説明

通信端末、コンテンツ再生方法、プログラム、コンテンツ再生システム及びサーバ

【課題】ネットワーク経由のビデオコンテンツ配信において、ストレスの少ない安定したコンテンツ視聴を実現する。
【解決手段】ビデオコンテンツを有するサーバ100との間でデータの送受信を行う通信処理部210と、ビデオコンテンツ内の異なる時刻位置から抽出された複数の部分ストリームを、複数の非同期ストリームとして蓄積する非同期ストリーム蓄積部222を備える。また、非同期ストリーム又は差分の同期ストリームを復号する復号部225と、復号されたストリームを表示する表示部228上で再生される非同期ストリームの種類を変更する指示が入力される操作入力部241とを備える。そして、表示部228上でストリームが再生されている最中に、再生時刻位置前後の時刻位置情報を有する非同期ストリーム又は同期ストリームを取得して、表示部228に表示させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末、コンテンツ再生方法、プログラム、コンテンツ再生システム及びサーバに関し、特に、ビデオコンテンツの配信及び再生を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のモバイルNW(ネットワーク)の高速化・大容量化と、家庭内のHDD(Hard Disc Drive)レコーダの大容量化により、キーワードや嗜好情報等に基づき自動で録画さ
れたビデオコンテンツを、時間や場所に関係なく視聴できるサービスが現実のものとなりつつある。また、ポッドキャスト(登録商標)による視聴やPSP(PlayStation Portable;登録商標)、HDD搭載のポータブルプレーヤーを利用した視聴など、モバイルNW
を介したビデオ視聴環境が整いつつある。ここで、モバイルNWを介したビデオコンテンツの視聴形態を想定すると、ストリーミング方式もしくはダウンロード方式によりビデオ視聴を実現することが考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、コンテンツの一部を携帯端末に事前に配信しておき、携帯端末がコンテンツを再生する際にサーバにコンテンツの残り部分を要求することが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、ユーザ端末が、個別チャネルにおいて番組コンテンツの一部を受信して再生し、特定された放送チャネルからの番組が放送されると、番組コンテンツを受信して蓄積し、個別チャネルでの情報の再生が終了したら、蓄積されている放送チャネルの番組を再生することが記載されている。さらに、先頭から順に複数の等しいデータサイズのセグメントに分割して番号を付与し、ユーザ端末では、個別チャネルで配信されたデータをストリーミング再生すると共に、放送チャネルで放送されている1周期分のセグメントをセグメント単位でダウンロードし、セグメントの再生終了直後に、セングメント再生中にダウンロードしたセグメントの再生を番号順に行なう動作を、全ての番組コンテンツの再生が終了するまで繰り返すことが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、コンテンツ配信サーバが、内部再生リストをユーザ端末に送り、受信機器にクライアントアプリケーションによって最初にビューされる分割ファイルを最初に送り、その後、他の分割ファイルを順次送ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−184472号公報
【特許文献2】特開2003−046984号公報
【特許文献3】特開2003−288290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、動的に変化する無線状況に起因する、伝送速度の低下や遅延時間の増大により、コンテンツのブラウジング操作や再生装置の操作等、ストレスの少ない安定したビデオ視聴を実現することは困難である。一方で、USB(Universal Serial Bus)や近距離無線等を用いたコンテンツダウンロードや、モバイルNWを用いた深夜時間帯のコンテンツダウンロードにより、全てのビデオコンテンツをモバイル端末に事前蓄積することも想定される。しかし、今後のコンテンツの多様化や大容量化を考慮す
ると現実的な方法とは言い難い。
【0008】
上記特許文献1〜3には、コンテンツの一部を配信し、その後にコンテンツの残り部分を配信する構成が記載されているものの、コンテンツの分割部分ごとに配信をスキップできないなど、ストレスの少ない安定したコンテンツ視聴を実現できるものではなかった。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ネットワーク経由のビデオコンテンツ配信において、ストレスの少ない安定したコンテンツ視聴を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の通信端末は、ビデオコンテンツを有するサーバとの間でデータの送受信を行う通信処理部と、通信処理部を通して受信した、ビデオコンテンツ内の異なる時刻位置から抽出された複数の部分ストリーム(非同期ストリーム)を蓄積する非同期ストリーム蓄積部を備える。また、非同期ストリーム又は、サーバからストリーミング配信されるストリーム(同期ストリーム)を復号する復号部と、復号部で復号された非同期ストリーム又は同期ストリームを表示する表示部上で再生される、非同期ストリームの種類を変更する指示が入力される操作入力部とを備える。そして、表示部上で非同期ストリーム又は同期ストリームが再生されている最中に、表示部で再生中の非同期ストリーム又は同期ストリームの再生時刻位置より前後の時刻位置情報を有する非同期ストリーム又は同期ストリームを取得して、取得した非同期ストリーム又は同期ストリームを、再生の終了後に表示部に表示させる制御を行う制御部とを備える構成とした。
【0011】
また本発明のコンテンツ再生方法及びプログラムは、サーバから受信した、サーバ内のビデオコンテンツ内の異なる時刻位置から抽出された複数の部分ストリーム(非同期ストリーム)を蓄積するステップと、非同期ストリーム又は、サーバからストリーミング配信されるストリーム(同期ストリーム)を復号するステップとを含む。さらに、復号された非同期ストリーム又は同期ストリームを表示するステップと、表示部上で再生される非同期ストリームの種類を変更する指示の、入力を受け付けるステップとを含む。そして、表示部上で非同期ストリーム又は同期ストリームが再生されている最中に、表示部で再生中の非同期ストリーム又は同期ストリームの再生時刻位置前後の時刻位置情報を有する非同期ストリーム又は同期ストリームを取得して、取得した非同期ストリーム又は同期ストリームを、再生の終了後に表示部に表示させる制御を行うステップとを含むものである。
【0012】
また本発明のコンテンツ再生システムは、サーバと通信端末とで構成される。サーバは、ビデオコンテンツを蓄積する記憶部と、記憶部に蓄積されたビデオコンテンツ中の異なる時刻位置から複数の部分ストリームを抽出して複数の非同期ストリームを生成する非同期ストリーム生成部と、非同期ストリーム生成部で生成された複数の非同期ストリーム又は、非同期ストリームとして抽出されていないストリーム(同期ストリーム)を通信端末に送信する第1の通信処理部とを備える構成とした。通信端末は、サーバとの間でデータの送受信を行う第2の通信処理部と、第2の通信処理部を通して受信した複数の非同期ストリームを蓄積する非同期ストリーム蓄積部と、非同期ストリーム又は、サーバから送信される同期ストリームを復号する復号部と、復号部で復号された非同期ストリーム又は同期ストリームを表示する表示部上で再生される、非同期ストリームの種類を変更する指示が入力される操作入力部とを備える構成とした。その上で、表示部上で非同期ストリーム又は同期ストリームが再生されている最中に、表示部で再生中の非同期ストリーム又は同期ストリームの再生時刻位置前後の時刻位置情報を有する非同期ストリーム又は同期ストリームを取得して、取得した非同期ストリーム又は同期ストリームを、再生の終了後に表示部に表示させる制御を行うようにした。
【0013】
これらの本発明によると、ビデオコンテンツ中の異なる時刻位置から抽出された複数の非同期ストリーム又は同期ストリームが表示部上で再生される。そして、操作入力部を通して入力されるユーザからの指示に基づいて、表示部で再生される非同期ストリームの種類が変更される。その上で、このような指示に基づいて変化する再生映像中の再生時刻位置に応じて、再生時刻位置前後の時刻位置情報を有する非同期ストリーム又は同期ストリームが取得されて、再生されるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、取得された複数の非同期ストリームを用いたビデオコンテンツのザッピング視聴が可能となる。そして、非同期ストリームの種類を変える操作がユーザより入力された場合にも、蓄積された非同期ストリームを利用し、ネットワーク越しの同期ストリームへの接続が行われない。これにより、ユーザによるストレスの少ない安定したコンテンツ視聴が実現されるようになる。
【0015】
また本発明によれば、ストリームの再生中、つまり視聴中に、再生時刻位置前後の時刻位置情報を有する非同期ストリーム又は同期ストリームが取得される。これにより、ユーザにより視聴されているストリームを起点として、それより後に存在するストリームが取得されるようになる。すなわちユーザは、好みのシーンを選択することができ、かつその先の映像を続けて視聴することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるシステムの構成例を示す概要図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるシステムの概要を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態によるビデオコンテンツ選択画面の構成例を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による非同期ストリームの表示例を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態によるシステムの内部構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態による非同期ストリーム取得時の画面構成例を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態によるシナリオファイルの記述例を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態による非同期ストリームの構成例を示す説明図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態による非同期ストリームの取得処理の例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施の変形例(1)によるシステムの概要例を示す説明図である。
【図11】本発明の第1の実施の変形例(1)による非同期ストリーム取得処理の例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施の変形例(1)による同期ストリーム取得処理の例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1の実施の変形例(2)によるシナリオファイルの記述例を示す説明図である。
【図14】本発明の第1の実施の変形例(2)による非同期ストリームの階層構造の例を示す説明図である。
【図15】本発明の第1の実施の変形例(2)による非同期ストリームの階層構造の例を示す説明図である。
【図16】本発明の第1の実施の変形例(2)による非同期ストリーム及び同期ストリームの取得処理の例を示す説明図である。
【図17】本発明の第1の実施の変形例(2)による非同期ストリーム又は同期ストリームの画面での表示例を示す説明図である。
【図18】本発明の第1の実施の変形例(3)によるシステムの概要例を示す説明図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態によるシステムの内部構成例を示すブロック図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態による非同期ストリームの蓄積処理の例を示すフローチャートである。
【図21】本発明の第3の実施の形態によるシステムの内部構成例を示すブロック図である。
【図22】本発明の第4の実施の形態によるシステムの内部構成例を示すブロック図である。
