通信制御装置、通信システム、通信制御方法、及び通信制御プログラム
【課題】通信装置に対して、短時間で正確に使用可能帯域を測定させることができる通信制御装置、通信システム、通信制御方法、及び通信制御プログラムを提供する。
【解決手段】通信装置11〜14間で通信路の使用可能帯域が計測される場合、通信装置11から通信装置14に対して送信された計測パケットが経由する通信経路34と、通信装置12から通信装置14に対して送信された計測パケットが経由する通信経路32とでは、中継装置15と中継装置18との間の部分36で重複する。通信装置12は、使用可能帯域と、使用可能帯域の履歴から算出された分散とから、其々の計測通信が正確に実行可能か判断する。実行可能と判断された場合、双方の計測通信が同時に実行されるように、計測通信の順番が決定される。実行不可能と判断された場合、双方の計測通信が異なるタイミングで実行されるように、計測通信の順番が決定される。
【解決手段】通信装置11〜14間で通信路の使用可能帯域が計測される場合、通信装置11から通信装置14に対して送信された計測パケットが経由する通信経路34と、通信装置12から通信装置14に対して送信された計測パケットが経由する通信経路32とでは、中継装置15と中継装置18との間の部分36で重複する。通信装置12は、使用可能帯域と、使用可能帯域の履歴から算出された分散とから、其々の計測通信が正確に実行可能か判断する。実行可能と判断された場合、双方の計測通信が同時に実行されるように、計測通信の順番が決定される。実行不可能と判断された場合、双方の計測通信が異なるタイミングで実行されるように、計測通信の順番が決定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信システム、通信制御方法、及び通信制御プログラムに関する。より詳細には、通信網における使用可能な帯域を計測できる通信制御装置、通信システム、通信制御方法、及び通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信環境が変動する通信網(インターネットなど)において、使用可能な伝送路容量の測定を行うことが可能な通信装置が知られている。以下、「伝送路容量」を「帯域」ともいう。使用可能な伝送路容量を「使用可能帯域」という。例えば特許文献1に記載の通信装置では、許可通知パケットを受信した通信装置のみが、帯域を計測するための計測パケットを送信する。同時に複数の通信装置から計測パケットが送信されないので、一の通信装置から送信される計測パケットが、他の通信装置による帯域の計測に影響を及ぼしてしまい、使用可能帯域が正確に計測されないことを防止できる。これによって通信装置は、使用可能帯域を正確に測定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4175353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の通信装置では、同時に複数の通信路の使用可能帯域が測定されないので、通信装置間の通信路が多く存在する場合に、すべての通信路における使用可能帯域の測定が完了するまでに長時間を要してしまうという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、通信装置に対して、短時間で正確に使用可能帯域を測定させることができる通信制御装置、通信システム、通信制御方法、及び通信制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る通信制御装置は、通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御装置であって、前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得手段と、前記第一取得手段において取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断手段と、前記判断手段における判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定手段と、前記第一決定手段によって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御手段とを備えている。
【0007】
本発明の第一態様によれば、通信制御装置は、通信経路が相互に重複する場合と、相互に重複しない場合とで、実行される計測通信の順番を変えることができる。通信経路が相互に重複する場合、一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼしてしまうことがないように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、正確に通信経路の使用可能帯域を特定できる。一方、通信経路が相互に重複しない場合、短い時間で全ての計測通信が終了するように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、短時間で確実に使用可能帯域を計測できる。
【0008】
また、第一態様において、前記第一決定手段は、前記判断手段において重複する部分があると判断された場合に、重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われないように、前記順番を決定してもよい。通信経路が相互に重複する場合、計測通信は同時に行われない。従って、重複部分において一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼし、正確に使用可能帯域が計測されないことを防止できる。通信装置は、使用可能帯域を正確に計測できる。
【0009】
また、第一態様において、前記通信経路の前記使用可能帯域を取得する第二取得手段を備え、前記第一決定手段は、前記第二取得手段によって、前記判断手段において重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域が取得された場合に、取得された前記使用可能帯域のうち所定の条件を満たす前記使用可能帯域に対応する前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定してもよい。通信制御装置は、重複すると判断された通信経路の使用可能帯域が所定の条件を満たすか判断する。使用可能帯域が所定の条件を満たす場合、通信制御装置は、該当する使用可能帯域に対応する通信経路について計測通信が同時に行われた場合であっても、使用可能帯域を正確に計測できると判断する。通信制御装置は、使用可能帯域が正確に計測できると判断した場合に、通信装置に対して計測通信を同時に実行させることができる。通信装置は、使用可能帯域を正確に計測しつつ、複数の通信経路の使用可能帯域を迅速に計測できる。
【0010】
また、第一態様において、前記第二取得手段によって、前記判断手段において重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域が取得された場合に、取得された前記使用可能帯域履歴のばらつきの程度を示す安定度を特定する特定手段を備え、前記第一決定手段は、前記特定手段によって特定された前記安定度のうち所定の条件を満たす前記安定度に対応する前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定してもよい。通信制御装置は、使用可能帯域の安定度に基づいて、計測通信が同時に行われた場合に、使用可能帯域が正確に実行可能か否かを判断する。通信制御装置は、例えば安定度が高い場合に、通信装置に対して計測通信を同時に実行させることができる。通信装置は、計測される使用可能帯域の正確性を高めつつ、複数の通信経路の使用可能帯域を迅速に計測できる。
【0011】
また、第一態様において、前記特定手段によって特定された前記安定度に基づいて、前記計測通信が行われる頻度を決定する第二決定手段を備え、前記通信制御手段は、前記第二決定手段によって決定された前記頻度で、前記通信装置に前記計測通信を実行させてもよい。通信制御装置は、安定度の低い通信経路を介した計測通信の頻度を多く設定することで、使用可能帯域を正確に計測できる。また通信制御装置は、安定性の高い通信路を介した計測通信の頻度を少なく設定することで、使用可能帯域を迅速に計測できる。
【0012】
また、第一態様において、前記第一決定手段は、前記判断手段において重複する部分があると判断された場合において、重複する前記通信経路の数である重複数に基づいて前記所定の条件を特定し、前記順番を決定してもよい。通信制御装置は、重複数が大きい場合に、計測通信が極力同時に行われないように条件を設定できる。通信制御装置は、重複数が小さい場合に、計測通信が極力同時に行われるように条件を設定できる。これらによって通信装置は、更に迅速かつ正確に使用可能帯域を計測できる。
【0013】
また、第一態様において、前記第一決定手段は、前記判断手段において重複する部分がないと判断された前記通信経路が複数ある場合に、重複する部分がないと判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定してもよい。通信制御装置は、重複しないと判断された通信経路を介して計測通信が同時に実行されるように、通信装置間の計測通信を制御できる。通信装置は、全ての通信経路の使用可能帯域をより迅速に計測できる。また、通信経路は重複していないので、計測通信が同時に実行された場合であっても、通信装置は正確な使用可能帯域を計測できる。
【0014】
また、第一態様において、前記第一決定手段は、前記通信制御装置によって前記計測通信の制御が行われる前記通信装置の数が変更された場合に、前記順番を決定してもよい。これによって通信制御装置は、計測通信の制御を行う通信装置の数が変化した場合に順番を決定できるので、通信経路の変化に即座に応じて順番を再決定できる。従って、通信制御装置は、計測通信の制御を正確に行うことができる。
【0015】
また、第一態様において、前記通信制御手段は、前記第一決定手段によって決定された前記順番の情報を前記通信装置に対して送信することで、前記通信装置に前記計測通信を実行させてもよい。これによって通信装置は、順番の情報を受信することで、この順番に従い計測通信を実行できる。このように通信制御装置は、決定した順番で通信装置に計測通信を実行させることができる。
【0016】
また、第一態様において、前記通信制御手段は、前記第一決定手段によって決定された前記順番に基づき、最初に前記計測通信を実行させる前記通信装置に対して、前記計測通信を開始させるための指示パケットを送信することで、前記通信装置に前記計測通信を実行させてもよい。これによって通信装置は、指示パケットを受信したタイミングで計測通信を開始できる。通信制御装置は、通信装置において実行される計測通信のタイミングを制御できる。
【0017】
本発明の第二態様に係る通信システムは、通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御装置と、前記通信装置とを備えた通信システムであって、前記通信制御装置は、前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得手段と、前記第一取得手段において取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断手段と、前記判断手段における判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定手段と、前記第一決定手段によって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御手段であって、前記第一決定手段によって決定された前記順番の情報を前記通信装置に対して送信する通信制御手段とを備え、前記通信装置は、前記通信制御装置から送信された前記順番の情報を受信する第一受信手段と、他の前記通信装置から送信されるパケットであって、前記計測通信の開始を指示する指示パケットを受信する第二受信手段と、前記第二受信手段によって前記指示パケットを受信した場合に、他の前記通信装置との間で前記計測通信を実行する通信手段と、前記通信手段によって前記計測通信が実行された後、前記第一受信手段によって受信した前記順番の情報に基づいて、次に計測通信が行われる前記通信装置を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された前記通信装置に対して、前記計測通信の開始を指示する指示パケットを送信する送信手段とを備えている。
【0018】
本発明の第二態様によれは、通信制御装置は、重複する部分を介して計測通信が実行される場合と、重複しない部分を介して計測通信が実行される場合とで、計測通信の順番を変えることができる。重複する部分を経由する通信経路において計測通信が実行される場合には、一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼしてしまうことがないように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、正確に通信経路の通信可能帯域を特定できる。一方、重複しない部分を経由する通信経路においては、短い時間で全ての計測通信終了するように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、短時間で複数の通信経路の使用可能帯域を計測できる。
【0019】
また通信装置は、順番の情報を受信することで、この順番に従い計測通信を実行できる。また通信装置は、自身の計測通信が終了した後、次に計測通信を実行するべき通信装置に対して、指示パケットを送信できる。通信装置は、指示パケットを受信した場合に計測通信を実行できるので、容易に計測通信の実行タイミングを判断し、計測通信を実行できる。
【0020】
本発明の第三態様に係る通信制御方法は、通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御方法であって、前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得ステップと、前記第一取得ステップにおいて取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断ステップと、前記判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定ステップと、前記第一決定ステップによって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御ステップとを備えている。
【0021】
本発明の第三態様によれば、通信制御装置は、通信経路が相互に重複する場合と、相互に重複しない場合とで、実行される計測通信の順番を変えることができる。通信経路が相互に重複する場合、一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼしてしまうことがないように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、正確に通信経路の使用可能帯域を特定できる。一方、通信経路が相互に重複しない場合、短い時間で全ての計測通信が終了するように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、短時間で確実に使用可能帯域を計測できる。
【0022】
本発明の第四態様に係る通信制御プログラムは、通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御するための通信制御プログラムであって、前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得ステップと、前記第一取得ステップにおいて取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断ステップと、前記判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定ステップと、前記第一決定ステップによって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御ステップとをコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】通信システム1の概要、及び通信装置12の電気的構成を示す図である。
【図2】通信システム1の概要を示す図である。
