説明

通信ネットワークにおける方法および装置

本発明によれば、通信ネットワーク(20)の受信ノード(例えば、アップリンクにおける無線基地局(22)またはダウンリンクにおける移動端末(24))が、送信ノードと受信ノードとの間の複数の周波数集合キャリア(コンポーネントキャリア)(10)によって受信する信号に関して、送信ノード(例えば、アップリンクにおける移動端末(24)またはダウンリンクにおける無線基地局(22))に単一の肯定応答メッセージを送信する。すべての信号が受信ノードで正しく復号される場合、肯定応答メッセージ(ACK)が送信ノードに送信される。すべての信号が正しく復号されない場合、否定応答メッセージ(NACK)が送信されるか、または肯定応答メッセージが送信されない。このようにして、複数のキャリアによって受信される信号に対して単一の肯定応答メッセージが送信されうる。肯定応答メッセージは、(例えば、3GPP仕様リリース8に定められているような)レガシー規格と同じフォーマットを有して、既存の装置との互換性を提供してもよい。コンポーネントキャリア毎に個別の肯定応答メッセージを送信する直接的アプローチに比べて、メッセージ数も減少される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信に関し、より詳しくは通信ネットワークのネットワーク要素間の通信メッセージにアクノレッジ(肯定応答)する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP仕様リリース8に準拠するE−UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)は、20MHzまでの帯域幅をサポートする。しかし、この規格の将来のリリースの要件の1つは、20MHzを超える帯域幅をサポートすることであると予想されている。そのようなリリースの別の重要な要件は、リリース8との後方互換性を保証することである。これには、スペクトラム互換性も含む。これは、リリース8に準拠した端末にとって、将来リリースされる20MHzより広い帯域幅の搬送波(キャリア)が、リリース8に準拠したいくつかのキャリアに見えるべきであることを意味する。そのようなキャリアのそれぞれは、要素搬送波(コンポーネント)キャリアと呼ばれてもよい。特に将来のリリースが開始されてからの初期段階においては、多くのレガシー(従来版)端末であるリリース8準拠端末が存在するのに比べて、将来リリースに準拠した端末の数はより少ないことが予想されうる。それ故、レガシー端末に対しても広いキャリアを効率的に使用できることを保証することが必要である。すなわち、将来リリースの広帯域のキャリアの全部分にわたってレガシー端末をスケジュール可能となるように、キャリアを配置することが必要である。
【0003】
これを成し遂げる直接的な手法は、キャリアアグリゲーションを用いることであろう。キャリアアグリゲーションが意味することは、将来リリースに準拠した端末が複数のコンポーネントキャリアを受信できることである。この複数のコンポーネントキャリアは、リリース8に準拠したキャリアと同じ構造を有するか、または少なくとも有する可能性があることが重要である。図1にキャリアアグリゲーションが示されており、そこでは、それぞれが20MHz帯域幅の5つのコンポーネントキャリア10が一緒に集約されて、100MHzの集合帯域幅を形成している。
【0004】
多くの通信規格と同様に、3GPPリリース8は、自動再送要求(ARQ)方式、それも特にハイブリッドARQ(HARQ)方式を使用する。従って、受信端末は、送信端末からの送信メッセージを正しく復号すると、肯定応答(ACK)メッセージで返答する。受信端末は、送信端末からの送信メッセージを誤って復号するかまたは復号に失敗すると、否定応答(NACK)メッセージで返答するか、または代わりに全く返答しない。この場合、送信端末は前に送った送信メッセージを再送信してもよい。誤って復号された送信メッセージは廃棄されてもよいし、また格納されて、当業者に公知の技法によって再送信メッセージとの再合成を可能にしてもよい。例えば、送信メッセージが再送信され、格納されている前の送信メッセージと合成されるとき、首尾よく復号される確率を増加するために、チェイス合成またはインクリメンタルリダンダンシ(冗長性増加)合成が採用されてもよい。
【0005】
3GPP仕様リリース8では、ダウンリンク送信は動的にスケジュールされる。すなわち、各サブフレームにおいて、無線基地局は、どの端末がデータを受信することになっているか、および現在のダウンリンクサブフレームのどのリソースでデータが送信されるかを示す制御情報を、制御チャネルを通じて送信する。この制御シグナリングは、各サブフレームの最初の1、2または3のシンボルの中で通常送信される。
