説明

透明導電体およびその製造方法、金属ナノワイヤーならびに分散液

【課題】金属材料を無駄なく用いてコストの上昇を抑えつつも、金属ナノワイヤー表面での光の乱反射を防止可能な透明導電膜を提供する。
【解決手段】金属ナノワイヤーとこれに吸着された有色化合物とを含む透明導電膜である。有色化合物は、可視光領域の光を吸収する材料であり、さらに金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する官能基を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透明導電膜、分散液、情報入力装置、および電子機器に関し、特には金属ナノワイヤーを導電材料として用いた透明導電膜と、この透明導電膜の成膜に用いる分散液、この透明導電膜を用いた情報入力装置、およびこの透明導電膜を表示パネルに設けた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルの表示面に設けられる透明導電膜、さらには表示パネルの表示面側に配置される情報入力装置の透明導電膜等、光透過性が要求される透明導電膜には、インジウムスズ酸化物(ITO)のような金属酸化物が用いられてきた。しかしながら、金属酸化物を用いた透明導電膜は、真空環境下においてスパッタ成膜されるため製造コストがかかるものであり、また曲げやたわみなどの変形によって割れや剥離が発生し易いものであった。
【0003】
そこで金属酸化物を用いた透明導電膜に換えて、塗布や印刷による成膜が可能で、しかも曲げやたわみに対する耐性も高い金属ナノワイヤーを用いた透明導電膜が検討されている。金属ナノワイヤーを用いた透明導電膜は、レアメタルであるインジウムを使わない次世代の透明導電膜としても注目されている(例えば下記特許文献1,2、および非特許文献1参照)。
【0004】
ところが、金属ナノワイヤーを用いた透明導電膜を表示パネルの表示面側に設けた場合、金属ナノワイヤーの表面で外光が乱反射することにより、表示パネルの黒表示がほのかに明るく表示される、いわゆる黒浮き現象が発生する。黒浮き現象は、コントラスト低下による表示特性の劣化を招く要因になる。
【0005】
このような黒浮きの発生を防止することを目的として、光の乱反射が発生し難い金(Au)を用いた金ナノチューブが提案されている。金ナノチューブの形成は、先ず、光を乱反射しやすい銀ナノワイヤーをテンプレートとして用い、これに金メッキを施す。その後、テンプレートとして用いた銀ナノワイヤー部分をエッチングもしくは酸化して金ナノチューブに変換する(例えば下記特許文献3参照)。
また、金属ナノワイヤーと二次導電性媒体(CNT(カーボンナノチューブ)、導電性ポリマー、ITO等)とを併用して、光散乱を防止する手法が提案されている(例えば下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2010−507199号公報
【特許文献2】特表2010−525526号公報
【特許文献3】特表2010−525527号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「ACS Nano」2010年,VOL.4,NO.5,p.2955-2963
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前者の方法で得られる金ナノチューブは、テンプレートとして用いた銀ナノワイヤーが材料として無駄になってしまうのみならず、さらに金メッキを施すための金属材料も必要となってしまう。そのため材料費が高くなり、また工程も煩雑になるため製造コストが高くなる。
【0009】
また、後者の方法では、CNT、導電性ポリマー、ITO等の二次導電性媒体(着色材料)を併用するため、透明性が損なわれる虞がある。
【0010】
そこで本開示は、金属材料を無駄なく用いてコストの上昇を抑えつつも、金属ナノワイヤー表面での光の乱反射を防止可能な透明導電膜およびその成膜に用いる分散液を提供することを目的とする。また本開示は、金属ナノワイヤー表面での光の乱反射を防止しつつ、透明性を維持することができる透明導電膜およびその成膜に用いる分散液を提供することを目的とする。また本開示は、このような透明導電膜を電極として用いたことにより、光の乱反射による黒浮きを防止可能とした情報入力装置を提供すること、さらにはコントラストの良好な表示が可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するための本開示の透明導電膜は、金属ナノワイヤーと、この金属ナノワイヤーに吸着された有色化合物とを含み、有色化合物は、染料であることを特徴としている。
また本開示の透明導電膜は、金属ナノワイヤーと、金属ナノワイヤーに吸着された有色化合物とを含み、有色化合物は、可視光領域に吸収を持つ発色団と、金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有することを特徴としている。
このような透明導電膜においては、金属ナノワイヤーに吸着された有色化合物に可視光が吸収されることにより、金属ナノワイヤーの表面での光の乱反射が防止される。また、有色化合物を金属ナノワイヤーに吸着させているので、有色化合物の添加による透明性の低下を抑制することができる。
【0012】
また本開示の透明導電膜は、表面を有する金属ナノワイヤーと、表面の少なくとも一部に被覆された有色化合物とを含み、有色化合物は、染料であることを特徴としている。
また本開示の透明導電膜は、表面を有する金属ナノワイヤーと、表面の少なくとも一部に被覆された有色化合物とを含み、有色化合物は、可視光領域に吸収を持つ発色団と、金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有することを特徴としている。
このような透明導電膜においては、金属ナノワイヤー表面の少なくとも一部に被覆された有色化合物に可視光が吸収されることにより、金属ナノワイヤー表面での光の乱反射が防止される。また、有色化合物を金属ナノワイヤーの表面に偏在させているので、有色化合物の添加による透明性の低下を抑制することができる。
また本開示の分散液は、金属ナノワイヤーと、金属ナノワイヤーに吸着された有色化合物とを含み、有色化合物は、染料であることを特徴としている。
また本開示の分散液は、金属ナノワイヤーと、金属ナノワイヤーに吸着された有色化合物とを含み、有色化合物は、可視光領域に吸収を持つ発色団と、金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有することを特徴としている。
また本開示の分散液は、表面を有する金属ナノワイヤーと、表面の少なくとも一部に被覆された有色化合物とを含み、有色化合物は、染料であることを特徴としている。
また本開示の分散液は、表面を有する金属ナノワイヤーと、表面の少なくとも一部に被覆された有色化合物とを含み、有色化合物は、可視光領域に吸収を持つ発色団と、金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有することを特徴としている。
【0013】
また本開示の情報入力装置は、有色化合物を吸着させた金属ナノワイヤーを含んで構成された透明導電膜を、透明基板上に設けた構成を有する。
また本開示の情報入力装置は、有色化合物を被覆させた金属ナノワイヤーを含んで構成された透明導電膜を、透明基板上に設けた構成を有する。
このような情報入力装置は、上述のように金属ナノワイヤー表面での光の乱反射が防止された透明導電膜を用いたことにより、透明導電膜の黒浮きが防止されたものとなる。
【0014】
また本開示の電子機器は、有色化合物を吸着させた金属ナノワイヤーを含んで構成された透明導電膜を、表示パネルの表示面側に設けた構成を有する。
また本開示の電子機器は、有色化合物を被覆させた金属ナノワイヤーを含んで構成された透明導電膜を、表示パネルの表示面側に設けた構成を有する。
このような電子機器は、上述のように金属ナノワイヤー表面での光の乱反射が防止された透明導電膜を用いたことにより、透明導電膜の黒浮きが防止されてコントラストの高い表示が可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本開示によれば、金属ナノワイヤーに有色化合物を吸着させて光の乱反射を防止したことにより、金属材料を無駄なく用いてコスト上昇を抑えつつも、金属ナノワイヤーを用いた透明導電膜における黒浮きの防止が可能になる。また、表示パネルの表示面側に透明導電膜を設けた電子機器において、表示面側の透明導電膜においての黒浮きを防止したことによってコントラストの向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1実施形態の透明導電膜の構成を説明する断面模式図である。
【図2】図2は、変形例1の透明導電膜の構成を説明する断面模式図である。
【図3】図3は、変形例2の透明導電膜の構成を説明する断面模式図である。
【図4】図4は、変形例3の透明導電膜の構成を説明する断面模式図である。
【図5】図5A〜図5Eは、第2実施形態の透明導電膜の製造方法を示す工程図である。
【図6】図6A,図6Bは、第3実施形態の透明導電膜の製造方法を示す工程図である。
【図7】図7は、第4実施形態の情報入力装置の要部構成図である。
【図8】図8は、第5実施形態の情報入力装置を備えた表示装置(電子機器)の構成を説明する斜視図である。
【図9】図9は、第6実施形態の透明導電膜を用いた表示装置(電子機器)の要部断面図である。
【図10】図10は、第7実施形態の表示部を備えたテレビ(電子機器)を示す斜視図である。
【図11】図11A,図11Bは、第7実施形態の表示部を備えたデジタルカメラ(電子機器)を示す斜視図である。
【図12】図12は、第7実施形態の表示部を備えたノート型パーソナルコンピュータ(電子機器)を示す斜視図である。
