説明

通信システム、送受信装置および情報送受信方法

【課題】 変調方式の変更に伴って伝送すべきシンボルの数が増大したときにも、既定の信号フォーマットにて対応できるようにする通信システム、送受信装置および情報送受信方法を提供する。
【解決手段】 通信の対象となる情報要素の少なくとも一部を複数に分割し、この分割された情報要素を含む通信スロットを複数生成して、この通信スロットを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既定の通信フォーマットを利用して情報の送受信を行う通信システム、送受信装置および情報送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PHS(Personal Handy-phone System)などでは、通信に用いる信号のフォーマット(通信フォーマット)が予め定められている。例えばPHSの場合、1つの基地局あたりに4つの移動局をカバーし、各移動局との通信を、時分割多重方式で多重化して行っている。具体的には図5に示すように、上り(移動局から基地局へ)の通信について、各移動局に対応した4つの通信スロット(slot)が割り当てられ、ついで下り(基地局から移動局へ)の通信について、各移動局に対応した4つの通信スロットが割り当てられている。この上り下り4つずつのスロットから1つのフレームの信号が規定され、1フレームあたり5ミリ秒の時間で通信が行われている。以下、このフレームにて、信号が繰り返し送受信される。
【0003】
PHSの1つのスロット(通信用スロット)は一般に、ランプビットR(2シンボル)と、スタートビットSS(1シンボル)、プリアンブルビットPR(3シンボル)、ユニークワードUW(8シンボル)、チャネル識別子CI(2シンボル)、制御ビットSA(8シンボル)、ペイロードP(80シンボル)、誤り検出ビットCRC(8シンボル)、そしてガードタイムに相当する8シンボル分の時間の総計120シンボル分の時間からなる。なお、ここでランプビットR、スタートビットSS、プリアンブルビットPR、ユニークワードUWは制御用の情報である。
【0004】
ところで、通信システムで採用する信号の変調方式を適応的に変化させ、時々刻々と変化する伝播環境に対応した適切な変調方式にて通信を行う適応変調技術が提案されている(非特許文献1)。例えばPHSにおいても、現状のπ/4シフトQPSK(1シンボルで2ビットを転送)だけでなく、BPSK(1シンボルで1ビットを転送)など他の変調方式も利用可能として、所要信号雑音比を低減させ、基地局のカバーエリアを拡大する試みがなされている。
【非特許文献1】ARIB STANDARD RCR STD−28−1「第二世代コードレス電話システム標準規格」,4.0版,(1/2冊),pp.19から20
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このPHSの例にあるように、変調方式を変更することにより1シンボルあたりに転送可能な情報量が低くなることがある。この場合に、既存の信号フォーマットでは十分な情報が転送できない場合が生じる。
【0006】
上記PHSの例では、図6(a)に示すように、制御用の情報を除く部分(チャネル識別子CI、制御ビットSA、ペイロードP、誤り検出ビットCRC)のそれぞれがBPSK変調されると(なお、制御用の信号部分は必ずπ/4シフトQPSKで変調されるものとする)、当該部分のシンボル数が倍となり、チャネル識別子CIは4シンボル、制御ビットSAが16シンボル、誤り検出ビットCRCが16シンボルとなる。これを元のフレーム長(120シンボル長)に収まるためには、ペイロードPの部分で62シンボル(62ビット)しか転送できないこととなる。
【0007】
しかるにPHSの場合、音声データはADPCMコーデックで符号化されており、16kbpsにデータレートを落としたとしても、16kbps×5ミリ秒で80ビットとなり、1フレームの時間あたり最低でも80ビットを転送しなければならない。このため、図6(a)のフォーマットでは、80ビットの信号を62ビット以下に圧縮する等の処理が必要となって、処理負荷が高くなる。
【0008】
そこで、図6(b)に示すように、ユニークワードUWや制御ビットSAのビット長を短くしてペイロードに80ビットを確保することも考えられる。しかし、この場合はユニークワードUWの削減によって復調特性(同期検波や空間多重特性)が劣化する恐れがある。このように復調特性が劣化すると、折角BPSK変調に変更したことによるカバーエリアの拡大の実効がなくなってしまう。
