説明

通信機器、障害検知方法、障害検知プログラム、通信システムおよび通信方法

【課題】ネットワーク内の障害を検知するためのパケット数を低減し、通信品質を保持することを課題とする。
【解決手段】Active系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータ130A〜130Dのそれぞれに対して、「監視icmpパケット」の送信先とする特定のルータを予め選定する。下位ルータ130A〜130Dは、予め選定された特定のルータに対して、「監視icmpパケット」をそれぞれ送信する。下位ルータ130A〜130Dは、「監視icmpパケット」に対する応答が受信されない場合には、障害が発生したものと判定してネットワークインターフェースを停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冗長ネットワークにおける障害検知機能および通信機器の切替機能に関する。特に、本発明は、いわゆるスター型ネットワークにおけるHSRP(Hot Standby Routing Protocol)やVRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)などを用いた障害検知機能および通信機器切替機能と、IP−SLA(Internet Protocol−Service Level Agreement)を用いたネットワーク監視機能とを併用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のネットワーク環境の普及に伴い、ネットワークの可用性を高めることを目的として、ネットワークを構成するシステムに冗長性を持たせるようになってきている。
【0003】
例えば、図7に、いわゆるスター型ネットワークの構成例を示す。図7は、いわゆるスター型ネットワークの構成例を示す図である。図7に示すように、スター型ネットワーク10は、上位ルータ11、中間スイッチ12A〜12Dおよび下位ルータ13A〜13Dを有する。そして、このスター型ネットワーク10では、図7に示すように、上位ルータ11の配下に中間スイッチ12A〜12Dがそれぞれ接続される。
【0004】
さらに、このスター型ネットワーク10では、図7に示すように、中間スイッチ12Aに下位ルータ13Aが接続され、中間スイッチ12Bに下位ルータ13Bが接続され、中間スイッチ12Cに下位ルータ13Cが接続され、中間スイッチ12Dに下位ルータ13Dが接続される。なお、図7に示すように、下位ルータ13Aにはスイッチ14Aを介して端末15Aが接続され、下位ルータ13Bにはスイッチ14Bを介して端末15Bが接続され、下位ルータ13Cにはスイッチ14Cを介して端末15Cが接続され、下位ルータ13Dにはスイッチ14Dを介して端末15Dが接続される。
【0005】
また、例えば、図8に、上述した図7に示すスター型ネットワークの冗長構成例を示す。図8は、上述した図7に示すスター型ネットワークの冗長構成例を示す図である。図8には、上述した図7に示すスター型ネットワーク10を「Active系」、スター型ネットワーク10と同一の構成を有するスター型ネットワーク201を「Standby系」とする冗長構成を示す。
【0006】
以下、例えば、図8に示す冗長構成のスター型ネットワークに対して、IETF(The Internet Engineering Task Force)により策定されたRFC(Request For Comment)2281に規定されるHSRPが設定済みであるものと仮定し、このHSRPを用いた障害検知方法を説明する。なお、RFC(Request For Comment)2281に規定されるHSRPと、RFC(Request For Comment)3768に規定されるVRRPとは基本的に同様動作によって障害検知を実現する。
【0007】
例えば、図8に示す複数のルータにそれぞれ設定されるプライオリティ値の高い側のルータがActive系のルータとしての役割を担い、プライオリティ値の低い側のルータがStandby系のルータとしての役割を担う。そして、実動作を実行するActive系のルータに障害が発生した場合に、Active系のルータの代わりにStandby系のルータがパケット通信などに関する実動作を実行する。
【0008】
図8に示すActive系のルータとStandby系のルータとの間では、互いの正常性やプライオリティ値などを通知するための死活確認パケット、いわゆる「Helloパケット」がやり取りされる。Standby系のルータは、Active系のルータから「Helloパケット」を受信できない場合には、Active系のルータに障害が発生したものと判断し、Active系のルータに成り代わってパケット通信などに関する実動作を実行する。
【0009】
図9は、図8に示す冗長構成のスター型ネットワーク内から冗長構成の一拠点を抽出した図である。図9に示すように、Active系の上位ルータ11とStandby系の上位ルータ21との間にはHSRP30が設定される。また、図9に示すように、Active系の下位ルータ13AとStandby系の下位ルータ23Aとの間には、HSRP31および32が設定される。なお、Active系の下位ルータ13AおよびStandby系の下位ルータ23Aは、HSRP31の機能を用いて、Active系の中間スイッチ12AおよびStandby系の中間スイッチ22Aを介して「Helloパケット」をやり取りする。また、Active系の下位ルータ13AおよびStandby系の下位ルータ23Aは、HSRP32の機能を用いてネットワーク外部の監視を行う。
【0010】
図9に示すように、例えば、Active系の中間スイッチ12AとStandby系の中間スイッチ22Aとを接続するケーブルに障害が発生すると、例えば、Active系のスター型ネットワーク10に収容された下位ルータ13Aと、Standby系のスター型ネットワーク20に収容された下位ルータ23Aとの間で「Helloパケット」をやり取りができなくなる。このような場合には、実際には、Active系の下位ルータ13Aに障害が発生していなくても、下位ルータ23AがStandby系からActive系に切り替わって動作する。一方、もともとActive系であった下位ルータ13Aは、障害が発生しているわけではないので、そのままActive系として動作し続ける。
【0011】
