説明

透明および半透明の架橋プロピレン−ベース・エラストマー、その生成物および製品

【課題】透明性の良い高引張り強度の材料を提供すること。
【解決手段】本発明は、65〜95%のアイソタクチック・プロピレン・トリアド立体規則性、110℃以下のDSCによる融点、5J/g〜50J/gの融解熱、および100ミルあたり95以下のヘーズ%を有し、さらに75重量%以上のプロピレン誘導単位、5重量%以上のエチレン誘導単位を含む、架橋化プロピレン-ベース・エラストマーを提供する。また、架橋化プロピレン-ベース・エラストマーおよび結晶質ポリマー化合物の分散化相の連続相のブレンドである。本発明はまた、本明細書に記載の架橋プロピレン-ベース・エラストマーおよびポリマー100重量あたり100重量以下の色素を含む、エラストマー組成物を提供する。本発明はまた、フィルム、繊維、不織布、成形品、および本明細書に記載された本発明の組成物のいずれをも含む押し出し形態品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、65%〜95%のアイソタクチック・プロピレン・トリアド(triad)立体規則性、110℃以下のDSCによる融点、5J/g〜50J/gの融解熱、および100ミル厚さ当たり95以下のヘーズ(曇り)%を有する架橋プロピレン-ベース・エラストマーを一般に対象とする。本発明のプロピレン-ベース・エラストマーは75重量%以上のプロピレン誘導単位、5重量%以上のエチレン誘導単位、およびオプションとして10重量%以下のジエン誘導単位を含む。本発明はまた、このような架橋プロピレン-ベース・エラストマー、およびポリマー100重量当たり100重量以下の色素を含むエラストマー組成物を対象とする。本発明の実施形態はまた、このような組生物を含む、フィルム、繊維、不織布、成形製品、および押出し製品を含む。本発明の特に好適な実施形態および応用は、ある程度の透明性または半透明性が望まれるようなものである。
【背景技術】
【0002】
非晶質および部分的に結晶質(一般に半結晶質と呼ばれる)ポリマーは、たとえば、ASTM・D1566で定義されるようなエラストマー特性を提供することができる。重要な種類のエラストマーは、一般にチーグラー-ナッタ型触媒を持つ付加重合を使ってポリオレフィンから誘導される。現在、ポリオレフィン・エラストマーは、エチレン、プロピレン(短鎖分岐を提供する)のような結晶化度崩壊α-オレフィン、およびオプションとして少量のポリエン(たとえば、ジエン)の共重合体であり、異なった鎖の間に架橋を提供する際に有用な不飽和短鎖分岐を提供する。これらの共重合体は、ジエン、またはエチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー(EPDM)から誘導された単位を含まないエチレン・プロピレン・コポリマー(EP)であっても良い。
【0003】
EPおよびEPDM共重合体を硬化するための異なった技術が存在する。硬化は、マクロマーまたはポリマー鎖が、既に形成されたポリマーの長さに沿ってそれ自体を挿入する、長鎖分岐の最初の生成から、硬化されたポリマーが部分的に可溶でありかつ部分的に不溶である中間形態へ、次にそのバルクが不溶である完全に硬化した形態へ、次第に進行可能である。そして、実質的にすべてのポリマーは網目状に架橋され、どんな孤立したポリマー鎖も個別の抽出用として残らない。
【0004】
劣化、硬さ、伸展性、圧縮永久歪、引っ張り強度、および冷却性能のような、プロセス性能および最終生成物の物理特性をバランスさせるために、当業者は共重合体、硬化/架橋システム、および他の形成材料を選択する。
【0005】
EP964641、EP946640、EP1003814、US特許番号6,245,856、およびUS特許番号6,525,157、および他は、エラストマーであり、ポリマー鎖においてアイソタクチックに配列したプロピレン誘導シーケンス(連鎖)から生じる結晶化度を有するポレオレフィン共重合体を開示している。これは、結晶化度がエチレン誘導シーケンスによる、現在の商業使用のEPおよびEPDM共重合体と対照的である。このようなプロピレン-ベース・エラストマーの性質は、多くの点において、周知のEPおよびEPDM共重合体エラストマーと異なっている。これらの新しいプロピレン-ベース・エラストマーにジエンの使用が意図されてきた。たとえば、WO00/69964の15ページ18行〜25行を見よ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、エラストマーのエラストマー性能エンベロープを向上させ、プロセス改良するために種々の程度まで硬化される、プロピレン-ベース・エラストマーを提供することである。また、プロピレン-ベース・エラストマーを改良し、硬化を促進し、最適最終用途性能を向上することである。また、EPおよびEPDM共重合体エラストマーを用いて達成できない最終用途性能と外観を提供することである。さらに、透明または半透明であり、かつ高い最大引っ張り強度および引き裂き強度を有する新規の架橋プロピレン-ベース・エラストマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(本発明の概要)
一つの形態において、本発明は、さらにエラストマーのエラストマー性能エンベロープを向上させ、プロセス改良するために種々の程度まで硬化される、プロピレン-ベース・エラストマーを提供する。
【0008】
別の形態において、改良プロピレン-ベース・エラストマーは、色々なオプションの方法およびプロセスにおいて、硬化を促進し、最適最終用途性能を向上するために、ジエンを含む。
【0009】
別の形態において、本発明は、EPおよびEPDM共重合体エラストマーを用いて達成できない最終用途性能と外観を提供するために、このようなプロピレン-ベース・エラストマーを含む改良法を提供する。
【0010】
驚くべきことに、透明または半透明であり、かつ高い最大引っ張り強度および引き裂き強度を有する新規の架橋プロピレン-ベース・エラストマーを製造できる。特別の実施形態において、これらの架橋プロピレン-ベース・エラストマーは、商業的に利用可能なEPDMから作られる架橋組成物と比較して、最大引っ張り強度およびダイC(打抜き)引き裂き強度を改良した。
【0011】
一つの実施形態において、本発明は、65%〜95%のアイソタクチック・プロピレン・トリアド立体規則性、110℃以下のDSCによる融点、5J/g〜50J/gの融解熱、および95未満の100ミル当たりのヘーズ%を有する架橋エラストマーを提供する。架橋エラストマーは、75重量%以上のプロピレン誘導単位、5重量%以上のエチレン誘導単位、およびオプションとして10重量%以下のジエン誘導単位を含む。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、ここで述べる架橋プロピレン-ベース・エラストマー、およびポリマー100重量当たり100重量以下の色素含むエラストマー組成物を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、本明細書で述べる独創的な組成物のどんなものでも含む、フィルム、繊維、不織布、成形製品、および押出し製品のような製品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(詳細な説明)
(光学特性)
好適な実施形態において、本発明は、重要な透明性または半透明性を有する一方で、良好な強度および引き裂き特性を有するエラストマー材料に関する。好適な実施形態は、一つ以上のプロピレン-ベース・エラストマーおよび第二のポリマーのブレンド、最適には、一つ以上のプロピレン-ベース・エラストマーおよび架橋された第二のポリマーとともにアイソタクチック・プロピレンのブレンドを含む。透明度は、以下の「テスト方法」においてより完全に記載されたやり方で測定された材料サンプルの100ミル厚さ当たりのヘーズ(曇り)%の最大値として測定される。本発明の架橋プロピレン-ベース・エラストマーおよびそのようなプロピレン-ベース・エラストマーを含む本発明の組成物は、100ミル厚さ当たり好適には、95以下、または80以下または60以下、または50以下、40以下、または30以下、または20以下のヘーズ%を有する。
【0015】
本発明の実施形態において、組成物はさらに非黒色素を含む。色素は、架橋製品の透明性に必ずしも影響を及ぼすわけではないが、色合いまたは色彩を与えることができる。色素は、どんな色彩でも色合いでも良い。たとえば、白、赤、緑、青、または黄色。
【0016】
(架橋)
一つの実施形態において、強度、引き裂き抵抗および他の性能特性は、事前に選択した程度までエラストマーを架橋することによって、改良される。別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、好都合なプロセスを許容する種々の程度まで架橋される。ある実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、色々なオプションの方法およびプロセスにおいて、架橋を促進し、最適最終用途性能を向上するために、ジエンを含む。たとえば、照射を用いて架橋を減少させる場合のような他の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマー中のジエンの存在はオプションである。