【図23】本発明の第5の実施の形態によるシステムの概要例を示す説明図である。
【図24】本発明の第6の実施の形態によるシステムの概要例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。本実施の形態は、以下の順序で説明する。
1.第1の実施の形態[非同期ストリームをサーバ側で生成する構成の例]
1−1.基本構成例(非同期ストリームを事前に端末側に蓄積する構成の例)
1−2.変形例(1)(非同期ストリームを、視聴中に動的に取得する構成の例)
1−3.変形例(2)(非同期ストリームを選択的(段階的)に取得できるようにする構成例)
1−4.変形例(3)(シーン検出の技術やメディア要約技術を用いて、シナリオファイルを作成する構成の例)
2.第2の実施の形態[非同期ストリームをクライアント側で生成する構成の例]
3.第3の実施の形態[放送局が非同期ストリームの生成及び送信と、同期ストリームの送信を行う構成の例]
4.第4の実施の形態[放送局は通常のストリーミング配信を行い、端末が非同期ストリームを生成し、サーバが同期ストリームの送信を行う構成の例]
5.第5の実施の形態[アフィリエイトを実現するシステムに適用した場合の例]
6.第6の実施の形態[監視システムに適用した場合の例]
【0018】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.基本構成例>
[システムの概要]
本実施の形態では、本発明のサーバを、自動番組録画機能を有するハードディスクレコーダ(以下、単にレコーダと称する)に適用し、本発明の通信端末を、携帯電話端末に適用している。本例におけるレコーダは、例えばRTSP(Real-Time Streaming Protocol)等のリアルタイム配信用のプロトコルに準拠しているものとする。また、レコーダ内に蓄積されているコンテンツデータは、MPEG−4 SPやH.263,H.264ビデオ
符号化方式と、MPEG−4 AACオーディオ符号化方式等により符号化されているも
のとする。そして、本実施の形態は、番組(ビデオ)コンテンツ内の異なる時刻位置から抽出された複数の部分ストリームを予めレコーダ内に生成・蓄積しておき、それらを、番組の視聴に先立って携帯電話端末にダウンロードしておくことを行うものである。
【0019】
図1は、システムの概要を説明する図である。図1の左側には家庭内の空間を示してあり、右側には学校や会社、電車内等の携帯電話通信網を利用可能なモバイル環境を示してある。家庭内には、複数のビデオコンテンツが記録されたレコーダ100があり、録画時
等のタイミングで、各ビデオコンテンツ内の複数の部分ストリームを自動的に生成し、装置内に蓄積する機能を有する。部分ストリームは、MP4等のフォーマットに従って生成されるものとする。
【0020】
そしてレコーダ100内に蓄積された複数の部分ストリームを、ユーザの外出前の就寝中等のタイミングで携帯電話端末200に転送しておく。つまり、この場合の部分ストリームは、オリジナルのビデオコンテンツの再生時刻とは異なる(非同期の)タイミングで、携帯電話端末200に取得されるようになる。以降の説明では、このような形態で携帯電話端末200内に事前に蓄積される部分ストリームを、非同期ストリームと称する。
【0021】
モバイル環境においては、ユーザによる操作に基づいて、事前に蓄積しておいた複数の非同期ストリームが携帯電話端末200上で再生される。そして、再生された非同期ストリームの中から、任意の非同期ストリームがユーザにより選択される。つまりユーザは、様々な非同期ストリームをザッピングの要領で視聴することにより、続きを視聴したい好きなシーン(再生位置)を選択する。視聴したい再生位置が決定された後は、携帯電話端末200に蓄積されていない差分のストリーム(以下、同期ストリームと称する)が、家庭内のレコーダ100から図2の携帯電話通信網2を介して伝送される。これによりユーザは、見たいビデオコンテンツを、好きなシーン(場面)から視聴することができるようになる。
【0022】
なお、図1では、非同期ストリームのダウンロードを家庭内で行う場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、店舗等の他の場所でダウンロードを行うようにしてもよい。
【0023】
次に、非同期ストリームと同期ストリームとの関係について、図2を参照して説明する。図2において、図1と対応する箇所には同一の符号を付してある。図2においては、上段が家庭内の空間を示し、下段がモバイル環境を示す。家庭内にあるレコーダ100は、ビデオコンテンツVが記録された記憶部101を有する。
【0024】
図2に示した例では、ビデオコンテンツVは、ストリームSt1からストリームSt11までの各ストリームで構成されている。そして、そのうちのストリームSt1、ストリームSt4、ストリームSt6、ストリームSt10の4つのストリームが、非同期ストリームDw1〜非同期ストリームDw4として記憶部101に蓄積されている。非同期ストリームDw1〜非同期ストリームDw4は、それぞれが例えば30秒等の一定の時間長を有しているものとする。なお、以下の説明において、非同期ストリームDw1〜非同期ストリームDw4を個別に区別して説明する必要がない場合には、単に非同期ストリームDwとして説明する。
【0025】
各非同期ストリームDwが有する時刻位置や時間長は、固定的に所定の値に設定してもよく、ビデオコンテンツVの内容に応じて変更するようにしてもよい。例えば、固定的に設定する場合であれば、ビデオコンテンツVの5分毎に1分間分を非同期ストリームとして抽出するようにする。また、各非同期ストリームDwの時刻位置や時間長をビデオコンテンツVの内容に応じて決定する場合には、例えば歌番組であれば4分おきに1分間、ニュースであれば2〜3分おきに1分間、ドラマであれば5〜10分おきに1〜5分等のように設定するようにする。
【0026】
ユーザは、外出前等のタイミングで、外出先のモバイル環境で視聴したいビデオコンテンツVを選択し、そのビデオコンテンツVから生成された非同期ストリームDw1〜非同期ストリームDw4を、家庭内通信網1を介して予め携帯電話端末200にダウンロードしておく。ここでいう家庭内通信網1とは、IEEE802.11xやBluetoot
h(登録商標)等の近距離無線通信や、有線のUSBケーブルを用いた通信等を指す。
【0027】
非同期ストリームDwをダウンロードする対象のビデオコンテンツV、つまり視聴したいビデオコンテンツVの選択は、図3A〜図3Cに示したようなユーザインタフェース(以下、UIと称する)を介して行う。図3Aには、画面の左側に様々な種類のビデオコンテンツVがサムネイル表示されており、各サムネイル表示領域の右側に、各ビデオコンテンツVの名称や再生時間情報等の属性情報が表示されている。
【0028】
図3Bに示した例では、画面上に横2列縦4行のサムネイル表示領域を設けてあり、ユーザによって選択されたビデオコンテンツVに関する属性情報のみを、“○○○ Total News”のように表示している。
【0029】
図3Cに示した例では、“News(ニュース)”や“Drama(ドラマ)”等、ビデオコン
テンツVのカテゴリ毎に、複数のサムネイル映像を重ねて表示している。このようなUIを通して、ユーザは視聴したいビデオコンテンツVを選択する。
【0030】
図2に戻って説明を続けると、モバイル環境においては、ユーザはまず、携帯電話端末200に蓄積された非同期ストリームDw1を読み出して再生する。そして、読み出した非同期ストリームDw1の次の非同期ストリームDw2をスキップ表示したり、その先の非同期ストリームDw4にジャンプする等の操作を行うことにより、ユーザは見たい場面を検索する。
【0031】
このように、ユーザによってスキップやジャンプの操作が行われている間、携帯電話端末200では、ユーザにより選択された再生時刻位置から、随時ストリームの再生が行われる。再生のタイムライン上において、読み出すべき非同期ストリームDwが携帯電話端末200内に存在しない場合には、その再生位置に存在すべきストリームが家庭内のレコーダ100から読み出される。そして、読み出された差分のストリーム(同期ストリーム)が、携帯電話通信網2を通して携帯電話端末200に伝送(ストリーミング)される。
【0032】
次に、図4を参照して、携帯電話端末200における非同期ストリームDw1の画面表示例について説明する。図4に示す携帯電話端末200は、液晶パネル等よりなる表示部228と、ボタン等よりなる操作入力部241を備える。図4Aに示した携帯電話端末200の表示部228の画面には、非同期ストリームDw1が表示されており、その下方には、再生ボタンや早送り/巻き戻しボタンを含むソフトキーSkが表示されている。ユーザは、ボタンやソフトキーSkを操作することにより、再生時刻より未来の時刻位置に相当する非同期ストリームへ、次々にスキップしながら再生することができる。
【0033】
また、図4Bに示すように、表示部228の下方に非同期ストリームDwをリスト表示するようにすれば、任意の時刻位置へのジャンプ操作も行うことができる。図4Bに示す携帯電話端末200は、表示部228の画面上で非同期ストリームDw1が再生されており、それと同時に、その下方に非同期ストリームDw2、非同期ストリームDw3、非同期ストリームDw4がリストとして表示されている。このような表示形態とすれば、ユーザは、ビデオコンテンツVの特定の場面を視聴しながら、他の場面の映像もリスト上で確認することができる。そして、リスト上の任意の場面を選択することで、選択した場面に高速にジャンプできる。
【0034】
他の場面の映像のリスト表示は、図4Bに示すように映像で表示するのではなく、図4Cに示すようにバーで表示するようにしてもよい。図4Cに示す画面には、非同期ストリームDw1が表示されており、その右側と左側には、非同期ストリームDw1の時刻位置と時間的に隣接する非同期ストリームDw0と非同期ストリームDw2の、端部の映像が
表示されている。バーBrは、これらの表示位置に対応させて設けてあり、画面の左から順にバーBra、バーBrb、バーBrcが配置されている。これらのバーBrの中から任意のものを選択することにより、ユーザは、現在視聴中の場面の再生時刻位置とは異なる、任意の時刻位置へのジャンプが可能となる。
【0035】
[システムの内部構成例]
次に、本実施の形態によるシステムの内部構成例について、図5を参照して説明する。図5は、図1と図2に示したレコーダ100及び携帯電話端末200の内部構成を示すブロック図である。まず、レコーダ100の構成から先に説明する。レコーダ100は、ビデオコンテンツVが記憶された記憶部101と、ビデオコンテンツVに関する属性情報を生成するメタデータ生成部102と、シナリオファイル生成部103と、非同期ストリーム生成部104とを備える。
【0036】
シナリオファイル生成部103は、メタデータ生成部102で生成されたメタデータに基づいて、複数の非同期ストリームDwの各時刻位置を決定する。そして、決定した各非同期ストリームDwの時刻位置情報を、シナリオデータとしてシナリオファイルに記述する。シナリオファイル生成部103は、生成したシナリオファイルを、非同期ストリーム生成部104と同期ストリーム生成部105と、通信処理部120内のシナリオファイル送信部121に伝送する。シナリオファイル送信部121は、シナリオファイル生成部103より供給されたシナリオファイルを、アンテナ130を介して携帯電話端末200に送信する。
【0037】
非同期ストリーム生成部104は、シナリオファイル生成部103から供給されるシナリオファイルに記載された内容に基づいて、記憶部101よりビデオコンテンツVを部分的に取得し、複数の非同期ストリームDwを生成し、蓄積する。そして、携帯電話端末200から非同期ストリームDwの配信要求が送られたタイミングで、蓄積しておいた非同期ストリームDwを、通信処理部120内の非同期ストリーム生成部104に出力する。
【0038】
非同期ストリーム送信部122は、レコーダ100内の各部を制御する制御部110による制御に基づいて、非同期ストリーム生成部104から供給された非同期ストリームDwを、アンテナ130を介して携帯電話端末200に送信する。
【0039】
通信処理部120には、携帯電話端末200から送信される配信要求を受信して、受信した配信要求を制御部110に供給する配信要求受信部124も含まれる。制御部110は、配信要求受信部124から配信要求が入力されると、配信要求に含まれる時刻情報(オリジナルストリーム内の位置を示す情報)に基づいて、同期ストリームの生成を指示する制御信号を生成する。オリジナルストーム内の時刻情報が、例えば図7の上から7行目のoffset=”000”, begin=”0”, dur=”20”である場合は、携帯電話端末200からは
