説明

透光性表示装置

【課題】非在室時に外部から室内を確認することができるとともに在室時に外部から見えなくすることができる透光性表示装置を提供する。
【解決手段】透光性表示装置10は、個室11の内外を仕切る扉部12に設けられる透光性面状発光モジュール13と、電源部14と、透光性面状発光モジュール13を発光制御する制御部15と、個室11内の状態を検知する検知部16と、を有し、制御部15は、検知部16が個室11の内側での人の存在を検知した場合に透光性面状発光モジュール13を発光させ、他の場合に透光性面状発光モジュール13を消光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個室の内外を仕切る扉部に設けられて個室を人が使用する際に個室の使用を表示するとともに個室の照明を行う透光性表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の透光性表示装置の一例として、トイレや化粧室等の個室の使用状態や緊急時の内部の状態を外部から確認できるようにするために、光源に対向する開口部に導光板を備えたレンズを取り付けた透光性表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−10261号公報(図2、段落0012)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1に開示された透光性表示装置では、個室の在室状態の表示が小さく目立たない。
また、在室状態を外部から確認するために大きな窓を設けた場合、その窓を通じて個室内が見えてしまうので使用者のプライバシーを害することになりかねず、採用が好ましくない。
【0005】
本発明は、前述した要望を満たすためになされたもので、その目的は、非在室時に外部から室内を確認することができるとともに在室時に外部から見えなくすることができる透光性表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る透光性表示装置は、個室の内外を仕切る扉部に設けられる透光性面状発光モジュールと、電源部と、前記透光性面状発光モジュールを発光制御する制御部と、前記個室内の状態を検知する検知部と、を有する透光性表示装置であって、前記制御部は、前記検知部が前記個室の内側での人の存在を検知した場合に前記透光性面状発光モジュールを発光させ、他の場合に前記透光性面状発光モジュールを消光させることを特徴とする。
【0007】
透光性面状発光モジュールは、通電されないと光を透過し、通電されると両面発光して光を透過させない。よって、個室の非在室時に、検知部によって人の存在を検知せずに制御部より透光性面状発光モジュールに通電しないことで個室内を外側から確認することができ、これに反して、個室の在室時に、検知部によって人の存在を検知して制御部より透光性面状発光モジュールに通電することで光の透過を遮断して個室内を外部から見えなくするとともに個室の在室を外部に表示することができ、透光性面状発光モジュールの発光によって個室内を照射して照明することができる。また、大型の透光性面状発光モジュールを適用したとしても、在室時に室内を見えなくすることができるとともに、非在室時に室内の目視確認を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の透光性表示装置によれば、個室の内外を仕切る扉部に設けられる透光性面状発光モジュールと、電源部と、透光性面状発光モジュールを発光制御する制御部と、個室内の状態を検知する検知部と、を有し、制御部は、検知部が個室の内側での人の存在を検知した場合に透光性面状発光モジュールを発光させ、他の場合に透光性面状発光モジュールを消光させる。
これにより、非在室時に外部から室内を確認することができるとともに在室時に外部から見えなくすることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る透光性表示装置について、図面を参照して説明する。
【0010】
本発明の一実施形態である透光性表示装置10は、個室11を仕切る扉体12に設けられる透光性面状発光モジュール13と、電源部14と、透光性面状発光モジュール13に通電を行う制御部15と、個室11内の状態を検知する検知部16と、を備える。ここで、個室11とは、在室しているか否かの確認を外部から行える、トイレや試着室等のプライバシーを保護するべき空間を意味する。
【0011】
図1に示すように、扉体12は図1中の右側面に一対の蝶番部材17,17を取り付けた左外開きのドアであって、その左方の中央部に開閉用操作ノブ18を有する。そして、扉体12は、その左方の上部に開口部19を形成しており、この開口部19に透光性面状発光モジュール13を取り付けている。
【0012】
開口部19は、人の目線に応じた位置に、扉体12の表面積に対して比較的大きい開口面積を有して形成されている。
【0013】
図2に示すように、扉体12は、上框20と、下框21と、左右の横框22,23と、からなる枠体24に、室外側板25と、室内側板26と、を取り付けている。扉体12は、室内側板26に制御部収納用開口部27を形成しており、室外側板25と室内側板26との上部に開口部19を配置している。
【0014】
開口部19は、例えば四角形に形成されており、透光性面状発光モジュール13の外周に嵌め込まれた枠部材28を取り付けている。
【0015】
透光性面状発光モジュール13は、透光性を有する不図示の面状基板上に同じく透光性を有する不図示の一対の面状外装パネルを積層した有機ELパネル等の発光体である。透光性面状発光モジュール13は、通電されないと透明であって光を透過し、通電されると例えば白色や黄色に両面発光して光を透過させない。
【0016】
透光性面状発光モジュール13は、中央部に配置された発光部29と、発光部29の外周を囲む非発光部30と、を有する。非発光部30は枠部材28に不図示の緩衝用ラバー等を介して取り付けられることで人の目線に応じた位置に配置される。
【0017】
電源部14と制御部15と検知部16とは制御部ケース31内に収納されており、制御部ケース31はカバー板32に固定されている。制御部ケース31は、室内側板26の制御部収納用開口部27を介して扉体12内に収容してから、カバー板32を室内側板26に固定することで扉体12の内部に隠れて設置される。
【0018】
制御部ケース31には、制御部15に電気的に接続された強制消灯スイッチ33を設けており、この強制消灯スイッチ33をカバー板32から室内側に突出配置している。
【0019】
強制消灯スイッチ33は、ワンウェイ式の押しボタンスイッチであり、在室中の人によって押下されることにより制御部15にオフ信号を与える。