【図3】帯域テーブル241を示す図である。
【図4】順番テーブル242を示す図である。
【図5】第一メイン処理を示すフローチャートである。
【図6】順番決定処理を示すフローチャートである。
【図7】通信処理を示すフローチャートである。
【図8】重複数テーブル231を示す図である。
【図9】第一閾値テーブル243を示す図である。
【図10】第二閾値テーブル244を示す図である。
【図11】パラメータテーブル232を示す図である。
【図12】第二メイン処理を示すフローチャートである。
【図13】第二メイン処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0025】
図1を参照し、通信システム1について説明する。通信システム1は、通信装置11〜14、及び中継装置15〜19を備えている。通信装置11〜14は、中継装置15〜19を介して相互に通信を行うことができる。通信装置11〜14として、例えば周知のPCが使用できる。中継装置15〜19は、通信装置11〜14間で送受信されるパケットの転送制御を行う。図1のうち点線は、通信装置11〜14及び中継装置15〜19間の通信可能な通信路を示している。中継装置15〜19として、周知のルータやスイッチングHUBが使用できる。
【0026】
通信装置12の電気的構成について説明する。通信装置11、13、及び14の電気的構成は、通信装置12と同一である。通信装置12は、通信装置12の制御を司るCPU21を備えている。CPU21は、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力部25、出力部26、ドライブ装置27、及び通信部28と電気的に接続している。ROM22には、ブートプログラムやBIOS、OS等が記憶される。RAM23には、タイマやカウンタ、一時的なデータが記憶される。HDD24には、CPU21の制御プログラムや後述する各種テーブルが記憶される。入力部25は、ユーザからの入力を受け付けるキーボードやマウスである。出力部26は、所望の画像を表示させるディスプレイである。ドライブ装置27は、記憶媒体271に記憶された情報を読み出すことができる。例えば、通信装置12のセットアップ時、記憶媒体271に記憶された制御プログラムはドライブ装置27によって読み出され、HDD24に記憶される。通信部28は、通信路を介して他の通信装置と通信を行う場合のタイミング制御を行う。
【0027】
通信装置11〜14は、他の通信装置と計測パケットの送受信を行うことで、他の通信装置との間の通信路における使用可能な伝送容量を計測できる。以下、伝送容量を「帯域」ともいう。使用可能な伝送容量を「使用可能帯域」という。通信装置11〜14は、計測された使用可能帯域に応じて最適な通信方法(誤り検出又は誤り訂正方法、再送制御など)を特定する。通信装置11〜14は、特定された通信方式に基づいて他の通信装置と通信を行うことで、通信時の信頼性を高めている。
【0028】
通信路の使用可能帯域は、「CaoLe Thanh Man、長谷川剛、村田正幸、「サービスオーバーレイネットワークのためのインラインネットワーク計測に関する一検討」、電子情報通信学会技術研究報告、社団法人電子情報通信学会、2003年1月17日、Vol.102,No.565,p.53−58」に記載された方式に基づいて計測される。この方法について概説する。計測パケットを送信する側の通信装置(以下「送信装置」という。)は、計測パケットの送信間隔を算出するための時間情報を計測パケットに格納する。計測パケットは、所定のサイズに調整される。送信装置は、送信間隔を徐々に変えることで送信時の帯域を変更しながら、複数の計測パケットを連続して送信する。受信側の通信装置(以下「受信装置」という。)は、計測パケットの受信間隔を記憶する。その後、計測パケット内の時間情報に含まれている送信間隔と、受信装置で記憶された受信間隔との差分が算出される。算出された複数の差分の値の変化傾向から、使用可能帯域が特定される。特定された使用可能帯域は、送信装置に対して通知される。送信装置は、使用可能帯域を取得できる。以下、使用可能帯域を計測するために実行される上述の通信を「計測通信」という。なお本発明における使用可能帯域の計測方法は、上述した方法に限定されない。
【0029】
通信装置11〜14間の通信路の使用可能帯域を計測する計測通信が実行される場合において、計測パケットが経由する通信経路が、異なる通信装置間の通信経路同士で相互に重複する場合がある。ここで通信経路とは、計測パケットが通過する通信路の集合であり、計測パケットの流れる方向を含む概念である。例えば図1に示すように、通信装置11から通信装置13に対して計測パケットが送信されることで計測通信が実行される場合、計測パケットは、(通信装置11→)中継装置15→中継装置18→中継装置17(→通信装置13)の通信経路を経由する。また、通信装置14から通信装置13に対して計測パケットが送信されることで計測通信が実行される場合、計測パケットは、(通信装置14→)中継装置19→中継装置18→中継装置17(→通信装置13)の通信経路を経由する。双方の通信経路のうち中継装置18→中継装置17の部分は、通信路が一致し、且つ、通信路を流れる計測パケットの方向が一致している。以下ではこのような場合に、「通信経路が重複する」という。なお、通信装置と中継装置との間の通信経路(例えば、中継装置17→通信装置13間の通信経路)での重複は無視している。また、一の通信装置から、異なる他の通信装置に向かう方向の通信経路同士の重複も無視している。以下、各通信経路を、その両端に位置する通信装置又は中継装置の符号を用いて「○○→××」のように表記する。なお通信装置及び中継器の符号は、其々のIDを示している。
【0030】
異なる通信装置から送信された複数の計測パケットが、通信経路のうち相互に重複する部分を同時に通過する場合を想定する。この場合、計測パケット間で衝突(コリジョン)が発生して計測パケットが正確に伝送されず、使用可能帯域が正確に計測できない状態が発生し得る。従って、通信装置が使用可能帯域を正確に計測するためには、重複する通信経路部分を通過する計測パケット同士が衝突しないように、其々の通信装置は異なるタイミングで計測通信を実行する必要がある。
【0031】
しかしながら、例えば図1に示す例のうち、18→17の部分で重複する通信経路が、11→13及び14→13の他にも多数存在する場合を想定する。このような場合、其々の通信装置が異なるタイミングで計測通信を実行すると、全ての通信経路で計測通信が完了するまで要する時間が、重複する通信経路の数に比例して大きくなってしまう。
【0032】
これに対して本実施形態では、通信経路毎に実行される計測通信の順番を、以下の(1)〜(3)に基づいて定めている。これによって、迅速に計測通信を終了させ、通信システム1内の全ての通信経路の使用可能帯域を短時間で計測している。
(1)相互に重複しない複数の通信経路を介して計測通信が其々実行される場合、其々の計測通信は同時に実行される。
(2)相互に重複する複数の通信経路を介して計測通信が其々実行される場合であっても、使用可能帯域が正確に計測できると判断された通信経路については、計測通信は同時に実行される。
(3)相互に重複する複数の通信経路を介して計測通信が其々実行される場合であって、使用可能帯域が正確に計測できないと判断された通信経路については、計測通信毎に順番が決定される。計測通信は、特定された順番に基づいて実行される。これによって、計測通信のタイミングが一致しないようにする。
なお上述の(2)(3)において、使用可能帯域が正確に計測できるか否かを判断する方法の詳細は後述する。
【0033】
例えば図2に示すように、12→11(矢印31)と、14→11(矢印35)とは、重複する部分がない。この場合、通信装置12及び通信装置14から同時に計測パケットが送信されることで、計測通信が同時に実行される。(上述の(1)に相当)。一方、12→14(矢印32)と11→13(矢印33)は、15→18の部分で重複している(36)。同様に、11→14(矢印34)と12→14(矢印32)は、15→18の部分と18→19の部分とで通信経路が重複している(36、37)。従って、これらの通信経路では、使用可能帯域が正確に計測できるか否かの判断がなされる。判断結果に応じて、通信装置11及び通信装置12が同時に計測通信を行うか否かが決定される。(上述の(2)(3)に相当)。
【0034】
なお本実施形態では、通信装置11〜14間で実行される計測通信の順番は、通信装置12において一括して決定される。通信装置12は、通信装置11、13、及び14に対して決定した順番を通知する。これによって通信装置12は、通信装置11〜14間で実行される計測通信を制御している。
【0035】
図3を参照し、帯域テーブルの一例である帯域テーブル241について説明する。帯域テーブル241は、通信装置12のHDD24に記憶される。帯域テーブル241には、通信システム1内の全ての通信経路毎に、計測通信によって計測された使用可能帯域の履歴情報が対応付けられて格納されている。通信装置12は、自身が計測した使用可能帯域を、帯域テーブル241に格納する。また通信装置12は、通信装置11、13、及び14において計測された使用可能帯域を取得し、帯域テーブル241に格納する。帯域テーブル241は、通信装置11〜14間で実行される計測通信の順番を決定する場合に参照される。また帯域テーブル241のうち最も新しい使用可能帯域の情報は、通信装置11〜14間でデータ通信が行われる場合に、通信環境に最適な通信方法を特定するために使用される。
【0036】
図4を参照し、順番テーブルの一例である順番テーブル242について説明する。順番テーブル242は、通信装置12のHDD24に記憶される。順番テーブル242には、計測通信の順番と、通信システム1内の全ての通信経路とが対応付けて格納されている。順番テーブル242は、帯域テーブル241(図3参照)に基づいて作成される。通信装置12は、順番テーブル242に基づいて、通信装置11〜14間で実行される計測通信の順番を制御する。
【0037】
図5〜図11を参照し、通信装置12のCPU21において実行される第一メイン処理について説明する。第一メイン処理は、通信装置12の電源が投入された場合において、CPU21において起動されて実行される。図5に示すように、はじめに、通信装置11、13、14間と自身との間の通信経路の情報(以下「通信経路情報」という。)が取得される(S11)。取得される通信経路情報にて特定される通信経路は、通信装置11、13、及び14間でデータ通信が実行された場合にデータパケットや、既述の計測パケットが経由する通信経路である。通信経路情報は、トレースルート機能を用いることで取得される。なお通信経路情報を取得する方法は、この方法に限定されない。
【0038】
通信装置11、13、及び14の其々でも同様に、他の通信装置との間の通信経路の情報が取得される(S121、図12参照)。通信装置11、13、及び14は、取得された通信経路情報を通信装置12に対して送信する(S123、図12参照)。送信された通信経路情報が受信される(S13)。
【0039】
S11で取得された通信経路情報と、S13で受信された通信経路情報とに基づいて、複数の通信経路間で重複する部分があるかが判断される(S15)。例えば以下のようにして判断される。通信経路上に配置される中継装置が、通信経路情報に基づいて通信経路毎に特定される。一の通信経路上に配置される中継装置と、他の通信経路上に配置される中継装置とが比較される。隣接する二つの中継装置が重複する場合、通信経路間で重複する部分があると判断される。複数の通信経路間で重複する部分があると判断された場合、重複する通信経路の数(以下「重複数」という。)が特定される。特定された重複数と通信経路とを対応付けた重複数テーブルが作成される(S16)。
【0040】
図8を参照し、重複数テーブルの一例である重複数テーブル231について説明する。重複数テーブル231は、通信装置12のRAM23に記憶される。重複数テーブル231には、重複数と通信経路とが対応付けて格納されている。重複数が1である場合、対応する通信経路は、他の通信経路と重複していない。重複数が2以上である場合、対応する通信経路は、重複数テーブル231の同じ行に対応付けられた他の通信経路と部分的に重複している。
【0041】
例えば図8では、11→12、12→11、12→13等は、重複数が「1」であるので、他の通信経路と重複していないことになる。一方、13→12及び14→12は、重複数が「2」であるので、双方の通信経路は部分的に重複している。
【0042】
また図2に示すように、11→13、及び、12→14は、15→18の部分で重複している(36)。また、12→14、及び、11→14は、15→18の部分と18→19の部分とで重複している(36、37)。このように、異なる三つの通信経路が相互に重複した関係にある場合、重複数テーブル231には、通信経路「11→13」「11→14」「12→14」が重複数「3」に対応付けられて格納される。
【0043】
図5に示すように、重複数テーブル231が作成された(S16)後、帯域テーブル241(図3参照)が参照される。使用可能帯域が帯域テーブル241に格納されているかが判断される(S17)。自身が未だ計測通信を実行しておらず、又は、他の通信装置によって計測された使用可能帯域が取得されていない場合(S17:NO)、帯域テーブル241に基づいて順番テーブル242(図4参照)を作成することができない。この場合、所定の順番が初期値として其々の通信経路に対応付けられ、順番テーブル242に格納される(S19)。これによって順番テーブル242が作成される。なお順番の初期値は、同一の順番が複数の通信経路に割り当てられないように設定されているものとする。これによって、作成された順番テーブル242に基づいて計測通信が行われる場合、其々必ず異なるタイミングで計測パケットが送信される。従って、計測パケットの衝突を確実に回避できる。また、帯域テーブル241には、所定の使用可能帯域が初期値として格納される。作成された順番テーブル242に基づいて計測通信を実行するために、処理はS21に進む。
【0044】
一方、帯域テーブル241(図3参照)に使用可能帯域が格納されている場合(S17:YES)、帯域テーブル241と重複数テーブル231(図8参照)とに基づいて、順番テーブル242(図4参照)を作成するための処理が以下のようにして実行される(S23〜S29)。
【0045】
重複数テーブル231(図8参照)から、重複数「1」に対応する通信経路が抽出できたかが判断される(S23)。重複数テーブル231に、重複数が「1」に対応する通信経路が格納されていない場合(S23:NO)、重複数「1」に対応する通信経路が抽出できないので、処理はS27に進む。重複数テーブル231に、重複数「1」に対応する通信経路が格納されている場合、該当する通信経路が抽出される(S23:YES)。抽出された通信路は、順番テーブル242(図4参照)に通信経路に格納される。格納された通信経路に、同一の順番「1」が対応付けられる(S25)。このようにして、重複関係にない通信経路を介した計測通信が同時に行われるように、順番が決定される。通信経路は重複していないので、計測通信が同時に実行された場合であっても、使用可能帯域は正確に計測される。処理はS27に進む。
【0046】
なお上述では、同一の順番「1」が通信経路に対応付けられていたが、本発明はこれに限定されない。同一の順番が対応付けられればよく、その順番は「1」以外であってもよい。
【0047】
重複数テーブル231(図8参照)に、重複数「2」以上に対応する通信経路が抽出できたかが判断される(S27)。重複数テーブル231に、重複度が「2」以上に対応する通信経路が格納されていない場合(S27:NO)、重複数「2」以上に対応する通信経路が抽出できないので、処理はS21に進む。重複数テーブル231に、重複度が「2」以上に対応する通信経路が重複数テーブル231に格納されている場合、該当する通信経路が抽出される(S27:YES)。順番テーブル242を作成する処理(順番決定処理、図6参照)が実行される(S29)。順番テーブル242が作成された後、処理はS21に進む。
【0048】
図6を参照し、順番決定処理について説明する。重複数テーブル231(図8参照)が参照される。「2」以上の重複数に対応付けられている通信経路が、重複する通信経路毎に複数選択される(S51)。選択された複数の通信経路は、RAM23に一時的に記憶される。選択された複数の通信経路のうち、既に順番が決定され、順番テーブル242(図4参照)に同一の通信経路が格納されているか判断される(S53)。同一の通信経路が既に順番テーブル242に格納されている場合(S53:YES)、該当する通信経路はRAM23から削除される(S55)。処理はS67に進む。順番テーブル242に同一の通信経路が格納されていない場合(S53:NO)、処理はS67に進む。
