説明

通信方法および中継装置

【課題】音声通信とデータ通信が可能な通信装置に対して、テキストデータやバイナリーデータなどのデータ入力を容易にし、ユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】通信装置1とネットワークを介して接続されるとともに、電話機3およびデータ入力端末4と接続される中継装置2が行う通信方法であって、中継装置2は、電話機3の発呼要求に基づいて中継装置2と通信装置1の間で音声通信セッションの呼を確立する呼制御ステップと、データ入力端末4から通信装置1への接続要求を受信すると、中継装置2と通信装置1の間で、音声通信セッションの呼に関連付けたデータ通信セッションを確立するデータ通信確立ステップと、HTTPプロトコルを用いてデータ入力端末4から入力されるデータを、データ通信セッションを介して通信装置1に送信するデータ通信ステップとを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話端末とデータ入力端末とを用いて通信装置と通信を行う通信方法、および中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電話網では音声通信のみが利用できたが、SIPプロトコル(RFC3261)を利用した電話網では、音声通信とデータ通信を同一の呼において、別々の通信セッションを利用して同時に行うことができる。
【0003】
特許文献1には、電話端末から入力されるDTMF信号などの端末入力情報を、テキスト化し、Webアプリケーションサーバに送信する技術が記載されている。また、特許文献2には、音声端末と映像端末を連携して電話サーバと通信を行う連携システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-48476号公報
【特許文献2】特開2010-130532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、電話端末から入力されるDTMF信号の端末入力情報をテキスト化して送信しているが、DTMF信号をテキスト化するため、0〜9の数字、*、#のいずれかの限られたテキストデータしか送信することができない。すなわち、名前や住所などのテキストデータや写真などのバイナリーデータを電話端末から入力することは困難である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、音声通信とデータ通信が可能な通信装置に対して、テキストデータやバイナリーデータなどのデータ入力を容易にし、ユーザの利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、通信装置とネットワークを介して接続されるとともに、電話機およびデータ入力端末と接続される中継装置が行う通信方法であって、前記中継装置は、前記電話機の発呼要求に基づいて、前記中継装置と前記通信装置の間で音声通信セッションの呼を確立する呼制御ステップと、前記データ入力端末から通信装置への接続要求を受信すると、前記中継装置と前記通信装置の間で、前記音声通信セッションの呼に関連付けたデータ通信セッションを確立するデータ通信確立ステップと、HTTPプロトコルを用いて前記データ入力端末から入力されるデータを、前記データ通信セッションを介して前記通信装置に送信するデータ通信ステップと、を行う。
【0008】
本発明は、通信装置とネットワークを介して接続されるとともに、電話機およびデータ入力端末と接続される中継装置であって、前記電話機の発呼要求に基づいて、前記中継装置と前記通信装置の間で音声通信セッションの呼を確立する呼制御手段と、前記データ入力端末から通信装置への接続要求を受信すると、前記中継装置と前記通信装置の間で、前記音声通信セッションの呼に関連付けたデータ通信セッションを確立するデータ通信制御手段と、を備え、前記データ通信制御手段は、HTTPプロトコルを用いて前記データ入力端末から入力されるデータを、前記データ通信セッションを介して前記通信装置に送信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、音声通信とデータ通信が可能な通信装置に対して、テキストデータやバイナリーデータなどのデータ入力を容易にし、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成図である。
【図2】中継装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態の処理を示すフローチャートである。
【図4】INVITEメッセージのSDPメッセージ例である。
【図5】データ入力端末が中継装置に送信するHTTPメッセージ例である。
【図6】re−INVITEメッセージ等のSDPメッセージ例である。
