説明

通信制御装置、通信システム、及び通信方法

【課題】拠点外にSIPサーバを別途設けることなく、第一通信端末と第二通信端末との間で容易に内線通信を実行させることが可能な通信制御装置、通信制御システム、及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】通信制御装置11には、第一仮想端末33、及び第二仮想端末34が設けられる。第一仮想端末33には、通信制御装置11の配下のIP網で有効なSIP URIが割り当てられる。第二仮想端末34には、通信制御装置11の配下のIP網で有効なSIP URIが割り当てられる。呼制御装置31は、通信端末13と第一仮想端末33との間で呼制御通信を実行し、セッションを確立する(S59)。通信制御装置16は、通信端末20と第二仮想端末34との間で呼制御通信を実行し、セッションを確立する(S77)。第一仮想端末33及び第二仮想端末34は、一方のセッションを介して受信した通話データを、他方のセッションに中継転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末間の通信を制御する通信制御装置、通信システム、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SIP(Session Initiation Protocol)サーバを拠点内に設けることによって、IP網を使用した内線通信システムを構築する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。SIPサーバは、拠点内のIP網に接続する通信端末(IP電話など)間の呼制御を行う。これによって通信端末は、拠点内の他の通信端末との間で内線通信を開始することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−48180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の技術では、一拠点内にある第一通信端末が、他の拠点内にある第二通信端末と内線通信を行う為には、拠点外にSIPサーバを別途設けなければならないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、拠点外にSIPサーバを別途設けることなく、第一通信端末と第二通信端末との間で容易に内線通信を実行させることが可能な通信制御装置、通信システム、及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る通信制御装置は、他の通信制御装置と通信可能であり、且つ、配下の第一ネットワークに接続する通信端末間の呼制御を行う通信制御装置であって、前記通信制御装置において呼制御の対象とするアドレス形式である第一アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記第一ネットワーク内で使用されていない第一アドレス情報と、前記他の通信制御装置において呼制御の対象とするアドレス形式である第二アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記他の通信制御装置の配下の第二ネットワーク内で使用されていない第二アドレス情報とが対応付けて記憶された記憶手段を備えた通信制御装置であって、少なくとも一つ以上の制御部と、前記制御部への命令を記憶した少なくとも一つ以上のメモリとを備え、前記命令が実行されることにより、前記第一ネットワークに接続する通信端末である第一通信端末から、通信を開始する旨の要求を受け付ける第一受付ステップと、前記第一受付ステップにおいて前記要求を受け付けた場合に、前記記憶手段に記憶された前記第一アドレス情報を有する仮想的な第一仮想端末と、前記第一通信端末との間の第一セッションを確立させる第一確立ステップと、前記記憶手段に記憶された前記第二アドレス情報を有する仮想的な第二仮想端末と、前記第二ネットワークに接続する通信端末である前記第二通信端末との間の第二セッションの確立を、前記他の通信制御装置に対して要求する要求ステップと、前記要求ステップにおける要求に応じ、前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間の呼制御が前記他の通信制御装置において行われることによって、前記第二セッションが確立される第二確立ステップと、前記第一セッションを介して前記第一通信端末と前記第一仮想端末との間で通信されるデータと、前記第二セッションを介して前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間で通信されるデータとを中継することによって、前記第一通信端末と前記第二通信端末との間の通信を中継する中継ステップとを実行する。
【0007】
第一態様によれば、通信制御装置は、第一通信端末と第一仮想端末との間の第一セッションを確立させることができる。他の通信制御装置は、第二仮想端末と第二通信端末との間の第二セッションを確立させることができる。通信制御装置は、第一仮想端末と第二仮想端末との間でデータを中継することによって、第一セッションを介した通信と、第二セッションを介した通信とを中継することができる。通信制御装置は、通信を中継することによって、第一通信端末と第二通信端末との間の通信を実行させることができる。
【0008】
また第一態様において、前記通信制御装置は、前記第一確立ステップにおいて確立された前記第一セッションを介し、前記第一通信端末から、前記第二通信端末との通信を開始する旨の要求を受け付ける第二受付ステップを更に実行し、前記要求ステップは、前記第一受付ステップ及び前記第二受付ステップにおいて前記要求を受け付けた場合に、前記他の通信制御装置に対して前記第二セッションの確立を要求してもよい。通信制御装置は、第一セッションを確立した後、第二セッションを確立させることができる。このように通信制御装置は、セッションを段階的に確立させることで、効率的にセッションを確立させることができる。通信制御装置は、第一通信端末と第二通信端末との間の通信を、より少ない通信手順で迅速に開始させることができる。
【0009】
また第一態様において、前記通信制御装置は、通信可能な前記第二通信端末のIDを、前記第一セッションを介して前記第一通信端末に通知する通知ステップを更に実行し、前記第二受付ステップを実行する場合において、前記通知ステップにおいて通知された前記IDのうち前記第一通信端末において選択された前記IDを有する前記第二通信端末との通信を開始する旨の要求を受け付けてもよい。第一通信端末は、通信制御装置から通知を受けることによって、第二ネットワークに接続する第二通信端末のIDを認識することができる。第一通信端末は、通知されたIDから、通信を所望する第二通信端末のIDを選択することができる。通信制御装置は、第一通信端末において第二通信端末のIDが予めわからない場合であっても、第一通信端末と、第一通信端末が所望する第二通信端末との間の通信を実行させることができる。
【0010】
また第一態様において、前記通信制御装置は、前記第一受付ステップを実行する場合において、前記要求ステップにおいて要求される前記第二セッションの要求先の前記第二通信端末のIDを受け付け、前記要求ステップを実行する場合において、前記第一受付ステップにおいて受け付けられた前記IDを有する前記第二通信端末と前記第二仮想端末との間の前記第二セッションの確立を、前記他の通信制御装置に対して要求してもよい。通信制御装置は、より少ない通信手順で迅速に第一セッション及び第二セッションを確立し、第一通信端末と第二通信端末との間の通信を開始させることができる。
【0011】
本発明の第二態様に係る通信システムは、通信制御装置である第一通信制御装置及び第二通信制御装置を含む通信システムであって、前記第一通信制御装置は、少なくとも一つ以上の制御部と、前記制御部への命令を記憶した少なくとも一つ以上のメモリとを備え、前記命令が実行されることにより、前記第一通信制御装置の配下の第一ネットワークに接続する通信端末である第一通信端末から、通信を開始する旨の要求を受け付ける第一受付ステップと、前記第一受付ステップにおいて前記要求を受け付けた場合に、前記第一通信制御装置において呼制御の対象とされるアドレス形式である第一アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記第一ネットワーク内で使用されていない前記第一アドレス情報と、前記第二通信制御装置において呼制御の対象とされるアドレス形式である第二アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記第二通信制御装置の配下の第二ネットワーク内で使用されていない第二アドレス情報とが対応付けて格納された記憶手段に記憶された前記第一アドレス情報を有する仮想的な第一仮想端末と、前記第一通信端末との間の第一セッションを確立させる第一確立ステップと、前記記憶手段に記憶された前記第二アドレス情報を有する仮想的な第二仮想端末と、前記第二ネットワークに接続する通信端末である第二通信端末との間の第二セッションの確立を、前記第二通信制御装置に対して要求する要求ステップと、前記要求ステップにおける要求に応じ、前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間の呼制御が前記他の通信制御装置において行われることによって、前記第二セッションが確立される第二確立ステップと、前記第一セッションを介して前記第一通信端末と前記第一仮想端末との間で通信されるデータと、前記第二セッションを介して前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間で通信されるデータとを中継することによって、前記第一通信端末と前記第二通信端末との間の通信を中継する中継ステップとを実行し、前記第二通信制御装置は、少なくとも一つ以上の制御部と、前記制御部への命令を記憶した少なくとも一つ以上のメモリとを備え、前記命令が実行されることにより、前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間の前記第二セッションの確立の要求を受け付ける第二受付ステップと、前記第二受付ステップにおいて前記要求が受け付けられた場合に、前記第二セッションを確立する第三確立ステップとを実行する。第二態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0012】
本発明の第三態様に係る通信方法は、通信制御装置の配下の第一ネットワークに接続する通信端末である第一通信端末から、通信を開始する旨の要求を受け付ける第一受付ステップと、前記第一受付ステップにおいて前記要求を受け付けた場合に、前記通信制御装置において呼制御の対象とされるアドレス形式である第一アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記第一ネットワーク内で使用されていない第一アドレス情報と、他の前記通信制御装置において呼制御の対象とされるアドレス形式である第二アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記他の通信制御装置の配下の第二ネットワーク内で使用されていない第二アドレス情報とが対応付けて格納された記憶手段に記憶された前記第一アドレス情報を有する仮想的な第一仮想端末と、前記第一通信端末との間の第一セッションを確立させる第一確立ステップと、前記記憶手段に記憶された前記第二アドレス情報を有する仮想的な第二仮想端末と、前記第二ネットワークに接続する通信端末である第二通信端末との間の第二セッションの確立を、前記他の通信制御装置に対して要求する要求ステップと、前記要求ステップにおける要求に応じ、前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間の呼制御が前記他の通信制御装置において行われることによって、前記第二セッションが確立される第二確立ステップと、前記第一セッションを介して前記第一通信端末と前記第一仮想端末との間で通信されるデータと、前記第二セッションを介して前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間で通信されるデータとを中継することによって、前記第一通信端末と前記第二通信端末との間の通信を中継する中継ステップとを備えている。第三態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】通信システム1の概要を示す模式図である。
【図2】通信端末12と仮想端末32との間で実行される通信を説明するための図である。
【図3】通信端末17と仮想端末32との間で実行される通信を説明するための図である。
【図4】通信端末12と通信端末17との間で実行される通信を説明するための図である。
【図5】通信制御装置10の電気的構成を示すブロック図出ある。
【図6】通信端末13と通信端末20との間で実行される通信を示すシーケンス図である。
【図7】通信端末13と通信端末20との間で実行される通信を示すシーケンス図である。
【図8】通信制御装置11に記憶される登録テーブル241を示す模式図である。
【図9】通信制御装置16に記憶される登録テーブル242を示す模式図である。