、次の同期ストリームが全体の中の“20”から始まることが記された配信要求が送信される。制御部110は、このような配信要求に基づいて生成した制御信号を、同期ストリーム生成部105に供給する。
【0040】
同期ストリーム生成部105は、シナリオファイル生成部103から供給されるシナリオファイルに記載された内容と、制御部110から供給される制御信号に基づいて、非同期ストリームとして抽出されていない差分のストリームを記憶部101から読み出す。そして、読み出した差分ストリームを、同期ストリームとして同期ストリーム送信部123に出力する。同期ストリーム送信部123は、同期ストリームを、アンテナ130を通して携帯電話端末200に送信する。なお、本例では同期ストリームを要求の受け付け毎に都度生成する構成としてあるが、予め生成・蓄積しておくようにしてもよい。
【0041】
次に、同じく図5を参照して、携帯電話端末200の内部構成について説明する。携帯電話端末200は、レコーダ100との間でデータの送受信を行う通信処理部210を備え、通信処理部210には、シナリオファイル受信部211と、非同期ストリーム制御部212と、非同期ストリーム受信部213と、同期ストリーム受信部214と、配信要求部215とが含まれる。
【0042】
シナリオファイル受信部211は、レコーダ100から送信されたシナリオファイルを受信し、受信したシナリオファイルをシナリオファイル解析部221に供給する。シナリオファイル解析部221は、入力されたシナリオファイルを解析し、解析結果を制御部240へ供給する。
【0043】
制御部240は、解析結果に基づいて、レコーダ100より非同期ストリームDwを取得し、後述する非同期ストリーム蓄積部222に蓄積するための制御を行う。また制御部240は、レコーダ100より同期ストリームを取得して、後述する同期ストリームバッファ229に出力させる制御も行う。非同期ストリーム又は同期ストリームを取得するためには、それらを受信するためのセッションをレコーダ100との間で開始する必要がある。以下の説明においては、同期ストリームを取得するセッションのことを「同期ストリームセッション」と称し、非同期ストリームDwを取得するセッションのことは「非同期ストリームセッション」と称する。
【0044】
制御部240は、非同期ストリームセッションを開始させる場合には、非同期ストリーム制御部212に対して非同期ストリームDwの取得指示を行い、同期ストリームセッションを開始させる場合には、配信要求部215に対して同期ストリームの取得指示を行う。このとき制御部240は、携帯電話通信網2の状況に応じて、同期ストリームセッションの開始タイミングを柔軟に制御することも行う。同期ストリームセッションの開始タイミングの制御処理については後述する。
【0045】
非同期ストリーム制御部212は、制御部240より非同期ストリームDwの取得開始指示が入力された場合は、レコーダ100に対する非同期ストリームDwの送信指示を生成し、アンテナ201を介してレコーダ100に送信する。
【0046】
本例では、非同期ストリームの取得指示は、操作入力部241を通してユーザより入力される操作に基づいて行われる。そして、ユーザによる指示に従って、制御部240が非同期ストリームDwの取得開始指示を生成する。図6に、非同期ストリームの取得指示画面(UI)の構成例を示してある。図6は、表示部228上に表示された画面を示しており、画面下方に“Sync Start”ボタンBn1と“close or cancel”ボタンBn2とが配
置されている。そしてその上方に、レコーダ100から受信した非同期ストリームDwの情報を示す領域がある。
【0047】
制御部240は、ユーザよりSync StartボタンBn1の押下を受け付けた場合に、非同期ストリームDwの取得開始指示を生成し、生成した非同期ストリームDwの取得開始指示と、シナリオファイルに含まれる非同期ストリームDwの時刻位置情報とを、非同期ストリーム制御部212に通知する。そして、非同期ストリーム受信部213より、レコーダ100から送信された非同期ストリームDwが入力される。図6の上方の領域には、このようにして取得された非同期ストリームDwの属性情報として、ビデオコンテンツVのタイトルや再生時間情報が示されている。ビデオコンテンツVのタイトルは“AAAA”や“BBBB”等のように表示され、その右の行に、非同期ストリームDwの取得(ダウンロード)の進捗情報が、“OK”や“Waiting”又は進捗を示すバーによって表示されている。
【0048】
図5に戻って説明を続けると、非同期ストリーム受信部213は、レコーダ100から送信された非同期ストリームDwを受信すると、受信した非同期ストリームDwを、非同期ストリーム蓄積部222に蓄積する。非同期ストリーム蓄積部222は、後段の非同期ストリーム取得部223より非同期ストリームの読み出し指示が入力されるまでの間、非同期ストリームを保持する。
【0049】
非同期ストリーム取得部223は、非同期ストリーム蓄積部222から非同期ストリームDwを読み出す。非同期ストリーム取得部223は、非同期ストリームDwを読み出した後は、読み出した非同期ストリームDwに付与されているタイムスタンプを、携帯電話端末200内で使用する統一のタイムスタンプに付け替える処理を行う。統一のタイムスタンプの割り当ては、非同期ストリームのパケット単位で行われる。
【0050】
非同期ストリーム取得部223は、統一タイムスタンプがマッピングされた非同期ストリームDwの各パケットに対して、そのパケットが「非同期ストリーム」であることを示すフラグを付加して、復号用バッファ224に出力する。
【0051】
配信要求部215は、同期ストリームの取得開始指示を制御部240から受信した場合に、同期ストリームの送信指示を生成して、アンテナ201を通してレコーダ100に送信する。
【0052】
同期ストリーム受信部214は、レコーダ100から送信された同期ストリームを受信すると、受信した同期ストリームを同期ストリームバッファ229に蓄積する。同期ストリームバッファ229は、後段の同期ストリーム取得部230より同期ストリームの読み出し指示が入力されるまでの間、同期ストリームを保持する。
【0053】
同期ストリーム取得部230は、制御部240による制御に基づいて、同期ストリームバッファ229から同期ストリームを読み出す。そして、読み出した同期ストリームに付与されているタイムスタンプを、前述した統一のタイムスタンプにマッピングする処理を行う。具体的には、各同期ストリームセッションの開始後の第1パケット中のタイムスタンプを取得し、そこからの経過時間に基づいてシナリオファイル内の当該セッションの開始時刻をオフセット値として付与することを行う。同期ストリームのパケットには、ビデオコンテンツ内の絶対的な時刻情報を記載したタイムスタンプが付与されていないためである。
【0054】
また同期ストリーム取得部230は、共通タイムスタンプがマッピングされた同期ストリームの各パケットに対して、そのパケットが「同期ストリーム」であることを示すフラグを付加して、復号用バッファ224に出力する。
【0055】
復号用バッファ224は、非同期ストリーム取得部223から出力された非同期ストリームや同期ストリーム取得部230から出力された同期ストリーム(いずれも符号化データ)を一時的に蓄積する。
【0056】
復号部225は、復号用バッファ224内に蓄積された符号化データを読み出して復号し、復号したデータを復号後ストリームバッファ226に出力する。復号後ストリームバッファ226は、復号部225で復号された復号データ、すなわち復号後の非同期ストリームDwと同期ストリームを一時的に保持する。
【0057】
再生制御部227は、復号後ストリームバッファ226に蓄積された非同期ストリームDwと同期ストリームを読み出して、表示部228上で再生させるための制御を行う。具体的には、復号後ストリームバッファ226から各ストリームを抜き出す時刻と、抜き出
された非同期ストリームDw又は同期ストリームに付与された統一タイムスタンプと、携帯電話端末200内のシステムクロックとを用いて、表示部228での再生開始時刻とシステムクロックとを同期させる制御を行う。
【0058】
表示部228は、再生制御部227で同期制御された非同期ストリームDw又は同期ストリームを表示する。
【0059】
(同期ストリームセッションの開始タイミング制御の詳細)
次に、制御部240による同期ストリームセッションの開始タイミング制御の例について説明する。このような制御が求められる背景には、同期ストリームへのアクセス速度と、非同期ストリームへのアクセス速度との違いがある。本実施の形態では、非同期ストリームを携帯電話端末200内に予め蓄積してあるため、アクセスは比較的高速に行うことができる。これに対して同期ストリームは、ネットワーク(携帯電話通信網2)を介して取得するものであるため、アクセス速度は、非同期ストリームへのそれに対して低速となる。さらに、同期ストリームへのアクセス速度は、携帯電話通信網2の状態によって変動する。
【0060】
従って、非同期ストリームから同期ストリームへ切り替わる際に、同期ストリームのパケットの到着が遅れた場合には、復号用バッファ224(図5参照)がアンダーフローとなってしまう。このような場合には、再生遅延が生じてしまうため、制御部240はこれを回避する制御を行う。
【0061】
つまり、非同期ストリームの再生残り時間が所定の閾値を超えたタイミングで同期ストリームセッションを開始し、同期ストリーム受信部214(図5参照)で受信したパケットを同期ストリームバッファ229に蓄積する処理を行う。「所定の閾値」には、例えば非同期ストリームの再生終了地点から3秒前等の時刻位置を設定しておくものとする。さらに制御部240は、非同期ストリームの再生が終了する前までに、後続の同期ストリームのパケットを取得する制御も行う。このような制御を行うことで、非同期ストリームDwから同期ストリームへの切替が、即座にかつシームレスに行われるようになる。切替の処理は、同期ストリーム取得部230が、同期ストリームバッファ229から復号用バッファ224にパケットをコピーすることにより実現される。
【0062】
(シナリオファイルの記述例)
次に、図7を参照して、シナリオファイルの記述例について説明する。シナリオファイルには、同期ストリームセッションと非同期ストリームセッションに関する情報等が記載されており、携帯電話端末200は、本情報を基に非同期ストリームDwと同期ストリームの取得を行う。同期ストリームセッション情報と非同期ストリームセッション情報には、具体的には、レコーダ100のアドレス、ファイルパス、ポート番号、ストリーム内時刻が記載されている。またシナリオファイルには、同期ストリームセッションと非同期ストリームセッションよりなる複数のセッション間の再生タイミングの情報等も記載されている。
【0063】
図7に示したシナリオファイルでは、<playlist>タグ内の<content>タグにより、
各ビデオコンテンツVの再生順序と、その再生タイミング情報を記述している。また、<sub_content>タグにより、<content>タグで示される同期ストリームセッション時間区間内の、非同期ストリームセッションの情報を記述している。具体的には、“offset”と記された属性情報により、同期ストリームセッション内の再生時刻のオフセット値を表現している。また、“dur”と記された属性情報により、各非同期ストリームDwの時間長
を表現している。“layer”として記されたレイヤ属性は、非同期ストリームの各ファイ
ル間の階層関係を表現するものであるが、階層構造を有するシナリオファイルを用いた処
理については、後述する。
【0064】
図8は、図7に示したシナリオファイルに基づいて、非同期ストリームを生成した場合の例を示す説明図である。図8の上段に非同期ストリームDwを示してあり、下段に、非同期ストリームDwの元となるビデオコンテンツVのストリームを示してある。図8の横軸は時間を示す。下段に示されたビデオコンテンツVは、図7に示したシナリオファイルの記載よれば、“rtsp://192.168.10.5”に保存されている、“Full.mp4”という名称の
ファイルであることが分かる。
【0065】
下段に示されたビデオコンテンツVから、図7に示したシナリオファイルの記述に従って生成したものが、上段に示されている非同期ストリームDwである。非同期ストリームDwは、ビデオコンテンツV内の再生時刻の“0”の地点を起点とした20秒の時間長を有
するファイルDw1と、“50”の地点を起点とした10秒の時間長を有するファイルDw2と、“80”の地点を起点とした10秒の時間長を有するファイルDw3を含む。また、“120”の地点を起点とした20秒の時間長を有するファイルDw4と、“150”の地点を起点とした10秒の時間長を有するファイルDw5と、“180”の地点を起点とした10秒の時間長
を有するファイルDw6とを含む。
【0066】
