説明

通信システム及び通信方法

【課題】システムの構成の変更に柔軟に対応させ、通信効率を向上させることができる通信システム及び通信方法を提供する。
【解決手段】マスタであるECU1と、スレーブである入出力装置2a,2b,2c,2dとがリング接続又はディジーチェーン接続されている通信システムにて、マスタであるECU1は、アドレス情報とデータ設定情報とをスレーブである入出力装置2aへ送信し、入出力装置2aはアドレス情報から自アドレスを決定しつつアドレス情報を書き換えると共に、データ設定情報に自身が使用するデータの設定を書き込み、隣の入出力装置2bへ転送し、更に、入出力装置2b,2c,2dへとアドレス情報及びデータ設定情報が各自で書き換え及び書き込みがされて転送され、最後にはマスタのECU1が受信してシステム全体構成を確認して通信を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信装置を含む通信システムに関し、特に、各通信装置に固有の識別情報を与えずとも識別を可能として構成を同一とし、更に、システムの構成の変更に柔軟に対応させ、通信効率を向上させることができる通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、多数の機器を制御して、全体として多様な機能を実現させる制御システムが普及している。機器には夫々を制御する制御装置が接続され、更に各制御装置に通信手段を設けて相互にデータを交換させ、個々の制御装置が独立した制御を行なうのではなく、他の制御装置などを介して得られるデータに基づいて自身に対応する制御対象の機器を制御するなど、連携して制御を実行する通信システムとして実現し、多様な分野で利用されている。
【0003】
このようなシステムでは、機能の増加に伴い、制御対象の機器の数も増加すると共に、制御に用いるデータを取得、又は測定するセンサなどの機器の数も増加する。特に車両の分野では、各種機能に対応するアクチュエータ又はセンサなどの機器が多数車内に配され、各機器を制御する制御装置としてECU(Electronic Control Unit)が各々に対応して配され、通信機能により相互にデータを送受信して動作する。
【0004】
多数の制御装置夫々に通信機能を持たせて通信装置として連携しあう通信システムでは従来、予め固有の識別情報が設定されて各自メモリに記憶しており、各通信装置はデータを送信する際に識別情報を送信する構成としてきた。これにより、通信装置は夫々データを送信する際に、送信元として記憶してある自身の識別情報と、宛先の装置の識別情報とを共に送信する。これにより、各装置が自身宛のデータがあるかを各自で判断し、データの送信元の装置の識別情報を認識することができる。
【0005】
しかしながら、従来の方法では予め固有の識別情報を設定して記憶させておくために、手間がかかる。また制御装置を大量に必要とする場合、夫々に固有の識別情報を設定しなければならず、識別情報の情報量が膨大となる。
【0006】
そこで、特許文献1には、リング型又はディジーチェーン型の接続形態にて接続される複数の通信装置が、各自固有の識別情報を設定しておくことなしに相互のアドレスを特定することができる発明が開示されている。この発明では、複数の通信装置は1つのマスタと複数のスレーブとで構成され、マスタが任意のアドレス値Xを送信した場合に各スレーブがアドレス値Xに一定値を加算して転送する。これにより、各装置は受信したアドレス値又は送信するアドレス値を基準に自身のアドレス値として認識する。また、マスタは全装置へ送信された後のアドレス値に基づき、スレーブの数を認識できる。これにより、予め識別情報を設定しておかなくとも、複数の通信装置は相互に認識することができるから、通信装置を同一の構成で作製でき、大量生産に適する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3−72740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されている発明により、予め固有の識別情報を設定しておくことなしに、実際に通信線に各通信装置を接続した後の状態にて順次、接続処理、又はデータの送受信処理を行なうことによって各通信装置にマスタからの接続順序に対応する識別情報を付与し、通信時に用いることが可能となる。
【0009】
しかしながら、各スレーブに、マスタからの接続順序に対応する識別情報を付与した後に、スレーブを更に追加するか、又はいずれかのスレーブを入れ替えるなどの必要がある場合、再度識別情報の付与が必要である。また、各通信装置に識別情報を付与した後は、マスタが宛先のスレーブの識別情報とデータとの組み合わせにて各スレーブへ逐一、送信することとなり、通信効率が不十分となる可能性がある。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、システムの構成の変更に柔軟に対応させ、通信効率を向上させることができる通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明に係る通信システムは、1つのマスタ通信装置及び複数のスレーブ通信装置が、リング接続又はディジーチェーン接続されて通信する通信システムにおいて、前記マスタ通信装置は、各スレーブ通信装置のアドレス情報、及び各スレーブ通信装置が使用するデータを判別するために設定するデータ設定情報を送信する手段と、前記複数のスレーブ通信装置のいずれかから転送される前記アドレス情報及びデータ設定情報を受信する手段とを備え、前記複数のスレーブ通信装置は夫々、隣り合う通信装置の一方から前記アドレス情報及びデータ設定情報を受信する手段と、受信したアドレス情報に基づき自アドレスを決定して記憶する手段と、前記アドレス情報を用いた演算結果に基づき、受信したアドレス情報を書き換える手段と、受信したデータ設定情報に、自身が使用するデータを判別するための情報を設定する手段と、書き換え後のアドレス情報及び設定後のデータ設定情報を隣り合う通信装置の他方へ転送する手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