【0017】
本明細書で使われるように、用語「架橋(される)」は、組成物の全重量に基づいて、2重量%以下の不溶性物質を有する組成物および/または1〜10の粘度比を有する組成物を提供するために、一つ以上の従来の架橋方法によって、ポリマー鎖が結合される組成物に関係する。特別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、架橋前に組成物を溶解するどんな溶媒においても、2重量%以下、5重量%以下、10重量%以下、20重量%以下、35重量%以下、45重量%以下、65重量%以下、75重量%以下、85重量%以下、95重量%以下の不溶性物質を持つ組成物を提供する程度まで、架橋される。別の特別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、1.1〜100、または1.2〜50、またはさらに好適には2.0〜20および最適には5.0から10の粘度比を有する組成物を提供する程度まで、架橋される。
【0018】
典型的には、特別の材料の最大引っ張り強度は、非架橋化合物(たとえば、典型的には、低い最大引っ張り強度を有する低い初期粘度(すなわち、高MFR)を持つ材料)のMFRによって影響を受ける。その結果、本発明の架橋プロピレン-ベース・エラストマーが、架橋前に高い粘度を持たずに高い最大引っ張り強度を持つということは、驚異である。たとえば、特別の実施形態において、本発明の架橋プロピレン-ベース・エラストマーは、25MFRの開始粘度を持つ一方で、0.5MP a以上の最大引っ張り強度(TS)を持つ。この実施形態の特別の場合において、架橋前におけるプロピレン-ベース・エラストマーのMFR@230℃に対するショアA硬度の比および架橋(された)プロピレン-ベース・エラストマーのMP aで測定された最大引っ張り強度(TS)は、次式を満足する。(ショアA硬度/MFR@230℃)≦1.66*TS−B1で、 B1は0、または3.33、または6.66、または10である。
【0019】
一般に、材料のダイC引き裂き強度は、非架橋化合物のMFRによって影響を受ける。たとえば、低粘度(すなわち、高MFR)を有する材料は一般に、低いダイC引き裂き強度を有する。逆に、高いショアA硬度を有する材料はまた本来的に高いダイC引き裂き強度を有する。その結果、本発明の架橋プロピレン-ベース・エラストマーが、高粘度を有しないで高いダイC引き裂き強度を持つということは、驚異である。たとえば、特別の実施形態において、本発明の架橋プロピレン-ベース・エラストマーは、ポンド重/インチで測定された、50以上のダイ引き裂き強度(ダイC)を持つ。この実施形態の特別の場合において、架橋前のプロピレン-ベース・エラストマーのMFR@230℃に対するショアA硬度の比および、プロピレン-ベース・エラストマーのポンド重/インチで測定されたダイC引き裂き強度は、次式を満足する。。(ショアA硬度/MFR@230℃)≦1.22*ダイC−B2で、B2は0、または10、または20、または30である。
【0020】
ポリマー成分の親和性混合物を提供するどんな方法によっても、ここで記載される組成物を製造しても良い。一般に、プロセスの第一の工程は、親密に接触させて成分を分散化するように設計されたプロセスおよび他の機械と同様に、成分を一緒に溶融プレスするカーバープレス、内部ミキサー(たとえば、成分を溶解または溶融ブレンドするブラベンダー・ミキサーまたはバンブリー・ミキサー)、および単軸および二軸押出し機、静的ミキサー、緩衝ミキサーを含む連続混合方法として使用される装置のような装置(これらに限定はされない)を使って、ポリマー成分およびプロセスオイル、フィルター、染料、抗酸化剤、人工降雨剤、および流動性向上剤のような、オプションの添加物(たとえば、プロセスオイル、フィルター、染料、抗酸化剤、人工降雨剤、および流動性向上剤)を混合することである。ポリマー成分の完全な混合は、組成物のモルフォロジーの均一性によって示される。このような方法は当業者には周知である。一つの実施形態において、次の工程は、過酸化物または硫化化合物のような化学硬化剤を親和性混合物と混合させ、その後で化学硬化剤を含む親和性混合物を製品の最終形状に加工し、プロピレン-ベース・エラストマーの架橋化を行うため長期間昇温することである。別の実施形態において、次の工程は、親和性混合物を製品の最終形状に加工し、その後でプロピレン-ベース・エラストマーを架橋するために、その加工した混合物を外部硬化剤(たとえば、高エネルギー照射)にさらすことである。
【0021】
本発明の実施において使うことができる硬化システムは、一つ以上の硫黄ベース硬化剤、過酸化物硬化剤、レジン・キュア、ヒドロシリル化、不安定または移動性硬化システム、および高エネルギー照射を含む。このような硬化システムは技術的には周知である。
【0022】
反応を誘発するために、硫黄、硫黄供与体、過酸化物、およびレジンのような、化学硬化剤を使用するとき、硬化剤は、所望の製品の最終形状を加工する前に、一般に、プロピレン-ベース・エラストマー、またはエラストマーを含むブレンドに混合される。好適な実施形態において、当業者に周知である他の硬化開始工程または熱処理によって、製品の加工後に、硬化プロセスを開始しても良い。反応を誘発するために、高エネルギー照射のような、外部硬化剤を使用するときは、プロピレン-ベース・エラストマー、またはエラストマーを含むブレンドは、外部硬化剤と接触する前に、所望の製品の最終形状に加工される。
【0023】
(プロピレン-ベース・エラストマー)
本発明のプロピレン-ベース・エラストマーは、非結晶質領域により遮断された結晶質領域を持つランダム・プロピレン・ホモポリマーまたはコポリマーである。非結晶質領域は非結晶化可能なプロピレン・セグメントおよび/またはコモノマー単位の含有物の領域から生じても良い。プロピレンの挿入におけるエラーの導入によっておよび/またはコモノマーの存在によって、高度にアイソタクチックなプロピレンと比較して、プロピレン-ベース・エラストマーの結晶化度および融点は低下する。
【0024】
プロピレン-ベース・エラストマーの結晶化度を融解熱によって表現しても良い。特別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、1.0J/g、または1.5J/g、または3.0 J/g、または4.0 J/g、または6.0 J/g、または7.0 J/gの下限から、30 J/g、または40 J/g、または50 J/g、または60 J/g、または75 J/gの上限までの範囲内で、DSCにより決定された融解熱を持つ。
【0025】
プロピレン-ベース・エラストマーの結晶化度はまた、結晶化度パーセントによって表現可能である。最高級のプロピレンの熱エネルギーは189J/gで見積もられる。すなわち、100%結晶化度は189J/gに等しい。その結果、特別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、65%、または40%、または30%、または25%、または20%の上限および1%、または3%、または5%、または7%、または8%の下限を有する範囲内で、プロピレン結晶化度を持つ。
【0026】
結晶化度のレベルはまた融点において反映されている。本明細書で使われる用語「融点」とは、DSCにより決定された第一および第二の溶融ピークの間で最高ピークのことである。特別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、110℃、または105℃、または90℃、または80℃、または70℃の上限から0℃、または20℃、または25℃、または30℃、または35℃、または40℃、または45℃の下限までの範囲内で、DSCによる融点を持つ。
【0027】
プロピレン-ベース・エラストマーは一般に、60重量%以上のプロピレン誘導単位を含み、特別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは75重量%以上、または80重量%以上、または90重量%以上のプロピレン誘導単位を含む。
【0028】
本発明において適切なプロピレン-ベース・エラストマーは、65%、または70%、または75%の下限から95%、または97%、または98%、または99%の上限までの範囲内で、アイソタクチック・プロピレン・トリアド立体規則性を持つ。ポリマーのアイソタクチック・プロピレン・トリアド立体規則性は、mおよびrシーケンスの二元結合として表現される、先から端までの結合からなる鎖、3つの隣接プロピレン単位のシーケンスの相対的立体規則性である。ポリマーのアイソタクチック・プロピレン・トリアド立体規則性は、13C NMRおよびUS特許番号5,504,172において概説された計算を使って決定された。
【0029】
特別の実施形態において、本発明のプロピレン-ベース・エラストマーは0%を超えるかまたは、50%、または25%の上限および3%、または10%の下限の範囲内で、アイソタクチック指数を持つ。
【0030】
