイルの受信者又は発信者の少なくとも一方についての情報をファイルのメディア信号(例えば、画像ファイル、映像ファイル、音声ファイル)に埋め込む場合がある。透かしは信号中にとどまるので、透かし内の受信者又は発信者の少なくとも一方についての情報も、デジタルからアナログ、アナログからデジタルへの変換、ファイルフォーマットの変更などにより、メディア信号と共にファイルにとどまる。
【0099】
サーバは、情報や動作へのリンク(関係するウェブサイトへのリンク)を、受信者又は発信者の少なくとも一方のプレファレンスにユニークに合わせられたファイルに埋め込み得る。プレファレンスは、インターネットブラウザで一般に使用され普及している“クッキー”技術などを通じて、ユーザーのコンピュータから得られたり、ユーザー(ユーザー識別子やユーザーのコンピュータの識別子)をユーザーのプレファレンス(例えば、ニュース、財政情報、スポーツ、イーコマース機会のような、コンテンツプレファレンスのタイプ)に関連付ける何らかの他のデータベースに存在する。上記の場合、サーバはユーザー識別子を得て、その後に関連するプレファレンスをデータベースに照会する。
【0100】
サーバは更に、上記のようにして得られたプレファレンスを、どの形式の広告をファイルに戻す又はリンクさせるかを制御する為に使用し得る。例えば、ユーザーは所望の音声や映像や画像のファイルをダウンロードするようサーバに要求し得る。応じて、サーバは、ユーザーのプレファレンスを得て、ユーザーのプレファレンスに対応する広告情報及びウェブサイトリンクと共に、要求されたファイルをダウンロードする。広告情報及びリンクは透かしを埋め込むことで参照可能であり、上記透かしは、情報のアドレスを含むか、情報又は他の情報やウェブサイト等へのリンクの少なくとも一方を記憶するデータベースエントリのインデックスを含む。サーバからダウンロードされたファイルを受け取るユーザーのコンピュータはその後、ファイルの透かしを介してファイルにリンクされたサーバ又は何らかの他のサーバからのファイル及び他の関係する広告情報(例えば、HTML、MXL、何らかの他の従来のデータフォーマットで提供される)をレンダリングする。
【0101】
サーバは更に、サーバとユーザーのコンピュータとの間の電子トランザクションでユーザーに要求されユーザーに支払われる使用制御権利に基づいて、使用制御情報をメディアファイルの透かしに埋め込み得る。使用制御権利は更に、他のアプリケーションによりデコード可能で、ファイルのレンダリング、コピー、記録、転送などを制御する為に使用可能である。
【0102】
ネットワークサーバは透かしデコード機能を含むことができ、上記透かしデコード機能は、例えばサーバへと、又はサーバから、或いはサーバを通過して転送されるファイルのメディア信号からの透かしをデコードするソフトウェアなどである。上記透かしデコード機能により、拡張された機能の提供に加えて、本願に記載の又は組み込まれる多数の透かしイネーブル機能をサーバが実行することが可能になる。例えば、透かしは、サーバが抽出し作用する使用制御データを含む場合がある。使用制御データの例には、コンテンツ評価情報(成人コンテンツ識別子)、コピー又は転送制御情報、レンダリング制御情報、圧縮又は復元の少なくとも一方の制御情報、暗号化又は解読の少なくとも一方の制御情報、外部の情報や動作へのリンクなどが含まれる。
【0103】
上記データを透かしから抽出した後、サーバは抽出されたデータに基づいてファイルを変更できる。例えば、サーバは、ファイルの転送前に透かしで特定された方法でファイルを圧縮又は暗号化し得る。コンピュータがファイルを受け取った際に、ユーザーは、ファイルのメディアオブジェクトをレンダリングする為に、互換性がある復元や解読のプログラムや装置をもつ必要がある。
【0104】
加えて、又は抽出された透かしデータに基づくファイル変更の代案として、サーバは、関係する情報又は命令を受信コンピュータへ送ることもでき、上記受信コンピュータの制御はファイルの使用を容易にする。例えば、コンテンツが「成人コンテンツ」としてマークされている透かしからサーバが決定された場合は、サーバは、どのように透かし入りコンテンツをレンダリングするかをブラウザ等のレンダリングソフトウェアに命令する為に、ファイルと共に付加的な情報を(例えば、透かし入りコンテンツを含むウェブページに加えてHTTPヘッダ情報を)送る。受信コンピュータのレンダリングソフトウェアはその後、どのようにコンテンツをレンダリングするかを決定できる。例えば、ファイルを受け取るコンピュータに子供がログオンした場合、レンダリングソフトウェアは、「成人コンテンツ」としてマークされているファイルのコンテンツをレンダリングしないことを選択できる。別の例として、サーバは、受信コンピュータによるコンテンツの解読や復元を可能にする為に、解読キーや復元キーをレンダリングソフトウェアに送るようサーバに命令する透かしをデコードする場合がある。公開鍵暗号化方式(public key encryption scheme)は、送信コンピュータと受信コンピュータとの間でキーの交換を実行する為に使用できる。他の例として、サーバは、ウェブサイトへのリンクを含む付加的な情報を透かし入りファイルと共に送るようサーバに命令する透かしを、サーバが透かしからデコードした情報に基づいてデコードする場合がある。
【0105】
(コンテンツのフィルタリング及びカウント)
透かしデコーダは、透かし入りメディアオブジェクトをフィルタリングし透かし入りメディアオブジェクトの事例をカウントする為に、コンピュータ及びコンピュータネットワークで使用できる。フィルタリングとは、オブジェクトの透かしをデコードする為に透かしデコーダを使用することを意味し、上記透かしは特定の位置にあり、透かしの制御データに応じて、また任意に透かしの外部の付加的なコンテキストデータに応じて、透かしの使用や転送やレンダリングを制御する。上記メディアオブジェクトは、メディアオブジェクトの転送を担う装置又はコンピュータの場合と同様に、フィルタの位置に一時的に記憶される場合がある。上記システムの例は、コンピュータネットワークのEメールサービス、ファイアウォール、ルータ、ゲートウェイなどであり、上記コンピュータネットワークは、オブジェクトで発見された透かしに少なくとも部分的に基づいて、他の装置又はコンピュータへの特定のメディアオブジェクトの転送を制御する為に透かしのデコードを用いる。メディアオブジェクトは更に、フィルタの位置に永久的に記憶される場合がある。例えば、フィルタはメディアオブジェクトをスクリーニングする為に使用される場合があり、上記メディアオブジェクトは、ハードディスクドライブなどの大容量記憶装置、又は大容量記憶装置上の、インターネットを介してアクセス可能な、音楽ファイルや、画像ファイルや、映像ファイルの遠隔の個人ライブラリに対してユーザーがダウンロード又アップロードする。フィルタは、転送されたファイルの透かしに応じて、大容量記憶装置に対してのダウンロード又はアップロードを禁止する為に使用されたり、一方でファイルのレンダリングを制御する為に使用されたりする。
【0106】
オブジェクトカウントは、ファイアウォールやEメールゲートウェイのような特定の装置又はシステムを通過するメディアオブジェクトのフィルタリング、又はインターネットのようなシステムのネットワークを積極的に検索し検索の結果発見されダウンロードされた透かし入りメディアオブジェクトのスクリーニングにより、透かしメディアオブジェクトが発生した回数をログする方法を意味する。透かしデコードシステムにより維持されるログはオブジェクトについての付加的な情報を含むように適応でき、上記付加的な情報に含まれるのは、所有者、ユーザー識別子又はトランザクション識別子、トレーサデータなどの透かしからの情報、及び、どこで発見されたか、どのように使用されたか、誰が使用していたか、などのオブジェクトについての情報である。トレーサデータは、無認可の使用の検出やファイルのコピー又は転送などの幾つかのイベントに応じてファイルに埋め込まれたデータを含む。
【0107】
透かしデコーダは、特定の要求に応じて又はイベントに応じてログを電子的に他の装置又はコンピュータに送る為に、更に増大される。例えば、カウントされた透かし入りオブジェクトの数が閾値を超えた時、又は、特定の情報が透かしに発見された時の少なくとも一方の場合に、デコーダは、レポートを別のコンピュータの中央データベースに送るようにプログラム可能であり、上記特定の情報は、メディアオブジェクトの無認可の使用やコピーの検出に応じてメディアオブジェクトに埋め込まれた特定の識別子又はトレーサデータなどである。プログラムの規則は、透かし入りメディアオブジェクトがフィルタリングされカウントされる条件を指定し、どの情報がログされるかを指定し、ログされた情報がいつ別のコンピュータに送られるかを指定するよう、デコーダ内部に確立可能である。
【0108】
フィルタリング機能及びカウント機能に基づく透かしは、様々なソフトウェアアプリケーション及び装置で実施可能である。幾つかの例には、ネットワークファイアウォールや、メディアオブジェクトに直面する他のクライアント、サーバ、ピアツーピアソフトウェアアプリケーション(例えば、オペレーティングシステム、メディアプレーヤ、Eメール読み取り装置及びサーバ、インターネットブラウザ、ファイル共有ソフトウェア、マネージャソフトウェア等)が含まれる。フィルタリング、スクリーニング及びカウントに基づく透かしの特定用途の1つは、コンピュータ間で送られるEメールにして送られる又はEメールの添付ファイルとして送られる透かしコンテンツをモニタすることである。
【0109】
(スパイダに基づく透かし)
譲受人による本特許出願の先行特許文献は、インターネットのようなコンピュータネットワークでのメディアオブジェクトファイルの自動検索及び透かしスクリーニングのシステム及び方法を記載している。参照して本願に組み込まれる米国特許5,862,260号を参照されたい。インターネットコンテンツ又はリンクの自動検索及びコンパイルの実行に使用されるソフトウェアは往々にしてクローラ又はスパイダと呼ばれる。
【0110】
米国特許5,862,260号に記載されDigimarc Corporationから販売されている情報検索に基づいた透かしの拡張機能のように、透かしデコーダは、インターネットを含むネットワーク上での透かしスクリーニング及び透かし入りメディアオブジェクトのカウントを分散して実行する為に使用できる。特に、透かしデコーダは、インターネット等のコンピュータネットワーク上の様々な位置に展開でき、上記位置は、メディアオブジェクトをスクリーニングするインターネットサーチエンジンと、上記メディアオブジェクトは各サーチエンジンに収集され、メディアオブジェクトをスクリーニングするネットワークファイアウォールと、上記メディアオブジェクトはファイアウォールで発生し、スパイダが一般に到達しないローカルエリアネットワーク及びデータベースと、コンテンツフィルタ等とを含む。分散されたデコーダの各々は、本願に記載され参照して本願に組み込まれているように、透かし情報にログするスパイダスレッドとして作動する。情報のタイプの例は、透かし入りメディアオブジェクトの透かしからデコードされた識別子、メディアオブジェクトのカウント、メディアオブジェクトの位置のアドレス(どこで発見されたか)他のコンテキスト情報(例えば、どのように使用されたか、誰が使用していたかなど)を含む。スパイダスレッドは次に、スパイダスレッドのログやレポートを中央スパイダプログラムに送り、上記中央スパイダプログラムは上記ログやレポートをコンパイルし検索可能データベースのフィールドに情報を統合する。
【0111】
<埋め込まれたデータに基づくイベントスケジューリング>
透かしのデコードは、任意の透かしメッセージのデコードに応じて発生するプログラムのイベントをスケジューリングする為に、イベントスケジューラと一緒に使用される場合がある。本願全体を通して、デコードの情報、命令、透かしメッセージからのリンクに応じて、動作をトリガする事例は多数ある。幾つかの場合に、上記動作は、透かしに応じてソフトウェアにより行われるプログラムの動作であり、一方他の場合には、上記動作は、ハードウェア回路により行われる装置の動作であり、例えば、音声や映像のプレーヤやレコーダ等のハードウェアインプリメンテーションにおけるメディア信号の使用制御の場合などである。
【0112】
透かしメッセージのデコード時に直ちに動作を行うのではなく、クロックやタイマに従う指定時間や、次の入力や動作等に応じて、後のイベントで発生するよう、イベントスケジューラはプログラムの動作や装置の動作をスケジューリングする為に使用できる。
【0113】
上記の1つの例は、ウェブサイトへのリンクを、後で或いは周期的なイベントで達成されるようにスケジューリングすることである。例えば、ブラウザ、オペレーティングシステム、メディアプレーヤ、他のソフトウェアアプリケーションに実装された透かしデコーダは、メディアオブジェクトからの透かしをデコードし、上記透かしはオブジェクトを1つ以上のウェブサイトへリンクさせる。透かしのデコードに応じて、デコーダはプログラムの動作が後で発生するようにスケジューリングする。上記動作の幾つかの例は、特定ウェブサイトへのリンクのあるウィンドウの表示を、周期的間隔又は、ブラウザ、メディアプレーヤ、他のアプリケーションの起動のようなプログラムの動作に応じて行うことである。上記アプローチは、商品を購入するようユーザーに促す為に使用でき、上記商品は、メディアオブジェクト(音楽や映像のトラック)やメディアオブジェクトに表現された商品の何かなどである。上記アプローチを用いると、透かしの単一のデコードに応じて発生するよう多くの動作がスケジューリングできる。
【0114】
[オペレーティングシステム及び他のアプリケーションへの透かしエンコーダの統合]
【0115】
幾つかのアプリケーションで有用なのは、任意の上述の機能(例えば、使用の追跡、使用権利のリフレッシュ、付加的な情報と動作へのリンク等)を実行する為の、透かしのエンコード又は1つ以上の付加的な透かしの重ね合わせである。透かしエンコード機能は、オペレーティングシステム、インターネットブラウザ、他のアプリケーションに追加できる。例えば、ドラッグアンドドロッププロシージャにより、以上に略述した様々な機能をイネーブルにする手段として、ユーザーはメディアオブジェクトに透かしを埋め込むことができる。
【0116】
別の例として、透かしエンコーダは、デコーダについて以上に略述したものと同一の統合技術を用いるファイルブラウザ、インターネットブラウザ、メディアプレーヤ、他のアプリケーションに統合される場合がある。図1は、例えば、シェル拡張機能を介してウィンドウズエクスプローラファイルブラウザに統合された透かしエンコーダ機能を示す。特に、透かしエンコーダはシェル拡張機能ハンドラとして実装される。上記ハンドラはウィンドウズオペレーティングシステムのレジストリにコンテキストメニュー拡張機能として登録される。代案として、上記透かしエンコーダはプロパティページ拡張機能ハンドラとして実装される。
【0117】
図1の例では透かしエンコーダにアクセスする為に、ユーザーがメディアオブジェクトを右クリックし、「情報を埋め込む」というコンテキストメニューオプションを選択する。応えて、ハンドラは図6に示すウィンドウ600を表示する。上記ウィンドウは、ユーザーが様々なID(例えば、クリエータID、画像ID)を入力することを可能にし、上記IDは透かしを介して画像にエンコードされる。ユーザーは更に画像オブジェクトの属性を設定したり選択したりする。最後に、ユーザーは、スクロールバー制御を介して透かしの耐久性を調節することで、埋め込みプロセスを制御できる。ユーザーは、「オリジナル」タブと「透かし入り」タブを選択することで、オリジナルと透かし入りバージョンのオブジェクトを比較できる。満足であれば、ユーザーは、透かし入り画像をセーブしウィンドウを終了できる(例えばクローズを選択することによる)。メタデータと動作は、上記メタデータと動作をメタデータサーバに送ることで、画像オブジェクトに関連付けられる場合があり、上記メタデータサーバは上記メタデータと動作をオブジェクトIDに関連付ける。
【0118】
図6の例は静止画像オブジェクトを示すが、映像や音声のオブジェクトなどの他のメディアオブジェクトに透かしを埋め込む為に同様なアプローチが使用される場合がある。マーク付きとマークなしの映像や音声のオブジェクトを比較する為に、シェル拡張機能は、マーク付き及びマークなしの映像や音声のオブジェクトを望み通りに再生する為にメディアプレーヤを起動するよう設計される場合がある。
【0119】
[ゲートウェイ及び制御メカニズムとしての電子透かし]
【0120】
インターネットは、企業や、他の機密情報を持ちインターネットや他のタイプのコンピュータネットワークに接続している人にセキュリティ問題を呈示する。従来より、機密情報を含む文書は、「機密」、「所有物」などの単語と共に記号又は他の目に見える印でマークされる。上記マークの存在は、特別な予防策が取られている会社の制御外にのみ転送されるべき文書を扱う人すべてに警告する。誰かが不注意で上記文書を無認可のユーザーに手動で送ることは比較的難しくまれである。しかし、インターネット上のEメール及びファイル転送などの電子通信サービスの利用により、悪意のある転送及び不注意の転送はごくありふれたことになる。
【0121】
インターネット、電子メール、他のネットワークファイル転送プロトコル(FTPやHTTPなど)は、通信プロセスを簡単にし迅速化する。上記プロトコルは更に、誰かが不注意で又は偶然に機密文書を無認可のユーザーに送ることをもっと容易にする。
【0122】
この節では、インターネットなどのコンピュータネットワーク上で送信された文書の送信又は受信の少なくとも一方を制御する為に電子透かしを使用するシステム及び関係する方法を説明する。上記システム及び方法は、無認可の受け手への偶然の情報の広まりを防ぐ為に使用できる。更に、絶対に間違いのないセキュリティシステムはないが、上記システム及び方法は、無認可の受け手への意図的だが無認可の情報の広まりに対する保護を助ける。
【0123】
電子的に送信されたメッセージのほとんどがテキストを含む。しかし、電子メールシステムにより一般に、画像(即ち絵)又は音響ビットはメッセージに埋め込まれメッセージの一部をなすことが可能になる。例えば、メッセージは「スタンプ」を単語「機密」と共に含んでもよいし、又はメッセージは単語「機密」と共にサウンドクリップを含んでもよい。電子メッセージの一部をなす画像やサウンドクリップは電子透かしを持つことができ、上記電子透かしは電子透かし読み取りプログラムに検出され読み取られる。更に、テキストも、テキストの趣旨を変化させない隠しパターンに従う文字や行の追加や削除などでステガノグラフィの情報を持つ場合があり、上記隠しパターンは、PNシーケンスを持つバイナリメッセージをスペクトラム拡散変調することで生成された擬似ランダムパターンなどである。上記パターンは、スペースを所望のパターンで行や段落の終わりに追加又は削除する為に使用される場合がある。一方、テキスト文書の画像は、透かしパターンに従いハーフトーンドットを切り換えることで、透かしを持つことができる。
【0124】
電子透かし又はステガノグラフィのメッセージ中の「ペイロード」又はデジタルデータは一般に、各々に異なるフィールドを数多く持つ。1つ以上の上記フィールドはフラッグ専用の可能性があり、上記フラッグは、メッセージを含む文書や画像が機密である又はその他の場合は機密扱いにされていることや、上記文書や画像は特定に記載の方法。でのみ広められるべきことを示す。
【0125】
一般に、EメールはEメールサーバを介して送信ネットワークに入力される。透かしの検出及び読み取りが可能なプログラムは周知であり市販されている。我々のシステムのインプリメンテーションの1つでは、Eメールサーバは、メッセージをネットワーク上に送出するより先に、各Eメールメッセージを透かし検出及び読み取りプログラムに通過させる。透かしプログラムが透かしを検出すると、上記透かしプログラムは、メッセージをどう扱うべきかを決定する為に特定のフラッグビットを応答する。特定のフラッグが設定されていることを透かし読み取りプログラムが発見すると、上記透かし読み取りプログラムは、送信者とネットワークアドミニストレータの両者への警告などの動作を行う。透かしがないこと又は特定のフラッグが設定されていないことを透かしプログラムが発見すると、メッセージはネットワーク上に従来に記載の方法で送られる。
【0126】
上記システムは、電子メッセージの広まり及び受信を制御する制御メカニズムの役割を果たし得る。
【0127】
メッセージと文書は更に、インターネットや、ウェブサーバやFTPサーバなどのサーバから受け取った他の電子ネットワークに入力される。同様にして、透かし検出プログラムはウェブサーバやFTPサーバなどのサーバに文書を応答し、特定の状態にある特定のフラッグを持つ透かしが検出された場合に警報を鳴らすなどの動作を行うことができる。上記システムは、意図せずに不注意でウェブサイトに追加されたウェブサーバのファイルをスクリーニングする為に使用できる。ファイルディレクトリのプログラムのスクリーニングで検出された無認可のファイルは、FTP又はHTTP要求を介して、削除されたり、ファイルの要求に応えて転送されることを防止されたりする。
【0128】
システムの第1の実施の形態は、インターネット上に送信されたEメールメッセージをモニタするように設計される。上記第1の実施の形態は、機密のEメールメッセージが無認可のユーザーに偶然広まるのを防止するために使用される。上記第1の実施の形態は、機密文書が誰かに送信されることを防止する。代替の実施の形態は、機密文書が無認可のユーザーに又は無認可の目的の為に送信されることを制御する。例えば、Eメールメッセージにアドレスを追加することは容易である。機密情報を受け取るアドレスの1つが認可されていないことを認識せずに、機密情報を含むEメールメッセージを人々の大きなグループへと誰かがアドレス指定する場合がある。上記システムは、送信者が無認可の人物のアドレスをアドレスのリストに含めていても、上記Eメールが上記人物に送信されることを防ぐ。
【0129】