【図7】ルーティングテーブルの例である。
【図8】中継装置がデータ入力端末に送信するHTTPメッセージ例である。
【図9】データ入力端末がデータ通信装置に送信するHTTPメッセージ例である。
【図10】NAPTテーブルの例である。
【図11】データ通信装置が送信するHTTPメッセージ例である。
【図12】データ入力端末が送信するHTTPメッセージ例である。
【図13】第2の実施形態の処理を示すフローチャートである。
【図14】データ通信対応テーブルの例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システムの構成図である。図示する通信システムは、データ通信装置1と、中継装置2と、電話機3と、データ入力端末4とを備える。中継装置2は、SIPプロトコルを利用する電話網であるSIP網5を介してデータ通信装置1と接続される。また、中継装置2は、電話機3およびデータ入力端末4に接続される。
【0013】
データ通信装置1は、音声ガイダンスを送出できるとともに、データ通信による情報入力が可能なIVR(Interactive Voice Response:音声自動応答)装置であって、SIP網5を介して中継装置2に接続される。
【0014】
中継装置2は、電話機3とデータ入力端末4と取りまとめて、データ通信装置1との間で通信を行う装置である。
【0015】
図2は、中継装置2の構成を示すブロック図である。図示する中継装置2は、第1のLANインタフェース21と、第1の呼制御部22と、第2の呼制御部23と、データ通信制御部24と、ルーティング制御部25と、アナログ電話機インタフェース28と、第2のLANインタフェース29と、を備える。
【0016】
第1のLANインタフェース21は、データ通信装置1とSIP網5を介して通信するためのインタフェースである。第1の呼制御部22は、中継装置2とデータ通信装置1との間の呼を制御する。第2の呼制御部23は、中継装置2と電話機3との間の呼を制御する。データ通信制御部24は、データ入力端末4からの入力データをデータ通信装置1に転送する。
【0017】
ルーティング制御部25は、ルーティングテーブル26およびNATP(Network Address Port Translation)テーブル27を備え、これらのテーブルを用いてIPパケットのルーティングを行う。アナログ電話機インタフェース28は、電話機3(アナログ電話機)と接続および通信するためのインタフェースである。第2のLANインタフェース29は、電話機3(IP電話機)またはデータ入力端末4と接続および通信するためのインタフェースである。
【0018】
なお、一般的に市販されているSIPプロトコル対応のVoIPアダプタ(またはVoIPルータ)は、アナログ電話インタフェースを備え、アナログ電話機を使用してSIPプロトコルを利用する電話網に接続して、音声通話が可能であるため、中継装置2の機能をVoIPアダプタに実装することが考えられる。
【0019】
電話機3には、アナログ電話機またはIP電話機などを用いる。アナログ電話機の場合には、アナログ電話インタフェース28を介して、IP電話機の場合には、第2のLANインタフェース29を介して中継装置2に接続される。
【0020】
データ入力端末4には、例えば、HTTPプロトコルを用いて通信を行うウェブブラウザの機能を搭載したPCを用いる。データ入力端末4は、第2のLANインタフェース29を介して中継装置2に接続される。
【0021】
なお、データ入力端末4から中継装置2を介してデータ通信装置1に送信されるデータは、例えばテキストファイル、バイナリファイルなどである。また、データ入力端末4と中継装置2との間、および、中継装置2とデータ通信装置1との間の上記データの送受信には、HTTPプロトコル(RFC2616)を用いる。
【0022】
上記説明した中継装置2は、例えば、CPUと、メモリと、HDD等の外部記憶装置と、入力装置と、出力装置とを備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた中継装置2用のプログラムを実行することにより、中継装置2の各機能が実現される。また、中継装置2用のプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD−ROMなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
【0023】
次に、本実施形態の処理を説明する。
【0024】
本実施形態では、中継装置2が、データ通信装置1のIPアドレスおよびポート番号を、データ入力端末4に通知して、データ入力端末4がデータ通信装置1と通信を行うものとする。
【0025】
図3は、本実施形態の処理を示すフローチャートである。
【0026】