特別の実施形態において、本発明のプロピレン-ベース・エラストマーは、8、または10、または12の上限および4、または6下限の範囲内で、立体規則性指数(m/r)を持つ。
【0031】
特別の実施形態において、本発明のプロピレン-ベース・エラストマーは、架橋前に、0.1〜400、または3〜200、または5〜150の230℃におけるメルト(溶融)フローレート(MFR)を持つ。
【0032】
特別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、50%未満の200%伸び後の永久伸びを持つ。この実施形態の特別の場合において、プロピレン-ベース・エラストマーは、1500psi(10.4MP a)以上、または1000 psi(6.9MP a)以上、または500 psi(3.5MP a)以上の最大引っ張り強度を持つ。
【0033】
幾つかの実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーの結晶化度は、エチレン、C4-C20アルファ-オレフィン、およびプロピレンから選択される、一つ以上の限定量のコモノマーと、プロピレンとの共重合によって制御される。これらのコポリマーにおいて、プロピレン-ベース・エラストマーにおけるプロピレン誘導単位の量は、プロピレン-ベース・エラストマーの全重量に基づいて、99.9重量%、または97重量%、または95重量%、または94重量%、または92重量%、または90重量%、または85重量%の上限から、60重量%、または68重量%、または70重量%、または71重量%、または75重量%、または76重量%、または80重量%の下限までの範囲である。プロピレン-ベース・エラストマーに存在するエチレンおよび/またはC4-C20アルファ-オレフィンから誘導されるオプション単位の量は、プロピレン-ベース・エラストマーの全重量に基づいて、40重量%、または35重量%、または3 0重量%、または28重量%、または25重量%、または20重量%、または15重量%の上限から、0重量%、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%、または3重量%、または5重量%、または6重量%、または8重量%、または10重量%の下限までの範囲である。プロピレン-ベース・エラストマーに存在するオプションのポリエン誘導単位の量は、プロピレン-ベース・エラストマーの全重量に基づいて、25重量%、または2 0重量%、または15重量%、または10重量%、または7重量%、または6重量%、または5重量%、または4.5重量%、または3重量%、または2.5重量%の上限から、0重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.5重量%、または1重量%、または1.5重量%の下限までの範囲である。
【0034】
プロピレン-ベース・エラストマー中にオプションとして存在する好適なα-オレフィンの非限定的な例は、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1−ヘキセン、1-オクテン、および1-ドデセンを含む。プロピレン-ベース・エラストマー中にオプションとして存在するプロピレン誘導単位を、一つ以上の不飽和結合がポリマーに組込まれても良いところに、2つ以上の不飽和結合を持つどんな炭化水素構造から誘導しても良い。好適なポリエンの非限定的な例は、5-エチリデン-2-ノルボルネン(“ENB”)、5-ビニル-2-ノルボルネン(“VNB”)、ジビニル・ベンゼン(“DVB”)、およびジシクロペンタジエン(“DCPD”)を含む。
【0035】
特別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、125℃で0.5〜100、または5〜40、または10〜40のムーニー粘度ML(1+4)を持つ。
【0036】
本発明のプロピレン-ベース・エラストマーは、5,000,000g/mol、または1,000,000 g/mol、または500,000 g/molの上限、および10,000 g/mol、または15,000 g/mol、または20,000 g/mol、または80,000 g/molの下限を有する範囲以内で、重量平均分子量(MW)を持ち、40、または20、または10、または5、または4.5、または4.0、または3.2、または3.0の上限、および1.5、または1.8、または2.0の下限を有する範囲以内で、時には「多分散性指数」と呼ばれる分子量分布MW/Mn(MWD)を持つ。
【0037】
適切なプロピレン-ベース・エラストマーの非限定的な実施例は、それらを製造するための方法と同様に、係属中のUS仮特許出願番号60/519,975に開示されている“FPC”、 US公開特許出願番号2003/0204017に開示されている「アイソタクチック・プロピレン・コポリマー」、US特許番号6,525,157に開示されている「プロピレン・エチレン・コポリマー」、およびPCT公開番号WO02/083754に開示されている「プロピレン・エチレン・コポリマー」を含み、これらの開示内容は、参照することにより本明細書に完全に含まれる。
【0038】
プロピレン誘導単位を立体規則的に組み込むことによって、結晶化度を減少させることも可能である。その結晶化度は、たとえば触媒および重合温度の選択により、影響を受ける。
【0039】
本発明のプロピレン-ベース・エラストマーは、前処理のどんな重合方法によっても限定されない。また本明細書に記載される重合プロセスはどんな特別な種類の反応容器によっても限定されない。
【0040】
特別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーを生産するために使われる触媒系は、一つ以上の遷移金属化合物および一つ以上の活性剤を含む。アルモキサンまたはアルミニウム・アルキル活性剤が使われる時、前もって混合した活性剤に対する触媒のモル比は一般には、1:5000〜10:1である。イオン化活性剤が使われる時、前もって混合した活性剤に対する触媒のモル比は一般には、10:1から:10である。アルモキサンまたはアルミニウム・アルキルの混合物の使用を含む複合活性剤を使っても良い。
【0041】
特別の実施形態において、触媒系はビス(シクロペンタジエニル)金属化合物および(1)非配位互換性アニオン活性剤、または(2)アルモキサン活性剤のいずれかを含む。使用可能な触媒系の非限定的な例は、US特許番号5,198,401および5,391,629に開示されていて、それらは、参照することにより本明細書に含まれる。
【0042】
特別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、ハロゲン化テトラ-アリルー置換群13アニオン(各々のアリル置換は二つ以上の環状芳香環を含有する)を含む前駆イオン化合物である活性共触媒の存在下で作られる。実施形態の特別の場合において、プロピレン-ベース・エラストマーは、0.2ppmを超える、または0.5ppmを超える、または1ppmを超える、または5ppmを超える、活性共触媒の残留物を含む。
【0043】
特別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーを生産するために使われる触媒系は、ジメチル・シリル・ビス(インデニル)ハフニウム・ジメチルには限定されない、Hf含有メタロセン触媒、およびジメチル・アルミニウム・テトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレートには限定されない、非配位アニオン活性剤、を含む。
【0044】
さらに別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、公開US特許出願2004/0024146に開示された、どんな触媒系および重合方法を使っても生成される。その開示は参照することにより本明細書に含まれる。
【0045】
さらに別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、公開US特許出願2003/0204017に開示された、非メタロセン、金属中心のヘテロアリル・リガンド触媒系の一つのような触媒系を使って生成される。その開示は参照することにより本明細書に含まれる。
【0046】
プロピレン-ベース・エラストマーを製造する時に使用するための適切なさらなる一般的プロセス条件の情報を、US特許出願番号5,001, 205、PCT公開W096/33227およびW097/22639に限定されない開示を含む開示物に見つけることができる。気相重合プロセスに関するさらなる情報を、US特許出願番号4,543,399、4,588,790、5,028, 670、5,317, 36、5,352,749、5,405,922、5,436,304、5,453,471、5,462,999、5,616,661、5,627,242、5,665,818、5,668,228、および5,677,375、およびヨーロッパ公開特許EP-A-0 794 200、EP-A-0 802 202、およびEP-B-634 421に限定されない開示を含む開示物に見つけることができる。液状触媒系を流動床重合の粒子傾斜ゾーンに導入する方法に関する情報をUS特許出願番号5,693,727に限定されない開示を含む開示物に見つけることができる。スラリー重合プロセスに関するさらなる情報を、US特許出願番号3,248, 179および4,613, 484に限定されない開示を含む開示物に見つけることができる。PCT公開WO96/08520およびUS特許出願番号5,712, 352は、何のスカベンジャー(捕捉剤)もないか、実質的にない状態で動作する重合プロセスを記載する限定されない開示物の例である。
