説明

通信管理システムおよび送信装置および受信装置および制御方法およびプログラム

【課題】
即時性の高い通信における情報伝達を確実に行うことができるようにする通信管理システムおよび送信装置および受信装置および制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】
処理依頼データのデータサイズと処理終了までに要する終了予定時間をデータサイズ算出部20−4と終了時間算出部20−5でそれぞれ算出し、算出した終了時間内に処理の終了を示す終了信号を受信しない場合にはあらかじめ登録された番号に自動発呼を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理依頼に対して依頼先である受信装置からの処理終了信号の伝送を常時監視する通信管理システムおよび送信装置および受信装置および制御方法およびプログラムに関し、特に、処理依頼したデータサイズに応じて算出された処理終了までの予定時間内に処理が終了しない場合に情報の確実な伝達を図ることを目的として、送信者に対して自動的に発呼を行い、処理経過を確認する通信管理システムおよび送信装置および受信装置および制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、処理依頼を行ったデータが到達し、処理が終了したかどうかの確認は、データの処理を行う処理サーバや処理装置などの処理記録(以下、「ログ」という)を参照することで出来、当該ログを参照することにより処理に要した時間や処理日時または処理実行の成立/不成立を確認することができる。
【0003】
しかし、該ログを送信者側で参照するには、通常、ログの参照権限が必要となり、セキュリティの低下を招く恐れがある。これにより送信したデータが正常に到達ないしは処理されたか確認するには、毎回毎回ログを参照するか、または人の手による処理の確認を行わなければならないという問題がある。
【0004】
この特許文献1に開示された従来技術においては、インターネットメール利用型ファクシミリ送信システムを用いてファクシミリ送信したときに、相手先のメールサーバ装置に送達したか否かの送達状況を発信元のファクシミリ装置などの通信端末装置で確認することを可能にしている。
【特許文献1】特開2002−132689
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示された従来技術においては、送信先である相手先のメールサーバ装置に送信したファクシミリデータが到達したか否かを相手先のメールサーバ装置の記憶領域を常時監視続ける必要があり、メールサーバ装置の常時監視という性格上セキュリティの低下を招くことが多く、さらに高い即時性を要求することができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、送信者側の送信装置により処理装置からの処理の完了の有無を示す処理終了信号の受信が、送信者側で処理依頼のデータサイズに応じて算出した処理終了までの予定時間内に行われない場合に予め送信者ごとに登録しておいた番号に自動発呼を行えるようにした通信管理システムおよび送信装置および受信装置および制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、通信回線を介して接続された送信装置から受信装置間への処理依頼に対する通信内容を管理する通信管理システムにおいて、前記送信装置は、前記処理依頼のデータサイズを算出するデータサイズ算出手段と、前記データサイズ算出手段により算出したデータサイズを有する前記処理依頼が前記受信装置からの処理終了を示す処理終了信号を受け取るまでの予定時間を算出する終了時間算出手段と、前記終了時間算出手段による前記予定時間の算出が行われた前記処理依頼を前記受信装置に送信する送信手段と、前記終了時間算出手段により算出された予定時間内に前記処理終了信号の送達が行われるかを監視する監視手段と、前記監視手段により監視された前記処理終了信号の受信が前記終了時間算出手段によって算出された前記予想時間以内に完了しない場合に前記受信装置に対して自動発呼する自動発呼手段とを具備し、前記受信装置は、前記送信手段により送信された前記処理依頼を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記処理依頼の依頼内容にしたがって処理を実行する処理実行手段と、前記処理実行手段により行われた処理の終了を示す前記処理終了信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段により生成された前記処理終了信号を前記処理依頼を行った前記送信装置に対して該処理終了信号を発信する信号発信手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記自動発呼手段は、あらかじめ登録した電話番号に自動的に発呼することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、前記終了時間算出手段は、前記受信装置との通信経路ごとに通信効率を示すデータ伝送効率を管理するデータ伝送効率管理手段と、前記データ伝送効率管理手段により