第2発明に係る通信システムは、前記マスタ通信装置は、受信したデータ設定情報に基づき、各スレーブ通信装置が夫々使用する複数のデータを含むデータフレームを送信する手段を備え、各スレーブ通信装置は、前記データフレームから、前記設定に基づきデータを受信するか、又は前記設定に基づき、前記データフレーム内の対応する位置にデータを送信することを特徴とする。
【0013】
第3発明に係る通信システムは、1つのマスタ通信装置及び複数のスレーブ通信装置が、リング接続又はディジーチェーン接続されてデジタル信号を送受信する通信システムにおいて、前記マスタ通信装置は、夫々複数ビットからなるアドレス値ビット及びデータ設定ビットを含む設定信号を送信する手段と、スレーブ通信装置から転送される前記設定信号を受信する手段とを備え、前記複数のスレーブ通信装置は夫々、隣り合う通信装置の一方から前記設定信号を受信する手段と、受信した設定信号の内のアドレス値ビットからアドレス値を読み取る手段と、読み取ったアドレス値に基づきアドレスを決定して記憶する手段と、前記アドレス値と所定値との演算結果に基づき、受信した前記設定信号の内のアドレス値ビットを書き換える手段と、受信した設定信号のデータ設定ビットの内、自身が使用する1又は複数のビットを書き換える書換手段と、書き換え後のアドレス値ビット及びデータ設定ビットを含む設定信号を隣り合う通信装置の他方へ転送する手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第4発明に係る通信システムは、前記データ設定書換手段は、受信した設定信号のデータ設定ビットの内、自身が使用する1又は複数のビットの先頭位置を特定する手段と、特定した先頭位置を記憶する手段と、前記データ設定ビットの内、記憶した先頭位置から自身が使用するビット数分を反転させる手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
第5発明に係る通信システムは、前記マスタ通信装置は、受信した設定信号に基づき、各スレーブ通信装置が夫々使用するビットからなるデータ信号を送信する手段を備え、各スレーブ通信装置は、前記データ信号から、記憶してある先頭位置に基づき自身が使用するビットを取り出すか、又は前記先頭位置から自身が使用するビットにデータを書き込み、送信することを特徴とする。
【0016】
第6発明に係る通信方法は、1つのマスタ通信装置及び複数のスレーブ通信装置が、リング接続又はディジーチェーン接続されて通信する通信方法において、前記マスタ通信装置は、各スレーブ通信装置のアドレス情報、及び各スレーブ通信装置が使用するデータを判別するために設定するデータ設定情報を送信し、前記複数のスレーブ通信装置は夫々、隣り合う通信装置の一方から前記設定情報を受信し、受信したアドレス情報に基づき自アドレスを決定し、前記アドレス情報を用いた演算結果に基づき、受信したアドレス情報を書き換え、受信したデータ設定情報に、自身が使用するデータを判別するための情報を設定し、書き換え後のアドレス情報及び設定後のデータ設定情報を隣り合う通信装置の他方へ転送し、前記マスタ通信装置は、隣り合うスレーブ通信装置の一方から転送される前記アドレス情報及びデータ設定情報を受信し、受信したアドレス情報及びデータ設定情報に基づき、各スレーブ通信装置によるデータの送受信を制御することを特徴とする。
【0017】
第7発明に係る通信方法は、1つのマスタ通信装置及び複数のスレーブ通信装置が、リング接続又はディジーチェーン接続されてデジタル信号を送受信する通信方法において、前記マスタ通信装置は、夫々複数ビットからなるアドレス値ビット及びデータ設定ビットを含む設定信号を送信し、前記複数のスレーブ通信装置は夫々、隣り合う通信装置の一方から前記設定信号を受信し、受信した設定信号の内のアドレス値ビットからアドレス値を読み取り、読み取ったアドレス値に基づきアドレスを決定し、前記アドレス値と所定値との演算結果に基づき、受信した前記設定信号の内のアドレス値ビットを書き換え、受信した設定信号のデータ設定ビットの内、自身が使用する1又は複数のビットを書き換え、書き換え後のアドレス値ビット及びデータ設定ビットを含む設定信号を隣り合う通信装置の他方へ転送し、前記マスタ通信装置は、隣り合うスレーブ通信装置の一方から転送される前記設定信号を受信し、受信した設定信号に基づき、各スレーブ通信装置によるデータの送受信を制御することを特徴とする。
【0018】
本発明では、マスタ通信装置と複数のスレーブ通信装置とが、リング接続又はディジーチェーン接続されており、マスタ通信装置により通信が制御される。まずマスタ通信装置が各スレーブ通信装置のアドレス値情報、及び各スレーブ通信装置が設定するデータ設定情報を含む設定情報を送信する。マスタ通信装置と隣り合うスレーブ通信装置から順に、設定情報を受信し、受信した設定情報に含まれるアドレス値情報からアドレス値を読み取り、読み取ったアドレス値に基づき自アドレスを決定し、以後決定した自アドレスに基づき、データを受信する。更に、スレーブ通信装置は受信した設定情報に含まれるアドレス値情報のアドレス値に対し、所定値との演算を行なって演算結果に基づいて、受信した設定情報に含まれていたアドレス値情報を書き換える。また、スレーブ通信装置は、受信した設定情報に含まれているデータ設定情報に、自身が使用するデータを判別するための情報を設定し、以後送信される情報から当該設定に基づき使用するデータを判別する。各スレーブ通信装置は、書き換えたアドレス値情報及び設定後のデータ設定情報を含む設定情報を隣り合う他の通信装置へ転送する。
