説明

通信インタフェースの起動制御方法、無線端末及びプログラム

【課題】リンク切断耐性ネットワークに接続する無線端末について、通信インタフェースを無駄に起動することなく、中継先となる他の無線端末を発見する確率を高めることができる通信インタフェースの起動制御方法、無線端末及びプログラムを提供する。
【解決手段】計測された無線環境変動値に基づいて第1のタイマを設定する。第1のタイマがタイムアウトした際に、通信インタフェースを一定時間だけ起動し、他の無線端末から発信される所定周波数帯における受信レベルを計測する。受信レベルが所定閾値よりも高い場合、他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行し、受信レベルが所定閾値以下である場合、リンク接続要求を含む電波を発信する。また、他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、当該無線端末との間でリンク接続シーケンスを実行し、リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、通信インタフェースを停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信インタフェースの起動制御方法、無線端末及びプログラムに関する。特に、他の無線端末を中継してデータパケットを転送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線LAN(Local Area Network)に代表される無線通信ネットワークの発達に伴って、その通信エリアが広がりつつある。一方で、通信リンクが不安定で切断が生じやすい通信エリアへの更なる対応も必要となる。例えば、地下鉄や高速道路等の通信エリアへの対応である。
【0003】
このような通信エリアであっても、できる限り通信を可能とするために、リンク切断耐性ネットワーク(DTN(Delay・Disruption・Disconnect Tolerant Network)(又はChallenged Network))の技術がある(例えば非特許文献1参照)。この技術は、通信リンクが、常に利用可能でなく(途切れることが多く)且つ信頼性が低いことを想定している。DTNは、遅延耐性(Delay Tolerant)ネットワーク及び通信失敗耐性(Disruption Tolerant)ネットワークの意味も含んでいるが、ここでは、主として「リンク切断耐性ネットワーク」として用いる。
【0004】
図1は、リンク切断耐性ネットワークにおける概要説明図である。
【0005】
DTNでは、通信相手端末までのエンド−エンドの経路を常には発見することはできない。そのために、DTNは、バケツリレー的にデータを転送するアーキテクチャを採用する。DTNによれば、中継先となる無線端末は、一旦全てのアプリケーションデータ(例えば電子メール1通分のデータ)を受信し且つ保持する。そして、その無線端末は、そのデータを持ち運び、その後、更に他の無線端末へ全てのアプリケーションデータを転送する。このようなステップを繰り返すことによってデータを転送する通信方式は、一般に「Store-carry-forward」と称される。
【0006】
尚、DTNは、いわゆるAODV(Ad hoc On-Demand Distance Vector)のように、エンド−エンドの経路を構築した上で、1パケットずつのバケツリレーをするアーキテクチャとは異なる。
【0007】
前述したように、DTNによれば、当該無線端末の電波到達範囲内に、常に、他の無線端末が存在するとは限らない。従って、当該無線端末が、その電波到達範囲に他の無線端末が存在しないにも拘わらず、通信インタフェースを常に起動しておくことは、電力を無駄に消費することとなる。無線端末は、携帯性の観点から、例えばリチウムイオン電池のようなバッテリを搭載している。電力の浪費をできる限り低減することによって、バッテリの延伸を図ることは重要である。
【0008】
これに対し、定期的に無線LANインタフェースを起動して、アクセスポイントをセンシングする技術もある(例えば非特許文献2参照)。この技術によれば、携帯電話通信システムから無線LAN通信システムへ自動的に切り替えることができる。
【0009】
また、無線LANインタフェースを備えた携帯電話端末が、その無線LANインタフェースを常時起動しないようにするために、セルラ通信システムのエリア情報と無線LAN通信システムのエリア情報とを利用する技術もある(例えば非特許文献3参照)。
【0010】
更に、サーバが、無線LAN通信システムのエリア情報を蓄積する技術もある(例えば非特許文献4参照)。この技術によれば、無線LANインタフェースを備えた携帯電話端末が、携帯電話網を介して、現在位置情報をサーバに送信する。これに対し、サーバは、その携帯電話端末の現在位置が、無線LAN通信エリアにカバーされているか否かを判定し、その判定結果を、携帯電話端末へ返信する。携帯電話端末は、現在位置が無線LAN通信エリアにカバーされている場合、無線LANインタフェースを起動する。これにより、無線LANインタフェースを、常時起動させる必要がない。
【0011】
更に、無線LANインタフェースを備えた携帯電話端末が、セルラの電波品質の振る舞いに応じて、無線LANインタフェースを起動する技術もある(例えば非特許文献5参照)。この技術によれば、セルラの電波品質の振る舞いを監視し、無線LANエリアの可能性が高い屋内への進入を推測することができる。
【0012】
尚、検出用送信電波に対する反射波を受信することによって、不審者を検出するセンサの技術もある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−283543号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】V. Cerf, S. Burleigh, A. Hooke, L.Torgerson, R. Durst, K. Scott, K. Fall, H. Weiss, “Delay-Tolerant NetworkingArchitecture,” RFC4838, Apr. 2007、[online]、[平成21年4月21日検索]、インターネット<URL:http://www.ietf.org/rfc/rfc4838.txt>
【非特許文献2】「KDDI、携帯電話やPHS、無線LANの自動切替えツールを無償提供」、bbウォッチインプレス、[online]、[平成21年4月16日検索]、インターネット<URL:http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/2670.html>
【非特許文献3】SuKyoung Lee and Nada Golmie, “Power-EfficientInterface Selection Scheme using Paging of WWAN for WLAN in HeterogeneousWireless Networks,” IEEE International Conference on Communications (ICC) 2006,Jun. 2006.