【0006】
それ故、端末は、制御チャネルをリッスンし、自端末宛てのダウンリンク割り当てを検出するとデータの復号を試み、データを正しく復号したか否かに応じてACKまたはNAK(もしくは全く応答しない)の形態のフィードバックを送信に対する応答として生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、例えば図1に示されるように複数のコンポーネントキャリアが周波数領域で一緒に束ねられるときに、ACKメッセージまたはNAKメッセージを送信する方法は、今までのところ定められていない。
【0008】
キャリアアグリゲーションを実現する1つの実行可能手段は、コンポーネントキャリア毎に符号化およびハイブリッドARQ再送を実行することである。これを実現する直接的なやり方は、コンポーネントキャリア毎に1つずつ複数の肯定応答メッセージを送信することである。アップリンクのコンポーネントキャリア数がダウンリンクのコンポーネントキャリア数と少なくとも同じ大きさである場合、1つの実行可能な手段として、ダウンリンク・コンポーネントキャリアnでのデータ送信がアップリンク・コンポーネントキャリアnで肯定応答されるように、ダウンリンク・コンポーネントキャリアとアップリンク・コンポーネントキャリアとの間に1対1のマッピングを有することができよう。しかし、アップリンクとダウンリンクで同数のコンポーネントキャリアが使用されると決めてかかることはできない。どちらかと言えば、これに反して、最もありそうなシナリオは、高データレートの必要性がダウンリンクの方が大きいと予想されるので、アップリンク・コンポーネントキャリア数よりダウンリンク・コンポーネントキャリア数が大きいことである。従って、コンポーネントキャリア毎に1つずつ複数のハイブリッドARQ肯定応答メッセージの送信は、ある状況では困難なことがある。
【0009】
マルチビットハイブリッドARQ肯定応答フォーマットの採用は、もう1つの実行可能手段である。しかし、より多くのビットが送信されるに連れて、ビット当たりのエネルギまたは信号対雑音比(SNR)目標が減少する。そのため、ハイブリッドARQのために複数のビットを送信することは、アップリンクカバレッジを通常減少することにつながる。さらに、セル間干渉の増加と、複数のビットを送信するためにセル内で必要な(時間−周波数)リソース量の増加との両方よって、制御シグナリングの容量が低下する。
【0010】
現在のLTE仕様は、2ビットまでの肯定応答メッセージを送信する能力を有する。これは、空間多重(MIMO)をサポートするために使用され、空間多重(MIMO)の場合は、1つのコンポーネントキャリアで2つのトランスポートブロックが肯定応答される必要がある。原理上、この構造は、代わりに2つの別々のコンポーネントキャリアに使用できよう。しかし、この解決手段は、せいぜい2つのコンポーネントキャリアに限定され、その上、複数のコンポーネントキャリアがスケジュールされるとき、空間多重使用の余地がない。
【0011】
従って、新しい制御シグナリングフォーマットを用いることなく、また逆方向にも複数のコンポーネントキャリアを必要とすることもなく、各コンポーネントキャリアに対する肯定応答を受信機から送信機へ提供する課題に解決手段を見つけることが必要である。さらに、アップリンク制御シグナリングのカバレッジおよび容量を改善する必要があってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、通信ネットワークの受信ノード(例えば、アップリンクにおける無線基地局またはダウンリンクにおける移動端末)が、送信ノードと受信ノードとの間の複数の周波数集合キャリア(コンポーネントキャリア)によって受信した信号に関して、送信ノード(例えば、アップリンクにおける移動端末またはダウンリンクにおける無線基地局)に単一の肯定応答メッセージを送信する。すべての信号が受信ノードで正しく復号された場合、送信ノードに肯定応答メッセージ(ACK)が送信される。信号のすべてが正しく復号されなかった場合、否定応答メッセージ(NACK)が送信されるか、または肯定応答メッセージが送信されない。
【0013】
このようにして、複数のキャリアによって受信された信号に対して単一の肯定応答メッセージが送信されうる。肯定応答メッセージは、(例えば、3GPP仕様リリース8に定められているような)レガシー規格と同じフォーマットを有して、既存の装置との互換性を提供してもよい。コンポーネントキャリア毎に個別の肯定応答メッセージを送信する直接的アプローチに比べて、メッセージ数も減少する。
