説明

通信システム、ゲートウェイ、パケット通信方法およびプログラム

【課題】送信側ノードからの送信TCPパケットを多重化して送信可能とするとともに、パケットロス時の再送制御の繰り返しを二重に発生させないようにする構成の提供。
【解決手段】 通信システムは、1つ以上のノードが接続された第1、第2のネットワークと、第3のネットワークに対向して配置され、前記第3のネットワークを介して、前記第1、第2のネットワークを接続する第1、第2のゲートウェイと、を有する。前記第1、第2のゲートウェイのうちの一方のゲートウェイがデリミタを用いて、前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットをまとめたTCPパケットを生成し、他方のゲートウェイに送信する。前記他方のゲートウェイは、前記デリミタを用いてTCPパケットを組み立て直した後、受信側ノードに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、ゲートウェイ、パケット通信方法およびプログラムに関し、特に、TCP(Transmission Control Protocol)を用いてコネクション型の通信を行う通信システム、ゲートウェイ、パケット通信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、近くの送信側の端末からデータを受信したTCPプロキシ装置が、受信側の端末の近くのTCPプロキシ装置に対し、UDP(User Datagram Protocol)を用いてデータ転送を行ない、該受信側の端末の近くのTCPプロキシ装置がTCPを用いて受信側の端末にデータ転送を行うデータ転送方法が開示されている。
【0003】
また、サーバを経由した送信側、受信側それぞれ複数のクライアント間の通信において、セッション毎に課金されるネットワークを利用する場合は、複数のセッションを一つに束ねて送信する方法が採られる。一つのセッションに束ねる方法として、各クライアントから送信されるTCPパケットをTCPパケットでカプセル化するTCP over TCPや、TCPパケットをUDPパケットでカプセル化するTCP over UDPなどの方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4229807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のデータ転送方法は、TCPプロキシ装置間のデータ転送を独自の転送技術で行うものである上、TCPプロキシ装置間を専用ネットワークで結ばなければならないという問題点がある。
【0006】
また、セッション毎に課金されるネットワークを利用する場合において複数のセッションを一つに束ねて送信する場合、TCP over TCPでは、ネットワークでパケットロスが発生すると、TCPパケットを送信しているクライアント・ノードと、TCPパケットをカプセル化しているルータなどのゲートウェイとの両方でパケットの再送制御が掛かってしまうという問題点がある。この結果、一つのパケットロスに対して2つの再送制御がかかり2倍のパケットが流れることになり、さらなるパケットロスが発生する可能性がある。
【0007】
また、TCP over UDPは、UDPが利用制限されているネットワークでは利用できないという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、送信側ノードからの送信TCPパケットを多重化して送信可能とするとともに、パケットロス時の再送制御の繰り返しを二重に発生させないようにすることのできる通信システム、ゲートウェイ、パケット通信方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の視点によれば、1つ以上のノードが接続された第1、第2のネットワークと、第3のネットワークに対向して配置され、前記第3のネットワークを介して、前記第1、第2のネットワークを接続する第1、第2のゲートウェイと、を有し、前記第1、第2のゲートウェイのうちの一方のゲートウェイがデリミタを用いて、前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットをまとめたTCPパケットを生成し、他方のゲートウェイに送信し、前記他方のゲートウェイが前記デリミタを用いてTCPパケットを組み立て直す通信システムが提供される。
【0010】
前記第1、第2のゲートウェイは、それぞれ、前記第1のネットワークに接続されたノードと、前記第2のネットワークに接続されたノードとの間で送受信されるTCP(Transmission Control Protocol)パケットを終端する第1のTCP終端部と、前記第3のネットワークを介して対向するゲートウェイと、前記第1のTCP終端部で終端したTCPパケットを送受信する第2のTCP終端部と、前記第1のTCPパケット終端部にて受信した各TCPパケットに所定のデリミタを付与して前記第2のTCPパケット終端部に出力するデリミタ付与部と、前記第2のTCP終端部から受信したTCPパケットに含まれるデリミタに基づいて前記第1のTCPパケット終端部に出力すべきTCPパケットを組み立て直すデリミタ検出部と、を備えて構成される。