一般的な機密文書10が図8に表されている。文書10はEメールメッセージである可能性があり、また一方でEメールメッセージに添付された文書である可能性もある。文書10は機密スタンプ11及びテキストの行を含む。機密スタンプ11は、様々な行を持つバックグラウンドに重ね合わせられた単語「機密」を持つ画像である。即ち、画像11のバックグラウンドは、透かしを持つよう変化する幅を持ち、1998年5月6日に提出された米国出願09/074,034号(PCT出願PCT/US99/08252に対応する)、及び1998年7月31日に提出された米国出願09/127,503号(PCT出願PCT/US99/14532に対応する)の技術に従う。以上の特許出願の開示は、参照して本願に組み込まれる。一方、画像11のバックグラウンド又は文書10の他のバックグラウンド部分は、電子透かし信号を持つ織り方パターン又は色調パターン、例えば擬似ランダム画像パターンなどを含む場合もあり、上記擬似ランダム画像パターンは、PNシーケンスを持つバイナリメッセージをスペクトラム拡散変調し変調されたシーケンスをピクセル値あたり多値の画像に変換することで形成される。更なる別の代替の実施の形態では、メッセージに埋め込まれた画像11を持つ代わりに、メッセージは単語である機密と共にオーディオクリップを含む場合がある。オーディオクリップは音声透かし技術を用いて透かしを入れられる。しかし、本願に記載された第1の実施の形態では、画像11は人間が読み取り可能な単語「機密」と、透かし検出及び読み取りプログラムで読み取りができる電子透かしの両方を持つ。
【0130】
一般的な透かしペイロードのデータフィールド及びフラッグが図9に示される。理解されるべき点は、図示されたフィールド及びフラッグは単に見本であり、フィールド及びフラッグは多くの代替の形式を取り得ることである。システムは、特定の文書が機密であることを示すフラッグフィールドの1つを利用する。他のフィールドも従来のように使用できる。
【0131】
図10は、コンテンツをモニタしフィルタリングする為に透かしデコードルーチン及び読み取りルーチンを持つEメールシステムを示す。比較的多数の個人ユーザー端末1301aから1301eがEメールサーバ1302に接続されている。上記接続はイーサネット(登録商標)LANによるものやダイヤルアップモデムによるものでもよいし、他の従来の有線や無線のコンピュータネットワーク接続でもよい。Eメールサーバ1302はインターネット1304へのインターフェース1303を持ち、インターフェース1303は個人ユーザーの端末からインターネットへのメッセージの受信及び送信をする。Eメールサーバ1302そのものは従来のものだが、サーバにより処理される透かしデコード及びメッセージの読み取りをイネーブルにするプログラムのインターフェースを持つ。本発明を用いると、個人ユーザー端末1301aから1301eの1つからのメッセージをEメールサーバ1302がインターネットに送信する前に、Eメールサーバはメッセージを透かし検出及び読み取りプログラム1305に通過させる。Eメールメッセージそのものと任意の添付文書は両方とも上記プログラムを通過する。透かし検出及び読み取りプログラム1305は、メッセージが電子透かしを含むかどうかを決定する。透かしが検出された場合、機密フラッグビットが応答される。フラッグビットが「機密」に設定されている場合、上記実施の形態はメッセージをサーバに戻す。従って、第1の実施の形態は、任意の機密情報がEメールメッセージの一部として送信されることを禁止する。
【0132】
第2の実施の形態は、より幅の広い配列の代案を提供する。図11に示すように、第2の実施の形態はデータベース1401を含む。データベース1401は、潜在的なメッセージ送信者の各々に異なるグループのリスト、潜在的なメッセージ受信者の各々に異なるグループを示すリスト、メッセージの様々なフラッグの設定で指示される潜在的なカテゴリーのセットを含む。例えば、送信者は3つの指定された送信者グループS1、S2、S3に分かれる場合がある。潜在的な受信者は、3つの指定されたグループR1、R2、R3に分かれる可能性がある。データベース1401及び関連する論理1402は、以下の表1に示されるように論理規則を実装できる。
【表1】
【0133】
システムは、サーバを通過するメッセージを先入れ先出し法でバッファに入れるバッファ1403を含む。上記バッファはメッセージ自身を記憶したり、サーバのファイルディレクトリ構造内のメッセージ位置へのポインタを記憶したりする。透かし読み取りプログラム1404は、メッセージ又は添付ファイルの少なくとも一方を読み取り、電子透かし又は埋め込まれたステガノグラフィのメッセージの検出を試み、検出された場合は、関係するメッセージペイロード情報をデータベース応答プログラム1405に提供する。送信者又は受信者の少なくとも一方のフィルタプログラム1402は、送信者及び受信者のアドレスをフィルタリングする制御論理を実装し、前もって割り当てられたグループ分けに上記アドレスをマッピングする。上記プログラムは、特定のメッセージに対する情報を応答プログラム1405に提供し、応えて応答プログラム1405は、メッセージに関連する関連制御動作を捜す為に、メッセージペイロードフラッグと、送信者又は受信者の少なくとも一方のコードとを使用する。システムは、制御動作をメッセージ配布制御メカニズム1406に送り、メッセージ配布制御メカニズム1406は、特定の動作を行うようバッファ1403のメッセージによりプログラム的にサーバに命令する。
【0134】
要約すると、上記システムは、どの動作を行うべきかを決定する為にメッセージ送信者とメッセージ受信者とフラッグの状態とを検討する。システムは以上に示したものに加えて多数の選択肢を含む可能性もあるし、システムは少数の選択肢のみを含む場合もある。例えば、システムはアドレスのリストのみを含むことがあり、上記アドレスは、「機密」に設定された機密フラッグを持つメッセージの受け取りを認可される。上記システムは、選択されたアドレスにのみ機密文書が送られるのを可能にする。もう一つの選択肢として、又は加えて、システムは、機密文書を送ることを認可された個人のリストを含む。システムは上記リストに対し送信者を単に検査できるが、一方でシステムは、上記メッセージが発生した場合にパスワードの入力を要求できる。
【0135】
注意すべきは、上記の表は見本の規則を示すに過ぎないことである。実際のシステムでは、はるかに多数のグループが存在し得るし、幾つかのグループが単一の個人を含む場合もある。更に表ははるかに多数の行を持ち得る。上記の表は3つのフラッグビットのみを示す。システムは、特定のシステム要求の必要性に応じて更に多数又は小数のフラッグビットを持ち得る。
【0136】
代替の実施の形態では、機密スタンプは、上述した行の幅やハーフトーンドット変調の使用とは別に記載の方法。で、透かしを画像に含み得る。スタンプのバックグラウンドは電子透かしをもつ画像を含み得る。
【0137】
代替の実施の形態では、電子透かしを検査するのではなく、システムは「機密」などのテキスト列に対して検査し、上記テキスト列の設置に応えて動作を行うことができる。更に、システムは、行や段落の終わりのスペースの隠しステガノグラフィパターンに対して検査できる。
【0138】
これまでに述べた実施の形態はEメールシステムに適用したが、FTPサーバやウェブサーバに対しても同様の予防策を取ることができる。
【0139】
[電子透かしを使用したコンテンツフィルタリング及び索引付けシステム]
【0140】
図12はコンテンツフィルタリング及び索引付けシステムを示す図である。上記システムでは、エンドユーザに対しレンダリングされる(例えば、印刷、表示、再現等)時に電子透かしがコンテンツでは知覚できない又は実質上知覚できないように、電子透かし埋め込み装置が電子透かしを画像や映像や音声などのコンテンツに埋め込む。上記の埋め込みの方式は、埋め込まれた透かし信号を人間の知覚モデルに基づいてホストメディア信号に知覚的に適応させることを伴う。透かしコンテンツマーカ1502、1504と呼ばれる埋め込み装置は、例えばウェブサーバ、ストリーミングメディアサーバ、FTPサーバ等のコンテンツサーバ(1506、1508)に組み込まれ、コンテンツを上記サーバにマークする。各々に異なる時間的又は空間的部分が、透かしペイロードが埋め込まれるコンテンツに関係する同一の又は各々に異なるペイロードを持つように、埋め込み装置はコンテンツ全体に渡って繰り返し透かしペイロードを埋め込むことが望ましい。例えば、広告からプログラミングへと、また1つの評価から他の評価へとコンテンツタイプが変化する(コンテンツタイプに従うG、PG、R、X)のに伴い、コンテンツタイプフラッグは変化する場合がある。
【0141】
上記コンテンツはその後、通信ネットワーク1510を介して、ウェブブラウザ1512、Eメール読み取り装置1514、メディアプレーヤ等の他のシステムへと送られる。通信パスに沿って、コンテンツはファイアウォール1516及びLAN1518を通過する場合がある。透かしコンテンツフィルタ1520、1522、1524として示される電子透かし読み取りプログラムは、コンテンツを電子透かしについてスキャンし、発見された場合、上記透かしのメッセージペイロードをデコードする。メッセージペイロードは、コンテンツ所有者(所有者ID)、ディストリビュータ(ディストリビュータID)又はトランザクション(トランザクションID、受信装置ID、IPアドレス、送信者又は受信者の少なくとも一方のアドレス、ユーザーID)の少なくとも一つについての情報を含む。更に、ペイロードは、コンテンツタイプを含むコンテンツフラッグを含み、上記コンテンツフラッグは、例えば成人コンテンツレーティング、制限アクセスレーティングなどである。
【0142】
透かしコンテンツフィルタは、コンテンツフラッグに応じてコンテンツの転送やレンダリングを制御することで、コンテンツをフィルタリングする。更に、透かしコンテンツフィルタは、埋め込まれたID及びコンテンツタイプ情報を、データベースの各フィルタリングイベントについての情報をログする検索可能データベース1530へと送る。システムは、ファイルヘッダのような帯域外のデータから又はコンテンツが検出される機械から引き出される付加的なイベント情報をログし、上記イベント情報は検出イベントのネットワークアドレス、送信者及び受信者アドレス、ユーザーの名前などである。コンテンツフィルタは、コンテンツの転送及びレンダリングを制御する規則のセットを実装する。例えば、ファイアウォールのコンテンツフィルタは、透かしペイロードが特定フラッグ又はフラッグセットの特定の組み合わせを持つコンテンツファイルの転送を防止する。ファイアウォールは、例えば企業ネットワークへの成人コンテンツの転送を防止する為に使用されたりする。
【0143】
ウェブブラウザ、Eメール読み取り装置、メディアプレーヤのコンテンツフィルタは、コンテンツフラッグ及び規則に基づいてコンテンツのレンダリングを防止し、上記規則はフィルタが統合されるソフトウェアアプリケーションで確立される。例えば、ユーザー定義規則は、子供に使用されているコンピュータでの成人コンテンツのレンダリングを阻止する為に使用される場合がある。ユーザーがアプリケーションにログオンする場合に上記規則は有効になり、上記アプリケーションは、特定のユーザーがアプリケーションを使用していることをフィルタに示しユーザーIDが有効であることを適用可能な特定規則に示すユーザーIDを供給する。
【0144】
同様のアプローチが、ユーザーに向けたコンテンツの広告をフィルタリングする為に使用でき、上記広告はコンテンツに高い契約料を払っている。上記の場合、広告フラッグを含むコンテンツは透かしを介して検出され、レンダリング前に削除される。同様に、特定のタイプのコンテンツは、コンテンツに埋め込まれた特定のタイプのコンテンツフラッグを持つコンテンツの再生をユーザーの契約が認めない場合に、ユーザーの機械にレンダリングされるのを阻止され得る。コンテンツフィルタは、ユーザーの契約権利及びコンテンツのフラッグに基づいてコンテンツのレンダリングを可能にするか阻止する為に使用できる。上記アプローチが特に適しているのは、ユーザーが多数の異なる同等のコンピュータからコンテンツを受け取る分散型のピアツーピアモデルである。
【0145】
コンテンツフィルタリングシステムは更に、コンテンツのコピーが発見される場合に、コンピュータアドレス(URL又はIPアドレス)を示すコンテンツの検索可能なインデックスを検索可能データベースが保存することを可能にする。従って、コンテンツタイプ、コンテンツID、ディストリビュータ、コンテンツIDにリンクされた他の属性によりデータベースをユーザーが検索し、コンテンツ項目及び上記項目の対応アドレスを発見できるように、インターネットを介してアクセス可能なサーチエンジンを生成する為にシステムは使用され得る。
【0146】
図13は、分散透かし検出器システムを示す図である。上記システムでは、電子透かし検出器(1602、1604、1606、1608)がスパイダスレッドプログラムとして実装され、上記プログラムはコンテンツを透かしについてスクリーニングし、発見すると、透かしペイロードからの情報及びイベントについての情報(コンテンツのネットワークアドレス、ユーザー情報、時間及び日付等)を、インターネット1612に付属のサーバで実行される中央スパイダプログラム1610に報告する。スレッドプログラムは、会社のLANのコンテンツデータベースなどの内部システム1602、LANのファイアウォール1604、LAN内部又はブラウザやオペレーティングシステムなどのソフトウェアアプリケーション内部のコンテンツフィルタ1606、リンクされた膨大なウェブページを取り出しページのコンテンツに基づきページに索引付けするウェブクローラなどのサーチエンジン1608に実装される。
【0147】
スパイダプログラム1610は透かしペイロード及びイベントの情報をデータベース1612に記憶する。スパイダプログラムは更に、透かし検出イベントによってコンパイルされたデータベース情報に付加的なデータベースとの相互参照をつけ、上記付加的なデータベースは、透かしペイロードのコンテンツIDをコンテンツ属性情報に関連付け、上記コンテンツ属性情報は、例えばコンテンツタイトル名、所有者名、芸術家、歌詞、関連ウェブサイトのURL等である。上記のことにより、ユーザーがスパイダプログラムにアクセスし、タイトルや何らかの他の属性に基づいてコンテンツを検索し、更に、コンテンツが発見されたネットワークアドレスに相互参照をつけることが可能になる。
【0148】
上記システムは、膨大で複雑なネットワーク全体に渡って装置のコンテンツが深くリンクすることを可能にする。上記システムは、インターネットに接続されたコンピュータ、音楽ファイル共有ネットワークにリンクされた音楽機器、ビデオファイル共有ネットワークにリンクされたセットトップボックス及びパーソナルビデオレコーダのような装置に適合する場合がある。幾つかのシステムでは、分散スパイダが配置されるネットワークのノードは更に、コンテンツサーバとして動作する。検索可能データベース1612の自動検索を介してユーザーがコンテンツの一部を発見したら、ユーザーは、コンテンツが配置されるコンテンツサーバに要求を送り、コンテンツサーバからユーザーのコンピュータや装置、例えば音楽機器、セットトップボックス、無線電話等へのコンテンツファイルの転送を要求できる。
【0149】
上記の分散コンテンツフィルタリング及びスパイダシステムへの可能な付加拡張機能や変更は多数ある。透かしに基づいてコンテンツをフィルタリングする際に、透かしペイロードは、コンテンツタイプフラッグや、データベースに記憶されたコンテンツタイプディストリビュータへのインデックスを含むことができる。後の場合は、システムは、コンテンツの性質を定義する記述子を決定する為に記述子データベースを要求する。コンテンツフラッグと記述子はどちらも、ネットワークに分散されたコンテンツのコンテンツタイプによる索引付けの為に、サーチエンジンにより使用できる。
【0150】
スパイダのデータベースを図13のシステムで展開する為に、システムは更にプログラムを含む場合があり、上記プログラムは、リンクされたウェブサイトの自動巡回を実行し、サイトを透かし入りコンテンツについてスクリーニングし、更に、コンテンツタイプによりコンテンツの検索可能なインデックスを生成する為にペイロードのコンテンツフラッグ又はペイロードにより索引付けされたコンテンツ記述子を使用する。ユーザーは、コンテンツタイプ基準に対応するコンテンツを発見し、上記基準に対応するコンテンツのリストをコンテンツのアドレスと共に得る為に、上記インデックスを検索できる。
【0151】
フィルタがレンダリングを制御する方法は様々であってよい。例えば、透かしフィルタは、完全に再生することを防止したり、再生にスクランブルをかけたり、コンテンツタイプフラッグ又は記述子に基づいて好ましくない部分にのみスクランブルをかけたりする。透かしはコンテンツのフレーム全体にわたって繰り返されるので、フィルタは、スクランブルをかけられるか阻止される音声や映像のフレームに、又は阻止される静止画像の一部に、きめ細かい制御を提供できる。更に、フィルタは、レンダリングされるコンテンツのタイプの選択的な制御を、例えば、ユーザーにより供給されるユーザーのプレファレンスに基づいて、年齢や位置等などのユーザーの人口統計に基づくコンテンツのフレームのスワップにより、行うことができる。コンテンツをスワップする為に、コンテンツデリバリメカニズムが、フィルタの制御信号に応じて代替のフレームをストリーミングできる。
【0152】
透かしフィルタは、関係する情報にリンクする為に透かしペイロードを使用する場合がある。初めに、透かし読み取り装置はコンテンツをデフォルトウェブページなどのデフォルトネットワーク資源にリンクさせる。特に、透かしペイロードは、データベースエントリに索引付けする識別子を含む。上記エントリはデフォルトウェブページのURLを含む。しかし、コンテンツの所有者又はディストリビュータの少なくとも一方は、所有者のウェブサイト専用の新しいURLなどの識別子に対し新しい機械動作を指定する為に、データベースエントリをダイナミックに更新できる。
【0153】
[コンピュータインプリメンテーションの操作環境]
【0154】
図7は、上述した透かしシステムのソフトウェアインプリメンテーションの操作環境としての役割を果たすコンピュータシステムの例を示す。埋め込み装置及び検出器インプリメンテーションはC又はC++の少なくとも一方で実装され、多数の異なるコンピュータシステムに対して移植性がある。図7は上記システムの1つを一般に示す。
【0155】
図7に示されるコンピュータシステムは、コンピュータ1220を含み、コンピュータ1220は、処理ユニット1221、システムメモリ1222、システムバス1223を含み、システムバス1223は、システムメモリを含む様々なシステム構成要素を処理ユニット1221に相互に接続する。
【0156】
システムバスは、メモリバス又はメモリコントローラ、周辺バス、ローカルバスアーキテクチャを含む任意の幾つかのタイプのバス構造から成る場合があり、上記ローカルバスアーキテクチャは、ほんの少数を挙げれば、PCI、VESA、マイクロチャンネル(MCA)、ISA、EISAなどのバスアーキテクチャを用いる。
【0157】
システムメモリは、読み出し専用メモリ(ROM)1224及びランダムアクセスメモリ(RAM)1225を含む。起動時などにコンピュータ1220内の素子間の情報の転送を助ける基本的なルーチンを含むベーシックインプット/アウトプットシステム1226(BIOS)は、ROM1224に記憶される。
【0158】
コンピュータ1220は、ハードディスクドライブ1227と、磁気ディスクドライブ1228と、光ディスクドライブ1230とを更に含み、上記磁気ディスクドライブ1228は例えば取り外し可能ディスク1229の読み取りや書き込みの為のものであり、上記光ディスクドライブ1230は例えばCD−ROMやDVDディスク1231読み取り用又は他の光メディアの読み取りや書き込みの為のものである。ハードディスクドライブ1227、磁気ディスクドライブ1228、光ディスクドライブ1230は、それぞれ、ハードディスクドライブインタフェース1232、磁気ディスクドライブインタフェース1233、光ディスクインタフェース1234により、システムバス1223に接続されている。ドライブ及びドライブの関連コンピュータ読み取り可能メディアは、データの不揮発性の記憶、データ構造、コンピュータ実行可能命令(ダイナミックリンクライブラリなどのプログラムコード、実行可能ファイル)等を、コンピュータ1220に提供する。
【0159】
以上のコンピュータ読み取り可能メディアの説明はハードディスクと取り外し可能磁気ディスクと光ディスクとを参照したが、コンピュータ読み取り可能メディアは、コンピュータにより読み取り可能な他のタイプのメディア、例えば磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスクなどを含むこともできる。
【0160】
多数のプログラムモジュールがドライブ及びRAM1225に記憶される場合があり、ドライブ及びRAM1225は、オペレーティングシステム1235、1つ以上のアプリケーションプログラム1236、他のプログラムモジュール1237、プログラムデータ1238を含む。
【0161】
ユーザーは、キーボード1240及びマウス1242などのポインティングデバイスを介してパーソナルコンピュータ1220にコマンドや情報を入力する場合がある。他の入力装置が、マイクロフォン、サウンドカード、ラジオやテレビのチューナ、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星アンテナ、デジタルカメラ、スキャナ等を含む場合がある。デジタルカメラやスキャナ43は、上述した検出処理の目標画像を取り込む為に使用される場合がある。デジタルカメラやスキャナは、標準インターフェース44を介してコンピュータに各々接続される。現在、ユニバーサルシリアルバス(USB)、周辺コンポーネントインターフェース(PCI)、パラレルポートインターフェースと接続する為に指定されたデジタルカメラがある。台頭しつつある2つのカメラ用標準周辺インターフェースは、USB2及び1394(firewireやiLinkとして知られる)を含む。