【0014】
本発明のより良い理解のため、およびそれをどのように実行に移しうるかをよりはっきりと示すために、ここで例証として以下の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンポーネントキャリアの集合の一例を示す図である。
【図2】本発明による通信ネットワークの一部を示す図である。
【図3】本発明による無線基地局を示す図である。
【図4】本発明による移動端末を示す図である。
【図5】本発明による方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、本発明による通信ネットワーク20の一部を示す。
【0017】
ネットワーク20は、複数の無線基地局22を備え、それらの無線基地局22のそれぞれは、いわゆる「セル」内の複数の移動端末24と通信する。各無線基地局22は、コアネットワーク26とさらに通信する。例えば、ネットワーク20がE−UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network)である場合、コアネットワーク26は、それ自体がモビリティ管理エンティティ(MME)を備える進化型パケットコアと、サービングゲートウェイと、PDN(パケットデータネットワーク)ゲートウェイとを備える。
【0018】
当業者は、無線基地局22がNodeBまたはeNodeB(evolved NodeB)としても知られることがあることを理解するであろう。同様に、移動端末24は、ユーザ装置(UE)としても知られることがある。
【0019】
無線基地局22と移動端末24との間の通信は、周波数領域において一つに集約された複数のキャリア(コンポーネントキャリアとしても知られる)によって行われる。そのようなコンポーネントキャリアは、(無線基地局22から移動端末24への)ダウンリンク通信および/または(移動端末24から無線基地局22への)アップリンク通信に存在してもよい。
【0020】
図3は、本発明による無線基地局22を示す。
【0021】
基地局22は、送受信回路32に結合されたアンテナ30を備える。Tx/Rx回路32は、処理回路34にさらに結合されている。処理回路は、HARQブロック38およびスケジューラ39を備え、これらについては以下でより詳細に説明する。無線基地局22は、コアネットワーク26と接続するために、処理回路34に結合されたインタフェース回路36をさらに備える。
【0022】
明瞭にするために、本発明を説明するために肝要でないところでは、多くの特徴が省略されていることが、当業者には明らかであろう。さらに、MIMO(マルチインプットマルチアウトプット:多入力多出力)通信信号を送受信するために、基地局22は複数のアンテナおよび複数のTx/Rx回路を備えてもよいことも明らかであろう。そのような変更のすべては、本明細書に添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内である。
【0023】
使用時、アンテナ30は、移動端末24から複数のコンポーネントキャリアによって信号を受信する働きをする。Tx/Rx回路32は、信号を復調して、それを処理回路34に渡し、処理回路34は、信号が正しく復号されたかどうかを判定する。HARQブロック38は、信号が正しく復号されたか否かに応じてHARQ応答(ACK、NACKまたは確認応答なし)を生成する。Tx/Rx回路34は、HARQ応答を変調し、アンテナ30は、HARQ応答を移動端末24に送信する。HARQプロセスの特徴については、以下でより詳細に説明する。
【0024】
アンテナ30は、移動端末24からスケジューリング要求を受信する働きもする。そのスケジューリング要求は、共用チャネルリソースを要求するために移動端末24がアップリンクで送信して、次いでそれらの共用チャネルを通じて移動端末24がデータを送信しうるようにする。従って、アンテナ30が移動端末24からスケジューリング要求を受信し、Tx/Rx回路32が信号を復調し、スケジューラ39がアップリンクで移動端末24にどのリソースを割り当てるべきか(または、リソースを割り当てるべきかどうか)を決定する。スケジューラ39は、スケジューリング・グラント・メッセージを生成し、生成されたスケジューリング・グラント・メッセージは、Tx/Rx回路32で変調され、アンテナ30から移動端末24に送信される。この場合、無線基地局22は、移動端末24からの通信を受信するために、どのリソース(すなわち、どのキャリア)を待つかが分かっている。