例えばファイルDw1は、図7に示したシナリオファイル中の、下記記述に基づいて生成される。
<sub_content layer=“1” offset=“000” begin=“0” dur=“20”>
http://192.168.10.5:80/sub01.mp4</sub_content>
すなわち、ビデオコンテンツV内の再生時刻のオフセット値(offset)が“000”であ
り、時間長(dur)は“20”であり、ファイル名は“sub01.mp4”であるファイルが、非同期ストリームのファイルDw1として生成される。
【0067】
なお、生成された非同期ストリームDwには、元のビデオコンテンツVとは異なる新たなタイムスタンプが付与される。複数の非同期ストリームが一つのファイルとして生成される場合、図8に示すように、ファイルDw1には0〜20、ファイルDw2には20〜30、ファイルDw3には30〜40、ファイルDw4には40〜60、ファイルDw5には60〜70、ファイルDw6には70〜80のタイムスタンプが割り振られる。また、複数の非同期ストリームが異なるファイルとして生成される場合は、Dw1には0〜20、ファイルDw2には0〜10、ファイルDw3には0〜10、ファイルDw4には0〜20、ファイルDw5には0〜10、ファイルDw6には0〜10のタイムスタンプが割り振られる。つまり、このように元のビデオコンテンツVとは異なるタイムスタンプが割り当てられた非同期ストリームDwが、非同期ストリーム受信部213(図5参照)に入力される。
【0068】
[携帯電話端末における動作例]
次に、携帯電話端末200での非同期ストリーム及び同期ストリームの取得処理の例について、図9のフローチャートを参照して説明する。図9は、非同期ストリームDwの取得処理を示すフローチャートである。図9において、まず、レコーダ100から送信されたシナリオファイルが、シナリオファイル受信部211(図5参照)によって受信されて、シナリオファイル解析部221で解析される(ステップS1)。
【0069】
そして、シナリオファイルの解析結果に基づいて制御部240で行われる制御によって、非同期ストリーム受信部213で非同期ストリームが受信され、受信された非同期ストリームが非同期ストリーム蓄積部222に蓄積される(ステップS2)。次に、シナリオファイルの解析の結果得られた各コンテンツ(非同期ストリーム)の名称(タイトル)や再生時間の情報が、表示部228(図5参照)に表示される(ステップS3)。
【0070】
表示部228に表示された情報に基づいて、ユーザによって視聴したいビデオコンテンツVが選択され、選択したビデオコンテンツVを再生する操作が行われると(ステップS4)、「ループ」が開始される(ステップS5)。そしてループにおいては、まず、非同期ストリームDwの取得が開始される(ステップS6)。すなわち、非同期ストリーム蓄積部222に蓄積されていた非同期ストリームDwが、非同期ストリーム取得部223によって読み出される。読み出された非同期ストリームDwは、復号用バッファ224に蓄積された上で復号部225によって復号され、再生制御部227による制御に基づいて表示部228上で再生される。
【0071】
次に、次の区間が同期ストリームであり、且つ非同期ストリーム蓄積部222から読み出されている非同期ストリームDwの再生区間(以下、単に「区間」とも称する)終了までの残り時間が、予め定めておいた同期ストリームの伝送開始閾値未満となったか否かが判断される(ステップS7)。非同期ストリームの区間終了までの残り時間が伝送開始閾値未満となった場合には、制御部240の制御によって同期ストリームの取得処理が開始される(ステップS8)。これにより、非同期ストリームの再生が終了する前までの間に、後続の同期ストリームのパケットが取得されるようになる。
【0072】
続いて、非同期ストリームDwの区間終了までの残り時間が、予め定めておいた取得処理終了閾値未満となったか否かの判断が行われる(ステップS9)。非同期ストリームDwの区間終了までの残り時間が、予め定めておいた取得処理終了閾値以上である場合は、ステップS7に戻って判断が繰り返される。非同期ストリームDwの区間終了までの残り時間が、予め定めておいた取得処理終了閾値未満であった場合には、非同期ストリームDwの取得処理は終了となり(ステップS10)、再生時刻位置における未来の時刻位置に、次区間が存在するか否かの判断が行われる(ステップS11)。
【0073】
次区間が存在する場合には、その区間に存在するストリームが、非同期ストリームDwであるか否かが判断される(ステップS12)。非同期ストリームDwであった場合には、ステップS6に戻って処理が続けられ、非同期ストリームDwではなく同期ストリームであった場合には、制御部240の制御によって同期ストリームセッションが開始される(ステップS13)。
【0074】
そして、同期ストリームセッションを通して、同期ストリームの取得が開始される(ステップS14)。同期ストリームの取得処理中は、同期ストリームの区間終了までの残り時間が、予め定められた取得処理閾値未満となったか否かが判断され(ステップS15)、取得処理閾値以上である場合は、ステップS15の判断が繰り返される。取得処理閾値未満となった場合には、同期ストリームの取得処理は終了され(ステップS16)、同期ストリームセッションも終了される(ステップS17)。この後はステップS11に進み、次区間が存在するか否かの判断が行われる。次区間が存在する場合には、ステップS12に進んで前述した処理が行われ、次区間が存在しない場合には、ここでループが終了となる(ステップS18)。
【0075】
[第1の実施の形態による効果]
上述した実施の形態においては、視聴開始に先立って、つまり、オリジナルのビデオコンテンツVの再生時刻とは同期しないタイミングで、それぞれが固有の時間長を有する複数の部分ストリームが、非同期ストリームDwとして携帯電話端末200に蓄積される。そして、ビデオコンテンツVの再生時に、蓄積済みの非同期ストリームDwが読み出されて再生される。つまり、再生開始時には携帯電話通信網2への接続を行う必要がなくなる。これにより、再生開始時に発生する遅延を最小限のものに抑えられることができるようになるため、再生操作時にユーザが感じるストレスを低減することができる。
【0076】
また、上述した実施の形態によれば、ユーザは、図4に示したソフトキーSk等のUIを通して、画面上で再生する非同期ストリームDwの種類を変更することで、見たいシーンを検索することができる。そしてこの場合、事前に蓄積済みの非同期ストリームDwが使用されるため、携帯電話通信網2へのアクセスは行われない。すなわち、ユーザは、見たいシーンの検索及びアクセス等の操作を高速に行うことができる。
【0077】
また、上述した実施の形態によれば、非同期ストリームDwが、ユーザによるビデオコンテンツVの視聴状況とは非同期に、例えばビデオコンテンツVの録画時に携帯電話端末200内に蓄積されるようになる。これによりユーザは、お昼休み等のすきまの時間帯に、携帯電話端末200内に蓄積済みの非同期ストリームDwを用いて、ビデオコンテンツVをザッピングすることができるようになる。
【0078】
また、上述した実施の形態によれば、非同期ストリームDwとして蓄積されていない差分のストリームについては、レコーダ100よりネットワークを介して送信され、同期ストリームとして取得される。そして、再生中の非同期ストリームDwとシームレスに結合される。これによりユーザは、見たいシーンとして選択した非同期ストリームDwを起点として、ビデオコンテンツV全体を視聴することができるようになる。
【0079】
すなわち、上述した実施の形態によれば、ビデオコンテンツV全体の容量と比較して十分に小さな容量を有する部分ストリームを、非同期ストリームDwとして大量に携帯電話端末200内に蓄積することで、ビデオコンテンツV全体が携帯電話端末200内にすべて蓄積されている場合に得られるような、各非同期ストリーム(シーン)への高効率なアクセス性が得られるようになる。
【0080】
また、上述した実施の形態によれば、携帯電話通信網2の状況に応じて、同期ストリーミングセッションの開始タイミングが柔軟に制御される。これにより、携帯電話通信網2が不安定な状況であっても、ロバスト性の高い視聴環境をユーザに提供することが可能となる。
【0081】
さらに、上述した実施の形態によれば、非同期ストリームDwの時間長を、携帯電話通信網2の不安定性に起因して生じる遅延を吸収可能な程度の長さに設定することで、帯域変動や揺らぎ等によって携帯電話通信網2が不安定となった場合にも、遅延を回避することができる。
【0082】
なお、上述した実施の形態では、非同期ストリームDwの区間終了までの残り時間が、予め定めておいた取得処理終了閾値未満となった場合に、同期ストリームセッションを開始するようにしているが、ユーザより続きの区間の視聴を指示する何らかの操作が入力された場合に、同期ストリームセッションを開始するように構成してもよい。この場合は、続きの区間視聴を受け付けるUIを生成しておき、表示画面中等に表示させておく必要がある。
【0083】
<1−1.第1の実施の形態の変形例(1)>
上述した第1の実施の形態では、ビデオコンテンツVの視聴に先立って携帯電話端末200に非同期ストリームを蓄積しておく場合を例に挙げたが、非同期ストリームを、視聴中に動的に取得するように構成してもよい。以下の説明では、視聴に先立って非同期ストリームを取得しておく方式を「視聴前取得方式」と称し、視聴中に非同期ストリームを動的に取得する方式を「視聴中取得方式」と称する。
【0084】
[システムの概要]
図10に、視聴中取得方式を採用した場合のシステムの概要を示してある。図10において、左側はレコーダ100を示し、右側は携帯電話端末200を示す。図10の縦方向は、ビデオコンテンツVの再生時刻及びユーザによる視聴時間を示す。視聴中取得方式においては、まずレコーダ100において、複数の非同期ストリームDwの時刻位置が決定される。そしてレコーダ100は、決定した非同期ストリームDwの時刻位置情報をシナリオファイルに記述し、生成したシナリオファイルを携帯電話端末200に送る。
【0085】
携帯電話端末200では、ビデオコンテンツV視聴開始の指示をユーザから受け付けたら、まず同期ストリームセッションを開始し、レコーダ100から送信されたシナリオファイルの記述に基づいて、いくつかの同期ストリームを受信する。それからある一定の時間が経過した後に、その時点での再生時刻位置と、取得対象となる複数の非同期ストリームの時刻位置情報とを比較し、適切な非同期ストリームDwの取得要求をレコーダ100に送信する。ここでは、再生時刻位置より未来の時刻位置情報を有する非同期ストリームDwが、適切なストリームとして選択される。この処理によって非同期ストリームセッションが開始されることにより、レコーダ100から携帯電話端末200に対して、複数の非同期ストリームが送信される。
【0086】
ユーザは、携帯電話端末200の画面上で再生されたストリームを視聴中に、図4Aに示したソフトキーSk等を用いて、再生時刻位置より未来の時刻位置に相当する取得済みの非同期ストリームにスキップすることができる。又は、図4Bに示したように、取得済み非同期ストリームが一覧表示されている場合には、所望の非同期ストリームにジャンプすることもできる。
【0087】
このような操作によって再生時刻位置が変化した場合は、その直後に取得済みの非同期ストリームへアクセスすることで、遅延のない再生を実現できる。但し、このように、ユーザによる操作に基づいて再生時刻位置が変化する場合には、再生時刻位置の変化前に行われていた非同期ストリームセッションを一旦中止し、再生位置情報に基づく適切なストリームを取得する処理を行う。そして、適切なストリームの取得後に、一旦中止した非同期ストリームセッションを再開させるようにする。
【0088】
一方、取得済みの非同期ストリームDwへのローカルアクセス処理が開始した場合には、同期ストリームセッションを中止することを行っている。これにより、携帯電話通信網2の帯域をフルに使用して、非同期ストリームDwを取得することができるようになる。その後、取得した非同期ストリームDwの再生区間が最後まで到達したときに、この非同期ストリームDwの終了時刻情報に基づいて同期ストリームセッションを再開することで、携帯電話端末200内の非同期ストリームへのアクセス処理から、同期ストリームへのアクセス処理への移行をシームレスに行うことができる。
【0089】
[携帯電話端末における動作例]
次に、視聴中取得方式を実現するための詳細な処理の例について、図11のフローチャートを参照して説明する。まず、ビデオコンテンツVの視聴に先立って、レコーダ100から送信されたシナリオファイルが、シナリオファイル受信部211(図5参照)によって受信され、シナリオファイル解析部221で解析される(ステップS31)。そして、シナリオファイルの解析の結果得られた各コンテンツの名称(タイトル)や再生時間の情報が、表示部228(図5参照)に表示される(ステップS32)。
