説明

通信システム及び通信端末死活確認方法

【課題】輻輳を防止しながら通信の死活管理をすることが可能な通信システム及び通信端末死活確認方法を提供する。
【解決手段】通信回線に接続し、データを受信する通信端末と、このデータを格納し、通信端末との通信の死活管理の時間間隔を、閾値を超えないように順次長くして死活管理を行い、通信端末に対してこのデータを送信する、ホストコンピュータと、を備える。データはホストコンピュータに対して操作端末から配信されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信システム及び通信端末死活確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホストコンピュータから、このホストコンピュータに接続する通信端末にデータを送信することがある。この送信は通信端末からホストコンピュータに対して通信の確立を行い、通信が確立した後にホストコンピュータから通信端末にデータを送信し、送信完了後に通信を切断する。
【0003】
しかし、この方法によっては、ホストコンピュータが通信端末に対して緊急にデータを送信することができない。
【0004】
そこで、通信が確立した後にこの通信を切断せずに継時的に接続しておき、必要が生じたときにホストコンピュータから通信端末に対してデータを送信する方法が考えられる。
【0005】
ここで問題となるのが、通信の死活管理である。すなわち、通信が切断されているにもかかわらずホストコンピュータがデータを送信しようとすると送信エラーが発生する。加えて、すでに切断されている通信を接続されているものとして管理することは管理データが増える一方であり、いずれオーバーフローを引き起こす。
【0006】
一方で、定期的に死活管理しようとすると、例えば顧客が同時に多数の端末を立ち上げた場合などには通信の輻輳が発生する。
【0007】
より具体的には、近年では表示内容を随時変更することが可能な電子看板システムが使用されている。この電子看板システムは、サーバから多数の表示端末にインターネットを介して表示内容であるコンテンツを配信し、表示端末は受信したコンテンツを受信した表示方法により表示する。
【0008】
従来の電子看板システムは、表示端末からサーバに対して通信を開始し、通信が確立してから表示端末がコンテンツの配信を要求するプル型が主流であった。しかし、緊急に表示内容を変更したい場合にはプル型では対応できない場合が多い。サーバがコンテンツを配信しようとしても、表示端末への回線が確立していない場合があるからである。
【0009】
これに対し、表示端末からのコンテンツの配信要求を待たずにサーバからコンテンツを配信するプッシュ型の電子看板システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−92164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、コンテンツを表示端末に配信する際に、通信の死活管理が問題となる。すなわち、表示端末との通信が確立されていることを確認してからコンテンツを配信する必要があるからである。特に、多数の表示端末に対して同時にコンテンツの差し替えを行うときには、死活管理の動作によって通信の輻輳が発生する。
【0012】
従って、輻輳を防止しながら通信の死活管理をすることが可能な通信システム及び通信端末死活確認方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、一実施形態は通信回線に接続し、データを受信する通信端末と、データを格納し、通信端末との通信の死活管理の時間間隔を、閾値を超えないように死活管理の回数を追うごとに長くして死活管理を行い、通信端末に対して通信回線を介して前記データを送信する、ホストコンピュータと、を備える通信システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電子看板システムの構成を示すブロック図である。
【図2】通信管理テーブルのデータ構造を示す図である。
【図3】顧客管理DBのデータ構造を示す図である。
【図4】コンテンツDBのデータ構造を示す図である。
【図5】操作端末からアプリケーションサーバへのコンテンツの配信動作を示すフローチャートである。
【図6】アプリケーションサーバによる表示端末との通信の死活管理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、通信システム及び通信端末死活確認方法の一実施形態について、電子看板システムを例に、図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
本実施形態の通信システムの一実施形態は通信回線に接続し、データを受信する通信端末と、データを格納し、通信端末との通信の死活管理の時間間隔を、閾値を超えないように死活管理の回数を追うごとに長くして死活管理を行い、通信端末に対して通信回線を介して前記データを送信する、ホストコンピュータと、を備える。
【0017】
図1は、本実施形態の通信システムである電子看板システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、電子看板システムは、データすなわち表示内容であるコンテンツを表示する通信端末である表示端末401と、コンテンツを配信する操作端末301と、操作端末301から配信されたコンテンツを格納し、表示端末401との通信の死活管理の時間間隔を、閾値を超えないように死活管理の回数を追うごとに順次長くして死活管理を行い、表示端末401に対してコンテンツを送信する、ホストコンピュータであるアプリケーションサーバ101と、を備える。
【0018】
