説明

通信制御装置およびプロトコル変換方法

【課題】 移動通信端末がネットワークに対してIPパケットを送受信するためのセッションを確立することなく、かつIMSの機能を有しない移動通信端末からIMSのコアネットワークへアクセス可能とする。
【解決手段】 通信制御装置100は、アクセスネットワーク300で使用されるプロトコまたはIMSコアネットワーク400で使用されるSIPによる通信が発生した場合、信号解析部120がそれぞれのプロトコルにおいてどのような信号が受信されたかを識別する。そして、プロトコル変換部121は、その信号を、他のプロトコルにおける同機能の信号に変換することができる。例えば、3G通信プロトコルで使用されている発信信号であることを示すSetup信号が受信された場合、そのSetup信号をSIPにおける発信信号であることを示すINVITE信号に変換することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などで使用されている通信プロトコルをIMSコアネットワークで使用することができる通信プロトコルに変換する通信制御装置およびプロトコル変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IP(InternetProtocol)技術を用いた通信ネットワークが考えられており、IMS(IP Multimedia Subsystem)といわれる規格が3GPPにおいて考えられている。この規格の内容は、例えば非特許文献1に記載されている。
【非特許文献1】3GPP TS 23.228 V7.6.0 (2006-12) 3rd GenerationPartnership Project;Technical Specification Group Services and SystemAspects;IP Multimedia Subsystem (IMS);Stage 2(Release 7)、[平成19年2月23日検索]、インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/2006-12/Rel-7/23_series/23228-760.zip>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
移動通信端末がIMSコアネットワークに接続しようとする場合には、そもそも当該移動通信端末がIMSコアネットワークへの接続機能を有しており、かつ当該移動通信端末はIMSコアネットワークの入り口となるP-CSCF(Proxy-Call Session Control Function)に接続する必要があった。さらに、このP−CSCFに対しては、移動通信端末は、IPで接続可能なネットワーク(IP−CAN(IP-Connectivity Access Network))を介して接続する必要があった。
【0004】
例えば、IMSコアネットワークに接続するための機能、すなわちIMS機能を有する第三世代(3G)携帯電話により使用されるアクセスネットワークはIP−CANではないため、そのままではP−CSCFにIP接続することができなかった。そのため、IMSコアネットワークを利用するために非制限デジタル接続やパケット接続などの従来技術を用いて移動通信端末がネットワークとIPパケットを送受信できるようなセッションを確立し、そのセッション上のデータ送受信によってP−CSCFへアクセスすることを必要としていた。
【0005】
しかしながら、IMS機能を有しない移動通信端末は上述の処理を行うことができず、よって3G通信網におけるアクセスネットワークを介してIMSコアネットワークへ接続することはできなかった。
【0006】
そこで、本発明は 移動通信端末がネットワークに対してIPパケットを送受信するためのセッションを確立することなく、かつIMS機能を有しない移動通信端末からIMSコアネットワークへアクセス可能とする通信制御装置およびプロトコル変換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通信制御装置は、公衆移動通信網で使用可能な第1の通信プロトコルによる通信を実行することができる通信端末と通信接続する第1通信手段と、第2の通信プロトコルによる通信を実行することができるように構築されているIMS(IP Multimedia Subsystems)コアネットワークと通信接続する第2通信手段と、上記第1通信手段または上記第2通信手段による通信が発生した場合、上記第1通信手段で実行される第1の通信プロトコルと上記第2通信手段で実行される第2の通信プロトコルとを相互に変換する変換手段とを備えている。
【0008】
また、本発明のプロトコル変換方法は、公衆移動通信網で使用可能な第1の通信プロトコルによる通信を実行することができる通信端末と通信接続する第1通信ステップと、第2の通信プロトコルによる通信を実行することができるように構築されているIMS(IP Multimedia Subsystems)コアネットワークと通信接続する第2通信ステップと、上記第1通信ステップまたは上記第2通信ステップによる通信が発生した場合、上記第1通信ステップで実行される第1の通信プロトコルと上記第2通信ステップで実行される第2の通信プロトコルとを相互に変換する変換ステップとを備えている。