【0047】
プロピレン-ベース・エラストマー含有組成物を含む本発明の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーは、組成物の全重量に基づいて、50重量%以上、または60重量%以上、または70重量%以上、または75重量%以上、または80重量%以上、または95重量%以上の量で存在する。
【0048】
プロピレン-ベース・エラストマー含有組成物を含む本発明の別の実施形態において、プロピレン-ベース・エラストマーの重量に対する、結晶質ポリマー成分、フィラー、色素、および可塑剤などの全重量(すなわち、プロピレン-ベース・エラストマー以外の材料の全重量)の比は、2以下または1.5以下または1.3以下または1以下または0.5以下または0.3以下または0.2以下である。
【0049】
(結晶質ポリマー成分)
本発明の幾つかの実施形態は結晶質プロピレン・ポリマー成分を含む。結晶質プロピレン・ポリマー成分は、プロピレン・ホモポリマー、プロピレン・コポリマー、およびそれらの混合物(それらは、リアクター・コポリマーまたは耐衝撃性コポリマーとして普通に知られている)から選択しても良い。結晶質ポリマー成分がプロピレン・コポリマーを含む実施形態において、プロピレン・コポリマーは、グラフト・コポリマー、ブロック・コポリマー、またはランダム・コポリマーであっても良い。
【0050】
結晶質ポリマー成分中に存在するプロピレン誘導単位の量は、結晶質ポリマー成分の全重量に基づいて、90重量%以上、または92重量%以上、または95重量%以上、または97重量%以上、または100重量%である。
【0051】
一つの実施形態において、結晶質ポリマー成分は、プロピレンのランダム・コポリマー並びに、エチレンおよびC4-C12アルファ-オレフィンの一つ以上から選択される一つ以上のコモノマーを含む。この実施形態の特別の場合において、コモノマーの量は、結晶質ポリマー成分の全重量に基づいて、9重量%以上、または8重量%以上、または6重量%以上の上限、および2重量%以上の下限を有する範囲内である。
【0052】
本発明の結晶質ポリマー成分は110℃以上、または115℃以上、または130℃以上のDSCによる融点、および60J/g、または70J/g、または80J/gのDSCにより決定された融解熱を持つ。
【0053】
本発明の結晶質ポリマー成分は、5,000,000g/mol、または500,000 g/molの上限、および10,000g/mol、または50,000 g/molの下限を有する範囲内で、重量平均分子量(MW)を持ち、また、40の上限、および1.5の下限を有する範囲内で、時には「多分散指数」(PDI)と呼ばれる、分子量分布MW/Mn(MWD)を持つ。
【0054】
本発明は、結晶質ポリマー成分のどんな特別な製造方法にも限定されない。一つの実施形態において、結晶質ポリマー成分は、一段または多段反応炉において、プロピレンのホモ重合の周知のプロセスによって得られる、プロピレン・ホモポリマーであっても良い。別の実施形態において、結晶質ポリマー成分は、一段または多段反応炉において、プロピレンおよび1つ以上のコモノマーを共重合する周知のプロセスによって得られる、プロピレン・コポリマーであっても良い。
【0055】
結晶質ポリマー成分を製造する重合方法は、高圧、スラリー、気体、バルク、溶液相、およびそれらの組み合わせを含む。使用可能な触媒系は、従来のチーグラー・ナッタ触媒およびシングル・サイトメタロセン触媒系を含む。一つの実施形態において、使用される触媒は高いイソ特異性(isospecificity)を持つ。
【0056】
結晶質ポリマー成分の重合は、連続またはバッチプロセスによって、行われても良く、また、連鎖移動剤、スカベンジャー、または当業者に周知の他のその種の添加物を含んでも良い。結晶質ポリマー成分はまた、特性を改良または維持するためにアイソタクチック・プロピレンに通常添加される、抗酸化物、流動性向上剤、および人工降雨剤のような添加物を含んでも良い。
【0057】
(ブレンド)
一つの実施形態において、本発明は、一つ以上のプロピレン-ベース・エラストマー、および一つ以上の結晶質ポリマー成分を含むブレンド組成物を提供する。このようなブレンド組成物は異なる結晶化度の領域から成る異質相形態を持つ。これらの異なる結晶化度の領域は、本発明の組成物を通常利用可能なプロピレン・リアクター・コポリマー(すなわち、アイソタクチック・ポリプロピレンおよびプロピレンとエチレンとのコポリマーのブレンド)から区別し、単一の結晶質相を持つ。
【0058】
好適な実施形態において、異種ブレンド組成物の連続相はアモルファスまたは結晶可能形態を持ち、プロピレン-ベース・エラストマーを含み、さらに少量の結晶質ポリマー成分を含んでも良い。分散化相は結晶質形態を持ち、結晶質ポリマー成分、オプションのフィラー(充填剤)を含み、さらにまた、連続相に比較して少量のプロピレン-ベース・エラストマーを含んでも良い。プロピレン-ベース・エラストマーは結晶質ポリマー成分に比較して低い結晶化度を持つ。それゆえ、本発明の組成物の連続相は分散化相に比較して低い結晶化度を持つ。低結晶化度連続相は、本発明の組成物の最適実施形態を、通常利用可能なプロピレン耐衝撃性コポリマー、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、および熱可塑性オレフィン(これらは、高結晶質連続相を持つ)から区別する。
【0059】
このブレンド組成物の成分は、微細なブレンド形態を獲得し維持するために、予備形成またはその場形成の相溶剤を添加する必要がない程度まで好適に相溶できるように選択されるべきである。
【0060】
本明細書に記載した好適な異種ブレンド組成物の分散化相の領域は、5μm未満の平均最小軸を持つほど小さい。分散化相の軸は大きくなると100μmほどになりうる。
【0061】
(添加物)
当業者にとって明らかなように、本発明の組成物は、ポリマー成分に加えて添加物を含んでも良い。種々の添加物が特定の性質を向上させるために存在しても良いし、個々の成分の処理の結果として、存在しても良い。組み込まれる添加物は、プロセス・オイル、防火剤、抗酸化剤、可塑剤、色素、加硫または硬化剤、加硫または硬化促進剤、硬化抑制剤、プロセス補助剤、難燃剤、粘着性樹脂、流動性向上剤、およびそれらの類似品を含むが、これらに限定されない。ブロッキング防止剤、着色剤、潤滑剤、離型剤、人工降雨剤、強化剤、および充填剤(粒状、繊維状、または粉状を含む)も用いても良い。人工降雨剤および充填剤は製品の剛性を改良することもできる。本明細書に記載したリストは、本発明を用いて使用されるすべての種類の添加物を含めることを意図してはいない。当業者は、他の添加物も組成物の性質を向上させるために使うこともできるということを、理解するであろう。当業者によって理解されるように、本発明の組成物は、ブレンドの特性を望む通りに調整するために修正しても良い。
【0062】
本明細書に記載した組成物は、硬化成分を含む組成物において特に、組成物の機械的および磨耗特性を改良する可能性がある無機物の粒状充填剤も含んでも良い。私用される無機物充填剤の量は、通常ポリマー材料の100重量当たり、1〜100重量の無機物充填剤である。無機物充填剤は直径が1mm未満の粒状物、長さが1cm未満の棒状物、および表面積が0.2cm2未満の板状物を含む。模範的な粒状充填剤は、滑石、粘土、チタンとマグネシウム酸化物、および珪化物を含む。カーボンブラックは、所望のオプションの特性と相互作用するので、通常好適ではないだろう。さらに、カルシウム・カーバイド、酸化亜鉛、重質炭酸カルシウム、および酸化マグネシウムのような他の粒状充填剤も使うこともできる。棒状フィラー(充填剤)の例はガラス繊維である。板状充填剤の例は雲母である。通常ナノ組成物と呼ばれる非常に小さな粒状繊維の添加も考えられる。充填剤の添加は、本明細書に記載した組成物の特性を変えることもできる。たとえば、無機物充填剤を含む組成物は熱安定性および耐摩耗性を改良することも可能である。
【0063】
充填剤の量および選択は、架橋製品の透明性を損なわない組み合わせに限定される。通常、充填剤の添加は、フィラーを含むポリマー・サンプルを通る光の通過をさえぎるために、透明性を失うことにつながる。 (a)長さが可視光の波長と同等以下であるフィラーの使用、(b)屈折率がプロピレン-ベース・エラストマーに近い透明性フィラーの使用、(c)最小許容可能量のフィラーまたは色素の使用、を含むフィラーの存在において、幾つかの方法は、透明性を誘発するために利用できる。本発明の種々の実施形態において、本発明の組成物の透明性を維持するために、これらの方法の1つ以上を使っても良い。