【0049】
例えばS51において、重複数テーブル231(図8参照)の通信経路が、重複数「2」「3」の順で重複数テーブル231から選択された場合を例に挙げて具体的に説明する。11→13に対応する順番は、はじめに重複数「2」に対応する通信経路として選択された場合に決定される。決定された順番と11→13とが対応付けられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される。次いで、重複数「3」に対応する通信経路として、11→13が選択される(S51)。順番テーブル242には、既に同一の通信経路(11→13)が格納されているので(S53:YES)、11→13の情報はRAM23から削除される(S55)。
【0050】
帯域テーブル241(図3参照)に格納されている使用可能帯域が参照される。RAM23に記憶されている通信経路に対応する使用可能帯域の履歴が取得される。取得された使用可能帯域の履歴から、使用可能帯域のばらつきの程度を示す分散(%)が算出される(S67)。分散は、例えば以下のようにして算出される。使用可能帯域の各履歴が、確率変数に変換される。変換された確率変数が期待値に対してどの程度散らばっているかを示す割合(%)が算出される。算出された値が分散とされる。
【0051】
RAM23に記憶された通信経路に対応する重複数に応じて、閾値(第一帯域閾値、第二帯域閾値、第一分散閾値、及び第二分散閾値)が特定される(S57)。閾値は、重複する通信経路を介して計測通信が実行された場合に、使用可能帯域が正確に計測できるか否かを判断する場合に使用される。帯域閾値は、第一閾値テーブルを参照することで特定される。分散閾値は、第二閾値テーブルを参照することで特定される。第一閾値テーブル及び第二閾値テーブルは、HDD24に予め記憶されている。
【0052】
図9を参照し、第一閾値テーブルの一例である第一閾値テーブル243について説明する。第一閾値テーブル243には、第一帯域閾値及び第二帯域閾値が、重複度「2」「3」「4」に対応付けて格納されている。例えば、RAM23に記憶されている通信経路の重複数が「2」である場合、第一帯域閾値として「512kbps」が特定され、第二帯域閾値として「128kbps」が特定される。
【0053】
図10を参照し、第二閾値テーブルの一例である第二閾値テーブル244について説明する。第二閾値テーブル244には、第一分散閾値及び第二分散閾値が、使用可能帯域の範囲毎に対応付けて格納されている。第一分散閾値及び第二分散閾値は、以下のようにして特定される。帯域テーブル241(図3参照)に格納された使用可能帯域のうち、最も新しい使用可能帯域が参照される。RAM23に記憶された通信経路に対応する使用可能帯域が、帯域テーブル241から取得される。取得された使用可能帯域が、第二閾値テーブル244における使用可能帯域の範囲のうちいずれの範囲に該当するかが判断される。該当する使用可能帯域の範囲に対応付けられている第一分散閾値及び第二分散閾値が特定される。
【0054】
S67で算出された分散、及び、S57で特定された閾値は、パラメータテーブルに格納される。図11を参照し、パラメータテーブルの一例であるパラメータテーブル232について説明する。パラメータテーブル232は、通信装置12のRAM23に記憶される。パラメータテーブル232には、S51で選択され、S53で削除された後の通信経路が格納される。また、S67で算出された分散、及び、S57で特定された閾値が、通信経路に対応付けて格納される。また、帯域テーブル241(図3参照)に格納された使用可能帯域のうち、最も新しい使用可能帯域が参照され、通信経路に対応する使用可能帯域が取得されて格納される。
【0055】
図6に示すS59〜S77の処理では、重複する通信経路を介して計測通信が実行された場合に、使用可能帯域が正確に計測できるか否かが、パラメータテーブル232(図11参照)に基づいて判断される。判断結果に基づいて、通信経路と順番とが対応付けられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される。
【0056】
パラメータテーブル232(図11参照)から、使用可能帯域及び第一帯域閾値が抽出される。通信経路がパラメータテーブル232に複数記憶されている場合、対応する複数の使用可能帯域の合計が算出される。算出された使用可能帯域の合計が、第一帯域閾値以下であるかが判断される(S59)。算出された使用可能帯域の合計が第一閾値以下である場合(S59:YES)、通信経路の使用可能帯域に余裕がなく、同時に複数の計測通信が実行された場合、計測パケットの衝突が生じる可能性が高いと判断される。この場合、計測通信のタイミングが一致しないように、通信経路毎に異なる順番が順次割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S61)。割り当てられる順番は特に限定されないが、例えば、通信装置のID(図1における各通信装置の符号に相当)の順で順番が順次割り当てられる。処理はS81に進む。
【0057】
例えば、13→12と14→12との間で計測通信の順番が決定される場合を例に挙げて具体的に説明する。重複度は「2」(図8参照)であるので、第一閾値テーブル243(図9参照)に基づき、第一閾値は「512kbps」に特定されている(図11参照)。通信経路における使用可能帯域の合計が算出される。算出された使用可能帯域の合計は第一閾値以下である(S59:YES)。この場合、計測通信が同時に実行されないように、其々の通信経路に異なる順番が順次割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される。例えば順番テーブル242(図4参照)に示すように、13→12に対して順番「1」が割り当てられ、14→12に対して順番「2」が割り当てられる。以上のように順番を決定することで、最初に13→12を介して計測通信が実行され、次いで、14→12を介して計測通信が実行される(S21、図5参照、後述)。計測通信は同時に行われないので、一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼすことがなく、正確に使用可能帯域が計測される。
【0058】
算出された使用可能帯域の合計が第一閾値よりも大きい場合(S59:NO)、パラメータテーブル232(図11参照)が参照される。使用可能帯域のうちいずれかが、第二閾値以下であるかが判断される(S63)。使用可能帯域のうちいずれかが第二閾値以下である場合(S63:YES)、該当する通信経路では、使用可能帯域に余裕がなく、同時に計測通信が実行された場合、計測パケットの衝突が生じる可能性が高いと判断される。従って、該当する通信経路を介して計測通信が実行される場合に、そのタイミングが一致しないように、通信経路毎に異なる順番が順次割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S65)。
【0059】
一方、使用可能帯域が第二閾値よりも大きい通信経路では、使用可能帯域に十分余裕があり、同時に複数の計測通信が実行されても、計測パケットの衝突は生じない可能性が高いと判断される。この場合、該当する通信経路を介した複数の計測通信が同時に実行されるように、同一の順番「1」が通信経路に割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S65)。処理はS81に進む。以上のように順番を決定することで、使用可能帯域が第二閾値よりも大きい通信経路を介した計測通信が同時に実行される。使用可能帯域は十分大きく、使用可能帯域は正確に計測される可能性が高い。従って、使用可能帯域は短時間で且つ正確に計測される。
【0060】
使用可能帯域のいずれも第二閾値より大きい場合(S63:NO)、パラメータテーブル232(図11参照)が参照される。分散のうちいずれかが、第一分散閾値より大きいかが判断される(S71)。分散のうちいずれかが第一分散閾値より大きい場合(S71:YES)、該当する通信経路では、使用可能帯域のばらつきが非常に大きいと判断される。そして、計測パケットの通信状態が非常に不安定な状態であり、使用可能帯域が正確に計測できない可能性が高いと判断される。従って、該当する分散に対応する通信経路を介した計測通信のタイミングが一致しないように、通信経路毎に異なる順番が順次割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される。また、計測通信の実行回数を2回に増やすことで、より正確に使用可能帯域を計測するために、同一の通信経路が2回連続して順番テーブル242に格納され、順番が順次割り当てられる(S73)。
【0061】
一方、第一分散閾値以下の分散に対応する通信経路では、使用可能帯域のばらつきが比較的小さいと判断される。そして、計測パケットの通信状態は安定しており、使用可能帯域は正確に計測できると可能性が高いと判断される。従って、該当する分散に対応する通信経路を介した計測通信が同時に実行されるように、同一の順番「1」が通信経路に割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S73)。処理はS81に進む。
【0062】
パラメータテーブル232に格納された分散のいずれも、第一分散閾値以下である場合(S71:NO)、分散のうちいずれかが、第二分散閾値より大きいかが判断される(S75)。分散のうちいずれかが第二分散閾値より大きい場合(S75:YES)、該当する通信経路では、使用可能帯域のばらつきが大きいと判断される。そして、計測パケットの通信状態が不安定となっており、使用可能帯域が正確に計測できない可能性が高いと判断される。従って、該当する分散に対応する通信経路を介した計測通信のタイミングが一致しないように、通信経路毎に異なる順番が順次割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S77)。
【0063】
一方、第二分散閾値以下の分散に対応する通信経路では、使用可能帯域のばらつきが小さいと判断される。そして、計測パケットの通信状態は安定しており、使用可能帯域が正確に計測できる可能性が高いと判断される。従って、該当する分散に対応する通信経路を介した計測通信が同時に実行されるように、同一の順番「1」が全ての通信経路に割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S77)。処理はS81に進む。以上のように、使用可能帯域の分散に基づいて安定性が判断され、使用可能帯域が正確に実行可能か否かが判断される。使用可能帯域の安定度が高い場合、計測通信は同時に実行されるので、短時間で使用可能帯域が計測される。
【0064】
算出された分散のいずれも第二分散以下である場合(S75:NO)、使用可能帯域は十分大きく、且つ非常に安定している。従って、同時に計測通信が実行されても計測パケットの衝突は生じず、使用可能帯域は正確に計測できる可能性が高い。従って、パラメータテーブル232(図11参照)に記憶された全ての通信経路を介した計測通信が同時に実行されるように、同一の順番「1」が割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S79)。処理はS81に進む。このように、通信経路の使用可能帯域が大きく、且つ安定している場合には、計測通信は同時に実行される。これによって、使用可能帯域を正確に計測しつつ、短時間で全ての通信経路の使用可能帯域が計測される。
【0065】
順番の割り当てが実行されていない通信経路が残存するかが判断される(S81)。順番の割り当てが実行されていない通信経路が残存する場合(S81:YES)、処理はS51に戻る。全ての通信経路について、順番が割り当てられた場合(S81:NO)、順番決定処理は終了し、処理は第一メイン処理(図5参照)に戻る。
【0066】
図5に示すように、順番テーブル242(図4参照)が作成された後、作成された順番テーブル242に基づいて、通信装置11〜14間での計測通信を制御する処理(通信処理、図7参照)が実行される(S21)。通信処理後、処理はS11に戻る。
【0067】
図7を参照し、通信処理について説明する。はじめに、作成された順番テーブル242(図4参照)の情報がパケットに格納される。順番テーブル242の情報が格納されたパケットは、通信装置11、13、及び14に対して送信される(S91)。なお、このパケットを受信した通信装置では、受信された順番テーブルに基づいて計測通信が実行される。通信装置12は、順番テーブル242の情報が格納されたパケットを通信装置11、13、及び14に送信することで、決定した順番で計測通信を実行させる。
【0068】
順番テーブル242(図4参照)のうち、順番「1」に対応付けられている通信経路が抽出される。抽出された通信経路が、自身が計測パケットを他の通信装置に送信することで計測通信が実行される通信経路であるかが判断される(S93)。抽出された通信経路「○○→××」のうち、「○○」が自身のIDと一致する場合、自身が計測パケットを送信しなければならない(S93:YES)。「××」にて特定されるIDの通信装置に対して、計測パケットが送信される(S95)。処理はS97に進む。なおID「××」の通信装置は、計測パケットを受信することで使用可能帯域を計測し、計測された使用可能帯域を含む結果パケットを返信する。返信された結果パケットは、後述するS105で受信される。一方、抽出された通信経路に、自身のIDと一致する「○○」が存在しない場合(S93:NO)、処理はS97に進む。
【0069】
抽出された通信経路が、他の通信装置が計測パケットを送信することで計測通信が実行される通信経路であるかが判断される(S97)。抽出された通信経路「○○→××」のうち、「○○」が他の通信装置のIDと一致する場合、他の通信装置に対して計測パケットを送信させなければならない(S97:YES)。ID「××」にて特定される通信装置に対して計測パケットを送信させるための指示パケットが、ID「○○」の通信装置に対して送信される(S99)。指示パケットには、計測パケットを送信する相手先の通信装置のID「××」が格納される。処理はS101に進む。なおID「○○」の通信装置は、ID「××」の通信装置に対して計測パケットを送信し、結果パケットを受信する。ID「○○」の通信装置は、結果パケットを自身に対して返信する。返信された結果パケットは、後述するS105で受信される。一方、他の通信装置のIDと一致する「○○」が存在しない場合(S97:NO)、処理はS101に進む。
【0070】
他の通信装置から指示パケットを受信したかが判断される(S101)。他の通信装置から指示パケットを受信した場合(S101:YES)、指示パケットに格納されているIDの通信装置に対して計測パケットが送信される(S103)。処理はS105に進む。このように、指示パケットを受信したタイミングで計測通信が開始されるので、指示パケットを送信する通信装置側で計測通信のタイミングを制御できる。なお、計測パケットを送信した通信装置から返信される結果パケットは、後述するS105で受信される。他の通信装置から指示パケットを受信していない場合(S101:NO)、処理はS105に進む。
【0071】
他の通信装置から結果パケットを受信したかが判断される(S105)。他の通信装置から結果パケットを受信した場合(S105:YES)、結果パケットに格納されている使用可能帯域は、通信経路に対応付けて帯域テーブル241(図3参照)に格納される(S107)。処理はS109に進む。結果パケットを受信していない場合(S105:NO)、処理はS109に進む。
【0072】
通信システム1の構成が変化したかが判断される(S109)。通信システム1内への新たな通信装置の追加指示や、既存の通信装置の削除指示が通信装置12の管理者によって入力された場合(S109:YES)、通信システム1の構成の変化を通知する通知パケットが、他の通信装置に対して送信される(S111)。通信システム1の構成が変化したので、即座に新たな順番テーブルを作成するために、通信処理を終了し、処理は第一メイン処理(図5参照)に戻る。このように通信装置12は、計測通信の制御を行う通信装置の数が変化した場合に、即座に順番テーブル242を再構成することで、通信経路の変化に即座に応じて計測通信の制御を行っている。
【0073】