このように、冗長構成のスター型ネットワーク内にActive系のルータが複数存在するという事態が発生すると、ネットワークに接続された端末の通信性能に悪影響を与える。具体的には、冗長構成のスター型ネットワーク内にて障害の発生に伴うルータの切替が行われると、障害が発生したルータの配下に接続されている端末に対してルータの変更を知らせる通知(Gratuitous ARP)が送られる。このため、複数のActive系のルータが端末に接続されている場合には、端末が有するARP(Address Resolution Protocol)テーブルが破壊されてしまうという問題があった。
【0012】
そこで、冗長構成のスター型ネットワークにおいて、HSRPやVRRPと、ネットワーク監視機能の1つであるIP−SLAを併用する試みがなされている。IP−SLAは、ネットワーク機器の故障やケーブル断などを原因とするネットワーク内の通信障害を検知するための監視パケット、いわゆる「監視icmp(Internet Control Message Protocol)パケット」をネットワーク内でやり取りし、ネットワーク内の通信障害を検知する機能である。
【0013】
図10は、図8に示す冗長構成のスター型ネットワークにおいてHSRPおよびIP−SLAを併用する場合の構成例を示す図である。図10に示すように、例えば、Active系の下位ルータ13Aに対して、中間スイッチ12A→上位ルータ11→中間スイッチ12B,12C,12Dというルートで、下位ルータ13B,13C,13Dの全てに「監視icmpパケット」を送るように設定する。
【0014】
同様に、下位ルータ13Bに対して、中間スイッチ12B→上位ルータ11→中間スイッチ12A,12C,12Dというルートで、下位ルータ13A,13C,13Dの全てに「監視icmpパケット」を送るように設定する。同様に、下位ルータ13Cに対して、中間スイッチ12C→上位ルータ11→中間スイッチ12A,12B,12Dというルートで、下位ルータ13A,13B,13Dの全てに「監視icmpパケット」を送るように設定する。同様に、下位ルータ13Dに対して、中間スイッチ12D→上位ルータ11→中間スイッチ12A,12B,12Cというルートで、下位ルータ13A,13B,13Cの全てに「監視icmpパケット」を送るように設定する。このようにすることで、下位ルータ間で「監視icmpパケット」をやり取りできなくなった箇所を特定することができる。このため、ネットワーク内のどこで発生した障害であっても検知できる。
【0015】
このように、冗長構成のスター型ネットワークにおいてHSRPおよびIP−SLAを併用することにより、ケーブルの障害を原因として、Standby系のルータがActive系に切り替えられてしまう事態を防止できる。その結果、複数のActive系のルータが端末に接続されることにより、端末が有するARPテーブルを破壊してしまうという事態の発生を回避でき、ネットワークに接続された端末の通信性能に悪影響を及ぼすことはない。
【0016】
また、上述した問題点は、中間スイッチを経由してパケットをやり取りすることが原因として発生する。そこで、スター型ネットワークに中間スイッチを設けない構成も考えられる。
【0017】
図11は、中間スイッチを設けない冗長構成のネットワークの構成例を示す図である。図11に示すように、冗長構成のネットワークに中間スイッチを設けない構成の場合、「Helloパケット」は同一のサブネット内でやり取りする必要があることから、HSRPの設定箇所がActive系のネットワーク40に収容される下位ルータ43と、Standby系のネットワーク50に収容される下位ルータ53との間に制限される。また、HSRP80では、上位ルータ41とHUB42との間で発生した通信の障害を検知できない。
【0018】
そこで、中間スイッチを設けない冗長構成のネットワークにIP−SLAを適用する方法が考えられる。例えば、IP−SLAの「監視icmp(Internet Control Message Protocol)パケット」の宛先を上位ルータ41に設定する。このように、中間スイッチを設けない冗長構成のネットワークであっても、IP−SLAを適用すれば、上位ルータ41とHUB42との間で発生した通信の障害を検知できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2007−189321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところで、上述した冗長構成のスター型ネットワークにおいてHSRPおよびIP−SLAを併用する技術(図10参照)では、各下位ルータから自身以外の全ての下位ルータに対して「監視icmpパケット」を送るような設定が行われる。このため、ネットワーク内に収容される下位ルータの数が増加すると、Active系のスター型ネットワーク内で処理しなければならない「監視icmpパケット」の数も膨大となる。よって、Active系のスター型ネットワークシステムの処理能力の多くが「監視icmpパケット」の処理に費やされてしまうこととなるので、「監視icmpパケット」以外の通常のデータ通信パケットの遅延や破棄を引き起こし、通信品質が低下してしまうという問題がある。
【0021】
なお、上述した中間スイッチを設けない冗長構成のネットワークにてIP−SLAを適用する技術(図11参照)にも、「監視icmpパケット」の処理負荷増大による通信品質の低下は起こりうる問題である。
【0022】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ネットワーク内の障害を検知するためのパケット数を低減し、通信品質を保持することが可能な通信機器、障害検知方法、障害検知プログラム、通信システムおよび通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、冗長化されたネットワークを構成する運用系ネットワーク側に収容される通信機器であって、前記運用系ネットワーク側に収容される他の通信機器の中から予め設定された特定の通信機器に対して、ネットワーク内の障害を検知するための障害検知パケットを送信するパケット送信部と、前記パケット送信部により送信された障害検知パケットに対応する応答が前記特定の通信機器から受信されなかった場合に、ネットワークインターフェースを停止するインターフェース停止部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ネットワーク内の障害を検知するためのパケット数を低減し、通信品質を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、実施例1に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、実施例1に係る下位ルータ130Aの構成を示す図である。