【図10】第一メイン処理を示すフローチャートである。
【図11】第一発呼側処理を示すフローチャートである。
【図12】第一発呼側処理を示すフローチャートであって、図11の続きである。
【図13】第一被呼側処理を示すフローチャートである。
【図14】第一被呼側処理を示すフローチャートであって、図13の続きである。
【図15】第二メイン処理を示すフローチャートである。
【図16】第二発呼側処理を示すフローチャートである。
【図17】呼制御処理を示すフローチャートである。
【図18】第一仮想処理を示すフローチャートである。
【図19】第二仮想処理を示すフローチャートである。
【図20】第二被呼側処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0015】
図1を参照し、通信システム1の概要について説明する。通信システム1は、通信制御装置11、16、及び、通信端末13、14、15、18、19、20を備えている。通信制御装置11、16は、IP網2及び電話網5を介して接続している。IP網2は、TCP/IPに基づいて通信が行われる通信網である。電話網5は、電話回線が交換機によって接続される通信網である。電話網5は、固定電話網3及び移動電話網4を備えている。
【0016】
通信制御装置11、及び、通信端末13、14、15は、IP網6に接続している。通信制御装置11は、IP網6を介して通信端末13、14、15と通信を行うことができる。通信制御装置16、及び、通信端末18、19、20は、IP網7に接続している。通信制御装置16は、IP網7を介して通信端末18、19、20と通信を行うことができる。以下、通信制御装置11、16を特に区別しない場合、又は総称する場合、これらを通信制御装置10ともいう。通信端末13、14、15を特に区別しない場合、又は総称する場合、これらを通信端末12という。通信端末18、19、20を特に区別しない場合、又は総称する場合、これらを通信端末17ともいう。
【0017】
通信制御装置11は、通信端末12との間で呼制御通信を行うSIP(Session Initiation Protocol)サーバでもある。通信端末12は、PC、PDAなどの周知の情報端末機器である。通信端末13、14、及び15には、内線電話番号1、2、及び3が其々割り当てられている。通信端末12が他の通信端末12との通話を開始する場合、通信制御装置11と通信端末12との間でSIPに基づく呼制御通信が行われる。呼制御通信によって、通信端末12と他の通信端末12との間のセッションが確立される。通信端末12は、確立されたセッションを介して、他の通信端末12と通話を行うことができる。このようにIP網6内には、通信制御装置11が呼制御を管理する内線通信システムが構築されている。
【0018】
IP網6には、brother.comのドメイン名が割り当てられている。通信端末12には、内線電話番号をユーザ識別子とするSIP URIが割り当てられる。例えば、通信端末13の内線電話番号は1であるので、通信端末13に割り当てられるSIP URIは、1@brother.comとなる。通信端末14の内線電話番号は2であるので、通信端末14に割り当てられるSIP URIは、2@brother.comとなる。IP網6内では、通信端末12に割り当てられたSIP URIが、通信端末12のアドレス情報として使用される。
【0019】
通信制御装置11には、呼制御通信を行うことの可能な通信端末12の保持するIPアドレスと内線電話番号が登録される。通信制御装置11は、登録された内線電話番号によって通信端末12のSIP URIを特定し、通信端末12との間で呼制御通信を行う。図1では、通信端末13(内線電話番号:1)、14(内線電話番号:2)、及び15(内線電話番号:3)間で呼制御通信を行うことが可能な状態となっているので、通信制御装置11には、内線電話番号1、2、及び3と、通信端末13、14、15のIPアドレスとが登録されている。
【0020】
通信制御装置16と通信端末17との間でも同様に、SIPに基づく呼制御通信が行われる。IP網7内には、通信制御装置16が呼制御を管理する内線通信システムが構築されている。IP網7には、sister.comのドメイン名が割り当てられている。通信端末17には、内線電話番号をユーザ識別子とするSIP URIが割り当てられる。例えば、通信端末19の内線電話番号は2であるので、通信端末19に割り当てられるSIP URIは、2@sister.comとなる。通信端末20の内線電話番号は3であるので、通信端末20に割り当てられるSIP URIは、3@sister.comとなる。通信制御装置16には、呼制御通信を行うことの可能な通信端末17の保持するIPアドレスと内線電話番号が登録される。通信制御装置16は、登録された内線電話番号によって通信端末17のSIP URIを特定し、通信端末17との間で呼制御通信を行う。図1では、通信端末18(内線電話番号:1)、19(内線電話番号:2)、及び20(内線電話番号:3)間で呼制御通信を行うことが可能な状態となっているので、通信制御装置16には、内線電話番号1、2、及び3と、通信端末18、19、20のIPアドレスとが登録されている。
【0021】
通信制御装置11は、ドメイン名がbrother.comであるSIP URIが割り当てられた通信端末12との間で呼制御通信を行うことによって、IP網6に接続された通信端末12間のセッションを確立させることができる。通信制御装置11は、ドメイン名がsister.comであるSIP URIが割り当てられた通信端末17との間では、呼制御通信を行わない。このため通信制御装置11は、IP網7に接続した通信端末17との間で呼制御通信を行わない。同様に通信制御装置16は、ドメイン名がsister.comであるSIP URIが割り当てられている通信端末17との間で呼制御通信を行うので、IP網6に接続した通信端末12との間で呼制御通信を行わない。従って、通信端末12、17間のセッションを確立させる場合には、通常、IP網2に設けられた別のSIPサーバや、電話網5に設けられた回線交換機によって呼制御通信が行われる。但しこのような場合、別のSIPサーバを設ける必要があり、又、内線電話番号によって通話の相手方の通信端末を直接指定することはできないため不便である。
【0022】
これに対して本発明では、通信制御装置11に仮想的な通信端末32(図2参照)が設定される。以下、通信制御装置10に設定される仮想的な通信端末を、仮想端末ともいう。設定された仮想端末32には、ドメイン名がbrother.comであるSIP URI、及び、ドメイン名がsister.comであるSIP URIが割り当てられる。このため、ドメイン名がbrother.comであるSIP URIが仮想端末32において使用されることによって、通信制御装置11は、通信端末12と仮想端末32との間のセッションを確立させることができる。また、ドメイン名がsister.comであるSIP URIが仮想端末32において使用されることによって、通信制御装置16は、通信端末17と仮想端末32との間のセッションを確立させることができる。このように通信制御装置11は、仮想端末32を設定することによって、IP網6に接続した通信端末12との間のセッション、及び、IP網7に接続した通信端末17との間のセッションを確立させることができる。更に本発明では、仮想端末32は、双方のセッションが確立された後、セッション間で通話データを中継することができる。これによって、通信端末12と通信端末17との間で通話を実行させることが可能となる。
【0023】
図2から図4を参照し、通信端末12、17間の通話が開始されるまでの流れについて、詳細に説明する。はじめに通信制御装置11は、図2に示すように、仮想端末32を内部に仮想的に設ける。呼制御装置31は、通信制御装置11における呼制御機能を実現するためのプロセスを実行する装置として示されており、仮想端末32の有無にかかわらず常設されていることになる。呼制御装置31は、ドメイン名 brother.comを含むSIP URIが割り当てられた通信端末12との間で呼制御通信を行うことができる。仮想端末32は、通信端末12との間のセッション、及び通信端末17との間のセッションを確立させるためのプロセスを実行する。また仮想端末32は、双方のセッション間で通話データを中継するためのプロセスを実行する。仮想端末32には、1000@brother及び500@sister.comがSIP URIとして割り当てられる。以下、仮想端末32に割り当てられるSIP URIを、仮想アカウントともいう。仮想アカウントとして1000@brother及び500@sister.comが仮想端末32に割り当てられることによって、IP網6内において有効なSIP URIと、IP網7内において有効なSIP URIとが、仮想端末32に設定されたことになる。
【0024】
なお、図2から図4における呼制御装置31及び仮想端末32は、通信制御装置11内部の処理の説明を明確化するために模擬的に示されたものである。実際には、呼制御装置31及び仮想端末32の機能を実現させるためのプロセスが、通信制御装置11内で起動され実行されることになる。呼制御装置31及び仮想端末32は、物理的な装置として通信制御装置11内に設けられるのではない。
【0025】
仮想端末32のSIP URIのうちIP網6内で有効な1000@brother.comから、ユーザ識別子1000が内線電話番号として抽出される。内線電話番号1000は、呼制御装置31に登録される。これによって呼制御装置31は、通信端末12及び仮想端末32の間で呼制御通信を行うことが可能となる。仮想端末32のSIP URIのうちIP網7内で有効な500@sister.comから、ユーザ識別子500が内線電話番号500として抽出される。内線電話番号500は、通信制御装置16に登録される。これによって通信制御装置16は、通信端末17及び仮想端末32の間で呼制御通信を行うことが可能となる。これらによって仮想端末32は、IP網6内の通信端末12とセッションを確立させることが可能であり、且つ、IP網7内の通信端末17とセッションを確立させることが可能な状態になる。
【0026】
通信端末13と通信端末20との間で通話が開始される場合を想定する。通信端末13は、IP網7に接続する通信端末17のうち何れかとの通話の開始を、通信制御装置11に対して要求する。呼制御装置31は、IP網7に接続する通信端末17が通話の相手方として指定されている場合、通信端末13及び仮想端末32の間の呼制御通信を行う。図2に示すように、通信端末13と仮想端末32との間のセッション35が確立される。
【0027】
続いて通信端末13が、仮想端末32からの自動音声応答機能(IVR(Interactive Voice Response))による通知要求に応じて、通話の相手方の通信端末20を具体的に指定し、通信制御装置11に対して通話の開始を要求したとする。呼制御装置31は、通信端末20との通話の開始が要求された旨を、仮想端末32に対して通知する。仮想端末32は、通信端末20との間のセッショの確立を、IP網2を介して通信制御装置16に対して要求する。通信制御装置16は、仮想端末32と通信端末20との間で呼制御通信を行う。図3に示すように、通信端末20と仮想端末32との間のセッション36が確立される。仮想端末32は、通信端末13との間のセッション35(図1参照)が確立し、且つ、通信端末20との間のセッション36が確立した状態になる。
【0028】
仮想端末32は、セッション35及びセッション36が確立した場合、双方のセッション間の仲介処理を行う。図4に示すように、仮想端末32は、セッション35を介して通信端末13から通話データを受信した場合、受信した通話データをセッション36側に転送する。仮想端末32は、セッション36を介して通信端末20から通話データを受信した場合、受信した通話データをセッション35側に転送する。通話データは、仮想端末32によってセッション35、36間を中継されることになる(37)。仮想端末32において通話データの仲介処理が実行されることによって、通話データは、セッション35、36を介して通信端末13、20間で送受信される。これによって、通信端末13と通信端末20との間で通話が実行される。以上のように、仮想アカウントが割り当てられた仮想端末32が通信制御装置11に仮想的に設けられることによって、異なるIP網に接続した通信端末12、17間で通話を実行させることが可能となる。
【0029】
図5を参照し、通信制御装置10の電気的構成について説明する。通信制御装置10は、通信制御装置10の制御を司るCPU21を備えている。CPU21は、ROM22、RAM23、HDD24、第一通信I/F25、第二通信I/F26、第三通信I/F27、及びドライブ装置28と電気的に接続している。ROM22には、ブートプログラムやBIOS等が記憶される。RAM23には、タイマやカウンタ、一時的なデータが記憶される。HDD24には、CPU21の制御プログラムやOSが記憶される。第一通信I/F25は、IP網2、6、7を介して通信を行うためのコントローラである。第二通信I/F26は、固定電話網3を介して通信を行うためのコントローラである。第三通信I/F27は、移動電話網4を介して通信を行うためのコントローラである。ドライブ装置28は、記憶媒体281に記憶された情報を読み出すことができる。例えば、通信制御装置10のセットアップ時、記憶媒体281に記憶された制御プログラムは、ドライブ装置28によって読み出され、HDD24に記憶される。