【0090】
表示部228に表示された情報に基づいて、ユーザによって視聴したいビデオコンテンツVが選択され、選択したビデオコンテンツVを再生する操作が行われると(ステップS33)、「ループ」が開始される(ステップS34)。
【0091】
ループにおいては、まず配信要求部215からレコーダ100に対して、同期ストリームの送信指示が送信され(ステップS35)、同期ストリームセッションが開始される(ステップ36)。そして、送信指示に基づいてレコーダ100から送信された同期ストリームが、復号用バッファ224に出力される(ステップS37)。復号用バッファ224に出力された同期ストリームは、復号部225によって復号され、復号化された同期ストリームが、再生制御部227の制御に基づいて表示部228上で再生される(ステップS38)。そして、表示部228での再生状況に応じて、再生時刻位置が更新される(ステップ39)。
【0092】
次に、同期ストリームセッションの開始後から、予め定められた所定の時間が経過したか否かが判断され(ステップS40)、所定の時間が経過していた場合には、次の図12に示すプロセスに処理が移行する。所定の時間が経過していない場合は、再生時刻位置に該当する非同期ストリームDwが存在するか否かが判断される(ステップS41)。
【0093】
非同期ストリームDwが存在しない場合には、同期ストリームの区間終了までの残り時間が、取得処理終了閾値未満となったか否かが判断される(ステップS42)。同期ストリームの区間終了までの残り時間が、取得処理終了閾値未満であった場合には、配信要求部215からレコーダ100に対して同期ストリームの送信終了指示が送信され(ステップS43)、処理は終了となる。同期ストリームの区間終了までの残り時間が、取得処理終了閾値以上であった場合には、ステップS37に戻って処理が行われる。
【0094】
ステップS41で、再生時刻位置に該当する非同期ストリームDwが存在すると判断された場合には、同期ストリームの送信を一時中止するための指示が、配信要求部215からレコーダ100に対して送信される(ステップS44)。そして、非同期ストリーム取得部223によって、既に取得済みの非同期ストリームDwの、非同期ストリーム蓄積部222からの読み出しが開始される(ステップS45)。
【0095】
次に、同期ストリーム又は非同期ストリームの復号用バッファ224への出力が完了しているか否かの判断が行われ(ステップS46)、出力が完了していない間は、ステップS46の判断が続けられる。復号用バッファ224への出力が完了している場合には、非同期ストリーム蓄積部222から非同期ストリームDwが読み出され、読み出された非同期ストリームDwが復号用バッファ224に出力される(ステップS47)。
【0096】
復号用バッファ224に出力された非同期ストリームDwは、復号部225によって非同期ストリームDwが復号され、表示部228上で再生される(ステップS48)。そして、表示部228での再生状況に応じて、再生時刻位置が更新される(ステップ49)。
【0097】
次に、非同期ストリームの区間終了までの残り時間が、取得処理終了閾値未満となったか否かが判断され(ステップS50)、取得処理終了閾値以上であった場合には、ステップS47に戻って処理が続けられる。非同期ストリームの区間終了までの残り時間が、取得処理終了閾値未満であった場合には、再生時刻位置に該当する同期ストリームが存在するか否かが判断される(ステップS51)。
【0098】
再生時刻位置に該当する同期ストリームが存在する場合には、ステップS35に戻って処理が続けられる。再生時刻位置に該当する同期ストリームが存在しない場合には、次に、再生時刻位置に該当する他の非同期ストリームが存在するか否かが判断される(ステップS52)。再生時刻位置に該当する他の非同期ストリームが存在する場合には、ステップS45に戻って処理が続けられ、存在しない場合にはループが終了される。
【0099】
次に、図12を参照して、図11のステップS40で“YES”が選択された場合の非
同期ストリーム取得処理について説明する。まず、制御部240の制御に基づいて、非同期ストリームの送信指示が非同期ストリーム制御部212からレコーダ100に送信されると(ステップS61)、レコーダ100と携帯電話端末200との間で、非同期ストリームセッションが開始される(ステップS62)。
【0100】
そして、非同期ストリームセッションを通して、非同期ストリームの取得が開始される(ステップS63)。そして、非同期ストリームセッションを通してのデータの受信が終了したか否かが判断され(ステップS64)、データの受信が終了した場合に、非同期ストリームの取得処理が終了となる(ステップS65)。
【0101】
[第1の実施の形態の変形例(1)による効果]
上述した実施の形態によれば、同期ストリームセッションによる同期ストリームの取得と、非同期ストリームセッションによる非同期ストリームDwの取得とが、同一のタイムライン上で行われるようになる。またこの場合、その時点での再生時刻位置とは異なる時刻位置の非同期ストリームDwが取得される。取得済みの非同期ストリームDwを、ジャンプ又はスキップ可能なシーンへのアクセスポイントと考えた場合、このような処理が行われることにより、視聴開始時には存在しなかったアクセスポイントが、ビデオコンテンツVの視聴中に自動的に増えるようになる。これにより、ユーザによる所望のシーンへのアクセス性が飛躍的に向上する。
【0102】
なお、上述した各実施の形態では、レコーダ100内で予め非同期ストリームDwを生成・蓄積しておく形態を想定しているが、非同期ストリームDwを、再生時刻位置に応じてレコーダ100が動的に生成する形態をとるようにしてもよい。
【0103】
<1−2.第1の実施の形態の変形例(2)>
上述した各実施の形態では、複数の非同期ストリームDwを、ユーザにより選択された再生時刻位置を起点に時系列で取得する場合を例に挙げているが、非同期ストリームを選択的(段階的)に取得できるように構成してもよい。これにより、ビデオコンテンツVの全体像を把握するための概観的なアクセスと、再生時間位置近傍での細かなシーンに対するアクセスとの両方のアクセスを実現することができる。本例では、このような選択的な取得を、視聴中取得方式において実現するための構成及び方法を説明する。
【0104】
具体的には、非同期ストリームにレイヤの概念を導入する。番組全体把握のための時間的距離が比較的離れた非同期ストリーム同士にレイヤ1を付与し、一方で、細かなアクセスのための時間的距離の近い非同期ストリーム同士にレイヤ2あるいはそれ以上のレイヤを付与する。
【0105】
図13は、非同期ストリームにレイヤ1とレイヤ2の2つの階層を持たせた場合の、シナリオファイルの記述例を示したものである。<sub_content>タグで示される非同期ス
トリームセッション情報中には、10個の非同期ストリームDwが定義してある。そして、そのうちの1行目と4行目と9行目のものは、layer属性が“1”に設定されている。
2行目及び3行目と、5行目から8行目と、10行目のもののlayer属性は、“2”に設
定されている。
【0106】
図14に、図12のシナリオファイルに基づいて生成された非同期ストリームDwの構成例を示してある。図14の横軸は時間を示す。オリジナルのビデオコンテンツVが有する300分のストリームの中から、図12に示したシナリオファイルの<sub_content>
タグ中の1行目から10行目の記述に基づいて、非同期ストリームDw1〜非同期ストリームDw10が生成された様子が示されている。
【0107】
図15は、レイヤ1に属する各非同期ストリームDwを上段に、レイヤ2に属する各非同期ストリームDwとを下段に表示したものである。図15によれば、レイヤ1が付与された非同期ストリームDw1と非同期ストリームDw4と非同期ストリームDw9は、それぞれ時間的距離が比較的離れていることが分かる。またこれに対して、レイヤ2が付与された非同期ストリームDw2及び非同期ストリームDw3と、非同期ストリームDw5から非同期ストリームDw8までと、非同期ストリームDw10は、互いの時間的距離が近いことが分かる。
【0108】
図16は、各時刻における同期ストリーム(レイヤ0)と、非同期ストリーム(レイヤ1及びレイヤ2)の取得順序について、概念的に示した図である。図16の最上段には、オリジナルのビデオコンテンツVを構成する各ストリームSt1〜ストリームSt12を時系列に並べて表示してある。図16の横軸は、ビデオコンテンツVにおける再生時刻を示す。
【0109】
ストリームSt11〜ストリームSt22のそれぞれには、シナリオファイルの記載に基づいて、レイヤ0〜レイヤ2のいずれかの層が割り当てられている。図16では、レイヤ0に割り当てられたストリームを白枠で示してあり、レイヤ1に割り当てられたストリームを黒枠で示してあり、レイヤ2に割り当てられたストリームは網掛けの枠で示してある。レイヤ0が付与された各ストリームは、再生時刻に同期して同期ストリームSrとして取得され、レイヤ1又はレイヤ2が付与されたストリームは、ユーザによる視聴状況とは非同期に、非同期ストリームDwとして取得される。
【0110】
図16の縦方向は、ユーザによる視聴時間の経過を示し、視聴時間における各時刻をT0〜T3と示している。時刻T0は、同期ストリームセッションが開始された時刻であり、このタイミングで、レイヤ0の同期ストリームの取得が開始される。図には、レイヤ0が付与された各ストリームのうち、最初のストリームであるストリームSt11が、同期ストリームSr11として取得された状態が示されている。
【0111】
時刻T0から所定の時間が経過した時刻T1の時点では、レイヤ0の同期ストリームSrの取得中に、ビデオコンテンツV全体の概観的把握を支援するためのレイヤ1のストリームを、ビデオコンテンツVの終了時まで取得している。つまり、レイヤ1が付与されたストリームSt17とストリームSt21とを、非同期ストリームDw11と非同期ストリームDw12として取得している。
【0112】
時刻T2の時点では、現在ユーザによって視聴されている区間に位置するレイヤ2に属する非同期ストリームDwの取得を開始している。つまり、黒い三角の印で示された現在再生位置が属する区間に位置する、レイヤ2が付与されたストリームSt14を、非同期ストリームDw13として取得している。
【0113】
時刻T3の時点では、ユーザによる再生スキップの操作に基づき、再生時刻位置が次区間に存在する非同期ストリームDw11の位置に移動している。移動先の非同期ストリームDw11のレイヤ属性は“1”であるため、前区間のレイヤ2の非同期ストリーム(ストリームSt16)の取得を中断し、次区間の同期ストリームセッション及びレイヤ2の非同期ストリームセッションを開始している。図には、次区間の同期ストリームセッションによってストリームSt18が同期ストリームSr13として取得され、非同期ストリームセッションによってストリームSt19が非同期ストリームDw14として、又ストリームSt21が非同期ストリームDw15として取得された様子が示されている。
【0114】
このように、再生時刻位置はユーザによるスキップ操作等により動的に変化するため、本例では、非同期ストリームの取得準備やタイミングの制御を適応的に行うようにしてい
る。
【0115】
図17A及び図17Bに、図16の時刻T1と時刻T2の地点での携帯電話端末200の画面表示例を示している。図16の時刻T1においては、現在再生位置は同期ストリームSr12のところに位置している。つまり、図17Aに示すように、携帯電話端末200の画面上では、同期ストリームSr12の映像が再生されている。
【0116】
同期ストリームSr12が表示されている領域Ar1の下方には、取得済みの同期ストリームSr又は非同期ストリームDwが表示される領域Ar2がある。そして、図17Aに示す時刻T1の時点では、この領域Ar2には、T1の時刻で取得された非同期ストリームDw11と、非同期ストリームDw12とがサムネイル表示されている。
【0117】
そのまま視聴が続けられ、T2の時刻となった時点での画面の例を、図17Bに示してある。図17Bにおいては、領域Ar2の左端の位置に、非同期ストリームDw13のサムネイルが挿入されている。このように、本例によれば、再生時刻位置に応じて適切な同期ストリームSr又は非同期ストリームDwが取得され、画面上の領域Ar2にサムネイルとして表示される。つまり、再生を行っている最中に、ユーザがランダムにアクセスすることが可能なアクセスポイントが、領域Arの中で自動的に増えていくようになる。
【0118】
[第1の実施の形態の変形例(2)による効果]
