説明

通信端末装置

【課題】宛先情報を登録するためにユーザが装置の側に長時間拘束されるという問題を解消可能な技術を提供する。
【解決手段】宛先情報テーブル20には、名刺を読み取って生成した画像データをテキスト変換して取得されるテキストデータが、ユーザが通信の宛先を指定するために利用可能な登録宛先情報21として登録される。宛先情報テーブル20に登録された登録宛先情報21のうち、ユーザがその登録内容を確認していないものについては、その未確認フラグ23が「1」とされ、ユーザがその登録内容を確認したものについては、その未確認フラグ23が「0」とされる。未確認フラグ23が「1」とされている登録宛先情報21については、これが通信の宛先として受け付けることが禁止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、指定された宛先と通信を行う通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信端末装置においては、ユーザがよく通信する宛先の宛先情報(例えば、宛先の名前、電話番号、ファクシミリ番号、メールアドレスなど)を登録しておき、通信を行う場合に登録された宛先情報を読み出して宛先の指定を行う、ということが一般的に行われている。この構成によると、毎回宛先情報を入力して宛先の指定を行う必要がなくなり、操作の煩雑さを解消することができる。
【0003】
ところで、通常、宛先情報の登録は、ユーザが装置の操作部に設けられたテンキー等を用いて宛先情報を入力することによって行われるところ、登録すべき宛先情報の個数が多くなると、この登録作業に大変手間がかかる。
【0004】
近年においては、この登録作業のユーザ負担を軽減すべく、名刺を利用して宛先情報を登録する技術が実用化されている。具体的には、名刺を読み取って取得した画像データをOCR(Optical Character Reader)処理によってテキストデータに変換(テキスト変換)し、得られたテキストデータを宛先情報として登録するのである。名刺から得られたテキストデータには、名前、電話番号、ファクシミリ番号、メールアドレスなどが含まれており、これらが登録用の宛先情報として利用されることになる。この技術を用いると、宛先情報の登録作業のユーザ負担を大幅に低減することができる。
【0005】
ところで、一般的に、OCR処理では、認識対象となる文字パターンをあらかじめ記憶しておき、入力された画像データと文字パターンとを比較して、最も近似する文字パターンを選択することにより画像データをテキストデータに変換する(パターン・マッチング法)。ただし、この変換方法における変換率は完璧ではなく、誤変換が生じる可能性がある。すなわち、OCR処理の認識率は100%とはいえない。このため、上述した宛先情報の登録態様によると、誤認識により誤ったデータが宛先情報として登録されてしまうおそれがある。誤ったデータが宛先情報として登録されてしまうと、電話のかけ間違い、ファクシミリデータの誤送信、あるいはメールの誤送信、といった問題を引き起こしてしまう。
【0006】
そこで従来は、OCR処理により得られたテキストデータが正しくテキスト変換されたものであることをユーザの目で確認させ、誤りがないと確認されたもののみ、宛先情報として登録していた(特許文献1参照)。この構成によると、誤った宛先情報が登録されてしまうといった事態の発生を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−13813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、得られたテキストデータが正しくテキスト変換されたものであることをユーザの目で1つ1つ確認させてから宛先情報として登録する構成によると、ユーザが登録作業において装置の側に拘束される時間が長くなるという問題があった。すなわち、ユーザは、装置に名刺を読み取らせてから、読み取られた画像データがOCR処理によりテキストデータに変換されるまで装置の側に待機していなければならず、さらに得られたテキストデータを確認するまで装置の側を離れることができない。特に、装置の処理能力が比較的低い場合、また、大量の名刺を宛先情報として登録する場合などにおいては、ユーザが装置の側に拘束される時間はますます長くなってしまう。
【0009】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、宛先情報を登録するためにユーザが装置の側に長時間拘束されるという問題を解消可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、指定された宛先と通信を行う通信端末装置であって、読取対象物を読み取って画像データを取得する読取手段と、前記画像データをテキスト変換してテキストデータとする変換手段と、ユーザが通信の宛先を指定するために利用可能な宛先情報をデータベースに登録するとともに、前記データベースに登録された宛先情報を管理する登録管理手段と、前記登録された宛先情報が前記画像データから正しくテキスト変換されたものであることを確認する確認作業をユーザから受け付ける確認受付手段と、を備え、前記登録管理手段が、前記変換手段により取得されたテキストデータを、利用が制限される未確認宛先情報として前記データベースに登録し、前記未確認登録情報に対して前記確認作業が行われると、当該未確認宛先情報を確認済宛先情報として利用の制限を解除する。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の通信端末装置であって、前記登録された宛先情報のうちからユーザが選択した宛先情報を、通信の宛先として受け付ける宛先受付手段、を備え、前記宛先受付手段が、前記確認済宛先情報を表示部に一覧表示させて、ユーザに、当該一覧表示された前記確認済宛先情報のうちから通信の宛先となる宛先情報を選択させ、当該選択された宛先情報を通信の宛先として受け付ける。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1に記載の通信端末装置であって、前記登録された宛先情報のうちからユーザが選択した宛先情報を、通信の宛先として受け付ける宛先受付手段、を備え、前記宛先受付手段が、前記登録された宛先情報を表示部に一覧表示させて、ユーザに、当該一覧表示された前記宛先情報のうちから通信の宛先となる宛先情報を選択させ、ユーザが前記確認済宛先情報を通信の宛先として選択した場合は、選択された宛先情報を通信の宛先として受け付け、ユーザが前記未確認宛先情報を通信の宛先として選択した場合は、選択された宛先情報について前記確認作業が行われた後に、当該宛先情報を通信の宛先として受け付ける。