説明

透明含水油

【課題】相分離のし難い安定な非エマルジョン型の含水燃料油として、水添加による発熱量の減少が皆無あるいは極めて少ない透明な含水油とする。
【解決手段】油に、水、ナフテン酸又はナフテン酸の金属塩及び、水と油に相溶性のある脂肪酸を混合してなる透明含水油であって、油と水の比率は、油(0.9〜0.5):水(0.1〜0.5)で、ナフテン酸あるいはナフテン酸の金属塩はナフテン酸に換算して油の5〜20重量%、水と油に相溶性のある脂肪酸は5〜20重量%、かつPH4〜6に調整してなり、上記ナフテン酸は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタンから選択された一種あるいは二種以上のナフテン同族体のカルボン酸が好適であリ、上記水と油に相溶性のある脂肪酸は、酢酸、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸から選択された一種あるいは二種以上のカルボン酸が好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非エマルジョン型含水油であり、水を混合しても安定な透明含水油に係わるものである。更に詳しくは、燃料油として使用した場合、水を混合することによる発熱量の減少が皆無あるいは極めて少ない透明含水油に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油に水を添加した、いわゆる乳濁状態のエマルジョン型燃料油については、既に多くのの発明が開示されており、本発明者も特許文献1において乳化分散性の良好な液状燃料を提案している。そして、エマルジョン型燃料油に炭素粉末の添加も試みており、炭素の電解コロイド液のPH1〜2の液を水で希釈してPH4に調整添加している。
【0003】
これらの発明では、水そのものは発熱には関与せず、しかも水を蒸発させるための気化潜熱が奪われるために、本来の油の燃焼による発熱量から更に気化潜熱に相当する熱量を差し引いた発熱量が期待できるに過ぎないものである。従って、従来の水/油エマルジョン燃料では、水添加の目的は、黒煙防止等の燃料油の燃焼に伴う弊害を改良することに主眼が置かれているものであり、発熱量が減少する欠点は黙過されているのが現状である。
【0004】
更に、このような現在開発研究がなされている油・水混合燃料は、そのほとんどがいわゆるエマルジョン(乳化)燃料であり、数時間乃至数週間放置すると、油と水とが分離してしまい、長期の保存ができず、燃焼に際しても、エマルジョン燃料専用にエンジン等の機器を改良する必要があり、使い勝手の悪いものであった。また、混合した水の分量だけ燃焼力が低下する欠点もあった。
【0005】
特許文献2には、エマルジョン型燃料を安定化するために、石油燃料に水を混合したエマルジョン燃料の微細クラスター化により微細分離活性させ、石油と水の持つ気化点の相違を利用した微爆により燃焼効率を上げて完全燃焼に近づいた燃焼を行い排気ガスの浄化と燃料消費量の軽減をすることが記載されている。そのため、ミキシングポンプで作った乳化燃料を0.3Mpa以上の圧力で吐出口に設けた磁石や電磁石を介し衝撃分散混合する装置を通過させて循環ポンプで繰り返して循環分散混合することにより達成している。
【0006】
特許文献3には、乳化剤で軽油、灯油、重油、動植物油等に水を分散させて油・水エマルション燃料を得る場合において、乳化剤(界面活性剤)の使用量を低減しかつ乳化安定性に優れる薬剤としての乳化剤を用い安定性良好なW/O型油・水エマルション燃料の提供を目的に、燃料油95〜50重量部と水5〜50重量部に対し、乳化剤としてポリブテニルコハク酸塩と非イオン界面活性剤とを特定の割合で配合した組成物を、燃料と水の合計量に対し、0.03〜5.0重量部の少量の使用で安定なW/O型油・水エマルション燃料組成物となることを提案している。
【0007】
また、特許文献4では、本発明で提案するような、従来のいわゆるエマルジョン燃料ではなく、水を油中に完全に溶化せしめる添加剤の提案がみられる。その具体例として、油・水混合燃料用添加剤の主成分をオレイン酸とし、さらに、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレートと、トリエタノールアミンとを含有せしめることを特徴とする、油・水混合燃料用添加を挙げている。その結果、数年間放置しても分離することがなく、また従来のエンジン等の機器を改良せずに使用でき、さらに燃焼力の低下がほとんどない新規な油・水混合燃料を製造することができるとの記載がある。
