説明

通信機

【課題】有効な非音声データが送受信中であることを表示する機能を備えた通信機を提供して、非音声データが送受信中であることを常時認識できるようにすること。
【解決手段】本発明にかかる通信機では、音声データフレームと非音声データフレームとを含む通信フレームを送信および/または受信することができる通信機において、所定の条件を満たす非音声データフレームを送信または受信すると報知する報知手段を備えている。さらに、前記報知手段は、非音声データフレームが所定の条件を満たす有効なデータ信号のみを含んでいるときに視覚的に認識可能な情報で報知するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声データフレームと非音声データフレームとを含む通信フレームを送信、受信、または送受信することができる通信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年においては、音声データフレームと非音声データフレームとを含む通信フレームを送信、受信、送受信、または同時に送受信することができる通信機においては、例えば、図2に示したように、音声データフレームc1,c2,c3,c4と非音声データフレームd1,d2,d3とが交互に配列されたパケットを通信するように構成されたものが提案されている。
なお、図2において、aはヘッダ部、bはデータ部、eはラストフレームを示している。前記ヘッダ部aはビット同期信号、フレーム同期信号、送り先中継局識別情報、送り元中継局識別情報、相手局識別情報、自局識別情報等を含んでいる。前記ラストフレームeは、パケットの最後の位置を示している。
この場合、音声データフレームc1,c2,c3,c4は、例えば、マイク等から入力された通話用の音声をデジタル信号に変換した固定長データである。
非音声データフレームd1,d2,d3は、例えば、小さな静止画データや、テキストデータ等からなる固定長データである。
【0003】
以上のような通信機の一例を図4に示した。
図において、
100は通信機、10は送受信部、20はデータ処理部、30は音声信号変換部、41はスピーカ、42はマイク、51は非音声データ入力部、52は非音声データ出力部、60は制御部、70はPTT(Press To Talk)スイッチである。
【0004】
前記送受信部10は、音声データ信号と非音声データ信号とからなる送信パケットおよび受信パケットを同時に送受信することができる。前記データ処理部20は、マイク42から入力された音声信号を音声信号変換部30にてデジタル信号に変換して構成した音声データフレームと、非音声データ入力部51から入力された非音声データ信号から構成した非音声データフレームとからなる送信パケットを生成して前記送受信部10へ出力する。前記データ処理部20は、また、前記送受信部10にて受信した受信パケットの音声データフレームから音声データを取り出して音声信号変換部30にてアナログ信号に変換してスピーカ41から音声出力する。また、前記受信パケットの非音声データフレームから非音声データを取り出して非音声データ出力部52から出力する。
前記非音声データ入力部51と非音声データ出力部52は、外部入出力端子90に接続される。前記通信機100は、外部入出力端子90を介して、パソコン、GPS等の外部機器と接続することで、これらの外部機器との間で非音声データのやりとりを行うことができるように構成されている。
そして、前記制御部60はPTTスイッチ70がオンされた場合、データ送信状態中であると認識して、データ送信状態表示部81に、データ送信中であることを表示させる。
また、前記制御部60は受信信号中に音声信号を認識した場合、データ受信状態中であると認識して、データ受信状態表示部82に、データ受信中であることを表示させる。
【0005】
以上の構成の通信機100において、
PTTスイッチ70を操作(オン)してマイク42に向かって音声を発すると、マイク42からの音声信号は音声信号変換部30にてデジタル信号に変換されて、データ処理部20において生成される送信パケットの音声データフレームを構成する。
このとき、前記マイク42からの音声信号の入力と並行して、前記非音声データ入力部51から静止画データ等が送信すべき非音声データ信号として入力されると、この非音声データ信号は、前記データ処理部20において生成される送信パケットの非音声データフレームを構成する。前記制御部60においては、前記音声データフレームと前記非音声データフレームとが交互に連続するようにデータフレームを作成して、前記送受信部10へ出力する。従って、実質的に非音声データが非音声データ入力部51から入力されていない場合であっても、制御部60は非音声データを含むデータフレームを作成する。
従って、実質的に非音声データが非音声データ入力部51から入力されていない場合であっても、制御部60は、非音声データフレームを含むデータフレームを作成する。このようにして作成されたデータフレームに含まれる非音声データフレームは形式的なものとなることがある。
前記データ送信状態表示部81、および前記データ受信状態表示部82においては、通信中の非音声データが有効な非音声データでなく形式的なものであっても表示されるので、本当に有効な非音声データが通信中である状態を、オペレータは直ぐには確認できない。
【0006】
次に、PTTスイッチ70を操作していない状態で、音声データが含まれている受信パケットを受信してスピーカ41から音声が出力されている場合に、その受信パケットの非音声データフレームに有効な非音声データが含まれている場合には、その非音声データは前記データ出力部52から出力される。このとき、有効な非音声データであるか否かは表示されないので、操作者は直ぐには気づかない。