【非特許文献4】M. Ylianttila, J. Makela and K. Pahlavan, “Analysisof handoff in a location-aware vertical multi-access network,” ComputerNetworks 47(2), Feb. 2005.
【非特許文献5】H. Izumikawa, Y. Kishi and R. Nagareda,"Terminal-driven Coverage Area Detection with Low Power Consumption,"IEICE Technical Report, NS2007-130, Mar. 2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
非特許文献1に記載された技術によれば、DTN環境下では、無線端末は、通信インタフェースを無駄に起動しないことによって、消費電力の低減とバッテリ寿命の延伸とを図る必要がある。無線端末は、できるだけ短い、通信インタフェースの起動時間内で、他の無線端末を発見することが好ましい。
【0016】
また、非特許文献2に記載された技術によれば、通信インタフェースを定期的に起動するために、DTN環境下では、通信インタフェースを無駄に起動することが多くなる。無線端末が、例えば通信圏外であって、且つ、例えば自宅内のように他の無線端末が近づいてくる可能性が低い場所に位置する場合、無駄な通信インタフェースの起動によって、電力が浪費され、バッテリ寿命が短くなる。逆に、定期的な起動時間間隔を長く設定すると、他の無線端末の発見が遅れてしまう。
【0017】
基地局(アクセスポイント)−無線端末のシステムでは、一般に、基地局は、電源が確保されており、例えば100msの時間間隔で断続的にビーコン信号を送信する。一方で、無線端末は、所定のタイミングで、100ms以上、通信インタフェースを起動することによって、基地局から送信されたビーコン信号を受信することができる。この場合、通信インタフェースを起動した際に、ビーコン信号の受信の有無によって、基地局の電波到達範囲内か否かを直ぐに判定することができる。
【0018】
しかしながら、DTN環境下における無線端末−無線端末のシステムでは、無線端末同士が互いに所定のタイミングで通信インタフェースを起動し、ビーコン信号を送信する。そのために、一方の無線端末が、通信インタフェースを起動し、ビーコン信号を送信した際に、他方の無線端末も、通信インタフェースを起動している必要がある。そのために、通信インタフェースの起動時間を長くするか、又は通信インタフェースの起動間隔を短くする必要があり、電力を浪費することとなる。
【0019】
更に、非特許文献3、4及び5に記載されたいずれの技術も、携帯電話網を利用可能であることを前提としている。そのために、通信システムを全く使えない状態に度々陥る可能性のあるDTN環境下では、利用することはできない。
【0020】
DTN環境下の無線端末は、バケツリレーによる通信の可能性が低い場所(例えば通信圏外となる人(ひと)気のない屋内)では、通信インタフェースの起動時間間隔を長くすることが好ましい。これにより、電力の消費を低減でき、バッテリの寿命を延伸することができる。一方で、バケツリレーによる通信の可能性が高い場所(例えば地下のショッピングモール)では、通信インタフェースの起動時間間隔を短くすることが好ましい。これによって、中継先となる他の無線端末を発見しやすくなり、他の無線端末から発見されやすくなる。
【0021】
そこで、本発明は、リンク切断耐性ネットワークに接続する無線端末について、通信インタフェースを無駄に起動することなく、中継先となる他の無線端末を発見する確率を高めることができる通信インタフェースの起動制御方法、無線端末及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば、無線端末における通信インタフェースの起動制御方法において、
無線品質の変動に伴う無線環境変動値を計測し、該無線環境変動値に基づいて第1のタイマ値を第1のタイマに設定する無線環境計測ステップを有すると共に、第1のタイマは、第1のタイマ値の計時を繰り返しており、
第1のタイマがタイムアウトした際に、通信インタフェースを一定時間だけ起動する第1のステップと、
他の無線端末から発信される所定周波数帯における受信レベルを計測し、該受信レベルが所定閾値よりも高い場合、他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行する第2のステップと、
受信レベルが所定閾値以下である場合、リンク接続要求を含む電波を発信する第3のステップと、
他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、当該無線端末との間でリンク接続シーケンスを実行し、リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、通信インタフェースを停止する第4のステップと
を有することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、無線端末における通信インタフェースの起動制御方法において、
無線品質の変動に伴う無線環境変動値を計測し、該無線環境変動値に基づいて第1のタイマ値を第1のタイマに設定する無線環境計測ステップを有すると共に、第1のタイマは、第1のタイマ値の計時を繰り返しており、
第1のタイマがタイムアウトした際に、通信インタフェースを一定時間だけ起動する第1のステップと、
リンク接続要求を含む電波を発信する第2のステップと、
他の無線端末から発信される所定周波数帯における受信レベルを計測し、該受信レベルが所定閾値よりも高い場合、他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行する第3のステップと、
受信レベルが所定閾値以下である場合、他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、当該無線端末との間でリンク接続シーケンスを実行し、リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、通信インタフェースを停止する第4のステップと
