説明

通信会議要求機能を有する電話装置

【課題】 通信中の相手との通話中に、簡単な操作で、近傍に存在する他の電話機を当該通信中の通話に参加させることができる電話装置を提供する。
【解決手段】 移動可能な無線電話機3Aで相手端末6と通話中に、当該通話中の通信に近隣の有線電話機4Aを参加させる場合、まず、電話機3Aの操作者は当該電話機3Aを電話機4Aの傍へ持って行き、電話機3Aのリーダ38Aにより電話機4Aのタグ49Aから電話番号又は内線を特定するID情報を読取る。すると電話機3Aは呼制御装置1へ読取ったID情報を含む通信会議要求を送信し、呼制御装置1は電話機3Aと通話中の相手端末6との通話を電話機4Aへ同報配信する。呼制御装置1は、電話機4Aからの音声も、該当通話中の相手へ中継して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手と通話中に、近傍に存在する他の電話機を当該通話に参加させることを呼制御装置に要求できる電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電話システムや構内電話システム(PBX)等の内線電話システム、又は電話会議システムにおいて、2台以上の電話機を使用して電話会議を行う技術がある(例えば特許文献1)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、事前に電話会議を行うための設定やダイヤルを押下する等、設定や操作が煩雑で面倒であった。また、電話会議に係る専用の装置が必要になるため、設備コストも無視できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−44263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、相手と通話中に、簡単な操作で、近傍に存在する他の電話機を当該通信中の通話に参加させることができる電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、通信会議機能を具備する呼制御装置に帰属する電話装置であって、自電話装置の近傍に存在する無線タグ又はバーコードから前記呼制御装置に帰属する他電話装置を特定するID情報を読み取るID情報読取手段と、複数の電話装置による通信会議の実行を前記呼制御装置に要求する通信会議要求手段を有し、第1の他電話装置と通信中に予め定められた特定操作があった場合に、前記ID情報読取手段は、自電話装置の近傍に存在する無線タグ又はバーコードからID情報を読み取り、前記通信会議要求手段は、自電話装置および前記第1の他電話装置および前記読み取ったID情報に対応する第2の他電話装置による通信会議の実行を前記呼制御装置に要求することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通話中の通話に参加させたい近傍の電話機の無線タグ又はバーコードからタグ情報を読み込むので、ダイヤル操作を含む複雑なキー操作が不要となる利点がある。また、電話会議に係る専用の設備を使わないので経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る全体構成図
【図2】呼制御装置1の機能ブロック図
【図3】無線電話機3のブロック構成図
【図4】有線電話機4のブロック構成図
【図5】本発明における通信会議移行処理のシーケンス図
【図6】本発明における無線電話機3又は有線電話機4の動作フローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る内線電話システムの全体構成図であって、1は呼制御装置、2は無線アクセスポイント、3A,3Bは無線電話機(電話機3と略すこともある)、4A,4Bは有線電話機(電話機4と略すこともある)、5は電話ネットワーク、6は通話中の相手端末である。呼制御装置1は外線と内線の接続を処理する装置であって、ボタン電話システムの主装置や構内電話交換機(PBX)である。無線電話機3は無線アクセスポイント2による無線内線を介して呼制御装置1と接続される。有線電話機4は内線(有線)を介して呼制御装置1と接続される。通話中の相手端末6とは、電話ネットワーク5(外線)及び呼制御装置1を介して内線の無線電話機3又は有線電話機4と接続される。なお、外線及び内線は通常のアナログ電話回線やISDN回線だけでなく、IP(Internet Protocol)回線であってもよい。また、図1において、呼制御装置1と有線電話機4を分けて説明し、これ以降も分けた構成図で説明するが、呼制御装置1と有線電話機4が一体化した単独電話機であってもよい。