【0008】
特許文献5には、炭素粒子を混合した例として、有機質廃棄物を出発原料とする液状化燃料として、水と油の乳化分散液に有機物の炭化粒子が懸濁してなると共に、該炭化粒子に油が含浸されてなることを特徴とするものが開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−147376([0005]、[0011])
【特許文献2】特開2005−206773([0003]、[0004])
【特許文献3】特開2005−60647([0005]、[0006])
【特許文献4】特開2005−133031([0004]、[0005])
【特許文献5】特開2003−82369([0004]、[請求項5])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたもので、その目的は、水添加による発熱量の減少が極めて少ない、あるいはほとんど皆無な水を混合した新しい非エマルジョン型のほとんど透明に近い透明含水油を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は上記課題に関して鋭意研究を行い本発明を完成した。すなわち、まず、油に、水、ナフテン酸又はナフテン酸の金属塩、及び水と油に相溶性のある脂肪酸を混合してなる透明含水油としたのである。
【0012】
本発明で油とは、液状の化石燃料を主体とする燃料油および切削油として使用されるもの全般を意味するものである。ここで燃料油とは、ガソリン、軽油、重油、灯油の他、燃料に使用される植物油もこれらの化石燃料油に混合したものも含まれる。
【0013】
ここにおいて、含水油中の油と水の混合比は、油(0.9〜0.5):水(0.1〜0.5)の範囲の重量比率で、ナフテン酸又はナフテン酸の金属塩は、ナフテン酸に換算して油の5〜20重量%、水と油に相溶性のある脂肪酸は5〜20重量%であり、かつ含水油のPH4〜6に調整すると、水と油は分離することなく透明あるいは透明に近く混ざりあうこと、そして水添加による発熱量の減少が軽微あるいは皆無になり、全量油成分の時の発熱量が得られることが判明した。
【0014】
上記ナフテン酸には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタンから選択された一種あるいは二種以上のナフテン同族体のカルボン酸が好ましい。また、上記水と油に相溶性のある脂肪酸には、飽和、不飽和の一塩基性酸である酢酸、メタクリル酸、多塩基性酸であるシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸から選択された一種あるいは二種以上のカルボン酸が好ましい。
【0015】
ナフテン酸金属塩では、その金属塩がコバルト、鉛、マンガン、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、銅、鉄から選ばれた一種又は二種以上のナフテン酸塩混合物を含む透明含水油である。
【0016】
ナフテン酸金属塩と併用する場合においても、水と油に相溶性のある脂肪酸は、酢酸、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸から選ばれた一種又は二種以上の混合物が好適である。
【0017】
ナフテン酸あるいはナフテン酸の金属塩の量は、ナフテン酸に換算して、油量の5〜20重量%の範囲が好ましい。5重量%未満では油/水に分離し発熱量が減少するので好ましくない。20重量%を超える量を添加しても効果は変わらないので、経済的な理由で20重量%以下が好ましい。したがって5〜20重量%の範囲が好ましい。
【0018】
更に、透明含水油に、カルボキシル基を修飾されたコロイド状カーボン粒子を、該水の1〜5重量%添加すると、A重油、C重油では燃焼効率の大幅な改善になる。上記透明含水油に、カルボキシル基を修飾されたコロイド状カーボン粒子の添加は、透明含水油を燃料油としてではなく切削油として用いた場合、摩擦熱を抑え、摩擦係数を下げる効果があり、しかも、切削油の場合は、最大50重量%まで水を添加することができる。50重量%を超えると、水と油が分離するので好ましくない。
