説明

通信端末の時刻取得方法、通信システム、通信端末及び基地局

【課題】 PHS等の通信端末の時刻取得方法であって、ユーザによる発信若しくは着信の操作を行うことなく正確な時刻を取得する。
【解決手段】 通信端末からの基地局に対する位置登録要求に応じて、基地局が位置登録受付又は位置登録拒否のメッセージを送信する通信システムにおける通信端末の時刻取得方法であって、前記基地局において、前記通信端末からの位置登録要求に応じた位置登録処理の結果に応じて当該通信端末に送信する位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに時刻情報を付加するステップと、前記位置登録要求に対応する基地局からの位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに含まれる時刻情報を前記通信端末で取得して、当該通信端末の内蔵時計の時刻を修正するステップとを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PHS等の通信端末(携帯端末)の時刻取得方法及び時刻取得システムであって、ユーザによる発信若しくは着信の操作を行うことなく正確な時刻を取得するものに関する。
【背景技術】
【0002】
PHS(Personal-Handy-Phone-System)、携帯電話およびPDA(Personal Digital Assistant)等の通信端末は、小型軽量であり、現在ではユーザが希望する殆ど全ての場所で、希望する時間に通信して希望する情報の取得、相手との通話又はメールや伝言(メッセージ)等を送信することが可能である。
【0003】
そして、このような通信端末は、内部回路の動作基準としてクロックを発生する基準クロック発生器を内蔵する。
そして、通信端末の時刻表示は、内蔵するクロック発生器に基づき且つクロック発生器は、一般に水晶振動子を使用するので、比較的高精度であるが、温度変化や時間の経過と共に不可避的に狂いが生じて正確な時刻を示しているとは限らない。
しかし、ユーザは、通信端末の時刻表示が常時可能な限り正確な時刻を示していることを希望するので時刻の修正が必要であった。
従来のPHSの時刻データ取得方法としては以下の技術(特許文献1参照)が知られている。
【0004】
内蔵されたクロックに基づき時刻を計算して表示装置に時刻を表示する時刻表示機能を有するPHSに表示する時刻データを、基地局を介して交換局から取得して時刻の不一致を修正する時刻データ取得方法において、前記時刻データは、レイヤ3メッセージ中に含まれるファシリティの空き領域を使用して取得することを特徴とする。
そして、前記ファシリティとして、前記PHSから前記交換局へのCC呼設定メッセージおよび前記交換局から前記PHSへのCC応答メッセージを使用することを特徴とする。
【特許文献1】特開2006−33072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の時刻取得方法では、CC呼設定メッセージを利用している為、発信又は着信した後にしか時刻を取得できないという問題があった。
【0006】
本発明の課題(目的)は、PHS等の通信端末の時刻取得方法であって、ユーザによる発信若しくは着信の操作を行うことなく正確な時刻を取得することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明は、通信端末からの基地局に対する位置登録要求に応じて、基地局が位置登録受付又は位置登録拒否のメッセージを送信する通信システムにおける通信端末の時刻取得方法であって、前記基地局において、前記通信端末からの位置登録要求に応じた位置登録処理の結果に応じて当該通信端末に送信する位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに時刻情報を付加するステップと、前記位置登録要求に対応する基地局からの位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに含まれる時刻情報を前記通信端末で取得して、当該通信端末の内蔵時計の時刻を修正するステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
また、前記通信端末からの基地局に対する位置登録要求は、当該通信端末の電源ONに伴って自動的に実行されることを特徴とする。
また、前記通信端末では、基地局から受信した位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージを当該メッセージの受信時刻情報と共に記憶することを特徴とする。
【0009】
また、通信端末からの基地局に対する位置登録要求に応じて、基地局が位置登録受付又は位置登録拒否のメッセージを送信する通信システムにおいて、前記基地局には、前記通信端末からの位置登録要求に応じてた位置登録処理の結果に応じて当該通信端末に送信する位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに時刻情報を付加する時刻情報付加手段と、前記通信端末には、前記基地局から受信した位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに付加された時刻情報に基づいて、当該通信端末の内蔵時計の時刻を修正する時刻修正手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、前記通信端末には、基地局から受信した位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージを当該メッセージの受信時刻情報と共に記憶する記憶手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、通信端末からの基地局に対する位置登録要求に応じて、基地局が位置登録受付又は位置登録拒否のメッセージを送信する通信システムにおける通信端末であって、前記基地局から受信した位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに付加された時刻情報に基づいて、当該通信端末の内蔵時計の時刻を修正する時刻修正手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、前記通信端末からの基地局に対する位置登録要求は、当該通信端末の電源ONに伴って自動的に実行されることを特徴とする。
