説明

透水性溝路部材

【課題】軽量で取扱い性に優れ、サイズや形状の変更が容易で、施工時の土砂による埋め戻し時においても単粒度砕石等の透水性材料を必要としない透水性溝路部材を提供する。
【解決手段】側壁部3,3に複数の透水孔4が形成された金属薄板からなる断面略U字状の溝路部材本体2の、その側壁部3,3の外面側に、透水孔4からの土砂の流入を遮断する遮断面部20を備えた遮断壁部材19,19を配設するとともに、該遮断壁部材19,19の遮断面部20,20と前記溝路部材本体2の側壁部3,3の外面との間にスペーサ21を介在させ、該スペーサ21によって前記遮断壁部材19,19の遮断面部20,20を前記側壁部3,3の外面側に適宜間隔で位置決めし、かつ前記遮断面部20,20と前記側壁部3,3の外面との間に少なくとも上下方向に連続した排水間隙22,22を生じさせる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水を周囲の地中に浸透させる排水用溝路を構成するために用いられる透水性溝路部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部においては、車道や歩道は勿論のこと、建造物の周囲の敷地や駐車場に至るまで、その地表の大部分が非透水性のコンクリートやアスファルトによって舗装されている。このため、豪雨時には大量の雨水が排水用溝路を介して下水道に流入するが、下水道の許容流量を超えると道路が冠水したり、或いは下水道から河川に放出される大量の雨水によって河川の水位が上昇して氾濫し、周辺地域に洪水が発生するといった事態が生じている。
【0003】
このような事態に対処する手段として、排水用溝路を構成する溝路部材に透水性を持たせて、排水用溝路内を流れる雨水の一部を地中に浸透させることにより、下水道に流入する雨水量を減少させるようにした透水性溝路部材が提案されている。かかる従来の透水性溝路部材は、コンクリート製のU字溝ブロックの底壁部や側壁部に排水孔を形成し、該排水孔にポーラスコンクリート等からなる透水性部材を充填して構成されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
また、他の透水性溝路部材としては、コンクリート製のU字溝ブロックの側壁部に多数の透水孔を穿設し、施工時の土砂による埋め戻しに際して、該透水孔から土砂が流入しないように、該透水孔より径大な単粒度砕石等の透水性材料を外側に配設して施工するようにした構成も知られている(特許文献3参照)。
【特許文献1】実開平7−35588号公報
【特許文献2】実開昭63−130573号公報
【特許文献3】特開平7−252869号公報(段落番号[0017],図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の透水性溝路部材にあっては、コンクリート製のU字溝ブロックを基材として構成されているため、相当の重量があり、運搬や施工時における取扱い性が悪く、さらに、標準サイズのみで供給されているため、施工現場によっては異なるサイズや形状のものが必要となっても、その需要に対応できないという問題点があった。
【0006】
また、特許文献3のように、コンクリート製のU字溝ブロックの側壁部に多数の透水孔を穿設しただけのものにあっては、施工に際して、透水孔より径大な単粒度砕石等の透水性材料を別途必要とするため、施工コストが高くなるとともに、施工に手間が掛かるという問題点があった。
【0007】
本発明は、かかる従来構成の問題点を解消するためになされたものであり、軽量で取扱い性に優れ、サイズや形状の変更が容易で、施工時の土砂による埋め戻し時においても単粒度砕石等の透水性材料を必要としない透水性溝路部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、側壁部に複数の透水孔が形成された金属薄板からなる断面略U字状の溝路部材本体と、該溝路部材本体の側壁部の外面側に配設されて透水孔からの土砂の流入を遮断する遮断面部を備えた遮断壁部材と、該遮断壁部材の遮断面部と前記溝路部材本体の側壁部の外面との間に介在し、前記遮断壁部材の遮断面部を前記側壁部の外面側に適宜間隔で位置決めして、前記遮断面部と前記側壁部の外面との間に少なくとも上下方向に連続した排水間隙を生じさせるスペーサとを備えてなることを特徴とする透水性溝路部材である。
【0009】