【0019】
透明含水油が燃料油である場合、上記水の添加量は10〜30重量%である。この透明含水油中の油がA重油であっても、上記水の量が10〜35重量%の透明含水油となる。
【0020】
透明含水油中の油がC重油である場合は、上記水の量が10〜50重量%と水と油とが等量近くまで添加することができる。透明含水油中の油がA重油である場合は、水の含有量が35重量%以下である。すなわち、含水油中の油がC重油であると、更に含水量を増やすことができ、上記水の量が50重量%まで、油分量と等しい水分まで添加できるのである。
【0021】
透明含水油のPHは4〜6の範囲に調整することが好ましい。4未満か、あるいは6を超えると、水と石油が分離し、結果的に発熱量が減少するので好ましくない。透明含水油には水のほかカルボン酸が添加されるので、添加後は、酸性側に変化する傾向にある。したがって、PH調整には、アンモニア、その他のアミン類(ジメチルアミン等)等のアルカリ液を使用するのがよい。
【0022】
カルボキシル基で修飾されたコロイド状カーボン粒子は、本発明者の発明に係わる特許第2736243、第3039906号で提案した方法で製造することができる。この方法の概要は、陽極にカーボン電極を使用して、水を電解したときに発生するコロイド状カーボン粒子は、カルボキシル基を修飾されたカーボン粒子であり、このコロイド液を水の1〜5重量%添加することによって、機械切削油では、摩擦係数を小さくする効果が発生する。A、C重油では燃焼効率の改善になる。1重量%未満では効果が発生しない。5重量%を超えて添加しても効果は変わらないので経済的な理由で5重量%以下が好ましい。カルボキシル基を修飾されたカーボン粒子は、カルボキシル基の存在で親水性もあり、油水混合系の分散性は抜群で、かつ、その粒子径はナノオーダーの超微粒子であるため、透明性も損なわないものである。
【0023】
従来のエマルジョン型透明含水油は、白濁しており、−3〜0℃で凍結するが、本発明の透明含水油は、水と油が完全に混ざり合い、白濁せず元の油と同等の透明度を持つ液体である。しかも−15℃の低温で凍結しても常温に戻せば再び透明含水油となる特徴がある。この点において、いわゆる従来のエマルジョン型含水油と異なっている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の上記油水混合油はその特殊な添加物の存在によって、従来の乳化物ではなく、ほとんど分子レベルまでの相互溶解状態となるため、透明に近い含水油となっている。これを燃料油にする場合では水30重量%まで添加しても発熱量が増加するという特異な性質を有する。また、これを潤滑油にすると、摩擦熱の抑制、摩擦係数を下げる効果が得られる。含水油の低温目詰点は−44℃であり、温度上昇しても水と油が分離しない安定な液状物である。燃料にした場合、重油のような黒煙の発生が少なく、燃焼効率をも改善する。
【0025】
燃料油(C重油を除く)で、水30重量%置換までは、含まれている油成分が燃焼したときに得られる発熱量(純粋に油分だけが燃えて発熱したときの発熱量)以上の発熱量が得られる。つまり水の存在分に相当する発熱量の減少がなく、むしろ純粋に油分だけが燃えて発熱したときの発熱量以上で、場合によっては、全量油分のときの発熱量、つまり水を全量、油に置き換えたときの発熱量が得られる場合もある。
【0026】
A重油では、水35重量%添加まで、含まれているA重油成分が燃焼したときに得られる発熱量(純粋に油分だけが燃えて発熱したときの発熱量)以上の発熱量が得られる。
【0027】
C重油では、水50重量%添加まで、含まれているC重油成分が燃焼したときに得られる発熱量(純粋に油分だけが燃えて発熱したときの発熱量)以上の発熱量が得られる。理由は不明であるが、本発明では、少なくとも水の存在によって、燃料油の燃焼効率が大幅に向上することがその原因であろう。
【0028】
また、従来のエマルジョン型含水油は、温度の上昇と共に水と油が分離する傾向があり、燃焼中パチパチと水がはじける音がするが、本発明の透明含水油は、温度が上昇しても水と油が分離せず、燃焼中パチパチと水がはじける音が全くしない特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、実施例によって本発明の透明含水油の最良の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。性能評価のための燃焼試験に用いた燃焼炉は図1に示す。
