説明

透水型排水構造物及び排水溝の施工方法

【課題】底板部の少なくとも一部がポーラスコンクリートで構成され、底板部の強度を保ちつつ、透水能力を確保することができる透水型排水構造物を提供すること。
【解決手段】排水を透水させるポーラスコンクリートで形成される底板部8を有する透水型排水構造物7であって、底板部8には、少なくとも厚み方向に延びる複数の空洞部14が設けられることで、底板部8の空洞部14以外の部位により底板部8の強度を保ちつつ、空洞部14により排水を底板部8の下方側に向けて通過させることができ、底板部8の透水能力を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水の一部を地中に浸透させるポーラスコンクリートで形成された透水型排水構造物及び排水溝の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、側溝を構成するコンクリート製の水路本体があり、この水路本体の底部の要所にポーラスコンクリートを設け、側溝を流れる雨水等の一部を地中に透水させるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、底部の全体にポーラスコンクリートを用いたものや(例えば、特許文献2参照)、補強用の基礎コンクリート上にポーラスコンクリートブロックを設ける側溝がある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3056090号公報
【特許文献2】特開2002−242288号公報
【特許文献2】特開2004−124402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の側溝(排水溝)にあっては、ポーラスコンクリートが通常のコンクリートに比べて強度が低くなるため、強度の加わらない部位のみにポーラスコンクリートを設けたり、基礎コンクリート上にポーラスコンクリートを設けたりする必要があり、このように強度の加わらない部位のみにポーラスコンクリートを設けるだけでは、充分な透水能力を確保できないという問題がある。また、側溝の底部(底板部)の全面をポーラスコンクリートで形成する際には、所定の強度を確保するために、底部を厚く形成する必要があるが、厚くするほど透水能力が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、底板部の少なくとも一部がポーラスコンクリートで構成され、底板部の強度を保ちつつ、透水能力を確保することができる透水型排水構造物及び排水溝の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の透水型排水構造物は、
排水を透水させるポーラスコンクリートで形成される底板部を有する透水型排水構造物であって、
前記底板部には、少なくとも厚み方向に延びる複数の空洞部が設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、底板部の空洞部以外の部位により底板部の強度を保ちつつ、空洞部により排水を底板部の下方側に向けて通過させることができ、底板部の透水能力を確保することができる。
【0007】
本発明の透水型排水構造物は、
前記底板部の端縁部から上方に立設される側壁部を有し、前記底板部の端縁部以外の部位に、前記複数の空洞部が均等に配置されることを特徴としている。
この特徴によれば、側壁部から底板部の端縁部に加わる荷重を支えることができ、かつ複数の空洞部が均等に配置されることで、底板部に加わる荷重により生じる応力が分散されるようになり、底板部の強度を底板部全体に渡って安定的に保つことができる。
【0008】
本発明の透水型排水構造物は、
前記底板部に複数の孔部が形成されることで前記空洞部が設けられており、かつ該孔部が非貫通孔となっていることで前記空洞部と対応する部位に肉薄部が設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、肉薄部により空洞部近傍の強度が向上されるとともに、底板部の下方にある地中の土砂が空洞部を介して露呈されずに済み、肉薄部により土砂の流出を防止できる。
【0009】
本発明の透水型排水構造物は、
前記肉薄部の厚みは、略30mmとなっていることを特徴としている。
この特徴によれば、略30mmの肉薄部の厚みが、底板部の強度を保ちつつ透水能力を確保することができる厚みとなっている。
【0010】
本発明の透水型排水構造物は、
前記底板部の厚みは、少なくとも90mm以上となっているとともに、前記底板部の空隙率は、略15〜25%となっていることを特徴としている。
この特徴によれば、少なくとも90mm以上の底板部の厚みが、底板部の強度を保つことができる厚みとなっているとともに、略15〜25%の底板部の空隙率が、底板部の透水能力を確保しつつ目詰まりし難い空隙率となっている。
【0011】
本発明の排水溝の施工方法は、
透水型排水構造物を連設して排水溝を施工する排水溝の施工方法であって、
