通信システム
本発明は、移動体内に複数個のステーションを搭載したLANにおいて、少なくとも一部のステーションに関して通信効率を向上させることができる通信システムを提供することを目的とする。所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント1,2、3・・・と、所定の経路に沿って移動する移動体100に配置されたステーション31及び32と、ステーション31及び32を接続する移動体内ネットワーク61とを有し、無線通信によってアクセスポイント1、2、3・・・のいずれかに帰属したステーション31又は32が該アクセスポイントを介してネットワーク網81に接続される通信システムであって、移動体100の進行方向の最前に配置されたステーション31は、帰属可能なアクセスポイントを検索する際に得た情報を移動体内ネットワーク61を介してステーション32に通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に配置されたステーションを所定の経路に沿って配置されたアクセスポイントに帰属させて、ステーションとネットワーク網とを接続する通信システムに関し、特に、ステーションがアクセスポイントを切り換えるために要する時間を低減した通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を用いたLAN(無線LAN)では、アクセスポイントと呼ばれる基地局に子局(ステーション)が帰属することで、ステーションとネットワーク網とが接続される。
【0003】
一般に、無線LANの各アクセスポイントは、それぞれ異なる識別子を有し、それぞれ異なるチャネル(周波数)で、帰属するステーションと通信を行うため、アクセスポイントに帰属しようとするステーションは、そのアクセスポイント用のチャネル及び識別子の情報を取得する必要がある。
【0004】
よって、あるアクセスポイントに帰属しようとするステーションは、そのアクセスポイントが定期的に送出するビーコンを検出する動作(Scan)を行い、検出したビーコンに基づいてそのアクセスポイントとの通信のために使用するチャネル及び識別子を決定する。
【0005】
近年、ネットワーク網を利用したサービスの増加に伴い、鉄道や自動車といった移動体(車両)内においてもネットワーク網に接続可能な通信インフラを整備することが要求されている。
【0006】
このような要求に対して、線路や道路に沿って多数のアクセスポイントを配置し、移動体内のステーションをこれに帰属させることで、走行中の移動体内にあるステーションをネットワーク網に接続させる手法が特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開2002−344478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のステーションを複数個搭載した移動体が移動していく場合、走行中の移動体内のステーションを上記の手法でネットワーク網に接続するものとすると、ステーションは移動体の移動に合わせて帰属するアクセスポイントを順次切り換える必要がある。
【0008】
しかし、この手法では、移動体の移動速度と比較してアクセスポイントのセルが小さい場合には、各ステーションは頻繁にScanを行って帰属するアクセスポイントを切り換えなければならなくなる。
【0009】
ステーションがScanを行っている間とは、ステーションがセル内に所在するにもかかわらずアクセスポイントとの通信を確立できていない時間であると言える。よって、帰属するアクセスポイントを切り換える頻度が高くなると、通信効率が悪化してしまうこととなる。
【0010】
上記の手法において、ステーションがScanに要する時間は、ステーションが配置された移動体の移動速度やセルの大きさとは無関係である。一方、ステーションがアクセスポイントのセルに進入してから離脱するまでの時間は、移動体の移動速度やセルの大きさによって変化する。
【0011】
このため、移動体の移動速度を高くしたり、セルの大きさが小さいアクセスポイントを上記手法に適用しようとしたりする場合には、実際に情報を送受信可能な時間に比べてScanに要する時間が大きな割合を占めることとなる。
【0012】
例えば、IEEE802.11の規格に準拠する無線LANでは、無線通信には14のチャネル使用されており、アクセスポイントは一般的には100〜300msごとにビーコンを送出する。また、ステーションは、各チャネルで個別にScanを行う必要がある。
【0013】
すなわち、ステーションが第1チャネルから降順にScanを行うとすると、まず第1チャネルについてビーコンが送出されているか否かを所定の時間監視し、ビーコンが送出されていなければ第2のチャネルを所定の時間監視するという動作を繰り返す。よって、従来のステーション場合、Scanを行ってからアクセスポイントの情報を取得するまでに最大で300ms×14=4.2秒の時間を要することとなる。
【0014】
このため、ステーションがアクセスポイントのセルに入ってから出るまでの時間が20秒であれば、ステーションは少なくとも16秒弱の間は情報を送受信できる。しかし、セルに進入してから離脱するまでの時間が5秒であるとすれば、ステーションが情報を送受信できる時間は、最も短い場合では1秒弱となってしまう。
【0015】
さらに、ステーションがあるアクセスポイントのセルに進入してから離脱するまでの時間がScanに要する時間よりも短くなってしまうと、もはやそのアクセスポイントに帰属することはできない。
【0016】
従来の基地局切り換え方式では、各ステーションが個別にScanを行うこととなる。よって、ステーションがScanに費やす時間がネックとなって通信効率が悪化してしまうという問題があった。
【0017】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、移動体内に複数個のステーションを搭載したLANにおいて、少なくとも一部のステーションに関して通信効率を向上させることができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、下記1−1〜1−8に示す構成の通信システムを提供するものである。
【0019】
1−1:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して他のステーション装置に通知することを特徴とする通信システム。
【0020】
1−2:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を備え、移動体の進行方向の進行方向の最前に配置されていると判断したステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して他のステーションに通知することを特徴とする通信システム。
【0021】
1−3:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置以外のステーション装置は、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、移動体内通信網を介して該ステーション装置から取得することを特徴とする通信システム。
【0022】
1−4:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を備え、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置以外のステーション装置は、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、該ステーション装置から移動体内通信網を介して取得することを特徴とする通信システム。
【0023】
1−5:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、移動体内通信網に接続され、各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して格納手段に格納し、移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって最前のステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0024】
1−6:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を格納手段に格納し、移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって最前のステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0025】
1−7:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、移動体内通信網に接続され、各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、各ステーション装置は、自装置が移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を有し、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して格納手段に格納し、移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって最前のステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0026】
1−8:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段と、自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段とを有し、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を格納手段に格納し、移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって最前のステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0027】
上記本発明の第1の態様の1−7又は1−8の構成においては、各ステーション装置は、自装置及び他のステーション装置が格納手段に格納した情報に基づいて自装置が移動体の先頭に位置するか否かを判断することが好ましい。
【0028】
上記本発明の第1の態様のいずれの構成においても、進行方向の最前に2以上のステーション装置が配置されている場合、該ステーション装置の少なくとも一つは、帰属しているアクセスポイント装置に対する通信品質が低下した場合に、該アクセスポイント装置への帰属を継続し、他のステーション装置は帰属可能なアクセスポイント装置を検索することが好ましい。
【0029】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、下記2−1〜2−4に示す構成の通信システムを提供するものである。
【0030】
2−1:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して他のステーション装置に通知することを特徴とする通信システム。
【0031】
2−2:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、移動体内通信網を介して取得することを特徴とする通信システム。
【0032】
2−3:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、移動体間通信網に接続され、各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して格納手段に格納し、移動体の進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0033】
2−4:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段と、自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する手段とを有し、進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を格納手段に格納し、進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって、進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0034】
上記本発明の第2の態様の2−3又は2−4の構成においては、各ステーション装置は、自装置及び他のステーション装置が格納手段に格納した情報に基づいて自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断することが好ましい。
【0035】
上記本発明の第2の態様のいずれの構成においても、2以上のステーション装置が配置されている移動体が進行方向の最前の最前に位置する場合、該ステーション装置の少なくとも一つは、帰属しているアクセスポイント装置に対する通信品質が低下した場合に、該アクセスポイント装置への帰属を継続し、他のステーション装置は帰属可能なアクセスポイント装置を検索することが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、交通機関の車両に複数個のステーションを搭載したLANにおいて、一部のステーションに関して通信効率を向上させることができる通信システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る通信システムを示す。
【0038】
本実施形態に係る通信システムは、線路に沿ってアクセスポイント(AP)1,2,3・・・が設置されており、線路上を移動する移動体100(鉄道車両)内に移動体内ネットワーク61を介して接続されたステーション(STA)31及び32が配置された構成である。
【0039】
この通信システムでは、ステーション31又はステーション32がアクセスポイント1、2、3・・・のいずれかに帰属することで、ユーザ端末71、72がネットワーク網81に接続される。
【0040】
図2に、各ステーションの構成を示す。ステーション31は、無線LANインタフェース部311、APサーチ部312、AP選択部313、帰属処理部314、AP情報受信部315、AP情報送信部316及び有線LANインタフェース317を有する。
【0041】
無線LANインタフェース部311は、アクセスポイントと無線信号を送受信するためのインタフェースである。APサーチ部312は、アクセスポイントが送出するビーコンを検出する処理(すなわち、Scan)を行い、検出したビーコンからアクセスポイントのチャネル及び識別子を取得する。AP選択部313は、APサーチ部312によるScanの結果に基づいて、いずれのアクセスポイントに帰属するかを選択する。帰属処理部314は、AP選択部313が選択したアクセスポイントに対し、AP312が取得したチャネル及び識別子で帰属要求を送出する。AP情報受信部315は、移動体内通信網40を介して他のステーションからアクセスポイントの情報(使用チャネル及び識別子)を受信する。AP情報送信部316は、移動体内通信網41を介して他のステーションへアクセスポイントの情報を送信する。有線LANインタフェース部317は、移動体内通信網41を介して情報を送受信するためのインタフェースである。なお、ステーション32はステーション31と同様の構成であるため処理は省略する。
【0042】
本実施形態においては、STA31が進行方向先頭側、STA32が後尾側に配置されることが予め定義されており、各STAはこれを認識している。各STAの動作について説明する。
【0043】
〔動作例1−1〕
本実施形態に係る通信システムの第1の動作例について説明する。まず、STA31及びSTA32に個別の動作について説明する。
【0044】
まず、先頭に配置されているSTA31の動作について説明する。図3に、STA31の動作の流れを示す。
【0045】
STA31は、所定の受信品質でアクセスポイントと無線通信できない場合(いずれのアクセスポイントとも通信が確立していない場合を含む)(ステップS101)、APサーチ部312は帰属できるアクセスポイントを検出するためにScanを行い、アクセスポイントから送出されるビーコンを捜索する(ステップS102)。Scanを行ってもビーコンを検出できなかった場合(ステップS103/No)、APサーチ部312は、ビーコンを検出できるまで繰り返しScanを行う。
【0046】
APサーチ部312がScanによってビーコンを検出すると(ステップS103/Yes)、AP選択部313は、ビーコンの周波数及び識別子を取得するとともに、送出元のアクセスポイントを帰属要求の送出対象に選択する(ステップS104)。帰属処理部314は、AP選択部313が選択したアクセスポイントに対して帰属要求を送出する。この帰属要求は、APサーチ部312が検出したビーコンに応じた周波数及び識別子で送出される(ステップS105)。
【0047】
この帰属要求を受信したアクセスポイントがSTA31を認証した場合は帰属が完了する(ステップS106/Yes)。一方、帰属要求を受信したアクセスポイントがSTA31を認証しなかった場合は(ステップS107/No)、APサーチ部312は、再びScanを行ってビーコンを捜索する(ステップS102)。
【0048】
アクセスポイントへの帰属が完了すると、STA31は、AP情報(アクセスポイントの使用チャネル及び識別子)を後尾のSTA32に通知して処理を終了する。
【0049】
次に、後尾に配置されているSTA32の動作について説明する。図4に、STA32の動作の流れを示す。
【0050】
STA32は、所定の受信品質でアクセスポイントと無線通信できない場合(いずれのアクセスポイントとも通信が確立していない場合を含む)(ステップS201)、AP選択部323は、STA31から通知された最新のAP情報に基づいて(ステップS202)、帰属要求の送出対象となるアクセスポイントを選択する(ステップS203)。帰属処理部324は、AP選択部が選択したアクセスポイントに対して帰属要求を送出する。この帰属要求は、STA31から通知された最新のAP情報に基づいた周波数及び識別子で送出される(ステップS204)。
【0051】
この帰属要求を受信したアクセスポイントがSTA32を認証した場合は、アクセスポイントに対する帰属が完了する(ステップS205/Yes)。一方、帰属要求を受信したアクセスポイントがSTA32を認証しなかった場合は(ステップS205)、AP選択部323は、STA31から受信した最新のAP情報に基づいて帰属要求の送出先を選択する(ステップS202、S203)。
【0052】
次にシステム全体の動作について説明する。図5に、移動体100が線路上を移動していく様子を示す。この図を用いて、STA31及びSTA32の帰属状態が移動体100の移動に伴ってどのように変化するかを説明する。
【0053】
1:STA31はいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、STA31はScanを行って帰属できるアクセスポイントを探している。
【0054】
1→2:STA31はセル11に進入する。この際にSTA31はAP1が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。また、STA31は、Scanによって取得した情報をSTA32に通知する。
【0055】
2→3:STA32はセル11に進入する。STA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から通知されているため、Scanを行うことなくAP1の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP1に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP1に帰属する。
【0056】
3→4:STA31はセル11から離脱する。セル11から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA32は、引き続きAP1に帰属する。
【0057】
4→5:STA31は、セル12に進入する。この際にSTA31はAP2が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。また、STA31は、Scanによって取得した情報をSTA32に通知する。
【0058】
一方、STA32は、セル11から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。
【0059】
5→6:STA32はセル12に進入する。STA32は、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から通知されているため、Scanを行うことなくAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP2に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP1に帰属する。
【0060】
6→7:STA31はセル12から離脱する。セル12から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA31は、引き続きAP2に帰属する。
【0061】
7→8:STA31は、セル13に進入する。この際にSTA31はAP3が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。また、STA31は、Scanによって取得した情報をSTA32に通知する。
【0062】
一方、STA32は、セル12から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。
【0063】
8→9:STA32はセル13に進入する。STA32は、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から通知されているため、Scanを行うことなくAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP3に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP1に帰属する。
【0064】
