説明

透析用カテーテル

【課題】挿抜性及び血液交換効率の両方に優れ、血栓の形成及び付着の原因となる血液の滞留等を防止できる透析用カテーテルを提供する。
【解決手段】本発明の透析用カテーテル1は、カテーテル本体11と閉塞部材31とを備える。カテーテル本体11は、先端孔22に連通する第1ルーメン16b及び側孔23に連通する第2ルーメン16aを有する。閉塞部材31は、先端側が縮径傾斜した形状をなし先端開口部36を閉塞する。側孔23は、カテーテル長軸方向A3に延びる長孔である。側孔23は外径D1を基準として長径d1が1.5倍以上、短径d2が0.5倍以上0.9倍以下である。側孔23の先端側開口縁24及び基端側開口縁25とカテーテル長軸方向A3とがなす角度θ1,θ2が35°以下である。閉塞部材31の基端側31bは、側孔23のある位置に到って先端側領域を封止する。基端面33aは側孔23の先端側開口面の形状に沿った形状をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のルーメンを有する透析用カテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用カテーテルは、手術、処置、診断などの医療分野において、体腔からの液体の抜き取りと体腔への流体の導入とを同時に行うような用途に従来から利用されている。その具体例としては、血液透析分野において、人工腎臓装置で透析処理するために血液を血管から抜き取り、浄化された血液を再度血管内に導入する用途がある。また、このような用途の透析用カテーテルとしては、カテーテル本体の内側を隔壁で仕切って形成された2つのルーメンを備えた、いわゆるダブルルーメンカテーテルがよく知られている(例えば、特許文献1,2参照)。この種の透析用カテーテルは、脱血孔を有する脱血用ルーメン及び送血孔を有する送血用ルーメン等を備えている。従って、脱血孔及び脱血用ルーメンを介して血液が抜き取られると同時に、送血用ルーメン及び送血孔を介して、浄化された血液が血管内に導入されるようになっている。また、別の透析用カテーテルとしては、脱血用ルーメン及び送血用ルーメンに加えてさらに輸液用ルーメンを備えた、いわゆるトリプルルーメンカテーテルもよく知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
ところで、透析用カテーテルは、脱血孔及び送血孔の形成位置の違いによって、エンドホール型とサイドホール型とに大別される。エンドホール型では、脱血孔及び送血孔の位置がともにカテーテル先端の同位置に配置されている。両孔はカテーテル長軸方向を向いて開口した先端孔となっている。一方、サイドホール型では、送血孔がカテーテルの先端に配置され、脱血孔がそれよりも基端側の位置に配置されている。両孔のうち少なくとも脱血孔は、カテーテル径方向を向いて開口した側孔となっている。ちなみに、エンドホール型は、血管内に挿入するときの抵抗が大きく挿入性がよいとは言い難いが、開存性がよいため血液交換効率がよい。サイドホール型は、挿入性が比較的よいが、脱血孔が血管壁に吸着されやすいため開存性が悪く、十分な血液流量が確保できないことから、血液交換効率がよいとは言い難い。そこで、従来のサイドホール型の透析用カテーテルにおいては、例えば複数の脱血孔を設ける等の対策を講じることで、十分な血液流量を確保せんとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−521913号公報
【特許文献2】特開2001−340466号公報
【特許文献3】特表2007−502678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のサイドホール型の透析用カテーテルにおいて脱血孔を複数設けようとした場合、スペースや強度等の関係上、1つ1つの脱血孔を小口径にせざるを得ない。ただしこの構成であると、脱血孔が血管壁を吸着して閉塞される可能性があり、この場合には開存性が悪化し、十分な血液流量を確保することが困難になってしまう。ゆえに、血液交換効率に関し、依然として改善の余地があった。さらに、脱血孔の大きさ・形状によっては、かえって挿入時や抜去時の抵抗を増大させてしまうこともあった。
【0006】
また、上記従来の透析用カテーテルでは、脱血用ルーメンの先端部に血液が滞留することを防ぐために、脱血用ルーメンの先端開口部に閉塞部材を設けて閉塞している。また、このような閉塞部材は、先端側が縮径傾斜した形状をなしていることから、カテーテルの挿入抵抗の低減に役立ち、挿入性の向上にとって好都合である。ところで、閉塞部材の基端側は脱血用ルーメンにおける脱血孔の形成位置の近傍まで到っているが、その部分において血液が滞留したり血流が乱れたりする等の問題があった。ゆえに、血栓の形成及び付着の原因となる血液の滞留等を防止するための対策が望まれていた。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、挿抜性及び血液交換効率の両方について優れるとともに、血栓の形成及び付着の原因となる血液の滞留等を防止することができる透析用カテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして上記課題を解決するための手段1〜6を以下に列挙する。