【図3】図3は、実施例1に係る障害検知パケット送信時参照テーブル131Aに記憶される情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、実施例1に係るネットワーク系の切替の概要を説明するための図である。
【図5】図5は、実施例1に係る下位ルータによる処理の流れを示す図である。
【図6】図6は、障害検知プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【図7】図7は、いわゆるスター型ネットワークの構成例を示す図である。
【図8】図8は、上述した図7に示すスター型ネットワークの冗長構成例を示す図である。
【図9】図9は、図8に示す冗長構成のスター型ネットワーク内から冗長構成の一拠点を抽出した図である。
【図10】図10は、図8に示す冗長構成のスター型ネットワークにおいてHSRPおよびIP−SLAを併用する場合の構成例を示す図である。
【図11】図11は、中間スイッチを設けない冗長構成のネットワークの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照しつつ、本願の開示する通信機器、障害検知方法、障害検知プログラム、通信システムおよび通信方法の一実施形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
以下に説明する実施例1では、本発明に係る通信システムの一実施形態として実施例1を説明する。なお、以下の実施例1により、本願の開示する発明が限定されるものではない。
【0028】
実施例1に係る通信システムは、複数の通信機器が収容された運用系ネットワークと、該運用系ネットワーク内に障害が発生した場合に該運用系ネットワークをバックアップする待機系ネットワークとで冗長化されたネットワークを有する。そして、運用系ネットワークに収容された通信機器は、運用系ネットワークに収容された他の通信機器の中から予め設定された特定の通信機器に対して、ネットワーク内の障害を検知するための障害検知パケットを送信し、送信された障害検知パケットに対応する応答が特定の通信機器から受信されなかった場合に、ネットワークインターフェースを停止する点に特徴がある。
【0029】
[通信システムの構成(実施例1)]
図1は、実施例1に係る通信システムの構成を示す図である。図1に示すように、実施例1に係る通信システムは、Active系のスター型ネットワーク100およびStandby系のスター型ネットワーク200を含む。Active系のスター型ネットワーク100は、パケット通信等の実運用が行われる運用系のネットワークに該当する。Standby系のスター型ネットワーク200は、Active系のスター型ネットワーク100に障害が発生した場合にバックアップとして機能する待機系のネットワークに該当する。
【0030】
Active系のスター型ネットワーク100は、図1に示すように、上位ルータ110、中間スイッチ120A〜120D、下位ルータ130A〜130Dを有する。上位ルータ110は、ケーブル300を介して、中間スイッチ120A〜120Dと通信可能な状態で接続される。
【0031】
中間スイッチ120Aは、ケーブル300を介して、下位ルータ130Aと通信可能な状態で接続される。中間スイッチ120Bは、ケーブル300を介して、下位ルータ130Bと通信可能な状態で接続される。中間スイッチ120Cは、ケーブル300を介して、下位ルータ130Cと通信可能な状態で接続される。中間スイッチ120Dは、ケーブル300を介して、下位ルータ130Dと通信可能な状態で接続される。
【0032】
下位ルータ130Aは、ケーブル300を介して、スイッチ140Aと通信可能な状態で接続される。下位ルータ130Bは、ケーブル300を介して、スイッチ140Bと通信可能な状態で接続される。下位ルータ130Cは、ケーブル300を介して、スイッチ140Cと通信可能な状態で接続される。下位ルータ130Dは、ケーブル300を介して、スイッチ140Dと通信可能な状態で接続される。
【0033】
スイッチ140Aは、ケーブル300を介して、端末150Aと通信可能な状態で接続される。スイッチ140Bは、ケーブル300を介して、端末150Bと通信可能な状態で接続される。スイッチ140Cは、ケーブル300を介して、端末150Cと通信可能な状態で接続される。スイッチ140Dは、ケーブル300を介して、端末150Dと通信可能な状態で接続される。
【0034】
なお、中間スイッチ120A〜120Dおよびスイッチ140A〜140Dは、パケットのスイッチング機能など、ネットワークスイッチとしての一般的な機能を有する。また、端末150A〜150Dは、例えば、パーソナルコンピュータやサーバなどに該当し、パーソナルコンピュータやサーバなどが有する一般的な機能を有する。
【0035】
Standby系のスター型ネットワーク200は、図1に示すように、Active系のスター型ネットワーク100と同一の構成を有する。すなわち、Standby系のスター型ネットワーク200は、上位ルータ210、中間スイッチ220A〜220D、下位ルータ230A〜230Dを有する。上位ルータ210は、ケーブル300を介して、中間スイッチ220A〜220Dと通信可能な状態で接続される。
【0036】
中間スイッチ220Aは、ケーブル300を介して、下位ルータ230Aと通信可能な状態で接続される。中間スイッチ220Bは、ケーブル300を介して、下位ルータ230Bと通信可能な状態で接続される。中間スイッチ220Cは、ケーブル300を介して、下位ルータ230Cと通信可能な状態で接続される。中間スイッチ220Dは、ケーブル300を介して、下位ルータ230Dと通信可能な状態で接続される。
【0037】
なお、図1に示すように、Active系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータ130Aと、Standby系のスター型ネットワーク200に収容される下位ルータ230Aとの間にはHSRPが設定される。下位ルータ230Aは、下位ルータ130Aのバックアップルータとしての役割を担う。また、図1に示すように、Active系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータ130Bと、Standby系のスター型ネットワーク200に収容される下位ルータ230Bとの間にはHSRPが設定される。下位ルータ230Bは、下位ルータ130Bのバックアップルータとしての役割を担う。
【0038】
