説明

通信端末

【課題】状況の変化を反映したデータ共有を実現することができる通信端末を提供する。
【解決手段】通信部205は、電子データが選択される第1のタイミング及び第2のタイミングの間で、データ共有に参加している他の通信端末が所有する電子データを示す所有情報を他の通信端末から受信する。情報解析部207は、電子データの選択条件を示す条件情報に基づいて、データ格納部204に記憶された電子データと、所有情報が示す電子データとの中から電子データを選択する。通信部205は、データ格納部204に記憶された電子データが選択された場合に、当該電子データを他の通信端末へ送信する。また、通信部205は、他の通信端末が有する電子データが選択された場合に、選択された電子データを有する他の通信端末へ、電子データを送信させるための情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機能を有し、他の通信端末と電子データを共有する通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
家族や友人同士が遠足や運動会などのイベントへ出掛けると、記念のため写真撮影を行うことは多々ある。自分以外の人が撮影した写真を閲覧したい場合、他の人のカメラの再生モード画面を見せてもらうか、通信インフラが存在しない環境でも赤外線通信などのように端末間で通信できる通信手段を用いて二者間通信を行い、写真を自分の端末へ転送してもらい、写真共有を行うことが考えられる。しかし、煩わしい操作が必要であり、写真を1枚ずつしか共有することができない。そこで、複数の端末間で写真などのコンテンツを共有して同時再生する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−13704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のコンテンツ共有方法においては、コントローラーとしての役割を備えた端末が、最初にネットワークに接続された各端末に対し、再生条件を送信し、各端末はその条件に合致するコンテンツが自身にあれば、その情報をコントローラー端末へ応答し、それらの情報に基づいてコントローラー端末が再生順プレイリストを作成している。しかしながら、各端末の同時再生中に新たに端末が参加した場合や既に接続中の端末に新たにコンテンツが増えた場合に、最初に作成された再生順プレイリストに基づく再生が終了するまでは、新たに参加した端末が所有するコンテンツを再生したり接続中の端末で増えたコンテンツを再生したりすることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、状況の変化を反映したデータ共有を実現することができる通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、電子データと、電子データの選択条件を示す条件情報とを記憶する記憶部と、前記条件情報に基づいて、前記記憶部に記憶された電子データと、データ共有に参加している他の通信端末が所有する電子データを示す所有情報が示す電子データとの中から電子データを選択する選択部とを有する通信端末であって、前記選択部が電子データを選択する第1のタイミング及び第2のタイミングの間に前記所有情報を他の通信端末から受信する通信部をさらに有し、前記通信部は、前記記憶部に記憶された電子データが前記選択部によって選択された場合は、当該電子データを他の通信端末へ送信し、前記通信部は、他の通信端末が有する電子データが前記選択部によって選択された場合は、選択された電子データを有する他の通信端末へ、電子データを送信させるための情報を送信することを特徴とする通信端末である。
【0007】
また、本発明の通信端末において、前記通信部は、他の通信端末から送信された、電子データを送信させるための前記情報を受信し、前記選択部は、前記通信部が電子データを送信させるための前記情報を受信した場合に電子データを選択することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の通信端末において、前記通信部は、電子データを送信させるための前記情報として、選択された電子データを指定する情報を送信し、他の通信端末から送信された、選択された電子データを指定する前記情報を受信し、前記通信部は更に、選択された電子データを指定する前記情報を受信した場合に、受信した前記情報が指定する電子データを他の通信端末へ送信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の通信端末は、前記選択部が選択した電子データに付随する情報に基づいて前記条件情報を更新する更新部を更に有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の通信端末において、前記通信部は、他の通信端末から前記条件情報を受信し、受信した前記条件情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記条件情報を更新する更新部を更に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、記憶部に記憶された電子データが選択の対象となるので、自身の記憶部に記憶された電子データが増加又は減少するなどの状況の変化が生じても、選択部による電子データの選択に対して、その状況の変化を反映させることが可能となる。また、電子データの選択に用いられる所有情報が、データ共有に参加している他の通信端末から、電子データの選択が行われる第1のタイミング及び第2のタイミングの間で受信されるので、データ共有に参加する他の通信端末が増加又は減少する、あるいはデータ共有に参加している他の通信端末が所有する電子データが増加又は減少するなどの状況の変化が生じても、選択部による電子データの選択に対して、その状況の変化を反映させることが可能となる。従って、状況の変化を反映したデータ共有を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による通信システムの構成とユーザインターフェイス画面の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるキーワードを示す参考図である。
【図4】本発明の一実施形態による通信システムの動作イメージを示す参考図である。
【図5】本発明の一実施形態による通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の一実施形態による通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の一実施形態によるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態によるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態によるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態におけるキーワード及び写真情報リストを示す参考図である。