【0011】
本発明の第2の視点によれば、それぞれ1つ以上のノードが接続された第1、第2のネットワークと、第3のネットワークに、対向して配置され、前記第3のネットワークを介して、前記第1、第2のネットワークを接続する第1、第2のゲートウェイと、を有する通信ネットワークにおけるパケット転送方法であって、前記第1のゲートウェイが、前記第1のネットワークに接続されたノードから、前記第2のネットワークに接続されたノードに宛てて送信したTCP(Transmission Control Protocol)パケットを終端するステップと、前記終端したTCPパケットにデリミタを付与するステップと、前記付与したデリミタを用いて前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットをまとめたTCPパケットを生成し、前記対向するゲートウェイに送信するステップと、前記対向する前記第2のゲートウェイが、前記TCPパケットに含まれるデリミタに基づいて前記第1のネットワークに接続されたノードから送信されたTCPパケットを組み立て直すステップと、前記組み立て直したTCPパケットを、前記第2のネットワークに接続されたノードに送信するステップと、を含むパケット通信方法が提供される。本方法は、第3のネットワーク上に対向して配置され、2つのネットワークを接続する第1、第2のゲートウェイという、特定の機械に結びつけられている。
【0012】
本発明の第3の視点によれば、それぞれ1つ以上のノードが接続された第1、第2のネットワークを接続する第3のネットワークに配置されたゲートウェイを構成するコンピュータに実行させるプログラムであって、前記第1のネットワークに接続されたノードから、前記第2のネットワークに接続されたノードに宛てて送信したTCP(Transmission Control Protocol)パケットを終端する処理と、前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットに所定のデリミタを付与する処理と、前記付与したデリミタを用いて前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットをまとめて、前記対向するゲートウェイに送信するためのTCPパケットを生成する処理と、前記第3のネットワークを介して対向する前記第2のゲートウェイと、前記終端したTCPパケットを送受信する処理とを、前記コンピュータに実行させるプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の端末からの送信TCPパケットを多重化して送信可能とするとともに、パケットロス時の再送制御の繰り返しを二重に発生させないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を表したブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のネットワークゲートウェイの詳細構成を表したブロック図である。
【図3】図2のLAN側TCP終端部からスクランブル部に出力されるパケットの構成を表した図である。
【図4】図2のEOF付与部からWAN側TCP終端部に出力されるパケットの構成を表した図である。
【図5】図2のWAN側TCP終端部からEOF検出部に出力されるパケットの構成を表した図である。
【図6】図2のデスクランブル部からLAN側TCP終端部に出力されるパケットの構成を表した図である。
【図7】本発明の第1の実施形態のゲートウェイの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、本発明の概要について説明する。図1に示すように、本発明は、1つ以上のノード(第1、第nのクライアント1、2)が配置されている第1のネットワークと第3のネットワーク(図1の符号4)とを接続する第1のゲートウェイ(第1のネットワークゲートウェイ3)と、1つ以上のノード(第1、第nのサーバ6、7)が配置されている第2のネットワークと第3のネットワーク(図1の符号4)とを接続する第2のゲートウェイ(第2のネットワークゲートウェイ5)と、により実現される。
【0016】
第1、第nのクライアント1、2のいずれかまたは双方が、第1、第nのサーバ6、7のいずれかに宛ててTCPパケットを送信した場合、前記第1のゲートウェイは、一旦自装置でTCPパケットを終端し、これらTCPパケットに適当なデリミタを付した上で、新規に第2のゲートウェイ宛てのTCPパケットを組み立てて送信する。すなわち、図1のLAN区間とWAN区間とではそれぞれ別の通信コネクションが張られることになる。
【0017】
前記第2のゲートウェイは、前記組み立てられたTCPパケットを受信すると、デリミタを用いて、第1、第nのクライアント1、2から送信されたTCPパケットを復元した後に、宛先となっているサーバに転送する。