【0030】
図1において、燃焼試験炉1には比例調節式のオイルバーナ2とパイロットバーナ3を備えている。オイルバーナ2へのオイルの供給経路には、オイルの油圧調節弁4、バーナ入口のオイル圧力をみる圧力計5、オイルの入口の流量計6とその温度計7及び圧力計8があり、更にオイルポンプ9とリリーフバルブを経てオイルタンク11に至っている。したがって、試験に供する燃料油は、このオイルタンク11に供給して、これらの計器類によって制御されて、所定の同一の条件で燃料油の供給と燃焼性能の測定を可能としている。
【0031】
オイルバーナ2へは、バーナ入口の空気圧力をみる圧力計12が備えられ、燃焼空気の供給経路には、空気圧力調節バルブ13、空気流量計14、温度計15及び圧力計16が設けられて、これらを通過して所定の同一条件で空気が供給される。
【0032】
燃焼試験炉1には、炉内圧力計17の他、排ガス中の残留酸素率(%)を測定するO2メータ18、Nox(ppm)メータ19及びCO(ppm)メータ20並びに煤塵量測定に用いるスモークメータ21がある。更に、3ヶ所の炉内温度測定用の熱電対22(FT1,FT2,FT3)とその記録計23及び3ヶ所の火炎温度測定用の熱電対24とその記録計25を備えている。
【0033】
図2は、3ヶ所の火炎温度測定用の熱電対24(T1,T2,T3)と火炎との位置関係を示し、テストピース26にこれら熱電対が取り付けられている状態である。このような、燃焼試験炉1を用いて、本発明に係る透明含水油の性能を重油類等と比較した実施例を以下に示す。
【0034】
実施例1
低硫黄A重油を対象区とし、本発明透明含水油(低硫黄A重油45%、水25%、添加剤としてのナフテン酸金属塩15%、ステアリン酸15%)の性能を調べた。試験項目は以下のとおりである。
(1)点火性及び燃焼安定性の比較
(2)燃焼排ガスの比較
(3)火炎温度の比較
(4)火炎形状の比較(目視)
【0035】
測定項目は以下のとおりである。
(1)各流体の流量、温度、圧力
(2)炉内温度
(3)排ガス中の残留酸素濃度、一酸化炭素濃度、煤塵濃度
(4)火炎温度
【0036】
燃焼テスト結果を以下の表1〜表3に示す。空気圧力、燃料油の供給量をほぼ一定の条件に設定の上、比較試験を実施した。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
試験結果の評価は、表3に示す。比較例の市販A重油との比較において本発明の透明含水油は以下のとおりである。
【表3】

【0040】
以上の結果から、本発明の透明含水油は、コストメリットに加えて燃焼性能面においても、優位性があることが実証されたので、更に、詳細な実験を行った。
【0041】
実施例2(発熱量のテスト)
油:軽油、灯油、ガソリン、A重油、C重油
上記5種の石油にそれぞれ表4に示した割合で水、ナフテン酸、水と油に相溶性のあるカルボン酸を加えて撹拌、混合して油、水が溶け合った透明含水油を得た。
PH調整にはジエチルアミンを使用した。
ナフテン酸には、(1)シクロブタン、(2)シクロヘキサン、(3)シクロペンタン、(4)シクロヘプタンのカルボン酸を使用した。
水と油に相溶性のあるカルボン酸には、酢酸、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸を使用した。
本発明範囲の透明含水油(番号:2、3、4、8、10、12、14)は全て透明で、燃焼時、水分がはじける音は発しなかった。
一方、番号5、6は白濁し、燃焼時音がし、燃焼を継続できなかった。
各組成の発熱量を測定し、結果を表4に示す。
【0042】
【表4】

【0043】
表4の結果より、本発明の透明含水油は、軽油、灯油、ガソリン、A重油、C重油、何れも水を含んでいるにもかかわらず、発熱量が全量油の場合とほとんど変わらないことが確認できた。
【0044】
実施例3
実施例2の番号3(水30重量%)の軽油/水の混ざった燃料について、ディーゼルエンジンの走行テストを行った。