【0025】
無線基地局22は、ダウンリンクで移動端末24がデータを受信するようにスケジュールされているコンポーネントキャリアを示すリソース割り当てメッセージを、移動端末24に送信する働きもする。一実施形態では、スケジュールされたコンポーネントキャリアのそれぞれが、1つのリソース割り当てメッセージを送信する。従って、スケジューラ39がそのようなリソース割り当てメッセージを生成し、Tx/Rx回路32がそれを変調し、アンテナ30がそれを移動端末24に送信する。次いで無線基地局22は、スケジュールされたコンポーネントキャリアによって移動端末24にデータを送信する。
【0026】
図4は、本発明による移動端末24またはユーザ装置24を示す。
【0027】
移動端末24は、送受信回路(Tx/Rx)42に結合されたアンテナ40を備える。Tx/Rx回路42は、処理回路44にさらに結合されている。処理回路44は、少なくともHARQブロック46を備える。
【0028】
明瞭化を図るべく、本発明を説明するために肝要でないところでは、多くの特徴が省略されていることが、当業者には明らかであろう。さらに、MIMO通信をサポートするために、移動端末24は、1つを超えるアンテナおよび1つを超えるTx/Rx回路を備えてもよいことも明らかであろう。そのような変更のすべては、本明細書に添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内である。
【0029】
使用時、アンテナ40は、無線基地局22から複数のコンポーネントキャリアによって信号を受信する働きをする。Tx/Rx回路42は、信号を復調して、それを処理回路44に渡し、処理回路44は、信号が正しく復号されたかどうかを判定する。HARQブロック46は、信号が正しく復号されたか否かに応じてHARQ応答(ACK、NACKまたは肯定応答なし)を生成する。Tx/Rx回路42は、HARQ応答を変調し、アンテナ40は、HARQ応答を無線基地局22に送信する。HARQプロセスの特質については、以下でより詳細に説明する。
【0030】
アンテナ40およびTx/Rx回路42は、上述のように無線基地局22から送信されたリソース割り当てメッセージおよびスケジューリンググラントを受信および復調する働きもする。
【0031】
アンテナ40およびTx/Rx回路42は、上述のように共用チャネルを通じてデータを送信するためのリソースを(スケジューリンググラントによって)与えられるように、無線基地局22にスケジューリング要求を送信する働きもさらにする。
【0032】
本発明によれば、通信ネットワークの受信ノード(例えば、アップリンクにおける無線基地局またはダウンリンクにおける移動端末)は、送信ノードと受信ノードとの間の複数の周波数集合キャリア(コンポーネントキャリア)によって受信した信号に関して、送信ノード(例えば、アップリンクにおける移動端末またはダウンリンクにおける無線基地局)に単一の肯定応答メッセージを送信する。すべての信号が受信ノードで正しく復号される場合、送信ノードに肯定応答メッセージ(ACK)が送信される。一方、信号のすべてが正しく復号されない場合、否定応答メッセージ(NACK)が送信されるか、またはいずれの確認応答メッセージも送信されない。
【0033】
このようにして、複数のキャリアによって受信される信号に対して、単一の肯定応答メッセージが送信されてもよい。肯定応答メッセージは、(例えば、3GPP仕様リリース8に定められているような)レガシー規格と同じフォーマットを有して、既存の装置との互換性を提供してもよい。コンポーネントキャリア毎に個別の肯定応答メッセージを送信する直接的アプローチに比べて、メッセージ数も減少される。
【0034】
図5は、本発明による受信ノードの方法のフロー図であり、これによって、送信ノードが複数の周波数集合キャリアでデータを送信する。
【0035】
方法は、ステップ60から始まる。
【0036】
ステップ61では、受信ノードが、送信ノードから受信ノードへデータを送信するようにスケジュールされたキャリアを示す1つ以上のリソース割り当てメッセージを受信する。一実施形態では、リソース割り当てメッセージは、スケジュールされた各キャリアによって送信される。すなわち、データが例えばキャリア#1、#3および#5によって送信されるようにスケジュールされた場合、リソース割り当てメッセージはキャリア#1、#3および#5のそれぞれで送信される。この場合、受信ノードは、スケジュールされたキャリア(すなわち、この例ではキャリア#1、#3および#5)で送信されるデータを「リッスン(受信)」すべきことを認識している。