[1]先端にて開口する先端孔に連通する第1ルーメン及び先端近傍にて開口する側孔に連通する第2ルーメンを有するカテーテル本体と、先端側が縮径傾斜した形状をなし前記第2ルーメンの先端開口部を閉塞する閉塞部材とを備えた透析用カテーテルであって、前記側孔は、前記カテーテル本体における第2ルーメン形成側壁を切り欠くことで形成されたカテーテル長軸方向に延びる長孔であり、前記カテーテル本体における側孔形成部位の外径を基準としたときにその長径が1.5倍以上かつその短径が0.5倍以上0.9倍以下であり、前記側孔形成部位を前記側孔の開口方向に直交しかつ前記カテーテル長軸方向に直交する第1方向から見たときに、前記側孔の先端側開口縁と前記カテーテル長軸方向とがなす角度及び前記側孔の基端側開口縁と前記カテーテル長軸方向とがなす角度がいずれも35°以下であり、前記閉塞部材は、その基端側が前記側孔のある位置に到って前記側孔の先端側領域を封止するとともに、前記第1方向から見たときに基端面が前記側孔の先端側開口面の形状に沿った形状をなしていることを特徴とする透析用カテーテル。
【0009】
従って、手段1に記載の発明によると、側孔がカテーテル長軸方向に延びる比較的大口径の長孔であることから、流路断面積を大きくすることができる。また、このような側孔を例えば脱血孔として用いた場合には、血管壁を吸着して閉塞される可能性が低くなる。ゆえに、開存性がよくて十分な血液流量を確保することが可能となり、血液交換効率を向上させることができる。しかも、上記第1方向から見たときの側孔の先端側開口縁とカテーテル長軸方向とがなす角度及び側孔の基端側開口縁と前記カテーテル長軸方向とがなす角度がいずれも小さい。このため、側孔における両方の開口縁がカテーテルの挿入時及び抜去時に血管に引っ掛かりにくく、小さい抵抗で挿入及び抜去を行うことができる。従って、カテーテルの挿抜性を向上させることができる。さらに、上記第1方向から見たときに、閉塞部材の基端面が側孔の先端側開口面の形状に沿った形状をなしているため、その部分で血液が滞留したり血流が乱れたりすることがなく、血栓の形成及び付着を防止することができる。
【0010】
[2]前記側孔は、前記第1方向から見たときに前記第2ルーメン形成側壁を円弧状に切り欠いた形状をなし、前記閉塞部材の基端面は、凹状湾曲面となっていることを特徴とする手段1に記載の透析用カテーテル。
【0011】
従って、手段2に記載の発明によると、側孔における両方の開口縁がカテーテルの挿入時及び抜去時にいっそう血管に引っ掛かりにくくなるため、カテーテルの挿抜性をより向上させることができる。また、閉塞部材の基端面が凹状湾曲面であるため、血液が滞留したり血流が乱れたりすることなく、当該基端面に沿って血液をスムーズに流すことができる。
【0012】
[3]前記カテーテル本体は、基端側から先端側に向かって柔らかくなる硬さ勾配を有していることを特徴とする手段1または2に記載の透析用カテーテル。
【0013】
従って、手段3に記載の発明によると、カテーテル本体の先端側が比較的柔らかくなっているため、例えば低硬度な材料からなる別部材を最先端にわざわざ設けなくても、血管壁への刺激を少なくすることができる。また、カテーテル本体の基端側についてはある程度硬くなっているため、カテーテル刺入部にて屈曲しにくいものとなるほか、先端側へのトルク伝達性に優れたものとなり好適な操作性を維持することができる。
【0014】
[4]前記カテーテル本体における第1ルーメン形成側壁及び前記第2ルーメン形成側壁は、相対的に柔らかい軟質樹脂層と相対的に硬い硬質樹脂層とからなる2層構造であるとともに、基端側から先端側に向かって前記軟質樹脂層の占める比率が大きくなる一方、前記カテーテル本体において前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンを仕切る隔壁は、前記硬質樹脂層のみからなることを特徴とする手段3に記載の透析用カテーテル。
【0015】
従って、手段4に記載の発明によると、上記2層構造を採用した結果、硬さ勾配を有するカテーテル本体を比較的簡単に実現することができる。また、カテーテル本体の先端側は基端側に比べて全体的に柔らかいものの、隔壁に関しては硬質であるため、必要とされる強度を維持しつつ大口径の側孔を形成することができる。
【0016】
[5]前記第1ルーメンとしての送血用ルーメン及び前記第2ルーメンとしての脱血用ルーメンを有するダブルルーメンカテーテルであり、前記先端孔は送血孔であり、前記側孔は脱血孔であり、前記閉塞部材はその先端側が前記脱血用ルーメンの先端開口部を閉塞し、その基端側が前記脱血孔の先端側領域を封止していることを特徴とする手段1乃至4に記載の透析用カテーテル。
【0017】
従って、手段5に記載の発明によると、脱血孔である側孔及び脱血用ルーメンを介して血液を抜き取ると同時に、送血用ルーメン及び送血孔である先端孔を介して、浄化された血液を血管内に導入することができる。また、脱血孔である側孔は流路断面積が大きいので、血管壁を吸着して閉塞される可能性が低く、開存性に優れたダブルルーメンカテーテルすることができる。
【0018】