【0009】
また、図6(c)に示すように、誤り検出ビットCRCや、制御ビットSAのビット長を短くしてペイロードに80ビットを確保した場合、誤り検出能力が犠牲となり、通信誤りが生じているのに検出できず、通信が続けられ、利用性が低くなる。
【0010】
このように、変調方式を変更する場合に、既定の信号フォーマットを利用すると、情報の伝送に支障を生じる場合がある。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、変調方式の変更に伴って伝送すべきシンボルの数が増大したときにも、既定の信号フォーマットにて対応できるようにする通信システム、送受信装置および情報送受信方法を提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、送信側装置と、受信側装置とを含む通信システムであって、前記送信側装置は、通信の対象となる情報要素の少なくとも一部を複数に分割する手段と、前記分割された情報要素を含む通信スロットを複数生成する手段と、前記通信スロットを送信する手段と、を含み、前記受信側装置は、前記送信側装置から、前記複数の通信スロットの信号を受信して、前記通信スロットに含まれる情報を蓄積する手段と、前記蓄積された情報に基づいて、前記分割前の情報要素を再現する手段と、とを含むことを特徴としている。
【0013】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、送信側装置であって、通信の対象となる情報要素の少なくとも一部を複数に分割する手段と、前記分割された情報要素を含む通信スロットを複数生成する手段と、前記複数の通信スロットを送信する手段と、を含むことを特徴としている。
【0014】
ここで、前記情報要素に係る誤り検出符号を生成する手段と、前記生成した誤り検出符号を、前記情報要素の分割数と同じ数に分割する手段と、をさらに含み、前記通信スロットを生成する手段が、前記分割した誤り検出符号の各々を、前記分割された情報要素の各々とともに含む複数の通信スロットを生成することとしてもよい。
【0015】
また、上記従来例の問題点を解決するための本発明は、通信の対象となる情報要素の少なくとも一部が複数の部分に分割され、当該分割された各部分を各々含む複数の通信スロットの信号を受信して、前記通信スロットに含まれる情報を蓄積する手段と、前記分割された各部分から分割前の情報要素を再現する手段とを含むことを特徴としている。
【0016】
さらに本発明の一態様に係る情報送信方法は、通信の対象となる情報要素の少なくとも一部を複数に分割する工程と、前記分割された情報要素を含む通信スロットを複数生成する工程と、前記複数の通信スロットを送信する工程と、を含むことを特徴としている。
【0017】
また、本発明の一態様に係る情報受信方法は、通信の対象となる情報要素の少なくとも一部が複数の部分に分割され、当該分割された各部分を各々含む複数の通信スロットの信号を受信して、前記通信スロットに含まれる情報を蓄積する工程と、前記分割された各部分から分割前の情報要素を再現する工程と、を含むことを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る通信システムは、図1に示すように、移動局1と、基地局2とを含む。移動局1は、図1に示すように、無線部11と、モデム部12と、チャネルコーデック部13と、ADPCMコーデック部14と、制御部15と、記憶部16とを含んで構成されている。また基地局2は、無線部21と、信号処理部22と、有線部23とを含んで構成されている。
【0019】
移動局1の無線部11は、アンテナに到来した信号を受信してモデム部12に出力する。また、この無線部11は、モデム部12から入力される信号を変調して無線信号に変換し、当該無線信号をアンテナを介して放射する。
【0020】
モデム部12は、無線部11から入力される信号を、制御部15から入力される指示によって特定される変調方式で変調された信号として復調し、チャネルコーデック部13に出力する。また、このモデム部12は、チャネルコーデック部13から入力される信号を、制御部15から入力される指示によって特定される変調方式で変調し、無線部11に出力する。
