説明

透明樹脂組成物

【課題】本発明は、高屈折率であり、かつ、優れた保存安定性、分散安定性及び透明性を有する透明樹脂組成物を提供する。
【解決手段】マトリックス樹脂と金属複合有機樹脂粒子とを含有する透明樹脂組成物であって、前記金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩を多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有する金属複合有機樹脂粒子であり、前記多孔質有機樹脂粒子は、平均細孔径が100nm以下である透明樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高屈折率であり、かつ、優れた保存安定性、分散安定性及び透明性を有する透明樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、シリカ等の無機微粒子を樹脂と複合化することにより、樹脂の光学特性や機械的特性等を向上させる試みがなされている。この無機微粒子と樹脂とを複合化する方法としては、無機微粒子とマトリックス樹脂とを混合した無機微粒子分散樹脂組成物を用いる方法が一般的であり、この無機微粒子分散樹脂組成物を用いることにより、無機微粒子が複合化された無機微粒子複合化プラスチックを作製することができる。このような無機微粒子複合化プラスチックは、光学表示装置や光学関連部材等に応用されている。
【0003】
一方、近年は光学表示装置や光学関連部材が高度化しており、カメラ、レンズ付フィルム等のフィルム一体型カメラ、ビデオカメラ等の各種カメラ、CD、CD−ROM、MO、CD−R、CD−Video、DVD等の光ピックアップ、複写機、プリンター等のOA機器等の各種機器に使用される光学関連部材用の無機微粒子分散樹脂組成物には、高い透明性、高い屈折率等の基本的な光学特性が必要とされる。
【0004】
しかしながら、従来の無機微粒子分散樹脂組成物は、無機微粒子の分散性が不充分であり、無機微粒子を高濃度で添加すると微粒子同士が凝集し大きな粒子を作るため透明性が失われていた。
【0005】
これに対して、例えば、特許文献1には、無機微粒子の凝集を防止することを目的として、無機微粒子の表面を有機物で処理して反応性官能基を導入し、このような無機微粒子を反応性官能基が導入されたマトリックス樹脂に分散させる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法を用いた場合でも、無機微粒子の凝集を完全に抑制することができず、透明性が不充分となっていた。また、特許文献1に記載の方法では、反応性官能基を導入する工程が新たに必要となり、製造工程が煩雑となっていた。
これに対して、特許文献2には、無機微粒子の粒子径が大きい場合でも透明性を確保できる技術として、屈折率分布を持つ微粒子を用いる方法が開示されており、このような方法を用いることで、屈折率プロファイルを制御し、100nm程度の粒子径を有する無機微粒子を用いる場合でも散乱が生じず、透明度の高い樹脂組成物が得られるとしている。
しかしながら、このような方法では、微粒子を作製する工程が非常に複雑となっていた。また、無機微粒子の表面積が小さいために、微粒子を大量に添加する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−47425号公報
【特許文献2】特開2005−213410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高屈折率であり、かつ、優れた保存安定性、分散安定性及び透明性を有する透明樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、マトリックス樹脂と金属複合有機樹脂粒子とを含有する透明樹脂組成物であって、前記金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩を多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有する金属複合有機樹脂粒子であり、前記多孔質有機樹脂粒子は、平均細孔径が100nm以下である透明樹脂組成物である。
以下、本発明を詳述する。
【0009】
本発明者らは、鋭意検討の結果、マトリックス樹脂と金属複合有機樹脂粒子とを含有する透明樹脂組成物において、金属複合有機樹脂粒子として、金属、金属酸化物又は金属塩を、所定の平均細孔径を有する多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有するものを用いた場合、高屈折率であり、かつ、優れた保存安定性、分散安定性及び透明性を有する透明樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の透明樹脂組成物は、マトリックス樹脂と金属複合有機樹脂粒子とを含有する。
上記マトリックス樹脂を構成する樹脂は、透明性を有する樹脂であれば、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル等ポリビニルエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコールの誘導体、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。また、縮合系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ナイロン等のポリアミド、ポリイミドやその前駆体のポリアミック酸、ポリヒドロキシエーテル、ポリエーテル等が挙げられる。これらの中では、透明性や強度の点からポリスチレン誘導体(ポリスチレン系樹脂)、アクリル系樹脂(ポリアクリレート系樹脂、PMMAのようなポリメタクリレート系樹脂)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリヒドロキシエーテル系樹脂等が好ましい。また、エチルセルロース等のセルロース及びその誘導体等天然高分子も使用可能である。
また、上記マトリックス樹脂は、上記金属複合有機樹脂粒子と同種の樹脂成分からなることが好ましい。このようなマトリックス樹脂及び金属複合有機樹脂粒子を含有する本発明の透明樹脂組成物は透明性に優れるとともに、得られる部材の屈折率等を任意に調整することができる。また、上記金属複合有機樹脂粒子の分散性を向上させることができる。
【0011】
上記マトリックス樹脂のなかではアクリル系樹脂が好ましい。
上記アクリル系樹脂は、充分な透明性を有し、安価であることから、マトリックス樹脂として好適に使用することができる。
【0012】
上記アクリル系樹脂としては、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリル酸エステル類の重合体を用いることができる。
上記単官能(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−メタクロイルオキシエチル−2−ヒドロキシルプロピルフタレート等が挙げられる。
【0013】
上記2官能(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】