を有することも好ましい。
【0024】
本発明の無線通信インタフェースの起動制御方法における他の実施形態によれば、無線環境計測ステップについて、無線環境変動値は、通信インタフェースを用いて、当該無線端末自身が発信したリンク接続要求を含む電波に対する反射波に基づくものであることも好ましい。
【0025】
本発明の無線通信インタフェースの起動制御方法における他の実施形態によれば、無線環境計測ステップについて、無線環境変動値は、放送インタフェースを用いて、受信する放送電波に基づくものであることも好ましい。
【0026】
本発明の無線通信インタフェースの起動制御方法における他の実施形態によれば、無線環境計測ステップについて、無線環境変動値が大きいほど、第1のタイマ値は短く設定され、無線環境変動値が小さいほど、第1のタイマ値は長く設定されることも好ましい。
【0027】
本発明の無線通信インタフェースの起動制御方法における他の実施形態によれば、
放送用電波を受信する放送インタフェースと、
第2のタイマ値の計時を繰り返す第2のタイマと
を更に有し、
無線環境計測ステップについて、
第2のタイマがタイムアウトした際に、放送インタフェースを起動するステップと、
放送用電波における無線品質の変動に伴う無線環境変動値を計測するステップと、
無線環境変動値に応じた第2のタイマ値を第2のタイマに設定するステップと、
失敗カウンタに応じた第1のタイマ値を第1のタイマに設定するステップと、
放送インタフェースを停止するステップと
を有し、
第4のステップについて、他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、失敗カウンタをリセットし、リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、失敗カウンタを1増分することも好ましい。
【0028】
本発明の無線通信インタフェースの起動制御方法における他の実施形態によれば、
無線環境変動値が大きいほど、第2のタイマ値は短く設定され、無線環境変動値が小さいほど、第2のタイマ値は長く設定され、
失敗カウンタが多いほど、第1のタイマ値は短く設定され、失敗カウンタが少ないほど、第1のタイマ値は長く設定されることも好ましい。
【0029】
本発明の無線通信インタフェースの起動制御方法における他の実施形態によれば、
他の無線端末との間のリンクは、リンク切断耐性ネットワーク(DTN(Delay・Disruption・Disconnect Tolerant Network))用のプロトコルによって制御されることもこのましい。
【0030】
本発明によれば、通信インタフェースを有する無線端末において、
無線品質の変動に伴う無線環境変動値を計測する無線環境変動計測手段と、
無線環境変動値に基づいて第1のタイマ値を第1のタイマに設定すると共に、第1のタイマ値の計時を繰り返す第1のタイマ手段と、
第1のタイマがタイムアウトした際に、通信インタフェースを一定時間だけ起動する通信インタフェース起動制御手段と、
他の無線端末から発信される所定周波数帯における受信レベルを計測するキャリアセンス手段と、
通信インタフェースを起動した後に、又は、受信レベルが所定閾値以下である場合、リンク接続要求を含む電波を発信するリンク接続要求発信手段と、
他の無線端末からのリンク接続応答を受信するリンク接続応答受信手段と
受信レベルが所定閾値よりも高い場合、又は、他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行するリンク接続処理手段と
を有し、
通信インタフェース起動制御手段は、リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、通信インタフェースを停止する
ことを特徴とする。
【0031】
本発明の無線端末における他の実施形態によれば、無線環境変動値は、通信インタフェースを用いて、当該無線端末自身が発信したリンク接続要求を含む電波に対する反射波に基づくものであることも好ましい。
【0032】
本発明の無線端末における他の実施形態によれば、無線環境変動値は、放送インタフェースを用いて、受信する放送電波に基づくものであることも好ましい。
【0033】
本発明の無線端末における他の実施形態によれば、無線環境変動値が大きいほど、第1のタイマ値は短く設定され、無線環境変動値が小さいほど、第1のタイマ値は長く設定されることも好ましい。
【0034】
本発明の無線端末における他の実施形態によれば、
放送用電波を受信する放送インタフェースと、
第2のタイマ値の計時を繰り返す第2のタイマと、
リンク接続応答を受信できなかった場合、失敗カウンタを1増分し、他の無線端末との間で接続シーケンスを実行した場合、失敗カウンタをリセットする失敗カウンタ手段と、
放送用電波における無線品質の変動に伴う放送無線環境変動値を計測する放送無線環境変動検知手段と、
第2のタイマがタイムアウトした際に、放送インタフェースを起動すると共に、前放送無線環境変動値の計測後、放送インタフェースを停止する放送インタフェース起動制御手段と
を有し、
無線環境変動値に応じた第2のタイマ値を第2のタイマに設定すると共に、失敗カウンタに応じた第1のタイマ値を第1のタイマに設定することも好ましい。
【0035】
本発明の無線端末における他の実施形態によれば、リンク接続処理手段は、他の無線端末との間のリンクを、リンク切断耐性ネットワーク(DTN)用のプロトコルによって制御することも好ましい。
【0036】
本発明によれば、通信インタフェースを有する無線端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
無線品質の変動に伴う無線環境変動値を計測する無線環境変動計測手段と、
無線環境変動値に基づいて第1のタイマ値を第1のタイマに設定すると共に、第1のタイマ値の計時を繰り返す第1のタイマ手段と、
第1のタイマがタイムアウトした際に、通信インタフェースを一定時間だけ起動する通信インタフェース起動制御手段と、
他の無線端末から発信される所定周波数帯における受信レベルを計測するキャリアセンス手段と、
通信インタフェースを起動した後に、又は、受信レベルが所定閾値以下である場合、リンク接続要求を含む電波を発信するリンク接続要求発信手段と、