9→10:STA31はセル13から離脱する。セル13から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA31は、引き続きAP3に帰属する。
【0065】
以上のように、移動体100の進行方向先頭側に配置されたSTA31がScanによって得た情報を後方のSTA32に通知するため、STA32は、Scanを行うことなくアクセスポイントに帰属できる。
【0066】
〔動作例1−2〕
本実施形態に係る通信システムの第2の動作例について説明する。STA31及びSTA32の個別の動作に関しては、第1の動作例とほぼ同様であるが、STA31からSTA32へのAP情報の通知はSTA32からの要求に応じて行われる。すなわち、第2の動作例では、AP情報はSTA31からプッシュ配信されるのではなく、STA32からのプルに応じて配信される。
【0067】
図5を用いてSTA31及びSTA32の帰属状態が移動体100の移動に伴ってどのように変化するかを説明する。
【0068】
1:STA31はいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、STA31はScanを行って帰属できるアクセスポイントを探している。また、STA32は、Scanによって得たアクセスポイントの情報を通知するようにSTA31に要求するが、STA31がどのセルにも属していないため、通知される情報はない。
【0069】
1→2:STA31はセル11に進入する。この際にSTA31はAP1が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。また、STA32は、Scanによって得たアクセスポイントの情報を通知するようにSTA31に要求する。STA31は、ScanによってAP1の情報を取得したため、STA32にはAP1に関する情報が通知される。
【0070】
2→3:STA32はセル11に進入する。STA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から取得しているため、Scanを行うことなくAP1の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP1に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP1に帰属する。
【0071】
3→4:STA31はセル11から離脱する。セル11から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA32は、引き続きAP1に帰属する。
【0072】
4→5:STA31は、セル12に進入する。この際にSTA31はAP2が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0073】
一方、STA32は、セル11から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、Scanによって得たアクセスポイントの情報を通知するようにSTA31に要求する。STA31は、ScanによってAP2の情報を取得したため、STA32はAP2に関する情報が通知される。
【0074】
5→6:STA32はセル12に進入する。STA32は、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から取得しているため、Scanを行うことなくAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP2に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP2に帰属する。
【0075】
6→7:STA31はセル12から離脱する。セル12から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA32は、引き続きAP2に帰属する。
【0076】
7→8:STA31は、セル13に進入する。この際にSTA31はAP3が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0077】
一方、STA32は、セル12から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、Scanによって得たアクセスポイントの情報を通知するようにSTA31に要求する。STA31は、ScanによってAP3の情報を取得したため、STA32はAP3に関する情報が通知される。
【0078】
8→9:STA32はセル13に進入する。STA32は、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から取得しているため、Scanを行うことなくAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP3に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP3に帰属する。
【0079】
9→10:STA31はセル13から離脱する。セル13から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA32は、引き続きAP3に帰属する。
【0080】
以上のように、移動体100の進行方向後方に配置されたSTA32は、いずれのアクセスポイントに帰属していない状態になった場合には、先頭側に配置されたSTA31に対してScanによって得た情報を通知するように要求するため、STA32は、Scanを行うことなくアクセスポイントに帰属できる。
【0081】
〔動作例1−3〕
上記各動作例においては、STA31はアクセスポイントへの帰属が完了した後にSTA32に対してAP情報を通知する場合について説明した。本動作例では、STA31がScanの途中において各チャネルごとのScan結果(Scan経過情報)を順次STA32に通知する場合の動作の流れを説明する。
【0082】
図6に、先頭側に配置されているSTA31の動作の流れを示す。この動作の流れは第1の動作例とほぼ同様であるが、APサーチ部312がScanを行う際に、各チャネルごとにScan結果をSTA32に通知する(ステップS133)ことが相違する。
【0083】
また、図7に、後尾に配置されているSTA32の動作の流れを示す。この動作の流れは、第1の動作例とほぼ同様であるが、STA31からはAP情報に先立ってScan経過情報が通知される(ステップS232)ことが相違する。
【0084】
次に、図8を用いてシステム全体の動作の流れについて説明する。
【0085】
1:STA31及びSTA32はいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、STA31はScanを行って帰属できるアクセスポイントを探している。STA31は、各チャネルのScan結果を順次STA32に通知する。すなわち、STA31は最初にScanを行ったチャネルでビーコンを検出できなかった場合には、その旨をSTA32に通知してから、2番目のチャネルについてScanを行う。ここでは、STA31がいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が通知される。STA32は、全てのチャネルについてビーコンを検出できなかった旨をSTA31から通知された場合には、通知されたScan経過情報を破棄する。
【0086】
1→2→3:まず、STA31がセル11に進入する。ここで、図9に示すように、移動体100が“3”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第5チャネルについてScanを実行しビーコンを検出できなかったとすると、STA32には、第1〜第5チャネルについては既にScanを実行済みであることが通知されている。よって、STA32は、第1〜第5チャネルについてはScanを行わず第6〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0087】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0088】
3→4:STA31は、セル11から離脱すると、ビーコンを検出するためにScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次STA32に通知する。移動体100が“4”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、STA32には全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨が通知される。STA32は、全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨をSTA31から通知されたため、ここで通知された各チャネルのScan結果を破棄する。
【0089】
4→5→6:まず、STA31がセル12に進入する。ここで、移動体100が“6”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第8チャネルについてScanを実行しビーコンを検出できなかったとすると、STA32には、第1〜第8チャネルについては既にScanを実行済みであることが通知されている。よって、STA32は、第1〜第8チャネルについてはScanを行わず第9〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0090】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0091】
6→7:STA31は、セル12から離脱すると、ビーコンを検出するためにScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次STA32に通知する。移動体100が“7”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、STA32には全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨が通知される。STA32は、全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨をSTA31から通知されたため、ここで通知された各チャネルのScan結果を破棄する。
【0092】
7→8→9:まず、STA31がセル13に進入する。ここで、移動体100が“9”の位置まで進入するまでにScanを完了しビーコンを検出済みであるとすると、STA32には、AP3に帰属要求を送出するために必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)が通知されている。よって、STA32は、Scanを行うことなく帰属要求をAP3に送出し、これに帰属する。
【0093】
9→10:STA31は、セル13から離脱すると、ビーコンを検出するためにScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次STA32に通知する。移動体100が“10”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、STA32には全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨が通知される。STA32は、全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨をSTA31から通知されたため、ここで通知された各チャネルのScan結果を破棄する。
【0094】
以上の動作によれば、進行方向の先頭側に配置されたSTAが後方のSTAにScan結果の少なくとも一部を通知するため、後方のSTAはScanを行う必要がないか、行うとしても全てのチャネルについて行わなくてもよい。このため、STAがアクセスポイントのセルに進入してから帰属が完了するまでに要する時間が短縮され、通信効率が向上する。
【0095】
このように、本実施形態に係る通信システムによれば、移動体内に複数個のステーションを搭載したLANにおいて、少なくとも一部のステーションに関して通信効率を向上させることができる。
【0096】
なお、ここでは各アクセスポイントが無指向性である場合を例に説明を行ったが、図10及び図11に示すように、アクセスポイントが指向性を持つ場合にも同様に適用可能である。
【0097】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る通信システム全体の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0098】
図12に、本実施形態に係るステーション装置の構成を示す。本実施形態に係るステーション装置は、帰属履歴情報格納部318及び先頭判断部319をさらに有する他は、第1の実施形態の通信システムに適用されるステーションと同様である。
【0099】
帰属履歴情報格納部318には、自装置が帰属したアクセスポイント及び過去に行ったScan結果が履歴として格納される。図13に帰属履歴情報格納部318に格納される情報の一例を示す。先頭判断部319は、自装置が移動体100の先頭に配置されているか否かを判断する処理を行う。
【0100】
本実施形態部においては、STA31及びSTA32のどちらが移動体100の進行方向先頭側となるかは、予め定義はされていない。すなわち、STA31及びSTA32は、自装置がAP情報を他のSTAに通知する必要があるか否かを認識してはいない。
【0101】
まず、各STAの個別の動作について説明する。図14に、各STAの動作の流れを示す。STA31及びSTA32ともに同様の動作を実行するが、ここではSTA31を例に説明を行う。
【0102】
STA31は、所定の受信品質でアクセスポイントと無線通信できない場合(いずれのアクセスポイントとも通信が確立していない場合を含む)(ステップS301)、STA32から通知された最新のAP情報と帰属履歴情報格納部318から読み出した情報とを比較し、自装置が移動体100の先頭側に配置されているか否かを判断する(ステップS302〜S304)。なお、先頭であるか否かを判断する処理の具体例については、後段で詳細に説明する。
【0103】
STA31は、自装置が移動体100の先頭側に配置されていると判断した場合には(ステップS304/先頭)、第1の実施形態におけるステップS102〜S107と同様の処理を実行する。アクセスポイントへの帰属が完了したのち、STA31は、新たに帰属したアクセスポイントのAP情報を帰属履歴情報格納部318に格納する(ステップS310)。その後、AP情報をSTA32に通知して処理を終了する(ステップS311)。
【0104】
次に、各STAが、自装置が移動体100の先頭側に配置されているか否かを判断する処理について説明する。図15に、この処理の流れを示す。まず、先頭判断部319は、1番目の(換言すると最新の)帰属履歴と1番目の(最新の)AP情報とを比較する(ステップS401)。これらが一致する場合(ステップS401/一致)、先頭判断部319は自装置が先頭であると判断する(ステップS411)。一方、これらが一致しない場合(ステップS401/不一致)、先頭判断部319は、第1の変数(ここでは“m”とする)の値を“2”と設定する(ステップS402)。その後先頭判断部319は、1番目の帰属履歴情報とSTA32から得たm(ここでは“2”)番目のAP情報とを比較する(ステップS403)。
【0105】
1番目の帰属情報とm番目の帰属情報とが一致しなかった場合には(ステップS403/不一致)、先頭判断部319は、第1の変数mの値が、第1の比較回数(予め設定されている値であり、2以上の自然数とする)と一致するか否かを判断する(ステップS404)。
【0106】
第1の変数mの値が第1の比較回数と一致する場合は(ステップS404/Yes)、先頭判断部319は、第1の変数mの値を“1”インクリメントした後(ステップS407)、1番目の帰属履歴とm番目のAP情報とを比較する(ステップS403)。第1の変数mが第1の比較回数に達するまでに、1番目の帰属情報と一致するAP情報が見つからなかった場合、先頭判断部319は、自装置が先頭にあると判断する(ステップS406)。
【0107】
また、第1番目の帰属情報とm番目のAP情報とが一致する場合(ステップS403/一致)、先頭判断部319は、自装置が後尾である可能性があると判断し、第2の変数(ここでは“n”とする)の値を“1”と設定する(ステップS405)。その後、先頭判断部319は、n+1番目の帰属履歴とm+n番目のAP情報とを比較する(ステップS408)。これらが一致する場合(ステップS408/一致)、先頭判断部319は、第2の変数nの値が、第2の比較回数(予め設定されている値であり、2以上の自然数とする)と一致するか否かを判断する(ステップS409)。
【0108】
第2の変数nの値が第2の比較回数と一致しない場合(ステップS409/No)、先頭判断部319は、第2の変数nの値を“1”インクリメントした後(ステップS412)、n+1番目の帰属履歴とm+n番目のAP情報とを比較する(ステップS408)。
【0109】
n+1番目の帰属履歴とm+n番目のAP情報とを第2の比較回数分比較する間に、一致しないものがあった場合(ステップS408/不一致)、先頭判断部319は自装置が先頭であると判断する(ステップS411)。
【0110】
また、n+1番目の帰属履歴とm+n番目のAP情報とを第2の比較回数分比較した結果、全て一致する場合は(ステップS409/Yes)、先頭判断部319は自装置が移動体100の後尾に配置されていると判断する。これにより、AP選択部313は、AP情報のm−1番目の基地局を帰属要求の送出対象として選択する。
【0111】
上記のように、1番目の帰属情報とm番目のAP情報との比較を所定回数(上記フローでは、mが第1の比較回数と一致するまで)繰り返すことにより、先頭STA、中間STA、末尾STAが配置された移動体100が3以上のアクセスポイントのセルをまたいでいるような場合でも、先頭判断部319は自装置が後尾となる可能性があるか否かを判断できる。
【0112】
また、先頭判断部319は、自装置が後尾となる可能性がある場合に、第2の比較回数分だけ帰属履歴とAP情報を比較し、これも一致していれば自装置が後尾に配置されていると判断することができる。先頭判断部319が自装置が後尾側であると判断した場合には、AP選択部313はAP情報m−1のアクセスポイントを帰属要求の送出対象として選択することができ、帰属要求を送出するために必要となる情報(APの周波数及び識別子)は既に取得済みであるため、STA31が帰属対象のセルに進入すると帰属処理部314が速やかに帰属処理を行える。
【0113】
〔動作例2−1〕
本実施形態に係る通信システムの第1の動作例について説明する。図5(a)を用いて、STA31及びSTA32の通信状態が移動体100の移動に伴ってどのように変化するかを説明する。
【0114】
1:STA31及びSTA32はいずれのアクセスポイントにも帰属していないため、相手側のステーションの帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスし、自身の通信状態の履歴及び他のSTAの帰属状態の履歴を参照する。ここでは、各STAは自装置及び他のSTAともに通信状態に履歴がないことを確認する。その後各STAは、Scanを行って帰属できるアクセスポイントを探す。
【0115】
1→2:STA31はセル11に進入する。この際にSTA31はAP1が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。その後、STA31は、AP1に帰属したことを示す情報並びにAP1の使用チャネル及び識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録する。
【0116】
STA32は、いずれのアクセスポイントにも帰属していないため、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報を参照した後にScanを行うという動作を繰り返す。ただし、STA31がAP1に帰属したことを示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録した後は、各Scanの際にはAP1の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanする。
【0117】
2→3:STA32はセル11に進入する。STA32は、Scanの際にAP1の使用チャネルを最初にScanするため、1回目のScanでAP1のビーコンを検出する。STA32は、AP1に帰属要求を送出してAP1に帰属する。その後、STA32は、AP1に帰属したことを示す情報及びAP1の使用チャネル並びに識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部328に登録する。
【0118】
3→4:STA31はセル11から離脱する。セル11から離脱したSTA31は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0119】
4→5:STA31は、セル12に進入する。この際にSTA31はAP2が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。その後、STA31は、AP2に帰属したことを示す情報並びにAP2の使用チャネル及び識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録する。
【0120】
一方、STA32は、セル11から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報を参照し、自装置よりも先にAP1に帰属したSTA31が今度はAP2に帰属したことを把握する。このため、STA32は、Scan実行前にAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、これに対する応答が無かった場合にはAP2の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanするという動作を繰り返す。
【0121】