上記3官能以上の(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(2−アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル類は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのアクリル系樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0015】
上記マトリックス樹脂の重量平均分子量は、優れた透明性、材料としての充分な強度を有すれば特に限定されないが、好ましい下限が1000、好ましい上限が1000000である。上記重量平均分子量が1000未満であると、強度が低下し、1000000を超えると、成形加工が困難となることがある。なお、好適な重量平均分子量の範囲はマトリックス樹脂の種類、金属複合有機樹脂粒子の含有量によって適宜調整することができる。
【0016】
本発明の透明樹脂組成物における上記マトリックス樹脂の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は5重量%、好ましい上限は90重量%である。上記マトリックス樹脂の含有量が5重量%未満であると、本発明の透明樹脂組成物を用いてなる部材等の透明性が低下することがある。より好ましい下限は10重量%である。
【0017】
本発明の透明樹脂組成物は、上記マトリックス樹脂の成分として、例えば、従来公知の反応遅延剤、レベリング剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
【0018】
本発明の透明樹脂組成物は、金属複合有機樹脂粒子を含有する。
本発明は、マトリックス樹脂中に金属複合有機樹脂粒子を含有することで、金属、金属酸化物又は金属塩がマトリックス樹脂中に分散した構造となる。これにより、金属、金属酸化物又は金属塩の凝集が起こりにくく、分散性に優れ、保存安定性が良いものとなる。
また、金属、金属酸化物又は金属塩が非常に小さいものであるため、透明性に優れるものとなる。
加えて、金属、金属酸化物又は金属塩が非常に小さいことで、マトリックス樹脂と金属複合有機樹脂粒子との間に屈折率に差がある場合でも、透明性を発現させることが可能となる。
【0019】
上記金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩を多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有する。
上記多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径は、上限が100nmである。上記多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径が100nmを超えると、粒子内部で可視光の乱反射が起こり、光線透過率の低下を招く。また、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の微分散性が低下し、このような金属複合有機樹脂粒子を用いて製造した構造体は、金属、金属酸化物又は金属塩の微分散性が低下する。上記多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径は、好ましい上限が95nm、より好ましい上限が90nmである。
また、上記多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径の下限は特に限定されないが、好ましい下限は0.1nmである。上記多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径が0.1nm未満であると、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。
なお、本明細書中、多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径とは、NOVA4200e(Sysmex社製)等のガス吸着式細孔径分布測定装置により測定した平均細孔径を意味する。
【0020】
上記多孔質有機樹脂粒子は、粒子径のCV値の好ましい下限が1%、好ましい上限が60%である。上記粒子径のCV値が1%未満であると、生産性が低下し、60%を超えると、一定品質の効果が得られない。上記粒子径のCV値のより好ましい下限は2%、より好ましい上限は45%である。
なお、本明細書においてCV値とは、下記式(1)により求められる数値のことである。
粒子径のCV値(%)=(σ1/Dn1)×100 (1)
式(1)中、σ1は粒子径の標準偏差を表し、Dn1は体積平均粒子径を表す。
【0021】
上記多孔質有機樹脂粒子の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限が0.5μm、好ましい上限が50μmである。上記多孔質有機樹脂粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、得られる金属複合有機樹脂粒子を用いて製造した透明樹脂組成物において、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。上記多孔質有機樹脂粒子の平均粒子径が50μmを超えると、得られる金属複合有機樹脂粒子は、透明樹脂組成物中での分散性が低下することがあり、このような透明樹脂組成物を用いて製造した構造体は、金属、金属酸化物又は金属塩の分散性が低下したり、透明性が損なわれたりすることがある。上記多孔質有機樹脂粒子の平均粒子径は、より好ましい下限が1μm、より好ましい上限が30μmである。
なお、本明細書中、多孔質有機樹脂粒子の平均粒子径とは、LA920(HORIBA社製)等の光散乱回折型粒径分布計により測定した体積平均粒子径を意味する。
【0022】
上記多孔質有機樹脂粒子のかさ比重は特に限定されないが、好ましい下限が0.01、好ましい上限が0.60である。上記多孔質有機樹脂粒子のかさ比重が0.01未満であると、多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径が増大することがあり、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の微分散性が低下することがある。上記多孔質有機樹脂粒子のかさ比重が0.60を超えると、多孔質有機樹脂粒子の細孔の数が低下することがあり、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。上記多孔質有機樹脂粒子のかさ比重は、より好ましい下限が0.05、より好ましい上限が0.50である。
なお、本明細書中、多孔質有機樹脂粒子のかさ比重とは、JIS K 7365に準拠して測定したかさ比重を意味する。
【0023】
上記多孔質有機樹脂粒子の比表面積は特に限定されないが、好ましい下限が50m/gである。上記多孔質有機樹脂粒子の比表面積が50m/g未満であると、多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径が低下することがあり、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。上記多孔質有機樹脂粒子の比表面積は、より好ましい下限が100m/gである。また、上記多孔質有機樹脂粒子の比表面積の上限は特に限定されない。
なお、本明細書中、多孔質有機樹脂粒子の比表面積とは、NOVA4200e(Sysmex社製)等のガス吸着式細孔径分布測定装置により測定した比表面積を意味する。