上述した実施の形態によれば、視聴開始から所定の時間が経過した時点で、まず優先的にレイヤ1の非同期ストリームDwが取得される。これにより、ビデオコンテンツV全体を対象とした広い時間間隔における、所望のシーンへのランダムなアクセス機能が、視聴開始時の早い段階でユーザに提供されるようになる。
【0119】
また、上述した実施の形態によれば、レイヤ1の非同期ストリームDw取得後は、再生状況又はユーザによるスキップ又はジャンプ操作に基づいて変化する再生時刻位置に応じて、レイヤ1に属する非同期ストリームDw及び、同じくレイヤ1に属するその次の非同期ストリームDwとの間に位置するレイヤ2の非同期ストリームDwが取得される。これにより、ユーザは、アクセス先のコンテンツの付近で、さらなるスキップ操作又はジャンプ操作を行うことができるようになる。つまり、より細かなシーンアクセスを行えるようになる。
【0120】
すなわち、上述した実施の形態によれば、ビデオコンテンツVの全体像を把握するための概観的なアクセスと、再生時刻位置近傍での細かなシーンアクセスとの両アクセスが実現されるようになる。
【0121】
なお、上述した実施の形態では「視聴中取得方式」に適用した場合を例に挙げているが、「視聴前取得方式」に適用することも可能である。「視聴前取得方式」では、事前に非同期ストリームDwを蓄積するが、その蓄積容量は、選択されたビデオコンテンツVの数に比例して増大する。すなわち、多数のビデオコンテンツVが選択された場合には、携帯電話端末200の記憶部101が圧迫される可能性がある。
【0122】
このような状況の発生を防ぐ手法としては、ビデオコンテンツV内部での所望のシーンへのアクセス性を高めることよりも、ビデオコンテンツVの多様性を優先する手法が考えられる。具体的には、例えばオリジナルのビデオコンテンツVの先頭部分と、中間時刻位置のみを事前に非同期ストリームDwとして取得しておくようにすれば、記憶部101の圧迫を防ぐことができると想定される。ところがこの場合は、多くの種類のビデオコンテンツVの非同期ストリームを記憶部101内に蓄積することができる一方で、個々のビデオコンテンツV内におけるスキップ又はジャンプ可能なシーンの数が、非常に少ないもの
に限定されてしまう。
【0123】
そこで、「視聴中取得方式」における場合と同様に、「視聴前取得方式」においてもレイヤの概念を導入し、視聴前にはレイヤ1の非同期ストリームDwを取得・蓄積しておくようにする。そして、視聴開始後は、アクセス先の区間に存在するレイヤ1の非同期ストリーム内の再生時刻位置に応じて、レイヤ2の非同期ストリームを動的に取得するようにする。このような制御を行うことにより、「視聴前取得方式」においても、ビデオコンテンツV内での各シーンへのアクセスを高めることができるようになる。
【0124】
<1−3.第1の実施の形態の変形例(3)>
また、上述した実施の形態では、ビデオコンテンツVから生成する各非同期ストリームDwの時間位置や時間長を、予め固定的に設定しておく場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、シーン検出の技術やメディア要約技術を用いて、これらを動的に決定するようにしてもよい。
【0125】
図18に、この場合のシステムの概要例を示してある。図18においては、図1と同様に、左側には家庭内の空間を示してあり、右側にはモバイル環境を示してある。家庭内には、ビデオコンテンツVが記録されたレコーダ100があり、レコーダ100では、例えばシーン検出の手法を使って抽出された盛り上がりのあるシーンが、非同期ストリームDwとして蓄積される。つまりこの場合の非同期ストリームDwは、ダイジェストクリップとしての役割を果たすものとなる。そしてユーザは、外出前等のタイミングで、レコーダ100に蓄積された各非同期ストリームDwを携帯電話端末200に転送しておく。
【0126】
モバイル環境においては、事前に蓄積しておいた複数の非同期ストリームDwを携帯電話端末200上で再生し、任意の非同期ストリームを選択することにより、ユーザは視聴したい再生位置を決定する。このとき、携帯電話通信網2へのアクセスは行われないため、早送りやジャンプ等の操作は高速に行うことができる。
【0127】
視聴したい再生位置の決定後は、携帯電話端末200に蓄積されていない差分のストリーム、つまり盛り上がりシーンとして検出されていない場面を有するストリームが、家庭内のレコーダ100から携帯電話通信網2を介して伝送される。これによりユーザは、複数の盛り上がりシーンの中から見たいシーンを容易に検索することができ、また、選択したシーンを起点としてビデオコンテンツVを最後まで視聴することができるようになる。
【0128】
なお、上述した各実施の形態においては、非同期ストリームDwをレコーダ100内で予め生成しておく場合を例に挙げたが、該当時間部分のストリームを順次抽出することで、非同期ストリームDwを動的に生成するようにしてもよい。
【0129】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態を、図19のブロック図及び図20のフローチャートを参照して説明する。本実施の形態は、シナリオファイルの生成をクライアントである携帯電話端末200側で行うものである。なお、図19において図5と対応する箇所には同一の符号を付してあり、詳細な説明は省略する。
【0130】
図19に示すシステムは、レコーダ100Aと携帯電話端末200Aとで構成される。本例におけるレコーダ100Aは、ビデオコンテンツVが記憶された記憶部101と、制御部110と、通信処理部120Aとを含む。通信処理部120Aは、ストリーム送信部125と、配信要求受信部124とで構成される。
【0131】
制御部110は、携帯電話端末200Aから送られてきた配信要求を受信すると、スト
リーム送信部125に対して、配信要求内で指定されたビデオコンテンツVを記憶部101から読み出して、携帯電話端末200に送信するよう指示を行う。ストリーム送信部125は、制御部110による指示に基づいて、該当するビデオコンテンツVを記憶部101より読み出し、ストリームとして携帯電話端末200に送信する。
【0132】
携帯電話端末200Aは、レコーダ100Aとの間でデータの送受信を行う通信処理部210Aと、非同期ストリーム蓄積部250と、非同期ストリーム取得部223と、同期ストリームバッファ229と、同期ストリーム取得部230とを備える。また復号用バッファ224と、復号部225と、復号後ストリームバッファ226と、制御部240Aと、操作入力部241と、表示部228と、再生制御部227とを備える。
【0133】
本例においては、制御部240A内に、予め作成されたシナリオファイルが蓄積されている。制御部240Aは、このシナリオファイルを解析し、シナリオファイルに記載された非同期ストリームDwの所在情報等に基づいて、非同期ストリームDw又は同期ストリームの取得制御を行う。具体的には、非同期ストリームDw又は同期ストリームの配信要求を生成して、配信要求部214からレコーダ100Aに送信させる処理を行う。
【0134】
通信処理部120Aは、レコーダ100Aのストリーム送信部125から送信されたストリームを受信するストリーム受信部216と、配信要求部215とで構成される。非同期ストリーム蓄積部250は、配信要求部214からの配信要求に基づいてレコーダ100Aから配信された非同期ストリームDwを受信して、蓄積する。なお、蓄積された非同期ストリームDwを読み出す処理や、それ以降の処理については、第1の実施の形態における処理と同様であるため、説明は省略する。
【0135】
なお、図19に示した例では、携帯電話端末200側において、予め生成しておいたシナリオファイルに記載の内容に基づいて、非同期ストリームDw又は同期ストリームをレコーダ100Aから取得する場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、配信要求部214からレコーダ100Aに対して、所定の時間間隔毎に所定の時間長を有するストリームの配信要求を行い、その要求に応じてレコーダ100Aから送信されたストリームを、非同期ストリームDwとして蓄積するようにしてもよい。
【0136】
このように構成した場合の処理の例を、図20に示してある。図20においては、非同期ストリームDwの取得間隔を“j”、非同期ストリームDwの時間長を“i”で表現している。
【0137】
まず、ユーザによって、再生対象のビデオコンテンツVの選択及び再生の指示がされたか否かの判断が行われ(ステップS71)、この操作が行われた場合には、レコーダ100Aから送信されたオリジナルのビデオコンテンツVのストリームが、ストリーム受信部216によって受信される(ステップS72)。そして、受信されたストリームのうち、最初のi分間の区間が、非同期ストリーム蓄積部250によって取得され、非同期ストリームDwとして蓄積される(ステップS73)。
【0138】
次に、そこからj分間経過したか否かが判断され(ステップS74)、j分間が経過しない間は、ステップS73の判断が繰り返される。j分間が経過したと判断された場合には、ステップS62で取得されたストリームにおいて、次の区間が存在するか否かが判断される(ステップS75)。次の区間が存在する場合には、ステップS73に戻り、その区間での非同期ストリームDwが生成され、蓄積される。次の区間が存在しない場合には、処理はここで終了となる。
【0139】
このように、携帯電話端末200Aに上述した各機能を持たせることで、ビデオコンテ
ンツVが記録されたレコーダ100Aが非同期ストリームDwの生成機能を持たない場合であっても、非同期ストリームDwを用いた高速かつ低遅延なアクセス機能を実現することができる。
【0140】
<3.第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について、図21のブロック図を参照して説明する。図21において、図5や図19と対応する箇所には同一の符号を付してあり、詳細な説明は省略する。本実施の形態によるシステムは、ビデオコンテンツVを放送する放送局300と携帯電話端末200とで構成される。そして、放送局が、非同期ストリームDwの生成及び送信と、同期ストリームの送信とを行うように構成したものである。
【0141】
図21に示す放送局300は、図5に示したレコーダ100が有する各機能ブロックをすべて有する。図5に示したレコーダ100との相違点は、シナリオファイルと非同期ストリームは、アンテナ130Aを通して携帯電話端末200に送信するが、携帯電話端末200から送信される配信要求の受信や同期ストリームの送信は、例えば携帯電話通信網2等の他の通信網を通して行う点にある。
【0142】
このように、放送局300側で非同期ストリームDwの生成や送信、同期ストリームの送信を行うように構成すれば、レコーダ100を所有していないユーザであっても、非同期ストリームDwに基づくザッピングや、同期ストリームの取得を携帯電話端末200上で行うことができるようになる。
【0143】
<4.第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態について、図22のブロック図を参照して説明する。図22において、図5と図19、図21と対応する箇所には同一の符号を付してあり、詳細な説明は省略する。本実施の形態によるシステムは、ビデオコンテンツVを放送する放送局300Aと、レコーダ100Aと、携帯電話端末200Aとで構成される。
【0144】
図22に示す放送局300Aは、ビデオコンテンツVが蓄積された記憶部101と、放送波を通してビデオコンテンツVを送信する送信部325と、制御部110Bとを備える。つまり、従来の放送局と同様に、ビデオコンテンツVの送信のみを行う。
【0145】
レコーダ100Aは、放送波を受信する放送波受信部126と、放送波受信部126で受信したビデオコンテンツVを蓄積する記憶部101と、制御部110Aと、配信要求受信部124と、同期ストリーム生成部105と、同期ストリーム送信部123とを備える。すなわち、本例によるレコーダ100Aは、放送局300Aから送信されたビデオコンテンツVを記憶部101に蓄積し、携帯電話端末200Aより配信要求があった場合に、その要求内容に基づいて同期ストリーム生成部105で同期ストリームを生成する。そして生成した同期ストリームを、同期ストリーム送信部123及びアンテナ130を通して携帯電話端末200Aに送信する。
【0146】
携帯電話端末200Aは、図19に示したものと同一の構成を有するものである。つまり、放送局300Aから送信されるビデオコンテンツVを基に非同期ストリームDwを生成する機能を備える。さらに、生成した各非同期ストリームDwの時刻位置情報や時間長の情報と、それらとオリジナルのビデオコンテンツVでの再時刻位置との対応情報等を作成し、シナリオデータとして記憶しておくことも行う。そして、ユーザより入力される操作等に応じて変化する再生時刻位置に応じて、適切な同期ストリーム又は非同期ストリームDwをレコーダ100Aより取得する。