5→6:STA32はセル12に進入する。STA32は、Scan実行前にAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出するため、セル12に進入した後はScanを行うことなくAP2に帰属する。その後、STA32は、AP2に帰属したことを示す情報及びAP2の使用チャネル並びに識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部328に登録する。
【0122】
6→7:STA31はセル12から離脱する。セル12から離脱したSTA31は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1及びAP2に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0123】
7→8:STA31は、セル13に進入する。この際にSTA31はAP3が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。その後、STA31は、AP3に帰属したことを示す情報並びにAP3の使用チャネル及び識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録する。
【0124】
一方、STA32は、セル12から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報を参照し、自装置よりも先にAP1及びAP2に帰属していたSTA31が今度はAP3に帰属したことを把握する。このため、STA32は、Scan実行前にAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、これに対する応答が無かった場合にはAP3の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanするという動作を繰り返す。
【0125】
8→9:STA32はセル13に進入する。STA32は、Scan実行前にAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出するため、セル12に進入した後はScanを行うことなくAP3に帰属する。その後、STA32は、AP3に帰属したことを示す情報及びAP2の使用チャネル並びに識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部328に登録する。
【0126】
9→10:STA31はセル13から離脱する。セル13から離脱したSTA31は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1、AP2及びAP3に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0127】
以上の動作によれば、進行方向の先頭側となるか後方となるかを各STAに予め定義しておかなくとも、各STAは帰属状態の履歴に基づいて先頭側となるか後方となるかを認識できる。これにより、進行方向後尾側となったSTAは、アクセスポイントの切換に要する時間が低減され、通信効率が向上する。
【0128】
なお、上記の動作例では、後方のSTAは自装置が直前に帰属していたアクセスポイントに対して先に帰属していたSTAの帰属状態を参照して、次に帰属するアクセスポイントを予測しているが、これに限定されることはない。例えば、自装置と他のSTAの通信状態とを所定数分(例えば5回分)比較し一定数以上(例えば4回以上)先行してアクセスポイントに帰属しているSTAがある場合に、そのSTAと同じセルに帰属すると予測するようにしてもよい。
【0129】
〔動作例2−2〕
図8を用いて本実施形態に係る通信システムの第2の動作例について説明する。
【0130】
1:STA31及びSTA32はいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、STA31及びSTA32はScanを行って帰属できるアクセスポイントを探している。STA31及び32は、各チャネルのScan結果を順次帰属履歴情報格納部318及び328にそれぞれ登録する。すなわち、各STAは最初にScanを行ったチャネルでビーコンを検出できなかった場合には、その旨を帰属履歴情報格納部318又は328に登録してから、2番目のチャネルについてScanを行う。ここでは、STA31及び32がいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が帰属履歴情報格納部318及び328に登録される。帰属履歴情報格納部318及び328には、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31及び32がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報が各STAの通信状態の履歴としてそれぞれ登録される。
【0131】
1→2→3:まず、STA31がセル11に進入する。STA31は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報へアクセスし、自装置及び他のSTAの帰属状況の履歴を参照する。ここでは、STA31及びSTA32ともにまだいずれのセルにも帰属していないので、STA31は通常のScanを実行する。ここで、移動体100が“3”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第5チャネルについてScanを実行し、ビーコンを検出できていなかったとすると、帰属履歴情報格納部318には、第1〜第5チャネルについては既にScanを実行済みであり、ビーコンを検出できなかったことを示す情報が登録されていることとなる。
【0132】
一方、STA32は、Scanを実行する前に帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスするが、移動体100が“3”の位置にある時点では、STA31及びSTA32はまだいずれのアクセスポイントにも帰属していないため、STA32は、帰属履歴情報格納部318に格納されているSTA31のScan結果に関する情報を参照する。ここでは、第1〜第5チャネルまでのScanが終了し、ビーコンを検出できていないことを示す情報が登録されているため、STA32は、第1〜第5チャネルについてScanしてもビーコンを検出できないということを把握する。このため、STA32は、第1〜第5チャネルについてはScanを行わず第6〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0133】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。そして、各STAは、AP1に帰属したことを示す情報を帰属履歴情報格納部318及び328にそれぞれ登録する。
【0134】
3→4:STA31は、セル11から離脱すると、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスし、自装置及び他のSTAの帰属状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1に帰属しているため、STA31はビーコンを検出するために通常通りのScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次帰属履歴情報格納部318に登録する。移動体100が“4”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が帰属履歴情報格納部318に登録される。STA31は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を帰属情報履歴情報格納部318に格納する。
【0135】
4→5→6:まず、STA31がセル12に進入する。ここで、移動体100が“6”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第8チャネルについてScanを実行し、ビーコンを検出できなかったとすると、帰属履歴情報格納部318には、第1〜第8チャネルについては既にScanを実行済みであることが登録されている。よって、STA32は、Scan実行前に帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスした際に、第1〜第8チャネルについてScanしてもビーコンを検出できないということを把握する。このため、STA32は、第1〜第8チャネルについてはScanを行わず第9〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0136】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。そして、各STAは、AP2に帰属したことを示す情報を帰属履歴情報格納部318及び328にそれぞれ登録する。
【0137】
6→7:STA31は、セル11から離脱すると、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスし、自装置及び他のSTAの帰属状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1及びAP2に帰属しているため、STA31はビーコンを検出するために通常通りのScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次帰属履歴情報格納部318に登録する。移動体100が“7”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が帰属履歴情報格納部318に登録される。また、STA31は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録する。
【0138】
7→8→9:まず、STA31がセル13に進入する。ここで、移動体100が“9”の位置まで進入するまでにScanを完了し、ビーコンを検出し終えているとすると、帰属履歴情報格納部318には、STA31がAP3に帰属したことを示す情報及びAP3に帰属するために必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)が登録されている。よって、STA32は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報を参照することにより、セル13に進入するのに先立ってAP3の使用チャネル及び識別子を取得できる。このため、STA32は、Scanを実行することなくAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0139】
9→10:STA31は、セル13から離脱すると、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスし、自装置及び他のSTAの帰属状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1、AP2及びAP3に帰属しているため、STA31はビーコンを検出するために通常通りのScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を帰属履歴情報格納部318に登録する。移動体100が“10”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、帰属履歴情報格納部318には全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨が登録される。また、STA31は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録する。
【0140】
以上の動作によれば、進行方向の先頭側に配置されたSTAが後方のSTAにScan結果の少なくとも一部を通知するため、後方のSTAはScanを行う必要がないか、行うとしても全てのチャネルについて行わなくてもよい。このため、STAがアクセスポイントのセルに進入してから帰属が完了するまでに要する時間が短縮され、通信効率が向上する。
【0141】
本実施形態に係る通信システムでは、各STAに進行方向を予め定義しておく必要がない。よって、鉄道車両のように前後どちらの方向にも移動する可能性がある移動体に好適である。
【0142】
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。図16に本実施形態に係る通信システムの構成を示す。本実施形態に係る通信システムは、基地局情報管理サーバ41をさらに有する他は、第1の実施形態に係る通信システムと同様である。ただし、本実施形態においては、第2の実施形態と同様にSTA31及び32のいずれが進行方向先頭側に配置されるかは予め定義されておらず、各STAともどちらが進行方向先頭側に配置されるかを認識してはいない。
【0143】
アクセス情報管理サーバ41は、ステーションの通信状況の履歴に関する情報(どのアクセスポイントに帰属していたかを示す情報)が各STAごとに格納される。
【0144】
図17に、STA31の構成を示す。本実施形態におけるSTA31は、第1の実施形態の構成に加えて先頭判断部319をさらに有する構成である。
【0145】
先頭判断部319は、第2の実施形態と同様の処理を行って自装置が移動体100の先頭に配置されているか否かを判断するが、本実施形態においては基地局情報管理サーバ41に格納されている情報に基づいて処理を行う。
【0146】
〔動作例3−1〕
本実施形態に係る通信システムの第1の動作例について説明する。図5(a)用いて、STA31及びSTA32の通信状態が移動体100の移動に伴ってどのように変化するかを説明する。
【0147】
1:STA31及びSTA32はいずれのアクセスポイントにも帰属していないため、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスし、自身の通信状態の履歴及び他のSTAの通信状態の履歴を参照する。ここでは、各STAは自装置及び他のSTAともに通信状態に履歴がないことを確認する。その後各STAは、Scanを行って帰属できるアクセスポイントを探す。
【0148】
1→2:STA31はセル11に進入する。この際にSTA31はAP1が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0149】
その後、STA31は、AP1に帰属したことを示す情報並びにAP1の使用チャネル及び識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0150】
STA32は、いずれのアクセスポイントにも帰属していないため、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報を参照した後にScanを行うという動作を繰り返す。ただし、STA31がAP1に帰属したことを示す情報を登録した後は、各Scanの際にはAP1の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanする。
【0151】
2→3:STA32はセル11に進入する。STA32は、Scanの際にAP1の使用チャネルを最初にScanするため、1回目のScanでAP1のビーコンを検出する。STA32は、AP1に帰属要求を送出してAP1に帰属する。その後、STA32は、AP1に帰属したことを示す情報及びAP1の使用チャネル並びに識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0152】
3→4:STA31はセル11から離脱する。セル11から離脱したSTA31は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0153】
4→5:STA31は、セル12に進入する。この際にSTA31はAP2が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。その後、STA31は、AP2に帰属したことを示す情報並びにAP2の使用チャネル及び識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0154】
一方、STA32は、セル11から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報を参照し、自装置よりも先にAP1に帰属したSTA31が今度はAP2に帰属したことを把握する。このため、STA32は、Scan実行前にAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、これに対する応答が無かった場合にはAP2の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanするという動作を繰り返す。
【0155】
5→6:STA32はセル12に進入する。STA32は、Scan実行前にAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出するため、セル12に進入した後はScanを行うことなくAP2に帰属する。その後、STA32は、AP2に帰属したことを示す情報及びAP2の使用チャネル並びに識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0156】
6→7:STA31はセル12から離脱する。セル12から離脱したSTA31は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1及びAP2に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0157】
7→8:STA31は、セル13に進入する。この際にSTA31はAP3が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。その後、STA31は、AP3に帰属したことを示す情報並びにAP3の使用チャネル及び識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0158】
一方、STA32は、セル12から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報を参照し、自装置よりも先にAP1及びAP2に帰属したSTA31が今度はAP3に帰属したことを把握する。このため、STA32は、Scan実行前にAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、これに対する応答が無かった場合にはAP3の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanするという動作を繰り返す。
【0159】
8→9:STA32はセル13に進入する。STA32は、Scan実行前にAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出するため、セル12に進入した後はScanを行うことなくAP3に帰属する。その後、STA32は、AP3に帰属したことを示す情報及びAP2の使用チャネル並びに識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0160】
9→10:STA31はセル13から離脱する。セル13から離脱したSTA31は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1、AP2及びAP3に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0161】
以上の動作によれば、進行方向の先頭側となるか後方となるかを予め定義しておかなくとも、各STAは帰属状態の履歴に基づいて先頭側となるか後方となるかを認識できる。
【0162】
なお、上記の動作例では、後方のSTAは自装置が直前に帰属していたアクセスポイントに対して先に帰属していたSTAの通信状態を参照して、次に帰属するアクセスポイントを予測しているが、これに限定されることはない。例えば、自装置と他のSTAの通信状態とを所定数分(例えば5回分)比較し一定数以上(例えば4回以上)先行してアクセスポイントに帰属しているSTAがある場合に、そのSTAと同じセルに帰属すると予測するようにしてもよい。
【0163】
〔動作例3−2〕
図8を用いて本実施形態に係る通信システムの第2の動作例について説明する。
【0164】
1:STA31及びSTA32はいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、STA31及びSTA32はScanを行って帰属できるアクセスポイントを探している。STA31及び32は、各チャネルのScan結果を順次基地局情報管理サーバ41に登録する。すなわち、各STAは最初にScanを行ったチャネルでビーコンを検出できなかった場合には、その旨を基地局情報管理サーバ41に登録してから、2番目のチャネルについてScanを行う。ここでは、STA31及び32がいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が基地局情報管理サーバ41に登録される。基地局情報管理サーバ41は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31及び32がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を各STAの通信状態の履歴としてそれぞれ登録する。
【0165】
1→2→3:まず、STA31がセル11に進入する。STA31は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報へアクセスし、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。ここでは、STA31及びSTA32ともにまだいずれのセルにも帰属していないので、STA31は通常のScanを実行する。ここで、移動体100が“3”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第5チャネルについてScanを実行し、ビーコンを検出できていなかったとすると、STA31は、第1〜第5チャネルについては既にScanを実行済みであり、ビーコンを検出できなかったことを示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0166】