【0024】
上記多孔質中空樹脂粒子の製造方法は特に限定されないが、重合性モノマーと、重合性モノマーとは反応しない溶剤とを混合した重合性モノマー溶液を調製した後、分散安定剤を含む極性溶媒に懸濁させる工程と、上記重合性モノマーを重合させ、上記溶剤を内包するポリマー粒子を得る工程と、得られたポリマー粒子中の上記溶剤を除去する工程とを有する方法が好ましい。
【0025】
上記多孔質中空樹脂粒子の製造方法では、まず、重合性モノマーと、重合性モノマーとは反応しない有機溶剤とを混合した重合性モノマー溶液を調製した後、分散安定剤を含む極性溶媒に懸濁させる工程を行う。
【0026】
上記重合性モノマーは特に限定されず、例えば、単官能性モノマー、多官能性モノマーが挙げられる。
上記単官能性モノマーは特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の極性基含有(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー、ビニルピリジン、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマル酸、エチレン、プロピレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、重合する際の反応性が良好であることから、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のアクリル系モノマーが好ましい。
【0027】
上記多官能性モノマーは、得られる多孔質有機樹脂粒子の収縮を抑制し、耐圧縮強度を改善する目的で添加される。上記多官能性モノマーは特に限定されず、例えば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリル化合物、トリアリル化合物、ジビニル化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
上記ジ(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記トリ(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記テトラ(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ジビニル化合物は特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0029】
上記溶剤は、上記重合性モノマーとは反応しなければ特に限定されず、例えば、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、水等が挙げられる。
【0030】
上記重合性モノマー溶液における上記溶剤の配合量は特に限定されないが、上記重合性モノマー100重量部に対して、好ましい下限が10重量部、好ましい上限が600重量部である。上記溶剤の配合量が10重量部未満であると、得られる多孔質有機樹脂粒子の空隙率が低下することがある。上記溶剤の配合量が600重量部を超えると、得られる多孔質有機樹脂粒子の強度が低下することがある。上記重合性モノマー溶液における上記有機溶剤の配合量の配合量は、より好ましい下限が20重量部、より好ましい上限が300重量部である。
【0031】
上記重合性モノマーと、上記溶剤とを混合した重合性モノマー溶液は、分散安定剤を含む極性溶媒に懸濁され、懸濁液が得られる。上記極性溶媒は特に限定されないが、水が好ましい。
【0032】
上記分散安定剤は特に限定されず、例えば、シリカ、リン酸三カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン等の無機物、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレン等の水溶性ポリマー、又は、各種アニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤等が挙げられる。
上記分散安定剤の添加量は特に限定されず、分散安定剤の種類等により適宜決定されるが、上記重合性モノマー100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が20重量部である。
【0033】
上記極性溶媒には、更に、分散安定助剤が添加されてもよい。
上記分散安定助剤は特に限定されず、例えば、ドデシルフェニルオキサイドジスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0034】
上記重合性モノマー溶液の添加量は特に限定されないが、上記極性溶媒100重量部に対して、好ましい下限が10重量部、好ましい上限が10000重量部である。上記重合性モノマー添加量が10重量部未満であると、得られる多孔質中空樹脂粒子の強度が低下することがある。上記重合性モノマー溶液の添加量が10000重量部を超えると、得られる多孔質中空樹脂粒子の空隙率が低下することがある。上記重合性モノマーの添加量は、上記極性溶媒100重量部に対するより好ましい下限が25重量部、より好ましい上限が3233重量部である。
【0035】
上記方法では、次いで、上記重合性モノマーを重合させ、上記溶剤を内包するポリマー粒子を得る工程を行う。
上記重合の際には、通常、重合開始剤を用いる。上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、上記重合性モノマー溶液と相溶する油溶性のフリーラジカルを発生する化合物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキシジカーボネート、αークミルパーオキシネオデカノエート等の有機系過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、レドックス開始剤等が挙げられる。
【0036】
上記多孔質中空樹脂粒子の製造方法では、次いで、得られたポリマー粒子中の上記溶剤を除去する工程を行う。これにより、上述した範囲の平均細孔径、平均粒子径、かさ比重、比表面積を有する上記多孔質有機樹脂粒子が得られる。このような多孔質有機樹脂粒子を用いることにより、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子が得られる。
【0037】
上記金属、金属酸化物又は金属塩は特に限定されないが、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、アンチモン、インジウム及びスズからなる群より選択される少なくとも1種の金属、又は、該金属からなる金属酸化物若しくは金属塩であることが好ましい。
上記金属として、具体的には、例えば、白金、金、パラジウム、ニッケル、銅、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、アンチモン、インジウム、スズ等が挙げられる。上記金属酸化物として、具体的には、例えば、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、ジルコニア、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化銅、酸化コバルト、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫等が挙げられる。上記金属塩として、具体的には、例えば、水酸化セリウム、水酸化チタン、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化(II)鉄、水酸化(III)鉄、水酸化ニッケル、硫酸銅、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0038】
