説明

通信システムおよび通信方法

【課題】公衆無線LANへアクセスする端末において、端末のメモリリソースを無駄使いすることなく、アクセスポイントの情報を利用者に提供し、利用者がその情報を用いて好適にアクセスポイントへアクセスできる技術を提供する。
【解決手段】本発明の通信システムは、複数のアクセスポイントのそれぞれへのアクセスを可能にするアクセスポイント情報を一元的に管理し、利用者から、該利用者に個別の条件でアクセスポイント情報を要求されると、該条件に基づき、該利用者に提供すべきアクセスポイントを抽出し、抽出された該アクセスポイントを含むアクセスポイント情報を提供するサーバと、前記サーバから提供された前記アクセスポイント情報を保存しておき、保存してある該アクセスポイント情報に含まれているアクセスポイントを利用者に提示し、前記利用者によって選択されたアクセスポイントに接続する端末を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公衆無線LAN(Local Area Network)へのアクセス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駅、空港あるいは飲食店などに設置されたアクセスポイントを介して無線LANによるインターネット接続を可能とする公衆無線LANのサービスが、さまざまな事業者によって提供されている。利用者は、各事業者が提供するアクセスポイントへアクセスするために、そのアクセスポイントの設置場所やそのアクセスポイントに接続するための設定などの情報を事前に調査しておく必要がある。各アクセスポイントの情報は、各事業者によってインターネット等に公開されている。利用者は、事前にそのアクセスポイントの情報を利用する端末に保存しておくことにより、実際にアクセスポイントに接続するときにそのアクセスポイントの情報を参照することができる。
【0003】
しかしながら、アクセスポイントの情報は、事業者毎に別々にインターネット等に公開されているため、利用者は、外出先で利用できるアクセスポイントを容易に検索することができない。
【0004】
また、端末のハードディスクやメモリには限りがあるため、自身が接続する可能性がないアクセスポイントの情報まで端末に保存しておくことは望ましくない。
【0005】
利用者が外出先で利用できるアクセスポイントを認識できるように、さまざまな技術が提案されている。
【0006】
特許文献1では、無線LANによる通信を行う無線通信部とは別に無線LANではない通信手段を用いて通信を行う無線通信部を備えた無線端末によるアクセスポイントの選択方法が提案されている。特許文献1の無線端末は、無線LANではない通信手段を用いて通信を行う無線通信部によって複数のアクセスポイントと通信し、各アクセスポイントから取得した位置情報を利用者に表示し、適切なアクセスポイントを利用者に選択させる。
【0007】
また、特許文献2では、アクセスポイントの位置情報を一元管理するサービスセンタを備えた通信システムが提案されている。特許文献2の通信システムでは、通信端末は、アクセスポイントにアクセスする直前に公衆ネットワーク経由でサービスセンタと通信し、最寄りのアクセスポイントをサービスセンタに問い合わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−118538号公報
【特許文献2】特開平10−164272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1は、無線LANではない通信手段を用いて通信を行う無線通信部の通信範囲内に存在するアクセスポイントにアクセスするための技術である。このため、特許文献1では、利用者は、無線LANではない通信手段を用いて通信を行う無線通信部の通信範囲外に存在するアクセスポイントを利用することはできない。
【0010】
また、特許文献2では、利用者は、アクセスポイントにアクセスする直前に公衆ネットワーク経由でサービスセンタと通信する必要があるため、アクセスポイントにアクセスするまでに時間がかかるし、手間もかかる。
【0011】
