説明

通信システム、光回線端末装置および情報処理方法

【課題】通信速度に関して、複数種のサービスを利用可能にした通信システムを提供する。
【解決手段】複数種のデータに対応する複数の識別子を予め記憶し、ネットワークを介して受信する複数種のデータのそれぞれに、データの種類に対応する識別子を付与した後、複数種のデータを多重化し、多重化したデータを光信号に変換して光回線を介して出力する光回線基地局装置と、複数種のデータのうち、少なくとも1種類のデータの識別子を予め記憶し、光回線を介して光回線基地局装置から受信する光信号を電気信号に変換した後、電気信号による複数種のデータのそれぞれに含まれる識別子を読み出し、予め記憶した識別子に一致する識別子を含むデータを抽出して出力する光回線端末装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回線で信号を送受信する通信システム、光回線端末装置、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムの一形態として、PON(Passive Optical Network)システムが知られている(特許文献1)。このシステムは、ユーザ宅までデータが光回線で伝送されるため、ユーザ数が一定以上あれば、低コストで高速広帯域通信が可能になるという利点がある。
【0003】
PONシステムには、ギガビットイーサネットの規格と融合させたGE−PON(Gigabit Ethernet - PON)がある(「イーサネット」および「Ethernet」は登録商標)。近年の広帯域化に伴って、1Gbpsや2Gbpsなどの複数種の通信速度のサービスをユーザに提供可能となり、ユーザは、複数種の通信速度のサービスの中から、ニーズに合わせて1つのサービスを選択できるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−295151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、同一の通信システムで、複数種の通信速度のサービスをユーザに提供できないという問題がある。例えば、通信速度が1Gbpsと2Gbpsの2種類のサービスを、同一のPONシステムで提供することができないため、ユーザのニーズに合わせて、通信速度のサービス毎に異なるPONシステムを別々に設ける必要があった。
【0006】
本発明は上述したような技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、通信速度に関して、複数種のサービスを利用可能にした通信システム、光回線端末装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の通信システムは、
複数種のデータに対応する複数の識別子を予め記憶し、ネットワークを介して受信する複数種のデータのそれぞれに、該データの種類に対応する識別子を付与した後、複数種のデータを多重化し、多重化したデータを光信号に変換して光回線を介して出力する光回線基地局装置と、
前記複数種のデータのうち、少なくとも1種類のデータの識別子を予め記憶し、前記光回線を介して前記光回線基地局装置から受信する光信号を電気信号に変換した後、該電気信号による複数種のデータのそれぞれに含まれる識別子を読み出し、予め記憶した識別子に一致する識別子を含むデータを抽出して出力する光回線端末装置と、
を有する。
【0008】
また、本発明の光回線端末装置は、複数種のデータを多重化した電気信号を光信号に変換して出力する光回線基地局装置に光回線で接続される光回線端末装置であって、
前記複数種のデータに対応する複数の識別子のうち、少なくとも1種類のデータの識別子を記憶するメモリと、
前記光回線を介して前記光回線基地局装置から受信する光信号を電気信号に変換する信号変換部と、
前記信号変換部から受信する電気信号による前記複数種のデータのそれぞれに含まれる識別子を読み出し、前記メモリが記憶した識別子に一致する識別子を含むデータを抽出して出力する選択部と、
を有する。
【0009】
さらに、本発明の情報処理方法は、複数種のデータを多重化した電気信号を光信号に変換して出力する光回線基地局装置と、該光回線基地局装置に光回線を介して接続される光回線端末装置とによる情報処理方法であって、
前記光回線端末装置は、データの種類毎に異なる識別子が付与された、前記複数種のデータのうち、少なくとも1種類のデータの識別子を予め記憶し、
前記光回線基地局装置は、ネットワークを介して受信する複数種のデータのそれぞれに、前記識別子を付与した後、複数種のデータを多重化した前記光信号を前記光回線端末装置に送信し、