一方、通信システム1の構成が変化していない場合(S109:NO)、次の順番で計測通信が実行される通信装置が存在するかが、以下のようにして判断される(S113)。S93〜S107で実行された計測通信に対応する通信経路が、順番テーブル242(図4)から抽出される。抽出された通信経路に対応付けられている順番が特定される。特定された順番に1加算した順番が、順番テーブル242に格納されているかが判断される。特定された順番に1加算した順番が、順番テーブル242に格納されていない場合(S113:NO)、通信処理を終了し、処理は第一メイン処理(図5参照)に戻る。特定された順番に1加算した順番が、順番テーブル242に格納されている場合、次の順番で計測通信を行う必要があることになる(S113:YES)。所定の周期で計測通信を実行するために、所定時間の経過が監視される(S115)。所定時間が経過していない場合(S115:NO)、処理はS115に戻る。所定時間が経過した場合(S115:YES)、次の順番に対応する通信経路の計測通信を実行するために、処理はS93に戻る。順番テーブル242(図4参照)のうち、次の順番に対応付けられている通信経路が抽出され、上述の処理が繰り返される。
【0074】
図12及び図13を参照し、通信装置11、13、及び14のCPU21において実行される第二メイン処理について説明する。第二メイン処理は、通信装置11、13、及び14の電源が投入された場合において、CPU21において起動されて実行される。はじめに、他の通信装置と自身との間の通信経路の通信経路情報が取得される(S121)。取得された通信経路情報は、通信装置12に対して送信される(S123)。通信装置12から送信されるパケットであって、順番テーブル242の情報が格納されたパケットが受信される(S125)。受信された順番テーブル242の情報は、HDD24に記憶される。
【0075】
他の通信装置から指示パケットを受信したかが判断される(S137)。他の通信装置から指示パケットを受信した場合(S137:YES)、指示パケットに格納されているIDの通信装置に対して計測パケットが送信される(S139)。処理はS141に進む。他の通信装置から指示パケットを受信していない場合(S137:NO)、処理はS141に進む。他の通信装置から結果パケットを受信したかが判断される(S141)。他の通信装置から結果パケットが受信された場合(S141:YES)、結果パケットは通信装置12に対して転送される(S143)。処理はS151(図13参照)に進む。結果パケットを受信していない場合(S141:NO)、処理はS151(図13参照)に進む。
【0076】
図13に示すように、通信システム1の構成の変化を通知する通知パケットを通信装置12から受信したかが判断される(S151)。通知パケットを通信装置12から受信した場合(S151:YES)、通信システム1の構成が変化しているので、即座に新たな順番テーブルを受信するために、処理はS121(図12参照)に戻る。
【0077】
通信装置12から通知パケットを受信していない場合(S151:NO)、次の順番で計測通信が実行される通信装置が存在するかが、S125で受信された順番テーブルに基づいて判断される(S153)。判断の方法は、S113(図7参照)の場合と同様である。次の順番で計測通信が実行される通信装置が存在しない場合(S153:NO)、処理はS121(図12参照)に戻る。次の順番で計測通信を行う必要がある場合(S153:YES)。所定の周期で計測通信を実行するために、所定時間の経過が監視される(S155)。所定時間が経過していない場合(S155:NO)、処理はS155に戻る。所定時間が経過した場合(S155:YES)、次の順番に対応する通信経路の計測通信を実行するために、以下の処理が行われる。
【0078】
S125(図12参照)で受信された順番テーブルのうち、S139(図12参照)で計測通信が実行された通信経路に対応付けられている順番に「1」加算した順番が特定される。特定された順番に対応する通信経路が抽出される。抽出された通信経路が、自身が計測パケットを他の通信装置に送信することで計測通信が実行される通信経路であるかが判断される(S157)。抽出された通信経路「○○→××」のうち、「○○」が自身のIDと一致する場合(S157:YES)、「××」にて特定されるIDの通信装置に対して、計測パケットが送信される(S159)。処理はS161に進む。抽出された通信経路に、自身のIDと一致する「○○」が存在しない場合(S157:NO)、処理はS161に進む。
【0079】
抽出された通信経路が、他の通信装置が計測パケットを送信することで計測通信が実行される通信経路であるかが判断される(S161)。抽出された通信経路「○○→××」のうち、「○○」が他の通信装置のIDと一致する場合(S161:YES)、ID「××」にて特定される通信装置に対して計測パケットを送信させるための指示パケットが、ID「○○」の通信装置に対して送信される(S165)。処理はS137(図12参照)に進む。他の通信装置のIDと一致する「○○」が存在しない場合(S161:NO)、処理はS137(図12参照)に戻る。
【0080】
以上説明したように、通信装置12は、重複する通信経路部分を経由する通信経路において計測通信が実行される場合に、一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼしてしまうことがないように、計測通信の順番を決定することができる。これによって通信装置12は、通信装置11〜14間の計測通信を制御し、正確に通信経路の使用可能帯域を特定できる。また通信装置12は、重複しない通信経路部分を経由する通信経路において、短い時間で全ての計測通信が終了するように、計測通信の順番を決定できる。これによって通信装置12は、短時間で通信システム1内の全ての通信経路の使用可能帯域を計測できる。
【0081】
なお、図1における通信装置12が本発明の「通信制御装置」に相当し、通信装置11、13、及び14が本発明の「通信装置」に相当する。図5のS11、S13の処理を行うCPU21が本発明の「第一取得手段」に相当し、S15の処理を行うCPU21が本発明の「判断手段」に相当し、S25、S29の処理を行うCPU21が本発明の「第一決定手段」に相当し、S31の処理を行うCPU21が本発明の「通信制御手段」に相当する。図7のS101の処理を行うCPU21が本発明の「第二取得手段」に相当する。図6のS67の処理を行うCPU21が本発明の通信制御装置における「特定手段」に相当し、S73の処理を行うCPU21が本発明の「第二決定手段」に相当する。図12のS125の処理を行うCPU21が本発明の「第一受信手段」に相当し、S137の処理を行うCPU21が本発明の「第二受信手段」に相当し、S139の処理を行うCPU21が本発明の「通信手段」に相当する。図13のS153の処理を行うCPU21が本発明の通信システムにおける「特定手段」に相当し、S165の処理を行うCPU21が本発明の「送信手段」に相当する。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述では、通信装置12が順番を一括して決定し、他の通信装置11、13、及び14に通知することで、通信装置12が計測通信を制御していた。本発明はこれに限定されない。他の通信装置11、13、及び14の其々が順番を決定し、決定された順番に基づいて計測通信を実行してもよい。また、順番を決定する専用装置(サーバなど)が計測通信の順番を一括して決定し、通信装置11〜14に対して通知することで、専用装置が通信装置の計測通信を制御してもよい。
【0083】
上述では、互いに重複する複数の通信経路を介して計測通信が行われる場合に、所定の条件に合致する通信経路を介した計測通信は同時に行われ、他の通信経路では、異なるタイミングで計測通信が行われていた。本発明はこれに限定されない。互いに重複する複数の通信経路を介して計測通信が行われる場合、所定の条件による判断を行うことなく、異なるタイミングで計測通信が実行されてもよい。これによって、更に確実に使用可能帯域が計測される。
【0084】
上述では、使用可能帯域の履歴から分散を算出し、算出された分散に基づいて、計測通信の順番が決定されていた。本発明はこれに限定されない。使用可能帯域の安定度を示すパラメータとして、例えば平均値や標準偏差等、他のパラメータが使用されてもよい。例えば上述では、第二閾値テーブル244において、テーブル使用可能帯域の範囲毎に分散閾値が定められていた。本発明はこれに限定されない。分散閾値は、通信経路の重複数毎に定められていてもよい。上述では、算出された分散が所定の条件を満たす場合に、計測通信が2回行われていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、使用可能帯域が所定の条件を満たす場合に、計測通信が2回行われてもよい。
【0085】
上述では、計測通信を同時に実行させる場合、順番「1」が順番テーブル242に割り当てられていたが、本発明はこれに限定されない。計測通信を同時に実行させる場合に割り当てられる順番は「1」でなくともよい。
【0086】
上述では、通信装置12において作成された順番テーブル242は他の通信装置11、13、及び14に対して送信されていた。また通信装置11〜14間で、指示パケットに基づいて計測通信の開始タイミングが制御されていた。本発明はこれに限定されない。通信装置11〜14は、指示パケットのみによって計測通信が制御されてもよい。又は、順番テーブル242のみによって計測通信が制御されてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 通信システム
11、12、13、14 通信装置
21 CPU
243 第一閾値テーブル
244 第二閾値テーブル
271 記憶媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信システム、通信制御方法、及び通信制御プログラムに関する。より詳細には、通信網における使用可能な帯域を計測できる通信制御装置、通信システム、通信制御方法、及び通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信環境が変動する通信網(インターネットなど)において、使用可能な伝送路容量の測定を行うことが可能な通信装置が知られている。以下、「伝送路容量」を「帯域」ともいう。使用可能な伝送路容量を「使用可能帯域」という。例えば特許文献1に記載の通信装置では、許可通知パケットを受信した通信装置のみが、帯域を計測するための計測パケットを送信する。同時に複数の通信装置から計測パケットが送信されないので、一の通信装置から送信される計測パケットが、他の通信装置による帯域の計測に影響を及ぼしてしまい、使用可能帯域が正確に計測されないことを防止できる。これによって通信装置は、使用可能帯域を正確に測定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4175353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の通信装置では、同時に複数の通信路の使用可能帯域が測定されないので、通信装置間の通信路が多く存在する場合に、すべての通信路における使用可能帯域の測定が完了するまでに長時間を要してしまうという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、通信装置に対して、短時間で正確に使用可能帯域を測定させることができる通信制御装置、通信システム、通信制御方法、及び通信制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る通信制御装置は、通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御装置であって、前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得手段と、前記第一取得手段において取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断手段と、前記判断手段における判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定手段と、前記第一決定手段によって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御手段とを備えている。
【0007】
本発明の第一態様によれば、通信制御装置は、通信経路が相互に重複する場合と、相互に重複しない場合とで、実行される計測通信の順番を変えることができる。通信経路が相互に重複する場合、一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼしてしまうことがないように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、正確に通信経路の使用可能帯域を特定できる。一方、通信経路が相互に重複しない場合、短い時間で全ての計測通信が終了するように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、短時間で確実に使用可能帯域を計測できる。
【0008】
また、第一態様において、前記第一決定手段は、前記判断手段において重複する部分があると判断された場合に、重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われないように、前記順番を決定してもよい。通信経路が相互に重複する場合、計測通信は同時に行われない。従って、重複部分において一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼし、正確に使用可能帯域が計測されないことを防止できる。通信装置は、使用可能帯域を正確に計測できる。
【0009】
また、第一態様において、前記通信経路の前記使用可能帯域を取得する第二取得手段を備え、前記第一決定手段は、前記第二取得手段によって、前記判断手段において重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域が取得された場合に、取得された前記使用可能帯域のうち所定の条件を満たす前記使用可能帯域に対応する前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定してもよい。通信制御装置は、重複すると判断された通信経路の使用可能帯域が所定の条件を満たすか判断する。使用可能帯域が所定の条件を満たす場合、通信制御装置は、該当する使用可能帯域に対応する通信経路について計測通信が同時に行われた場合であっても、使用可能帯域を正確に計測できると判断する。通信制御装置は、使用可能帯域が正確に計測できると判断した場合に、通信装置に対して計測通信を同時に実行させることができる。通信装置は、使用可能帯域を正確に計測しつつ、複数の通信経路の使用可能帯域を迅速に計測できる。
【0010】
また、第一態様において、前記第二取得手段によって、前記判断手段において重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域が取得された場合に、取得された前記使用可能帯域履歴のばらつきの程度を示す安定度を特定する特定手段を備え、前記第一決定手段は、前記特定手段によって特定された前記安定度のうち所定の条件を満たす前記安定度に対応する前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定してもよい。通信制御装置は、使用可能帯域の安定度に基づいて、計測通信が同時に行われた場合に、使用可能帯域が正確に実行可能か否かを判断する。通信制御装置は、例えば安定度が高い場合に、通信装置に対して計測通信を同時に実行させることができる。通信装置は、計測される使用可能帯域の正確性を高めつつ、複数の通信経路の使用可能帯域を迅速に計測できる。
【0011】
また、第一態様において、前記特定手段によって特定された前記安定度に基づいて、前記計測通信が行われる頻度を決定する第二決定手段を備え、前記通信制御手段は、前記第二決定手段によって決定された前記頻度で、前記通信装置に前記計測通信を実行させてもよい。通信制御装置は、安定度の低い通信経路を介した計測通信の頻度を多く設定することで、使用可能帯域を正確に計測できる。また通信制御装置は、安定性の高い通信路を介した計測通信の頻度を少なく設定することで、使用可能帯域を迅速に計測できる。
【0012】
また、第一態様において、前記第一決定手段は、前記判断手段において重複する部分があると判断された場合において、重複する前記通信経路の数である重複数に基づいて前記所定の条件を特定し、前記順番を決定してもよい。通信制御装置は、重複数が大きい場合に、計測通信が極力同時に行われないように条件を設定できる。通信制御装置は、重複数が小さい場合に、計測通信が極力同時に行われるように条件を設定できる。これらによって通信装置は、更に迅速かつ正確に使用可能帯域を計測できる。