【0064】
本明細書に記載される組成物は、全ポリマーの100重量当たり、0〜500重量、または2〜200重量、または5〜150重量、または10〜100重量、または20〜50重量の範囲内でプロセス・オイルを含んでも良い。適度な量のプロセス・オイルの添加は、0℃近辺以下の温度でブレンドの特性を改善する一方で、ブレンドの粘性および柔軟性を低下させる可能性がある。これらの潜在的な利点は、ブレンドのガラス転移温度(Tg)を低下させることによって起こる。ブレンドにプロセス・オイルを添加することはまた、プロセス能力を改良し、弾性および引っ張り強度のバランスを良くする。プロセス・オイルは通常、ゴムの応用におけるエキステンダー油として知られる。プロセス・オイルは、(a)酸素のような微量のヘテロ原子、(b)ジオクチル・プリタレート、エーテル、およびポリエステルのような一つ以上のヘテロ原子のいずれかを持つ炭化水素を含む。プロセス・オイルは、200℃で実質的に不揮発性である沸点を持つ。これらのプロセス・オイルは、自由流動性粉末を形成するために、原固体・原液として、または不活性な担体(たとえば、粘土、シリカ)上にこれらの材料を物理的に吸収させた混合物として、のいずれかで通常利用できる。プロセス・オイルは通常、線形・非環式だが分岐、環状、および芳香族炭素質構造からなる多数の化学化合物の混合物を含む。別の仲間のプロセス・オイルは、10,000未満の分子量(Mn)を持つある有機エステルおよびアルキル・エーテル・エステルである。プロセス・オイルの組合わせはまた、本発明の実施において使っても良い。プロセス・オイルは、融液中でポリマーブレンド組成物と相溶性または混和性であるべきであり、また室温でプロピレン-ベース・エラストマーに本質的に混和性を有しても良い。プロセス・オイルは、ポリマーの回復前にすべてのまたは一部のプロセス・オイルの添加、およびプロピレン-ベース・エラストマーの混合用の配合の1部として、ポリマーにすべてのまたは一部のプロセス・オイルの添加を含む、技術的に知られるどんな従来手段によっても、ブレンド組成物に添加しても良い。配合工程を、ミルのようなバッチ混合機中、またはバンブリー・ミキサーのような内部混合機中で行っても良い。配合作業を2軸押出し機のような連続プロセスで行っても良い。アイソタクチック・プロ
ピレンおよびエチレン・プロピレン・ジエン・ゴムのブレンドのガラス転移温度を低下するためのプロセス・オイルの添加は、US特許番号5,290,886および5,397,832に開示されていて、これらの開示は参照することにより本明細書に含まれる。
【0065】
ここで使われるように、用語「プロセス・オイル」はまた、ある炭化水素樹脂を含み、それは、ポリマーと混和するように選択される。その樹脂は、以下の範囲に適合する場合には、混和できる。示差走査熱量測定実験において、ポリマー組成物は20℃および-50℃の間の単一のガラス転移温度(Tg1)を示す。ポリマー組成物および炭化水素樹脂を含む対応のポリマーブレンドも単一のガラス転移温度(Tg2)を示す。Tg2はTg1より1℃以上高い。本発明におけるプロセス・オイルとして有用なこの樹脂は好適には、20℃以上のDSCによるガラス転移温度を持つ。本発明の実施形態において有用な炭化水素樹脂は、180℃、または150℃、または140℃の上限、および80℃、または120℃、または125℃の下限を有する範囲内で軟化点を持つ。その軟化点(℃)は、ASTM E-28(1996年版)によるリングおよびボール状軟化点として測定される。
【0066】
特別の実施形態において、本発明のブレンドは、ブレンドの全重量に基づいて、重量で1%、または5%、または10%の下限から、ブレンドの全重量に基づいて、重量で30%、または25%、または20%の上限までの範囲内の量で炭化水素樹脂を含む。
【0067】
種々の天然樹脂および合成樹脂、単独またはお互いの混合物において、本明細書に記載された組成物を製造する際に使うことができる。適切な樹脂は、天然ロジンとロジン・エステル、水素化ロジンと水素化ロジン・エステル、クマロニンデン樹脂、石油樹脂、ポリエステル樹脂、およびテルペン-フェノール樹脂を含むが、これらに限定されない。適切な石油樹脂の具体例は、脂肪族炭化水素樹脂、水素化脂肪族炭化水素樹脂、混合脂肪族・芳香族炭化水素樹脂、水素化混合脂肪族・芳香族炭化水素樹脂、脂環式炭化水素樹脂、水素化脂環式炭化水素樹脂、混合脂環式・芳香族芳香族炭化水素樹脂、水素化混合脂環式・芳香族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、置換芳香族炭化水素、水素化芳香族炭化水素樹脂を含むが、これらに限定されない。ここで使われる、水素化とは、完全に、本質的におよび少なくとも部分的に水素化樹脂を含む。適切な芳香族樹脂は、1-30%、好適には1-20%、もっと好適には1-5%、さらに好適には1重量%未満の芳香族量を有する、芳香族修正脂肪族樹脂、芳香族修正脂環式樹脂、および水素化芳香族炭化水素樹脂を含む。上記樹脂のいずれでも、その樹脂の特性を向上させるために、不飽和エステルまたは無水化物を用いてグラフトしても良い。グラフト化樹脂およびそれらの製造の例は、PCT出願PCT/EP02/10794、PCT/EP02/10795、PCT/EP02/10796、およびPCT/EP02/10686に開示されていて、これらは参照することにより本明細書に含まれる。樹脂のさらなる説明に関して、技術文献を参照することもできる。たとえば、化学技術百科事典4巻pp.717-743(ウィリー&サン、1995)のカーク-オスマーによる炭化水素樹脂(Hydrocarbon Resins, Encyclopedia of Chemical Technology, 4th Ed. v. pp. 717-743 (J. Wiley & Sons, 1995)。
【0068】
適切な樹脂の非制限的実例は、エクソンモービル化学会社から販売されている、EMPR100,101, 102,103, 105,106, 107, 108, 109,110, 116,117,および118樹脂およびEMFR樹脂を含む。前述の例は一例にすぎず、決して限定していない。本発明の実施形態はポリマーの分子量(Mn)より少ない分子量を持つ樹脂を含む。好適には、1000の上限および500の下限を有する範囲内で分子量(Mn)を持つ。
【0069】
ここで記載された組成物への、無機質フィラー上で結合した脂肪酸エステルまたはカルシウム脂肪酸石鹸の混合物のようなプロセス補助剤の添加は、組成物の混合および成形品への組成物の注入を助ける。プロセス補助剤は、低分子量プロピレン・コポリマー・ワックスおよびパラフィン・ワックスである。使用されるプロセス補助剤の量は、ポリマー100重量あたり、0.5~5重量の範囲内である。
【0070】
ここで記載された組成物への抗酸化剤の添加は、長期劣化を改善する可能性がある。抗酸化剤の例は、キノレンたとえばトリメチルヒドロキシキノレン(TMQ)、イミダゾールたとえばジンクメルカプト・トルイル・イミダゾール(ZMTI)、並びにヒンダードフェノール、ラクトン、および亜リン酸塩のような従来の抗酸化剤を含むが、これらに限定されない。使用される抗酸化剤の量は、ポリマー100重量あたり、0.01~5重量の範囲内であっても良い。
【0071】
(ブレンドの処理と使用)
我々は、ブレンドの光学特性はプレンド後処理により改良できることを発見した。多くの実施形態において、ブレンドの熱処理は、透明度を顕著に改良できる。この熱処理は、ブレンド・プロセスの一部として、またはブレンド・プロセスの後で、行われる。熱的に活性化した架橋剤を使う時、好適には架橋工程の一部として行われる。たとえば、ブレンド(好適には、たとえば、テキサス州ヒューストンのエクソンモービル化学会社から販売されているアチーブ3854)の結晶質ポリマー成分として、結晶質プロピレンが使われる時、我々は、架橋工程中または後で少なくとも170℃までブレンドを熱処理することは、透明度を大いに改善することを発見した。さらに、我々は、結晶質ポリマー成分が実質的に完全に溶融するようなレベルまで温度を上げることは好都合であることを発見した。好適には、温度は融解の99%がDSCサーモグラムにおいて発生した温度以上まで上げられる。当業者は、透明性においてごくわずかな、または適度な減少を伴う幾つかの応用においては、温度を下げることもできるということを理解するだろう。ある場合には、95%または90%融解でも十分であろう。
【0072】
結晶質ポリマーの融点付近または以上までブレンドの温度を上げることは、プロピレン-ベース・エラストマーのマトリックス内で、結晶質プロピレンの結晶サイズのかなりの減少をもたらし、この結果透明度の大きな増加となる。幾つかの応用において、この熱処理工程は、最終製品の形成中に最も十分に行われるであろう。他の応用において、製品を形成し、製品が形成された後でこの熱処理工程を行うことが望ましい。我々はまた、ある添加剤、特にテキサス州ヒューストンのエクソンモービル化学会社から販売されているEMPR100または103のような多環式ポリマーは、最終ブレンド品の透明性を改善できる。結晶質ポリマー成分の10〜500重量%、最適には10〜50重量%の結晶質ポリマー成分に等しい量でそれらを使用できる。
【0073】