[6]前記第1ルーメンとしての輸液用ルーメン、前記第2ルーメンとしての送血用ルーメン及び前記第2ルーメンとしての脱血用ルーメンを有するトリプルルーメンカテーテルであり、前記先端孔は輸液孔であり、前記側孔のうち先端側に位置するものは送血孔であり、基端側に位置するものは脱血孔であり、前記閉塞部材はその先端側が前記送血用ルーメンの先端開口部及び脱血用ルーメンの先端開口部をそれぞれ閉塞し、その基端側が前記送血孔の先端側領域及び前記脱血孔の先端側領域をそれぞれ封止していることを特徴とする手段1乃至4に記載の透析用カテーテル。
【0019】
従って、手段6に記載の発明によると、脱血孔である基端位置側の側孔及び脱血用ルーメンを介して血液を抜き取ると同時に、送血用ルーメン及び送血孔である先端位置側の側孔を介して、浄化された血液を血管内に導入することができる。また、必要に応じて、輸液用ルーメン及び輸液孔である先端孔を介して薬剤等の液体を血管内に導入することもできる。さらに、脱血孔及び送血孔である2つの側孔はともに流路断面積が大きいので、血管壁を吸着して閉塞される可能性が低く、開存性に優れたトリプルルーメンカテーテルとすることができる。なお、共通の閉塞部材で2つの先端開口部をそれぞれ閉塞しているため、個別に閉塞する場合に比べて部品点数を少なくすることができ、構造がシンプルになる。
【発明の効果】
【0020】
以上詳述したように、請求項1〜6に記載の発明によると、挿抜性及び血液交換効率の両方について優れるとともに、血栓の形成及び付着の原因となる血液の滞留等を防止することができる透析用カテーテルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を具体化した第1の実施形態の透析用カテーテル(ダブルルーメンカテーテル)を示す一部省略全体図。
【図2】第1の実施形態の透析用カテーテルの先端部構造を示す斜視図。
【図3】第1の実施形態の透析用カテーテルの先端部構造を示す平面図。
【図4】第1の実施形態の透析用カテーテルの先端部構造を第1方向から見たときの図。
【図5】図3のA−A線における断面図。
【図6】(a)は閉塞部材を示す平面図、(b)は閉塞部材を示す側面図。
【図7】(a)は透析用カテーテルの先端部構造を示す正面図、(b)は図4のB−B線における断面図、(c)は図4のC−C線における断面図、(d)は図4のD−D線における断面図、(e)はカテーテル本体の基端部における断面図。
【図8】比較例の透析用カテーテルの先端部構造を第1方向から見たときの図。
【図9】比較例の透析用カテーテルの先端部構造を第1方向から見たときの図。
【図10】比較例の透析用カテーテルの先端部構造を第1方向から見たときの図。
【図11】本発明を具体化した第2の実施形態の透析用カテーテル(トリプルルーメンカテーテル)を示す平面図。
【図12】第2の実施形態の透析用カテーテルの先端部構造を示す底面図。
【図13】第2の実施形態の透析用カテーテルの先端部構造を第1方向から見たときの図。
【図14】図13のE−E線における断面図。
【図15】(a)は閉塞部材を示す平面図、(b)は閉塞部材を示す底面図、(c)は閉塞部材を示す側面図。
【図16】本発明を具体化した別の実施形態の透析用カテーテルの先端部構造を第1方向から見たときの図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施形態の透析用カテーテル1(ダブルルーメンカテーテル)を図1〜図7に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1等に示されるように、本実施形態の透析用カテーテル1は、細長く形成された弾性可撓性の樹脂材料により構成された断面円形状のカテーテル本体(シャフト)11を備えている。カテーテル本体11の基端部には、2本の接続チューブ6a,6bを備えた接続部5が一体的に結合されている。これらの接続チューブ6a,6bは、カテーテル本体11の各ルーメンに各々連通されている。各接続チューブ6a,6bの先端には、透析回路等が接続されるルアーアダプタ7a,7bが一体形成されている。なお、各接続チューブ6a,6bとルアーアダプタ7a,7bとを別体で構成し、それらを接着等により互いに固定してもよい。
【0024】
各接続チューブ6a,6bの開口部の外周面には、ねじ山8がそれぞれ形成されている。また、各接続チューブ6a,6bの途上には、流路を閉塞するためのクランプ9がそれぞれ設けられている。長期留置目的の透析用カテーテルでは、カテーテル本体11の基端部の近傍位置に、細菌の侵入を防ぐ目的で合成繊維製のカフが設けられていてもよい。
【0025】
図4,図5,図7等に示されるように、透析用カテーテル1を構成するカテーテル本体11は、カテーテル長軸14の方向(図中、A3で示す)に沿って延びる隔壁13を備えている。そして、カテーテル本体11における第2ルーメン形成側壁37と隔壁13とにより、断面半円形状の脱血用ルーメン16a(本実施形態における第2ルーメン)が区画されている。また、カテーテル本体11における第1ルーメン形成側壁38と隔壁13とにより、断面半円形状の送血用ルーメン16b(本実施形態における第1ルーメン)が区画されている。本実施形態では、図4,図5,図7の上側に位置するものが脱血用ルーメン16a、下側に位置するものが送血用ルーメン16bとして使用される。
【0026】