【0030】
図6及び図7を参照し、通信制御装置11、16、及び、通信端末13、20間の通信手順について説明する。通信端末13が、IP網7に接続する通信端末20との通話を所望しているとする。なお通信端末13は、通信端末20の内線電話番号を認識していないものとする。通信端末20は、IP網6とは異なるIP網7に接続している。このため通信端末13は、通信端末20との通話を開始するために、通信制御装置11に呼制御装置31(図2参照)及び仮想端末32(図2参照)を設定させなければならない。なお、呼制御装置31において実行されるプロセスは、仮想端末32の有無にかかわらず常時動作していることになるので、ここでは、仮想端末32が新たに仮想的に設けられることになる。
【0031】
通信端末13は、仮想端末32の設定の要求信号を、通信制御装置11に対して送信する。以下、仮想端末32を設定する旨の要求信号を、設定要求信号ともいう。通信制御装置11は、設定要求信号を受信する(S11)。通信制御装置11は、通信端末20の呼制御を管理する通信制御装置16と以下の通信を行い、通信制御装置16に仮想アカウントの生成を要求する。通信制御装置11は、要求に応じて通信制御装置16が生成した仮想アカウントを取得し、仮想端末32に割り当てる。通信制御装置11は、通信制御装置16に仮想アカウントを生成させることによって、IP網7内で使用することが可能な内線電話番号を含むSIP URIを、仮想アカウントとして仮想端末32に割り当てることができる。
【0032】
通信制御装置11は、通信制御装置16との間の電話回線の接続を要求する信号を、通信制御装置16の電話番号宛に電話網5を介して送信する。以下、電話回線の接続を要求する信号を、接続要求信号ともいう。通信制御装置16は、接続要求信号を受信する(S13)。通信制御装置16は、オフフックすることで、接続要求信号に応じる(S15)。通信制御装置16から通信制御装置11に対して、電話回線の接続を許可する旨の応答信号が送信される。以下、電話回線の接続を許可する旨の応答信号を、接続応答信号ともいう。通信制御装置11は、接続応答信号を受信する(S17)。これによって、通信制御装置11と通信端末12との間の電話回線は接続する。接続された電話回線を介した通信が開始される。
【0033】
はじめに通信装制御置16は、IVRを使用し、通信制御装置11に対して所定音声のデータを自動送信する。所定音声は、通信制御装置16において仮想アカウントの生成要求に応じる旨を、通信制御装置11に通知するためのものである。通信制御装置11は、所定音声のデータを受信する(S19)。受信された所定音声は、通信端末13に対して送信される(S20)。通信端末13は、所定音声をスピーカから出力する。
【0034】
通信制御装置11は、通信制御装置16に対して通知する情報を準備する。通信制御装置16に対して通知する情報は、IPアドレス、及び、仮想端末32に割り当てることが可能な内線電話番号である。はじめに通信制御装置11は、IP網2を介して通信を行う際に送信元のアドレス情報として使用するIPアドレスを取得する。次に通信制御装置11は、仮想端末32に割り当てることが可能な内線電話番号を、登録テーブル241(図8参照)に基づいて特定する。図8を参照し、登録テーブル241について説明する。登録テーブル241は、通信制御装置11のHDD24に記憶されている。登録テーブル241には、通信制御装置11が管理することの可能な内線電話番号 1−1200が格納されている。内線電話番号は、IP網6に接続する通信端末12に割り当てることが可能な内線電話番号(割当用) 1−699と、仮想端末32に割り当てることが可能な内線電話番号(仮想用) 700−1200とに区別されている。通信制御装置11は、仮想端末32に割り当てることが可能な内線電話番号として700−1200を取得することができる。以下、仮想端末32に割り当てることが可能な内線電話番号を、許容番号ともいう。
【0035】
なお図8に示すように、登録テーブル241には、呼制御通信を行うことが可能な通信端末13、14、及び15の内線電話番号1、2、及び3が登録されている。登録テーブル241への登録は、登録する内線電話番号1、2、及び3に、ID、パスワード(PW)、及びIPアドレスが対応付けられることによって行われる。ID、パスワード、及びIPアドレスが対応付けられることによって、対応する内線電話番号が登録テーブル241に登録されることになる。通信制御装置11は、登録テーブル241に登録された内線電話番号、ID、パスワード、及びIPアドレスを使用することによって、通信端末12間で呼制御通信を行うことが可能となる。なお図8では、内線電話番号1000に対してID、パスワード、及びIPアドレスが対応付けられているが、これらの情報は、後述する処理(S39)によって登録テーブル241に記憶されるものである。従ってこの時点では、内線電話番号1000に対してID、パスワード、及びIPアドレス情報は対応付けられていない。
【0036】
図6に示すように、通信制御装置11は、取得されたIPアドレス及び許容番号700−1200を通知するDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号を、仮想アカウントの生成を要求するために通信制御装置16に対して送信する。以下、仮想アカウントの生成を要求するために送信されるDTMF信号であって、IPアドレス及び許容番号を通知するためのDTMF信号を、生成要求信号ともいう。通信制御装置16は、生成要求信号を受信する(S21)。通信制御装置16は、通信制御装置11のIPアドレス及び許容番号を取得する。
【0037】
通信制御装置16は、生成要求信号に応じて仮想アカウントを生成するか否かを判断する(S23)。仮想アカウントを生成するか否かの判断は、仮想アカウントの生成を許可する通信制御装置10の電話番号が格納された許可テーブルに基づいて行われる。通信制御装置16は、受信した生成要求信号の送信元の電話番号を特定する。通信制御装置16は、特定された電話番号が許可テーブルに格納されている場合、仮想アカウントを生成すると判断する。一方通信制御装置16は、特定された電話番号が許可テーブルに格納されていない場合、仮想アカウントを生成しないと判断する。
【0038】
通信制御装置16は、仮想アカウントを生成するか否かの判断結果を通知するDTMF信号を、通信制御装置11に対して送信する。以下、判断結果を通知するDTMF信号を、判断結果信号ともいう。通信制御装置11は、判断結果信号を受信する(S25)。通信制御装置11は、判断結果信号を受信した旨を通知するDTMF信号を、通信制御装置16に対して送信する。以下、信号を受信した旨を通知するDTMF信号を、ACK信号ともいう。通信制御装置16は、ACK信号を受信する(S27)。
【0039】
通信制御装置16は、通信制御装置11からACK信号を受信した場合、オンフックすることで、接続中の電話回線を切断する(S29)。通信制御装置16から通信制御装置11に対して、電話回線の切断を通知する旨の信号が送信される。以下、電話回線の切断を通知する旨の信号を、切断通知信号という。通信制御装置11は、切断通知信号を受信する(S31)。通信制御装置11と通信制御装置16との間の電話回線は切断される。
【0040】
以上のようにして通信制御装置11は、通信制御装置16との間の電話回線を接続し、接続された電話回線を介して生成要求信号を送信している。通信制御装置11は、通信制御装置16のIPアドレスがわからない場合であっても、通信制御装置16の電話番号を使用することによって、通信制御装置16に生成要求信号を送信することができる。電話網5の代わりにIP網2が使用された場合、IP網2内でパケットが消滅したり、IP網2に介在するNAT装置によってパケットがフィルタリングされたりする場合がある。これに対して通信制御装置11では、電話網5を使用して生成要求信号を送信することによって、通信制御装置16に対して確実に仮想アカウントの生成を要求することができる。
【0041】
また通信制御装置11は、生成要求信号を通信制御装置16に対して送信する場合にのみ、電話回線を接続することができる。生成要求信号の送信後、電話回線は直ちに切断される。従って通信制御装置11は、電話網を使用した場合に発生する回線使用料を抑制することができる。
【0042】
S31で切断通知信号が送信された後、通信制御装置16は、通信制御装置11に対して通知する情報を準備する。通信制御装置11に対して通知する情報は、IPアドレス、及び仮想アカウントである。はじめに通信制御装置16は、IP網2を介して通信を行う際に送信元のアドレス情報として使用するIPアドレスを取得する。
【0043】
次に通信制御装置16は、仮想端末32に割り当てる仮想アカウントのうち、IP網6に割り当てられているドメイン名 brother.comを含むSIP URIを、次のようにして特定する。S21で生成要求信号を受信した際に取得した許容番号 700−1200が参照される。許容番号 700−1200のうちいずれか一つが選択される。選択された内線電話番号をユーザ識別子として有し、且つ、IP網6に割り当てられているドメイン名 brother.comを有するSIP URIが特定される。図6では、許容番号700−1200から1000が選択された結果、1000@brother.comがSIP URIとして特定されている。
【0044】
次に通信制御装置16は、仮想端末32に割り当てる仮想アカウントのうち、IP網7に割り当てられているドメイン名 sister.comを含むSIP URIを、次のようにして特定する。通信制御装置16のHDD24に記憶された登録テーブル242(図9参照)が参照される。図9は、登録テーブル242を示している。登録テーブル242では、IP網7に接続する通信端末17に割り当てることが可能な内線電話番号 1−199と、仮想端末32に割り当てることが可能な内線電話番号 200−800とが示されている。仮想端末32に割り当てることが可能な内線電話番号 200−800のうちいずれか一つが選択される。選択された内線電話番号をユーザ識別子として有し、且つ、IP網7に割り当てられているドメイン名 sister.comを有するSIP URIが特定される。図6では、内線電話番号500が選択された結果、500@sister.comがSIP URIとして特定されている。1000@brother.com及び500@sister.comが、仮想アカウントとして生成されたことになる。
【0045】
仮想アカウントのうち SIP URI 500@sister.comは、登録テーブル242に登録される(S32)。登録テーブル242への登録は、次のようにして行われる。SIP URI 500@sister.comに対応するID、及びパスワードが作成される。作成されたID、及びパスワードは、ユーザ識別子 500によって特定される内線電話番号に対応付けられる。図8では、内線電話番号 500に対して、ID saitoh、及びパスワード xxxxxxが対応付けられている。なお図9では、内線電話番号500に対してIPアドレスが対応付けられているが、この情報は、後述の処理(S43)によって対応付けられるものである。従ってこの時点では、内線電話番号500に対してIPアドレス情報は対応付けられていない。
【0046】
図6に示すように、通信制御装置16は、取得されたIPアドレス、及び生成された仮想アカウント(1000@brother.com、500@sister.com(ID、及びパスワードを含む))を通信制御装置11に対して通知するために、IP網2を介した通信を開始する。通信制御装置16は、IPアドレス、及び、仮想アカウントを含むパケットを、通信制御装置11に対して送信する。以下、IPアドレス、及び、仮想アカウントを含むパケットを、仮想アカウントパケットという。通信制御装置16は、S21で生成要求信号を受信した際に取得したIPアドレスを、仮想アカウントパケットの宛先IPアドレスとして設定することができる。通信制御装置16は、通信制御装置11のIPアドレスが事前にわからない場合であっても、通信制御装置11との間の通信を確実に実行することができる。通信制御装置11は、仮想アカウントパケットを受信する(S33)。通信制御装置11は、仮想アカウントパケットを受信した旨を通知するACKパケットを、通信制御装置16に対して送信する。通信制御装置16は、ACKパケットを受信する(S35)。
【0047】
通信制御装置11では、仮想アカウントパケットを受信した後、仮想端末32が仮想的に設定される(S37)。S35で受信された仮想アカウント 1000@brother.com、500@sister.comは、設定された仮想端末32に割り当てられる。仮想端末32に割り当てられた仮想アカウント1000@brother.com、500@sister.comのユーザ識別子が、仮想端末32の内線電話番号として登録テーブル241(図8参照)に登録される(S39)。
【0048】