各透水型排水構造物の底板部を略階段状に連設することで排水溝に擬似的な勾配を形成する勾配形成工程を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、排水溝に擬似的な勾配を形成できるため、地面の勾配に影響されずに排水を任意の方向に流すことができるようになり、かつ略階段状に連設された底板部同士の間の段差を流れ落ちる排水によって、下方側の底板部の上面を流れる排水に乱流が生じて攪拌されるようになり、底板部を目詰まりさせる塵埃等を洗い流すことができる。
【0012】
本発明の排水溝の施工方法は、
前記勾配形成工程にて、前記各底板部の上面を略水平にした状態で該各底板部を連設することを特徴としている。
この特徴によれば、底板部の上面を流れる排水の流速が低下し、排水が底板部の上面に留まる時間を長くして、排水を底板部に浸透し易くすることができる。特に、降雨量が少ないときなどに、排水を底板部に効率的に浸透させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における地中に埋設された排水溝を示す断面図である。
【図2】排水溝を示す縦断側面図である。
【図3】底板部を示す平面図である。
【図4】底板部を示す側面図である。
【図5】底板部を示す図3のA−A縦断正面図である。
【図6】実施例2における底板部を示す縦断正面図である。
【図7】実施例3における底板部を示す縦断正面図である。
【図8】実施例4における底板部を示す縦断正面図である。
【図9】実施例5における底板部を示す平面図である。
【図10】底板部を示す側面図である。
【図11】底板部を示すB−B縦断正面図である。
【図12】実施例6における底板部を示す斜視図である。
【図13】実施例7における底板部を示す平面図である。
【図14】実施例8における底板部を示す平面図である。
【図15】実施例9における底板部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る透水型排水構造物及び排水溝の施工方法を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
実施例1に係る透水型排水構造物及び排水溝の施工方法につき、図1から図5を参照して説明する。図1の符号1は、本発明の適用された排水構である。この排水溝1は、アスファルト2で舗装された道路に沿って敷設されている。そして、道路上を走行する車両等が排水溝1上を通過することによって、排水溝1に対して大きな荷重が加わるようになっている。
【0016】
図1に示すように、排水溝1は、地面に掘削された掘削溝3に設けられている。この掘削溝3の内側には、水を浸透させる透水シート4が貼られている。また、掘削溝3の底部に敷砂5が敷かれており、敷砂5の上方に排水を透水させる砂利などで形成された浸透層6が設けられている。さらに、浸透層6に囲まれるようにコンクリート製の排水ユニット7(透水型排水構造物)が設置される。この排水溝1は、掘削溝3と透水シート4と敷砂5と浸透層6と連設される複数の排水ユニット7とにより構成されている。
【0017】
また、排水ユニット7の形状は、略長方体をなしている。この排水ユニット7は、排水溝1内を流れる排水の流れ方向に延びている。この排水ユニット7は、底部に設けられる底板部8と、断面視で下方に開口される略U字形状をなすブロック体9と、により構成される。そして、排水ユニット7の内部空間が、排水が流れる排水流下部10となっている。
【0018】
ブロック体9は、側壁を形成する側壁部11と、天井を形成する天井部12と、が一体的に形成されたコンクリートブロックである。このブロック体9の天井部12には、排水を導入する排水導入口13が形成されている。この排水導入口13は、ブロック体9の長手方向にスリット状に設けられている。また、ブロック体9は、底板部8の上部に設置され、排水流下部10は、底板部8とブロック体9とで囲まれる。
【0019】
図5で示すように、底板部8は、粗骨材16を主として成型したポーラスコンクリート(透水性コンクリート部材)によって形成されている(図5の部分拡大図参照)。このように全体がポーラスコンクリートで形成された底板部8は、正面視で中央部が厚い略凸型形状をなしている。また、図3に示すように、底板部8は、平面視で略長方形をなしている。
【0020】
さらに、図3及び図4に示すように、底板部8の端縁部18には、ブロック体9の側壁部11の下端が設置される切欠部17が形成されている。この切欠部17は、断面視で略L字状をなし、底板部8の長手方向に沿って形成されている。
【0021】
また、図5に示すように、底板部8には、略円錐台形状をなす複数の孔部14(空洞部)が形成されている。この孔部14は、底板部8の厚み方向(上下方向)に延びる非貫通孔となっており、底板部8の底面側に開口されている。そして、孔部14に対応する部位に肉薄部19が形成されている。
【0022】
なお、本実施例では、孔部14は平面視で略円形状をなし、各孔部14が同一形状及び同一寸法をなしている。さらに、図3に示すように、それぞれの孔部14同士は、平面視で略碁盤状に配置される。即ち、孔部14同士は、底板部8の全体に縦横に等間隔に均等に配置されている。なお、ブロック体9を支える端縁部18には、孔部14は設けられておらず、端縁部18は、所定の肉厚を有するようになっている。