【0162】
カメラやスキャナに加えて、透かし入り画像や映像は、パッケージされたメディア装置(例えば、CD、DVD、フラッシュメモリ等)、ネットワーク接続からのストリーミングメディア、テレビチューナなどの他の資源から提供される場合がある。同様に、透かし入り音声はパッケージされたメディア装置、ストリーミングメディア、ラジオチューナ、サウンドカードなどの他の資源から提供される場合がある。
【0163】
上記及び他の入力装置は、システムバスと直接的に又は間接的に連結されているポートインターフェース1246を介して処理ユニット1221に接続されていることが多い。上記インターフェースの例は、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)を含む。
【0164】
モニタ1247や他のタイプのディスプレイ装置は更に、ビデオアダプタ1248などのインターフェースを介してシステムバス1223に接続されている。モニタに加えて、パーソナルコンピュータは一般に、スピーカやプリンタなどの他の周辺出力装置(図示せず)を含む。
【0165】
コンピュータ1220は、遠隔コンピュータ1249などの1つ以上のコンピュータへの論理接続によりネットワーク化された環境で動作する。遠隔コンピュータ1249は、サーバ、ルータ、対等の装置、他の一般的なネットワークノードである場合があり、メモリ記憶装置1250のみが図7に示されているが、コンピュータ1220に対して記載された多数又は全ての素子を一般に含む場合がある。図7に示されている論理接続はローカルエリアネットワーク(LAN)1251及び広域ネットワーク(WAN)1252を含む。上記ネットワーク化環境は、オフィス、企業全体のコンピュータネットワーク、イントラネット、インターネットでは珍しくない。
【0166】
LANネットワーク化環境で使用される場合、コンピュータ1220は、ローカルネットワーク1251にネットワークインタフェース即ちアダプタ1253を介して接続される。WANネットワーク化環境で使用される場合、コンピュータ1220は、インターネットなどの広域ネットワーク1252で通信を確立するモデム1254や他の手段を一般に含む。内蔵されたり外付けされたりするモデム1254は、シリアルポートインタフェース1246を介してシステムバス1223に接続されている。
【0167】
ネットワーク化された環境では、パーソナルコンピュータ1220に対して記載されたプログラムモジュール、又はプログラムモジュールの一部は、遠隔メモリ記憶装置に記憶される場合がある。以上に詳述したプロセスは、分散するよう並行処理として実装できる。正当に評価されるのは、示されたネットワーク接続は典型的であり、コンピュータ間の通信リンクを確立する他の手段が使用されてもよいことである。
【0168】
[メディアオブジェクトリンクの他の形式への拡張]
【0169】
上述のアプローチは、画像、図、映像や音声のファイル、もう2つ異なるメディアタイプを含むファイルを含む様々なメディアオブジェクトファイルに実装できる。更にメディアオブジェクトは、オブジェクトに埋め込まれた透かし以外のデータ構造を介してメディアオブジェクトのメタデータにリンクされる場合がある。例えば、オブジェクト識別子は透かしに挿入される必要はないが、その代わりにメディアオブジェクトファイルのどこかほかの場所、例えばファイルヘッダなどに配置される場合がある。上記識別子は、コード化又は圧縮されたファイルのヘッダに挿入される場合がある。識別子を抽出する為に、デコーダはヘッダを構文解析しオブジェクト識別子を抽出する。次にデコーダは、メタデータ要求を出しメタデータサーバから戻されたデータ又は解釈コードの少なくとも一方を出力する為に、直接的に又はウェブブラウザなどの他のアプリケーションを起動することで、識別子をメタデータサーバに送る。
【0170】
[最終的な見解]
【0171】
特定の実施の形態を参照して技術の原理が説明され図示されて、技術は多数の他の異なる形式で実装できることが認識される。本明細書を過度に長くすることなく広範な開示を提供する為に、出願人は以上に参照した特許及び特許出願を参照して組み込む。
【0172】
以上に詳述した実施の形態の構成と特徴の特定の組み合わせは典型例に過ぎず、本願及び参照して組み込まれた特許又は出願の少なくとも一方の他の教示との上記技術の交換や代用も予期される。
【0173】
本発明の原理が適用され得る幅広い様々な実施の形態を考慮して、認識されるべき点は、詳細な実施の形態は典型例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとしてはならないことである。むしろ、我々は、以下の請求項の範囲と精神に入る実施の形態の全て及びそれに対し同等な物を、我々の発明として請求する。
【関連出願データ】
【0001】
本特許出願は、参照して本願に組み込まれる2000年5月24日提出の米国仮出願60/191,778号の優先権を請求する。本願は更に、1998年10月1日提出の出願09/165,142号、2000年2月14日提出の出願09/503,881号、2000年2月17日提出の出願09/507,096号、2000年5月15日提出の出願09/526,982号、2000年5月20日提出の出願09/531,076号、2000年7月20日提出の出願09/620,019号の一部継続出願であり、上記出願は参照して本願明細書に組み込まれる。
【0002】
本特許出願は更に、2000年5月15日提出の09/525,865号における発明の名称「Integrating Digital Watermarks into Multimedia Content」、2000年5月2日提出の09/563,664号における「Connected Audio and Other Media Objects」、2000年5月15日提出の09/571,422号における「Methods and Systems for Controlling Computers or Linking to Internet Resources from Physical and Electronic Objects」、2000年5月18日提出の09/574,726号における「Methods and Systems Employing Digital Watermarking」の米国特許出願に関連し、上記出願もまた、参照して本願明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0003】
本発明は電子透かしに関し、特にソフトウェア及び装置の電子透かしエンコーダ及びデコーダのアプリケーションに関する。
【背景技術】
【0004】
電子透かしは、機械読み取り可能コードをメディアに埋め込むよう物質的なメディアや電子的なメディアを変えるプロセスである。メディアは自動検出プロセスを介して検出されるが、埋め込まれたコードがユーザーには知覚できない又は実質上知覚できないようメディアが変えられる場合がある。最も一般には、電子透かしは画像や音声信号や映像信号などのメディア信号に適用される。しかし、電子透かしは他のタイプのメディアオブジェクトに適用される場合もあり、上記メディアオブジェクトは、文書(例えば、行や単語や文字のシフトを通じて)、ソフトウェア、多次元のグラフィックスモデル、オブジェクトの表面テクスチャを含む。
【0005】
電子透かしシステムは一般に2つの主要な構成要素を持ち、上記構成要素とは、透かしをホストメディア信号に埋め込むエンコーダと、透かしを含むらしい信号(容疑信号)から埋め込まれた透かしを検出し読み取るデコーダである。エンコーダはホストメディア信号を変えることで透かしを埋め込む。読み取り構成要素は透かしがあるかどうかを検出する為に容疑信号を分析する。透かしが情報をエンコードするアプリケーションでは、読み取り装置は検出された透かしから上記情報を抽出する。
【0006】
多数の特定の透かし技術が既知である。読者は上記分野の文献に通じているものと推定される。知覚できない透かしをメディア信号に埋め込み検出する特定の技術は、本発明の譲受人の同時係属出願09/503,881号に詳述されている。他の透かし技術は、NEC(発明者Cox他)、IBM(発明者Morimoto and Braudaway他)、Dice(発明者Cooperman他)、Philips(発明者Kalker, Linnartz, Talstra他)等の発行された特許から既知である。音声透かし技術は、Aris(発明者Winograd. Metois, Wolosewicz他)、Solana(発明者Lee, Warren他)、Dice、AudioTrack、Philips等の発行された特許から既知である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、透かしエンコード及びデコード機能のソフトウェアアプリケーションや装置やシステムへの統合に関する。透かしエンコーダ及びデコーダはオペレーティングシステム、インターネットブラウザ、メディアプレーヤ、他のアプリケーションや装置に統合される。上記統合により、透かしイネーブルアプリケーションや装置は付加的機能と透かしを介して利用可能な情報とを備えることが可能になる。透かしは、例えば、メディアオブジェクトに関連するメタデータや動作にリンクする場合がある。上記透かしイネーブル機能を利用する為に、統合されたアプリケーションは、関連するメタデータと動作にアクセスする為に透かしデコーダを使用する。統合されたアプリケーションのユーザーインターフェースは、透かしを介してリンクされるメタデータと動作を呈示する為に拡張される。同様に、透かしエンコーダは、メディアオブジェクトを機能拡張透かし入りオブジェクトへと変換する為にアプリケーションに統合される場合がある。
【0008】
本発明の1つの態様は、機能拡張ファイルブラウザシステムである。上記ファイルブラウザにより、メディアオブジェクトファイルを含むファイルをユーザーがブラウズ可能になる。ファイルブラウザは、選択されたメディアオブジェクトファイルのオブジェクト識別子をデコードする拡張機能を含む。上記拡張機能は、メディアオブジェクトファイルに関連するメタデータや動作をオブジェクト識別子を介して検索し表示する。
【0009】
本発明の他の態様は、オブジェクト識別子をエンコードする拡張機能を持つファイルブラウザである。上記拡張機能により、オブジェクト識別子を選択されたメディアオブジェクトファイル内へとエンコードする事がユーザーにとって可能になる。ファイルブラウザのユーザーインターフェースの拡張機能では、ファイルブラウザは、オブジェクト識別子のエンコードを制御するオプションを表示する。オブジェクト識別子は、メディアオブジェクトに埋め込まれた透かしへとエンコードされる場合がある。
【0010】
本発明の他の態様は、ホストアプリケーションに組み込まれた透かしデコーダシステムである。ホストアプリケーションは、メディアオブジェクトファイルの表象を表示するユーザーインターフェースを持つ。ホストアプリケーションは更に、選択されたメディアオブジェクトファイルの透かしをデコードしメタデータを表示する拡張機能を持ち、上記メタデータはメディアオブジェクトファイルに透かしを介して関連付けられる。
【0011】
本発明の他の態様は、機能拡張インターネットブラウザである。ブラウザは、リスナープログラムを用いて機能拡張され、上記リスナープログラムは、HTML文書のメディアオブジェクトを認識し、オブジェクト識別子でマークされたオブジェクトをリスナープログラムが発見した場合にハンドラをHTML文書に挿入する。ハンドラは、オブジェクト識別子を介してリンクされたメタデータをユーザーの入力に応じて表示する。
【0012】
本発明の他の態様は、ブランド化情報を持つメディアオブジェクトをレンダリングする方法である。上記方法は、メディアオブジェクトのオブジェクト識別子をデコードし、オブジェクト識別子をメタデータサーバに送り、メタデータサーバからブランド識別子を受け取り、ブランド識別子の表現を表示する。
【0013】
本発明の他の態様は、メディアプレーヤのユーザーインターフェースを拡張する方法である。メディアオブジェクトの再生を要求する入力に応じて、上記方法はメディアオブジェクトからオブジェクト識別子を抽出する。上記方法は、メディアオブジェクトに関連するメタデータを捜す為にオブジェクト識別子を使用する。上記方法は次に、メディアオブジェクトに関連するメタデータの表現を含むようにメディアプレーヤのユーザーインターフェースを拡張する。
【0014】
本発明の更なる特徴は、以下の詳細な記述及び添付の図面を参照して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】透かしデコーダをオペレーティングシステムや他のアプリケーションプログラムに統合することにより可能なユーザーインターフェースの外観の例である。
【図2】メタデータを表示する図1のファイルブラウザへのユーザーインターフェースの他の実施の形態である。
【図3】透かしデコーダをインターネットブラウザに統合することにより可能なユーザーインターフェースの外観の例である。
【図4】透かしを介してメディアオブジェクトにリンクされたオプションの展開されたメニューを持つ図3の例を示す。
【図5】透かしデコーダをメディアプレーヤに統合することにより可能なユーザーインターフェースの外観の例である。
【図6】透かしエンコーダをオペレーティングシステムや他のアプリケーションプログラムに統合することにより可能なユーザーインターフェースの外観の例である。
【図7】透かしエンコーダ又はデコーダの少なくとも一方のアプリケーションにおけるソフトウェアインプリメンテーションの操作環境としての役割を果たすコンピュータシステムの図である。
【図8】単語「機密」を含む画像を有する図である。
【図9】一般的な電子透かしのフィールドの図である。
【図10】一般的なEメールシステムの図である。
【図11】図10に示す透かし読み取り検出プログラムの更に詳細な図である。
【図12】透かしコンテンツフィルタを持つコンテンツフィルタリング及び索引付けシステムを示す図である。
【図13】分散透かし検出器システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[序論]
画像ファイル、映像ファイル、音声ファイル等のメディアオブジェクトを付加的な情報や動作に関連させる為に透かしが使用される場合がある。透かしは、メディアオブジェクト内部にエンコードされたりメディアオブジェクト外部に記憶されたりしたメタデータ又は処理動作にメディアオブジェクトを関連させることができる。メタデータは透かしメッセージでエンコードされたり、メディアオブジェクトファイル内部に記憶されたり、メディアオブジェクトファイル外部に記憶されたりする。透かしはメタデータがメディアオブジェクト外部に記憶された場合には、上記メタデータへの知覚できない永続的なリンク、例えばオブジェクト識別子(数、アドレス、ポインタ等)をメディアオブジェクト内部にエンコードする場合がある。メディアオブジェクトがどこに移動しても、透かしデコーダイネーブルソフトウェアや装置が、透かしを媒体信号から抽出して、オブジェクトに関連するメタデータや動作に透かしリンクを介してアクセスできる。
【0017】
メディアオブジェクトに関連するメタデータや動作をメディアオブジェクトの透かしを介して検索する特定のインフラストラクチャは、変化する場合がある。メタデータや処理動作は、同一の装置やシステムのメタデータデータベースにメディアオブジェクトとして存在したり、有線又は無線のネットワークを介してアクセス可能な遠隔の装置やシステムに存在したりする。インターネットのような分散コンピューティング環境での1つの方法は、透かしメッセージから抽出されたオブジェクト識別子を取り込み識別子に関連する1つ以上のタスクを実行するデータベースサーバを実装することであり、上記タスクは例えば、要求しているコンピュータや装置(「クライアント」)にメタデータ又はURLリンクを返すこと、別のサーバへの識別子のルーティング、幾つかのプログラム又はプログラムのセットの実行等である。透かしメッセージとは、透かしを介して、ホストメディアオブジェクトの中にエンコードされた補助データを指す。
【0018】
以下の節では、オペレーティングシステム、インターネットブラウザ、及び他のアプリケーションで上記機能を利用する(ハードウェア装置、ソフトウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせのいずれでも実装される)方法を要約する。
【0019】
[オペレーティングシステム及び他のアプリケーションとの透かしデコーダの統合]
【0020】
<オペレーティングシステムの場合>
透かしデコーダはオペレーティングシステムのファイルブラウザ構成要素に統合される場合がある。デコーダによってファイルブラウザは透かしを抽出し透かしイネーブルメディアオブジェクトについてのメタデータを検索できる。ユーザーがファイルをブラウズする際に、透かしを検出する為に透かしデコーダがフォアグラウンドタスク又はバックグラウンドタスクとして自動的に又はユーザー起動で作動する場合がある。ブラウザは透かしを発見する際に、透かしに関連するアプリケーション(単数又は複数)により指示された通りにメディアオブジェクトの表象に注釈を付ける。インプリメンテーションに依存して、ブラウザは次にオブジェクトに関連する付加的な情報や動作を透かしを介して検索し、それに応じてメディアオブジェクトの表象に注釈を付ける場合がある。例えば、ブラウザは、透かしを介してリンクされた情報の記述や動作による注釈(例えば、簡潔な記述又はhttpリンクの少なくとも一方)をメディアオブジェクトに付けたり、実際の情報や動作による注釈をオブジェクトに付けたりする。
【0021】
透かしを検出するプロセス及び透かしを介して情報や動作を参照するプロセスは、ユーザーに見えないように実装される場合がある。例えば、ファイルブラウザは、透かし検出プロセス又は情報検索プロセスへの介入をユーザーに要求することなく、透かしリンクを介して得られる情報又はオプションを表示する。
【0022】
或いは、ファイルブラウザは、透かしのペイロードによりトリガされる透かし検出及び処理の様々な段階を制御する機会を、ユーザーに付与することもできる。例えば、ユーザーはオプションを付与される場合があり、上記オプションは、透かしデコーダがメディアオブジェクトを操作することを可能にし、透かしのペイロードによりトリガされる動作がどのように進行するのかを決定する。透かしが検出され次第、例えば、メディアオブジェクトに特徴的な音声やロゴ等の標識による注釈を付けることができ、透かしに埋め込まれたリンクを介して情報と動作がアクセス可能であることを上記標識がユーザーに知らせる。ユーザーには、例えば、オブジェクトに関連する目に見えるロゴをユーザーインターフェースで選択することにより、メディアオブジェクトに関連する付加的な情報にアクセスするオプションがある。音声の「ロゴ」は、ユーザーがオブジェクトを選択する(例えば、ユーザーインターフェースで図による表示の上にカーソルを通過させる)場合に再生される場合がある。
【0023】
アプリケーションのユーザーインターフェースには、透かしリンク並びに関連情報と動作の存在をユーザーに知らせる様々な図の効果又は音声の効果の少なくとも一方による注釈を付けられることがある。透かし検出プロセスやメタデータ検索プロセスの別の段階を知らせる為に、ユーザーインターフェースでの変化が利用されてもよい。例えば、まず透かしの存在を検出すると、デコーダ(又はホストアプリケーション)は単純なロゴやオーディオクリップ等の一般的な標識を再生する。その後、透かしを介してリンクされたメタデータ又は命令の少なくとも一方を適切なメタデータサーバが戻すと、ユーザーインターフェースはオブジェクトに関連する特定の情報を呈示する。
【0024】
サーバはプログラムコードを戻し得る。このプログラムコードは例えばJavaアプレット、ビジュアルベーシックスクリプト、XML又は他の命令のセットの幾つかであり、ユーザーに情報を呈示し付加的な情報と動作へのリンク(例えば、ウェブサイト、他のコンテンツ、他のプログラムコードへの、URLやホットリンク)を提供する。上記コードを受け取り次第、クライアントコンピュータや装置は上記コードを実行する。クライアントは一般に、透かしリンクをデコードしサーバへのリンクに基づく要求を出したコンピュータや装置である。上記コードは、透かしを持つメディアオブジェクト及び関連するメディアオブジェクトのレンダリングの制御を含む様々な機能を実行し、うち幾つかの機能はリンクされたメタデータにより戻され得る。サーバは、メディアオブジェクト又は他の関連する媒体信号が透かしを持つメディアオブジェクトと同時に再生されるようデコード即ち解読することを制御する為に、コードを戻し得る。加えて、サーバは、局地的に実行されるライセンスプログラム又は遠隔のライセンスコンピュータ(例えば、インターネット上のライセンスサーバ)の少なくとも一方でユーザーが電子的にライセンスを確立し使用権利を得られるように、コード又はリンクの少なくとも一方を戻し得る。
【0025】
サーバは、(URLや命令などを与えることにより)取り込まれる動作を定義するXML等のデータを戻し得る。上記のような動作の定義を受け取るクライアントコンピュータや装置は、動作を実行したり、ユーザーの入力(例えば、コンピュータのユーザーインターフェースでオプションのグラフィック表示をクリックする、音声認識エンジンを介してボイスコマンドに応答する、など)に応えて実行されるオプションとして動作をユーザーに呈示し得る。
【0026】
ユーザーインターフェースでオブジェクトのグラフィック表示を選択することで、ユーザーはリンクされた情報や動作にアクセスできる。例えば、メタデータや動作がオブジェクトにリンクされているかどうかを決定する為に、或いはリンクされた動作やメタデータの検索を起動する為に、ユーザーはオブジェクトを表すアイコンやレンダリングされたオブジェクトの一種(例えば画像)を「クリックする」ことができる。