また、図1に示すように、Active系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータ130Cと、Standby系のスター型ネットワーク200に収容される下位ルータ230Cとの間にはHSRPが設定される。下位ルータ230Cは、下位ルータ130Cのバックアップルータとしての役割を担う。また、図1に示すように、Active系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータ130Dと、Standby系のスター型ネットワーク200に収容される下位ルータ230Dとの間にはHSRPが設定される。下位ルータ230Dは、下位ルータ130Dのバックアップルータとしての役割を担う。
【0039】
[下位ルータの構成(実施例1)]
図2を用いて下位ルータの構成を説明する。Active系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータ130A〜130Dは同一の構成を有するので、以下では、下位ルータ130Aを例に挙げて説明する。図2は、実施例1に係る下位ルータ130Aの構成を示す図である。なお、図2には本願の開示する技術に密接に関連する部分を図示するが、実施例1に係る上位ルータおよび下位ルータは、ネットワークデバイスとしての一般的なルータの機能を有することを前提とする。
【0040】
例えば、実施例1に係る上位ルータおよび下位ルータは、一般的なルータの機能として、種々のLAN(Local Area Network)メディア、種々のHDLC(High Level Data Link Control)、種々のWAN(Wide Area Network)メディア、種々のネットワークインターフェースを取り扱う機能を有するものとする。さらに、実施例1に係る上位ルータおよび下位ルータは、一般的なルータの機能として、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデル第3層「ネットワークレイヤー」に情報に基づいて、ネットワーク間のパケット配送を行う機能を有するものとする。
【0041】
図2に示すように、下位ルータ130Aは、障害検知パケット送信時参照テーブル131Aと、パケット送受信部132Aと、インターフェース停止部133Aと、切替部134Aとを有する。
【0042】
障害検知パケット送信時参照テーブル131Aは、通信の障害を検知するための「監視icmp(Internet Control Message Protocol)パケット」を、予め設定された特定のルータに送信するための情報を記憶する。ここで、通信の障害とは、例えば、「監視icmpパケット」および「監視icmpパケット」に対する応答が帰ってくるという「監視icmpパケット」に関する通信が正常にできない状態であることをいう。ケーブルやネットワークインターフェース、装置を含めて正常に動作していない場合には、「監視icmpパケット」に関する通信が正常にできない状態に陥る。
【0043】
図3は、実施例1に係る障害検知パケット送信時参照テーブル131Aに記憶される情報の一例を示す図である。図3に示すように、障害検知パケット送信時参照テーブル131Aは、「監視icmpパケット」の送信先として予め設定された送信先アドレス「下位ルータ130B(10.10.1.0)」と、使用するポートのポート番号「1」とを対応付けて記憶する。
【0044】
パケット送受信部132Aは、予め設定された所定のタイミングで、予め設定された特定のルータに「監視icmpパケット」を送信する。例えば、パケット送受信部132Aは、「監視icmpパケット」送信タイミングへの到達を待機する。「監視icmpパケット」の送信タイミングに到達すると、パケット送受信部132Aは、障害検知パケット送信時参照テーブル131Aから送信先アドレスおよびポート番号を取得する。次に、パケット送受信部132Aは、障害検知パケット送信時参照テーブル131Aから取得した送信先アドレスを「監視icmpパケット」の送信先アドレスに設定する。そして、パケット送受信部132Aは、障害検知パケット送信時参照テーブル131Aから取得したポート番号のポートから「監視icmpパケット」を送信する。
【0045】
なお、パケット送受信部132Aから送信された「監視icmpパケット」は、中間スイッチ120A→上位ルータ110→中間スイッチ120Bのルートで下位ルータ130Bに到達する。
【0046】
インターフェース停止部133Aは、監視対象となる通信に障害が発生している場合にネットワークインターフェースを停止する。インターフェース停止部133Aは、「監視icmpパケット」が配送されるルート、すなわち、中間スイッチ120A→上位ルータ110→中間スイッチ120Bのルート上の通信を監視対象とする。監視対象となる通信は、下位ルータ130A、下位ルータ130Aと中間スイッチ120Aとを接続するケーブル、中間スイッチ120A、中間スイッチ120Aと上位ルータ110と接続するケーブル、上位ルータ110、上位ルータ110と中間スイッチ120Bとを接続するケーブル、中間スイッチ120B、中間スイッチ120Bと下位ルータ130Bとを接続するケーブル、下位ルータ130Bを経由して行われる「監視icmpパケット」と「監視icmpパケット」に対する応答に関する通信に該当する。
【0047】
そして、インターフェース停止部133Aは、「監視icmpパケット」に対する応答が受信されたか否かに基づいて、監視対象となる通信の障害を検知する。例えば、インターフェース停止部133Aは、「監視icmpパケット」に対する応答がパケット送受信部132Aにより受信されたか否かを判定する。判定の結果、「監視icmpパケット」に対する応答がパケット送受信部132Aにより受信されなかった場合には、インターフェース停止部133Aは、監視対象となる通信に障害が発生したものと判定する。そして、インターフェース停止部133Aは、稼働中のネットワークインターフェースを停止する。
【0048】
ネットワークインターフェースを停止する場合、インターフェース停止部133Aは、下位ルータ130Aが有するネットワークインターフェースのうち、「監視icmpパケット」に対する応答を受信できなかったネットワークインターフェース、および「監視icmpパケット」に対する応答を受信できなかったネットワークインターフェースと対になっている端末150Aに近い方のネットワークインターフェース(端末150Aとの通信を行うためのネットワークインターフェース)の両方を停止する。なお、インターフェース停止部133Aは、ネットワークインターフェースを停止する場合に、下位ルータ130Aが有するネットワークインターフェースの全てを停止してもよい。