【0023】
図5に示すように、底板部8の厚み寸法αは、約150mm(少なくとも90mm以上)となっている。また、底板部8内で最も薄い部分である肉薄部19の厚み寸法βは、約30mmとなっている。さらに、底板部8の端縁部18の厚み寸法γは、約100mm(少なくとも90mm以上)となっている。
【0024】
図5の部分拡大図に示すように、ポーラスコンクリートには、多方向に連続している空隙20が形成されている。このポーラスコンクリートに用いられる粗骨材16の平均寸法は13〜20mmの範囲となっている。そして、底板部8内における空隙20の存在割合を示す空隙率は、約15〜25%となっている。
【0025】
このように、略30mmの肉薄部19の厚みβが、底板部8の強度を保ちつつ透水能力を確保することができる厚みとなっている。また、約150mm(90mm以上)の底板部8の厚みαが、底板部8の強度を保つことができる厚みとなっているとともに、略15〜25%の底板部8の空隙率が、底板部8の透水能力を確保しつつ目詰まりし難い空隙率となっている。さらに、約100mm(少なくとも90mm以上)の端縁部18の厚み寸法γが、ブロック体9及びこのブロック体9を介して加わる荷重を支えられる厚みとなっている。
【0026】
なお、本実施例において空隙率は、底板部8を供試体としたときに以下の数式1で表すことができる。
(数式1) 空隙率=(1−(気中質量−水中質量)/供試体全体積)×100
【0027】
また、排水溝1を施工する際には、透水シート4と敷砂5と浸透層6が設けられた掘削溝3内に、底板部8を階段状に連設することで排水溝1に擬似的な勾配を形成するようになっている(勾配形成工程)。さらに、各底板部8の上面が略水平にされた状態で各底板部8が連設される。そして、各底板部8の端縁部18の上面に、ブロック体9の側壁部11の下端が設置されるようになっている。
【0028】
図2に示すように、各底板部8が略階段状に連設されることで、排水溝1に擬似的な勾配が形成されるようになっている。そして、各底板部8同士の間に段差15が設けられる。なお、各底板部8の上面を略水平にした状態で各底板部8が連設されるようになっている。
【0029】
このように、排水溝1に擬似的な勾配を形成できるため、地面の勾配に影響されずに排水を任意の方向に流すことができるようになり、かつ略階段状に連設された底板部8同士の間の段差15を流れ落ちる排水によって、下方側の底板部8の上面を流れる排水に乱流が生じて攪拌されるようになり、底板部8のポーラスコンクリートを目詰まりさせる塵埃等を洗い流すことができる。
【0030】
また、各底板部8の上面を略水平にした状態で各底板部8が連設されることで、底板部8の上面を流れる排水の流速が低下し、排水が底板部8の上面に留まる時間を長くして、排水を底板部8に浸透し易くすることができる。特に、降雨量が少ないときなどに、排水を底板部8に効率的に浸透させることができる。
【0031】
図1及び図2に示すように、道路上を流れる雨水等の排水は、排水導入口13を通じて排水流下部10に入り込み、この排水は、段差15を流下しながら下流へと流れるようになっている。そして、その排水の一部は、底板部8のポーラスコンクリートの空隙20内を通り、地中へ透水されるようになっている。さらに、空隙20は、直下だけでなく多方向に連続しており、底板部8に浸透した排水は、底板部8の下方側のみならず、底板部8の側方側からも排出されるようになっている。
【0032】
また。肉薄部19は、底板部8の上面から下面までの透水距離が短くなっており、排水を透水させる時間を短縮できる。また、底板部8から透水された排水は、浸透層6や敷砂5に流れて、この流れた排水は、透水シート4を透過して地中に吸収されるようになっている。
【0033】
以上、本実施例の透水型排水構造物にあっては、底板部8には、少なくとも厚み方向に延びる複数の孔部14(空洞部)が設けられることで、底板部8の孔部14以外の部位により底板部8の強度を保ちつつ、孔部14により排水を底板部8の下方側に向けて通過させることができ、底板部8の透水能力を確保することができる。なお、底板部8に孔部14が形成されることで、底板部8の底面側の表面積が大きくなり、透水能力を向上させることができる。
【0034】
また、底板部8の端縁部から上方に立設される側壁部11を有し、底板部8の端縁部18以外の部位に、複数の孔部14が均等に配置されることで、側壁部11から底板部8の端縁部18に加わる荷重を支えることができ、かつ複数の孔部14が均等に配置されることで、底板部8に加わる荷重により生じる応力が分散されるようになり、底板部8の強度を底板部8全体に渡って安定的に保つことができる。
【0035】
また、孔部14が非貫通孔となっていることで孔部14と対応する部位に肉薄部19が設けられ、肉薄部19により孔部14近傍の強度が向上されるとともに、底板部8の下方にある地中の土砂が孔部14を介して露呈されずに済み、肉薄部19により土砂の流出を防止できる。
