通信システム
【課題】大規模な災害が発生した場合においても、普段使い慣れた携帯電話機により、災害に関する情報の収集を可能にすることを目的とする。
【解決手段】通信システム1は、携帯電話機5が基地局を介した通信を行えない不通エリアに設置される。通信システム1は、基地局と同一周波数帯の電波を出力して、出力した電波の届く範囲内の携帯電話機5と無線回線により接続される小型基地局2と、小型基地局2とLAN6により接続されるとともに、不通エリア外に設置された情報提供サーバ4と衛星回線により接続される衛星通信端末3とを備える。通信システム1は、携帯電話機5が、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して、情報提供サーバ4との通信を行えるようにする。
【解決手段】通信システム1は、携帯電話機5が基地局を介した通信を行えない不通エリアに設置される。通信システム1は、基地局と同一周波数帯の電波を出力して、出力した電波の届く範囲内の携帯電話機5と無線回線により接続される小型基地局2と、小型基地局2とLAN6により接続されるとともに、不通エリア外に設置された情報提供サーバ4と衛星回線により接続される衛星通信端末3とを備える。通信システム1は、携帯電話機5が、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して、情報提供サーバ4との通信を行えるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機を用いた通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の大規模な災害が発生した場合、災害が発生した場所にいる人は、災害に関する情報を早急に収集し、対応する必要がある。
しかし、大規模な災害が発生すると、携帯電話通信網を構成する機器の損壊や、通信の輻輳により、最も身近な通信端末である携帯電話機を用いた通信が行えなくなる場合がある。
この場合、基地局に代えて、無線LANアクセスポイントを介して、携帯電話機を用いた通信を行い、情報を収集することが考えられる(特許文献1参照)。また、携帯電話機による通信に代えて、PDA(Personal Digital Assistants)等の他の端末を用い、無線通信や衛星通信により、情報を収集することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線LANアクセスポイントを介して通信を行うには、携帯電話機が無線LANによる通信機能を備えている必要がある。しかし、無線LANによる通信機能を備えていない携帯電話機も多い。
PDA等を用いた通信を行うには、PDA等の端末を用意しなければならない。また、PDA等の端末を用意したとしても、普段使用していない端末により情報を収集することは、難しい場合がある。
この発明は、大規模な災害が発生した場合等においても、普段使い慣れた携帯電話機により、災害に関する情報の収集等を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る通信システムは、
携帯電話機が基地局を介した通信を行えない不通エリアに設置される通信システムであり、
前記基地局と同一周波数帯の電波を出力して、出力した電波の届く範囲内の携帯電話機と無線回線により接続される小型基地局と、
前記小型基地局とインターネット回線により接続されるとともに、前記不通エリア外に設置された外部装置と衛星回線により接続される衛星通信端末と
を備え、
携帯電話機が、前記小型基地局と前記衛星通信端末とを介して、前記外部装置との通信を行えるようにする
ことを特徴とする。
【0006】
前記外部装置は、前記不通エリアに関する情報を提供する情報提供サーバである
ことを特徴とする。
【0007】
前記通信システムは、災害が発生し、携帯電話機が基地局を介した通信を行えない不通エリアに設置され、
前記情報提供サーバは、前記災害に関する情報を提供する
ことを特徴とする。
【0008】
前記外部装置は、他の携帯電話機との通信を中継する中継サーバである
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る通信システムでは、大規模な災害が発生し、携帯電話機による基地局を介した通信を行えなくなった場合においても、小型基地局と衛星通信端末とを介して携帯電話機と外部端末との通信を可能にする。これにより、普段使い慣れた携帯電話機により、災害に関する情報の収集等が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る通信システム1の構成図。
【図2】小型基地局2の機能を示すブロック図。
【図3】衛星通信端末3の機能を示すブロック図。
【図4】情報提供サーバ4の機能を示すブロック図。
【図5】通信システム1の処理の流れを示すフローチャート。
【図6】小型基地局2、衛星通信端末3、情報提供サーバ4のハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1では、大規模な災害が発生した場合に、通常の基地局を介して携帯電話機が通信を行えない状態となったエリア(不通エリア)に設置される通信システム1について説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る通信システム1の構成図である。