【0147】
このように、携帯電話端末200Aで非同期ストリームDwの生成を行い、レコーダ1
00Aで同期ストリームの生成及び送信を行う構成とすることで、従来と同様に放送波を通して送信されるビデオコンテンツVからも、非同期ストリームDwを生成することができるようになる。そして、非同期ストリームDwを起点としたスキップ又はジャンプ再生や、そのような操作により定まる再生時刻位置以降に存在するコンテンツの取得及び再生を行うことができる。
【0148】
<5.第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態について、図23のシステム概要図を参照して説明する。本実施の形態は、非同期ストリームDwを使用してアフィリエイトの仕組みを実現するものである。
【0149】
コンテンツプロバイダ400とは、複数のビデオコンテンツVが蓄積された配信サーバ(図示略)を保有するコンテンツの提供者であり、このシステムにおけるアフィリエイトの供給元である。具体的には、例えば、映画の製作会社やビデオコンテンツの制作会社が該当する。コンテンツプロバイダ400内に設けられたサーバには、図5に示したレコーダ100と同様の機能を持たせてある。すなわち、非同期ストリームDwの生成や蓄積、配信を行う機能を有する。本例の非同期ストリームDwは、本編のビデオコンテンツVの複数の部分が抽出されたものであり、本編のダイジェストとしての意味を有する。
【0150】
店舗500とは、このシステムにおけるアフィリエイトの享受者であり、例えば飲食店や物販店が該当する。店内には、来客者が所持する携帯電話端末200cに対して、近距離無線等の手段によってファイルを送信(プッシュ配信)できるサーバが設置されているものとする。
【0151】
仲介者とは、アフィリエイトの享受者であり、携帯電話端末200aの所有者でもある。携帯電話端末200aは、他の携帯電話端末200bや通信端末201等と、携帯電話通信網2又はP2P(Peer To Peer)による通信を行える機能を有する。
【0152】
本システムにおいて、まずコンテンツプロバイダ400が、本編コンテンツのダイジェストとしての複数の非同期ストリームDw(サムネイル)を、アフィリエイトの享受者である店舗500や仲介者に配信する。そして、店舗500では、コンテンツプロバイダ400から配信された各非同期ストリームDwを、来客者が所持する携帯電話端末200cに対してプッシュ配信することが行われる。仲介者においては、携帯電話端末200bの所有者や通信端末201の所有者との間で、コンテンツプロバイダ400から配信されたサムネイルを共有する操作が行われる。
【0153】
そして、店舗500でプッシュ配信されたサムネイルを受信した携帯電話端末200cの所有者や、仲介者とサムネイルの共有を行っている携帯電話端末200bの所有者又は通信端末201の所有者において、サムネイルの視聴が行われる。サムネイル映像の視聴者は、サムネイル映像の続き、つまり本編の映像を視聴したい場合には、例えば「続きを購入する」等のメニューを選択することにより、本編のコンテンツを購入及び視聴することができる。この場合の端末側での仕組みは、図5等に示した機能によって実現することができる。すなわち、ユーザによって視聴されている非同期ストリームDwの次の区間に存在する同期ストリームを取得されることにより、視聴者は、サムネイル映像の続きである本編のコンテンツの映像を視聴することができる。
【0154】
店舗500の経営者や仲介者は、サムネイルの配信を行った対象者が本編のコンテンツを購入した場合に、コンテンツプロバイダ400よりアフィリエイト(報酬)が提供される。
【0155】
このように、本発明における、非同期ストリームDwの事前蓄積及び、非同期ストリームDwと同期ストリームとのシームレスな結合の仕組みを使って、アフィリエイトを提供するシステムを構築することもできる。
【0156】
<6.第6の実施の形態>
次に、本発明の第6の実施の形態について、図24のシステム概要図を参照して説明する。本実施の形態は、本発明を、監視カメラ及び、監視カメラによる撮影映像を蓄積するサーバ及び、カメラによる撮影映像を表示する携帯電話端末とで構成されるシステムに適用したものである。
【0157】
図24に示す監視カメラC1〜監視カメラC4は、動作検知機能を有するカメラであり、監視対象領域として設定されたオフィスやパーキングエリア、自宅や玄関先等の領域を常時撮影するとともに、撮影映像をサーバ600に出力する。サーバ600は、監視カメラC1〜監視カメラC4から送られた撮影映像を、図示せぬ記録装置(図示略)等に録画する。そして、監視カメラC1〜監視カメラC4において動作検知が行われた場合に、動作検知をトリガとして所定の時間長を有する非同期ストリームDwを生成し、検知シーンクリップとして携帯電話端末200dに配信する。
【0158】
携帯電話端末200dの所有者である監視領域の監視者は、サーバ600から配信された検知シーンクリップを再生し、気になるシーンがあった場合には、その続きを視聴する操作を行う。続きを視聴する操作とは、続きの視聴を表明するための何かしらのアクションであってもよく、スキップ操作等を行わずに特定の検知シーンを視聴し続ける動作であってもよい。
【0159】
このような操作が行われた場合に、サーバ600との同期ストリームセッションが開始され、サーバ内に蓄積された蓄積映像又は、監視カメラC1〜監視カメラC4によって撮影されているライブ映像が、携帯電話端末200dに配信されるようになる。
【0160】
このような構成とすることで、監視者は、サーバ600から配信された検知シーンクリップを再生して気になるシーンを検索し、詳細を確認したいシーンがあった場合には、その続きを、ストリーミング配信される映像によって確認することができる。
【0161】
これにより、監視者が所有する携帯電話端末200dにおいては、監視カメラC1〜監視カメラC4による撮影映像を常時視聴し続ける必要がなくなるため、撮影映像取得の際に行われる通信の回数が大幅に削減される。すなわち、通信費用を低減することができるようになる。さらに、監視者は、詳細の確認が必要なシーンのみを取捨選択して視聴することができるようになるため、監視の時間を節減することができるようになる。
【0162】
なお、ここまで説明した各実施の形態では、非同期ストリームDw又は同期ストリームの再生を行う通信端末として、携帯電話端末200を用いる場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、通信機能を有する装置であれば、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末やゲーム機、カーナビゲーション装置、パーソナルコ
ンピュータ等に適用するようにしてもよい。また、上述した各実施の形態では、サーバをレコーダ100に適用しているが、実際にサーバやあるいはカーナビゲーション装置を用いるようにしてもよい。
【0163】
上述した各実施の形態における一連の処理は、ハードウェアにより実行することができるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、汎用のパーソナルコンピュータなどにインストー
ルして実行させる。
【0164】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施形態例の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態例の機能が実現される場合も含まれる。
【0165】
また、本明細書において、ソフトウェアを構成するプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0166】
1…家庭内通信網、2…携帯電話通信網、100,100A…レコーダ、101…記憶部、102…メタデータ生成部、103…シナリオファイル生成部、104…非同期ストリーム生成部、105…同期ストリーム生成部、110,110A,110B…制御部、120,120A…通信処理部、121…シナリオファイル送信部、122…非同期ストリーム送信部、123…同期ストリーム送信部、124…配信要求受信部、125…ストリーム送信部、126…放送波受信部、130,130A…アンテナ、200,200A…携帯電話端末、201…通信端末、210,210A…通信処理部、211…シナリオファイル受信部、212…非同期ストリーム制御部、213…非同期ストリーム受信部、214…同期ストリーム受信部、215…配信要求部、216…ストリーム受信部、221…シナリオファイル解析部、222…非同期ストリーム蓄積部、223…非同期ストリーム取得部、224…復号用バッファ、225…復号部、226…復号後ストリームバッファ、227…再生制御部、228…表示部、229…同期ストリームバッファ、230…同期ストリーム取得部、240,240A…制御部、241…操作入力部、250…非同期ストリーム蓄積部、300…放送局、300A…放送局、325…送信部、400…コンテンツプロバイダ、500…店舗、600…サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオコンテンツを有するサーバとの間でデータの送受信を行う通信処理部と、
前記通信処理部を通して受信した、前記ビデオコンテンツ内の異なる時刻位置から抽出された複数の部分ストリーム(非同期ストリーム)を蓄積する非同期ストリーム蓄積部と、
前記非同期ストリーム又は、前記サーバからストリーミング配信される、前記ビデオコンテンツから非同期ストリームとして抽出されていないストリーム(同期ストリーム)を復号する復号部と、
前記復号部で復号された前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを表示する表示部上で再生される、前記非同期ストリームの種類を変更する指示が入力される操作入力部と、
前記表示部上で前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームが再生されている最中に、前記表示部で再生中の前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームの再生時刻位置前後の時刻位置情報を有する前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを取得して、前記取得した前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを、前記再生の終了後に前記表示部に表示させる制御を行う制御部とを備えた
通信端末。
【請求項2】
前記複数の非同期ストリームは、それぞれが所定の時間長を有する
請求項1記載の通信端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部で再生中の前記非同期ストリームの再生時刻位置が、予め定められた所定の時刻位置を超えた場合に、前記サーバに対して、前記同期ストリームの送信要求を送信する制御を行う
請求項2記載の通信端末。
【請求項4】
前記非同期ストリーム蓄積部から前記非同期ストリームを読み出して、前記読み出した非同期ストリームに付与されているタイムスタンプを、当該通信端末内での統一タイムスタンプに変換する非同期ストリーム取得部と、
前記サーバから配信された前記同期ストリームを一時的に保持する同期ストリームバッファと、
前記同期ストリームバッファより前記同期ストリームを読み出して、前記読み出した同期ストリームに付与されているタイムスタンプを、前記統一タイムスタンプに変換する同期ストリーム取得部と、
前記非同期ストリーム取得部で取得された前記非同期ストリームと、前記同期ストリーム取得部で取得された前記同期ストリームを一時的に保持して前記復号部に出力する復号用バッファとを備えた
請求項3記載の通信端末。
【請求項5】
前記制御部による制御は、前記サーバ上での前記ビデオコンテンツの保存場所情報と、前記複数の非同期ストリームを規定する時刻位置情報と、前記時刻位置情報と前記ビデオコンテンツ内の再生時刻位置との対応情報とを含むファイルであり、前記サーバから送信されるファイルであるシナリオファイルに記載の内容に基づいて行われる
請求項4記載の通信端末。
【請求項6】
前記シナリオファイルにおいて、前記複数の非同期ストリームに階層構造が定義されている場合には、前記制御部は、最初に前記階層構造における最上層である第1の層に定義された複数の非同期ストリームを前記サーバより取得し、前記再生時刻位置に応じて前記第1の層の下位階層である第2の層に定義された複数の非同期ストリームを前記サーバよ
り取得する制御を行う
請求項5記載の通信端末。
【請求項7】
前記非同期ストリーム蓄積部への前記非同期ストリームの蓄積は、前記復号部での復号処理に先立って行われる