【0013】
また、第一態様において、前記第一決定手段は、前記判断手段において重複する部分がないと判断された前記通信経路が複数ある場合に、重複する部分がないと判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定してもよい。通信制御装置は、重複しないと判断された通信経路を介して計測通信が同時に実行されるように、通信装置間の計測通信を制御できる。通信装置は、全ての通信経路の使用可能帯域をより迅速に計測できる。また、通信経路は重複していないので、計測通信が同時に実行された場合であっても、通信装置は正確な使用可能帯域を計測できる。
【0014】
また、第一態様において、前記第一決定手段は、前記通信制御装置によって前記計測通信の制御が行われる前記通信装置の数が変更された場合に、前記順番を決定してもよい。これによって通信制御装置は、計測通信の制御を行う通信装置の数が変化した場合に順番を決定できるので、通信経路の変化に即座に応じて順番を再決定できる。従って、通信制御装置は、計測通信の制御を正確に行うことができる。
【0015】
また、第一態様において、前記通信制御手段は、前記第一決定手段によって決定された前記順番の情報を前記通信装置に対して送信することで、前記通信装置に前記計測通信を実行させてもよい。これによって通信装置は、順番の情報を受信することで、この順番に従い計測通信を実行できる。このように通信制御装置は、決定した順番で通信装置に計測通信を実行させることができる。
【0016】
また、第一態様において、前記通信制御手段は、前記第一決定手段によって決定された前記順番に基づき、最初に前記計測通信を実行させる前記通信装置に対して、前記計測通信を開始させるための指示パケットを送信することで、前記通信装置に前記計測通信を実行させてもよい。これによって通信装置は、指示パケットを受信したタイミングで計測通信を開始できる。通信制御装置は、通信装置において実行される計測通信のタイミングを制御できる。
【0017】
本発明の第二態様に係る通信システムは、通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御装置と、前記通信装置とを備えた通信システムであって、前記通信制御装置は、前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得手段と、前記第一取得手段において取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断手段と、前記判断手段における判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定手段と、前記第一決定手段によって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御手段であって、前記第一決定手段によって決定された前記順番の情報を前記通信装置に対して送信する通信制御手段とを備え、前記通信装置は、前記通信制御装置から送信された前記順番の情報を受信する第一受信手段と、他の前記通信装置から送信されるパケットであって、前記計測通信の開始を指示する指示パケットを受信する第二受信手段と、前記第二受信手段によって前記指示パケットを受信した場合に、他の前記通信装置との間で前記計測通信を実行する通信手段と、前記通信手段によって前記計測通信が実行された後、前記第一受信手段によって受信した前記順番の情報に基づいて、次に計測通信が行われる前記通信装置を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された前記通信装置に対して、前記計測通信の開始を指示する指示パケットを送信する送信手段とを備えている。
【0018】
本発明の第二態様によれは、通信制御装置は、重複する部分を介して計測通信が実行される場合と、重複しない部分を介して計測通信が実行される場合とで、計測通信の順番を変えることができる。重複する部分を経由する通信経路において計測通信が実行される場合には、一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼしてしまうことがないように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、正確に通信経路の通信可能帯域を特定できる。一方、重複しない部分を経由する通信経路においては、短い時間で全ての計測通信終了するように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、短時間で複数の通信経路の使用可能帯域を計測できる。
【0019】
また通信装置は、順番の情報を受信することで、この順番に従い計測通信を実行できる。また通信装置は、自身の計測通信が終了した後、次に計測通信を実行するべき通信装置に対して、指示パケットを送信できる。通信装置は、指示パケットを受信した場合に計測通信を実行できるので、容易に計測通信の実行タイミングを判断し、計測通信を実行できる。
【0020】
本発明の第三態様に係る通信制御方法は、通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御方法であって、前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得ステップと、前記第一取得ステップにおいて取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断ステップと、前記判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定ステップと、前記第一決定ステップによって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御ステップとを備えている。
【0021】
本発明の第三態様によれば、通信制御装置は、通信経路が相互に重複する場合と、相互に重複しない場合とで、実行される計測通信の順番を変えることができる。通信経路が相互に重複する場合、一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼしてしまうことがないように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、正確に通信経路の使用可能帯域を特定できる。一方、通信経路が相互に重複しない場合、短い時間で全ての計測通信が終了するように、計測通信の順番が決定される。これによって通信装置は、短時間で確実に使用可能帯域を計測できる。
【0022】
本発明の第四態様に係る通信制御プログラムは、通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御するための通信制御プログラムであって、前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得ステップと、前記第一取得ステップにおいて取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断ステップと、前記判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定ステップと、前記第一決定ステップによって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御ステップとをコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】通信システム1の概要、及び通信装置12の電気的構成を示す図である。
【図2】通信システム1の概要を示す図である。
【図3】帯域テーブル241を示す図である。
【図4】順番テーブル242を示す図である。
【図5】第一メイン処理を示すフローチャートである。
【図6】順番決定処理を示すフローチャートである。
【図7】通信処理を示すフローチャートである。
【図8】重複数テーブル231を示す図である。
【図9】第一閾値テーブル243を示す図である。
【図10】第二閾値テーブル244を示す図である。
【図11】パラメータテーブル232を示す図である。
【図12】第二メイン処理を示すフローチャートである。
【図13】第二メイン処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0025】
図1を参照し、通信システム1について説明する。通信システム1は、通信装置11〜14、及び中継装置15〜19を備えている。通信装置11〜14は、中継装置15〜19を介して相互に通信を行うことができる。通信装置11〜14として、例えば周知のPCが使用できる。中継装置15〜19は、通信装置11〜14間で送受信されるパケットの転送制御を行う。図1のうち点線は、通信装置11〜14及び中継装置15〜19間の通信可能な通信路を示している。中継装置15〜19として、周知のルータやスイッチングHUBが使用できる。
【0026】
通信装置12の電気的構成について説明する。通信装置11、13、及び14の電気的構成は、通信装置12と同一である。通信装置12は、通信装置12の制御を司るCPU21を備えている。CPU21は、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力部25、出力部26、ドライブ装置27、及び通信部28と電気的に接続している。ROM22には、ブートプログラムやBIOS、OS等が記憶される。RAM23には、タイマやカウンタ、一時的なデータが記憶される。HDD24には、CPU21の制御プログラムや後述する各種テーブルが記憶される。入力部25は、ユーザからの入力を受け付けるキーボードやマウスである。出力部26は、所望の画像を表示させるディスプレイである。ドライブ装置27は、記憶媒体271に記憶された情報を読み出すことができる。例えば、通信装置12のセットアップ時、記憶媒体271に記憶された制御プログラムはドライブ装置27によって読み出され、HDD24に記憶される。通信部28は、通信路を介して他の通信装置と通信を行う場合のタイミング制御を行う。
【0027】
通信装置11〜14は、他の通信装置と計測パケットの送受信を行うことで、他の通信装置との間の通信路における使用可能な伝送容量を計測できる。以下、伝送容量を「帯域」ともいう。使用可能な伝送容量を「使用可能帯域」という。通信装置11〜14は、計測された使用可能帯域に応じて最適な通信方法(誤り検出又は誤り訂正方法、再送制御など)を特定する。通信装置11〜14は、特定された通信方式に基づいて他の通信装置と通信を行うことで、通信時の信頼性を高めている。
【0028】
通信路の使用可能帯域は、「CaoLe Thanh Man、長谷川剛、村田正幸、「サービスオーバーレイネットワークのためのインラインネットワーク計測に関する一検討」、電子情報通信学会技術研究報告、社団法人電子情報通信学会、2003年1月17日、Vol.102,No.565,p.53−58」に記載された方式に基づいて計測される。この方法について概説する。計測パケットを送信する側の通信装置(以下「送信装置」という。)は、計測パケットの送信間隔を算出するための時間情報を計測パケットに格納する。計測パケットは、所定のサイズに調整される。送信装置は、送信間隔を徐々に変えることで送信時の帯域を変更しながら、複数の計測パケットを連続して送信する。受信側の通信装置(以下「受信装置」という。)は、計測パケットの受信間隔を記憶する。その後、計測パケット内の時間情報に含まれている送信間隔と、受信装置で記憶された受信間隔との差分が算出される。算出された複数の差分の値の変化傾向から、使用可能帯域が特定される。特定された使用可能帯域は、送信装置に対して通知される。送信装置は、使用可能帯域を取得できる。以下、使用可能帯域を計測するために実行される上述の通信を「計測通信」という。なお本発明における使用可能帯域の計測方法は、上述した方法に限定されない。
【0029】
通信装置11〜14間の通信路の使用可能帯域を計測する計測通信が実行される場合において、計測パケットが経由する通信経路が、異なる通信装置間の通信経路同士で相互に重複する場合がある。ここで通信経路とは、計測パケットが通過する通信路の集合であり、計測パケットの流れる方向を含む概念である。例えば図1に示すように、通信装置11から通信装置13に対して計測パケットが送信されることで計測通信が実行される場合、計測パケットは、(通信装置11→)中継装置15→中継装置18→中継装置17(→通信装置13)の通信経路を経由する。また、通信装置14から通信装置13に対して計測パケットが送信されることで計測通信が実行される場合、計測パケットは、(通信装置14→)中継装置19→中継装置18→中継装置17(→通信装置13)の通信経路を経由する。双方の通信経路のうち中継装置18→中継装置17の部分は、通信路が一致し、且つ、通信路を流れる計測パケットの方向が一致している。以下ではこのような場合に、「通信経路が重複する」という。なお、通信装置と中継装置との間の通信経路(例えば、中継装置17→通信装置13間の通信経路)での重複は無視している。また、一の通信装置から、異なる他の通信装置に向かう方向の通信経路同士の重複も無視している。以下、各通信経路を、その両端に位置する通信装置又は中継装置の符号を用いて「○○→××」のように表記する。なお通信装置及び中継器の符号は、其々のIDを示している。
【0030】
異なる通信装置から送信された複数の計測パケットが、通信経路のうち相互に重複する部分を同時に通過する場合を想定する。この場合、計測パケット間で衝突(コリジョン)が発生して計測パケットが正確に伝送されず、使用可能帯域が正確に計測できない状態が発生し得る。従って、通信装置が使用可能帯域を正確に計測するためには、重複する通信経路部分を通過する計測パケット同士が衝突しないように、其々の通信装置は異なるタイミングで計測通信を実行する必要がある。
【0031】
しかしながら、例えば図1に示す例のうち、18→17の部分で重複する通信経路が、11→13及び14→13の他にも多数存在する場合を想定する。このような場合、其々の通信装置が異なるタイミングで計測通信を実行すると、全ての通信経路で計測通信が完了するまで要する時間が、重複する通信経路の数に比例して大きくなってしまう。
【0032】
これに対して本実施形態では、通信経路毎に実行される計測通信の順番を、以下の(1)〜(3)に基づいて定めている。これによって、迅速に計測通信を終了させ、通信システム1内の全ての通信経路の使用可能帯域を短時間で計測している。
(1)相互に重複しない複数の通信経路を介して計測通信が其々実行される場合、其々の計測通信は同時に実行される。
(2)相互に重複する複数の通信経路を介して計測通信が其々実行される場合であっても、使用可能帯域が正確に計測できると判断された通信経路については、計測通信は同時に実行される。
(3)相互に重複する複数の通信経路を介して計測通信が其々実行される場合であって、使用可能帯域が正確に計測できないと判断された通信経路については、計測通信毎に順番が決定される。計測通信は、特定された順番に基づいて実行される。これによって、計測通信のタイミングが一致しないようにする。
なお上述の(2)(3)において、使用可能帯域が正確に計測できるか否かを判断する方法の詳細は後述する。
【0033】
例えば図2に示すように、12→11(矢印31)と、14→11(矢印35)とは、重複する部分がない。この場合、通信装置12及び通信装置14から同時に計測パケットが送信されることで、計測通信が同時に実行される。(上述の(1)に相当)。一方、12→14(矢印32)と11→13(矢印33)は、15→18の部分で重複している(36)。同様に、11→14(矢印34)と12→14(矢印32)は、15→18の部分と18→19の部分とで通信経路が重複している(36、37)。従って、これらの通信経路では、使用可能帯域が正確に計測できるか否かの判断がなされる。判断結果に応じて、通信装置11及び通信装置12が同時に計測通信を行うか否かが決定される。(上述の(2)(3)に相当)。
【0034】
なお本実施形態では、通信装置11〜14間で実行される計測通信の順番は、通信装置12において一括して決定される。通信装置12は、通信装置11、13、及び14に対して決定した順番を通知する。これによって通信装置12は、通信装置11〜14間で実行される計測通信を制御している。
【0035】