【0049】
例えば、下位ルータ130Aが有するネットワークインターフェースのうち、「監視icmpパケット」に対する応答を受信できなかったネットワークインターフェース、および「監視icmpパケット」に対する応答を受信できなかったネットワークインターフェースと対になっている端末150Aに近い方のネットワークインターフェース(端末150Aとの通信を行うためのネットワークインターフェース)の両方を停止するという制御を行うという方法をとれば、例えば、端末との通信を行うためのネットワークインターフェースが複数の端末により共有されている場合に、インターフェースの停止による通信への悪影響を通信の障害検知とは無関係の他の端末に与えることを防止できる。また、下位ルータ130Aが有するネットワークインターフェースの全てを停止するという方法をとれば、通信の障害検知に応じたネットワークインターフェースの停止を簡易な処理で実現できる。
【0050】
一方、判定の結果、「監視icmpパケット」に対する応答がパケット送受信部132Aにより受信された場合には、インターフェース停止部133Aは、監視対象となる通信に障害が発生していないものと判定する。そして、インターフェース停止部133Aは、パケット送受信部132Aから新たな「監視icmpパケット」が送信されると、再び、「監視icmpパケット」に対する応答がパケット送受信部132Aにより受信されたか否かの判定を行う。
【0051】
なお、Standby系のスター型ネットワーク200に収容されている下位ルータ230Aは、HSRPの機能を用いて、下位ルータ130Aのネットワークインターフェースの稼動停止を検知すると、パケット通信などに関する実動作の実行主体として主体的に切り替わる。なお、システム内にHSRPの機能を適用しない場合には、ルータの切替を行う制御部などが、稼働中のネットワークインターフェースの停止に応じて、パケット通信などに関する実動作の実行主体となる下位ルータの切替を行うこともできる。
【0052】
ここで、図1に戻り、上述してきたような機能を有する下位ルータ130A〜130Dのそれぞれから送信される「監視icmpパケット」および「監視icmpパケット」に対する応答が、Active系のスター型ネットワーク100内でどのように循環しているかを説明する。Active系のスター型ネットワーク100内に通信の障害が発生していなければ、以下に説明するように、下位ルータ130A〜130Dのそれぞれから送信される「監視icmpパケット」および応答が循環する。
【0053】
図1の点線で示すように、下位ルータ130Aから送信された「監視icmpパケット」は、中間スイッチ120A→上位ルータ110→中間スイッチ120Bのルートで下位ルータ130Bに到達する。そして、逆のルート、つまり中間スイッチ120B→上位ルータ110→中間スイッチ120Aのルートで、下位ルータ130Bから送信された「監視icmpパケット」に対する応答が下位ルータ130Aに到達する。
【0054】
また、図1の点線で示すように、下位ルータ130Bから送信された「監視icmpパケット」は、中間スイッチ120B→上位ルータ110→中間スイッチ120Cルートで下位ルータ130Cに到達する。そして、逆のルート、つまり中間スイッチ120C→上位ルータ110→中間スイッチ120Bのルートで、下位ルータ130Cから送信された「監視icmpパケット」に対する応答が下位ルータ130Bに到達する。
【0055】
また、図1の点線で示すように、下位ルータ130Cから送信された「監視icmpパケット」は、中間スイッチ120C→上位ルータ110→中間スイッチ120Dのルートで下位ルータ130Dに到達する。そして、逆のルート、つまり中間スイッチ120D→上位ルータ110→中間スイッチ120Cのルートで、下位ルータ130Dから送信された「監視icmpパケット」に対する応答が下位ルータ130Cに到達する。
【0056】
また、図1の点線で示すように、下位ルータ130Dから送信された「監視icmpパケット」は、中間スイッチ120D→上位ルータ110→中間スイッチ120Aのルートで下位ルータ130Aに到達する。そして、逆のルート、つまり中間スイッチ120A→上位ルータ110→中間スイッチ120Dのルートで、下位ルータ130Aから送信された「監視icmpパケット」に対する応答が下位ルータ130Dに到達する。
【0057】
上述してきたように、「監視icmpパケット」の送信元および送信先となる下位ルータの組み合わせが、Active系のスター型ネットワーク100に収容されるルータ内で重複しないように予め選定される。そして、下位ルータ130A〜130Dのそれぞれから送信される「監視icmpパケット」および応答が、Active系のスター型ネットワーク100内に循環される。このように、Active系のスター型ネットワーク100内に「監視icmpパケット」を循環させることで、Active系のスター型ネットワーク100内で発生した通信の障害を検知する。
【0058】
ここで、図4を用いてActive系のスター型ネットワーク100からStandby系のスター型ネットワーク200への切替が完了されるまでの概要を説明する。図4は、実施例1に係るネットワーク系の切替の概要を説明するための図である。
【0059】
図4の(1)に示すように、上位ルータ110と中間スイッチ120Bとを接続するケーブル上で通信の障害が発生した場合には、下位ルータ130Aから送信された「監視icmpパケット」は下位ルータ130Bに到達しない。このため、下位ルータ130Aは、「監視icmpパケット」に対する応答を下位ルータ130Bから受信することはないので、障害が発生したものと判定することとなり、図4の(2)に示すようにインターフェースを停止する。そして、下位ルータ130Aは、パケット通信などに関する実動作の実行主体を、Standby系のスター型ネットワーク200に収容されている下位ルータ230Aに切り替える。
【0060】
また、図4の(3)に示すように、下位ルータ130Aのインターフェースが停止されている場合には、下位ルータ130Dから送信された「監視icmpパケット」は下位ルータ130Aに到達しない。よって、下位ルータ130Dは、「監視icmpパケット」に対する応答を下位ルータ130Aから受信することはないので、障害が発生したものと判定することとなり、図4の(4)に示すようにインターフェースを停止する。そして、下位ルータ130Dは、パケット通信などに関する実動作の実行主体を、Standby系のスター型ネットワーク200に収容されている下位ルータ230Dに切り替える。
【0061】