本発明の目的は、公衆無線LANへアクセスする端末において、利用者にとって必要なアクセスポイントの情報を効率よく提供し、利用者がその情報を用いて好適にアクセスポイントへアクセスできる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の通信システムは、端末から無線で接続することが可能な複数のアクセスポイントと、前記複数のアクセスポイントのそれぞれへのアクセスを可能にするアクセスポイント情報を一元的に管理し、利用者から、該利用者に個別の条件でアクセスポイント情報を要求されると、該条件に基づき、該利用者に提供すべきアクセスポイントを抽出し、抽出された該アクセスポイントを含むアクセスポイント情報を提供するサーバと、前記サーバから提供された前記アクセスポイント情報を保存しておき、保存してある該アクセスポイント情報に含まれているアクセスポイントを利用者に提示し、前記利用者によって選択されたアクセスポイントに接続する端末を有する。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明の通信方法は、端末から無線で接続することが可能な複数のアクセスポイントを有する通信システムの通信方法であって、サーバにおいて、前記複数のアクセスポイントのそれぞれへのアクセスを可能にするアクセスポイント情報を一元的に管理し、利用者から、該利用者に個別の条件でアクセスポイント情報を要求されると、該条件に基づき、該利用者に提供すべきアクセスポイントを抽出し、抽出された該アクセスポイントを含むアクセスポイント情報を提供し、端末において、前記サーバから提供された前記アクセスポイント情報を保存しておき、保存してある該アクセスポイント情報に含まれているアクセスポイントを利用者に提示し、前記利用者によって選択されたアクセスポイントに接続する。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本発明のサーバは、複数のアクセスポイントのそれぞれへのアクセスを可能にするアクセスポイント情報を一元的に管理する情報管理部と、利用者から、該利用者に個別の条件でアクセスポイント情報を要求されると、該条件に基づき、該利用者に提供すべきアクセスポイントを抽出し、抽出された該アクセスポイントを含むアクセスポイント情報を提供する情報提供部を有する。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明の端末は、端末から無線で接続することが可能な複数のアクセスポイントと、前記複数のアクセスポイントのそれぞれへのアクセスを可能にするアクセスポイント情報を一元的に管理するサーバと、を有する通信システムで用いられる端末であって、前記サーバから提供された前記アクセスポイント情報を保存するアクセスポイント情報管理部と、保存してある前記アクセスポイント情報に含まれているアクセスポイントを利用者に提示し、前記利用者によって選択されたアクセスポイントに接続する通信制御部と、アクセスポイントに接続するとき、該アクセスポイントに接続した日時および利用者名を記憶しておき、該日時および該利用者名を前記サーバに登録するアクセスポイント情報更新部を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、公衆無線LANへアクセスする端末は、利用者にとって必要なアクセスポイントの情報を効率よく提供することができ、利用者は、その情報を用いて好適にアクセスポイントへアクセスできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態における通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】サーバ1が管理するアクセスポイント情報の例を示す図である。
【図3】各事業者が管理する機器情報の例を示す図である。
【図4】サーバ1が管理する利用者プロファイル情報の例を示す図である。
【図5】図1に示した通信システムにおいて端末2がサーバ1からアクセスポイント情報を取得するときの端末2とサーバ1との間のシーケンスを示す図である。
【図6】端末を外出先で利用するときの通信システムの構成を示すブロック図である。
【図7】RFタグ5に記録されるアクセスポイントの位置情報の例を示す図である。
【図8】図1に示した通信システムにおいて端末2がサーバ1のアクセスポイント情報を更新するときの端末2とサーバ1との間のシーケンスを示す図である。
【図9】利用者がU2である端末2が、エリアが大阪であるアクセスポイント情報をサーバ1に要求したときに、サーバ1が端末2に提供するアクセスポイント情報の例を示す図である。
【図10】駅名がFFであるアクセスポイントが選択されたときの表示例を示す図である。
【図11】利用者がU3である端末3が、エリアが大阪か福岡であるアクセスポイント情報をサーバ1に要求したときに、サーバ1が端末3に提供するアクセスポイント情報の例を示す図である。
【図12】端末3に表示するアクセスポイント情報として、エリアが福岡であるアクセスポイントが選択されたときの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