【図13】図13は、第7実施形態の表示部を備えたビデオカメラ(電子機器)を示す斜視図である。
【図14】図14は、第7実施形態の表示部を備えた携帯端末装置(電子機器)の正面図である。
【図15】図15は、変形例4の透明導電膜の構成を説明する断面模式図である。
【図16】図16は、変形例5の透明導電膜の構成を説明する断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態を、図面に基づいて次に示す順に説明する。
1.第1実施形態(透明導電膜の構成例)
2.変形例1(オーバーコート層を設けた透明導電膜の構成例)
3.変形例2(アンカー層を設けた透明導電膜の構成例)
4.変形例3(樹脂に分散させずに金属ナノワイヤーを集積させた透明導電膜の構成例)
5.変形例4(基材の一主面にハードコート層を設けた透明導電膜の構成例)
6.変形例5(基材の両主面にハードコート層を設けた透明導電膜の構成例)
7.第2実施形態(成膜後に有色化合物の吸着処理を行う透明導電膜の製造方法)
8.第3実施形態(有色化合物の吸着後に成膜を行う透明導電膜の製造方法)
9.第4実施形態(透明導電膜を用いた情報入力装置の構成例)
10.第5実施形態(情報入力装置を備えた表示装置の構成例)
11.第6実施形態(透明導電膜を用いた表示装置の構成例)
12.第7実施形態(表示部を備えた電子機器の構成例)
【0018】
≪1.第1実施形態(透明導電膜の構成例)≫
図1は、透明導電膜の構成を説明するための断面模式図である。図1に示すように、第1実施形態の透明導電膜1は、例えば透明基材11上に、金属ナノワイヤー13を集積させたものであり、金属ナノワイヤー13に有色化合物aを吸着させたところが特徴的である。ここでは一例として、金属ナノワイヤー13を透明樹脂材料15に分散させて吸着ワイヤー層(透明導電膜)17とし、この吸着ワイヤー層17を透明基材11上に設けたことにより、透明基材11上に金属ナノワイヤー13を集積させた構成としている。以下、これらの構成要素の詳細を順に説明する。
【0019】
<透明基材11>
透明基材11は、可視光に対して透過性を有する材料で構成されたもので、例えば無機材料またはプラスチック材料で構成される。このような透明基材11は、透明導電膜1に必要とされる膜厚を有しており、例えばフレキシブルな屈曲性を実現できる程度に薄膜化されたフィルム状(シート状)、または適度の屈曲性と剛性を実現できる程度の膜厚を有する基板状であることとする。
【0020】
このような透明基材11を構成する無機材料としては、例えば、石英、サファイア、ガラスなどが挙げられる。
【0021】
またこのような透明基材11を構成するプラスチック材料としては、例えば、公知の高分子材料を用いることができる。公知の高分子材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)などがあげられる。このようなプラスチック材料を用いて透明基材11を構成した場合、生産性の観点から透明基材11の膜厚を5〜500μmとすることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。
【0022】
<金属ナノワイヤー13>
金属ナノワイヤー13の表面の少なくとも一部は、有色化合物aにより被覆されている。これにより、金属ナノワイヤー表面の少なくとも一部に被覆された有色化合物aに可視光が吸収され、金属ナノワイヤー表面での光の乱反射が防止される。
【0023】
金属ナノワイヤー13は、金属を用いて構成されたものであって、nmオーダーの径を有する微細なワイヤーである。このような金属ナノワイヤー13は、構成元素としてAg、Au、Ni、Cu、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、Fe、Co、Snより選択された1種類以上の元素で構成される。
【0024】
また金属ナノワイヤー13の好ましい形状は、平均短軸径が1nmよりも大きく500nm以下であり、平均長軸長が1μmよりも大きく1000μm以下である。平均短軸径が1nm以下の場合、金属ナノワイヤー13の導電率が劣化して塗布後に導電膜として機能しにくい。一方、平均短軸径が500nmよりも大きい場合、透明導電膜1の全光線透過率が劣化する。また平均長軸長が1μm以下の場合、金属ナノワイヤー同士がつながりにくく、透明導電膜1が導電膜として機能しにくい。一方、平均長軸長が1000μmよりも長い場合、透明導電膜1の全光線透過率が劣化すると共に、透明導電膜1を形成する際に用いる分散液においての金属ナノワイヤー13の分散性が劣化する傾向にある。さらには金属ナノ粒子が数珠状に繋がってワイヤー形状を有しているものでも良い。この場合、長さは限定されない。
【0025】
このような金属ナノワイヤー13の目付量は、0.001〜1.000[g/m2]であることが好ましい。目付量が0.001[g/m2]未満である場合、金属ナノワイヤー13が十分に吸着ワイヤー層17中に存在せず、透明導電膜1の導電性が劣化する。一方、金属ナノワイヤー13の目付量が多いほどシート抵抗値は下がるが、目付量が1.000[g/m2]より多い場合、透明導電膜1の全光線透過率が劣化する。
【0026】
<透明樹脂材料15>
透明樹脂材料15は、金属ナノワイヤー13を分散させるものであって、いわゆるバインダー材料である。ここで用いる透明樹脂材料15は、既知の透明な天然高分子樹脂または合成高分子樹脂から広く選択して使用することができ、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂であっても良い。熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが例示される。熱、光、電子線、放射線で硬化する熱(光)硬化性樹脂としては、メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、イソシアネート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケート等のシリコン樹脂が例示される。
【0027】
またこの透明樹脂材料15には、添加剤として、界面活性剤、粘度調整剤、分散剤、硬化促進触媒、可塑剤、さらには酸化防止剤や硫化防止剤などの安定剤が、必要に応じて添加されていることとする。
【0028】
<有色化合物a>
有色化合物aは、可視光領域に吸収を持ち、かつ金属ナノワイヤー13に吸着する物質である。ここで、可視光領域とは、およそ360nm以上830nm以下の波長帯域である。このような有色化合物aは、可視光領域に吸収を持つ発色団Rと共に、金属ナノワイヤー13を構成する金属に結合する官能基Xを有し、一般式[R−X]で表される。
【0029】
このうち発色団[R]は、不飽和アルキル基、芳香環、複素環、金属イオンの少なくとも一つ以上を含む。このような発色団[R]の具体例としては、ニトロソ基、ニトロ基、アゾ基、メチン基、アミノ基、ケトン基、チアゾリル基、ナフトキノン基、スチルベン誘導体、インドフェノール誘導体、ジフェニルメタン誘導体、アントラキノン誘導体、トリアリールメタン誘導体、ジアジン誘導体、インジゴイド誘導体、キサンテン誘導体、オキサジン誘導体、フタロシアニン誘導体、アクリジン誘導体、チアジン誘導体、硫黄原子含有化合物、金属イオン含有化合物などが例示される。また、発色団[R]としては、上述の例示した発色団およびそれを含む化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を用いることができる。透明導電膜1の透明性の向上の観点からすると、発色団[R]としては、Cr錯体、Cu錯体、アゾ基、インドリン基、およびそれを含む化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を用いることができる。
【0030】
金属ナノワイヤー13を構成する金属に結合する官能基[X]は、スルホ基(スルホン酸塩含む)、スルホニル基、スルホンアミド基、カルボン酸基(カルボン酸塩含む)、アミノ基、アミド基、リン酸基(リン酸塩、リン酸エステル含む)、フォスフィノ基、シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、ビニル基、チオール基、カルビノール基などである。このような官能基[X]は、有色化合物a中に少なくとも1つ存在していれば良い。有色化合物aの吸着による導電性低下を抑制する観点からすると、官能基[X]としては、カルボン酸基、リン酸基等が好ましく、カルボン酸基がより好ましい。
【0031】
また官能基[X]は、金属ナノワイヤー13を構成する金属に配位可能な原子であっても良い。このような原子は、例えば、N(窒素)、S(イオウ)、O(酸素)等である。官能基[X]がこれらの原子の場合は、官能基[X]は、発色団[R]の一部を構成するものであっても良く、有色化合物aは複素環を有する化合物となる。
【0032】