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3に記載の通信端末装置であって、前記宛先受付手段が、前記表示部に一覧表示させた前記宛先情報のうち、前記未確認宛先情報とされている宛先情報については、当該宛先情報が前記未確認宛先情報であることを示す識別表示を前記表示部に行わせる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の通信端末装置であって、前記確認受付手段が、前記未確認宛先情報を表示部に一覧表示させて、当該一覧表示された前記未確認宛先情報のそれぞれについて、前記確認作業を受け付ける。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の通信端末装置であって、前記確認作業受付手段が、前記宛先情報の確認作業を受け付ける際に、当該宛先情報のテキスト変換前の前記画像データを前記表示部に表示させる。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1に記載の通信端末装置であって、前記宛先情報が複数の項目情報から構成され、前記確認作業受付手段が、前記確認作業を前記複数の項目情報のそれぞれについて別個に受け付け、前記登録管理手段が、前記未確認登録情報に含まれる前記複数の項目情報のいずれかに対して前記確認作業が行われると、当該項目情報を確認済項目情報として利用の制限を解除する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によると、画像データをテキスト変換することにより取得されたテキストデータを、利用が制限される未確認宛先情報としてデータベースに登録する。そして、未確認宛先情報に対して、当該宛先情報が画像データから正しくテキスト変換されたものであることを確認する確認作業が行われると、その利用の制限を解除する。この構成によると、テキスト変換により取得されたテキストデータは、それに対するユーザの確認作業が完了していなくとも、データベースに登録される。したがって、ユーザが宛先情報を登録するために装置の側に長時間拘束されることがない。また、確認作業が行われていない宛先情報についてはその利用が制限されるので、正しくテキスト変換されていない宛先情報が利用されることによって問題が生じる、といった事態の発生を抑制することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によると、確認済宛先情報を表示部に一覧表示させ、当該一覧表示された確認済宛先情報のうちから選択された宛先情報を通信の宛先として受け付ける。この構成によると、未確認宛先情報については選択可能な宛先情報として一覧表示されないので、正しくテキスト変換されなかった宛先情報が通信の宛先として受け付けられることが防止される。
【0019】
請求項3に記載の発明によると、ユーザが未確認宛先情報を通信の宛先として選択した場合は、選択された宛先情報についてユーザによる確認作業が行われた後に、当該宛先情報を通信の宛先として受け付ける。この構成によると、正しくテキスト変換されていない宛先情報が通信の宛先として受け付けられることが防止される。
【0020】
請求項4に記載の発明によると、表示部に一覧表示させた宛先情報のうち、未確認宛先情報とされている宛先情報については、当該宛先情報が未確認宛先情報であることを示す識別表示が行われる。この構成によると、ユーザは一覧表示されている宛先情報が、未確認宛先情報であることを容易に知得することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によると、未確認宛先情報を表示部に一覧表示させて、当該一覧表示された未確認宛先情報のそれぞれについて、確認作業を受け付ける。この構成によると、確認作業を効率的に行うことができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によると、宛先情報の確認作業を受け付ける際に、当該宛先情報のテキスト変換前の画像データが表示部に表示される。この構成によると、ユーザは、画像データを参照しながら確認作業を行うことができるので、確認作業をスムースに行うことができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によると、登録情報に含まれる複数の項目情報のいずれかに対して確認作業が行われると、当該項目情報の利用の制限が解除される。この構成によると、宛先情報に含まれる項目情報の全てについて確認作業が行われていなくとも、確認された項目情報については利用が制限されない。したがって、ユーザの利便性を高めることができる。一方で、確認作業が行われていない項目情報についてはその利用が制限されるので、正しくテキスト変換されなかった項目情報が通信の宛先の指定に利用されることによって誤通信を引き起こす、といった事態の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】通信端末装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】宛先情報テーブルの構成例を示す図である。
【図3】通信端末装置において実現される各機能部を示すブロック図である。
【図4】名刺を読み取って画像データを取得する処理の流れを示す図である。
【図5】画像データから情報を取り出して宛先情報として登録する処理の流れを示す図である。
【図6】確認作業受付処理の流れを示す図である。
【図7】確認用一覧表示画面の構成例を示す図である。
【図8】確認用画面の構成例を示す図である。
【図9】登録宛先情報を利用して通信の宛先を指定する処理の流れを示す図である。
【図10】宛先指定用一覧表示画面の構成例を示す図である。
【図11】登録宛先情報を利用して通信の宛先を指定する処理の流れを示す図である。
【図12】宛先指定用一覧表示画面の構成例を示す図である。
【図13】宛先情報テーブルの構成例を示す図である。
【図14】宛先情報テーブルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<A.第1の実施の形態>
<1.全体構成>