一方、STA32は、Scanを実行する前に基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスするが、移動体100が“3”の位置にある時点では、STA31及びSTA32はまだいずれのアクセスポイントにも帰属していないため、STA32は、STA31のScan結果に関する情報を参照する。ここでは、第1〜第5チャネルまでのScanが終了し、ビーコンを検出できていないことを示す情報が登録されているため、STA32は、第1〜第5チャネルについてScanしてもビーコンを検出できないということを把握する。このため、STA32は、第1〜第5チャネルについてはScanを行わず第6〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0167】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0168】
3→4:STA31は、セル11から離脱すると、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスし、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1に帰属しているため、STA31はビーコンを検出するために通常通りのScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次基地局情報管理サーバ41に登録する。移動体100が“4”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が基地局情報管理サーバ41に登録される。基地局情報管理サーバ41は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を各STAの帰属状態の履歴として登録する。
【0169】
4→5→6:まず、STA31がセル12に進入する。ここで、移動体100が“6”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第8チャネルについてScanを実行し、ビーコンを検出できなかったとすると、基地局情報管理サーバ41には、第1〜第8チャネルについては既にScanを実行済みであることが登録されている。よって、STA32は、Scan実行前に基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスした際に、第1〜第8チャネルについてScanしてもビーコンを検出できないということを把握する。このため、STA32は、第1〜第8チャネルについてはScanを行わず第9〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0170】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0171】
6→7:STA31は、セル11から離脱すると、ビーコンを検出するためにScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次基地局情報管理サーバ41に登録する。移動体100が“7”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が基地局情報管理サーバ41に登録される。基地局情報管理サーバ41は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を各STAの通信状態の履歴として登録する。
【0172】
7→8→9:まず、STA31がセル13に進入する。ここで、移動体100が“9”の位置まで進入するまでにScanを完了し、ビーコンを検出し終えているとすると、基地局情報管理サーバ41には、STA31がAP3に帰属したことを示す情報及びAP3に帰属するために必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)が登録されている。よって、STA32は、Scanを実行することなくAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0173】
9→10:STA31は、セル13から離脱すると、ビーコンを検出するためにScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次基地局情報管理サーバ41に登録する。移動体100が“10”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、基地局情報管理サーバ41には全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨が通知される。STA32は、全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨をSTA31から通知されたため、いずれのセルにも帰属していないことを示す情報をSTA31の帰属状態の履歴としてそれぞれ登録する。
【0174】
以上の動作によれば、進行方向の先頭側に配置されたSTAが後方のSTAにScan結果の少なくとも一部を通知するため、後方のSTAはScanを行う必要がないか、行うとしても全てのチャネルについて行わなくてもよい。このため、STAがアクセスポイントのセルに進入してから帰属が完了するまでに要する時間が短縮され、通信効率が向上する。
【0175】
本実施形態に係る通信システムでは、各STAに進行方向を予め定義しておく必要がない。よって、鉄道車両のように前後どちらの方向にも移動する可能性がある移動体に好適である。
【0176】
〔第4の実施形態〕
本発明を好適に実施した第4の実施形態について説明する。図18に本実施形態に係る通信システムの構成を示す。本実施形態に係る通信システムは、進行方向先頭側にSTA33をさらに有する他は、第1の実施形態に係る通信システムと同様である。
【0177】
本実施形態に係る通信システムの動作について説明する。図19に、本実施形態に係る通信システムのハンドオーバ時の状態を示す。
【0178】
STA31が帰属しているアクセスポイントから遠ざかるにつれSIR(希望波/干渉波比)が低下していく、STA33は現在帰属中のアクセスポイントのSIRが所定値を下回ると、そのアクセスポイントへの帰属を放棄してScanを開始する。
【0179】
STA33は、次のセルに進入した直後のScanによって、そのアクセスポイントに帰属要求を送信するために必要となる情報(使用チャネル及び識別子)を取得し、この情報をSTA31に通知する。
【0180】
STA31は、現在帰属しているセルから離脱すると、STA33から通知された情報に基づいて次に帰属するアクセスポイントに帰属要求を送出する。これにより、STA31はScanを行うことなくAP2に帰属する。
【0181】
このように、本実施形態に係る通信システムは、進行方向後方のSTAだけでなく先頭側に配置されたSTAについても帰属に要する時間を短縮して通信効率を向上させることができる。
【0182】
〔第5の実施形態〕
本発明を好適に実施した第5の実施形態について説明する。
【0183】
図20に、本実施形態に係る通信システムの構成を示す。本実施形態に係る通信システムは、道路に沿ってアクセスポイント(AP)1,2,3・・・が設置されており、道路上を移動する複数の移動体(自動車)101、102及び103のそれぞれに移動体間ネットワーク62を介して接続されたステーション(STA)31、32及び33が分散して配置された構成である。なお、移動体間ネットワーク62は、各STAを無線接続することにより構成されている。
【0184】
図21に本実施形態に係るSTA31の構成を示す。本実施形態において、STA31は位置情報取得部320及び移動速度取得部321をさらに有し、有線LANインタフェース部317の代わりに第2無線LANインターフェース部322を有する他は、第2の実施形態と同様である。位置情報取得部320は、自装置の位置情報を取得する機能(例えば、GPS信号を用いて自装置の所在地を測位する機能)を有する。移動速度取得部321は、自装置が搭載された移動体101の移動速度を取得する機能を有する。移動体の移動速度は、不図示の移動体の制御装置から車速信号が入力されることによって取得するようにしても良いし、自装置の位置情報の履歴を格納しておき、最新の位置情報と比較すること移動速度を算出するようにしても良い。第2無線LANインタフェース部322は、移動体間ネットワーク62を介して情報を送受信するためのインタフェースである。なお、STA32及び33もSTA31と同様の構成である。
【0185】
本実施形態に係る通信システムの動作について説明する。STA31、32及び33は、GPS信号に基づいて自装置の位置情報を生成する。さらに、位置情報履歴格納部に格納されている過去の位置情報に基づいて移動速度を算出する。その後、移動体間ネットワーク62を介して他のSTAと位置情報及び移動速度情報を交換する。各STAは、自装置並びに他のSTAの位置情報及び移動速度情報に基づいて、自装置が先頭に位置しているか否かを判断する。このような処理をScan実行前に行うことで、各STAは自身が先頭に位置しているか否かを認識できるため、第1の実施形態と同様の動作を行うことが可能となる。
【0186】
このように、本実施形態によれば、ステーションが複数の移動体に分散されて搭載されるとしても、進行方向の後尾に位置するステーションは、アクセスポイントのセルに進入してから通信可能になるまでの時間が低減され、通信効率が向上する。
【0187】
なお、上記各実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
【0188】
例えば、上記各実施形態は、鉄道や自動車を例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されることは無く、移動体が所定の経路に沿って移動するのであれば適用可能である。例えば、水路に沿ってアクセスポイントを設置し、これを通過する船舶にステーションを搭載することも可能である。
【0189】
また、上記第3の実施形態のように基地局情報管理サーバを有する構成においても、上記第5の実施形態のように、各ステーション間を無線通信で接続することで移動体内ネットワーク(又は、移動体間ネットワーク)を形成するようにしても良い。
【0190】
このように、本発明は様々な変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明は、移動体に配置されたステーションを所定の経路に沿って配置されたアクセスポイントに帰属させて、ステーションとネットワーク網とを接続するために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明を好適に実施した第1の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る通信システムのステーションの構成を示す図である。
【図3】移動体の進行方向先頭側に配置されたステーションの動作の流れを示す図である。
【図4】移動体の進行方向後尾側に配置されたステーションの動作の流れを示す図である。
【図5】(a)は、所定の経路上を移動体が進行する状態を示す図である。(b)は、本発明に係る通信システムを備えた移動体の進行に伴ってステーションの帰属状態が変化する様子を示す図である。(c)は、従来技術による通信システムを備えた移動体の進行によってステーションの帰属状態が変化する様子を示す図である。
【図6】移動体の進行方向先頭側に配置されたステーションの動作の流れを示す図である。
【図7】移動体の進行方向後尾側に配置されたステーションの動作の流れを示す図である。
【図8】(a)は、所定の経路上を移動体が進行する状態を示す図である。(b)は、進行方向の先頭に配置されたステーションが後尾のステーションにScanの経過を通知する場合の帰属状況の変化を示す図である。
【図9】進行方向先頭に配置されたステーションが後尾のステーションにScanの経過を通知することを示す図である。
【図10】指向性を有するアクセスポイントが形成するセルを移動体が通過する様子を示す図である。
【図11】(a)は、指向性を有するアクセスポイントが形成するセルを移動体が通過する際のステーションの帰属状況の変化を示す図であり、本発明の通信システムのステーションの帰属状況の変化を示す。(b)は、指向性を有するアクセスポイントが形成するセルを移動体が通過する際のステーションの帰属状況の変化を示す図であり、従来技術による通信システムのステーションの帰属状況の変化を示す。
【図12】本発明を好適に実施した第2の実施形態に係る通信システムに適用されるステーションの構成を示す図である。
【図13】(a)は、帰属履歴情報格納部に格納される情報の一例を示す図であり、帰属履歴情報を示す。(b)は、帰属履歴情報格納部に格納される情報の一例を示す図であり、AP情報を示す。
【図14】第2の実施形態に係る通信システムに適用されるステーションの構成を示す図である。
【図15】ステーションが、自装置が進行方向の先頭に配置されているか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】本発明を好適に実施した第3の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図17】第3の実施形態に係る通信システムに適用されるステーションの構成を示す図である。
【図18】本発明を好適に実施した第4の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図19】第4の実施形態に係る通信システムがハンドオーバを行う状態を示す図である。
【図20】本発明を好適に実施した第5の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図21】第5の実施形態に係る通信システムに適用されるステーションの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0193】
1 ハンドスキャナハウジング
2 入力書面
3 1次元イメージセンサ
4 ワイドレンズ
5 照明ランプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に配置されたステーションを所定の経路に沿って配置されたアクセスポイントに帰属させて、ステーションとネットワーク網とを接続する通信システムに関し、特に、ステーションがアクセスポイントを切り換えるために要する時間を低減した通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を用いたLAN(無線LAN)では、アクセスポイントと呼ばれる基地局に子局(ステーション)が帰属することで、ステーションとネットワーク網とが接続される。
【0003】
一般に、無線LANの各アクセスポイントは、それぞれ異なる識別子を有し、それぞれ異なるチャネル(周波数)で、帰属するステーションと通信を行うため、アクセスポイントに帰属しようとするステーションは、そのアクセスポイント用のチャネル及び識別子の情報を取得する必要がある。
【0004】
よって、あるアクセスポイントに帰属しようとするステーションは、そのアクセスポイントが定期的に送出するビーコンを検出する動作(Scan)を行い、検出したビーコンに基づいてそのアクセスポイントとの通信のために使用するチャネル及び識別子を決定する。
【0005】
近年、ネットワーク網を利用したサービスの増加に伴い、鉄道や自動車といった移動体(車両)内においてもネットワーク網に接続可能な通信インフラを整備することが要求されている。
【0006】
このような要求に対して、線路や道路に沿って多数のアクセスポイントを配置し、移動体内のステーションをこれに帰属させることで、走行中の移動体内にあるステーションをネットワーク網に接続させる手法が特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開2002−344478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のステーションを複数個搭載した移動体が移動していく場合、走行中の移動体内のステーションを上記の手法でネットワーク網に接続するものとすると、ステーションは移動体の移動に合わせて帰属するアクセスポイントを順次切り換える必要がある。
【0008】
しかし、この手法では、移動体の移動速度と比較してアクセスポイントのセルが小さい場合には、各ステーションは頻繁にScanを行って帰属するアクセスポイントを切り換えなければならなくなる。
【0009】
ステーションがScanを行っている間とは、ステーションがセル内に所在するにもかかわらずアクセスポイントとの通信を確立できていない時間であると言える。よって、帰属するアクセスポイントを切り換える頻度が高くなると、通信効率が悪化してしまうこととなる。
【0010】
上記の手法において、ステーションがScanに要する時間は、ステーションが配置された移動体の移動速度やセルの大きさとは無関係である。一方、ステーションがアクセスポイントのセルに進入してから離脱するまでの時間は、移動体の移動速度やセルの大きさによって変化する。
【0011】
このため、移動体の移動速度を高くしたり、セルの大きさが小さいアクセスポイントを上記手法に適用しようとしたりする場合には、実際に情報を送受信可能な時間に比べてScanに要する時間が大きな割合を占めることとなる。
【0012】
例えば、IEEE802.11の規格に準拠する無線LANでは、無線通信には14のチャネル使用されており、アクセスポイントは一般的には100〜300msごとにビーコンを送出する。また、ステーションは、各チャネルで個別にScanを行う必要がある。
【0013】
すなわち、ステーションが第1チャネルから降順にScanを行うとすると、まず第1チャネルについてビーコンが送出されているか否かを所定の時間監視し、ビーコンが送出されていなければ第2のチャネルを所定の時間監視するという動作を繰り返す。よって、従来のステーション場合、Scanを行ってからアクセスポイントの情報を取得するまでに最大で300ms×14=4.2秒の時間を要することとなる。
【0014】
このため、ステーションがアクセスポイントのセルに入ってから出るまでの時間が20秒であれば、ステーションは少なくとも16秒弱の間は情報を送受信できる。しかし、セルに進入してから離脱するまでの時間が5秒であるとすれば、ステーションが情報を送受信できる時間は、最も短い場合では1秒弱となってしまう。
【0015】
さらに、ステーションがあるアクセスポイントのセルに進入してから離脱するまでの時間がScanに要する時間よりも短くなってしまうと、もはやそのアクセスポイントに帰属することはできない。
【0016】
従来の基地局切り換え方式では、各ステーションが個別にScanを行うこととなる。よって、ステーションがScanに費やす時間がネックとなって通信効率が悪化してしまうという問題があった。
【0017】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、移動体内に複数個のステーションを搭載したLANにおいて、少なくとも一部のステーションに関して通信効率を向上させることができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、下記1−1〜1−8に示す構成の通信システムを提供するものである。
【0019】
1−1:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して他のステーション装置に通知することを特徴とする通信システム。
【0020】
1−2:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を備え、移動体の進行方向の進行方向の最前に配置されていると判断したステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して他のステーションに通知することを特徴とする通信システム。
【0021】
1−3:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置以外のステーション装置は、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、移動体内通信網を介して該ステーション装置から取得することを特徴とする通信システム。
【0022】
1−4:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を備え、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置以外のステーション装置は、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、該ステーション装置から移動体内通信網を介して取得することを特徴とする通信システム。
【0023】
1−5:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、移動体内通信網に接続され、各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して格納手段に格納し、移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって最前のステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0024】
1−6:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を格納手段に格納し、移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって最前のステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0025】
1−7:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、移動体内通信網に接続され、各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、各ステーション装置は、自装置が移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を有し、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して格納手段に格納し、移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって最前のステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0026】