管理された通信経路ごとの単位時間当たりのデータ伝送効率を少なくともネットワーク帯域幅と伝送損失率から算出するデータ伝送効率算出手段とを具備し、前記データ伝送効率算出手段により算出された単位時間当たりのデータ伝送効率に対して前記データサイズ算出手段により算出したデータサイズを伝送して前記処理装置における処理の終了の予定時間を算出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、通信回線を介して処理依頼を処理依頼受信側装置に送信する送信装置において、前記処理依頼のデータサイズを算出するデータサイズ算出手段と、前記データサイズ算出手段により算出したデータサイズを有する処理依頼が前記処理依頼受信側装置からの処理終了を示す処理終了信号を受け取るまでの予定時間を算出する終了時間算出手段と、前記終了時間算出手段による前記予定時間の算出が行われた前記処理依頼を前記処理依頼受信側装置に送信する送信手段と、前記終了時間算出手段により算出された予定時間内に前記処理終了信号の送達が行われるかを監視する監視手段と、前記監視手段により監視された前記処理終了信号の受信が前記終了時間算出手段によって算出された前記予想時間以内に完了しない場合に前記処理依頼受信側装置に対して自動発呼する自動発呼手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明は、通信回線を介して処理依頼を処理依頼送信装置から受信する受信装置において、前記処理依頼を前記処理依頼送信装置から受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記処理依頼の依頼内容にしたがって処理を実行する処理実行手段と、前記処理実行手段により行われた処理の終了を示す前記処理終了信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段により生成された前記処理終了信号を前記処理依頼を行った前記処理依頼送信装置に対して該処理終了信号を発信する信号発信手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6の発明は、通信回線を介して接続された処理依頼送信装置から処理依頼受信装置への処理依頼に対する通信内容を管理する通信管理システムの制御制御方法において、前記処理依頼送信装置は、前記処理依頼のデータサイズをデータサイズ算出手段で算出し、前記データサイズ算出手段により算出したデータサイズを有する前記処理依頼が前記処理依頼受信装置からの処理終了を示す処理終了信号を受け取るまでの予定時間を終了時間算出手段で算出し、前記終了時間算出手段による前記予定時間の算出が行われた前記処理依頼を送信手段で送信し、前記終了時間算出手段により算出された予定時間内に前記処理終了信号の送達が行われるかを監視手段で監視し、前記監視手段により監視された前記処理終了信号の受信が前記終了時間算出手段によって算出された前記予想時間以内に完了しない場合に前記受信装置に対して自動発呼手段により自動発呼し、前記処理依頼受信装置は、前記送信手段により送信された前記処理依頼を受信手段で受信し、前記受信装置によって受信した前記処理依頼の依頼内容にしたがって処理を処理実行手段で実行し、前記処理実行手段により行われた処理の終了を示す前記処理終了信号を信号生成手段で生成し、前記信号生成手段により生成された前記処理終了信号を前記処理依頼を行った前記送信装置に対して該処理終了信号を発信することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7の発明は、通信回線を介して接続された処理依頼送信装置から処理依頼受信装置への処理依頼に対する通信内容を管理する通信管理システムにおける処理をコンピュータにより実行させる通信管理プログラムであって、前記処理依頼のデータサイズを算出するステップと、該算出したデータサイズを有する前記処理依頼が前記処理依頼受信装置からの処理終了を示す処理終了信号を受け取るまでの予定時間を算出するステップと、該前記予定時間の算出が行われた前記処理依頼を前記処理依頼受信装置へ送信するステップと、該算出された予定時間内に前記処理終了信号の送達が行われるかを監視するステップと、該監視された前記処理終了信号の受信が前記算出された前記予想時間以内に完了しない場合に前記処理依頼受信装置に対して自動発呼するステップと、前記処理依頼送信装置により送信された前記処理依頼を受信するステップと、該受信した前記処理依頼の依頼内容にしたがって処理を実行するステップと、該実行した処理の終了を示す前記処理終了信号を生成するステップと、該生成された前記処理終了信号を前記処理依頼を行った前記処理依頼送信装置に対して該処理終了信号を発信するステップとを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、処理依頼するデータサイズと該データサイズに対する処理終了までの予定時間を算出し、該予定時間内に処理の終了を示す処理終了信号を受信しない場合には自動発呼するような構成にしたので、処理依頼に対する処理状況を常時監視することができ、処理終了信号を予定時間内に受信しない場合に自動発呼できるので高い即時性を実現することが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係わる通信管理システムおよび送信装置および受信装置および制御方法およびプログラムの一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
