通信制御システムおよび通信制御方法
【課題】移動体端末とインターネットとの間の通信において移動体通信システムのコアネットワークにおける通信負荷を低減させる。
【解決手段】フェムトセル基地局がルーティングテーブルを参照して、公式サイトに対してアクセスを要求する移動体端末と第1のサーバーと間の通信を、コアネットワークを介して接続するとともに、勝手サイトに対してアクセスを要求する移動体端末と第2のサーバーと間の通信を、コアネットワークを介さず固定ブロードバンド網を介して接続する。
【解決手段】フェムトセル基地局がルーティングテーブルを参照して、公式サイトに対してアクセスを要求する移動体端末と第1のサーバーと間の通信を、コアネットワークを介して接続するとともに、勝手サイトに対してアクセスを要求する移動体端末と第2のサーバーと間の通信を、コアネットワークを介さず固定ブロードバンド網を介して接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のネットワークを利用して、移動体端末から異なるウェブサイトにアクセスするための通信制御システムおよび通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の移動体端末の普及に伴い、移動体端末による通信制御システムのコアネットワークを利用した移動体端末の通信に加えて、より小規模のフェムトセル基地局を介して固定ブロードバンド網を利用した移動体端末の通信が利用可能になってきている。
このフェムトセル基地局は、例えば、移動体通信システムを提供する通信会社による無線カバレッジを拡大するため、屋外の大型基地局に加え、ユーザの自宅やオフィスの内部に設置され、ユーザの近傍で使用される超小型の基地局である。
【0003】
例えば、フェムトセル基地局から固定ブロードバンド網を介したインターネットへの通信において、コンテンツ等に応じて、異なる通信路や通信チャネルを利用するものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
また、フェムトセル基地局を利用する通信制御システムとして、図12、図13に示すようなものがある。
図12に示す通り、従来からある通信制御システムは、固定ブロードバンド網120、移動体通信システムのコアネットワーク130、およびインターネット140を含み、移動体端末111は、フェムトセル基地局112を介してインターネット140に含まれる第1のサーバー141あるいは第2のサーバー142と接続される。
ここで、移動体通信システムを管理する移動体通信会社により認定されているサイト(以降、公式サイトと呼ぶ)は、コアネットワーク130上で提供される課金処理やユーザ認証処理において認定された特定のユーザからのアクセスのみを受け付ける。この公式サイトには、URL(例えば、http://www.official.com/)、IPアドレス(例えば、20.2.0.1)が割り当てられているものとする。
【0005】
一方、移動体通信会社により認定されていないサイト(以降、勝手サイトと呼ぶ)は、上述の移動体通信会社が提供する課金処理やユーザ認証処理を利用せず、それらの処理において認定されていないユーザからのアクセスも受け付ける。この勝手サイトには、URL(例えば、http://www.unofficial.com/)、IPアドレス(例えば、234.20.2.133)が割り当てられているものとする。
【0006】
フェムトセル基地局112は、移動体通信システムにおいて移動体端末112と無線通信を行い、移動体端末111とインターネット140上のウェブサイトとを接続するための基地局である。
フェムトセルゲートウェイ(以降、フェムトセルGWと呼ぶ)(移動体通信網―固定網間ゲートウェイ)131は、フェムトセルを用いて、固定ブロードバンド網120を移動体通信システムへのアクセスネットワークとして活用する場合に、移動体通信システムのコアネットワーク130と固定ブロードバンドネットワーク120に接続される装置であり、両ネットワークの相互接続を行う。
GGNS(外部IP網間ゲートウェイ)133は、移動体通信システムのコアネットワーク130とインターネット140に接続される装置であり、両ネットワークの相互接続を行う。
また、移動体通信システムのコアネットワーク130は、名前解決機能を有するDNSサーバー132を含む。
【0007】
次に、図13を参照して、図12に示した通信制御システムのシーケンスについて説明する。
図13に示す通り、インターネットアクセスに必要な通信セッションの確立と設定情報の取得を要求するため、Activate PDP context requestのメッセージが、移動体端末111からGGSN133に送信されると、GGSN133により、移動体端末111のIPアドレス(例えば、10.1.0.1)が払い出され、移動体端末111に通知される。また、フェムトセル基地局112とフェムトセルGW131を介して移動体端末111とGGSN133との間に、移動体端末111の通信用に、通信セッションが確立される。
【0008】
ここで、移動体端末111から、公式サイト(http://www.official.com/)へのアクセスがDNSサーバー132に要求されると、移動体端末111に割当てられた通信セッションを利用し、移動体通信網のDNSサーバー132は、名前解決によって得られた公式サイトのIPアドレス(20.2.0.1)を移動体端末111に通知する。
これにより、移動体端末111から送信されたメッセージは、移動体端末111に割当てられた通信セッションを利用して、フェムトセル基地局112を介して固定ブロードバンド網120に転送されるとともに、フェムトセルGW131を介してコアネットワーク130に転送される。さらに、このメッセージは、GGSN133を介してインターネット140上の公式サイトを提供するサーバーに転送される。これにより、移動体端末111は、公式サイトを提供するサーバーと接続され、公式サイトにアクセスすることができる。
【0009】
一方、移動体端末111から、勝手サイト(http://www.unofficial.com/)へのアクセスがDNSサーバー132に要求されると、DNSサーバー132は、名前解決によって得られた勝手サイトのIPアドレス(234.20.2.133)を移動体端末111に通知する。
これにより、移動体端末111から送信されたメッセージは、公式サイトの場合と同様にして、フェムトセル基地局112を介して、移動体端末111に割当てられた通信セッションを利用して、固定ブロードバンド網120に転送されるとともに、フェムトセルGW131を介してコアネットワーク130に転送される。さらに、このメッセージは、GGSN133を介してインターネット140上の勝手サイトを提供するサーバーに転送される。これにより、移動体端末111は、勝手サイトを提供するサーバーと接続され、勝手サイトにアクセスすることができる。
【0010】
このように、この通信制御システムによると、移動体端末111から送信されるメッセージは、公式サイトへのアクセスであっても、勝手サイトへのアクセスであっても、固定ブロードバンド網120およびコアネットワーク130を介して、インターネット140における各サーバーに送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−21966号公報
【特許文献2】特開2009−504048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、移動体端末111の普及や高度化により、移動体端末111とインターネット140との間で通信されるファイルサイズが大容量化するにつれて、コアネットワーク30における通信負荷が増大する問題がある。
【0013】
本発明は、このような事情を考慮し、上記の問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、移動体端末とインターネットとの間の通信において移動体通信システムのコアネットワークにおける通信負荷を低減させる通信制御システムおよび通信制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記問題を解決するために、本発明に係る通信制御システムは、移動体端末と、通信エリアにある前記移動体端末に接続される基地局と、第1のネットワークを介して前記基地局に接続される第1のサーバーと、前記第1のネットワークと異なる第2のネットワークを介して前記基地局に接続される第2のサーバーとを備える通信制御システムであって、前記基地局は、前記第1のネットワークに接続されている第1のインターフェースに対して前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第1のIPアドレスを対応づけるとともに、前記第2のネットワークに接続されている第2のインターフェースに対して前記第2のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第2のIPアドレスを対応づけるルーティングテーブルを備え、前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第1のインターフェースに接続されている第1のネットワークを介して、当該メッセージを前記第1のサーバーに転送するとともに、前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第2のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、当該メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る通信制御システムは、前記基地局が、前記第2のIPアドレスとして、デフォルトルートを前記第2のインターフェースに対応付ける前記ルーティングテーブルを備え、前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれない場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、前記メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明に係る通信制御システムは、前記ルーティングテーブルが、前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わすIPアドレスが複数ある場合、当該複数のIPアドレスの数よりも少ない数に前記複数のIPアドレスを集約するIPアドレスグループを前記第1のIPアドレスとして、前記第1のインターフェースに対応付けており、前記IPアドレスグループに含まれる複数のIPアドレスに対して前記第1のサーバーが提供する第1のウェブサイトのドメイン名をそれぞれ対応付ける情報を参照して、前記第1のインターフェースを介して前記基地局から受信したメッセージに基づき、前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスを前記移動体端末に送信するDNSサーバーと、前記IPアドレスグループに含まれる複数のIPアドレスに対して複数の前記第1のサーバーの個々を表わす複数の第3のIPアドレスをそれぞれ対応付ける情報を参照して、前記第1のインターフェースを介して前記基地局から受信したメッセージに含まれる送信先のIPアドレスを前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスから前記第3のIPアドレスに変換するとともに、前記第1のサーバーから受信したメッセージに含まれる送信元のIPアドレスを前記第3のIPアドレスから前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスに変換する第3のサーバーとをさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、上記問題を解決するために、本発明に係る通信制御方法は、移動体端末と、通信エリアにある前記移動体端末と接続される基地局と、第1のネットワークを介して前記基地局と接続される第1のサーバーと、前記第1のネットワークと異なる第2のネットワークを介して前記基地局と接続される第2のサーバーとを備える通信制御システムにおける通信制御方法であって、前記基地局が、前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれる場合、前記第1のネットワークに接続されている第1のインターフェースに対して前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第1のIPアドレスを対応づけるとともに、前記第2のネットワークに接続されている第2のインターフェースに対して前記第2のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第2のIPアドレスを対応づけるルーティングテーブルに基づき、前記第1のインターフェースに接続されている第1のネットワークを介して、当該メッセージを前記第1のサーバーに転送し、前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第2のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、当該メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、移動体端末とインターネット間の通信において、移動体通信システムのコアネットワークにおける通信負荷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るフェムトセル基地局の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式1について説明する概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式2について説明する概略図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式1におけるIP通信の処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式2におけるIP通信の処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式2において利用されるデータの構成を説明するための参考図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式1における公式サイトへのアクセスを説明するためのシーケンス図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式1における勝手サイトへのアクセスを説明するためのシーケンス図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式2における公式サイトへのアクセスを説明するためのシーケンス図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式2における勝手サイトへのアクセスを説明するためのシーケンス図である。
【図12】従来例を説明するための概略図である。
【図13】従来例のフローについて説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本実施形態に係る通信制御システムの一例を説明するブロック図である。
図1に示す通り、本実施形態に係る通信制御システムは、加入者網10と、固定ブロードバンド網20と、移動体通信システムにおけるコアネットワーク30と、インターネット40とを含む。
【0021】
加入者網10は、フェムトセル基地局12を介して移動体端末11と通信を行う加入者側のネットワークであって、例えば、移動体端末11と、フェムトセル基地局12と、加入者網終端装置13とを含む。
【0022】
移動体端末11は、フェムトセル基地局12と無線通信を行い、このフェムトセル基地局12を介して固定ブロードバンド網20と接続される加入者側の通信端末である。この移動体端末11は、コアネットワーク30を介して端末間でも無線通信を行い、電話通信を確立することができる。ここでは、フェムトセル基地局12を利用して固定ブロードバンド網20を介してインターネット40と接続する移動体端末11について以下説明する。
【0023】
また、移動体端末11は、フェムトセル基地局12に対してIP通信を要求することにより、インターネット40への接続に必要なIPアドレス(以下、IPアドレスAという)が、固定ブロードバンド網20における装置(例えば、ゲートウェイ)によって払い出される。ここでは、IPアドレスAとして、コアネットワーク30上において利用できる移動体端末11のIPアドレスをいうが、本発明はこれに限られず、コアネットワーク30およびインターネット40の両方において利用できるIPアドレスであってもよい。
この移動体端末11は、自身が内部に備える記憶部にIPアドレスAを記憶する。
【0024】
フェムトセル基地局12は、半径数十m程度の極めて小さい通信エリアにある通信端末と無線接続する基地局であって、例えば、通信エリア内にある移動体端末11とインターネット40との通信を、加入者網終端装置13を介して接続する。
このフェムトセル基地局12は、ルーティングテーブルを備え、このルーティングテーブルを参照して、移動体端末11からのアクセスに基づき、インターネット40上にある公式サイトへアクセスするか、あるいは、インターネット40上にある非公式サイト(以下、勝手サイトという)へアクセスするかを判断する。この判断結果に基づき、フェムトセル基地局12は、コアネットワーク30を経由して加入者網終端装置13に公式サイトへのメッセージを転送し、あるいは、固定ブロードバンド網20を経由して加入者網終端装置13に勝手サイトへのメッセージを転送する。
【0025】
このルーティングテーブルは、以下に説明する方式1において、インターネット40上で利用できる公式サイトの実際のIPアドレス(例えば、20.2.0.1、20.2.0.2・・・)を第1のIPアドレスX1として第1のインターフェース131(例えば、eth1)に対応づけるとともに、デフォルトルート(図に示す0.0.0.0)を第2のIPアドレスX2として第2のインターフェース132(例えば、eth0)に対応づける。なお、実際のIPアドレスとは、インターネット40上において利用できるIPアドレスのことをいう。
【0026】
また、このルーティングテーブルは、以下に説明する方式2において、複数のIPアドレスを集約するIPアドレスのグループ(以下、IPアドレスXAという)を第1のIPアドレスX1として第1のインターフェース131に対応付ける。
この集約されたIPアドレスXAとは、インターネット40に含まれるサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わすIPアドレスが複数ある場合、この複数のIPアドレスの数よりも少ない数に、この複数のIPアドレスを集約するIPアドレスグループのことをいう。
【0027】