上記金属、金属酸化物又は金属塩の分散径の好ましい下限は1nm、好ましい上限は80nmである。上記分散径が1nm未満であると、充分な分散性、透明性を有する透明樹脂組成物とならないことがある。80nmを超えると、透明樹脂組成物において、金属、金属酸化物又は金属塩の微分散性が低下したり、透明性が損なわれたりすることがある。
【0039】
上記金属、金属酸化物又は金属塩の含有量は特に限定されないが、好ましい下限が金属複合有機樹脂粒子全体の5重量%、好ましい上限が金属複合有機樹脂粒子全体の90重量%である。上記金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が5重量%未満であると、得られる金属複合有機樹脂粒子を用いて、高屈折率性、分散性、透明性等の所望とする性能を充分に有する構造体を製造できないことがある。上記金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が90重量%を超えると、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の微分散性が低下することがあり、このような金属複合有機樹脂粒子を用いて製造した構造体は、金属、金属酸化物又は金属塩の微分散性が低下することがある。上記金属、金属酸化物又は金属塩の含有量は、より好ましい下限が金属複合有機樹脂粒子全体の10重量%、より好ましい上限が金属複合有機樹脂粒子全体の70重量%である。
【0040】
上記金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩を多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有することから、マトリックス樹脂との相溶性が高く、透明樹脂組成物中で良好に分散することができる。更に、上記金属複合有機樹脂粒子においては、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散していることから、上記金属複合有機樹脂粒子を用いることで、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した高屈折率透明樹脂組成物を得ることができ、このような透明樹脂組成物を用いることで、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した構造体を容易に製造することができる。
また、上記金属複合有機樹脂粒子を含有する透明樹脂組成物は、金属、金属酸化物又は金属塩の凝集が抑制され、貯蔵安定性にも優れることから、使用する前に再度混練して再分散する必要がない。
【0041】
上記金属複合有機樹脂粒子を製造する方法は特に限定されないが、水を主成分とする媒体中に多孔質有機樹脂粒子と金属イオンとを共存させた分散液を調製する工程と、前記金属イオンを中和、還元若しくは酸化するか、又は、前記金属イオンの溶解度を低下させることにより、前記多孔質有機樹脂粒子の細孔内に金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程とを有する方法が好ましい(第1の金属複合有機樹脂粒子の製造方法)。
また、上記金属複合有機樹脂粒子を製造する方法として、多孔質有機樹脂粒子と金属アルコキシドとを共存させた分散液を調製する工程と、前記金属アルコキシドを加水分解及び/又は脱水縮合することにより、前記多孔質有機樹脂粒子の細孔内に金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程とを有する方法も好ましい(第2の金属複合有機樹脂粒子の製造方法)。
【0042】
第1の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、まず、水を主成分とする媒体中に上述した多孔質有機樹脂粒子と金属イオンとを共存させた分散液を調製する工程を行う。
上記水を主成分とする媒体は、水を主成分としていれば特に限定されず、例えば、水や、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン等と水との混合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記分散液中の上記多孔質有機樹脂粒子の配合量は特に限定されないが、好ましい下限が0.5重量%、好ましい上限が50重量%である。上記多孔質有機樹脂粒子の配合量が0.5重量%未満であると、上記多孔質有機樹脂粒子の細孔外で析出する金属、金属酸化物又は金属塩の量が増加し、析出した金属、金属酸化物又は金属塩が金属複合有機樹脂粒子の製造に悪影響を及ぼすことがある。上記多孔質有機樹脂粒子の配合量が50重量%を超えると、多孔質有機樹脂粒子が凝集することがある。上記分散液中の上記多孔質有機樹脂粒子の配合量は、より好ましい下限が1重量%、より好ましい上限が30重量%である。
【0044】
上記金属イオンは、本発明の金属複合有機樹脂粒子に含まれる上記金属、金属酸化物又は金属塩を形成する金属のイオンであれば特に限定されず、具体的には、例えば、パラジウムイオン、ニッケルイオン、セリウムイオン、白金イオン、金イオン、セリウムイオン、亜鉛イオン、ジルコニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、銅イオン、コバルトイオン、アルミニウムイオン、錫イオン等が挙げられる。
【0045】
上記分散液中の上記金属イオンの配合量は特に限定されないが、好ましい下限が0.001モル%、好ましい上限が10モル%である。上記金属イオンの配合量が0.001モル%未満であると、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。上記金属イオンの配合量が10モル%を超えると、上記多孔質有機樹脂粒子の細孔外で析出する金属、金属酸化物又は金属塩の量が増加し、得られる金属複合有機樹脂粒子との分離が困難になることがある。上記分散液中の上記金属イオンの配合量は、より好ましい下限が0.01モル%、より好ましい上限が5モル%である。
【0046】
上記分散液を調製する方法は特に限定されず、例えば、上記多孔質有機樹脂粒子を分散させた分散液と、上記金属イオンを含有する溶液とを混合する方法、上記多孔質有機樹脂粒子の乾燥体と、上記金属イオンを含有する溶液とを混合する方法、上記多孔質有機樹脂粒子を分散させた分散液と、上記金属イオンの乾燥体とを混合する方法等が挙げられる。
なお、上記分散液には、上記多孔質有機樹脂粒子の分散性を向上させるために、界面活性剤等の他の添加剤が添加されてもよい。
【0047】
第1の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、次いで、上記金属イオンを中和、還元若しくは酸化するか、又は、上記金属イオンの溶解度を低下させることにより、上記多孔質有機樹脂粒子の細孔内に金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程を行う。これにより、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子が得られる。