1−8:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段と、自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段とを有し、移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を格納手段に格納し、移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって最前のステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0027】
上記本発明の第1の態様の1−7又は1−8の構成においては、各ステーション装置は、自装置及び他のステーション装置が格納手段に格納した情報に基づいて自装置が移動体の先頭に位置するか否かを判断することが好ましい。
【0028】
上記本発明の第1の態様のいずれの構成においても、進行方向の最前に2以上のステーション装置が配置されている場合、該ステーション装置の少なくとも一つは、帰属しているアクセスポイント装置に対する通信品質が低下した場合に、該アクセスポイント装置への帰属を継続し、他のステーション装置は帰属可能なアクセスポイント装置を検索することが好ましい。
【0029】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、下記2−1〜2−4に示す構成の通信システムを提供するものである。
【0030】
2−1:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して他のステーション装置に通知することを特徴とする通信システム。
【0031】
2−2:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、移動体内通信網を介して取得することを特徴とする通信システム。
【0032】
2−3:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によってアクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、移動体間通信網に接続され、各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を移動体内通信網を介して格納手段に格納し、移動体の進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0033】
2−4:所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段と、自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する手段とを有し、進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を格納手段に格納し、進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって、進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【0034】
上記本発明の第2の態様の2−3又は2−4の構成においては、各ステーション装置は、自装置及び他のステーション装置が格納手段に格納した情報に基づいて自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断することが好ましい。
【0035】
上記本発明の第2の態様のいずれの構成においても、2以上のステーション装置が配置されている移動体が進行方向の最前の最前に位置する場合、該ステーション装置の少なくとも一つは、帰属しているアクセスポイント装置に対する通信品質が低下した場合に、該アクセスポイント装置への帰属を継続し、他のステーション装置は帰属可能なアクセスポイント装置を検索することが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、交通機関の車両に複数個のステーションを搭載したLANにおいて、一部のステーションに関して通信効率を向上させることができる通信システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る通信システムを示す。
【0038】
本実施形態に係る通信システムは、線路に沿ってアクセスポイント(AP)1,2,3・・・が設置されており、線路上を移動する移動体100(鉄道車両)内に移動体内ネットワーク61を介して接続されたステーション(STA)31及び32が配置された構成である。
【0039】
この通信システムでは、ステーション31又はステーション32がアクセスポイント1、2、3・・・のいずれかに帰属することで、ユーザ端末71、72がネットワーク網81に接続される。
【0040】
図2に、各ステーションの構成を示す。ステーション31は、無線LANインタフェース部311、APサーチ部312、AP選択部313、帰属処理部314、AP情報受信部315、AP情報送信部316及び有線LANインタフェース317を有する。
【0041】
無線LANインタフェース部311は、アクセスポイントと無線信号を送受信するためのインタフェースである。APサーチ部312は、アクセスポイントが送出するビーコンを検出する処理(すなわち、Scan)を行い、検出したビーコンからアクセスポイントのチャネル及び識別子を取得する。AP選択部313は、APサーチ部312によるScanの結果に基づいて、いずれのアクセスポイントに帰属するかを選択する。帰属処理部314は、AP選択部313が選択したアクセスポイントに対し、AP312が取得したチャネル及び識別子で帰属要求を送出する。AP情報受信部315は、移動体内通信網40を介して他のステーションからアクセスポイントの情報(使用チャネル及び識別子)を受信する。AP情報送信部316は、移動体内通信網41を介して他のステーションへアクセスポイントの情報を送信する。有線LANインタフェース部317は、移動体内通信網41を介して情報を送受信するためのインタフェースである。なお、ステーション32はステーション31と同様の構成であるため処理は省略する。
【0042】
本実施形態においては、STA31が進行方向先頭側、STA32が後尾側に配置されることが予め定義されており、各STAはこれを認識している。各STAの動作について説明する。
【0043】
〔動作例1−1〕
本実施形態に係る通信システムの第1の動作例について説明する。まず、STA31及びSTA32に個別の動作について説明する。
【0044】
まず、先頭に配置されているSTA31の動作について説明する。図3に、STA31の動作の流れを示す。
【0045】
STA31は、所定の受信品質でアクセスポイントと無線通信できない場合(いずれのアクセスポイントとも通信が確立していない場合を含む)(ステップS101)、APサーチ部312は帰属できるアクセスポイントを検出するためにScanを行い、アクセスポイントから送出されるビーコンを捜索する(ステップS102)。Scanを行ってもビーコンを検出できなかった場合(ステップS103/No)、APサーチ部312は、ビーコンを検出できるまで繰り返しScanを行う。
【0046】
APサーチ部312がScanによってビーコンを検出すると(ステップS103/Yes)、AP選択部313は、ビーコンの周波数及び識別子を取得するとともに、送出元のアクセスポイントを帰属要求の送出対象に選択する(ステップS104)。帰属処理部314は、AP選択部313が選択したアクセスポイントに対して帰属要求を送出する。この帰属要求は、APサーチ部312が検出したビーコンに応じた周波数及び識別子で送出される(ステップS105)。
【0047】
この帰属要求を受信したアクセスポイントがSTA31を認証した場合は帰属が完了する(ステップS106/Yes)。一方、帰属要求を受信したアクセスポイントがSTA31を認証しなかった場合は(ステップS107/No)、APサーチ部312は、再びScanを行ってビーコンを捜索する(ステップS102)。
【0048】
アクセスポイントへの帰属が完了すると、STA31は、AP情報(アクセスポイントの使用チャネル及び識別子)を後尾のSTA32に通知して処理を終了する。
【0049】
次に、後尾に配置されているSTA32の動作について説明する。図4に、STA32の動作の流れを示す。
【0050】
STA32は、所定の受信品質でアクセスポイントと無線通信できない場合(いずれのアクセスポイントとも通信が確立していない場合を含む)(ステップS201)、AP選択部323は、STA31から通知された最新のAP情報に基づいて(ステップS202)、帰属要求の送出対象となるアクセスポイントを選択する(ステップS203)。帰属処理部324は、AP選択部が選択したアクセスポイントに対して帰属要求を送出する。この帰属要求は、STA31から通知された最新のAP情報に基づいた周波数及び識別子で送出される(ステップS204)。
【0051】
この帰属要求を受信したアクセスポイントがSTA32を認証した場合は、アクセスポイントに対する帰属が完了する(ステップS205/Yes)。一方、帰属要求を受信したアクセスポイントがSTA32を認証しなかった場合は(ステップS205)、AP選択部323は、STA31から受信した最新のAP情報に基づいて帰属要求の送出先を選択する(ステップS202、S203)。
【0052】
次にシステム全体の動作について説明する。図5に、移動体100が線路上を移動していく様子を示す。この図を用いて、STA31及びSTA32の帰属状態が移動体100の移動に伴ってどのように変化するかを説明する。
【0053】
1:STA31はいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、STA31はScanを行って帰属できるアクセスポイントを探している。
【0054】
1→2:STA31はセル11に進入する。この際にSTA31はAP1が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。また、STA31は、Scanによって取得した情報をSTA32に通知する。
【0055】
2→3:STA32はセル11に進入する。STA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から通知されているため、Scanを行うことなくAP1の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP1に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP1に帰属する。
【0056】
3→4:STA31はセル11から離脱する。セル11から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA32は、引き続きAP1に帰属する。
【0057】
4→5:STA31は、セル12に進入する。この際にSTA31はAP2が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。また、STA31は、Scanによって取得した情報をSTA32に通知する。
【0058】
一方、STA32は、セル11から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。
【0059】
5→6:STA32はセル12に進入する。STA32は、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から通知されているため、Scanを行うことなくAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP2に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP1に帰属する。
【0060】
6→7:STA31はセル12から離脱する。セル12から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA31は、引き続きAP2に帰属する。
【0061】
7→8:STA31は、セル13に進入する。この際にSTA31はAP3が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。また、STA31は、Scanによって取得した情報をSTA32に通知する。
【0062】
一方、STA32は、セル12から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。
【0063】
8→9:STA32はセル13に進入する。STA32は、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から通知されているため、Scanを行うことなくAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP3に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP1に帰属する。
【0064】
9→10:STA31はセル13から離脱する。セル13から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA31は、引き続きAP3に帰属する。
【0065】
以上のように、移動体100の進行方向先頭側に配置されたSTA31がScanによって得た情報を後方のSTA32に通知するため、STA32は、Scanを行うことなくアクセスポイントに帰属できる。
【0066】
〔動作例1−2〕
本実施形態に係る通信システムの第2の動作例について説明する。STA31及びSTA32の個別の動作に関しては、第1の動作例とほぼ同様であるが、STA31からSTA32へのAP情報の通知はSTA32からの要求に応じて行われる。すなわち、第2の動作例では、AP情報はSTA31からプッシュ配信されるのではなく、STA32からのプルに応じて配信される。
【0067】
図5を用いてSTA31及びSTA32の帰属状態が移動体100の移動に伴ってどのように変化するかを説明する。
【0068】
1:STA31はいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、STA31はScanを行って帰属できるアクセスポイントを探している。また、STA32は、Scanによって得たアクセスポイントの情報を通知するようにSTA31に要求するが、STA31がどのセルにも属していないため、通知される情報はない。
【0069】
1→2:STA31はセル11に進入する。この際にSTA31はAP1が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。また、STA32は、Scanによって得たアクセスポイントの情報を通知するようにSTA31に要求する。STA31は、ScanによってAP1の情報を取得したため、STA32にはAP1に関する情報が通知される。
【0070】
2→3:STA32はセル11に進入する。STA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から取得しているため、Scanを行うことなくAP1の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP1に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP1に帰属する。
【0071】
3→4:STA31はセル11から離脱する。セル11から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA32は、引き続きAP1に帰属する。
【0072】
4→5:STA31は、セル12に進入する。この際にSTA31はAP2が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0073】
一方、STA32は、セル11から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、Scanによって得たアクセスポイントの情報を通知するようにSTA31に要求する。STA31は、ScanによってAP2の情報を取得したため、STA32はAP2に関する情報が通知される。
【0074】
5→6:STA32はセル12に進入する。STA32は、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から取得しているため、Scanを行うことなくAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP2に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP2に帰属する。
【0075】
6→7:STA31はセル12から離脱する。セル12から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA32は、引き続きAP2に帰属する。
【0076】
7→8:STA31は、セル13に進入する。この際にSTA31はAP3が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0077】
一方、STA32は、セル12から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、Scanによって得たアクセスポイントの情報を通知するようにSTA31に要求する。STA31は、ScanによってAP3の情報を取得したため、STA32はAP3に関する情報が通知される。
【0078】
8→9:STA32はセル13に進入する。STA32は、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報を既にSTA31から取得しているため、Scanを行うことなくAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、AP3に帰属する。一方、STA31は、引き続きAP3に帰属する。
【0079】
9→10:STA31はセル13から離脱する。セル13から離脱したSTA31は、Scanを行って帰属可能なアクセスポイントを探す。STA32は、引き続きAP3に帰属する。
【0080】
以上のように、移動体100の進行方向後方に配置されたSTA32は、いずれのアクセスポイントに帰属していない状態になった場合には、先頭側に配置されたSTA31に対してScanによって得た情報を通知するように要求するため、STA32は、Scanを行うことなくアクセスポイントに帰属できる。
【0081】
〔動作例1−3〕
上記各動作例においては、STA31はアクセスポイントへの帰属が完了した後にSTA32に対してAP情報を通知する場合について説明した。本動作例では、STA31がScanの途中において各チャネルごとのScan結果(Scan経過情報)を順次STA32に通知する場合の動作の流れを説明する。
【0082】
図6に、先頭側に配置されているSTA31の動作の流れを示す。この動作の流れは第1の動作例とほぼ同様であるが、APサーチ部312がScanを行う際に、各チャネルごとにScan結果をSTA32に通知する(ステップS133)ことが相違する。
【0083】
また、図7に、後尾に配置されているSTA32の動作の流れを示す。この動作の流れは、第1の動作例とほぼ同様であるが、STA31からはAP情報に先立ってScan経過情報が通知される(ステップS232)ことが相違する。
【0084】
次に、図8を用いてシステム全体の動作の流れについて説明する。
【0085】
1:STA31及びSTA32はいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、STA31はScanを行って帰属できるアクセスポイントを探している。STA31は、各チャネルのScan結果を順次STA32に通知する。すなわち、STA31は最初にScanを行ったチャネルでビーコンを検出できなかった場合には、その旨をSTA32に通知してから、2番目のチャネルについてScanを行う。ここでは、STA31がいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が通知される。STA32は、全てのチャネルについてビーコンを検出できなかった旨をSTA31から通知された場合には、通知されたScan経過情報を破棄する。
【0086】
1→2→3:まず、STA31がセル11に進入する。ここで、図9に示すように、移動体100が“3”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第5チャネルについてScanを実行しビーコンを検出できなかったとすると、STA32には、第1〜第5チャネルについては既にScanを実行済みであることが通知されている。よって、STA32は、第1〜第5チャネルについてはScanを行わず第6〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0087】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0088】
3→4:STA31は、セル11から離脱すると、ビーコンを検出するためにScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次STA32に通知する。移動体100が“4”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、STA32には全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨が通知される。STA32は、全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨をSTA31から通知されたため、ここで通知された各チャネルのScan結果を破棄する。
【0089】