具体的に説明すると、インターネット40に含まれる複数のサーバーにそれぞれ割り当てられている複数のIPアドレス(以下、IPアドレスDという)(例えば、20.2.0.1、20.2.0.2・・・)がある場合、集約されたIPアドレスXAは、これら複数のIPアドレス(20.2.0.1、20.2.0.2・・・)のそれぞれに対応しており、コアネットワーク30上において利用できる複数のIPアドレス(以下、IPアドレスCという)(例えば、10.2.0.1、10.2.0.2・・・)を含む。この複数のIPアドレスC(10.2.0.1、10.2.0.2・・・)は、例えば、1行で表わされるIPアドレスXA(例えば、10.2.0.1/16)に集約されている。
【0028】
また、フェムトセル基地局12は、NAT( Network Address Translation )テーブルを備え、このNATテーブルを参照して、コアネットワーク30において利用できる移動体端末11のIPアドレスAを、固定ブロードバンド網20において利用できる移動体端末11のIPアドレス(以下、IPアドレスBという)に変換する。
この、NATテーブルは、コアネットワーク30において利用できる移動体端末11のIPアドレスA(10.1.0.1)に、固定ブロードバンド網20において利用できる移動体端末11のIPアドレスB(例えば、192.168.1.11)を対応付ける。
【0029】
加入者網終端装置13は、例えばBBR( broad band router )等の加入者側に設置されるホームゲートウェイであって、固定ブロードバンド網20およびコアネットワーク30を介してインターネット40上における公式サイトと移動体端末11とを接続する第1のインターフェース131と、固定ブロードバンド網20を介してインターネット40上における勝手サイトと移動体端末11とを接続する第2のインターフェース132とを備える。
【0030】
固定ブロードバンド網20は、例えば固定電話会社が提供するブロードバンド網であって、インターネット40上でサイトを提供するサーバーと加入者網終端装置13とを接続するネットワークである。この固定ブロードバンド網20は、加入者網終端装置13の第1のインターフェース131とコアネットワーク30とを接続するとともに、加入者網終端装置13の第2のインターフェース132とインターネット40とを接続する。
【0031】
コアネットワーク30は、例えば携帯電話会社が提供するネットワークであって、インターネット40上でサイトを提供するサーバーと加入者網終端装置13とを接続するネットワークである。このコアネットワーク30は、固定網間ゲートウェイ31と、DNS( Domain Name System )サーバー32と、外部IP網間ゲートウェイ33とを含む。
【0032】
また、コアネットワーク30は、例えば、公式サイトにアクセスするユーザのユーザ認証を行うユーザ認証処理や、公式サイトにアクセスするユーザへの課金処理を行う。
【0033】
このユーザ認証処理とは、例えば、コアネットワーク30の外部IP網間ゲートウェイ33によって、公式サイトにアクセス可能なユーザ(例えば、移動体端末11)からのアクセスであることを認証する処理をいう。具体的には、外部IP網間ゲートウェイ33が、予め公式サイトのサーバーに登録されている移動体端末11からのアクセスであるか否かを判断し、あるいは、当該登録されている移動体端末11からのアクセスが公式サイトによって受け付け可能とされる有効なユーザの移動体端末11からのアクセスであるか否かを判断する。この判断結果において、公式サイトにアクセス可能な移動体端末11からのアクセスであることを判断した場合、外部IP網間ゲートウェイ33は、当該移動体端末11を認証し、当該移動体端末11から受信したメッセージを公式サイトを提供するサーバーに転送する。
【0034】
また、課金処理とは、例えば、有料の公式サイトへの移動体端末11からのアクセスに対して、コアネットワーク30の外部IP網間ゲートウェイ33が、料金の支払いを受け付ける処理をいう。具体的には、外部IP網間ゲートウェイ33が、当該移動体端末11からのアクセスが公式サイトに課金される料金の支払いが可能なユーザからのアクセスであるか否かを判断する。この判断結果において、当該移動体端末11からのアクセスが公式サイトに課金される料金の支払いが可能なユーザからのアクセスであることが判断された場合、外部IP網間ゲートウェイ33は、当該ユーザからの料金の支払いを受け付ける処理を行い、当該移動体端末11から受信したメッセージを公式サイトを提供するサーバーに転送する。
【0035】
固定網間ゲートウェイ31は、例えば、フェムトセルGWであって、加入者網終端装置13とDNSサーバー32とを接続するゲートウェイである。
【0036】
DNSサーバー32は、ドメイン名にIPアドレスを対応づける情報を参照して名前解決する機能を有し、ドメイン名として、例えばインターネット40上にあるサイトのURL( Uniform Resource Locator )を、移動体端末11から受信した場合、このサイトのURLに対応付けられているIPアドレスを移動体端末11に送信する。
ここで、以下に説明する方式1の場合、DNSサーバー32は、インターネット40上において利用できる実際のIPアドレスD(例えば、20.2.0.1)とドメイン名(例えば、www.official.com)とを対応付けた情報を備え、この情報を参照することによって、IPアドレスDを移動体端末11に送信する。
一方、以下に説明する方式2の場合、DNSサーバー32は、コアネットワーク30上において利用できるIPアドレスC(例えば、10.2.0.1)とドメイン名(例えば、www.unofficial.com)とを対応付けた情報を備え、この情報を参照することによって、IPアドレスCを移動体端末11に送信する。
【0037】
外部IP網間ゲートウェイ33は、例えば、GGSN( Gateway GPRS Support Node )等であって、インターネット40上のサイトを提供するサーバーとDNSサーバー32とを接続するゲートウェイである。
【0038】
また、以下に説明する方式2において、この外部IP網間ゲートウェイ33は、IPアドレスXAで集約されているコアネットワーク30上のIPアドレスC(例えば、10.2.0.1、10.2.0.2・・・)に、インターネット40上のIPアドレスD(例えば、20.2.0.1、20.2.0.2・・・)を対応づけるNATテーブルを備える。
方式2において、外部IP網間ゲートウェイ33は、このNATテーブルを参照して、移動体端末11から受信したメッセージの送信先IPアドレスを、IPアドレスCからIPアドレスDに変換して、インターネット40上のサーバーに転送する。また、外部IP網間ゲートウェイ33は、インターネット40上のサーバーから受信したメッセージの送信元IPアドレスを、IPアドレスDからIPアドレスCに変換して、移動体端末11に転送する。
【0039】
また、外部IP網間ゲートウェイ33は、自身に対して予め割り振られているインターネット40において利用できるIPアドレス(以下、IPアドレスEという)(例えば、50.1.0.1)を、自身が内部に備える記憶部に記憶している。
この外部IP網間ゲートウェイ33は、移動体端末11からメッセージを受信すると、このメッセージの送信元IPアドレスとして記述されているIPアドレスA(10.1.0.1)を自身が内部に備える記憶部に一次的に保存しておき、このコアネットワーク30上において利用できるIPアドレスAに、インターネット40上において利用できるIPアドレスEを対応づけるNATテーブルを作成する。
【0040】
具体的に説明すると、外部IP網間ゲートウェイ33は、移動体端末11とインターネット40との通信において、このNATテーブルを参照し、移動体端末11から受信したメッセージの送信元IPアドレスを、IPアドレスAからIPアドレスEに変換して、インターネット40上のサーバーに転送する。また、外部IP網間ゲートウェイ33は、インターネット40上のサーバーから受信したメッセージの送信先IPアドレスを、IPアドレスEからIPアドレスAに変換して、移動体端末11に転送する。
なお、移動体端末11に対して、コアネットワーク30およびインターネット40の双方において利用できるIPアドレスAが割り当てられている場合、外部IP網間ゲートウェイ33は、このNATテーブルを参照して変換することなく、IPアドレスAを用いてメッセージの転送をすることができる。
【0041】
インターネット40は、例えば、インターネット40上で公式サイトを提供する第1のサーバー41と、インターネット40上で勝手サイトを提供する第2のサーバー42とを含む。
【0042】
第1のサーバー41は、公式サイトのウェブページの情報(例えば、IPアドレスやport番号あるいはウェブページの画像データ)を記憶する記憶部を備え、公式サイトのURLにアクセスする移動体端末11に対して、公式サイトのウェブページの情報を送信する。
この公式サイトには、例えば、当該ウェブサイトのURL(例えば、http://www.official.com/)が予め決められており、このURLにはインターネット40上で利用可能なIPアドレス(例えば、20.2.0.1)が割り当てられているものとする。
【0043】
第2のサーバー42は、勝手サイトのウェブページの情報(例えば、IPアドレスやport番号あるいはウェブページの画像データ)を記憶する記憶部を備え、勝手サイトのURLにアクセスする移動体端末11に対して、勝手サイトのウェブページの情報を送信する。
この勝手サイトには、例えば、当該ウェブサイトのURL(例えば、http://www.unofficial.com/)が予め決められており、このURLにはインターネット40上で利用可能なIPアドレス(例えば、234.20.2.133)が割り当てられている。
【0044】
次に、図2を参照して、フェムトセル基地局12の構成についてより詳細に説明する。図2は、フェムトセル基地局12の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す通り、フェムトセル基地局12は、無線部121と、一次記憶部122と、記憶部123と、制御部124と、通信モジュール125とを含む。
【0045】
無線部121は、移動体端末11と無線通信し、移動体端末11からメッセージを受信する。
一次記憶部122は、例えば、移動体端末11から受信したメッセージを一次的に記憶する。
記憶部123は、ルーティングテーブルとNATテーブルとを記憶する。
【0046】
制御部124は、フェムトセル基地局12を統括的に制御し、例えば、移動体端末11から受信したメッセージのルーティングを行う。この制御部124は、記憶部123に記憶されているルーティングテーブルを参照して、移動体端末11から受信したメッセージを第1のインターフェース131に転送するか、あるいは、第2のインターフェース132に転送するか否かを判断するとともに、この判断結果に基づき受信したメッセージのルーティングを行う。
【0047】
通信モジュール125は、制御部124から出力されたメッセージをIP通信で加入者網終端装置13に送信し、制御部124のルーティングに基づき、加入者網終端装置13の第1のインターフェース131あるいは第2のインターフェース132にメッセージを転送する。
【0048】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る通信制御システムにおける方式1について説明する。
図3に示す通り、方式1では、フェムトセル基地局12が、ルーティングテーブルを参照して、公式サイトに対してアクセスを要求する移動体端末11と第1のサーバー41と間の通信をコアネットワーク30を介して接続するとともに、勝手サイトに対してアクセスを要求する移動体端末11と第2のサーバー42と間の通信をコアネットワーク30を介さず固定ブロードバンド網20を介して接続するものである。
【0049】
これにより、勝手サイトに対するアクセスにおいては、コアネットワーク30を介さずに、固定ブロードバンド網20を介した移動体端末11と第2のサーバー42との通信を確立することができ、勝手サイトに対するアクセスの分のコアネットワーク30におけるトラフィックを低減させることができる。よって、コアネットワーク30における通信負荷を低減させることができる。
【0050】
一方、方式1と異なる方式2について、図4を参照して説明する。
図4に示す通り、方式2では、方式1が備える構成に加えて、フェムトセル基地局12が備えるルーティングテーブルにおいて、第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1として、集約されているIPアドレスXA(20.2.0.0/16)を第1のインターフェース131に対応付けるものである。
【0051】
具体的に説明すると、方式2において、フェムトセル基地局12に搭載されるルーティングテーブルは、図5(a)に示す通り、送信先のIPアドレスに転送インターフェースを対応付ける。例えば、このルーティングテーブルは、送信先のIPアドレスであるデフォルトルート(図に示す、0.0.0.0)に、転送インターフェースである第2のインターフェース132(eth0)を対応付ける。また、このルーティングテーブルは、送信先のIPアドレスCを集約したIPアドレスXA(10.2.0.0/16)に、転送インターフェースである第1のインターフェース131(eth1)を対応付ける。
【0052】
なお、このルーティングテーブルは、フェムトセル基地局12の出荷時や製造時、あるいは初期設定時において、手動でフェムトセル基地局12の記憶部123に記憶されるものであってもよい。また、初回の起動時において、制御部124が自動で固定ブロードバンド網20の固定網間ゲートウェイ31あるいは外部IP網間ゲートウェイ33にアクセスして、このルーティングテーブルを取得する構成であってもよい。また、フェムトセル基地局12は、ルーティングテーブルが変更された場合も同様にして変更後のルーティングテーブルを取得することができる。
【0053】
また、方式2において、外部IP網間ゲートウェイ33に、この集約されたIPアドレスXA(20.2.0.0/16)に含まれるIPアドレスCに、インターネット40上で利用可能なIPアドレスDを対応付けるNATテーブルを実装するものである。
具体的に説明すると、この外部IP網間ゲートウェイ33に搭載されるNATテーブルは、例えば、図5(b)に示す通り、NATされた公式サイトのIPアドレス(ここでは、IPアドレスC)と、NATされた公式サイトのport番号と、実際の公式サイトのIPアドレス(ここでは、IPアドレスD)と、実際の公式サイトのport番号とを、それぞれ対応付ける。
【0054】
上述の通り、方式2では、複数のIPアドレスC(例えば、10.2.0.1、10.2.0.2・・・)を、これら複数のIPアドレスCの数よりも少ない数(例えば、1つ)のIPアドレスXA(例えば、10.2.0.1/16)に集約しており、この集約されたIPアドレスXAを、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルに設定する。これにより、ルーティングテーブルが保持する情報量を低減させることができる。
よって、サービス性(低遅延)と運用性(更新・設定変更)を確保しつつ、コアネットワーク30のトラヒックを低減することができる。
【0055】
また、方式1および2において、フェムトセル基地局12に搭載されるNATテーブルは、例えば、図5(c)に示す通り、インターネット40上で利用できる実際の送信元IPアドレス(ここでは、移動体端末11のIPアドレスA)と、インターネット40上で利用できる実際の送信元のport番号と、インターネット40上で利用できる実際の送信先のIPアドレス(ここでは、実際の勝手サイトのIPアドレス)と、インターネット40上で利用できる送信先のport番号と、固定ブロードバンド網20で利用できるNAT IPアドレス(ここでは、IPアドレスB)と、固定ブロードバンド網20で利用できるNAT port番号とを、それぞれ対応付ける。
なお、このIPアドレスBは、フェムトセル基地局12が起動した際に、加入者網終端装置13が固定ブロードバンド網20を介して第2のサーバー42と通信することによりフェムトセル基地局12に払い出される。
【0056】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る通信制御システムの方式1における処理フローの一例について説明する。図6は、本実施形態に係る通信制御システムの方式1におけるIP通信の処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。
図6に示す通り、移動体端末11からIP通信の開始を要求するメッセージがフェムトセル基地局12に送信されると、フェムトセル基地局12は、固定ブロードバンド網20を介してコアネットワーク30における装置とIP通信を開始する(ステップST1)。これにより、例えば、移動体端末11とコアネットワーク30における装置との間の無線通信による仮想的コネクション(無線ベアラ)が確立される。
【0057】
このとき、移動体端末11は、インターネット40に対するアクセスに必要な設定情報(例えば、IPアドレス)の取得を要求するメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する。この外部IP網間ゲートウェイ33は、移動体端末11がインターネット40上で利用できるIPアドレスAを払い出し、移動体端末11に送信する。
【0058】
次いで、移動体端末11からアクセス先の名前解決を要求するメッセージがフェムトセル基地局12を介してDNSサーバー32に転送される。そして、DNSサーバー32は、このメッセージを受信して、メッセージに含まれるURLの名前解決を行い、このURLに対応するIPアドレスを移動体端末11に送信する(ステップST2)。
【0059】
つまり、方式1では、DNSサーバー32が、名前解決により、当該URLのサイトに対して割り当てられている実際のIPアドレスD(例えば、20.2.0.1)を得て、固定網間ゲートウェイ31を介して移動体端末11に送信する。
【0060】
そして、移動体端末11は、固定ブロードバンド網20の固定網間ゲートウェイ31から受信したIPアドレスD(20.2.0.1)に対するアクセスを要求するメッセージをフェムトセル基地局12に送信する。
このフェムトセル基地局12は、受信したメッセージに含まれる送信先のIPアドレスD(20.2.0.1)に基づき、記憶部123内のルーティングテーブルを参照して、第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1(例えば、20.2.0.1、20.2.0.2・・・)に、送信先のIPアドレスD(20.2.0.1)と一致するIPアドレスが含まれているか否かを判断する(ステップST3)。
【0061】
ここで、送信先のIPアドレスD(20.2.0.1)が、ルーティングテーブルに記述されている第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスと一致する場合、フェムトセル基地局12の制御部124は、加入者網終端装置13に対して、第1のIPアドレスX1に対応付けられている第1のインターフェース131を介して、移動体端末11から受信したメッセージをコアネットワーク30に向けて転送させる(ステップST4)。