ステップS1010では、ユーザが電話機3からデータ通信装置1に発呼し、中継装置2を介して電話機3とデータ通信装置1の通信が開始される。具体的には、電話機3は、ユーザが入力したデータ通信装置1の電話番号を受け付け、発呼する。中継装置2の第2の呼制御部23は、電話機3からの発呼を受け付け、ユーザが入力した電話番号情報を第1の呼制御部22に送出する。そして、第1の呼制御部22は、第2の呼制御部23からの電話番号情報を用いて、データ通信装置1に発呼する。
【0027】
図4は、第1の呼制御部22が、データ通信装置1に対して発呼する際に送信するSIPプロトコルのINVITEメッセージに含まれるSDPメッセージ(RFC4566)の一例を示すものである。図示するメッセージには、待ち受けIPアドレスとして中継装置2のIPアドレス情報と、音声通信セッションに関する情報とが設定されている。
【0028】
データ通信装置1が応答すると、中継装置2とデータ通信装置1の間と、中継装置2と電話機3の間とに呼が確立され、中継装置2を経由して電話機3とデータ通信装置1の間で音声通信が開始される。音声通信としては、例えば、データ通信装置1から電話機3への音声ガイダンス、電話機3からデータ通信装置1へのPB信号などがある。なお、この時点では、中継装置2とデータ通信装置1の間に音声通信セションは確立されるが、データ通信セションはまだ確立されていない。
【0029】
ステップS1020では、データ入力端末4が、中継装置2への特定(所定)の宛先へのIPパケット(データ通信装置1への接続要求)を送信する。具体的には、データ入力端末4のウェブブラウザは、ユーザが指定した中継装置2の特定のIPアドレスとポート番号とを含むURLを宛先として、HTTPリクエストを送信する。
【0030】
図5は、データ入力端末4が中継装置2に送信するHTTPリクエストの一例である。図示する例では、URLは「http://192.168.1.249:20000/」(第2のLANインタフェース29の情報)であるものとする。URLの相対パスは、図示する例では「/」とするが、これに限定されず、データ通信装置1毎に異なる相対パスを用いてもよい。
【0031】
なお、データ入力端末4は、ステップS1010の発呼に先立って中継装置2に接続してもよく、ステップS1010の呼が確立した後に中継装置2に接続してもよい。
【0032】
中継装置2のデータ通信制御部24は、上記の特定のIPアドレスとポート番号とを含むHTTPリクエストを受信すると、ステップS1030に進む。
【0033】
ステップS1030では、中継装置2が、データ通信装置1との間でデータ通信セションを確立する。具体的には、中継装置2のデータ通信制御部24は、第1の呼制御部22にデータ通信セッション追加要求を送出する。第1の呼制御部22は、データ通信装置1に対して、ステップS1010で確立済みの呼に関連付けてデータ通信セッションの追加要求を行う。
【0034】
図6は、第1の呼制御部22が、データ通信セションの追加要求をする際にデータ通信装置1に送信する、SIPプロトコルのre−INVITEメッセージまたはUPDATEメッセージに含まれるSDPメッセージの一例を示すものである。図示するメッセージは、図4に示すSDPメッセージに、データ通信セッションに関する情報がさらに追加されている。これにより、ステップS1010で確立した呼の音声通信セッションにデータ通信セッションを関連付けることができる。
【0035】
データ通信装置1は、データ通信セッションの追加要求を受信すると、SIPプロトコルにおける200 OKメッセージを中継装置2に送信する。この200 OKメッセージに含まれるSDPメッセージのc=行には、データ通信セッションに利用するデータ通信装置1のIPアドレス情報が、また、m=applicationの行のport部にはポート番号情報が、proto部には、トランスポートプロトコル情報が含まれている。なお、図1に示す具体例では、データ通信装置1のIPアドレスが「10.20.40.1」、ポート番号が「54321」、トランスポートプロトコル情報が「TCP」であるものとする。
【0036】
中継装置2のデータ通信制御部24は、このIPアドレスとポート番号とを含む追加エントリ(レコード)を生成し、ルーティングテーブル26に記憶する。
【0037】
図7は、ルーティングテーブル26の一例を示す図である。なお、ルーティングテーブル26のインタフェースには、第1のLANインタフェース21を示す情報を設定し、ゲートウェイには、例えば、SIP網5のエッジルータなどのIPアドレスが設定される。
【0038】
これにより、中継装置2とデータ通信装置1との間で、ステップS1010の呼に関連付けられたデータ通信セションが確立され、中継装置2を経由してデータ入力端末4とデータ通信装置1の間でデータ通信が開始される。データ通信としては、例えば、データ入力端末4から入力されるテキストデータ、バイナリーデータなどがある。
【0039】