【図11】本発明の一実施形態による通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図12】本発明の一実施形態による通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の一実施形態による通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図14】本発明の一実施形態による通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図15】本発明の一実施形態による通信システムの動作イメージを示す参考図である。
【図16】本発明の一実施形態による通信システムの動作イメージを示す参考図である。
【図17】本発明の一実施形態におけるキーワードの生成方法を説明するための参考図である。
【図18】本発明の一実施形態におけるキーワードを示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態による通信システムの構成を示している。本通信システムは、デジタルカメラ101、102、103を含む複数のデジタルカメラを有し、各デジタルカメラが所有するコンテンツ(電子データ)である写真(画像データ)を各デジタルカメラで共有する。
【0014】
デジタルカメラ101、102、103は無線通信機能を有しており、ネットワークを構築し、データ通信が可能な状態にある。図1(a)に示す状態では、デジタルカメラ101は、自身が撮影し保存している写真111をデジタルカメラ102、103へ送信する。写真111をデジタルカメラ102、103などの複数の端末へ送信するために、デジタルカメラ101はIPマルチキャストなどの技術を利用し、写真の送信を行う。デジタルカメラ101は写真111の送信後、送信した写真111を自身の表示部へ表示する。デジタルカメラ102、103は、デジタルカメラ101から写真111を受信し、受信した写真111をそれぞれ自身の表示部へ表示する。
【0015】
尚、それぞれのデジタルカメラは機能的役割を有している。具体的には、各デジタルカメラは、後述するキーワードの生成を行い写真を配信する役割(親)と、他のデジタルカメラから送信された写真を受信する役割(子)とのいずれかを持つ。この役割を条件(キーワード)に従って入れ替えることにより、それぞれのデジタルカメラが所有する写真を順番に再生し、共有することが可能になる。また、写真の配信及び再生を繰り返すたびに、条件(キーワード)が更新される。
【0016】
図1(b)は、デジタルカメラ101が写真を配信する際のユーザインターフェイス画面を示している。デジタルカメラ101は、デジタルカメラ102、103と連携して連続的な写真再生を行う最初のきっかけとして、図1(b)に示すような「撮影時刻順」や「撮影場所順」などの再生順に関するメニューを表示部へ表示し、ユーザに入力を促す。
【0017】
「撮影時刻順」は、ネットワークに接続中の各デジタルカメラ内部に保存されている写真の撮影時刻が古い/新しいものから写真の配信を行う、ということを意味する。「撮影場所順」は、撮影時刻順と同様にネットワークに接続中の各デジタルカメラ内部に保存されている写真の撮影場所順に写真の配信を行う、ということを意味する。この撮影位置順には例えば「北から南」、「東から西」、「現在地から近い/遠い」など様々な再生パターンがある。また、この再生順は、上記撮影時刻及び撮影位置の情報だけでなく、写真データに付与されているカメラ機材情報や撮影パラメータ、ユーザが付与したメタデータなどに基づいても良い。尚、デジタルカメラ間での写真配信を行う前処理として、上記再生順を示す条件が決定された後、その条件がデジタルカメラ間で共有される。
【0018】
図2はデジタルカメラ101の構成を示している。図2では代表してデジタルカメラ101の構成が示されているが、他のデジタルカメラの構成も同一である。デジタルカメラ101は、撮像部201、画像処理部202、表示部203、データ格納部204、通信部205、配信判定部206、情報解析部207、キーワード生成部208、入力部209、及び役割判定部210を有する。
【0019】
撮像部201は写真撮影を行い、写真データ(画像データ)を生成する。画像処理部202は、撮像部201が生成した写真データのパラメータ調整や画像フォーマットの変換及び処理を行う。表示部203は、撮像部201が撮影した写真データ及び他のデジタルカメラより受信した写真データを表示する。データ格納部204は、撮像部201が撮影した写真データ及び他のデジタルカメラより受信した写真データなどを保存・格納する。
【0020】
通信部205は、他のデジタルカメラとデータ通信を行う。配信判定部206は、他のデジタルカメラへ配信権を交代するかどうか判定し、判定結果メッセージを生成する。情報解析部207は、次に配信すべき写真が自身のデータ格納部204と他のデジタルカメラのデータ格納部204のどちらに存在するのかを解析する。キーワード生成部208は、写真の連続再生の際、次に再生すべき写真を選択するために他のデジタルカメラに送信する条件(キーワード)を生成する。入力部209は、ユーザからの各種入力を受け付ける。役割判定部210は、デジタルカメラ101の役割が親であるか子であるかを判定する。
【0021】
図3は、写真配信の順序を決めるためにデジタルカメラから別のデジタルカメラへ送信されるキーワード(条件情報)を示している。キーワード301は、例えばタグ情報302、撮影時刻303、撮影位置304の少なくともいずれかを含む情報である。撮影時刻303は、ユーザが次に再生したい写真に求める時刻情報を含む。この時刻情報を受け取ったデジタルカメラは、この時刻情報に関連する写真が自身のデータ格納部204に存在するかどうか確認し、その有無を応答する。
【0022】
撮影位置304は、ユーザが次に再生したい写真に求める位置情報を含む。この情報を受け取ったデジタルカメラはこの位置情報に関連する写真が自身のデータ格納部204に存在するかどうか確認し、その有無を応答する。タグ情報302は、上記撮影時刻、撮影位置以外の情報を意味する。例えば、撮影パラメータや撮影機材情報など撮影設定に関する情報、あるいは天気や気温など撮影条件に関する情報、更にはユーザが任意に決めたコメント情報などである。
【0023】
次に、本実施形態による通信システムがデータ共有を行う際の動作を説明する。以下では、6つの動作例を説明する。
【0024】
(第1の動作例)
図4は、画像の配信を開始してから配信権を交代するまでの動作イメージを示している。まず、図4(a)に示すように、ネットワークを構築するデジタルカメラ101、102、103のうち、デジタルカメラ101が親の役割を持ち、デジタルカメラ102、103へ写真の配信を行っている。親の役割を持つデジタルカメラの決定方法については後述する。
【0025】