(定義および試験方法)
コモノマー量:当業者には周知の13C核磁気共鳴(NMR)を使って、コモノマー量および連鎖分布を測定できる。分子量範囲のコモノマー量も、GPCによるサンプルを用いたフーリエ変換赤外分光法(ETIR)を含む、ホウィーラーおよびウィリスによる応用分光法1993年47巻pp.1128-1130において記載されているように、当業者には周知の方法を使って測定できる。
【0074】
75重量%を超えるプロピレンを含むプロピレン-ベース・エラストマーの特別の場合において、以下のようにコモノマー量を測定できる。薄い均質の膜を約150℃以上の温度でプレスし、パーキン・エルマーPE1760赤外線スペクトロフォトメーターに搭載する。600cm-1〜4000cm-1のサンプルのフル・スペクトルが記録され、エチレンのモノマー重量%を次式により計算できる。エチレン量=82.585−111.987X+30.045X2、ここでXは1155 cm-1におけるピーク高さと722 cm-1または732 cm-1におけるピーク高さの内で高い方との比である。
【0075】
ポリエン量:重合後ポリマー中に存在する遊離(pendant free)オレフィン量の定量測定によって、ポリマー中に存在するポリエン量を推測できる。H1または13C核磁気共鳴(NMR)によるヨード数およびオレフィン量の決定のような幾つかの方法が確立されている。ポリエンがENBである本明細書に記載した実施形態において、ポリマー中に存在するポリエン量はASTM・D3900を使って測定可能である。
【0076】
アイソタクチック:用語「アイソタクチック」は、ポリマー・シーケンス(連鎖)として、本明細書で定義される。すなわち、そのポリマー・シーケンス(連鎖)においては、骨格鎖の原子が1つの面上に全部ある時、隣接プロピレン単位上に配置した50%を超えるペンダント・メチル基のペアーは、(それは標準部位1,2型においてその鎖に挿入され、骨格構造の1部ではないが)骨格鎖の原子の上部か下部のどちらかに配置される。ブレンド中のポリマーまたは単一ポリマー内のポリマー連鎖のある組み合わせは、「実質的に同一の立体規則性」を有するとして説明される。それは、2つのポリマーは上の定義によって両方ともアイソタクチックであるということを意味する。
【0077】
立体規則性(Tacticity):用語「立体規則性(Tacticity)」は、ポリマー中のプロピレンからメチル残留物の配向の立体規則性を示す。ポリマー骨格に対して同じ配向を持つ、同一に挿入された隣接するプロピレン誘導単位からのメチル残留物のペアーは、「メソ(meso)」(m)と呼ばれる。反対の配置のものは「ラセミ(racemic)」(r)と呼ばれる。3つの隣接プロピレン基は同じ配向を有するメチル基を持つとき、トリアドの立体規則性は「mm」である。もし3つのモノマー連鎖において2つの隣接モノマーが同じ配向を持ち、かつその配向は第三の単位の相対的配置と異なっているならば、そのトリアドの立体規則性は「mr」である。中間のモノマー単位がどちらかの隣と反対配置を持つとき、そのトリアドは「rr」立体規則性を持つ。ポリマー中における各々のタイプのトリアドの割合を決定することが可能であり、100倍するとポリマー中に見出されるタイプのパーセンテージを示す。
【0078】
以下に記載され、US特許番号5,504,172において記載されているように、ポリマー中の13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルから、本明細書に記載されるポリマーのトリアド立体規則性を決定できる。
【0079】
立体規則性指数:「m/r」として表現される立体規則性指数は、13C核磁気共鳴(NMR)によって決定される。立体規則性指数「m/r」は、マイクロ分子17のH.N.チェングにおいて定義されるように計算される。m/r比1.0は一般にシンジオタクチック・ポリマーを表し、m/r比2.0はアタクチック材料を表す。アイソタクチック材料は理論的には無限大に近い比を持っても良い。また多くの副生成物アタクチック・ポリマーは50を超える比で生じる程度の十分なアイソタクチック量を有する。
【0080】
融点および融解熱:本明細書に記載されたポリマーの融点および融解熱(Tm)は、ASTM E-794-95法を使って、示差操作熱量測定(DSC)によって決定することができる。約200℃〜230℃でプレスされたポリマー・シートの約6〜10mgが打抜き型(ダイ)を用いて取り出され、室温で48時間アニールされる。この周期の終わりに、サンプルは、示差操作熱量測定器(パーキン・エルマー・パイリス解析システム)に置かれ、約-50℃〜-70℃まで冷却される。サンプルは約20℃/minで熱処理され、約180℃〜200℃の最終温度を得る。ここで使われる用語「融点」は、上述したように、DSCにより決定された第一および第二の融解ピークの間の最高ピークである。熱出力は、サンプルの融解ピーク下の領域として記録され、それは通常約30℃〜約175℃で最大ピークとなり、約0℃および約200℃の温度間で起こる。熱出力は、融解熱の測定として、ジュールで測定される。融点は、サンプルの融解範囲内で最大熱吸収温度として記録される。
【0081】
分子量および分子量分布:本明細書に記載されたポリマーの分子量および分子量分布は次のように測定することができる。分子量分布(MWD)は、所定のポリマー・サンプル内で、分子量範囲の測定である。数平均分子量に対する重量平均分子量の比MW/M、または重量平均分子量に対するZ平均分子量の比MZ/MWのような、種々の分子量平均の割合によって、MWDの幅を特徴づけることができるということは周知である。
【0082】
MZ、MW、およびMは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)としても知られている、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使って測定できる。この技術は、異なるサイズのポリマー分子を分離するために、多孔質ビーズで充填したコラム、溶出溶媒、および検出器を含む装置を使う。通常の測定において、使用されるGPC装置は、145℃で動作する超発泡・ゲル・コラムを備えた水クロマトグラフである。使用される溶出溶媒は、トリクロロベンゼンである。コラムは、正確に知られた分子量である標準16ポリスチレンを使って修正される。試験ポリマーの保存容量に対する標準品から得られたポリスチレン保存容量の相関関係は、ポリマー分子量を与える。
【0083】
平均分子量Mは次式から計算できる。
【式1】
【0084】

ここで、Niは分子量Miを持つ分子の数である。n=0の時、Mは数平均分子量Mnである。n=1の時、Mは重量平均分子量Mwである。n=2の時、MはZ平均分子量MZである。所望のMWD関数(たとえば、Mw/MnまたはMZ/Mw)は対応するM値の割合である。MおよびMWDの測定は、技術的には周知であり、もっと詳細には、たとえば、スレードによるニューヨーク州マーセル・デッカー社のポリマー分子量パートII(1975)287-368、ロドリゲスによるニューヨーク州ヘミスフィア出版社のポリマー・システムの原理第3巻(1989)155-160、US特許番号4,540,753、ヴァーストレートらによるマイクロ分子21巻(1988)3360、およびそれらに引用されたレファレンスにおいて議論されている。
【0085】
(引っ張り)永久伸び:(引っ張り)永久伸びは、サンプルを異なる伸びまで一軸変形伸びをすることによって、一般的なASTM D790に従って測定することができる。
【0086】
応力緩和:応力緩和は次の方法を使って測定することができる。サンプルをインストロン4465試験器に搭載し、200%伸びまで伸ばす。この伸びにおける荷重はL1として測定される。サンプルは30秒間この伸びで保持され、この30秒の終わりに新しい荷重がL130として測定される。この膜の緩和(R1)は、100x(L1−L130)/L1として計算され、パーセンテージで表される。それからサンプルは200%伸びまで伸ばされる。この伸びでの荷重は、L2として測定される。このサンプルは30秒間この伸びで保持され、30秒の終わりに新しい荷重がL230として測定される。この膜の緩和(R2)は、100x(L2−L230)/L2として計算され、パーセンテージで表される。このサンプルは0%の初期伸びまで戻される。サンプルにかかる荷重が第2サイクルで0であるときの伸びは、永久歪(set)%として示される。サンプルのヒステリシスは100x(L1−L2)/L1として示され、パーセンテージで表される。
【0087】
応力・歪測定:本明細書に記載される硬化化合物の応力・歪伸び特性は、以下に記載されるASTM D790法に従って測定できる。ダンベル形状のサンプルは、6インチx6インチの寸法に成形された硬化パッドに作られ、ダイを用いて取り出される。サンプルの応力・歪の評価は、MA州カントンのインストロン社製インストロン4465試験器で行われ、20インチ/分でブレンドに関して決定された。インストロン社から利用可能なシリーズIX材料試験システムによって集められたファイルにおいて、デジタル・データが集められ、WA州レドモンドのマイクロソフト社から利用可能なエクセルの集計表を使って解析された。