4→5→6:まず、STA31がセル12に進入する。ここで、移動体100が“6”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第8チャネルについてScanを実行しビーコンを検出できなかったとすると、STA32には、第1〜第8チャネルについては既にScanを実行済みであることが通知されている。よって、STA32は、第1〜第8チャネルについてはScanを行わず第9〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0090】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0091】
6→7:STA31は、セル12から離脱すると、ビーコンを検出するためにScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次STA32に通知する。移動体100が“7”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、STA32には全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨が通知される。STA32は、全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨をSTA31から通知されたため、ここで通知された各チャネルのScan結果を破棄する。
【0092】
7→8→9:まず、STA31がセル13に進入する。ここで、移動体100が“9”の位置まで進入するまでにScanを完了しビーコンを検出済みであるとすると、STA32には、AP3に帰属要求を送出するために必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)が通知されている。よって、STA32は、Scanを行うことなく帰属要求をAP3に送出し、これに帰属する。
【0093】
9→10:STA31は、セル13から離脱すると、ビーコンを検出するためにScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次STA32に通知する。移動体100が“10”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、STA32には全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨が通知される。STA32は、全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨をSTA31から通知されたため、ここで通知された各チャネルのScan結果を破棄する。
【0094】
以上の動作によれば、進行方向の先頭側に配置されたSTAが後方のSTAにScan結果の少なくとも一部を通知するため、後方のSTAはScanを行う必要がないか、行うとしても全てのチャネルについて行わなくてもよい。このため、STAがアクセスポイントのセルに進入してから帰属が完了するまでに要する時間が短縮され、通信効率が向上する。
【0095】
このように、本実施形態に係る通信システムによれば、移動体内に複数個のステーションを搭載したLANにおいて、少なくとも一部のステーションに関して通信効率を向上させることができる。
【0096】
なお、ここでは各アクセスポイントが無指向性である場合を例に説明を行ったが、図10及び図11に示すように、アクセスポイントが指向性を持つ場合にも同様に適用可能である。
【0097】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る通信システム全体の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0098】
図12に、本実施形態に係るステーション装置の構成を示す。本実施形態に係るステーション装置は、帰属履歴情報格納部318及び先頭判断部319をさらに有する他は、第1の実施形態の通信システムに適用されるステーションと同様である。
【0099】
帰属履歴情報格納部318には、自装置が帰属したアクセスポイント及び過去に行ったScan結果が履歴として格納される。図13に帰属履歴情報格納部318に格納される情報の一例を示す。先頭判断部319は、自装置が移動体100の先頭に配置されているか否かを判断する処理を行う。
【0100】
本実施形態部においては、STA31及びSTA32のどちらが移動体100の進行方向先頭側となるかは、予め定義はされていない。すなわち、STA31及びSTA32は、自装置がAP情報を他のSTAに通知する必要があるか否かを認識してはいない。
【0101】
まず、各STAの個別の動作について説明する。図14に、各STAの動作の流れを示す。STA31及びSTA32ともに同様の動作を実行するが、ここではSTA31を例に説明を行う。
【0102】
STA31は、所定の受信品質でアクセスポイントと無線通信できない場合(いずれのアクセスポイントとも通信が確立していない場合を含む)(ステップS301)、STA32から通知された最新のAP情報と帰属履歴情報格納部318から読み出した情報とを比較し、自装置が移動体100の先頭側に配置されているか否かを判断する(ステップS302〜S304)。なお、先頭であるか否かを判断する処理の具体例については、後段で詳細に説明する。
【0103】
STA31は、自装置が移動体100の先頭側に配置されていると判断した場合には(ステップS304/先頭)、第1の実施形態におけるステップS102〜S107と同様の処理を実行する。アクセスポイントへの帰属が完了したのち、STA31は、新たに帰属したアクセスポイントのAP情報を帰属履歴情報格納部318に格納する(ステップS310)。その後、AP情報をSTA32に通知して処理を終了する(ステップS311)。
【0104】
次に、各STAが、自装置が移動体100の先頭側に配置されているか否かを判断する処理について説明する。図15に、この処理の流れを示す。まず、先頭判断部319は、1番目の(換言すると最新の)帰属履歴と1番目の(最新の)AP情報とを比較する(ステップS401)。これらが一致する場合(ステップS401/一致)、先頭判断部319は自装置が先頭であると判断する(ステップS411)。一方、これらが一致しない場合(ステップS401/不一致)、先頭判断部319は、第1の変数(ここでは“m”とする)の値を“2”と設定する(ステップS402)。その後先頭判断部319は、1番目の帰属履歴情報とSTA32から得たm(ここでは“2”)番目のAP情報とを比較する(ステップS403)。
【0105】
1番目の帰属情報とm番目の帰属情報とが一致しなかった場合には(ステップS403/不一致)、先頭判断部319は、第1の変数mの値が、第1の比較回数(予め設定されている値であり、2以上の自然数とする)と一致するか否かを判断する(ステップS404)。
【0106】
第1の変数mの値が第1の比較回数と一致する場合は(ステップS404/Yes)、先頭判断部319は、第1の変数mの値を“1”インクリメントした後(ステップS407)、1番目の帰属履歴とm番目のAP情報とを比較する(ステップS403)。第1の変数mが第1の比較回数に達するまでに、1番目の帰属情報と一致するAP情報が見つからなかった場合、先頭判断部319は、自装置が先頭にあると判断する(ステップS406)。
【0107】
また、第1番目の帰属情報とm番目のAP情報とが一致する場合(ステップS403/一致)、先頭判断部319は、自装置が後尾である可能性があると判断し、第2の変数(ここでは“n”とする)の値を“1”と設定する(ステップS405)。その後、先頭判断部319は、n+1番目の帰属履歴とm+n番目のAP情報とを比較する(ステップS408)。これらが一致する場合(ステップS408/一致)、先頭判断部319は、第2の変数nの値が、第2の比較回数(予め設定されている値であり、2以上の自然数とする)と一致するか否かを判断する(ステップS409)。
【0108】
第2の変数nの値が第2の比較回数と一致しない場合(ステップS409/No)、先頭判断部319は、第2の変数nの値を“1”インクリメントした後(ステップS412)、n+1番目の帰属履歴とm+n番目のAP情報とを比較する(ステップS408)。
【0109】
n+1番目の帰属履歴とm+n番目のAP情報とを第2の比較回数分比較する間に、一致しないものがあった場合(ステップS408/不一致)、先頭判断部319は自装置が先頭であると判断する(ステップS411)。
【0110】
また、n+1番目の帰属履歴とm+n番目のAP情報とを第2の比較回数分比較した結果、全て一致する場合は(ステップS409/Yes)、先頭判断部319は自装置が移動体100の後尾に配置されていると判断する。これにより、AP選択部313は、AP情報のm−1番目の基地局を帰属要求の送出対象として選択する。
【0111】
上記のように、1番目の帰属情報とm番目のAP情報との比較を所定回数(上記フローでは、mが第1の比較回数と一致するまで)繰り返すことにより、先頭STA、中間STA、末尾STAが配置された移動体100が3以上のアクセスポイントのセルをまたいでいるような場合でも、先頭判断部319は自装置が後尾となる可能性があるか否かを判断できる。
【0112】
また、先頭判断部319は、自装置が後尾となる可能性がある場合に、第2の比較回数分だけ帰属履歴とAP情報を比較し、これも一致していれば自装置が後尾に配置されていると判断することができる。先頭判断部319が自装置が後尾側であると判断した場合には、AP選択部313はAP情報m−1のアクセスポイントを帰属要求の送出対象として選択することができ、帰属要求を送出するために必要となる情報(APの周波数及び識別子)は既に取得済みであるため、STA31が帰属対象のセルに進入すると帰属処理部314が速やかに帰属処理を行える。
【0113】
〔動作例2−1〕
本実施形態に係る通信システムの第1の動作例について説明する。図5(a)を用いて、STA31及びSTA32の通信状態が移動体100の移動に伴ってどのように変化するかを説明する。
【0114】
1:STA31及びSTA32はいずれのアクセスポイントにも帰属していないため、相手側のステーションの帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスし、自身の通信状態の履歴及び他のSTAの帰属状態の履歴を参照する。ここでは、各STAは自装置及び他のSTAともに通信状態に履歴がないことを確認する。その後各STAは、Scanを行って帰属できるアクセスポイントを探す。
【0115】
1→2:STA31はセル11に進入する。この際にSTA31はAP1が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。その後、STA31は、AP1に帰属したことを示す情報並びにAP1の使用チャネル及び識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録する。
【0116】
STA32は、いずれのアクセスポイントにも帰属していないため、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報を参照した後にScanを行うという動作を繰り返す。ただし、STA31がAP1に帰属したことを示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録した後は、各Scanの際にはAP1の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanする。
【0117】
2→3:STA32はセル11に進入する。STA32は、Scanの際にAP1の使用チャネルを最初にScanするため、1回目のScanでAP1のビーコンを検出する。STA32は、AP1に帰属要求を送出してAP1に帰属する。その後、STA32は、AP1に帰属したことを示す情報及びAP1の使用チャネル並びに識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部328に登録する。
【0118】
3→4:STA31はセル11から離脱する。セル11から離脱したSTA31は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0119】
4→5:STA31は、セル12に進入する。この際にSTA31はAP2が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。その後、STA31は、AP2に帰属したことを示す情報並びにAP2の使用チャネル及び識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録する。
【0120】
一方、STA32は、セル11から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報を参照し、自装置よりも先にAP1に帰属したSTA31が今度はAP2に帰属したことを把握する。このため、STA32は、Scan実行前にAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、これに対する応答が無かった場合にはAP2の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanするという動作を繰り返す。
【0121】
5→6:STA32はセル12に進入する。STA32は、Scan実行前にAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出するため、セル12に進入した後はScanを行うことなくAP2に帰属する。その後、STA32は、AP2に帰属したことを示す情報及びAP2の使用チャネル並びに識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部328に登録する。
【0122】
6→7:STA31はセル12から離脱する。セル12から離脱したSTA31は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1及びAP2に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0123】
7→8:STA31は、セル13に進入する。この際にSTA31はAP3が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。その後、STA31は、AP3に帰属したことを示す情報並びにAP3の使用チャネル及び識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録する。
【0124】
一方、STA32は、セル12から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報を参照し、自装置よりも先にAP1及びAP2に帰属していたSTA31が今度はAP3に帰属したことを把握する。このため、STA32は、Scan実行前にAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、これに対する応答が無かった場合にはAP3の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanするという動作を繰り返す。
【0125】
8→9:STA32はセル13に進入する。STA32は、Scan実行前にAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出するため、セル12に進入した後はScanを行うことなくAP3に帰属する。その後、STA32は、AP3に帰属したことを示す情報及びAP2の使用チャネル並びに識別子を示す情報を帰属履歴情報格納部328に登録する。
【0126】
9→10:STA31はセル13から離脱する。セル13から離脱したSTA31は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1、AP2及びAP3に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0127】
以上の動作によれば、進行方向の先頭側となるか後方となるかを各STAに予め定義しておかなくとも、各STAは帰属状態の履歴に基づいて先頭側となるか後方となるかを認識できる。これにより、進行方向後尾側となったSTAは、アクセスポイントの切換に要する時間が低減され、通信効率が向上する。
【0128】
なお、上記の動作例では、後方のSTAは自装置が直前に帰属していたアクセスポイントに対して先に帰属していたSTAの帰属状態を参照して、次に帰属するアクセスポイントを予測しているが、これに限定されることはない。例えば、自装置と他のSTAの通信状態とを所定数分(例えば5回分)比較し一定数以上(例えば4回以上)先行してアクセスポイントに帰属しているSTAがある場合に、そのSTAと同じセルに帰属すると予測するようにしてもよい。
【0129】
〔動作例2−2〕
図8を用いて本実施形態に係る通信システムの第2の動作例について説明する。
【0130】
1:STA31及びSTA32はいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、STA31及びSTA32はScanを行って帰属できるアクセスポイントを探している。STA31及び32は、各チャネルのScan結果を順次帰属履歴情報格納部318及び328にそれぞれ登録する。すなわち、各STAは最初にScanを行ったチャネルでビーコンを検出できなかった場合には、その旨を帰属履歴情報格納部318又は328に登録してから、2番目のチャネルについてScanを行う。ここでは、STA31及び32がいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が帰属履歴情報格納部318及び328に登録される。帰属履歴情報格納部318及び328には、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31及び32がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報が各STAの通信状態の履歴としてそれぞれ登録される。
【0131】
1→2→3:まず、STA31がセル11に進入する。STA31は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報へアクセスし、自装置及び他のSTAの帰属状況の履歴を参照する。ここでは、STA31及びSTA32ともにまだいずれのセルにも帰属していないので、STA31は通常のScanを実行する。ここで、移動体100が“3”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第5チャネルについてScanを実行し、ビーコンを検出できていなかったとすると、帰属履歴情報格納部318には、第1〜第5チャネルについては既にScanを実行済みであり、ビーコンを検出できなかったことを示す情報が登録されていることとなる。
【0132】
一方、STA32は、Scanを実行する前に帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスするが、移動体100が“3”の位置にある時点では、STA31及びSTA32はまだいずれのアクセスポイントにも帰属していないため、STA32は、帰属履歴情報格納部318に格納されているSTA31のScan結果に関する情報を参照する。ここでは、第1〜第5チャネルまでのScanが終了し、ビーコンを検出できていないことを示す情報が登録されているため、STA32は、第1〜第5チャネルについてScanしてもビーコンを検出できないということを把握する。このため、STA32は、第1〜第5チャネルについてはScanを行わず第6〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0133】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。そして、各STAは、AP1に帰属したことを示す情報を帰属履歴情報格納部318及び328にそれぞれ登録する。
【0134】
3→4:STA31は、セル11から離脱すると、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスし、自装置及び他のSTAの帰属状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1に帰属しているため、STA31はビーコンを検出するために通常通りのScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次帰属履歴情報格納部318に登録する。移動体100が“4”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が帰属履歴情報格納部318に登録される。STA31は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を帰属情報履歴情報格納部318に格納する。
【0135】
4→5→6:まず、STA31がセル12に進入する。ここで、移動体100が“6”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第8チャネルについてScanを実行し、ビーコンを検出できなかったとすると、帰属履歴情報格納部318には、第1〜第8チャネルについては既にScanを実行済みであることが登録されている。よって、STA32は、Scan実行前に帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスした際に、第1〜第8チャネルについてScanしてもビーコンを検出できないということを把握する。このため、STA32は、第1〜第8チャネルについてはScanを行わず第9〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0136】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。そして、各STAは、AP2に帰属したことを示す情報を帰属履歴情報格納部318及び328にそれぞれ登録する。
【0137】