【0018】
以上により、本発明によれば、パケットロスが生じても、当該パケットロスが生じた区間の再送制御で済むことになる。また、本発明は、UDPが使用できないネットワークにも適用することが可能である。
【0019】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の構成を表したブロック図である。
【0020】
図1を参照すると、第1のクライアント1と、第nのクライアント2は、LAN(Local Area Network)上に配置され、第1のネットワークゲートウェイ3と接続されている。なお、図1では、クライアント1と、クライアント2の2つのクライアントを示しているが、クライアントの数は1つ以上であれば特に限定されない。
【0021】
第1のサーバ6と、第nのサーバ7は、LAN(Local Area Network)上に配置され、第2のネットワークゲートウェイ5と接続されている。なお、図1では、サーバ6と、サーバ7の2つのサーバを示しているが、サーバの数も特に限定されない。
【0022】
第1のネットワークゲートウェイ3と第2のネットワークゲートウェイ5は、UDPが使用できないネットワーク4で接続されている。ここでは、ネットワーク4は、WAN(Wide Area Network)であるものとする。
【0023】
第1のネットワークゲートウェイ3は、第1のクライアント1と第nのクライアント2など1つ以上のクライアントと接続され、各クライアントから送信されたパケットを多重してネットワーク4を介して第2のネットワークゲートウェイ5に送信する。また、第1のネットワークゲートウェイ3は、ネットワーク4側から受信した多重化パケットを分離して各クライアント1、2に送信する。
【0024】
第2のネットワークゲートウェイ5は、第1のサーバ6と第nのサーバ7など1つ以上のサーバと接続され、各サーバから送信されたパケットを多重してネットワーク4を介して第1のネットワークゲートウェイ3に送信する。また、第2のネットワークゲートウェイ5は、ネットワーク4側から受信した多重化パケットを分離して各サーバ6、7に送信する。
【0025】
図2は、上記第1、第2のネットワークゲートウェイの詳細構成を表したブロック図である。
【0026】
図2を参照すると、第1のネットワークゲートウェイ3(第2のネットワークゲートウェイ5)は、それぞれLAN側TCP終端部(第1のTCP終端部)31と、スクランブル部32と、EOF付与部33と、WAN側TCP終端部(第2のTCP終端部)34と、EOF検出部35と、デスクランブル部36とを備えて構成されている。なお、前記第1のネットワークゲートウェイ3(第2のネットワークゲートウェイ5)の各構成は、それぞれハードウェアまたは第1、第2のネットワークゲートウェイ3、5を構成するコンピュータに実行させるプログラムにより実現することができる。
【0027】
LAN側TCP終端部31は、LAN経由で、第1、第nのクライアント1、2とのTCPセッションを終端する。また、LAN側TCP終端部31は、第1、第nのクライアント1、2から受信したTCPパケットをスクランブル部32に入力し、デスクランブル部36から出力されたTCPパケットをLAN経由でクライアント1、2に送信する。図3は、LAN側TCP終端部31からスクランブル部32に出力されるパケット101の構成を表した図である。各パケット101に示された符号中の先頭のアルファベットは、クライアント(AまたはB)を表し、2桁目の数字は、各クライアントからの送信順序を表すものとする。
【0028】
スクランブル部32は、LAN側TCP終端部31から入力されたTCPパケットにスクランブル処理を施して、EOF付与部33に出力する。
【0029】
EOF付与部33は、スクランブル部32にてスクランブル処理が施されたパケットにデリミタとして用いるEOF(End Of File)コードを付与して、WAN側TCP終端部34に出力する。図4は、EOF付与部33からWAN側TCP終端部34に出力されるパケットの構成を表した図であり、図3に例示したパケットにそれぞれスクランブル処理を施したものにEOFコードを付した構成となっている。
【0030】
なお、前記EOF付与部33にてデリミタとして付与するEOFコードとしては、スクランブル後のデータに存在しないパターンが使用される。例えば、スクランブルの生成多項式をX8+1とした場合、00 00 55hなど、連続の“0”信号を挿入し、スクランブル後のデータに存在しないパターンを用いることができる。
【0031】
WAN側TCP終端部34は、ネットワーク4を挟んで対向しているもう一方のネットワークゲートウェイ(例えば、第2のネットワークゲートウェイ5)とのTCPセッションを終端する。また、WAN側TCP終端部34は、EOF付与部33から出力されたパケットを所定の規則によりまとめた新規のTCPパケットを生成して、WAN経由で前記もう一方のネットワークゲートウェイ(例えば、第2のネットワークゲートウェイ5)に送信する。より具体的には、WAN側TCP終端部34は、EOF付与部33から出力されたパケットを連結した上で、所定のサイズに切り出した上で、ネットワーク4への送出用の新しいTCPヘッダを付して、前記もう一方のネットワークゲートウェイに送出する。