他の無線端末からのリンク接続応答を受信するリンク接続応答受信手段と
受信レベルが所定閾値よりも高い場合、又は、他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行するリンク接続処理手段と
を有し、
通信インタフェース起動制御手段は、リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、通信インタフェースを停止する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明の通信インタフェースの起動制御方法、無線端末及びプログラムによれば、リンク切断耐性ネットワークに接続する無線端末について、無線環境変動値に基づいて通信インタフェースの起動時間間隔を変更すると共に、通信インタフェースを起動した際には、他の無線端末の存在をキャリアセンスによって検出することによって、通信インタフェースを無駄に起動することなく、中継先となる他の無線端末を発見する確率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】リンク切断耐性ネットワークにおける概要説明図である。
【図2】無線環境の変動を表す説明図である。
【図3】本発明における無線端末の第1のフローチャートである。
【図4】リンク接続要求とリンク接続応答との交換を表すシーケンス図である。
【図5】本発明における無線端末の第2のフローチャートである。
【図6】放送インタフェースを有する無線端末のフローチャートである。
【図7】本発明における無線端末の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0040】
図2は、無線環境の変動を表す説明図である。
【0041】
図2(a)は、無線環境の変動が小さい環境を表す。「無線環境の変動」とは、例えば時間経過に対する電波の受信レベルの変動幅で表される(以下「無線環境変動値」という)。無線環境の変動が小さい環境としては、例えば、無線端末が静止状態にあり、且つ、その周囲に中継先となる他の無線端末が移動していない環境である。即ち、中継先となる他の無線端末との間でリンクを接続し且つデータを運んでもらえる確率が小さいことを意味する。
【0042】
図2(a1)によれば、無線端末が、例えばその周囲に他の無線端末が存在しないような自宅内で静止している状態を表す。また、図2(a2)によれば、時刻(t1,t2・・・)毎に、周波数に対する受信レベルが表されている。複数の時刻について、周波数に対する受信レベルの波形が相似していることを理解できる。更に、図2(a3)によれば、時間経過に対する受信レベル(履歴)の変動幅を表す。所定時間範囲の複数の時刻について、受信レベルの変動が小さいことを理解できる。
【0043】
図2(b)は、無線環境の変動が大きい環境を表す。無線環境変動値が大きい環境としては、例えば、無線端末自身が移動状態にあるか、その周囲に中継先となる他の無線端末が移動している環境である。即ち、中継先となる他の無線端末との間でリンクを接続し且つデータを運んでもらえる確率が大きいことを意味する。
【0044】
図2(b1)によれば、無線端末が、例えばその周囲に他の無線端末が存在するような郊外で移動している状態を表す。また、図2(b2)によれば、時刻(t1,t2・・・)毎に、周波数に対する受信レベルが表されている。複数の時刻について、周波数に対する受信レベルの波形が相違していることを理解できる。更に、図2(b3)によれば、時間経過に対する受信レベル(履歴)の変動幅を表す。所定時間範囲の複数の時刻について、受信レベルの変動が大きいことを理解できる。
【0045】
図3は、本発明における無線端末の第1のフローチャートである。また、図4は、リンク接続要求とリンク接続応答との交換を表すシーケンス図である。尚、図4によれば、通信インタフェース起動時間を3sとし、起動間隔を10sとしているが、これらは一例である。
【0046】
最初に、無線端末が、通信インタフェースのみを備えている場合について説明する。放送インタフェースを備えた実施形態については後述する。尚、波線で表されたS34は、放送インタフェースを備えた実施形態については実行されない。一方で、波線で表されたS391及びS392は、放送インタフェースを備えた実施形態でのみ実行される。
【0047】
図3のフローチャートは、通信IF用タイマのタイムアウトによって開始される。通信IF用タイマは、第1のタイマ値が設定されており、その計時を繰り返す。
【0048】
(S30)無線端末は、通信IF用タイマのタイムアウトによって、通信インタフェースを起動する。
(S31)次に、無線端末は、キャリアセンスを実行する。具体的には、他の無線端末から発信される電波の所定周波数帯における受信レベルを計測する。図4のS31に対応する。
(S32)次に、無線端末は、キャリアセンスされた受信レベルが、所定閾値以下か否かを判定する。ここで、受信レベルが所定閾値よりも高い(NO)ということは、他の無線端末の電波到達範囲に、当該無線端末が位置することを意味する。この場合、当該無線端末から他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行するべく、S38へ移行する。逆に、受信レベルが所定閾値以下である(YES)ということは、当該無線端末の周囲に他の無線端末が存在しないことを意味する。この場合、S33へ移行する。
【0049】
(S33)受信レベルが所定閾値以下である(YES)場合、当該無線端末は、リンク接続要求を含む電波を発信する。図4のS33に対応する。リンク接続要求は、例えばビーコン信号であってもよい。
【0050】
(S341)ここで、無線端末は、自ら発信したリンク接続要求を含む電波に対する反射波を、通信インタフェースによって受信する。図4のS34に対応する。ここで、前述した図2のように、時系列に受信レベルを計測し、所定時間間隔における無線環境変動値を算出する。
【0051】
尚、無線環境変動値は、放送インタフェースを用いて、受信する放送電波に基づくものであってもよい。
【0052】