図1は、この発明の第1の実施形態に係る通信端末装置1の全体構成を示すブロック図である。通信端末装置1は、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能およびコピー機能を有するデジタル複合機(MFP;Multi Function Peripherals)であり、ファクシミリ機能を用いることにより、電気通信回線を経由して送信原稿に係る送信原稿データを送信することができる。
【0026】
図1に示すように、通信端末装置1は、MPU(マイクロプロセッサ;MicroProcessor Unit)101、ROM102およびRAM103を備える。MPU101、ROM102およびRAM103によって実現されるコンピュータは、通信端末装置1の制御部100として機能する。すなわち、制御部100は、ROM102に格納されたプログラムを実行することにより、通信端末装置1の各構成を統括制御し、通信端末装置1の各種機能を実現する。
【0027】
また、通信端末装置1は、画像データメモリ104を備える。画像データメモリ104は、画像データの格納に用いられる。
【0028】
また、通信端末装置は、宛先情報データベース105を備える。宛先情報データベース105は、宛先情報の蓄積に用いられる。「宛先情報」は、ユーザが通信の宛先を指定するために利用する情報であり、ユーザにより予め登録される。
【0029】
また、通信端末装置1は、原稿を読み取り、画像データを生成する画像読取部109と、画像データに基づく画像を記録媒体上に記録する画像記録部110を備える。
【0030】
画像読取部109は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等により、読取対象物となる原稿を読み取り、当該原稿の画像データを生成する。画像読取部109が生成した画像データは、画像データメモリ104に一時的に記憶される。画像読取部109は、ADF(Automatic Document Feeder)方式又はFBS(Flat Bed Scanner)方式により原稿を読み取ることができる。
【0031】
画像記録部110は、画像データメモリ104に格納された画像データに基づく画像を、電子写真方式により記録用紙等の記録媒体に視認可能に記録(プリント)して排出する。
【0032】
また、通信端末装置1は、ユーザインターフェースとして、操作部111および表示部112を備える。操作部111は、スタートボタン等の操作者の操作を検出可能な部材を含んで構成され、表示部112は、液晶ディスプレイ等の表示用の部材を含んで構成される。なお、表示部112を液晶タッチパネルディスプレイ等で構成して、表示部112が操作部111の一部又は全部の機能を兼ね備えるようにしてもよい。
【0033】
また、通信端末装置1は、各種の通信インターフェースを備える。NCU(網制御装置;Network Control Unit)107およびMODEM(モデム;MOdulator DEModulator)108は、一般公衆電話網を経由した画像データの送受信に用いられる。NCU107は、一般公衆電話網への接続を制御する。NCU107は、通信先の電話番号に対応したダイヤル信号を送出する機能および着信を検出する機能を備える。MODEM108は、ITU(国際電気通信連合)−T勧告T.30にしたがったファクシミリ伝送制御手順に基づいて、V.17,V.27ter,V.29等にしたがった送信データの変調および受信データの復調を行う。もしくは、MODEM108は、これらに加えて、V.34にしたがった送信データの変調および受信データの復調を行う。MODEM108によって変調された送信データは、NCU107を経由して一般公衆電話網へ送出される。また、MODEM108が復調を行う受信データは、NCU107を経由して一般公衆電話網から与えられる。
【0034】
ネットワークインターフェース106は、例えば、イーサネット(登録商標)により、通信端末装置1をネットワーク30に接続する。これにより、通信端末装置1は、ネットワーク30に接続されたSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバ20を利用して、電子メールを送信することができる。
【0035】
上述の構成により、通信端末装置1は、一般公衆電話網を経由して送信原稿に係る送信原稿データ(画像データ)を送信データとして送信するG3ファクシミリ装置として機能する。また、ネットワーク30を経由して送信原稿に係る送信原稿データを電子メールに添付して送信するインターネットファクシミリ装置としても機能する。なお、送信原稿データの送信先は、通信端末装置1をG3ファクシミリ装置として機能させる場合は電話番号で指定し、通信端末装置1をインターネットファクシミリ装置として機能させる場合は電子メールアドレスで指定することになる。
【0036】
<2.宛先情報テーブル>
上述したとおり、宛先情報データベース105には、ユーザが通信の宛先を指定するために利用可能な宛先情報が登録される。宛先情報は、データベース105において、宛先情報テーブル20の形で管理される。
【0037】
宛先情報テーブル20について、図2を参照しながら説明する。図2は、宛先情報テーブル20の構成例を示す図である。
【0038】
宛先情報テーブル20には、1以上の宛先情報が登録され、宛先情報テーブル20の1個のレコードは、1個の宛先情報に相当する。以下において、宛先情報テーブル20に登録されている宛先情報を「登録宛先情報21」という。
【0039】
登録宛先情報21は、例えば、「名前」「所属」「電話番号」「FAX番号」「メールアドレス」「住所」といった複数個の項目の情報(項目情報22)から構成されている。ただし、各登録宛先情報21に、必ずしも全項目の項目情報22が登録される必要はない。例えば、「名前」と「FAX番号」の2項目の項目情報22のみが登録された登録宛先情報21が存在してもよい。
【0040】
新たな宛先情報が登録される場合、宛先情報テーブル20に新たなレコードが追加され、当該追加されたレコードの各項目に、登録すべき情報がそれぞれ書き込まれる。後に説明するように、ユーザは、宛先情報テーブル20に登録された情報を利用して通信の宛先を指定することができる。
【0041】
ところで、以下に説明するように、通信端末装置1においては、画像データ(具体的には、名刺に記載された情報を読み取って得られた画像データ(以下「名刺画像データ40」という))をOCR処理によりテキスト変換して得られるテキストデータが、宛先情報として宛先情報テーブル20に登録される。ただし、OCR処理の認識率は100%とはいえないため、誤認識された情報がそのまま宛先情報として宛先情報テーブル20に登録されるおそれがある。したがって、宛先情報テーブル20に登録された登録宛先情報21は、それが正確にテキスト変換されたものであるかをユーザに一度確認させる必要がある。