【0021】
チャネルコーデック部13は、モデム部12から入力される信号をデフレーミングして、当該フレームに含まれるスロットと、当該スロットに含まれる信号要素とを抽出する。チャネルコーデック部13は、この抽出した各信号要素を制御部15に出力する。
【0022】
また、このチャネルコーデック部13は、制御部15から入力される各信号からスロットを生成し、このスロットをフレーミングして、所定のフレームフォーマットの信号を生成し、当該フレームフォーマットの信号をモデム部12に出力する。
【0023】
ADPCMコーデック部14は、マイク及びスピーカに接続されており、マイクから入力される音声信号を、ADPCM信号に変調して制御部15に出力する。また、このADPCMコーデック部14は、制御部15から入力されるADPCM信号を復調して音声信号を再生し、スピーカを介して鳴動させる。本実施の形態のADPCMコーデック部14では、32kbpsADPCMによる変復調と、16kbpsADPCMによる変復調とを、制御部15から入力される指示に従って切り替えて実行する。
【0024】
制御部15は、CPU等で実現できる。この制御部15は、記憶部16に格納されているプログラムに従って動作しており、モデム部12における変復調方式を切り替える処理と、ADPCMコーデック部14における変復調方式を切り替える処理と、チャネルコーデック部13から入力される情報要素から、ADPCM信号を再生する処理(受信時処理)と、各スロットに含める信号を生成して出力する処理(送信時処理)とを実行している。これらの各処理の内容については、後に詳しく説明する。
【0025】
記憶部16は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含んで構成される。この記憶部16は、制御部15によって実行されるプログラムを記憶する。また、この記憶部16は、制御部15の処理の過程で生じる各種データを保持するワークメモリとしても動作する。
【0026】
ここで、送信時処理を行う制御部15等が、本発明の送信側装置に相当し、受信時処理を行う制御部15等が受信側装置に相当する。
【0027】
基地局2の無線部21は、アンテナに到来した信号を受信して信号処理部22に出力する。また、この無線部21は、信号処理部22から入力される信号を変調して無線信号に変換し、当該無線信号をアンテナを介して放射する。
【0028】
信号処理部22は、有線部23から入力される信号から得られた情報に基づいて各スロットに含める信号を生成して出力する処理(送信時処理)を実行する。また、この信号処理部22は、当該生成した信号を変調して無線部21に出力する。
【0029】
信号処理部22は、さらに無線部21から入力される信号を復号し、復号の結果得られた情報を有線部23に出力する処理(受信時処理)を実行する。有線部23は、有線の通信網に接続されており、当該通信網を介して受信される信号を信号処理部22に出力する。また、この有線部23は、信号処理部22から入力される信号を当該通信網を介して送出する。
【0030】
ここで移動局1の制御部15の処理について説明する。制御部15は、予め定めた条件判断により、送信する信号の変調方式を少なくともπ/4シフトQPSK方式と、BPSK方式とのどちらとするかを判断し、その判断の結果をモデム部12に出力する。この制御部15は、上記変調方式をπ/4シフトQPSK方式とする場合、ADPCMコーデック部14に対して32kbpsADPCMによる変復調を行うよう指示する。また上記変調方式をBPSK方式とする場合、制御部15は、ADPCMコーデック部14に対して16kbpsADPCMによる変復調を行うよう指示する。
【0031】
制御部15は、π/4シフトQPSK方式による送信信号の変調を行うと決定したときには、ADPCMコーデック部14から入力されるデータ(5ミリ秒あたり160ビット分のデータ)について誤り検出ビットCRC(16ビット)を生成する。
【0032】
そして制御部15は、このADPCMコーデック部14から入力されるデータを、ペイロードPの情報要素とし、誤り検出ビットCRCとともにチャネルコーデック部13に出力する。この場合、チャネルコーデック部13は、ランプビットR(2シンボル分)と、スタートビットSS(1シンボル分)と、プリアンブルビットPR(3シンボル分)と、ユニークワードUW(8シンボル分)とからなる制御用の情報に続き、チャネル識別子CI(4ビット)、制御ビットSA(16ビット)、ペイロードP(160ビット)、誤り検出ビットCRC(16ビット)の各情報要素をこの順に含んだスロットを生成し、モデム部12に出力する。