【0032】
また、WAN側TCP終端部34は、前記もう一方のネットワークゲートウェイ(例えば、第2のネットワークゲートウェイ5)から受信したパケットをEOF検出部35に出力する。図5は、WAN側TCP終端部34がネットワーク4側から受信し、EOFに検出部35に出力するパケットの構成を表した図であり、図4のEOF付きパケット102を連結して所定のサイズで分離した構成となっている。
【0033】
EOF検出部35は、WAN側TCP終端部34から入力されたパケットに含まれるEOFコードを検出して、第1、第nのサーバ6、7から送信されたTCPパケットを組み立て直す処理を行って、デスクランブル部36に出力する。より具体的には、EOF検出部35は、WAN側TCP終端部34から入力されたパケットを順次繋ぎ合わせて、その中に含まれるEOFコードを基準に、第1、第nのサーバ6、7から送信されたスクランブル済みTCPパケットを切り出す処理を実行する。
【0034】
デスクランブル部36は、EOF検出部35から出力されたスクランブル済みTCPパケットにデスクランブル処理(スクランブル処理の逆変換)を施して、LAN側TCP終端部31に出力する。図6は、デスクランブル部36からLAN側TCP終端部31に出力されるパケットの構成を表した図であり、デスクランブル処理により、元のTCPパケットのヘッダとデータが復元されている。
【0035】
続いて、本実施形態の動作について図7を参照して詳細に説明する。まず、LAN側のノード(第1、第nのクライアント1、2または第1、第nのサーバ6、7)から送信されたTCPパケットを、WAN側に送信するまでの流れを説明する。
【0036】
図7に示すように、LAN側TCP終端部31は、LAN側のノードとのTCPセッションを終端し、当該ノードのIPアドレスやポート番号などのTCPヘッダ情報を付与した状態のTCPパケットを、スクランブル部32に出力する。
【0037】
この時点での出力パケット101は、図7および図3に示したように、クライアント毎のパケットに分かれている。
【0038】
スクランブル部32は、上記各パケット101にスクランブル処理を施し、EOF付与部33に出力する。
【0039】
EOF付与部33は、スクランブル済みのパケットの最後にパケットの最後を示すEOFコードを付与して、WAN側TCP終端部34に出力する。
【0040】
この時点での出力パケット102は、図7および図4に示したように、クライアント毎のスクランブル済みパケットにEOFコードが付与されたものとなっている。
【0041】
WAN側TCP終端部34は、前記入力されたパケットを用いて、WAN側のTCPのパケットを組み立てて、ネットワーク4に送信する。
【0042】
続いて、上述のようにWAN側に送信されたTCPパケットを受け取り、LAN側のノード(第1、第nのクライアント1、2または第1、第nのサーバ6、7)に送信するまでの流れを説明する。
【0043】
WAN側TCP終端部34は、ネットワーク4側のネットワークゲートウェイ(例えば、第1のネットワークゲートウェイ3)とのTCPセッションを終端し、当該ネットワークゲートウェイから上記のように新たに組み立てられたTCPパケットを受信すると、EOF検出部35に出力する。
【0044】
この時点での出力パケット103は、図7および図5に示したように、EOFコードを用いて各送信元ノードからのTCPパケットを結合し、また、所定のサイズに切り出された状態となっている。
【0045】
EOF検出部35は、受信したパケット103を繋ぎ合わせた後、その中から送信元ノードで付与されたEOFコードを探し、EOFコードに挟まれた部分をTCPパケットとしてデスクランブル部36に出力する。
【0046】
デスクランブル部36は、出力したパケットをデスクランブルし、LAN側TCP終端部31に出力する。
【0047】
この時点での出力パケット104は、図7および図6に示したように、それぞれヘッダ情報を有するクライアント毎のパケットに分かれている。
【0048】
LAN側TCP終端部31は、デスクランブル部36から出力されたTCPパケットをLAN側に送信する。
【0049】
ここで、例えば、図5のWAN側TCP終端部34からEOF検出部35への出力パケット103の3個目のパケット(A2スクランブル+EOF+B2スクランブル)がパケットロスにより受信できなかった場合を考える。この場合であっても、EOF検出部35は、受信できた図5の1個目、2個目のパケットから、A1、B1のパケットを切り出すことができ、デスクランブル部36に出力することができる。
【0050】
そして、A2の後半部およびB2が含まれる図5の3個目のパケット103の再送要求を、送信側ネットワークゲートウェイのWAN側TCP終端部34に送信する。このように、1回のしかもWAN区間のみの再送制御で、A2、B2のパケットを組み立てなおすことが可能になる。