【0009】
この発明によれば、第1の通信プロトコルまたは第2の通信プロトコルによる通信が発生した場合、第1の通信プロトコルと第2の通信プロトコルとを相互に変換することができる。よって、例えばIMSコアネットワークで使用される新規な通信プロトコルと既存の公衆移動通信に使用されている通信プロトコルとが並存していた場合、いずれの通信プロトコルのみ使用できる通信端末に対して、当該通信端末において使用できない通信プロトコルのみ使用できる他の通信端末との通信を可能にさせることができる。
【0010】
本発明の通信制御装置の上記変換手段は、上記通信端末から位置登録の要求が行われると、認証処理が行われた後に、上記第1の通信プロトコルによる位置登録要求を上記第2の通信プロトコルにおける位置登録要求に変換し、上記第2通信手段は、変換された位置登録要求を、第2の通信プロトコルによる通信を実行可能に構築されているIMSコアネットワークに設置されている位置登録サーバに送信することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、通信端末から位置登録の要求が行われると、認証処理が行われた後に、第1の通信プロトコルによる位置登録要求を第2の通信プロトコルにおける位置登録要求に変換してIMSコアネットワークに設置されている位置登録サーバに送信することができる。したがって、IMSコアネットワークに対して直接通信することができない通信端末が、IMSコアネットワークによる通信サービスのみが提供されているエリアに位置していたとしても、IMSコアネットワークにおいて位置登録を行うことができる。
【0012】
また、本発明の通信制御装置の上記変換手段は、上記通信端末から発信要求が行われると、通信経路を確立した後に、上記第1の通信プロトコルの発信要求を上記第2の通信プロトコルの発信要求に変換し、上記第2通信手段は、変換された発信要求をIMSコアネットワークに向けて送信することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、通信端末から発信要求が行われると、通信経路を確立した後に、第1の通信プロトコルの発信要求を第2の通信プロトコルの発信要求に変換し、変換された発信要求をIMSコアネットワークに向けて送信することができ、IMSコアネットワークに対して直接通信することができない通信端末であっても、IMSコアネットワークに対してのみ直接通信することができる他の通信端末に対して発信処理を行うことができる。
【0014】
また、通信端末との間で通信経路が確立した後にプロトコルの変換処理を行うため、プロトコルの変換処理後には確実に通信を実行することができ、プロトコルの変換処理をしたけれども通信経路が確立できず通信断となることがなくなる。
【0015】
また、本発明の通信制御装置の上記変換手段は、上記IMSコアネットワークを経由して着信要求が行われると、着信先である通信端末に対するページング処理を行った後に、上記第2の通信プロトコルの着信要求を上記第2の通信プロトコルの着信要求に変換し、上記第1通信手段は、変換された着信要求を上記通信端末に向けて送信することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、IMSコアネットワークから着信要求が行われると、通信端末との間で通信経路を確立した後に、第2の通信プロトコルの着信要求を第2の通信プロトコルの着信要求に変換し、変換された発信要求を上記通信端末に向けて送信することができる。これにより、IMSコアネットワークに対して直接通信することができない通信端末であっても、IMSコアネットワークに対してのみ直接通信することができる他の通信端末からの着信処理を行うことができる。
【0017】
また、通信端末に対するページング処理が行われた後にプロトコルの変換処理を行うため、プロトコルの変換処理後には確実に通信を実行することができ、プロトコルの変換処理をしたけれども通信端末に対するページング処理を行うことができず通信断となることがなくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、IMSコアネットワークで使用される新規な通信プロトコルと既存の公衆移動通信に使用されている通信プロトコルとが並存していた場合、いずれの通信プロトコルのみ使用できる通信端末に対して、当該通信端末において使用できない通信プロトコルのみ使用できる他の通信端末との通信を可能にさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、一実施形態のために示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解することができる。引き続いて、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、本実施形態における通信制御装置100(IWF(Inter-Working Function))を用いた通信システムを示すシステム構成図である。
【0021】