【0037】
アップリンク通信に関しては、リソース割り当てメッセージが移動端末から無線基地局へ送信されない(すなわち、ステップ61はアップリンク通信には存在しない)ので、ステップ61はオプションである。それどころか、アップリンクスケジューリング要求が移動端末から送信され、次いでそれは受信無線基地局によって承諾されてもよい。ダウンリンク通信では、ステップ61に関して上述のように、リソース割り当てメッセージが無線基地局から移動端末へ送信される。
【0038】
ステップ62では、受信ノードは、データを送信するようにスケジュールされたキャリアについて、さらなるスケジューリング情報を受信する。
【0039】
ダウンリンク通信においては、以下でより詳細に説明するように、スケジューリング情報が無線基地局22から移動端末24へ送信される。
【0040】
一実施形態では、そのようなスケジューリング情報は、スケジューリングされているキャリア数を備えるだけである(例えば、8つのキャリアが送信用に定められていて、キャリア#1、#3および#5がスケジュールされている場合、インジケーションは3つのキャリアであることを示す)。次いで、受信ノードは、いくつのキャリアで信号を受信すべきかを知る。
【0041】
別の実施形態では、スケジューリング情報は、どのキャリアが送信用にスケジュールされているかのインジケーションを含む。例えば、そのような情報は、キャリアインデックスのリストでもよいし、またスケジュールされたキャリアを指し示すビットマップでもよい。
【0042】
スケジューリング情報は、いくつかの異なるやり方でコード化されてもよい。
【0043】
一実施形態では、スケジューリング情報は、ステップ61で送信されるリソース割り当てメッセージと一緒に送信されてもよい。従って、各リソース割り当てメッセージは、上述のように、スケジュールされたキャリアの合計数のインジケーションまたはスケジュールされたキャリアの識別情報などを追加で備えてもよい。
【0044】
別の実施形態では、スケジューリング情報は、各キャリアで送信されるデータと一緒にインバンドでコード化される。受信ノードが少なくとも1つのキャリアによる送信メッセージを首尾よく復号するまで、NACKメッセージが送信されるかまたは肯定応答メッセージが全く送信されないかで信号の再送信という結果になるので、情報はその前に必要とされない。別の実施形態では、スケジューリング情報は、1つ以上のスケジュールされたキャリアに対するL1/L2制御チャネルのシグナリングを用いて提供される。スケジューリング情報は、スケジュールされたキャリアの1つ、またはサブセット、またはそれぞれのL1/L2制御チャネルで提供されてもよい。別の実施形態では、スケジューリング情報は、少なくとも1つのスケジュールされたキャリアで送信されるデータのスクランブリング(または巡回冗長コードスクランブリング、CRC)を用いて、また受信ノードがデータを受信するようにスケジュールされているキャリアの各番号(またはセット)に対して1つの、複数の識別情報を受信ノードに提供することで提供されてもよい。
【0045】
スケジューリング情報はスケジュールされたキャリアの中の1つで提供されてもよいし(これは、スケジューリング情報送信リソースのオーバヘッドを減少する)、またスケジュールされたキャリアのすべてで提供されてもよく、これは、スケジューリング情報が受信ノードで首尾よく受信される確率を最大にする(すなわち、すべてのスケジューリング情報を取得するためには、1つのキャリアが首尾よく復号されることだけを必要とするからである)。しかし、一実施形態では、スケジューリング情報はスケジュールされたキャリアのサブセットの間に分配される、すなわち、上記の両極端の間で歩み寄りが行われてもよい。この実施形態は、送信リソースを節減するが、スケジューリング情報が1つのスケジュールされたキャリアで送信される場合に比べて、スケジューリング情報が完全に見逃がされる確率も減少する。
【0046】
アップリンク通信に関しては、無線基地局22が、アップリンクデータを送信するリソースを移動端末24に与える。それ故、この実施形態の受信ノード(すなわち、無線基地局)は、データの送信をスケジュールされているキャリアについての情報を既に有する。
【0047】
ステップ64では、受信ノードが、スケジュールされたキャリアによってデータを受信するか、または受信しようと試行する。ステップ62の上記の説明から、いくつかの実施形態ではこのステップがステップ62と実質的に同時に起こってもよいことが、当業者には明らかであろう。すなわち、スケジューリング情報は、スケジュールされたキャリアによって送信されるデータと一緒にインバンドで含まれてもよい。