【0042】
各レコードには、登録宛先情報21がユーザにより確認されているか否かを示すフラグ(未確認フラグ23)が付される。登録宛先情報21がユーザにより確認されていない場合、当該登録宛先情報21の未確認フラグ23は「1」とされ、ユーザにより確認されると、当該登録宛先情報21の未確認フラグ23が「1」から「0」に変更される。登録宛先情報21は、ユーザが通信の宛先を指定するために利用される情報であるが、後述するように、未確認フラグ23が「1」とされている登録宛先情報21(以下「未確認宛先情報」ともいう)については、ユーザはこれを自由に利用することができない。一方、未確認フラグ23が「0」とされている登録宛先情報21(以下「確認済宛先情報」ともいう)については、ユーザはこれを自由に利用することができる。
【0043】
<3.機能構成>
通信端末装置1が備える機能構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、通信端末装置1において実現される各機能部を示すブロック図である。
【0044】
通信端末装置1は、OCR処理部31と、登録管理部32と、確認作業受付部33と、宛先受付部34と、を備える。これら各部は、制御部100が記憶媒体等に記憶されている所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0045】
OCR処理部31は、画像データメモリ104に格納された名刺画像データ40にテキスト変換処理(具体的には、文字認識処理(OCR処理))を施してテキストデータとする。
【0046】
登録管理部32は、宛先情報テーブル20へ宛先情報の登録を行う。具体的には、OCR処理部31により取得されたテキストデータを、宛先情報として宛先情報テーブル20に登録する。さらに、登録管理部32は、宛先情報テーブル20に登録された登録宛先情報21を管理する。具体的には、各登録宛先情報21の未確認フラグ23を管理する。すなわち、OCR処理部31により取得されたテキストデータは、その時点では、それが正しくテキスト変換されたものであることの確認をユーザから受けていない。したがって、登録管理部32は、OCR処理部31から取得されたテキストデータを、まずは、未確認フラグ23を「1」とした状態で宛先情報テーブル20に登録する。そして、ユーザからの確認がなされた場合には、当該登録宛先情報21の未確認フラグ23を「1」から「0」に変更する。
【0047】
確認作業受付部33は、未確認フラグ23が「1」とされている登録宛先情報21について、その登録宛先情報21が、名刺画像データ40から正しくテキスト変換されたものであることを確認する作業(確認作業)をユーザから受け付ける。
【0048】
宛先受付部34は、登録宛先情報21のうち、ユーザが選択した登録宛先情報21の所定の項目情報22を読み出して、通信の宛先として受け付ける。すなわち、ユーザは、登録宛先情報21を利用して、通信の宛先を指定することができる。ただし、上述したとおり、未確認フラグ23が「1」とされている登録宛先情報21については、ユーザによる利用が制限される。具体的には、このような登録宛先情報21については、ユーザがこれを通信の宛先として指定することが禁止される。
【0049】
<4.宛先情報の登録>
通信端末装置1においては、上述した各機能部によって、名刺に記載された情報を読み取って宛先情報として登録する処理が実行される。当該処理について図4、図5を参照しながら説明する。図4、図5は、当該処理の流れを示す図である。
【0050】
<4−1.名刺の読み取り>
図4を参照する。図4は、名刺を読み取って画像データを取得する処理の流れを示す図である。
【0051】
ユーザから宛先情報の登録処理の開始指示を受け付けると、登録管理部32は、表示部112に所定の初期画面を表示させて、名刺を画像読取部110の原稿載置台にセットするようユーザに促す。なお、ユーザはここで複数枚の名刺を原稿載置台にセットすることができる。
【0052】
ユーザが、原稿載置台に1枚以上の名刺をセットしてスタートボタンを操作することにより(ステップS11でYES)、画像読取部109は、名刺を1枚ずつ読み取って画像データ(名刺画像データ40)を生成する(ステップS12)。
【0053】
名刺画像データ40が生成されると、画像読取部109は、得られた名刺画像データ40を、OCR処理待ちデータとして画像データメモリ104に格納(エンキュー)していく(ステップS13)。
【0054】
原稿載置台に載置された1枚以上の名刺の全ての読み取りが完了することにより(ステップS14でYES)、名刺の読み取り処理が終了する。ステップS11〜ステップS14の処理が完了すれば、ユーザはもはや通信端末装置1の側にいる必要はなく、読み取りが完了した名刺を回収して通信端末装置1から離れることができる。
【0055】
<4−2.宛先情報の登録>
図5を参照する。図5は、名刺を読み取って得られた画像データから名刺に記載された情報を取り出して、それを宛先情報として登録する処理の流れを示す図である。
【0056】
名刺画像データ40がOCR処理待ちデータとして画像データメモリ104に格納されると(ステップS21でYES)、OCR処理部31は、画像データメモリ104に格納された名刺画像データ40を、先に格納されたものから順に読み出す(デキュー)(ステップS22)。
【0057】
続いて、OCR処理部31は、ステップS22で取得された名刺画像データ40にOCR処理を施してテキストデータに変換する(ステップS23)。具体的には、名刺画像データ40に記述されている各文字列を、あらかじめ記憶している文字パターンと比較して、最も近似する文字パターンを選択することによりテキストデータに変換する(パターン・マッチング法)。名刺画像データ40をOCR処理することにより、名刺に記述されていた複数の文字列(例えば、図8に例示される名刺画像データ40の場合、「K会社 営業部 部長」「太田四郎」「住所 大阪市・・・」などといったテキストデータ)が順に取得される。OCR処理部31は、1個の名刺画像データ40から取得される複数のテキストデータ(以下「テキストデータ群」という)を登録管理部32に送る。
【0058】
登録管理部32は、OCR処理部31からテキストデータ群を取得することにより、宛先情報テーブル20に新たなレコードを生成し、当該新たに生成したレコードの各項目に、取得したテキストデータ群に含まれる各テキストデータを登録する(ステップS24)。