本実施形態の通信システムでは、各事業者が提供するアクセスポイントの情報を一元的に管理するサーバが設置される。各事業者は、そのサーバにアクセスポイントの設置場所やアクセスポイントに接続するための設定などの情報を保存する。
【0020】
利用者は、外出先で端末を利用する前に、サーバからアクセスポイントの情報を取得し、端末に保存しておく。端末は、サーバからアクセスポイントの情報を取得するとき、アクセスポイント情報を保存できる空き容量の情報をあわせて通知する。
【0021】
サーバは、アクセスポイントの設置場所やアクセスポイントに接続するための設定などの情報以外に、そのアクセスポイントを利用したことがある利用者の情報を管理する。サーバは、端末からアクセスポイントの情報の取得を要求されると、その端末の、アクセスポイント情報を保存できる空き容量の範囲内で、その利用者の利用頻度が高いアクセスポイントのような、優先度の高いアクセスポイントの情報を自動的に提供し、利用者の利便性を図る。
【0022】
図1は本発明の一実施形態における通信システムの構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、本発明の一実施形態における通信システムは、サーバ1、端末2および端末3を有する。
【0024】
サーバ1は、公衆無線LANのアクセスポイントの情報(以降、アクセスポイント情報と称する)および事業者毎の利用者に関する情報(以降、利用者プロファイル情報と称する)を管理するサーバである。
【0025】
サーバ1は、情報管理部11、情報提供部12および記憶装置13を有する。
【0026】
情報管理部11は、事業者によって登録されたアクセスポイント情報および利用者プロファイル情報を記憶装置13に記録する。
【0027】
情報提供部12は、利用者からの要求に応じて、その利用者に提供すべきアクセスポイントを抽出し、そのアクセスポイント情報を記憶装置13から読み出し、端末2、3に送信する。また、情報提供部12は、利用者からのアクセスポイント情報の更新の要求に応じて、記憶装置13に保存されたアクセスポイント情報を更新する。
【0028】
記憶装置13は、アクセスポイント情報および利用者プロファイル情報が保存される記憶装置である。
【0029】
サーバ1が管理するアクセスポイント情報の例を図2に示す。図2に示すように、アクセスポイント情報は、機器情報および利用情報を有する。
【0030】
機器情報は、アクセスポイントを提供する事業者によって管理されている。各事業者が管理する機器情報の例を図3に示す。図3に示すように、機器情報は、エリア、事業者名、駅名、ビル名、業態、住所およびそのアクセスポイントへ接続するための設定を示す設定情報などの情報を有する。サーバ1で管理されるアクセスポイント情報の機器情報は、アクセスポイントを提供する事業者によって更新される。
【0031】
利用情報は、そのアクセスポイントが利用された日時および利用した利用者名等の利用実績を示す利用実績情報、およびそのアクセスポイントの位置を示す座標情報を有する。利用情報は、利用者によって更新される。
【0032】
また、サーバ1が管理する利用者プロファイル情報の例を図4に示す。図4に示すように、利用者プロファイル情報は、各事業者の番号、事業者名およびその事業者のサービスを利用できる利用者に関するユーザ情報を有する。
【0033】
端末2、3は、無線LAN機能を有する、持ち運び可能な装置である。端末2、3は、外出先に設置されているアクセスポイントに無線LANによりアクセスし、そのアクセスポイントの先にあるインターネットなどのネットワークと接続する。
【0034】
端末2、3は、ノートPC(Personal computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、シンクライアント端末など、無線LAN機能を有する、持ち運び可能なコンピュータであれば、どのようなものであってもよい。
【0035】
端末2は、アクセスポイント情報管理部21、通信制御部22、アクセスポイント情報更新部23および記憶装置24を有する。
【0036】
端末3は、アクセスポイント情報管理部31、通信制御部32、アクセスポイント情報更新部33および記憶装置34を有する。
【0037】
アクセスポイント情報管理部21、31は、利用者からの指示に従って、サーバ1からアクセスポイント情報を取得し、記憶装置24、34に保存する。
【0038】