【0062】
この加入者網終端装置13は、フェムトセル基地局12から受信したメッセージを、第1のインターフェース131から送出し、コアネットワーク30を介して第1のサーバー41に転送する。
これにより、移動体端末11は、IPアドレスD(20.2.0.1)で特定される公式サイトを提供する第1のサーバー41とIP通信を行う(ステップST5)。
【0063】
一方、ステップST3において、送信先IPアドレス(例えば、234.20.2.133)が、ルーティングテーブルに記述されている第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスと一致しない場合、フェムトセル基地局12の制御部124は、加入者網終端装置13に対して、第2のIPアドレスX2(デフォルトルート)に対応付けられている第2のインターフェース132を介して、移動体端末11から受信したメッセージを固定ブロードバンド網20に向けて転送させる(ステップST6)。
【0064】
なお、フェムトセル基地局12の制御部124は、加入者網終端装置13に対して第2のインターフェース132を介して固定ブロードバンド網20にメッセージを送信させる際、記憶部123に記憶されているNATテーブルを参照して、メッセージに含まれる送信元IPアドレスを、移動体端末11のIPアドレスA(10.1.0.1)から固定ブロードバンド網20において利用できるIPアドレスB(192.168.1.11)に変換する(ステップST7)。
【0065】
そして、フェムトセル基地局12は、加入者網終端装置13に対して、デフォルトルートに対応付けられている第2のインターフェース132を介して、移動体端末11から受信したメッセージを固定網間ゲートウェイ31に転送させる。この固定網間ゲートウェイ31は、受信したメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に転送し、外部IP網間ゲートウェイ33が、メッセージに含まれているIPアドレス(234.20.2.133)で特定される勝手サイトの第2のサーバー42とIP通信を行う(ステップST8)。
【0066】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る通信制御システムの方式2における処理フローの一例について説明する。図7は、本実施形態に係る通信制御システムの方式2におけるIP通信の処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。
なお、図6に示す処理と同様の処理については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0067】
図7に示す通り、フェムトセル基地局12によって、固定ブロードバンド網20を介してコアネットワーク30における装置とIP通信が開始されると(ステップST1)、移動体端末11からアクセス先の名前解決を要求するメッセージがフェムトセル基地局12を介してDNSサーバー32に送信される。
DNSサーバー32は、このメッセージを受信して、メッセージに含まれるURLの名前解決を行い、当該URLのサイトに対して割り当てられているコアネットワーク30上で利用できるIPアドレスC(例えば、10.2.0.1)を得て、固定網間ゲートウェイ31を介して移動体端末11に送信する。
【0068】
そして、IPアドレスC(10.2.0.1)に対してアクセスを要求するメッセージを移動体端末11から受信すると、フェムトセル基地局12は、このIPアドレスC(10.2.0.1)に基づき、記憶部123内のルーティングテーブルを参照して、第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に集約されているIPアドレスと、送信先のIPアドレスC(10.2.0.1)とが一致するか否かを判断する(ステップST3)。言い換えると、フェムトセル基地局12は、IPアドレスC(10.2.0.1)が第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に含まれているか否かを判断する。
【0069】
ここで、送信先のIPアドレスC(10.2.0.1)が、ルーティングテーブルにおいて第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に含まれているIPアドレスに一致する場合、フェムトセル基地局12の制御部124は、加入者網終端装置13に対して、第1のIPアドレスX1に対応付けられている第1のインターフェース131を介して、移動体端末11から受信したメッセージをコアネットワーク30に向けて転送させる(ステップST4)。
【0070】
そして、加入者網終端装置13が、フェムトセル基地局12から受信したメッセージを、第1のインターフェース131から送出し、コアネットワーク30を介して第1のサーバー41に転送する。
【0071】
具体的に説明すると、加入者網終端装置13の第1のインターフェース131から送出されたメッセージが、固定ブロードバンド網20を介してコアネットワーク30の固定網間ゲートウェイ31に転送される。この固定網間ゲートウェイ31は、受信したメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に転送する。
次いで、外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、移動体端末11から送信されたメッセージに含まれる送信先IPアドレスC(10.2.0.1)を、当該URLのサイトに対して割り当てられている実際のIPアドレスD(例えば、20.2.0.1)に変換する(ステップST9)。
【0072】
これにより、移動体端末11は、書き換えられたIPアドレスD(20.2.0.1)で特定される公式サイトを提供する第1のサーバー41とIP通信を行う(ステップST5)。
【0073】
一方、ステップST3において、送信先IPアドレス(234.20.2.133)が、ルーティングテーブルに記述されている第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に集約されているIPアドレスに一致しない場合、図6に示したステップ6〜8と同様の処理を行う。
【0074】
次に、図8を参照して、図4を用いて上述した方式1における公式サイトへのアクセスのシーケンスの一例について説明する。図8は、方式1における公式サイトへのアクセスのシーケンス図である。なお、ここでは、移動体端末11とコアネットワーク30との無線ベアラは既に確立しているものとして、以下説明する。
【0075】
図8に示す通り、移動体端末11からActive PDP Context requestのメッセージがフェムトセル基地局12に送信されると、フェムトセル基地局12は、加入者網終端装置13を介して、外部IP網間ゲートウェイ33にこのメッセージを転送する(ステップST11)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、当該移動体端末11に対してインターネット40で利用可能なIPアドレスA(例えば、10.1.0.1)を割り振り、Active PDP Context Accept(PDP Address=10.1.0.1)のメッセージを移動体端末11に送信する(ステップST12)。
【0076】
この移動体端末11は、外部IP網間ゲートウェイ33からIPアドレスA(10.1.0.1)を含むメッセージを受信すると、自身に割り振られたIPアドレスA(10.1.0.1)を自身の内部に備える記憶部に記憶させる。
【0077】
ここで、移動体端末11の操作部等を介して、指定されたURL(例えば、http://www.official.com/)で特定される公式サイトへのアクセスがユーザから要求されると、移動体端末11は、IPアドレスA(10.1.0.1)を送信元のIPアドレスとして、DNSサーバー32に対して予め割り振られているIPアドレス(例えば、10.0.2.10)を送信先のIPアドレスとして含むDNS( Standard query A www.official.com )のメッセージを、フェムトセル基地局12に送信する。このフェムトセル基地局12は、受信したメッセージを、加入者網終端装置13を介して、DNSサーバー32に転送する(ステップST13)。
【0078】
DNSサーバー32は、移動体端末11からメッセージを受信すると、名前解決機能を実行し、公式サイトのURL(http://www.official.com/)に対応付けられている実際のIPアドレスD(例えば、20.2.0.1)を得て、DNS( Standard query responce A 20.2.0.1 )のメッセージを、加入者網終端装置13およびフェムトセル基地局12を介して、移動体端末11に送信する(ステップST14)。
【0079】
これにより、移動体端末11は、自身に割り振られたIPアドレスA(10.1.0.1)を送信元IPアドレスとして、DNSサーバー32によって名前解決された実際のIPアドレスD(20.2.0.1)を送信先IPアドレスとして含むTCP[SYN]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST15)。
【0080】
このフェムトセル基地局12は、ルーティングテーブルを参照して、受信したメッセージに含まれる送信先IPアドレス(20.2.0.1)が、第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスに一致するか否かを判断する(ステップST16)。ここで、ルーティングテーブルには、第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスとして、IPアドレス(20.2.0.1)が予め記述されている。
従って、送信先IPアドレス(20.2.0.1)が、第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスに一致するため、フェムトセル基地局12は、受信したメッセージに送信先IPアドレス(20.2.0.1)を記述して、加入者網終端装置13の第1のインターフェース131から、固定ブロードバンド網20を介して第1のサーバー41に送信させる(ステップST17)。
【0081】
この第1のサーバー41は、受信したメッセージに基づき、TCP[SYN、ACK]のメッセージを移動体端末11に送信する(ステップST18)。
次いで、移動体端末11は、TCP[ACK]のメッセージを第1のサーバー41に送信するとともに(ステップST19)、GET/HTTP/1.1のメッセージを第1のサーバー41に送信する(ステップST20)。この第1のサーバー41は、TCPのメッセージを移動体端末11に送信するとともに(ステップST21)、HTTP 200 OKのメッセージを移動体端末11に送信する(ステップST22)。
【0082】
これにより、移動体端末11は、インターネット40上において第1のサーバー41が提供する公式サイト(IPアドレス:20.2.0.1)に対して接続される。
【0083】
次に、図9を参照して、方式1における勝手サイトへのアクセスのシーケンスの一例について説明する。図9は、方式1における勝手サイトへのアクセスのシーケンス図である。なお、ここでは、移動体端末11とコアネットワーク30との無線ベアラは既に確立しているものとして、以下説明する。また、図8において説明した処理と同様の処理については、詳細な説明を省略する。
【0084】
図9に示す通り、移動体端末11からActive PDP Context requestのメッセージが、外部IP網間ゲートウェイ33に送信されると(ステップST31)、Active PDP Context Accept(PDP Address=10.1.0.1)のメッセージが、外部IP網間ゲートウェイ33から移動体端末11に送信される(ステップST32)。
【0085】
ここで、移動体端末11の操作部等を介して、指定されたURL(例えば、http://www.unofficial.com/)で特定される勝手サイトへのアクセスがユーザから要求されると、移動体端末11は、自身に割り振られたIPアドレスA(10.1.0.1)を送信元IPアドレスとして、DNSサーバー32に対して予め割り振られたIPアドレス(10.0.2.10)を送信先IPアドレスとして含むDNS( Standard query A www.unofficial.com )のメッセージを、フェムトセル基地局12および加入者網終端装置13を介して、DNSサーバー32に送信する(ステップST33)。
【0086】
DNSサーバー32は、移動体端末11からメッセージを受信すると、名前解決機能を実行し、勝手サイトのURL(http://www.unofficial.com/)に対応付けられている実際のIPアドレス(234.20.2.133)を得て、DNS( Standard query responce A 234.20.2.133 )のメッセージを、移動体端末11に送信する(ステップST34)。
【0087】
これにより、移動体端末11は、自身に割り振られたIPアドレスA(10.1.0.1)を送信元IPアドレスとして、DNSサーバー32によって名前解決された実際のIPアドレス(234.20.2.133)を送信先IPアドレスとして含むTCP[SYN]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST35)。
【0088】
このフェムトセル基地局12は、ルーティングテーブルを参照して、受信したメッセージに含まれる送信先IPアドレス(234.20.2.133)が、第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスと一致するか否かを判断する(ステップST36)。ここで、ルーティングテーブルには、第1のIPアドレスX1として、IPアドレス(20.2.0.1、20.2.0.2・・・)が予め記述されている。
つまり、送信先IPアドレス(234.20.2.133)は、第1のIPアドレスX1(20.2.0.1、20.2.0.2・・・)に含まれるIPアドレスと一致しないため、フェムトセル基地局12は、送信元IPアドレスA(10.1.0.1)(つまり、コアネットワーク30で利用可能なIPアドレス)を、送信元IPアドレスB(192.168.1.11)(つまり、固定ブロードバンド網20で利用可能なIPアドレス)に変換する(ステップST37)。このIPアドレスB(192.168.1.11)は、固定ブロードバンド網20に含まれる加入者網終端装置13の配下で利用可能なIPアドレスである。
【0089】
そして、フェムトセル基地局12は、変換されたIPアドレスB(192.168.1.11)を送信元IPアドレスとして、DNSサーバー32によって名前解決された実際のIPアドレス(234.20.2.133)を送信先IPアドレスとして含むTCP[SYN]のメッセージを、加入者網終端装置13の第2のインターフェース132から、固定ブロードバンド網20を介して第2のサーバー42に転送させる(ステップST38)。
【0090】
この第2のサーバー42は、受信したメッセージに基づき、固定ブロードバンド網20を介して、TCP[SYN、ACK]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST39)。このフェムトセル基地局12は、TCP[SYN、ACK]のメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST40)。
【0091】
そして、移動体端末11は、TCP[ACK]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST41)。このフェムトセル基地局12は、固定ブロードバンド網20を介して、このTCP[ACK]のメッセージを第2のサーバー42に転送する(ステップST42)。
また、移動体端末11は、GET/HTTP/1.1のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST43)。このフェムトセル基地局12は、固定ブロードバンド網20を介して、このGET/HTTP/1.1のメッセージを第2のサーバー42に転送する(ステップST44)。
【0092】
この第1のサーバー41は、TCP[SYK、ACK]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST45)。このフェムトセル基地局12は、TCP[ACK]のメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST46)。
また、この第1のサーバー41は、HTTP 200 OKのメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST47)。このフェムトセル基地局12は、HTTP 200 OKのメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST48)。
【0093】
これにより、移動体端末11は、インターネット40上において第2のサーバー42が提供する勝手サイト(IPアドレス:234.20.2.133)と接続される。
【0094】
上述の通り、本実施形態に係る通信制御システムにおける方式1では、フェムトセル基地局12がルーティングテーブルを参照して、公式サイトに対してアクセスを要求する移動体端末11と第1のサーバー41と間の通信を、コアネットワーク30を介して接続するとともに、勝手サイトに対してアクセスを要求する移動体端末11と第2のサーバー42と間の通信を、コアネットワーク30を介さず固定ブロードバンド網20を介して接続するようにした。
これにより、勝手サイトに対するアクセスにおいては、コアネットワーク30を介さずに、固定ブロードバンド網20を介した移動体端末11と第2のサーバー42との通信を確立することができ、勝手サイトに対するアクセスの分のコアネットワーク30におけるトラフィックを低減させることができる。よって、コアネットワーク30における通信負荷を低減させることができる。
【0095】
また、コアネットワーク30における公式サイトへのアクセスに対しては、コアネットワーク30を介した通信を確立することができる。
これにより、ユーザ認証処理や課金処理のためにコアネットワーク30を経由した第1のサーバー41へのアクセスが必要な移動体端末11に対しては、コアネットワーク30を経由した通信を確立することができる。
【0096】
さらに、勝手サイトは、公式サイトに比べて、そのサイト数が膨大であるため、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルにおいて、勝手サイト向けの第2のインターフェース132に対してデフォルトルートを対応付けている。
これにより、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルが保持する情報量を低減させることができる。
【0097】