【0048】
ステップ66では、少なくともスケジュールされたキャリア数(それに加えて多分スケジュールされたキャリアの識別情報)の知識を使用して、受信ノードは、すべてのスケジュールされたキャリアによるデータが正しく受信されたかどうかを判定する。
【0049】
すべてのスケジュールされたキャリアによるデータが正しく受信された場合、方法はステップ68に進み、肯定応答(ACK)メッセージが送信ノードに送信される。1つ以上のスケジュールされたキャリアによるデータが正しく受信されなかった場合、方法はステップ70に進み、否定応答メッセージ(NACK)が送信ノードに送信されるか、いずれの確認応答メッセージも送信されない。この確認応答メッセージを全く送信しない実施形態の一利点は、送信ノードが(不連続送信またはDTXとして知られる)確認応答がないことを検出して、以降の再送信の冗長バージョンを増加しないことを選びうることであり、いくつかの冗長バージョンが自己復号可能でない場合に必要な再送回数を減少できることである。
【0050】
すなわち、上述のようにいくつかの実施形態では、受信ノードは、前に失敗した送信メッセージの再送信メッセージを首尾よく復号する可能性を増やすために、ソフト合成を使用してもよい。一般に、送信される情報はコード化され、情報を表す符号化ビットのセットになる。符号化ビット数は情報ビット数より大きく、それ故に冗長性が付加される。符号化ビットのサブセットが、送信されて、次いでステップ64で受信される。(情報ビットの固定数に対して)符号化ビット数が大きければ大きいほど、ますます送信がロバストになり、誤りの確率が小さくなる(符号化率が小さくなる)。「冗長バージョン」という用語は、符号化ビットのどのサブセット(すべてが同じ情報ビットのセットを表す)が送信されるかを示す。様々な状況においては、異なる冗長バージョンを使用しての情報の再送信が役立つこともあるし、また同じ冗長バージョンを使用しての情報の再送信が役立つこともある。例えば、最初の送信信号が全く受信されない場合、以下に説明するように冗長バージョンを増加することなしに再送信することが役立つことがある。
【0051】
一例として、情報ビットのブロックが符号化されて、符号化ビットの4つのサブセットA、B、C、Dが作成されていると想定する(サブセットは一部重なりあっていてもよい)。サブセットAが送信されるが、受信機はデータの復号に失敗する。それ故、一実施形態では、再送信が行われ、Bが送信される。次いで受信ノードは、(復号不可能な)セットAを再送信されたセットBと一緒に使用し、情報の復号を試行する。不成功の場合、セットCが送信される、というようにプロセスが続く。従って、各再送信に対して、冗長バージョンが増加する。
【0052】
ところで、セットAが全く受信されない場合、Bを使用する代わりにAを再送信する方が良いことが分かることがある(例えば3GPP仕様リリース8で使用されるターボコードなどのいくつかのコードに関しては、符号化ビットの一部は復号化プロセスで他のビットより重要であり、「自己復号可能」は、時には「より重要な」ビットを含むセットに言及するために使用される)。これは、冗長バージョンを増加しないことに相当する。それ故、この実施形態では、2回の送信試行の後にデータの復号が可能なことがある(復号に失敗したAと再送信されたA)のに対して、冗長バージョンが増加された場合、3回の送信試行が必要かもしれない(A(失敗)、B、C)。
【0053】
ステップ62に記述されるさらなるスケジューリング情報の受信は、受信ノードが以下の潜在的誤りを克服することを可能にする。ステップ61で受信ノードが1つ以上のリソース割り当てメッセージの受信に失敗した場合、受信ノードは、その受信に失敗したリソース割り当てメッセージに対応するキャリアで後から送信されるデータをリッスンすることを知らないであろう。リソース割り当てメッセージを首尾よく受信したスケジュールされたキャリアで、それ以外のデータが首尾よく復号された場合、リソース割り当てメッセージの受信に失敗したキャリアでデータが首尾よく復号されなかったにもかかわらず、肯定応答メッセージが送信されるであろう。従って、受信ノードがいくつのキャリアでデータの受信がスケジュールされているかを少なくとも知っている場合には、データがすべてのキャリアで首尾よく復号されないときに、受信ノードはNACKメッセージを送信してもよい(または肯定応答を送信しなくてもよい)。
【0054】