ここで、金属薄板からなる断面略U字状の溝路部材本体は、長手方向に延在する底壁部と、該底壁部の左右側縁から上方に立ち上がる左右の側壁部とを備えて構成され、前記底壁部の幅方向の中間位置で左右に分割形成した分割溝路部材対を、その分割した底壁部の分割部端面を突き合わせた状態で離間不能に接合するとともに、開口幅を規定する複数の連結杆を介して左右の側壁部相互を接合したものが好適に用いられ得る。このように、溝路部材本体を金属薄板製とすることにより、従来のコンクリート製のものに比して極めて軽量となり、取扱い性に優れたものとなる。
【0010】
また、前記分割溝路部材対を構成する各分割溝路部材は、ダイとパンチを用いた、金属薄板に対する曲げ加工によって形成し得るので、底壁部の深さ寸法および左右の側壁部間の上部の開口幅寸法を自由に設定でき、ユーザーの希望寸法に容易に対応することができる。
【0011】
また、前記スペーサは、遮断壁部材と一体形成したり、別体形成したものを遮断壁部材の裏面に或いは溝路部材本体の側壁部に取り付けたりすることにより、遮断壁部材と溝路部材本体の側壁部の外面との間に介在させることができる。
【0012】
上記透水性溝路部材にあって、遮断壁部材とスペーサとが、遮断壁部材の平板状の遮断面部を部分的に窪ませて裏面側にスペーサを突出させることにより、一体形成されている構成が提案される。
【0013】
ここで、遮断壁部材の素材には、硬質合成樹脂や金属薄板が適用され得る。そして、硬質合成樹脂の場合には射出成形により、また、金属薄板の場合にはプレス成形によって、平板状の遮断面部と裏面側に突出するスペーサとを一体形成することができる。
【0014】
また、遮断壁部材が、遮断面部の対向面に溝路部材本体の透水孔を透水可能に被覆する透水シートを備えている構成が提案される。
【0015】
ここで、透水シートは、繊維シート等の多孔質薄葉シートが好適に適用され、遮断面部の対向面で各スペーサの先端部によって保持され得る。
【0016】
また、溝路部材本体が、側壁部の外面に固着された取付端縁と、該取付端縁から延成されて前記側壁部に対して遮断壁部材及びスペーサの厚み幅に相当する嵌挿間隙を存して垂設された、遮断壁部材の上部を保持する保持端縁とからなるホルダー部材を備えている構成が提案される。
【0017】
さらに、溝路部材本体の側壁部下部に、遮断壁部材の下端を支承する支承部材を備えている構成が提案される。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる透水性溝路部材は、上述したように、側壁部に複数の透水孔が形成された金属薄板からなる断面略U字状の溝路部材本体と、該溝路部材本体の側壁部の外面側に配設されて透水孔からの土砂の流入を遮断する遮断面部を備えた遮断壁部材と、該遮断壁部材の遮断面部と前記溝路部材本体の側壁部の外面との間に介在し、前記遮断壁部材の遮断面部を前記側壁部の外面側に適宜間隔で位置決めして、前記遮断面部と前記側壁部の外面との間に少なくとも上下方向に連続した排水間隙を生じさせるスペーサとを備えていることにより、この透水性溝路部材を用いて排水用溝路を構成すると、該排水用溝路内を流れる雨水の一部が、溝路部材本体の側壁部の透水孔から排水間隙を経て外部に排出され、その排出された雨水を地中に浸透させることができる。そして、溝路部材本体が金属薄板製であることにより、コンクリート製に比して軽量で運搬や施工時における優れた取扱い性を得ることができ、また、サイズや形状の変更が容易であるため、ユーザーの希望寸法に容易に対応することができる。さらに、溝路部材本体の側壁部の外面側にスペーサを介して適宜間隔で位置決めされた遮断面部を備えていることにより、施工時の土砂による埋め戻しに際して、溝路部材本体の側壁部の透水孔から前記土砂が流入することがない。これにより、従来構成のように単粒度砕石等の透水性材料を必要としないため、施工コストが高くならず、かつ施工に手間が掛かることもない。
【0019】
また、上記透水性溝路部材にあって、遮断壁部材とスペーサとが、遮断壁部材の平板状の遮断面部を部分的に窪ませて裏面側にスペーサを突出させることにより、一体形成されている構成にあっては、遮断壁部材とスペーサの一体化により、構造が簡単となり、部材点数を減少し得るとともに、簡単かつ安価に製作することができる。
【0020】
また、遮断壁部材が、遮断面部の対向面に溝路部材本体の透水孔を透水可能に被覆する透水シートを備えている構成にあっては、施工時の土砂による埋め戻しに際して、溝路部材本体の透水孔からの前記土砂の流入をさらに確実に防止することができる。
【0021】
また、溝路部材本体が、側壁部の外面に固着された取付端縁と、該取付端縁から延成されて前記側壁部に対して遮断壁部材及びスペーサの厚み幅に相当する嵌挿間隙を存して垂設された、遮断壁部材の上部を保持する保持端縁とからなるホルダー部材を備えている構成にあっては、該ホルダー部材の保持端縁によって形成される嵌挿間隙内に遮断壁部材の上部を嵌挿することにより、該遮断壁部材の上部を簡単に保持させることができ、これによって溝路部材本体に対する遮断壁部材の上部の固定を簡単に行うことができる。