【0088】
PHR:用語「phr」は、100ラバー当たり、または100弾性ポリマー当たりの量を意味するためにここで使われる。
【0089】
還流キシレン中の抽出:還流キシレン中の溶解度は、硬化性プロピレン-ベース・エラストマーおよび硬化性エチレン-ベース・ポリマー(存在する場合)を含有する組成物における不溶性で非抽出性プロピレン-ベース・エラストマーおよびオプションのエチレン-ベース・ポリマーの量の測定値である。キシレン中の溶解度を決定するプロセスは以下の通りである。薄い、0.5インチ未満の薄い部分、および約2グラムの重さを持つサンプルの重さが測られ、重さはW1として記録される。サンプルは抽出装置において50mlの還流キシレンにさらされる。サンプルは還流溶媒によって140℃にまたは近辺に保持される。抽出の24時間後に、その溶媒は除去され、50mlの新しい溶媒が加えられ、抽出がもう24時間同一条件下で行われる。この周期の終わりに、サンプルは取り出され、真空オーブンで100℃24時間乾燥される。その後、サンプルは冷却され、W2として記録され、最終重さを測定される。還流キシレン中のポリマー不溶性物質の割合は、次式により決定される。抽出によって架橋された%=100x[W2 (1−FFi)]/[W1(1−Fs−Fp−FFi)]、ここで、Fsは組成物中に存在する結晶質ポリマー成分の重量分率、Fpは還流キシレンに抽出している組成物に存在する可塑剤、プロセスオイル、および他の低分子量材料の重量分率、およびFFiはフィラーおよび還流キシレンに標準的に抽出されない組成物に存在する他の無機物材料の重量分率である。
【0090】
ダイC引き裂き強度:ダイC引き裂き特性は、ASTM D624バージョン00に従ってポンド重/インチで示される。ここでのデータはピークの力に関してであり、3個のサンプルの平均が平均データとして示される。元のデータを0.175倍して、単位をポンド重/インチからkN/mへ変換しても良い。
【0091】
トラウザー引き裂き:トラウザー引き裂き特性は、ASTM D624バージョン00に従ってポンド重/インチで示される。ここでのデータはピークの力に関してであり、3個のサンプルの平均が平均データとして示される。元のデータを0.175倍して、単位をポンド重/インチからkN/mへ変換しても良い。
【0092】
ムーニー粘度:ここで使われるムーニー粘度は、ASTM D1646に従ってML(1+4)@125℃として測定される。
【0093】
メルト・フロー速度およびメルト指数:ポリマーのメルト・フロー速度(MFR)およびメルト指数の決定は、2.16kgの荷重で改良1を用いて、ASTM D1238に従っている。この方法のバージョンにおいて、試験中に押出されたサンプルの部分は集められ重量測定される。サンプル解析は、実験期間中に安定した温度を提供するためにサンプル上で1分プリヒートして、230℃で行われた。1分当たり押出されるサンプルのdgとして表現されるこのデータはMFRとして示される。代替方法において、試験は、190℃の温度を除いて、同一方法で行われた。このデータをMI@190Cと呼ぶ。ここで使われるように、MFR@230℃はプロピレン-ベース・エラストマー、オプショとして結晶質ポリマー成分、およびオプショとして架橋前にする硬化性添加剤以外の添加物を含む組成物のMFRを示す。
【0094】
ショアAおよびショアD硬度:ポリマーのショアAおよびショアD硬度の決定はASTM D2240に従っている。この方法のバージョンにおいて、サンプルの一部は室温で試験された。圧痕がサンプルに付けられた後に、データは15秒記録される。ここで使われるように、ショアA硬度は架橋された組成物のショアA硬度である。
【0095】
アイソタクチック指数:アイソタクチック指数は、EP0374695A2に記載された方法に従って計算される。材料の薄膜のIRスペクトルが記録され、997cm-1の吸収度および973 cm-1の吸収度が決定される。973 cm-1の吸収度に対する997cm-1の吸収度の比は、アイソタクチック指数を得るために100倍される。これらの2つの位置における吸収度の決定において、ゼロ吸収度の位置は、サンプル・ビームにおいて解析サンプルがない時の吸収度である。
【0096】
粘度比:レオロジー的実験が、照射前後でサンプル上で行われた。実験は、25mm直径の平板を使った平衡平板形状を用いて、レオメテリックスARESレオメーターで行われた。小振幅振動せん断測定が、190℃で0.1〜100rad/sの20%歪で行われた。照射前に対する照射後の0.1rad/sにおけるサンプルの粘度の割合は、その粘度比となるまで取られた。
【0097】
ヘーズ(曇り):ヘーズは、1000分の約50〜90インチ厚みの化合物の圧縮成形したプラーク上で測定された。ヘーズはパーセンテージで表され、ASTM D1003-00に従いCIE発光C光源を用いて、ヘーズガード・プラス・ヘーズメーター上で測定される。
【0098】
厚さ:厚さは、携帯用マイクロメーターを用いて測定され、ミルまたは千分の1インチで表される。
【0099】
RPA測定:硬化特性(トルクおよび損失ファクター)は、オハイオ州アクロンのアルファ・テクノロジ製RPA2000(ラバー・プロセシング・アナライザー)を使って、測定された。約5.5gの化合物は重量測定され、2枚の薄いマイラーフィルムの間に、さらにRPAダイ・プレートの間に置かれた。その測定は、10℃ステップで幾つかの一定温度で時間の関数として行われた。温度は、使用される硬化パッケージに依存して、140℃〜210℃の範囲である。歪は13.95%および1Hz振動数まで行われた。サンプルは、最初に選択された温度で1分間調整され、データー収集が1時間続いた。測定出力は、さらなる処理および解析のために保存された時間の関数として、その化合物のトルク(S’)、その係数および損失ファクター(tan δ)から構成された。
【実施例】
【0100】
サンパー150は、フィラデリフィアのスノコ(Sunoco)社製プロセスオイルである。
【0101】
トランスリンク37は、NJ州イセリンのエンゲルハード社製表面処理カオリン粘土である。
【0102】
EMPR103およびEMPR100は、TX州ヒューストンのエクソンモビル・ケミカル社製の商用炭化水素樹脂である。
【0103】
過酸化ジクミル(DiCup R)およびシアヌル酸トリアリル(TAC)は、WI州ミルウオーキーのアルドリッチ化学社製で商業的に利用可能である。
【0104】
ESC PP 4292 (3 MFR), ESC アチーブ 3854 (34 MFR), ESC PP 3155 (35 MFR), ESC 100 MFR (100 MFR), ESC PP 3505 (400 MFR), および PP アチーブ 3936 (100 MFR)は、所定のMFRを有するアイソタクチック・プロピレンであり、TX州ヒューストンのエクソンモビル・ケミカル社製で商業的に利用可能である。
【0105】
V2504, V3666, および V404は、TX州ヒューストンのエクソンモビル・ケミカル社製で商業的に利用可能なエチレン-プロピレン・コポリマーである。
【0106】
イルガノックス1076は、ノバルチス社製の抗酸化剤である。
【0107】
HVA-2は、DE州ワシントンのデュポン・デ・ヌムール社製の硬化補助剤である。
【0108】
SHF101は、TX州ヒューストンのエクソンモビル・ケミカル社製の合成オイルである。
【0109】
次の実施例におけるプロピレン-ベース・エラストマーは、次の方法に従って製造することができる。デュアル・ピッチ・ブレード・タービンかくはん機を装備した連続フローかくはん槽型反応器において、乾燥ヘキサン92Kg、プロピレン34Kg、エチレン1.8Kg、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)1.1Kgが1時間当たり添加される。その反応機は、反応の進行中に650rpmでかくはんされ、1600psi圧力(ゲージ)で完全液状で保持され、その結果重合帯にあるすべての領域は重合の全進行中で同じ組成を持つ。1.5610-3グラムのジメチルシリルインデニル・ジメチル・ハフニウムおよび2.4210-3グラムのジメチルアニリニウム・テトラキス(ヘプタフルオロナフチル)・ボレートのトルエン中の触媒溶液は、重合を開始するために6.35ml/分の速度で添加される。トリ-n-オクチルアルミニウム(TNOA)の添加溶液が、重合中の余分な湿気を除去するために、添加される。重合は約59℃で行われ、−3℃〜2℃の温度で前もって冷却されたヘキサンを添加することによって、その温度が重合中保持される。重合は通常、時間あたり9.5Kgのポリマーを形成する。そのポリマーは、溶媒の2段階除去により、すなわち、WO0234795A1に記載されたより低い臨海溶液プロセスを使ってまず最初に溶媒の70%を除去し、その後でLIST液状押し出し機中で残りの溶媒を除去することによって、再生される。そのポリマーは、主軸が約1/8〜1/4インチのペレットとして再生される。
【0110】
<実施例1>