図4(b)に示すように、デジタルカメラ101は、デジタルカメラ102、103へキーワードを送信する。デジタルカメラ102、103はキーワードを受信すると直ちに、受信したキーワードと適合する写真が自身のデータ格納部204にあるか検索・解析を行い、図4(c)に示すように、その結果を応答としてデジタルカメラ101へ送信する。
【0026】
デジタルカメラ101からのキーワードに適合する写真がデジタルカメラ102のデータ格納部204にある場合、図4(d)に示すように、デジタルカメラ102がデジタルカメラ101から配信権を譲り受け、デジタルカメラ101、デジタルカメラ103へ写真を送信する。デジタルカメラ101、103は、受信した写真を表示部203に表示すると共に、データ格納部204へ保存する。
【0027】
図5は、デジタルカメラ101がデジタルカメラ102、103へ画像を送信するシーケンスを示している。まず、デジタルカメラ101はデジタルカメラ102、103へキーワードを送信する(ステップS501、S502)。デジタルカメラ102、103はキーワードを受信した後、キーワードに適合する写真が自身のデータ格納部204に存在するか検索・解析を行い、その結果を応答メッセージとしてデジタルカメラ101へ送信する(ステップS503、S504)。
【0028】
応答メッセージとは、受信したキーワードに適合する写真の情報をリスト化したものである。例えば、キーワードが撮影時刻303であれば、その撮影時刻303に近い撮影時刻を有する写真の写真ファイル名と撮影時刻がリスト化された応答メッセージが送信される。
【0029】
続いて、デジタルカメラ101は、デジタルカメラ102、103から受信した応答メッセージに基づいて、配信権を譲るかどうかを判定する。具体的には、デジタルカメラ101は、受信した応答メッセージの内容と、自身のデータ格納部204に存在する写真に付随する撮影時刻や撮影位置などの付帯情報とを比較し、最もキーワードに適合する写真を検出する。この結果、デジタルカメラ101のデータ格納部204に存在する写真のほうが、デジタルカメラ102、103のデータ格納部204に存在する写真よりもキーワードに適合していると判断すると、デジタルカメラ101はその写真をデジタルカメラ102、103へ送信する(ステップS505、S506)。
【0030】
デジタルカメラ101は、デジタルカメラ102、103のデータ格納部204にある写真よりもキーワードに適合する写真が自身のデータ格納部204にある限り、写真の送信を繰り返す(ステップS505、S506)。デジタルカメラ101は、自身が送信可能な写真がなくなり、他のデジタルカメラにも送信可能な写真が無い場合、デジタルカメラ102、103へ完了通知メッセージを送信する(ステップS507、S508)。完了通知メッセージを受信したデジタルカメラ102、103は写真の再生を終了する。
【0031】
図6は、デジタルカメラ101がデジタルカメラ102へ配信権を譲るシーケンスを示している。デジタルカメラ101は、デジタルカメラ102、103へキーワードを送信する(ステップS601、S602)。デジタルカメラ102、103は、キーワードを受信した後、キーワードに適合する写真が自身のデータ格納部204に存在するか検索・解析を行い、その結果を応答メッセージとしてデジタルカメラ101へ送信する(ステップS603、S604)。
【0032】
デジタルカメラ101は、デジタルカメラ102、103から受信した応答メッセージに基づいて、配信権を譲るかどうか判定を行う。具体的には、デジタルカメラ101は、受信した応答メッセージの情報と、自身のデータ格納部204に存在する写真とを比較し、最もキーワードに適合する写真を検出する。この結果、デジタルカメラ102のデータ格納部204に存在する写真のほうが、デジタルカメラ101、103のデータ格納部204に存在する写真よりもキーワードに適合していると判断すると、デジタルカメラ101はデジタルカメラ102へ配信権を譲渡する(ステップS605)。
【0033】
デジタルカメラ101は、配信権を譲渡することで、写真を配信する役割から開放される。一方、デジタルカメラ102は、写真を配信する役割を譲り受ける。以降、デジタルカメラ102は、図5に示すデジタルカメラ101の動作シーケンスと同等な動作を行い、他のデジタルカメラへ写真の配信を行う。
【0034】
次に、各デジタルカメラにおける詳細な動作を説明する。図7は主に親の役割を有するデジタルカメラの動作を示し、図8は子の役割を有するデジタルカメラの動作を示している。
【0035】
まず、デジタルカメラは開始処理を行う(ステップS701)。図9は、開始処理におけるデジタルカメラの動作を示している。
【0036】
まず、デジタルカメラは通信部205を介してネットワークへ参加する(ステップS901)。デジタルカメラは、自身が構築するネットワークの識別子(SSID)を持っており、その識別子と同一の識別子を持ったネットワークが既に構築されていれば、そのネットワークに参加する。また、その識別子と同一の識別子を持ったネットワークが存在しなかった場合は、自身が新たにネットワークを構築する。ネットワーク接続のメカニズムに関しては、IEEE802.11で定義されている内容に準ずる。
【0037】
続いて、デジタルカメラは、入力部209に対するユーザの操作により、ネットワーク内での写真再生・共有動作の開始を宣言する。ユーザは、この宣言を行うための指示を、図1(b)に示したメニューと同様のメニューの操作により入力することができる。この宣言は、通信部205によって、同一ネットワーク内の他の端末に対してマルチキャストで通知される(ステップS902)。
【0038】
この宣言は、自身のネットワークアドレス及び開始宣言を行った時刻が記されたデータを意味する。この宣言を受信した端末は、ネットワーク内の一連の写真再生が終了しなければこの宣言を行うことはできない。
【0039】
開始宣言を行った後、役割判定部210はタイムアウト時間を設け(ステップS903)、タイムアウト時間内に他の端末から上記と同様の宣言を受信するかどうか判定する(ステップS904)。通信部205がタイムアウト時間内に他の端末から宣言を受信しなければ、役割判定部210は自身の役割が親であると判定する(ステップS905)。
【0040】
また、自身だけでなく他の端末も開始宣言をしており、通信部205がタイムアウト時間内に他の端末からも宣言を受信した場合、役割判定部210は宣言内の宣言時刻から役割を判断する。役割判定部210は、自身が最初に宣言を行った場合は自身の役割が親であると判定し、他の端末が最初に宣言を行った場合は自身の役割が子であると判定する(ステップS905)。一方、ネットワークへ参加した(ステップS901)後、自身は開始宣言をせず、通信部205が他の端末からの宣言を受信する(ステップS907)と、役割判定部210は自身の役割が子であると判定する(ステップS906)。以上が開始処理の内容である。
【0041】
開始処理の終了後、自身の役割(親/子)に応じて処理が分岐する(ステップS702)。自身の役割が子である場合、図8のステップS711へ処理が進む。また、自身の役割が親である場合、キーワード生成部208はキーワードを生成し、データ格納部204に格納する(ステップS703)。具体的なキーワードの生成方法については後述する。