前記光回線端末装置は、前記光回線を介して前記光回線基地局装置から受信する光信号を電気信号に変換し、
前記光回線端末装置は、前記電気信号による複数種のデータのそれぞれに含まれる識別子を読み出し、予め記憶した識別子に一致する識別子を含むデータを抽出して出力するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、同一の通信システムで、複数種の通信速度のサービスをユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の通信システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示したアクセス端末が複数ある場合の通信システムの一構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示したアクセス基地局装置の一構成例を示すブロック図である。
【図4】図2に示したアクセス端末の構成例を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態の通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図6】第1の実施形態の通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【図7】第1の実施形態における通信フレームのイメージを示す図である。
【図8】第1の実施形態に適用可能な通信速度を示す表である。
【図9】第2の実施形態の通信システムの一構成例を示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態における通信フレームのイメージを示す図である。
【図11】第2の実施形態に適用可能な通信速度を示す表である。
【図12】第3の実施形態における通信フレームのイメージを示す図である。
【図13】第3の実施形態に適用可能な通信速度を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本実施形態の通信システムの構成を説明する。
【0013】
図1は本実施形態の通信システムの一構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、通信システムは、IP(Internet Protocol)ネットワーク5に接続されるアクセス基地局装置10と、アクセス基地局装置10に接続されるアクセス端末20とを有する。アクセス端末20はユーザ端末30と接続され、アクセス端末20およびユーザ端末30はユーザ宅に設けられている。アクセス端末20とユーザ端末30との通信接続は有線であっても、無線であってもよい。ユーザ端末30は、パーソナルコンピュータおよびPDA(Personal Digital Assistant)などの情報処理装置である。
【0015】
図2はアクセス基地局装置が複数のアクセス端末と接続される場合の通信システムの一構成例を示すブロック図である。
【0016】
アクセス端末20a〜20cは、光回線および光スプリッタ40を介してアクセス基地局装置10と接続される。図2では、1つの光スプリッタ40に接続可能なアクセス端末の数が3つの場合を示しているが、その数は光スプリッタ40の仕様で決まり、アクセス端末の数は3つに限らない。
【0017】
本実施形態では、ユーザにデータを提供する側のサービスとして、1Gbpsの通信速度でコンテンツを提供するサービス(以下では、サービスAと称する)と、1Gbpsの通信速度でコンテンツを提供する別のサービス(以下では、サービスBと称する)との2種類があるものとする。これらのサービスをデータサービスと称する。
【0018】
また、本実施形態の通信システムでは、サービスAやサービスBのデータを利用するユーザに対して、受信するデータの通信速度について選択可能なサービスを提供している。本実施形態では、ユーザは、1Gbpsの通信速度でデータを受信するサービス(以下では、1Gサービスと称する)と、2Gbpsの通信速度でデータを受信するサービス(以下では、2Gサービスと称する)のいずれかを選択することが可能である。これらのサービスを通信速度サービスと称する。
【0019】