表示端末401は、演算装置であるCPU402と、ROM、RAMなどのメモリ403と、アプリケーションプログラムなどを格納する記憶装置404と、受信したコンテンツを格納する表示内容データベース405(以下、データベースをDBという。)と、ディスプレイ装置である表示装置406と、インターネットなどの公衆通信回線網201を介して通信可能な通信インターフェース(以下、通信I/Fという。)407と、を備える。表示端末401は顧客の場所に設置されていてもよい。
【0019】
操作端末301は、演算装置であるCPU302と、ROM、RAMなどのメモリ303と、アプリケーションプログラムなどを格納する記憶装置304と、配信するコンテンツを格納するコンテンツファイル305と、ディスプレイ装置である表示装置306と、インターネットなどの公衆通信回線網201を介して通信可能な通信I/F307と、を備える。
【0020】
アプリケーションサーバ101は、演算装置であるCPU102とROM、RAMなどのメモリ103と、顧客情報を格納する顧客管理DB105と、コンテンツを格納するコンテンツDB106と、インターネットなどの公衆通信回線網201を介して通信可能な通信I/F107と、を備える。
【0021】
アプリケーションサーバ101は、メモリ103に通信の死活管理情報を格納する通信管理テーブル104を備える。
【0022】
図2は、通信管理テーブル104のデータ構造を示す図である。図2に示すように、通信管理テーブル104は、通信ごとに固有に割り当てられるIDである「コネクションID」と、表示端末401ごとに固有に割り当てられるIDである「プレーヤID」と、通信の死活確認を行う時間間隔である「死活管理時間間隔」と、直近に行った死活管理の時刻である「前回死活管理時刻」と、通信の死活の状態を示す「死活情報」と、を格納する。
【0023】
各データの例は、「コネクションID」が「CN1」、「プレーヤID」が「PL1」、「死活管理時間間隔」が「500ms」、「前回死活管理時刻」が「10:00:00」、「死活情報」が「Alive」である。
【0024】
図3は、顧客管理DB105のデータ構造を示す図である。図3に示すように、顧客管理DB105は、顧客ごとに固有に割り当てられるIDである「ユーザID」と、認証に利用するパスワードの内容である「パスワード」と、複数の表示端末401によって構成される表示端末群を示す「プレーヤグループID」と、顧客が所有する表示端末に固有に割り当てられるIDである「所有プレーヤID」と、を格納する。
【0025】
各データの例は、「ユーザID」が「US1」、「パスワード」が「pass1」、「プレーヤグループID」が「GP1」、「所有プレーヤID」が「PL1」である。
【0026】
図4は、コンテンツDB106のデータ構造を示す図である。図4(A)は適用テーブルのデータ構造を、図4(B)はコンテンツテーブルのデータ構造を、それぞれ示す。
【0027】
図4(A)に示すように、適用テーブルは、「プレーヤグループID」と、「番組ID」と、配信予定日時を示す「適用日時」と、を格納する。「適用日時」のデータの例は「2011/3/1, 10:00」である。
【0028】
図4(B)に示すように、コンテンツテーブルは、表示する個別の内容に固有に割り当てられるIDである「番組ID」と、表示するテキストの内容である「テキストデータ」と、表示する画像に固有に割り当てられるIDである「画像データID」と、表示時間長を示す「再生時間」と、を格納する。
【0029】
各データの例は、「番組ID」が「PR1」、「テキストデータ」が「本日の金利△%」、「画像データID」が「背景1」、「再生時間」が「30秒」である。
【0030】
表示内容DB405のデータ構造はコンテンツテーブルのデータ構造と同様である。
【0031】
図5は、操作端末301からアプリケーションサーバ101へのコンテンツの配信動作を示すフローチャートである。
【0032】
図5に示すように、ステップ501において操作端末301はアプリケーションサーバ101に認証要求する。具体的には、操作端末301はアプリケーションサーバ101に「ユーザID」、「パスワード」を送信する。
【0033】
ステップ502において、アプリケーションサーバ101は認証を行う。具体的には、受信した「ユーザID」に基づいて顧客管理DB105を検索し、読み出した「パスワード」と受信した「パスワード」を比較し、一致すれば認証成功と判定する。
【0034】
ステップ503において、操作端末301はアプリケーションサーバ101に「プレーヤグループID」、「番組ID」、「適用日時」、「テキストデータ」、「画像データID」、「再生時間」を送信する。
【0035】
アプリケーションサーバ101は、適用テーブルを読み出し、指定された適用日時に、指定されたプレーヤグループIDの表示端末401に対して指定された番組IDのコンテンツを配信する。
【0036】
ここで、本実施形態の電子看板システムはプッシュ型の電子看板システムである。アプリケーションサーバ101と表示端末401の通信は継時的に接続された状態が維持されている。アプリケーションサーバ101は表示端末401との通信の死活管理を行い、通信が接続している表示端末401に対してコンテンツの配信を試みる。コンテンツの配信に際してアプリケーションサーバ101は表示端末401からの送信要求を必要としない。
【0037】
具体的には、アプリケーションサーバ101は通信管理テーブル104にレコードが存在し、「死活情報」が「Alive」である場合に、当該表示端末401との接続が確立された状態であると判定する。
【0038】
図6は、アプリケーションサーバ101による表示端末との通信の死活管理動作を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップ601において表示端末401はアプリケーションサーバ101に対して接続要求を行う。
【0039】
ステップ602において、アプリケーションサーバ101は認証を行い、通信の接続を確立する。
【0040】