【0059】
具体的には、登録管理部32は、まず、取得したテキストデータ群に含まれる各テキストデータがどの項目に係る情報であるかを判断する。この判断は、例えば、テキストデータが、名刺のどの位置に記述されていたか、どの文字サイズで記述されていたか、あるいは、所定のキーワード情報を含むか否か、といったことに基づいて行われる。例えば、住所に関するキーワード(「区」「番地」など)を含むテキストデータは「住所」の項目に係る情報であると判断する。また、電話番号に関するキーワード(「電話」「TEL」など)を含むテキストデータは「電話番号」の項目に係る情報であると判断する。また、FAX番号に関するキーワード(「ファックス」「FAX」など)を含むテキストデータは「FAX番号」の項目に係る情報であると判断する。テキストデータ群に含まれる各テキストデータについて、当該テキストデータがどの項目に係る情報であるかが特定されると、新たに生成したレコードの各項目に、対応するテキストデータを登録する。
【0060】
ステップS24の処理により、ステップS22で取得された名刺画像データ40が、1個の宛先情報として登録されることになる。ただし、ここで新たに登録された宛先情報は、この時点では、まだユーザからの確認作業を受けておらず、OCR処理により得られたテキストデータがそのまま登録された状態である。したがって、登録管理部32は、新たな宛先情報を、未確認フラグ23を「1」とした状態で登録する。
【0061】
続いて、登録管理部32は、OCR処理待ちデータとして画像データメモリ104に格納された名刺画像データ40が残っているか否かを判断し(ステップS21)、OCR処理部待ちデータが残っている場合は、次の名刺画像データ40を宛先情報として登録する処理を実行し(ステップS22〜ステップS24)、OCR処理部待ちデータが残っていない場合は、処理を終了する。
【0062】
上記の構成によると、テキスト変換により取得されたテキストデータは、それに対するユーザの確認作業を待たずに、宛先情報テーブル20に登録される。したがって、ユーザが宛先情報を登録するために通信端末装置1の側に長時間拘束されることがない。なお、後述するように、未確認フラグ23が「1」とされている登録宛先情報21(すなわち、確認作業が行われていない登録宛先情報21)については、ユーザはこれを自由に利用することができない(利用が制限される)ので、正しくテキスト変換されなかった宛先情報が通信の宛先の指定に利用されることによって誤通信を引き起こす、といった事態の発生も抑制される。
【0063】
また上記の構成によると、読取対象物となる名刺が複数枚ある場合に、画像読取部109が、複数の名刺を順に読み取って、取得した名刺画像データ40を画像データメモリ104にエンキューし、OCR処理部31が、エンキューされた名刺画像データ40をデキューして、テキスト変換する。すなわち、画像データメモリ104の複数のメモリ空間を切り換えながら、名刺画像データ40の書き込み、および、読み出しを行う。この構成によると、読み取り動作とテキスト変換処理とを並行して行うことができるので、処理効率を高めることができる。
【0064】
<5.宛先情報の確認>
通信端末装置1においては、上述した各機能部によって、宛先情報テーブル20に登録された登録宛先情報21が、名刺画像データ40から正しくテキスト変換されたものであることをユーザに確認させる処理(確認作業受付処理)が実行される。当該処理について図6〜図8を参照しながら説明する。図6は、当該処理の流れを示す図である。また、図7、図8は、当該処理において表示部112に表示される表示画面の構成例を示す図である。
【0065】
なお、ユーザは任意のタイミングで操作部111から確認作業受付処理の開始指示を入力することができる。確認作業受付処理の開始指示を入力するキーは、各種の画面に表示することができる。例えば、後述するように、ユーザが登録宛先情報21を利用して通信宛先を指定しようとした場合に、表示部112には登録宛先情報21を一覧表示した画面(後述する「宛先指定用一覧表示画面83」(図10参照)が表示されるが、この画面中に表示してもよい(図10の「確認」キー)。また例えば、通信端末装置1の電源がONされた時に表示される初期画面、あるいは、待機画面に表示してもよい。
【0066】
ユーザから確認作業受付処理の開始指示を受け付けると(ステップS31でYES)、確認作業受付部33は、まず、登録宛先情報21のうち、未確認フラグ23が「1」とされているものを宛先情報テーブル20から読み出して、表示部112に一覧表示させる(ステップS32)。
【0067】
図7には、ステップS32で表示される一覧画面(確認用一覧表示画面81)の構成例が示されている。確認用一覧表示画面81には、未確認の登録宛先情報21が一覧表示されるとともに、一覧表示された登録宛先情報21のどれかを選択するようにユーザに促すメッセージが表示される。
【0068】
再び図6を参照する。ユーザが、一覧表示されている登録宛先情報21のうちの1つを選択することにより(ステップS33でYES)、確認作業受付部33は、選択された登録宛先情報21の登録内容を確認させるための画面(確認用画面82)を表示部112に表示させる(ステップS34)。
【0069】
図8には、ステップS34で表示される確認用画面82の構成例が示されている。確認用画面82には、選択された登録宛先情報21の登録内容(登録データ)を表示した登録データ表示エリア821と、当該登録宛先情報21のテキスト変換前の名刺画像データ40を表示した確認用画像表示エリア822とが、並べて表示される。ユーザは、確認用画像表示エリア822に表示された名刺画像データ40と、登録データ表示エリア821に表示された登録データとを見比べることによって、名刺に記載された内容が正確に登録されているかを確認することができる。また、確認用画面82には、登録内容の修正を受け付ける「修正」キー823と、登録内容に誤りがないことの確認を受け付ける「登録」キー824とが表示される。
【0070】
再び図6を参照する。登録内容に誤りを見つけた場合、ユーザは、「修正」キー823を操作して正しい情報を操作部111から入力することができる。確認作業受付部33は、「修正」キー823の操作を受け付けると(ステップS35でYES)、ユーザから入力された修正情報を受け付けて、当該登録宛先情報21の登録内容を修正する(ステップS36)。
【0071】