以上のような有色化合物aとしては、酸性染料、直接染料などが例示される。より具体的な染料の一例としては、スルホ基を有する染料として、日本化薬製Kayakalan BordeauxBL、Kayakalan Brown GL、Kayakalan Gray BL167、Kayakalan Yellow GL143、KayakalanBlack 2RL、Kayakalan Black BGL、Kayakalan Orange RL、Kayarus Cupro Green G、Kayarus Supra Blue MRG、Kayarus Supra Scarlet BNL200、田岡化学工業製Lanyl Olive BGなどが例示される。その他には、日本化薬製Kayalon Polyester Blue 2R-SF、Kayalon Microester Red AQ-LE、Kayalon Polyester Black ECX300、Kayalon Microester Blue AQ-LE等が例示される。また、カルボキシル基を有する染料としては色素増感太陽電池用色素が挙げられ、Ru錯体のN3、N621、N712、N719、N749、N773、N790、N820、N823、N845、N886、N945、K9、K19、K23、K27、K29、K51、K60、K66、K69、K73、K77、Z235、Z316、Z907、Z907Na、Z910、Z991、CYC-B1、HRS-1、有機色素系としてAnthocyanine、WMC234、WMC236、WMC239、WMC273、PPDCA、PTCA、BBAPDC、NKX-2311、NKX-2510、NKX-2553(林原生物化学製)、NKX-2554(林原生物化学製)、NKX-2569、NKX-2586、NKX-2587(林原生物化学製)、NKX-2677(林原生物化学製)、NKX-2697、NKX-2753、NKX-2883、NK‐5958(林原生物化学製)、NK‐2684(林原生物化学製)、Eosin Y、Mercurochrome、MK-2(総研化学製)、D77、D102(三菱製紙化学製)、D120、D131(三菱製紙化学製)、D149(三菱製紙化学製)、D150、D190、D205(三菱製紙化学製)、D358(三菱製紙化学製)、JK-1、JK-2、5、ZnTPP、H2TC1PP、H2TC4PP、Phthalocyanine Dye(Zinc phtalocyanine-2,9,16,23-tetra-carboxylic acid、2-[2’-(zinc9’,16’,23’-tri-tert-butyl-29H,31H-phthalocyanyl)] succinic acid、Polythiohene Dye(TT-1)、Pendant type polymer、Cyanine Dye(P3TTA、C1-D、SQ-3、B1)等が挙げられる。
【0033】
また透明導電膜1を構成する有色化合物aは、上述の一般式[R−X]で表される化合物中から、金属ナノワイヤー13を構成する金属毎に、その金属に吸着可能で、かつ透明導電膜1の製造工程で用いる溶剤に所定濃度で溶解可能な化合物が選択して用いられる。
【0034】
<その他>
金属ナノワイヤー13の分散性向上のため、金属ナノワイヤー13に分散剤を吸着させても良い。分散剤としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、またはポリエチレンイミンのようなアミノ基含有化合物が用いられる。この他にも、スルホ基(スルホン酸塩含む)、スルホニル基、スルホンアミド基、カルボン酸基(カルボン酸塩含む)、アミド基、リン酸基(リン酸塩、リン酸エステル含む)、フォスフィノ基、シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、ビニル基、チオール基、カルビノール基などの官能基を有する化合物で金属に吸着可能なものが用いられる。
【0035】
これらの分散剤は、透明導電膜1の導電性が劣化しない程度の量で金属ナノワイヤー13に吸着されていることとする。
【0036】
また分散剤の他にも、必要に応じて、金属ナノワイヤー13同士および透明基材11との密着性や耐久性を向上させるため添加剤が含まれていても良い。
【0037】
また有色化合物aは、金属ナノワイヤー表面を単分子レベルで被覆していることが好ましい。これにより、可視光に対する透明性の低下を抑制することができる。また、有色化合物aの使用量を最小限に抑えることもできる。
【0038】
金属ナノワイヤー表面にのみ有色化合物aを偏在させることが好ましい。これにより、可視光に対する透明性の低下を抑制することができる。また、有色化合物aの使用量を最小限に抑えることもできる。
【0039】
以上のような構成の透明導電膜1は、以降の実施例にて記載した反射L評価方法にて、反射L値が8以下であることが好ましい。このようであると、黒浮き現象が改善され、表示パネルの表示面側に配置する用途に好適に適用できる。尚、反射L値は、金属ナノワイヤー13に対する有色化合物aの吸着量によって制御される。
【0040】
<第1実施形態の効果>
以上説明した第1実施形態の透明導電膜1では、次のような効果を奏することが可能である。すなわち、金属ナノワイヤー13に有色化合物aを吸着させたことにより、金属ナノワイヤー13の表面での光の乱反射を防止することが可能になる。特に、有色化合物aが、可視光領域の光を吸収する発色団Rを持つものであるため、この有色化合物aで外光が吸収されて乱反射を防止する効果を高く得ることができる。
【0041】
またこの透明導電膜1は、金属ナノワイヤー13に有色化合物aを吸着させた構成であるため、金属材料を無駄なく用いて製造コストの上昇を抑えることも可能である。
【0042】
尚、以上の第1実施形態においては、透明導電膜1として、透明基材11上に吸着ワイヤー層17を設けた構成を説明した。しかしながら、透明導電膜1は、透明基材11を除去して吸着ワイヤー層17のみで構成されていても良い。
【0043】
金属ナノワイヤー表面にあたり、黒浮きの原因となる入射光は、そもそも透明導電フィルム等を透過しない光である。第1実施形態の透明導電膜1で使用する有色化合物aは、金属ナノワイヤー表面にあたり、黒浮きの原因となる入射光を吸収する機能を有している。そのため、第1の実施形態の透明導電膜1では、有色化合物aを使用するが、透明性の低下は抑制できる。
【0044】
尚、金属ナノワイヤー13に有色化合物aが吸着しているか否かは、次の方法によって確認することが可能である。まず、確認対象となる金属ナノワイヤー13を含む透明導電膜を、既知の金属をエッチングできる溶液に数時間から十数時間程度浸漬し、吸着化合物を金属ナノワイヤー13と共に抽出する。続いて、加熱もしくは減圧によって、抽出液から溶剤を除去することにより、抽出成分を濃縮する。この際、必要に応じてクロマトグラフィーによる分離を行っても良い。次に、上述の濃縮した抽出成分のガスクロマトグラフ(GC)分析を行い、吸着化合物の分子およびそのフラグメントを確認することによって、吸着化合物を同定することができる。また、吸着化合物の抽出に重水素置換溶剤を用いることで、NMR分析によって吸着化合物を同定することもできる。
【0045】
同定された吸着化合物が発色団[R]を有するものであれば、金属ナノワイヤー13に有色化合物aが吸着されていたことになるため、上述した第1実施形態の効果を得ることが可能である。
【0046】
≪2.変形例1(オーバーコート層を設けた透明導電膜の構成例)≫
図2には、透明導電膜の変形例1として、第1実施形態の透明導電膜にオーバーコート層21を設けた透明導電膜1−1の構成を示す。オーバーコート層21は、金属ナノワイヤー13を用いて構成された吸着ワイヤー層17を保護するためのものであり、吸着ワイヤー層17の上部に設けられている。
【0047】
このオーバーコート層21は、可視光に対して光透過性を有していることが重要であり、ポリアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、またはセルロース系樹脂で構成されるか、あるいは金属アルコキシドの加水分解、脱水縮合物などで構成される。またこのようなオーバーコート層21は、可視光に対する光透過性が阻害されることのない膜厚で構成されていることとする。オーバーコート層21が、ハードコート機能、防眩機能、反射防止機能、アンチニュートンリング機能、およびアンチブロッキング機能などからなる機能群より選ばれる少なくとも1種の機能を有していてもよい。
【0048】
≪3.変形例2(アンカー層を設けた透明導電膜の構成例)≫
図3には、透明導電膜の変形例2として、第1実施形態の透明導電膜にアンカー層23を設けた透明導電膜1−2の構成を示す。アンカー層23は、金属ナノワイヤー13を用いて構成された吸着ワイヤー層17−透明基材11間の密着性を確保するためのものであり、吸着ワイヤー層17−透明基材11との間に挟持されている。
【0049】
このアンカー層23は、可視光に対して光透過性を有していることが重要であり、ポリアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、またはセルロース系樹脂で構成されるか、あるいは金属アルコキシドの加水分解、脱水縮合物などで構成される。またこのようなアンカー層23は、可視光に対する光透過性が阻害されることのない膜厚で構成されていることとする。
【0050】
尚、本変形例2は、変形例1と組み合わせることも可能である。組み合わせた場合、アンカー層23−オーバーコート層21間に、金属ナノワイヤー13を用いて構成された吸着ワイヤー層17を挟持させた構成となる。
【0051】
≪4.変形例3(樹脂に分散させずに金属ナノワイヤーを集積させた透明導電膜の構成例)≫
図4には、透明導電膜の変形例3として、第1実施形態の透明導電膜から透明樹脂材料を除去した透明導電膜1−3の構成を示す。透明基材11上には、有色化合物aを吸着させた金属ナノワイヤー13が、透明樹脂材料に分散されることなく集積されている。そして、有色化合物aを吸着させた金属ナノワイヤー13の集積によって構成された吸着ワイヤー層17’が、透明基材11の表面との密着性を保って透明基材11上に配置されている。このような構成は、金属ナノワイヤー13同士および金属ナノワイヤー13と透明基材11との密着性が良好である場合に適用される。
【0052】
尚、このような変形例3は、変形例1および変形例2の少なくとも一方と組み合わせることが可能である。すなわち変形例1と組み合わせて吸着ワイヤー層17’の上方にオーバーコート層を設けても良く、変形例2と組み合わせて透明基材11と吸着ワイヤー層17’との間にアンカー層を設けても良い。
【0053】
このような構成の透明導電膜1−3であっても、金属ナノワイヤー13に有色化合物aを吸着させているため、第1実施形態で説明した構成の透明導電膜と同様の効果を得ることが可能である。