【0027】
透かしデコーダは、周期的な間隔でのイベントに応えて又はユーザーの要求に応えて特定位置(例えば、ディレクトリ、ハードディスクドライブなど)でのメディアオブジェクト中の透かしの存在を検索するように設計され得る。例えば、透かしデコーダはファイル検索ユーティリティと同様に、メディアオブジェクトファイルから又はファイルのグループから透かしリンクを抽出する為にユーザーが呼び出すユーティリティサービスとして実装される。別の例として、オペレーティングシステムは、選択された記憶領域(例えばハードディスクドライブ)内の任意のタイプの全ファイルに対して立ち上げ時にデコーダを呼び出すように設計され得る。更にオペレーティングシステムは、メディアオブジェクト中の透かしリンクを周期的に検査するためにデコーダをバックグラウンドユーティリティとして実行し得る。タイマ経過時又は所定の時間間隔で透かし検出をトリガする為にタイマサービス又はクロックサービスが使用され得る。更にオペレーティングシステムは、例えばファイルのダウンロードやファイルの保管などの、所定のイベントが生じるとデコーダを実行し得る。上記のようなイベントに応じてデコーダをトリガすることで、オペレーティングシステムが実行されているシステムや装置にメディアオブジェクトが入力される場合及びメディアオブジェクトが編集される場合は常に、確実にメディアオブジェクトが検査されることをオペレーティングシステムが保証する。
【0028】
透かしデコーダの効率を改善する為に、ファイルシステムは、何時どのメディアオブジェクトが透かしについて検査されたのかを追跡する方式を実装し得る。1つの上記方式は、各メディアオブジェクトが検査されたか、各メディアオブジェクトが透かしを持つかどうか、持つ場合は透かしがいつ検出されたかを示す為に、属性を各メディアオブジェクトに割り当てる。その後、デコーダは、検査されていなかったメディアオブジェクト又は変更されたメディアオブジェクトのみを検査する為に、又は最新の検査から任意の期間が経過したメディアオブジェクトについてのみ検査する為に、上記情報を利用する。メディアオブジェクトが変更されるたびに、新しいオブジェクト及び変更されたオブジェクトのみが再検査されることが確実になるよう、マークが検査されたことを示す属性はリセットされ得る。
【0029】
概念を説明する為に、ウィンドウズ(登録商標)オペレーティングシステムのインプリメンテーションを考察する。図1は、透かしの埋め込みやメディアオブジェクトの読み取りをサポートするウィンドウズエクスプローラユーザーインターフェースの拡張機能の例を示す。メディアオブジェクトファイルは一般に、ウィンドウズエクスプローラファイルブラウザのユーザーインターフェース102のアイコン100で表現される。カーソルをファイルアイコン100の上に位置付けながらマウスを右クリックすることで、ユーザーは選択されたメディアオブジェクトに関連するオプションのコンテキストメニュー104にアクセスできる。
【0030】
上記の「透かしを意識した」ファイルブラウザは、「透かしを読み取る」又は「透かし」等のオプションのリスティングによりコンテキストメニューのオプションを増やす。ユーザーがカーソルを「透かしを読み取る」オプションの上に位置付けると、オペレーティングシステムは透かしデコーダをメディアオブジェクト上に呼び出す。透かしデコーダは、メタデータデータベースにアクセスし、透かしリンクに関連するデータベースから項目を検索する為に、透かしリンクを抽出しネットワーク通信ソフトウェアと協調して作動する。ファイルブラウザは上記項目をウィンドウ106に表示する。
【0031】
メタデータデータベースにアクセスするには様々な方法がある。メタデータは局地的に(同一の装置にメディアオブジェクトとして)ローカルエリアネットワークに又は広域ネットワークに記憶され得る。インターネット等のコンピュータネットワークの遠隔コンピュータにデータベースが配置されている場合は、データベースと接続する為にネットワーク通信ソフトウェアが使用され得る。
【0032】
選択されると、「透かし」オプションは、情報の読み取り及び埋め込みの為の更なるオプション(「情報を読み取る...」及び「情報を埋め込む...」)を表示する。画像情報106とラベル表示されたウィンドウは、画像に埋め込まれた透かしリンクを介して画像に関連するメタデータと動作を表示する。上記の例では、ウィンドウ106は画像のサムネイル、画像属性(例えば、幅、高さ、解像度、ピクセルあたりのビット数)、付加的な情報と動作(リンク114、116の関係する画像の検索など)への一連のHTMLリンク108〜116を表示する。
【0033】
透かしを介してリンクされる項目を表示する別の方法は、図2に示す付加的なプロパティページに項目を挿入することである。ファイルブラウザを実行している間は、カーソルをメディアオブジェクトのアイコンの上に位置付けながらマウスを右クリックすることで、ユーザーはプロパティ(図1のオプション118)にアクセスできる。プロパティの選択に応じて、オペレーティングシステムは図2に示すようなプロパティのウィンドウを表示する。メディアオブジェクトに関連するプロパティページの各々にはタブ(例えば、全般、画像、透かし、セキュリティ)がある。図2では透かしページが選択されている。図1のウィンドウ106に表示されるオプションと同様に、透かしページは付加的な情報や動作への一連のHTMLリンク202〜210をリスティングする。選択されると、潜在的なURLの情報を検索する為にリンクはインターネットブラウザを呼び出す。検索208〜210のような動作については、リンクはメディアオブジェクトの属性等の付加的なパラメータをURLでサーバに渡し、次にサーバは上記パラメータを用いて検索を実行し結果をインターネットブラウザに戻す。
【0034】
ファイルが透かしを持つデータを含むことを反映させるその他の方法は、ファイルの透かしの存在を示す為に、グラフィックの「透かし標識」アイコンをファイルのアイコンに重ね合わせることである。
【0035】
態様は変化する場合があるが、図1及び図2に示した例はウィンドウズエクスプローラファイルブラウザのシェル拡張機能である。デコーダはウィンドウズエクスプローラのCOMオブジェクトクライアントとして実装される。COMオブジェクトクライアントはオペレーティングシステムにシェル拡張ハンドラとして登録されている。図1はコンテキストメニューを示し、図2はプロパティページハンドラを示す。
【0036】
別の可能な態様は、メタデータオプションを受け取り表示するメタデータ検索アプリケーションを起動する為にシェル実行コマンドを利用するシェル拡張機能の実装である。上記インプリメンテーションは、ファイルブラウザユーザインタフェースにコンテキストメニューの拡張などの拡張機能を増設する。ユーザーがファイルブラウザユーザインタフェース内でメディアファイルオブジェクトを選択すると、任意のタイプのメディアオブジェクトに関連するメタデータ検索プログラムを起動する為に、ファイルブラウザユーザインタフェースはコンテキストメニューをオプションと共に表示する。多数の動作が上記オプションに結び付けられ得る。1つの動作はメタデータ検索アプリケーションプログラムの起動である。もう1つの動作は選択されたオプションを実行するメディアプレーヤの起動である。もちろん、両方の動作をマルチタスクオペレーティングシステムで同時に起動可能である。
【0037】
メタデータ検索アプリケーションの1つの例は、透かしメッセージを抽出しオブジェクト識別子をメッセージからメタデータサーバへ転送する透かしデコーダであり、メタデータサーバはその後メタデータを戻す。前述のように、検索アプリケーションは、透かしが既に抽出されてメタデータの検索に最近使用されている場合は、オブジェクト識別子を透かしから抽出する必要はない。代わりに、検索アプリケーションはメタデータと動作のユーザーへの表示へと移行できる。
【0038】
検索アプリケーションを起動する為に、シェル実行コマンドはメディアオブジェクトの名前及び位置を検索アプリケーションに渡す。検索アプリケーションは、リンクされたメタデータと動作を表示する為に、それ自信のユーザーインターフェースを呈示することができ、又は、リンクされたメタデータと動作をファイルブラウザに渡して、当該ファイルブラウザがその後プロパティページやコンテキストメニュー等の拡張の内部でメタデータと動作を表示することができる。検索アプリケーションは、透かしをデコードする又はメタデータサーバからのメタデータの更新を要求する前に許可を願い出るようユーザーに促す場合がある。更に、検索アプリケーションは、ウェブサーバのメタデータの要求を出し、また、サーバから戻されたメタデータと動作をHTML文書で表示する為に、インターネットブラウザ等の1つ以上の他のアプリケーションを起動し得る。
【0039】
上述のアプローチは画像や映像や音声のファイルを含む様々なメディアオブジェクトファイルに対し実装できる。更に、オブジェクト識別子は透かしで挿入される必要はないが、その代わりにメディアオブジェクトファイルのどこかほかの場所、例えばファイルヘッダ等に置かれる場合がある。
【0040】
<ブラウザの場合>
透かしデコーダはインターネットブラウザアプリケーションに統合される場合もある。ファイルブラウザのように、インターネットブラウザはローカルコンピュータで又はネットワーク全体にわたってファイルのディレクトリをブラウズできる。マイクロソフト社のインターネットエクスプローラやネットスケープナビゲータのような市販されているブラウザは一般に、HTTPやFTPのような転送プロトコルをサポートし、HTML、Java、ビジュアルベーシック、スクリプト(例えば、Javaスクリプト、ビジュアルベーシックスクリプト等)を含むコードを解釈又はコンパイルする為に付加的な構成要素を持つ。更に、インターネットブラウザはコンピュータ又は他の装置のユーザーインターフェースでの表示の為にHTMLを構文解析してレンダリングできる。
【0041】
透かしデコーダのインターネットブラウザへの統合を説明する為に、以下の例を考察する。インターネットブラウザがウェブページをインターネット上のメディアオブジェクトと共にダウンロードし構文解析する際、インターネットブラウザは上記オブジェクトのリスティングを保存しオブジェクトを透かしの存在について検査する。リスティングにおいて、インターネットブラウザは、オブジェクトの表象及び場合によってはメディアオブジェクトが発生されたURL等の他のデータに、透かしの存在を反映させる為に透かしによる注釈を付ける。メディアオブジェクトの目に見える表象を呈示するアプリケーションウィンドウ(例えばアプリケーションバー)を見ることで、ユーザーはリスティングにアクセスし得る。画像については、メディアオブジェクトを表現する1つの方法は、画像のサムネイルの使用による。画像及び他のオブジェクトは、グラフィックのアイコン、テキストの記述、又はその両方で表現され得る。
【0042】
透かしオブジェクトは、特徴的な音声やロゴのような、目に見える標識や音声の標識により区別され得る。ユーザーは、幾つかのやり方で透かしイネーブルオブジェクトの表象を選択することで、メディアオブジェクトに関連するメタデータや動作を見る。例えば、ユーザーは、透かしを介してオブジェクトにリンクされたメタデータや動作のメニューにアクセスする為に、サムネイル、アイコン、ロゴ、又はテキストの記述をクリックできる。
【0043】
透かし入りオブジェクトを示す他の方法は、ユーザーがグラフィカルユーザインタフェースに表示された透かし入りオブジェクト又はオブジェクトの表象の上にカーソルを通過させる際に、ソフトウェアアプリケーションのグラフィカルユーザインタフェースにおけるカーソルの体裁を変えることである。カーソルを変える1つの方法は、カーソルを通常のポインタから、検出された透かしオブジェクトのタイプに関連する特徴的なグラフィックアイコンへと変えることである。他の方法は、一連のフレームにわたりカーソルが何らかの他の形状又は図によるデザインにモーフィングするように、カーソルを動画化することである。同様に、ユーザーインターフェースは、ユーザーが透かし入りオブジェクトの上にカーソルを通過させる際に、透かし入りオブジェクトの外観を変えることができる。更に、ユーザーインターフェースは、ユーザーがオブジェクトの上にカーソルを通過させる際に、透かしを含むことを知らせる為に特徴的な音声を生成できる。
【0044】
米国特許出願09/165,142号が、HTMLページの画像からの透かしをデコードし、透かしの存在を示すロゴによる注釈を画像に付ける方法の例を提供する。上記出願は、メディアオブジェクトの表象(画像のサムネイル)をブラウザのアプリケーションウィンドウに呈示する方法を記載する。上記のアプリケーションウィンドウの1つは、インターネットのウェブページ又はその他の所をブラウズ中に発生した画像のヒストリを呈示する画像のサムネイルを表示する為に利用され得る。ユーザーは、画像を個別の「ブックマーク(bookmark)」又は「お気に入り(favorites)」リストに追加する為に、画像をクリックし得る。別のアプリケーションウィンドウは、ブックマークリストの画像のサムネイルを表示する為に利用され得る。画像又は画像の表現を選択することで、ブラウザは選択された画像に関連するネットワーク資源にリンクする(例えば関連URLを介して)。上記ネットワーク資源は画像が生成されたウェブページである場合がある。一方、資源は画像に埋め込まれた透かしリンクを介して参照されたウェブページである場合もある。透かしメッセージは、URL又はウェブページ等のネットワーク資源のURLを捜す為に利用されるオブジェクト識別子をエンコードする場合もある。例えば、URLは所有者のウェブページ又はライセンスサーバにリンクしてもよい。
【0045】
米国特許出願09/165,142号に記載の方法は、映像信号や音声信号のような他のメディアオブジェクトに応用してもよい。
【0046】
メディアオブジェクトに透かしを介してリンクされたメタデータと動作にユーザーがアクセスすることを可能とする1つの方法は、メタデータと動作をインターネットブラウザのユーザーインターフェースのメニューに表示することである。図3は、メディアオブジェクトに関連するメタデータと動作をインターネットブラウザのユーザーインターフェース300に表示する方法の例を示す。ブラウザリスナープログラムは、いつウェブページがダウンロードされたかを示すイベントをインターネットブラウザから受け取る。リスナーはブラウザからウェブページのメディアオブジェクトの単数又は複数のアドレスを要求する。アドレスはメディアオブジェクトがメモリ(メインメモリ、仮想メモリ、キャッシュ等)のどこに存在するかを示す。リスナーは透かしデコーダをメディアオブジェクト又はオブジェクト上に呼び出し、透かしデコーダにメモリのオブジェクトのアドレスを渡す。
【0047】
透かしを発見すると、リスナーはハンドラプログラムをメモリのウェブページに挿入する。上記ハンドラプログラムは、透かしの存在を示し情報と動作へのホットリンクを提供するロゴ又は他の標識をユーザーに呈示する役割を担う。例えば、図3の標識は、ブラウザのユーザーインターフェースで透かし入り画像オブジェクトのレンダリングの一種304に重ね合わされたロゴ302である。
【0048】
ユーザーがロゴの上にカーソルを通過させて選択する際に、図4に示すように、ロゴに関連するハンドラプログラムはオプションのメニュー400を表示する。リスナープログラムは、メタデータサーバ(例えば、局所的なサーバ又は遠隔のサーバ)と接続し、透かしから抽出されたオブジェクト識別子をサーバに渡し、関連する項目をサーバから受け取ることにより、上記オプションを検索する。上記項目は、メディアオブジェクトに関係するウェブページへのURLリンク、メディアオブジェクトに関する情報、ライセンスサーバ等の動作へのリンクを含む。
【0049】
特定のインプリメンテーションは変化する場合があるが、図3及び図4に示した例は、マイクロソフト社のインターネットエクスプローラブラウザへの文書閲覧拡張機能を利用して実装される。マイクロソフトのダイナミックHTMLは、インターネットエクスプローラリスナープログラムがHTML文書を変更するコードを挿入することを可能とするインターフェースを提供する。上記インターフェースを利用して、リスナープログラムは、表示を制御し入力に応答するJavaスクリプトを、図3に示す画像に重ね合わされたロゴへ挿入する。
【0050】
幾つかのアプリケーションでは、メディアコンテンツ及びウェブサイト開発者が透かしリンクに関連する機能を選択的にイネーブル又はディセーブルにする事を望む場合がある。上記特徴を実装する1つの方法は、メディアオブジェクトのコンテナ(例えばHTML)として動作するメディアオブジェクトファイル又は何らかの他のファイルを制御パラメータ(ヘッダファイルのフラグなど)を含むように変更することである。上記制御パラメータは、透かしイネーブルメディアオブジェクトの存在を示し、透かしリンクがイネーブルかディセーブルかを示す。制御パラメータは、特に消されない限り或いは逆の場合でない限り、デフォルトがアクティブであるように設計され得る。コンテンツ開発者がウェブサイト等の幾つかのマルチメディア作品にオブジェクトを組み込む場合、コンテンツ開発者は制御パラメータを介して透かしリンクをディセーブルにする事を選べる。編集ツール並びに他のアプリケーションプログラム及び装置は、透かしリンクをディセーブルにするよう特に指示されない限り、フラグを表示するよう設計され得る。
【0051】
他のアプリケーションでは、関連するメタデータへの永続的なリンクとして透かしが作用することが重要である。メディアオブジェクトは、別のシステムの中を移動する、コード化又はデコードの少なくとも一方をなされる、変更される、などの際に、メディアオブジェクトファイルに記憶された従来のメタデータを失う。上記の場合は、透かしは変換の様々な形式(例えば、デジタルからアナログへの変換、アナログからデジタルへの変換、圧縮など)に強いので、透かしリンクはメタデータを復元する為に利用され得る。
【0052】
透かしを介して利用可能になる機能を選択的に制御する他の方法は、ユーザーがメディアオブジェクトでの透かしのデコードをイネーブル又はディセーブルにすることを可能にすることである。
【0053】
更に透かしはブラウザのファイルキャッシュシステムの属性として利用可能である。上記によりキャッシュブラウザアプリケーションは、本願全体を通して記載されているように、キャッシュに保存されたファイルのうちどれが透かしを持つのかを識別でき、透かしに埋め込まれた情報に関連する機能を実行できる。
【0054】
<他のアプリケーションの場合>
以上に略述した特徴は、メディアオブジェクトを処理する任意のソフトウェアアプリケーションや装置に実装できる。例えば、メディアオブジェクトデータベースマネージメントシステムが同様の機能を実装する場合がある。デジタル資産マネージメントシステム及びデジタル権利マネージメントシステムが、メディアオブジェクトの利用を追跡し制御する為に透かしイネーブルリンクを使用する場合がある。
【0055】
ワードプロセシング、スプレッドシート、プレゼンテーションプログラム、メディアオブジェクト編集ツール等の、メディアオブジェクトに直面する他のアプリケーションは全て、メディアオブジェクトを付加的な情報と動作にリンクする為に、以上に略述した特徴の一種を幾つか利用できる。
【0056】
多くのアプリケーションプログラムは、本願に記載の技術を用いて拡張されたファイルブラウザ機能を持つ。例えば、ファイルオブジェクトをブラウズする為にファイルを開く(FileOpen)コマンドがよく使用される。上述のコンテキストメニュー拡張機能及びプロパティページ拡張機能が、ファイルをブラウズするサービスを提供するアプリケーションの為に実装され得る。
【0057】
更に透かしエンコード機能及び透かしデコード機能が、Napster、Gnutella、Freenet、Scour等のようなピアツーピアファイル共有システム等のファイル共有システムに統合され得る。ファイル共有システムでは、コンピュータネットワークで相互に接続された多くのクライアントコンピュータでファイル共有ソフトウェアが実行される。上記ソフトウェアは、当該ソフトウェアが実行されるコンピュータとネットワークを介して相互に接続された他のコンピュータとでの共有に利用可能なファイルを追跡する。ファイル共有ソフトウェアは、ファイル転送(ファイルのコンピュータへのアップロード及びダウンロード)を制御し、ファイルが完全でウイルスがないことを確認し、ファイル共有システムでファイルの検索に利用されるメタデータを移送し、使用権利を得たりファイル又は関係する製品やサービスの知的所有権を購入する為の付加的な情報及び機会へのリンクを移送する為に、透かし又は他の形式でファイルに埋め込まれたデータを利用し得る。上記機能にアクセスする為に、ファイル共有ソフトウェアは、透かし又は埋め込まれた他のデータをデコードするソフトウェアを含む。上記機能を挿入し変更する為に、ファイル共有ソフトウェアは、透かし又は埋め込まれる他のデータをエンコードするソフトウェアを含む。上記アプリケーションのより多くの情報については、参照して以上に組み込まれる2000年7月20日提出の米国特許出願09/620,019号における「Using Embedded Data with File Sharing」を参照されたい。
【0058】
<コンテキストセンシティブ透かしリンク>
透かしを介してメディアオブジェクトにリンクされた動作及び情報はコンテキストセンシティブである場合がある。「コンテキスト」の幾つかの例は、アプリケーションコンテキスト(例えば、オブジェクト上で作動しているアプリケーションプログラムのこと)、オブジェクト位置コンテキスト(ユーザーに相対的にオブジェクトが存在する場所)を含む。例えば、ユーザーがオブジェクトを編集ツールで操作する時は、ワードプロセシング文書、スプレッドシート、プレゼンテーション等の文書へのオブジェクトの挿入とは対照的に、リンクの動きは異なる場合がある。更に、透かしリンクの動きは、イントラネットで又はインターネットでオブジェクトがユーザーに相対的に局地的かどうかに基づいて変化する場合がある。