走行は問題なく、PM状物質は目視できなかった。エンジンの始動性も通常と変わりなく、排気ガス中の黒煙は600〜2200回転の範囲で目視できなかった。臭いも無く出力も向上した。排気ガスを測定して軽油100重量%の場合と比較した。測定は排気テスター(MEA−324F)を使用した。結果を表5に示す。
【0045】
【表5】

【0046】
表5の結果より、本発明燃料油を使った場合の排気ガスの清浄度は、軽油100重量%の場合に比較して、全ての項目で優れていることが判明した。
【0047】
実施例4
成分比較
本発明の成分、凍結点、不純物の量について測定した。結果を表6に示す。
【0048】
【表6】

【0049】
本発明は水を含んでいるにもかかわらず−15℃まで凍結しないことが確認できた。従って、燃料油として使用して、油の消費量の抑制に大いに貢献するし、炭酸ガスの排出量が少なく、地球温暖化の抑制に貢献する。また、金属等の切削油としても、摩擦熱を抑え、摩擦係数を下げる効果があり、しかも、最大50重量%まで水を添加できるから、安価に提供でき、油分や乳化剤の量が少ないので低公害である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の透明含水油の性能評価のための燃焼試験に用いた燃焼試験炉のフロー図である。
【図2】燃焼試験炉内の火炎3ヶ所の火炎温度測定用熱電対と火炎との位置関係を示す概略図である。
【符号の説明】
【0051】
1 燃焼試験炉
2 比例調節式のオイルバーナ
3 パイロットバーナ
4 油圧調節弁
5 圧力計
6 流量計
9 オイルポンプ
11 オイルタンク
14 空気流量計
17 炉内圧力計
18 O2メータ
19 Noxメータ
20 COメータ
21 スモークメータ
22 熱電対
23 記録計
24 熱電対
25 記録計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油に、水、ナフテン酸又はナフテン酸の金属塩及び、水と油に相溶性のある脂肪酸を混合してなる透明含水油。
【請求項2】
含水油中の油と水の混合比は、油(0.9〜0.5):水(0.1〜0.5)の範囲の重量比率で、ナフテン酸又はナフテン酸の金属塩は、ナフテン酸に換算して油の5〜20重量%、水と油に相溶性のある脂肪酸は5〜20重量%であり、かつ含水油のPH4〜6に調整してなる透明含水油。
【請求項3】
ナフテン酸が、シクロプロパン、シクロブタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタンから選ばれた一種又は二種以上のナフテン同族体のナフテン酸混合物である請求項1又は2記載の透明含水油。
【請求項4】
ナフテン酸金属塩がコバルト、鉛、マンガン、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、銅、鉄から選ばれた一種又は二種以上のナフテン酸塩混合物である請求項1乃至3のいずれか記載の透明含水油。
【請求項5】
水と油に相溶性のある脂肪酸が、酢酸、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸から選ばれた一種又は二種以上の混合物である請求項1又は2記載の透明含水油。
【請求項6】
カルボキシル基で修飾されたコロイド状カーボン粒子を、透明含水油中の水分に対し1〜5重量%添加してなる請求項1〜2のいずれか記載の透明含水油。
【請求項7】
透明含水油を金属の切削油として用いる請求項1〜6のいずれか記載の透明含水油。
【請求項8】
透明含水油が燃料油であって、上記水の量が10〜30重量%である請求項1〜6のいずれかに記載の透明含水油。
【請求項9】
透明含水油中の油がA重油であって、上記水の量が10〜35重量%である請求項1〜6のいずれかに記載の透明含水油。
【請求項10】
透明含水油中の油がC重油であって、上記水の量が10〜50重量%である請求項4に記載の透明含水油。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−146010(P2007−146010A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342911(P2005−342911)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(505438155)フジタックスオイル株式会社 (1)
【Fターム(参考)】