次に、図10を参照して、方式2における公式サイトへのアクセスのシーケンスの一例について説明する。図10は、方式2における公式サイトへのアクセスのシーケンス図である。なお、ここでは、移動体端末11とコアネットワーク30との無線ベアラは既に確立しているものとして、以下説明する。また、図8において説明した処理と同様の処理については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0098】
図10に示す通り、ステップST11〜13は、図8と同様である。
そして、ステップST54において、DNSサーバー32は、移動体端末11からDNS( Standard query A www.official.com )のメッセージを受信すると、名前解決機能を実行し、公式サイトのURL(http://www.official.com/)に対応付けられているIPアドレスC(10.2.0.1)を得る。
そして、DNSサーバー32は、DNS( Standard query responce A 10.2.0.1 )のメッセージを、移動体端末11に送信する(ステップST54)。
【0099】
これにより、移動体端末11は、自身に割り振られたIPアドレスA(10.1.0.1)を送信元IPアドレスとして、DNSサーバー32によって名前解決されたIPアドレスC(10.2.0.1)を送信先IPアドレスとして含むTCP[SYN]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST55)。
【0100】
このフェムトセル基地局12は、ルーティングテーブルを参照して、受信したメッセージに含まれる送信先IPアドレスC(10.2.0.1)が、第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に含まれるIPアドレスに一致するか否かを判断する(ステップST56)。ここで、ルーティングテーブルには、第1のIPアドレスX1として、IPアドレス(10.2.0.0/16)という集約されたアドレス空間が予め記述されている(図5(a)参照)。
従って、送信先IPアドレスC(10.2.0.1)は、第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に含まれるIPアドレスに一致するため、フェムトセル基地局12は、送信先IPアドレスC(10.2.0.1)を含むTPC[SYN]のメッセージを加入者網終端装置13の第1のインターフェース131から、コアネットワーク30内の外部IP網間ゲートウェイ33に転送する(ステップST57)。
【0101】
この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信先IPアドレスをIPアドレスC(10.2.0.1)からIPアドレスD(20.2.0.1)に変換し、このTCP[SYN]のメッセージを公式サイトの第1のサーバー41に転送する(ステップST58)。ここで、外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信元IPアドレスをIPアドレスA(10.1.0.1)からIPアドレスE(50.1.0.1)に変換している。以下、IPアドレスAからIPアドレスEへの変換についての説明は省略する。
【0102】
この第1のサーバー41は、このメッセージを受信すると、TCP[SYN,ACK]のメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する(ステップST59)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信元IPアドレスをIPアドレスD(20.2.0.1)からIPアドレスC(10.2.0.1)に変換し、このTCP[SYN,ACK]のメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST60)。
【0103】
この移動体端末11は、このメッセージを受信すると、TCP[ACK]のメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する(ステップST61)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信先IPアドレスをIPアドレスC(10.2.0.1)からIPアドレスD(20.2.0.1)に変換し、このTCP[ACK]のメッセージを公式サイトの第1のサーバー41に転送する(ステップST62)。
【0104】
次いで、移動体端末11は、GET/HTTP/1.1のメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する(ステップST63)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信先IPアドレスをIPアドレスC(10.2.0.1)からIPアドレスD(20.2.0.1)に変換し、このGET/HTTP/1.1のメッセージを公式サイトの第1のサーバー41に転送する(ステップST64)。
【0105】
この第1のサーバー41は、このメッセージを受信すると、TCP[ACK]のメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する(ステップST65)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信元IPアドレスをIPアドレスD(20.2.0.1)からIPアドレスC(10.2.0.1)に変換し、このTCPのメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST66)。
【0106】
次いで、第1のサーバー41が、HTTP 200 OKのメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する(ステップST67)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信元IPアドレスをIPアドレスD(20.2.0.1)からIPアドレスC(10.2.0.1)に変換し、このHTTP 200 OKのメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST68)。
【0107】
これにより、移動体端末11は、インターネット40上において第1のサーバー41が提供する公式サイト(IPアドレス:20.2.0.1)と接続される。
【0108】
次に、図11は、方式2における勝手サイトへのアクセスのシーケンスの一例について示すシーケンス図である。
図11に示す通り、ここに示す処理は、図9に示す処理と同様であるため、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0109】
上述の通り、本実施形態に係る通信制御システムにおける方式2では、方式1が備える構成に加えて、フェムトセル基地局12が備えるルーティングテーブルに、第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1として、集約されているIPアドレスXA(20.2.0.0/16)を第1のインターフェース131に対応付けるようにした。
また、外部IP網間ゲートウェイ33に、この集約されているIPアドレスXA(20.2.0.0/16)に含まれるIPアドレスCに、インターネット40上で利用できるIPアドレスDを対応付けるNATテーブルを実装させるようにした。さらに、DNSサーバー32に設定されるマッピングにおいて、このIPアドレスCを、ドメイン名に対応づけ、名前解決によってIPアドレスCを得るようにした。
これにより、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルが保持する情報量を低減させるとともに、サービス性(低遅延)と運用性(更新・設定変更)を確保しつつ、コアネットワーク30のトラヒックを低減することができる。
【0110】
また、勝手サイトよりはサイト数が少ない公式サイトであっても、数千から数万のサイト数が存在している。よって、例えば、公式サイトのIPアドレスが変更するたびに、変更後のIPアドレスを、各フェムトセル基地局12に送信し、ルーティングテーブルを書き換え(更新・設定変更)なければならない。しかし、集約されたIPアドレスXAを第1のIPアドレスX1として第1のインターフェース131に対応付けておくことにより、変更後のIPアドレスがこの集約されたIPアドレスXAに含まれるIPアドレスである場合、ルーティングテーブルの書き換え等の作業が不要となり、時間と労力を削減することができる。
【0111】
さらに、フェムトセル基地局12が、自宅内に設置される装置として安価に開発されたものである場合、メモリの容量が少なく、処理能力が低いCPU( Central Processing Unit )を搭載している場合がある。この場合、ルーティングテーブルから参照されるIPアドレスの数が少ないことにより、ルーティングの時間を短縮することができ、制御遅延を防止し、低遅延を要求するアプリケーションの動作に与える影響を軽減することができる。
つまり、サービス性(低遅延)と運用性(更新・設定変更)を確保しつつ、コアネットワーク30のトラヒックを低減することができる。
【0112】
また、勝手サイトは、公式サイトに比べて、そのサイト数が膨大であるため、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルにおいて、勝手サイト向けの第2のインターフェース132に対してデフォルトルートを対応付けるようにした。
これにより、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルが保持する情報量を低減させることができる。
【0113】
なお、本実施形態に係る通信制御システムにおける各構成は、上記実施形態に限られず、以下のような構成であってもよい。
例えば、フェムトセル基地局12におけるルーティングテーブルは、デフォルトルートとして公式サイトに対応するIPアドレスを備える構成であってもよく、この場合、勝手サイトの実際のIPアドレスを第1のインターフェース131と対応付けるものであってもよい。
また、デフォルトルートとして公式サイトを対応付ける場合、ルーティングテーブルにおいて、複数の勝手サイトの複数のIPアドレスを集約したIPアドレスに、第1のインターフェース131を対応付けるものであってもよい。
【0114】
さらに、フェムトセル基地局12におけるルーティングテーブルは、第1のインターフェース131および第2のインターフェース132に対して、デフォルトルートを対応付けないものであってもよく、インターネット40に向けて送信されるメッセージの送信先を表わす全てのIPアドレスが記述されているものであってもよい。
【0115】
この場合、フェムトセル基地局12は、このルーティングテーブルを参照して、移動体端末11から受信したメッセージに含まれる送信先のIPアドレスに基づき、第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1に、送信先のIPアドレスと一致するIPアドレスが含まれているか否かを判断するとともに、第2のインターフェース132に対応付けられている第2のIPアドレスX2に、送信先のIPアドレスと一致するIPアドレスが含まれているか否かを判断する。
そして、メッセージの送信先を表わすIPアドレスが第1のIPアドレスX1に含まれる場合、ルーティングテーブルに基づき、第1のインターフェース131に接続されているコアネットワーク30を介して、このメッセージを第1のサーバー41に転送する。
また、メッセージの送信先を表わすIPアドレスが第2のIPアドレスX2に含まれる場合、ルーティングテーブルに基づき、第2のインターフェース132に接続されている固定ブロードバンド網20を介して、このメッセージを第2のサーバー42に転送する。
【0116】
また、本実施形態に係る通信制御システムの説明に用いた用語について、以下簡単に説明する。
【0117】
フェムトセル基地局とは、移動体通信システムにおいて端末が発信する無線を終端する装置である。このフェムトセルとは、本来カバレッジを表すセルがとても小さい状態であることを示す言葉であり、その小さなセルを構成する基地局のことをフェムトセル基地局という。しかし、一意の用語の定義では、この小さなセルを構成する基地局を、固定ブロードバンド網に接続して、フェムトセルGWを介し、移動体通信システムに携帯電話のトラヒックを収容する形態で利用する小型の基地局に限って、フェムトセル基地局と呼ばれることが多く、ここでは、この固定ブロードバンド網に接続して利用される小型基地局という意味でフェムトセルという言葉を利用する。
【0118】
Activate PDP context requestは、携帯端末がインターネットアクセスに必要な設定情報(通常、IPv4アドレスやDNSサーバー情報)の取得と通信セッションの確立を要求するために発出されるメッセージである。
Activate PDP context acceptでは、取得要求を承認し、携帯端末に対してIPアドレスやDNSサーバー情報を通知するために利用されるメッセージである。
【0119】
NATとは、フェムトセル基地局12や外部IP網間ゲートウェイ33において、転送されるメッセージの送信先IPアドレスあるいは送信元IPアドレスを、NATテーブルを参照して変換する処理をいう。
【0120】
また、上述において具体的に示したIPアドレスは、実施形態を説明するための任意の数値であって、その数値によってプライベートIPアドレスであること、あるいは、グローバルIPアドレスであることのみを特定するものではない。例えば、インターネット40上で利用できるIPアドレスをグローバルIPアドレスとし、加入者網10、固定ブロードバンド網20およびコアネットワーク30上で利用されるIPアドレスをプライベートIPとするものであってもよく、このように、ネットワークに応じてグローバルやプライベートの区別がないものであってもよい。
【符号の説明】
【0121】
10…加入者網、11…移動体端末、12…フェムトセル基地局、13…加入者網終端装置、20…固定ブロードバンド網、30…コアネットワーク、31…固定網間ゲートウェイ、32…DNS、33…外部IP網間ゲートウェイ、40…インターネット、41…第1のサーバー、42…第2のサーバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のネットワークを利用して、移動体端末から異なるウェブサイトにアクセスするための通信制御システムおよび通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の移動体端末の普及に伴い、移動体端末による通信制御システムのコアネットワークを利用した移動体端末の通信に加えて、より小規模のフェムトセル基地局を介して固定ブロードバンド網を利用した移動体端末の通信が利用可能になってきている。
このフェムトセル基地局は、例えば、移動体通信システムを提供する通信会社による無線カバレッジを拡大するため、屋外の大型基地局に加え、ユーザの自宅やオフィスの内部に設置され、ユーザの近傍で使用される超小型の基地局である。
【0003】
例えば、フェムトセル基地局から固定ブロードバンド網を介したインターネットへの通信において、コンテンツ等に応じて、異なる通信路や通信チャネルを利用するものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
また、フェムトセル基地局を利用する通信制御システムとして、図12、図13に示すようなものがある。
図12に示す通り、従来からある通信制御システムは、固定ブロードバンド網120、移動体通信システムのコアネットワーク130、およびインターネット140を含み、移動体端末111は、フェムトセル基地局112を介してインターネット140に含まれる第1のサーバー141あるいは第2のサーバー142と接続される。
ここで、移動体通信システムを管理する移動体通信会社により認定されているサイト(以降、公式サイトと呼ぶ)は、コアネットワーク130上で提供される課金処理やユーザ認証処理において認定された特定のユーザからのアクセスのみを受け付ける。この公式サイトには、URL(例えば、http://www.official.com/)、IPアドレス(例えば、20.2.0.1)が割り当てられているものとする。
【0005】
一方、移動体通信会社により認定されていないサイト(以降、勝手サイトと呼ぶ)は、上述の移動体通信会社が提供する課金処理やユーザ認証処理を利用せず、それらの処理において認定されていないユーザからのアクセスも受け付ける。この勝手サイトには、URL(例えば、http://www.unofficial.com/)、IPアドレス(例えば、234.20.2.133)が割り当てられているものとする。
【0006】
フェムトセル基地局112は、移動体通信システムにおいて移動体端末112と無線通信を行い、移動体端末111とインターネット140上のウェブサイトとを接続するための基地局である。
フェムトセルゲートウェイ(以降、フェムトセルGWと呼ぶ)(移動体通信網―固定網間ゲートウェイ)131は、フェムトセルを用いて、固定ブロードバンド網120を移動体通信システムへのアクセスネットワークとして活用する場合に、移動体通信システムのコアネットワーク130と固定ブロードバンドネットワーク120に接続される装置であり、両ネットワークの相互接続を行う。
GGNS(外部IP網間ゲートウェイ)133は、移動体通信システムのコアネットワーク130とインターネット140に接続される装置であり、両ネットワークの相互接続を行う。
また、移動体通信システムのコアネットワーク130は、名前解決機能を有するDNSサーバー132を含む。
【0007】
次に、図13を参照して、図12に示した通信制御システムのシーケンスについて説明する。
図13に示す通り、インターネットアクセスに必要な通信セッションの確立と設定情報の取得を要求するため、Activate PDP context requestのメッセージが、移動体端末111からGGSN133に送信されると、GGSN133により、移動体端末111のIPアドレス(例えば、10.1.0.1)が払い出され、移動体端末111に通知される。また、フェムトセル基地局112とフェムトセルGW131を介して移動体端末111とGGSN133との間に、移動体端末111の通信用に、通信セッションが確立される。
【0008】
ここで、移動体端末111から、公式サイト(http://www.official.com/)へのアクセスがDNSサーバー132に要求されると、移動体端末111に割当てられた通信セッションを利用し、移動体通信網のDNSサーバー132は、名前解決によって得られた公式サイトのIPアドレス(20.2.0.1)を移動体端末111に通知する。
これにより、移動体端末111から送信されたメッセージは、移動体端末111に割当てられた通信セッションを利用して、フェムトセル基地局112を介して固定ブロードバンド網120に転送されるとともに、フェムトセルGW131を介してコアネットワーク130に転送される。さらに、このメッセージは、GGSN133を介してインターネット140上の公式サイトを提供するサーバーに転送される。これにより、移動体端末111は、公式サイトを提供するサーバーと接続され、公式サイトにアクセスすることができる。