同様にして、下位ルータ130Dのインターフェースが停止されている場合には、下位ルータ130Cから送信された「監視icmpパケット」は下位ルータ130Dに到達しない。よって、下位ルータ130Cは、「監視icmpパケット」に対する応答を下位ルータ130Dから受信することはないので、障害が発生したものと判定することとなり、インターフェースを停止する。そして、下位ルータ130Cは、パケット通信などに関する実動作の実行主体を、Standby系のスター型ネットワーク200に収容されている下位ルータ230Cに切り替える。
【0062】
同様にして、下位ルータ130Cのインターフェースが停止されている場合には、下位ルータ130Bから送信された「監視icmpパケット」は下位ルータ130Cに到達しない。よって、下位ルータ130Bは、「監視icmpパケット」に対する応答を下位ルータ130Cから受信することはないので、障害が発生したものと判定することとなり、インターフェースを停止する。そして、下位ルータ130Bは、パケット通信などに関する実動作の実行主体を、Standby系のスター型ネットワーク200に収容されている下位ルータ230Bに切り替える。
【0063】
図4を用いて説明したように、Active系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータ130A〜130Dのいずれかのインターフェースが停止されれば、インターフェースの停止およびルータの切替が伝播する。そして、最終的に、Standby系のスター型ネットワーク200に収容されている下位ルータ230A〜230Dに、パケット通信などに関する実動作の実行主体の切り替えが完了することとなる。なお、Active系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータ130A〜130Dのそれぞれが自律的に切替を実行する場合に限られるものではない。例えば、ルータの切替を管理する処理機能部をActive系のスター型ネットワーク100内に設ける。そして、この処理機能部が、下位ルータ130A〜130Dの全インターフェースが停止された場合に、パケット通信などに関する実動作の実行主体を下位ルータ230A〜230Dに一括して切り替えを行うようにしてもよい。
【0064】
[下位ルータによる処理(実施例1)]
続いて、図5を用いて、実施例1に係る下位ルータによる処理の流れを説明する。図5は、実施例1に係る下位ルータによる処理の流れを示す図である。なお、Active系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータ130A〜130Dは同様の処理を実行するので、以下では、下位ルータによる処理の一例として、下位ルータ130Aの処理の流れを説明する。
【0065】
図5に示すように、パケット送受信部132Aは、「監視icmpパケット」送信タイミングに到達しているか否かを判定する(ステップS110)。判定の結果、「監視icmpパケット」送信タイミングに到達していない場合には、同判定結果を「No」としてステップS110の判定を繰り返す。
【0066】
一方、判定の結果、「監視icmpパケット」の送信タイミングに到達している場合には(ステップS110,Yes)、パケット送受信部132Aは、障害検知パケット送信時参照テーブル131Aから送信先アドレスおよびポート番号を取得する(ステップS120)。次に、パケット送受信部132Aは、障害検知パケット送信時参照テーブル131Aから取得した送信先アドレスを「監視icmpパケット」の送信先アドレスに設定して、同じく障害検知パケット送信時参照テーブル131Aから取得したポート番号のポートから「監視icmpパケット」を送信する(ステップS130)。
【0067】
インターフェース停止部133Aは、「監視icmpパケット」に対する応答がパケット送受信部132Aにより受信されたか否かを判定する(ステップS140)。判定の結果、「監視icmpパケット」に対する応答がパケット送受信部132Aにより受信された場合には(ステップS140,Yes)、インターフェース停止部133Aは通信の障害が発生していないものと判定する。そして、下位ルータ130Aによる処理は上述したステップS110に戻る。
【0068】
一方、判定の結果、「監視icmpパケット」に対する応答がパケット送受信部132Aにより受信されなかった場合には(ステップS140,No)、インターフェース停止部133Aは通信の障害が発生したものと判定する。そして、インターフェース停止部133Aは稼働中のネットワークインターフェースを停止する(ステップS150)。
【0069】
[実施例1による効果]
上述してきたように、実施例1によれば、Active系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータ130A〜130Dのそれぞれに対して、「監視icmpパケット」の送信先とする特定のルータを予め選定する。下位ルータ130A〜130Dは、予め選定された特定のルータに対して、「監視icmpパケット」をそれぞれ送信する。このようなことから、ネットワーク内の障害を検知するためのパケット数を低減できる。
【0070】
さらに、下位ルータ130A〜130Dは、「監視icmpパケット」に対する応答が受信されない場合には、障害が発生したものと判定してネットワークインターフェースを停止する。このようなことから、冗長構成のスター型ネットワーク内にActive系のルータが複数存在するという事態の発生を回避でき、通信品質を保持できる。
【0071】
また、実施例1によれば、「監視icmpパケット」の送信元および送信先となる下位ルータの組み合わせが、Active系のスター型ネットワーク100に収容されるルータ内で重複しないように、「監視icmpパケット」の送信先となる特定のルータを予め選定する。このようなことから、下位ルータ130A〜130Dのそれぞれから送信される「監視icmpパケット」および応答が、Active系のスター型ネットワーク100内に循環され、障害の検知漏れを防止できる。
【実施例2】
【0072】
以下、本発明にかかる通信機器、障害検知方法、障害検知プログラム、通信システムおよび通信方法の他の実施形態を説明する。
【0073】
(1)装置構成等
図2に示した下位ルータ130Aの各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要せず、下位ルータ130Aの各構成要素の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。例えば、図2に示す下位ルータ130Aが有するインターフェース停止部133Aと切替部134Aとを機能的または物理的に統合して構成する。このように、下位ルータ130Aの全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0074】