請求項6記載の通信端末。
【請求項8】
前記表示部で再生中の前記非同期ストリームの再生時刻位置が予め定められた所定の閾値を超えた場合に、前記サーバに対して取得が要求される前記同期ストリームは、前記非同期ストリームと時間的に連続するストリームである
請求項7記載の通信端末。
【請求項9】
前記制御部は、前記サーバに対して前記同期ストリームの取得要求を行い、前記通信処理部を通しての前記同期ストリーム取得開始後から所定の時間が経過後に、前記サーバに対して、前記表示部上で再生中の前記同期ストリームの再生時刻位置とは異なる時刻位置情報を有する複数の非同期ストリームの取得要求を行う
請求項6記載の通信端末。
【請求項10】
ビデオコンテンツを有するサーバとの間でデータの送受信を行う通信処理部と、
前記サーバに対して、前記ビデオコンテンツ内の異なる時刻位置から部分的にストリームを抽出して送信させる送信要求を送信する送信要求部と、
前記サーバから送信された複数の前記部分的なストリーム(非同期ストリーム)を蓄積する非同期ストリーム蓄積部と、
前記非同期ストリーム又は、前記サーバからストリーミング配信される、前記ビデオコンテンツから前記非同期ストリームとして抽出されていないストリーム(同期ストリーム)を復号する復号部と、
前記復号部で復号された前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを表示する表示部上で再生される、前記非同期ストリームの種類を変更する指示が入力される操作入力部と、
前記表示部上で前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームが再生されている最中に、前記表示部で再生中の前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームの再生時刻位置前後の時刻位置情報を有する前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを取得して、前記取得した前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを、前記再生の終了後に前記表示部に表示させる制御を行う制御部とを備えた
通信端末。
【請求項11】
前記制御部は、前記サーバから取得した非同期ストリームの有する時刻位置情報と、前記時刻位置情報と前記サーバ上にある前記ビデオコンテンツ内の再生位置情報との対応情報とを、シナリオデータとして記録し、前記同期ストリーム又は前記非同期ストリームの前記サーバからの取得制御を、前記シナリオデータに記載の内容に基づいて行う
請求項10記載の通信端末。
【請求項12】
サーバから受信した、前記サーバ内のビデオコンテンツ内の異なる時刻位置から抽出された複数の部分ストリーム(非同期ストリーム)を蓄積するステップと、
前記非同期ストリーム又は、前記サーバからストリーミング配信される、前記ビデオコンテンツから前記非同期ストリームとして抽出されていないストリーム(同期ストリーム)を復号するステップと、
前記復号された前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを表示するステップと、
前記表示部上で再生される前記非同期ストリームの種類を変更する指示の、入力を受け付けるステップと、
前記表示部上で前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームが再生されている最中に、前記表示部で再生中の前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームの再生時刻位置前後の時刻位置情報を有する前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを取得して、前記取得した前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを、前記再生の終了後に前記表示部に表示させる制御を行うステップとを含む
コンテンツ再生方法。
【請求項13】
サーバから受信した、前記サーバ内のビデオコンテンツ内の異なる時刻位置から抽出された複数の部分ストリーム(非同期ストリーム)を蓄積するステップと、
前記非同期ストリーム又は、前記サーバからストリーミング配信される、前記ビデオコンテンツから前記非同期ストリームとして抽出されていないストリーム(同期ストリーム)を復号するステップと、
前記復号された前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを表示するステップと、
前記表示部上で再生される前記非同期ストリームの種類を変更する指示の、入力を受け付けるステップと、
前記表示部上で前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームが再生されている最中に、前記表示部で再生中の前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームの再生時刻位置前後の時刻位置情報を有する前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを取得して、前記取得した前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを、前記再生の終了後に前記表示部に表示させる制御を行うステップとをコンピュータに実行させるための
プログラム。
【請求項14】
ビデオコンテンツを蓄積する記憶部と、
前記記憶部に蓄積された前記ビデオコンテンツ中の異なる時刻位置から複数の部分ストリームを抽出して、複数の非同期ストリームを生成する非同期ストリーム生成部と、
前記非同期ストリーム生成部で生成された前記複数の非同期ストリーム又は、前記ビデオコンテンツから前記非同期ストリームとして抽出されていないストリーム(同期ストリーム)を通信端末に送信する第1の通信処理部とを備えたサーバと、
前記サーバとの間でデータの送受信を行う第2の通信処理部と、
前記第2の通信処理部を通して受信した前記複数の非同期ストリームを蓄積する非同期ストリーム蓄積部と、
前記非同期ストリーム又は、前記サーバから送信される前記同期ストリームを復号する復号部と、
前記復号部で復号された前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを表示する表示部上で再生される、前記非同期ストリームの種類を変更する指示が入力される操作入力部と、
前記表示部上で前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームが再生されている最中に、前記表示部で再生中の前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームの再生時刻位置前後の時刻位置情報を有する前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを取得して、前記取得した前記非同期ストリーム又は前記同期ストリームを、前記再生の終了後に前記表示部に表示させる制御を行う制御部とを備えた通信端末とで構成される
コンテンツ再生システム。
【請求項15】
前記非同期ストリームの有する時刻位置情報と、前記時刻位置情報と前記ビデオコンテンツ内の再生位置情報との対応情報とを含むシナリオファイルを生成する、シナリオファイル生成部を備えた
請求項14記載のコンテンツ再生システム。
【請求項16】
前記シナリオファイル生成部は、前記非同期ストリーム生成部で生成された前記複数の非同期ストリームのうち、時間的距離が離れた複数の前記非同期ストリームに対して最上
位の階層である第1の階層を定義し、前記第1の階層が付与された前記非同期ストリーム以外の前記非同期ストリームのうち、時間的距離が近い複数の前記非同期ストリームに対して、前記第1の階層より下の階層である第2の階層を定義したシナリオファイルを生成する
請求項15記載のコンテンツ再生システム。
【請求項17】
前記非同期ストリーム生成部は、前記ビデオコンテンツから前記非同期ストリームを抽出する時間的間隔及び前記非同期ストリームが有する時間長を、前記ビデオコンテンツの内容に応じて変化させる
請求項15記載のコンテンツ再生システム。
【請求項18】
前記非同期ストリーム生成部は、前記ビデオコンテンツから前記非同期ストリームを抽出する時間的間隔及び前記非同期ストリームが有する時間長を、前記ビデオコンテンツのシーン解析を行った場合のシーン解析結果に基づき決定する
請求項15記載のコンテンツ再生システム。
【請求項19】
前記サーバの前記第1の通信処理部は、前記非同期ストリーム生成部が生成した前記非同期ストリームと、前記シナリオファイル生成部が生成したシナリオファイルを、放送波を通して前記通信端末に配信する
請求項15記載のコンテンツ再生システム。
【請求項20】
請求項14記載のコンテンツ再生システムで使用されるサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−200287(P2010−200287A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157005(P2009−157005)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年2月25日 「HotMobile 2008」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年2月25日〜26日 国立大学法人電気通信大学発行の「Mobile Video System based on Pre−Download & NW Streaming Coordination(パンフレット)」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年3月5日 社団法人電子情報通信学会発行の「2008年総合大会講演論文集(DVD)」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年4月17日〜18日 国立大学法人電気通信大学発行の「高速コンテンツアクセスを実現するモバイル映像視聴システム(パンフレット)」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年7月22日〜24日 国立大学法人電気通信大学発行の「圧縮映像シーン検出に基づく高効率モバイル映像配信ソリューション(パンフレット)」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年9月5日 国立大学法人電気通信大学発行の「高効率コンテンツアクセスを実現するモバイルビデオ配信技術(パンフレット)」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年9月15日 IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.)発行の「19th Annual IEEE International Symposium on Personal,Indoor and Mobile Radio Communications(CD)」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年9月16日〜18日 独立行政法人科学技術振興機構、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構主催の「イノベーションジャパン2008−大学見本市」に出品
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年9月30日〜10月4日 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)、社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)主催の「シーテックジャパン2008」に出品
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年10月21日 IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.)発行の「2008 IEEE International Symposium on Wireless Communication Systems(CD)」に発表
【出願人】(504133110)国立大学法人電気通信大学 (383)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】