登録内容に誤りがないことを確認すれば、ユーザは「登録」キー824を操作して、当該登録宛先情報21の登録内容に誤りがないことを確認した旨を入力する。確認作業受付部33は、「登録」キー824の操作を受け付けると(ステップS37でYES)、当該登録宛先情報21に対してユーザからの確認作業を受け付けた旨を登録管理部32に通知する。
【0072】
当該通知を受けた登録管理部32は、通知された登録宛先情報21の未確認フラグ23を「1」から「0」に変更する(ステップS38)。
【0073】
また、確認作業受付部33は、当該「登録」キーの操作を受け付けると(ステップS37でYES)、表示部112に確認用画面82を閉じさせる。そして、再び、確認用一覧表示画面81を表示部112に表示させて、ユーザからの登録宛先情報21の選択を受け付ける(ステップS32)。登録宛先情報21の選択がされなければ、表示部112に確認用一覧表示画面81を閉じさせて、処理を終了する。
【0074】
上記の構成によると、確認フラグ23が「1」とされている未確認の登録宛先情報21を表示部112に一覧表示させて、当該一覧表示された登録宛先情報21のそれぞれについて、確認作業を受け付ける。この構成によると、確認作業を効率的に行うことができる。
【0075】
また、上記の構成によると、登録宛先情報21の確認作業を受け付ける際に、当該登録宛先情報21のテキスト変換前の名刺画像データ40が表示部112に表示される。この構成によると、ユーザは、名刺画像データ40を参照しながら確認作業を行うことができるので、確認作業をスムースに行うことができる。
【0076】
<6.宛先情報を利用した宛先の指定>
通信端末装置1においては、上述した各機能部によって、宛先情報テーブル20に登録された宛先情報を利用して通信の宛先を指定する処理が実行される。当該処理について、図9、図10を参照しながら説明する。図9は、当該処理の流れを示す図である。また、図10は、当該処理において表示部112に表示される表示画面の構成例を示す図である。
【0077】
ユーザから登録宛先情報21を利用した通信宛先の指定作業の開始指示を受け付けると(ステップS41でYES)、宛先受付部34は、登録宛先情報21のうち、未確認フラグ23が「0」とされているもの(確認済登録宛先情報)を宛先情報テーブル20から読み出して、表示部112に一覧表示させる(ステップS42)。
【0078】
図10には、ステップS41で表示される一覧画面(宛先指定用一覧表示画面83)の構成例が示されている。宛先指定用一覧表示画面83には、未確認フラグ23が「0」とされている登録宛先情報21が一覧表示されるとともに、一覧表示された登録宛先情報21のどれかを選択するようにユーザに促すメッセージが表示される。
【0079】
再び図9を参照する。ユーザが、一覧表示されている登録宛先情報21のうちの少なくとも1つを選択することにより(ステップS43でYES)、宛先受付部34は、選択された登録宛先情報21の所定の項目情報22を宛先情報テーブル20から読み出して、通信の宛先として受け付ける(ステップS44)。どの項目の項目情報22を読み出すかは、例えば、ユーザがどのような種類の通信の宛先を指定しようとしているかに基づいて宛先受付部34が判断する。例えば、ユーザが電話通信の宛先を指定しようとしている場合は、「電話番号」の項目情報22を読み出して、通信の宛先として受け付ける。また、例えば、ユーザがFAX通信の宛先を指定使用としている場合は、「FAX番号」の項目情報22を読み出して、通信の宛先として受け付ける。なお、どの項目の項目情報22を読み出すかをここでユーザに選択させてもよい。
【0080】
上記の構成によると、宛先指定用一覧表示画面83には、未確認フラグ23が「0」とされている登録宛先情報21(確認済登録宛先情報)しか表示されないので、ユーザは、未確認フラグ23が「1」とされている登録宛先情報21(未確認登録宛先情報)を通信の宛先として選択することができない(すなわち、未確認登録宛先情報については、ユーザの利用が制限される)。したがって、正しくテキスト変換されなかった宛先情報が通信の宛先として受け付けられることが防止される。一方、未確認登録宛先情報に対してユーザの確認作業が行われると、その未確認フラグ23は「0」とされるので、ユーザは、当該登録宛先情報21を通信の宛先として選択することができるようになる(すなわち、未確認登録宛先情報に対して確認作業が行われると、その利用の制限が解除される)。したがって、ユーザは正しくテキスト変換された登録宛先情報21を利用して簡易に宛先の指定を行うことができる。
【0081】
<B.第2の実施の形態>
この発明の第2の実施の形態に係る通信端末装置2について説明する。なお、以下においては、第1の実施の形態に係る通信端末装置1と相違する点を説明し、相違しない点は説明を省略する。また、第1の実施の形態と同様の構成要素については、同じ符号で示す。
【0082】
<1.機能構成>
この実施の形態に係る通信端末装置2は、第1の実施の形態と同様、OCR処理部31と、登録管理部32と、確認作業受付部33とを備える。また、第1の実施の形態に係る宛先受付部34に相当する機能部として、宛先受付部341を備える(図3参照)。
【0083】
宛先受付部341は、第1の実施の形態に係る宛先受付部34と同様、登録宛先情報21のうち、ユーザが選択した登録宛先情報21の所定の項目情報22を読み出して、通信の宛先として受け付ける。すなわち、ユーザは、登録宛先情報21を利用して、通信の宛先を指定することができる。ただし、上述したとおり、未確認フラグ23が「1」とされている登録宛先情報21については、ユーザによる利用が制限される。
【0084】
宛先受付部341が、第1の実施の形態に係る確認作業受付部33と相違する点は、未確認フラグ23が「1」とされている登録宛先情報21(未確認登録宛先情報)の利用を制限する態様である。すなわち、宛先受付部341は、ユーザからの宛先の選択を受け付ける画面に、未確認登録宛先情報を含む全ての登録宛先情報21を表示する。ただし、ユーザが未確認登録宛先情報を通信の宛先として選択した場合は、当該選択された登録宛先情報21に対してユーザの確認作業が行われた後に、これを通信の宛先として受け付ける。つまり、未確認登録宛先情報については、ユーザはこれに対する確認作業を行った上でなければ、これを通信の宛先として設定することができないことになる。これによって、未確認の登録宛先情報21についてのユーザの利用が制限される。
【0085】
<2.宛先情報を利用した宛先の指定>