(2)障害検知プログラム
また、上記の実施例1で説明したActive系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータの各種の処理機能(図5等参照)は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することもできる。
【0075】
そこで、以下では、図6を用いて、上記の実施例1で説明した下位ルータ130Aの処理機能と同様の処理機能を実現する障害検知プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図6は、障害検知プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0076】
同図に示すように、下位ルータ130Aとしてコンピュータ400は、各種演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)410を有する。また、コンピュータ400は、ユーザからデータの入力を受け付ける入力装置420および出力装置430を有する。
【0077】
なお、入力装置420は、例えば、キーボードやマウスなどに該当する。また、出力装置430は、モニタやディスプレイなどに該当する。なお、入力装置420がマウスを有する場合には、出力装置430が有するモニタと協働して、ポインティングデバイス機能を実現することもできる。また、入力装置420がタッチパッドなどの他の入力デバイスを有する場合にも、マウスの場合と同様にポインティングデバイス機能を実現できる。装置管理者は、ポインティングデバイス機能を利用して、下位ルータ130Aに関する各種設定を行うこともできる。
【0078】
また、コンピュータ400は、図6に示すように、記憶媒体からプログラム等を読取る媒体読取装置440と、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行うネットワークインターフェース装置450を有する。また、コンピュータ400は、図6に示すように、各種情報を一時記憶するRAM(Random Access Memory)460と、ハードディスク装置470とを有する。そして、各装置410〜470は、バス480に接続される。
【0079】
なお、上述したCPU410の代わりに、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などの電子回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を用いることもできる。また、RAM460の代わりに、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子を用いることもできる。
【0080】
ハードディスク装置470には、上述した下位ルータ130Aにより実行される処理と同様の機能を発揮する障害検知プログラム471および障害検知用データ472が記憶されている。なお、この障害検知プログラム471を適宜分散させて、ネットワークを介して通信可能に接続された他のコンピュータの記憶部に記憶させておくこともできる。
【0081】
そして、CPU410が、障害検知プログラム471をハードディスク装置470から読み出してRAM460に展開することにより、図6に示すように、障害検知プログラム471は障害検知プロセス461として機能する。障害検知プロセス461は、ハードディスク装置470から読み出した障害検知用データ472等の各種データを適宜RAM460上の自身に割当てられた領域に展開し、この展開した各種データに基づいて各種処理を実行する。
【0082】
なお、障害検知プロセス461は、例えば、図2に示した下位ルータ130Aのパケット送受信部132Aと、インターフェース停止部133Aと、切替部134Aにて実行される処理に対応する。
【0083】
なお、障害検知プログラム471については、必ずしも最初からハードディスク装置470に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ400に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ400がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0084】
さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ400に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ400がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0085】
(3)障害検知方法
上記の実施例1で説明したActive系のスター型ネットワーク100に収容される下位ルータにより、例えば、以下のような変換方法が実現される。
【0086】
すなわち、運用系ネットワークに収容された通信機器は、運用系ネットワーク側に収容される他の通信機器の中から予め選定された特定の通信機器に対して、ネットワーク内の障害を検知するための障害検知パケットを送信するパケット送信ステップ(例えば、図5のステップS130参照)、パケット送信ステップにより送信された障害検知パケットに対応する応答が特定の通信機器から受信されなかった場合に、ネットワークインターフェースを停止するインターフェース停止ステップ(例えば、図5のステップS140,S150参照)、を含む障害検知方法が実現される。なお、運用系ネットワークは、実施例1で説明したActive系のスター型ネットワーク100に該当する。また、障害検知パケットは、実施例1で説明した「監視icmpパケット」に該当する。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明にかかる通信機器、障害検知方法、障害検知プログラム、通信システムおよび通信方法は、冗長ネットワークにおける障害検知に有用であり、特に、ネットワーク内の障害を検知するためのパケット数を低減し、通信品質を保持することに適している。
【符号の説明】
【0088】
10 (Active系)スター型ネットワーク
11 上位ルータ
12A〜12D 中間スイッチ
13A〜13D 下位ルータ