【0042】
キーワードの生成後、通信部205は他のデジタルカメラへキーワードを送信する(ステップS704)。キーワードの送信後、通信部205は他のデジタルカメラからの応答メッセージを待ち、応答メッセージを受信する(ステップS705)。応答メッセージの受信後、情報解析部207は、データ格納部204からキーワードを読み出し、応答メッセージの内容と、自身のデータ格納部204に保存されている写真の付帯情報と、キーワードとを比較する。更に、情報解析部207は、比較結果に基づいて、次に配信すべき写真(配信対象の写真)を選択し、配信判定部206に通知する。配信判定部206は、配信対象の写真を所有するデジタルカメラが自身なのか他のデジタルカメラなのかに応じて、配信権を交代するかどうか判定する(ステップS706)。
【0043】
配信対象の写真は、自身のデータ格納部204に存在する写真と、他のデジタルカメラのデータ格納部204に存在する写真との中で、最もキーワードに適合する写真である。最もキーワードに適合する写真が、他のデジタルカメラのデータ格納部204に存在する写真である場合、他のデジタルカメラのデータ格納部204に存在する写真が次の配信対象として選択される。この場合、配信判定部206は配信権を交代すると判定する。この時、配信判定部206は、配信権を譲渡する相手のデジタルカメラを、配信対象の写真を所有するデジタルカメラとして決定し、配信権の譲渡を示す配信権譲渡メッセージを生成する。
【0044】
また、最もキーワードに適合する写真が、自身のデータ格納部204に存在する写真である場合、自身のデータ格納部204に存在する写真が次の配信対象として選択される。この場合、配信判定部206は配信権を交代しないと判定する。この時、配信判定部206は、自身のデータ格納部204に存在する写真の中から、他のデジタルカメラへ送信する写真を読み出し、通信部205へ出力する。
【0045】
配信権を交代すると判定された場合、通信部205は、配信権を譲渡する相手のデジタルカメラへ配信権譲渡メッセージを送信する(ステップS710)。続いて、自身の役割が親から子へと変化し、図8のステップS711へ処理が進む。また、配信権を交代しないと判定された場合、通信部205は、キーワードに最も適合する写真を他のデジタルカメラへ送信する(ステップS707)。
【0046】
続いて、他のデジタルカメラへ送信された写真と同じ写真が表示部203に表示される(ステップS708)。写真の表示後、配信判定部206は、写真の再生が完了したかどうか判定する(ステップS709)。キーワードに適合する写真が自身のデータ格納部204と他のデジタルカメラのデータ格納部204のどちらにも無くなった場合、通信部205が他のデジタルカメラへ完了通知メッセージを送信し、写真の再生が終了する。また、キーワードに適合する写真が自身のデータ格納部204と他のデジタルカメラのデータ格納部204の少なくともいずれかに存在する場合、ステップS702からの処理が再度実行される。
【0047】
一方、自身の役割が子である場合、図8に示すように、通信部205は他のデジタルカメラからキーワードを受信する(ステップS711)。情報解析部207は、キーワードに基づき、自身のデータ格納部204に保存されている写真からキーワードに適合する写真を検索・解析する(ステップS712)。
【0048】
続いて、情報解析部207は、検索の結果に基づいて、キーワードに適合する写真があるかどうか判定を行う(ステップS713)。キーワードに適合する写真が存在しなかった場合、情報解析部207は、配信可能な写真がないことを示す応答メッセージを生成する。通信部205は、キーワードの送信元であるデジタルカメラへ応答メッセージを送信する(ステップS714)。
【0049】
配信可能な写真がないことを示す応答メッセージの送信後、通信部205は、他のデジタルカメラから送信された写真を受信する(ステップS715)。受信された写真は表示部203に表示される(ステップS716)。写真の表示後、他のデジタルカメラから完了通知メッセージを受信した場合(ステップS717)、写真の再生が終了する。完了通知メッセージを受信せず(ステップS717)、再度他のデジタルカメラからキーワードを受信した場合(ステップS711)、ステップS712からの処理が再度実行される。
【0050】
また、ステップS713において、キーワードに適合する写真が存在した場合、情報解析部207は、配信可能な写真があることを示す応答メッセージを生成する。通信部205は、キーワードの送信元であるデジタルカメラへ応答メッセージを送信する(ステップS718)。
【0051】
配信可能な写真があることを示す応答メッセージの送信後、通信部205が他のデジタルカメラから配信権譲渡メッセージを受信した場合、自身の役割が子から親に変化し、ステップS703からの処理が実行される。また、配信可能な写真があることを示す応答メッセージの送信後、通信部205が他のデジタルカメラから写真を受信した場合(ステップS715)、受信した写真が表示部203に表示される(ステップS716)。上記の動作シーケンスに従い、デジタルカメラ間で写真を共有しながら、関連性のある写真を連続して再生することが可能になる。
【0052】
次に、キーワードの具体例を用いて、配信権を交代するかどうかを判定する処理、及びキーワードを生成する処理の内容を説明する。図10(a)はキーワードの一例を示している。図10(a)に示す例では、キーワードが、再生条件として、「2009.02.20 18:30」のような撮影時刻情報(R1001)を指定し、この時刻から過去に遡る(R1002)、且つ合致するもの上位3件以内を抽出する(R1003)という条件を指定している。情報解析部207は、ステップS712において、キーワードが指定する再生条件を満たす写真(F1011、F1012)を抽出する。
【0053】
図10(b)は、上記の再生条件に従って抽出した写真をリスト化した写真情報リストを示している。例えば、デジタルカメラ101が写真を配信する役割(親)を有する場合、情報解析部207は、ステップS706において、図10(b)に示すように、デジタルカメラ102、103から送信されてきた応答メッセージに含まれる、各デジタルカメラが配信可能な写真をリスト化し、写真情報リストを作成する。写真情報リストでは、端末を見分ける識別子として、応答メッセージを返してきたデジタルカメラのIPアドレス及びホスト名を用いる。また、再生条件に適合した条件(図10(b)では撮影時刻情報)及びファイル名が、各IPアドレス及びホスト名に関連付けられている。
【0054】
写真情報リストの生成後、情報解析部207は、自身のデータ格納部204に格納されている写真から、キーワードが示す再生条件に適合する写真を抽出する。更に、情報解析部207は、抽出した写真の付帯情報(この場合は撮影時刻情報)と、写真情報リストに記載されている条件(この場合は撮影時刻情報)とを比較し、比較結果に基づいて、キーワードが示す再生条件に最も適合する写真を選択する。
【0055】