アクセス基地局装置10はOLT(Optical Line Terminal)と呼ばれている装置に相当し、アクセス端末20はONU(Optical Network Unit)と呼ばれている装置に相当する。それぞれの用語を日本語に直訳すれば、OLTは光回線終端装置であり、ONUは光回線網部となるが、アクセス基地局装置10は複数のアクセス端末20a〜20cと光信号を送受信し、基地局として機能することから、本発明では、アクセス基地局装置10を光回線基地局装置とし、アクセス端末20a〜20cを光回線端末装置とする。
【0020】
また、本実施形態の通信システムでは、アクセス基地局装置10からアクセス端末20a〜20c方向への下り信号だけでなく、アクセス端末20a〜20cからアクセス基地局装置10方向への上り信号の送受信も行う。本発明は、下り信号に関する処理に特徴を有しているため、本実施形態では、上り信号に関する処理についての詳細な説明を省略する。
【0021】
次に、アクセス基地局装置10の構成を説明する。図3は図2に示したアクセス基地局装置の一構成例を示すブロック図である。
【0022】
アクセス基地局装置10は、図に示さないサーバ等の情報処理装置からIPネットワーク5を介して入力されるデータを光スプリッタ40を介してアクセス端末20a〜20cに配信する。アクセス基地局装置10は、最大2Gbpsの通信速度でデータ転送を行う2Gモードで動作する。
【0023】
図3に示すように、アクセス基地局装置10は、データ複合部11と、信号変換部12と、記憶部13とを有する。記憶部13には、データサービス毎に異なる識別子であるサービスIDが格納される。
【0024】
ユーザが選択可能な通信速度サービスの情報およびデータサービスのサービスIDの情報は、アクセス端末20がアクセス基地局装置10と光回線を介して初めに通信可能に接続されたときに、アクセス基地局装置10からアクセス端末20を介してユーザ端末30に提供される。
【0025】
サービスIDは、アクセス端末20がアクセス基地局装置10と光回線を介して初めに通信可能に接続された後、ユーザがユーザ端末30を操作して通信速度サービスとデータサービスを指定することで、データサービスに対応するサービスIDがユーザ端末30からアクセス端末20を介してアクセス基地局装置10に送信され、記憶部13に登録される。また、ユーザがユーザ端末30を操作することで、記憶部13に登録されるサービスIDを更新できるようにしてもよい。
【0026】
データ複合部11は、IPネットワーク5を介して複数種のデータサービスのデータを受信すると、データをパケット化し、記憶部13を参照して各パケットのヘッダにそのデータサービスに対応するサービスIDを書き込む。つまり、本実施形態では、サービスAとサービスBのデータがデータ複合部11に入力されるので、データ複合部11は、サービスAのデータのパケットのヘッダにサービスAのサービスIDを付与し、サービスBのデータのパケットのヘッダにサービスBのサービスIDを付与する。続いて、データ複合部11は、複数種のデータサービスのパケットを時分割多重化(TDM:Time Division Multiplexing)して信号変換部12に渡す。信号変換部12は、データ複合部11から受け取る電気信号を光信号に変換して光スプリッタ40に送信する。
【0027】
信号変換部12は、ゲートアレイのような専用回路で構成されている。なお、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)と、プログラムを記憶するメモリ(不図示)がアクセス基地局装置10に設けられ、CPUがプログラムを実行することで、信号変換部12が仮想的に構成されてもよい。
【0028】
図4は図2に示したアクセス端末の構成例を示すブロック図である。図4(a)は1Gサービスを利用するアクセス端末20a、20cの構成を示し、図4(b)は2Gサービスを利用するアクセス端末20bの構成を示す。アクセス端末20a、20cは、同様な構成であるため、アクセス端末20aの場合で説明する。
【0029】
図4(a)に示すように、アクセス端末20aはデータ変換部21を有する。データ変換部21にはメモリ24が設けられており、データ変換部21は、指定された通信速度サービスの情報およびデータサービスのサービスIDをユーザ端末30a受信すると、それらの情報を自装置内のメモリ24に格納するとともに、サービスIDをアクセス基地局装置10に送信する。データ変換部21は、指定された通信速度サービスの通信速度を越えるデータサービスを指定する情報がユーザ端末30aから受信すると、データサービスが正しく選択されていない旨のメッセージをユーザ端末30aに送信してユーザに通知する。
【0030】