図7(e)はカテーテル本体11の基端部における断面図であり、図7(b)〜(d)はいずれもカテーテル本体11の先端部における断面図である。このカテーテル本体11は、硬さの異なる樹脂材料を用いて形成されている。具体的にいうと、カテーテル本体11における第1ルーメン形成側壁38及び第2ルーメン形成側壁37は、相対的に柔らかい軟質樹脂層41と相対的に硬い硬質樹脂層42とからなる2層構造を有している。軟質樹脂層41は外層側に位置しており、硬質樹脂層42は内層側に位置している。このような2層構造を有するカテーテル本体11は、押出成形法によって軟質樹脂層41及び硬質樹脂層42を同時に押し出して一体成形することにより製造される。よって、軟質樹脂層41及び硬質樹脂層42は、接着剤層が介在していないにもかかわらず、互いに密着している。なお本実施形態では、硬さの異なる同種の樹脂を用いて、軟質樹脂層41及び硬質樹脂層42をそれぞれ形成している。より具体的にいうと、軟質樹脂層41としてショア硬度がA85程度のポリウレタン樹脂を用い、硬質樹脂層42としてショア硬度がD65程度のポリウレタン樹脂を用いている。
【0027】
2層構造をなす第1ルーメン形成側壁38及び第2ルーメン形成側壁37について言えば、カテーテル本体11の基端部では、軟質樹脂層41が薄く硬質樹脂層42が厚く形成されている(図7(e)参照)。即ち、軟質樹脂層41の占める比率は小さい。これに対して、カテーテル本体11の先端部では、軟質樹脂層41が厚く硬質樹脂層42が薄く形成されている(図7(b)〜(d)参照)。即ち、軟質樹脂層41の占める比率は大きい。よって、第1ルーメン形成側壁38及び第2ルーメン形成側壁37は、カテーテル本体11の基端側から先端側に行くに従って軟質樹脂層41の占める比率が大きくなっている。一方、カテーテル本体11において第1ルーメン16b及び第2ルーメン16aを仕切る隔壁13は、硬質樹脂層42のみからなっている。以上の結果、この透析用カテーテル1のカテーテル本体11は、基端側から先端側に向かって柔らかくなる硬さ勾配を有している。
【0028】
図2〜図5に示されるように、カテーテル本体11において送血用ルーメン16b及び脱血用ルーメン16aは、異なる位置にて開口している。送血用ルーメン16bは、カテーテル本体11の先端まで延びている。その反面、脱血用ルーメン16aは、カテーテル本体11の先端まで延びておらず、その一部が切り欠かれている。従って、このカテーテル本体11は先端構造部12が段差部になっている。
【0029】
送血用ルーメン16bは、カテーテル本体11の先端にて開口する送血孔22(先端孔)に連通している。この送血孔22はカテーテル長軸方向A3を向くようにして開口している。一方、先端構造部12の段差部には、プロテクタと呼ぶべき閉塞部材31が固定配置されている。図6に示す閉塞部材31はカテーテル本体11とは別体で構成された合成樹脂製の部材であり、本実施形態では軟質樹脂層41と同程度の柔らかさを有する樹脂材料で形成されている。この場合、閉塞部材31を構成する樹脂材料としては、カテーテル本体11との相溶性の観点から、カテーテル本体11と同一の樹脂材料を選択することが好適である。ゆえに、軟質樹脂層41及び硬質樹脂層42としてポリウレタン樹脂を選択した本実施形態では、同様にポリウレタン樹脂製の閉塞部材31を選択することがよい。閉塞部材31の先端側32は、先端に行くほど縮径傾斜したテーパ面32aを有した形状となっている。脱血用ルーメン16aの先端開口部36は、閉塞部材31の挿入部34が挿入されかつ溶着されることで閉塞されている。なお、先端に行くほど縮径傾斜したテーパ面32aを有した形状の利点は以下のとおりである。即ち、透析用カテーテル1を血管に挿入する際に、そのテーパ面32aに沿って徐々にかつスムーズに血管を拡張することができるため、挿入性の向上に寄与するからである。
【0030】
脱血用ルーメン16aの先端開口部36よりも基端側となる位置(側孔形成部位)には、脱血孔23(側孔)が形成されている。この脱血孔23は、カテーテル長軸14に直交する方向A2を向くようにして開口し、脱血用ルーメン16aと連通している。
【0031】
側孔としての脱血孔23は、側孔形成部位において第2ルーメン形成側壁37を切り欠くことで形成されたカテーテル長軸方向A3に延びる長孔となっている。側孔形成部位を脱血孔23の開口方向A2から見ると、脱血孔23は楕円形状を呈している。
【0032】
ここで、図3に示されるように、カテーテル本体11における側孔形成部位の外径D1を基準とする。また、脱血孔23の長径をd1、短径をd2とする。この場合、脱血孔23は、長径d1が外径D1の1.5倍以上となるように、かつ、短径d2が外径D1の0.5倍以上0.9倍以下となるように形成されることがよい。
【0033】
長径d1が外径D1の1.5倍未満であると、流路断面積を十分に大きくできないおそれがあるからである。また、血管壁を吸着して閉塞される可能性を十分に低減できないおそれがあるからである。ただし、カテーテル本体11の強度を維持する観点から、長径d1は外径D1の4倍以下であることが好ましい。ちなみに本実施形態では、長径d1を外径D1の2倍程度に設定している。
【0034】
また、短径d2が外径D1の0.5倍未満であると、流路断面積を十分に大きくできないおそれがあるからである。また、血管壁を吸着して閉塞される可能性を十分に低減できないおそれがあるからである。逆に、短径d2が外径D1の0.9倍超であると、側孔形成部位の第2ルーメン形成側壁37が殆どなくなってしまい、カテーテル本体11の強度が維持できなくなるおそれがあるからである。ちなみに本実施形態では、短径d2を外径D1の0.8倍程度に設定し、側孔形成部位の第2ルーメン形成側壁37の一部を残すようにしている(図3,図7参照)。