通信制御部22、32は、アクセスポイントと接続するための制御を行う。通信制御部22は、アクセスポイントにアクセスするとき、記憶装置24、34に保存されたアクセスポイント情報を利用者に示し、利用者によって選択されたアクセスポイントに接続する。
【0039】
また、通信制御部22、32は、地図を表示し、その地図上に自装置が座標情報を取得しているアクセスポイントの位置を表す機能を有する。
【0040】
アクセスポイント情報更新部23、33は、アクセスポイントと接続したときに、記憶装置24、34のアクセスポイント情報の利用実績情報にアクセスポイントに接続した日時および自装置の利用者名を記録する。
【0041】
また、アクセスポイント情報更新部23、33は、RFタグに記録された情報を読み出す機能を有し、アクセスポイントの近傍に設置されたRFタグからアクセスポイントの座標情報を読み出し、記憶装置24、34のアクセスポイント情報の座標情報に記録する。
【0042】
記憶装置24、34は、アクセスポイント情報が保存される記憶装置である。
【0043】
まず、図1に示した通信システムにおいて端末2がサーバ1からアクセスポイント情報を取得するときの処理について説明する。
【0044】
図5は図1に示した通信システムにおいて端末2がサーバ1からアクセスポイント情報を取得するときの端末2とサーバ1との間のシーケンスを示す図である。
【0045】
端末2は、外出先で使用される前にサーバ1から利用可能なアクセスポイント情報を取得する。
【0046】
端末2のアクセスポイント情報管理部21は、まず、サーバ1が保存するアクセスポイント情報の一覧の取得要求を示すアクセスポイント一覧取得要求をサーバ1に送信する(ステップS1)。
【0047】
端末2のアクセスポイント情報管理部21からアクセスポイント一覧取得要求を受信すると、サーバ1の情報提供部12は、記憶装置13に保存された利用者プロファイル情報から端末2の利用者がサービスを利用できる事業者を確認する(ステップS2)。サーバ1の情報提供部12は、端末2の利用者がサービスを利用できる事業者が提供するアクセスポイントをアクセスポイント情報から抽出し、各アクセスポイントのアクセスポイント情報の一覧を端末2に送信する(ステップS3)。
【0048】
サーバ1の情報提供部12からアクセスポイント情報の一覧を受信すると、端末2のアクセスポイント情報管理部21は、その一覧を表示する。そして、端末2のアクセスポイント情報管理部21は、利用者からの要求に応じて、サーバ1に対するアクセスポイント情報の取得要求を示すアクセスポイント情報取得要求をサーバ1に送信する(ステップS4)。
【0049】
尚、アクセスポイント情報取得要求には、利用者から指定された、アクセスポイント情報を取得するアクセスポイントと、端末2にアクセスポイント情報を保存できる空き容量の情報とが含まれる。
【0050】
尚、アクセスポイント情報を取得するアクセスポイントは、例えば、エリア、事業者名、駅名、ビル名、業態、住所等の条件によって指定されてもよい。また、アクセスポイント情報を取得するアクセスポイントは、指定されなくてもよい。
【0051】
また、端末2は、自装置のハードディスクやメモリなどの容量に応じて、サーバ1から取得するアクセスポイント情報の上限サイズを指定できる。
【0052】
端末2からアクセスポイント情報取得要求を受信すると、サーバ1の情報提供部12は、記憶装置13に保存されたアクセスポイント情報からアクセスポイント情報取得要求で指定されたアクセスポイントのアクセスポイント情報を抽出する(ステップS5)。また、サーバ1の情報提供部12は、アクセスポイント情報取得要求に含まれる端末2の空き容量の範囲内で、優先度の高いアクセスポイントについてもアクセスポイント情報を抽出する。尚、優先度は、例えば、端末2の利用者の利用頻度の高いアクセスポイントの順や、端末2の利用者が利用した日時が新しいアクセスポイントの順によって決定される。
【0053】
アクセスポイント情報を抽出すると、サーバ1の情報提供部12は、抽出したアクセスポイント情報を端末2に送信する(ステップS6)。尚、アクセスポイント情報取得要求でアクセスポイント情報を取得するアクセスポイントが指定されていなかった場合、サーバ1の情報提供部12は、優先度の高いアクセスポイントとして抽出したアクセスポイント情報のみを送信する。
【0054】
アクセスポイント情報を受信すると、端末2のアクセスポイント情報管理部21は、受信したアクセスポイント情報を記憶装置24に保存する(ステップS7)。
【0055】
次に、端末2を外出先で利用するときの処理について説明する。
【0056】
図6は端末を外出先で利用するときの通信システムの構成を示すブロック図である。