【0054】
≪5.変形例4(基材の一主面にハードコート層を設けた透明導電膜の構成例)≫
図15には、透明導電膜の変形例4として、第1実施形態の透明導電膜にハードコート層18を設けた透明導電膜1−4の構成を示す。ハードコート層18は、基材11を保護するためのものであり、基材11の下部に設けられている。
【0055】
このハードコート層18は、可視光に対して光透過性を有していることが重要であり、有機系ハードコート剤、無機系ハードコート剤、有機−無機系ハードコート剤などで構成される。またこのようなハードコート層18は、可視光に対する光透過性が阻害されることのない膜厚で構成されていることとする。
【0056】
尚、このような変形例4は、変形例1〜3のうちの少なくとも1つと組み合わせることが可能である。例えば、オーバーコート層やアンカー層などをさらに設けるようにしてもよい。アンカー層は、例えば、基材11と吸着ワイヤー層17との間、および基材11とハードコート層18との間の少なくとも一方に設けられる。オーバーコート層は、例えば、吸着ワイヤー層17の上部、およびハードコート層18の上部の少なくとも一方に設けられる。
【0057】
≪6.変形例5(基材の両主面にハードコート層を設けた透明導電膜の構成例)≫
図16には、透明導電膜の変形例5として、第1実施形態の透明導電膜にハードコート層18、19を設けた透明導電膜1−5の構成を示す。ハードコート層18は、基材11を保護するためのものであり、基材11の下部に設けられている。ハードコート層19は、基材11を保護するためのものであり、基材11の上部に設けられている。吸着ワイヤー層17は、ハードコート層19の上部に設けられている。
【0058】
このハードコート層18、19は、可視光に対して光透過性を有していることが重要であり、有機系ハードコート剤、無機系ハードコート剤、有機−無機系ハードコート剤などで構成される。またこのようなハードコート層18、19は、可視光に対する光透過性が阻害されることのない膜厚で構成されていることとする。
【0059】
尚、このような変形例5は、変形例1〜3のうちの少なくとも1つと組み合わせることが可能である。例えば、オーバーコート層やアンカー層などをさらに設けるようにしてもよい。アンカー層は、例えば、基材11とハードコート層19との間、ハードコート層19と吸着ワイヤー層17との間、および基材11とハードコート層18との間のうちの少なくとも一箇所に設けられる。オーバーコート層は、例えば、吸着ワイヤー層17の上部、およびハードコート層18の上部の少なくとも一方に設けられる。
【0060】
≪7.第2実施形態(成膜後に有色化合物の吸着処理を行う透明導電膜の製造方法)≫
次に、図5を参照し、透明導電膜の製造方法の第1例として、金属ナノワイヤーの分散膜を成膜後に、有色化合物の吸着処理を行う方法を説明する。
【0061】
[分散液の作製]
先ず、金属ナノワイヤーを溶剤に分散させた分散液を作製する。ここでは、溶剤に対して、金属ナノワイヤーと共に透明樹脂材料(バインダー)を添加する。また必要に応じて、金属ナノワイヤーの分散性を向上させるための分散剤や、密着性や耐久性を向上させるためのその他の添加剤を混合する。
【0062】
分散手法としては、攪拌、超音波分散、ビーズ分散、混錬、ホモジナイザー処理等が好ましく適用できる。
【0063】
分散液の重量を100重量部とした場合、分散液における金属ナノワイヤーの配合量は0.01〜10.00重量部とする。0.01重量部未満である場合、最終的に得られる透明導電膜において金属ナノワイヤーに十分な目付量(0.001〜1.000[g/m2])が得られない。一方、10重量部よりも大きい場合、金属ナノワイヤーの分散性が劣化する傾向にある。また分散液に対して分散剤を添加する場合は、最終的に得られる透明導電膜の導電性が劣化しない程度の添加量にすることが好ましい。
【0064】
<溶剤>
ここで、以上の分散液の作製に用いる溶剤としては、金属ナノワイヤーが分散するものを使用する。例えば、水、アルコール(例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール等)、アノン(例えばシクロヘキサノン、シクロペンタノン)、アミド(例えばN,N-ジメチルホルムアミド:DMF)、スルフィド(例えばジメチルスルホキシド:DMSO)等から選択される少なくとも1種類以上が使用される。
【0065】
分散液を用いて形成される分散膜の乾燥ムラやクラックを抑えるため、分散液には、さらに高沸点溶剤を添加し、分散液からの溶剤の蒸発速度をコントロールすることもできる。高沸点溶剤としては、例えば、ブチルセロソルブ、ジアセトンアルコール、ブチルトリグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールイソプロピルエーテル、メチルグリコールが挙げられる。これらの高沸点溶剤は単独で用いられてもよく、また複数を組み合わせてもよい。
【0066】
[分散膜の形成]
次に、図5Aに示すように、上述したようにして作製した分散液を用いて、透明基材11上に金属ナノワイヤー13を分散させた分散膜17aを形成する。分散膜17aの形成方法が限定されることはないが、物性、利便性、製造コストなどを考慮すると湿式製膜法が好ましい。湿式製膜法としては、塗布法、スプレー法、印刷法などの公知の方法が適用される。塗布法であれば、特に限定されるものではなく、公知の塗布法を用いることができる。公知の塗布法としては、例えば、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、ディップ法、スプレーコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、コンマコート法、ナイフコート法、スピンコート法などが挙げられる。印刷法であれば、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン、インクジェット印刷などが挙げられる。
【0067】
この状態においては、未硬化の透明樹脂材料(バインダー)15aを含む溶剤中に、金属ナノワイヤー13が分散された分散膜17aが形成される。
【0068】
[分散膜の乾燥と硬化]
次いで、図5Bに示すように、透明基材11上に形成された分散膜17a中の溶剤を乾燥させて除去する。乾燥による溶剤の除去は、自然乾燥であっても加熱乾燥であっても良い。その後、未硬化の透明樹脂材料(15a)の硬化処理を行い、硬化させた透明樹脂材料15中に金属ナノワイヤー13を分散させた状態とする。以上の後には、得られる透明導電膜のシート抵抗値を下げるために、必要に応じてカレンダーによる加圧処理を施す。
【0069】
[処理溶液の作製]
有色化合物を含有する処理溶液を作製する。ここでは、例えば有色化合物を溶剤に溶解させて処理溶液を作製することとする。このような処理溶液は、この処理溶液を用いた吸着処理においての、金属ナノワイヤーに対する有色化合物の吸着速度を向上させる観点から、有色化合物の濃度が大きいほうが好ましい。具体的には、処理溶液中における有色化合物の濃度は、0.01重量%以上が好ましい。尚、有色化合物が常温で液体、もしくはプロセス上可能な温度で加熱した場合に液体状態となり得る場合には、液体状の有色化合物をそのまま処理溶液として用いても良い。
【0070】
<溶剤>
このような処理溶液の作製に用いる溶剤は、有色化合物を所定濃度に溶解可能な材料を適宜選択すれば良い。具体的には、例えば、水、アセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、3,3-ジメトキシプロピオニトリルエトキシプロピオニトリル、3-エトキシプロピオニトリル、3,3≡-オキシジプロピオニトリル、3-アミノプロピオニトリル、プロピオニトリル、シアノ酢酸プロピル、イソチオシアン酸3-メトキシプロピル、3-フェノキシプロピオニトリル、p-アニシジン3-(フェニルメトキシ)プロパンニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、1-メトキシ-エタノール、1,1-ジメチル-2-メトキシエタノール、3-メトキシ-1-プロパノール、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、酢酸ブチル、酢酸エチル、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、エチルメチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いられてもよく、また複数を組み合わせてもよい。
【0071】
[有色化合物の吸着処理]
次に図5Cに示すように、硬化させた透明樹脂材料15中に金属ナノワイヤー13を分散させてなる分散膜17aを、有色化合物aを溶解させた処理溶液25に接触させる。
これにより図5Dに示すように、分散膜17a中の金属ナノワイヤー13に、処理溶液25中の有色化合物aを吸着させて吸着ワイヤー層17を形成する。このような吸着処理においては、処理溶液25中の有色化合物aと金属ナノワイヤー13を構成する金属材料とを、共有結合あるいは配位結合させる。
【0072】
このような吸着処理の具体例としては、金属ナノワイヤー13が分散された分散膜17aを処理溶液25に浸漬させる浸漬方式、または分散膜17a上に処理溶液25の液膜を形成する塗布方式または印刷方式が例示される。
【0073】
浸漬方式を適用する場合、分散膜17aが十分に浸る量の処理溶液25を準備し、分散膜17aを処理溶液25中に0.1秒〜48時間浸漬する。この間、加熱および超音波処理の少なくとも一方を行うことで、金属ナノワイヤー13への有色化合物aの吸着速度を速めることができる。浸漬後、必要に応じて分散膜17aを有色化合物の良溶剤で洗浄し、分散膜17aに残った未吸着の有色化合物aを除去する工程を行う。
【0074】