設定情報は各スレーブ通信装置を転々とするから、当該設定情報に含まれるアドレス値情報は、各スレーブ通信装置のアドレス値に対する演算結果によって更新され、データ設定情報には各スレーブ通信装置が使用するデータを判別するための情報が設定される。転々と転送された後の設定情報は、マスタ通信装置が再度受信し、受信した設定情報に含まれる更新後のアドレス値情報、及びデータ設定情報から各スレーブ通信装置の情報を取得できる。
これにより、マスタ通信装置では転送後の設定情報に基づき通信システム全体の構成を把握して通信を制御することが可能である。また、各スレーブ通信装置は、接続順序に関わらず、通信システムの構成が変更された後も、自身が使用するデータを判別できる。
【0019】
本発明では更に、マスタ通信装置は受信した転送後の設定情報に基づき、各スレーブ通信装置へ向けて、各スレーブ通信装置が送信又は受信するデータをまとめたデータフレームを送信する。各スレーブ通信装置は、データフレーム内で自身が使用するデータを判別するための情報を設定済みであるから、当該設定に基づき必要なデータを取り出すか、又はフレーム内に送信する。
これにより、データの送受信の際にデータの宛先のアドレスとデータとの対で逐一各スレーブ通信装置が送受信する必要はなく、各スレーブ通信装置は、一度に送信されてリング接続又はディジーチェーン接続により転々と送信されるデータフレームから、各自必要なデータを受信するか又は送信することが可能である。
【0020】
本発明では、アドレス値情報としてアドレス値を示す複数のビットからなるアドレス値ビット、データ設定情報として複数のビットからなるデータ設定ビットが含まれる設定信号がマスタ通信装置から送信される。マスタ通信装置と隣り合うスレーブ通信装置から順に、各スレーブ通信装置が設定信号を受信し、設定信号の内のアドレス値ビットからアドレス値を読み取ってアドレス値を決定し、更に、設定信号のアドレス値ビットをアドレス値と所定値との演算結果に基づき書き換える。更に、スレーブ通信装置は、受信した設定情報の内のデータ設定ビットの内の、自身が使用する1又は複数のビットを書き換える。各スレーブ通信装置は、自身が使用するビットを書き換えるから、後から設定信号を受信したスレーブ通信装置は、書き換えてられていないビットを使用する。そしてスレーブ通信装置は、書き換え後のアドレス値ビット及びデータ設定ビットを含む設定信号を隣り合うスレーブ通信装置又はマスタ通信装置へ転送する。
設定信号は、各スレーブ通信装置にて書き換えられて転々とするので、設定信号に含まれるアドレス値ビット及びデータ設定ビットには、全てのスレーブ通信装置により書き換えられた情報を示す。当該設定信号は、マスタ通信装置が再度受信し、受信した設定信号のアドレス値ビット及びデータ設定ビットに基づき、通信システム全体の構成を把握して通信を制御することが可能である。
これにより、マスタ通信装置では転送後の設定信号に基づき通信システム全体の構成を把握して通信を制御することが可能である。また、各スレーブ通信装置は、接続順序に関わらず、通信システムの構成が変更された後も、自身が使用するデータを判別できる。
【0021】
本発明では更に、スレーブ通信装置は、データ設定ビットにて自身が使用するビットを書き換えるに際し、まず使用するデータを設定すべき先頭位置を特定し、当該先頭位置を記憶しておく。そして、先頭位置から自身が使用するビット分を書き換えるようにしてある。これにより、以後、各スレーブ通信装置へのデータを含む信号が送信された場合に、当該先頭位置から自身が使用するビット分だけ読み取ればよい。各スレーブ通信装置が夫々、データ信号の先頭から順に自身が使用する1又は複数のビットを判別できるので、複数の宛先のデータを1つのデータ信号にまとめることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明による場合、予め各スレーブ通信装置に固有の識別情報を設定しておく必要がない。更に、1つの設定情報をリング接続又はディジーチェーン接続に接続される通信装置間で転送させることによって、各自が使用するデータを判別するための情報が設定され、以後、マスタ通信装置の制御に基づいて各スレーブ通信装置へのデータがまとめて送信されるとしても、スレーブ通信装置は各自、自身が使用するデータをその中から判別することができる。システム構成が変更となって接続順序が変更となっても設定に基づきデータを判別でき、柔軟に対応できると共に、まとめてデータを送受信できるから通信効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態における車載通信システムの構成を示す構成図である。
【図2】本実施の形態の車載通信システムにおけるECU及び入出力装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態の車載通信システムにおけるマスタであるECUが行なう初期設定の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態の車載通信システムにおけるスレーブである入出力装置が行なう初期設定の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態の車載通信システムを構成するECU及び入出力装置間を転々とする初期設定フレームの内容例を示す説明図である。
【図6】本実施の形態の車載通信システムを構成するECU及び入出力装置間で初期設定フレームが転送される状況を模式的に示す説明図である。