【0035】
図2〜図5に示されるように、脱血孔23の開口方向A2に直交し、かつ、カテーテル長軸14方向A3に直交する方向を、便宜上、第1方向A1と定義する。そして、側孔形成部位を第1方向A1から見ると、脱血孔23の先端側開口縁24とカテーテル長軸方向A3とがなす角度θ1は、35°以下となっている。なお、この角度θ1は、脱血孔23の先端側開口縁24と側孔形成部位における第2ルーメン形成側壁37の外面とがなす角度であると把握することができる。また、脱血孔23の基端側開口縁25とカテーテル長軸方向A3とがなす角度θ2も、35°以下となっている。なお、この角度θ2は、脱血孔23の基端側開口縁25と側孔形成部位における第2ルーメン形成側壁37の外面とがなす角度であると把握することができる。そして本実施形態では、これらの角度θ1,θ2は等しく、ともに約33°に設定されている(図4,図5参照)。
【0036】
図2,図4,図5に示されるように、閉塞部材31の基端側33は、脱血孔23のある位置に到って脱血孔23の先端側領域を封止している。閉塞部材31の基端側33は、第1方向A1から見たときに基端面33aが脱血孔23の先端側開口面の形状に沿った形状をなしている。具体的にいうと、本実施形態では、第1方向A1から見たときに脱血孔23が第2ルーメン形成側壁37を円弧状に切り欠いた形状をなしている。このため、閉塞部材31の基端面33aは、その円弧の形状に沿った凹状湾曲面となっている。
【0037】
上記構造の透析用カテーテル1は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、側孔が未形成である2層構造のカテーテル本体11を用意し、次に挿入部34を先端開口部36に挿入した状態で閉塞部材31を段差部に配置する。そして、所定温度に加熱して閉塞部材31をカテーテル本体11に溶着する。その後、カテーテル本体11における側孔形成部位を閉塞部材31の基端側33ごと円弧状に打ち抜くことで、側孔としての脱血孔23を形成するとともに、それに沿った形状の基端面33aを形成する。または、側孔が形成済みである2層構造のカテーテル本体11を用意し、次に挿入部34を先端開口部36に挿入した状態で閉塞部材31を段差部に配置する。そして、所定温度に加熱して閉塞部材31をカテーテル本体11に溶着する。その後、側孔としての脱血孔23から見えている閉塞部材31の基端側33を打ち抜き、研削、レーザ照射、型押し等により加工し、脱血孔23に沿った形状の基端面33aとする。前者の方法は、比較的簡単に所望とする基端面33aの形状に加工できる点で、後者の方法よりもいくぶん有利である。
【0038】
次に、本実施形態の透析用カテーテル1の使用方法について説明する。まず、常法に従ってガイドワイヤ(図示略)を血管内に挿入した後、このガイドワイヤに沿わせて透析用カテーテル1を挿入する。そのとき、透析用カテーテル1内の2つのルーメン16a,16bをヘパリン加生理食塩液で満たしておく。透析用カテーテル1が目的の位置に留置されたことを確認したら、ガイドワイヤを取り除く。そして、常法により送血側のルーメン16b内の空気を抜去後、生理食塩液またはヘパリン加生理食塩液でフラッシュする。なお、脱血側のルーメン16aに対しても同様の操作を行う。
【0039】
そして、透析用カテーテル1の基端側を体外循環回路(即ち透析回路)に確実に接続し、体外循環を開始する。具体的には、接続チューブ6aのルアーアダプタ7aを透析回路の脱血側ポートに接続し、接続チューブ6bのルアーアダプタ7bを透析回路の送血側ポートに接続する。このような順接続の状態で各クランプ9をアンロックし、流路の閉塞を解除する。すると、脱血孔23を先端近傍に有する脱血用ルーメン16aを介して、静脈中の血液が抜き取られる。これと同時に、送血孔22を先端に有する送血用ルーメン16bを介して、浄化された血液、即ち不純物等が除去された血液が血管内に導入される。
【0040】
ここで、本実施形態の脱血孔23は、カテーテル長軸方向A3に延びる比較的大口径の長孔であることから、流路断面積が大きい。従って、脱血時に血管壁を吸着して脱血孔23が閉塞される可能性も小さく、十分な流量の血液を脱血用ルーメン16a内に取り込むことができる。その際、脱血孔23のある箇所においては、血管から導入された血液が、凹状湾曲面である基端面33aに沿ってスムーズに案内されつつ流れることができる。つまり、脱血孔23のある箇所にて血液がいわば整流されることで、血液の滞留や血流の乱れが防止される。
【0041】
体外循環が終了したら、脱血用ルーメン16a内を生理食塩液またはヘパリン加生理食塩液でフラッシュした後、ヘパリンロックする。なお、送血用ルーメン16bも同様の操作を行う。
【0042】
非使用状態にあった透析用カテーテル1について次回以降の体外循環を行うときには、あらかじめ各ルーメン16a,16b内を生理食塩液またはヘパリン加生理食塩液でフラッシュする。次いで、血流量を十分確保できることを確認する。十分な血流量が確保できず、透析効率の低下が懸念される場合には、カテーテル先端の留置位置を移動させ、適切な位置を選択する。あるいは、透析用カテーテル1を体外循環回路に対して逆接続し、体外循環を行ってもよい。つまり、これまで脱血側であったルーメン16aを送血側とし、送血側であったルーメン16bを脱血側として用いるようにしてもよい。