【0051】
以上の実施形態の説明から明らかなように、本発明によれば、UDPの使用が出来ないネットワークにおいても複数のクライアントからのTCPパケットを多重して一つのセッションとして送信することが可能になる。これにより、セッション毎に回線料金が必要なネットワークにおいても、複数のクライアントからのデータを1回線分の回線料金で送信することが可能になる。その理由は、UDPの使用が出来ないネットワークを対向して配置されたネットワークゲートウェイでそれぞれTCPを終端してから、パケットをTCPで組み直して送信しているためである。
【0052】
また、本発明によれば、冒頭に述べたTCP over TCPのようなパケットロス時における2重の再送制御を防止することが可能になる。その理由は、上記のように、ネットワークゲートウェイでそれぞれTCPを終端してから、パケットをTCPで組み直して送信しているためである。
【0053】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、第1〜第3のネットワークのいずれかが無線ネットワークであってもよく、その際に、適宜、W−TCP等の無線区間に適したパラメータを設定して本発明を実施することも可能である。
【符号の説明】
【0054】
101〜104 パケット
1 第1のクライアント
2 第nのクライアント
3 第1のネットワークゲートウェイ
4 ネットワーク
5 第2のネットワークゲートウェイ
6 第1のサーバ
7 第nのサーバ
31 LAN側TCP終端部(第1のTCP終端部)
32 スクランブル部
33 EOF付与部
34 WAN側TCP終端部(第2のTCP終端部)
35 EOF検出部
36 デスクランブル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ1つ以上のノードが接続された第1、第2のネットワークと、
第3のネットワーク上に対向して配置され、前記第3のネットワークを介して、前記第1、第2のネットワークを接続する第1、第2のゲートウェイと、を有し、
前記第1、第2のゲートウェイは、それぞれ、
前記第1のネットワークに接続されたノードと、前記第2のネットワークに接続されたノードとの間で送受信されるTCP(Transmission Control Protocol)パケットを終端する第1のTCP終端部と、
前記第3のネットワークを介して対向するゲートウェイと、前記第1のTCP終端部で終端したTCPパケットを送受信する第2のTCP終端部と、
前記第1のTCPパケット終端部にて受信した各TCPパケットに所定のデリミタを付与して前記第2のTCPパケット終端部に出力するデリミタ付与部と、
前記第2のTCP終端部から受信したTCPパケットに含まれるデリミタに基づいて前記第1のTCPパケット終端部に出力すべきTCPパケットを組み立て直すデリミタ検出部と、を備え、
前記第2のTCP終端部は、前記デリミタ付与部にて付与したデリミタを用いて前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットをまとめたTCPパケットを生成し、前記対向するゲートウェイに送信すること、
を特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1、第2のゲートウェイは、さらに、
前記第1のTCP終端部にて受信したTCPパケットにスクランブル処理を施すスクランブル部と、
前記終端データ検出部にて取り出されたTCPパケットにデスクランブル処理を施すデスクランブル部と、を備え、
前記デリミタとして、前記スクランブル処理で生じ得ないパターンを用いる請求項1の通信システム。
【請求項3】
前記第2のTCP終端部は、前記デリミタが付加されたデータを連結し、所定のサイズに切り出して前記第3のネットワークへの送出用の新しいヘッダを付加することにより、前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットをまとめたTCPパケットを生成し、
前記デリミタ検出部は、前記第2のTCP終端部から受信したTCPパケットを連結し、前記デリミタに挟まれたデータを切り出すことにより、前記第1のTCPパケット終端部に出力すべきTCPパケットを組み立て直す請求項1または2の通信システム。
【請求項4】
前記第3のネットワークは、UDP(User Datagram Protocol)の利用が制限されているネットワークである請求項1から3いずれか一の通信システム。
【請求項5】
前記1つ以上のノードが接続された第1、第2のネットワークを接続する第3のネットワークに配置され、
前記第1のネットワークに接続されたノードと、前記第2のネットワークに接続されたノードとの間で送受信されるTCP(Transmission Control Protocol)パケットを終端する第1のTCP終端部と、
前記第3のネットワークを介して対向するゲートウェイと、前記第1のTCP終端部で終端したTCPパケットを送受信する第2のTCP終端部と、