塗布方式を適用する場合、例えば、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、ディップ法、スプレーコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、コンマコート法、ナイフコート法、スピンコート法などから適宜の方法を選択し、分散膜17a上に処理溶液25の液膜を形成する。
印刷方式を適用する場合、例えば、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム版印刷法、インクジェット法、およびスクリーン印刷法などから適宜の方法を選択し、分散膜17a上に処理溶液25の液膜を形成する。
【0075】
塗布方式または印刷方式を適用した場合には、分散膜17a上に一定量の処理溶液25の液膜を形成した状態で、加熱および超音波処理の少なくとも一方を行うことで、金属ナノワイヤー13に対する有色化合物aの吸着速度を速めることができる。また、処理溶液25の液膜を形成してから一定時間が経過した後、必要に応じて分散膜17aを有色化合物aの良溶剤で洗浄し、分散膜17aに残った未吸着の有色化合物aを除去する工程を行う。
【0076】
尚、一定量の処理溶液25の液膜の形成は、1回の液膜の形成によって達成される必要は無く、前述の液膜の形成工程と洗浄工程とを複数回繰り返すことによって達成されても良い。
【0077】
[乾燥処理]
以上のような吸着処理の後、図5Eに示すように、吸着ワイヤー層17の乾燥処理を行う。ここでの乾燥処理は、自然乾燥であっても良く、加熱装置中での加熱乾燥であっても良い。これにより、透明基材11上に吸着ワイヤー層17を設けた透明導電膜1の製造を完了する。
【0078】
[パターニングについて]
本第2実施形態の製造方法を適用し、吸着ワイヤー層17からなる電極パターンを有する透明導電膜を作製する場合、図5Aを用いて説明した分散膜17aの形成工程において、予めパターニングされた分散膜17aを形成すれば良い。分散膜17aのパターン形成は、例えば印刷法によって行うことができる。また別の方法として、図5Aで形成した分散膜17aを硬化させた以降の工程で、分散膜17aまたは吸着ワイヤー層17をパターンエッチングする。この場合、分散膜17aまたは吸着ワイヤー層17における電極パターン以外の領域において、少なくとも金属ナノワイヤー13が分断されて絶縁状態となるようにパターンエッチングを行えば良い。
【0079】
[その他]
尚、図2を用いて説明した変形例1のように、吸着ワイヤー層17の上部にオーバーコート層21を設けた透明導電膜1−1を作製する場合には、さらに吸着ワイヤー層17の上部にオーバーコート層21を形成する工程を行えば良い。また、図3を用いて説明した変形例2のように、透明基材11と吸着ワイヤー層17との間にアンカー層23を設けた透明導電膜1−2を作製する場合には、分散膜17aを形成する前の透明基材11上にアンカー層23を形成する。その後、このアンカー層23上に分散膜17aを形成する工程と、これに続く工程を行えば良い。
【0080】
さらに、図4を用いて説明した変形例3のように、透明樹脂材料を用いずに構成された吸着ワイヤー層17’を作製する場合、透明導電性材料を用いることなく分散膜17aを構成する分散液を形成する。これにより、透明基材11上に形成した分散膜17aから溶剤を除去した場合に、透明基材11上に金属ナノワイヤー13が集積された状態で残される。この状態において、透明基材11上には分散膜17aが形成されていた部分に、金属ナノワイヤー13が均等に分散した状態で集積され、金属ナノワイヤー13で構成された分散膜が形成されることになる。その後は、上述した手順と同様の手順で、この分散膜に対して、有色化合物aを溶解させた処理溶液25を接触させることにより、吸着処理を行えば良い。
【0081】
<第2実施形態の効果>
以上説明した第2実施形態の製造方法により、金属ナノワイヤー13そのものに有色化合物aを吸着させた構成を有する透明導電膜1を、真空プロセスを用いることのない簡便な方法により、安価に製造することが可能になる。
【0082】
≪8.第3実施形態(有色化合物の吸着後に成膜を行う透明導電膜の製造方法)≫
次に、図6を参照し、透明導電膜の製造方法の第2例として、金属ナノワイヤーに有色化合物を吸着させた後に、金属ナノワイヤーの分散膜を成膜する方法を説明する。尚、図5を用いて説明した第2実施形態の手順と同様の手順についての重複する説明は省略する。
【0083】
[分散液の作製]
金属ナノワイヤーを溶剤に分散させた分散液を作製する。ここで作製する分散液が、第1例で作製した分散液と異なるところは、有色化合物が添加されているところにあり、他の構成は第1例と同様である。このような分散液を作製することにより、分散液中の金属ナノワイヤーを構成する金属に有色化合物を結合させ、予め金属ナノワイヤーに有色化合物を吸着させておく。
【0084】
分散液に対する有色化合物の添加量は、多いほうが反射L値の低減効果が大きくなるため好ましい。しかしながら、分散液に対する有色化合物の添加量が多すぎると、分散液中で金属ナノワイヤーが凝集する傾向にあり、作製される透明導電膜におけるシート抵抗値や全光線透過率の劣化が引き起こされる。このため、分散液に対する有色化合物の添加量は、0.0001〜0.1重量%が好ましい。
【0085】
[分散膜の形成]
次に、図6Aに示すように、上述したようにして作製した有色化合物aを含有する分散液を用いて、透明基材11上に分散膜17bを形成する。この分散膜17bは、有色化合物aが吸着した金属ナノワイヤー13を溶剤に分散させた膜であり、未硬化の透明樹脂材料15aも含まれていることとする。このような分散膜17bの形成方法が限定されることはなく、図5を用いて説明した第1例の方法と同様の浸漬法や塗布法などが適用される。
【0086】
[分散膜の乾燥と硬化]
次に、図6Bに示すように、透明基材11上に形成された分散膜17b中の溶剤を乾燥させて除去する。その後、未硬化の透明樹脂材料(15a)の硬化処理を行い、硬化させた透明樹脂材料15中に、有色化合物aが吸着した金属ナノワイヤー13を分散させてなる吸着ワイヤー層17を形成する。以上の、溶剤の乾燥による除去、および未硬化の透明樹脂材料の硬化処理は、第1例で説明した方法と同様の方法で行われる。その後、得られる透明導電膜のシート抵抗値を下げるために、必要に応じてカレンダーによる加圧処理を施すことも、第1例と同様である。
【0087】
以上により、透明導電膜1の製造を完了する。
【0088】
[パターニングについて]
尚、本第3実施形態の製造方法を適用し、吸着ワイヤー層17からなる電極パターンを有する透明導電膜を作製する場合、図6Aを用いて説明した分散膜17bの形成工程において、予めパターニングされた分散膜17bを形成すれば良い。分散膜17bのパターン形成は、例えば印刷法によって行うことができる。また別の方法として、図6Aで形成した分散膜17bを硬化させた以降の工程で、分散膜17b(吸着ワイヤー層17)をパターンエッチングしても良い。この場合、分散膜17b(吸着ワイヤー層17)における電極パターン以外の領域において、少なくとも金属ナノワイヤー13が分断されて絶縁状態となるようにパターンエッチングを行えば良い。
【0089】
[その他]
尚、図2を用いて説明した変形例1のように、吸着ワイヤー層17の上部にオーバーコート層21を設けた透明導電膜1−1を作製する場合には、さらに吸着ワイヤー層17の上部にオーバーコート層21を形成する工程を行えば良い。また、図3を用いて説明した変形例2のように、透明基材11と吸着ワイヤー層17との間にアンカー層23を設けた透明導電膜1−2を作製する場合には、分散膜17bを形成する前の透明基材11上にアンカー層23を形成する。その後、このアンカー層23上に分散膜17bを形成する工程と、これに続く工程を行えば良い。
【0090】
さらに、図4を用いて説明した変形例3のように、透明樹脂材料を用いずに構成された吸着ワイヤー層17’を作製する場合、透明導電性材料を用いることなく分散膜17bを構成する分散液を形成する。これにより、透明基材11上に形成した分散膜17bから溶剤を除去した場合に、有色化合物aが吸着した金属ナノワイヤー13が、透明基材11上に集積された状態で残される。この状態において、透明基材11上には分散膜17bが形成されていた部分に、有色化合物aが吸着した金属ナノワイヤー13が均等に分散した状態で集積された吸着ワイヤー層17’が形成される。
【0091】
<第3実施形態の効果>
以上説明した第3実施形態の製造方法であっても、第2実施形態の製造方法と同様に、金属ナノワイヤー13そのものに有色化合物aを吸着させた構成を有する透明導電膜1を、真空プロセスを用いることのない簡便な方法により、安価に製造することが可能になる。また特に本第3実施形態の製造方法は、第2実施形態の製造方法と比較して製造手順も少なく、より簡便に透明導電膜1を得ることが可能である。
【0092】
≪9.第4実施形態(透明導電膜を用いた情報入力装置の構成例)≫
図7には、透明導電膜を用いた情報入力装置の要部構成図を示す。この図に示す情報入力装置31は、例えば表示パネルの表示面上に配置される静電容量方式のタッチパネルであり、2枚の透明導電膜1x,1yを用いて構成されている。各透明導電膜1x,1yは、第1実施形態や変形例1〜3で説明した吸着ワイヤー層からなる電極パターン17x1,17x2,…、17y1,17y2,…を、透明基材11上にそれぞれ並列配置させている。これらの透明導電膜1x,1yは、電極パターン17x1,17x2,…と電極パターン17y1,17y2,…とを、x−y方向に直交させた状態で対向配置し、接着性の絶縁性膜33を介して貼り合わせられている。
【0093】
またここでの図示は省略するが、この情報入力装置31には、透明導電膜1x,1yの各電極パターン17x1,17x2,…、17y1,17y2,…に対して、個別に測定電圧を印加するための複数の端子が配線されていることとする。