なお、本実施形態では、ステップS1020でのデータ入力端末4から中継装置2の特定のIPアドレスに対するアクセスを契機として、ステップS1030において中継装置2からデータ通信装置1にデータ通信セッションの開始を要求しているが、データ通信装置1から中継装置2に対してデータ通信セッションの開始を要求することも可能である。
【0040】
ステップS1040では、中継装置2のデータ通信制御部24が、データ入力端末4にデータ通信装置1の宛先アドレスを通知する。具体的には、データ通信制御部24は、ステップS1030で取得したデータ通信装置1のIPアドレスとポート番号を、データ入力端末4に通知する。IPアドレスとポート番号は、レスポンスコードが300〜399であるHTTPレスポンスのlocationヘッダを用いて通知する。
【0041】
図8は、中継装置2がデータ入力端末4に送信するメッセージの一例を示す図である。図示するlocationヘッダには、データ通信装置1のIPアドレスとポート番号を含むURLとして、「http://10.20.40.1:54321/」が含まれている。URLの相対パスは、ステップS1020でデータ入力端末4から入力されたURLの相対パスを用いる。
【0042】
ステップS1050では、データ入力端末4は、ステップS1040で中継装置2から通知された、データ通信装置1のIPアドレスとポート番号を宛先アドレスとするIPパケット(データ)を、中継装置2のデータ通信制御部24に送信する。なお、本実施形態のデータ入力端末4は、データ入力にHTTPプロトコルを用いるものとする。
【0043】
図9は、データ入力端末4がデータ通信装置1に送信するメッセージの一例を示す図である。
【0044】
本実施形態では、中継装置2を経由させてIPパケットをデータ通信装置1に送信するが、データ入力端末4からデータ通信装置1へ直接送信する構成、または、SIP網5とは別のネットワーク(例えば、インターネット等)を介する構成であってもよい。その場合には、IPパケットは、必ずしも中継装置2を経由する必要はなく、一般的なIPv4もしくはIPv6の仕様に準じてルーティングされる。
【0045】
ステップS1060では、中継装置2のデータ通信制御部24は、ステップS1050でデータ入力端末4から送信されたIPパケットを受信すると、ステップS1030で更新したルーティングテーブル26を参照し、当該IPパケットが第2のLANインタフェース29から入力され、第1のLANインタフェース21から送信されるIPパケットであると判別する。
【0046】
データ通信制御部24は、当該IPパケットのトランスポートプロトコル、送信元および送信先のIPアドレスおよびポート番号を参照し、NAPTテーブル27に対応するエントリ(レコード)が存在するか否かを判別する。当該エントリが存在する場合は、ステップS1080に進み、当該エントリが存在しない場合は、ステップS1070に進む。
【0047】
ステップS1070では、中継装置2は、NAPTテーブル27に対応するエントリを登録する。具体的には、データ通信制御部24は、第1のLANインタフェース21の未使用ポート番号を1つ選択し、第1のLANインタフェース21のIPアドレスとともに追加エントリを生成し、NAPTテーブル27に登録する。
【0048】
図10は、NAPTテーブル27の一例を示す図である。図示する例では、ポート番号として、データセッション追加時のSDPメッセージ(図6参照)に設定した待ち受けポート番号を設定する。
【0049】
ステップS1080では、中継装置2のルーティング制御部25は、NAPTテーブル27を参照してNATP処理を行い、ステップS1030で登録したルーティングテーブル26の設定にしたがって当該IPパケットのルーティングを行い、データ通信装置1にIPパケットを送信する。
【0050】
ステップS1090では、中継装置2のルーティング制御部25は、データ通信装置1から応答のIPパケットを受信すると、当該IPパケットをルーティングテーブル26の設定にしたがってデータ入力端末4に送信する。
【0051】
図11は、データ通信装置1が、中継装置2を介してデータ入力端末4に送信するメッセージの一例を示す図である。図12は、図11のメッセージの受信後に、データ入力端末4が、中継装置2を介してデータ通信装置1に送信するメッセージの一例を示す図である。
【0052】
ステップS1100では、中継装置2の第1の呼制御部22および第2の呼制御部23は、ステップS1010で確立した、電話機3と中継装置2との間の呼と、中継装置2とデータ通信装置1との間の呼の両方が存続しているかを確認する。両方の呼が存続している場合には、ステップS1050に進み、少なくともいずれかの呼が切断されている場合は、ステップS1110に進む。
【0053】