配信判定部206は、情報解析部207によって選択された写真を所有するデジタルカメラが自身であるのか他のデジタルカメラであるのかを判定し、判定結果に応じて、配信権を交代するかどうかを判定する。情報解析部207によって選択された写真を所有するデジタルカメラが自身である場合、配信判定部206は、配信権を交代しないと判定する。また、情報解析部207によって選択された写真を所有するデジタルカメラが他のデジタルカメラであった場合、配信判定部206は、配信権を交代すると判定する。
【0056】
配信権を有するデジタルカメラは、ステップS703においてキーワードを生成する。キーワードを生成する方法は2種類ある。第1の方法は、図1(b)に示した画面が表示部203に表示された状態で入力部209に入力されるユーザからの指示に基づいてキーワード生成部208がキーワードを生成するという方法である。第2の方法は、既に生成されたキーワードを更新するという方法である。
【0057】
第2の方法では、例えば以下のようにキーワードが更新される。図10に示すキーワードの例では、再生条件である撮影時刻情報(R1001)が、ステップS707で送信された写真の撮影時刻情報によって更新される。図10に示すキーワードの例では、撮影時刻情報(R1001)から過去に遡るという条件(R1002)が指定されているので、ステップS707で写真が送信されるごとに、撮影時刻情報(R1001)は、より過去に遡った時刻に更新される。
【0058】
このようにキーワードが更新されることで、ユーザが意図する再生条件に矛盾する写真が再生されないようになる。具体的には、図10に示すキーワードの例では、前に再生された写真よりも撮影時刻が新しい写真が再生されることがなくなる。
【0059】
再生済みの写真が重複して再生することの無いように、デジタルカメラ内のデータ格納部204には再生リストなどで記録を残すことが望ましい。キーワードに適合する全ての写真を再生し、再生する写真が無くなった場合、写真の配信が終了する。
【0060】
(第2の動作例)
図11は、デジタルカメラ101、102、103で構成されたネットワーク上で写真再生が行われている間に、新たにデジタルカメラ104がこのネットワークへ参加した場合の動作シーケンスを示している。
【0061】
まず、デジタルカメラ101はキーワードを送信する(ステップS1101、S1102)。このキーワードは、同一ネットワーク内の端末に対してマルチキャスト送信される。この時点ではまだデジタルカメラ104は同一ネットワークに存在しないため、デジタルカメラ104にキーワードは届かず、デジタルカメラ104から応答メッセージも返信されない。
【0062】
デジタルカメラ102、103はキーワードを受信した後、キーワードに適合する写真が自身のデータ格納部204に存在するか検索・解析を行い、その結果を応答メッセージとしてデジタルカメラ101へ送信する(ステップS1103、S1104)。続いて、デジタルカメラ101が配信権の判定を行っている時にデジタルカメラ104が同一ネットワークに参加する(ステップS1109)。
【0063】
デジタルカメラ101は、自身が保持している写真を各端末へIPマルチキャストにて配信する(ステップS1105、S1106、S1110)。ここで、デジタルカメラ101はデジタルカメラ104のネットワークへの参加を特に意識していないが、IPマルチキャストにて写真を配信するため、同一ネットワークへ参加している全ての端末に対して写真が送信される。このため、デジタルカメラ104は途中からネットワークに参加したにも関わらず、このネットワーク内で行われている写真再生動作に参加し写真を再生することが可能になる。
【0064】
写真の再生後にデジタルカメラ101から再度キーワードの送信が行われた場合、デジタルカメラ104は、同一ネットワークに参加したことによって、他のデジタルカメラ102、103と同様にキーワードを受信する。また、デジタルカメラ104は、自身の内部に記録されている写真群とキーワードの内容を照らし合わせ、キーワードに適合する写真の情報を含む応答メッセージをデジタルカメラ101へ送信する。
【0065】
デジタルカメラ101は、自身が送信可能な写真がなくなり、他のデジタルカメラにも送信可能な写真が無い場合、IPマルチキャストにて完了通知を送信する(ステップS1107、S1108、S1111)。完了通知を受信したデジタルカメラ102、103、104は写真の再生を終了する。
【0066】
上記の動作により、このネットワーク内で行われている写真再生に途中から参加したデジタルカメラ104の内部に記録されている写真を再生することが可能となる。また、デジタルカメラ104が写真再生に参加する際にデジタルカメラ101、102、103が再生動作シーケンスを変える必要はなく、特別な新たな動作を必要とせずに写真の共有・再生を行うことが可能となる。
【0067】
(第3の動作例)
図12は、デジタルカメラ101、102、103、104で構成されたネットワーク上で写真再生が行われている間に、デジタルカメラ104がネットワークから抜けてしまう場合の動作シーケンスを示している。デジタルカメラ104がネットワークから抜けてしまう例としては、ユーザによる操作あるいはバッテリー切れのためデジタルカメラ104の電源が切れた場合や、ユーザがネットワークからの切断操作を行った場合、デジタルカメラ104がネットワークの届かない範囲へ移動した場合などがある。
【0068】
まず、デジタルカメラ101はIPマルチキャストにてキーワードを送信する(ステップS1201、S1202、S1221)。デジタルカメラ104は、他のデジタルカメラ102、103と同様にデジタルカメラ101からのキーワードを受信する。デジタルカメラ104はキーワードの内容(条件)と自身が記録している写真群を照らし合わせ、応答メッセージを作成する。デジタルカメラ104は、デジタルカメラ102、103が応答メッセージを返信する(ステップS1203、S1204)のと同様に応答メッセージを返信する(ステップS1222)。
【0069】
各デジタルカメラから応答メッセージを受信したデジタルカメラ101は、図11に示す写真情報リストを作成し、どのデジタルカメラが所有するどの写真を次に再生すべきかを判定する。図12の例ではデジタルカメラ101は配信権を譲渡せず、自身が所有している写真を他のデジタルカメラ102、103、104へマルチキャストにて配信する(ステップS1205、S1206、S1224)。
【0070】
ここで、デジタルカメラ104が写真再生動作中のネットワークから抜けてしまう(ステップS1223)とする。デジタルカメラ101は各デジタルカメラに対してマルチキャストにて写真の配信を一方的に行っているだけであるため、配信先のデジタルカメラの有無を特に意識しない。従って、デジタルカメラ104がネットワークから抜けても、現在写真再生動作を行っているネットワーク及び各デジタルカメラに対して何も影響を与えることはない。
【0071】
デジタルカメラ101は、自身が送信可能な写真がなくなり、他のデジタルカメラにも送信可能な写真が無い場合、IPマルチキャストにて完了通知を送信する(ステップS1207、S1208)。完了通知を受信したデジタルカメラ102、103は写真の再生を終了する。