【0009】
一方、移動体端末111から、勝手サイト(http://www.unofficial.com/)へのアクセスがDNSサーバー132に要求されると、DNSサーバー132は、名前解決によって得られた勝手サイトのIPアドレス(234.20.2.133)を移動体端末111に通知する。
これにより、移動体端末111から送信されたメッセージは、公式サイトの場合と同様にして、フェムトセル基地局112を介して、移動体端末111に割当てられた通信セッションを利用して、固定ブロードバンド網120に転送されるとともに、フェムトセルGW131を介してコアネットワーク130に転送される。さらに、このメッセージは、GGSN133を介してインターネット140上の勝手サイトを提供するサーバーに転送される。これにより、移動体端末111は、勝手サイトを提供するサーバーと接続され、勝手サイトにアクセスすることができる。
【0010】
このように、この通信制御システムによると、移動体端末111から送信されるメッセージは、公式サイトへのアクセスであっても、勝手サイトへのアクセスであっても、固定ブロードバンド網120およびコアネットワーク130を介して、インターネット140における各サーバーに送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−21966号公報
【特許文献2】特開2009−504048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、移動体端末111の普及や高度化により、移動体端末111とインターネット140との間で通信されるファイルサイズが大容量化するにつれて、コアネットワーク30における通信負荷が増大する問題がある。
【0013】
本発明は、このような事情を考慮し、上記の問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、移動体端末とインターネットとの間の通信において移動体通信システムのコアネットワークにおける通信負荷を低減させる通信制御システムおよび通信制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記問題を解決するために、本発明に係る通信制御システムは、移動体端末と、通信エリアにある前記移動体端末に接続される基地局と、第1のネットワークを介して前記基地局に接続される第1のサーバーと、前記第1のネットワークと異なる第2のネットワークを介して前記基地局に接続される第2のサーバーとを備える通信制御システムであって、前記基地局は、前記第1のネットワークに接続されている第1のインターフェースに対して前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第1のIPアドレスを対応づけるとともに、前記第2のネットワークに接続されている第2のインターフェースに対して前記第2のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第2のIPアドレスを対応づけるルーティングテーブルを備え、前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第1のインターフェースに接続されている第1のネットワークを介して、当該メッセージを前記第1のサーバーに転送するとともに、前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第2のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、当該メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る通信制御システムは、前記基地局が、前記第2のIPアドレスとして、デフォルトルートを前記第2のインターフェースに対応付ける前記ルーティングテーブルを備え、前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれない場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、前記メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明に係る通信制御システムは、前記ルーティングテーブルが、前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わすIPアドレスが複数ある場合、当該複数のIPアドレスの数よりも少ない数に前記複数のIPアドレスを集約するIPアドレスグループを前記第1のIPアドレスとして、前記第1のインターフェースに対応付けており、前記IPアドレスグループに含まれる複数のIPアドレスに対して前記第1のサーバーが提供する第1のウェブサイトのドメイン名をそれぞれ対応付ける情報を参照して、前記第1のインターフェースを介して前記基地局から受信したメッセージに基づき、前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスを前記移動体端末に送信するDNSサーバーと、前記IPアドレスグループに含まれる複数のIPアドレスに対して複数の前記第1のサーバーの個々を表わす複数の第3のIPアドレスをそれぞれ対応付ける情報を参照して、前記第1のインターフェースを介して前記基地局から受信したメッセージに含まれる送信先のIPアドレスを前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスから前記第3のIPアドレスに変換するとともに、前記第1のサーバーから受信したメッセージに含まれる送信元のIPアドレスを前記第3のIPアドレスから前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスに変換する第3のサーバーとをさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、上記問題を解決するために、本発明に係る通信制御方法は、移動体端末と、通信エリアにある前記移動体端末と接続される基地局と、第1のネットワークを介して前記基地局と接続される第1のサーバーと、前記第1のネットワークと異なる第2のネットワークを介して前記基地局と接続される第2のサーバーとを備える通信制御システムにおける通信制御方法であって、前記基地局が、前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれる場合、前記第1のネットワークに接続されている第1のインターフェースに対して前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第1のIPアドレスを対応づけるとともに、前記第2のネットワークに接続されている第2のインターフェースに対して前記第2のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第2のIPアドレスを対応づけるルーティングテーブルに基づき、前記第1のインターフェースに接続されている第1のネットワークを介して、当該メッセージを前記第1のサーバーに転送し、前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第2のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、当該メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、移動体端末とインターネット間の通信において、移動体通信システムのコアネットワークにおける通信負荷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るフェムトセル基地局の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式1について説明する概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式2について説明する概略図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式1におけるIP通信の処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式2におけるIP通信の処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式2において利用されるデータの構成を説明するための参考図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式1における公式サイトへのアクセスを説明するためのシーケンス図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式1における勝手サイトへのアクセスを説明するためのシーケンス図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式2における公式サイトへのアクセスを説明するためのシーケンス図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る通信制御システムの方式2における勝手サイトへのアクセスを説明するためのシーケンス図である。
【図12】従来例を説明するための概略図である。
【図13】従来例のフローについて説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本実施形態に係る通信制御システムの一例を説明するブロック図である。
図1に示す通り、本実施形態に係る通信制御システムは、加入者網10と、固定ブロードバンド網20と、移動体通信システムにおけるコアネットワーク30と、インターネット40とを含む。
【0021】
加入者網10は、フェムトセル基地局12を介して移動体端末11と通信を行う加入者側のネットワークであって、例えば、移動体端末11と、フェムトセル基地局12と、加入者網終端装置13とを含む。
【0022】
移動体端末11は、フェムトセル基地局12と無線通信を行い、このフェムトセル基地局12を介して固定ブロードバンド網20と接続される加入者側の通信端末である。この移動体端末11は、コアネットワーク30を介して端末間でも無線通信を行い、電話通信を確立することができる。ここでは、フェムトセル基地局12を利用して固定ブロードバンド網20を介してインターネット40と接続する移動体端末11について以下説明する。
【0023】
また、移動体端末11は、フェムトセル基地局12に対してIP通信を要求することにより、インターネット40への接続に必要なIPアドレス(以下、IPアドレスAという)が、固定ブロードバンド網20における装置(例えば、ゲートウェイ)によって払い出される。ここでは、IPアドレスAとして、コアネットワーク30上において利用できる移動体端末11のIPアドレスをいうが、本発明はこれに限られず、コアネットワーク30およびインターネット40の両方において利用できるIPアドレスであってもよい。
この移動体端末11は、自身が内部に備える記憶部にIPアドレスAを記憶する。
【0024】
フェムトセル基地局12は、半径数十m程度の極めて小さい通信エリアにある通信端末と無線接続する基地局であって、例えば、通信エリア内にある移動体端末11とインターネット40との通信を、加入者網終端装置13を介して接続する。
このフェムトセル基地局12は、ルーティングテーブルを備え、このルーティングテーブルを参照して、移動体端末11からのアクセスに基づき、インターネット40上にある公式サイトへアクセスするか、あるいは、インターネット40上にある非公式サイト(以下、勝手サイトという)へアクセスするかを判断する。この判断結果に基づき、フェムトセル基地局12は、コアネットワーク30を経由して加入者網終端装置13に公式サイトへのメッセージを転送し、あるいは、固定ブロードバンド網20を経由して加入者網終端装置13に勝手サイトへのメッセージを転送する。
【0025】
このルーティングテーブルは、以下に説明する方式1において、インターネット40上で利用できる公式サイトの実際のIPアドレス(例えば、20.2.0.1、20.2.0.2・・・)を第1のIPアドレスX1として第1のインターフェース131(例えば、eth1)に対応づけるとともに、デフォルトルート(図に示す0.0.0.0)を第2のIPアドレスX2として第2のインターフェース132(例えば、eth0)に対応づける。なお、実際のIPアドレスとは、インターネット40上において利用できるIPアドレスのことをいう。
【0026】
また、このルーティングテーブルは、以下に説明する方式2において、複数のIPアドレスを集約するIPアドレスのグループ(以下、IPアドレスXAという)を第1のIPアドレスX1として第1のインターフェース131に対応付ける。
この集約されたIPアドレスXAとは、インターネット40に含まれるサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わすIPアドレスが複数ある場合、この複数のIPアドレスの数よりも少ない数に、この複数のIPアドレスを集約するIPアドレスグループのことをいう。
【0027】
具体的に説明すると、インターネット40に含まれる複数のサーバーにそれぞれ割り当てられている複数のIPアドレス(以下、IPアドレスDという)(例えば、20.2.0.1、20.2.0.2・・・)がある場合、集約されたIPアドレスXAは、これら複数のIPアドレス(20.2.0.1、20.2.0.2・・・)のそれぞれに対応しており、コアネットワーク30上において利用できる複数のIPアドレス(以下、IPアドレスCという)(例えば、10.2.0.1、10.2.0.2・・・)を含む。この複数のIPアドレスC(10.2.0.1、10.2.0.2・・・)は、例えば、1行で表わされるIPアドレスXA(例えば、10.2.0.1/16)に集約されている。
【0028】
また、フェムトセル基地局12は、NAT( Network Address Translation )テーブルを備え、このNATテーブルを参照して、コアネットワーク30において利用できる移動体端末11のIPアドレスAを、固定ブロードバンド網20において利用できる移動体端末11のIPアドレス(以下、IPアドレスBという)に変換する。
この、NATテーブルは、コアネットワーク30において利用できる移動体端末11のIPアドレスA(10.1.0.1)に、固定ブロードバンド網20において利用できる移動体端末11のIPアドレスB(例えば、192.168.1.11)を対応付ける。
【0029】
加入者網終端装置13は、例えばBBR( broad band router )等の加入者側に設置されるホームゲートウェイであって、固定ブロードバンド網20およびコアネットワーク30を介してインターネット40上における公式サイトと移動体端末11とを接続する第1のインターフェース131と、固定ブロードバンド網20を介してインターネット40上における勝手サイトと移動体端末11とを接続する第2のインターフェース132とを備える。
【0030】
固定ブロードバンド網20は、例えば固定電話会社が提供するブロードバンド網であって、インターネット40上でサイトを提供するサーバーと加入者網終端装置13とを接続するネットワークである。この固定ブロードバンド網20は、加入者網終端装置13の第1のインターフェース131とコアネットワーク30とを接続するとともに、加入者網終端装置13の第2のインターフェース132とインターネット40とを接続する。
【0031】
コアネットワーク30は、例えば携帯電話会社が提供するネットワークであって、インターネット40上でサイトを提供するサーバーと加入者網終端装置13とを接続するネットワークである。このコアネットワーク30は、固定網間ゲートウェイ31と、DNS( Domain Name System )サーバー32と、外部IP網間ゲートウェイ33とを含む。
【0032】
また、コアネットワーク30は、例えば、公式サイトにアクセスするユーザのユーザ認証を行うユーザ認証処理や、公式サイトにアクセスするユーザへの課金処理を行う。
【0033】
このユーザ認証処理とは、例えば、コアネットワーク30の外部IP網間ゲートウェイ33によって、公式サイトにアクセス可能なユーザ(例えば、移動体端末11)からのアクセスであることを認証する処理をいう。具体的には、外部IP網間ゲートウェイ33が、予め公式サイトのサーバーに登録されている移動体端末11からのアクセスであるか否かを判断し、あるいは、当該登録されている移動体端末11からのアクセスが公式サイトによって受け付け可能とされる有効なユーザの移動体端末11からのアクセスであるか否かを判断する。この判断結果において、公式サイトにアクセス可能な移動体端末11からのアクセスであることを判断した場合、外部IP網間ゲートウェイ33は、当該移動体端末11を認証し、当該移動体端末11から受信したメッセージを公式サイトを提供するサーバーに転送する。
【0034】
また、課金処理とは、例えば、有料の公式サイトへの移動体端末11からのアクセスに対して、コアネットワーク30の外部IP網間ゲートウェイ33が、料金の支払いを受け付ける処理をいう。具体的には、外部IP網間ゲートウェイ33が、当該移動体端末11からのアクセスが公式サイトに課金される料金の支払いが可能なユーザからのアクセスであるか否かを判断する。この判断結果において、当該移動体端末11からのアクセスが公式サイトに課金される料金の支払いが可能なユーザからのアクセスであることが判断された場合、外部IP網間ゲートウェイ33は、当該ユーザからの料金の支払いを受け付ける処理を行い、当該移動体端末11から受信したメッセージを公式サイトを提供するサーバーに転送する。
【0035】
固定網間ゲートウェイ31は、例えば、フェムトセルGWであって、加入者網終端装置13とDNSサーバー32とを接続するゲートウェイである。
【0036】
DNSサーバー32は、ドメイン名にIPアドレスを対応づける情報を参照して名前解決する機能を有し、ドメイン名として、例えばインターネット40上にあるサイトのURL( Uniform Resource Locator )を、移動体端末11から受信した場合、このサイトのURLに対応付けられているIPアドレスを移動体端末11に送信する。
ここで、以下に説明する方式1の場合、DNSサーバー32は、インターネット40上において利用できる実際のIPアドレスD(例えば、20.2.0.1)とドメイン名(例えば、www.official.com)とを対応付けた情報を備え、この情報を参照することによって、IPアドレスDを移動体端末11に送信する。
一方、以下に説明する方式2の場合、DNSサーバー32は、コアネットワーク30上において利用できるIPアドレスC(例えば、10.2.0.1)とドメイン名(例えば、www.unofficial.com)とを対応付けた情報を備え、この情報を参照することによって、IPアドレスCを移動体端末11に送信する。
【0037】