(S342)次に、無線端末は、無線環境変動値に基づいて第1のタイマ値を、通信IF用タイマに設定する。無線環境変動値が大きいほど、第1のタイマ値は短く設定され、無線環境変動値が小さいほど、第1のタイマ値は長く設定される。即ち、無線環境変動値が大きいほど、他の無線端末と通信可能となる確率が高いので、次に通信インタフェースを起動するタイミングを短くする。一方で、無線環境変動値が小さいほど、他の無線端末と通信可能となる確率が低いので、次に通信インタフェースを起動するタイミングを長くする。
【0053】
(S35)無線端末は、S33で送信したリンク接続要求に対して、他の無線端末からのリンク接続応答を受信することを期待する。他の無線端末は、その通信インタフェースを起動していれば、当該無線端末から送信されたリンク接続要求を受信することができる。このとき、他の無線端末は、リンク接続可能であれば、リンク接続応答を含む電波を発信する。当該無線端末は、他の無線端末から発信されたリンク接続応答を含む電波を受信することができる。図4のS35に対応する。
【0054】
当該無線端末が、リンク接続応答を含む電波を受信できない場合として、例えば以下の2つの場合がある。
(1)当該無線端末から発信される電波の到達範囲内に、他の無線端末が存在していない場合
(2)当該無線端末から発信される電波の到達範囲内に、他の無線端末が存在していても、他の無線端末における通信インタフェースが起動していない場合
【0055】
(S36)無線端末は、リンク接続応答を含む電波を受信できたか又は受信できなかったかを判定する。
(S37)無線端末は、リンク接続応答を含む電波を受信できなかった場合(NO)、通信インタフェースを停止する。
(S38)無線端末は、受信レベルが所定閾値よりも高い(NO)場合(S32からの移行)、又は、リンク接続応答を含む電波を受信できた(YES)場合(S36からの移行)、他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行する。図4のS38に対応する。これによって、当該無線端末は、他の無線端末との間で、リンクを接続する。
【0056】
無線端末は、他の無線端末との間でリンク接続が確立した後、転送すべきアプリケーションデータパケットを転送することができる。
【0057】
図5は、本発明における無線端末の第2のフローチャートである。
【0058】
図5は、図3と比較して、S31〜S34とS51〜S54のみが相違する。以下では、相違する処理のみについて説明する。
(S51)無線端末は、通信インタフェースを起動した直後に、リンク接続要求を含む電波を発信する。
(S52)次に、無線端末は、通信インタフェース又は放送インタフェースを用いて、時系列に受信レベルを計測し、所定時間間隔における無線環境変動値を算出する。そして、無線環境変動値に基づいて第1のタイマ値を、通信IF用タイマに設定する。
(S53)次に、無線端末は、キャリアセンスを実行する。具体的には、他の無線端末から発信される電波の所定周波数帯における受信レベルを計測する。
(S54)次に、無線端末は、キャリアセンスされた受信レベルが、所定閾値以下か否かを判定する。ここで、受信レベルが所定閾値よりも高い(NO)場合、当該無線端末から他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行するべく、S58へ移行する。逆に、受信レベルが所定閾値以下である(YES)場合、S55へ移行する。
【0059】
図6は、放送インタフェースを有する無線端末のフローチャートである。
【0060】
無線端末が、通信インタフェース及び放送インタフェースの両方を起動する場合、消費電力も大きくなる。そのために、図6は、図3及び図5の場合よりも、通信インタフェースの起動回数をできる限り少なくするべく動作する。
【0061】
図6のフローチャートは、放送IF用タイマのタイムアウトによって開始される。放送IF用タイマは、第2のタイマ値が設定されており、その計時を繰り返す。
(S60)無線端末は、放送IF用タイマのタイムアウトによって、放送インタフェースを起動する。
(S61)無線端末は、地上波AM/FMラジオ放送、地上波テレビ放送又は放送衛星から放送される放送波を、放送インタフェースによって受信する。ここで、放送波は、常時受信でき、浸透性の高い電波であることが好ましい。放送波における無線環境変動値を時系列に計測し、所定時間間隔における無線環境変動値を算出する。
(S62)次に、無線端末は、無線環境変動値に基づいて第2のタイマ値を、放送IF用タイマに設定する。無線環境変動値が大きいほど、第2のタイマ値は短く設定され、無線環境変動値が小さいほど、第2のタイマ値は長く設定される。
(S63)無線端末は、放送インタフェースを停止する。
(S64)最後に、無線端末は、失敗カウンタに応じて第1のタイマ値を、通信IF用タイマに設定する。失敗カウンタが少ないほど、第1のタイマ値は短く設定され、失敗カウンタが多いほど、第1のタイマ値は長く設定される。
【0062】
ここで、「失敗カウンタ」とは、通信インタフェースを起動したにも拘わらず、他の無線端末を発見することなく停止したことの連続回数を表す。図6によれば、図3のフローチャートも表しており、S391及びS392を追加的に処理する。
(S391)他の無線端末を発見し、リンク接続シーケンスを実行した場合、「失敗カウンタ」をリセットする。
(S392)他の無線端末を発見できず、通信インタフェースを停止した場合、「失敗カウンタ」を1増分する。
【0063】
尚、図6に表されたフローチャートによれば、無線端末が放送インタフェースを用いて無線環境変動値を検出する場合、図3に相当するS34の処理を実行しない。通信用電波の反射波によって無線環境変動値を検出する必要がないからである。
【0064】
図7は、本発明における無線端末の機能構成図である。
【0065】
図7によれば、無線端末1は、通信インタフェース101と、放送インタフェース111とを有する。通信インタフェース101は、通信用の無線インタフェースであって、アンテナに接続される。アンテナは、送信用/受信用が別個に備えられていてもよい。これにより、無線端末1は、エアを介して、当該無線端末1の電波到達範囲内に存在する他の無線端末と通信することができる。特に、通信インタフェース101は、送信用増幅器によって増幅した送信信号を送信すると共に、その送信信号に対する反射波を受信することができる。通信インタフェース101及び放送インタフェース111は、ハードウェア的に構成されており、これらインタフェースの起動は、電波の送受信を伴うために、電力の消費も大きい。