通信端末装置2においても、上述した各機能部によって、宛先情報テーブル20に登録された宛先情報を利用して通信の宛先を指定する処理が実行される。当該処理について、図11、図12を参照しながら説明する。図11は、当該処理の流れを示す図である。また、図12は、当該処理において表示部112に表示される表示画面の構成例を示す図である。
【0086】
ユーザから登録宛先情報21を利用した通信宛先の指定作業の開始指示を受け付けると(ステップS51でYES)、宛先受付部341は、宛先情報テーブル20から登録宛先情報21を読み出して、表示部112に一覧表示させる(ステップS52)。ただし、ここで、宛先受付部341は、未確認フラグ23が「1」とされている登録宛先情報21については、当該一覧表示において、当該宛先情報が未確認の登録宛先情報21であることを示す識別表示を表示部112に行わせる。識別表示は、どのようなものであってもよい。例えば、未確認の登録宛先情報21の横に「未確認」とのマークを表示させる構成としてもよいし、未確認の登録宛先情報21については確認済の登録宛先情報21とは異なる色で表示させる構成としてもよい。
【0087】
図12には、ステップS52で表示される一覧画面(宛先指定用一覧表示画面831)の構成例が示されている。宛先指定用一覧表示画面831には、登録宛先情報21が一覧表示されるとともに、一覧表示された登録宛先情報21のどれかを選択するようにユーザに促すメッセージが表示される。また、未確認の登録宛先情報21の横には、当該宛先情報が未確認の登録宛先情報21であることを示す識別表示として、例えば「未確認」と表示されたマーク8311が表示される。
【0088】
再び図11を参照する。ユーザが、一覧表示されている登録宛先情報21のうちの少なくとも1つを選択することにより(ステップS53でYES)、宛先受付部341は、選択された登録宛先情報21の未確認フラグ23が「0」であるか否か(すなわち、選択された登録宛先情報21が、確認済登録宛先情報であるか否か)を判断する(ステップS54)。
【0089】
選択された登録宛先情報21の未確認フラグ23が「0」である場合(すなわち、選択された登録宛先情報21が、確認済登録宛先情報である場合)、宛先受付部341は、選択された登録宛先情報21の所定の項目情報22を宛先情報テーブル20から読み出して、通信の宛先として受け付ける(ステップS55)。
【0090】
一方、選択された登録宛先情報21の未確認フラグ23が「0」でない場合(すなわち、選択された登録宛先情報21が、未確認登録宛先情報である場合)、宛先受付部341は、確認作業受付部33に、当該選択された登録宛先情報21についての確認作業受付処理を実行開始させ(ステップS56)、当該選択された登録宛先情報21の未確認フラグ23が「1」から「0」に変更されるまで待機する。
【0091】
確認作業受付部33は、宛先受付部341からの指示に応じて一連の確認作業受付処理(図6参照)を実行開始する。ステップS53で選択された登録宛先情報21に対してユーザからの確認作業を受け付けると、確認作業受付部33はその旨を登録管理部32に通知する。そして、当該通知を受けた登録管理部32は、通知された登録宛先情報21の未確認フラグ23を「1」から「0」に変更する。
【0092】
ステップS53で選択された登録宛先情報21の未確認フラグ23が「0」となることにより(すなわち、当該選択された登録宛先情報21に対するユーザの確認作業が完了することにより)、宛先受付部341は、選択された登録宛先情報21の所定の項目情報22を宛先情報テーブル20から読み出して、通信の宛先として受け付ける(ステップS55)。
【0093】
上記の構成によると、宛先指定用一覧表示画面831に表示された登録宛先情報21のうち、ユーザが未確認登録宛先情報を通信の宛先として選択した場合は、選択された登録宛先情報21について確認作業が行われた後に、当該登録宛先情報21を通信の宛先として受け付ける。すなわち、ユーザは、未確認登録宛先情報を通信の宛先として選択した場合、当該選択した登録宛先情報21に対する登録作業を行ってからでなければ、当該登録宛先情報21を通信の宛先とすることができない(すなわち、未確認登録宛先情報については、ユーザの利用が制限される)。したがって、正しくテキスト変換されなかった宛先情報が通信の宛先として受け付けられることが防止される。
【0094】
また、上記の構成によると、表示部112に一覧表示させた登録宛先情報21のうち、未確認の登録宛先情報21とされているものについては、当該登録宛先情報21が未確認の登録宛先情報21であることを示す識別表示が行われる。この構成によると、ユーザは一覧表示されている登録宛先情報21が、未確認の登録宛先情報21であることを容易に知得することができる。
【0095】
<C.その他の実施の形態>
上記の各実施の形態においては、通信の宛先の指定に宛先情報テーブル20に登録された情報を用いる構成としていたが、通信の宛先の指定以外にこれを利用してもよい。例えば、ファクシミリ通信のカバーページの作成に利用してもよい。この場合、例えば、ユーザがファクシミリ通信のカバーページの作成指示を入力した場合は、宛先情報テーブル20に登録された情報のうち、カバーページに必要な情報(例えば、「名前」「所属」「FAX番号」などの項目情報22)を読み込むことになる。
【0096】
また、上記の各実施の形態においては、宛先情報テーブル20に登録される各登録宛先情報21に未確認フラグ23が付される構成としていたが、項目情報22毎に別個に未確認フラグ23を付してもよい。
【0097】
この変形例に係る宛先情報テーブル201の構成例が図13に例示されている。宛先情報テーブル201には、宛先情報テーブル20と同様、1以上の登録宛先情報21が登録され、各登録宛先情報21は、複数の項目情報22から構成されている。各項目には、当該項目情報22がユーザにより確認されているか否かを示すフラグ(未確認フラグ231)が付される。
【0098】
この変形例においては、確認作業受付部33は、確認作業を、各登録宛先情報21に含まれる複数の項目情報22のそれぞれについて別個に受け付ける。また、登録管理部32は、OCR処理部31から取得されたテキストデータを、まずは、全項目情報22の未確認フラグ231を「1」とした状態で宛先情報テーブル20に登録する。そして、ユーザがいずれかの項目情報22に対して確認作業を行った場合には、当該項目情報22の未確認フラグ231を「1」から「0」に変更する。
【0099】