【0059】
デコーダアプリケーションは、メディアオブジェクトのコンテキストに応じて、異なるメタデータ又は処理動作にリンクし得る。上記機能を実装する為に、透かしデコーダはコンテキスト情報をメタデータデータベースに提供し、メタデータデータベースは次にコンテキスト特定メタデータを提供するか、又はコンテキスト特定動作を起動する。例えば、オブジェクトが編集ツールによって編集された場合は、デコーダは、透かしから抽出されたリンクに加えて編集ツールについての情報をデータベースに提供する。同様に、デコーダは、ユーザーのコンピュータに対してオブジェクトが存在する場所を示すコンテキスト情報を提供し得る。コンテキスト情報をキーとして利用して、メタデータデータベースはコンテキストに関連するメタデータを戻す、又はコンテキストに関連する処理動作を起動する。
【0060】
コンテキストセンシティブな挙動を実装する別の方法は、透かしにリンクされた動作や情報の呈示をメディアオブジェクトのコンテキストに基づいてデコーダに制御させることである。コンテキストがアプリケーションによって定義されている場合は、上述のアプローチは、リンクされたメタデータと動作の全てにアプリケーションをアクセスさせ、リンクされた動作や情報のユーザーへの呈示をアプリケーションに制御させることと似たようなものである。上記のシナリオでは、メタデータデータベースは少なくともリンクされた情報や動作の記述子を戻し、アプリケーションはコンテキストに基づいて応用する情報や動作のサブセットのどれかを選択する。コンテキストがオブジェクトの位置によって定義されている場合は、デコーダは同様な方法で動作する。例えば、デコーダはリンクされた動作や情報のサブセットをコンテキストに基づいて選択する場合がある。
【0061】
コンテキスト情報の特定の例は、インターネットで“クッキー(cookie)”技術を利用してユーザーのコンピュータによりウェブサーバに供給されたユーザー情報である。まず、ユーザーのコンピュータは、画像や音声や映像の信号などのメディアオブジェクトからの透かしをデコードする。その後ユーザーのコンピュータは、ユーザー情報を含むクッキーと共に、透かしから抽出された情報をメタデータサーバ又はルータ(一般にサーバと呼ぶ)に送信する。サーバは、ユーザー個人専用の情報や動作を捜す為に、クッキーからのユーザー情報をメディアオブジェクトの透かしから抽出された情報と共に操作する。メタデータサーバは、例えば、クッキーを構文解析し、情報を参照したりネットワーク資源(ウェブページのURL)へとアドレス指定したりする為に、クッキーの情報に関係するデータベースでクッキーを利用する。サーバは更に、透かし入りオブジェクトに関係する情報やリンクのサブセットを捜す為に、透かし情報を利用することにより関係する情報やリンクを制限する。その後、サーバやデータベース操作で参照された他のネットワーク資源は、ディスプレイや音声出力装置でのレンダリングの為に関連する情報をユーザーのコンピュータに戻す。上記アプローチは、戻される情報を、ユーザーの関心を引きそうな特定のニュース、広告、コンテンツなどに限定する為に利用可能である。同様の効果は、クッキー情報として同様な方法で利用されるユーザーのプレファレンスを供給するようユーザーのコンピュータをプログラムすることで実現する。
【0062】
<多様なタイプの透かしのサポート>
透かし技術が普及するに伴い、メディアオブジェクトが、各々が透かしエンコーダ及び透かしデコーダのセットに関連する、異なるタイプの透かしを持つ場合がある。各々に異なるタイプの透かしに対応する為に、デコーダは各々に異なる透かしプロトコルをサポートするように設計可能である。透かしプロトコルは、任意のタイプの透かしをデコードする方法を指定するキー及び他のパラメータを提供する。或いは、一般的なアプリケーションプログラムインターフェース(API)が、各々に異なるコア透かしエンコーダ及びコア透かしデコーダソフトウェアモジュールや装置用に指定され得る。上述の方式により、透かしエンコーダ機能及び透かしデコーダ機能を呼び出し依然として透かしプロトコル又はコア透かし方法の少なくとも一方から独立している多くの各々に異なるタイプのアプリケーションや装置の開発が容易になる。
【0063】
各々に異なるコア透かし方法をサポートする為に、ユーザーは各々に異なるコア透かしエンコーダモジュール又はデコーダモジュールの少なくとも一方の2つ以上をインストールする場合がある。例えば、コアモジュールがプラグイン又はダイナミックリンクライブラリとして実装される場合がある。モジュールをインストールすると、インストレーション処理は、透かしのタイプがサポートされていることを反映させる為に、ウィンドウズオペレーティングシステムのレジストリ等のレジストリを更新する。上記のように、各々に異なるタイプのメディア用の透かしデコーダや単一タイプのメディア用の各々に異なるタイプの透かしデコーダがサポートされる場合がある。
【0064】
メディアオブジェクトが未知のタイプの透かしを含む場合は、メディアオブジェクトファイルは、例えばファイルヘッダのパラメータを通じて、透かしのタイプを指定することがある。ファイルブラウザ、又はコア透かしモジュールの他のクライアントは、タイプパラメータをメディアオブジェクトから抽出しAPIを介して上記パラメータ及びメディアオブジェクトへの参照をコアモジュールに渡すことで、適切なデコーダを呼び出す場合がある。APIは要求を適切なコアモジュールへとルーティングし、次に上記コアモジュールは透かしメッセージを抽出しAPIに戻す。APIは要求しているアプリケーションにメッセージを渡す。
【0065】
タイプパラメータが利用できないイベントでは、オブジェクトを処理するアプリケーションや装置は、何らかのプロトコルが存在するかを検査する為に、サポートされている透かしプロトコルの全てを徹底的に列挙する場合がある。メディアやファイルの任意のタイプ用透かしプロトコルは、装置やアプリケーション(例えば、オペレーティングシステムのレジストリ)に登録される場合がある。各プロトコルを検査する為に、アプリケーションは、プロトコルに関連する透かしが存在するかどうかを上記のプロトコルについて決定する透かしスクリーニングプロセスを呼び出す。
【0066】
<メディアオブジェクトのブランド化>
透かしは、他のサービスへの電子的なアクセスを容易にすることに加え、「ブランド化(branding)」を確立する為に利用できる。上記のブランド化アプリケーションでは、クライアントの透かしデコーダイネーブルアプリケーション又は装置は、オブジェクトからの埋め込まれた透かしメッセージを読み取り、サムネイル画像(例えばブランドの「ブランド画像」)等のデジタルのロゴにアクセスする為に透かしメッセージを利用する。デコーダイネーブルアプリケーションは、透かしメッセージから得たオブジェクト識別子をサーバ(インターネット上のメタデータサーバ等)に送信し、サーバは応じてロゴを返す。アプリケーションは次にロゴをレンダリングし、ロゴは望ましくは、クライアントコンピュータや装置のユーザーインターフェース上でメディアオブジェクトのレンダリングの一種又はメディアオブジェクトのグラフィック表現に重ね合わせられる。
【0067】
幾つかのシナリオでは、サーバは更に、汎用の「使用権利」サーバ又はメディア所有者に保持された特定用途向けの「使用権利」をポイントするアドレス(例えばURL)を戻す。インターネットコンテキストでは、サーバは関係するウェブサイトへの1つ以上のリンクを戻し得る。接続権利及び共同のブランド化サービスはインターネット上の中央サーバを介して提供され得る。
【0068】
動作及びメタデータにリンクする為にオブジェクト識別子を利用して、透かしイネーブルアプリケーションは、ブランド化サービス及び使用権利サービスを拡張する多数のオプションを持つ。アプリケーションは、オブジェクト識別子に関連する「更新可能な」使用権利を表示可能である。目に見えるメディアオブジェクトでは、アプリケーションは、レンダリングされたオブジェクトの一部の上に(例えば、映像のフレームの角に、所定の時間ごとに周期的に)目に見えるように重ね合わせられたロゴ、又はメディアオブジェクトの再生が開始する前のスプラッシュスクリーン起動の際に表示されたブランド化されたロゴを表示し得る。ブランド化情報を目立たないようにする為に、メニューを通じた要求と同時に(例えば、オブジェクトの表現又は「ヘルプ」メニューをユーザーがクリックした時に)ブランド化情報がアクセス可能になる場合がある。
【0069】
ブランド化サービスは、コンテンツ所有者のホームページ又はライセンスサーバへのホットリンク等の付加的な機能により、著作権通知の概念を実質的な常に存在するブランド化の機会へと変換する。ブランド化サービスは、透かしペイロードのコピーマネージメント命令等の他の透かしイネーブル機能と組み合わされる場合があり、上記透かしペイロードは、例えばオブジェクトが再生されるか、コピーされるか(可能なコピーの数)、書き込まれるか、他の装置又はシステムに転送されるか、などを示す制御パラメータである。使用を制御する上記命令の提供に加えて、透かしペイロードは消費者に付加価値を提供し(例えば、メディアオブジェクトに関連する付加的な情報やサービスにリンクする)、確実にメディアオブジェクトを良好にラベル表示し再生中にブランド化する。
【0070】
複雑なブランド化ホットリンク、使用権利サービス、コンテキストセンシティブリンクの追加は、上記特徴をサポートするソフトウェアプログラム、メタデータ、プログラム及びメタデータへのポインタと、透かしリンクを関連させることでなされる場合がある。上記特徴の追加は、メディアオブジェクト識別子の受け取りに応じて実行される又は戻される動作又はメタデータの少なくとも一方のリストに上記特徴が加えられることで、メタデータサーバでなされる場合がある。更に、デコーダイネーブルアプリケーションは、各々に異なるサービス又はメタデータのセットをオブジェクト識別子に提供する2つ以上のサーバにメディアオブジェクト識別子を送るようプログラムされる場合がある。
【0071】
<メタデータの集合>
幾つかのアプリケーションでは、メディアオブジェクトは2つ以上の異なる資源からのメタデータに関連付けられ得る。メタデータは、メディアオブジェクトを記憶するファイルに記憶され得る。例えば、JPEG2000、TIFF、JPEG、PSDのようなファイルフォーマットは、メディア信号(例えば画像)に加えてメタデータを記憶可能とし得る。メディアオブジェクトに関連するメタデータ及び命令は、メディアオブジェクトと同一の装置又は遠隔装置(例えば遠隔データベース)に記憶され得る。上記タイプのアプリケーションでは、デコーダは異なる資源の各々からのメタデータを抽出するようにプログラムされ得る。ファイルタイプのメディアタイプは、上記の各々異なる資源からのメタデータを抽出するようデコーダに信号を送る。一方、透かしメッセージ又はファイルメタデータは、メタデータの各々異なる資源を列挙し得る。
【0072】
上記アプリケーションでは、デコーダの設計は、1つ以上の各々に異なる資源からのメタデータを得て、次に全ての情報の集合を呈示するようなされ得る。デコーダは、集合機能を自動的に実行したり、表示の為にメタデータの所望の資源を選択するようユーザーに促したりする。
【0073】
<付加的な機能>
透かしメッセージペイロードを利用し、また、他のデータ及び動作への透かしリンクを利用する多くの特徴が実装される。幾つかの例を以下に強調して示す。
【0074】
(メタデータ)
メタデータは多くの形式で表され付加的な機能を提供できる。一般に、メタデータはメディアオブジェクトについての情報である。メタデータは更に、実行すべき装置命令や、情報や命令の参照(オブジェクト、ユーザー、プログラム、又は、データベースに対する、装置識別子、URL、ポインタ、インデックス、キー等)も含む。装置命令は、例えば、オブジェクトのレンダリング、デコード、解読または他の処理を制御し得る。一方、命令は幾つかの補助的機能を提供し得る。
【0075】
メタデータの重要なアプリケーションの1つは、所有権情報の提供である。もう一方はライセンス条件及び使用権利の提供である。
【0076】
メタデータは、ユーザーや他のアプリケーションが使用するメディアオブジェクトの属性を記述する為に利用可能である。例えば、1つの属性はコンテンツを制限された通りに指定し、無認可のユーザーに対しアプリケーションがコンテンツをレンダリングするのを防ぐ。もう一方の属性はオブジェクトを商用に指定し、オブジェクトがレンダリングされる前に支払い及びライセンスを捜すようアプリケーションに要求する。
【0077】
(複数の透かし)
メディアオブジェクトは、2つ以上の透かし又は透かしメッセージを含む場合があり、透かし又は透かしメッセージの各々は情報や動作の別個のセットに関連付けられている。例えば、メディアオブジェクトは、クリエータID、ディストリビュータID等を含む場合があり、上記IDはそれぞれ、クリエータやディストリビュータについての情報にリンクする。
【0078】
オブジェクト生成時、又はオブジェクトが転送された後、コピーされた後、編集された後に、透かしをメディアオブジェクトに追加する方法は多数ある。1つの方法は、個別の透かしをメディアオブジェクトの異なる部分にインターリーブすることである。上記方法はメディアオブジェクトの独立した属性を変更することで達成される。上記文脈では、独立した、という単語は各透かしが他の透かしの検出の妨害にならないことを意味する。2つの独立した透かしがメディアオブジェクトの同一の分離しているサンプルを変える場合があるが、不正な読み取りが全く生じないように変える。
【0079】
独立した透かしは、ホストメディア信号の各々に異なる空間的な位置又は時間的位置(例えば、画像、映像、音声、図によるモデル等)に設置され得る。独立した透かしは各々に異なる周波数帯や周波数係数に設置され得る。更に透かしは、信号の各々に異なる部分の信号の独立した特徴、例えば位相、エネルギー、電力等を変調することで独立させられる場合もある。
【0080】
概念を説明する為に静止画像オブジェクトの例を考察する。独立した透かしの各々は異なるプロトコルを通じて定義することができ、上記プロトコルは各々に異なる透かしメッセージ(例えば、メディアオブジェクトのクリエータ、ディストリビュータ、ユーザー等についての各々に異なる透かしリンク)のエンコードに利用される。独立した空間的透かしは、透かしの各々を画像の空間的な位置のユニークなセットにマッピングすることでインターリーブされ得る。
【0081】
同様にして、独立した透かしは、各透かしをユニークな時間的位置にマッピングすることで音声や映像のような時間的データのシーケンスにエンコードされ得る。
【0082】
(デジタル権利マネージメント)
透かしは、メディアオブジェクトの利用を制御する情報と処理動作にリンクされ得る。例えば、メタデータは、オブジェクトの知的所有権の所有者をライセンス条件及び条項と共に示す場合がある。更に、透かしリンク又はメタデータは、オブジェクトの利用を制御する処理動作、例えばユーザーへの支払い提出要求やデコードキーの交換(例えば、解読や復元など)をトリガする。オブジェクトのデコードの幾らかは透かしを抽出するよう要求される場合があるが、ユーザーが適正な使用権利を得るまでコンテンツの残りはエンコード又は暗号化の少なくとも一方をされたままの場合がある。
【0083】
デジタル権利マネージメント機能は、メタデータサーバ等のライセンスサーバ又は使用権利サーバに実装可能である。上記サーバは、透かしメッセージに基づき所有者及びライセンス条件を決定し、オブジェクト使用の認可の為に要求された動作を実行し、上記動作は例えば、ユーザーからの支払い情報の電子的な受け取り、ライセンスに対するユーザーの同意の確立及び記録、トランザクションの詳細の所有者への転送、使用キーのユーザーへの復帰である。ユーザーがメディアオブジェクトを再生したりレンダリングしたりする際に、透かしデコーダは、例えば使用例、プレーヤの装置ID、使用時間等の、使用に関する情報にログする為にメッセージをサーバに送信可能である。
【0084】
(使用制御用の透かし及びコンテキスト情報)
透かしデコーダは、上記オブジェクトの使用を制御する為に、メディアオブジェクトに埋め込まれた透かしから抽出した情報に加えてコンテキスト情報も使用できる。例えば、透かしデコーダのプログラムは、透かしの制御データ及びオブジェクトの存在する装置やシステムから引き出されたコンテキスト情報の制御データに依存して、メディアオブジェクトの表現、編集、コピー、転送を制御するようになされる場合がある。例えば、メディアオブジェクトが任意ファイルの外部(例えば、特定のウェブページ、コンピュータシステム、コンピュータネットワーク等)にある場合は、透かしはデコーダにメディアオブジェクトのレンダリングを禁止するよう命令し得る。上記の制御データを含む透かしがデコードされた後、デコーダは、特定の操作をイネーブルにする為になくてはならない関連コンテンツ情報を決定する。上記は、操作をイネーブルにする前に、ユーザー識別子、コンピュータ識別子、ファイル識別子、記憶メディア識別子、コンピュータ識別子、ネットワーク識別子などの存在を確認するような動作を包含する場合がある。上記識別子は、上記識別子が識別するエントリに関連して記憶されるか、上記エントリからダイナミックに引き出される。例えば、ファイル識別子は、ファイルヘッダ又はフッタに記憶されたりファイルのコンテンツから引き出され得る。記憶装置識別子は、記憶装置に記憶されたり記憶装置のコンテンツ又は記憶装置の幾つかの属性から引き出され得る。
【0085】
メディアオブジェクトの上記コンテキストセンシティブ制御は、音楽や映画のようなメディアファイルの使用の制御には特に有用であるが、透かしがエンコードされ得る他のタイプのメディア信号にも適用される。例えば、上記コンテキストセンシティブ制御は、ウェブページ、コンピュータ、記憶装置(例えばCDやDVD)、ファイル共有ネットワーク、加入サービスの支払済み加入者のコンピュータ、関係するメディアオブジェクトの収集物、などのコンテキストからメディアオブジェクトが削除される際に、メディアオブジェクトのレンダリング、コピー、転送を禁止する為に利用され得る。
【0086】
(資産マネージメント)
メディアオブジェクトに埋め込まれた透かしは資産マネージメントにおいて役割を果たす場合がある。オブジェクトが処理される(開かれる、編集される、コピーされる、など)度に、デコーダを装備するアプリケーションが処理イベントについての情報にログする。一方、上記アプリケーションはインターネットを介してモニタサーバにトランザクションイベントを送ってもよい。トランザクションイベントは、オブジェクトについての情報、例えば上記オブジェクトのID、ユーザーのID、使用の時間及び位置、使用の性質(再生の数)などを指定する場合がある。モニタサーバ又はアプリケーションは、上記トランザクションイベントをデータベースに記録し、要求に応じて、任意のオブジェクトの使用又は任意のエントリによる使用についてのレポートを生成する。トランザクション記録の任意のフィールドは、データベースに照会し特定のレポートを生成する為に使用可能である。
【0087】
(ディレクトリサービスとの統合)
ライトウェイトディレクトリアクセスプロトコル(LightweightDirectoryAccessProtocol)(LDAP)のようなディレクトリサービスは、付加的な機能を提供する為に透かしを使用可能又は透かしデコーダと共に動作可能である。LDAPは、読み取り、検索、追加、削除などのディレクトリ操作の実行の為に使用されるネット上のプロトコルである。
【0088】
例えば、LDAPサービスは、いつ透かしリンクを抽出しメディアオブジェクトの属性を更新するかを決定する為に使用可能である。例えば、LDAPサービスは、メタデータサーバから所定時間に透かしデコーダを呼び出しメディアオブジェクトの属性の更新を検索することで、メディアオブジェクトの属性の周期的な更新を制御し得る。透かしデコーダを含む又は透かしデコーダにアクセスするLDAP検索フィルタは更に、コンピュータ中のファイルディレクトリに記憶されたファイル中の透かし入りメディア信号の発見の為に、提供され得る。
【0089】
(メディアオブジェクトのプレーヤ及びデリバリの統合)
透かしデコーダは、メディアオブジェクトの再生又は編集の為にソフトウェア及び装置と共に統合され得る。様々なプレーヤがあり、ほんの少数を挙げてみただけでもLiquid Audio、マイクロソフト、RealNetworks等から市販されている。上記統合により、メディアオブジェクトにリンクされたメタデータと動作は、プレーヤのユーザーインターフェースを通じてシームレスにユーザーへとアクセス可能になる。例えば、ユーザーが映像ファイル及び音声ファイルを再生する際に、透かしイネーブルプレーヤは、リンクされたメタデータや動作に自動的又はユーザーの選択に際してアクセスし表示し得る。どちらの場合も、メタデータや動作がオブジェクト識別子を介して遠隔サーバから得られることをユーザーが意識する必要はない。更に、上記統合は、いつどこでオブジェクトが再生されても、再生時にコンテンツ所有者がオブジェクトをライセンスや資産使用制御の情報や動作へリンクさせることを可能にする。本願全体を通して詳述されているように、上記情報と動作の実装は、データや命令をオブジェクト内部の透かしに配置する、又はオブジェクト外部のメタデータや動作にリンクする透かしにオブジェクト識別子を入れることで可能である。
【0090】
多くの場合、透かしを介して提供された機能へのアクセスはユーザーに見えないよう行うことが望ましい。従ってメディアプレーヤは、透かしを介してリンクされた項目がユーザーインターフェースに自然な拡張として出現するよう上記項目を表示する為に拡張可能である。オブジェクトを再生する為にユーザー又は他のプログラムがメディアプレーヤを呼び出したら、メディアプレーヤは、透かし内部の又は透かしを介してリンクされたメタデータや動作をメディアプレーヤのユーザーインターフェースの拡張に表示する。
【0091】