【図7】本実施の形態における車載通信システムにてECU及び入出力装置間で送受信されるデータフレームの内容例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、以下に示す実施の形態では、車両に搭載されている多数のアクチュエータ、センサ及びECUが相互にデータを通信して多様な機能を実現する車載通信システムに、本発明に係る通信システムを適用した例を挙げて説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態における車載通信システムの構成を示す構成図である。実施の形態1における車載通信システムは、ECU1と、入出力装置2a,2b,2c,2dと、入出力装置2a,2b,2c,2dに接続される各種センサ3,3,…又はアクチュエータ4,4,…と、ECU1及び入出力装置2a,2b,2c,2dが接続される通信線5とを含む。
【0026】
図1に示すように、ECU1及び入出力装置2a,2b,2c,2dはリング型に接続されている。なお、ECU1と入出力装置2dとの間の通信線5が存在せずに、ディジーチェーン型に接続されていてもよい。
【0027】
ECU1は、各種センサから得られるデータに基づいてアクチュエータの動作を制御する。入出力装置2a,2b,2c,2dは夫々、各センサ3,3,…又はアクチュエータ4,4,…が入出力するデータの通信線5における通信を実行する。センサ3,3,…又はアクチュエータ4,4,…は夫々、車両内外に設置されてECU1又は図示しない他のECUからの制御情報に基づき動作する。
【0028】
このように、センサ3,3,…又はアクチュエータ4,4,…が直接的にECU1に接続する構成ではなく、各々が入出力装置2a,2b,2c,2dに接続され、入出力装置2a,2b,2c,2dがECU1と、又は相互にデータを送受信する構成とすることにより、入出力装置2a,2b,2c,2dが夫々各データに適切な送受信のタイミングにてデータをまとめて通信させることができ、ECU1の負荷を軽減することが可能である。
【0029】
ECU1と入出力装置2a,2b,2c,2dとの間における通信は、通信のプロトコルは限定しないが、マスタ・スレーブ方式に基づきマスタが制御する方式にて実行される。具体的には、実施の形態1では、ECU1及び入出力装置2a,2b,2c,2d間で各センサ3,3,…又はアクチュエータ4,4,…が入出力するデータを送受信するために、ECU1がマスタとなり、入出力装置2aがスレーブ1、入出力装置2bがスレーブ2、入出力装置2cがスレーブ3、入出力装置2dがスレーブ4として動作し、ECU1が入出力装置2a,2b,2c,2dによる通信を制御する。
【0030】
図2は、本実施の形態の車載通信システムにおけるECU1及び入出力装置2aの内部構成を示すブロック図である。入出力装置2b,2c,2dの内部構成は入出力装置2aの内部構成と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0031】
ECU1は、制御部10、記憶部11及び通信部12を備える。制御部10は、CPU(コア)を用い、記憶部11に記憶されてあるプログラムに基づき、各センサ3,3,…又はアクチュエータ4,4,…を制御する処理を実行する。回路の組み合わせによりハードウェア的に実現してもよい。記憶部11は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用い、上述のようにプログラムが記憶されるほか、制御時に参照する設定情報などが記憶される。制御部10は、図示しないRAM(Random Access Memory)を用い、各センサ3,3,…又はアクチュエータ4,4,…から入力される状態情報又はセンサ3,3,…又はアクチュエータ4,4,…へ出力する制御情報などを一時的に記憶する。
【0032】
通信部12は、制御部10からの指示に基づき、所定のプロトコルに従って通信線5を介した通信処理を行なう。具体的には、制御部10から与えられた制御情報を、プロトコルに準じたフォーマットの信号に変換して出力する処理又は通信線5から受信した信号から、プロトコルに準じて情報を取り出す処理などを行なう。なお通信部12は図2に示すように、ポートを2つ備え(121,122)、直接的に接続する2つの入出力装置2aとの通信と入出力装置2dとの通信とを区別することが可能である。
【0033】
入出力装置2aは、演算処理部20a、通信部21a、記憶部22a、及び入出力部23aを備える。入出力装置2aは、これらの各構成部が形成されるASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成される。FPGA(Field Programmable Gate Array)でもよい。なお、マイクロコンピュータによるソフトウェア的処理により、各構成部の機能を実現する構成としてもよい。
【0034】
演算処理部20aは、通信部21aから受信する信号に対する所定の演算処理、又は受信した信号に基づく情報を記憶部22aに記憶するなどの処理を行なう。また、入出力部23aから入力するセンサ3又はアクチュエータ4の状態情報を作成して通信部21aへ出力する処理を行なってもよい。
【0035】
記憶部22aは、フラッシュメモリ等のメモリ又はRAMを用い、演算処理部20aが通信部21aを介して受信した情報、又は演算処理部20aの演算処理によって得られる情報を記憶する。
【0036】
通信部21aは、演算処理部20aからの指示に基づき、所定のプロトコルに従って通信線5を介して通信処理を行なう。演算処理部20aから与えられた制御情報を、プロトコルに準じたフォーマットの信号に変換して出力する処理、又は通信線5から受信した信号からプロトコルに準じて情報を取り出し、演算処理部20aに通知するなどの処理を行なう。入出力装置2aの通信部21aも、図2に示すようにポートを2つ備え(211a,212a)、直接的に接続するECU1との通信と、入出力装置2bとの通信とを区別することが可能である。