この通信制御装置100は、アクセスネットワーク300とIMSコアネットワーク400と通信接続されており、公衆移動通信網などの3G通信網にアクセスするためのアクセスネットワーク300とIMSコアネットワーク400との間での通信プロトコルの変換処理を行う装置であり、本実施形態では3G通信プロトコルとSIP(Session Initiation Protocol)とを相互に変換することができる装置である。図1に示すように、通信制御装置100は、移動機200から、アクセスネットワーク300を介して通信接続することができ、移動機200からの通信信号等は、通信制御装置100においてIMSコアネットワーク400において使用可能な通信信号に変換される。なお、ここでのアクセスネットワーク300は、基地局、無線ネットワーク制御装置などの3G通信網に接続するためのネットワークである。また、通信制御装置100は、HLR(Home Location Register)600と通信接続でき、移動機200からの要求に応じてHLR600に対して位置登録行い、または認証情報などの各種情報を取得することができる。
【0022】
また、IMSコアネットワーク400は、IP接続を行うためのアクセスネットワーク500(IP−CAN(IP-Connectivity Access Network))と接続されている。このアクセスネットワーク500は、GPRS(General Packet Radio Service)、ADSL(Asymmetric DigitalSubscriber Line)、またはWLAN(Wireless LAN)などのIP通信を行うことができるネットワークであり、図1において示される例では移動機201が通信接続されている。なお、この移動機201は、IMSコアネットワークを用いた通信を実行することができる機能を有している。また、IMSコアネットワークにはHSS(HomeSubscriber Server)700を備えており、移動機200または201から位置登録のためのRegistration登録を行うことができる。
【0023】
このような通信システムにおいて、移動機200は、移動機201に対して通信接続しようとする場合には、まずアクセスネットワーク300を介して通信制御装置100に通信接続する。通信制御装置100では、3G通信網などで使用されている通信信号、すなわち第1のプロトコルに基づく通信信号を、IMSコアネットワークで使用することができる第2のプロトコルに基づく通信信号に変換し、アクセスネットワーク500を介して移動機201に変換した通信信号を送信する。また、通信制御装置100は、IMSコアネットワークで使用することができる通信信号を、3G通信網において使用される通信信号に変換し、アクセスネットワーク300に接続される移動機200に変換した通信信号を送信する。
【0024】
つぎに、この通信制御装置100の詳細な構成について説明する。図2は、通信制御装置100の構成を示すブロック構成図である。図2に示すように、通信制御装置100は、公衆移動通信網などの3G通信網に対して通信処理を行うための3G用処理部と、IMSコアネットワークに対して通信処理を行うためのIMS用処理部とから構成されており、この3G用処理部は、3G制御信号受信部101、3G認証処理部102、3G秘匿処理部103、3G-RAB確立処理部104、3G-Paging処理部105、3G制御信号送信部106、3Gユーザ情報保持部107、3Gデータ受信部108、3Gデータ送信部109を含んで構成されている。また、IMS用処理部は、IMS信号受信部110、IMS着信処理部111、IMS-Registration処理部112、IMS発信処理部113、IMSユーザ情報保持部114、IMSデータ送信部115、IMSデータ受信部116を含んで構成されている。また、変換部は、3G用処理部とIMS用処理部との間に配置され、3G用処理部とIMS用処理部とにおけるそれぞれのプロトコルにおける変換処理を行うものである。この変換部は、信号解析部120、プロトコル変換部121、データ対応付部123、データ変換部124を含んで構成されている。以下、各構成について説明する。
【0025】
3G制御信号受信部101は、3G通信網におけるアクセスネットワーク300から制御信号を受信する部分である。3G認証処理部102は、通信接続のための認証処理を行う部分である。3G秘匿処理部103は、アクセスネットワーク300と移動機200との間での送受信に対して暗号化を行うよう指示を行う部分である。この指示により移動機200とアクセスネットワーク300との間の無線区間は暗号化されたデータをもって送受信されることになる。3G-RAB確立処理部104は、移動機200と移動機201との間で通話を行うための音声呼パスを確立する部分である。
【0026】
3G-Paging処理部105は、移動機に対するページング処理、すなわち呼出処理を行う部分である。3G制御信号送信部106は、ページング処理が行われた移動機に対して制御信号を送信する部分である。ページングは、呼出対象である移動端末が在圏する基地局に対してリクエストを送信することにより移動端末に対して呼出処理を行うことである。
【0027】