【0022】
また、溝路部材本体の側壁部下部に、遮断壁部材の下端を支承する支承部材を備えている構成にあっては、該支承部材によって遮断壁部材を所定高さ位置に保持することができ、運搬や施工時において遮断壁部材が下方に脱落することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明にかかる透水性溝路部材1の一実施例を、図1〜図6に基づいて説明する。
透水性溝路部材1を構成する溝路部材本体2は、図1,図2に示すように、断面略U字状を呈する金属薄板からなり、その左右の側壁部3,3には長手方向に所定間隔を置いて複数の透水孔4が形成されている。各透水孔4は、左右の側壁部3,3の下方寄り中段高さ位置から底壁部5に至る縦長の長孔として形成されており、このように、上下方向の長孔とすることによって、該長孔の高さ範囲内においては内部を流れる雨水の水位に応じて排水量を円滑に増減し得るようになっている。尚、各透水孔4を円形或いは角形にして上下方向に列設することも可能である。
【0024】
前記溝路部材本体2は、厚さ1.5〜6.0mm程度のステンレスまたはスチールの金属薄板が素材に用いられており、開口幅寸法W(図3参照)が10〜100mm程度、深さ寸法Hが200〜500mm程度で形成される。また、全体の長さ寸法は1000mm,2000mm等のように1000mm単位の定尺寸法で形成される。
【0025】
ここで、前記溝路部材本体2は、図1,図3に示すように、長手方向に延在する底壁部5と、該底壁部5の左右側縁から上方に立ち上がる左右の側壁部3,3とを備えており、前記底壁部5の幅方向の中間位置で左右に分割形成された分割溝路部材対6(図3(B)参照)が、図3(A)に示すように、その分割された底壁部5’5’の分割部端面7,7相互が突き合わされた状態で溶接により離間不能に接合されるとともに、左右の側壁部3,3と、該側壁部3,3の開口幅を規定する複数の連結杆8の両端部とが溶接により接合されている。
【0026】
図4は、前記分割溝路部材対6(図3(B)参照)を構成する各分割溝路部材9の素材となる金属薄板10を示し、ブレーキプレスによって折り曲げられる仮想折り曲げ線11の一側に底壁部5’となる底壁片部12を備え、仮想折り曲げ線11の他側に側壁部3となる側壁片部13を備えている。即ち、この金属薄板10の横幅は、成形する分割溝路部材9の底壁部5’の横幅寸法と側壁部3の高さ寸法とを合わせた所定寸法に切断加工されている。また、この金属薄板10の所定位置には、連結杆8(図3(A)参照)の端部を嵌入し得る複数の嵌挿孔14と、上述した複数の透水孔4とが打ち抜き加工またはレーザー加工によって夫々形成されている。
【0027】
そして、前記金属薄板10を、図5(A)に示すように、ブレーキプレス(図示省略)にセットされたダイ15上に載置して仮想折り曲げ線11をダイ15に形成された直角のV形溝16上に位置させ、このV形溝16に一致する形状の突き曲げ端を備えたパンチ17で金属薄板10を曲げ加工する。これにより、図5(B)に示すように、金属薄板10が仮想折り曲げ線11で直角に折曲され、底壁部5’と側壁部3とが直角をなすように折曲された分割溝路部材9が成形される。
【0028】
このように成形された分割溝路部材9を一対に用いて、図3(A)に示すように、底壁部5’5’の分割部端面7,7を突き合わせた状態で対向配置し、該分割部端面7,7相互を溶接により離間不能に接合するとともに、複数の連結杆8の両端部を左右の側壁部3,3の嵌挿孔14,14に嵌入した状態で、各連結杆8の両端部と該両端部に当接する嵌挿孔14,14の孔縁とを溶接により接合することにより、左右の側壁部3,3間の上部の開口幅寸法Wが上端から底壁部5までの深さ寸法Hに比して小さい断面略U字状の金属薄板からなる溝路部材本体2を得ることができる。
【0029】
尚、左右の側壁部3,3の上部開口を溝蓋18(図2参照)によって遮蔽する場合には、左右の側壁部3,3を連結する複数の連結杆8を、該溝蓋18を支承する蓋受け杆とすることができ、この場合には、溝蓋18の上面と左右の側壁部3,3の上端面とが略面一となる高さ位置に連結杆8が配設される。
【0030】
このように、溝路部材本体2を金属薄板製とすることにより、従来のコンクリート製のものに比して極めて軽量となり、取扱い性に優れたものとなる。また、分割溝路部材対6を構成する各分割溝路部材9は、ダイ15とパンチ17を用いた、金属薄板10に対する曲げ加工によって形成し得るので、底壁部5の深さ寸法Hおよび左右の側壁部3,3間の上部の開口幅寸法Wを自由に設定でき、ユーザーの希望寸法に容易に対応することができる。