【0043】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の透析用カテーテル1では、側孔である脱血孔23がカテーテル長軸方向A3に延びる比較的大口径の長孔であることから、その脱血孔23について流路断面積を大きくすることができる。また、このような脱血孔23の場合、血管壁を吸着して閉塞される可能性が低くなる。ゆえに、開存性がよくて十分な血液流量を確保することが可能となり、血液交換効率を向上させることができる。
【0044】
(2)本実施形態の透析用カテーテル1では、上記第1方向A1から見たときに、閉塞部材31の基端面33aが脱血孔23の先端側開口面の形状に沿った形状をなしている。よって、その部分で血液が滞留したり血流が乱れたりすることがなく、血栓の形成及び付着を防止することができる。ちなみに、図8に示す比較例の透析用カテーテル51Aでは、閉塞部材31の基端側33が凸面状となって突出しており、基端面33aが脱血孔23の先端側開口面の形状に沿ったものとなっていない。よって、そのような凸面状の基端面33aが存在していることにより、脱血孔23の部分で血流が乱されてしまう可能性が高い。また、図9に示す比較例の透析用カテーテル51Bでは、これとは逆に閉塞部材31の基端側33が内方に引っ込んでおり、この場合も基端面33aが脱血孔23の先端側開口面の形状に沿ったものとなっていない。つまりこの比較例では、脱血孔23の先端側に窪みが生じてしまい、その部分で血液が滞留したり血流が乱れたりする可能性が高い。よって、血栓の形成及び付着が起こりやすい。その点、本実施形態によれば、このような問題を解消することができる。
【0045】
(3)本実施形態の透析用カテーテル1では、上記第1方向A1から見たときの脱血孔23の先端側開口縁24とカテーテル長軸方向A3とがなす角度θ1及び脱血孔23の基端側開口縁25とカテーテル長軸方向A3とがなす角度θ2がいずれも小さい。このため、脱血孔23における両方の開口縁24,25が透析用カテーテル1の挿入時及び抜去時に血管に引っ掛かりにくい。よって、小さい抵抗で挿入及び抜去を行うことができる。従って、カテーテルの挿抜性を向上させることができる。ちなみに、図10に示す比較例の透析用カテーテル51Cでは、上記第1方向A1から見たときに、脱血孔23が円弧状ではなく逆台形状に切り欠かれたものとなっている。それゆえ、角度θ1,θ2が35°よりもかなり大きく約60°になっている。このため、脱血孔23における両方の開口縁24,25が透析用カテーテル1の挿入時及び抜去時に血管に引っ掛かりやすく、挿入時及び抜去時の抵抗が大きい。その点、本実施形態によれば、このような問題を解消することができる。
【0046】
(4)本実施形態のカテーテル本体11は、基端側から先端側に行くに従って柔らかくなる硬さ勾配を有している。よって、カテーテル本体11の先端側が比較的柔らかくなっているため、例えば低硬度な材料からなる別部材を最先端にわざわざ設けなくても、血管壁への刺激を少なくすることができる。また、カテーテル本体11の基端側についてはある程度硬くなっているため、カテーテル刺入部にて屈曲しにくいものとなるほか、先端側へのトルク伝達性に優れたものとなり好適な操作性を維持することができる。
【0047】
(5)本実施形態の透析用カテーテル1では、カテーテル本体11における第1ルーメン形成側壁38及び第2ルーメン形成側壁37は、相対的に柔らかい軟質樹脂層41と相対的に硬い硬質樹脂層42とからなる2層構造を有している。また、第1ルーメン形成側壁38及び第2ルーメン形成側壁37は、基端側から先端側に向かって軟質樹脂層41の占める比率が大きくなっている。一方、カテーテル本体11において第1ルーメン16b及び第2ルーメン16aを仕切る隔壁13は、硬質樹脂層42のみからなっている。そして、このような2層構造を採用した結果、硬さ勾配を有するカテーテル本体11を比較的簡単に実現することができる。また、カテーテル本体11の先端側は基端側に比べて全体的に柔らかいものの、隔壁13に関しては硬質であるため、必要とされる強度を維持しつつ大口径の脱血孔23を形成することができる。
【0048】
(6)本実施形態の透析用カテーテル1では、カテーテル本体11の先端が比較的軟質になっていることから、低硬度な材料からなる先端保護チップが省略されている。このため、当該部材の脱落等のリスクも小さくなるとともに、部品点数の増加も回避することができる。
【0049】
[第2の実施の形態]
以下、本発明を具体化した第2の実施の形態の透析用カテーテル61(トリプルルーメンカテーテル)を図11〜図15に基づき詳細に説明する。ここでは、第1の実施の形態と相違する点について主に説明し、共通する点については同じ部材番号を付すものとして説明を省略する。
【0050】
図11〜図14等に示されるように、透析用カテーテル61を構成するカテーテル本体11は、カテーテル長軸方向A3に沿って延びる隔壁13を備えている。そして、カテーテル本体11における第2ルーメン形成側壁37と隔壁13と第1ルーメン形成側壁38とにより、3つのルーメンが区画されている。即ち、この透析用カテーテル61は、第1ルーメンとしての輸液用ルーメン66c、第2ルーメンとしての送血用ルーメン66b、第2ルーメンとしての脱血用ルーメン66aの3つを有したものとなっている。