ステップS1110では、呼が存続していないため、通信を終了する。具体的には、第1の呼制御部22は、データ通信装置1と中継装置2の間の音声通信セッションとデータ通信セッションを終了し、第2の呼制御部23は、電話機3と中継装置2の間の音声通信セッションを終了する。また、ルーティング制御部25は、ステップS1030で追加したルーティングテーブル26のエントリと、ステップS1070で追加したNAPTテーブル27のエントリを削除する。
【0054】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る通信システムは、第1の実施形態図1(図1参照)と同様に、データ通信装置1と、中継装置2と、電話機3と、データ入力端末4とを備える。第2の実施形態の通信システムの構成については、第1の実施形態の通信システムと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0055】
本実施形態では、中継装置2が、データ通信装置1のIPアドレスおよびポート番号を、データ入力端末4に通知せず、中継装置2がデータ入力端末4とデータ通信装置1の通信を中継することで、データ入力端末4がデータ通信装置1と間接的に通信を行うものとする。
【0056】
図13は、本実施形態の処理を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS2010では、第1の実施形態のステップS1010(図3参照)と同様に、ユーザが電話機3からデータ通信装置1に発呼し、中継装置2を介して電話機3とデータ通信装置1の音声通信セッションによる通信が開始される。
【0058】
ステップS2020では、第1の実施形態のステップS1020と同様に、データ入力端末4が、中継装置2への特定の宛先へのIPパケットを送信する。中継装置2のデータ通信制御部24は、特定のIPアドレスとポート番号とを含むHTTPリクエストを受信すると、ステップS2030に進む。
【0059】
ステップS2030では、中継装置2のデータ通信制御部24は、ステップS2010で確立された呼が、データ通信セッションを確立済みか否かを判別し、確立済みでない場合はステップS2040に進み、確立済みの場合はステップS2050に進む。
【0060】
ステップS2040では、中継装置2が、データ通信装置1との間でデータ通信セションを確立する。具体的には、中継装置2のデータ通信制御部24は、第1の呼制御部22にデータ通信セッション追加要求を送出する。第1の呼制御部22は、データ通信装置1に対して、ステップS2010で確立済みの呼に関連付けてデータ通信セッションの追加要求を行う。なお、データ通信セッションの確立手順については、第1の実施形態のステップS1030と同様である。
【0061】
データ通信制御部24は、データ通信セッションが確立すると、データ入力端末4と中継装置2との間のデータ通信と関連付けるために、追加エントリを生成し、当該データ通信制御部24が備えるデータ通信対応テーブルに登録する。
【0062】
図14は、データ通信対応テーブルの一例を示す図である。なお、データ通信装置1のIPアドレスとポート番号は、データ通信装置1からの200 OKメッセージのSDPメッセージのc=行およびm=applicationの行のport部から取得することができる。
ステップS2050では、中継装置2のデータ通信制御部24が、ステップS2020で受信したデータ入力端末4からの入力データをデータ通信装置1に送信する。なお、中継装置2は、データ通信装置1に送信する前に入力データを加工してもよく、また、入力データを加工することなくデータ通信装置1に送信してもよい。例えば、データ入力端末4からの入力データがプレーンテキストデータである場合に、中継装置2は、第1の実施形態で示したようなHTTPメッセージに加工して、データ通信装置1に送信してもよい。また、他の例では、データ通信装置1から認証を求められた場合、あらかじめユーザが登録した認証データをデータ入力端末4代わって送信し、その上でデータを送信してもよい。
【0063】
ステップS2060では、データ通信装置1から応答データを受信した場合、中継装置2のデータ通信制御部24は、データ通信対応テーブルを参照して、データ入力端末4を特定し、データ入力端末4に送信する処理を行う。なお、中継装置2は、データ入力端末4に送信する前に応答データを加工してもよく、また、応答データを加工することなくデータ入力端末4に送信してもよい。例えば、データ通信装置1からの応答データがHTTPメッセージである場合に、中継装置2は、プレーンテキストデータに加工して、データ入力端末4に送信してもよい。
【0064】
ステップS2070では、中継装置2の第1の呼制御部22および第2の呼制御部23は、ステップS2010で確立した、電話機3と中継装置2の間の呼と、中継装置2とデータ通信装置1の間の呼の両方が存続しているかを確認する。両方の呼が存続している場合には、ステップS2020に進み、少なくともどちらか一方が切断されている場合には、ステップS2080に進む。