【0033】
ここでモデム部12は、π/4シフトQPSK方式によってチャネル識別子CI(4ビット)、制御ビットSA(16ビット)、ペイロードP(160ビット)、誤り検出ビットCRC(16ビット)の各情報要素を変調するので、2ビットあたり1シンボルの信号となり、図5に示した従来のスロットが生成される。
【0034】
一方、制御部15は、BPSK方式による送信信号の変調を行うと決定したときには、ADPCMコーデック部14から、16kbpsのADPCMの情報(5ミリ秒あたり80ビット分のデータ)の入力を受けることになる。
【0035】
制御部15は、この場合、2nー1(nは整数)回目(つまり1,3,5…回目)に入力されたADPCMの情報を記憶部16に格納して保持する。そしてそれに続く2n回目(つまり、2,4,6…回目)に入力されたADPCMの情報と連接して、全体で160ビットのADPCMの情報を取得する。制御部15は、この160ビットのADPCMの情報について誤り検出ビットCRC(16ビット)を生成する。
【0036】
さらに制御部15は、チャネル識別子CI(4ビット)を2ビットずつの2つの部分チャネル識別子CIa、CIbに分割し、制御ビットSA(16ビット)を8ビットずつの2つの部分制御ビットSAa,SAbに分割し、160ビットのADPCMの情報を80ビットずつの部分ペイロードPa,Pbに分割し、誤り検出ビットCRC(16ビット)を8ビットずつの2つの部分誤り検出ビットCRCa,CRCbに分割する。
【0037】
そして、分割によって得られた、各部分情報要素(部分チャネル識別子、部分制御ビット、部分ペイロード、部分誤り検出ビット)を連接して、それぞれ、第1の部分情報要素列(図2(a))と、第2の部分情報要素列(図2(b))と、を生成する。ここで第1の部分情報要素列には、部分チャネル識別子CIa、部分制御ビットSAa、部分ペイロードPa、部分誤り検出ビットCRCaを含み、第2の部分情報要素列には、部分チャネル識別子CIb、部分制御ビットSAb、部分ペイロードPb、部分誤り検出ビットCRCbを含む。
【0038】
制御部15は、これら部分情報要素列を順次、チャネルコーデック部13に出力する。チャネルコーデック部13は、ランプビットR(2シンボル分)と、スタートビットSS(1シンボル分)と、プリアンブルビットPR(3シンボル分)と、ユニークワードUW(8シンボル分)とからなる制御用の情報を、各部分情報要素列に付加して、2つ分のスロットを生成し、モデム部12に出力する。ここでモデム部12は、BPSK方式によって、部分チャネル識別子CI(2ビット)、部分制御ビットSA(8ビット)、部分ペイロードP(80ビット)、部分誤り検出ビットCRC(8ビット)の各情報要素を変調するので、2ビットあたり1シンボルの信号となり、図3(a),(b)に示したスロットが生成されて送信される。なお、制御用の情報の部分は、常にπ/4シフトQPSK方式で変調されるものとする。
【0039】
次に受信時の処理について説明する。本実施の形態の移動局1は、受信の際にも、π/4シフトQPSK方式によって変調された信号と、BPSK方式によって変調された信号と、のいずれかを受信することになる。具体的に制御部15は、π/4シフトQPSK方式による受信信号の復調を行うと決定したときには、チャネルコーデック部13でデフレーミングされて、各スロットの信号から抽出された情報要素列の入力を受け入れる。この情報要素列は、チャネル識別子CI(4ビット)、制御ビットSA(16ビット)、ペイロードP(160ビット)、誤り検出ビットCRC(16ビット)となる。この場合、制御部15は、従来と同様の誤り訂正処理等を行った後、ペイロードP部分に含まれる32kbpsADPCMの情報をADPCMコーデック部14に出力する。
【0040】
一方、制御部15は、BPSK方式による受信信号の復調を行うと決定したときには、チャネルコーデック部13でデフレーミングされ、スロットの信号から抽出された情報要素列の入力を受け入れる。ここで入力される情報要素列は、分割に係る情報要素列(部分情報要素の列)であるので、制御部15は、次の処理により、分割前の情報要素を再現する。なお、以下の説明では、各情報要素は2分割されたものとして説明する。