【0057】
図6に示すように、端末を外出先で利用するときの通信システムは、PC2、アクセスポイント4およびRF(Radio Frequency)タグ5を有する。
【0058】
アクセスポイント4は、端末2がインターネットなどのネットワークへアクセスするための中継機能を有する。アクセスポイント4は、端末2と無線LANで接続し、インターネットなどのネットワークと有線LANで接続する。アクセスポイント4は、端末2から受信した無線LANのパケットを有線LANのパケットに変換し、インターネットなどのネットワークへ送信する。また、アクセスポイント4は、インターネットなどのネットワークから受信した有線LANのパケットを無線LANのパケットに変換し、PC2へ送信する。
【0059】
RFタグ5は、アクセスポイント4に貼り付けられる、RFID(Radio Frequency Identification)のタグである。RFタグ5には、アクセスポイント4の位置情報が記録されている。
【0060】
RFタグ5に記録されるアクセスポイントの位置情報の例を図7に示す。図7に示すように、アクセスポイントの位置情報は、アクセスポイントのエリア、事業者名、駅名、ビル名、業態、住所および設定情報を示す機器情報に加えて、緯度、経度および標高を示す座標情報を有する。
【0061】
端末2の通信制御部22は、利用者によって持ち運ばれ、外出先に設置されているアクセスポイントと接続するとき、利用者からの指示に応じて、記憶装置24に保存されたアクセスポイント情報を表示する。利用者は、キーワード等の条件を指定することにより、表示するアクセスポイントを選択できる。端末2の通信制御部22は、利用者によって指定された条件に適合するアクセスポイントについてアクセスポイント情報の一覧を表示する。端末2の通信制御部22は、利用者によって接続するアクセスポイントが選択されると、選択されたアクセスポイントの設定情報に基づいてそのアクセスポイントに接続を要求し、そのアクセスポイントを介してインターネットなどのネットワークに接続する。
【0062】
端末2のアクセスポイント情報更新部23は、アクセスポイントに接続すると、記憶装置34に保存されたアクセスポイント情報の利用実績情報にアクセスポイントに接続した日時および自装置の利用者名を記録する。
【0063】
また、端末2のアクセスポイント情報更新部23は、接続したアクセスポイント4に貼り付けられたRFタグ5からアクセスポイント4の座標情報を読み出し、記憶装置24に保存されたアクセスポイント情報の座標情報として記録する。
【0064】
尚、記憶装置24に保存されたアクセスポイント情報を表示するとき、端末2の通信制御部22は、地図を表示し、その地図上に自装置が座標情報を取得しているアクセスポイントの位置を表すようにしてもよい。端末2の通信制御部22は、各アクセスポイントの経度、緯度および標高の情報から表示している地図上でのそのアクセスポイントの位置を算出し、そのアクセスポイントの位置を地図上に表示する。地図は、平面の地図であっても立体の地図であってもよい。立体の地図上にアクセスポイントの情報を示すとき、端末2の通信制御部22は、アクセスポイントの標高の情報と建造物の高さから表示している地図上でのそのアクセスポイントの高度を含めた位置を算出し、そのアクセスポイントの高度を含めた位置を地図上に表示する。立体の地図上にそのアクセスポイントの位置が表されることにより、利用者は、接続するアクセスポイントがビル等に存在する場合、そのアクセスポイントがそのビルのどの位置に存在するかをより詳細に認識することができる。
【0065】
また、地図を表示する機能は、汎用的な地図ソフトと連携することにより実現してもよい。
【0066】
次に、図1に示した通信システムにおいて端末2がサーバ1のアクセスポイント情報を更新するときの処理について説明する。
【0067】
図8は図1に示した通信システムにおいて端末2がサーバ1のアクセスポイント情報を更新するときの端末2とサーバ1との間のシーケンスを示す図である。
【0068】
端末2は、外出先に設置されているアクセスポイントと接続した後、利用者によってサーバ1と接続されると、自装置が更新した利用実績情報あるいはRFタグから取得した座標情報についてサーバ1に記録されているアクセスポイント情報を更新する。
【0069】
端末2のアクセスポイント情報更新部23は、サーバ1に接続すると、まず、サーバ1のアクセスポイント情報の更新の要求を示すアクセスポイント情報更新要求をサーバ1に送信する(ステップS11)。尚、アクセスポイント情報更新要求には、記憶装置24に保存された利用実績情報および座標情報が含まれる。