本実施形態では、アクセス端末20aは、1Gサービスを利用可能に設定されているため、サービスAおよびサービスBのうち、いずれか一方のみしか利用できない。本実施形態では、サービスAのサービスIDのみがメモリ24に登録されている場合で説明するが、サービスAの代わりに、サービスBのサービスIDが登録されていてもよい。
【0031】
データ変換部21は、光信号を電気信号に変換する信号変換部22と、信号変換部22から出力される電気信号によるパケットからサービスAのパケットを抽出するパケット選択部23とを有する。パケット選択部23は、信号変換部22から受け取る通信フレームのパケットのヘッダに含まれる識別子を読み出し、それらのパケットのうち、メモリ24に登録されているサービスIDに一致する識別子がヘッダに付与されたパケットを抽出してユーザ端末30aに送信し、それ以外のパケットを廃棄する。
【0032】
図4(b)に示すように、アクセス端末20bはデータ復元部25を有する。データ復元部25は、光信号を電気信号に変換する信号変換部22と、電気信号に変換されたパケットを順にユーザ端末30bに送信する復元部26とを有する。アクセス端末20bは、本実施形態の通信システムが提供する最大通信速度(2Gbps)でデータを受信するように設定されているので、1つの通信フレームに1GbpsのサービスAのデータと1GbpsのサービスBのデータが含まれていても、ユーザ端末30に送信するパケットを選別する必要がない。そのため、アクセス端末20bでは、アクセス端末20aのようにデータサービスのサービスIDを登録しておく必要がない。
【0033】
なお、アクセス端末20bは、アクセス端末20aと同様な構成であってもよい。この場合、データ変換部21のメモリ24には、サービスAとサービスBのそれぞれのサービスIDが予め登録される。また、通信システムで提供される、最大通信速度のサービスを利用するアクセス端末であれば、通信速度が2Gbpsの場合に限らず、図4(b)に示す装置を適用することが可能である。
【0034】
また、パケット選択部23は、ゲートアレイのような専用回路で構成されているが、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)がアクセス端末20に設けられ、メモリ24がプログラムを記憶し、CPUがメモリ24に格納されたプログラムを実行することで、パケット選択部23が仮想的に構成されてもよい。
【0035】
次に、本実施形態の通信システムの動作を説明する。図5は本実施形態の通信システムの動作を説明するためのブロック図である。図6は本実施形態の通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。図7は通信フレームのイメージの一例を示す図である。
【0036】
アクセス基地局装置10は、サービスAのデータとサービスBのデータをIPネットワーク5を介してサーバ(不図示)から受信すると、サービスAのデータのパケットのヘッダにサービスAのサービスIDを付与し、サービスBのデータのパケットのヘッダにサービスBのサービスIDを付与する。続いて、アクセス基地局装置10は、複数種のサービスのパケットを時分割多重化し(ステップ101)、多重化後の電気信号を光信号に変換して光スプリッタ40を介してアクセス端末20a、20bに送信する(ステップ102)。
【0037】
ステップ101で多重化する際、アクセス基地局装置10のデータ複合部11から出力される通信フレームは、図7に示すようになる。図7では、2つの通信フレームの例を示し、各データのパケットを区別するために、サービスAのデータとサービスBのデータを複合したときのパケットにシリアル番号として、#1〜#4を付与している。アクセス基地局装置10は、2Gモードで動作しているため、サービスAのデータとサービスBのデータを複合して、それぞれの単位時間あたりのデータを2Gbpsで送信可能な通信フレームを生成する。
【0038】
アクセス端末20a、20bのそれぞれは、アクセス基地局装置10から光信号を受信すると、光信号を電気信号に変換する(ステップ103、104)。電気信号に変換した後の通信フレームは、図7に示す、データ複合部11から出力される通信フレームと同等である。アクセス端末20aは、電気信号に変換されたパケットのうち、データ変換部21のメモリ24に登録されているサービスAの識別子に一致する識別子がヘッダに付与されたパケットを抽出してユーザ端末30aに送信する(ステップ105)。このときの通信フレームのイメージは、図7に示すように、#1のパケット(サービスA)と#3のパケット(サービスA)を含んでいるが、サービスBのパケットは除かれている。
【0039】