【0036】
なお、ポーラスコンクリートでは、粗骨材16同士の空隙20を縫って通水されるようになっており、土や埃などが空隙20に流入することにより、空隙20が徐々に閉塞してしまう虞があるが、底板部8に肉薄部19が形成されていることで、短期間で閉塞が懸念されるポーラスコンクリートの透水能力の低下を抑制することができる。
【実施例2】
【0037】
次に、実施例2に係る透水型排水構造物につき、図6を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する構成を省略する。
【0038】
図6に示すように、実施例2における底板部22の上面に略円錐台形の孔部21(空洞部)が形成される。この孔部21は、底板部22の上面に開口される非貫通孔となっており、前記実施例1と異なり、肉薄部24が底板部22の下方側に形成されている。
【0039】
このように底板部22の上面に孔部21が形成されることで、底板部22の上面を流れる排水を孔部21に貯留させることができ、排水を孔部21内に一旦貯留することで、排水を底板部22に浸透し易くすることができる。
【実施例3】
【0040】
次に、実施例3に係る透水型排水構造物につき、図7を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する構成を省略する。
【0041】
図7に示すように、実施例3における底板部25には、底板部25の厚み方向に貫通された貫通孔26(空洞部)を有している。このように実施例3の底板部25では、排水が底板部25に浸透しなくても、貫通孔26内の空間に流れ込むことで、排水を底板部25の下方側に向けて通過させることができ、底板部25の透水能力を確保することができる。
【実施例4】
【0042】
次に、実施例4に係る透水型排水構造物につき、図8を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する構成を省略する。
【0043】
図8に示すように、実施例4における底板部27には、底板部27に内在する空洞部28を有している。さらに、底板部27の上面側と下面側には、空洞部28に対応する部位に肉薄部29が形成されている。この空洞部28以外の部位により、底板部27の強度が増すようになっている。さらに、空洞部28内には、排水を一時的に貯留することができる。
【実施例5】
【0044】
次に、実施例5に係る透水型排水構造物につき、図9から図11を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する構成を省略する。
【0045】
図9及び10に示すように、実施例5における孔部30(空洞部)は、底板部31の底面から上方向に掘削して形成される。この孔部30は、側面視で略半円形状をなしている。また、この孔部30は、平面視で略円形状をなしている。さらに、それぞれの孔部30同士は、底板部31の全体に縦横に等間隔に均等に配置されている。前記実施例1と比較して、孔部30の内容積は大きくなっている。なお、孔部30が略半円形状に設けられることで、孔部30の上面が湾曲されている。
【0046】
図11に示すように、実施例5における肉薄部32は、孔部30に対応した部位の最も薄くなっている部位を示す。また、孔部30の上面が湾曲していることで、上方から加わる荷重に対する耐久性が向上される。さらに、孔部30は、前記実施例1と比較して大きいため、孔部30の形成数を少なくすることができる。そして、孔部30に起因するクラック等を防止できる。
【実施例6】
【0047】
次に、実施例6に係る透水型排水構造物につき、図12を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0048】
図12は、底面側から底板部34を見たときの斜視図であり、理解を助けるために一部が断面となっている。実施例6における孔部33(空洞部)は、底板部34の下面側に形成され、かつ底板部34の幅方向に延びる略スリット状なしている。この孔部33は、略長方体状の内空を有する。
【0049】
また、孔部33の長手方向は、底板部34の長手方向と垂直方向に形成されており、孔部33同士が、平面視で等間隔に配置されている。このようにすることで、底板部34の両端縁部18に大きな荷重が加わっても底板部34の破損を防止できる。
【実施例7】
【0050】
次に、実施例7に係る透水型排水構造物につき、図13を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0051】
図13が示すように、実施例7における底板部35には、実施例1の孔部14と同様な孔部14’(空洞部)が形成されている。しかしながら、実施例7の孔部14’は、平面視で略千鳥状に配置される。即ち、互いの孔部14’同士を結ぶ仮想線が略三角形状をなすように配置される。このように、孔部14’を平面視で略千鳥状に配置することで、底板部35に加わる応力が分散されるようになり、底板部35の強度を向上させることができる。
【実施例8】
【0052】