【0066】
無線端末1は、通信インタフェース側として、通信IF用タイマ100と、通信インタフェース起動制御部102と、通信無線環境変動検知部103と、キャリアセンス部104と、リンク接続要求発信部105と、リンク接続応答受信部106と、リンク接続処理部107とを有する。これら機能構成部は、無線端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0067】
通信インタフェース起動制御部102は、通信IF用タイマが第1のタイマ値でタイムアウトした際に、通信インタフェース101を起動する。また、通信インタフェース起動制御部102は、リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、通信インタフェース101を停止する。
【0068】
通信無線環境変動検知部103は、通信インタフェース101における無線環境変動値を計測する。この無線環境変動値は、通信インタフェース101を用いて、当該無線端末自身が発信したリンク接続要求を含む電波に対する反射波に基づく。
【0069】
通信IF用タイマ100は、第1のタイマ値の計時を繰り返し、通信インタフェース101を起動させるタイミングを発生する。通信IF用タイマ100は、通信無線環境変動値が大きいほど、第1のタイマ値を短く設定し、通信無線環境変動値が小さいほど、第1のタイマ値を長く設定する。
【0070】
また、通信IF用タイマ100は、通信無線環境変動値に対する第1のタイマ値を、テーブルとして保持していてもよい。また、前回の変動値と今回の変動値との差が大きければ、第1のタイマ値を短く(例えば1/2)し、その差が小さければ、第1のタイマ値を長くする(例えば2倍)ものであってもよい。この場合、第1のタイマ値について、最小値と最大値とを予め規定しておくことも好ましい。
【0071】
キャリアセンス部104は、通信インタフェース101を用いて、他の無線端末から発信される所定周波数帯における受信レベルを計測する。受信レベルが所定閾値よりも高い場合、キャリアセンス部104は、リンク接続処理部107へ、他の無線端末に対するリンク接続シーケンスの実行を指示する。一方で、受信レベルが所定閾値以下である場合、キャリアセンス部104は、リンク接続要求発信部105へ、リンク接続要求の発信を指示する。
【0072】
リンク接続要求発信部105は、キャリアセンス部104からの指示に応じて、リンク接続要求を含む電波を発信する。
【0073】
リンク接続応答受信部106は、他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、リンク接続処理部107へ、リンク接続シーケンスの実行を指示する。一方で、リンク接続応答を受信しなかった場合、通信インタフェース起動制御部102へ、その旨を通知する。
【0074】
リンク接続処理部107は、キャリアセンス部104から又はリンク接続応答受信部106からの指示に応じて、他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行する。例えばIEEE802.11のCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access / Collision Avoidance)の動作に移行する。リンク接続処理部107は、DTNプロトコル部を、トランスポートプロトコル部の上位層として搭載する。トランスポートプロトコル部としては、例えば既存のTCP(Transmission Control Protocol)、SCTP(Stream Control Transmission Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)、DCCP(Datagram Congestion Control Protocol)又はワイヤレスTCPを用いることができる。
【0075】
DTNによれば、他の無線端末と常に通信リンクが確立しているとは限らない。蓄積転送方式を実現するために、DTNプロトコル部は、他の無線端末から受信したアプリケーションデータパケットを、バッファに蓄積する。そして、他の無線端末との間で通信切断中は、そのアプリケーションデータパケットを保持する。その後、他の無線端末との間でリンクが接続された際に、そのアプリケーションデータを転送する。
【0076】
また、無線端末1は、放送インタフェース側として、放送IF用タイマ110と、放送インタフェース起動制御部112と、放送無線環境変動検知部113と、失敗カウンタ部114とを有する。これら機能構成部も、無線端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0077】
放送IF用タイマ110は、第2のタイマ値の計時を繰り返し、放送インタフェース111を起動させるタイミングを発生する。放送IF用タイマ110は、放送無線環境変動値が大きいほど、第2のタイマ値を短く設定し、放送無線環境変動値が小さいほど、第2のタイマ値を長く設定する。
【0078】
尚、無線端末が放送インタフェースによって無線環境変動値を計測する場合、通信IF用タイマ100は、失敗カウンタ値に応じて、第1のタイマ値を設定する。失敗カウンタ値が大きい場合、第1のタイマ値を大きくし、通信インタフェースが起動される確率を小さくする。逆に、失敗カウンタ値が小さい場合、第1のタイマ値を小さくし、通信インタフェースが起動される確率を大きくする。
【0079】
放送インタフェース起動制御部112は、第2のタイマ値で放送IF用タイマ110がタイムアウトした際に、放送インタフェース111を起動する。また、放送インタフェース起動制御部112は、放送無線環境変動値の計測後、放送インタフェース111を停止する。
【0080】
放送無線環境変動検知部113は、放送用電波における放送無線環境変動値を計測する。その放送無線環境変動値は、放送IF用タイマ110へ出力される。
【0081】
失敗カウンタ部114は、他の無線端末からのリンク接続応答を受信できなかった場合、失敗カウンタを1増分し、他の無線端末との間で接続シーケンスを実行した場合、失敗カウンタをリセットする。