ユーザ端末30aは、アクセス端末20aからサービスAのデータのパケットを受信すると、送信元のサーバ(不図示)からの送信順にパケットを並べたコンテンツを生成して表示する(ステップ107)。
【0040】
一方、アクセス端末20bは、電気信号に変換されたパケットをユーザ端末30bに送信する(ステップ106)。このときの通信フレームのイメージは、図7に示すように、データ複合部11の出力と同等である。ユーザ端末30bは、アクセス端末20bからサービスAのデータのパケットとサービスBのデータのパケットを受信すると、送信元のサーバ(不図示)からの送信順にパケットを並べたコンテンツを生成して表示する(ステップ108)。
【0041】
なお、本実施形態では、サービスAの通信速度が1Gbpsであり、サービスBの通信速度が1Gbpsであり、アクセス基地局装置10およびアクセス端末20a〜20cの対応可能な通信速度が2Gbpsの場合で説明したが、将来、通信速度が大きくなる場合も考えられる。その場合でも、本実施形態を適用することが可能である。
【0042】
図8は本実施形態に適用可能な通信速度を示す表である。図8に示す表の1行目の場合が上述の実施形態に相当する。2行目は、最大通信速度が4Gbpsの通信速度サービスを提供可能にした通信システムの場合を示す。この場合、アクセス基地局装置10およびアクセス端末20a〜20cは4Gbpsに対応可能であれば、上述の実施形態を適用することが可能である。また、図8に示す表では、最大通信速度が10Gbpsの場合までしか記載していないが、それ以上であってもよい。
【0043】
本実施形態によれば、アクセス端末は、複数種のデータを含むフレームを受け取っても、自装置で選択すべきデータのIDが予め登録されているため、そのIDを含むデータを複数種のデータから抽出することが可能となる。そのため、アクセス基地局装置の配下に、通信速度に関して、異なるサービス種のアクセス端末が混在しても、各アクセス端末が、自装置のサービス種の通信速度で受信するデータを抽出するため、同一の通信システムで、複数種の通信速度サービスをユーザに提供することができる。
【0044】
なお、ブロードキャストやマルチキャストなどのように、アクセス基地局装置の配下の全てのユーザ端末にデータを送信したい場合もある。この場合、送信するデータの通信速度を、アクセス基地局装置の配下のアクセス端末が利用している通信速度サービスのうち、通信速度が最も小さいサービスに合わせる。本実施形態では、アクセス端末20a、20cに合わせて、1Gbpsでデータ送信を行えばよい。
【0045】
(第2の実施形態)
本実施形態は、データを提供する側のサービスの種類が3つ以上の場合である。
【0046】
本実施形態では、データサービスとして、第1の実施形態で説明したサービスAおよびサービスBの他に、1Gbpsの通信速度でコンテンツを提供する別のサービス(以下では、サービスCと称する)を含む3種類があるものとする。また、本実施形態の通信システムでは、ユーザは、第1の実施形態で説明した1Gサービスおよび2Gサービスの他に、3Gbpsの通信速度でデータを受信するサービス(以下では、3Gサービスと称する)のいずれかの通信速度サービスを選択することが可能であるものとする。また、アクセス基地局装置10は最大3Gbpsの通信速度でデータ転送を行う3Gモードで動作する。
【0047】
ユーザ端末30aのユーザは1Gサービスを利用し、ユーザ端末30bのユーザは3Gサービスを利用し、ユーザ端末30cのユーザは2Gサービスを利用しているものとする。
【0048】
本実施形態の通信システムを説明する。図9は本実施形態の通信システムの一構成例を示すブロック図である。以下では、第1の実施形態と異なる点を詳細に説明し、第1の実施形態と同様な構成についての詳細な説明を省略する。
【0049】
図9に示すアクセス基地局装置10のデータ複合部11は、IPネットワーク5を介して複数種のサービスA、BおよびCのそれぞれのデータを受信すると、サービスAのデータのパケットのヘッダにサービスAのサービスIDを付与し、サービスBのデータのパケットのヘッダにサービスBのサービスIDを付与し、サービスCのデータのパケットのヘッダにサービスCのサービスIDを付与した後、複数種のサービスのパケットを時分割多重化して信号変換部12に渡す。
【0050】
次に、アクセス端末20cの構成を、図4(a)を参照して説明する。
【0051】
アクセス端末20cのデータ変換部21のメモリ24には、サービスA、BおよびCのうち、いずれか2つのデータサービスのサービスIDが格納されている。アクセス端末20cは、2Gサービスを利用可能に設定されているため、サービスA、BおよびCのうち、いずれか2つしか利用できない。本実施形態では、サービスAおよびCのサービスIDがデータ変換部21内のメモリ24に登録されている場合とする。