外部IP網間ゲートウェイ33は、例えば、GGSN( Gateway GPRS Support Node )等であって、インターネット40上のサイトを提供するサーバーとDNSサーバー32とを接続するゲートウェイである。
【0038】
また、以下に説明する方式2において、この外部IP網間ゲートウェイ33は、IPアドレスXAで集約されているコアネットワーク30上のIPアドレスC(例えば、10.2.0.1、10.2.0.2・・・)に、インターネット40上のIPアドレスD(例えば、20.2.0.1、20.2.0.2・・・)を対応づけるNATテーブルを備える。
方式2において、外部IP網間ゲートウェイ33は、このNATテーブルを参照して、移動体端末11から受信したメッセージの送信先IPアドレスを、IPアドレスCからIPアドレスDに変換して、インターネット40上のサーバーに転送する。また、外部IP網間ゲートウェイ33は、インターネット40上のサーバーから受信したメッセージの送信元IPアドレスを、IPアドレスDからIPアドレスCに変換して、移動体端末11に転送する。
【0039】
また、外部IP網間ゲートウェイ33は、自身に対して予め割り振られているインターネット40において利用できるIPアドレス(以下、IPアドレスEという)(例えば、50.1.0.1)を、自身が内部に備える記憶部に記憶している。
この外部IP網間ゲートウェイ33は、移動体端末11からメッセージを受信すると、このメッセージの送信元IPアドレスとして記述されているIPアドレスA(10.1.0.1)を自身が内部に備える記憶部に一次的に保存しておき、このコアネットワーク30上において利用できるIPアドレスAに、インターネット40上において利用できるIPアドレスEを対応づけるNATテーブルを作成する。
【0040】
具体的に説明すると、外部IP網間ゲートウェイ33は、移動体端末11とインターネット40との通信において、このNATテーブルを参照し、移動体端末11から受信したメッセージの送信元IPアドレスを、IPアドレスAからIPアドレスEに変換して、インターネット40上のサーバーに転送する。また、外部IP網間ゲートウェイ33は、インターネット40上のサーバーから受信したメッセージの送信先IPアドレスを、IPアドレスEからIPアドレスAに変換して、移動体端末11に転送する。
なお、移動体端末11に対して、コアネットワーク30およびインターネット40の双方において利用できるIPアドレスAが割り当てられている場合、外部IP網間ゲートウェイ33は、このNATテーブルを参照して変換することなく、IPアドレスAを用いてメッセージの転送をすることができる。
【0041】
インターネット40は、例えば、インターネット40上で公式サイトを提供する第1のサーバー41と、インターネット40上で勝手サイトを提供する第2のサーバー42とを含む。
【0042】
第1のサーバー41は、公式サイトのウェブページの情報(例えば、IPアドレスやport番号あるいはウェブページの画像データ)を記憶する記憶部を備え、公式サイトのURLにアクセスする移動体端末11に対して、公式サイトのウェブページの情報を送信する。
この公式サイトには、例えば、当該ウェブサイトのURL(例えば、http://www.official.com/)が予め決められており、このURLにはインターネット40上で利用可能なIPアドレス(例えば、20.2.0.1)が割り当てられているものとする。
【0043】
第2のサーバー42は、勝手サイトのウェブページの情報(例えば、IPアドレスやport番号あるいはウェブページの画像データ)を記憶する記憶部を備え、勝手サイトのURLにアクセスする移動体端末11に対して、勝手サイトのウェブページの情報を送信する。
この勝手サイトには、例えば、当該ウェブサイトのURL(例えば、http://www.unofficial.com/)が予め決められており、このURLにはインターネット40上で利用可能なIPアドレス(例えば、234.20.2.133)が割り当てられている。
【0044】
次に、図2を参照して、フェムトセル基地局12の構成についてより詳細に説明する。図2は、フェムトセル基地局12の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す通り、フェムトセル基地局12は、無線部121と、一次記憶部122と、記憶部123と、制御部124と、通信モジュール125とを含む。
【0045】
無線部121は、移動体端末11と無線通信し、移動体端末11からメッセージを受信する。
一次記憶部122は、例えば、移動体端末11から受信したメッセージを一次的に記憶する。
記憶部123は、ルーティングテーブルとNATテーブルとを記憶する。
【0046】
制御部124は、フェムトセル基地局12を統括的に制御し、例えば、移動体端末11から受信したメッセージのルーティングを行う。この制御部124は、記憶部123に記憶されているルーティングテーブルを参照して、移動体端末11から受信したメッセージを第1のインターフェース131に転送するか、あるいは、第2のインターフェース132に転送するか否かを判断するとともに、この判断結果に基づき受信したメッセージのルーティングを行う。
【0047】
通信モジュール125は、制御部124から出力されたメッセージをIP通信で加入者網終端装置13に送信し、制御部124のルーティングに基づき、加入者網終端装置13の第1のインターフェース131あるいは第2のインターフェース132にメッセージを転送する。
【0048】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る通信制御システムにおける方式1について説明する。
図3に示す通り、方式1では、フェムトセル基地局12が、ルーティングテーブルを参照して、公式サイトに対してアクセスを要求する移動体端末11と第1のサーバー41と間の通信をコアネットワーク30を介して接続するとともに、勝手サイトに対してアクセスを要求する移動体端末11と第2のサーバー42と間の通信をコアネットワーク30を介さず固定ブロードバンド網20を介して接続するものである。
【0049】
これにより、勝手サイトに対するアクセスにおいては、コアネットワーク30を介さずに、固定ブロードバンド網20を介した移動体端末11と第2のサーバー42との通信を確立することができ、勝手サイトに対するアクセスの分のコアネットワーク30におけるトラフィックを低減させることができる。よって、コアネットワーク30における通信負荷を低減させることができる。
【0050】
一方、方式1と異なる方式2について、図4を参照して説明する。
図4に示す通り、方式2では、方式1が備える構成に加えて、フェムトセル基地局12が備えるルーティングテーブルにおいて、第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1として、集約されているIPアドレスXA(20.2.0.0/16)を第1のインターフェース131に対応付けるものである。
【0051】
具体的に説明すると、方式2において、フェムトセル基地局12に搭載されるルーティングテーブルは、図5(a)に示す通り、送信先のIPアドレスに転送インターフェースを対応付ける。例えば、このルーティングテーブルは、送信先のIPアドレスであるデフォルトルート(図に示す、0.0.0.0)に、転送インターフェースである第2のインターフェース132(eth0)を対応付ける。また、このルーティングテーブルは、送信先のIPアドレスCを集約したIPアドレスXA(10.2.0.0/16)に、転送インターフェースである第1のインターフェース131(eth1)を対応付ける。
【0052】
なお、このルーティングテーブルは、フェムトセル基地局12の出荷時や製造時、あるいは初期設定時において、手動でフェムトセル基地局12の記憶部123に記憶されるものであってもよい。また、初回の起動時において、制御部124が自動で固定ブロードバンド網20の固定網間ゲートウェイ31あるいは外部IP網間ゲートウェイ33にアクセスして、このルーティングテーブルを取得する構成であってもよい。また、フェムトセル基地局12は、ルーティングテーブルが変更された場合も同様にして変更後のルーティングテーブルを取得することができる。
【0053】
また、方式2において、外部IP網間ゲートウェイ33に、この集約されたIPアドレスXA(20.2.0.0/16)に含まれるIPアドレスCに、インターネット40上で利用可能なIPアドレスDを対応付けるNATテーブルを実装するものである。
具体的に説明すると、この外部IP網間ゲートウェイ33に搭載されるNATテーブルは、例えば、図5(b)に示す通り、NATされた公式サイトのIPアドレス(ここでは、IPアドレスC)と、NATされた公式サイトのport番号と、実際の公式サイトのIPアドレス(ここでは、IPアドレスD)と、実際の公式サイトのport番号とを、それぞれ対応付ける。
【0054】
上述の通り、方式2では、複数のIPアドレスC(例えば、10.2.0.1、10.2.0.2・・・)を、これら複数のIPアドレスCの数よりも少ない数(例えば、1つ)のIPアドレスXA(例えば、10.2.0.1/16)に集約しており、この集約されたIPアドレスXAを、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルに設定する。これにより、ルーティングテーブルが保持する情報量を低減させることができる。
よって、サービス性(低遅延)と運用性(更新・設定変更)を確保しつつ、コアネットワーク30のトラヒックを低減することができる。
【0055】
また、方式1および2において、フェムトセル基地局12に搭載されるNATテーブルは、例えば、図5(c)に示す通り、インターネット40上で利用できる実際の送信元IPアドレス(ここでは、移動体端末11のIPアドレスA)と、インターネット40上で利用できる実際の送信元のport番号と、インターネット40上で利用できる実際の送信先のIPアドレス(ここでは、実際の勝手サイトのIPアドレス)と、インターネット40上で利用できる送信先のport番号と、固定ブロードバンド網20で利用できるNAT IPアドレス(ここでは、IPアドレスB)と、固定ブロードバンド網20で利用できるNAT port番号とを、それぞれ対応付ける。
なお、このIPアドレスBは、フェムトセル基地局12が起動した際に、加入者網終端装置13が固定ブロードバンド網20を介して第2のサーバー42と通信することによりフェムトセル基地局12に払い出される。
【0056】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る通信制御システムの方式1における処理フローの一例について説明する。図6は、本実施形態に係る通信制御システムの方式1におけるIP通信の処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。
図6に示す通り、移動体端末11からIP通信の開始を要求するメッセージがフェムトセル基地局12に送信されると、フェムトセル基地局12は、固定ブロードバンド網20を介してコアネットワーク30における装置とIP通信を開始する(ステップST1)。これにより、例えば、移動体端末11とコアネットワーク30における装置との間の無線通信による仮想的コネクション(無線ベアラ)が確立される。
【0057】
このとき、移動体端末11は、インターネット40に対するアクセスに必要な設定情報(例えば、IPアドレス)の取得を要求するメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する。この外部IP網間ゲートウェイ33は、移動体端末11がインターネット40上で利用できるIPアドレスAを払い出し、移動体端末11に送信する。
【0058】
次いで、移動体端末11からアクセス先の名前解決を要求するメッセージがフェムトセル基地局12を介してDNSサーバー32に転送される。そして、DNSサーバー32は、このメッセージを受信して、メッセージに含まれるURLの名前解決を行い、このURLに対応するIPアドレスを移動体端末11に送信する(ステップST2)。
【0059】
つまり、方式1では、DNSサーバー32が、名前解決により、当該URLのサイトに対して割り当てられている実際のIPアドレスD(例えば、20.2.0.1)を得て、固定網間ゲートウェイ31を介して移動体端末11に送信する。
【0060】
そして、移動体端末11は、固定ブロードバンド網20の固定網間ゲートウェイ31から受信したIPアドレスD(20.2.0.1)に対するアクセスを要求するメッセージをフェムトセル基地局12に送信する。
このフェムトセル基地局12は、受信したメッセージに含まれる送信先のIPアドレスD(20.2.0.1)に基づき、記憶部123内のルーティングテーブルを参照して、第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1(例えば、20.2.0.1、20.2.0.2・・・)に、送信先のIPアドレスD(20.2.0.1)と一致するIPアドレスが含まれているか否かを判断する(ステップST3)。
【0061】
ここで、送信先のIPアドレスD(20.2.0.1)が、ルーティングテーブルに記述されている第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスと一致する場合、フェムトセル基地局12の制御部124は、加入者網終端装置13に対して、第1のIPアドレスX1に対応付けられている第1のインターフェース131を介して、移動体端末11から受信したメッセージをコアネットワーク30に向けて転送させる(ステップST4)。
【0062】
この加入者網終端装置13は、フェムトセル基地局12から受信したメッセージを、第1のインターフェース131から送出し、コアネットワーク30を介して第1のサーバー41に転送する。
これにより、移動体端末11は、IPアドレスD(20.2.0.1)で特定される公式サイトを提供する第1のサーバー41とIP通信を行う(ステップST5)。
【0063】
一方、ステップST3において、送信先IPアドレス(例えば、234.20.2.133)が、ルーティングテーブルに記述されている第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスと一致しない場合、フェムトセル基地局12の制御部124は、加入者網終端装置13に対して、第2のIPアドレスX2(デフォルトルート)に対応付けられている第2のインターフェース132を介して、移動体端末11から受信したメッセージを固定ブロードバンド網20に向けて転送させる(ステップST6)。
【0064】
なお、フェムトセル基地局12の制御部124は、加入者網終端装置13に対して第2のインターフェース132を介して固定ブロードバンド網20にメッセージを送信させる際、記憶部123に記憶されているNATテーブルを参照して、メッセージに含まれる送信元IPアドレスを、移動体端末11のIPアドレスA(10.1.0.1)から固定ブロードバンド網20において利用できるIPアドレスB(192.168.1.11)に変換する(ステップST7)。
【0065】
そして、フェムトセル基地局12は、加入者網終端装置13に対して、デフォルトルートに対応付けられている第2のインターフェース132を介して、移動体端末11から受信したメッセージを固定網間ゲートウェイ31に転送させる。この固定網間ゲートウェイ31は、受信したメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に転送し、外部IP網間ゲートウェイ33が、メッセージに含まれているIPアドレス(234.20.2.133)で特定される勝手サイトの第2のサーバー42とIP通信を行う(ステップST8)。
【0066】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る通信制御システムの方式2における処理フローの一例について説明する。図7は、本実施形態に係る通信制御システムの方式2におけるIP通信の処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。
なお、図6に示す処理と同様の処理については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0067】
図7に示す通り、フェムトセル基地局12によって、固定ブロードバンド網20を介してコアネットワーク30における装置とIP通信が開始されると(ステップST1)、移動体端末11からアクセス先の名前解決を要求するメッセージがフェムトセル基地局12を介してDNSサーバー32に送信される。
DNSサーバー32は、このメッセージを受信して、メッセージに含まれるURLの名前解決を行い、当該URLのサイトに対して割り当てられているコアネットワーク30上で利用できるIPアドレスC(例えば、10.2.0.1)を得て、固定網間ゲートウェイ31を介して移動体端末11に送信する。
【0068】
そして、IPアドレスC(10.2.0.1)に対してアクセスを要求するメッセージを移動体端末11から受信すると、フェムトセル基地局12は、このIPアドレスC(10.2.0.1)に基づき、記憶部123内のルーティングテーブルを参照して、第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に集約されているIPアドレスと、送信先のIPアドレスC(10.2.0.1)とが一致するか否かを判断する(ステップST3)。言い換えると、フェムトセル基地局12は、IPアドレスC(10.2.0.1)が第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に含まれているか否かを判断する。
【0069】
ここで、送信先のIPアドレスC(10.2.0.1)が、ルーティングテーブルにおいて第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に含まれているIPアドレスに一致する場合、フェムトセル基地局12の制御部124は、加入者網終端装置13に対して、第1のIPアドレスX1に対応付けられている第1のインターフェース131を介して、移動体端末11から受信したメッセージをコアネットワーク30に向けて転送させる(ステップST4)。
【0070】
そして、加入者網終端装置13が、フェムトセル基地局12から受信したメッセージを、第1のインターフェース131から送出し、コアネットワーク30を介して第1のサーバー41に転送する。
【0071】
具体的に説明すると、加入者網終端装置13の第1のインターフェース131から送出されたメッセージが、固定ブロードバンド網20を介してコアネットワーク30の固定網間ゲートウェイ31に転送される。この固定網間ゲートウェイ31は、受信したメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に転送する。
次いで、外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、移動体端末11から送信されたメッセージに含まれる送信先IPアドレスC(10.2.0.1)を、当該URLのサイトに対して割り当てられている実際のIPアドレスD(例えば、20.2.0.1)に変換する(ステップST9)。
【0072】