【0051】
図13,図14に示されるように、輸液用ルーメン66cは、カテーテル本体11の先端にて開口する輸液孔62(先端孔)に連通している。この輸液孔62はカテーテル長軸方向A3を向くようにして開口している。さらにこの輸液孔62は、閉塞部材31Aの中心部に貫通形成された中心孔62aに連通されている。そして、この中心孔62aの開口が実際上の輸液孔となっている。
【0052】
図11,図14に示されるように、2つある側孔のうち先端側の送血孔63は、送血用ルーメン66bの先端開口部のやや基端寄りの位置(側孔形成部位)に形成されている。この送血孔63は、カテーテル長軸14に直交する方向A2を向くようにして開口し、送血用ルーメン66bと連通している。なお、本実施形態における送血孔63は、第1実施形態のものと同じ形状、大きさを有している。
【0053】
図12,図14に示されるように、2つある側孔のうち基端側の脱血孔64は、脱血用ルーメン66aの先端開口部よりも基端側となる位置(側孔形成部位)に形成されている。この脱血孔64は、カテーテル長軸14に直交する方向A2を向くようにして開口し、脱血用ルーメン66aと連通している。なお、本実施形態における脱血孔64は、第1実施形態のものと同じ形状、大きさを有している。
【0054】
図15に示す本実施形態の閉塞部材31Aの先端側32は、先端に行くほど縮径傾斜したテーパ面32aを有した形状となっている。この閉塞部材31Aは、2つの挿入部34,37を備えている。相対的に短いほうの挿入部34は、送血用ルーメン66bの先端開口部に挿入される部分であって、その基端部33Aに湾曲状凹面である基端面33aを有している。相対的に長いほうの挿入部37は、脱血用ルーメン66aの先端開口部に挿入される部分であって、その基端部33Bに湾曲状凹面である基端面33aを有している。そして、送血用ルーメン66bの先端開口部に挿入部34を挿入し、脱血用ルーメン66aの先端開口部に挿入部37を挿入して溶着することで、これら先端開口部が封止されている。
【0055】
このように構成された本実施形態の透析用カテーテル61では、脱血孔64である基端位置側の側孔及び脱血用ルーメン66aを介して、血液を抜き取ることができる。それと同時に、送血用ルーメン66b及び送血孔63である先端位置側の側孔を介して、浄化された血液を血管内に導入することができる。また、必要に応じて、輸液用ルーメン66c及び輸液孔62である先端孔を介して、薬剤等の液体を血管内に導入することもできる。この場合において、脱血孔64及び送血孔63である2つの側孔はともに流路断面積が大きいので、血管壁を吸着して閉塞される可能性が低くなっている。ゆえに、開存性が向上して、十分な血液流量を確保することが可能となる結果、血液交換効率に優れたトリプルルーメンカテーテルとすることができる。勿論、本実施形態の透析用カテーテル61は、挿抜性についても優れており、また、血栓の形成及び付着の原因となる血液の滞留等を防止することができる点でも有利である。
【0056】
また、本実施形態の透析用カテーテル61は、いわば1つの共通の閉塞部材31Aで2つの先端開口部をそれぞれ閉塞した構造となっている。そのため、個別の部材で閉塞する場合に比べて、確実に部品点数を少なくすることができ、構造がシンプルになる。
【0057】
さらに、この透析用カテーテル61では、閉塞部材は31Aが先端保護チップを兼ねたものとなっている。そのため、カテーテル本体11の最先端に低硬度な材料からなる先端保護チップを別にわざわざ設けなくても、血管壁への刺激を少なくすることができる。また、別部材を設けた場合における脱落等のリスクも小さくなるとともに、部品点数の増加も回避することができる。
【0058】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0059】
・上記各実施形態では、角度θ1,θ2が等しいものを例示したが、これらの角度θ1,θ2は必ずしも等しくなくてもよい。例えば、図16に示す別の実施形態の透析用カテーテル71では、角度θ1が約33°に設定される一方、角度θ2がそれよりも小さい値(約28°)に設定されている。つまり、角度θ1,θ2は、35°以下という好適範囲内であれば、任意の値とすることができる。
【0060】
・上記各実施形態では、相対的に柔らかい軟質樹脂層41と相対的に硬い硬質樹脂層42とからなる2層構造のカテーテル本体11を用いたが、これは必須ではないため、単層構造のカテーテル本体を用いても勿論構わない。
【0061】
・上記各実施形態では、軟質樹脂層41及び硬質樹脂層42を構成する樹脂材料としてポリウレタン樹脂を選択したが、これ以外の樹脂材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、シリコーン、ポリエーテルブロックアミド共重合体等といった可撓性及び弾性を有する樹脂を選択してもよい。また、上記実施形態においても述べたが、軟質樹脂層41及び硬質樹脂層42を構成する樹脂材料として、これらのうちのいずれかの樹脂を選択した場合、閉塞部材31を構成する樹脂材料として同一の樹脂を選択することが好ましい。
【0062】