【0052】
データ変換部21のパケット選択部23は、信号変換部22から出力される電気信号によるパケットからサービスAとサービスCのパケットを抽出してユーザ端末30cに送信し、それ以外のパケットを廃棄する。
【0053】
なお、本実施形態の通信システムの動作については、第1の実施形態と同様になるため、その詳細な説明を省略する。
【0054】
第1の実施形態との違いを通信フレームで説明する。図10は本実施形態における通信フレームのイメージを示す図である。
【0055】
アクセス基地局装置10のデータ複合部11から出力される通信フレームは、図10に示すように、1つの通信フレームに、サービスA、BおよびCのそれぞれについて、単位時間当たりのデータを含む構成である。アクセス基地局装置10は3Gモードで動作しているので、通信速度1Gbpsで受信する、サービスA、BおよびCのそれぞれのデータを滞留させることなく、各サービスについて単位時間あたりのデータ量で通信フレームを順次生成する。
【0056】
アクセス端末20aが出力する通信フレームは、図7に示すように、サービスAのデータのみを含む通信フレームとなる。また、アクセス端末20cが出力する通信フレームは、図7に示すように、サービスAとサービスCのデータを含む通信フレームとなる。アクセス端末20bが出力する通信フレームは、図7に示すように、データ複合部11の出力と同等である。
【0057】
なお、本実施形態では、サービスA、BおよびCのそれぞれの通信速度が1Gbpsであり、アクセス基地局装置10およびアクセス端末20a〜20cの対応可能な通信速度が3Gbpsの場合で説明したが、将来、通信速度が大きくなる場合も考えられる。その場合でも、本実施形態を適用することが可能である。
【0058】
図11は本実施形態に適用可能な通信速度を示す表である。図11に示す表の1行目の場合が上述の実施形態に相当する。2行目は、最大通信速度が6Gbpsの通信速度サービスを提供可能にした通信システムの場合を示す。また、図11に示す表では、最大通信速度が6Gbpsの場合までしか記載していないが、それ以上であってもよい。
【0059】
本実施形態によれば、データを提供する側のサービスの種類が3つ以上の場合であっても、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【0060】
(第3の実施形態)
本実施形態は、データを提供する側のデータサービスの通信速度がデータサービス毎に異なる場合である。本実施形態では、第1の実施形態において、サービスAの通信速度は1Gbpsであるが、サービスBの通信速度が2Gbpsの場合とする。
【0061】
本実施形態では、アクセス基地局装置10は最大3Gbpsの通信速度でデータ転送を行う3Gモードで動作する。ユーザ端末30aのユーザは1Gサービスを利用し、ユーザ端末30bのユーザは3Gサービスを利用しているものとする。
【0062】
なお、本実施形態における通信システムの構成および動作は、第1の実施形態と比べて、通信速度サービスの内容が異なるだけなので、その詳細な説明を省略する。
【0063】
第1の実施形態との違いを通信フレームで説明する。図12は本実施形態における通信フレームのイメージを示す図である。
【0064】
アクセス基地局装置10のデータ複合部11から出力される通信フレームは、図12に示すように、1つの通信フレームに、サービスAおよびBのそれぞれについて、単位時間当たりのデータを含む構成である。アクセス基地局装置10は3Gモードで動作しているので、通信速度1Gbpsで受信するサービスAのデータと、通信速度2Gbpsで受信するサービスBのデータを滞留させることなく、各サービスについて単位時間あたりのデータ量で通信フレームを順次生成する。
【0065】
アクセス端末20aが出力する通信フレームは、図12に示すように、サービスAのデータのみを含む通信フレームとなる。アクセス端末20bが出力する通信フレームは、図12に示すように、データ複合部11の出力と同等である。
【0066】
なお、本実施形態では、サービスAの通信速度が1Gbpsであり、サービスBの通信速度が2Gbpsであり、アクセス基地局装置10およびアクセス端末20a〜20cの対応可能な通信速度が3Gbpsの場合で説明したが、将来、通信速度が大きくなる場合も考えられる。その場合でも、本実施形態を適用することが可能である。
【0067】