登録テーブル241への登録は、次のようにして行われる。ドメイン名 brother.comを有するSIP URI 1000@brother.comに対応するID、及びパスワードが作成される。ユーザ識別子 1000は、IP網6内で使用される仮想端末32の内線電話番号に相当する。作成されたID、及びパスワードは、登録テーブル241のうち内線電話番号 1000に対応付けられる。図8では、内線電話番号 1000に対して、ID suzuki、及びパスワード xxxxxxが作成され、対応付けられている。
【0049】
次に、ドメイン名 sister.comを有するSIP URI 500@sister.comの登録が行われる。ユーザ識別子 500は、IP網7内で使用される仮想端末32の内線電話番号に相当する。500@sister.comに対応するID及びパスワードは、仮想アカウントパケットに含まれている。内線電話番号 500、ID、及びパスワードは、登録テーブル241のうち内線電話番号 1000に対応付けられる。図8では、内線電話番号 1000に対して、内線電話番号500、ID saitoh、及びパスワード xxxxxxが対応付けられている。これらによって、仮想端末32に割り当てられた仮想アカウント 1000@brother.com、及び、500@sister.comのユーザ識別子が、仮想端末32の内線電話番号として登録テーブル241に登録されたことになる。
【0050】
仮想端末32は、呼制御装置31に対してREGSITER処理を行う(S40)。仮想端末32から呼制御装置31に対して、IPアドレスが通知される。通知されるIPアドレスとして、IP網6内で有効な通信制御装置11のIPアドレスがそのまま用いられる。通知されたIPアドレスは、登録テーブル241に格納される。図8では、IPアドレス aa.aa.aa.aaが格納されている。これによって通信制御装置11は、IP網6に接続する通信端末12と、仮想端末32との間で呼制御通信を行うことが可能となる。
【0051】
図6に示すように、次に通信制御装置11は、通信制御装置16に対するREGISTER処理を行う。仮想端末32に割り当てられた仮想アカウントのうちIP網7内で有効な仮想アカウント500@sister.comに対応するIPアドレスが作成される。作成されるIPアドレスとして、IP網6内で有効な通信制御装置11のIPアドレスがそのまま用いられる。作成されたIPアドレスは、登録テーブル241(図8参照)のうち内線電話番号 500に対応付けて格納される。内線電話番号 500、及びIPアドレス aa.aa.aa.aaを含むREGSITERパケットが、通信制御装置16に対して送信される。通信制御装置16は、REGISTERパケットを受信する(S41)。
【0052】
通信制御装置16は、登録要求パケットに含まれている内線電話番号 500、及びIPアドレス aa.aa.aa.aaを取得する。図9に示すように、登録テーブル242のうち取得された内線電話番号 500に対応付けて、IPアドレス aa.aa.aa.aaが格納される(S43)。登録テーブル242には、内線電話番号 500、ID saitoh、パスワード xxxxxx、及びIPアドレスaa.aa.aa.aaが格納された状態になる。これによって通信制御装置16は、IP網7に接続する通信端末17と、仮想端末32との間で呼制御通信を行うことが可能となる。
【0053】
通信制御装置11は、IP網7に接続する通信端末17との間で通話を行うことが可能となった旨を、IP網6に接続する通信端末12に対して通知する(S45)。通信端末12は、IP網7に接続する通信端末17との間で通話を行うことが可能となった旨をディスプレイに表示し、ユーザに通知する。通信制御装置16は、IP網6に接続する通信端末12との間で通話を行うことが可能となった旨を、IP網7に接続する通信端末17に対して通知する(S47)。通信端末17は、IP網6に接続する通信端末12との間で通話を行うことが可能となった旨をディスプレイに表示し、ユーザに通知する。
【0054】
以上のようにして通信制御装置11は、通信端末12、17間で内線通信を可能とするために必要な仮想端末32を、通信制御装置11内に仮想的に設けることができる。仮想端末32には、通信制御装置11、16が呼制御通信を行うことのできる仮想アカウントが割り当てられる。このため通信制御装置11は、別のサーバや回線交換機を使用することなく、通信端末12、17間で呼制御通信を行うことができる。
【0055】
また、仮想端末32に対して設定される仮想アカウントは、通信制御装置16において生成され、通信制御装置11に対して通知される。通信制御装置11は、通信制御装置16に仮想アカウントを選択させることができる。通信制御装置16は、IP網7内で使用されていない内線電話番号をユーザ識別子として有するSIP URIを生成し、仮想アカウントとして通信制御装置11に対して通知することができる。このため、仮想端末32に割り当てられる内線電話番号と、IP網7内で既に使用されている内線電話番号とが重複することを防止できる。このため通信制御装置16は、仮想端末32との間で確実に呼制御通信を行うことができる。
【0056】
通信制御装置11は、許容番号を通信制御装置16に対して通知し、通信制御装置16に許容番号の中からユーザ識別子を選択させることができる。選択されたユーザ識別子を有するSIP URIが、仮想アカウントとして生成される。これによって通信制御装置11は、仮想端末32に割り当てられる内線電話番号と、IP網6内で既に使用されている内線電話番号が重複することを防止できる。このため通信制御装置11は、仮想端末32との間で確実に呼制御通信を行うことができる。
【0057】
通信制御装置11に仮想端末32が設定された後、通信端末13と通信端末20との間で通話が可能となるまでの通信の手順について説明する。以下では、仮想端末32は、仮想アカウント1000@brother.comが割り当てられた第一仮想端末33と、仮想アカウント500@sister.comが割り当てられた第二仮想端末34とを有しているものとする。第一仮想端末33は、IP網6に接続された通信端末12との間のセッションを確立させるためのプロセスを実行する。第二仮想端末34は、IP網7に接続された通信端末17との間のセッションを確立させるためのプロセスを実行する。
【0058】
なお以下では、通信制御装置11内に常設された呼制御装置31、及び、仮想的に設けた第一仮想端末33、及び第二仮想端末34間でパケットの通信が行われると表現することによって、呼制御装置31、第一仮想端末33、及び第二仮想端末34に対応するプロセス間でメッセージやデータのやり取りが行われる状態を模擬的に説明している。実際には、呼制御装置31、第一仮想端末33、及び第二仮想端末34で実行されるプロセスは、すべて通信制御装置11において実行される。従って、呼制御装置31、第一仮想端末33、及び第二仮想端末34は物理的には実在せず、呼制御装置31、第一仮想端末33、及び第二仮想端末34間で実際にパケットの送受信が行われるわけではない。
【0059】
通信端末13のユーザは、仮想端末32の設定が終了した旨が通知された(S45、図6参照)後、IP網7に接続する通信端末17のうち何れかとの通話の開始を要求するために、所定の入力操作を行う。所定の入力操作として、例えば「#」のボタンを3回連続して入力する操作がある。通信端末13は、IP網6に接続する通信端末12との間の通話を開始するための発呼操作とは異なる入力操作がユーザによってされていると判断する。発呼操作とは異なる入力操作がユーザによってされていると判断された場合、呼制御装置31、第一仮想端末33、及び第二仮想端末34を介して、IP網7に接続する通信端末17との通話の開始が要求されたと判断する。
【0060】
通信端末13は、IP網7に接続する通信端末17との通話の開始を、通信制御装置11に対して要求する。以下、IP網7に接続する通信端末17との通話の開始を要求するためのパケットを、通話要求(外部)パケットともいう。通信端末13から通信制御装置11に対して通話要求(外部)パケットが送信され、通信制御装置11において受信される(S51)。受信された通話要求(外部)パケットは、呼制御装置31において処理される。
【0061】
呼制御装置31は、SIPに基づいた呼制御通信を開始する。登録テーブル241(図8参照)には、第一仮想端末33の仮想アカウント 1000@brother.comのうちユーザ識別子1000が、内線電話番号として登録されており(S39、図6参照)、且つ、REGISTER処理が完了している(S40、図6参照)。従って呼制御装置31は、通信端末13と第一仮想端末33との間で呼制御通信を行うことができる状態にある。呼制御装置31は、通信端末13から通話要求(外部)パケットを受信した場合、第一仮想端末33に対して、セッションの確立を要求する確立要求パケットを送信する(S53)。
【0062】
第一仮想端末33は、確立要求パケットを受信する(S53)。第一仮想端末33は、確立要求パケットに応じる応答パケットを、呼制御装置31に対して送信する。呼制御装置31は、応答パケットを受信する(S55)。呼制御装置31は、受信した応答パケットを、通信端末13に対して送信する。通信端末13は、応答パケットを受信する(S57)。通信端末13と第一仮想端末33との間で、セッションを確立させるための一連の呼制御通信が完了したことになる(S51、53、55、57)。通信端末13と第一仮想端末33との間のセッションは確立する(S59)。通信端末13と第一仮想端末33との間で、確立されたセッションを介した通信が可能な状態になる。
【0063】
通信端末13と第一仮想端末33との間で、確立されたセッションを介した通信が開始される。第一仮想端末33は、通信端末13のユーザに対して通話相手先の内線電話番号を問い合わせる音声のデータを、IVRによって通信端末13に対して送信する。内線電話番号を問い合わせる音声として、例えば「内線電話番号を入力してください。」等が送信される。音声には、IP網7に接続する通信端末18、19、及び20の内線電話番号1、2、及び3を通知するための音声が含められる。内線電話番号を通知するための音声として、例えば「通話可能な内線電話番号は、1、2、3です。」等が送信される。
【0064】
通信端末13は、音声のデータを受信する(S61)。通信端末13は、受信されたデータに基づいて音声をスピーカから出力する。ユーザに対して、内線電話番号が問合せられる。またユーザに対して、選択可能な内線電話番号が通知される。通信端末13のユーザは、通話相手先として選択することが可能な内線電話番号を、音声を聴くことで容易に認識することができる。通信端末13のユーザは、通話相手先として選択することが可能な内線電話番号が事前にわからない場合であっても、通話相手先の通信端末17を確実に選択し、通話を開始することができる。
【0065】
通信端末13のユーザは、通信端末13から出力される音声に従い、通話相手先の内線電話番号を通信端末13に対して入力する。通話相手先の内線電話番号として、通信端末20に割り当てられた内線電話番号3が入力されたとする。通信端末13は、IP網7に接続する通信端末17のうち内線電話番号3が割り当てられた通信端末20との通話の開始を要求するためのパケットを、確立中のセッションを介して第一仮想端末33に対して送信する。以下、内線電話番号nの通信端末17との通話の開始を要求するためのパケットを、通話要求(n)パケットという。第一仮想端末33は、通信端末13から送信された通話要求(3)パケットを、確立中のセッションを介して受信する(S63)。第一仮想端末33は、IP網7に接続する通信端末17のうち内線電話番号3が割り当てられた通信端末20との通話の開始が要求されたと判断する。第一仮想端末33は、通話が保留された状態である旨を通信端末13のユーザに対して通知する音声のデータを、IVRによって通信端末13に対して送信する。通話が保留された状態である旨を通知する音声として、例えば「接続中ですので少々お待ち下さい。」等が送信される。通信端末13は、音声のデータを受信する(S67)。通信端末13は、受信されたデータに基づいて音声をスピーカから出力する。通信端末13のユーザは、通話が保留された状態である旨を認識することができる。
【0066】
第一仮想端末33は、IP網7内で有効な仮想アカウント 500@sister.comが割り当てられた第二仮想端末34に対して、通信端末20との間のセッションの確立を依頼する。第二仮想端末34は、第一仮想端末33から、セッションの確立の依頼を受ける(S65)。第二仮想端末34は、通信端末20とのセッションの確立を要求する確立要求パケットを、通信制御装置16に対して送信する(S69)。確立要求パケットは、第二仮想端末34の仮想アカウント 500@sister.comから送信されることになる。確立要求パケットには、要求先の通信端末20のSIP URI 3@sister.comが格納される。
【0067】
通信制御装置16は、第二仮想端末34から送信された確立要求パケットを受信する(S69)。通信制御装置16には、第二仮想端末34の仮想アカウント 500@sister.comのうちユーザ識別子 500が、内線電話番号として登録テーブル242(図9参照)に登録されており(S32、図6参照)、且つ、REGISTER処理が完了している(S43、図6参照)。通信制御装置16は、仮想アカウント 500@sister.comを有する第二仮想端末34との間で呼制御通信を行うことが可能な状態にある。通信制御装置16は、第二仮想端末34がIP網7内に配置されているかのように認識しているためである。通信制御装置16は、SIP URI 3@sister.comが割り当てられた通信端末20に対して、受信した確立要求パケットを転送する。通信端末20は、確立要求パケットを受信する(S71)。通信端末20は、着信音の出力やディスプレイへの着信通知表示等によって、セッションの確立が要求された旨をユーザに通知する。