【0010】
無線電話機3は、無線タグリーダ(以下リーダと略すこともある)38と、無線タグ(以下タグと略すこともある)39を有する。同様に、有線電話機4は、無線タグリーダ48と、無線タグ49を有する。無線タグ39又は49は電話機に貼られており、当該電話機の電話番号が記憶されている。無線タグリーダ38又は48は近隣の電話機に貼られた無線タグから当該電話機のID情報を読取る。なお、本実施例の無線タグリーダ及び無線タグはバーコードリーダ及びバーコードタグであってもよい。また、無線タグは電話機の近傍に存在していればよく、電話機に貼られていなくてもよい。
【0011】
ここで、本発明による相手と通話中に、簡単な操作で、近傍に存在する他の電話装置を当該通信中の通話に参加させる方式について概略を説明する。なお、詳細は後述する。例えば、移動可能な無線電話機3Aで相手端末6と通話中に、当該通話中の通信に近隣の有線電話機4Aを参加させる場合、まず、電話機3Aの操作者は当該電話機3Aを電話機4Aの傍へ持って行き、電話機3Aのリーダ38Aにより電話機4Aのタグ49Aから電話番号又は内線を特定するID情報を読取る。すると電話機3Aは呼制御装置1へ読取ったID情報を含む通信会議要求を送信し、呼制御装置1は電話機3Aと通話中の相手端末6との通話を電話機4Aへ同報配信する。呼制御装置1は、電話機4Aからの音声も、該当通話中の相手へ中継して送信する。
【0012】
図2は、呼制御装置1の機能ブロック図であって、11は外線対応部、12は通話処理部、13は内線対応部、14は通信会議制御部、15は主制御部である。外線対応部11を介して接続されている通話中の相手端末6と、内線対応部13を介して接続されている電話機3又は電話機4の間を通話処理部12が通話を中継している間(通話中)に、無線電話機3又は有線電話機4からの通信会議要求が、内線対応部13を介して主制御部15に入力すると、主制御部15は通信会議制御部14に通信会議移行を指示し、通信会議制御部14は、通話処理部12へ近隣の電話機の通話参加を指示する。
【0013】
図3は無線電話機3のブロック構成図であって、31は無線対応部、32は通話処理部、33はマイク及びスピーカ、34はキー操作部、35は特定操作検出部、36は端末制御部、37は表示部、38は無線タグリーダ、39は無線タグである。通話処理部32はマイクから入力される音声を符号化したり、無線対応部31から受信する音声データを復号化したり、音量を調整する機能を有する。
【0014】
特定操作検出部35は、キー操作部34からの信号を監視し、予め定められた特定操作を検出し、端末制御部36へ通知する。特定操作検出部35が通話中に通信会議に係る特定操作を検出すると、端末制御部36は無線タグリーダ38をONし、無線タグリーダ38は近傍の無線タグからの情報を読取る。
【0015】
なお、通信会議に係る予め定められた特定操作としては、例えば通話中の「#」や「*」等のキー押下でもよいし、専用のキー押下でもよい。いずれにしても、無線タグリーダ38が常時ONだと誤動作の恐れがあるので、所定の特定操作があった時にだけ無線タグリーダを一定時間ONにするのが望ましい。
【0016】
図4は有線電話機4のブロック構成図であって、40は電話機本体、41は内線対応部、42は通話処理部、43はハンドセット、44はキー操作部、45は特定操作検出部、46は端末制御部、47は表示部、48は無線タグリーダ、49は無線タグである。内線対応部41は呼制御装置1の内線対応部13と内線(有線)接続される。ハンドセット43は通話音声を入出力するための送受話器であり、本体40とは伸縮可能なカールコード(図示せず)で接続されている。そして、ハンドセット43には通話音声を入出力するためのマイク431とスピーカ432に加え、無線タグリーダ48が実装され、さらにハンドセット43の適当な箇所に無線タグ49が貼られている。これにより、本体40が固定設置であっても、伸縮可能なカールコードで接続されたハンドセット43内の無線タグリーダ48及び無線タグ49を近傍の電話機の傍へ近づけることが可能となる。なお、その他の部分は図3で説明した無線電話機3の同一名称の部分と基本的に同じ機能,動作であるので、詳細な説明は省く。
【0017】
図5は本発明における通信会議移行処理のシーケンスであって、例えば、無線電話機3の操作者が、相手端末6と通話している時に、話しを横で聞いていた近傍の有線電話機4の使用者が通話に参加する場合である。なお、通話中の相手端末6は電話ネットワーク5を介さない内線接続された無線電話機3又は有線電話機4であってもよい。