【0070】
端末2のアクセスポイント情報更新部23からアクセスポイント情報更新要求を受信すると、サーバ1の情報管理部11は、受信したアクセスポイント情報更新要求から利用実績情報および座標情報を抽出し、記憶装置13に保存されているアクセスポイント情報を更新する(ステップS12)。
【0071】
アクセスポイント情報を更新すると、サーバ1の情報管理部11は、アクセスポイント情報の更新が完了した旨を示すアクセスポイント情報更新応答を端末2に送信する(ステップS13)。
【0072】
サーバ1は、端末2からの要求に応じてアクセスポイント情報を更新することにより、端末2以外の端末にも更新されたアクセスポイント情報を提供することができる。端末2以外の端末は、端末2が更新したアクセスポイントの座標情報を取得すると、自装置の記憶装置に保存されている座標情報を取得した座標情報に更新する。これにより、端末2以外の端末は、接続したことのないアクセスポイントについても自装置の地図上にその位置を表示することができる。
【0073】
以下、端末2、3に保存されるアクセスポイント情報の例について説明する。
【0074】
利用者がU2である端末2が、エリアが大阪であるアクセスポイント情報をサーバ1に要求したときに、サーバ1が端末2に提供するアクセスポイント情報の例を図9に示す。
【0075】
端末2からアクセスポイント情報取得要求を受信すると、サーバ1は、まず、図2に示したアクセスポイントのうち、エリアが大阪であるアクセスポイントを抽出する。次に、サーバ1は、優先度の高いアクセスポイントとして、エリアが東京であるが、過去に利用者U2が利用したことがあるアクセスポイントを抽出する。図9に示すように、サーバ1は、エリアが大阪であるアクセスポイントのアクセスポイント情報と、エリアが東京であるが、過去に利用者U2が利用したことがあるアクセスポイントのアクセスポイント情報とを端末2に提供する。
【0076】
端末2は、利用者によって持ち運ばれ、外出先に設置されているアクセスポイントと接続するとき、利用者からの指示に応じて、自装置に保存されたアクセスポイント情報を表示する。利用者は、キーワード等の条件を指定することにより、表示するアクセスポイントを選択できる。駅名がFFであるアクセスポイントが選択されたときの表示例を図10に示す。図10に示すように、図9に示したアクセスポイント情報のうち、駅名がFFであるアクセスポイントのアクセスポイント情報のみが表示される。
【0077】
また、利用者がU3である端末3が、エリアが大阪か福岡であるアクセスポイント情報をサーバ1に要求したときに、サーバ1が端末3に提供するアクセスポイント情報の例を図11に示す。図11に示すように、利用者は、アクセスポイント情報を取得するアクセスポイントの条件を複数指定することもできる。また、アクセスポイント情報を取得するアクセスポイントの条件を、事業者名、駅名、ビル名、業態、住所のように、エリア以外の条件としてもよい。
【0078】
また、端末3に表示するアクセスポイント情報として、エリアが福岡であるアクセスポイントが選択されたときの表示例を図12に示す。図12に示すように、図11に示したアクセスポイント情報のうち、エリアが福岡であるアクセスポイントのアクセスポイント情報のみが表示される。
【0079】
尚、アクセスポイント情報取得要求に含まれるアクセスポイント情報を保存できる空き容量のサイズは、端末毎に異なる。従って、同一の利用者であっても、異なる端末からアクセスポイント情報を要求すると、サーバから提供されるアクセスポイント情報は異なるものとなる。これにより、利用者は、用途に応じて適切なサイズのアクセスポイント情報を取得することができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、公衆無線LANへアクセスする端末は、アクセスポイントの情報を一元的に管理するサーバに対して必要なアクセスポイントの情報を要求する。このとき、サーバは、利用者に個別の条件で優先度の高いアクセスポイントを自動的に抽出し、抽出したアクセスポイントの情報を要求した端末に提供する。これにより、公衆無線LANへアクセスする端末は、その端末にとって適切なアクセスポイントの情報を取得することができるので、必要なアクセスポイントの情報を効率よく自装置に保存することができ、利用者は、その情報を用いて好適にアクセスポイントへアクセスできる。
【0081】
また、サーバが、端末の利用者による利用頻度の高い順にアクセスポイントを選択することにより、端末は、利用者が利用する可能性の高いアクセスポイントを保存しておくことができる。
【0082】