【0072】
上記の動作により、デジタルカメラ104がネットワークから抜ける場合でも、デジタルカメラ101、102、103が再生動作シーケンスを変える必要や、特別な新たな動作を必要とせずに写真の共有・再生を行うことが可能となる。
【0073】
(第4の動作例)
図13は、デジタルカメラ101、102、103で構成されたネットワーク上で写真再生が行われている間に、デジタルカメラ103に記録されている写真の増加又は減少が発生する場合の動作シーケンスを示している。写真の増加又は減少が発生する例として、デジタルカメラが、ネットワーク内での写真再生動作を自身の中でバックグランド処理として実施している間に写真撮影を行うことにより、デジタルカメラ内に記録されている写真が増える場合や、デジタルカメラが、ネットワーク内での写真再生動作を自身の中でバックグランド処理として実施している間に、ユーザ操作に基づいて、デジタルカメラ自身に記録されている写真を削除することにより、デジタルカメラ内に記録されている写真が減る場合がある。
【0074】
尚、上記のバックグランド処理とは、デジタルカメラ自体はネットワークに参加し、写真再生のための通信を行い、データのやり取りを行っている状態であるが、ネットワーク内での写真再生に関してデジタルカメラ自身が持つ機能に制限をかけることなく、他の動作を行うことができる状態を意味する。
【0075】
まず、デジタルカメラ101は、デジタルカメラ102、103へキーワードを送信する(ステップS1301、S1302)。デジタルカメラ102、103はキーワードを受信した後、キーワードに適合する写真が自身のデータ格納部204に存在するか検索・解析を行い、その結果を応答メッセージとしてデジタルカメラ101へ送信する(ステップS1303、S1304)。
【0076】
図13では、期間P1351において、デジタルカメラ103の写真が増加又は減少する。この期間P1351は、デジタルカメラ103がデジタルカメラ101からキーワードを受信し応答メッセージを返すまでの期間である。デジタルカメラ103が応答メッセージを生成する処理を行う前に写真の増加又は減少があれば、その増加又は減少を反映した応答メッセージが生成される。従って、デジタルカメラ103が送信する応答メッセージは、増加した写真がキーワードに適合していればその情報を含み、減少した写真の情報を含まない。一方、デジタルカメラ103が応答メッセージを生成している最中、又は応答メッセージを生成した後にデジタルカメラ103内の写真の増加又は減少が発生した場合、応答メッセージには写真の増加又は減少は反映されない。
【0077】
デジタルカメラ101は、自身が保持している写真をデジタルカメラ102、103へ配信する(ステップS1305、S1306)。図13では、写真が配信されている期間P1352において、デジタルカメラ103の写真が増加又は減少する。デジタルカメラ103の写真が増加又は減少しても、この時点では特に何も新たに処理を追加する必要がない。配信された写真の再生が終わり、再度キーワードの生成と送信がデジタルカメラ101によって行われた時、期間P1352で増加又は減少したデジタルカメラ103の写真の情報が応答メッセージに反映される。従って、各デジタルカメラ内で写真の増加又は減少が発生しても、現在再生中の写真の再生が終了し、次の写真が再生される時点で、増加又は減少した写真の情報は写真の再生に反映される。
【0078】
上記の動作により、デジタルカメラ103の写真が増加又は減少する場合でも、デジタルカメラ101、102、103が再生動作シーケンスを変える必要や、特別な新たな動作を必要とせずに写真の共有・再生を行うことが可能となる。
【0079】
(第4の動作例)
上記の説明では、配信権が譲渡されない場合に同一ネットワーク上における写真再生動作中に発生した写真の増加又は減少への対応について説明した。第4の動作例では、配信権を譲渡されたデジタルカメラ内の写真が増加又は減少した場合について説明する。図14は、デジタルカメラ101、102、103で構成されたネットワーク上で写真再生が行われている間に、デジタルカメラ102に記録されている写真の増加又は減少が発生する場合の動作シーケンスを示している。
【0080】
まず、デジタルカメラ101は、デジタルカメラ102、103へキーワードを送信する(ステップS1401、S1402)。デジタルカメラ102、103はキーワードを受信した後、キーワードに適合する写真が自身のデータ格納部204に存在するか検索・解析を行い、その結果を応答メッセージとしてデジタルカメラ101へ送信する(ステップS1403、S1404)。
【0081】
デジタルカメラ102が応答メッセージを生成している最中、又は応答メッセージを生成した後にデジタルカメラ102内の写真の増加又は減少が発生しても、応答メッセージには写真の増加又は減少は反映されない。デジタルカメラ102の写真が増加又は減少した場合、デジタルカメラ101は、それが反映されていない応答メッセージを受け取ることになる。図14では、デジタルカメラ101は、自身が通知したキーワードに最も適当な写真を保有するデジタルカメラ102へ配信権を譲渡する(ステップS1415)。
【0082】
デジタルカメラ102で写真が増えた場合、配信権がデジタルカメラ102へ譲渡されても、配信対象の写真はデジタルカメラ102内に存在するため、問題は発生しない。また、デジタルカメラ102に記録されている写真が削除され(ステップS1431)、且つ、その写真が配信対象の写真として選択されていた場合、写真の削除が反映されていない応答メッセージがデジタルカメラ101へ返信されるため、配信権がデジタルカメラ102へ譲渡される。
【0083】
一見、配信対象の写真を所有しないデジタルカメラ102に配信権が譲渡されては困るように見える。しかしながら、配信権を譲渡されたデジタルカメラ102は再度キーワードを生成し、他のデジタルカメラへキーワードを送信して、次に再生する写真を新たに選択することが可能となる。このため、写真の増加又は減少がいつ発生しても、写真再生動作は特に問題なく行われる。但し、既に配信権を得たデジタルカメラが、自身のデータ格納部204に格納されている写真を次の配信対象の写真として選択した場合のみ、その配信対象の写真にプロテクトをかけ、配信が完了するまではユーザ操作などによる写真の削除を制限することが望ましい。
【0084】
配信権を持つデジタルカメラがネットワークから抜けた場合、ネットワーク上の写真再生は終了する。写真の配信を待っているデジタルカメラ(子の役割を持つデジタルカメラ)はタイムアウトを設定しておき、配信権を持ったデジタルカメラから一定時間、通知が届かない場合は自身のネットワーク内の写真再生処理を終了させる。表示部203に表示されるメニューをユーザが操作して写真再生を指示すると、同一ネットワーク内での写真再生動作が再度開始される。
【0085】
上記の動作により、配信権が譲渡されるデジタルカメラ102の写真が増加又は減少する場合でも、デジタルカメラ101、102、103が再生動作シーケンスを変える必要や、特別な新たな動作を必要とせずに写真の共有・再生を行うことが可能となる。