【0068】
通信端末20のユーザによって、着信操作(オフフックなど)がされたとする(S73)。通信端末20は、確立要求パケットに応じる応答パケットを、通信制御装置16に対して送信する。通信制御装置16は、応答パケットを受信する(S74)。通信制御装置16は、受信した応答パケットを、第二仮想端末34に対して転送する。第二仮想端末34は、応答パケットを受信する(S75)。通信端末20と第二仮想端末34との間で、セッションを確立させるための一連の呼制御通信が完了したことになる(S69、71、74、75)。通信端末13と第二仮想端末34とのセッションは確立する(S77)。通信端末20と第二仮想端末34との間で、確立されたセッションを介した通信が可能な状態になる。第二仮想端末34は、通信端末20との間のセッションが確立した旨を、第一仮想端末33に対して通知する(S79)。
【0069】
第一仮想端末33は、通信端末20との間のセッションが確立した旨の通知を、第二仮想端末34から受ける。第一仮想端末33は、通信端末20との間のセッションが確立された旨を通知する通知パケットを、確立されたセッションを介して通信端末13に対して送信する。通信端末13は、第一仮想端末33から送信された通知パケットを受信する(S83)。通知パケットを受信した通信端末13は、通信端末13と通信端末20との間で通話が可能となった旨を、通信端末13のユーザに通知する。
【0070】
通信端末13と第一仮想端末33との間のセッションは確立されている(S59)ので、通信端末13は、確立されたセッションを介して第一仮想端末33のSIP URI宛に通話データを送信することができる状態にある。通信端末13から送信される通話データの宛先は、第一仮想端末33に割り当てられた仮想アカウント 1000@brother.comとなる。また、通信端末20と第二仮想端末34との間のセッションは確立されている(S77)ので、通信端末20は、確立されたセッションを介して第二仮想端末34宛に通話データを送信することができる状態にある。通信端末20から送信される通話データの宛先は、第二仮想端末34に割り当てられた仮想アカウント 500@sister.comとなる。従ってこのままでは、通信端末13から送信された通話データは通信端末20に到達せず、且つ、通信端末20から送信された通話データは通信端末13に到達しない。
【0071】
そこで、第一仮想端末33が通信端末13から受信した通話データ、及び、第二仮想端末34が通信端末20から受信した通話データを中継することによって、通信端末13と通信端末20との間の通話が実現される。第一仮想端末33は、通信端末13から第一仮想端末33(1000@brother.com)宛に送信された通話データを受信した場合、受信した通話データを第二仮想端末34(500@sister.com)に受け渡す。通話データを受け渡す際の第一仮想端末33(1000@brother.com)と第二仮想端末34(500@sister.com)との対応関係は、登録テーブル241(図8参照)に基づいて判断される。第一仮想端末33は、登録テーブル241において内線電話番号1000と500とが対応付けられているので、1000@brother.comと500@sister.comとの対応関係を認識できる。第二仮想端末34は、第一仮想端末33から受けた通話データを、確立されたセッションを介して通信端末20に対して送信する。送信される通話データは、500@sister.comから送信されることになる。
【0072】
一方、第二仮想端末34は、通信端末20から第二仮想端末34(500@sister.com)宛に送信された通話データを受信した場合、受信した通話データを第一仮想端末33(1000@brother.com)に受け渡す。通話データを受け渡す際の第二仮想端末34(500@sister.com)と第一仮想端末33(1000@brother.com)との対応関係は、登録テーブル241(図8参照)に基づいて判断される。第一仮想端末33は、第二仮想端末34から受けた通話データを、確立されたセッションを介して通信端末13に対して送信する。送信される通話データは、仮想アカウント1000@brother.comから送信されることになる。
【0073】
このようにして仮想端末32では、一方のセッションを介して受信した通話データを、他方のセッション側に中継する(S89)。これによって、通信端末13、20間で通話データの送受信が実行され、通信端末13、20のユーザ間で通話が実行される(S85)。
【0074】
以上のようにして、IP網6に接続する通信端末12と第一仮想端末33との間のセッションが、呼制御装置31によって確立される。IP網7に接続する通信端末17と第二仮想端末34との間のセッションが、通信制御装置16によって確立される。第一仮想端末33と第二仮想端末34との間で通話データが中継されることによって、通信端末12、17間の通話が実行される。このため通信制御装置11は、別のサーバや回線交換機を使用することなく、通信端末12、17間で通話を実行させることができる。
【0075】
また通信制御装置11は、通信端末12と第一仮想端末33との間のセッションを確立させ、その後、通信端末20と第二仮想端末34との間のセッションを確立させることができる。このように通信制御装置11は、確立されたセッションを使用しながら、セッションを段階的に確立させることができる。これによって通信制御装置11は、通信端末12、17間のセッションを効率的に確立させることができる。通信制御装置11は、通信端末12、17間の通話を、より少ない通信手順で迅速に開始させることができる。
【0076】
図10から図20を参照し、通信制御装置10のCPU21において実行される第一メイン処理(図10−図14)及び第二メイン処理(図15−図20)について説明する。通信制御装置10の電源が投入された場合、第一メイン処理及び第二メイン処理は起動され実行される。第一メイン処理では、通信制御装置10に仮想端末32が設定されるまでの処理が実行される。第二メイン処理では、呼制御装置31及び仮想端末32を機能させることによって、通信端末12と通信端末17との間で通話を開始するための処理が実行される。
【0077】
図10から図14を参照し、第一メイン処理について説明する。配下のIP網に接続する通信端末12から、設定要求信号(S11、図6参照)を受信したかが判断される(S111)。設定要求信号が受信された場合(S111:YES)、他のIP網に接続する通信端末との間の通話を開始するために、仮想端末32の設定が要求されていることになる。第一発呼側処理(図11、12参照)が実行される(S113)。第一発呼側処理では、呼制御装置31及び仮想端末32が設定される。第一発呼側処理の詳細は後述する。第一発呼側処理の終了後、処理はS111に戻る。
【0078】
設定要求信号が受信されていない場合(S111:NO)、他の通信制御装置10から電話網5を介して接続要求信号(S13、図6参照)を受信したかが判断される(S115)。接続要求信号が受信された場合(S115:YES)、他の通信制御装置10から、仮想アカウントの生成が要求されていることになる。第一被呼側処理(図13、14参照)が実行される(S117)。第一被呼側処理では、仮想端末32に割り当てる仮想アカウントが生成される。第一被呼側処理の詳細は後述する。第一被呼側処理の終了後、処理はS111に戻る。接続要求信号が受信されていない場合(S115:NO)、処理はS111に戻る。
【0079】
図11を参照し、第一発呼側処理について説明する。以下では、図6に示す通信制御装置11のCPU21において第一発呼側処理が実行されることを想定して説明する。IP網6に接続する通信端末13から、設定要求信号を受信していることになる。通信制御装置16の電話番号が取得される(S121)。通信制御装置16の電話番号は、予めHDD24に記憶されていてもよい。また通信端末13のユーザは、通信制御装置16の電話番号を通信端末13に入力しても良い。通信端末13は、設定要求信号と同時に、入力された通信制御装置16の電話番号を、通信制御装置11に対して送信してもよい。通信制御装置11は、通信端末13から受信した電話番号を、通信制御装置16の電話番号として取得してもよい。電話番号は、複数取得されてもよい。例えば、固定電話網3用の電話番号と、移動電話網4用の電話番号とが取得されてもよい。
【0080】
通信制御装置16に対して、電話網5を介して接続要求信号(S13、図6参照)が送信される(S123)。S123で送信された接続要求信号に応じ、通信制御装置16から送信される接続応答信号(S17、図6参照)を受信したかが判断される(S125)。接続要求信号を送信してから所定時間経過後も、接続応答信号を受信できない場合(S125:NO)、S121で複数の電話番号が取得されており、且つ、接続要求信号の宛先として使用されていない電話番号が残っているかが判断される(S149)。該当する電話番号が残っている場合(S149:YES)、残りの電話番号宛に接続要求信号を送信するために、処理はS123に戻る。このようにして通信制御装置11は、一の電話番号を使用した電話回線の接続に失敗した場合であっても、他の電話番号を使用して電話回線を接続させることができる。例えば、固定電話網3の電話番号を使用して電話回線の接続が試みられ、失敗した場合に、移動電話網4の電話番号を使用して電話回線を接続させることができる。
【0081】
一方、取得された全ての電話番号宛に接続要求信号を送信しても、接続応答信号を受信できない場合(S149:NO)、通信制御装置16において電話回線の接続が拒否されていることになる。この場合、第一発呼側処理は終了し、処理は第一メイン処理(図10参照)に戻る。
【0082】
接続要求信号を送信してから所定時間内に、通信制御装置16から送信された接続応答信号(S17、図6参照)が受信された場合(S125:YES)、通信制御装置16との間の電話回線が接続される(S127)。接続中の電話回線を介して、通信制御装置16から送信される所定音声のデータ(S19、図6参照)が受信される(S129)。所定音声は、仮想アカウントの生成要求に応じる旨を通知するためのものである。所定音声のデータは、通信端末13に対して送信される。通信端末13のスピーカから、所定音声が出力される。
【0083】
なお上述において、所定音声のデータが受信できない場合、通信制御装置16において通常の着信操作が行われたと判断してもよい。この場合、接続中の電話回線を介して通話処理が実行されてもよい。
【0084】
IP網2を介して通信を行う際に送信元のアドレス情報として使用されるIPアドレスが取得される(S131)。なおIPアドレスは、予めHDD24に記憶されたIPアドレスを読み出すことによって取得されてもよい。又は、DHCPサーバによって通信制御装置11に対して割り当てられるIPアドレスが取得されてもよい。
【0085】
登録テーブル241(図8参照)が参照される。仮想端末32に割り当てることが可能な内線電話番号700−1200が、許容番号として取得される(S135)。DTMF信号からなる生成要求信号が作成される(S137)。S131で取得されたIPアドレス、及び、S135で取得された許容番号700−1200は、生成要求信号に含められる。作成された生成要求信号は、接続中の電話回線を介して通信制御装置16に対して送信される(S139)(S21(図6参照))。
【0086】
S133で送信された生成要求信号に応じ、通信制御装置16から送信される判断結果信号(S25、図6参照)が受信される(S141)。DTMF信号からなるACK信号が作成される(S143)。接続中の電話回線を介して、作成されたACK信号が通信制御装置16に対して送信される(S145)(S27、図6参照)。接続中の電話回線を介し、通信制御装置16から送信された切断通知信号(S31、図6参照)が受信される(S147)。接続中の電話回線は切断される(S147)。このように、接続された電話回線は、最低限の通信が実行された後、即座に切断される。これによって、電話回線の回線使用料を抑制することができる。
【0087】
なお上述では、通信制御装置16から切断通知信号が送信されているが、通信制御装置11がオンフックすることによって、通信制御装置16に対して切断通知信号を送信してもよい。
【0088】
図12に示すように、S141(図11参照)で受信された判断結果信号の内容が判断される(S151)。通信制御装置16において仮想アカウントを生成しないと判断されている場合(S151:NO)、仮想アカウントが通知されないので、仮想端末32を設定することができない。第一発呼側処理は終了し、処理は第一メイン処理(図10参照)に戻る。
【0089】