図3を参照し、帯域テーブルの一例である帯域テーブル241について説明する。帯域テーブル241は、通信装置12のHDD24に記憶される。帯域テーブル241には、通信システム1内の全ての通信経路毎に、計測通信によって計測された使用可能帯域の履歴情報が対応付けられて格納されている。通信装置12は、自身が計測した使用可能帯域を、帯域テーブル241に格納する。また通信装置12は、通信装置11、13、及び14において計測された使用可能帯域を取得し、帯域テーブル241に格納する。帯域テーブル241は、通信装置11〜14間で実行される計測通信の順番を決定する場合に参照される。また帯域テーブル241のうち最も新しい使用可能帯域の情報は、通信装置11〜14間でデータ通信が行われる場合に、通信環境に最適な通信方法を特定するために使用される。
【0036】
図4を参照し、順番テーブルの一例である順番テーブル242について説明する。順番テーブル242は、通信装置12のHDD24に記憶される。順番テーブル242には、計測通信の順番と、通信システム1内の全ての通信経路とが対応付けて格納されている。順番テーブル242は、帯域テーブル241(図3参照)に基づいて作成される。通信装置12は、順番テーブル242に基づいて、通信装置11〜14間で実行される計測通信の順番を制御する。
【0037】
図5〜図11を参照し、通信装置12のCPU21において実行される第一メイン処理について説明する。第一メイン処理は、通信装置12の電源が投入された場合において、CPU21において起動されて実行される。図5に示すように、はじめに、通信装置11、13、14間と自身との間の通信経路の情報(以下「通信経路情報」という。)が取得される(S11)。取得される通信経路情報にて特定される通信経路は、通信装置11、13、及び14間でデータ通信が実行された場合にデータパケットや、既述の計測パケットが経由する通信経路である。通信経路情報は、トレースルート機能を用いることで取得される。なお通信経路情報を取得する方法は、この方法に限定されない。
【0038】
通信装置11、13、及び14の其々でも同様に、他の通信装置との間の通信経路の情報が取得される(S121、図12参照)。通信装置11、13、及び14は、取得された通信経路情報を通信装置12に対して送信する(S123、図12参照)。送信された通信経路情報が受信される(S13)。
【0039】
S11で取得された通信経路情報と、S13で受信された通信経路情報とに基づいて、複数の通信経路間で重複する部分があるかが判断される(S15)。例えば以下のようにして判断される。通信経路上に配置される中継装置が、通信経路情報に基づいて通信経路毎に特定される。一の通信経路上に配置される中継装置と、他の通信経路上に配置される中継装置とが比較される。隣接する二つの中継装置が重複する場合、通信経路間で重複する部分があると判断される。複数の通信経路間で重複する部分があると判断された場合、重複する通信経路の数(以下「重複数」という。)が特定される。特定された重複数と通信経路とを対応付けた重複数テーブルが作成される(S16)。
【0040】
図8を参照し、重複数テーブルの一例である重複数テーブル231について説明する。重複数テーブル231は、通信装置12のRAM23に記憶される。重複数テーブル231には、重複数と通信経路とが対応付けて格納されている。重複数が1である場合、対応する通信経路は、他の通信経路と重複していない。重複数が2以上である場合、対応する通信経路は、重複数テーブル231の同じ行に対応付けられた他の通信経路と部分的に重複している。
【0041】
例えば図8では、11→12、12→11、12→13等は、重複数が「1」であるので、他の通信経路と重複していないことになる。一方、13→12及び14→12は、重複数が「2」であるので、双方の通信経路は部分的に重複している。
【0042】
また図2に示すように、11→13、及び、12→14は、15→18の部分で重複している(36)。また、12→14、及び、11→14は、15→18の部分と18→19の部分とで重複している(36、37)。このように、異なる三つの通信経路が相互に重複した関係にある場合、重複数テーブル231には、通信経路「11→13」「11→14」「12→14」が重複数「3」に対応付けられて格納される。
【0043】
図5に示すように、重複数テーブル231が作成された(S16)後、帯域テーブル241(図3参照)が参照される。使用可能帯域が帯域テーブル241に格納されているかが判断される(S17)。自身が未だ計測通信を実行しておらず、又は、他の通信装置によって計測された使用可能帯域が取得されていない場合(S17:NO)、帯域テーブル241に基づいて順番テーブル242(図4参照)を作成することができない。この場合、所定の順番が初期値として其々の通信経路に対応付けられ、順番テーブル242に格納される(S19)。これによって順番テーブル242が作成される。なお順番の初期値は、同一の順番が複数の通信経路に割り当てられないように設定されているものとする。これによって、作成された順番テーブル242に基づいて計測通信が行われる場合、其々必ず異なるタイミングで計測パケットが送信される。従って、計測パケットの衝突を確実に回避できる。また、帯域テーブル241には、所定の使用可能帯域が初期値として格納される。作成された順番テーブル242に基づいて計測通信を実行するために、処理はS21に進む。
【0044】
一方、帯域テーブル241(図3参照)に使用可能帯域が格納されている場合(S17:YES)、帯域テーブル241と重複数テーブル231(図8参照)とに基づいて、順番テーブル242(図4参照)を作成するための処理が以下のようにして実行される(S23〜S29)。
【0045】
重複数テーブル231(図8参照)から、重複数「1」に対応する通信経路が抽出できたかが判断される(S23)。重複数テーブル231に、重複数が「1」に対応する通信経路が格納されていない場合(S23:NO)、重複数「1」に対応する通信経路が抽出できないので、処理はS27に進む。重複数テーブル231に、重複数「1」に対応する通信経路が格納されている場合、該当する通信経路が抽出される(S23:YES)。抽出された通信路は、順番テーブル242(図4参照)に通信経路に格納される。格納された通信経路に、同一の順番「1」が対応付けられる(S25)。このようにして、重複関係にない通信経路を介した計測通信が同時に行われるように、順番が決定される。通信経路は重複していないので、計測通信が同時に実行された場合であっても、使用可能帯域は正確に計測される。処理はS27に進む。
【0046】
なお上述では、同一の順番「1」が通信経路に対応付けられていたが、本発明はこれに限定されない。同一の順番が対応付けられればよく、その順番は「1」以外であってもよい。
【0047】
重複数テーブル231(図8参照)に、重複数「2」以上に対応する通信経路が抽出できたかが判断される(S27)。重複数テーブル231に、重複度が「2」以上に対応する通信経路が格納されていない場合(S27:NO)、重複数「2」以上に対応する通信経路が抽出できないので、処理はS21に進む。重複数テーブル231に、重複度が「2」以上に対応する通信経路が重複数テーブル231に格納されている場合、該当する通信経路が抽出される(S27:YES)。順番テーブル242を作成する処理(順番決定処理、図6参照)が実行される(S29)。順番テーブル242が作成された後、処理はS21に進む。
【0048】
図6を参照し、順番決定処理について説明する。重複数テーブル231(図8参照)が参照される。「2」以上の重複数に対応付けられている通信経路が、重複する通信経路毎に複数選択される(S51)。選択された複数の通信経路は、RAM23に一時的に記憶される。選択された複数の通信経路のうち、既に順番が決定され、順番テーブル242(図4参照)に同一の通信経路が格納されているか判断される(S53)。同一の通信経路が既に順番テーブル242に格納されている場合(S53:YES)、該当する通信経路はRAM23から削除される(S55)。処理はS67に進む。順番テーブル242に同一の通信経路が格納されていない場合(S53:NO)、処理はS67に進む。
【0049】
例えばS51において、重複数テーブル231(図8参照)の通信経路が、重複数「2」「3」の順で重複数テーブル231から選択された場合を例に挙げて具体的に説明する。11→13に対応する順番は、はじめに重複数「2」に対応する通信経路として選択された場合に決定される。決定された順番と11→13とが対応付けられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される。次いで、重複数「3」に対応する通信経路として、11→13が選択される(S51)。順番テーブル242には、既に同一の通信経路(11→13)が格納されているので(S53:YES)、11→13の情報はRAM23から削除される(S55)。
【0050】
帯域テーブル241(図3参照)に格納されている使用可能帯域が参照される。RAM23に記憶されている通信経路に対応する使用可能帯域の履歴が取得される。取得された使用可能帯域の履歴から、使用可能帯域のばらつきの程度を示す分散(%)が算出される(S67)。分散は、例えば以下のようにして算出される。使用可能帯域の各履歴が、確率変数に変換される。変換された確率変数が期待値に対してどの程度散らばっているかを示す割合(%)が算出される。算出された値が分散とされる。
【0051】
RAM23に記憶された通信経路に対応する重複数に応じて、閾値(第一帯域閾値、第二帯域閾値、第一分散閾値、及び第二分散閾値)が特定される(S57)。閾値は、重複する通信経路を介して計測通信が実行された場合に、使用可能帯域が正確に計測できるか否かを判断する場合に使用される。帯域閾値は、第一閾値テーブルを参照することで特定される。分散閾値は、第二閾値テーブルを参照することで特定される。第一閾値テーブル及び第二閾値テーブルは、HDD24に予め記憶されている。
【0052】
図9を参照し、第一閾値テーブルの一例である第一閾値テーブル243について説明する。第一閾値テーブル243には、第一帯域閾値及び第二帯域閾値が、重複度「2」「3」「4」に対応付けて格納されている。例えば、RAM23に記憶されている通信経路の重複数が「2」である場合、第一帯域閾値として「512kbps」が特定され、第二帯域閾値として「128kbps」が特定される。
【0053】
図10を参照し、第二閾値テーブルの一例である第二閾値テーブル244について説明する。第二閾値テーブル244には、第一分散閾値及び第二分散閾値が、使用可能帯域の範囲毎に対応付けて格納されている。第一分散閾値及び第二分散閾値は、以下のようにして特定される。帯域テーブル241(図3参照)に格納された使用可能帯域のうち、最も新しい使用可能帯域が参照される。RAM23に記憶された通信経路に対応する使用可能帯域が、帯域テーブル241から取得される。取得された使用可能帯域が、第二閾値テーブル244における使用可能帯域の範囲のうちいずれの範囲に該当するかが判断される。該当する使用可能帯域の範囲に対応付けられている第一分散閾値及び第二分散閾値が特定される。
【0054】
S67で算出された分散、及び、S57で特定された閾値は、パラメータテーブルに格納される。図11を参照し、パラメータテーブルの一例であるパラメータテーブル232について説明する。パラメータテーブル232は、通信装置12のRAM23に記憶される。パラメータテーブル232には、S51で選択され、S53で削除された後の通信経路が格納される。また、S67で算出された分散、及び、S57で特定された閾値が、通信経路に対応付けて格納される。また、帯域テーブル241(図3参照)に格納された使用可能帯域のうち、最も新しい使用可能帯域が参照され、通信経路に対応する使用可能帯域が取得されて格納される。
【0055】
図6に示すS59〜S77の処理では、重複する通信経路を介して計測通信が実行された場合に、使用可能帯域が正確に計測できるか否かが、パラメータテーブル232(図11参照)に基づいて判断される。判断結果に基づいて、通信経路と順番とが対応付けられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される。
【0056】
パラメータテーブル232(図11参照)から、使用可能帯域及び第一帯域閾値が抽出される。通信経路がパラメータテーブル232に複数記憶されている場合、対応する複数の使用可能帯域の合計が算出される。算出された使用可能帯域の合計が、第一帯域閾値以下であるかが判断される(S59)。算出された使用可能帯域の合計が第一閾値以下である場合(S59:YES)、通信経路の使用可能帯域に余裕がなく、同時に複数の計測通信が実行された場合、計測パケットの衝突が生じる可能性が高いと判断される。この場合、計測通信のタイミングが一致しないように、通信経路毎に異なる順番が順次割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S61)。割り当てられる順番は特に限定されないが、例えば、通信装置のID(図1における各通信装置の符号に相当)の順で順番が順次割り当てられる。処理はS81に進む。
【0057】
例えば、13→12と14→12との間で計測通信の順番が決定される場合を例に挙げて具体的に説明する。重複度は「2」(図8参照)であるので、第一閾値テーブル243(図9参照)に基づき、第一閾値は「512kbps」に特定されている(図11参照)。通信経路における使用可能帯域の合計が算出される。算出された使用可能帯域の合計は第一閾値以下である(S59:YES)。この場合、計測通信が同時に実行されないように、其々の通信経路に異なる順番が順次割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される。例えば順番テーブル242(図4参照)に示すように、13→12に対して順番「1」が割り当てられ、14→12に対して順番「2」が割り当てられる。以上のように順番を決定することで、最初に13→12を介して計測通信が実行され、次いで、14→12を介して計測通信が実行される(S21、図5参照、後述)。計測通信は同時に行われないので、一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼすことがなく、正確に使用可能帯域が計測される。
【0058】
算出された使用可能帯域の合計が第一閾値よりも大きい場合(S59:NO)、パラメータテーブル232(図11参照)が参照される。使用可能帯域のうちいずれかが、第二閾値以下であるかが判断される(S63)。使用可能帯域のうちいずれかが第二閾値以下である場合(S63:YES)、該当する通信経路では、使用可能帯域に余裕がなく、同時に計測通信が実行された場合、計測パケットの衝突が生じる可能性が高いと判断される。従って、該当する通信経路を介して計測通信が実行される場合に、そのタイミングが一致しないように、通信経路毎に異なる順番が順次割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S65)。
【0059】
一方、使用可能帯域が第二閾値よりも大きい通信経路では、使用可能帯域に十分余裕があり、同時に複数の計測通信が実行されても、計測パケットの衝突は生じない可能性が高いと判断される。この場合、該当する通信経路を介した複数の計測通信が同時に実行されるように、同一の順番「1」が通信経路に割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S65)。処理はS81に進む。以上のように順番を決定することで、使用可能帯域が第二閾値よりも大きい通信経路を介した計測通信が同時に実行される。使用可能帯域は十分大きく、使用可能帯域は正確に計測される可能性が高い。従って、使用可能帯域は短時間で且つ正確に計測される。
【0060】
使用可能帯域のいずれも第二閾値より大きい場合(S63:NO)、パラメータテーブル232(図11参照)が参照される。分散のうちいずれかが、第一分散閾値より大きいかが判断される(S71)。分散のうちいずれかが第一分散閾値より大きい場合(S71:YES)、該当する通信経路では、使用可能帯域のばらつきが非常に大きいと判断される。そして、計測パケットの通信状態が非常に不安定な状態であり、使用可能帯域が正確に計測できない可能性が高いと判断される。従って、該当する分散に対応する通信経路を介した計測通信のタイミングが一致しないように、通信経路毎に異なる順番が順次割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される。また、計測通信の実行回数を2回に増やすことで、より正確に使用可能帯域を計測するために、同一の通信経路が2回連続して順番テーブル242に格納され、順番が順次割り当てられる(S73)。