また、受信パケットに含まれている音声データの前記スピーカ41からの出力と並行して、前記非音声データ入力部51から静止画データ等が送信すべき非音声データ信号として入力されると、この非音声データ信号は、前記データ処理部20において生成される送信パケットの非音声データフレームを構成し、この送信パケットは送受信部10から送信される。このとき、非音声データが有効なデータであるか否かは表示されないので、操作者は気づかない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなデータフレームの構成を採用して通信を行う場合、オペレータが音声データの送信が終了したと思っている場合であっても、パソコン等の外部機器から転送される有効な非音声データの送信が終了していない場合がある。
同様に、オペレータが音声データの受信が終了したと思っている場合であっても、送信元から送信される有効な非音声データの受信が終了していない場合がある。
従って、こちらからまだ送信されていないと思って再送信の操作をしようとしたり、相手からまだ受信していないと思って相手に再送信を要求しようとしたりする場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、所定の条件を満たす有効な非音声データが送受信中であることを表示する機能を備えた通信機を提供して、所定の条件を満たす有効な非音声データが送受信中であることを常時認識できるようにすることを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる請求項1の通信機では、
音声データフレームと非音声データフレームとを含む通信フレームを送信および/または受信することができる通信機において、
所定の条件を満たす非音声データフレームを送信または受信すると報知する報知手段を備えていることを特徴としている。
請求項2では、前記報知手段は、非音声データフレームが所定の条件を満たす有効なデータ信号のみを含んでいるときに報知するように構成されている。
請求項3では、前記報知手段は、視覚的に認識可能な情報で報知するように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1の通信機によれば、
所定の条件を満たす非音声データフレームを送信または受信すると報知する報知手段を備えているので、非音声データフレームを送信中または受信中であることが直ちに認識できる。
請求項2では、
前記報知手段は、非音声データフレームが所定の条件を満たす有効なデータ信号のみを含んでいるときに報知するように構成されているので、有効な非音声データのみを送信中または受信中であることが直ちに認識できる。即ち、フェージング等でエラーが発生しているときには報知されないので解りやすい。
請求項3では、
前記報知手段は、視覚的に認識可能な情報で報知するように構成されているので、音声の送受信中であっても、非音声データの送受信を明確に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる通信機を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
図1において、
1は通信機、11は送受信部、20はデータ処理部、30は音声信号変換部、41はスピーカ、42はマイク、51は非音声データ入力部、52は非音声データ出力部、61は制御部、70はPTT(Press To Talk)スイッチである。
81はデータ送信状態表示部、82はデータ受信状態表示部、83は受信中表示部である。前記制御部60はPTTスイッチ70がオンされた場合、データ送信状態中であると認識して、データ送信状態表示部81に、データ送信中であることを表示させる。
また、前記制御部60は受信信号中に音声信号を認識した場合、データ受信状態中であると認識して、データ受信状態表示部82に、データ受信中であることを表示させる。
83は有効データ受信状態表示部であり、受信したデータフレームに含まれる非音声データフレームに実質的に有効なデータが書き込まれている場合、その旨を表示する。
84は有効データ送信状態表示部であり、送信するデータフレームに含まれる非音声データフレームに実質的に有効なデータが書き込まれている場合、その旨を表示する。
前記有効データ受信状態表示部83、および前記データ送信状態表示部84は、視覚的な表示を行うように構成されている。例えば、LED等の表示灯を点灯させたり、ディスプレイ画面上へ文字や図形を表示する。
62は入力部であり、送信するデータフレームもしくは受信したデータフレームに含まれている非音声データフレームが実質的に有効なデータであるか否かを識別するために、満足すべき所定の条件の設定を行う。例えば、外部入出力端子90に外部機器が接続されていない場合には、非音声データフレームには実質的に有効な非音声データが書き込まれていないと判断するように設定することができる。
以上の構成のうち、送受信部11、制御部61、入力部62、有効データ受信状態表示部83、およびデータ送信状態表示部84以外は従来例の構成と同様であるので、従来例と同じ番号を付して、その説明を省略した。
【0012】
図1において、
前記送受信部11は、送信パケットもしくは受信パケットに、有効な非音声データが含まれているか否かを検出する機能を備えている点が、従来例の送受信部10と異なっている。
図3に示したように、
前記送受信部11はデータ処理部20にて生成された送信パケットを取り出して(ステップS1)、非音声データフレームが含まれているか否かを検査する(ステップS2)。非音声データフレームが含まれている場合には、その非音声データフレームから非音声データを取り出す。そして、取り出した非音声データが有効な非音声データであるか否かを検査して(ステップS3)、有効な非音声データである場合には、非音声データ送信中信号を出力する(ステップS4)ように構成されている。
また、前記送受信部11は受信した受信パケットを取り出して(ステップS1)、非音声データフレームが含まれているか否かを検査する(ステップS2)。非音声データフレームが含まれている場合には、その非音声データフレームから非音声データを取り出す。そして、取り出した非音声データが有効な非音声データであるか否かを検査して(ステップS3)、有効な非音声データである場合には、非音声データ受信中信号を出力する(ステップS4)ように構成されている。