一方、通信制御装置16において仮想アカウントを生成すると判断されている場合(S151:YES)、通信制御装置16との間で、IP網2を介した通信が開始される。IP網2を介して通信制御装置16から送信された仮想アカウントパケット(S33、図6参照)が受信される(S153)。仮想アカウントパケットに含まれている通信制御装置16のIPアドレス、及び仮想アカウントが取得される。仮想アカウントパケットを受信した旨を通知するACKパケットが、IP網2を介して通信制御装置16に対して送信される(S155)(S35、図6参照)。
【0090】
なお上述では、仮想アカウントパケットに含まれているIPアドレスを、通信制御装置16のIPアドレスとして取得した。通信制御装置11は、仮想アカウントパケットの送信元のIPアドレスを、通信制御装置16のIPアドレスとして取得してもよい。
【0091】
仮想端末32が仮想的に設定される(S37、図6参照)。設定された仮想端末32に、S153で受信された仮想アカウントパケットから取得された仮想アカウント 1000@brother.com、500@sister.com(ID及びパスワード含む)が割り当てられる。取得された仮想アカウント 1000@brother.comのうちユーザ識別子に相当する部分 1000が、内線電話番号として抽出される。抽出された内線電話番号に対応するID、及びパスワードが作成される。抽出された内線電話番号、作成されたID、及びパスワードは、登録テーブル241(図8参照)に格納される。また、取得された仮想アカウント 500@sister.comのうちユーザ識別子に相当する部分 500が、内線電話番号として抽出される。抽出された内線電話番号、及び対応するID、パスワードが、登録テーブル241に格納される。これによって、仮想端末32に割り当てられた仮想アカウントの情報が、登録テーブル241に登録される。(S157)(S39、図6参照)。
【0092】
呼制御装置31に対する仮想端末32のREGISTER処理が実行される(S158)(S40、図6参照)。これによって、登録テーブル241のうち内線電話番号 1000に対応するIPアドレスが格納される。呼制御装置31は、通信端末12と仮想端末32との間で呼制御通信を行うことが可能となる。
【0093】
なお上述で作成されるID、及びパスワードは、通信端末13のユーザによって通信端末13を介して入力されてもよい。入力されたID、及びパスワードを通信端末13から受信することによって、これらの情報を特定してもよい。またID、及びパスワードは、通信制御装置11に対して直接入力されてもよい。
【0094】
通信制御装置16に対するREGISTER処理が以下のようにして実行される。500@sister.comに対応するIPアドレスが作成される。作成されたIPアドレス aa.aa.aa.aaは、登録テーブル241(図8参照)のうち内線電話番号 500に対応付けて格納される。内線電話番号 500、及び作成されたIPアドレス aa.aa.aa.aaを含むREGSITERパケットが、通信制御装置16に対して送信される(S159)(S41、図6参照)。IP網7に接続する通信端末17との間で通話を行うことが可能となった旨が、通信端末13に対して通知される(S161)(S45、図6参照)。第一発呼側処理は終了し、処理は第一メイン処理(図10参照)に戻る。
【0095】
図13を参照し、第一被呼側処理について説明する。以下では、図6に示す通信制御装置16のCPU21において第一被呼側処理が実行されることを想定して説明する。電話網5を介して、通信制御装置11から接続要求信号を受信していることになる。S115(図10参照)で受信された接続要求信号の送信元である通信制御装置11の電話番号が特定される(S171)。受信した接続要求信号に応じ、オフフックされる(S15、図6参照)。接続要求信号を送信した通信制御装置11に対して、接続応答信号(S17、図6参照)が送信される(S175)。これによって、通信制御装置11との間の電話回線は接続される。自動音声応答機能を使用し、接続中の電話回線を介して、仮想アカウントの生成要求に応じる旨を通知するための所定音声のデータが自動送信される(S177)(S19、図6参照)。
【0096】
所定音声のデータが送信された後、通信制御装置11から送信される生成要求信号(S21、図6参照)が受信される(S179)。生成要求信号には、通信制御装置11のIPアドレス、及び許容番号が含まれている。HDD24に記憶された許可テーブルが参照される。S171で特定された電話番号が許可テーブルに格納されているかが判断される(S181)。特定された電話番号が許可テーブルに格納されている場合、仮想アカウントを生成すると判断される。一方、特定された電話番号が許可テーブルに格納されていない場合、仮想アカウントを生成しないと判断される。DTMF信号からなる判断結果信号が作成される(S183)。判断結果信号は、通信制御装置11に対して送信される(S185)(S25、図6参照)。送信された判断結果信号に応じ、通信制御装置11から送信されるACK信号(S27、図6参照)が受信される(S187)。オンフックすることで(S29、図6参照)、通信制御装置11に対して切断通知信号が送信される(S189)(S31、図6参照)。これによって、接続中の電話回線は切断される。
【0097】
なお、仮想アカウントを生成するか否かの判断方法は、上述した方法に限定されない。例えば通信制御装置16は、S171で特定された電話番号をキーとし、認証サーバに問い合わせることによって、仮想アカウントを生成するか否かを判断してもよい。仮想アカウントの生成の可否は、通信制御装置11の電話番号以外の情報(例えばIDやパスワードなど)によって判断されてもよい。通信制御装置11は、所定の認証情報を生成要求信号に含めてもよい。通信制御装置16は、生成要求信号に含まれている認証情報が所定の条件を満たす場合に、仮想アカウントを生成すると判断してもよい。
【0098】
通信制御装置16は、接続応答信号を通信制御装置11に対して送信する(S175)前に、仮想アカウントを生成するか否かを判断してもよい。通信制御装置16は、仮想アカウントを生成すると判断した場合にのみ、接続応答信号を通信制御装置11に対して送信してもよい。これによって、不要な電話回線が接続されることを防止することができるので、電話回線の回線使用料を更に抑制することができる。
【0099】
図14に示すように、S181(図13参照)で、仮想アカウントを生成しないと判断された場合(S193:NO)、仮想アカウントは通信制御装置11に対して通知されることなく第一被呼側処理は終了する。処理は第一メイン処理(図10参照)に戻る。一方、仮想アカウントを生成すると判断された場合(S193:YES)、IP網2を介して通信を行う際に送信元のアドレス情報として使用するIPアドレスが取得される(S195)。IPアドレスは、予めHDD24に記憶されたIPアドレスを読み出すことによって取得されてもよいし、DHCPサーバによって通信制御装置16に対して割り当てられるIPアドレスが取得されてもよい。
【0100】
仮想端末32に割り当てる仮想アカウントが生成される(S197)。仮想アカウントの生成は、次のようにして行われる。S179(図13参照)で受信された生成要求信号に含まれている許容番号 700−1200が参照される。許容番号のうち1000が選択される。選択された番号をユーザ識別子として有し、IP網6に割り当てられているドメイン名 brother.comを有するSIP URI 1000@brother.comが、仮想端末32に割り当てる仮想アカウントのうちIP網6内で有効なSIP URIとして生成される。
【0101】
次に、HDD24に記憶された登録テーブル242(図9参照)が参照される。仮想端末32に割り当てることが可能な内線電話番号200−800のうち500が選択される。選択された内線電話番号をユーザ識別子として有し、且つ、IP網7に割り当てられているドメイン名 sister.comを有するSIP URI 500@sister.comが、仮想端末32に割り当てる仮想アカウントのうちIP網7内で有効なSIP URIとして生成される。
【0102】
生成された仮想アカウント 500@sister.comに対応するID saitoh、及びパスワード xxxxxxが作成され、ユーザ識別子 500によって特定される内線電話番号に対応付けられて格納される。これによって、500@sister.comは登録テーブル242に登録される(S198)(S32、図6参照)。
【0103】
IP網2を介した通信が開始される。S195で取得されたIPアドレス、及びS197で生成された仮想アカウント 1000@brother.com、500@sister.comを含む仮想アカウントパケットが、通信制御装置11に対して送信される(S199)(S33、図6参照)。S179(図13参照)で受信された生成要求信号に含まれているIPアドレスが、仮想アカウントパケットの宛先IPアドレスとして設定される。これによって仮想アカウントパケットは、通信制御装置11に対して確実に送信される。仮想アカウントパケットに応じて通信制御装置11から送信されるACKパケット(S35、図6参照)が受信される(S201)。
【0104】
ACKパケットの受信後、通信制御装置11から送信されるREGISTERパケット(S41、図6参照)が受信される(S203)。REGISTERパケットには、内線電話番号 500、及びIPアドレス aa.aa.aa.aa(図8参照)が含まれている。登録テーブル242(図9参照)のうち、取得された内線電話番号 500に対応付けて、受信されたIPアドレスが格納される(S205)(S47、図6参照)。これによって通信制御装置16は、通信端末17と仮想端末32との間で呼制御通信を行うことが可能となる。IP網6に接続する通信端末12との間で通話を行うことが可能となった旨が、通信端末17に対して通知される(S207)(S47、図6参照)。第一被呼側処理は終了し、処理は第一メイン処理(図10参照)に戻る。
【0105】
以上説明したように、通信制御装置11は、IP網6、7内で有効なSIP URIを仮想アカウントとして仮想端末32に対して割り当てることができる。これによって、異なるIP網に接続する通信端末間での通話を実行可能としている(第二メイン処理、後述)。通信制御装置10は、別のサーバや回線交換機を使用することなく、通信端末12、17間で通話を実行させることができる。
【0106】
なお上述では、仮想アカウントのうちIP網6内で有効なSIP URIは、通信制御装置16において生成されていたが、本発明はこれに限定されない。通信制御装置16は、IP網7内で有効なSIP URIのみを仮想アカウントとして生成してもよい。仮想アカウントのうちIP網6内で有効なSIP URIは、通信制御装置11において生成してもよい。これによって通信制御装置11は、生成されるSIP URIのユーザ識別子が、IP網6内での使用が禁止されている内線電話番号の中から選択されることを確実に防止することができる。
【0107】
上述では、登録テーブル241のうち、仮想アカウントに割り当てるために区別された内線電話番号が使用され、仮想アカウントが生成されていた。通信制御装置11は、登録テーブル241のうち、通信端末12に対して設定されていない内線電話番号、即ち、現時点で使用されていない内線電話番号が使用され、仮想アカウントが生成されてもよい。これによって、仮想アカウントのユーザ識別子として使用することが可能な内線電話番号の選択肢を増やすことができる。
【0108】
上述のように通信制御装置11が通信制御装置16と通信を行うことによって、仮想端末32が設定されたとする。この状態で通信端末14のユーザが、通信制御装置16とは異なる別の通信制御装置の配下のIP網に接続する別の通信端末との通話を所望したとする。この場合、上述と同様の方法によって、別の通信制御装置に対応する別の仮想端末が設定されることになる。従って、別の仮想端末には、仮想端末32に設定された仮想アカウントとは異なる別の仮想アカウントが設定される。これによって、異なる複数の他のネットワークに接続する通信端末との間で通話が同時に実行される場合でも、所望する相手方と確実に通話が行われる。
【0109】
上述の通信のうち、通信制御装置16から送信される判断結果信号に、仮想アカウントを含めてもよい。これによって、通信制御装置11、16間で実行される通信の頻度を抑制することができる。通信制御装置11は仮想端末32を迅速に設定することができる。
【0110】
上述におけるIP網2を介した通信は、例えばVPN(Virtual Private Network)を介して実行されてもよい。
【0111】
図15から図20を参照し、第二メイン処理について説明する。配下のIP網に接続する通信端末12から、通話要求(外部)パケット(S51、図7参照)を受信したかが判断される(S211)。通話要求(外部)パケットが受信された場合(S211:YES)、他のIP網に接続する通信端末との間の通話の開始が要求されていることになる。第二発呼側処理(図16参照)が実行される(S213)。第二発呼側処理では、呼制御装置31、第一仮想端末33、及び第二仮想端末34の機能を実現するためのプロセスが起動され、其々が実行されることになる。呼制御装置31の機能を実現するためのプロセスが、呼制御装置(図17参照)に相当する。第一仮想端末33の機能を実現させるためのプロセスが、第一仮想処理(図18参照)に相当する。第二仮想端末34の機能を実現するためのプロセスが、第二仮想処理(図19参照)に相当する。第二発呼側処理の詳細は後述する。第二発呼側処理の終了後、処理はS211に戻る。