通信システム1は、小型基地局2、衛星通信端末3、情報提供サーバ4(外部装置)を備える。
小型基地局2は、携帯電話通信網における通常の基地局と同一周波数帯の電波を出力し、出力した電波の届く範囲内にある携帯電話機5からの要求に応じて、その携帯電話機5と無線回線により接続される。小型基地局2は、通常の基地局が電波を出力する範囲よりも狭い範囲へ電波を出力する。小型基地局2は、例えば、フェムトセルである。
衛星通信端末3は、小型基地局2とLAN6(Local Area Network,インターネット回線の一例)により接続される。また、衛星通信端末3は、情報提供サーバ4と、衛星7を介する衛星回線により接続される。
情報提供サーバ4は、不通エリア外に設置されたサーバであり、災害に関する情報を携帯電話機5へ提供するサーバである。災害に関する情報とは、例えば、安否情報、避難所情報、救援物資情報等の災害が発生したエリアの人が必要とする情報である。
【0013】
不通エリアに、複数の小型基地局2や、各小型基地局2と接続された衛星通信端末3を配備する。これにより、不通エリアにおいても、携帯電話機5により、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して、不通エリア外に設置された情報提供サーバ4と通信することができる。
特に、小型基地局2は、通常の基地局と同一周波数帯の電波を出力し、通常の基地局と同一の手順により携帯電話機5と接続される。そのため、携帯電話機5は、無線LAN機能のように、通常の通信機能以外に特別な通信機能を備えることなく、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して、不通エリア外に設置された情報提供サーバ4と通信することができる。
【0014】
図2は、小型基地局2の機能を示すブロック図である。
小型基地局2は、電波出力部21、要求受信部22、接続部23を備える。
電波出力部21は、所定の範囲へ電波を出力する。要求受信部22は、電波出力部21が出力した電波の届く範囲内にある携帯電話機5から、電波を介して接続要求Aを受信する。接続要求Aには、送信元の携帯電話機5の識別情報が含まれている。接続部23は、接続要求Aに含まれる識別情報により接続要求Aを送信した携帯電話機5を特定し、特定した携帯電話機5と無線回線を介して接続を確立する。また、接続部23は、衛星通信端末3へ接続要求Bを送信する。
【0015】
図3は、衛星通信端末3の機能を示すブロック図である。
衛星通信端末3は、要求受信部31、接続部32を備える。
要求受信部31は、小型基地局2からの接続要求Bを受信する。接続要求Bには、送信元の小型基地局2の識別情報が含まれている。接続部32は、接続要求Bに含まれる識別情報により接続要求Bを送信した小型基地局2を特定し、特定した小型基地局2とLAN6を介して接続を確立する。また、接続部32は、情報提供サーバ4へ接続要求Cを送信する。
【0016】
図4は、情報提供サーバ4の機能を示すブロック図である。
情報提供サーバ4は、要求受信部41、接続部42、情報記憶部43、情報送信部44を備える。
要求受信部41は、衛星通信端末3からの接続要求Cを受信する。接続要求Cには、送信元の衛星通信端末3の識別情報が含まれている。接続部42は、接続要求Cに含まれる識別情報により接続要求Cを送信した衛星通信端末3を特定し、特定した衛星通信端末3と衛星回線を介して接続を確立する。情報記憶部43は、入力装置を介して入力された災害に関する情報や、通信回線を介して収集された災害に関する情報を記憶する記憶装置である。情報送信部44は、携帯電話機5からの要求に従い、情報記憶部43に記憶された情報を、衛星通信端末3と小型基地局2とを介して携帯電話機5へ送信する。
【0017】
図5は、通信システム1の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、携帯電話機5が、接続要求Aを小型基地局2へ送信する(S1)。次に、要求受信部22が、携帯電話機5から接続要求Aを受信する(S2)。次に、接続部23が、携帯電話機5との接続を確立するとともに(S3)、接続要求Bを衛星通信端末3へ送信する(S4)。次に、要求受信部31が、接続部23が送信した接続要求Bを受信する(S5)。次に、接続部32が、小型基地局2との接続を確立するとともに(S6)、接続要求Cを情報提供サーバ4へ送信する(S7)。次に、要求受信部41が、接続部32が送信した接続要求Cを受信する(S8)。次に、接続部42が、衛星通信端末3との接続を確立する(S9)。これにより、携帯電話機5と情報提供サーバ4との接続が、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して確立される。例えば、衛星通信端末3と情報提供サーバ4との接続が確立された時点で、情報提供サーバ4、衛星通信端末3、小型基地局2、携帯電話機5の順に、接続が完了したことが通知される。
そして、携帯電話機5が、情報の取得要求を情報提供サーバ4へ送信し(S10)、情報送信部44が取得要求に応じた情報を情報記憶部43から取得して、携帯電話機5へ送信する(S11)。
【0018】