【0013】
以上の構成の通信機1において、音声信号を送信中の動作を説明する。
PTTスイッチ70を操作してマイク42に向かって音声を発すると、データ処理部20においては、前記音声データに基づいた音声データフレームが生成される。
このとき、前記データ入力部51から静止画データ等が送信すべき非音声データ信号として入力されると、前記データ処理部20においては、前記非音声データに基づいた非音声データフレームが生成され、前記音声データフレームと合わせて送信パケットが生成される。このようにして生成された送信パケットは前記送受信部11から出力される。このとき、前記送受信部11は前記送信パケットから非音声データフレームを取り出し、有効な非音声データが含まれているか否かを検査する。なお、非音声データフレームは送信パケットからではなく、前記データ処理部20にて生成された非音声データフレームを直接取り出してもよい。
有効な非音声データが含まれている場合には、非音声データ送信中信号を、前記有効データ送信状態表示部84へ出力して、この有効データ送信状態表示部84において視覚的に認識可能な情報を表示する。
【0014】
または、このとき、前記マイク42からの音声信号を送信中に、並行して受信している場合には、前記送受信部11は受信した受信パケットから取り出した非音声データフレームを検査し、有効な非音声データが含まれているか否かを検査する。そして、有効な非音声データが含まれている場合には、非音声データ受信中信号を、前記有効データ受信状態表示部83へ出力し、この有効データ受信状態表示部83において視覚的に認識可能な情報を表示する。
【0015】
次に、音声信号を送信していない場合の動作を説明する。
PTTスイッチ70を操作していない状態で受信中の場合に、前記送受信部11は受信パケットから非音声データフレームを取り出し、有効な非音声データが含まれているか否かを検査する。有効な非音声データが含まれている場合には、非音声データ受信中信号を、前記有効データ受信状態表示部83へ出力し、この有効データ受信状態表示部83において視覚的に認識可能な情報を表示する。
【0016】
または、受信と並行して非音声データを送信している場合には、前記送受信部11は、送信パケットから取り出した非音声データフレームを検査し、有効な非音声データが含まれているか否かを検査する。そして、有効な非音声データが含まれている場合には、非音声データ送信中信号を、前記有効データ送信状態表示部84へ出力し、この有効データ送信状態表示部84において視覚的に認識可能な情報を表示する。
【0017】
このようにして、送信パケットもしくは受信パケットの何れが一方にでも有効な非音声データが含まれている場合には、有効データ受信状態表示部83もしくは有効データ送信状態表示部84において視覚的に認識可能な情報を表示するので、有効な非音声データの送信中もしくは受信中であることを直ちに認識することができる。
【実施例1】
【0018】
本実施例の通信機においては、送信パケットもしくは受信パケットのデータヘッダdに含まれるパケット情報としては、インターネットとの親和性に鑑みてIPヘッダやTCPヘッダに準じた形式を採用した。また、前記送受信部11における変調/復調形式は音声データも非音声データも占有周波数帯幅の狭いGMSK方式を採用した。また、前記送受信部11から出力される非音声データ送信中信号、および非音声データ受信中信号はLAN経由で、別のコンピュータでも表示できるように構成するとよい。
なお、前記送受信部11における変調/復調形式はGMSK方式に限らず、平衡変調方式やリアクタンス変調方式を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の通信機は、アマチュア無線を始め、種々の無線通信分野に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明にかかる通信機の実施の形態の構成を示した構成図である。
【図2】本発明の実施形態で採用したパケット構成の説明図である。
【図3】本発明の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図4】従来例の通信機の構成図である。
【符号の説明】
【0021】
1 通信機
11 送受信部
20 データ処理部
30 音声信号変換部
41 スピーカ
42 マイク
51 非音声データ入力部
52 非音声データ出力部
61 制御部
62 入力部
70 PTTスイッチ
81 データ送信状態表示部
82 データ受信状態表示部
83 有効データ受信状態表示部
84 有効データ送信状態表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声データフレームと非音声データフレームとを含む通信フレームを送信および/または受信することができる通信機において、
所定の条件を満たす非音声データフレームを送信または受信すると報知する報知手段を備えていることを特徴とする通信機。
【請求項2】
前記報知手段は、非音声データフレームが有効なデータ信号のみを含んでいるときに報知するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の通信機。
【請求項3】
前記報知手段は、視覚的に認識可能な情報で報知するように構成されていることを特徴とする請求項1、2の何れか1項に記載の通信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−157608(P2006−157608A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346545(P2004−346545)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】