【0037】
入出力部23aは、センサ3及びアクチュエータ4が接続されるインタフェースである。D/A変換、A/D変換を行なうことが可能に構成されていてもよい。入出力部23aは、センサ3からの入力信号から情報を取得して演算処理部20aへ通知するか、演算処理部20aからの制御情報を制御信号へ変換してアクチュエータ4へ出力するなどの処理を行なう。
【0038】
このように構成されるECU1及び入出力装置2a,2b,2c,2d間における通信方法について説明する。通信を行なうためには、マスタであるECU1が、スレーブ1〜4である入出力装置2a,2b,2c,2d夫々を識別し、また、各入出力装置2a,2b,2c,2dも自身が宛先であるのか否かなどを認識する必要がある。つまり、夫々を識別する識別情報としてアドレスが必要となる。しかしながら上述したように、スレーブ1〜4である各入出力装置2a,2b,2c,2dには、自身を識別する自アドレス(識別情報)は予め設定されていない。そこで、以下に説明するように、マスタであるECU1とスレーブ1〜4である入出力装置2a,2b,2c,2dの間で情報を送受信することにより、設定を行なう。
【0039】
図3は、本実施の形態の車載通信システムにおけるマスタであるECU1が行なう初期設定の処理手順の一例を示すフローチャートである。ECU1の制御部10は、通信線5を介して入出力装置2a,2b,2c,2dが接続された状態で、図示しないバッテリ又はオルタネータなどの電力供給装置から電力の供給を受けると、初期設定として以下の処理を実行するようにしてある。
【0040】
制御部10は、アドレス情報と各スレーブのデータ設定情報とを含む初期設定フレームを隣り合う入出力装置2a及び入出力装置2bの内の一方、ここでは入出力装置2aへ通信部12のポート122から送信する(ステップS11)。その後、制御部10は、隣り合う他方の入出力装置2dから転送された初期設定フレームを受信したか否かを判断する(ステップS12)。初期設定フレームの内容の詳細については、後述する。
【0041】
制御部10は、通信部12から、転送された初期設定フレームを受信していないと判断した場合(S12:NO)、処理をステップS12へ戻して受信したと判断するまで待機する。
【0042】
制御部10は、通信部12から、転送された初期設定フレームを受信したと判断した場合(S12:YES)、受信した初期設定フレームのアドレス情報から、スレーブである入出力装置2a,2b,2c,2dの数を求める(ステップS13)。また、制御部10は、受信した初期設定フレームのデータ設定情報から、データ入出力のためのデータフレームを送信した場合に各スレーブ1〜4のデータ入出力に夫々使用される領域を認識し(ステップS14)、スレーブの数(4)及び各スレーブ1〜4のデータ入出力に夫々使用される領域の認識に対応して通信を開始し(ステップS15)、初期設定の処理を終了する。
【0043】
なお、ECU1では、夫々にセンサ3,3,…及びアクチュエータ4,4,…、又はいずれか一方が接続された4つの入出力装置2a,2b,2c,2dがリング接続されることに対応する設定されてあるとする。これにより、ECU1は、設定されているスレーブの数と、ステップS13で求めたスレーブの数とが合致しているかの確認が可能である。また、設定されている各スレーブ1〜4による使用領域と、ステップS14で認識した使用領域とが合致しているかの確認が可能である。
【0044】
図4は、本実施の形態の車載通信システムにおけるスレーブである入出力装置2aが行なう初期設定の処理手順の一例を示すフローチャートである。他の入出力装置2b,2c,2dにより行われる処理も同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
入出力装置2aの演算処理部20aがECU1と共に通信線5を介してリング接続(ディジーチェーン接続)した状態で、図示しないバッテリ又はオルタネータなどの電力供給装置から電力の供給を受けると、初期設定として以下の処理を実行するようにしてある。
【0046】
演算処理部20aは、通信部21aのポート211a,212aの一方から、ECU1を送信元とする初期設定フレームを受信したか否かを判断する(ステップS21)。演算処理部20aは、初期設定フレームを受信していないと判断した場合(S21:NO)、処理をステップS21へ戻し、受信したと判断するまで待機する。
【0047】
演算処理部20aは、通信部21aからの通知により初期設定フレームを受信したと判断した場合(S21:YES)、受信した初期設定フレームからアドレス情報を取り出す(ステップS22)。演算処理部20aは取り出したアドレス情報に基づき自アドレスを決定する(ステップS23)。本実施の形態では、後述にて詳細を説明するように、アドレス情報はアドレス値を示しており、演算処理部20aは受信したアドレス情報が示すアドレス値を自身のアドレスとして決定する。なお、アドレスの決定方法はこれに限らず、受信したアドレス情報が示す予め規定された符号列に対応するアドレス値を、テーブルを用いて求める構成としてもよいし、アドレス情報が示すアドレス値に例えば「10」を乗算した結果をアドレスとして決定するなどしてもよい。
【0048】
演算処理部20aは次に、受信した初期設定フレームのアドレス情報を、所定の演算結果に基づき書き換える(ステップS24)。具体的には、演算処理部20aは、受信した初期設定フレームのアドレス情報が示すアドレス値に「1」を加算し、加算した結果を示すようにアドレス情報を書き換える。加算される値は「1」でなくともよいし、加算に限らず減算でも乗算でも除算でも、それらの組み合わせでもよい。これにより、次の入出力装置2bが当該初期設定フレームを受信した場合、当該アドレス情報は「1」が加算された後の値を示す。