上述のように、本発明による肯定応答メッセージは、すべてのスケジュールされたキャリアに適用される(すなわち、すべてのスケジュールされたキャリアに対して単一のACK/NACKが送信される)。しかし、それぞれがスケジュールされたキャリアのサブセット(すなわち2つ以上)に関連する、1つを超える肯定応答メッセージが送信されてもよいことが、当業者には明らかであろう。例えば、4つのキャリアが送信用にスケジュールされる場合、それぞれが2つのキャリアに関する2つのプロセスが、同時に実行されてもよい。
【0055】
あるいは、すべてのスケジュールされたキャリアに対して単一のメッセージが送信され続けてもよいが、肯定応答メッセージが複数のビットを備える場合、各ビットはスケジュールされたキャリアの1つのサブセット(すなわち2つ以上のキャリア)に対応する。例えば、4つのキャリアが送信用にスケジュールされる場合、肯定応答メッセージは、それぞれが2つのキャリアに関する2つのビットを備えてもよい。
【0056】
これらの後の2つの実施形態は、スケジューリング情報がスケジュールされているキャリアのインジケーションを含むとき特に有利である。この場合、送信失敗がどのキャリアで起こったかが分かり、その失敗に対して適切に肯定応答しうる。
【0057】
本発明の実施形態によれば、送信に使用されるコンポーネントキャリア数より少数のハイブリッドARQ肯定応答メッセージが送信される。例えば一実施形態では、単一の肯定応答メッセージがすべてのコンポーネントキャリアに関連でき、すべてのコンポーネントキャリアが正しく復号された場合だけ、ACKが送信されるであろう。
【0058】
それ故、本発明は、複数の周波数集合キャリアによる送信ノードと受信ノードとの間の送信メッセージに肯定応答する方法および装置を提供する。本方法は、スケジュールされたキャリア数に比べて肯定応答メッセージ数を減少し、それによって、肯定応答プロセス(例えばHARQ)に対するオーバヘッドを減少する。
【0059】
上記の実施形態は本発明を限定せずに例証しており、添付の特許請求項の範囲から逸脱することなしに、当業者が多くの代替実施形態を策定できるであろうことに留意すべきである。「備える(comprising)」という語は特許請求項に挙げられる以外の要素またはステップの存在を除外せず、「1つ(“a” or “an”)」は複数を除外せず、単一プロセッサまたは他のユニットは特許請求項に挙げられるいくつかのユニットの機能を満たしてもよい。特許請求項の中のどの参照記号もそれらの範囲を限定すると解釈されないものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークにおいて受信側の端末で実行される方法であって、前記受信側の端末は複数の周波数を束ねて構成された複数のキャリアを介して、前記通信ネットワークにおける送信側の端末から送信されたデータを受信する端末であり、
前記方法は、
第1の複数のキャリアにおけるすべてのキャリアにおいてデータの受信に成功すると、前記第1の複数のキャリアについて単一の第1の肯定応答メッセージを前記送信側の端末に送信するステップと、
前記第1の複数のキャリアにおける1つ以上のキャリアにおいてデータの受信に失敗すると、前記第1の複数のキャリアについて単一の否定応答メッセージを送信するか、または、前記肯定的応答メッセージも前記否定応答メッセージも送信しないステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記受信側の端末へデータを送信するために使用されるか、または、これからデータを送信するために使用されることが予定されている、前記第1の複数のキャリアにおける複数の周波数を束ねて構成されたキャリアの数を示す情報を受信するステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記情報は前記第1の複数のキャリアにおける前記キャリアの識別情報を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記情報はビットマップを含んでいることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記情報は、各キャリアにおいて受信されるデータとともに符号化されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記情報は、前記第1の複数のキャリアにおける1つまたは複数のキャリアに対応したL1/L2制御チャネルを示す1つ以上のビットによって提供される情報であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