上記金属イオンを中和する方法は特に限定されず、例えば、塩化マグネシウム水溶液に水酸化ナトリウムを添加する、硝酸セリウムにアンモニアを添加する、炭酸ナトリウム水溶液に二酸化炭素を添加する、塩化カルシウム水溶液に炭酸ナトリウムを添加する等の酸性物質にアルカリ性物質を添加したり、アルカリ性物質に酸性物質を添加したりする方法等が挙げられる。
上記金属イオンを還元する方法は特に限定されず、例えば、アンモニア等の還元剤を反応させる方法等が挙げられる。
【0048】
第2の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、まず、上述した多孔質有機樹脂粒子と金属アルコキシドとを共存させた分散液を調製する工程を行う。
【0049】
上記分散液中の上記多孔質有機樹脂粒子の配合量は特に限定されず、第1の金属複合有機樹脂粒子の製造方法で用いられた配合量と同様の配合量を用いることができる。
【0050】
上記金属アルコキシドは、本発明の金属複合有機樹脂粒子に含まれる上記金属、金属酸化物又は金属塩を形成する金属のアルコキシドであれば特に限定されず、具体的には、例えば、オルトテトラケイ酸エチル、チタンテトライソプロポキシド等が挙げられる。
【0051】
上記分散液中の上記金属アルコキシドの配合量は特に限定されないが、好ましい下限が0.001モル%、好ましい上限が10モル%である。上記金属アルコキシドの配合量が0.001モル%未満であると、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。上記金属アルコキシドの配合量が10モル%を超えると、上記多孔質有機樹脂粒子の細孔外で析出する金属、金属酸化物又は金属塩の量が増加し、得られる金属複合有機樹脂粒子との分離が困難になることがある。上記分散液中の上記金属アルコキシドの配合量は、より好ましい下限が0.01モル%、より好ましい上限が5モル%である。
【0052】
上記分散液を調製する方法は特に限定されず、例えば、上記多孔質有機樹脂粒子を分散させた分散液と、上記金属アルコキシドを含有する溶液とを混合する方法、上記多孔質有機樹脂粒子の乾燥粉体と、上記金属アルコキシドを含有する溶液とを混合する方法、上記多孔質有機樹脂粒子の乾燥粉体をエタノール等の水と容易に分散する水以外の溶媒に分散させた多孔質有機樹脂粒子分散液と、上記金属アルコキシドを含有する溶液とを混合する方法等が挙げられる。
なお、上記分散液には、上記多孔質有機樹脂粒子の分散性を向上させるために、界面活性剤等の他の添加剤が添加されてもよい。
【0053】
第2の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、次いで、上記金属アルコキシドを加水分解及び/又は脱水縮合することにより、上記多孔質有機樹脂粒子の細孔内に金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程を行う。これにより、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子が得られる。
上記加水分解及び/又は脱水縮合する方法は特に限定されず、例えば、アンモニアを反応させる方法、硝酸を反応させる方法等が挙げられる。
【0054】
第1及び第2の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、上述のようにして金属複合有機樹脂粒子を得た後、更に、得られた金属複合有機樹脂粒子に対して各工程を繰り返して行ってもよい。
より具体的には、例えば、第1の金属複合有機樹脂粒子の製造方法により得られた金属複合有機樹脂粒子と、新たな金属イオンとを、水を主成分とする媒体中に共存させた分散液を調製する工程を行い、次いで、上記新たな金属イオンを中和、還元又は酸化することにより、多孔質有機樹脂粒子の細孔内に新たな金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程を行ってもよい。
【0055】
また、第1及び第2の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、上述のようにして金属複合有機樹脂粒子を得た後、析出した金属、金属酸化物又は金属塩を、更に酸化してもよい。
上記酸化する方法は特に限定されず、例えば、金属複合有機樹脂粒子を空気中で加熱する方法等が挙げられる。
【0056】
第1及び第2の金属複合有機樹脂粒子の製造方法によれば、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した、本発明の金属複合有機樹脂粒子が得られる。本発明の金属複合有機樹脂粒子を用いることで、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した塗工組成物を得ることができ、このような塗工組成物を用いることで、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した構造体を容易に製造することができる。
【0057】
本発明では、上記マトリックス樹脂の屈折率と、上記金属複合有機樹脂粒子の屈折率との差が0.01以内であることが好ましい。本発明では、両者の屈折率がこのような関係を満たすことで、上記マトリックス樹脂と金属複合有機樹脂粒子との間で屈折率差が殆どなくなる。これにより、本発明の透明樹脂組成物を透過する光は、マトリックス樹脂と金属複合有機樹脂粒子との界面で殆ど散乱することがなく透明性に優れたものとなる。
なお、「マトリックス樹脂の屈折率」とは、上記マトリックス樹脂の硬化後の屈折率を表し、「金属複合有機樹脂粒子の屈折率」とは、上記金属複合有機樹脂粒子の樹脂部分の屈折率を表す。
【0058】
上記マトリックス樹脂の屈折率の好ましい下限は1.30、好ましい上限は1.60である。また、上記金属複合有機樹脂粒子の屈折率の好ましい下限は1.30、好ましい上限は1.60である。
【0059】
本発明の透明樹脂組成物の製造方法としては特に限定されず、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、上述したマトリックス樹脂と金属複合有機樹脂粒子とを混合する方法が挙げられる。
【0060】
本発明の透明樹脂組成物を用いて成形する方法としては特に限定されず、例えば、射出成形法、押出成形法、圧空成形法、真空成形法、熱プレス成形法等の一般の樹脂を成形する方法を採用することができる。また、キャスト法によりフィルム状の成形品を得ることもできる。これらの中でも、射出成形法が容易であり、寸法精度に優れたものが得られるので好ましい。
【0061】
本発明の透明樹脂組成物は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等に使用される機能性フィルム、回折格子、フレネルレンズ、光学レンズ、光学プリズム、ミラー等の光学部品、導光板、液晶基板、拡散シート、光反射板、灯具用レンズ、灯具用カバー、光ディスク、インクジェット用流路板等に好適に用いることができ、中でも光学レンズ(例えば、CD用ピックアップレンズ等)、光学プリズムに好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0062】