これにより、移動体端末11は、書き換えられたIPアドレスD(20.2.0.1)で特定される公式サイトを提供する第1のサーバー41とIP通信を行う(ステップST5)。
【0073】
一方、ステップST3において、送信先IPアドレス(234.20.2.133)が、ルーティングテーブルに記述されている第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に集約されているIPアドレスに一致しない場合、図6に示したステップ6〜8と同様の処理を行う。
【0074】
次に、図8を参照して、図4を用いて上述した方式1における公式サイトへのアクセスのシーケンスの一例について説明する。図8は、方式1における公式サイトへのアクセスのシーケンス図である。なお、ここでは、移動体端末11とコアネットワーク30との無線ベアラは既に確立しているものとして、以下説明する。
【0075】
図8に示す通り、移動体端末11からActive PDP Context requestのメッセージがフェムトセル基地局12に送信されると、フェムトセル基地局12は、加入者網終端装置13を介して、外部IP網間ゲートウェイ33にこのメッセージを転送する(ステップST11)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、当該移動体端末11に対してインターネット40で利用可能なIPアドレスA(例えば、10.1.0.1)を割り振り、Active PDP Context Accept(PDP Address=10.1.0.1)のメッセージを移動体端末11に送信する(ステップST12)。
【0076】
この移動体端末11は、外部IP網間ゲートウェイ33からIPアドレスA(10.1.0.1)を含むメッセージを受信すると、自身に割り振られたIPアドレスA(10.1.0.1)を自身の内部に備える記憶部に記憶させる。
【0077】
ここで、移動体端末11の操作部等を介して、指定されたURL(例えば、http://www.official.com/)で特定される公式サイトへのアクセスがユーザから要求されると、移動体端末11は、IPアドレスA(10.1.0.1)を送信元のIPアドレスとして、DNSサーバー32に対して予め割り振られているIPアドレス(例えば、10.0.2.10)を送信先のIPアドレスとして含むDNS( Standard query A www.official.com )のメッセージを、フェムトセル基地局12に送信する。このフェムトセル基地局12は、受信したメッセージを、加入者網終端装置13を介して、DNSサーバー32に転送する(ステップST13)。
【0078】
DNSサーバー32は、移動体端末11からメッセージを受信すると、名前解決機能を実行し、公式サイトのURL(http://www.official.com/)に対応付けられている実際のIPアドレスD(例えば、20.2.0.1)を得て、DNS( Standard query responce A 20.2.0.1 )のメッセージを、加入者網終端装置13およびフェムトセル基地局12を介して、移動体端末11に送信する(ステップST14)。
【0079】
これにより、移動体端末11は、自身に割り振られたIPアドレスA(10.1.0.1)を送信元IPアドレスとして、DNSサーバー32によって名前解決された実際のIPアドレスD(20.2.0.1)を送信先IPアドレスとして含むTCP[SYN]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST15)。
【0080】
このフェムトセル基地局12は、ルーティングテーブルを参照して、受信したメッセージに含まれる送信先IPアドレス(20.2.0.1)が、第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスに一致するか否かを判断する(ステップST16)。ここで、ルーティングテーブルには、第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスとして、IPアドレス(20.2.0.1)が予め記述されている。
従って、送信先IPアドレス(20.2.0.1)が、第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスに一致するため、フェムトセル基地局12は、受信したメッセージに送信先IPアドレス(20.2.0.1)を記述して、加入者網終端装置13の第1のインターフェース131から、固定ブロードバンド網20を介して第1のサーバー41に送信させる(ステップST17)。
【0081】
この第1のサーバー41は、受信したメッセージに基づき、TCP[SYN、ACK]のメッセージを移動体端末11に送信する(ステップST18)。
次いで、移動体端末11は、TCP[ACK]のメッセージを第1のサーバー41に送信するとともに(ステップST19)、GET/HTTP/1.1のメッセージを第1のサーバー41に送信する(ステップST20)。この第1のサーバー41は、TCPのメッセージを移動体端末11に送信するとともに(ステップST21)、HTTP 200 OKのメッセージを移動体端末11に送信する(ステップST22)。
【0082】
これにより、移動体端末11は、インターネット40上において第1のサーバー41が提供する公式サイト(IPアドレス:20.2.0.1)に対して接続される。
【0083】
次に、図9を参照して、方式1における勝手サイトへのアクセスのシーケンスの一例について説明する。図9は、方式1における勝手サイトへのアクセスのシーケンス図である。なお、ここでは、移動体端末11とコアネットワーク30との無線ベアラは既に確立しているものとして、以下説明する。また、図8において説明した処理と同様の処理については、詳細な説明を省略する。
【0084】
図9に示す通り、移動体端末11からActive PDP Context requestのメッセージが、外部IP網間ゲートウェイ33に送信されると(ステップST31)、Active PDP Context Accept(PDP Address=10.1.0.1)のメッセージが、外部IP網間ゲートウェイ33から移動体端末11に送信される(ステップST32)。
【0085】
ここで、移動体端末11の操作部等を介して、指定されたURL(例えば、http://www.unofficial.com/)で特定される勝手サイトへのアクセスがユーザから要求されると、移動体端末11は、自身に割り振られたIPアドレスA(10.1.0.1)を送信元IPアドレスとして、DNSサーバー32に対して予め割り振られたIPアドレス(10.0.2.10)を送信先IPアドレスとして含むDNS( Standard query A www.unofficial.com )のメッセージを、フェムトセル基地局12および加入者網終端装置13を介して、DNSサーバー32に送信する(ステップST33)。
【0086】
DNSサーバー32は、移動体端末11からメッセージを受信すると、名前解決機能を実行し、勝手サイトのURL(http://www.unofficial.com/)に対応付けられている実際のIPアドレス(234.20.2.133)を得て、DNS( Standard query responce A 234.20.2.133 )のメッセージを、移動体端末11に送信する(ステップST34)。
【0087】
これにより、移動体端末11は、自身に割り振られたIPアドレスA(10.1.0.1)を送信元IPアドレスとして、DNSサーバー32によって名前解決された実際のIPアドレス(234.20.2.133)を送信先IPアドレスとして含むTCP[SYN]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST35)。
【0088】
このフェムトセル基地局12は、ルーティングテーブルを参照して、受信したメッセージに含まれる送信先IPアドレス(234.20.2.133)が、第1のIPアドレスX1に含まれるIPアドレスと一致するか否かを判断する(ステップST36)。ここで、ルーティングテーブルには、第1のIPアドレスX1として、IPアドレス(20.2.0.1、20.2.0.2・・・)が予め記述されている。
つまり、送信先IPアドレス(234.20.2.133)は、第1のIPアドレスX1(20.2.0.1、20.2.0.2・・・)に含まれるIPアドレスと一致しないため、フェムトセル基地局12は、送信元IPアドレスA(10.1.0.1)(つまり、コアネットワーク30で利用可能なIPアドレス)を、送信元IPアドレスB(192.168.1.11)(つまり、固定ブロードバンド網20で利用可能なIPアドレス)に変換する(ステップST37)。このIPアドレスB(192.168.1.11)は、固定ブロードバンド網20に含まれる加入者網終端装置13の配下で利用可能なIPアドレスである。
【0089】
そして、フェムトセル基地局12は、変換されたIPアドレスB(192.168.1.11)を送信元IPアドレスとして、DNSサーバー32によって名前解決された実際のIPアドレス(234.20.2.133)を送信先IPアドレスとして含むTCP[SYN]のメッセージを、加入者網終端装置13の第2のインターフェース132から、固定ブロードバンド網20を介して第2のサーバー42に転送させる(ステップST38)。
【0090】
この第2のサーバー42は、受信したメッセージに基づき、固定ブロードバンド網20を介して、TCP[SYN、ACK]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST39)。このフェムトセル基地局12は、TCP[SYN、ACK]のメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST40)。
【0091】
そして、移動体端末11は、TCP[ACK]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST41)。このフェムトセル基地局12は、固定ブロードバンド網20を介して、このTCP[ACK]のメッセージを第2のサーバー42に転送する(ステップST42)。
また、移動体端末11は、GET/HTTP/1.1のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST43)。このフェムトセル基地局12は、固定ブロードバンド網20を介して、このGET/HTTP/1.1のメッセージを第2のサーバー42に転送する(ステップST44)。
【0092】
この第1のサーバー41は、TCP[SYK、ACK]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST45)。このフェムトセル基地局12は、TCP[ACK]のメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST46)。
また、この第1のサーバー41は、HTTP 200 OKのメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST47)。このフェムトセル基地局12は、HTTP 200 OKのメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST48)。
【0093】
これにより、移動体端末11は、インターネット40上において第2のサーバー42が提供する勝手サイト(IPアドレス:234.20.2.133)と接続される。
【0094】
上述の通り、本実施形態に係る通信制御システムにおける方式1では、フェムトセル基地局12がルーティングテーブルを参照して、公式サイトに対してアクセスを要求する移動体端末11と第1のサーバー41と間の通信を、コアネットワーク30を介して接続するとともに、勝手サイトに対してアクセスを要求する移動体端末11と第2のサーバー42と間の通信を、コアネットワーク30を介さず固定ブロードバンド網20を介して接続するようにした。
これにより、勝手サイトに対するアクセスにおいては、コアネットワーク30を介さずに、固定ブロードバンド網20を介した移動体端末11と第2のサーバー42との通信を確立することができ、勝手サイトに対するアクセスの分のコアネットワーク30におけるトラフィックを低減させることができる。よって、コアネットワーク30における通信負荷を低減させることができる。
【0095】
また、コアネットワーク30における公式サイトへのアクセスに対しては、コアネットワーク30を介した通信を確立することができる。
これにより、ユーザ認証処理や課金処理のためにコアネットワーク30を経由した第1のサーバー41へのアクセスが必要な移動体端末11に対しては、コアネットワーク30を経由した通信を確立することができる。
【0096】
さらに、勝手サイトは、公式サイトに比べて、そのサイト数が膨大であるため、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルにおいて、勝手サイト向けの第2のインターフェース132に対してデフォルトルートを対応付けている。
これにより、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルが保持する情報量を低減させることができる。
【0097】
次に、図10を参照して、方式2における公式サイトへのアクセスのシーケンスの一例について説明する。図10は、方式2における公式サイトへのアクセスのシーケンス図である。なお、ここでは、移動体端末11とコアネットワーク30との無線ベアラは既に確立しているものとして、以下説明する。また、図8において説明した処理と同様の処理については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0098】
図10に示す通り、ステップST11〜13は、図8と同様である。
そして、ステップST54において、DNSサーバー32は、移動体端末11からDNS( Standard query A www.official.com )のメッセージを受信すると、名前解決機能を実行し、公式サイトのURL(http://www.official.com/)に対応付けられているIPアドレスC(10.2.0.1)を得る。
そして、DNSサーバー32は、DNS( Standard query responce A 10.2.0.1 )のメッセージを、移動体端末11に送信する(ステップST54)。
【0099】
これにより、移動体端末11は、自身に割り振られたIPアドレスA(10.1.0.1)を送信元IPアドレスとして、DNSサーバー32によって名前解決されたIPアドレスC(10.2.0.1)を送信先IPアドレスとして含むTCP[SYN]のメッセージをフェムトセル基地局12に送信する(ステップST55)。
【0100】
このフェムトセル基地局12は、ルーティングテーブルを参照して、受信したメッセージに含まれる送信先IPアドレスC(10.2.0.1)が、第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に含まれるIPアドレスに一致するか否かを判断する(ステップST56)。ここで、ルーティングテーブルには、第1のIPアドレスX1として、IPアドレス(10.2.0.0/16)という集約されたアドレス空間が予め記述されている(図5(a)参照)。
従って、送信先IPアドレスC(10.2.0.1)は、第1のIPアドレスX1(10.2.0.0/16)に含まれるIPアドレスに一致するため、フェムトセル基地局12は、送信先IPアドレスC(10.2.0.1)を含むTPC[SYN]のメッセージを加入者網終端装置13の第1のインターフェース131から、コアネットワーク30内の外部IP網間ゲートウェイ33に転送する(ステップST57)。
【0101】
この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信先IPアドレスをIPアドレスC(10.2.0.1)からIPアドレスD(20.2.0.1)に変換し、このTCP[SYN]のメッセージを公式サイトの第1のサーバー41に転送する(ステップST58)。ここで、外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信元IPアドレスをIPアドレスA(10.1.0.1)からIPアドレスE(50.1.0.1)に変換している。以下、IPアドレスAからIPアドレスEへの変換についての説明は省略する。
【0102】
この第1のサーバー41は、このメッセージを受信すると、TCP[SYN,ACK]のメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する(ステップST59)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信元IPアドレスをIPアドレスD(20.2.0.1)からIPアドレスC(10.2.0.1)に変換し、このTCP[SYN,ACK]のメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST60)。
【0103】
この移動体端末11は、このメッセージを受信すると、TCP[ACK]のメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する(ステップST61)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信先IPアドレスをIPアドレスC(10.2.0.1)からIPアドレスD(20.2.0.1)に変換し、このTCP[ACK]のメッセージを公式サイトの第1のサーバー41に転送する(ステップST62)。
【0104】
次いで、移動体端末11は、GET/HTTP/1.1のメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する(ステップST63)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信先IPアドレスをIPアドレスC(10.2.0.1)からIPアドレスD(20.2.0.1)に変換し、このGET/HTTP/1.1のメッセージを公式サイトの第1のサーバー41に転送する(ステップST64)。
【0105】
この第1のサーバー41は、このメッセージを受信すると、TCP[ACK]のメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する(ステップST65)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信元IPアドレスをIPアドレスD(20.2.0.1)からIPアドレスC(10.2.0.1)に変換し、このTCPのメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST66)。
【0106】
次いで、第1のサーバー41が、HTTP 200 OKのメッセージを外部IP網間ゲートウェイ33に送信する(ステップST67)。この外部IP網間ゲートウェイ33は、NATテーブルを参照して、受信したメッセージの送信元IPアドレスをIPアドレスD(20.2.0.1)からIPアドレスC(10.2.0.1)に変換し、このHTTP 200 OKのメッセージを移動体端末11に転送する(ステップST68)。