【0094】
このような情報入力装置31は、透明導電膜1xに設けられた電極パターン17x1,17x2,…と、透明導電膜1yに設けられた電極パターン17y1,17y2,…とに対して、交互に測定電圧を印加する。この状態で、透明基材11の表面に指またはタッチペンが触れると、情報入力装置31内に存在する各部の容量が変化し、各電極パターン17x1,17x2,…、17y1,17y2,…の測定電圧の変化となって現れる。この変化は、指またはタッチペンが触れた位置からの距離によって異なり、指またはタッチペンが触れた位置で最も大きくなる。このため、測定電圧の変化が最大となる、電極パターン17xn,17ynでアドレスされた位置が、指またはタッチペンが触れた位置として検出される。
【0095】
<第4実施形態の効果>
以上説明した第4実施形態の情報入力装置31では、電極パターン17x1,17x2,…、17y1,17y2,…として、第1実施形態またはその変形例1〜3で説明した光の乱反射が防止された吸着ワイヤー層17,17’を用いている。これにより、パターン形成された電極パターン17x1,17x2,…、17y1,17y2,…が外光の乱反射によって視認されることを防止できる。またこのような情報入力装置31を表示パネルの表示面上に配置した場合、情報入力装置31に設けた電極パターン17x1,17x2,…、17y1,17y2,…で外光が乱反射することによる、黒表示の際の黒浮きを防止した表示が可能である。
【0096】
尚、本開示の情報入力装置は、ここで説明した構成の情報入力装置31に限定されることはなく、透明導電膜を備えた構成の情報入力装置に広く適用可能であり、例えば抵抗膜方式のタッチパネルであっても良い。このような構成であっても、第4実施形態の情報入力装置31と同様の効果を得ることができる。
【0097】
≪10.第5実施形態(情報入力装置を備えた表示装置の構成例)≫
図8には、本開示の電子機器の一例として情報入力装置を備えた表示装置の斜視図を示す。この図に示す表示装置41は、表示パネル43における表示面上に、例えば第4実施形態で説明した構成の情報入力装置31を配置したものである。
【0098】
表示パネル43は、例えば液晶表示パネルであり、反射型、透過型、または半透過反射型の何れであっても良く、少なくとも表示面側には偏向板が設けられている。またこの表示パネル43には、フレキシブルプリント基板45が接続されており、表示画像の信号が入力される構成となっている。
【0099】
このような表示パネル43における画像の表示面上に、表示面を覆う状態で情報入力装置31が重ねて配置されている。この情報入力装置31には、フレキシブルプリント基板35が接続されており、ここから情報入力装置31の各電極パターン17x1,17x2,…、17y1,17y2,…に、上述した測定電圧が印加される。
【0100】
これにより、ユーザは、表示パネル43で表示された表示画像の一部に指やタッチペンを接触させることにより、接触部分の位置情報を情報入力装置31に入力することができる。
【0101】
<第5実施形態の効果>
以上説明した第5実施形態の表示装置41では、第4実施形態で説明した構成の情報入力装置31を表示パネル43の表示面上に配置している。このため、表示パネル43の表示が黒表示であっても、情報入力装置31を構成する電極パターン17x1,17x2,…、17y1,17y2,…表面での外光の乱反射による黒浮きが防止され、情報入力装置31を有しつつもコントラストの高い表示が可能になる。
【0102】
尚、本第5実施形態においては、表示パネル43が液晶表示パネルである場合を例示したが、表示パネル43はこれに限定されるものではない。例えば有機EL表示装置やプラズマ表示パネルなど、ほとんど全ての表示パネルを適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0103】
≪11.第6実施形態(透明導電膜を用いた表示装置の構成例)≫
図9には、透明導電膜を用いた表示装置の要部断面図を示す。この図に示す表示装置51は、有機電界発光素子ELを用いたアクティブマトリックス型の有機EL表示装置である。
【0104】
この図に示すように、表示装置51は、基板50上の各画素Pに、薄膜トランジスタTrを用いた画素回路と、これに接続された有機電界発光素子ELとが配列されたアクティブマトリックス型の表示装置51である。
【0105】
薄膜トランジスタTrが配列された基板50上は平坦化絶縁膜53で覆われ、この上部には平坦化絶縁膜53に設けた接続孔を介して薄膜トランジスタTrに接続された画素電極55が配列形成されている。画素電極55は、陽極(または陰極)を構成している。
【0106】
各画素電極55の周縁はウインドウ絶縁膜57で覆われて素子分離されている。素子分離された各画素電極55上は、各色の有機発光機能層59r,59g,59bで覆われ、さらにこれらを覆う共通電極61が設けられている。各有機発光機能層59r,59g,59bは、少なくとも有機発光層を備えた積層構造からなる。これらを覆う共通電極61は、各有機発光機能層59r,59g,59bに接する層が、例えば陰極(または陽極)として形成されている。また共通電極61は、全体としては各有機発光機能層59r,59g,59bで発生した発光光を取り出す光透過電極として形成されていることとする。このような共通電極61の少なくとも一部の層に、第1実施形態およびその変形例1〜3で説明した吸着ワイヤー層17,17’からなる透明電極が用いられていることとする。
【0107】
以上により、画素電極55と共通電極61との間に有機発光機能層59r,59g,59bが挟持された各画素P部分に、有機電界発光素子ELが形成される。尚、ここでの図示は省略したが、これらの有機電界発光素子ELが形成された基板50上には、さらに保護層が設けられ、接着剤を介して封止基板が貼り合わされて表示装置51が構成されている。
【0108】
<第6実施形態の効果>
以上説明した第6実施形態の表示装置51では、発光光の取り出し側である表示面側に設けた共通電極61として、第1実施形態およびその変形例1〜3で説明した、吸着ワイヤー層(透明電極膜)17,17’が用いられている。これにより、各有機発光機能層59r,59g,59bで発生させた発光光を、共通電極61側から取り出す場合に、共通電極61での外光の乱反射による黒浮きが防止され、外光環境下においてもコントラストの高い表示が可能になる。
【0109】
尚、この表示装置51における表示面側には、第5実施形態と同様に情報入力装置31を配置しても良く、この場合であっても第5実施形態においてと同様の効果を得ることができる。
【0110】
≪12.第7実施形態(表示部を備えた電子機器の構成例)≫
図10〜図14には、図8を用いて説明した第5実施形態の情報入力装置を備えた表示装置、または図9を用いて説明した第6実施形態の表示装置を、表示部に適用した電子機器の一例を示す。以下に、本開示の電子機器の適用例について説明する。
【0111】
図10は、本開示が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビ100は、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される表示部101を含み、その表示部101として先に説明した表示装置を適用する。
【0112】
図11は、本開示が適用されるデジタルカメラを示す図であり、図11Aは表側から見た斜視図、図11Bは裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラ110は、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として先に説明した表示装置を適用する。
【0113】
図12は、本開示が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータ120は、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として先に説明した表示装置を適用する。
【0114】
図13は、本開示が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラ130は、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として先に説明した表示装置を適用する。
【0115】
図14は、本開示が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す正面図である。本適用例に係る携帯電話機140は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、表示部144を含み、その表示部144として先に説明した表示装置を適用する。
【0116】
以上のような各電子機器であっても、表示部に第5実施形態または第6実施形態の表示装置を用いたことにより、外光環境下においてもコントラストの高い表示が可能になる。
【実施例】
【0117】
≪実施例1〜4≫
図5を用いて説明した第2実施形態の手順を適用し、以下のようにして実施例1〜4の透明導電膜を作製した(以降に示す表1参照)。
【0118】
先ず、金属ナノワイヤーとして、銀ナノワイヤーを作製した。ここでは、文献(「ACS Nano」2010年,VOL.4,NO.5,p.2955-2963)を参照した既存の方法により、直径30nm、長さ10μmの銀ナノワイヤー[表1中ではAg(1)]を作製した。
【0119】
次に、作製した銀ナノワイヤーと共に下記の材料をエタノールに投入し、超音波を用いて銀ナノワイヤーをエタノールに分散させることで分散液を作製した。
銀ナノワイヤー[Ag(1)]:0.28重量%
アルドリッチ製ヒドロキシプロピルメチルセルロース(透明樹脂材料):0.83重量%
旭化成製デュラネートD101(樹脂硬化剤):0.083重量%