3Gユーザ情報保持部107は、3Gネットワークにおけるユーザ情報を保持する部分であり、例えば電話番号、テンポラリID、IMUI(International Mobile StationIdentity:国際移動機識別子)を記憶する部分である。電話番号は、移動機200等の端末の電話番号であり、テンポラリIDは通信時において一時的に割り当てられるIDであり、IMUIは移動機に装着されるSIMカードに割り当てられている固体識別番号である。
【0028】
3Gデータ受信部108は、アクセスネットワーク300を介して移動機200からデータまたは音声データを受信する部分であり、3Gデータ送信部109は、アクセスネットワーク300に対して、データ変換部124において変換されたデータまたは音声データを送信する部分である。
【0029】
IMS信号受信部110は、IMSコアネットワーク400を介して制御信号を受信する部分であり、IMS着信処理部111は、制御信号のうち着信信号を受信すると、着信処理を行う部分である。
【0030】
IMS-Registration処理部112は、プロトコル変換部121により3G通信網で使用される3G通信プロトコルにおける位置登録の要求から変換された、IMSコアネットワークで使用されるSIPにおけるRegistration要求を受信し、そのRegistration要求をHSS700に送信する部分である。
【0031】
IMS発信処理部113は、3G通信網を介して送信された発信信号に基づいてIMSコアネットワークに接続されている通信相手に発信する部分である。そのほか、IMS発信処理部113は、IMSコアネットワークにおける移動機201に対して各種制御信号を送信する部分である。
【0032】
IMSユーザ情報保持部114は、IMSコアネットワーク400におけるユーザ情報を保持する部分であり、例えば移動機201を一意に特定するURI(Uniform Resource Identifier)、電話番号、呼制御を行うサーバのアドレス情報を対応付けて記憶する部分である。
【0033】
IMSデータ送信部115は、IMSコアネットワーク400にデータ変換部124で変換されたIMSコアネットワークに適合したデータを送信する部分であり、IMSデータ受信部116は、IMSコアネットワーク400から送信されたデータを受信する部分である。
【0034】
信号解析部120は、IMS信号受信部110、IMS着信処理部111、3G制御信号受信部101、3G認証処理部102、3G秘匿処理部103、および3G-RAB確立処理部104により受信された各種信号を識別する部分である。信号解析部120は識別した結果をプロトコル変換部121に出力する。本実施形態においては、信号解析部120は、少なくとも、移動機200からの位置登録要求、発信信号であるSetup信号、CallConfirmed信号、Alerting信号、Connect信号を識別するようにする。なお、そのほか通信手順に従った信号を識別するようにしてもよい。
【0035】
また、信号解析部120は、少なくともHSS700からRegistration応答信号、移動機201からSessionProgress信号、Ringing信号、OK信号、INVITE信号を受信したことを識別するようにする。なお、そのほか通信手順に従った信号を識別するようにしてもよい。
【0036】
プロトコル変換部121は、信号解析部120から出力された信号の識別結果を受信し、その識別結果に基づいてどの信号をどの信号に変換するか決定し、その決定に従った変換処理を行う部分である。すなわち、プロトコル変換部121は、移動機200から3G通信プロトコルにおける信号を受信すると、その信号の機能に応じてSIPにおける同機能を有する信号に変換する。例えば、信号解析部120により位置登録要求が識別されると、その信号の機能に応じて位置登録要求をRegistration信号に変換する。また、発信信号であるSetup信号が識別されると、その信号をINVITE信号に変換する。また、CallConfirmed信号が識別されると、その信号をSessionProgress信号に変換する。また、Alerting信号が識別されると、その信号をRinging信号に変換する。また、Connect信号が識別されると、その信号をOK信号に変換される。
【0037】
プロトコル変換部121は、上述とは逆に、移動機201からSIPにおける信号を受信すると、その信号の機能に応じて3G通信プロトコルにおける同機能を有する信号に変換する。例えば、プロトコル変換部121は、HSS700からのRegistration応答信号が識別されると、Registration応答信号を位置登録応答信号に変換し、Ringing信号が識別されると、その信号をAlerting信号に変換し、OK信号が識別されると、その信号をConnect信号に変換し、INVITE信号が識別されると、その信号をSetup信号に変換する。
【0038】