【0065】
次のステップS2080では、呼が切断されているため、通信を終了する。具体的には、第1の呼制御部22は、データ通信装置1と中継装置2の間の音声通信セッションとデータ通信セッションを終了し、第2の呼制御部23は、電話機3と中継装置2の間の音声通信セッションを終了する。また、ルーティング制御部25は、ステップS2040で追加したルーティングテーブル26のエントリと、データ通信対応テーブルのエントリを削除する。
【0066】
以上説明した第1の実施形態および第2の本実施形態では、中継装置2は、電話機3の音声通信セッションと、データ入力端末4のデータ通信セッションとを1つの呼に取りまとめて、データ通信装置1との間で通信を行う。これにより、第1および第2の実施形態の中継装置2を用いることにより、電話機3を利用したPB信号の入力に加えて、PCなどのデータ入力端末4を利用することで、テキストデータやバイナリーデータをデータ通信装置1に容易に送信することができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【0067】
また、第1の実施形態および第2の本実施形態では、データ入力端末4からのデータ入力に、HTTPプロトコルを用いる。これにより、第1および第2の実施形態では、データ入力端末4では、中継装置2と連携させるための特別なプログラムは不要となり、広く普及しているウェブブラウザを用いてデータの入力を行うことができる。
【0068】
また、第1の実施形態では、中継装置2がデータ通信装置1の宛先アドレス(アクセス先)をデータ入力端末4に通知する。これにより、第1の実施形態では、データ入力端末4は必ずしも中継装置2を経由する必要がなく、また、SIP網5とは別のネットワーク(例えば、インターネット等)を介してデータ通信装置1にアクセスすることもできる。また、呼の終了後も、データ入力端末4からデータ通信装置1アクセスすることができる。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 :データ通信装置
2 :データ通信装置
21:第1のLANインタフェース
22:第1の呼制御部
23:第2の呼制御部
24:データ通信制御部
25:ルーティング制御部
26:ルーティングテーブル
27:NAPTテーブル
28:アナログ電話インタフェース
29:第2のLANインタフェース
3 :電話機
4 :データ入力端末
5 :SIP網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置とネットワークを介して接続されるとともに、電話機およびデータ入力端末と接続される中継装置が行う通信方法であって、
前記中継装置は、
前記電話機の発呼要求に基づいて、前記中継装置と前記通信装置の間で音声通信セッションの呼を確立する呼制御ステップと、
前記データ入力端末から通信装置への接続要求を受信すると、前記中継装置と前記通信装置の間で、前記音声通信セッションの呼に関連付けたデータ通信セッションを確立するデータ通信確立ステップと、
HTTPプロトコルを用いて前記データ入力端末から入力されるデータを、前記データ通信セッションを介して前記通信装置に送信するデータ通信ステップと、を行うこと
を特徴とする通信方法。
【請求項2】
請求項1記載の通信方法であって、
前記中継装置は、
前記通信装置のアドレスを前記データ入力端末に通知する通知ステップを、さらに行うこと
を特徴とする通信方法。
【請求項3】
通信装置とネットワークを介して接続されるとともに、電話機およびデータ入力端末と接続される中継装置であって、
前記電話機の発呼要求に基づいて、前記中継装置と前記通信装置の間で音声通信セッションの呼を確立する呼制御手段と、
前記データ入力端末から通信装置への接続要求を受信すると、前記中継装置と前記通信装置の間で、前記音声通信セッションの呼に関連付けたデータ通信セッションを確立するデータ通信制御手段と、を備え、
前記データ通信制御手段は、HTTPプロトコルを用いて前記データ入力端末から入力されるデータを、前記データ通信セッションを介して前記通信装置に送信すること
を特徴とする中継装置。
【請求項4】
請求項3記載の中継装置であって、
前記データ通信制御手段は、前記通信装置のアドレスを前記データ入力端末に通知すること
を特徴とする中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−62588(P2013−62588A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198295(P2011−198295)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】