また、サーバが、端末の利用者により過去に利用された日時が新しい順にアクセスポイントを選択することにより、端末は、利用者が利用する可能性の高いアクセスポイントを端末に保存しておくことができる。
【0083】
また、アクセスポイントにそのアクセスポイントの座標情報を記憶したRFタグを貼り付けておくことにより、その座標情報を読み出した端末は、アクセスポイントの位置を表した地図を表示することができ、利用者の利便性を向上することができる。
【0084】
また、RFタグのアクセスポイントの座標情報に標高の情報を記録し、アクセスポイントの情報を示す地図を立体地図にすることにより、利用者は、接続するアクセスポイントがビル等に存在する場合、そのアクセスポイントがそのビルのどの位置に存在するかをより詳細に認識することができる。
【0085】
また、アクセスポイントの座標情報を取得した端末がその座標情報をサーバのアクセスポイント情報に登録し、他の端末と情報を共有することにより、そのアクセスポイントを利用したことがない端末であっても、そのアクセスポイントの位置を表した地図を表示することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 サーバ
2、3 端末
4 アクセスポイント
5 RFタグ
11 情報管理部
12 情報提供部
13 記憶装置
21、31 アクセスポイント情報管理部
22、32 通信制御部
23、33 アクセスポイント情報更新部
24、34 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末から無線で接続することが可能な複数のアクセスポイントと、
前記複数のアクセスポイントのそれぞれへのアクセスを可能にするアクセスポイント情報を一元的に管理し、利用者から、該利用者に個別の条件でアクセスポイント情報を要求されると、該条件に基づき、該利用者に提供すべきアクセスポイントを抽出し、抽出された該アクセスポイントを含むアクセスポイント情報を提供するサーバと、
前記サーバから提供された前記アクセスポイント情報を保存しておき、保存してある該アクセスポイント情報に含まれているアクセスポイントを利用者に提示し、前記利用者によって選択されたアクセスポイントに接続する端末と、
を有する通信システム。
【請求項2】
前記端末は、アクセスポイントに接続したときの日時および利用者名を前記サーバに登録し、
前記サーバは、利用者からアクセスポイント情報を要求されると、前記端末から登録された情報を基に、該利用者の利用頻度の高い順にアクセスポイントを抽出し、抽出された該アクセスポイントを含むアクセスポイント情報を提供する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記端末は、アクセスポイントに接続したときの日時および利用者名を前記サーバに登録し、
前記サーバは、利用者からアクセスポイント情報を要求されると、前記端末から登録された情報を基に、該利用者の過去に利用した日時が新しい順にアクセスポイントを抽出し、抽出された該アクセスポイントを含むアクセスポイント情報を提供する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信システムは、前記複数のアクセスポイントのそれぞれの近傍に設置され、それぞれのアクセスポイントが位置する緯度および経度の情報を示す座標情報が記録された、RFタグをさらに有し、
前記端末は、アクセスポイントの座標情報を前記RFタグから取得し、該座標情報を自装置に保存してあるアクセスポイント情報に含めて保存しておき、アクセスポイントに接続するとき、自装置に保存された前記座標情報で示された位置を表した地図を前記利用者に表示する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記座標情報は、さらに、アクセスポイントが位置する標高の情報を含んでおり、
前記地図は、立体の地図である、請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記端末は、前記座標情報を前記サーバに通知し、
前記サーバは、複数の端末から通知された座標情報を、管理している前記アクセスポイント情報に含めて保存し、利用者からアクセスポイント情報を要求されると、該座標情報を含むアクセスポイント情報を提供し、
前記サーバから前記アクセスポイント情報を提供された端末は、該アクセスポイント情報によって自装置に保存してあるアクセスポイント情報を更新する、
請求項4または5に記載の通信システム。
【請求項7】
端末から無線で接続することが可能な複数のアクセスポイントを有する通信システムの通信方法であって、