【0049】
演算処理部20aは更に、受信した初期設定フレームのデータ設定情報に、自身が使用するデータの設定を書き込む(ステップS25)。具体的には、演算処理部20aは、受信した初期設定フレームのデータ設定情報を示すビット列の内、既に他の入出力装置によって書き換えられていないビット列の先頭から、自身が入出力するデータに使用する分だけのビット数分のビットを書き換える。次の入出力装置2bが当該初期設定フレームを受信した場合、入出力装置2aで書き換えられたビットの次のビット以降を書き換える。
【0050】
演算処理部20aは、ステップS24及びステップS25によって書き換えられ、書き込まれた初期設定フレームを、隣り合う他方の入出力装置2bへ通信部21aから転送し(ステップS26)、処理を終了する。
【0051】
図4のフローチャートに示した処理が、入出力装置2b,2c,2dでも行なわれることにより、全ての入出力装置2a,2b,2c,2dによって書き換え、書込みがされた初期設定フレームが、最後にはマスタであるECU1で受信される。そして、図3のフローチャートに示したように、ECU1の制御部10が、書き換え、書込みがされた初期設定フレームの内容に基づき、スレーブの数の確認及び全入出力装置2a,2b,2c,2dを介した通信が正常に行なわれていることの確認を行なって、通信を開始することができる。
【0052】
初期設定フレームの詳細を説明する。図5は、本実施の形態の車載通信システムを構成するECU1及び入出力装置2a,2b,2c,2d間を転々とする初期設定フレームの内容例を示す説明図である。
【0053】
本実施の形態における初期設定フレームは、図5に示すように、1バイト即ち8ビットのアドレス値ビットと、3バイト即ち24ビットのデータ設定ビットとからなる。当該初期設定フレームが1つの情報としてECU1から送信される。
【0054】
なお、本実施の形態における初期設定フレームは、ECU1から送信される時点で、図5に示すように、アドレス値ビットは全て「0」、データ設定ビットは全て「1」である。
【0055】
図6は、本実施の形態の車載通信システムを構成するECU1及び入出力装置2a,2b,2c,2d間で初期設定フレームが転送される状況を模式的に示す説明図である。
【0056】
図6の下部には、書き換え及び書き込みによって内容が変化する初期設定フレームの変移が示されている。
【0057】
最初にマスタであるECU1からスレーブ1である入出力装置2aへ送信される初期設定フレームは、図5に示したように、アドレス値ビットは全て「0」、データ設定ビットは全て「1」である。スレーブ1である入出力装置2aの演算処理部20aは、アドレス値ビットを数値として読み取り、自アドレスと決定する。つまり、「0000 0000」=「0」をアドレスと決定する。そして演算処理部20aは、アドレス値ビットが示す値に「1」を加算した数値「1」=(0+1)を求め、当該数値「1」を示すようにアドレス値ビットを書き換える。更に演算処理部20aは、データ設定ビットの内の「1」のまま書き換えられていないビット列の先頭ビットを特定する。演算処理部20aは、特定した先頭ビットの位置、つまり「0ビット目」を記憶部22aに記憶しておく。そして、演算処理部20aは、センサ3から入力される状態情報を表す4ビット、及びアクチュエータ4の制御情報に用いる2ビットを使用するため、特定した先頭ビットから「6」ビット分にビット「0」を書き込む。演算処理部20aは、書き換え及び書き込み後の初期設定フレームを、スレーブ2である入出力装置2bへ転送する。
【0058】
スレーブ2である入出力装置2bでは、演算処理部がアドレス値ビットを数値として読み取る。このときスレーブ1である入出力装置2aから転送された初期設定フレームでは、アドレス値ビットは「0000 0001」に書き換えられている。したがって入出力装置2bの演算処理部は、「1」をアドレスと決定し、アドレス値ビットが示す値に「1」を加算した数値「2」=(1+1)を求め、当該数値「2」を示すようにアドレス値ビットを書き換え、「0000 0010」とする。更に、入出力装置2bの演算処理部は、データ設定ビットの内の「1」のまま書き換えられていないビット列の先頭ビット(「7ビット目」)を特定し、先頭ビットの位置を記憶しておく。そして、入出力装置2bの演算処理部は、センサ3から入力される状態情報を表す4ビット、並びにアクチュエータ4,4の制御情報に用いる2ビット及び2ビットを使用するため、特定した先頭ビットから「8」ビット分にビット「0」を書き込む。入出力装置2bの演算処理部は、書き換え及び書き込み後の初期設定フレームを、スレーブ3である入出力装置2cへ転送する。
【0059】
同様にして、スレーブ3である入出力装置2cではアドレス値ビットからアドレスが「2」と決定され、データ設定ビットの内、使用する「5」ビット分にビット「0」が書き込まれる。そして、書き換え及び書き込み後の初期設定フレームが、スレーブ4である入出力装置2dへ転送される。スレーブ4である入出力装置2dでも同様に、アドレス値ビットからアドレスが「3」と決定され、データ設定ビットの内、使用する「5」ビット分にビット「0」が書き込まれる。そして、書き換え及び書き込み後の初期設定フレームが、リング接続されているマスタであるECU1へ転送される。
【0060】