【0031】
前記溝路部材本体2の左右の側壁部3,3の外面側には、図1,図2に示すように、遮断壁部材19,19が夫々配設されている。各遮断壁部材19は側壁部3の透水孔4を覆う平板状の遮断面部20を備えており、該遮断面部20によって左右の側壁部3,3に形成された透水孔4からの土砂の流入を遮断し得るようになっている。各遮断壁部材19は、遮断面部20と溝路部材本体2の側壁部3の外面との間に介在させたスペーサ21によって遮断面部20が側壁部3の外面側に適宜間隔で位置決めされており、また、該スペーサ21によって遮断面部20と側壁部3の外面との間に少なくとも上下方向に連続した排水間隙22を生じさせるようにしている。
【0032】
前記遮断壁部材19とスペーサ21は、平板状の遮断面部20を部分的に窪ませて裏面側に複数のスペーサ21を突出させることにより、一体形成されている。ここで、スペーサ21は、截頭円錐形や断面コ字形,断面半円形等の所要形状に形成され得る。遮断壁部材19とスペーサ21は、ポリエチレン等の硬質合成樹脂やステンレス,スチール等の金属薄板が素材に用いられている。従って、硬質合成樹脂の場合には射出成形により、また、金属薄板の場合にはプレス成形によって、平板状の遮断面部20と裏面側に突出する複数のスペーサ21とを一体形成することができる。このように、遮断壁部材19とスペーサ21とを一体化することにより、構造が簡単となり、部材点数を減少し得るとともに、組み付け作業が不要であるため、簡単かつ安価に製作することができる。尚、スペーサ21は、このように遮断壁部材19と一体形成することなく、別体形成したものを遮断壁部材19の裏面に、或いは溝路部材本体2の側壁部3の外面に取り付けることにより、遮断面部20と溝路部材本体2の側壁部3の外面との間に介在させることもできる。
【0033】
前記遮断壁部材19は、遮断面部20の対向面に溝路部材本体2の透水孔4を透水可能に被覆する透水シート23を備えている。この透水シート23は、遮断面部20と略同一の大きさに形成された繊維シート等の多孔質薄葉シートからなり、各スペーサ21の先端部に溶着または接着を介して一体化されている。尚、該透水シート23は必ずしも必要なものではなく、除去することも可能であるが、このように、遮断面部20の対向面に透水孔4を被覆する透水シート23を設けることにより、施工時の土砂による埋め戻しに際して、透水孔4からの土砂の流入をさらに確実に防止することができる。
【0034】
また、溝路部材本体2の側壁部3,3には、左右の遮断壁部材19,19の上部を夫々保持するホルダー部材24,24が夫々配設されている。各ホルダー部材24は、帯板状金属薄板に対する折曲加工により、上部に取付端縁25を備え、下部に保持端縁26を備えてなる断面クランク形に形成されており、前記取付端縁25を側壁部3の外面に固着することによって、上部の取付端縁25から延成された下部の保持端縁26を側壁部3に対して遮断壁部材19及びスペーサ21の厚み幅に相当する嵌挿間隙27を存して垂設させて、該保持端縁26によって遮断壁部材19の上部を保持し得るようになっている。
【0035】
さらに、溝路部材本体2の側壁部3,3の下部には、遮断壁部材19,19の下端を支承する複数の支承部材28が配設されている。各支承部材28は、帯板状金属板からなり、側壁部3,3から左右両側に突出する状態で溝路部材本体2の底壁部5の下面に所定間隔で固着されている。そして、この支承部材28上に遮断壁部材19,19を乗載して、その下端を支承させることにより、該遮断壁部材19,19を所定高さ位置に保持することができ、前記ホルダー部材24,24による遮断壁部材19,19の上部の保持作用と相俟って運搬や施工時における遮断壁部材19,19の脱落を防止し得るようになっている。尚、支承部材28を、図1,図2に示すように、側壁部3,3から左右両側に所定長さ突出させることにより、アンカーとしても機能するものとなる。
【0036】
図6は、かかる構成からなる透水性溝路部材1の施工状態を示す。ここで、該透水性溝路部材1の施工は、地面に掘った溝内に透水性溝路部材1を直列状に列設した後、該透水性溝路部材1の周囲に土砂を埋め戻すことにより行われる。この土砂の埋め戻しに際して、溝路部材本体2の側壁部3,3の外面側に遮断壁部材19,19が配設されていることにより、該遮断壁部材19,19の遮断面部20,20によって埋め戻しの土砂を遮断することができ、該土砂が側壁部3,3の各透水孔4から溝路部材本体2内に流入することが防止される。また、遮断壁部材19,19の遮断面部20,20と溝路部材本体2の側壁部3,3の外面との間に介在させたスペーサ21によって、遮断面部20,20と側壁部3,3の外面との間に上下方向に連続した排水間隙22,22が設けられていることにより、施工後においては、透水性溝路部材1を列設して構成された排水用溝路内を流れる雨水の一部が、溝路部材本体2の側壁部3,3の各透水孔4から排水間隙22,22を経て外部に排出され、その排出された雨水が地中に浸透することとなる。