前記第1のTCPパケット終端部にて受信した各TCPパケットに所定のデリミタを付与して前記第2のTCPパケット終端部に出力するデリミタ付与部と、
前記第2のTCP終端部から受信したTCPパケットに含まれるデリミタに基づいて前記第1のTCPパケット終端部に出力すべきTCPパケットを組み立て直すデリミタ検出部と、を備え、
前記第2のTCP終端部は、前記デリミタ付与部にて付与したデリミタを用いて前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットをまとめたTCPパケットを生成し、前記対向するゲートウェイに送信すること、
を特徴とするゲートウェイ。
【請求項6】
さらに、
前記第1のTCP終端部にて受信したTCPパケットにスクランブル処理を施すスクランブル部と、
前記終端データ検出部にて取り出されたTCPパケットにデスクランブル処理を施すデスクランブル部と、を備え、
前記デリミタとして、前記スクランブル処理で生じ得ないパターンを用いる請求項5のゲートウェイ。
【請求項7】
前記第2のTCP終端部は、前記デリミタが付加されたデータを連結し、所定のサイズに切り出して前記第3のネットワークへの送出用の新しいヘッダを付加することにより、前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットをまとめたTCPパケットを生成し、
前記デリミタ検出部は、前記第2のTCP終端部から受信したTCPパケットを連結し、前記デリミタに挟まれたデータを切り出すことにより、前記第1のTCPパケット終端部に出力すべきTCPパケットを組み立て直す請求項5または6のゲートウェイ。
【請求項8】
それぞれ1つ以上のノードが接続された第1、第2のネットワークと、
第3のネットワークに、対向して配置され、前記第3のネットワークを介して、前記第1、第2のネットワークを接続する第1、第2のゲートウェイと、を有する通信ネットワークにおけるパケット転送方法であって、
前記第1のゲートウェイが、前記第1のネットワークに接続されたノードから、前記第2のネットワークに接続されたノードに宛てて送信したTCP(Transmission Control Protocol)パケットを終端するステップと、
前記終端したTCPパケットにデリミタを付与するステップと、
前記付与したデリミタを用いて前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットをまとめたTCPパケットを生成し、前記対向するゲートウェイに送信するステップと、
前記対向する前記第2のゲートウェイが、前記TCPパケットに含まれるデリミタに基づいて前記第1のネットワークに接続されたノードから送信されたTCPパケットを組み立て直すステップと、
前記組み立て直したTCPパケットを、前記第2のネットワークに接続されたノードに送信するステップと、
を含むパケット通信方法。
【請求項9】
それぞれ1つ以上のノードが接続された第1、第2のネットワークを接続する第3のネットワークに配置されたゲートウェイを構成するコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記第1のネットワークに接続されたノードから、前記第2のネットワークに接続されたノードに宛てて送信したTCP(Transmission Control Protocol)パケットを終端する処理と、
前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットに所定のデリミタを付与する処理と、
前記付与したデリミタを用いて前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットをまとめて、前記対向するゲートウェイに送信するためのTCPパケットを生成する処理と、
前記第3のネットワークを介して対向する前記第2のゲートウェイと、前記終端したTCPパケットを送受信する処理とを、前記コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項10】
さらに、
前記対向する前記第2のゲートウェイから受信したTCPパケットに含まれるデリミタに基づいて前記1つ以上のノードに送信すべきTCPパケットを組み立て直す処理と、
前記組み立て直したTCPパケットを、前記第1のネットワークに接続されたノードに送信する処理とを、
前記コンピュータに実行させる請求項9のプログラム。
【請求項11】
さらに、
前記1つ以上のノードから受信したTCPパケットに施すスクランブル処理と、
前記1つ以上のノードに送信すべきTCPパケットに施すデスクランブル処理と、前記コンピュータに実行させ、
前記デリミタとして、前記スクランブル処理で生じ得ないパターンを用いる請求項9または10のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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