メディアプレーヤの起動時や何らかの他の時間(例えば、バックグラウンドタスクとして、ユーザーの要求に応えて、メディアプレーヤの存在するコンピュータや装置にオブジェクトがロードされた時など)に、上記メタデータや動作は検索され得る。1つのシナリオでは、メディアプレーヤはユーザーのオブジェクト再生要求に応えて透かしデコーダをオブジェクト上に呼び出す。上記シナリオでは、メディアプレーヤはオブジェクトのアドレスを透かしデコーダに渡し、次に透かしデコーダはオブジェクトに埋め込まれた透かしのデコーダを試みる。透かしを設置すると、デコーダは透かしから抽出されたオブジェクト識別子をメタデータサーバに転送し、次にメタデータサーバはオブジェクト識別子に関連するメタデータや動作を戻す。メタデータ検索中、メディアプレーヤはメディアオブジェクトの再生へと移行する。リンクされたメタデータが届くと、メディアプレーヤへの拡張機能は戻されたメタデータや動作を表示する。
【0092】
図5は、メタデータと動作を示すマイクロソフトのウィンドウズメディアプレーヤの拡張された一種の例を示す。上記の例では、メディアオブジェクトに関連するメタデータ及びリンクを示す為にプレーヤのユーザインタフェースィンドウが底部分502に展開されている。ユーザーがカーソルを項目「クリップ」、「著者」、「著作権」の上に位置付けると、底部タブ504は上記項目に関連するURLを表示する。項目の1つをクリックすることで、プレーヤはインターネットブラウザを呼び出し、上記インターネットブラウザは選択されたURLの資源へと照会を送る(例えば、HTML文書をダウンロードする為のHTTP要求を要求する)。
【0093】
透かしデコーダは、メディアプレーヤを起動する別のアプリケーションに呼び出され得る。ファイルブラウザ又はインターネットブラウザのどちらかによりユーザーが音声ファイル又は映像ファイルをブラウズする場合を考察する。所望の再生するメディアオブジェクトを発見した後に、ユーザーは再生するオブジェクトを選択する。例えば、ウィンドウズエクスプローラのコンテキストメニューを介して、又は上述のようにHTML文書への挿入を介して、ユーザーは「再生」オプションを選択できる。第1の場合は、シェル拡張機能が、関連するメタデータを得る為に透かしデコーダを呼び出しプログラム(例えば、COMオブジェクト、スクリプト等)を実行し、上記プログラムはメディアプレーヤを実行し透かしを介してリンクされた付加的なメタデータを表示する。第2の場合は、HTML文書のJavaスクリプト又は他の挿入物は、デコーダを呼び出し、メディアプレーヤを同様に実行するプログラムを開始する。
【0094】
ウィンドウズメディアプレーヤを制御するプログラムを実装する1つの方法は、Advanced Streaming Redirector (ASX)ファイルの使用による。上記ファイルは、プレーヤを起動し透かしを介してリンクされたメタデータ(例えば、URLリンク及びオブジェクトについての情報)を表示するスクリプトを含む。ウィンドウズメディアプレーヤを制御する為のASXファイル及び上記ファイルの使用についての情報に関しては、マイクロソフトのディベラッパーのネットワークを参照されたい。
【0095】
(コンテンツ許可ツール)
ウェブページ設計ツールを含むメディアコンテンツ許可ツールは、ウェブページコンテンツなどのコンテンツに透かしを埋め込む透かし埋め込み機能を含み得る。上記の埋め込まれたデータはその後、埋め込まれた透かしデータに関連する機能を実行するよう透かしデコーダイネーブルソフトウェア又は装置及びソフトウェアに信号を送る。
【0096】
上記ツールは更に、メディアオブジェクトを透かしについてスクリーニングするよう、コンテンツ開発者が透かしデコーダ特徴をコンテンツ許可環境内で使用することを可能にする為に、透かしデコーダ機能を含み得る。編集されているメディアオブジェクト内部の透かしが情報(例えば、著作権所有者情報、ライセンス条件など)を運ぶ場合は、許可ツールは上記情報をユーザーへと運ぶことができる。透かしが使用制御情報を含む場合、許可ツールは上記情報に基づいてメディアオブジェクトの使用を制御できる。例えば、メディアオブジェクト内の透かしは、ユーザーがライセンスサーバから許可を得ない限り許可ツールがメディアオブジェクトを編集することを禁止する命令を運ぶ場合がある。
【0097】
(ウェブサーバ統合及び関連アプリケーション)
透かしエンコーダ機能及び透かしデコーダ機能は更に、付加的な機能にくわえて本願に記載された機能をサポートする為に、ネットワークサーバアプリケーションソフトウェアに統合され得る。特に、透かしエンコーダ及び透かしデコーダはウェブサーバに統合できる。
【0098】
サーバへ、又はサーバから、或いはサーバを通過して転送されるメディアコンテンツに透かしを埋め込む為に、透かしエンコーダはウェブサーバに統合できる。透かしをサーバに埋め込む1つの理由は、サーバへの、又はサーバからの、或いはサーバを通過する上記情報の転送時に、トランザクション特定情報のメディアオブジェクトへのエンコードを行う為である。トランザクション特定情報は、サーバと何らかのほかのコンピュータとの間の電子トランザクションに関係する。例えば、メディアオブジェクトファイルのダウンロード又はアップロードの前に、サーバはファイルの受信者又は発信者の少なくとも一方についての情報をファイルのメディア信号(例えば、画像ファイル、映像ファイル、音声ファイル)に埋め込む場合がある。透かしは信号中にとどまるので、透かし内の受信者又は発信者の少なくとも一方についての情報も、デジタルからアナログ、アナログからデジタルへの変換、ファイルフォーマットの変更などにより、メディア信号と共にファイルにとどまる。
【0099】
サーバは、情報や動作へのリンク(関係するウェブサイトへのリンク)を、受信者又は発信者の少なくとも一方のプレファレンスにユニークに合わせられたファイルに埋め込み得る。プレファレンスは、インターネットブラウザで一般に使用され普及している“クッキー”技術などを通じて、ユーザーのコンピュータから得られたり、ユーザー(ユーザー識別子やユーザーのコンピュータの識別子)をユーザーのプレファレンス(例えば、ニュース、財政情報、スポーツ、イーコマース機会のような、コンテンツプレファレンスのタイプ)に関連付ける何らかの他のデータベースに存在する。上記の場合、サーバはユーザー識別子を得て、その後に関連するプレファレンスをデータベースに照会する。
【0100】
サーバは更に、上記のようにして得られたプレファレンスを、どの形式の広告をファイルに戻す又はリンクさせるかを制御する為に使用し得る。例えば、ユーザーは所望の音声や映像や画像のファイルをダウンロードするようサーバに要求し得る。応じて、サーバは、ユーザーのプレファレンスを得て、ユーザーのプレファレンスに対応する広告情報及びウェブサイトリンクと共に、要求されたファイルをダウンロードする。広告情報及びリンクは透かしを埋め込むことで参照可能であり、上記透かしは、情報のアドレスを含むか、情報又は他の情報やウェブサイト等へのリンクの少なくとも一方を記憶するデータベースエントリのインデックスを含む。サーバからダウンロードされたファイルを受け取るユーザーのコンピュータはその後、ファイルの透かしを介してファイルにリンクされたサーバ又は何らかの他のサーバからのファイル及び他の関係する広告情報(例えば、HTML、MXL、何らかの他の従来のデータフォーマットで提供される)をレンダリングする。
【0101】
サーバは更に、サーバとユーザーのコンピュータとの間の電子トランザクションでユーザーに要求されユーザーに支払われる使用制御権利に基づいて、使用制御情報をメディアファイルの透かしに埋め込み得る。使用制御権利は更に、他のアプリケーションによりデコード可能で、ファイルのレンダリング、コピー、記録、転送などを制御する為に使用可能である。
【0102】
ネットワークサーバは透かしデコード機能を含むことができ、上記透かしデコード機能は、例えばサーバへと、又はサーバから、或いはサーバを通過して転送されるファイルのメディア信号からの透かしをデコードするソフトウェアなどである。上記透かしデコード機能により、拡張された機能の提供に加えて、本願に記載の又は組み込まれる多数の透かしイネーブル機能をサーバが実行することが可能になる。例えば、透かしは、サーバが抽出し作用する使用制御データを含む場合がある。使用制御データの例には、コンテンツ評価情報(成人コンテンツ識別子)、コピー又は転送制御情報、レンダリング制御情報、圧縮又は復元の少なくとも一方の制御情報、暗号化又は解読の少なくとも一方の制御情報、外部の情報や動作へのリンクなどが含まれる。
【0103】
上記データを透かしから抽出した後、サーバは抽出されたデータに基づいてファイルを変更できる。例えば、サーバは、ファイルの転送前に透かしで特定された方法でファイルを圧縮又は暗号化し得る。コンピュータがファイルを受け取った際に、ユーザーは、ファイルのメディアオブジェクトをレンダリングする為に、互換性がある復元や解読のプログラムや装置をもつ必要がある。
【0104】
加えて、又は抽出された透かしデータに基づくファイル変更の代案として、サーバは、関係する情報又は命令を受信コンピュータへ送ることもでき、上記受信コンピュータの制御はファイルの使用を容易にする。例えば、コンテンツが「成人コンテンツ」としてマークされている透かしからサーバが決定された場合は、サーバは、どのように透かし入りコンテンツをレンダリングするかをブラウザ等のレンダリングソフトウェアに命令する為に、ファイルと共に付加的な情報を(例えば、透かし入りコンテンツを含むウェブページに加えてHTTPヘッダ情報を)送る。受信コンピュータのレンダリングソフトウェアはその後、どのようにコンテンツをレンダリングするかを決定できる。例えば、ファイルを受け取るコンピュータに子供がログオンした場合、レンダリングソフトウェアは、「成人コンテンツ」としてマークされているファイルのコンテンツをレンダリングしないことを選択できる。別の例として、サーバは、受信コンピュータによるコンテンツの解読や復元を可能にする為に、解読キーや復元キーをレンダリングソフトウェアに送るようサーバに命令する透かしをデコードする場合がある。公開鍵暗号化方式(public key encryption scheme)は、送信コンピュータと受信コンピュータとの間でキーの交換を実行する為に使用できる。他の例として、サーバは、ウェブサイトへのリンクを含む付加的な情報を透かし入りファイルと共に送るようサーバに命令する透かしを、サーバが透かしからデコードした情報に基づいてデコードする場合がある。
【0105】
(コンテンツのフィルタリング及びカウント)
透かしデコーダは、透かし入りメディアオブジェクトをフィルタリングし透かし入りメディアオブジェクトの事例をカウントする為に、コンピュータ及びコンピュータネットワークで使用できる。フィルタリングとは、オブジェクトの透かしをデコードする為に透かしデコーダを使用することを意味し、上記透かしは特定の位置にあり、透かしの制御データに応じて、また任意に透かしの外部の付加的なコンテキストデータに応じて、透かしの使用や転送やレンダリングを制御する。上記メディアオブジェクトは、メディアオブジェクトの転送を担う装置又はコンピュータの場合と同様に、フィルタの位置に一時的に記憶される場合がある。上記システムの例は、コンピュータネットワークのEメールサービス、ファイアウォール、ルータ、ゲートウェイなどであり、上記コンピュータネットワークは、オブジェクトで発見された透かしに少なくとも部分的に基づいて、他の装置又はコンピュータへの特定のメディアオブジェクトの転送を制御する為に透かしのデコードを用いる。メディアオブジェクトは更に、フィルタの位置に永久的に記憶される場合がある。例えば、フィルタはメディアオブジェクトをスクリーニングする為に使用される場合があり、上記メディアオブジェクトは、ハードディスクドライブなどの大容量記憶装置、又は大容量記憶装置上の、インターネットを介してアクセス可能な、音楽ファイルや、画像ファイルや、映像ファイルの遠隔の個人ライブラリに対してユーザーがダウンロード又アップロードする。フィルタは、転送されたファイルの透かしに応じて、大容量記憶装置に対してのダウンロード又はアップロードを禁止する為に使用されたり、一方でファイルのレンダリングを制御する為に使用されたりする。
【0106】
オブジェクトカウントは、ファイアウォールやEメールゲートウェイのような特定の装置又はシステムを通過するメディアオブジェクトのフィルタリング、又はインターネットのようなシステムのネットワークを積極的に検索し検索の結果発見されダウンロードされた透かし入りメディアオブジェクトのスクリーニングにより、透かしメディアオブジェクトが発生した回数をログする方法を意味する。透かしデコードシステムにより維持されるログはオブジェクトについての付加的な情報を含むように適応でき、上記付加的な情報に含まれるのは、所有者、ユーザー識別子又はトランザクション識別子、トレーサデータなどの透かしからの情報、及び、どこで発見されたか、どのように使用されたか、誰が使用していたか、などのオブジェクトについての情報である。トレーサデータは、無認可の使用の検出やファイルのコピー又は転送などの幾つかのイベントに応じてファイルに埋め込まれたデータを含む。
【0107】
透かしデコーダは、特定の要求に応じて又はイベントに応じてログを電子的に他の装置又はコンピュータに送る為に、更に増大される。例えば、カウントされた透かし入りオブジェクトの数が閾値を超えた時、又は、特定の情報が透かしに発見された時の少なくとも一方の場合に、デコーダは、レポートを別のコンピュータの中央データベースに送るようにプログラム可能であり、上記特定の情報は、メディアオブジェクトの無認可の使用やコピーの検出に応じてメディアオブジェクトに埋め込まれた特定の識別子又はトレーサデータなどである。プログラムの規則は、透かし入りメディアオブジェクトがフィルタリングされカウントされる条件を指定し、どの情報がログされるかを指定し、ログされた情報がいつ別のコンピュータに送られるかを指定するよう、デコーダ内部に確立可能である。
【0108】
フィルタリング機能及びカウント機能に基づく透かしは、様々なソフトウェアアプリケーション及び装置で実施可能である。幾つかの例には、ネットワークファイアウォールや、メディアオブジェクトに直面する他のクライアント、サーバ、ピアツーピアソフトウェアアプリケーション(例えば、オペレーティングシステム、メディアプレーヤ、Eメール読み取り装置及びサーバ、インターネットブラウザ、ファイル共有ソフトウェア、マネージャソフトウェア等)が含まれる。フィルタリング、スクリーニング及びカウントに基づく透かしの特定用途の1つは、コンピュータ間で送られるEメールにして送られる又はEメールの添付ファイルとして送られる透かしコンテンツをモニタすることである。
【0109】
(スパイダに基づく透かし)
譲受人による本特許出願の先行特許文献は、インターネットのようなコンピュータネットワークでのメディアオブジェクトファイルの自動検索及び透かしスクリーニングのシステム及び方法を記載している。参照して本願に組み込まれる米国特許5,862,260号を参照されたい。インターネットコンテンツ又はリンクの自動検索及びコンパイルの実行に使用されるソフトウェアは往々にしてクローラ又はスパイダと呼ばれる。
【0110】
米国特許5,862,260号に記載されDigimarc Corporationから販売されている情報検索に基づいた透かしの拡張機能のように、透かしデコーダは、インターネットを含むネットワーク上での透かしスクリーニング及び透かし入りメディアオブジェクトのカウントを分散して実行する為に使用できる。特に、透かしデコーダは、インターネット等のコンピュータネットワーク上の様々な位置に展開でき、上記位置は、メディアオブジェクトをスクリーニングするインターネットサーチエンジンと、上記メディアオブジェクトは各サーチエンジンに収集され、メディアオブジェクトをスクリーニングするネットワークファイアウォールと、上記メディアオブジェクトはファイアウォールで発生し、スパイダが一般に到達しないローカルエリアネットワーク及びデータベースと、コンテンツフィルタ等とを含む。分散されたデコーダの各々は、本願に記載され参照して本願に組み込まれているように、透かし情報にログするスパイダスレッドとして作動する。情報のタイプの例は、透かし入りメディアオブジェクトの透かしからデコードされた識別子、メディアオブジェクトのカウント、メディアオブジェクトの位置のアドレス(どこで発見されたか)他のコンテキスト情報(例えば、どのように使用されたか、誰が使用していたかなど)を含む。スパイダスレッドは次に、スパイダスレッドのログやレポートを中央スパイダプログラムに送り、上記中央スパイダプログラムは上記ログやレポートをコンパイルし検索可能データベースのフィールドに情報を統合する。
【0111】
<埋め込まれたデータに基づくイベントスケジューリング>
透かしのデコードは、任意の透かしメッセージのデコードに応じて発生するプログラムのイベントをスケジューリングする為に、イベントスケジューラと一緒に使用される場合がある。本願全体を通して、デコードの情報、命令、透かしメッセージからのリンクに応じて、動作をトリガする事例は多数ある。幾つかの場合に、上記動作は、透かしに応じてソフトウェアにより行われるプログラムの動作であり、一方他の場合には、上記動作は、ハードウェア回路により行われる装置の動作であり、例えば、音声や映像のプレーヤやレコーダ等のハードウェアインプリメンテーションにおけるメディア信号の使用制御の場合などである。
【0112】
透かしメッセージのデコード時に直ちに動作を行うのではなく、クロックやタイマに従う指定時間や、次の入力や動作等に応じて、後のイベントで発生するよう、イベントスケジューラはプログラムの動作や装置の動作をスケジューリングする為に使用できる。
【0113】
上記の1つの例は、ウェブサイトへのリンクを、後で或いは周期的なイベントで達成されるようにスケジューリングすることである。例えば、ブラウザ、オペレーティングシステム、メディアプレーヤ、他のソフトウェアアプリケーションに実装された透かしデコーダは、メディアオブジェクトからの透かしをデコードし、上記透かしはオブジェクトを1つ以上のウェブサイトへリンクさせる。透かしのデコードに応じて、デコーダはプログラムの動作が後で発生するようにスケジューリングする。上記動作の幾つかの例は、特定ウェブサイトへのリンクのあるウィンドウの表示を、周期的間隔又は、ブラウザ、メディアプレーヤ、他のアプリケーションの起動のようなプログラムの動作に応じて行うことである。上記アプローチは、商品を購入するようユーザーに促す為に使用でき、上記商品は、メディアオブジェクト(音楽や映像のトラック)やメディアオブジェクトに表現された商品の何かなどである。上記アプローチを用いると、透かしの単一のデコードに応じて発生するよう多くの動作がスケジューリングできる。
【0114】
[オペレーティングシステム及び他のアプリケーションへの透かしエンコーダの統合]
【0115】
幾つかのアプリケーションで有用なのは、任意の上述の機能(例えば、使用の追跡、使用権利のリフレッシュ、付加的な情報と動作へのリンク等)を実行する為の、透かしのエンコード又は1つ以上の付加的な透かしの重ね合わせである。透かしエンコード機能は、オペレーティングシステム、インターネットブラウザ、他のアプリケーションに追加できる。例えば、ドラッグアンドドロッププロシージャにより、以上に略述した様々な機能をイネーブルにする手段として、ユーザーはメディアオブジェクトに透かしを埋め込むことができる。
【0116】
別の例として、透かしエンコーダは、デコーダについて以上に略述したものと同一の統合技術を用いるファイルブラウザ、インターネットブラウザ、メディアプレーヤ、他のアプリケーションに統合される場合がある。図1は、例えば、シェル拡張機能を介してウィンドウズエクスプローラファイルブラウザに統合された透かしエンコーダ機能を示す。特に、透かしエンコーダはシェル拡張機能ハンドラとして実装される。上記ハンドラはウィンドウズオペレーティングシステムのレジストリにコンテキストメニュー拡張機能として登録される。代案として、上記透かしエンコーダはプロパティページ拡張機能ハンドラとして実装される。
【0117】
図1の例では透かしエンコーダにアクセスする為に、ユーザーがメディアオブジェクトを右クリックし、「情報を埋め込む」というコンテキストメニューオプションを選択する。応えて、ハンドラは図6に示すウィンドウ600を表示する。上記ウィンドウは、ユーザーが様々なID(例えば、クリエータID、画像ID)を入力することを可能にし、上記IDは透かしを介して画像にエンコードされる。ユーザーは更に画像オブジェクトの属性を設定したり選択したりする。最後に、ユーザーは、スクロールバー制御を介して透かしの耐久性を調節することで、埋め込みプロセスを制御できる。ユーザーは、「オリジナル」タブと「透かし入り」タブを選択することで、オリジナルと透かし入りバージョンのオブジェクトを比較できる。満足であれば、ユーザーは、透かし入り画像をセーブしウィンドウを終了できる(例えばクローズを選択することによる)。メタデータと動作は、上記メタデータと動作をメタデータサーバに送ることで、画像オブジェクトに関連付けられる場合があり、上記メタデータサーバは上記メタデータと動作をオブジェクトIDに関連付ける。
【0118】
図6の例は静止画像オブジェクトを示すが、映像や音声のオブジェクトなどの他のメディアオブジェクトに透かしを埋め込む為に同様なアプローチが使用される場合がある。マーク付きとマークなしの映像や音声のオブジェクトを比較する為に、シェル拡張機能は、マーク付き及びマークなしの映像や音声のオブジェクトを望み通りに再生する為にメディアプレーヤを起動するよう設計される場合がある。
【0119】
[ゲートウェイ及び制御メカニズムとしての電子透かし]
【0120】
インターネットは、企業や、他の機密情報を持ちインターネットや他のタイプのコンピュータネットワークに接続している人にセキュリティ問題を呈示する。従来より、機密情報を含む文書は、「機密」、「所有物」などの単語と共に記号又は他の目に見える印でマークされる。上記マークの存在は、特別な予防策が取られている会社の制御外にのみ転送されるべき文書を扱う人すべてに警告する。誰かが不注意で上記文書を無認可のユーザーに手動で送ることは比較的難しくまれである。しかし、インターネット上のEメール及びファイル転送などの電子通信サービスの利用により、悪意のある転送及び不注意の転送はごくありふれたことになる。