データ対応付部123は、3Gユーザ情報保持部107にて保持されているユーザ情報およびIMSユーザ情報保持部114にて保持されているユーザ情報にしたがって、宛先である電話番号の変換処理を行う部分である。例えば、データ対応付部123は、移動機200から送信される宛先電話番号を所定のルールにしたがって、相手先のURIに変換し、発信処理を行うことができるよう処理するとともに、IMSユーザ情報保持部114に記憶されている情報にしたがって、移動機200から送信される発信元電話番号をSIPのURIに変換する。このように変換されたデータを用いて、プロトコル変換部121、データ変換部124は、3Gデータ送信部109、IMSデータ送信部115が変換された宛先に制御信号、またはデータを送信することができるように、そのデータ変換を行う。また、逆に移動機201から送信されるSIPのURIを、IMSユーザ情報保持部114に記憶されている情報にしたがって、電話番号を抽出し、抽出した電話番号を宛先としてもよい。
【0039】
データ変換部124は、音声データなどのデータを変換する部分であり、IMSデータ受信部116で受信された音声データを3G通信プロトコルに合致したデータ形態に変換し、また、3Gデータ受信部108で受信された音声データをSIP(IMSコアネットワークで使用されるプロトコル)に合致したデータ形態に変換する部分である。変換された音声データは、それぞれIMSデータ送信部115または3Gデータ送信部109により送信される。
【0040】
このように構成された通信制御装置100は、物理的には、図3に示すように、CPU11、主記憶装置であるRAM12及びROM13、ハードディスク等の補助記憶装置15、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置16、ディスプレイ等の出力装置17、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール14などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図2において説明した各機能は、図3に示すCPU11、RAM12等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU11の制御のもとで通信モジュール14、入力装置16、出力装置17を動作させるとともに、RAM12や補助記憶装置15におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0041】
このように構成された通信制御装置100を備えた通信システムの動作について説明する。図4〜図6は、本実施形態の通信制御装置100の動作を示すシーケンス図である。以下順次説明する。図4は、移動機200がIMSコアネットワークにおいて位置登録を行うときの通信制御装置100の動作を示すシーケンス図である。
【0042】
まず、移動機200が電源オンまたは所定時間経過することで、当該移動機200から位置登録の要求がアクセスネットワーク300を介して通信制御装置100に送信される(S101)。通信制御装置100では、3G認証処理部102が起動し(S102)、3G認証処理部102により認証情報がHLR600から取得される(S103)。そして、3G認証処理部102により認証処理が行われる(S104)。
【0043】
認証処理後、3G秘匿処理部103が起動し(S105)、3G秘匿処理部103による秘匿処理が行われ、アクセスネットワーク300に対して秘匿処理を指示する(S106)。
【0044】
その後、信号解析部120による信号解析に基づいて、プロトコル変換部121によりプロトコル変換処理が行われる。ここでは3G通信プロトコルによる位置登録要求が信号解析部120により識別され、プロトコル変換部121により当該位置登録要求が、SIPによる位置登録要求を示すRegistration要求に変換される(S107)。そして、IMS-Registration処理部112によりIMSコアネットワーク400に向けて、Registration要求が送信され(S108)、SIPによるRegistration処理が行われる(S109)。ここでは、IMSコアネットワーク400における位置管理を行うHSS700に対して位置登録が行われることになる。
【0045】
IMSコアネットワーク400においてはRegistration処理の終了後、Registration応答が通信制御装置100に送信される(S110)。通信制御装置100においてRegistration処理部112によりRegistration応答が受信されると、プロトコル変換部121によりRegistration応答が、3G通信プロトコルの位置登録応答に変換され(S111)、位置登録応答が3G制御信号送信部106により移動機200に送信される(S112)。
【0046】
このような処理により、IMSコアネットワーク400と通信することができない移動機200、すなわち3G通信プロトコルのみを使用可能な移動機200が、IMSコアネットワークによる通信サービスのみが提供されている場合に、3G通信プロトコルを用いて、かつ3G通信網のアクセスネットワークを用いてISM通信網に対して位置登録を行うことができる。
【0047】
つぎに、移動機200がIMSコアネットワークに接続可能に構成されている移動機201に対して発信処理を行うときの通信システム全体の動作について説明する。図5は、そのときの通信制御装置100の動作を示すシーケンス図である。
【0048】
まず、移動機200において発信処理を示すSetup信号が通信制御装置100に対して送信される(S201)。その後、移動機200と通信制御装置100との間で認証処理および秘匿処理が行われる(S202)。その詳細処理は、図4におけるS102〜S106の処理と同じである。
【0049】
つぎに通信制御装置100から発信処理に対する応答であるCallProceeding信号が送信され、移動機200と通信制御装置100との間で音声呼のパス確立であるRAB確立処理が行われ、通信制御装置100ではRAB確立処理部104によりRAB確立処理が行われる(S204)。
【0050】
RAB確立処理後、通信制御装置100において、発信処理に対するプロトコル変換処理が変換部において行われる。ここでは、信号解析部120においてSetup信号が認識されており、RAB確立処理後に、プロトコル変換部121によりSetup信号が、SIPにおけるINVITE信号に変換される(S205)。そして、変換された得られたINVITE信号がIMS発信処理部113により移動機201に送信される(S206)。その後、IMSコアネットワーク400からINVITE信号に対する応答であり、呼接続状態であることを示すSessionProgress信号が、移動機201から通信制御装置100に送信され(S207)、また呼び出し中であることを示すRinging信号が通信制御装置100に送信される(S208)。なお、本実施形態では、移動機201からSessionProgress信号およびRinging信号が送信されることにしているが、例えば、発信先がPSTNまたは3G通信網に接続されている端末である場合には、IMSコアネットワークとPSTN若しくは3G通信網との間に設置されているゲートウエイ装置がSessionProgress信号およびRinging信号を送信することになる。
【0051】
通信制御装置100では、IMS信号受信部110によりRinging信号が受信されると、信号解析部120によりその信号が識別され、その識別結果に基づいてプロトコル変換部121によりプロトコル変換処理が行われる。ここではプロトコル変換部121により、SIPにおけるRinging信号は、3G通信プロトコルにおけるAlerting信号に変換される(S209)。そして、3G制御信号送信部106によりAlerting信号が移動機200に送信される(S210)。
【0052】
移動機201において、ユーザ操作によりオフフック処理が行われ、SIPにおけるOK信号が送信されると、通信制御装置100では、IMS信号受信部110によりOK信号が受信され、信号解析部120によりOK信号であることが識別され、SIPにおけるOK信号は3G通信プロトコルにおけるConnect信号に、プロトコル変換部121により変換される(S212)。通信制御装置100では、3G制御信号送信部106によりConnect信号が移動機200に送信される(S213)。そして、その応答であるConnectAck信号が移動機200から送信され、通信制御装置100では3G制御信号受信部101により受信される(S214)。
【0053】
このような処理により、IMSコアネットワーク400と直接通信することができない移動機200は、IMSコアネットワーク400に属している移動機201に対して発信する。
【0054】
つぎに、IMSコアネットワーク400に属している移動機201から移動機200が通信制御装置100を介して着信を受けるときの動作について説明する。図6は、IMSコアネットワーク400に属している移動機201からの着信処理を行う通信制御装置100の動作を示すシーケンス図である。
【0055】
移動機201から着信信号であるINVITE信号が、IMSコアネットワーク400を介して通信制御装置100におけるIMS信号受信部110により受信される。INVITE信号が受信されると、IMS着信処理部111により着信処理が行われる(S301)。ここでは着信処理に先立って、INVITE信号が受信されると、3G-Paging処理部105によるPaging処理が行われ(S302)、また認証処理、秘匿処理がそれぞれ3G認証処理部102および3G秘匿処理部103により行われる(S303)。
【0056】
そして、信号解析部120によりINVITE信号が受信されたことが解析され、プロトコル変換部121によりINVITE信号から3G通信プロトコルの発信信号であるSetup信号に変換処理が行われる(S304)。通信制御装置100から移動機200に対して変換されたSetup信号が送信される(S305)。移動機200では、Setup信号が受信されると、その応答信号であるCallConfirmed信号が送信される。通信制御装置100では3G制御信号受信部101により、CallConfirmed信号が受信される(S306)。
【0057】
通信制御装置100では、信号解析部120により受信した信号がCallConfirmed信号であることが識別され、プロトコル変換部121によりCalLConfirmed信号はSessionProgress信号に変換される(S307)。変換されたSessionProgress信号は、IMS発信処理部113により移動機201に送信される(S308)。
【0058】
つぎに、通信制御装置100では、3G-RAB確立処理部104により、通信制御装置100と移動機200との間でRAB確立処理が行われる(S309)。RAB確立処理が行われると、Alerting信号が移動機200から送信され、通信制御装置100ではAlerting信号が受信される(S310)。通信制御装置100では、Alerting信号であることが信号解析部120により識別され、その識別結果に基づいてプロトコル変換部121により、Alerting信号はRinging信号に変換される(S311)。変換後、IMS発信処理部113によりRinging信号が移動機201に送信される(S312)。
【0059】
移動機200では、そのユーザ操作によりオフフック処理が行われると、Connect信号が送信され、通信制御装置100では送信されたConnect信号が受信される(S313)。通信制御装置100ではConnect信号が受信されたことを信号解析部120により識別され、その識別結果に基づいて、プロトコル変換部121によりConnect信号はOK信号に変換される(S314)。その後、IMS発信処理部113により、変換されたOK信号が送信され(S315)、またConnectAck信号が3G制御信号送信部106により送信される(S316)。
【0060】
このような処理により、IMSコアネットワーク400に対して直接通信することができない移動機200は、IMSコアネットワーク400に対して直接通信することができる移動機201からの着信処理を行うことができる。
【0061】
つぎに本実施形態の通信制御装置100の作用効果について説明する。本実施形態における通信制御装置100は、3G通信網(ここではアクセスネットワーク300)で使用される3G通信プロトコルなどの第1の通信プロトコルまたはIMSコアネットワーク400で使用されるSIPなどの第2の通信プロトコルによる通信が発生した場合、信号解析部120が第1のプロトコルまたは第2のプロトコルにおいてどのような信号が受信されたかを識別する。そして、プロトコル変換部121は、その信号を、他のプロトコルにおける同機能の信号に変換することができる。例えば、3G通信プロトコルで使用されている発信信号であることを示すSetup信号が受信された場合、そのSetup信号をSIPにおける発信信号であることを示すINVITE信号に変換することができ、第1の通信プロトコルと第2の通信プロトコルとを相互に変換することができる。よって、例えばIMSコアネットワーク400で使用されるSIPのような新規な通信プロトコルと既存の公衆移動通信に使用されている通信プロトコルとが並存していた場合、いずれの通信プロトコルでのみ使用できる移動機200または201に対して、当該移動機200において使用できない通信プロトコルのみ使用できる他の通信端末である移動機201との通信を可能にさせることができる。
【0062】
また、通信制御装置100は、移動機200から位置登録の要求が行われると、3G認証処理部102などにおいて認証処理が行われた後に、第1の通信プロトコルによる位置登録要求を第2の通信プロトコルにおける位置登録要求であるRegistration要求信号に変換してIMSコアネットワーク400に設置されている位置登録サーバであるHSS700に送信することができる。したがって、IMSコアネットワーク400に対して直接通信することができない移動機200が、IMSコアネットワーク400による通信サービスのみが提供されているエリアに位置していたとしても、IMSコアネットワーク400におけるHSS700に対して位置登録を行うことができる。
【0063】
また、通信制御装置100は、移動機200から発信要求が行われると、RAB確立処理部104により音声呼などの通信経路を確立した後に、第1の通信プロトコルの発信要求であるSetup信号を第2の通信プロトコルの発信要求であるINVITE信号に変換し、変換されたINVITE信号をIMSコアネットワーク(すなわち移動機201)に向けて送信することができる。よって、IMSコアネットワーク400に対して直接通信することができない移動機200は、IMSコアネットワーク400に対してのみ直接通信することができる他の通信端末である移動機201に対して発信処理を行うことができる。
【0064】
また、通信制御装置100は、移動機200との間で音声呼などの通信経路が確立した後にプロトコル変換部121によるプロトコルの変換処理を行うため、プロトコルの変換処理後には確実に通信を実行することができ、プロトコルの変換処理をしたけれども、通信経路が確立できず、通信断となることがなくなる。
【0065】
また、通信制御装置100は、IMSコアネットワーク400(例えば移動機201)から着信要求が行われると、移動機200との間で通信経路を確立した後に、第1の通信プロトコルであるSIPの着信要求を示すINVITE信号を第1の通信プロトコルである3G通信網で使用される着信要求を示すSetup信号に変換することができる。そして、通信制御装置100は変換されたSetup信号を移動機200に向けて送信することができる。これにより、IMSコアネットワーク400に対して直接通信することができない移動機200は、IMSコアネットワーク400に対してのみ直接通信することができる移動機201からの着信処理を行うことができる。
【0066】
また、移動機200に対するページング処理が行われた後にプロトコルの変換処理を行うため、プロトコル変換部121によるプロトコルの変換処理後には確実に通信を実行することができ、プロトコルの変換処理をしたけれども、移動機200に対するページング処理を行うことができず、通信断となることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態における通信制御装置100(IWF(Inter-Working Function))を用いた通信システムを示すシステム構成図である。
【図2】通信制御装置100の構成を示すブロック構成図である。
【図3】通信制御装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】移動機200がIMSコアネットワークにおいて位置登録を行うときの通信制御装置100の動作を示すシーケンス図である。
【図5】移動機200が移動機201に対して発信処理を行うときの通信制御装置100の動作を示すシーケンス図である。
【図6】IMSコアネットワークに属している移動機201からの着信処理を行う通信制御装置100の動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0068】
100…通信制御装置、101…3G制御信号受信部、102…3G認証処理部、103…3G秘匿処理部、104…3G確立処理部、105…3G-Paging処理部、106…3G制御信号送信部、107…3Gユーザ情報保持部、108…3Gデータ受信部、109…3Gデータ送信部、110…IMS信号受信部、111…IMS着信処理部、112…IMS-Registration処理部、113…IMS発信処理部、114…IMSユーザ情報保持部、115…IMSデータ送信部、116…IMSデータ受信部、120…信号解析部、121…プロトコル変換部、123…データ対応付部、124…データ変換部、200…移動機、201…移動機、300…アクセスネットワーク、400…IMSコアネットワーク、500…アクセスネットワーク、600…HLR、700…HSS。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆移動通信網で使用可能な第1の通信プロトコルによる通信を実行することができる通信端末と通信接続する第1通信手段と、
第2の通信プロトコルによる通信を実行することができるように構築されているIMS(IP Multimedia Subsystems)コアネットワークと通信接続する第2通信手段と、
前記第1通信手段または前記第2通信手段による通信が発生した場合、前記第1通信手段で実行される第1の通信プロトコルと前記第2通信手段で実行される第2の通信プロトコルとを相互に変換する変換手段とを備える通信制御装置。
【請求項2】
前記変換手段は、前記通信端末から位置登録の要求が行われると、認証処理が行われた後に、前記第1の通信プロトコルによる位置登録要求を前記第2の通信プロトコルにおける位置登録要求に変換し、
前記第2通信手段は、変換された位置登録要求を、第2の通信プロトコルによる通信を実行可能に構築されているIMSコアネットワークに設置されている位置登録サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記変換手段は、前記通信端末から発信要求が行われると、通信経路を確立した後に、前記第1の通信プロトコルの発信要求を前記第2の通信プロトコルの発信要求に変換し、
前記第2通信手段は、変換された発信要求をIMSコアネットワークに向けて送信することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記変換手段は、前記IMSコアネットワークを経由して着信要求が行われると、着信先である通信端末に対するページング処理を行った後に、前記第2の通信プロトコルの着信要求を前記第2の通信プロトコルの着信要求に変換し、
前記第1通信手段は、変換された着信要求を前記通信端末に向けて送信することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項5】
公衆移動通信網で使用可能な第1の通信プロトコルによる通信を実行することができる通信端末と通信接続する第1通信ステップと、
第2の通信プロトコルによる通信を実行することができるように構築されているIMS(IP Multimedia Subsystems)コアネットワークと通信接続する第2通信ステップと、
前記第1通信ステップまたは前記第2通信ステップによる通信が発生した場合、前記第1通信ステップで実行される第1の通信プロトコルと前記第2通信ステップで実行される第2の通信プロトコルとを相互に変換する変換ステップとを備えるプロトコル変換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−244853(P2008−244853A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82652(P2007−82652)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】