次に、実施例8に係る透水型排水構造物につき、図14を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0053】
図14に示すように、実施例8における底板部37の孔部36(空洞部)の形状は、平面視で略四角形状をなしている。それぞれの孔部36同士は、平面視で略碁盤状に配置される。このように、孔部36の形状を略四角形状とすることで、孔部36の内面の表面積が大きくなり、底板部37の透水能力を向上させることができる。
【実施例9】
【0054】
次に、実施例9に係る透水型排水構造物につき、図15を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0055】
図15に示すように、実施例9における底板部39の孔部38(空洞部)の形状は、平面視で略星型形状をなしている。それぞれの孔部38同士は、平面視で略碁盤状に配置される。このように、孔部38の形状を略四角形状とすることで、孔部38の内面の表面積が大きくなり、底板部37の透水能力を向上させることができる。
【0056】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0057】
例えば、前記実施例では、側壁部11が底板部8と別体をなすブロック体9に形成されているが、側壁部11を底板部8と一体的に形成してもよい。
【0058】
また、前記実施例では、孔部14同士は、底板部8の全体に縦横に等間隔に均等に配置されているが、必ずしも均等に配置する必要はなく、孔部14同士を不規則に配置してもよい。
【0059】
また、前記実施例では、各孔部14が同一形状及び同一寸法をなしているが、各孔部14が形状及び寸法を非同一になるように形成してもよい。
【0060】
また、前記実施例では、排水溝1が道路に沿って敷設されているが、排水溝1が道路を横断するように敷設されていてもよい。
【0061】
また、前記実施例では、ブロック体9の天井部12にスリット状の排水導入口13が形成されているが、排水導入口13はスリット状でなくてもよく、天井部12に四角形状をなす開口部を形成し、この開口部を排水導入口としてもよく、さらにこの開口部をグレーチング等により覆うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 排水溝
7 排水ユニット(透水型排水構造物)
8 底板部
11 側壁部
14,14’ 孔部(空洞部)
15 段差
18 端縁部
19 肉薄部
20 空隙
21 孔部(空洞部)
22 底板部
24 肉薄部
25 底板部
26 貫通孔(空洞部)
27 底板部
28 空洞部
29 肉薄部
30 孔部(空洞部)
31 底板部
32 肉薄部
33 孔部(空洞部)
34 底板部
35 底板部
36 孔部(空洞部)
37 底板部
38 孔部(空洞部)
39 底板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水を透水させるポーラスコンクリートで形成される底板部を有する透水型排水構造物であって、
前記底板部には、少なくとも厚み方向に延びる複数の空洞部が設けられることを特徴とする透水型排水構造物。
【請求項2】
前記底板部の端縁部から上方に立設される側壁部を有し、前記底板部の端縁部以外の部位に、前記複数の空洞部が均等に配置されることを特徴とする請求項1に記載の透水型排水構造物。
【請求項3】
前記底板部に複数の孔部が形成されることで前記空洞部が設けられており、かつ該孔部が非貫通孔となっていることで前記空洞部と対応する部位に肉薄部が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の透水型排水構造物。
【請求項4】
前記肉薄部の厚みは、略30mmとなっていることを特徴とする請求項3に記載の透水型排水構造物。
【請求項5】
前記底板部の厚みは、少なくとも90mm以上となっているとともに、前記底板部の空隙率は、略15〜25%となっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の透水型排水構造物。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の透水型排水構造物を連設して排水溝を施工する排水溝の施工方法であって、
各透水型排水構造物の底板部を略階段状に連設することで排水溝に擬似的な勾配を形成する勾配形成工程を含むことを特徴とする排水溝の施工方法。
【請求項7】
前記勾配形成工程にて、前記各底板部の上面を略水平にした状態で該各底板部を連設することを特徴とする請求項6に記載の排水溝の施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−172506(P2012−172506A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38930(P2011−38930)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(500038662)麻生商事株式会社 (11)
【Fターム(参考)】