【0018】
まず、無線電話機3の操作者が相手端末6と通話中であり、音声は呼制御装置1を中継し通話している間に(S501,S502)、通信会議を開始するための特定操作をすると(S503)、無線電話機3の特定操作検出部35がキー操作部34からのこの特定操作を検出し端末制御部36へ通知する。端末制御部36は無線タグリーダ38をONにし、近傍の無線タグからタグ内のID情報を読める状態にする(S504)。
【0019】
無線タグリーダ38がONの状態で近傍に対象の無線タグが存在していると、無線タグリーダ38はタグ内に記憶されているID情報(電話番号又は内線)を読込む(S505)。なお、実際には移動可能な無線電話機3の操作者が、当該無線電話機3の無線タグリーダ38の実装部分を、通信参加先である有線電話機4の無線タグ49の装着部に無線通信可能な範囲内に近づけてタッチすることにより、無線タグ49内の当該有線電話機4のID情報を通信参加先の電話番号として読み取る。そして、ID情報を読込んだ無線電話機3は、当該読込んだIDを通信参加先として、呼制御装置1へ通信会議要求を送信する(S506)。
【0020】
通信会議要求(S506)を受付けた呼制御装置1は、通信会議移行処理を開始し(S507)、通信会議要求コマンドに含まれる通信参加先のID情報により、有線電話機4を呼出す(S508)。そして、有線電話機4が呼出しに応答すると(S509,S510)、呼制御装置1は通信会議に移行し(S511)、通信会議移行OKを無線電話機3に送信し(S512)、有線電話機4と通話路を確立し通話を開始する(S513,S514,S515)。通話中の相手端末6へ送信すべき音声は、電話機3からの音声及び電話機4からの音声を合成してもよいし、発信権を獲得した特定端末の音声のみを選択的に送信してもよい。通話中の相手端末6へ送信すべき電話機3からの音声及び電話機4からの音声は、生の音声を聞けるので、送信元の各端末にフィードバックしてもよいし、フィードバックしなくともよい。
【0021】
なお、以上の例は、通話中の無線電話機3により、通話中の通信に有線電話機4を参加させる方法であるが、逆に通話中の有線電話機4の操作者が、当該通話中の通信の傍に居る人の無線電話機3を参加させる場合は、通話中の有線電話機4で特定操作をして、通話に参加させたい無線電話機3の無線タグ39の装着部を有線電話機4の無線タグリーダ48の実装部に近づけてタッチすればよい。また、無線電話機3で通話中の通信に他の無線電話機3を参加させることも当然可能であり、その場合は、お互いに携帯している無線電話機3同士をタッチすればよい。
【0022】
さらに、固定設置された有線電話機4で通話中の通信に他の有線電話機4を参加させる場合であっても、図4に示す通り、無線タグリーダ48と無線タグ49は共にハンドセット43に装着され、有線電話機4の本体40とは伸縮可能なカールコードで接続されるので、お互いのカールコードが伸びる長さ(数m程度)の範囲内でタッチして、通話参加先の有線電話機4の無線タグ49の情報を通話中の無線タグリーダ48で読取り可能である。
【0023】
図6は無線電話機3又は有線電話機4の動作フローチャートである。本フローは通話中の状態からスタートする(S601)。通話中に特定操作があると(S602,YES)、端末制御部36又は46は同制御部内のタイマ(図示せず)を起動する(S603)と共に、無線タグリーダ38又は48をONにする(S604)。
【0024】
無線タグリーダが近傍の無線タグから通話に参加させたい無線電話機3又は有線電話機4のID情報を読込むと(S605,YES)、端末制御部36又は46は無線タグリーダ38又は48をOFFにし(S606)、読込んだID情報を使用して通信会議移行表示を表示部37又は47に表示する(S607)。なお、表示部には読込んだID情報から電話番号を特定し、「○○氏の電話機を本通話に参加させますか?」のようなメッセージも表示されており、操作者がID情報を確認の上、通信会議移行開始OKを意味するキー操作をする(例えば“#”押下)。
【0025】
なお、無線タグリーダの読み取り範囲が狭い場合(例えば数センチ)、無線タグを無線タグリーダが装着された部位に近接又はタッチする必要があり、この近接又はタッチの動作自体で多者通話モードへの移行意思OKと判断し、S607,S608は、「○○氏の電話機を本通話に参加させます。」のようなメッセージを表示し、S608の判断を省略してもよい。又は、無線タグリーダの読み取り範囲が広く(例えば数m)、複数の無線タグからのID情報を読み込んでしまった場合に、S607で読込んだデータを表示し、S608で特定のデータを指定するようにしてもよい。