14A〜14D スイッチ
15A〜15D 端末
20 (Standby系)スター型ネットワーク
21 上位ルータ
22A〜22D 中間スイッチ
23A〜23D 下位ルータ
30〜32 HSRP
40 (Active系)ネットワーク
41 上位ルータ
42 HUB
43 下位ルータ
50 (Standby系)ネットワーク
51 上位ルータ
53 下位ルータ
60 スイッチ
70 端末
80 HSRP
100 (Active系)スター型ネットワーク
110 上位ルータ
120A〜120D 中間スイッチ
130A〜130D 下位ルータ
131A 障害検知パケット送信時参照テーブル
132A パケット送受信部
133A インターフェース停止部
134A 切替部
140A〜140D スイッチ
150A〜150D 端末
200 (Standby系)スター型ネットワーク
210 上位ルータ
220A〜220D 中間スイッチ
230A〜230D 下位ルータ
300 ケーブル
400 コンピュータ
410 CPU
420 入力装置
430 出力装置
440 媒体読取装置
450 ネットワークインターフェース装置
460 RAM
461 障害検知プロセス
470 ハードディスク装置
471 障害検知プログラム
472 障害検知用データ
480 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長化されたネットワークを構成する運用系ネットワーク側に収容される通信機器であって、
前記運用系ネットワーク側に収容される他の通信機器の中から予め選定された特定の通信機器に対して、ネットワーク内の障害を検知するための障害検知パケットを送信するパケット送信部と、
前記パケット送信部により送信された障害検知パケットに対応する応答が前記特定の通信機器から受信されなかった場合に、ネットワークインターフェースを停止するインターフェース停止部と
を有することを特徴とする通信機器。
【請求項2】
前記パケット送信部は、前記障害検知パケットの送信元および送信先となる通信機器の組み合わせが、前記運用系ネットワーク側に収容される通信機器内で重複しないように予め設定された特定の通信機器に対して該障害検知パケットを送信することを特徴とする請求項1に記載の通信機器。
【請求項3】
冗長化されたネットワークを構成するネットワーク系のうち運用系ネットワーク側に収容される通信機器に適用される障害検知方法であって、
前記運用系ネットワーク側に収容される他の通信機器の中から予め選定された特定の通信機器に対して、ネットワーク内の障害を検知するための障害検知パケットを送信するパケット送信ステップと、
前記パケット送信ステップにより送信された障害検知パケットに対応する応答が前記特定の通信機器から受信されなかった場合に、ネットワークインターフェースを停止するインターフェース停止ステップと
を含むことを特徴とする障害検知方法。
【請求項4】
前記パケット送信ステップは、前記障害検知パケットの送信元および送信先となる通信機器の組み合わせが、前記運用系ネットワーク側に収容される通信機器内で重複しないように予め設定された特定の通信機器に対して該障害検知パケットを送信することを特徴とする請求項3に記載の障害検知方法。
【請求項5】
冗長化されたネットワークを構成するネットワーク系のうち運用系ネットワーク側に収容される通信機器としてのコンピュータに実行させる障害検知プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記運用系ネットワーク側に収容される他の通信機器の中から予め選定された特定の通信機器に対して、ネットワーク内の障害を検知するための障害検知パケットを送信するパケット送信手順と、
前記パケット送信手順により送信された障害検知パケットに対応する応答が前記特定の通信機器から受信されなかった場合に、ネットワークインターフェースを停止するインターフェース停止手順と
を実行させることを特徴とする障害検知プログラム。
【請求項6】
前記パケット送信手順は、前記障害検知パケットの送信元および送信先となる通信機器の組み合わせが、前記運用系ネットワーク側に収容される通信機器内で重複しないように予め設定された特定の通信機器に対して該障害検知パケットを送信することを特徴とする請求項5に記載の障害検知プログラム。
【請求項7】
複数の通信機器が収容された運用系ネットワークと、該運用系ネットワーク内に障害が発生した場合に該運用系ネットワークをバックアップする待機系ネットワークとで冗長化されたネットワークを有する通信システムであって、
前記運用系ネットワークに収容された通信機器は、
前記運用系ネットワークに収容された他の通信機器の中から予め選定された特定の通信機器に対して、ネットワーク内の障害を検知するための障害検知パケットを送信するパケット送信部と、
前記パケット送信部により送信された障害検知パケットに対応する応答が前記特定の通信機器から受信されなかった場合に、ネットワークインターフェースを停止するインターフェース停止部と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項8】
前記パケット送信部は、前記障害検知パケットの送信元および送信先となる通信機器の組み合わせが、前記運用系ネットワーク側に収容される通信機器内で重複しないように予め設定された特定の通信機器に対して該障害検知パケットを送信することを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記インターフェース停止部によりインターフェースが停止された場合に、実動作の実行主体を待機系ネットワークに収容される通信機器に切り替える切替部をさらに有することを特徴とする請求項7または8に記載の通信システム。
【請求項10】
複数の通信機器が収容された運用系ネットワークと、該運用系ネットワーク内に障害が発生した場合に該運用系ネットワークをバックアップする待機系ネットワークとで冗長化されたネットワークを有する通信システムに適用される通信方法であって、
前記運用系ネットワークに収容された通信機器が、
前記運用系ネットワークに収容された他の通信機器の中から予め選定された特定の通信機器に対して、ネットワーク内の障害を検知するための障害検知パケットを送信し、
前記障害検知パケットに対応する応答が前記特定の通信機器から受信されなかった場合に、ネットワークインターフェースを停止する
ことを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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