図13は本実施形態に適用可能な通信速度を示す表である。図13に示す表の1行目の場合が上述の実施形態に相当する。2行目は、最大通信速度が4Gbpsの通信速度サービスを提供可能にした通信システムの場合を示す。また、図13に示す表では、サービスAの通信速度が1Gbpsの場合で、2種類の組み合わせの例を示しているが、サービスAとサービスBの通信速度が異なる他の組み合わせであってもよい。データサービスの種類は3つ以上あってもよい。
【0068】
本実施形態によれば、データを提供する側のデータサービスの通信速度がデータサービス毎に異なっていても、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
なお、上述した第1から第3の実施形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
5 IPネットワーク
10 アクセス基地局装置
20、20a〜20c アクセス端末
30、30a〜30c ユーザ端末
40 光スプリッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種のデータに対応する複数の識別子を予め記憶し、ネットワークを介して受信する複数種のデータのそれぞれに、該データの種類に対応する識別子を付与した後、複数種のデータを多重化し、多重化したデータを光信号に変換して光回線を介して出力する光回線基地局装置と、
前記複数種のデータのうち、少なくとも1種類のデータの識別子を予め記憶し、前記光回線を介して前記光回線基地局装置から受信する光信号を電気信号に変換した後、該電気信号による複数種のデータのそれぞれに含まれる識別子を読み出し、予め記憶した識別子に一致する識別子を含むデータを抽出して出力する光回線端末装置と、
を有する通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の通信システムにおいて、
前記光回線基地局装置は、
前記複数種のデータを多重化する際、前記複数種のデータ毎に単位時間あたりに受信するデータで通信フレームを生成する、通信システム。
【請求項3】
請求項2記載の通信システムにおいて、
前記光回線端末装置は、
前記光信号から前記電気信号に変換した後の前記通信フレームから、予め記憶した識別子に一致する識別子を含むデータを抽出し、他のデータを廃棄する、通信システム。
【請求項4】
複数種のデータを多重化した電気信号を光信号に変換して出力する光回線基地局装置に光回線で接続される光回線端末装置であって、
前記複数種のデータに対応する複数の識別子のうち、少なくとも1種類のデータの識別子を記憶するメモリと、
前記光回線を介して前記光回線基地局装置から受信する光信号を電気信号に変換する信号変換部と、
前記信号変換部から受信する電気信号による前記複数種のデータのそれぞれに含まれる識別子を読み出し、前記メモリが記憶した識別子に一致する識別子を含むデータを抽出して出力する選択部と、
を有する光回線端末装置。
【請求項5】
請求項4記載の光回線端末装置において、
前記信号変換部は、
前記光信号を前記電気信号に変換する際、前記複数種のデータのそれぞれについて、単位時間に送信されたデータを含む通信フレームに戻し、
前記選択部は、
前記通信フレームから、前記メモリが記憶した識別子に一致する識別子を含むデータを抽出し、他のデータを廃棄する、光回線端末装置。
【請求項6】
複数種のデータを多重化した電気信号を光信号に変換して出力する光回線基地局装置と、該光回線基地局装置に光回線を介して接続される光回線端末装置とによる情報処理方法であって、
前記光回線端末装置は、データの種類毎に異なる識別子が付与された、前記複数種のデータのうち、少なくとも1種類のデータの識別子を予め記憶し、
前記光回線基地局装置は、ネットワークを介して受信する複数種のデータのそれぞれに、前記識別子を付与した後、複数種のデータを多重化した前記光信号を前記光回線端末装置に送信し、
前記光回線端末装置は、前記光回線を介して前記光回線基地局装置から受信する光信号を電気信号に変換し、
前記光回線端末装置は、前記電気信号による複数種のデータのそれぞれに含まれる識別子を読み出し、予め記憶した識別子に一致する識別子を含むデータを抽出して出力する、情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−147076(P2012−147076A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1867(P2011−1867)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】