【0020】
電源部14は、不図示の外部電源に電気的に接続されており、制御部15に常時通電する。ここで、外部電源に接続できない場所に扉体12を設置する場合には、制御部ケース31内に一次電池や二次電池を収容してもよく、二次電池を用いる場合には太陽光発電装置等に接続して常時充電を行うようにしてもよい。
【0021】
制御部15は、制御回路およびタイマ回路を構成する複数の素子を有し、検知部16の端子が例えばローレベルの検知レベルになったときに透光性面状発光モジュール13に所定の電流を供給し、検知部16の検知レベルがハイレベルであるときは透光性面状発光モジュール13への通電を行わない。なお、検知レベルはローレベルとハイレベルとを逆に設定しても良い。
【0022】
検知部16は、赤外線を放射し、その赤外線が人に反射して戻ってきた際の波長を集電素子により検出して人の存在を検知することにより検知レベルをローレベルにし、人の存在を検知しないときには検知レベルをハイレベル(ローレベル)にする人体センサや、扉体12が閉状態から開状態に切り替わったときに検知レベルをローレベル(ハイレベル)にし、扉体12が開状態から閉状態に切り替わったときに検知レベルをハイレベルにするドアセンサ、或いは不図示のドアキーがロックされたときに検知レベルをローレベルにし、ドアキーがアンロックされたときに検知レベルをハイレベルにするロックセンサ等のセンサ部材である。
【0023】
つぎに、図3を参照して透光性表示装置10の制御動作の一例について説明する。なお、この動作説明では検知部16として人体センサを適用した場合について説明する。
【0024】
制御が開始され、個室11内に人がおらず非在室状態であると、検知部16は人の存在を検知せずに待機状態となる(ステップ101)。
【0025】
このとき、透光性面状発光モジュール13は通電されないために透明であって光を透過する。そのため、個室11を使用しようとする人に対して、透明な透光性面状発光モジュール13を通じて個室内を外部から確認することで個室11が「空状態」であることを表示する。
【0026】
使用しようとする人が扉体12を開けて個室11内に入り扉体12を閉めると、検知部16は人の存在を検知して検知レベルをローレベルにするために、制御部15より透光性面状発光モジュール13に所定の電流を供給する。これにより、透光性面状発光モジュール13は両面発光して光を透過させない(ステップ101→ステップ102)。
【0027】
このとき、透光性面状発光モジュール13の両面発光により光の透過を遮断して個室11が「在室状態」であることを個室11の外部に表示する一方、透光性面状発光モジュールの両面発光によって個室11内を照射して照明する。
【0028】
個室11内に人が在室している間に、検知部16はセンシングを続けており、個室11内に人が存在する間に強制消灯スイッチ33が押下されないかぎり、制御部15より透光性面状発光モジュール13への通電を続ける(ステップ102→ステップ103→ステップ105→ステップ102)。
【0029】
個室11に在室している人が用事を済ませ、扉体12を開けて個室11から外に出ると、検知部16は人の存在を検知しなくなって検知レベルをハイレベルにするために、制御部15は透光性面状発光モジュール13への通電を停止する(ステップ103→ステップ104)。
【0030】
透光性面状発光モジュール13は消光されることで透明の状態に復帰し、個室11が「空状態」であることを外部に表示し、個室11内に人がおらず非在室状態であるために、検知部16は人の存在を検知せずに待機状態となる(ステップ101)。
【0031】
ここで、個室11内に在室している人が用事を済ませ、扉体12を開けて個室11から外に出る前に強制消灯スイッチ33を押下すると、制御部15内のタイマが作動を開始して時間を計測し始める(ステップ102→ステップ103→ステップ105→ステップ106)。タイマは制御部15に内蔵されたクロックパルス等を用いた計測手段であり、例えば10秒のタイマ時間を設定している。
【0032】
そのためタイマがタイムアップするまでの例えば10秒間は透光性面状発光モジュール13への通電を続行し、タイマのタイムアップに伴って制御部15は透光性面状発光モジュール13への通電を停止する(ステップ106→ステップ104)。
【0033】
このように、個室11の非在室時に個室11内を外部から確認することができ、これに反して、個室11の在室時に光の透過を遮断して個室11内を外部から見えなくするとともに個室11の在室を外部に表示することができる。
【0034】
また、在室時にのみ、個室11内を照射して照明することができるとともに、個室11内に別途照明装置を設置する必要がなくなるために、消し忘れを防止するとともに電気の無駄使いを防止することができる。
【0035】
また、大型の透光性面状発光モジュール13を適用して、在室時に室内を見えなくすることができるとともに、非在室時に室内の目視確認を確実に行うことができる。
【0036】
なお、前記実施形態で使用した扉体12、透光性面状発光モジュール13などの形状は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る透光性表示装置を設置した扉体の室外側斜め上方から視た外観斜視図
【図2】本発明に係る透光性表示装置を設置した扉体の垂直断面図
【図3】本発明に係る透光性表示装置の制御動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0038】
10 透光性表示装置
11 個室
12 扉体(扉部)
13 透光性面状発光モジュール
14 電源部
15 制御部
16 検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個室の内外を仕切る扉部に設けられる透光性面状発光モジュールと、
電源部と、
前記透光性面状発光モジュールを発光制御する制御部と、
前記個室内の状態を検知する検知部と、
を有する透光性表示装置であって、
前記制御部は、前記検知部が前記個室の内側での人の存在を検知した場合に前記透光性面状発光モジュールを発光させ、他の場合に前記透光性面状発光モジュールを消光させることを特徴とする透光性表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−299329(P2009−299329A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154161(P2008−154161)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】