【0082】
最後に、コンピュータシミュレーションの結果から、以下の2つの効果が得られる。
(1)消費電力の削減及びバッテリ寿命の延伸のために、通信インタフェースの起動回数の削減(接続要求メッセージの総送信数の削減)を、第1に考えた場合:
本発明によれば、通信インタフェースを定期的に起動する従来技術と比較して、他の無線端末からの接続応答メッセージの受信数は、33%程度、減少するものの、それを上回るメッセージ総送信数を削減できる。
(2)更に、接続応答メッセージの受信数も増加させたい場合:
本発明によれば、通信インタフェースの起動間隔を減少させることによって、他の無線端末からの接続応答メッセージ数を増加させるとともに、接続要求メッセージの総送信数は、従来技術と比較して、削減することができる。
その結果、本発明によれば、他の無線端末を発見するまでに要した接続要求メッセージの送信数は、従来技術と比較して、40%程度、削減することができる。
【0083】
以上、詳細に説明したように、本発明の通信インタフェースの起動制御方法、無線端末及びプログラムによれば、リンク切断耐性ネットワークに接続する無線端末について、無線環境変動値に基づいて通信インタフェースの起動時間間隔を変更すると共に、通信インタフェースを起動した際には、他の無線端末の存在をキャリアセンスによって検出することによって、通信インタフェースを無駄に起動することなく、中継先となる他の無線端末を発見する確率を高めることができる。
【0084】
本発明よれば、リンク切断耐性ネットワークにあっても、従来技術と比較して、他の無線端末が存在する可能性が低い場所では、通信インタフェースの起動時間間隔を長くすることによって、無線端末の消費電力の低減及びバッテリ寿命の延伸を実現する。一方で、他の無線端末が存在する可能性が高い所では、通信インタフェースの起動時間間隔を短くすることによって、他の無線端末の発見を早めることができる。
【0085】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0086】
1 無線端末
100 通信IF用タイマ
101 通信インタフェース
102 通信インタフェース起動制御部
103 通信無線環境変動検知部
104 キャリアセンス部
105 リンク接続要求発信部
106 リンク接続応答受信部
107 リンク接続処理部
110 放送IF用タイマ
111 放送インタフェース
112 放送インタフェース起動制御部
113 放送無線環境変動検知部
114 失敗カウンタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末における通信インタフェースの起動制御方法において、
無線品質の変動に伴う無線環境変動値を計測し、該無線環境変動値に基づいて第1のタイマ値を第1のタイマに設定する無線環境計測ステップを有すると共に、第1のタイマは、第1のタイマ値の計時を繰り返しており、
第1のタイマがタイムアウトした際に、前記通信インタフェースを一定時間だけ起動する第1のステップと、
他の無線端末から発信される所定周波数帯における受信レベルを計測し、該受信レベルが所定閾値よりも高い場合、他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行する第2のステップと、
前記受信レベルが所定閾値以下である場合、リンク接続要求を含む電波を発信する第3のステップと、
他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、当該無線端末との間でリンク接続シーケンスを実行し、前記リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、前記通信インタフェースを停止する第4のステップと
を有することを特徴とする無線通信インタフェースの起動制御方法。
【請求項2】
無線端末における通信インタフェースの起動制御方法において、
無線品質の変動に伴う無線環境変動値を計測し、該無線環境変動値に基づいて第1のタイマ値を第1のタイマに設定する無線環境計測ステップを有すると共に、第1のタイマは、第1のタイマ値の計時を繰り返しており、
第1のタイマがタイムアウトした際に、前記通信インタフェースを一定時間だけ起動する第1のステップと、
リンク接続要求を含む電波を発信する第2のステップと、
他の無線端末から発信される所定周波数帯における受信レベルを計測し、該受信レベルが所定閾値よりも高い場合、他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行する第3のステップと、
前記受信レベルが所定閾値以下である場合、他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、当該無線端末との間でリンク接続シーケンスを実行し、前記リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、前記通信インタフェースを停止する第4のステップと
を有することを特徴とする無線通信インタフェースの起動制御方法。
【請求項3】
前記無線環境計測ステップについて、前記無線環境変動値は、前記通信インタフェースを用いて、当該無線端末自身が発信した前記リンク接続要求を含む電波に対する反射波に基づくものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信インタフェースの起動制御方法。
【請求項4】
前記無線環境計測ステップについて、前記無線環境変動値は、放送インタフェースを用いて、受信する放送電波に基づくものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信インタフェースの起動制御方法。
【請求項5】
前記無線環境計測ステップについて、前記無線環境変動値が大きいほど、第1のタイマ値は短く設定され、前記無線環境変動値が小さいほど、第1のタイマ値は長く設定されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信インタフェースの起動制御方法。
【請求項6】
放送用電波を受信する放送インタフェースと、
第2のタイマ値の計時を繰り返す第2のタイマと
を更に有し、
前記無線環境計測ステップについて、