【0086】
(第5の動作例)
上記の説明では、親子関係と配信権の有無とが一体となっているものとして説明を行った。すなわち、上記の説明では、配信権を持つ端末が親の役割を有し、配信権を持たない端末が子の役割を有するものとして説明を行った。第5の動作例では、親子関係と配信権の有無とが分離している場合について説明する。第5の動作例では、親の役割は、キーワードを生成し、次の配信対象の写真を選択することであり、子の役割は、他の端末から送信されたキーワードを受信し、応答メッセージを返信することである。図15は、デジタルカメラ101、102、103で構成されたネットワーク上で写真再生が行われている間に、デジタルカメラ101からデジタルカメラ103に配信権が譲渡される場合の動作イメージを示している。
【0087】
まず、図15(a)に示すように、デジタルカメラ101は、デジタルカメラ102、103へキーワードを送信する。デジタルカメラ102、103はキーワードを受信すると、受信したキーワードと適合する写真が自身のデータ格納部204にあるかどうか検索・解析を行い、その結果を応答メッセージとしてデジタルカメラ101へ送信する。
【0088】
続いて、図15(b)に示すように、デジタルカメラ101は、デジタルカメラ102、103からの応答メッセージの内容に基づいて、最も再生条件に適した写真を選択し、その写真を所有するデジタルカメラ103に対して配信指示メッセージを送信する。この時、配信判定部206は配信指示メッセージを生成し、通信部205は配信指示メッセージをデジタルカメラ103へ送信する。尚、配信指示メッセージは、配信する写真のファイル名を含む。
【0089】
デジタルカメラ103は配信指示メッセージを受信し、その配信指示メッセージに従い、指示された写真をデジタルカメラ101、102へ配信し、自身の表示部203に配信中の写真を表示する。この時、通信部205は配信指示メッセージを受信して情報解析部207へ出力する。情報解析部207は、配信指示メッセージに含まれるファイル名を有する写真をデータ格納部204から読み出す。通信部205は、この写真をデジタルカメラ101、102へ送信する。
【0090】
デジタルカメラ101、102は、この写真を受信し、受信した写真を自身の表示部203に表示する。この時、受信した写真を自身のデータ格納部204に保存しても良いし、再生後に破棄しても良い。この場合、その選択をユーザに促しても良い。
【0091】
上記の動作により、配信対象の写真を有するデジタルカメラ103が配信権を得て写真の共有・再生を行うことが可能となる。
【0092】
(第6の動作例)
ネットワーク内での写真再生・共有を行っている最中、子の役割を有する端末からの要求に応じて、親の役割を有する端末はキーワード(再生条件)の更新を行うことができる。図16は、親の役割を有するデジタルカメラ101が、子の役割を有するデジタルカメラ102、103から通知されたキーワードに基づいて新たなキーワードを生成する動作イメージを示している。デジタルカメラ102及びデジタルカメラ103は、次に再生する写真を決める条件となるキーワードをデジタルカメラ101へ送信する。デジタルカメラ101は、受信したキーワードに基づいて、新たにキーワードを生成し、デジタルカメラ102、103に対して再びキーワードを送信する。
【0093】
デジタルカメラ101は、デジタルカメラ102、103が要求する条件を含む複数の条件の中から選択的に条件を選び、キーワードを生成する。デジタルカメラ101が条件を選択する方法として、最近写真の配信を行ったデジタルカメラからの条件を優先的に選択する、あるいは写真の配信を最も行っていないデジタルカメラからの条件を優先的に選択する、もしくは写真撮影を最近行ったデジタルカメラからの条件を優先的に選択するという方法をとっても良い。また、自身が再生した写真の情報を元にキーワードを自動的に生成しても良いし、ユーザ操作により入力される情報に基づいてキーワードを生成しても良い。
【0094】
以下、デジタルカメラ101がキーワードを生成する方法をより詳細に説明する。図17(a)に示すように、各デジタルカメラに記録されている写真には、撮影時刻、撮影位置、タグ情報といった情報が付与されている。これらの情報の中で、撮影時刻及び撮影位置は、写真撮影時に付加情報として写真に付与される。タグ情報には様々なものが含まれるが、その一例を図17(a)に示している。
【0095】
タグ情報には再生回数が含まれると共に、写真をカテゴライズするために被写体を意味する情報、例えば動物や風景などの情報(カテゴリ名称)が含まれる。カテゴリ名称は、写真の撮影後、ユーザが手入力によって設定する。あるいは、画像処理によって被写体情報を分析しカテゴライズする機能を持ち合わせたデジタルカメラであれば、自動的にカテゴリ名称をつけても良い。再生回数はその写真の再生回数を意味しており、この写真を閲覧するたびにカウントアップされる。
【0096】
図16に示すように、子の役割を有するデジタルカメラ102、103からキーワードを更新することができるように、デジタルカメラ102、103は自身の内部設定として再生設定(K1610、K1611)を保持する。この再生設定は、ユーザがメニューから選択して設定する。図17(b)は設定メニューを示している。図17(a)に示した情報とリンクした情報がメニュー(M1720)により設定可能となる。また、タグ情報については、メニュー(M1721)により設定可能となる。
【0097】
尚、このメニュー(M1720)は、自身が記録している写真に付与されている情報から生成される。つまり、デジタルカメラ内に記録している写真が増え、且つ付与されている情報が増えるに従って、設定できるメニュー項目も増えていく。例えばタグ情報に含まれる項目を再生条件として選択したい場合、タグ情報を選択すると、それにリンクしている再生回数及びカテゴリという項目が現れる。この要領でメニューからユーザが所望の条件を選択する。
【0098】
デジタルカメラ102、103は、ユーザがメニューを操作して入力した情報をデータ格納部204に再生設定として保持する。ネットワーク内の写真再生・共有により写真の配信を受けた後、デジタルカメラ102、103の通信部205は、データ格納部204に格納されている再生設定をデジタルカメラ101にキーワード(再生条件)として送信する。
【0099】
図16に示すように、デジタルカメラ102から、再生設定(K1610)として、「動物」及び「再生回数多い」がキーワードとして送信される。更にデジタルカメラ103から、再生設定(K1611)として、「現在地から近い撮影位置」がキーワードとして送信される。
【0100】
デジタルカメラ101の通信部205は、デジタルカメラ102、103からキーワードを受信してキーワード生成部208へ出力する。キーワード生成部208は、デジタルカメラ102、103から受信したキーワードに基づいて、自身のデータ格納部204に格納されているキーワードを更新する。
【0101】