日東化成製ネオスタンU100(硬化促進触媒):0.0025重量%
エタノール(溶剤):98.8045重量%
【0120】
作製した分散液を、番手8のコイルバーで透明基材上に塗布して分散膜を形成した。銀ナノワイヤーの目付量は約0.05g/m2とした。透明基材としては、膜厚125μmのPET(三菱樹脂化学製O300E)を用いた。次いで、大気中において85℃で2分間の加熱処理を行い、分散膜中の溶剤を乾燥除去した。さらに続けて大気中において150℃で30分間の加熱処理を行い、分散膜中の透明樹脂材料を硬化させた。
【0121】
次に、有色化合物として黒色染料(日本化薬製Kayakalan Black 2RL)を用い、これをジメチルスルホキシドに0.25重量%になるように溶解させ、有色化合物を含有する処理溶液を作製した。この有色化合物の処理溶液を85℃に加熱した中に、銀ナノワイヤーの分散膜を浸漬させ、処理溶液中の有色化合物を分散膜中の銀ナノワイヤーに吸着させる吸着処理を行うことにより透明導電膜を得た。吸着処理時間(浸漬時間)は、実施例1では10分、実施例2では7.5分、実施例3では5.0分、実施例4では2.5分とした。尚、この有色化合物は、官能基[X]としてスルホ基を有する。
【0122】
≪実施例5≫
有色化合物として黒色染料(日本化薬製Kayakalan Black BGL)を用いたこと、および吸着処理時間(浸漬時間)を2分としたこと以外は、上述した実施例1〜4の手順と同様の手順で透明導電膜を作製した。尚、この有色化合物は、官能基[X]としてスルホ基を有する。
【0123】
≪実施例6〜9≫
有色化合物として各色化合物を用いたこと、および吸着処理時間(浸漬時間)を10分としたこと以外は、上述した実施例1〜4の手順と同様の手順で透明導電膜を作製した。
各色化合物は、実施例6では日本化薬製Kayarus Cupro Green G、実施例7では日本化薬製Kayarus Supra Blue MRG、実施例8では日本化薬製Kayarus Supra Scarlet BNL200、実施例9では田岡化学工業製Lanyl Olive BG50%を用いた。尚、これらの各色化合物は、官能基[X]としてスルホ基を有する。
【0124】
≪実施例10≫
金属ナノワイヤーとしてBlue nano社製の銀ナノワイヤー(製品名:SLV-NW-60、直径60nm)のIPA分散液を用いたこと、および吸着処理時間(浸漬時間)を10分としたこと以外は、実施例1〜4の手順と同様の手順で透明導電膜を作製した。
銀ナノワイヤー[Ag(2)]:0.28重量%
アルドリッチ製ヒドロキシプロピルメチルセルロース(透明樹脂材料):0.83重量%
旭化成製デュラネートD101(樹脂硬化剤):0.083重量%
日東化成製ネオスタンU100(硬化促進触媒):0.0025重量%
エタノール+IPA(溶剤):98.8045重量%
【0125】
≪実施例11≫
図6を用いて説明した第3実施形態の手順を適用し、以下のようにして図4の変形例3を適用した実施例11の透明導電膜を作製した。
実施例10で用いたと同様の銀ナノワイヤーのIPA分散液を用い、銀ナノワイヤー[Ag(2)]と共に有色化合物を含む分散液を作製した。分散液の組成は次のようである。
銀ナノワイヤー[Ag(2)]:0.28重量%
日本化薬製Kayakalan Black BGL(有色化合物):0.0016重量%
純正化学製PVP K−30(分散剤):0.2重量%
エタノール+IPA(溶剤):99.5184重量%
【0126】
作製した分散液を、番手8のコイルバーで透明基材上に塗布して分散膜を形成した。銀ナノワイヤーの目付量は約0.05g/m2とした。透明基材としては、膜厚125μmのPET(三菱樹脂化学製O300E)を用いた。次いで、大気中において85℃で2分間の加熱処理を行い、分散膜中の溶剤を乾燥除去した。これにより、有色化合物を吸着させた銀ナノワイヤーを、透明樹脂材料に分散させることなく透明基材上に集積させた透明導電膜を作製した。
【0127】
≪実施例12≫
有色化合物としてカルボキシル基を有する化合物(三菱製紙製D358)を用いたこと、および吸着処理時間(浸漬時間)を20分としたこと以外は、上述した実施例1〜4の手順と同様の手順で透明導電膜を作製した。
【0128】
≪比較例1≫
有色化合物に換えて無色のドデシルベンゼンスルホン酸(DBS:官能基−スルホ基)を用いたこと、および吸着処理時間(浸漬時間)を10分としたこと以外は、上述した実施例1〜4の手順と同様の手順で透明導電膜を作製した。
【0129】
≪比較例2≫
実施例1の手順と同様の手順で分散膜中の透明樹脂材料を硬化させるまでを行い、吸着処理を行わずに有色化合物を含まない透明導電膜を作製した。
【0130】
≪比較例3≫
実施例10の手順と同様の手順で分散膜中の透明樹脂材料を硬化させるまでを行い、吸着処理を行わずに有色化合物を含まない透明導電膜を作製した。
【0131】
≪比較例4≫
有色化合物に換えて無色のドデカン酸(DA:官能基-カルボキシル基)を用いたこと、および吸着処理時間(浸漬時間)を10分としたこと以外は、上述した実施例1〜4の手順と同様の手順で透明導電膜を作製した。
【0132】
≪比較例5≫
有色化合物に換えて無色のドデシルホスホン酸(DPA:官能基−リン酸基)を用いたこと、および吸着処理時間(浸漬時間)を10分としたこと以外は、上述した実施例1〜4の手順と同様の手順で透明導電膜を作製した。
【0133】
≪評価−1≫
以上の実施例1〜12及び比較例1〜5で作製した透明導電膜について、A)全光線透過率[%]、B)黒浮き、C)シート抵抗値[Ω/□]、D)反射L値を評価した。各評価は、次のように行った。
【0134】
<A)全光線透過率の評価>
HM−150(商品名;(株)村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7136に従って評価した。
【0135】
<B)黒浮きの評価>
実施例1〜10,12,比較例1,4,5については、吸着処理を施した部分(処理部)に隣接して、吸着処理を施していない部分(未処理部)を形成した。処理部と未処理部が形成された分散膜(ワイヤー層)側に黒テープを貼った状態で透明基材側からの目視し、黒浮きの発生を以下の○、△、×の三段階で評価した。
○:処理部と非処理部の境目がすぐに判断でき、処理部は黒浮き低減
△:処理部と非処理部の境目がわかりにくいが、処理部は黒浮き低減
×:処理部と非処理部の境目がわからず、処理部は黒浮きあり
尚、比較例2は実施例1〜9の未処理部と同等であり、比較例3は実施例10の未処理部と同等である。すなわち、実施例1〜9,12,比較例1,2、4,5についての三段階評価は、比較例2を基準とした評価であり、実施例10,11についての三段階評価は、比較例3を基準とした評価である。
【0136】
<C)シート抵抗値の評価>
MCP―T360(商品名;(株) 三菱化学アナリテック製)を用いて評価した。
【0137】
<D)反射L値の評価>
反射L値は、黒浮き評価で使用したサンプルを用いて、JIS Z8722に従い、エックスライト社製カラーi5で評価した。
【0138】
各評価結果を下記表1に示す。
【表1】

【0139】
表1に示す結果から、以下のことが確認された。
【0140】
先ず、吸着処理を行った実施例1〜12の何れの実施例でも、A)全光線透過率は劣化していないため、有色化合物は銀ナノワイヤーにのみ吸着していることが確認された。透明基材または透明樹脂材料にも有色化合物が吸着している場合であれば、A)全光線透過率が劣化する。このため、有色化合物は、官能基[X]によって、銀ナノワイヤーに直接、または銀ナノワイヤーの表面に存在するPVPなどの分散剤と結合していることが示唆される。
【0141】
実施例1〜4についてのB)黒浮きの結果から、同一の有色化合物を用いた場合であれば、吸着処理時間が長いほどB)黒浮きの低減効果が高く、有色化合物の吸着量が増加することが確認された。
【0142】
また、異なる黒色染料を有色化合物として用いた実施例1〜4と実施例5についてのB)黒浮きの結果の対比から、黒浮きの低減効果を得るには、それぞれの有色化合物に適する吸着処理時間が設定されることが好ましいことが確認された。
【0143】
さらに各色の有色化合物を用いて吸着処理時間が10分に統一された実施例1,6〜9で、同様に高い黒浮きの低減効果が得られていることから、有色化合物の色が限定されないことが確認された。だだし、それぞれの有色化合物毎に、吸着処理時間が適切に設定されることが好ましいことは、前述の通りである。
【0144】
また、初期混合によって有色化合物を銀ナノワイヤーに吸着させた後、分散膜を形成した実施例11においても、高い黒浮きの低減効果が得られており、銀ナノワイヤーへの有色化合物の吸着手順が限定されないことが確認された。
【0145】
さらに、無色化合物を吸着させた比較例1,4,5では、黒浮きの低減効果は得られていないことから、金属ナノワイヤーに吸着させる化合物は有色化合物であることが必須であると確認された。
【0146】
また実施例1〜4の結果から、吸着処理時間が長いほど、B)黒浮きの低減効果が高いが、C)シート抵抗値も高いことが分かった。これにより、黒浮きを防止できる範囲で有色化合物の吸着量を低く抑えることで、シート抵抗値も低く抑えられることが確認された。
【0147】
一方、実施例12、比較例4では、シート抵抗が増加しないことが確認された。比較例5では、シート抵抗増加は低く抑えられていた。有色化合物における官能基[X]種の選択により、シート抵抗値が低く抑えられることが確認された。官能基[X]種により、銀ナノワイヤー表面への有色化合物の吸着形態が異なることに起因するものと考えられる。したがって、シート抵抗増加を抑制する観点からすると、官能基[X]としては、カルボキシル基、リン酸基が好ましく、カルボキシル基が特に好ましい。
【0148】