第2のタイマがタイムアウトした際に、前記放送インタフェースを起動するステップと、
前記放送用電波における無線品質の変動に伴う無線環境変動値を計測するステップと、
前記無線環境変動値に応じた第2のタイマ値を第2のタイマに設定するステップと、
失敗カウンタに応じた第1のタイマ値を第1のタイマに設定するステップと、
前記放送インタフェースを停止するステップと
を有し、
第4のステップについて、他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、前記失敗カウンタをリセットし、前記リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、失敗カウンタを1増分する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信インタフェースの起動制御方法。
【請求項7】
前記無線環境変動値が大きいほど、第2のタイマ値は短く設定され、前記無線環境変動値が小さいほど、第2のタイマ値は長く設定され、
前記失敗カウンタが多いほど、第1のタイマ値は短く設定され、前記失敗カウンタが少ないほど、第1のタイマ値は長く設定される
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信インタフェースの起動制御方法。
【請求項8】
他の無線端末との間のリンクは、リンク切断耐性ネットワーク(DTN(Delay・Disruption・Disconnect Tolerant Network))用のプロトコルによって制御されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の無線通信インフェースの起動制御方法。
【請求項9】
通信インタフェースを有する無線端末において、
無線品質の変動に伴う無線環境変動値を計測する無線環境変動計測手段と、
前記無線環境変動値に基づいて第1のタイマ値を第1のタイマに設定すると共に、第1のタイマ値の計時を繰り返す第1のタイマ手段と、
第1のタイマがタイムアウトした際に、前記通信インタフェースを一定時間だけ起動する通信インタフェース起動制御手段と、
他の無線端末から発信される所定周波数帯における受信レベルを計測するキャリアセンス手段と、
前記通信インタフェースを起動した後に、又は、前記受信レベルが所定閾値以下である場合、リンク接続要求を含む電波を発信するリンク接続要求発信手段と、
他の無線端末からのリンク接続応答を受信するリンク接続応答受信手段と
前記受信レベルが所定閾値よりも高い場合、又は、他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行するリンク接続処理手段と
を有し、
前記通信インタフェース起動制御手段は、前記リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、前記通信インタフェースを停止する
ことを特徴とする無線端末。
【請求項10】
前記無線環境変動値は、前記通信インタフェースを用いて、当該無線端末自身が発信した前記リンク接続要求を含む電波に対する反射波に基づくものであることを特徴とする請求項9に記載の無線端末。
【請求項11】
前記無線環境変動値は、放送インタフェースを用いて、受信する放送電波に基づくものであることを特徴とする請求項9に記載の無線端末。
【請求項12】
前記無線環境変動値が大きいほど、第1のタイマ値は短く設定され、前記無線環境変動値が小さいほど、第1のタイマ値は長く設定されることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の無線端末。
【請求項13】
放送用電波を受信する放送インタフェースと、
第2のタイマ値の計時を繰り返す第2のタイマと、
前記リンク接続応答を受信できなかった場合、失敗カウンタを1増分し、他の無線端末との間で接続シーケンスを実行した場合、前記失敗カウンタをリセットする失敗カウンタ手段と、
前記放送用電波における無線品質の変動に伴う放送無線環境変動値を計測する放送無線環境変動検知手段と、
第2のタイマがタイムアウトした際に、前記放送インタフェースを起動すると共に、前放送無線環境変動値の計測後、前記放送インタフェースを停止する放送インタフェース起動制御手段と
を有し、
前記無線環境変動値に応じた第2のタイマ値を第2のタイマに設定すると共に、前記失敗カウンタに応じた第1のタイマ値を第1のタイマに設定する
ことを特徴とする請求項9に記載の無線端末。
【請求項14】
前記リンク接続処理手段は、他の無線端末との間のリンクを、リンク切断耐性ネットワーク(DTN)用のプロトコルによって制御することを特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載の無線端末。
【請求項15】
通信インタフェースを有する無線端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
無線品質の変動に伴う無線環境変動値を計測する無線環境変動計測手段と、
前記無線環境変動値に基づいて第1のタイマ値を第1のタイマに設定すると共に、第1のタイマ値の計時を繰り返す第1のタイマ手段と、
第1のタイマがタイムアウトした際に、前記通信インタフェースを一定時間だけ起動する通信インタフェース起動制御手段と、
他の無線端末から発信される所定周波数帯における受信レベルを計測するキャリアセンス手段と、
前記通信インタフェースを起動した後に、又は、前記受信レベルが所定閾値以下である場合、リンク接続要求を含む電波を発信するリンク接続要求発信手段と、
他の無線端末からのリンク接続応答を受信するリンク接続応答受信手段と
前記受信レベルが所定閾値よりも高い場合、又は、他の無線端末からのリンク接続応答を受信した場合、他の無線端末に対してリンク接続シーケンスを実行するリンク接続処理手段と
を有し、
前記通信インタフェース起動制御手段は、前記リンク接続応答を一定時間以上受信できなかった場合、前記通信インタフェースを停止する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする無線端末用のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate