説明

通信制御装置

【課題】通信制御装置内に入るノイズの影響が最小限に抑え、故障や異常が生じた電子機器のみを有線ネットワークから切り離すこと。
【解決手段】本発明の通信制御装置は、車両に搭載された複数の電子機器間の通信を制御するものであって、マイクロコンピュータなどで構成されると共にクロックパルスを周期的に出力する制御部11と、制御部11の異常を検知する異常検知部と、異常が検知されたときに通信を開放する、すなわち電子機器を切り離す通信制御を行う通信制御部14とから主に構成されている。異常検知部は、制御部11からのクロックパルスをアナログ量に変換するアナログ量変換部12と、アナログ量変換部12で変換されたアナログ量を所定の閾値と比較するアナログ量比較部13とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信制御装置に関し、特に車両に搭載される複数の電子機器間で通信を行う通信制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には、複数の電子機器が搭載されており、電子機器間で有線ネットワークが構成されている。この有線ネットワークにおいては、車両に搭載された通信制御装置により、車体情報などが通信できるようになっている。この通信制御装置には、ある電子機器に異常が発生した場合に、その電子機器を有線ネットワークから切り離す専用の回路を有する。このような回路を有することにより、車両において1つの電子機器が故障したとしても他の電子機器に障害を与えることがなく、正常な電子機器間で通信を行うことができる。
【0003】
このような回路として図3に示すようなものがある。図3は、従来の通信制御装置の回路構成を示す図である。この回路は、マイクロコンピュータなどで構成される制御部31と、制御部31の異常を検知する異常検知部32と、異常が検知されたときに通信を開放する、すなわち電子機器を切り離す通信制御を行う通信制御部33とから主に構成されている。異常検知部32は、制御部31からの信号を監視するウォッチドッグ回路321と、ウォッチドッグ回路321からの信号に基づいて方形波を発生するモノマルチ322とから構成されている。
【0004】
図3に示す通信制御装置においては、制御部31が正常に作動している場合に制御部31から所定周期のパルス信号(クロックパルス)(図中の信号a)がウォッチドッグ回路321に出力されている。制御部31が故障して(又は異常があり)パルス信号が出力されないと(図中の信号aにおける破線より右側)、ウォッチドッグ回路321はパルス信号が検知できないので、このときにモノマルチ322に対してリセットパルス(図中の信号b)を出力する。モノマルチ322は、リセットパルスを受けると、リセットパルスよりも出力時間の長い方形波(図中の信号c)を発生する。通信制御部33は、この方形波を受けると、電子機器を切り離す通信制御を行う(図中の信号d)。このようにして、特定の電子機器に故障や異常が生じた場合に、その電子機器を有線ネットワークから切り離すことができる。
【0005】
【特許文献1】特開平7−240969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図3に示す構成では、ウォッチドッグ回路321とモノマルチ322との間にノイズが入ってしまうと、そのノイズのエネルギーが小さくてもモノマルチ322がノイズを出力時間の長い方形波に増幅して出力する。このため、制御部31に故障や異常がなくても、通信制御部33が方形波を受けて電子機器を切り離す通信制御をするという問題がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、通信制御装置内に入るノイズの影響を最小限に抑えて、故障や異常が生じた電子機器のみを有線ネットワークから切り離すことができる通信制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の通信制御装置は、他の電子機器と通信を行う通信制御装置であって、通信信号を出力するとともに正常動作時にクロックパルスを周期的に出力する制御手段と、前記クロックパルスをアナログ量に変換するアナログ量変換手段と、前記アナログ量が所定の閾値を超えたときに制御信号を出力するアナログ量比較手段と、前記制御信号に基づいて通信を開放する通信制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、クロックパルスが入力されないときに蓄積するアナログ量を閾値判定して閾値を超えたときに通信開放動作に入る。このため、通信制御装置(特にアナログ量変換部)に多少のノイズが入ったとしても、アナログ量の蓄積量が多少変化するだけなので、誤って通信開放動作に入ることはない。したがって、通信制御装置内に入るノイズの影響が最小限に抑えられ、故障や異常が生じた電子機器のみを有線ネットワークから切り離すことができる。
【0010】
本発明の通信制御装置においては、前記アナログ量変換手段は、前記クロックパルスの入力によりONになるスイッチング素子と、前記スイッチング素子がONの場合に放電し、前記スイッチング素子がOFFの場合に充電する電荷蓄積手段と、を含むことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、クロックパルスが入力されないときに電荷を蓄積し、クロックパルスが入力されたときに電荷を放出することができ、クロックパルスが入力されないときにアナログ量を蓄積する構成を実現することができる。
【0012】
本発明の通信制御装置においては、前記電荷蓄積手段は、電荷を蓄積するキャパシタと、電荷放電用パスに設けられた第1の抵抗と、電荷充電用パスに設けられた第2の抵抗と、を有することが好ましい。
【0013】
本発明の通信制御装置においては、前記閾値は、前記キャパシタ、前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の時定数に応じて設定されたことが好ましい。
【0014】
これらの構成によれば、キャパシタ、第1の抵抗及び第2の抵抗の時定数を適宜設定することにより、通信制御装置において異常検知から通信開放までの時間を任意に調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、他の電子機器と通信を行う通信制御装置において、制御手段が周期的に出力したクロックパルスをアナログ量に変換し、そのアナログ量が所定の閾値を超えたときに通信を開放するので、通信制御装置内に入るノイズの影響を最小限に抑えて、故障や異常が生じた電子機器のみを有線ネットワークから切り離すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明者らは、通信制御装置にノイズが発生すると通信開放のための制御信号であるリセットパルスと誤って、電子機器に異常が生じていなくても通信が開放してしまうことに着目し、制御部からのクロックパルスない状態で積算されるアナログ量をパラメータとして判定することにより、通信制御装置内に入るノイズの影響を最小限に抑えて故障や異常が生じた電子機器のみの通信開放を行うことができることを見出し本発明をするに至った。
【0017】
すなわち、本発明の骨子は、他の電子機器と通信を行う通信制御装置において、制御手段が周期的に出力したクロックパルスをアナログ量に変換し、そのアナログ量が所定の閾値を超えたときに通信を開放することにより、通信制御装置内に入るノイズの影響を最小限に抑えて、故障や異常が生じた電子機器のみを有線ネットワークから切り離すことである。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る通信制御装置の回路構成を示す図である。図1に示す通信制御装置は、車両に搭載された複数の電子機器で構成される有線ネットワークの通信を制御するものであって、マイクロコンピュータなどで構成されると共にクロックパルスを周期的に出力する制御部11と、制御部11の異常を検知する異常検知部と、異常が検知されたときに通信を開放する、すなわち電子機器を切り離す通信制御を行う通信制御部14とから主に構成されている。異常検知部は、制御部11からのクロックパルスをアナログ量に変換するアナログ量変換部12と、アナログ量変換部12で変換されたアナログ量を所定の閾値と比較するアナログ量比較部13とから構成されている。
【0019】
アナログ量変換部12は、制御部11から出力されるクロックパルスをアナログ量に変換する。ここでは、クロックパルスの入力の有無により電荷の充放電を行うことによりクロックパルスをアナログ量に変換する。具体的には、アナログ量変換部12は、クロックパルスを受けるキャパシタ121と、後述するバイポーラトランジスタのベース電流を規制するための抵抗122と、クロックパルスの入力によりONになり、クロックパルスの入力がないときにOFFになるスイッチング素子であるバイポーラトランジスタ123と、第1の抵抗124及びダイオード125を含む電荷放電用パスと、第2の抵抗126を含む電荷充電用パスと、電荷蓄積用キャパシタ127とから構成されている。このような構成により、クロックパルスが入力されないときに電荷を蓄積し、クロックパルスが入力されたときに電荷を放出することができ、クロックパルスが入力されないときにアナログ量を蓄積する構成を実現することができる。
【0020】
このようなアナログ量変換部12においては、クロックパルスがキャパシタ121で検出されない状態では、トランジスタ123はOFFであり、この場合Vccによりチャージ電流が電荷充電用パスを通り、電荷蓄積用キャパシタ127に蓄積されて電圧が上昇する。一方、クロックパルスがキャパシタ121で検出されると、トランジスタ123がONになり、電荷蓄積用キャパシタ127に蓄積されている電荷が電荷放電用パスを通って放電される。
【0021】
アナログ量比較部13は、アナログ量変換部12で変換されたアナログ量を所定の閾値と比較し、そのアナログ量が所定の閾値を超えたときに通信制御部14に制御信号を出力する。具体的には、アナログ量比較部13は、Vccを分圧するための抵抗132,133と、基準電圧(閾値)と電荷蓄積用キャパシタ127の電圧とを比較するコンパレータ131とから構成されている。
【0022】
なお、閾値は、電荷蓄積用キャパシタ127、第1の抵抗124及び第2の抵抗126の時定数により適宜設定することができる。また、第1の抵抗124の抵抗値よりも第2の抵抗126の抵抗値を大きくすることにより、第1の抵抗124及びダイオード125側を電荷放電用パスとし、第2の抵抗126側を電荷充電用パスとすることができる。さらに、アナログ変換部12の第1及び第2の抵抗124,126並びに電荷蓄積用キャパシタ127の時定数(RCタイプ)により決定された閾値に応じて抵抗132,133の抵抗値を決定する。例えば、閾値を高くして異常検知から通信開放までの時間を長く設定する場合には、抵抗133の抵抗値を大きくし、閾値を低くして異常検知から通信開放までの時間を短く設定する場合には、抵抗132の抵抗値を大きくする。このようにして通信制御装置において異常検知から通信開放までの時間を任意に調整することが可能となる。
【0023】
通信制御部14は、異常検知部で異常が検知されたときに通信を開放する。この通信制御部14は、アナログ量比較部13からの出力のNOTゲート141と、NOTゲート141の出力と制御部11の出力とのANDゲート142とから構成されている。なお、NOTゲート141やANDゲート142は、トランジスタにより構成される。
【0024】
このような通信制御部14においては、アナログ量変換部12とアナログ量比較部13から構成される異常検知部で異常が検知された場合に、すなわちアナログ量が所定の閾値を超えたときに発生する制御信号を受け、その制御信号に基づいて通信を開放する。これにより異常が検知された電子機器を有線ネットワークから切り離す。
【0025】
次に、上記構成を有する通信制御装置の動作について説明する。ここでは、アナログ変換部12の電荷放電用パスの第1の抵抗124の抵抗値よりも電荷充電用パスの第2の抵抗126の抵抗値をかなり大きく設定する。
【0026】
制御部11が正常に作動している場合には、制御部11から所定周期のパルス信号(クロックパルス)(図中の信号A)が異常検知部のアナログ変換部12に出力されている。このクロックパルスがアナログ変換部12のキャパシタ121に入力すると、抵抗122で規制されたベース電流がバイポーラトランジスタ(以下トランジスタと省略する)123のベースに流れる。これにより、トランジスタ123がONとなる。トランジスタ123がONになると、実線矢印Yのようにコレクタ電流がトランジスタ123のコレクタに流れ込み、エミッタ電流がトランジスタ123のエミッタから流れ出す。このとき、電荷蓄積用キャパシタ127に蓄積されている電荷が電荷放電用パス(ダイオード125及び第1の抵抗124)を通ってエミッタから流れ出る。これにより、電荷蓄積用キャパシタ127からの放電が行われて電荷蓄積用キャパシタ127(Z点)の電圧が降下する。
【0027】
一方、制御部11が正常に作動していない場合、すなわち故障や動作異常になった場合には、制御部11から所定周期のクロックパルス(図中の信号A)が出力されない。このため、クロックパルスがアナログ変換部12のキャパシタ121に入力されず、トランジスタ123がOFFの状態となる。トランジスタ123がOFFであると、点線矢印のように、チャージ電流が電荷充電用パス(第2の抵抗126)を通って電荷蓄積用キャパシタ127に流れて電圧が上昇する。
【0028】
このように、アナログ量変換部12では、制御部11からのクロックパルスを入力したときに、電荷蓄積用キャパシタ127に蓄積した電荷を放電してアナログ量である電圧を降下させ、制御部11からのクロックパルスを入力しないときには、電荷蓄積用キャパシタ127に電荷を蓄積してアナログ量である電圧を上昇させる。このようにしてアナログ量変換部12は、クロックパルスの入力の有無をアナログ量に変換している。
【0029】
アナログ量変換部12のZ点の電圧値は、アナログ量比較部13のコンパレータ131で閾値と比較される。この閾値は、上述したように、アナログ量変換部12における第1の抵抗124,ダイオード125及び第2の抵抗126の時定数に応じて設定するものであり、アナログ量比較部13における抵抗132,133により実現される。コンパレータ131において、Z点の電圧値が閾値を超えたときには、コンパレータ131は通信制御部14に対して制御信号を出力する、すなわち、図中の信号Bのような方形波(High信号:H信号)を出力する。一方、Z点の電圧値が閾値を超えないときには、コンパレータ131は通信制御部14に対して方形波(Low信号:L信号)を出力する。
【0030】
通信制御部14では、コンパレータ131からの方形波をNOTゲート141で反転させる。したがって、NOTゲート141において、コンパレータ131からH信号が入力されるとL信号に反転し、コンパレータ131からL信号が入力されるとH信号に反転する。
【0031】
ANDゲート142の制御部11からの通信信号の入力がLow状態であってもHigh状態であっても、NOTゲート141からL信号が入力されていれば、常にANDゲート142からの出力はLow状態となり(図中の信号C)、通信が開放されることとなる。Z点の電圧値が閾値を超えたときに、コンパレータ131からH信号が通信制御部14に対して出力される。通信制御部14では、そのH信号がNOTゲート141で反転されてL信号となる。ANDゲート142の出力信号は、そのL信号のために制御部11からの通信信号がL信号であってもH信号であってもL信号になる。このようにして通信が開放され、この電子機器が有線ネットワークから切り離される。なお、ここでいう通信の開放とは、制御手段が出力する通信信号を外部に発信させないことを意味する。
【0032】
一方、Z点の電圧値が閾値を超えないときには、コンパレータ131からL信号が通信制御部14に対して出力される。通信制御部14では、そのL信号がNOTゲート141で反転されてH信号となる。このため、ANDゲート142の出力信号は、そのH信号のために制御部11からの信号がL信号であればL信号になり、制御部11からの信号がH信号であればH信号になるすなわち、この電子機器は有線ネットワークから切り離されない。
【0033】
次に、図2を用いて実際に異常になった電子機器がどのように有線ネットワークから切り離されるかについて説明する。まず、制御部11からクロックパルスが入力されると(タイミングT0,T2,T4,…,T22,…)、トランジスタ123がONになり、電荷蓄積用キャパシタ127に蓄積されている電荷が電荷放電用パスを通って放電される。図2に示すように、T0,T2,T4とクロックパルスの入力で電圧が降下している。
【0034】
8のタイミングで電子機器が異常になり制御部11からクロックパルスが入力されないと、電荷蓄積用キャパシタ127に電荷が蓄積されて電圧が上昇する。そして、この電圧が閾値電圧である3.7Vを超えたときに、通信制御部14で通信を開放してこの電子機器を有線ネットワークから切り離す。
【0035】
このようにして、上記構成を有する通信制御装置では、特定の電子機器に故障や異常が生じた場合に、その電子機器を有線ネットワークから切り離すことができる。この構成においては、従来のようなリセットパルスを検知して通信開放動作に入るのと異なり、制御部からのクロックパルスがない状態で積算されるアナログ量をパラメータとして閾値判定して閾値を超えたときに通信開放動作に入る。このため、通信制御装置(特にアナログ量変換部)に多少のノイズが入ったとしても、アナログ量の蓄積量が多少変化するだけなので、誤って通信開放動作に入ることはない。したがって、通信制御装置内に入るノイズの影響が最小限に抑えて、故障や異常が生じた電子機器のみを有線ネットワークから切り離すことができる。
【0036】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係る通信制御装置の回路構成を示す図である。図3において図1と同じ部分については図1と同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。図3においては、通信制御部14として通信ドライバ21を用いている。また、この通信ドライバ21を用いるために、アナログ量比較部13のコンパレータ131と通信ドライバ21との間にバイポーラトランジスタ22が設けられている。
【0037】
このような構成を有する通信制御装置においては、制御部11から通信ドライバ21のイネーブル、ディスエーブルの切替制御を行うための駆動制御信号が通信ドライバ駆動ライン23を通じて通信ドライバ21に出力されている。したがって、制御部11は、この駆動制御信号により通信ドライバ21のイネーブル、ディスエーブルを制御している。また、通信ドライバライン24を通じて種々の信号が制御部11から通信ドライバ21に送られている。
【0038】
上記通信制御装置においては、実施の形態1と同様にしてアナログ量変換及びアナログ量比較が行われる。そして、コンパレータ131において、Z点の電圧値が閾値を超えたときには、コンパレータ131はバイポーラトランジスタ22に対して制御信号を出力する、すなわち、図中の信号Bのような方形波(High信号:H信号)を出力する。一方、Z点の電圧値が閾値を超えないときには、コンパレータ131はバイポーラトランジスタ22に対して方形波(Low信号:L信号)を出力する。
【0039】
コンパレータ131からH信号が出力されると、制御部11からの駆動制御信号はバイポーラトランジスタ22のエミッタ側に送られる。通信ドライバ21では、この駆動制御信号は検出されずディスエーブル状態となり、結果として通信が開放されることになり(図中の信号C)、この電子機器が有線ネットワークから切り離される。一方、コンパレータ131からL信号が出力されると、駆動制御信号はバイポーラトランジスタ22のエミッタ側には送られないので、通信ドライバ21では駆動制御信号が出力されていればイネーブル状態となり、通信は開放されず、この電子機器は有線ネットワークから切り離されない。なお、ここでいう通信の開放とは、制御手段が出力する通信信号を外部に発信させないことを意味する。
【0040】
このように、上記構成を有する通信制御装置でも、特定の電子機器に故障や異常が生じた場合に、その電子機器を有線ネットワークから切り離すことができる。すなわち、制御部からのクロックパルスがない状態で積算されるアナログ量をパラメータとして閾値判定して閾値を超えたときに通信開放動作に入るので、通信制御装置(特にアナログ量変換部)に多少のノイズが入ったとしても、アナログ量の蓄積量が多少変化するだけなので、誤って通信開放動作に入ることはない。その結果、通信制御装置内に入るノイズの影響が最小限に抑えて、故障や異常が生じた電子機器のみを有線ネットワークから切り離すことができる。
【0041】
本発明は上記実施の形態1,2に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態1,2において、アナログ量変換部、アナログ量比較部及び通信制御部の構成は特にこれに限定されず、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1に係る通信制御装置の回路構成を示す図である。
【図2】図1に示す通信制御装置の動作を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る通信制御装置の回路構成を示す図である。
【図4】従来の通信制御装置の回路構成を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
11 制御部
12 アナログ量変換部
13 アナログ量比較部
14 通信制御部
21 通信ドライバ
22,123 バイポーラトランジスタ
121 キャパシタ
122,132,133 抵抗
124 第1の抵抗
125 ダイオード
126 第2の抵抗
127 電荷蓄積用キャパシタ
131 コンパレータ
141 NOTゲート
142 ANDゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の電子機器と通信を行う通信制御装置であって、通信信号を出力するとともに正常動作時にクロックパルスを周期的に出力する制御手段と、前記クロックパルスをアナログ量に変換するアナログ量変換手段と、前記アナログ量が所定の閾値を超えたときに制御信号を出力するアナログ量比較手段と、前記制御信号に基づいて通信を開放する通信制御手段と、を具備することを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
前記アナログ量変換手段は、前記クロックパルスの入力によりONになるスイッチング素子と、前記スイッチング素子がONの場合に放電し、前記スイッチング素子がOFFの場合に充電する電荷蓄積手段と、を含むことを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記電荷蓄積手段は、電荷を蓄積するキャパシタと、電荷放電用パスに設けられた第1の抵抗と、電荷充電用パスに設けられた第2の抵抗と、を有することを特徴とする請求項2記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記閾値は、前記キャパシタ、前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の時定数に応じて設定されたことを特徴とする請求項3記載の通信制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−115203(P2006−115203A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300416(P2004−300416)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】