【0041】
すなわち制御部15は、2n−1(nは整数)回目(つまり1,3,5…回目)に受信したスロットから取り出された各情報要素を記憶部16に格納して保持する。そして、それに続く2n回目(つまり、2,4,6…回目)に受信したものから取り出した各情報要素を、記憶部16に保持した、対応する情報要素の各々に連接する。
【0042】
具体的に、2n−1回目に受信したスロットから部分情報要素として、部分チャネル識別子CIa、部分制御ビットSAa、部分ペイロードPa、部分誤り検出ビットCRCaが取り出されたときに、制御部15は、これらを記憶部16に格納しておく。そして、2n回目に受信したスロットから取り出された部分情報要素、部分チャネル識別子CIb、部分制御ビットSAb、部分ペイロードPb、部分誤り検出ビットCRCbの各々を、記憶部16に格納されている部分情報要素に連接して、元の情報要素、チャネル識別子CI(4ビット)と、制御ビットSA(16ビット)と、160ビットのADPCMの情報であるペイロードPと、誤り検出ビットCRC(16ビット)とを再現する。
【0043】
そして制御部16は、誤り訂正処理等を行った後、ペイロードP部分に含まれる16kbpsADPCMの情報をADPCMコーデック部14に出力する。
【0044】
次に、基地局2側の信号処理部22の動作について説明する。この信号処理部22は、移動局1における処理と同様にπ/4QPSK又はBPSKのいずれかの方式によってスロットの一部を変復調する。そして、π/4QPSKによってスロットの一部を変調するときには、従来と同じスロットのフォーマットにて情報要素を伝送し、BPSKによってスロットの一部を変調するときには、図3(a),(b)に示したように、一部の情報要素を分割し、複数のスロットを利用して各分割部分を伝送する(送信時処理)。
【0045】
また、受信時処理として、π/4QPSKによってその一部が変調されたスロットの情報を受信したときには、従来と同様に処理する。また、BPSKによってその一部が変調されたスロットの情報を受信したときには、分割に係る部分情報要素を保持し、各部分情報要素から分割前の情報要素を再現する。
【0046】
このように本実施の形態によると、従来と同様のスロットフォーマットを利用しつつ、BPSK方式で変調した信号を送受信できるようになる。
【0047】
またここまでの説明では、2n−1番目のスロットと、2n番目のスロットとで同じ(部分)情報要素を含めているが、情報要素の分割やスロットの形成態様は、これに限られるものではない。例えば制御部15は、チャネル識別子CIと、ペイロードPとを2つに分割し、制御ビットSAと、誤り検出ビットCRCとは分割せずにおき、2n−1番目のスロットには、分割した部分チャネル識別子CIa(2ビット)と、制御ビットSAの全体(16ビット)と、分割した部分ペイロードPa(80ビット)とを含め(図4(a))、2n番目のスロットには、分割した部分チャネル識別子CIb(2ビット)及び部分ペイロードPb(80ビット)と、誤り検出ビットの全体(16ビット)とを含めて送信する(図4(b))ようにしてもよい。
【0048】
このように分割されたスロットを受信した場合は、部分チャネル識別子及び部分ペイロードを記憶部16に蓄積し、分割に係る部分情報要素をすべて受信してから、それらを連接し、チャネル識別子や、ペイロードの情報の全体を再現することになる。図4に示した例の場合、2n−1番目のスロットの29ビット目から30ビット目までと、2n番目のスロットの29ビット目から30ビット目までとを連接して、チャネル識別子CIの全体を再現し、2n−1番目のスロットの47ビット目から126ビット目までと、2n番目のスロットの31ビット目から110ビット目までとを連接してペイロードPの全体を再現することになる。なお、基地局2においても同様に図4(a)、(b)に示したスロットフォーマットを採用することができる。
【0049】
また、ここでは分割の態様として、pビットの情報要素をk個に分割する場合、先頭から[p/k]ビット(ここで[*]は、[]内の値を越えない最大の整数を意味する)ずつ取り出して分割を行うこととしているが、これに限られるものではなく、例えば2つに分割する場合に、奇数番目のビットからなるビット列と、偶数番目のビットからなるビット列とに分割してもよい。
【0050】