また、前記通信端末には、基地局から受信した位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージを当該メッセージの受信時刻情報と共に記憶する記憶手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、通信端末からの基地局に対する位置登録要求に応じて、基地局が位置登録受付又は位置登録拒否のメッセージを送信する通信システムにおける基地局であって、前記基地局が当該通信端末に送信する位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに時刻情報を付加して送信する情報送信手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信端末の電源をONした後の基地局に対する位置登録によって正確な時刻(絶対時刻)を取得できるため、ユーザが発信や着信等を実行しなくても端末内蔵時計の時刻の修正が可能になる。
また、正確な時刻の取得を基地局から受信した位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに付加された時刻情報をもちいているので、位置登録受付(成功)又は位置登録拒否(失敗)の時刻と共に記録に残すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の正確な時刻の取得の手順を図1のフローチャートを用いて説明する。
・通信端末(例えばPHS端末)の電源をONにする。(ステップS1)
・通信端末内蔵の時計が起動中か否かの判断をする。(ステップS2)
・ステップS2の判断でNo(通信端末内蔵時計が停止中)場合には、当該通信端末内蔵時計を起動させる。(ステップS3)
・ステップS2の判断でYes(通信端末内蔵時計が起動中)の場合には、通信端末の位置登録手順(位置登録手順の詳細は後述する。)を開始する。(ステップS4)
・通信端末内蔵時計の時刻情報を取得し、通信端末内の所定の記憶部に記憶する。(ステップS5)
・ステップS4の位置登録要求に対して位置登録が成功したか否かの判断をする。(ステップS6)
・位置登録成功の場合には、図示しない基地局から位置登録受付メッセージ(このメッセージの詳細は後述する。)が送信されるので、そのメッセージを通信端末内の所定の記憶部に記憶する。(ステップS7)
・前記位置登録受付メッセージに含まれる絶対時間を取得する。(ステップS8)
・取得した絶対時間とステップS5で記憶した端末内蔵時刻との差分を求めて端末内蔵時刻の修正を実行する。(ステップS9)
・位置登録成功を修正した時刻と共に通信端末内の所定の記憶部に記憶する。(ステップS10)
・位置登録失敗の場合には、図示しない基地局から位置登録拒否メッセージ(このメッセージの詳細は後述する。)が送信されるので、そのメッセージを通信端末内の所定の記憶部に記憶する。(ステップS11)
・前記位置拒否受付メッセージに含まれる絶対時間を取得する。(ステップS12)
・取得した絶対時間とステップS5で記憶した端末内蔵時刻との差分を求めて端末内蔵時刻の修正を実行する。(ステップS13)
・位置登録失敗を修正した時刻と共に通信端末内の所定の記憶部に記憶する。(ステップS14)
【0016】
次に、図1のステップS4で開始される通信端末の位置登録の手順(制御シーケンス)の詳細について、図2を用いて説明する。
図2は、通信端末(PS)と基地局(CS)との通信端末の位置登録に関する制御シーケンス(データの流れ)を示す図である。
・先ず、通信端末(PS)から基地局(CS)に対して、リンクチャネル確率要求(S21)を送信する。
・リンクチャネル確率要求(S21)に応じて、基地局(CS)から通信端末(PS)からリンクチャネル割当(S22)が送信される。
・割当てられたチャネルを使用して通信端末(PS)から基地局(CS)に対して同期を確立するための同期バースト(S23)を送信する。
・通信端末(PS)からの同期バーストに応じて基地局(CS)から通信端末に同期バースト(S24)が送信される。
・通信端末(PS)から基地局(CS)に対して、SABM(Set-Asynchronous-Balanced-Mode )(非同期平衡モード設定)が送信される。
・通信端末からのSABMに対して、基地局(CS)から通信端末(PS)にUA(Unnumbered-Acknowledgment )(非番号制応答)が送信される。
・通信端末(PS)から基地局に、位置登録要求(S27)が送信される。
・基地局(CS)での位置登録処理の結果に応じて、基地局(CS)から通信端末(PS)に対して、位置登録受付若しくは位置登録拒否のメッセイージが送信される。
【0017】
図3は、基地局(CS)において通信端末(PS)からの位置登録要求に応じて、当該通信端末(PS)の位置登録処理を実行した結果、基地局(CS)から基地局(PS)に送信される位置登録受付メッセージ及び位置登録拒否メッセージの1例を示す図である。