なお、本願発明の通信管理システムの管理対象は、プリンタ、複合機等に代表されるような送信者の処理依頼により特定の処理を実行する装置の終了信号の監視であるが、以下に示す例では、処理対象としてプリンタによる印刷処理の終了信号を監視対象として説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、この発明に係わる通信管理システムおよび送信装置および受信装置および制御方法およびプログラムを適用して構成した通信管理システムの全体構造図である。
【0018】
図1において、この通信管理システムは、送信者ネットワーク1と受信者ネットワーク5とを通信回線10により接続されており、2つのネットワーク間を接続している状態である。
【0019】
例えば、企業内などの特定範囲内のネットワークであるLAN(Local Area Network:狭域網)同士の接続やインターネット回線または専用回線を用いたWAN(Wide Area Network:広域網)の接続等である。
【0020】
送信者ネットワーク1は、送信者自身が操作を行う処理端末であるPC2、通信回線の通信ゲートウェイ等の役割を担うルータ3、処理のバックアップや集中処理などの各種サービスを行うサーバ4、電話機11を具備して構成される。
【0021】
受信者ネットワーク5は、通信回線10との通信ゲートウェイの役割を担うルータ6、送信者のPC2から送られてきた印刷依頼データを受け付けるPC7、印刷出力を制御するプリントサーバ8、印刷出力要求に対して印刷出力を行うプリンタ9、電話機12を具備して構成される。
【0022】
ここで、送信者ネットワーク1のPC2により印刷依頼データが生成された後に印刷依頼データのデータサイズを算出すると共に、通信回線10を経由して印刷が終了するまでの終了予定時間を算出し、印刷依頼データをルータ3に送信する。
【0023】
なお、印刷依頼データのデータサイズの算出や終了予定時間の算出は、それぞれ印刷を依頼するクライアントで行うのではなく、サーバ4で算出するような構成にしてもよい。この場合、処理終了信号の監視も同様にサーバ4で行うような構成にしてもよい。
【0024】
ルータ3は、ルーティングテーブルに基づいてPC7をあて先として送信者ネットワーク1のゲートウェイであるルータ6に印刷依頼データを送信する。ルータ6は受信した印刷依頼データをあて先であるPC7に対して印刷依頼データを転送する。
【0025】
PC7は、印刷依頼を参照して印刷依頼内容を確認し、印刷依頼先としてプリントサーバ8を宛先に指定してデータ送信を行う。送信を受けたプリントサーバ8は、依頼された印刷要求を制御してプリンタ9に出力する。
【0026】
プリンタ9では、出力を行った結果をプリントサーバ8ないしはPC7に送信する。
【0027】
例えば、出力を行った結果、出力要求に対して正常に出力が行われた場合には正常を示す正常終了信号を送出し、出力要求に対して正常に出力が行われなかった場合には異常を示す異常終了信号を送出する。送出されてきた正常/異常終了信号を受信者ネットワーク5のPC7で受けて印刷依頼を行ったPC2に当該信号を送信する。
【0028】
このとき送信されてきた印刷終了信号の内容が正常終了を示す正常終了信号であり、かつ上記終了予定時間内に送出されてきた場合には正常に印刷依頼が処理されたとして本システムの処理を終了する。
【0029】
それに対して印刷の異常終了を示す異常終了信号が送出されてきた場合または、上記終了予定時間内に印刷終了信号が送出されてこない場合には、あらかじめ登録された番号に自動的に発呼する。
【0030】
このとき自動発呼する電話機(11、12)にIP(Internet Protocol)電話を用いることにより、既存の通信回線10を用いた統一的なシステムを構築することができる。
【0031】
図2は、この発明に係わる通信管理システムのシステム構成を示す図である。
【0032】
図2には、送信者システム20と受信者システム21が通信回線10により接続された状態を示している。
【0033】
送信者システム20として、インタフェース20−1、入力部20−2、データ生成部20−3、データサイズ算出部20−4、終了時間算出部20−5、制御部20−6、保存部20−7、依頼部20−8、終了信号受付制御部20−9、発呼部20−10、監視部20−11、表示部20−12を具備して構成される。
【0034】
インタフェース20−1は、送信者システム20と受信者システム21との電気的な接続を実現するものである。
【0035】
入力部20−2は、データの生成を行うための入力を行ったり、作業状態を確認したりする人の手によって入力を行うものである。
【0036】
データ生成部20−3は、入力部20−2により入力された入力データから印刷依頼を行うデータを生成するものである。
【0037】