ステップ603において、アプリケーションサーバ101は通信管理テーブル104に接続を登録する。すなわち、アプリケーションサーバ101はコネクションIDを生成して「コネクションID」に格納し、通信を確立した表示端末401のプレーヤIDを「プレーヤID」に格納し、「死活管理時間間隔」に予め定められた初期値を格納し、現在時刻を「前回死活管理時刻」に格納し、「死活情報」にNULLを格納する。
【0041】
ステップ604において、アプリケーションサーバ101は表示端末401に対して死活確認である接続確認要求を送信する。
【0042】
ステップ605において、表示端末401は接続確認応答を返信する。
【0043】
ステップ606において、アプリケーションサーバ101は通信の死活を判定する。アプリケーションサーバ101は予め定められた時間内に接続確認応答を受信したかを判定する。アプリケーションサーバ101は予め定められた時間内に接続確認応答を受信した場合、通信が接続されていると判定し、ステップ607に進み、予め定められた時間内に接続確認応答を受信しなかった場合、ステップ611に進む。
【0044】
ステップ607において、アプリケーションサーバ101は通信管理テーブル104を更新する。すなわち、アプリケーションサーバ101は当該「コネクションID」に関し、現在時刻を「前回死活管理時刻」に格納し、「死活情報」に「Alive」を格納する。
【0045】
ステップ608において、アプリケーションサーバ101は時間のカウントを開始する。
【0046】
ステップ609において、アプリケーションサーバ101は待機時間である「死活管理時間間隔」が経過したかを判定する。アプリケーションサーバ101は待機時間が経過したと判定した場合ステップ610に進み、まだ経過していないと判定したときステップ609に戻る。
【0047】
ステップ610において、アプリケーションサーバ101は通信管理テーブル104の待機時間である「死活管理時間間隔」を更新する。アプリケーションサーバ101は当該「コネクションID」に関し「死活管理時間間隔」に格納されている「死活管理時間間隔」よりも長い時間間隔を格納する。
【0048】
具体的には、例えば、「死活管理時間間隔」に「30秒」が格納されていたとき、2倍した「60秒」を格納する。「死活管理時間間隔」に「60秒」が格納されていたとき、2倍した「120秒」を格納する。以降、2倍して格納することを繰り返す。そして、この2倍した「死活管理時間間隔」が閾値である「3840秒」を超えた場合、この閾値である「3840秒」を「死活管理時間間隔」に格納する。
【0049】
このように制御する理由は、死活管理による通信の輻輳を避けるためである。時間間隔を長くするのは、通信が切断されるのは通信が確立されて間もない時期であることが多く、一度安定して通信が確立されると切断される確率が低くなるという経験則に基づく。
【0050】
アプリケーションサーバ101は待機時間を変更した後、ステップ604に戻る。
【0051】
ステップ611において、アプリケーションサーバ101は通信が切断されたコネクションIDのレコードを通信管理テーブル104から削除する。
【0052】
以上のべたように、本実施形態の通信システムの例である電子看板システムは、プッシュ型の電子看板システムであり、データすなわち表示内容であるコンテンツを表示する通信端末である表示端末401と、コンテンツを配信する操作端末301と、操作端末301から配信されたコンテンツを格納し、表示端末401との通信の死活管理の時間間隔を、閾値を超えないように死活管理の回数を追うごとに順次長くして死活管理を行い、表示端末401に対してコンテンツを送信する、ホストコンピュータであるアプリケーションサーバ101と、を備える。
【0053】
従って、輻輳を防止しながら通信の死活管理をすることが可能となるという効果がある。
【0054】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
101:アプリケーションサーバ
104:通信管理テーブル
106:コンテンツDB
301:操作端末
401:表示端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線に接続し、データを受信する通信端末と、
前記データを格納し、前記通信端末との通信の死活管理の時間間隔を、閾値を超えないように死活管理の回数を追うごとに長くして死活管理を行い、前記通信端末に対して前記通信回線を介して前記データを送信する、ホストコンピュータと、
を備える通信システム。
【請求項2】
前記通信端末と前記ホストコンピュータとは継時的に通信が接続されており、前記通信端末からの送信要求を必要とせずに前記データを前記通信端末に送信する請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記ホストコンピュータは、
前記通信端末との通信の死活管理の時間間隔を、閾値を超えないように順次2倍することにより長くして死活管理を行う請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
前記ホストコンピュータは、
通信の死活管理情報を格納する通信管理テーブルを備える請求項3記載の通信システム。
【請求項5】
データをホストコンピュータが格納し、
前記ホストコンピュータが通信回線を介して接続する通信端末との通信の死活管理の時間間隔を、閾値を超えないように死活管理の回数を追うごとに順次長くして死活管理を行い、
前記ホストコンピュータが前記通信端末に対して通信回線を介して前記データを送信する、
通信端末死活確認方法。
【請求項6】
前記通信端末と前記ホストコンピュータとは継時的に通信が接続されており、前記通信端末からの送信要求を必要とせずに前記データを前記通信端末に送信する請求項5記載の通信端末死活確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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