実施例1〜9,12,比較例2についてのA)全光線透過率の評価結果から、有色化合物で金属ワイヤーを被覆することで、透明導電膜の透明性を維持または向上できていることがわかる。実施例10、11、比較例3についてのA)全光線透過率の評価結果からも、有色化合物で金属ワイヤーを被覆することで、透明導電膜の透明性を維持または向上できていることがわかる。このように優れた透明性が得られているのは、有色化合物aが金属ナノワイヤー表面を単分子レベルで被覆しているためであると考えられる。また、透明導電膜の透明性を向上するためには、有色化合物が、発色団[R]として、Cr錯体、Cu錯体、アゾ基、インドリン基、それを含む化合物などを有していることが好ましい。
【0149】
≪評価−2≫
実施例1で作製した透明導電膜に対して、85℃ドライ雰囲気、および60℃湿度90%雰囲気の環境に一定時間保存する環境試験を行い、試験後の透明導電膜についてB)黒浮き、およびC)シート抵抗値(Ω/□)の変化の有無を評価した。
その評価結果を下記表2に示す。
【0150】
【表2】

【0151】
表2に示した結果から、環境試験前後でB)黒浮き、およびC)シート抵抗値等の特性に変化はなく、有色化合物を銀ナノワイヤーに吸着させたことによる効果は永続的あることが確認された。
【0152】
尚、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
金属ナノワイヤーと、
前記金属ナノワイヤーに吸着された有色化合物と
を含む透明導電膜。
(2)
前記有色化合物は、可視光領域の光を吸収する(1)記載の透明導電膜。
(3)
前記有色化合物は、
前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する官能基を有する(1)または(2)に記載の透明導電膜。
(4)
前記有色化合物を吸着させた前記金属ナノワイヤーが、透明樹脂材料に分散されている(1)〜(3)の何れかに記載の透明導電膜。
(5)
前記有色化合物は、可視光領域に吸収を持つ発色団と、前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有する(1)〜(3)の何れかに記載の透明導電膜。
(6)
前記有色化合物は、下記の一般式(1)で表される(1)〜(3)の何れかに記載の透明導電膜。
R−X ・・・(1)
(但し、Rは、可視光領域に吸収を持つ発色団であり、Xは、前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基である。)
(7)
反射L値が、8以下である(1)〜(6)の何れかに記載の透明導電膜。
(8)
バインダーをさらに含み、
前記金属ナノワイヤーは、前記バインダーに分散されている(1)〜(8)の何れかに記載の透明導電膜。
(9)
前記金属ナノワイヤーが透明基材の上部に集積されている(1)〜(4)の何れかに記載の透明導電膜。
(10)
金属ナノワイヤーと、
前記金属ナノワイヤーに吸着された有色化合物と
を含む分散液。
(11)
透明基材と、
有色化合物を吸着させた金属ナノワイヤーを含んで前記透明基材上に設けられた透明導電膜と
を備えた情報入力装置。
(12)
表示パネルと、
有色化合物を吸着させた金属ナノワイヤーを含んで前記表示パネルの表示面側に設けられた透明導電膜と
を備えた電子機器。
さらに、本開示は以下のような構成も取ることもできる。
(1)
表面を有する金属ナノワイヤーと、
前記表面の少なくとも一部に被覆された有色化合物と
を含む透明導電膜。
(2)
前記有色化合物は、可視光領域の光を吸収する(1)記載の透明導電膜。
(3)
前記有色化合物は、
前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する官能基を有する(1)または(2)に記載の透明導電膜。
(4)
前記有色化合物を吸着させた前記金属ナノワイヤーが、透明樹脂材料に分散されている(1)〜(3)の何れかに記載の透明導電膜。
(5)
前記有色化合物は、可視光領域に吸収を持つ発色団と、前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有する(1)〜(3)の何れかに記載の透明導電膜。
(6)
前記有色化合物は、下記の一般式(1)で表される(1)〜(3)の何れかに記載の透明導電膜。
R−X ・・・(1)
(但し、Rは、可視光領域に吸収を持つ発色団であり、Xは、前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基である。)
(7)
反射L値が、8以下である(1)〜(6)の何れかに記載の透明導電膜。
(8)
バインダーをさらに含み、
前記金属ナノワイヤーは、前記バインダーに分散されている(1)〜(3)の何れかに記載の透明導電膜。
(9)
前記金属ナノワイヤーが透明基材の上部に集積されている(1)〜(8)の何れかに記載の透明導電膜。
(10)
表面を有する金属ナノワイヤーと、
前記表面の少なくとも一部に被覆された有色化合物と
を含む分散液。
(11)
透明基材と、
表面の少なくとも一部が有色化合物により被覆された金属ナノワイヤーを含んで前記透明基材上に設けられた透明導電膜と
を備えた情報入力装置。
(12)
表示パネルと、
表面の少なくとも一部が有色化合物により被覆された金属ナノワイヤーを含んで前記表示パネルの表示面側に設けられた透明導電膜と
を備えた電子機器。
【符号の説明】
【0153】
1,1−1,1−2,1−3…透明導電膜、11…透明基材、13…金属ナノワイヤー、15…透明樹脂材料、17,17’…吸着ワイヤー層(透明導電膜)、31…情報入力装置、41…表示装置(電子機器)、43…表示パネル、51…表示装置(電子機器)、a…有色化合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ナノワイヤーと、
前記金属ナノワイヤーに吸着された有色化合物と
を含み、
前記有色化合物は、染料である透明導電膜。
【請求項2】
金属ナノワイヤーと、
前記金属ナノワイヤーに吸着された有色化合物と
を含み、
前記有色化合物は、可視光領域に吸収を持つ発色団と、前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有する透明導電膜。
【請求項3】
前記有色化合物は、可視光領域の光を吸収する請求項1に記載の透明導電膜。
【請求項4】
前記金属ナノワイヤーが、透明樹脂材料に分散されている請求項1または2に記載の透明導電膜。
【請求項5】
前記有色化合物は、下記の一般式(1)で表される請求項2に記載の透明導電膜。
R−X ・・・(1)
(但し、Rは、可視光領域に吸収を持つ発色団であり、Xは、前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基である。)
【請求項6】
前記発色団は、不飽和アルキル基、芳香族、複素環、および金属イオンの少なくとも一つ以上を含む請求項2に記載の透明導電膜。
【請求項7】
前記発色団は、ニトロソ基、ニトロ基、アゾ基、メチン基、アミノ基、ケトン基、チアゾリル基、ナフトキノン基、スチルベン誘導体、インドフェノール誘導体、ジフェニルメタン誘導体、アントラキノン誘導体、トリアリールメタン誘導体、ジアジン誘導体、インジゴイド誘導体、キサンテン誘導体、オキサジン誘導体、フタロシアニン誘導体、アクリジン誘導体、チアジン誘導体、硫黄原子含有化合物、および金属イオン含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含む請求項2に記載の透明導電膜。
【請求項8】
前記発色団は、Cr錯体、Cu錯体、アゾ基、およびインドリン基からなる群より選ばれる少なくとも一種以上を含む請求項2に記載の透明導電膜。
【請求項9】
前記金属に結合する基は、カルボン酸基、またはリン酸基である請求項2に記載の透明導電膜。
【請求項10】
前記金属ナノワイヤーは、Ag、Au、Ni、Cu、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、Fe、Co、Snより選択された1種類以上の元素で構成される請求項1または2に記載の透明導電膜。
【請求項11】
反射L値が、8以下である請求項1または2に記載の透明導電膜。
【請求項12】
バインダーをさらに含み、
前記金属ナノワイヤーは、前記バインダーに分散されている請求項1または2に記載の透明導電膜。
【請求項13】
前記金属ナノワイヤーが透明基材の上部に集積されている請求項1または2に記載の透明導電膜。
【請求項14】
金属ナノワイヤーと、
前記金属ナノワイヤーに吸着された有色化合物と
を含み、
前記有色化合物は、染料である分散液。
【請求項15】
金属ナノワイヤーと、
前記金属ナノワイヤーに吸着された有色化合物と
を含み、
前記有色化合物は、可視光領域に吸収を持つ発色団と、前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有する分散液。
【請求項16】
透明基材と、
前記透明基材上に設けられた透明導電膜と
を備え、
前記透明導電膜は、請求項1〜12のいずれかに記載の透明導電膜である情報入力装置。
【請求項17】
表示パネルと、
前記表示パネルの表示面側に設けられた透明導電膜と
を備え、
前記透明導電膜は、請求項1〜12のいずれかに記載の透明導電膜である電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−190780(P2012−190780A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257800(P2011−257800)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【分割の表示】特願2011−154362(P2011−154362)の分割
【原出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】