【0061】
一方、第一分散閾値以下の分散に対応する通信経路では、使用可能帯域のばらつきが比較的小さいと判断される。そして、計測パケットの通信状態は安定しており、使用可能帯域は正確に計測できると可能性が高いと判断される。従って、該当する分散に対応する通信経路を介した計測通信が同時に実行されるように、同一の順番「1」が通信経路に割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S73)。処理はS81に進む。
【0062】
パラメータテーブル232に格納された分散のいずれも、第一分散閾値以下である場合(S71:NO)、分散のうちいずれかが、第二分散閾値より大きいかが判断される(S75)。分散のうちいずれかが第二分散閾値より大きい場合(S75:YES)、該当する通信経路では、使用可能帯域のばらつきが大きいと判断される。そして、計測パケットの通信状態が不安定となっており、使用可能帯域が正確に計測できない可能性が高いと判断される。従って、該当する分散に対応する通信経路を介した計測通信のタイミングが一致しないように、通信経路毎に異なる順番が順次割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S77)。
【0063】
一方、第二分散閾値以下の分散に対応する通信経路では、使用可能帯域のばらつきが小さいと判断される。そして、計測パケットの通信状態は安定しており、使用可能帯域が正確に計測できる可能性が高いと判断される。従って、該当する分散に対応する通信経路を介した計測通信が同時に実行されるように、同一の順番「1」が全ての通信経路に割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S77)。処理はS81に進む。以上のように、使用可能帯域の分散に基づいて安定性が判断され、使用可能帯域が正確に実行可能か否かが判断される。使用可能帯域の安定度が高い場合、計測通信は同時に実行されるので、短時間で使用可能帯域が計測される。
【0064】
算出された分散のいずれも第二分散以下である場合(S75:NO)、使用可能帯域は十分大きく、且つ非常に安定している。従って、同時に計測通信が実行されても計測パケットの衝突は生じず、使用可能帯域は正確に計測できる可能性が高い。従って、パラメータテーブル232(図11参照)に記憶された全ての通信経路を介した計測通信が同時に実行されるように、同一の順番「1」が割り当てられ、順番テーブル242(図4参照)に格納される(S79)。処理はS81に進む。このように、通信経路の使用可能帯域が大きく、且つ安定している場合には、計測通信は同時に実行される。これによって、使用可能帯域を正確に計測しつつ、短時間で全ての通信経路の使用可能帯域が計測される。
【0065】
順番の割り当てが実行されていない通信経路が残存するかが判断される(S81)。順番の割り当てが実行されていない通信経路が残存する場合(S81:YES)、処理はS51に戻る。全ての通信経路について、順番が割り当てられた場合(S81:NO)、順番決定処理は終了し、処理は第一メイン処理(図5参照)に戻る。
【0066】
図5に示すように、順番テーブル242(図4参照)が作成された後、作成された順番テーブル242に基づいて、通信装置11〜14間での計測通信を制御する処理(通信処理、図7参照)が実行される(S21)。通信処理後、処理はS11に戻る。
【0067】
図7を参照し、通信処理について説明する。はじめに、作成された順番テーブル242(図4参照)の情報がパケットに格納される。順番テーブル242の情報が格納されたパケットは、通信装置11、13、及び14に対して送信される(S91)。なお、このパケットを受信した通信装置では、受信された順番テーブルに基づいて計測通信が実行される。通信装置12は、順番テーブル242の情報が格納されたパケットを通信装置11、13、及び14に送信することで、決定した順番で計測通信を実行させる。
【0068】
順番テーブル242(図4参照)のうち、順番「1」に対応付けられている通信経路が抽出される。抽出された通信経路が、自身が計測パケットを他の通信装置に送信することで計測通信が実行される通信経路であるかが判断される(S93)。抽出された通信経路「○○→××」のうち、「○○」が自身のIDと一致する場合、自身が計測パケットを送信しなければならない(S93:YES)。「××」にて特定されるIDの通信装置に対して、計測パケットが送信される(S95)。処理はS97に進む。なおID「××」の通信装置は、計測パケットを受信することで使用可能帯域を計測し、計測された使用可能帯域を含む結果パケットを返信する。返信された結果パケットは、後述するS105で受信される。一方、抽出された通信経路に、自身のIDと一致する「○○」が存在しない場合(S93:NO)、処理はS97に進む。
【0069】
抽出された通信経路が、他の通信装置が計測パケットを送信することで計測通信が実行される通信経路であるかが判断される(S97)。抽出された通信経路「○○→××」のうち、「○○」が他の通信装置のIDと一致する場合、他の通信装置に対して計測パケットを送信させなければならない(S97:YES)。ID「××」にて特定される通信装置に対して計測パケットを送信させるための指示パケットが、ID「○○」の通信装置に対して送信される(S99)。指示パケットには、計測パケットを送信する相手先の通信装置のID「××」が格納される。処理はS101に進む。なおID「○○」の通信装置は、ID「××」の通信装置に対して計測パケットを送信し、結果パケットを受信する。ID「○○」の通信装置は、結果パケットを自身に対して返信する。返信された結果パケットは、後述するS105で受信される。一方、他の通信装置のIDと一致する「○○」が存在しない場合(S97:NO)、処理はS101に進む。
【0070】
他の通信装置から指示パケットを受信したかが判断される(S101)。他の通信装置から指示パケットを受信した場合(S101:YES)、指示パケットに格納されているIDの通信装置に対して計測パケットが送信される(S103)。処理はS105に進む。このように、指示パケットを受信したタイミングで計測通信が開始されるので、指示パケットを送信する通信装置側で計測通信のタイミングを制御できる。なお、計測パケットを送信した通信装置から返信される結果パケットは、後述するS105で受信される。他の通信装置から指示パケットを受信していない場合(S101:NO)、処理はS105に進む。
【0071】
他の通信装置から結果パケットを受信したかが判断される(S105)。他の通信装置から結果パケットを受信した場合(S105:YES)、結果パケットに格納されている使用可能帯域は、通信経路に対応付けて帯域テーブル241(図3参照)に格納される(S107)。処理はS109に進む。結果パケットを受信していない場合(S105:NO)、処理はS109に進む。
【0072】
通信システム1の構成が変化したかが判断される(S109)。通信システム1内への新たな通信装置の追加指示や、既存の通信装置の削除指示が通信装置12の管理者によって入力された場合(S109:YES)、通信システム1の構成の変化を通知する通知パケットが、他の通信装置に対して送信される(S111)。通信システム1の構成が変化したので、即座に新たな順番テーブルを作成するために、通信処理を終了し、処理は第一メイン処理(図5参照)に戻る。このように通信装置12は、計測通信の制御を行う通信装置の数が変化した場合に、即座に順番テーブル242を再構成することで、通信経路の変化に即座に応じて計測通信の制御を行っている。
【0073】
一方、通信システム1の構成が変化していない場合(S109:NO)、次の順番で計測通信が実行される通信装置が存在するかが、以下のようにして判断される(S113)。S93〜S107で実行された計測通信に対応する通信経路が、順番テーブル242(図4)から抽出される。抽出された通信経路に対応付けられている順番が特定される。特定された順番に1加算した順番が、順番テーブル242に格納されているかが判断される。特定された順番に1加算した順番が、順番テーブル242に格納されていない場合(S113:NO)、通信処理を終了し、処理は第一メイン処理(図5参照)に戻る。特定された順番に1加算した順番が、順番テーブル242に格納されている場合、次の順番で計測通信を行う必要があることになる(S113:YES)。所定の周期で計測通信を実行するために、所定時間の経過が監視される(S115)。所定時間が経過していない場合(S115:NO)、処理はS115に戻る。所定時間が経過した場合(S115:YES)、次の順番に対応する通信経路の計測通信を実行するために、処理はS93に戻る。順番テーブル242(図4参照)のうち、次の順番に対応付けられている通信経路が抽出され、上述の処理が繰り返される。
【0074】
図12及び図13を参照し、通信装置11、13、及び14のCPU21において実行される第二メイン処理について説明する。第二メイン処理は、通信装置11、13、及び14の電源が投入された場合において、CPU21において起動されて実行される。はじめに、他の通信装置と自身との間の通信経路の通信経路情報が取得される(S121)。取得された通信経路情報は、通信装置12に対して送信される(S123)。通信装置12から送信されるパケットであって、順番テーブル242の情報が格納されたパケットが受信される(S125)。受信された順番テーブル242の情報は、HDD24に記憶される。
【0075】
他の通信装置から指示パケットを受信したかが判断される(S137)。他の通信装置から指示パケットを受信した場合(S137:YES)、指示パケットに格納されているIDの通信装置に対して計測パケットが送信される(S139)。処理はS141に進む。他の通信装置から指示パケットを受信していない場合(S137:NO)、処理はS141に進む。他の通信装置から結果パケットを受信したかが判断される(S141)。他の通信装置から結果パケットが受信された場合(S141:YES)、結果パケットは通信装置12に対して転送される(S143)。処理はS151(図13参照)に進む。結果パケットを受信していない場合(S141:NO)、処理はS151(図13参照)に進む。
【0076】
図13に示すように、通信システム1の構成の変化を通知する通知パケットを通信装置12から受信したかが判断される(S151)。通知パケットを通信装置12から受信した場合(S151:YES)、通信システム1の構成が変化しているので、即座に新たな順番テーブルを受信するために、処理はS121(図12参照)に戻る。
【0077】
通信装置12から通知パケットを受信していない場合(S151:NO)、次の順番で計測通信が実行される通信装置が存在するかが、S125で受信された順番テーブルに基づいて判断される(S153)。判断の方法は、S113(図7参照)の場合と同様である。次の順番で計測通信が実行される通信装置が存在しない場合(S153:NO)、処理はS121(図12参照)に戻る。次の順番で計測通信を行う必要がある場合(S153:YES)。所定の周期で計測通信を実行するために、所定時間の経過が監視される(S155)。所定時間が経過していない場合(S155:NO)、処理はS155に戻る。所定時間が経過した場合(S155:YES)、次の順番に対応する通信経路の計測通信を実行するために、以下の処理が行われる。
【0078】
S125(図12参照)で受信された順番テーブルのうち、S139(図12参照)で計測通信が実行された通信経路に対応付けられている順番に「1」加算した順番が特定される。特定された順番に対応する通信経路が抽出される。抽出された通信経路が、自身が計測パケットを他の通信装置に送信することで計測通信が実行される通信経路であるかが判断される(S157)。抽出された通信経路「○○→××」のうち、「○○」が自身のIDと一致する場合(S157:YES)、「××」にて特定されるIDの通信装置に対して、計測パケットが送信される(S159)。処理はS161に進む。抽出された通信経路に、自身のIDと一致する「○○」が存在しない場合(S157:NO)、処理はS161に進む。
【0079】
抽出された通信経路が、他の通信装置が計測パケットを送信することで計測通信が実行される通信経路であるかが判断される(S161)。抽出された通信経路「○○→××」のうち、「○○」が他の通信装置のIDと一致する場合(S161:YES)、ID「××」にて特定される通信装置に対して計測パケットを送信させるための指示パケットが、ID「○○」の通信装置に対して送信される(S165)。処理はS137(図12参照)に進む。他の通信装置のIDと一致する「○○」が存在しない場合(S161:NO)、処理はS137(図12参照)に戻る。
【0080】
以上説明したように、通信装置12は、重複する通信経路部分を経由する通信経路において計測通信が実行される場合に、一の計測通信が他の計測通信に影響を及ぼしてしまうことがないように、計測通信の順番を決定することができる。これによって通信装置12は、通信装置11〜14間の計測通信を制御し、正確に通信経路の使用可能帯域を特定できる。また通信装置12は、重複しない通信経路部分を経由する通信経路において、短い時間で全ての計測通信が終了するように、計測通信の順番を決定できる。これによって通信装置12は、短時間で通信システム1内の全ての通信経路の使用可能帯域を計測できる。
【0081】
なお、図1における通信装置12が本発明の「通信制御装置」に相当し、通信装置11、13、及び14が本発明の「通信装置」に相当する。図5のS11、S13の処理を行うCPU21が本発明の「第一取得手段」に相当し、S15の処理を行うCPU21が本発明の「判断手段」に相当し、S25、S29の処理を行うCPU21が本発明の「第一決定手段」に相当し、S31の処理を行うCPU21が本発明の「通信制御手段」に相当する。図7のS101の処理を行うCPU21が本発明の「第二取得手段」に相当する。図6のS67の処理を行うCPU21が本発明の通信制御装置における「特定手段」に相当し、S73の処理を行うCPU21が本発明の「第二決定手段」に相当する。図12のS125の処理を行うCPU21が本発明の「第一受信手段」に相当し、S137の処理を行うCPU21が本発明の「第二受信手段」に相当し、S139の処理を行うCPU21が本発明の「通信手段」に相当する。図13のS153の処理を行うCPU21が本発明の通信システムにおける「特定手段」に相当し、S165の処理を行うCPU21が本発明の「送信手段」に相当する。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述では、通信装置12が順番を一括して決定し、他の通信装置11、13、及び14に通知することで、通信装置12が計測通信を制御していた。本発明はこれに限定されない。他の通信装置11、13、及び14の其々が順番を決定し、決定された順番に基づいて計測通信を実行してもよい。また、順番を決定する専用装置(サーバなど)が計測通信の順番を一括して決定し、通信装置11〜14に対して通知することで、専用装置が通信装置の計測通信を制御してもよい。
【0083】
上述では、互いに重複する複数の通信経路を介して計測通信が行われる場合に、所定の条件に合致する通信経路を介した計測通信は同時に行われ、他の通信経路では、異なるタイミングで計測通信が行われていた。本発明はこれに限定されない。互いに重複する複数の通信経路を介して計測通信が行われる場合、所定の条件による判断を行うことなく、異なるタイミングで計測通信が実行されてもよい。これによって、更に確実に使用可能帯域が計測される。
【0084】
上述では、使用可能帯域の履歴から分散を算出し、算出された分散に基づいて、計測通信の順番が決定されていた。本発明はこれに限定されない。使用可能帯域の安定度を示すパラメータとして、例えば平均値や標準偏差等、他のパラメータが使用されてもよい。例えば上述では、第二閾値テーブル244において、テーブル使用可能帯域の範囲毎に分散閾値が定められていた。本発明はこれに限定されない。分散閾値は、通信経路の重複数毎に定められていてもよい。上述では、算出された分散が所定の条件を満たす場合に、計測通信が2回行われていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、使用可能帯域が所定の条件を満たす場合に、計測通信が2回行われてもよい。
【0085】
上述では、計測通信を同時に実行させる場合、順番「1」が順番テーブル242に割り当てられていたが、本発明はこれに限定されない。計測通信を同時に実行させる場合に割り当てられる順番は「1」でなくともよい。
【0086】