【0107】
これにより、移動体端末11は、インターネット40上において第1のサーバー41が提供する公式サイト(IPアドレス:20.2.0.1)と接続される。
【0108】
次に、図11は、方式2における勝手サイトへのアクセスのシーケンスの一例について示すシーケンス図である。
図11に示す通り、ここに示す処理は、図9に示す処理と同様であるため、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0109】
上述の通り、本実施形態に係る通信制御システムにおける方式2では、方式1が備える構成に加えて、フェムトセル基地局12が備えるルーティングテーブルに、第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1として、集約されているIPアドレスXA(20.2.0.0/16)を第1のインターフェース131に対応付けるようにした。
また、外部IP網間ゲートウェイ33に、この集約されているIPアドレスXA(20.2.0.0/16)に含まれるIPアドレスCに、インターネット40上で利用できるIPアドレスDを対応付けるNATテーブルを実装させるようにした。さらに、DNSサーバー32に設定されるマッピングにおいて、このIPアドレスCを、ドメイン名に対応づけ、名前解決によってIPアドレスCを得るようにした。
これにより、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルが保持する情報量を低減させるとともに、サービス性(低遅延)と運用性(更新・設定変更)を確保しつつ、コアネットワーク30のトラヒックを低減することができる。
【0110】
また、勝手サイトよりはサイト数が少ない公式サイトであっても、数千から数万のサイト数が存在している。よって、例えば、公式サイトのIPアドレスが変更するたびに、変更後のIPアドレスを、各フェムトセル基地局12に送信し、ルーティングテーブルを書き換え(更新・設定変更)なければならない。しかし、集約されたIPアドレスXAを第1のIPアドレスX1として第1のインターフェース131に対応付けておくことにより、変更後のIPアドレスがこの集約されたIPアドレスXAに含まれるIPアドレスである場合、ルーティングテーブルの書き換え等の作業が不要となり、時間と労力を削減することができる。
【0111】
さらに、フェムトセル基地局12が、自宅内に設置される装置として安価に開発されたものである場合、メモリの容量が少なく、処理能力が低いCPU( Central Processing Unit )を搭載している場合がある。この場合、ルーティングテーブルから参照されるIPアドレスの数が少ないことにより、ルーティングの時間を短縮することができ、制御遅延を防止し、低遅延を要求するアプリケーションの動作に与える影響を軽減することができる。
つまり、サービス性(低遅延)と運用性(更新・設定変更)を確保しつつ、コアネットワーク30のトラヒックを低減することができる。
【0112】
また、勝手サイトは、公式サイトに比べて、そのサイト数が膨大であるため、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルにおいて、勝手サイト向けの第2のインターフェース132に対してデフォルトルートを対応付けるようにした。
これにより、フェムトセル基地局12のルーティングテーブルが保持する情報量を低減させることができる。
【0113】
なお、本実施形態に係る通信制御システムにおける各構成は、上記実施形態に限られず、以下のような構成であってもよい。
例えば、フェムトセル基地局12におけるルーティングテーブルは、デフォルトルートとして公式サイトに対応するIPアドレスを備える構成であってもよく、この場合、勝手サイトの実際のIPアドレスを第1のインターフェース131と対応付けるものであってもよい。
また、デフォルトルートとして公式サイトを対応付ける場合、ルーティングテーブルにおいて、複数の勝手サイトの複数のIPアドレスを集約したIPアドレスに、第1のインターフェース131を対応付けるものであってもよい。
【0114】
さらに、フェムトセル基地局12におけるルーティングテーブルは、第1のインターフェース131および第2のインターフェース132に対して、デフォルトルートを対応付けないものであってもよく、インターネット40に向けて送信されるメッセージの送信先を表わす全てのIPアドレスが記述されているものであってもよい。
【0115】
この場合、フェムトセル基地局12は、このルーティングテーブルを参照して、移動体端末11から受信したメッセージに含まれる送信先のIPアドレスに基づき、第1のインターフェース131に対応付けられている第1のIPアドレスX1に、送信先のIPアドレスと一致するIPアドレスが含まれているか否かを判断するとともに、第2のインターフェース132に対応付けられている第2のIPアドレスX2に、送信先のIPアドレスと一致するIPアドレスが含まれているか否かを判断する。
そして、メッセージの送信先を表わすIPアドレスが第1のIPアドレスX1に含まれる場合、ルーティングテーブルに基づき、第1のインターフェース131に接続されているコアネットワーク30を介して、このメッセージを第1のサーバー41に転送する。
また、メッセージの送信先を表わすIPアドレスが第2のIPアドレスX2に含まれる場合、ルーティングテーブルに基づき、第2のインターフェース132に接続されている固定ブロードバンド網20を介して、このメッセージを第2のサーバー42に転送する。
【0116】
また、本実施形態に係る通信制御システムの説明に用いた用語について、以下簡単に説明する。
【0117】
フェムトセル基地局とは、移動体通信システムにおいて端末が発信する無線を終端する装置である。このフェムトセルとは、本来カバレッジを表すセルがとても小さい状態であることを示す言葉であり、その小さなセルを構成する基地局のことをフェムトセル基地局という。しかし、一意の用語の定義では、この小さなセルを構成する基地局を、固定ブロードバンド網に接続して、フェムトセルGWを介し、移動体通信システムに携帯電話のトラヒックを収容する形態で利用する小型の基地局に限って、フェムトセル基地局と呼ばれることが多く、ここでは、この固定ブロードバンド網に接続して利用される小型基地局という意味でフェムトセルという言葉を利用する。
【0118】
Activate PDP context requestは、携帯端末がインターネットアクセスに必要な設定情報(通常、IPv4アドレスやDNSサーバー情報)の取得と通信セッションの確立を要求するために発出されるメッセージである。
Activate PDP context acceptでは、取得要求を承認し、携帯端末に対してIPアドレスやDNSサーバー情報を通知するために利用されるメッセージである。
【0119】
NATとは、フェムトセル基地局12や外部IP網間ゲートウェイ33において、転送されるメッセージの送信先IPアドレスあるいは送信元IPアドレスを、NATテーブルを参照して変換する処理をいう。
【0120】
また、上述において具体的に示したIPアドレスは、実施形態を説明するための任意の数値であって、その数値によってプライベートIPアドレスであること、あるいは、グローバルIPアドレスであることのみを特定するものではない。例えば、インターネット40上で利用できるIPアドレスをグローバルIPアドレスとし、加入者網10、固定ブロードバンド網20およびコアネットワーク30上で利用されるIPアドレスをプライベートIPとするものであってもよく、このように、ネットワークに応じてグローバルやプライベートの区別がないものであってもよい。
【符号の説明】
【0121】
10…加入者網、11…移動体端末、12…フェムトセル基地局、13…加入者網終端装置、20…固定ブロードバンド網、30…コアネットワーク、31…固定網間ゲートウェイ、32…DNS、33…外部IP網間ゲートウェイ、40…インターネット、41…第1のサーバー、42…第2のサーバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体端末と、通信エリアにある前記移動体端末に接続される基地局と、第1のネットワークを介して前記基地局に接続される第1のサーバーと、前記第1のネットワークと異なる第2のネットワークを介して前記基地局に接続される第2のサーバーとを備える通信制御システムであって、
前記基地局は、
前記第1のネットワークに接続されている第1のインターフェースに対して前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第1のIPアドレスを対応づけるとともに、前記第2のネットワークに接続されている第2のインターフェースに対して前記第2のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第2のIPアドレスを対応づけるルーティングテーブルを備え、
前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第1のインターフェースに接続されている第1のネットワークを介して、当該メッセージを前記第1のサーバーに転送するとともに、
前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第2のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、当該メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする通信制御システム。
【請求項2】
前記基地局は、
前記第2のIPアドレスとして、デフォルトルートを前記第2のインターフェースに対応付ける前記ルーティングテーブルを備え、
前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれない場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、前記メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項3】
前記ルーティングテーブルは、
前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わすIPアドレスが複数ある場合、当該複数のIPアドレスの数よりも少ない数に前記複数のIPアドレスを集約するIPアドレスグループを前記第1のIPアドレスとして、前記第1のインターフェースに対応付けており、
前記IPアドレスグループに含まれる複数のIPアドレスに対して前記第1のサーバーが提供する第1のウェブサイトのドメイン名をそれぞれ対応付ける情報を参照して、前記第1のインターフェースを介して前記基地局から受信したメッセージに基づき、前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスを前記移動体端末に送信するDNSサーバーと、
前記IPアドレスグループに含まれる複数のIPアドレスに対して複数の前記第1のサーバーの個々を表わす複数の第3のIPアドレスをそれぞれ対応付ける情報を参照して、前記第1のインターフェースを介して前記基地局から受信したメッセージに含まれる送信先のIPアドレスを前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスから前記第3のIPアドレスに変換するとともに、前記第1のサーバーから受信したメッセージに含まれる送信元のIPアドレスを前記第3のIPアドレスから前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスに変換する第3のサーバーと
をさらに備えることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の通信制御システム。
【請求項4】
移動体端末と、通信エリアにある前記移動体端末と接続される基地局と、第1のネットワークを介して前記基地局と接続される第1のサーバーと、前記第1のネットワークと異なる第2のネットワークを介して前記基地局と接続される第2のサーバーとを備える通信制御システムにおける通信制御方法であって、
前記基地局は、
前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれる場合、前記第1のネットワークに接続されている第1のインターフェースに対して前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第1のIPアドレスを対応づけるとともに、前記第2のネットワークに接続されている第2のインターフェースに対して前記第2のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第2のIPアドレスを対応づけるルーティングテーブルに基づき、前記第1のインターフェースに接続されている第1のネットワークを介して、当該メッセージを前記第1のサーバーに転送し、
前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第2のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、当該メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする通信制御方法。
【請求項1】
移動体端末と、通信エリアにある前記移動体端末に接続される基地局と、第1のネットワークを介して前記基地局に接続される第1のサーバーと、前記第1のネットワークと異なる第2のネットワークを介して前記基地局に接続される第2のサーバーとを備える通信制御システムであって、
前記基地局は、
前記第1のネットワークに接続されている第1のインターフェースに対して前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第1のIPアドレスを対応づけるとともに、前記第2のネットワークに接続されている第2のインターフェースに対して前記第2のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第2のIPアドレスを対応づけるルーティングテーブルを備え、
前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第1のインターフェースに接続されている第1のネットワークを介して、当該メッセージを前記第1のサーバーに転送するとともに、
前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第2のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、当該メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする通信制御システム。
【請求項2】
前記基地局は、
前記第2のIPアドレスとして、デフォルトルートを前記第2のインターフェースに対応付ける前記ルーティングテーブルを備え、
前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれない場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、前記メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項3】
前記ルーティングテーブルは、
前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わすIPアドレスが複数ある場合、当該複数のIPアドレスの数よりも少ない数に前記複数のIPアドレスを集約するIPアドレスグループを前記第1のIPアドレスとして、前記第1のインターフェースに対応付けており、
前記IPアドレスグループに含まれる複数のIPアドレスに対して前記第1のサーバーが提供する第1のウェブサイトのドメイン名をそれぞれ対応付ける情報を参照して、前記第1のインターフェースを介して前記基地局から受信したメッセージに基づき、前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスを前記移動体端末に送信するDNSサーバーと、
前記IPアドレスグループに含まれる複数のIPアドレスに対して複数の前記第1のサーバーの個々を表わす複数の第3のIPアドレスをそれぞれ対応付ける情報を参照して、前記第1のインターフェースを介して前記基地局から受信したメッセージに含まれる送信先のIPアドレスを前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスから前記第3のIPアドレスに変換するとともに、前記第1のサーバーから受信したメッセージに含まれる送信元のIPアドレスを前記第3のIPアドレスから前記IPアドレスグループに含まれるIPアドレスに変換する第3のサーバーと
をさらに備えることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の通信制御システム。
【請求項4】
移動体端末と、通信エリアにある前記移動体端末と接続される基地局と、第1のネットワークを介して前記基地局と接続される第1のサーバーと、前記第1のネットワークと異なる第2のネットワークを介して前記基地局と接続される第2のサーバーとを備える通信制御システムにおける通信制御方法であって、
前記基地局は、
前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第1のIPアドレスに含まれる場合、前記第1のネットワークに接続されている第1のインターフェースに対して前記第1のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第1のIPアドレスを対応づけるとともに、前記第2のネットワークに接続されている第2のインターフェースに対して前記第2のサーバーに向けて送信されるメッセージの送信先を表わす第2のIPアドレスを対応づけるルーティングテーブルに基づき、前記第1のインターフェースに接続されている第1のネットワークを介して、当該メッセージを前記第1のサーバーに転送し、
前記移動体端末から受信したメッセージの送信先を表わすIPアドレスが前記第2のIPアドレスに含まれる場合、前記ルーティングテーブルに基づき、前記第2のインターフェースに接続されている第2のネットワークを介して、当該メッセージを前記第2のサーバーに転送することを特徴とする通信制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−130177(P2011−130177A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286649(P2009−286649)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
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