サーバにおいて、
前記複数のアクセスポイントのそれぞれへのアクセスを可能にするアクセスポイント情報を一元的に管理し、
利用者から、該利用者に個別の条件でアクセスポイント情報を要求されると、該条件に基づき、該利用者に提供すべきアクセスポイントを抽出し、抽出された該アクセスポイントを含むアクセスポイント情報を提供し、
端末において、
前記サーバから提供された前記アクセスポイント情報を保存しておき、
保存してある該アクセスポイント情報に含まれているアクセスポイントを利用者に提示し、
前記利用者によって選択されたアクセスポイントに接続する、通信方法。
【請求項8】
前記端末が、アクセスポイントに接続したときの日時および利用者名を前記サーバに登録し、
前記サーバが、利用者からアクセスポイント情報を要求されると、前記端末から登録された情報を基に、該利用者の利用頻度の高い順にアクセスポイントを抽出し、抽出された該アクセスポイントを含むアクセスポイント情報を提供する、
請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
前記端末が、アクセスポイントに接続したときの日時および利用者名を前記サーバに登録し、
前記サーバが、利用者からアクセスポイント情報を要求されると、前記端末から登録された情報を基に、該利用者の過去に利用した日時が新しい順にアクセスポイントを抽出し、抽出された該アクセスポイントを含むアクセスポイント情報を提供する、
請求項7に記載の通信方法。
【請求項10】
前記通信システムは、前記複数のアクセスポイントのそれぞれの近傍に設置され、それぞれのアクセスポイントが位置する緯度および経度の情報を示す座標情報が記録された、RFタグをさらに有し、
前記端末が、
アクセスポイントの座標情報を前記RFタグから取得し、該座標情報を自装置に保存してあるアクセスポイント情報に含めて保存しておき、
アクセスポイントに接続するとき、自装置に保存された前記座標情報で示された位置を表した地図を前記利用者に表示する、
請求項7から9のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項11】
前記座標情報は、さらに、アクセスポイントが位置する標高の情報を含んでおり、
前記地図は、立体の地図である、請求項10に記載の通信方法。
【請求項12】
前記端末が、前記座標情報を前記サーバに通知し、
前記サーバが、複数の端末から通知された座標情報を、管理している前記アクセスポイント情報に含めて保存し、
利用者からアクセスポイント情報を要求されると、該座標情報を含む該アクセスポイント情報を提供し、
前記サーバから前記アクセスポイント情報を提供された端末が、該アクセスポイント情報によって自装置に保存してあるアクセスポイント情報を更新し、
アクセスポイントに接続するとき、自装置に保存された前記アクセスポイント情報に含まれる座標情報で示された位置を表した地図を前記利用者に表示する、
請求項10または11に記載の通信方法。
【請求項13】
複数のアクセスポイントのそれぞれへのアクセスを可能にするアクセスポイント情報を一元的に管理する情報管理部と、
利用者から、該利用者に個別の条件でアクセスポイント情報を要求されると、該条件に基づき、該利用者に提供すべきアクセスポイントを抽出し、抽出された該アクセスポイントを含むアクセスポイント情報を提供する情報提供部と、
を有するサーバ。
【請求項14】
端末から無線で接続することが可能な複数のアクセスポイントと、前記複数のアクセスポイントのそれぞれへのアクセスを可能にするアクセスポイント情報を一元的に管理するサーバと、を有する通信システムで用いられる端末であって、
前記サーバから提供された前記アクセスポイント情報を保存するアクセスポイント情報管理部と、
保存してある前記アクセスポイント情報に含まれているアクセスポイントを利用者に提示し、前記利用者によって選択されたアクセスポイントに接続する通信制御部と、
アクセスポイントに接続するとき、該アクセスポイントに接続した日時および利用者名を記憶しておき、該日時および該利用者名を前記サーバに登録するアクセスポイント情報更新部と、
を有する端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−273086(P2010−273086A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122959(P2009−122959)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】