なお、携帯電話機5と情報提供サーバ4との接続を確立する手順は、S1からS9までの流れと異なるものであってもよい。例えば、携帯電話機5から接続要求Aが小型基地局2へ送られ、小型基地局2から接続要求Bが衛星通信端末3へ送られ、衛星通信端末3から接続要求Cが情報提供サーバ4へ送られ、接続確立の認証が取れた後で、各装置間の接続を確立してもよい。
【0019】
以上のように、実施の形態1に係る通信システム1によれば、災害が発生し、通常の基地局を介して携帯電話機5が通信を行えない状態となった不通エリアから、不通エリア外に設置された情報提供サーバ4へ携帯電話機5によりアクセスすることが可能になる。そのため、災害が発生したエリアにいる人が、使い慣れた携帯電話機5を使って、災害に関する情報の収集を行うことが可能になる。
無線LAN等の通信機能を携帯電話機5が備えている必要はないため、多くの人が災害に関する情報の収集を行うことが可能になる。
【0020】
小型基地局2は、通常の基地局と異なり小型であり、容易に持ち運び、設置が可能である。同様に、衛星通信端末3にも、小型で、容易に持ち運び、設置が可能なものがある。したがって、災害が発生した後に、災害が発生したエリアに小型基地局2と衛星通信端末3とを容易に設置することが可能である。
【0021】
情報提供サーバ4が不通エリア内に設置されている場合、災害に関する情報を情報提供サーバ4に蓄積することが困難になる。しかし、通信システム1では、情報提供サーバ4が不通エリア外に設置されているため、災害に関する情報を容易に蓄積することができる。
【0022】
なお、上記説明における情報提供サーバ4に代えて、他の携帯電話機5との通信を中継する中継サーバを設けてもよい。つまり、不通エリア内の携帯電話機5が、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して中継サーバへ接続され、中継サーバから他の携帯電話機5へ接続されるようにしてもよい。接続先の携帯電話機5は、不通エリア外にあってもよいし、不通エリア内にあってもよい。
また、上記説明における情報提供サーバ4に代えて、他のサーバ(ウェブサーバ等)との通信を中継する中継サーバを設けてもよい。つまり、不通エリア内の携帯電話機5が、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して中継サーバへ接続され、中継サーバから他のサーバへ接続されるようにしてもよい。接続先のサーバは、不通エリア外にあってもよいし、不通エリア内にあってもよい。
【0023】
図6は、小型基地局2、衛星通信端末3、情報提供サーバ4のハードウェア構成の一例を示す図である。
図11に示すように、小型基地局2、衛星通信端末3、情報提供サーバ4は、プログラムを実行するCPU911(Central Processing Unit、処理装置の一例)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、LCD901(Liquid Crystal Display)、キーボード902(K/B)、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
【0024】
磁気ディスク装置920又はROM913などには、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0025】
プログラム群923には、上記の説明において「電波出力部21」、「要求受信部22」、「接続部23」、「要求受信部31」、「接続部32」、「要求受信部41」、「接続部42」、「情報送信部44」等として説明した機能を実行するソフトウェアやプログラムやその他のプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、上記の説明において「情報記憶部43」に格納される情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「データベース」の各項目として記憶される。
【0026】
なお、上記説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜ステップ」、「〜処理」、「〜プログラム」であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 通信システム、2 小型基地局、3 衛星通信端末、4 情報提供サーバ、5 携帯電話機、6 LAN、7 衛星、21 電波出力部、22 要求受信部、23 接続部、31 要求受信部、32 接続部、41 要求受信部、42 接続部、43 情報記憶部、44 情報送信部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機を用いた通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の大規模な災害が発生した場合、災害が発生した場所にいる人は、災害に関する情報を早急に収集し、対応する必要がある。
しかし、大規模な災害が発生すると、携帯電話通信網を構成する機器の損壊や、通信の輻輳により、最も身近な通信端末である携帯電話機を用いた通信が行えなくなる場合がある。