6→7:STA31は、セル11から離脱すると、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスし、自装置及び他のSTAの帰属状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1及びAP2に帰属しているため、STA31はビーコンを検出するために通常通りのScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次帰属履歴情報格納部318に登録する。移動体100が“7”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が帰属履歴情報格納部318に登録される。また、STA31は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録する。
【0138】
7→8→9:まず、STA31がセル13に進入する。ここで、移動体100が“9”の位置まで進入するまでにScanを完了し、ビーコンを検出し終えているとすると、帰属履歴情報格納部318には、STA31がAP3に帰属したことを示す情報及びAP3に帰属するために必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)が登録されている。よって、STA32は、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報を参照することにより、セル13に進入するのに先立ってAP3の使用チャネル及び識別子を取得できる。このため、STA32は、Scanを実行することなくAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0139】
9→10:STA31は、セル13から離脱すると、帰属履歴情報格納部318及び328に格納されている情報にアクセスし、自装置及び他のSTAの帰属状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1、AP2及びAP3に帰属しているため、STA31はビーコンを検出するために通常通りのScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を帰属履歴情報格納部318に登録する。移動体100が“10”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、帰属履歴情報格納部318には全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨が登録される。また、STA31は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を帰属履歴情報格納部318に登録する。
【0140】
以上の動作によれば、進行方向の先頭側に配置されたSTAが後方のSTAにScan結果の少なくとも一部を通知するため、後方のSTAはScanを行う必要がないか、行うとしても全てのチャネルについて行わなくてもよい。このため、STAがアクセスポイントのセルに進入してから帰属が完了するまでに要する時間が短縮され、通信効率が向上する。
【0141】
本実施形態に係る通信システムでは、各STAに進行方向を予め定義しておく必要がない。よって、鉄道車両のように前後どちらの方向にも移動する可能性がある移動体に好適である。
【0142】
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。図16に本実施形態に係る通信システムの構成を示す。本実施形態に係る通信システムは、基地局情報管理サーバ41をさらに有する他は、第1の実施形態に係る通信システムと同様である。ただし、本実施形態においては、第2の実施形態と同様にSTA31及び32のいずれが進行方向先頭側に配置されるかは予め定義されておらず、各STAともどちらが進行方向先頭側に配置されるかを認識してはいない。
【0143】
アクセス情報管理サーバ41は、ステーションの通信状況の履歴に関する情報(どのアクセスポイントに帰属していたかを示す情報)が各STAごとに格納される。
【0144】
図17に、STA31の構成を示す。本実施形態におけるSTA31は、第1の実施形態の構成に加えて先頭判断部319をさらに有する構成である。
【0145】
先頭判断部319は、第2の実施形態と同様の処理を行って自装置が移動体100の先頭に配置されているか否かを判断するが、本実施形態においては基地局情報管理サーバ41に格納されている情報に基づいて処理を行う。
【0146】
〔動作例3−1〕
本実施形態に係る通信システムの第1の動作例について説明する。図5(a)用いて、STA31及びSTA32の通信状態が移動体100の移動に伴ってどのように変化するかを説明する。
【0147】
1:STA31及びSTA32はいずれのアクセスポイントにも帰属していないため、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスし、自身の通信状態の履歴及び他のSTAの通信状態の履歴を参照する。ここでは、各STAは自装置及び他のSTAともに通信状態に履歴がないことを確認する。その後各STAは、Scanを行って帰属できるアクセスポイントを探す。
【0148】
1→2:STA31はセル11に進入する。この際にSTA31はAP1が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0149】
その後、STA31は、AP1に帰属したことを示す情報並びにAP1の使用チャネル及び識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0150】
STA32は、いずれのアクセスポイントにも帰属していないため、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報を参照した後にScanを行うという動作を繰り返す。ただし、STA31がAP1に帰属したことを示す情報を登録した後は、各Scanの際にはAP1の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanする。
【0151】
2→3:STA32はセル11に進入する。STA32は、Scanの際にAP1の使用チャネルを最初にScanするため、1回目のScanでAP1のビーコンを検出する。STA32は、AP1に帰属要求を送出してAP1に帰属する。その後、STA32は、AP1に帰属したことを示す情報及びAP1の使用チャネル並びに識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0152】
3→4:STA31はセル11から離脱する。セル11から離脱したSTA31は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0153】
4→5:STA31は、セル12に進入する。この際にSTA31はAP2が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP2に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。その後、STA31は、AP2に帰属したことを示す情報並びにAP2の使用チャネル及び識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0154】
一方、STA32は、セル11から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報を参照し、自装置よりも先にAP1に帰属したSTA31が今度はAP2に帰属したことを把握する。このため、STA32は、Scan実行前にAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、これに対する応答が無かった場合にはAP2の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanするという動作を繰り返す。
【0155】
5→6:STA32はセル12に進入する。STA32は、Scan実行前にAP2の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出するため、セル12に進入した後はScanを行うことなくAP2に帰属する。その後、STA32は、AP2に帰属したことを示す情報及びAP2の使用チャネル並びに識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0156】
6→7:STA31はセル12から離脱する。セル12から離脱したSTA31は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1及びAP2に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0157】
7→8:STA31は、セル13に進入する。この際にSTA31はAP3が定期的に送出するビーコンをScanによって検出し、AP3に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31は、所得した情報に基づいてAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。その後、STA31は、AP3に帰属したことを示す情報並びにAP3の使用チャネル及び識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0158】
一方、STA32は、セル12から離脱し、いずれのアクセスポイントにも帰属していない状態となる。STA32は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報を参照し、自装置よりも先にAP1及びAP2に帰属したSTA31が今度はAP3に帰属したことを把握する。このため、STA32は、Scan実行前にAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出し、これに対する応答が無かった場合にはAP3の使用チャネルを最初とし各チャネルを順番にScanするという動作を繰り返す。
【0159】
8→9:STA32はセル13に進入する。STA32は、Scan実行前にAP3の使用チャネル及び識別子で帰属要求を送出するため、セル12に進入した後はScanを行うことなくAP3に帰属する。その後、STA32は、AP3に帰属したことを示す情報及びAP2の使用チャネル並びに識別子を示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0160】
9→10:STA31はセル13から離脱する。セル13から離脱したSTA31は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスして、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1、AP2及びAP3に帰属しているため、STA31は通常のScanを実行する。
【0161】
以上の動作によれば、進行方向の先頭側となるか後方となるかを予め定義しておかなくとも、各STAは帰属状態の履歴に基づいて先頭側となるか後方となるかを認識できる。
【0162】
なお、上記の動作例では、後方のSTAは自装置が直前に帰属していたアクセスポイントに対して先に帰属していたSTAの通信状態を参照して、次に帰属するアクセスポイントを予測しているが、これに限定されることはない。例えば、自装置と他のSTAの通信状態とを所定数分(例えば5回分)比較し一定数以上(例えば4回以上)先行してアクセスポイントに帰属しているSTAがある場合に、そのSTAと同じセルに帰属すると予測するようにしてもよい。
【0163】
〔動作例3−2〕
図8を用いて本実施形態に係る通信システムの第2の動作例について説明する。
【0164】
1:STA31及びSTA32はいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、STA31及びSTA32はScanを行って帰属できるアクセスポイントを探している。STA31及び32は、各チャネルのScan結果を順次基地局情報管理サーバ41に登録する。すなわち、各STAは最初にScanを行ったチャネルでビーコンを検出できなかった場合には、その旨を基地局情報管理サーバ41に登録してから、2番目のチャネルについてScanを行う。ここでは、STA31及び32がいずれのアクセスポイントのセル内に所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が基地局情報管理サーバ41に登録される。基地局情報管理サーバ41は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31及び32がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を各STAの通信状態の履歴としてそれぞれ登録する。
【0165】
1→2→3:まず、STA31がセル11に進入する。STA31は、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報へアクセスし、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。ここでは、STA31及びSTA32ともにまだいずれのセルにも帰属していないので、STA31は通常のScanを実行する。ここで、移動体100が“3”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第5チャネルについてScanを実行し、ビーコンを検出できていなかったとすると、STA31は、第1〜第5チャネルについては既にScanを実行済みであり、ビーコンを検出できなかったことを示す情報を基地局情報管理サーバ41に登録する。
【0166】
一方、STA32は、Scanを実行する前に基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスするが、移動体100が“3”の位置にある時点では、STA31及びSTA32はまだいずれのアクセスポイントにも帰属していないため、STA32は、STA31のScan結果に関する情報を参照する。ここでは、第1〜第5チャネルまでのScanが終了し、ビーコンを検出できていないことを示す情報が登録されているため、STA32は、第1〜第5チャネルについてScanしてもビーコンを検出できないということを把握する。このため、STA32は、第1〜第5チャネルについてはScanを行わず第6〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0167】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP1の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP1に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0168】
3→4:STA31は、セル11から離脱すると、基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスし、自装置及び他のSTAの通信状況の履歴を参照する。STA31は自装置の履歴及びSTA32の履歴を比較するが、STA32はSTA31よりも後でAP1に帰属しているため、STA31はビーコンを検出するために通常通りのScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次基地局情報管理サーバ41に登録する。移動体100が“4”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が基地局情報管理サーバ41に登録される。基地局情報管理サーバ41は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を各STAの帰属状態の履歴として登録する。
【0169】
4→5→6:まず、STA31がセル12に進入する。ここで、移動体100が“6”の位置まで進入するまでにSTA31が第1〜第8チャネルについてScanを実行し、ビーコンを検出できなかったとすると、基地局情報管理サーバ41には、第1〜第8チャネルについては既にScanを実行済みであることが登録されている。よって、STA32は、Scan実行前に基地局情報管理サーバ41に格納されている情報にアクセスした際に、第1〜第8チャネルについてScanしてもビーコンを検出できないということを把握する。このため、STA32は、第1〜第8チャネルについてはScanを行わず第9〜第14チャネルについてのみScanを実行する。
【0170】
Scanによってビーコンを検出したSTA31及びSTA32は、AP1に帰属要求を送出する際に必要となる情報(AP2の使用チャネル及び識別子)を取得する。STA31及び32は、所得した情報に基づいてAP2に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0171】
6→7:STA31は、セル11から離脱すると、ビーコンを検出するためにScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次基地局情報管理サーバ41に登録する。移動体100が“7”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、全てのチャネルについてビーコンが検出できない旨が基地局情報管理サーバ41に登録される。基地局情報管理サーバ41は、全てのチャネルについてのScan結果に基づいて、STA31がいずれのセルにも帰属していないことを示す情報を各STAの通信状態の履歴として登録する。
【0172】
7→8→9:まず、STA31がセル13に進入する。ここで、移動体100が“9”の位置まで進入するまでにScanを完了し、ビーコンを検出し終えているとすると、基地局情報管理サーバ41には、STA31がAP3に帰属したことを示す情報及びAP3に帰属するために必要となる情報(AP3の使用チャネル及び識別子)が登録されている。よって、STA32は、Scanを実行することなくAP3に帰属要求を送出し、これに帰属する。
【0173】
9→10:STA31は、セル13から離脱すると、ビーコンを検出するためにScanを行う。STA31は、各チャネルのScan結果を順次基地局情報管理サーバ41に登録する。移動体100が“10”の位置にある場合STA31はいずれのアクセスポイントのセル内にも所在していないため、基地局情報管理サーバ41には全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨が通知される。STA32は、全チャネルについてビーコンを検出できなかった旨をSTA31から通知されたため、いずれのセルにも帰属していないことを示す情報をSTA31の帰属状態の履歴としてそれぞれ登録する。
【0174】
以上の動作によれば、進行方向の先頭側に配置されたSTAが後方のSTAにScan結果の少なくとも一部を通知するため、後方のSTAはScanを行う必要がないか、行うとしても全てのチャネルについて行わなくてもよい。このため、STAがアクセスポイントのセルに進入してから帰属が完了するまでに要する時間が短縮され、通信効率が向上する。
【0175】
本実施形態に係る通信システムでは、各STAに進行方向を予め定義しておく必要がない。よって、鉄道車両のように前後どちらの方向にも移動する可能性がある移動体に好適である。
【0176】
〔第4の実施形態〕
本発明を好適に実施した第4の実施形態について説明する。図18に本実施形態に係る通信システムの構成を示す。本実施形態に係る通信システムは、進行方向先頭側にSTA33をさらに有する他は、第1の実施形態に係る通信システムと同様である。
【0177】
本実施形態に係る通信システムの動作について説明する。図19に、本実施形態に係る通信システムのハンドオーバ時の状態を示す。
【0178】
STA31が帰属しているアクセスポイントから遠ざかるにつれSIR(希望波/干渉波比)が低下していく、STA33は現在帰属中のアクセスポイントのSIRが所定値を下回ると、そのアクセスポイントへの帰属を放棄してScanを開始する。
【0179】
STA33は、次のセルに進入した直後のScanによって、そのアクセスポイントに帰属要求を送信するために必要となる情報(使用チャネル及び識別子)を取得し、この情報をSTA31に通知する。
【0180】
STA31は、現在帰属しているセルから離脱すると、STA33から通知された情報に基づいて次に帰属するアクセスポイントに帰属要求を送出する。これにより、STA31はScanを行うことなくAP2に帰属する。
【0181】
このように、本実施形態に係る通信システムは、進行方向後方のSTAだけでなく先頭側に配置されたSTAについても帰属に要する時間を短縮して通信効率を向上させることができる。
【0182】
〔第5の実施形態〕
本発明を好適に実施した第5の実施形態について説明する。
【0183】
図20に、本実施形態に係る通信システムの構成を示す。本実施形態に係る通信システムは、道路に沿ってアクセスポイント(AP)1,2,3・・・が設置されており、道路上を移動する複数の移動体(自動車)101、102及び103のそれぞれに移動体間ネットワーク62を介して接続されたステーション(STA)31、32及び33が分散して配置された構成である。なお、移動体間ネットワーク62は、各STAを無線接続することにより構成されている。
【0184】
図21に本実施形態に係るSTA31の構成を示す。本実施形態において、STA31は位置情報取得部320及び移動速度取得部321をさらに有し、有線LANインタフェース部317の代わりに第2無線LANインターフェース部322を有する他は、第2の実施形態と同様である。位置情報取得部320は、自装置の位置情報を取得する機能(例えば、GPS信号を用いて自装置の所在地を測位する機能)を有する。移動速度取得部321は、自装置が搭載された移動体101の移動速度を取得する機能を有する。移動体の移動速度は、不図示の移動体の制御装置から車速信号が入力されることによって取得するようにしても良いし、自装置の位置情報の履歴を格納しておき、最新の位置情報と比較すること移動速度を算出するようにしても良い。第2無線LANインタフェース部322は、移動体間ネットワーク62を介して情報を送受信するためのインタフェースである。なお、STA32及び33もSTA31と同様の構成である。
【0185】