【0112】
通話要求(外部)パケットが受信されていない場合(S211:NO)、他の通信制御装置10からIP網2を介して確立要求パケット(S69、図7参照)を受信したかが判断される(S215)。確立要求パケットが受信された場合(S215:YES)、他の通信制御装置10から、セッションの確立が要求されていることになる。第二被呼側処理(図20参照)が実行される(S217)。第二被呼側処理では、第二仮想端末34との間のセッションを確立させるための処理が実行される。第二被呼側処理の詳細は後述する。第二被呼側処理の終了後、処理はS211に戻る。確立要求信号が受信されていない場合(S215:NO)、処理はS211に戻る。
【0113】
図16を参照し、第二発呼側処理について説明する。以下では、図7に示す通信制御装置11のCPU21において第二発呼側処理が実行されることを想定して説明する。IP網6に接続する通信端末13から、通話要求(外部)パケットを受信していることになる。
【0114】
呼制御処理(図17参照)が起動される(S221)。第一発呼側処理(図11参照)において仮想的に設定された呼制御装置31において実行される処理が、呼制御処理に相当する。呼制御処理では、通信制御装置11における呼制御機能が実現される。呼制御処理の詳細は後述する。第一仮想処理(図18参照)が起動される(S223)。第一発呼側処理(図11参照)において仮想的に設定された第一仮想端末33(仮想アカウント:1000@brother.com)において実行される処理が、第一仮想処理に相当する。第一仮想処理では、IP網6内での呼制御通信が実行される。第一仮想処理の詳細は後述する。第二仮想処理(図19参照)が起動される(S225)。第一発呼側処理(図11参照)において仮想的に設定された第二仮想端末34(仮想アカウント:500@sister.com)において実行される処理が、第二仮想処理に相当する。第二仮想処理では、IP網7内での呼制御通信が実行される。第二仮想処理の詳細は後述する。起動された呼制御処理、第一仮想処理、及び第二仮想処理は、並列して実行される。
【0115】
通信端末13、20間の通話が終了したかが判断される(S227)。通信端末13、20間の通話が終了していない場合(S227:NO)、処理はS227に戻る。通信端末13、20巻の通話が終了した場合(S227:YES)、S221で起動された呼制御処理は終了される(S229)。S223で起動された第一仮想処理は終了される(S231)。S225で起動された第二仮想処理は終了される(S233)。第二発呼側処理は終了し、処理は第二メイン処理(図15参照)に戻る。
【0116】
なお以下では、呼制御処理を実行する呼制御装置31、第一仮想処理を実行する第一仮想端末33、及び、第二仮想処理を実行する第二仮想端末34において其々処理が実行されるように模擬的に表現されている。また、呼制御装置31、第一仮想端末33、及び第二仮想端末34間でパケットが送受信されるように模擬的に表現されている。しかしながら、呼制御装置31、第一仮想端末33、及び第二仮想端末34は、通信制御装置11内に仮想的に設定されたものであり、実在するわけではない。実際には、呼制御処理、第一仮想処理、及び第二仮想処理は、通信制御装置11のCPU21において実行されるものである。また、パケットが送受信されるという表現は、実際には、パケットに含まれるデータやメッセージが処理間でやり取りされることを意味している。物理的に実在するパケットが、実際に送受信されているのではない。
【0117】
図17を参照し、呼制御処理について説明する。S211(図15参照)で、通信端末13から通話要求(外部)パケットを受信しているので、SIPに基づいた呼制御通信が開始される。第一仮想端末33の仮想アカウント 1000@brother.comのうちユーザ識別子1000は、登録テーブル241(図8参照)に既に登録されている(S158、図12参照)。通信端末13と第一仮想端末33との間で呼制御通信を行うことができる状態にある。第一仮想端末33に対して、確立要求パケットが送信される(S237)(S53、図7参照)。
【0118】
確立要求パケットが第一仮想端末33に対して送信された後、第一仮想端末33から送信される応答パケットが受信される(S239)(S55、図7参照)。受信した応答パケットは、通信端末13に対して転送される(S241)。通信端末13と第一仮想端末33との間で、セッションを確立させるための一連の呼制御通信が完了したことになる。通信端末13と第一仮想端末33とのセッションは確立する(S243)(S59、図7参照)。通信端末13と第一仮想端末33との間で、確立されたセッションを介した通信が可能な状態になる。呼制御処理は終了する。
【0119】
図18を参照し、第一仮想処理について説明する。呼制御装置31から送信された確立要求パケット(S53、図7参照)を受信したかが判断される(S251)。確立要求パケットが受信されていない場合(S251:NO)、処理はS251に戻る。呼制御装置31から送信された確立要求パケットが受信された場合(S251:YES)、通信端末13との間のセッションを確立させるために、呼制御装置31に対して応答パケットが送信される(S253)(S55、図7参照)。通信端末13との間で、セッションを確立させるための一連の呼制御通信が完了したことになる。通信端末13との間のセッションは確立する(S255)(S59、図7参照)。通信端末13との間で、確立されたセッションを介した通信が可能な状態になる。
【0120】
通信端末13との間で、確立されたセッションを介した通信が開始される。通信端末13のユーザに対して通話相手先の内線電話番号を問い合わせる音声のデータが、IVRによって通信端末13に対して送信される(S257)。音声には、IP網7に接続する通信端末18、19、及び20の内線電話番号1、2、及び3を通知するための音声が含められる。通信端末13は、音声のデータを受信し、音声をスピーカから出力する。ユーザは、通話可能な通信端末17の内線電話番号1、2、3を認識できる。通信端末13から送信される通話要求(n)パケットの受信が監視される(S259)。通話要求(n)パケットが受信されない場合(S259:NO)、処理はS259に戻る。
【0121】
通信端末13のユーザによって、通話相手先の内線電話番号3が入力される。通話要求(3)パケットが、通信端末13から第一仮想端末33に対して送信され、通話要求(3)パケットが受信される(S259:YES)。IP網7に接続する通信端末17のうち内線電話番号3が割り当てられた通信端末20との通話の開始が要求されたと判断される。IP網7内で有効な仮想アカウント 500@sister.comが割り当てられた第二仮想端末34が、登録テーブル241に基づいて特定される。第二仮想端末34に対して、通信端末20との間のセッションの確立が依頼される(S261)(S65、図7参照)。
【0122】
通話が保留された状態である旨を通信端末13のユーザに対して通知する音声のデータが、S255で確立されたセッションを介して、IVRによって通信端末13に対して送信される(S263)(S67(図7参照))。通信端末13は、音声のデータを受信し、スピーカから出力する。通信端末13のユーザは、通話が保留された状態である旨を認識することができる。
【0123】
第二仮想端末34からの通知であって、通信端末20と第二仮想端末34との間のセッションが確立した旨の通知が監視される(S265)。通知が受信されない場合(S265:NO)、処理はS265に戻る。通信端末20と第二仮想端末34との間のセッションが確立した旨の通知(S79、図7参照)を、第二仮想端末34から受信した場合(S265:YES)、通信端末13との間で確立されたセッションを介して、通信端末13に通知パケットが送信される(S267)(S83(図7参照))。通知パケットを受信した通信端末13は、通信端末13と通信端末20との間で通話が可能となった旨を、通信端末13のユーザに通知する。ユーザは、通信端末20との通話が可能となたことを認識することができる。
【0124】
通信端末13との間のセッションを介し、通信端末13から第一仮想端末33宛の通話データが受信されたとする。通話データは、第一仮想端末33の仮想アカウント 1000@brother.com宛に送信されている。受信された通話データは、第二仮想端末34に対して受け渡される。第二仮想端末34は、第一仮想端末33から通話データを受け取った場合、通話データを、通信端末20との間のセッションを介して通信端末20に対して送信する。また、第二仮想端末34から通話データを受け取ったとする。受け取った通話データは、通信端末13との間のセッションを介して、通信端末13に対して送信される。通話データは、第一仮想端末33の仮想アカウント 1000@brother.comから送信されることになる。このようにして、通話データの中継処理が実行される(S269)(S89、図7参照)。これによって、通信端末13、20間で通話データが送受信され、通話が実行される。第一仮想処理は終了する。
【0125】
図19を参照し、第二仮想処理について説明する。第一仮想端末33から、通信端末20との間のセッションの確立の依頼(S65、図7参照)があったかが判断される(S271)。第一仮想端末33からの依頼が無い場合(S271:NO)、処理はS271に戻る。第一仮想端末33から、通信端末20との間のセッションに確立の依頼(S65、図7参照)があった場合(S271:YES)、確立要求パケットが通信制御装置16に対して送信される(S273)(S69、図7参照)。確立要求パケットには、通信端末20のSIP URI 3@sister.comが格納される。
【0126】
送信された確立要求パケットに応じ、通信制御装置16から送信される応答パケットが受信される(S275)(S75(図7参照))。通信端末20との間で、セッションを確立させるための一連の呼制御通信が完了したことになる。通信端末20とのセッションが確立される(S277)(S77(図7参照))。通信端末20との間で、確立されたセッションを介した通信が可能な状態になる。通信端末20との間のセッションが確立した旨が、第一仮想端末33に対して通知される(S279)(S79(図7参照))。
【0127】
通信端末20との間のセッションを介し、通信端末20から通話データが受信されたとする。通話データは、第二仮想端末34の仮想アカウント 500@sister.com宛に送信されている。受信された通話データは、第一仮想端末33に対して受け渡される。第一仮想端末33は、第二仮想端末34から通話データを受け取った場合、通話データを、通信端末13との間のセッションを介して通信端末13に対して送信する。また、第一仮想端末33から通話データを受け取ったとする。受け取った通話データは、通信端末20との間のセッションを介して、通信端末20に対して送信される。通話データは、第二仮想端末34の仮想アカウント 500@sister.comから送信されることになる。このようにして、通話データの中継処理が実行される(S281)(S89、図7参照)。これによって、通信端末13、20間で通話のデータが送受信され、通話が実行される。第二仮想処理は終了する。
【0128】
図20を参照し、第二被呼側処理について説明する。S215(図15参照)で、第二仮想端末34から確立要求パケットを受信している。第二仮想端末34の仮想アカウント 500@sister.comのうちユーザ識別子500は、登録テーブル242(図9参照)に登録されている(S205、図14参照)。仮想アカウント500@sister.comを有する第二仮想端末34との間で呼制御通信を行うことが可能な状態にある。確立要求パケットには、SIP URI 3@sister.comが格納されている。SIP URI 3@sister.comが割り当てられた通信端末20に対して、確立要求パケットが転送される(S293)。確立要求パケットが送信された後、通信端末20から送信される応答パケットの受信が監視される(S295)。応答パケットが受信されない場合(S295:NO)、処理はS295に戻る。
【0129】
通信端末20のユーザによって着信操作(オフフックなど)がされた場合(S73、図7参照)、通信端末20から通信制御装置16に対して応答パケットが送信される(S74、図7参照)。通信端末20から送信された応答パケットが受信される(S295:YES)。受信された応答パケットは、第二仮想端末34に対して転送される(S297)(S75(図7参照))。通信端末20と第二仮想端末34との間で、セッションを確立させるための一連の呼制御通信が完了したことになる。通信端末13と第二仮想端末34とのセッションが確立される(S299)(S77(図7参照))。通信端末20と第二仮想端末34との間で、確立されたセッションを介した通信が可能な状態になる。第二被呼側処理は終了する。
【0130】
以上説明したように、IP網6に接続する通信端末12と第一仮想端末33との間のセッションが、呼制御装置31によって確立される。IP網7に接続する通信端末17と第二仮想端末34との間のセッションが、通信制御装置16によって確立される。第一仮想端末33と第二仮想端末34との間で通話データが中継されることによって、通信端末12、17間の通話が実行される。このため通信制御装置11は、別のサーバや回線交換機を使用することなく、通信端末12、17間で通話を実行させることができる。