この場合、基地局に代えて、無線LANアクセスポイントを介して、携帯電話機を用いた通信を行い、情報を収集することが考えられる(特許文献1参照)。また、携帯電話機による通信に代えて、PDA(Personal Digital Assistants)等の他の端末を用い、無線通信や衛星通信により、情報を収集することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線LANアクセスポイントを介して通信を行うには、携帯電話機が無線LANによる通信機能を備えている必要がある。しかし、無線LANによる通信機能を備えていない携帯電話機も多い。
PDA等を用いた通信を行うには、PDA等の端末を用意しなければならない。また、PDA等の端末を用意したとしても、普段使用していない端末により情報を収集することは、難しい場合がある。
この発明は、大規模な災害が発生した場合等においても、普段使い慣れた携帯電話機により、災害に関する情報の収集等を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る通信システムは、
携帯電話機が基地局を介した通信を行えない不通エリアに設置される通信システムであり、
前記基地局と同一周波数帯の電波を出力して、出力した電波の届く範囲内の携帯電話機と無線回線により接続される小型基地局と、
前記小型基地局とインターネット回線により接続されるとともに、前記不通エリア外に設置された外部装置と衛星回線により接続される衛星通信端末と
を備え、
携帯電話機が、前記小型基地局と前記衛星通信端末とを介して、前記外部装置との通信を行えるようにする
ことを特徴とする。
【0006】
前記外部装置は、前記不通エリアに関する情報を提供する情報提供サーバである
ことを特徴とする。
【0007】
前記通信システムは、災害が発生し、携帯電話機が基地局を介した通信を行えない不通エリアに設置され、
前記情報提供サーバは、前記災害に関する情報を提供する
ことを特徴とする。
【0008】
前記外部装置は、他の携帯電話機との通信を中継する中継サーバである
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る通信システムでは、大規模な災害が発生し、携帯電話機による基地局を介した通信を行えなくなった場合においても、小型基地局と衛星通信端末とを介して携帯電話機と外部端末との通信を可能にする。これにより、普段使い慣れた携帯電話機により、災害に関する情報の収集等が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る通信システム1の構成図。
【図2】小型基地局2の機能を示すブロック図。
【図3】衛星通信端末3の機能を示すブロック図。
【図4】情報提供サーバ4の機能を示すブロック図。
【図5】通信システム1の処理の流れを示すフローチャート。
【図6】小型基地局2、衛星通信端末3、情報提供サーバ4のハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1では、大規模な災害が発生した場合に、通常の基地局を介して携帯電話機が通信を行えない状態となったエリア(不通エリア)に設置される通信システム1について説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る通信システム1の構成図である。
通信システム1は、小型基地局2、衛星通信端末3、情報提供サーバ4(外部装置)を備える。
小型基地局2は、携帯電話通信網における通常の基地局と同一周波数帯の電波を出力し、出力した電波の届く範囲内にある携帯電話機5からの要求に応じて、その携帯電話機5と無線回線により接続される。小型基地局2は、通常の基地局が電波を出力する範囲よりも狭い範囲へ電波を出力する。小型基地局2は、例えば、フェムトセルである。
衛星通信端末3は、小型基地局2とLAN6(Local Area Network,インターネット回線の一例)により接続される。また、衛星通信端末3は、情報提供サーバ4と、衛星7を介する衛星回線により接続される。
情報提供サーバ4は、不通エリア外に設置されたサーバであり、災害に関する情報を携帯電話機5へ提供するサーバである。災害に関する情報とは、例えば、安否情報、避難所情報、救援物資情報等の災害が発生したエリアの人が必要とする情報である。
【0013】
不通エリアに、複数の小型基地局2や、各小型基地局2と接続された衛星通信端末3を配備する。これにより、不通エリアにおいても、携帯電話機5により、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して、不通エリア外に設置された情報提供サーバ4と通信することができる。
特に、小型基地局2は、通常の基地局と同一周波数帯の電波を出力し、通常の基地局と同一の手順により携帯電話機5と接続される。そのため、携帯電話機5は、無線LAN機能のように、通常の通信機能以外に特別な通信機能を備えることなく、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して、不通エリア外に設置された情報提供サーバ4と通信することができる。
【0014】
図2は、小型基地局2の機能を示すブロック図である。
小型基地局2は、電波出力部21、要求受信部22、接続部23を備える。
電波出力部21は、所定の範囲へ電波を出力する。要求受信部22は、電波出力部21が出力した電波の届く範囲内にある携帯電話機5から、電波を介して接続要求Aを受信する。接続要求Aには、送信元の携帯電話機5の識別情報が含まれている。接続部23は、接続要求Aに含まれる識別情報により接続要求Aを送信した携帯電話機5を特定し、特定した携帯電話機5と無線回線を介して接続を確立する。また、接続部23は、衛星通信端末3へ接続要求Bを送信する。