登録宛先情報21は、ユーザが通信の宛先を指定するために利用される情報であるが、未確認フラグ231が「1」とされている項目情報22については、ユーザはこれを自由に利用することができない。一方、未確認フラグ231が「0」とされている項目情報22については、ユーザはこれを自由に利用することができる。ユーザの利用を制限する態様については、上記の各実施の形態において説明した態様を採用することができる。
【0100】
この変形例によると、登録宛先情報21に含まれる複数の項目情報22のいずれかに対して確認作業が行われると、当該項目情報22の利用の制限が解除される。この構成によると、登録宛先情報21に含まれる項目情報22の全てについて確認作業が行われていなくとも、確認された項目情報22については利用が制限されない。したがって、ユーザの利便性を高めることができる。一方で、確認作業が行われていない項目情報22についてはその利用が制限されるので、正しくテキスト変換されなかった項目情報22が通信の宛先の指定に利用されることによって誤通信を引き起こす、といった事態の発生を抑制することができる。
【0101】
上記の変形例においては、未確認フラグ231を項目情報22毎に設ける構成としている。ところで、例えば、通信端末装置3が、宛先情報テーブル20に登録された「所属」「住所」などの項目情報22を利用してFAXのカバーページを自動に作成する機能を備えていない場合は、「所属」「住所」などの項目は、外部装置との通信に利用される可能性は低い。このような、外部装置との通信に利用される可能性が低い項目がある場合、当該項目については、未確認フラグ231を設けない構成としてもよい。この構成に係る宛先情報テーブル202が図14に例示されている。図14に示される宛先情報テーブル202によると、「所属」「住所」などの項目には未確認フラグ23が設けられないので、これらの項目の項目情報22については、ユーザは確認作業の有無に関係なく自由に利用することができる。また、これらの項目情報22は、外部装置との通信に利用される可能性は低いので、正しくテキスト変換されていなかったとしても、誤通信の原因となることもない。
【0102】
また、上記の各実施の形態においては、名刺を読み取って取得した画像データに基づいて登録宛先情報21の登録を行っていたが、名刺以外(例えば、運転免許証、住民票などの帳票)を読み取って取得した画像データに基づいて登録宛先情報21の登録を行ってもよい。
【符号の説明】
【0103】
1,2 通信端末装置
20,201,202 宛先情報テーブル
31 OCR処理部
32 登録管理部
33 確認作業受付部
34,341 宛先受付部
100 制御部
109 画像読取部
110 画像記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された宛先と通信を行う通信端末装置であって、
読取対象物を読み取って画像データを取得する読取手段と、
前記画像データをテキスト変換してテキストデータとする変換手段と、
ユーザが通信の宛先を指定するために利用可能な宛先情報をデータベースに登録するとともに、前記データベースに登録された宛先情報を管理する登録管理手段と、
前記登録された宛先情報が前記画像データから正しくテキスト変換されたものであることを確認する確認作業をユーザから受け付ける確認受付手段と、
を備え、
前記登録管理手段が、
前記変換手段により取得されたテキストデータを、利用が制限される未確認宛先情報として前記データベースに登録し、前記未確認登録情報に対して前記確認作業が行われると、当該未確認宛先情報を確認済宛先情報として利用の制限を解除する通信端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信端末装置であって、
前記登録された宛先情報のうちからユーザが選択した宛先情報を、通信の宛先として受け付ける宛先受付手段、
を備え、
前記宛先受付手段が、
前記確認済宛先情報を表示部に一覧表示させて、ユーザに、当該一覧表示された前記確認済宛先情報のうちから通信の宛先となる宛先情報を選択させ、当該選択された宛先情報を通信の宛先として受け付ける通信端末装置。
【請求項3】
請求項1に記載の通信端末装置であって、
前記登録された宛先情報のうちからユーザが選択した宛先情報を、通信の宛先として受け付ける宛先受付手段、
を備え、
前記宛先受付手段が、
前記登録された宛先情報を表示部に一覧表示させて、ユーザに、当該一覧表示された前記宛先情報のうちから通信の宛先となる宛先情報を選択させ、
ユーザが前記確認済宛先情報を通信の宛先として選択した場合は、選択された宛先情報を通信の宛先として受け付け、
ユーザが前記未確認宛先情報を通信の宛先として選択した場合は、選択された宛先情報について前記確認作業が行われた後に、当該宛先情報を通信の宛先として受け付ける通信端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信端末装置であって、
前記宛先受付手段が、
前記表示部に一覧表示させた前記宛先情報のうち、前記未確認宛先情報とされている宛先情報については、当該宛先情報が前記未確認宛先情報であることを示す識別表示を前記表示部に行わせる通信端末装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の通信端末装置であって、
前記確認受付手段が、
前記未確認宛先情報を表示部に一覧表示させて、当該一覧表示された前記未確認宛先情報のそれぞれについて、前記確認作業を受け付ける通信端末装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の通信端末装置であって、
前記確認作業受付手段が、
前記宛先情報の確認作業を受け付ける際に、当該宛先情報のテキスト変換前の前記画像データを前記表示部に表示させる通信端末装置。
【請求項7】
請求項1に記載の通信端末装置であって、
前記宛先情報が複数の項目情報から構成され、
前記確認作業受付手段が、
前記確認作業を前記複数の項目情報のそれぞれについて別個に受け付け、
前記登録管理手段が、
前記未確認登録情報に含まれる前記複数の項目情報のいずれかに対して前記確認作業が行われると、当該項目情報を確認済項目情報として利用の制限を解除する通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−160381(P2011−160381A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22872(P2010−22872)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】