上述では、通信装置12において作成された順番テーブル242は他の通信装置11、13、及び14に対して送信されていた。また通信装置11〜14間で、指示パケットに基づいて計測通信の開始タイミングが制御されていた。本発明はこれに限定されない。通信装置11〜14は、指示パケットのみによって計測通信が制御されてもよい。又は、順番テーブル242のみによって計測通信が制御されてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 通信システム
11、12、13、14 通信装置
21 CPU
243 第一閾値テーブル
244 第二閾値テーブル
271 記憶媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御装置であって、
前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得手段と、
前記第一取得手段において取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断手段と、
前記判断手段における判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定手段と、
前記第一決定手段によって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御手段と
を備えたことを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
前記第一決定手段は、
前記判断手段において重複する部分があると判断された場合に、重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われないように、前記順番を決定することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記通信経路の前記使用可能帯域を取得する第二取得手段を備え、
前記第一決定手段は、
前記第二取得手段によって、前記判断手段において重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域が取得された場合に、取得された前記使用可能帯域のうち所定の条件を満たす前記使用可能帯域に対応する前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記第二取得手段によって、前記判断手段において重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域が取得された場合に、取得された前記使用可能帯域履歴のばらつきの程度を示す安定度を特定する特定手段を備え、
前記第一決定手段は、
前記特定手段によって特定された前記安定度のうち所定の条件を満たす前記安定度に対応する前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定することを特徴とする請求項3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記特定手段によって特定された前記安定度に基づいて、前記計測通信が行われる頻度を決定する第二決定手段を備え、
前記通信制御手段は、
前記第二決定手段によって決定された前記頻度で、前記通信装置に前記計測通信を実行させることを特徴とする請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記第一決定手段は、
前記判断手段において重複する部分があると判断された場合において、重複する前記通信経路の数である重複数に基づいて前記所定の条件を特定し、前記順番を決定することを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記第一決定手段は、
前記判断手段において重複する部分がないと判断された前記通信経路が複数ある場合に、重複する部分がないと判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記第一決定手段は、
前記通信制御装置によって前記計測通信の制御が行われる前記通信装置の数が変更された場合に、前記順番を決定することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項9】
前記通信制御手段は、
前記第一決定手段によって決定された前記順番の情報を前記通信装置に対して送信することで、前記通信装置に前記計測通信を実行させることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項10】
前記通信制御手段は、
前記第一決定手段によって決定された前記順番に基づき、最初に前記計測通信を実行させる前記通信装置に対して、前記計測通信を開始させるための指示パケットを送信することで、前記通信装置に前記計測通信を実行させることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項11】
通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御装置と、前記通信装置とを備えた通信システムであって、
前記通信制御装置は、
前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得手段と、
前記第一取得手段において取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断手段と、
前記判断手段における判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定手段と、
前記第一決定手段によって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御手段であって、前記第一決定手段によって決定された前記順番の情報を前記通信装置に対して送信する通信制御手段と
を備え、
前記通信装置は、
前記通信制御装置から送信された前記順番の情報を受信する第一受信手段と、
他の前記通信装置から送信されるパケットであって、前記計測通信の開始を指示する指示パケットを受信する第二受信手段と、
前記第二受信手段によって前記指示パケットを受信した場合に、他の前記通信装置との間で前記計測通信を実行する通信手段と、
前記通信手段によって前記計測通信が実行された後、前記第一受信手段によって受信した前記順番の情報に基づいて、次に計測通信が行われる前記通信装置を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された前記通信装置に対して、前記計測通信の開始を指示する指示パケットを送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項12】
通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御方法であって、
前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得ステップと、
前記第一取得ステップにおいて取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定ステップと、
前記第一決定ステップによって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御ステップと
を備えたことを特徴とする通信制御方法。
【請求項13】
通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御するための通信制御プログラムであって、
前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得ステップと、
前記第一取得ステップにおいて取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定ステップと、
前記第一決定ステップによって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御ステップと
をコンピュータに実行させるための通信制御プログラム。
【請求項1】
通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御装置であって、
前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得手段と、
前記第一取得手段において取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断手段と、
前記判断手段における判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定手段と、
前記第一決定手段によって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御手段と
を備えたことを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
前記第一決定手段は、
前記判断手段において重複する部分があると判断された場合に、重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われないように、前記順番を決定することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記通信経路の前記使用可能帯域を取得する第二取得手段を備え、
前記第一決定手段は、
前記第二取得手段によって、前記判断手段において重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域が取得された場合に、取得された前記使用可能帯域のうち所定の条件を満たす前記使用可能帯域に対応する前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記第二取得手段によって、前記判断手段において重複する部分があると判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域が取得された場合に、取得された前記使用可能帯域履歴のばらつきの程度を示す安定度を特定する特定手段を備え、
前記第一決定手段は、
前記特定手段によって特定された前記安定度のうち所定の条件を満たす前記安定度に対応する前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定することを特徴とする請求項3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記特定手段によって特定された前記安定度に基づいて、前記計測通信が行われる頻度を決定する第二決定手段を備え、
前記通信制御手段は、
前記第二決定手段によって決定された前記頻度で、前記通信装置に前記計測通信を実行させることを特徴とする請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記第一決定手段は、
前記判断手段において重複する部分があると判断された場合において、重複する前記通信経路の数である重複数に基づいて前記所定の条件を特定し、前記順番を決定することを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記第一決定手段は、
前記判断手段において重複する部分がないと判断された前記通信経路が複数ある場合に、重複する部分がないと判断された複数の前記通信経路の前記使用可能帯域を計測する前記計測通信が同時に行われるように、前記順番を決定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記第一決定手段は、
前記通信制御装置によって前記計測通信の制御が行われる前記通信装置の数が変更された場合に、前記順番を決定することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項9】
前記通信制御手段は、
前記第一決定手段によって決定された前記順番の情報を前記通信装置に対して送信することで、前記通信装置に前記計測通信を実行させることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項10】
前記通信制御手段は、
前記第一決定手段によって決定された前記順番に基づき、最初に前記計測通信を実行させる前記通信装置に対して、前記計測通信を開始させるための指示パケットを送信することで、前記通信装置に前記計測通信を実行させることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項11】
通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御装置と、前記通信装置とを備えた通信システムであって、
前記通信制御装置は、
前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得手段と、
前記第一取得手段において取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断手段と、
前記判断手段における判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定手段と、
前記第一決定手段によって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御手段であって、前記第一決定手段によって決定された前記順番の情報を前記通信装置に対して送信する通信制御手段と
を備え、
前記通信装置は、
前記通信制御装置から送信された前記順番の情報を受信する第一受信手段と、
他の前記通信装置から送信されるパケットであって、前記計測通信の開始を指示する指示パケットを受信する第二受信手段と、
前記第二受信手段によって前記指示パケットを受信した場合に、他の前記通信装置との間で前記計測通信を実行する通信手段と、
前記通信手段によって前記計測通信が実行された後、前記第一受信手段によって受信した前記順番の情報に基づいて、次に計測通信が行われる前記通信装置を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された前記通信装置に対して、前記計測通信の開始を指示する指示パケットを送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項12】
通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御する通信制御方法であって、
前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得ステップと、
前記第一取得ステップにおいて取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定ステップと、
前記第一決定ステップによって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御ステップと
を備えたことを特徴とする通信制御方法。
【請求項13】
通信装置間の通信路における使用可能な帯域である使用可能帯域を計測するために前記通信装置間で行われる計測通信を制御するための通信制御プログラムであって、
前記通信装置間で送受信されるパケットが経由する通信経路の情報である通信経路情報を取得する第一取得ステップと、
前記第一取得ステップにおいて取得された前記通信経路情報に基づいて、複数の前記通信経路間で相互に重複する部分があるか判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記通信経路毎に行われる前記計測通信の順番を決定する第一決定ステップと、
前記第一決定ステップによって決定された前記順番で、前記通信装置に前記計測通信を実行させる通信制御ステップと
をコンピュータに実行させるための通信制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−15823(P2012−15823A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150585(P2010−150585)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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