【0015】
図3は、衛星通信端末3の機能を示すブロック図である。
衛星通信端末3は、要求受信部31、接続部32を備える。
要求受信部31は、小型基地局2からの接続要求Bを受信する。接続要求Bには、送信元の小型基地局2の識別情報が含まれている。接続部32は、接続要求Bに含まれる識別情報により接続要求Bを送信した小型基地局2を特定し、特定した小型基地局2とLAN6を介して接続を確立する。また、接続部32は、情報提供サーバ4へ接続要求Cを送信する。
【0016】
図4は、情報提供サーバ4の機能を示すブロック図である。
情報提供サーバ4は、要求受信部41、接続部42、情報記憶部43、情報送信部44を備える。
要求受信部41は、衛星通信端末3からの接続要求Cを受信する。接続要求Cには、送信元の衛星通信端末3の識別情報が含まれている。接続部42は、接続要求Cに含まれる識別情報により接続要求Cを送信した衛星通信端末3を特定し、特定した衛星通信端末3と衛星回線を介して接続を確立する。情報記憶部43は、入力装置を介して入力された災害に関する情報や、通信回線を介して収集された災害に関する情報を記憶する記憶装置である。情報送信部44は、携帯電話機5からの要求に従い、情報記憶部43に記憶された情報を、衛星通信端末3と小型基地局2とを介して携帯電話機5へ送信する。
【0017】
図5は、通信システム1の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、携帯電話機5が、接続要求Aを小型基地局2へ送信する(S1)。次に、要求受信部22が、携帯電話機5から接続要求Aを受信する(S2)。次に、接続部23が、携帯電話機5との接続を確立するとともに(S3)、接続要求Bを衛星通信端末3へ送信する(S4)。次に、要求受信部31が、接続部23が送信した接続要求Bを受信する(S5)。次に、接続部32が、小型基地局2との接続を確立するとともに(S6)、接続要求Cを情報提供サーバ4へ送信する(S7)。次に、要求受信部41が、接続部32が送信した接続要求Cを受信する(S8)。次に、接続部42が、衛星通信端末3との接続を確立する(S9)。これにより、携帯電話機5と情報提供サーバ4との接続が、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して確立される。例えば、衛星通信端末3と情報提供サーバ4との接続が確立された時点で、情報提供サーバ4、衛星通信端末3、小型基地局2、携帯電話機5の順に、接続が完了したことが通知される。
そして、携帯電話機5が、情報の取得要求を情報提供サーバ4へ送信し(S10)、情報送信部44が取得要求に応じた情報を情報記憶部43から取得して、携帯電話機5へ送信する(S11)。
【0018】
なお、携帯電話機5と情報提供サーバ4との接続を確立する手順は、S1からS9までの流れと異なるものであってもよい。例えば、携帯電話機5から接続要求Aが小型基地局2へ送られ、小型基地局2から接続要求Bが衛星通信端末3へ送られ、衛星通信端末3から接続要求Cが情報提供サーバ4へ送られ、接続確立の認証が取れた後で、各装置間の接続を確立してもよい。
【0019】
以上のように、実施の形態1に係る通信システム1によれば、災害が発生し、通常の基地局を介して携帯電話機5が通信を行えない状態となった不通エリアから、不通エリア外に設置された情報提供サーバ4へ携帯電話機5によりアクセスすることが可能になる。そのため、災害が発生したエリアにいる人が、使い慣れた携帯電話機5を使って、災害に関する情報の収集を行うことが可能になる。
無線LAN等の通信機能を携帯電話機5が備えている必要はないため、多くの人が災害に関する情報の収集を行うことが可能になる。
【0020】
小型基地局2は、通常の基地局と異なり小型であり、容易に持ち運び、設置が可能である。同様に、衛星通信端末3にも、小型で、容易に持ち運び、設置が可能なものがある。したがって、災害が発生した後に、災害が発生したエリアに小型基地局2と衛星通信端末3とを容易に設置することが可能である。
【0021】
情報提供サーバ4が不通エリア内に設置されている場合、災害に関する情報を情報提供サーバ4に蓄積することが困難になる。しかし、通信システム1では、情報提供サーバ4が不通エリア外に設置されているため、災害に関する情報を容易に蓄積することができる。
【0022】
なお、上記説明における情報提供サーバ4に代えて、他の携帯電話機5との通信を中継する中継サーバを設けてもよい。つまり、不通エリア内の携帯電話機5が、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して中継サーバへ接続され、中継サーバから他の携帯電話機5へ接続されるようにしてもよい。接続先の携帯電話機5は、不通エリア外にあってもよいし、不通エリア内にあってもよい。
また、上記説明における情報提供サーバ4に代えて、他のサーバ(ウェブサーバ等)との通信を中継する中継サーバを設けてもよい。つまり、不通エリア内の携帯電話機5が、小型基地局2と衛星通信端末3とを介して中継サーバへ接続され、中継サーバから他のサーバへ接続されるようにしてもよい。接続先のサーバは、不通エリア外にあってもよいし、不通エリア内にあってもよい。