この場合、ECU1の制御部10は、図6に示すように、アドレス値ビットが「0000 0100」であり、データ設定ビット全てに「0」が書き込まれた初期設定フレームを通信部12から受信する。これにより、ECU1の制御部10は、アドレス値ビットが示す数値=「4」からスレーブの数を「4」と確認することができる。また、制御部10は、データ設定ビットから、予め設定されている使用ビットと合致しているか否かを確認し、通信を開始することができる。
【0061】
なおこのとき制御部10は、確認の結果、予め設定されているスレーブの数、使用ビットと合致しない場合には、通信を開始できないと判断し、異常であると認識して処理を終了することも可能である。
【0062】
新たに入出力装置がシステムに加えられるなど、システムが変更される場合、既に書き換え及び書き込みがされている初期設定フレームをECU1から送信し、既に初期設定を完了している入出力装置2a,2b,2c,2dは書き換えを行なわずに転送のみ行ない、新たに追加された初期設定が未完了の入出力装置が初期設定フレームからアドレスの決定及び使用領域の設定を行なってECU1へ送信する。再度初期設定フレームを全体に送信してもよいが、上述のように既に書き換え及び書き込みがされている初期設定フレームを再度送信することにより、他の既に接続されていた入出力装置2a,2b,2c,2dは、自身のアドレスを変更することなく、また、使用するデータの領域の設定を変えることもなく、新たに加えられた入出力装置が自身にて設定を行ない、ECU1にて新たに追加される入出力装置に対応させるように予め設定を変更しておけば、継続して通信を行なうことができる。
【0063】
図7は、本実施の形態における車載通信システムにてECU1及び入出力装置2a,2b,2c,2d間で送受信されるデータフレームの内容例を示す説明図である。初期設定フレームが送受信されて設定処理が終了した後、ECU1が図7に示すようなデータフレームを送信する。
【0064】
図7に示すように、データフレームは、データフレームであることを示す任意の識別情報と、データビットとからなる。データビットには、各入出力装置2a,2b,2c,2dが用いるデータがビット単位で組み合わされて記載されている。
【0065】
各データビットは、ECU1から最初に送信するときには全て「0」又は「1」であってよい。なお、ECU1の制御部10は、入出力装置2aのアクチュエータ4を制御するための制御情報を、入出力装置2aが用いる「6」ビットの最後の2ビットに書き込んでおいてもよい。そして、最初に入出力装置2aがデータフレームを受信した場合に、自身が使用するビットの先頭ビットの位置を記憶部22aから読み出し、当該先頭ビットから6ビット分の中に、接続しているセンサ3から入力される状態情報を示す「1101」を書込み転送する。
【0066】
同様に、入出力装置2b,2c,2dでも、自身が使用するビットを先頭ビットの位置及びビット数で記憶しているから、夫々使用するビットから情報を読み出すか、又は情報を書き込んで他の入出力装置2a,2b,2c,2d及びECU1へ転送する。
【0067】
このようにして、1つのデータフレームにて複数のスレーブ1〜4が夫々使用する情報を相互に干渉させることなく送受信することができ、通信効率が向上する。この場合も、新たに入出力装置が加えられたとしても、当該新たな入出力装置が使用するビットについては、マスタであるECU1と、新たな入出力装置自身が記憶すればよいから、既存の入出力装置2a,2b,2c,2dでの設定を変更することなく、システム変更に対応させることができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、ECU1及び入出力装置2a,2b,2c,2dは、リング接続しており、入出力装置2dは書き換え後の初期設定フレームを、受信した方と異なるポートから転送することによりマスタであるECU1で初期設定フレームを受信できた。しかしながら本発明はこれに限らない。ECU1及び入出力装置2a,2b,2c,2dは、ディジーチェーン接続、即ち入出力装置2dとECU1とが通信線5によって接続されていない場合であっても実現可能である。この場合、入出力装置2dだけは、書き換え後の初期設定フレームを受信した方と同一のポートから戻し、他の入出力装置2a,2b、2cは同様に受信した一方から他方へ初期設定フレームの転送のみ行なうことで実現する。
【0069】
なお、本実施の形態では、上述のように初期設定フレームを用い、複数のビットからなるアドレス情報及びデータ設定情報を送信し、スレーブが各ビットへの書き換えを行なって転送する処理を行なう構成とした。しかしながら、本発明はこれに限らず、アドレス情報及びデータ設定情報を夫々適宜送信し、夫々に対して書き換え処理を行なうようにしてもよい。また、データ設定情報については、使用するビット分を書き換えるのみならず、夫々が使用するビットをマスタが自動的に特定できるように、入出力されるデータの識別情報と対にした情報を組み合わせたものであってもよい。使用するビット分を書き換える構成では上述したように、各スレーブ1〜4がいずれの領域を使用するかを認識させるためには、マスタで予め設定しておくことが必要となる。自動的に特定できるようにすれば、更に柔軟にシステム構成の変更に対応させることが可能である。
【0070】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 ECU(マスタ通信装置)
2a,2b,2c,2d 入出力装置(スレーブ通信装置)
5 通信線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのマスタ通信装置及び複数のスレーブ通信装置が、リング接続又はディジーチェーン接続されて通信する通信システムにおいて、
前記マスタ通信装置は、
各スレーブ通信装置のアドレス情報、及び各スレーブ通信装置が使用するデータを判別するために設定するデータ設定情報を送信する手段と、