本発明は、高屈折率であり、かつ、優れた保存安定性、分散安定性及び透明性を有する透明樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
(多孔質有機樹脂粒子の製造)
ジビニルベンゼン100重量部、ノルマルヘプタン30重量部、過酸化ベンゾイル1重量部を溶解させて油系溶液とし、イオン交換水900重量部、ポリビニルアルコール5重量部を溶解させた水系溶液に添加し、超音波ホモジナイザーにより10分間乳化させた。セパラブルフラスコに乳化液を投入し、75℃12時間反応させて多孔質有機樹脂粒子スラリーを得た。吸引濾過により水系溶液を概略除去し、更にイオン交換水を加えて吸引濾過を繰り返し、イオン交換水で洗浄されたウェットケーキ状の多孔質有機樹脂粒子を得た。得られたウェットケーキを70℃の熱風オーブンにて24時間乾燥させ、多孔質有機樹脂粒子を作製した。
【0065】
得られた多孔質有機樹脂粒子について、光散乱回折型粒径分布計(LA920、HORIBA社製)により測定した体積平均粒子径は、3μmであった。また、JIS K 7365に準拠して算出したかさ比重は、0.25であった。また、ガス吸着式細孔径分布測定装置(NOVA4200e、Sysmex社製)により測定した比表面積は、250m/gであり、平均細孔径は、4nmであった。
【0066】
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
得られた多孔質有機樹脂粒子のエタノール分散液と、界面活性剤水溶液と、硫酸パラジウムと、2−アミノピリジン水溶液とを混合して、多孔質有機樹脂粒子が3重量%、パラジウムイオンが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、ジメチルアミンボランを添加することにより還元を行い、パラジウムが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出したパラジウム複合粒子を作製した。
得られたパラジウム複合粒子10重量部と、フェノキシエチルアクリレート(ライトアクリレートPO−A、共栄社化学社製)20g、ポリメタクリル酸メチル(分子量2万)10g、及び、重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名:イルガキュアー651)2gを加えて分散させ、3本ロールで5分間混練することで透明樹脂組成物を作製した。
【0067】
(実施例2)
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
実施例1で得られたパラジウム複合粒子を、硫酸ニッケル水溶液に投入し、パラジウム複合粒子が3重量%、ニッケルイオンが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、ホスフィン酸ナトリウムを添加することにより還元を行い、ニッケルが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出したニッケル複合粒子を作製した。
得られたニッケル複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、透明樹脂組成物を作製した。
【0068】
(実施例3)
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
実施例1で得られた多孔質有機樹脂粒子の水分散液と、別途作製した硝酸アンモニウムセリウム(IV)水溶液とを混合して、多孔質有機樹脂粒子が3重量%、セリウムイオンが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、アンモニアを添加することにより還元を行い、水酸化セリウムが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した水酸化セリウム複合粒子を作製した。
得られた水酸化セリウム複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、透明樹脂組成物を作製した。
【0069】
(実施例4)
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
実施例3で得た水酸化セリウム複合粒子を、空気中で、150℃で24時間加熱することにより、酸化セリウムが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化セリウム複合粒子を作製した。
得られた酸化セリウム複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、透明樹脂組成物を作製した。
【0070】
(実施例5)
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
実施例1で得られた多孔質有機樹脂粒子の水分散液と、別途作製したオルトテトラケイ酸エチルのエタノール溶液とを混合して、多孔質有機樹脂粒子が3重量%、オルトテトラケイ酸エチルが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、アンモニアを添加することにより加水分解を行い、酸化ケイ素が多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化ケイ素複合粒子を作製した。
得られた酸化ケイ素複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、透明樹脂組成物を作製した。
【0071】
(実施例6)
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
実施例1で得られた多孔質有機樹脂粒子の乾燥粉体と、別途作製したチタンテトライソプロポキシドのエタノール溶液とを混合して、多孔質有機樹脂粒子が3重量%、チタンテトライソプロポキシドが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、アンモニアを添加することにより加水分解を行い、酸化チタンが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化チタン複合粒子を作製した。
得られた酸化チタン複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、透明樹脂組成物を作製した。
【0072】
(実施例7)
(多孔質有機樹脂粒子の製造)
ジビニルベンゼン100重量部、ノルマルヘプタン30重量部、過酸化ベンゾイル1重量部を溶解させて油系溶液とし、イオン交換水400重量部、ポリビニルアルコール1重量部を溶解させた水系溶液に添加し、ホモジナイザーにより5000回転3分間乳化させた。セパラブルフラスコに乳化液を投入し、75℃12時間反応させて多孔質有機樹脂粒子スラリーを得た。吸引濾過により水系溶液を概略除去し、更にイオン交換水を加えて吸引濾過を繰り返し、イオン交換水で洗浄されたウェットケーキ状の多孔質有機樹脂粒子を得た。得られたウェットケーキを70℃の熱風オーブンにて24時間乾燥させ、多孔質有機樹脂粒子を作製した。
【0073】
得られた多孔質有機樹脂粒子について、光散乱回折型粒径分布計(LA920、HORIBA社製)により測定した体積平均粒子径は、17μmであった。また、JIS K 7365に準拠して算出したかさ比重は、0.30であった。また、ガス吸着式細孔径分布測定装置(NOVA4200e、Sysmex社製)により測定した比表面積は、230m/gであり、平均細孔径は、5nmであった。