記情報は、前記第1の複数のキャリアにおける各キャリアごとの対応したL1/L2制御チャネルを示す1つ以上のビットによって提供される情報であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記情報は、前記第1の複数のキャリアにおける少なくとも1つのキャリアにおいて前記データをスクランブリングすることによって提供される情報であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記情報は、前記第1の複数のキャリアにおける1つ1つのキャリアによってそれぞれ完全に受信される情報であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記情報は、前記第1の複数のキャリアにおける2つ以上のキャリアにより分散して搬送される情報であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記情報は、さらに、前記受信側の端末へデータを送信するために使用されるか、または、これからデータを送信するために使用されることが予定されている、複数の周波数を束ねて構成された第2の複数のキャリアを示す情報であり、
前記方法は、さらに、
前記第1の複数のキャリアにおけるすべてのキャリアにおいてデータの受信に成功すると、前記第2の複数のキャリアについて単一の第2の肯定応答メッセージを前記送信側の端末に送信するステップ
を有することを特徴とする請求項2ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記情報は、さらに、前記受信側の端末へデータを送信するために使用されるか、または、これからデータを送信するために使用されることが予定されている、前記第2の複数のキャリアにおけるキャリアの数を示す情報であり、
前記単一の第1の肯定応答メッセージは、前記第2の複数のキャリアについても送信され、前記単一の第1の肯定応答メッセージは、前記第1の複数のキャリアに関連した第1のビットと、前記第2の複数のキャリアに関連した第2のビットとを備えていることを特徴とする請求項2ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
通信ネットワークにおいて使用されるネットワークノード装置であって、前記ネットワークノード装置は、複数の周波数を束ねて構成された複数のキャリアを介して、前記通信ネットワークにおける送信側の端末から送信されたデータを受信する装置であり、
第1の複数のキャリアを介して受信したデータの復号を試行し、前記第1の複数のキャリアにおけるすべてのキャリアにおいてデータの受信に成功すると、前記第1の複数のキャリアについて単一の第1の肯定応答メッセージを前記送信側の端末に送信し、前記第1の複数のキャリアにおける1つ以上のキャリアにおいてデータの受信に失敗すると、前記第1の複数のキャリアについて単一の否定応答メッセージを送信するか、または、前記肯定的応答メッセージも前記否定応答メッセージも送信しないプロセッサを備えたことを特徴とするネットワークノード装置。
【請求項14】
前記受信側の端末へデータを送信するために使用されるか、または、これからデータを送信するために使用されることが予定されている、前記第1の複数のキャリアにおける複数の周波数を束ねて構成されたキャリアの数を示す情報を受信する受信手段をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のネットワークノード装置。
【請求項15】
前記ネットワークノード装置は移動端末であり、前記受信手段は受信機であることを特徴とする請求項14に記載のネットワークノード装置。
【請求項16】
前記ネットワークノード装置は無線基地局であり、前記受信手段はスケジューラであることを特徴とする請求項14に記載のネットワークノード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−525088(P2011−525088A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514530(P2011−514530)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【国際出願番号】PCT/SE2009/050083
【国際公開番号】WO2009/154540
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】