2つ以上の端末より条件を受信した場合、それらのどちらかが選択的に採用される。デジタルカメラ102、103にはそれぞれ優先度が付いており、前述したように、例えば最後に画像を配信したデジタルカメラに、より高い優先度がある。以下では、デジタルカメラ102のほうにデジタルカメラ103よりも高い優先度があるとして、説明を行う。
【0102】
図18は、更新前の現在のキーワード、デジタルカメラ102から要求されたキーワード、及び更新後の新しいキーワードを示している。デジタルカメラ101のデータ格納部204に格納されている現在のキーワードには、撮影時刻情報を指定する条件(R1801)及び2つの条件(R1802、R1803)が含まれる。また、デジタルカメラ102から要求されたキーワードには、タグ情報に関する条件(R1871、R1872)が含まれる。
【0103】
更新後のキーワードは、更新前の現在のキーワードと、デジタルカメラ102から要求されたキーワードとの2つのキーワードをミックスしたものである。この新しく生成されたキーワードはデジタルカメラ101からデジタルカメラ102、103へ送信され、デジタルカメラ102、103は自身が所有する写真の中からキーワードに適合するものを抽出し、応答メッセージを返す。
【0104】
尚、キーワードの更新方法として、条件を追加するばかりではなく、現在のキーワードを、受信したキーワードに全て入れかえるという方法や、キーワードの数に制限を設け、例えばキーワードは3件以内であり、新しくキーワードを受信した場合は古いキーワードを捨てるという方法もある。上記の例におけるキーワードの件数は、条件(R1801、R1802、R1803)で1件とカウントする。すなわち、図18に示す更新後のキーワードは2件のキーワードがミックスされたもの、という意味だが、そのカウント方法はこの限りではない。
【0105】
上述したように、本実施形態によれば、親の役割を有する端末が、次に再生すべき写真を選択する際に、自身が所有する写真を選択の対象の一部としているので、自身が所有する写真が増加又は減少するなどの状況の変化が生じても、写真の選択に対して、その状況の変化を反映させることが可能となる。また、写真の選択が行われるごとに、データ共有に参加している他の端末が所有する、キーワードに適合する写真のリストが受信されるので、他の端末がデータ共有に新たに参加する、データ共有に参加中の他の端末がデータ共有から離脱する、データ共有に参加している他の端末が所有する写真が増加又は減少するなどの状況の変化が生じても、その状況の変化がリストに反映され、写真の選択に対して、その状況の変化を反映させることが可能となる。従って、状況の変化を反映したデータ共有を実現することができる。
【0106】
また、第1の動作例で説明したように、子の役割を有する端末が、親の役割を有する端末から配信譲渡メッセージを受信した場合に役割を変更することによって、各端末が有する写真の配信を行うことができる。更に、第5の動作例で説明したように、子の役割を有する端末が、親の役割を有する端末から配信指示メッセージを受信した場合に、配信指示メッセージによって指示される、自身が所有する写真を送信することによって、各端末が有する写真の配信を行うことができる。
【0107】
また、第1の動作例で説明したように、写真の配信が行われた後、図7のステップS703で、直前に配信された写真に付随する情報に基づいてキーワードを更新することによって、ユーザが意図する再生条件に矛盾する写真が再生されないようになる。
【0108】
また、第6の動作例で説明したように、親の役割を有する端末が、子の役割を有する端末から受信したキーワードに基づいて新たなキーワードを生成することによって、各端末が要求する条件を反映したデータ共有を実現することができる。
【0109】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、データ共有の対象となる電子データは写真でなくてもよく、動画データや音声データなどの各種データをネットワーク上の各端末で共有する場合に本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0110】
201・・・撮像部、202・・・画像処理部、203・・・表示部、204・・・データ格納部(記憶部)、205・・・通信部、206・・・配信判定部、207・・・情報解析部(選択部)、208・・・キーワード生成部(更新部)、209・・・入力部、210・・・役割判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子データと、電子データの選択条件を示す条件情報とを記憶する記憶部と、
前記条件情報に基づいて、前記記憶部に記憶された電子データと、データ共有に参加している他の通信端末が所有する電子データを示す所有情報が示す電子データとの中から電子データを選択する選択部とを有する通信端末であって、
前記選択部が電子データを選択する第1のタイミング及び第2のタイミングの間に前記所有情報を他の通信端末から受信する通信部をさらに有し、
前記通信部は、前記記憶部に記憶された電子データが前記選択部によって選択された場合は、当該電子データを他の通信端末へ送信し、
前記通信部は、他の通信端末が有する電子データが前記選択部によって選択された場合は、選択された電子データを有する他の通信端末へ、電子データを送信させるための情報を送信する
ことを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記通信部は、他の通信端末から送信された、電子データを送信させるための前記情報を受信し、
前記選択部は、前記通信部が電子データを送信させるための前記情報を受信した場合に電子データを選択することを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記通信部は、電子データを送信させるための前記情報として、選択された電子データを指定する情報を送信し、他の通信端末から送信された、選択された電子データを指定する前記情報を受信し、
前記通信部は更に、選択された電子データを指定する前記情報を受信した場合に、受信した前記情報が指定する電子データを他の通信端末へ送信することを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項4】
前記選択部が選択した電子データに付随する情報に基づいて前記条件情報を更新する更新部を更に有することを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項5】
前記通信部は、他の通信端末から前記条件情報を受信し、
受信した前記条件情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記条件情報を更新する更新部を更に有する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−23882(P2011−23882A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165856(P2009−165856)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】