【0074】
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
得られた多孔質有機樹脂粒子を用いたこと以外は実施例5と同様にして、酸化ケイ素が多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化ケイ素複合粒子を作製した。
得られた酸化ケイ素複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、透明樹脂組成物を作製した。
【0075】
(実施例8)
(多孔質有機樹脂粒子の製造)
イオン交換水100重量部及び両親媒性溶媒としてエタノール1000重量部を混合、撹拌し、両親和性溶媒の水混合液を調製した。次いで、メチルメタクリレート200重量部に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.0重量部を添加したメチルメタクリレートモノマー溶液を、得られた両親和性溶媒の水混合液に、微量定量ポンプを用いて30分間で注入し、混合、撹拌することにより重合性モノマー溶液を調製した。
次に、イオン交換水に分散安定剤としてリン酸三カルシウム1.0重量%及び分散安定助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量%を含有する水溶液3000重量部に得られた重合性モノマー溶液を添加、ホモジナイザーにて撹拌し、懸濁液を調製した。
その後、撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた5Lの重合器に、得られた懸濁液を一括投入したのち、重合槽を75℃まで昇温し、重合を開始した。4時間で重合を終了し、重合槽を室温まで冷却した。スラリーをセントルにて脱水し、その後真空乾燥により両親和性溶媒及び水を除去することで、多孔質有機樹脂粒子を得た。
【0076】
得られた多孔質有機樹脂粒子について、光散乱回折型粒径分布計(LA920、HORIBA社製)により測定した体積平均粒子径は、14μmであった。また、JIS K 7365に準拠して算出したかさ比重は、0.4であった。また、ガス吸着式細孔径分布測定装置(NOVA4200e、Sysmex社製)により測定した比表面積は、115m/gであり、平均細孔径は、65nmであった。
【0077】
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
得られた多孔質有機樹脂粒子を用いたこと以外は実施例5と同様にして、酸化ケイ素が多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化ケイ素複合粒子を作製した。
得られた酸化ケイ素複合粒子10重量部と、ポリメタクリル酸メチル(分子量2万)30重量部と、トルエン30重量部と、メチルエチルケトン(MEK)30重量部とを、3本ロールで5分間混練することで透明樹脂組成物を作製した。
【0078】
(実施例9)
(多孔質有機樹脂粒子の製造)
スチレン100重量部、過硫酸カリウム3重量部、n−オクチルメルカプタン25重量部、水2500重量部を混合し、攪拌しながら70℃で24時間反応させて、体積平均粒子径0.5μm、体積基準粒子径の変動係数15%、かつ、球状の非架橋のポリスチレン粒子が1.5重量%の濃度で水に分散された種粒子分散液を調製した。
【0079】
ラジカル重合性モノマーとしてジビニルベンゼン100重量部、油溶性溶剤としてノルマルヘプタン30重量部、及び、油溶性重合開始剤として過酸化ベンゾイル1重量部を均一に溶解した混合液に、乳化剤としてラウリル硫酸トリエタノールアミン2重量部と水とを加えて混合し、乳化液を調製した。
【0080】
得られた種粒子分散液と、ポリスチレン粒子重量の200倍の油性成分となるように乳化液とを混合し、24時間撹拌して、ラジカル重合性モノマー、油溶性溶剤、油溶性重合開始剤を吸収した種粒子の膨潤粒子液滴の分散液を得た。なお、油性成分は、ラジカル重合性モノマー、油溶性溶剤、及び、油溶性重合開始剤を構成成分とする。
得られた膨潤粒子液滴の分散液を撹拌しながら85℃で、10時間反応させることにより、ヘプタンとポリジビニルベンゼンとからなるポリマー粒子分散液を得た。得られたポリマー粒子について、遠心分離と純水添加とを繰り返し行って洗浄し、真空乾燥してヘプタンを揮発させて、多孔質有機樹脂粒子を作製した。
【0081】
得られた多孔質有機樹脂粒子について、光散乱回折型粒径分布計(LA920、HORIBA社製)により測定した体積平均粒子径は、3.5μmであった。また、JIS K 7365に準拠して算出したかさ比重は、0.38であった。また、ガス吸着式細孔径分布測定装置(NOVA4200e、Sysmex社製)により測定した比表面積は、180m/gであり、平均細孔径は、3.2nmであった。また、個数基準粒子径の変動係数は2.5%であり、粒子径分布の狭い均一な粒子が得られた。
【0082】
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
得られた多孔質有機樹脂粒子のエタノール分散液と、界面活性剤水溶液と、硫酸パラジウムと、2−アミノピリジン水溶液とを混合して、多孔質有機樹脂粒子が3重量%、パラジウムイオンが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、ジメチルアミンボランを添加することにより還元を行い、パラジウムが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出したパラジウム複合粒子を作製した。
得られたパラジウム複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、透明樹脂組成物を作製した。
【0083】
(実施例10)
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
実施例9で得られたパラジウム複合粒子を、硫酸ニッケル水溶液に投入し、パラジウム複合粒子が3重量%、ニッケルイオンが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、ホスフィン酸ナトリウムを添加することにより還元を行い、ニッケルが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出したニッケル複合粒子を作製した。
得られたニッケル複合粒子を用いたこと以外は実施例9と同様にして、透明樹脂組成物を作製した。
【0084】
(比較例1)
(透明樹脂組成物の製造)
平均粒子径20nmの酸化チタン10重量部と、ポリメタクリル酸メチル(分子量2万)30重量部と、トルエン30重量部と、MEK30重量部とを、3本ロールで1時間混練して、透明樹脂組成物を作製した。
【0085】
(比較例2)
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
平均粒径20nmの酸化チタン30重量部を、スチレン30重量部、ジビニルベンゼン40重量部、過酸化ベンゾイル1重量部からなる油性物質に分散させた分散液を調製した。この分散液を、イオン交換水400重量部、ポリビニルアルコール1重量部を溶解させた水系溶液に懸濁させ、懸濁重合を行うことにより、酸化チタン複合粒子を作製した。
得られた酸化チタン複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、透明樹脂組成物を作製した。