【0026】
タグリーダをON(S604)してから、ID情報を読取れない場合(S605,NO)、又は、通信会議移行開始OKが無い場合(S608,NO)、タイムアウト前(S609,NO)であればS605に戻り、タイムアウト後(S609,YES)であれば、タグリーダをOFF(S611)の上、S612に進む。
【0027】
通信会議移行開始が指示されると(S608,YES)、端末制御部36又は46は、無線対応部31又は内線対応部41を介して、通話参加先のID情報を含む通信会議要求を呼制御装置1へ送信する(S610)。そして、呼制御装置1からの通信会議移行OKを受けて(S612,YES)、本フローは終了する(S613)。もし、通信会議要求に対して呼制御装置1からの通信会議移行OKが無ければ(S612,NO)、通信会議移行失敗であり、S602へ戻り、通話は継続される。なお、以上の例は、3者通話について説明したが、図6のフローを繰り返せば、3者以上の多者通話モードを実現できる。
【0028】
以上説明した通り、本発明によれば、通話中に特定操作して他電話機に装着された無線タグと無線タグリーダを近接させる又はタッチするという簡単な操作で、他電話機と3者通話又は3者以上の通信会議を実行できるので、操作性に優れていると共に、ダイヤル操作等の押し間違いもない。
【0029】
ところで、本発明の実施形態として図1に示すような内線電話システムを例に説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、無線アクセスポイント2は呼制御装置1と一体化されていてもよい。また、外線及び内線がIP回線であって、呼制御装置1がIP−PBXや呼制御サーバで、無線アクセスポイントが無線LANアクセスポイントで、無線電話機3が無線LAN電話機で、有線電話機4がIP電話機であってもよい。
【0030】
なお、特定操作としては、キー操作の代わりに、通話参加先電話機の無線タグ部と通話中電話機の無線タグリーダ部のタッチとし、先に通話参加先電話機のID情報を読込んでおいて、「○○氏の電話機を通話に参加させますか?」のような表示メニューから選択するようにしてもよい。さらに、呼制御装置1は電話ネットワーク5を介して接続される、いわゆるIPセントレックスのCA(Call Agent)であってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1・・・呼制御装置
2・・・無線アクセスポイント
3・・・無線電話機
4・・・有線電話機
5・・・電話ネットワーク
6・・・通話中の相手端末
11・・・外線対応部
12・・・通話処理部
13・・・内線対応部
14・・・通信会議制御部
15・・・主制御部
31・・・無線対応部
32,42・・・通話処理部
33・・・マイク及びスピーカ
34,44・・・キー操作部
35,45・・・特定操作検出部
36,46・・・端末制御部
37,47・・・表示部
38,48・・・無線タグリーダ
39,49・・・無線タグ
40・・・電話機本体
41・・・内線対応部
43・・・ハンドセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信会議機能を具備する呼制御装置に帰属する電話装置であって、
自電話装置の近傍に存在する無線タグ又はバーコードから前記呼制御装置に帰属する他電話装置を特定するID情報を読み取るID情報読取手段と、複数の電話装置による通信会議の実行を前記呼制御装置に要求する通信会議要求手段を有し、
第1の他電話装置と通信中に予め定められた特定操作があった場合に、
前記ID情報読取手段は、自電話装置の近傍に存在する無線タグ又はバーコードからID情報を読み取り、
前記通信会議要求手段は、自電話装置および前記第1の他電話装置および前記読み取ったID情報に対応する第2の他電話装置による通信会議の実行を前記呼制御装置に要求することを特徴とする通信会議要求機能を有する電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−219584(P2010−219584A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60444(P2009−60444)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】