【0131】
また通信制御装置11は、順に確立されるセッションを使用しながら、最終的に通信端末13と通信端末20との間の通話を開始させることができる。これによって通信制御装置11は、通信端末13、20間のセッションを効率的に確立させることができるので、短時間で迅速に通話を開始させることができる。
【0132】
なお上述では、通信端末13は、通話要求(外部)パケット、及び通話要求(3)パケットを受信することによって、最終的に通信端末13、20間で通話が可能となった。通信端末13において、通話の相手方の内線電話番号を予め認識している場合には、通話要求(外部)パケットを送信することなく、最初から通話要求(3)パケットを送信してもよい。通信制御装置11は、通話要求(外部)パケットを受信することなく通話要求(3)パケットを受信した場合、通信装置13と第一仮想端末33との間のセッション、及び、通信端末20と第二仮想端末34との間のセッションを順番に確立してもよい。これによって通信制御装置11は、より少ない通信手順で迅速に複数のセッションを確立し、通信端末13と通信端末20との間で通話を開始させることができる。
【0133】
上述では、IP網7に接続する通信端末17との通話の開始を要求する場合に、通信端末13から通信制御装置11に対して通話要求(外部)パケットが送信されていた。例えば通信端末13は、第一仮想端末33に割り当てられている内線電話番号1000宛に電話を掛けてもよい。通信端末13からは、通話要求(外部)パケットの代わりに、第一仮想端末33とのセッションの確立を要求する確立要求パケットが送信されてもよい。これによって、通信端末13と第一仮想端末33との間のセッションが確立されてもよい。なお第一仮想端末33に割り当てられている内線電話番号1000は、第一仮想端末33が設定された際に、通信端末13に対して通知されてもよい。
【0134】
登録テーブル241(図8参照)、及び登録テーブル242(図9参照)では、IPアドレスが対応付けて格納されていたが、IPアドレス及びポート番号が対応付けて格納されてもよい。これによって、呼制御通信時、及びセッション確立後のデータ通信時において、IPアドレス及びポート番号を指定して通信を行うことができる。これによって、ルータやゲートウェイ等によってデータがフィルタリングされてしまうことを抑制できる。
【0135】
上述では、通信端末11において仮想端末32が設定された後、複数のセッションが確立されていた。例えば通信制御装置11には、仮想端末32が予め設定されていてもよい。通信制御装置11は、図8にて示される状態の登録テーブル241を予め有していてもよい。通信制御装置16は、図9にて示される状態の登録テーブル242を予め有していてもよい。これによって通信制御装置11は、仮想アカウントを取得するための通信を行うことなく、異なるIP網に接続された通信端末間の通話を開始させることができる。
【0136】
IP網6が本発明の「第一ネットワーク」に相当する。IP網7が本発明の「第二ネットワーク」に相当する。S211の処理が本発明の「第一受付ステップ」に相当する。S243、S255の処理が本発明の「第一確立ステップ」に相当する。S273の処理が本発明の「要求ステップ」に相当する。S277の処理が本発明の「第二確立ステップ」に相当する。S269、S281の処理が本発明の「中継ステップ」に相当する。S259の処理が本発明の「第二受付ステップ」に相当する。S257の処理が本発明の「通知ステップ」に相当する。S215の処理が本発明の「第二受付ステップ」に相当する。S299の処理が本発明の「第二確立ステップ」に相当する。
【符号の説明】
【0137】
1 通信システム
2 IP網
5 電話網
10、11、16 通信制御装置
12、13、14、15、17、18、19、20 通信端末
31 呼制御装置
32 仮想端末
33 第一仮想端末
34 第二仮想端末
35、36 セッション
241、242 登録テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信制御装置と通信可能であり、且つ、配下の第一ネットワークに接続する通信端末間の呼制御を行う通信制御装置であって、前記通信制御装置において呼制御の対象とするアドレス形式である第一アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記第一ネットワーク内で使用されていない第一アドレス情報と、前記他の通信制御装置において呼制御の対象とするアドレス形式である第二アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記他の通信制御装置の配下の第二ネットワーク内で使用されていない第二アドレス情報とが対応付けて記憶された記憶手段を備えた通信制御装置であって、
少なくとも一つ以上の制御部と、前記制御部への命令を記憶した少なくとも一つ以上のメモリとを備え、前記命令が実行されることにより、
前記第一ネットワークに接続する通信端末である第一通信端末から、通信を開始する旨の要求を受け付ける第一受付ステップと、
前記第一受付ステップにおいて前記要求を受け付けた場合に、前記記憶手段に記憶された前記第一アドレス情報を有する仮想的な第一仮想端末と、前記第一通信端末との間の第一セッションを確立させる第一確立ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記第二アドレス情報を有する仮想的な第二仮想端末と、前記第二ネットワークに接続する通信端末である前記第二通信端末との間の第二セッションの確立を、前記他の通信制御装置に対して要求する要求ステップと、
前記要求ステップにおける要求に応じ、前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間の呼制御が前記他の通信制御装置において行われることによって、前記第二セッションが確立される第二確立ステップと、
前記第一セッションを介して前記第一通信端末と前記第一仮想端末との間で通信されるデータと、前記第二セッションを介して前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間で通信されるデータとを中継することによって、前記第一通信端末と前記第二通信端末との間の通信を中継する中継ステップと
を実行することを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
前記通信制御装置は、
前記第一確立ステップにおいて確立された前記第一セッションを介し、前記第一通信端末から、前記第二通信端末との通信を開始する旨の要求を受け付ける第二受付ステップを更に実行し、
前記要求ステップは、
前記第一受付ステップ及び前記第二受付ステップにおいて前記要求を受け付けた場合に、前記他の通信制御装置に対して前記第二セッションの確立を要求することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記通信制御装置は、
通信可能な前記第二通信端末のIDを、前記第一セッションを介して前記第一通信端末に通知する通知ステップを更に実行し、
前記第二受付ステップを実行する場合において、
前記通知ステップにおいて通知された前記IDのうち前記第一通信端末において選択された前記IDを有する前記第二通信端末との通信を開始する旨の要求を受け付けることを特徴とする請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記通信制御装置は、前記第一受付ステップを実行する場合において、
前記要求ステップにおいて要求される前記第二セッションの要求先の前記第二通信端末のIDを受け付け、
前記要求ステップを実行する場合において、
前記第一受付ステップにおいて受け付けられた前記IDを有する前記第二通信端末と前記第二仮想端末との間の前記第二セッションの確立を、前記他の通信制御装置に対して要求することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項5】
通信制御装置である第一通信制御装置及び第二通信制御装置を含む通信システムであって、
前記第一通信制御装置は、
少なくとも一つ以上の制御部と、前記制御部への命令を記憶した少なくとも一つ以上のメモリとを備え、前記命令が実行されることにより、
前記第一通信制御装置の配下の第一ネットワークに接続する通信端末である第一通信端末から、通信を開始する旨の要求を受け付ける第一受付ステップと、
前記第一受付ステップにおいて前記要求を受け付けた場合に、前記第一通信制御装置において呼制御の対象とされるアドレス形式である第一アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記第一ネットワーク内で使用されていない前記第一アドレス情報と、前記第二通信制御装置において呼制御の対象とされるアドレス形式である第二アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記第二通信制御装置の配下の第二ネットワーク内で使用されていない第二アドレス情報とが対応付けて格納された記憶手段に記憶された前記第一アドレス情報を有する仮想的な第一仮想端末と、前記第一通信端末との間の第一セッションを確立させる第一確立ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記第二アドレス情報を有する仮想的な第二仮想端末と、前記第二ネットワークに接続する通信端末である第二通信端末との間の第二セッションの確立を、前記第二通信制御装置に対して要求する要求ステップと、
前記要求ステップにおける要求に応じ、前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間の呼制御が前記他の通信制御装置において行われることによって、前記第二セッションが確立される第二確立ステップと、
前記第一セッションを介して前記第一通信端末と前記第一仮想端末との間で通信されるデータと、前記第二セッションを介して前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間で通信されるデータとを中継することによって、前記第一通信端末と前記第二通信端末との間の通信を中継する中継ステップと
を実行し、
前記第二通信制御装置は、
少なくとも一つ以上の制御部と、前記制御部への命令を記憶した少なくとも一つ以上のメモリとを備え、前記命令が実行されることにより、
前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間の前記第二セッションの確立の要求を受け付ける第二受付ステップと、
前記第二受付ステップにおいて前記要求が受け付けられた場合に、前記第二セッションを確立する第三確立ステップと
を実行することを特徴とする通信システム。
【請求項6】
通信制御装置の配下の第一ネットワークに接続する通信端末である第一通信端末から、通信を開始する旨の要求を受け付ける第一受付ステップと、
前記第一受付ステップにおいて前記要求を受け付けた場合に、前記通信制御装置において呼制御の対象とされるアドレス形式である第一アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記第一ネットワーク内で使用されていない第一アドレス情報と、他の前記通信制御装置において呼制御の対象とされるアドレス形式である第二アドレス形式に基づいて決定されるアドレス情報のうち、前記他の通信制御装置の配下の第二ネットワーク内で使用されていない第二アドレス情報とが対応付けて格納された記憶手段に記憶された前記第一アドレス情報を有する仮想的な第一仮想端末と、前記第一通信端末との間の第一セッションを確立させる第一確立ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記第二アドレス情報を有する仮想的な第二仮想端末と、前記第二ネットワークに接続する通信端末である第二通信端末との間の第二セッションの確立を、前記他の通信制御装置に対して要求する要求ステップと、
前記要求ステップにおける要求に応じ、前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間の呼制御が前記他の通信制御装置において行われることによって、前記第二セッションが確立される第二確立ステップと、
前記第一セッションを介して前記第一通信端末と前記第一仮想端末との間で通信されるデータと、前記第二セッションを介して前記第二仮想端末と前記第二通信端末との間で通信されるデータとを中継することによって、前記第一通信端末と前記第二通信端末との間の通信を中継する中継ステップと
を備えたことを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−209785(P2012−209785A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74168(P2011−74168)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】