【0086】
(比較例3)
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
スチレン40重量部、ジビニルベンゼン30重量部、シランカップリング剤(KBM5103、アクリル基含有シランカップリング剤)30重量部、過酸化ベンゾイル1重量部からなる油性物質を、イオン交換水400重量部、ポリビニルアルコール1重量部を溶解させた水系溶液に懸濁させ、懸濁重合を行うことにより、有機ケイ素複合粒子を作製した。
得られた有機ケイ素複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、透明樹脂組成物を作製した。
【0087】
(比較例4)
(多孔質有機樹脂粒子の製造)
トリメチロールプロパントリメタクリレート50重量部、アクリロニトリル50重量部、ノルマルヘプタン30重量部、過酸化ベンゾイル1重量部を溶解させて油系溶液とし、イオン交換水400重量部、ポリビニルアルコール1重量部を溶解させた水系溶液に添加し、ホモジナイザーにより5000回転3分間乳化させた。セパラブルフラスコに乳化液を投入し、75℃12時間反応させて多孔質有機樹脂粒子スラリーを得た。吸引濾過により水系溶液を概略除去し、更にイオン交換水を加えて吸引濾過を繰り返し、イオン交換水で洗浄されたウェットケーキ状の多孔質有機樹脂粒子を得た。得られたウェットケーキを70℃の熱風オーブンにて24時間乾燥させ、多孔質有機樹脂粒子を作製した。
【0088】
得られた多孔質有機樹脂粒子について、光散乱回折型粒径分布計(LA920、HORIBA社製)により測定した体積平均粒子径は、17μmであった。また、JIS K 7365に準拠して算出したかさ比重は、0.45であった。また、ガス吸着式細孔径分布測定装置(NOVA4200e、Sysmex社製)により測定した比表面積は、0.5m/gであり、平均細孔径は、10000nmであった。
【0089】
(金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物の製造)
得られた多孔質有機樹脂粒子を用いたこと以外は実施例5と同様にして、酸化ケイ素が多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化ケイ素複合粒子を作製した。
得られた酸化ケイ素複合粒子を用いたこと以外は比較例1と同様にして、透明樹脂組成物を作製した。
【0090】
(評価)
実施例及び比較例で得られた金属複合有機樹脂粒子及び透明樹脂組成物について、以下の方法により評価を行った。
【0091】
(1)金属複合有機樹脂粒子の平均粒子径
得られた金属複合有機樹脂粒子について、光散乱回折型粒径分布計(LA920、HORIBA社製)により体積平均粒子径を測定した。
【0092】
(2)金属、金属酸化物又は金属塩の粒子径
得られた金属複合有機樹脂粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラミクロトームで断面切片を採取した後、この断面切片について、TEM/EDS装置にて元素マッピング画像を得た。得られた元素マッピング画像10点の金属、金属酸化物又は金属塩の個数平均粒子径を算出することにより、金属、金属酸化物又は金属塩の粒子径を評価した。
【0093】
(3)金属、金属酸化物又は金属塩の含有量(金属複合有機樹脂粒子)
得られた金属複合有機樹脂粒子を約1gはかりとり、800℃のマッフル炉で5時間加熱した。加熱前後の重量から、下記式(2)により、金属複合有機樹脂粒子全体に占める金属、金属酸化物又は金属塩の含有量を算出した。
含有量=(1−(加熱後の粒子重量/加熱前の粒子重量))×100(重量%) (2)
【0094】
(4)金属、金属酸化物又は金属塩の分散性
得られた塗工体について、ウルトラミクロトームで断面切片を採取した後、この断面切片について、TEM/EDS装置にて元素マッピング画像を得た。得られた元素マッピング画像1μm四方中の元素粒子の数、元素粒子径、凝集の数から、金属、金属酸化物又は金属塩の分散性を評価した。100nm以上の粒子又は凝集が存在する場合を「×」、存在しない場合を「○」とした。
【0095】
(5)屈折率
(塗工体の屈折率)
実施例及び比較例で得られた透明樹脂組成物について、バーコーターにより乾燥厚み20μmとなるように塗工し、乾燥させて、塗工体を作製した。次いで、アッベ屈折率計(型番:DR−M2、株式会社アタゴ製)を用いて、塗工体の屈折率を測定した。
【0096】
(6)金属、金属酸化物又は金属塩の含有量(塗工体)
上記(5)で作製した塗工体について、塗膜をはがして約1gはかりとり、800℃のマッフル炉で5時間加熱した。加熱前後の重量から、下記式(3)により、塗膜全体に占める金属、金属酸化物又は金属塩の含有量を算出した。
含有量=(1−(加熱後の塗膜重量/加熱前の塗膜重量))×100(重量%) (3)
【0097】
(7)光線透過率
調製した透明樹脂組成物を塗布し、厚みが100μmとなるように2枚の無アルカリガラスの間に挟んだ後、乾燥させて、試験片を作製した。
作製した評価用ガラス試験片を用いて、波長400nmにおける光線透過率を日立製作所社製「U−4000」を用いて測定を行った。
【0098】
(8)ヘイズ
上記(7)で作製した評価用ガラス試験片を用いて、ヘイズメーター(東京電色製,TC−H3DPK)を用いてヘイズの測定を行った。
【0099】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、高屈折率であり、かつ、優れた保存安定性、分散安定性及び透明性を有する透明樹脂組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス樹脂と金属複合有機樹脂粒子とを含有する透明樹脂組成物であって、
前記金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩を多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有する金属複合有機樹脂粒子であり、
前記多孔質有機樹脂粒子は、平均細孔径が100nm以下である
ことを特徴とする透明樹脂組成物。
【請求項2】
金属複合有機樹脂粒子における金属、金属酸化物又は金属塩の含有量は、金属複合有機樹脂粒子全体の5〜90重量%であることを特徴とする請求項1記載の透明樹脂組成物。
【請求項3】
多孔質有機樹脂粒子は、平均粒子径が0.5〜50μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の透明樹脂組成物。
【請求項4】
金属、金属酸化物又は金属塩は、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、アンチモン、インジウム及びスズからなる群より選択される少なくとも1種の金属、又は、該金属からなる金属酸化物若しくは金属塩であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の透明樹脂組成物。







【公開番号】特開2011−74283(P2011−74283A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228719(P2009−228719)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】