【0023】
図6は、小型基地局2、衛星通信端末3、情報提供サーバ4のハードウェア構成の一例を示す図である。
図11に示すように、小型基地局2、衛星通信端末3、情報提供サーバ4は、プログラムを実行するCPU911(Central Processing Unit、処理装置の一例)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、LCD901(Liquid Crystal Display)、キーボード902(K/B)、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
【0024】
磁気ディスク装置920又はROM913などには、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0025】
プログラム群923には、上記の説明において「電波出力部21」、「要求受信部22」、「接続部23」、「要求受信部31」、「接続部32」、「要求受信部41」、「接続部42」、「情報送信部44」等として説明した機能を実行するソフトウェアやプログラムやその他のプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、上記の説明において「情報記憶部43」に格納される情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「データベース」の各項目として記憶される。
【0026】
なお、上記説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜ステップ」、「〜処理」、「〜プログラム」であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 通信システム、2 小型基地局、3 衛星通信端末、4 情報提供サーバ、5 携帯電話機、6 LAN、7 衛星、21 電波出力部、22 要求受信部、23 接続部、31 要求受信部、32 接続部、41 要求受信部、42 接続部、43 情報記憶部、44 情報送信部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機が基地局を介した通信を行えない不通エリアに設置される通信システムであり、
前記基地局と同一周波数帯の電波を出力して、出力した電波の届く範囲内の携帯電話機と無線回線により接続される小型基地局と、
前記小型基地局とインターネット回線により接続されるとともに、前記不通エリア外に設置された外部装置と衛星回線により接続される衛星通信端末と
を備え、
携帯電話機が、前記小型基地局と前記衛星通信端末とを介して、前記外部装置との通信を行えるようにする
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記外部装置は、前記不通エリアに関する情報を提供する情報提供サーバである
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信システムは、災害が発生し、携帯電話機が基地局を介した通信を行えない不通エリアに設置され、
前記情報提供サーバは、前記災害に関する情報を提供する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記外部装置は、他の携帯電話機との通信を中継する中継サーバである
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項1】
携帯電話機が基地局を介した通信を行えない不通エリアに設置される通信システムであり、
前記基地局と同一周波数帯の電波を出力して、出力した電波の届く範囲内の携帯電話機と無線回線により接続される小型基地局と、
前記小型基地局とインターネット回線により接続されるとともに、前記不通エリア外に設置された外部装置と衛星回線により接続される衛星通信端末と
を備え、
携帯電話機が、前記小型基地局と前記衛星通信端末とを介して、前記外部装置との通信を行えるようにする
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記外部装置は、前記不通エリアに関する情報を提供する情報提供サーバである
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信システムは、災害が発生し、携帯電話機が基地局を介した通信を行えない不通エリアに設置され、
前記情報提供サーバは、前記災害に関する情報を提供する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記外部装置は、他の携帯電話機との通信を中継する中継サーバである
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−77930(P2013−77930A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215814(P2011−215814)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】
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