【0121】
インターネット、電子メール、他のネットワークファイル転送プロトコル(FTPやHTTPなど)は、通信プロセスを簡単にし迅速化する。上記プロトコルは更に、誰かが不注意で又は偶然に機密文書を無認可のユーザーに送ることをもっと容易にする。
【0122】
この節では、インターネットなどのコンピュータネットワーク上で送信された文書の送信又は受信の少なくとも一方を制御する為に電子透かしを使用するシステム及び関係する方法を説明する。上記システム及び方法は、無認可の受け手への偶然の情報の広まりを防ぐ為に使用できる。更に、絶対に間違いのないセキュリティシステムはないが、上記システム及び方法は、無認可の受け手への意図的だが無認可の情報の広まりに対する保護を助ける。
【0123】
電子的に送信されたメッセージのほとんどがテキストを含む。しかし、電子メールシステムにより一般に、画像(即ち絵)又は音響ビットはメッセージに埋め込まれメッセージの一部をなすことが可能になる。例えば、メッセージは「スタンプ」を単語「機密」と共に含んでもよいし、又はメッセージは単語「機密」と共にサウンドクリップを含んでもよい。電子メッセージの一部をなす画像やサウンドクリップは電子透かしを持つことができ、上記電子透かしは電子透かし読み取りプログラムに検出され読み取られる。更に、テキストも、テキストの趣旨を変化させない隠しパターンに従う文字や行の追加や削除などでステガノグラフィの情報を持つ場合があり、上記隠しパターンは、PNシーケンスを持つバイナリメッセージをスペクトラム拡散変調することで生成された擬似ランダムパターンなどである。上記パターンは、スペースを所望のパターンで行や段落の終わりに追加又は削除する為に使用される場合がある。一方、テキスト文書の画像は、透かしパターンに従いハーフトーンドットを切り換えることで、透かしを持つことができる。
【0124】
電子透かし又はステガノグラフィのメッセージ中の「ペイロード」又はデジタルデータは一般に、各々に異なるフィールドを数多く持つ。1つ以上の上記フィールドはフラッグ専用の可能性があり、上記フラッグは、メッセージを含む文書や画像が機密である又はその他の場合は機密扱いにされていることや、上記文書や画像は特定に記載の方法。でのみ広められるべきことを示す。
【0125】
一般に、EメールはEメールサーバを介して送信ネットワークに入力される。透かしの検出及び読み取りが可能なプログラムは周知であり市販されている。我々のシステムのインプリメンテーションの1つでは、Eメールサーバは、メッセージをネットワーク上に送出するより先に、各Eメールメッセージを透かし検出及び読み取りプログラムに通過させる。透かしプログラムが透かしを検出すると、上記透かしプログラムは、メッセージをどう扱うべきかを決定する為に特定のフラッグビットを応答する。特定のフラッグが設定されていることを透かし読み取りプログラムが発見すると、上記透かし読み取りプログラムは、送信者とネットワークアドミニストレータの両者への警告などの動作を行う。透かしがないこと又は特定のフラッグが設定されていないことを透かしプログラムが発見すると、メッセージはネットワーク上に従来に記載の方法で送られる。
【0126】
上記システムは、電子メッセージの広まり及び受信を制御する制御メカニズムの役割を果たし得る。
【0127】
メッセージと文書は更に、インターネットや、ウェブサーバやFTPサーバなどのサーバから受け取った他の電子ネットワークに入力される。同様にして、透かし検出プログラムはウェブサーバやFTPサーバなどのサーバに文書を応答し、特定の状態にある特定のフラッグを持つ透かしが検出された場合に警報を鳴らすなどの動作を行うことができる。上記システムは、意図せずに不注意でウェブサイトに追加されたウェブサーバのファイルをスクリーニングする為に使用できる。ファイルディレクトリのプログラムのスクリーニングで検出された無認可のファイルは、FTP又はHTTP要求を介して、削除されたり、ファイルの要求に応えて転送されることを防止されたりする。
【0128】
システムの第1の実施の形態は、インターネット上に送信されたEメールメッセージをモニタするように設計される。上記第1の実施の形態は、機密のEメールメッセージが無認可のユーザーに偶然広まるのを防止するために使用される。上記第1の実施の形態は、機密文書が誰かに送信されることを防止する。代替の実施の形態は、機密文書が無認可のユーザーに又は無認可の目的の為に送信されることを制御する。例えば、Eメールメッセージにアドレスを追加することは容易である。機密情報を受け取るアドレスの1つが認可されていないことを認識せずに、機密情報を含むEメールメッセージを人々の大きなグループへと誰かがアドレス指定する場合がある。上記システムは、送信者が無認可の人物のアドレスをアドレスのリストに含めていても、上記Eメールが上記人物に送信されることを防ぐ。
【0129】
一般的な機密文書10が図8に表されている。文書10はEメールメッセージである可能性があり、また一方でEメールメッセージに添付された文書である可能性もある。文書10は機密スタンプ11及びテキストの行を含む。機密スタンプ11は、様々な行を持つバックグラウンドに重ね合わせられた単語「機密」を持つ画像である。即ち、画像11のバックグラウンドは、透かしを持つよう変化する幅を持ち、1998年5月6日に提出された米国出願09/074,034号(PCT出願PCT/US99/08252に対応する)、及び1998年7月31日に提出された米国出願09/127,503号(PCT出願PCT/US99/14532に対応する)の技術に従う。以上の特許出願の開示は、参照して本願に組み込まれる。一方、画像11のバックグラウンド又は文書10の他のバックグラウンド部分は、電子透かし信号を持つ織り方パターン又は色調パターン、例えば擬似ランダム画像パターンなどを含む場合もあり、上記擬似ランダム画像パターンは、PNシーケンスを持つバイナリメッセージをスペクトラム拡散変調し変調されたシーケンスをピクセル値あたり多値の画像に変換することで形成される。更なる別の代替の実施の形態では、メッセージに埋め込まれた画像11を持つ代わりに、メッセージは単語である機密と共にオーディオクリップを含む場合がある。オーディオクリップは音声透かし技術を用いて透かしを入れられる。しかし、本願に記載された第1の実施の形態では、画像11は人間が読み取り可能な単語「機密」と、透かし検出及び読み取りプログラムで読み取りができる電子透かしの両方を持つ。
【0130】
一般的な透かしペイロードのデータフィールド及びフラッグが図9に示される。理解されるべき点は、図示されたフィールド及びフラッグは単に見本であり、フィールド及びフラッグは多くの代替の形式を取り得ることである。システムは、特定の文書が機密であることを示すフラッグフィールドの1つを利用する。他のフィールドも従来のように使用できる。
【0131】
図10は、コンテンツをモニタしフィルタリングする為に透かしデコードルーチン及び読み取りルーチンを持つEメールシステムを示す。比較的多数の個人ユーザー端末1301aから1301eがEメールサーバ1302に接続されている。上記接続はイーサネット(登録商標)LANによるものやダイヤルアップモデムによるものでもよいし、他の従来の有線や無線のコンピュータネットワーク接続でもよい。Eメールサーバ1302はインターネット1304へのインターフェース1303を持ち、インターフェース1303は個人ユーザーの端末からインターネットへのメッセージの受信及び送信をする。Eメールサーバ1302そのものは従来のものだが、サーバにより処理される透かしデコード及びメッセージの読み取りをイネーブルにするプログラムのインターフェースを持つ。本発明を用いると、個人ユーザー端末1301aから1301eの1つからのメッセージをEメールサーバ1302がインターネットに送信する前に、Eメールサーバはメッセージを透かし検出及び読み取りプログラム1305に通過させる。Eメールメッセージそのものと任意の添付文書は両方とも上記プログラムを通過する。透かし検出及び読み取りプログラム1305は、メッセージが電子透かしを含むかどうかを決定する。透かしが検出された場合、機密フラッグビットが応答される。フラッグビットが「機密」に設定されている場合、上記実施の形態はメッセージをサーバに戻す。従って、第1の実施の形態は、任意の機密情報がEメールメッセージの一部として送信されることを禁止する。
【0132】
第2の実施の形態は、より幅の広い配列の代案を提供する。図11に示すように、第2の実施の形態はデータベース1401を含む。データベース1401は、潜在的なメッセージ送信者の各々に異なるグループのリスト、潜在的なメッセージ受信者の各々に異なるグループを示すリスト、メッセージの様々なフラッグの設定で指示される潜在的なカテゴリーのセットを含む。例えば、送信者は3つの指定された送信者グループS1、S2、S3に分かれる場合がある。潜在的な受信者は、3つの指定されたグループR1、R2、R3に分かれる可能性がある。データベース1401及び関連する論理1402は、以下の表1に示されるように論理規則を実装できる。
【表1】
【0133】
システムは、サーバを通過するメッセージを先入れ先出し法でバッファに入れるバッファ1403を含む。上記バッファはメッセージ自身を記憶したり、サーバのファイルディレクトリ構造内のメッセージ位置へのポインタを記憶したりする。透かし読み取りプログラム1404は、メッセージ又は添付ファイルの少なくとも一方を読み取り、電子透かし又は埋め込まれたステガノグラフィのメッセージの検出を試み、検出された場合は、関係するメッセージペイロード情報をデータベース応答プログラム1405に提供する。送信者又は受信者の少なくとも一方のフィルタプログラム1402は、送信者及び受信者のアドレスをフィルタリングする制御論理を実装し、前もって割り当てられたグループ分けに上記アドレスをマッピングする。上記プログラムは、特定のメッセージに対する情報を応答プログラム1405に提供し、応えて応答プログラム1405は、メッセージに関連する関連制御動作を捜す為に、メッセージペイロードフラッグと、送信者又は受信者の少なくとも一方のコードとを使用する。システムは、制御動作をメッセージ配布制御メカニズム1406に送り、メッセージ配布制御メカニズム1406は、特定の動作を行うようバッファ1403のメッセージによりプログラム的にサーバに命令する。
【0134】
要約すると、上記システムは、どの動作を行うべきかを決定する為にメッセージ送信者とメッセージ受信者とフラッグの状態とを検討する。システムは以上に示したものに加えて多数の選択肢を含む可能性もあるし、システムは少数の選択肢のみを含む場合もある。例えば、システムはアドレスのリストのみを含むことがあり、上記アドレスは、「機密」に設定された機密フラッグを持つメッセージの受け取りを認可される。上記システムは、選択されたアドレスにのみ機密文書が送られるのを可能にする。もう一つの選択肢として、又は加えて、システムは、機密文書を送ることを認可された個人のリストを含む。システムは上記リストに対し送信者を単に検査できるが、一方でシステムは、上記メッセージが発生した場合にパスワードの入力を要求できる。
【0135】
注意すべきは、上記の表は見本の規則を示すに過ぎないことである。実際のシステムでは、はるかに多数のグループが存在し得るし、幾つかのグループが単一の個人を含む場合もある。更に表ははるかに多数の行を持ち得る。上記の表は3つのフラッグビットのみを示す。システムは、特定のシステム要求の必要性に応じて更に多数又は小数のフラッグビットを持ち得る。
【0136】
代替の実施の形態では、機密スタンプは、上述した行の幅やハーフトーンドット変調の使用とは別に記載の方法。で、透かしを画像に含み得る。スタンプのバックグラウンドは電子透かしをもつ画像を含み得る。
【0137】
代替の実施の形態では、電子透かしを検査するのではなく、システムは「機密」などのテキスト列に対して検査し、上記テキスト列の設置に応えて動作を行うことができる。更に、システムは、行や段落の終わりのスペースの隠しステガノグラフィパターンに対して検査できる。
【0138】
これまでに述べた実施の形態はEメールシステムに適用したが、FTPサーバやウェブサーバに対しても同様の予防策を取ることができる。
【0139】
[電子透かしを使用したコンテンツフィルタリング及び索引付けシステム]
【0140】
図12はコンテンツフィルタリング及び索引付けシステムを示す図である。上記システムでは、エンドユーザに対しレンダリングされる(例えば、印刷、表示、再現等)時に電子透かしがコンテンツでは知覚できない又は実質上知覚できないように、電子透かし埋め込み装置が電子透かしを画像や映像や音声などのコンテンツに埋め込む。上記の埋め込みの方式は、埋め込まれた透かし信号を人間の知覚モデルに基づいてホストメディア信号に知覚的に適応させることを伴う。透かしコンテンツマーカ1502、1504と呼ばれる埋め込み装置は、例えばウェブサーバ、ストリーミングメディアサーバ、FTPサーバ等のコンテンツサーバ(1506、1508)に組み込まれ、コンテンツを上記サーバにマークする。各々に異なる時間的又は空間的部分が、透かしペイロードが埋め込まれるコンテンツに関係する同一の又は各々に異なるペイロードを持つように、埋め込み装置はコンテンツ全体に渡って繰り返し透かしペイロードを埋め込むことが望ましい。例えば、広告からプログラミングへと、また1つの評価から他の評価へとコンテンツタイプが変化する(コンテンツタイプに従うG、PG、R、X)のに伴い、コンテンツタイプフラッグは変化する場合がある。
【0141】
上記コンテンツはその後、通信ネットワーク1510を介して、ウェブブラウザ1512、Eメール読み取り装置1514、メディアプレーヤ等の他のシステムへと送られる。通信パスに沿って、コンテンツはファイアウォール1516及びLAN1518を通過する場合がある。透かしコンテンツフィルタ1520、1522、1524として示される電子透かし読み取りプログラムは、コンテンツを電子透かしについてスキャンし、発見された場合、上記透かしのメッセージペイロードをデコードする。メッセージペイロードは、コンテンツ所有者(所有者ID)、ディストリビュータ(ディストリビュータID)又はトランザクション(トランザクションID、受信装置ID、IPアドレス、送信者又は受信者の少なくとも一方のアドレス、ユーザーID)の少なくとも一つについての情報を含む。更に、ペイロードは、コンテンツタイプを含むコンテンツフラッグを含み、上記コンテンツフラッグは、例えば成人コンテンツレーティング、制限アクセスレーティングなどである。
【0142】
透かしコンテンツフィルタは、コンテンツフラッグに応じてコンテンツの転送やレンダリングを制御することで、コンテンツをフィルタリングする。更に、透かしコンテンツフィルタは、埋め込まれたID及びコンテンツタイプ情報を、データベースの各フィルタリングイベントについての情報をログする検索可能データベース1530へと送る。システムは、ファイルヘッダのような帯域外のデータから又はコンテンツが検出される機械から引き出される付加的なイベント情報をログし、上記イベント情報は検出イベントのネットワークアドレス、送信者及び受信者アドレス、ユーザーの名前などである。コンテンツフィルタは、コンテンツの転送及びレンダリングを制御する規則のセットを実装する。例えば、ファイアウォールのコンテンツフィルタは、透かしペイロードが特定フラッグ又はフラッグセットの特定の組み合わせを持つコンテンツファイルの転送を防止する。ファイアウォールは、例えば企業ネットワークへの成人コンテンツの転送を防止する為に使用されたりする。
【0143】
ウェブブラウザ、Eメール読み取り装置、メディアプレーヤのコンテンツフィルタは、コンテンツフラッグ及び規則に基づいてコンテンツのレンダリングを防止し、上記規則はフィルタが統合されるソフトウェアアプリケーションで確立される。例えば、ユーザー定義規則は、子供に使用されているコンピュータでの成人コンテンツのレンダリングを阻止する為に使用される場合がある。ユーザーがアプリケーションにログオンする場合に上記規則は有効になり、上記アプリケーションは、特定のユーザーがアプリケーションを使用していることをフィルタに示しユーザーIDが有効であることを適用可能な特定規則に示すユーザーIDを供給する。
【0144】
同様のアプローチが、ユーザーに向けたコンテンツの広告をフィルタリングする為に使用でき、上記広告はコンテンツに高い契約料を払っている。上記の場合、広告フラッグを含むコンテンツは透かしを介して検出され、レンダリング前に削除される。同様に、特定のタイプのコンテンツは、コンテンツに埋め込まれた特定のタイプのコンテンツフラッグを持つコンテンツの再生をユーザーの契約が認めない場合に、ユーザーの機械にレンダリングされるのを阻止され得る。コンテンツフィルタは、ユーザーの契約権利及びコンテンツのフラッグに基づいてコンテンツのレンダリングを可能にするか阻止する為に使用できる。上記アプローチが特に適しているのは、ユーザーが多数の異なる同等のコンピュータからコンテンツを受け取る分散型のピアツーピアモデルである。
【0145】
コンテンツフィルタリングシステムは更に、コンテンツのコピーが発見される場合に、コンピュータアドレス(URL又はIPアドレス)を示すコンテンツの検索可能なインデックスを検索可能データベースが保存することを可能にする。従って、コンテンツタイプ、コンテンツID、ディストリビュータ、コンテンツIDにリンクされた他の属性によりデータベースをユーザーが検索し、コンテンツ項目及び上記項目の対応アドレスを発見できるように、インターネットを介してアクセス可能なサーチエンジンを生成する為にシステムは使用され得る。
【0146】
図13は、分散透かし検出器システムを示す図である。上記システムでは、電子透かし検出器(1602、1604、1606、1608)がスパイダスレッドプログラムとして実装され、上記プログラムはコンテンツを透かしについてスクリーニングし、発見すると、透かしペイロードからの情報及びイベントについての情報(コンテンツのネットワークアドレス、ユーザー情報、時間及び日付等)を、インターネット1612に付属のサーバで実行される中央スパイダプログラム1610に報告する。スレッドプログラムは、会社のLANのコンテンツデータベースなどの内部システム1602、LANのファイアウォール1604、LAN内部又はブラウザやオペレーティングシステムなどのソフトウェアアプリケーション内部のコンテンツフィルタ1606、リンクされた膨大なウェブページを取り出しページのコンテンツに基づきページに索引付けするウェブクローラなどのサーチエンジン1608に実装される。
【0147】
スパイダプログラム1610は透かしペイロード及びイベントの情報をデータベース1612に記憶する。スパイダプログラムは更に、透かし検出イベントによってコンパイルされたデータベース情報に付加的なデータベースとの相互参照をつけ、上記付加的なデータベースは、透かしペイロードのコンテンツIDをコンテンツ属性情報に関連付け、上記コンテンツ属性情報は、例えばコンテンツタイトル名、所有者名、芸術家、歌詞、関連ウェブサイトのURL等である。上記のことにより、ユーザーがスパイダプログラムにアクセスし、タイトルや何らかの他の属性に基づいてコンテンツを検索し、更に、コンテンツが発見されたネットワークアドレスに相互参照をつけることが可能になる。
【0148】
上記システムは、膨大で複雑なネットワーク全体に渡って装置のコンテンツが深くリンクすることを可能にする。上記システムは、インターネットに接続されたコンピュータ、音楽ファイル共有ネットワークにリンクされた音楽機器、ビデオファイル共有ネットワークにリンクされたセットトップボックス及びパーソナルビデオレコーダのような装置に適合する場合がある。幾つかのシステムでは、分散スパイダが配置されるネットワークのノードは更に、コンテンツサーバとして動作する。検索可能データベース1612の自動検索を介してユーザーがコンテンツの一部を発見したら、ユーザーは、コンテンツが配置されるコンテンツサーバに要求を送り、コンテンツサーバからユーザーのコンピュータや装置、例えば音楽機器、セットトップボックス、無線電話等へのコンテンツファイルの転送を要求できる。
【0149】
上記の分散コンテンツフィルタリング及びスパイダシステムへの可能な付加拡張機能や変更は多数ある。透かしに基づいてコンテンツをフィルタリングする際に、透かしペイロードは、コンテンツタイプフラッグや、データベースに記憶されたコンテンツタイプディストリビュータへのインデックスを含むことができる。後の場合は、システムは、コンテンツの性質を定義する記述子を決定する為に記述子データベースを要求する。コンテンツフラッグと記述子はどちらも、ネットワークに分散されたコンテンツのコンテンツタイプによる索引付けの為に、サーチエンジンにより使用できる。
【0150】
スパイダのデータベースを図13のシステムで展開する為に、システムは更にプログラムを含む場合があり、上記プログラムは、リンクされたウェブサイトの自動巡回を実行し、サイトを透かし入りコンテンツについてスクリーニングし、更に、コンテンツタイプによりコンテンツの検索可能なインデックスを生成する為にペイロードのコンテンツフラッグ又はペイロードにより索引付けされたコンテンツ記述子を使用する。ユーザーは、コンテンツタイプ基準に対応するコンテンツを発見し、上記基準に対応するコンテンツのリストをコンテンツのアドレスと共に得る為に、上記インデックスを検索できる。
【0151】