前記複数のスレーブ通信装置のいずれかから転送される前記アドレス情報及びデータ設定情報を受信する手段と
を備え、
前記複数のスレーブ通信装置は夫々、
隣り合う通信装置の一方から前記アドレス情報及びデータ設定情報を受信する手段と、
受信したアドレス情報に基づき自アドレスを決定して記憶する手段と、
前記アドレス情報を用いた演算結果に基づき、受信したアドレス情報を書き換える手段と、
受信したデータ設定情報に、自身が使用するデータを判別するための情報を設定する手段と、
書き換え後のアドレス情報及び設定後のデータ設定情報を隣り合う通信装置の他方へ転送する手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記マスタ通信装置は、受信したデータ設定情報に基づき、各スレーブ通信装置が夫々使用する複数のデータを含むデータフレームを送信する手段を備え、
各スレーブ通信装置は、前記データフレームから、前記設定に基づきデータを受信するか、又は前記設定に基づき、前記データフレーム内の対応する位置にデータを送信すること
を特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
1つのマスタ通信装置及び複数のスレーブ通信装置が、リング接続又はディジーチェーン接続されてデジタル信号を送受信する通信システムにおいて、
前記マスタ通信装置は、
夫々複数ビットからなるアドレス値ビット及びデータ設定ビットを含む設定信号を送信する手段と、
スレーブ通信装置から転送される前記設定信号を受信する手段と
を備え、
前記複数のスレーブ通信装置は夫々、
隣り合う通信装置の一方から前記設定信号を受信する手段と、
受信した設定信号の内のアドレス値ビットからアドレス値を読み取る手段と、
読み取ったアドレス値に基づきアドレスを決定して記憶する手段と、
前記アドレス値と所定値との演算結果に基づき、受信した前記設定信号の内のアドレス値ビットを書き換える手段と、
受信した設定信号のデータ設定ビットの内、自身が使用する1又は複数のビットを書き換える書換手段と、
書き換え後のアドレス値ビット及びデータ設定ビットを含む設定信号を隣り合う通信装置の他方へ転送する手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項4】
前記データ設定書換手段は、
受信した設定信号のデータ設定ビットの内、自身が使用する1又は複数のビットの先頭位置を特定する手段と、
特定した先頭位置を記憶する手段と、
前記データ設定ビットの内、記憶した先頭位置から自身が使用するビット数分を反転させる手段と
を備えることを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記マスタ通信装置は、受信した設定信号に基づき、各スレーブ通信装置が夫々使用するビットからなるデータ信号を送信する手段を備え、
各スレーブ通信装置は、前記データ信号から、記憶してある先頭位置に基づき自身が使用するビットを取り出すか、又は前記先頭位置から自身が使用するビットにデータを書き込み、送信すること
を特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
1つのマスタ通信装置及び複数のスレーブ通信装置が、リング接続又はディジーチェーン接続されて通信する通信方法において、
前記マスタ通信装置は、各スレーブ通信装置のアドレス情報、及び各スレーブ通信装置が使用するデータを判別するために設定するデータ設定情報を送信し、
前記複数のスレーブ通信装置は夫々、
隣り合う通信装置の一方から前記設定情報を受信し、
受信したアドレス情報に基づき自アドレスを決定し、
前記アドレス情報を用いた演算結果に基づき、受信したアドレス情報を書き換え、
受信したデータ設定情報に、自身が使用するデータを判別するための情報を設定し、
書き換え後のアドレス情報及び設定後のデータ設定情報を隣り合う通信装置の他方へ転送し、
前記マスタ通信装置は、
隣り合うスレーブ通信装置の一方から転送される前記アドレス情報及びデータ設定情報を受信し、
受信したアドレス情報及びデータ設定情報に基づき、各スレーブ通信装置によるデータの送受信を制御する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項7】
1つのマスタ通信装置及び複数のスレーブ通信装置が、リング接続又はディジーチェーン接続されてデジタル信号を送受信する通信方法において、
前記マスタ通信装置は、夫々複数ビットからなるアドレス値ビット及びデータ設定ビットを含む設定信号を送信し、
前記複数のスレーブ通信装置は夫々、
隣り合う通信装置の一方から前記設定信号を受信し、
受信した設定信号の内のアドレス値ビットからアドレス値を読み取り、
読み取ったアドレス値に基づきアドレスを決定し、
前記アドレス値と所定値との演算結果に基づき、受信した前記設定信号の内のアドレス値ビットを書き換え、
受信した設定信号のデータ設定ビットの内、自身が使用する1又は複数のビットを書き換え、
書き換え後のアドレス値ビット及びデータ設定ビットを含む設定信号を隣り合う通信装置の他方へ転送し、
前記マスタ通信装置は、
隣り合うスレーブ通信装置の一方から転送される前記設定信号を受信し、
受信した設定信号に基づき、各スレーブ通信装置によるデータの送受信を制御する
ことを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−120167(P2011−120167A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277789(P2009−277789)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】