図3(a)は、位置登録受付メッセージの1例であって、情報要素として、プロトコル識別子,メッセージ種別,位置登録エリア報告及び着信群指定の外に時刻情報が付加されている。
図3(b)は、位置登録拒否メッセージの1例であって、情報要素として、プロトコル識別子,メッセージ種別及び理由表示の外に時刻情報が付加されている。
図3(c)は、上記位置登録受付メッセージ及び位置登録拒否メッセージに含まれる日付情報のデータ構成であって、8オクテット長の内、第1オクテットには「情報要素識別子=日付」,第2オクテットには「情報要素内容長」,第3オクテットには「年」,第4オクテットには「月」,第5オクテットには「日」,第6オクテットには「時」,第7オクテットには「分」,第8オクテットには「秒」が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の正確な時刻の取得の手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の通信端末(PS)と基地局(CS)との通信端末の位置登録に関する制御シーケンス(データの流れ)を示す図である。
【図3】本発明で基地局(CS)から通信端末(PS)送信される位置登録受付メッセージ及び位置登録拒否メッセージの1例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末からの基地局に対する位置登録要求に応じて、基地局が位置登録受付又は位置登録拒否のメッセージを送信する通信システムにおける通信端末の時刻取得方法であって、
前記基地局において、前記通信端末からの位置登録要求に応じた位置登録処理の結果に応じて当該通信端末に送信する位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに時刻情報を付加するステップと、
前記位置登録要求に対応する基地局からの位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに含まれる時刻情報を前記通信端末で取得して、当該通信端末の内蔵時計の時刻を修正するステップと、
を含むことを特徴とする通信端末の時刻取得方法。
【請求項2】
前記通信端末からの基地局に対する位置登録要求は、当該通信端末の電源ONに伴って自動的に実行されることを特徴とする請求項1に記載の通信端末の時刻取得方法。
【請求項3】
前記通信端末では、基地局から受信した位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージを当該メッセージの受信時刻情報と共に記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の通信端末の時刻取得方法。
【請求項4】
通信端末からの基地局に対する位置登録要求に応じて、基地局が位置登録受付又は位置登録拒否のメッセージを送信する通信システムにおいて、
前記基地局には、前記通信端末からの位置登録要求に応じてた位置登録処理の結果に応じて当該通信端末に送信する位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに時刻情報を付加する時刻情報付加手段と、
前記通信端末には、前記基地局から受信した位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに付加された時刻情報に基づいて、当該通信端末の内蔵時計の時刻を修正する時刻修正手段と、
を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
前記通信端末には、基地局から受信した位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージを当該メッセージの受信時刻情報と共に記憶する記憶手段を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
通信端末からの基地局に対する位置登録要求に応じて、基地局が位置登録受付又は位置登録拒否のメッセージを送信する通信システムにおける通信端末であって、
前記基地局から受信した位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに付加された時刻情報に基づいて、当該通信端末の内蔵時計の時刻を修正する時刻修正手段、
を備えたことを特徴とする通信端末。
【請求項7】
前記通信端末からの基地局に対する位置登録要求は、当該通信端末の電源ONに伴って自動的に実行されることを特徴とする請求項6に記載の通信端末。
【請求項8】
前記通信端末には、基地局から受信した位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージを当該メッセージの受信時刻情報と共に記憶する記憶手段を備えることを特徴とする請求項6乃至請求項7に記載の通信端末。
【請求項9】
通信端末からの基地局に対する位置登録要求に応じて、基地局が位置登録受付又は位置登録拒否のメッセージを送信する通信システムにおける基地局であって、
前記基地局が当該通信端末に送信する位置登録受付メッセージ又は位置登録拒否メッセージに時刻情報を付加して送信する情報送信手段、
を備えたことを特徴とする基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−206088(P2008−206088A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42857(P2007−42857)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】