フィルタがレンダリングを制御する方法は様々であってよい。例えば、透かしフィルタは、完全に再生することを防止したり、再生にスクランブルをかけたり、コンテンツタイプフラッグ又は記述子に基づいて好ましくない部分にのみスクランブルをかけたりする。透かしはコンテンツのフレーム全体にわたって繰り返されるので、フィルタは、スクランブルをかけられるか阻止される音声や映像のフレームに、又は阻止される静止画像の一部に、きめ細かい制御を提供できる。更に、フィルタは、レンダリングされるコンテンツのタイプの選択的な制御を、例えば、ユーザーにより供給されるユーザーのプレファレンスに基づいて、年齢や位置等などのユーザーの人口統計に基づくコンテンツのフレームのスワップにより、行うことができる。コンテンツをスワップする為に、コンテンツデリバリメカニズムが、フィルタの制御信号に応じて代替のフレームをストリーミングできる。
【0152】
透かしフィルタは、関係する情報にリンクする為に透かしペイロードを使用する場合がある。初めに、透かし読み取り装置はコンテンツをデフォルトウェブページなどのデフォルトネットワーク資源にリンクさせる。特に、透かしペイロードは、データベースエントリに索引付けする識別子を含む。上記エントリはデフォルトウェブページのURLを含む。しかし、コンテンツの所有者又はディストリビュータの少なくとも一方は、所有者のウェブサイト専用の新しいURLなどの識別子に対し新しい機械動作を指定する為に、データベースエントリをダイナミックに更新できる。
【0153】
[コンピュータインプリメンテーションの操作環境]
【0154】
図7は、上述した透かしシステムのソフトウェアインプリメンテーションの操作環境としての役割を果たすコンピュータシステムの例を示す。埋め込み装置及び検出器インプリメンテーションはC又はC++の少なくとも一方で実装され、多数の異なるコンピュータシステムに対して移植性がある。図7は上記システムの1つを一般に示す。
【0155】
図7に示されるコンピュータシステムは、コンピュータ1220を含み、コンピュータ1220は、処理ユニット1221、システムメモリ1222、システムバス1223を含み、システムバス1223は、システムメモリを含む様々なシステム構成要素を処理ユニット1221に相互に接続する。
【0156】
システムバスは、メモリバス又はメモリコントローラ、周辺バス、ローカルバスアーキテクチャを含む任意の幾つかのタイプのバス構造から成る場合があり、上記ローカルバスアーキテクチャは、ほんの少数を挙げれば、PCI、VESA、マイクロチャンネル(MCA)、ISA、EISAなどのバスアーキテクチャを用いる。
【0157】
システムメモリは、読み出し専用メモリ(ROM)1224及びランダムアクセスメモリ(RAM)1225を含む。起動時などにコンピュータ1220内の素子間の情報の転送を助ける基本的なルーチンを含むベーシックインプット/アウトプットシステム1226(BIOS)は、ROM1224に記憶される。
【0158】
コンピュータ1220は、ハードディスクドライブ1227と、磁気ディスクドライブ1228と、光ディスクドライブ1230とを更に含み、上記磁気ディスクドライブ1228は例えば取り外し可能ディスク1229の読み取りや書き込みの為のものであり、上記光ディスクドライブ1230は例えばCD−ROMやDVDディスク1231読み取り用又は他の光メディアの読み取りや書き込みの為のものである。ハードディスクドライブ1227、磁気ディスクドライブ1228、光ディスクドライブ1230は、それぞれ、ハードディスクドライブインタフェース1232、磁気ディスクドライブインタフェース1233、光ディスクインタフェース1234により、システムバス1223に接続されている。ドライブ及びドライブの関連コンピュータ読み取り可能メディアは、データの不揮発性の記憶、データ構造、コンピュータ実行可能命令(ダイナミックリンクライブラリなどのプログラムコード、実行可能ファイル)等を、コンピュータ1220に提供する。
【0159】
以上のコンピュータ読み取り可能メディアの説明はハードディスクと取り外し可能磁気ディスクと光ディスクとを参照したが、コンピュータ読み取り可能メディアは、コンピュータにより読み取り可能な他のタイプのメディア、例えば磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスクなどを含むこともできる。
【0160】
多数のプログラムモジュールがドライブ及びRAM1225に記憶される場合があり、ドライブ及びRAM1225は、オペレーティングシステム1235、1つ以上のアプリケーションプログラム1236、他のプログラムモジュール1237、プログラムデータ1238を含む。
【0161】
ユーザーは、キーボード1240及びマウス1242などのポインティングデバイスを介してパーソナルコンピュータ1220にコマンドや情報を入力する場合がある。他の入力装置が、マイクロフォン、サウンドカード、ラジオやテレビのチューナ、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星アンテナ、デジタルカメラ、スキャナ等を含む場合がある。デジタルカメラやスキャナ43は、上述した検出処理の目標画像を取り込む為に使用される場合がある。デジタルカメラやスキャナは、標準インターフェース44を介してコンピュータに各々接続される。現在、ユニバーサルシリアルバス(USB)、周辺コンポーネントインターフェース(PCI)、パラレルポートインターフェースと接続する為に指定されたデジタルカメラがある。台頭しつつある2つのカメラ用標準周辺インターフェースは、USB2及び1394(firewireやiLinkとして知られる)を含む。
【0162】
カメラやスキャナに加えて、透かし入り画像や映像は、パッケージされたメディア装置(例えば、CD、DVD、フラッシュメモリ等)、ネットワーク接続からのストリーミングメディア、テレビチューナなどの他の資源から提供される場合がある。同様に、透かし入り音声はパッケージされたメディア装置、ストリーミングメディア、ラジオチューナ、サウンドカードなどの他の資源から提供される場合がある。
【0163】
上記及び他の入力装置は、システムバスと直接的に又は間接的に連結されているポートインターフェース1246を介して処理ユニット1221に接続されていることが多い。上記インターフェースの例は、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)を含む。
【0164】
モニタ1247や他のタイプのディスプレイ装置は更に、ビデオアダプタ1248などのインターフェースを介してシステムバス1223に接続されている。モニタに加えて、パーソナルコンピュータは一般に、スピーカやプリンタなどの他の周辺出力装置(図示せず)を含む。
【0165】
コンピュータ1220は、遠隔コンピュータ1249などの1つ以上のコンピュータへの論理接続によりネットワーク化された環境で動作する。遠隔コンピュータ1249は、サーバ、ルータ、対等の装置、他の一般的なネットワークノードである場合があり、メモリ記憶装置1250のみが図7に示されているが、コンピュータ1220に対して記載された多数又は全ての素子を一般に含む場合がある。図7に示されている論理接続はローカルエリアネットワーク(LAN)1251及び広域ネットワーク(WAN)1252を含む。上記ネットワーク化環境は、オフィス、企業全体のコンピュータネットワーク、イントラネット、インターネットでは珍しくない。
【0166】
LANネットワーク化環境で使用される場合、コンピュータ1220は、ローカルネットワーク1251にネットワークインタフェース即ちアダプタ1253を介して接続される。WANネットワーク化環境で使用される場合、コンピュータ1220は、インターネットなどの広域ネットワーク1252で通信を確立するモデム1254や他の手段を一般に含む。内蔵されたり外付けされたりするモデム1254は、シリアルポートインタフェース1246を介してシステムバス1223に接続されている。
【0167】
ネットワーク化された環境では、パーソナルコンピュータ1220に対して記載されたプログラムモジュール、又はプログラムモジュールの一部は、遠隔メモリ記憶装置に記憶される場合がある。以上に詳述したプロセスは、分散するよう並行処理として実装できる。正当に評価されるのは、示されたネットワーク接続は典型的であり、コンピュータ間の通信リンクを確立する他の手段が使用されてもよいことである。
【0168】
[メディアオブジェクトリンクの他の形式への拡張]
【0169】
上述のアプローチは、画像、図、映像や音声のファイル、もう2つ異なるメディアタイプを含むファイルを含む様々なメディアオブジェクトファイルに実装できる。更にメディアオブジェクトは、オブジェクトに埋め込まれた透かし以外のデータ構造を介してメディアオブジェクトのメタデータにリンクされる場合がある。例えば、オブジェクト識別子は透かしに挿入される必要はないが、その代わりにメディアオブジェクトファイルのどこかほかの場所、例えばファイルヘッダなどに配置される場合がある。上記識別子は、コード化又は圧縮されたファイルのヘッダに挿入される場合がある。識別子を抽出する為に、デコーダはヘッダを構文解析しオブジェクト識別子を抽出する。次にデコーダは、メタデータ要求を出しメタデータサーバから戻されたデータ又は解釈コードの少なくとも一方を出力する為に、直接的に又はウェブブラウザなどの他のアプリケーションを起動することで、識別子をメタデータサーバに送る。
【0170】
[最終的な見解]
【0171】
特定の実施の形態を参照して技術の原理が説明され図示されて、技術は多数の他の異なる形式で実装できることが認識される。本明細書を過度に長くすることなく広範な開示を提供する為に、出願人は以上に参照した特許及び特許出願を参照して組み込む。
【0172】
以上に詳述した実施の形態の構成と特徴の特定の組み合わせは典型例に過ぎず、本願及び参照して組み込まれた特許又は出願の少なくとも一方の他の教示との上記技術の交換や代用も予期される。
【0173】
本発明の原理が適用され得る幅広い様々な実施の形態を考慮して、認識されるべき点は、詳細な実施の形態は典型例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとしてはならないことである。むしろ、我々は、以下の請求項の範囲と精神に入る実施の形態の全て及びそれに対し同等な物を、我々の発明として請求する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツフィルタが通信ネットワークを介して相互接続された複数のコンピュータで実行される複数のプログラムで分散されるコンテンツフィルタリングシステムであって、
前記コンテンツフィルタは、ネットワーク内の領域に入るコンテンツ内の電子透かしを検出し、又は、該コンテンツから識別子を導出し、透かしペイロードを読み取り、又は、前記透かしペイロード又は識別子に関連付けられたメタデータを捜し、前記コンテンツのレンダリング又は転送を、前記透かしペイロード情報におけるコンテンツタイプフラグに基づいて、又は前記メタデータに基づいて、制御する動作を行うよう動作可能である、
システム。
【請求項2】
前記複数のコンテンツフィルタが、ユーザーがコンテンツを検索すること及びどこでコンテンツが該複数のコンテンツフィルタにより検出されたかを示すネットワークアドレスを発見することを可能にする検索可能データベースに、検出イベントを報告する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
コンテンツのレンダリング又は転送をユーザーID及び前記電子透かしにおけるコンテンツタイプフラグに基づいて制御する規則を前記複数のコンテンツフィルタが実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
コンテンツタイプフラグが、広告のレンダリングをコンテンツのレンダリングと共にイネーブル又はディセーブルにするユーザーのアクセス権利に関する規則と共に使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
分散された透かしスパイダシステムであって、
通信ネットワーク上に分散された装置で実行されるスパイダスレッドプログラムで実装される電子透かしデコーダを含み、
前記スパイダスレッドプログラムは、対応する装置でコンテンツを透かしについてスクリーニングし、発見された場合に、透かしにエンコードされた透かしペイロードからの情報及び前記イベントについての情報を前記ネットワークに接続された装置で実行されるスパイダプログラムに報告するよう動作可能である、
システム。
【請求項6】
前記イベントについての前記情報は、遠隔装置が検出されたコンテンツにアクセスすることを可能にする該検出されたコンテンツのネットワークアドレスを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記スパイダプログラムが、前記透かしペイロード情報、前記イベントについての情報、前記コンテンツと相互参照をつけられた前記コンテンツについての情報を記憶する1つ以上の検索可能データベースと通信し、前記検索可能データベースは、ユーザーがコンテンツを名前で検索すること、及び、前記コンテンツについての関係情報であって前記システムを介して取り出し可能なアドレスを含む該情報を発見することを可能にする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
メッセージを送信し受信するメールサーバを含む電子メッセージングシステムであって、前記メッセージに隠されたステガノグラフィデータを読み取り、該データ内のデータに応じて前記メッセージの配信を制御する読み取りプログラムを含むシステム。
【請求項9】
インターネットに接続されたEメールサーバを含むシステムであって、
個人のユーザーからのメッセージを前記Eメールサーバへ送信する手段と、
Eメールメッセージが前記Eメールサーバからインターネットへと送信される前に、前記Eメールメッセージの透かしを検出し読み取る透かし検出手段と、
前記メッセージが機密であることの指示を有する前記透かしを前記透かし検出手段が検出した場合に、前記Eメールサーバからインターネットへの前記メッセージの送信を防止する手段と、
を含むシステム。
【請求項10】
機密情報を含む電子メッセージの配信を制御するシステムであって、
各電子メッセージは、該メッセージが機密であることを示すデータを運ぶ電子透かしを含む機密情報を持ち、
メッセージを送信し受信するサーバを含み、
前記サーバは、メッセージ内の透かしを読み取り、該メッセージの任意の透かしによって運ばれる前記データに従い該メッセージの配信を制御する透かし読み取りプログラムを含む、
システム。
【請求項11】
機密情報を含む電子メッセージの配信を制御する方法であって、前記電子メッセージは該メッセージが機密情報を含むことを示すデータを運ぶ電子透かしを含み、該方法は、
メッセージ内の透かしを、該メッセージの送信に先立ち読み取るステップと、
透かしを含む各電子メッセージの配信を、該メッセージ内の前記透かしによって運ばれる前記データに応じて制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
送信者から受信者へ電子メッセージを送信する方法であって、
前記メッセージに埋め込まれた電子透かしを検出し読み取って、該透かし内のフラグがどのように設定されているかを決定するステップと、
送信者の同一性と、受信者の同一性と、前記メッセージの前記透かし内のフラグ設定とに基づいて、前記メッセージを用いてどの動作を行うべきかを決定する為にデータベースに問い合わせるステップと、
を含む方法。
【請求項1】
複数のコンテンツフィルタが通信ネットワークを介して相互接続された複数のコンピュータで実行される複数のプログラムで分散されるコンテンツフィルタリングシステムであって、
前記コンテンツフィルタは、ネットワーク内の領域に入るコンテンツ内の電子透かしを検出し、又は、該コンテンツから識別子を導出し、透かしペイロードを読み取り、又は、前記透かしペイロード又は識別子に関連付けられたメタデータを捜し、前記コンテンツのレンダリング又は転送を、前記透かしペイロード情報におけるコンテンツタイプフラグに基づいて、又は前記メタデータに基づいて、制御する動作を行うよう動作可能である、
システム。
【請求項2】
前記複数のコンテンツフィルタが、ユーザーがコンテンツを検索すること及びどこでコンテンツが該複数のコンテンツフィルタにより検出されたかを示すネットワークアドレスを発見することを可能にする検索可能データベースに、検出イベントを報告する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
コンテンツのレンダリング又は転送をユーザーID及び前記電子透かしにおけるコンテンツタイプフラグに基づいて制御する規則を前記複数のコンテンツフィルタが実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
コンテンツタイプフラグが、広告のレンダリングをコンテンツのレンダリングと共にイネーブル又はディセーブルにするユーザーのアクセス権利に関する規則と共に使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
分散された透かしスパイダシステムであって、
通信ネットワーク上に分散された装置で実行されるスパイダスレッドプログラムで実装される電子透かしデコーダを含み、
前記スパイダスレッドプログラムは、対応する装置でコンテンツを透かしについてスクリーニングし、発見された場合に、透かしにエンコードされた透かしペイロードからの情報及び前記イベントについての情報を前記ネットワークに接続された装置で実行されるスパイダプログラムに報告するよう動作可能である、
システム。
【請求項6】
前記イベントについての前記情報は、遠隔装置が検出されたコンテンツにアクセスすることを可能にする該検出されたコンテンツのネットワークアドレスを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記スパイダプログラムが、前記透かしペイロード情報、前記イベントについての情報、前記コンテンツと相互参照をつけられた前記コンテンツについての情報を記憶する1つ以上の検索可能データベースと通信し、前記検索可能データベースは、ユーザーがコンテンツを名前で検索すること、及び、前記コンテンツについての関係情報であって前記システムを介して取り出し可能なアドレスを含む該情報を発見することを可能にする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
メッセージを送信し受信するメールサーバを含む電子メッセージングシステムであって、前記メッセージに隠されたステガノグラフィデータを読み取り、該データ内のデータに応じて前記メッセージの配信を制御する読み取りプログラムを含むシステム。
【請求項9】
インターネットに接続されたEメールサーバを含むシステムであって、
個人のユーザーからのメッセージを前記Eメールサーバへ送信する手段と、
Eメールメッセージが前記Eメールサーバからインターネットへと送信される前に、前記Eメールメッセージの透かしを検出し読み取る透かし検出手段と、
前記メッセージが機密であることの指示を有する前記透かしを前記透かし検出手段が検出した場合に、前記Eメールサーバからインターネットへの前記メッセージの送信を防止する手段と、
を含むシステム。
【請求項10】
機密情報を含む電子メッセージの配信を制御するシステムであって、
各電子メッセージは、該メッセージが機密であることを示すデータを運ぶ電子透かしを含む機密情報を持ち、
メッセージを送信し受信するサーバを含み、
前記サーバは、メッセージ内の透かしを読み取り、該メッセージの任意の透かしによって運ばれる前記データに従い該メッセージの配信を制御する透かし読み取りプログラムを含む、
システム。
【請求項11】
機密情報を含む電子メッセージの配信を制御する方法であって、前記電子メッセージは該メッセージが機密情報を含むことを示すデータを運ぶ電子透かしを含み、該方法は、
メッセージ内の透かしを、該メッセージの送信に先立ち読み取るステップと、
透かしを含む各電子メッセージの配信を、該メッセージ内の前記透かしによって運ばれる前記データに応じて制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
送信者から受信者へ電子メッセージを送信する方法であって、
前記メッセージに埋め込まれた電子透かしを検出し読み取って、該透かし内のフラグがどのように設定されているかを決定するステップと、
送信者の同一性と、受信者の同一性と、前記メッセージの前記透かし内のフラグ設定とに基づいて、前記メッセージを用いてどの動作を行うべきかを決定する為にデータベースに問い合わせるステップと、
を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−182323(P2010−182323A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−49197(P2010−49197)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【分割の表示】特願2001−560828(P2001−560828)の分割
【原出願日】平成13年2月14日(2001.2.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(500111792)ディジマーク コーポレイション (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49197(P2010−49197)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【分割の表示】特願2001−560828(P2001−560828)の分割
【原出願日】平成13年2月14日(2001.2.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(500111792)ディジマーク コーポレイション (25)
【Fターム(参考)】
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