13.5重量%エチレン、2.1重量%5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)を含有し、25のMFR@230℃を持つプロピレン-ベース・エラストマーは、上述の方法に従って製造され、その後で、約100℃の温度で約50rpmで動作する内部ブラベンダー・ミキサー中で、表1に従う材料と一緒にブレンドされる。その混合物は、その後で滑らかなシートに巻かれる。その混合された材料は、その後で、厚さ0.125”の8”x8”圧縮成形パッドの形状で150℃100分間加硫処理される。適切な形状のサンプルが加硫化パッドから取り出され、解析される。その解析の結果は以下の表1に示される。
【表1】

【0111】
<実施例2>
所定の特性を持つ種々のプロピレン-ベース・エラストマーが上述の方法に従って作られる。
【表2】

【0112】
<実施例3>
実施例2からの、あるプロピレン-ベース・エラストマーは、次の手順を使って、表3-1および3-2で示された材料により加硫処理された。そのポリマーは、最初に、約280mlの内部容量を持つブラベンダー内部ミキサー中で、可塑剤およびフィラーと一緒に、約135℃〜145℃の温度で10分間混合された。ポリマーおよび可塑剤の混合物40gが、MFR決定のために取り除かれた。混合物の残りは冷却され、105℃を越えない温度で10分間、硬化剤と一緒に混合された。その後で、その材料は、厚さ0.125”の8”x8”圧縮成形パッドの形状において20トン圧力下で、150℃で100分間加硫処理された。適切な形状のサンプルが、加硫処理されたパッドから取り出され、解析された。その解析の結果は以下の表3-1および3-2に示される。
【表3】

【表4】

【0113】
<実施例4>
実施例2からの、あるプロピレン-ベース・エラストマーは、表4に示される材料によるアイソタクチック・プロピレンと一緒にブレンドされる。このポリマー成分は、バレルの長さを通して200℃の温度で、L/Dが30:1の2軸押し出し機中でブレンドされた。ポリマー成分に加えて、実施例4の各々の組成物は、抗酸化物として500ppmのイルガノックス1076を含んでいた。
【表5】

【0114】
<実施例5>
実施例4からの、あるサンプルは、表5-1および5-2で示された材料により加硫処理された。そのポリマー材料は、最初に、約280mlの内部容量を持つブラベンダー内部ミキサー中で、可塑剤およびフィラーと一緒に、約135℃〜145℃の温度で10分間混合された。ポリマーおよび可塑剤の混合物40gが、MFR決定のために取り除かれた。混合物の残りは冷却され、105℃を越えない温度で10分間、硬化剤と一緒に混合された。その後で、その材料は、厚さ0.125”の8”x8”圧縮成形パッドの形状において20トン圧力下で、150℃で100分間加硫処理された。適切な形状のサンプルが、加硫処理されたパッドから取り出され、解析された。その解析の結果は以下の表5-3および5-4に示される。
【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【0115】
先行文書を含む、すべての特許、試験方法、およびここに引用された他の文書は、このような開示が本発明と矛盾しない程度まで、またこのような含有が許されるすべての裁判管轄に関して、参照することにより本明細書に完全に含まれる。
【0116】
本発明の例示の実施形態は詳細に説明されてきたが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、種々の他の変形も当業者にとっては明白であり、また当業者によって容易になすことができるということを理解されるだろう。従って、添付のクレームの範囲は、本明細書に記載された、実施例および説明に限定されない。むしろ本クレームは、本発明が関係する分野における当業者によって、それらの均等なものとして取り扱われるすべての特徴を含む、本発明に備わっている進歩性のすべての特徴を包含すると判断できる。
【0117】
数値の下限および数値の上限が本明細書に記載される場合、いずれの下限からも、いずれの上限までも、範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)成分(a)、(b)、および(c)の合わせた重量に基づいて、75重量%以上の量のプロピレン誘導単位、
(b)成分(a)、(b)、および(c)の合わせた重量に基づいて、5重量%以上の量のエチレン誘導単位、並びに
(c)成分(a)、(b)、および(c)の合わせた重量に基づいて、オプションとして、10重量%以下のジエン誘導単位、
を含むとともに、
65〜95%のアイソタクチック・プロピレン・トリアド立体規則性、110℃以下のDSCによる融点、5J/g〜50J/gの融解熱、並びに100ミル厚みあたり95以下、好適に60以下、もっと好適に40以下、および特に20以下のヘーズ%、を持つことを特徴とする、架橋エラストマー。
【請求項2】
上記エラストマーは、架橋前に、0.1〜400および好適には5〜150のMFR@230℃を持つことを特徴とする、請求項1記載の架橋エラストマー。
【請求項3】
上記架橋エラストマーは0.5Mpa以上の最大引っ張り強度を有することを特徴とする、請求項1または2記載の架橋エラストマー。
【請求項4】
上記架橋エラストマーは、Mpaで測定され、0.5Mpa以上の最大引っ張り強度(TS)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の架橋エラストマー。
【請求項5】
上記エラストマーは、成分(a)、(b)、および(c)の合わせた重量に基づいて、0.3〜10重量%の量でジエン誘導単位を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の架橋エラストマー。
【請求項6】
架橋前の上記エラストマーのMFR@230℃に対するショアA硬度の比、および上記架橋エラストマーのMP aで測定される最大引っ張り強度(TS)は式、
(ショアA硬度/MFR@230℃)≦1.66*TS−B1
を満足し、ここで、B1は0、好適には3.33、もっと好適には6.66、および特に10であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載の架橋エラストマー。
【請求項7】
上記架橋エラストマーは、ポンド重/インチで測定される50以上のダイC引き裂き強度(ダイC)を持つことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項に記載の架橋エラストマー。
【請求項8】
架橋前の上記エラストマーのMFR@230℃に対するショアA硬度の比、およびポンド重/インチで測定されるダイC引き裂き強度(ダイC)は式
(ショアA硬度/MFR@230℃)≦0.2*ダイC―B2
を満足し、ここで、B2は0、好適には10、もっと好適には20、および特に30であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項に記載の架橋エラストマー。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの項に記載の架橋エラストマーによって形成された連続相、並びに115℃以上のDSCによる融点、および50J/g以上の融解熱を持つ結晶質ポリマー成分の分散化相を含むブレンド組成物であって、プロピレン・ホモポリマー、プロピレン・グラフト・コポリマー、プロピレン・ブロック・コポリマー、プロピレン・ランダム・コポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択されるとともに、好適にはアイソタクチック・ポリプロピレンであることを特徴とするブレンド組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかの項に記載の組成物を含み、ポリマーの100重量あたり色素(好適には有色素)が100重量以下であるエラストマー組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかの項に記載の組成物を含む製品であって、100ミル厚さあたり95以下、好適には80以下、もっと好適には50以下、および特に30以下のヘーズ%を有することを特徴とする製品。
【請求項12】
上記製品は押出し製品または成形製品であることを特徴とする、請求項11記載の製品。
【請求項13】
上記ブレンド組成物は、結晶質ポリマー成分の全体を実質的に融解させるのに十分なレベルまで熱処理されることを特徴とする、請求項9に記載のブレンド組成物。
【請求項14】
上記結晶質ポリマー成分はアイソタクチック・ポリプロピレンであり、上記ブレンドは少なくとも150℃まで熱処理されることを特徴とする、請求項9に記載のブレンド組成物。

【公表番号】特表2007−511643(P2007−511643A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539915(P2006−539915)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/037875
【国際公開番号】WO2005/049672
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】