本実施形態に係る通信システムの動作について説明する。STA31、32及び33は、GPS信号に基づいて自装置の位置情報を生成する。さらに、位置情報履歴格納部に格納されている過去の位置情報に基づいて移動速度を算出する。その後、移動体間ネットワーク62を介して他のSTAと位置情報及び移動速度情報を交換する。各STAは、自装置並びに他のSTAの位置情報及び移動速度情報に基づいて、自装置が先頭に位置しているか否かを判断する。このような処理をScan実行前に行うことで、各STAは自身が先頭に位置しているか否かを認識できるため、第1の実施形態と同様の動作を行うことが可能となる。
【0186】
このように、本実施形態によれば、ステーションが複数の移動体に分散されて搭載されるとしても、進行方向の後尾に位置するステーションは、アクセスポイントのセルに進入してから通信可能になるまでの時間が低減され、通信効率が向上する。
【0187】
なお、上記各実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
【0188】
例えば、上記各実施形態は、鉄道や自動車を例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されることは無く、移動体が所定の経路に沿って移動するのであれば適用可能である。例えば、水路に沿ってアクセスポイントを設置し、これを通過する船舶にステーションを搭載することも可能である。
【0189】
また、上記第3の実施形態のように基地局情報管理サーバを有する構成においても、上記第5の実施形態のように、各ステーション間を無線通信で接続することで移動体内ネットワーク(又は、移動体間ネットワーク)を形成するようにしても良い。
【0190】
このように、本発明は様々な変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明は、移動体に配置されたステーションを所定の経路に沿って配置されたアクセスポイントに帰属させて、ステーションとネットワーク網とを接続するために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明を好適に実施した第1の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る通信システムのステーションの構成を示す図である。
【図3】移動体の進行方向先頭側に配置されたステーションの動作の流れを示す図である。
【図4】移動体の進行方向後尾側に配置されたステーションの動作の流れを示す図である。
【図5】(a)は、所定の経路上を移動体が進行する状態を示す図である。(b)は、本発明に係る通信システムを備えた移動体の進行に伴ってステーションの帰属状態が変化する様子を示す図である。(c)は、従来技術による通信システムを備えた移動体の進行によってステーションの帰属状態が変化する様子を示す図である。
【図6】移動体の進行方向先頭側に配置されたステーションの動作の流れを示す図である。
【図7】移動体の進行方向後尾側に配置されたステーションの動作の流れを示す図である。
【図8】(a)は、所定の経路上を移動体が進行する状態を示す図である。(b)は、進行方向の先頭に配置されたステーションが後尾のステーションにScanの経過を通知する場合の帰属状況の変化を示す図である。
【図9】進行方向先頭に配置されたステーションが後尾のステーションにScanの経過を通知することを示す図である。
【図10】指向性を有するアクセスポイントが形成するセルを移動体が通過する様子を示す図である。
【図11】(a)は、指向性を有するアクセスポイントが形成するセルを移動体が通過する際のステーションの帰属状況の変化を示す図であり、本発明の通信システムのステーションの帰属状況の変化を示す。(b)は、指向性を有するアクセスポイントが形成するセルを移動体が通過する際のステーションの帰属状況の変化を示す図であり、従来技術による通信システムのステーションの帰属状況の変化を示す。
【図12】本発明を好適に実施した第2の実施形態に係る通信システムに適用されるステーションの構成を示す図である。
【図13】(a)は、帰属履歴情報格納部に格納される情報の一例を示す図であり、帰属履歴情報を示す。(b)は、帰属履歴情報格納部に格納される情報の一例を示す図であり、AP情報を示す。
【図14】第2の実施形態に係る通信システムに適用されるステーションの構成を示す図である。
【図15】ステーションが、自装置が進行方向の先頭に配置されているか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】本発明を好適に実施した第3の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図17】第3の実施形態に係る通信システムに適用されるステーションの構成を示す図である。
【図18】本発明を好適に実施した第4の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図19】第4の実施形態に係る通信システムがハンドオーバを行う状態を示す図である。
【図20】本発明を好適に実施した第5の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図21】第5の実施形態に係る通信システムに適用されるステーションの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0193】
1 ハンドスキャナハウジング
2 入力書面
3 1次元イメージセンサ
4 ワイドレンズ
5 照明ランプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して他のステーション装置に通知することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が前記移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を備え、
前記移動体の進行方向の進行方向の最前に配置されていると判断したステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して他のステーションに通知することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置以外のステーション装置は、前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、前記移動体内通信網を介して該ステーション装置から取得することを特徴とする通信システム。
【請求項4】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が前記移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を備え、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置以外のステーション装置は、前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、該ステーション装置から前記移動体内通信網を介して取得することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記移動体内通信網に接続され、前記各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して前記格納手段に格納し、
前記移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって前記最前のステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項6】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記格納手段に格納し、
前記移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって前記最前のステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記移動体内通信網に接続され、前記各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、
前記各ステーション装置は、自装置が前記移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を有し、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して前記格納手段に格納し、
前記移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって前記最前のステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項8】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が前記移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段と、
自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段とを有し、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記格納手段に格納し、
前記移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって前記最前のステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項9】
前記各ステーション装置は、自装置及び他のステーション装置が前記格納手段に格納した情報に基づいて自装置が前記移動体の先頭に位置するか否かを判断することを特徴とする請求項7又は8記載の通信システム。
【請求項10】
前記進行方向の最前に2以上のステーション装置が配置されている場合、
該ステーション装置の少なくとも一つは、帰属しているアクセスポイント装置に対する通信品質が低下した場合に、該アクセスポイント装置への帰属を継続し、他のステーション装置は帰属可能なアクセスポイント装置を検索することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の通信システム。
【請求項11】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、
前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して他のステーション装置に通知することを特徴とする通信システム。
【請求項12】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、
前記進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、前記移動体内通信網を介して取得することを特徴とする通信システム。
【請求項13】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記移動体間通信網に接続され、前記各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、
前記各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、
前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して前記格納手段に格納し、
前記移動体の進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項14】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段と、
自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する手段とを有し、
前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記格納手段に格納し、
前記進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって、前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項15】
前記各ステーション装置は、自装置及び他のステーション装置が前記格納手段に格納した情報に基づいて自装置が配置された移動体が前記進行方向の最前に位置するか否かを判断することを特徴とする請求項13又は14記載の通信システム。
【請求項16】
二以上のステーション装置が配置されている移動体が前記進行方向の最前の最前に位置する場合、該ステーション装置の少なくとも一つは、帰属しているアクセスポイント装置に対する通信品質が低下した場合に、該アクセスポイント装置への帰属を継続し、他のステーション装置は帰属可能なアクセスポイント装置を検索することを特徴とする請求項11から15のいずれか1項記載の通信システム。
【請求項1】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して他のステーション装置に通知することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が前記移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を備え、
前記移動体の進行方向の進行方向の最前に配置されていると判断したステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して他のステーションに通知することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置以外のステーション装置は、前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、前記移動体内通信網を介して該ステーション装置から取得することを特徴とする通信システム。
【請求項4】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が前記移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を備え、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置以外のステーション装置は、前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、該ステーション装置から前記移動体内通信網を介して取得することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記移動体内通信網に接続され、前記各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して前記格納手段に格納し、
前記移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって前記最前のステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項6】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記格納手段に格納し、
前記移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって前記最前のステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記移動体内通信網に接続され、前記各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、
前記各ステーション装置は、自装置が前記移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段を有し、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して前記格納手段に格納し、
前記移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって前記最前のステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項8】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って移動する移動体に配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体内通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が前記移動体の進行方向の最前に配置されているか否かを判断する手段と、
自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段とを有し、
前記移動体の進行方向の最前に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記格納手段に格納し、
前記移動体の進行方向の最前ではない位置に配置されたステーションは、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって前記最前のステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項9】
前記各ステーション装置は、自装置及び他のステーション装置が前記格納手段に格納した情報に基づいて自装置が前記移動体の先頭に位置するか否かを判断することを特徴とする請求項7又は8記載の通信システム。
【請求項10】
前記進行方向の最前に2以上のステーション装置が配置されている場合、
該ステーション装置の少なくとも一つは、帰属しているアクセスポイント装置に対する通信品質が低下した場合に、該アクセスポイント装置への帰属を継続し、他のステーション装置は帰属可能なアクセスポイント装置を検索することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の通信システム。
【請求項11】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、
前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して他のステーション装置に通知することを特徴とする通信システム。
【請求項12】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、
前記進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を、前記移動体内通信網を介して取得することを特徴とする通信システム。
【請求項13】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、無線通信によって前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記移動体間通信網に接続され、前記各ステーション装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する格納手段を備え、
前記各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段を有し、
前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記移動体内通信網を介して前記格納手段に格納し、
前記移動体の進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項14】
所定の経路に沿って配置された複数のアクセスポイント装置と、前記所定の経路に沿って同方向に移動する複数の移動体のそれぞれに少なくとも一つずつ配置された複数のステーション装置と、該複数のステーション装置同士を接続する移動体間通信網とを有し、前記アクセスポイント装置のいずれかに帰属したステーション装置が該アクセスポイント装置を介してネットワーク網に接続される通信システムであって、
前記各ステーション装置は、自装置が配置された移動体が進行方向の最前に位置するか否かを判断する手段と、
自装置がいずれのアクセスポイント装置に帰属していたかを示す情報を格納する手段とを有し、
前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索する際に得た情報を前記格納手段に格納し、
前記進行方向の最前に位置しない移動体に配置されたステーション装置は、帰属可能なアクセスポイント装置を検索するのに先だって、前記進行方向の最前に位置する移動体に配置されたステーション装置が前記格納手段に格納した情報を参照することを特徴とする通信システム。
【請求項15】
前記各ステーション装置は、自装置及び他のステーション装置が前記格納手段に格納した情報に基づいて自装置が配置された移動体が前記進行方向の最前に位置するか否かを判断することを特徴とする請求項13又は14記載の通信システム。
【請求項16】
二以上のステーション装置が配置されている移動体が前記進行方向の最前の最前に位置する場合、該ステーション装置の少なくとも一つは、帰属しているアクセスポイント装置に対する通信品質が低下した場合に、該アクセスポイント装置への帰属を継続し、他のステーション装置は帰属可能なアクセスポイント装置を検索することを特徴とする請求項11から15のいずれか1項記載の通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【国際公開番号】WO2005/002087
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【発行日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511078(P2005−511078)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009144
【国際出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【発行日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/009144
【国際出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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