このように本実施の形態によると、伝送の対象となる情報要素の少なくとも一部のビット列を分割して、部分ビット列を生成し、各部分ビット列を順次、複数のスロットに分けて伝送する。また、この分割に係る部分ビット列を含むスロットを受信した側では、当該部分ビット列を記憶部に保持した上で、分割に係るすべての部分ビット列が受信されたときに、これらを合成(分割の態様によっては例えば連接)して、元の分割前のビット列を再現する。これにより、変復調の方式を変更したなどの事情によって伝送する情報要素のビット数が増減しても、規定のスロットフォーマットを利用した伝送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの例を表す構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る通信システムにおいて送受信されるスロットに含まれる情報要素列の構成例を表す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る通信システムにおいて送受信されるスロットの構造例を表す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る通信システムにおいて送受信されるスロットの別の構造例を表す説明図である。
【図5】PHSにおけるフレーム構造の例を表す説明図である。
【図6】適応変調を行う際のスロットの構造例を表す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 移動局、2 基地局、11,21 無線部、12 モデム部、13 チャネルコーデック部、14 ADPCMコーデック部、15 制御部、16 記憶部、22 信号処理部、23 有線部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側装置と、受信側装置とを含む通信システムであって、
前記送信側装置は、
通信の対象となる情報要素の少なくとも一部を複数に分割する手段と、
前記分割された情報要素を含む通信スロットを複数生成する手段と、
前記通信スロットを送信する手段と、
を含み、
前記受信側装置は、
前記送信側装置から、前記複数の通信スロットの信号を受信して、前記通信スロットに含まれる情報を蓄積する手段と、
前記蓄積された情報に基づいて、前記分割前の情報要素を再現する手段と、
とを含む
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
通信の対象となる情報要素の少なくとも一部を複数に分割する手段と、
前記分割された情報要素を含む通信スロットを複数生成する手段と、
前記複数の通信スロットを送信する手段と、
を含む送信側装置。
【請求項3】
請求項2に記載の送信側装置であって、
前記情報要素に係る誤り検出符号を生成する手段と、
前記生成した誤り検出符号を、前記情報要素の分割数と同じ数に分割する手段と、
を含み、
前記通信スロットを生成する手段が、前記分割した誤り検出符号の各々を、前記分割された情報要素の各々とともに含む複数の通信スロットを生成することを特徴とする送信側装置。
【請求項4】
通信の対象となる情報要素の少なくとも一部が複数の部分に分割され、当該分割された各部分を各々含む複数の通信スロットの信号を受信して、前記通信スロットに含まれる情報を蓄積する手段と、
前記分割された各部分から分割前の情報要素を再現する手段と、
とを含むことを特徴とする受信側装置。
【請求項5】
通信の対象となる情報要素の少なくとも一部を複数に分割する工程と、
前記分割された情報要素を含む通信スロットを複数生成する工程と、
前記複数の通信スロットを送信する工程と、
を含む情報送信方法。
【請求項6】
通信の対象となる情報要素の少なくとも一部が複数の部分に分割され、当該分割された各部分を各々含む複数の通信スロットの信号を受信して、前記通信スロットに含まれる情報を蓄積する工程と、
前記分割された各部分から分割前の情報要素を再現する工程と、
とを含むことを特徴とする情報受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−41953(P2006−41953A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219257(P2004−219257)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】