【0037】
このように、本発明によれば、排水用溝路内を流れる雨水の一部を、溝路部材本体2の側壁部3,3の各透水孔4から排水間隙22,22を経て外部に排出させ、その排出した雨水を地中に浸透させることができる。そして、溝路部材本体2が金属薄板製であることにより、従来のコンクリート製に比して軽量となり、運搬や施工時における優れた取扱い性を得ることができ、また、サイズや形状の変更が容易であるため、ユーザーの希望寸法に容易に対応することができる。さらに、溝路部材本体2の側壁部3,3の外面側にスペーサ21を介して適宜間隔で位置決めされた遮断面部20,20を備えていることにより、施工時の土砂による埋め戻しに際して、溝路部材本体2の側壁部3,3の透水孔4から前記土砂が流入することがない。これにより、従来構成のように単粒度砕石等の透水性材料を必要としないため、施工コストが高くならず、かつ施工に手間が掛かることもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明にかかる透水性溝路部材1の、一方の遮断壁部材19を切欠した状態の外観斜視図である。
【図2】同上の透水性溝路部材1の側断面図である。
【図3】(A)は溝路部材本体2の側断面図、(B)は該溝路部材本体2を構成する分割溝路部材対6の側断面図である。
【図4】分割溝路部材9の素材となる金属薄板10の平面図である。
【図5】金属薄板10の曲げ加工を示す説明図である。
【図6】透水性溝路部材1の施工状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 透水性溝路部材
2 溝路部材本体
3 側壁部
4 透水孔
19 遮断壁部材
20 遮断面部
21 スペーサ
22 排水間隙
23 透水シート
24 ホルダー部材
25 取付端縁
26 保持端縁
27 嵌挿間隙
28 支承部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁部に複数の透水孔が形成された金属薄板からなる断面略U字状の溝路部材本体と、
該溝路部材本体の側壁部の外面側に配設されて透水孔からの土砂の流入を遮断する遮断面部を備えた遮断壁部材と、
該遮断壁部材の遮断面部と前記溝路部材本体の側壁部の外面との間に介在し、前記遮断壁部材の遮断面部を前記側壁部の外面側に適宜間隔で位置決めして、前記遮断面部と前記側壁部の外面との間に少なくとも上下方向に連続した排水間隙を生じさせるスペーサと
を備えてなることを特徴とする透水性溝路部材。
【請求項2】
遮断壁部材とスペーサとが、遮断壁部材の平板状の遮断面部を部分的に窪ませて裏面側にスペーサを突出させることにより、一体形成されていることを特徴とする請求項1記載の透水性溝路部材。
【請求項3】
遮断壁部材が、遮断面部の対向面に溝路部材本体の透水孔を透水可能に被覆する透水シートを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の透水性溝路部材。
【請求項4】
溝路部材本体が、側壁部の外面に固着された取付端縁と、該取付端縁から延成されて前記側壁部に対して遮断壁部材及びスペーサの厚み幅に相当する嵌挿間隙を存して垂設された、遮断壁部材の上部を保持する保持端縁とからなるホルダー部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の透水性溝路部材。
【請求項5】
溝路部材本体の側壁部下部に、遮断壁部材の下端を支承する支承部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の透水性溝路部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−144401(P2009−144401A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322449(P2007−322449)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(592094243)カネソウ株式会社 (73)
【Fターム(参考)】