・上記実施形態では、側孔である脱血孔23,64や送血孔63が、第1方向A1から見たときに第2ルーメン形成側壁37を円弧状に切り欠いた形状をなしていたが、この形状に限定されることはなく、例えば扁平な二等辺三角形状に切り欠いた形状をなしていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1,61,71…透析用カテーテル
11…カテーテル本体
13…隔壁
16b…(第1実施形態のダブルルーメンカテーテルにおける)第1ルーメンとしての送血用ルーメン
16a…(第1実施形態のダブルルーメンカテーテルにおける)第2ルーメンとしての脱血用ルーメン
22…先端孔としての送血孔
23…側孔としての脱血孔
24…側孔の先端側開口縁
25…側孔の基端側開口縁
31…閉塞部材
32…(閉塞部材の)先端側
33…(閉塞部材の)基端側
36…(第2ルーメンの)先端開口部
37…第2ルーメン形成側壁
38…第1ルーメン形成側壁
41…軟質樹脂層
42…硬質樹脂層
62…先端孔としての輸液孔
63…側孔としての送血孔
64…側孔としての脱血孔
66c…(第2実施形態のトリプルルーメンカテーテルにおける)第1ルーメンとしての輸液用ルーメン
66b…(第2実施形態のトリプルルーメンカテーテルにおける)第2ルーメンとしての送血用ルーメン
66a…(第2実施形態のトリプルルーメンカテーテルにおける)第2ルーメンとしての脱血用ルーメン
A1…第1方向
A2…側孔の開口方向
A3…カテーテル長軸方向
D1…外径
d1…長径
d2…短径
θ1,θ2…角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にて開口する先端孔に連通する第1ルーメン及び先端近傍にて開口する側孔に連通する第2ルーメンを有するカテーテル本体と、先端側が縮径傾斜した形状をなし前記第2ルーメンの先端開口部を閉塞する閉塞部材とを備えた透析用カテーテルであって、
前記側孔は、前記カテーテル本体における第2ルーメン形成側壁を切り欠くことで形成されたカテーテル長軸方向に延びる長孔であり、前記カテーテル本体における側孔形成部位の外径を基準としたときにその長径が1.5倍以上かつその短径が0.5倍以上0.9倍以下であり、
前記側孔形成部位を前記側孔の開口方向に直交しかつ前記カテーテル長軸方向に直交する第1方向から見たときに、前記側孔の先端側開口縁と前記カテーテル長軸方向とがなす角度及び前記側孔の基端側開口縁と前記カテーテル長軸方向とがなす角度がいずれも35°以下であり、
前記閉塞部材は、その基端側が前記側孔のある位置に到って前記側孔の先端側領域を封止するとともに、前記第1方向から見たときに基端面が前記側孔の先端側開口面の形状に沿った形状をなしている
ことを特徴とする透析用カテーテル。
【請求項2】
前記側孔は、前記第1方向から見たときに前記第2ルーメン形成側壁を円弧状に切り欠いた形状をなし、前記閉塞部材の基端面は、凹状湾曲面となっていることを特徴とする請求項1に記載の透析用カテーテル。
【請求項3】
前記カテーテル本体は、基端側から先端側に向かって柔らかくなる硬さ勾配を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の透析用カテーテル。
【請求項4】
前記カテーテル本体における第1ルーメン形成側壁及び前記第2ルーメン形成側壁は、相対的に柔らかい軟質樹脂層と相対的に硬い硬質樹脂層とからなる2層構造であるとともに、基端側から先端側に向かって前記軟質樹脂層の占める比率が大きくなる一方、前記カテーテル本体において前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンを仕切る隔壁は、前記硬質樹脂層のみからなることを特徴とする請求項3に記載の透析用カテーテル。
【請求項5】
前記第1ルーメンとしての送血用ルーメン及び前記第2ルーメンとしての脱血用ルーメンを有するダブルルーメンカテーテルであり、
前記先端孔は送血孔であり、前記側孔は脱血孔であり、前記閉塞部材はその先端側が前記脱血用ルーメンの先端開口部を閉塞し、その基端側が前記脱血孔の先端側領域を封止している
ことを特徴とする請求項1乃至4に記載の透析用カテーテル。
【請求項6】
前記第1ルーメンとしての輸液用ルーメン、前記第2ルーメンとしての送血用ルーメン及び前記第2ルーメンとしての脱血用ルーメンを有するトリプルルーメンカテーテルであり、
前記先端孔は輸液孔であり、前記側孔のうち先端側に位置するものは送血孔であり、基端側に位置するものは脱血孔であり、前記閉塞部材はその先端側が前記送血用ルーメンの先端開口部及び脱血用ルーメンの先端開口部をそれぞれ閉塞し、その基端側が前記送血孔の先端側領域及び前記脱血孔の先端側領域をそれぞれ封止している
ことを特徴とする請求項1乃至4に記載の透析用カテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−48650(P2013−48650A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186775(P2011−186775)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000228888)日本コヴィディエン株式会社 (170)
【Fターム(参考)】