データサイズ算出部20−4は、データ生成部20−3により生成されたデータにおけるデータサイズを算出するものである。当該データには通信回線を経由して受信者ネットワーク21に伝送するためのヘッダー情報なども含まれている。
【0038】
終了時間算出部20−5は、データサイズ算出部20−4により算出された印刷依頼データのサイズを持つ印刷依頼が印刷装置により印刷を開始して終了するまでの時間を算出するものである。
【0039】
なお、印刷開始から終了までの時間に限られることなく、通信回線を経由して受信者システム21に伝送し、さらに受信者ネットワークから印刷装置まで印刷依頼を行い、実際に印刷装置で印刷が行われ、さらに該印刷の終了を示す終了信号を受信するまでのトータル的な終了までの予定時間を算出するような構成にしてもよい。
【0040】
たとえば、送信者ネットワーク20から受信者システム21までの通信回線の帯域幅や伝送損失率などを考慮して伝送率を算出し、単位時間あたりの伝送サイズを算出するような構成にしてもよい。
【0041】
制御部20−6は、データ生成部20−3により生成された印刷依頼データと終了時間算出部20−5により印刷終了までの終了予定時間に基づいて印刷依頼を行うデータの対応付けなどの制御を行い、さらに、印刷依頼を行った印刷依頼データを印刷依頼先(宛て先)、依頼開始時刻、印刷依頼データサイズ、終了予定時間などと共に保存部20−7に送信するといった制御をも行う。
【0042】
保存部20−7は、制御部20−6により送信された印刷依頼データなどの情報を保存しておくものである。保存部20−7に保存された各種データを表示部20−12や発呼部20−10などから参照されるものである。保存部20−7の保存内容は、後述する図4に示す。
【0043】
依頼部20−8は、制御部20−6により制御された内容を受けて受信者システムに印刷依頼を行うデータの作成を行う。作成された印刷依頼のデータをインタフェース20−1に送信して受信者ネットワーク21に送信する。
【0044】
終了信号受付制御部20−9は、インタフェース20−1で受け付けた信号が印刷終了を示す終了信号である場合に該終了信号を受け付けるものであり、受け付けた終了信号を保存部20−7に保存された終了予定時間などと比較して保存部20−7の保存データを更新するという制御を行う。
【0045】
発呼部20−10は、監視部20−11から終了予定時間を経過したにもかかわらず終了信号を受信しない相手に対してあらかじめ登録された番号に自動発呼を行うものである。
【0046】
監視部20−11は、保存部20−7に保存された終了予定時間内に終了信号制御部20−9で終了信号を受信するか否かを監視するものである。終了予定時間内に終了信号を受信しない場合には発呼部20−10から自動発呼を行うように指示を送出する。
【0047】
表示部20−12は、監視部20−11により監視している監視の内容である監視リストを表示したり、終了予定時間内に終了信号を受信しない場合などに自動発呼する旨を示す画面を表示したりするものである。
【0048】
受信者システム21として、インタフェース21−1、解析部21−2、出力制御部21−3、プリンタ21−4、信号生成部21−5、信号発信部21−6を具備して構成される。
【0049】
インタフェース21−1は、送信者システム20と受信者システム21との電気的な接続を実現するものである。
【0050】
解析部21−2は、送信システム20から送出されてきたデータが印刷依頼データであるか解析するものである。
【0051】
出力制御部21−3は、解析部21−2で解析した内容が印刷依頼データである場合にプリンタ21−4に対して出力を行い、プリンタ21−4からの出力結果を制御するものである。
【0052】
信号生成部21−5は、出力制御部21−3により制御された内容に基づく信号を生成するものである。たとえば、プリンタ21−4による印刷が正常に終了した場合には出力の終了を示す終了信号として正常終了信号を生成し、それに対して印刷が正常に終了されなかった場合には異常終了信号を生成する。
【0053】
信号発信部21−6は、信号生成部21−5により生成された終了信号を印刷依頼の送信者に対して発信するものである。
【0054】
このような構成によると、印刷依頼データのデータサイズに基づいて印刷終了までの終了予定時間を算出して終了予定時間内に終了信号が送出されてくるかを監視しているので、送信者の印刷依頼が確実に行われたか常時確認することができる。
【0055】
図3は、この発明に係わる通信管理システムの送信者側Aと受信者側Bとのシーケンス図である。
【0056】
図3において、送信者側Aでは印刷依頼データのデータサイズと印刷の終了までの終了予定時間とを算出した後に受信者側Bに対して印刷依頼データを送出し(S31)、またそれと同時に処理時間の計測を行う。受信者側Bでは依頼内容を解析して印刷依頼に応じた印刷装置Cに対して印刷処理要求を送出する(S32)。
【0057】
まず、(CASE:1)に示す場合では印刷装置Cから受信者Bが印刷終了信号を受信し(S33)、送信者Aが受信者Bに送信した印刷依頼データ(S31)に対する処理終了信号が終了予定時間内に受信した場合を示している。この(CASE:1)の場合、自動発呼(S35)は行わず本システムを終了する。
【0058】
次に、(CASE:2)に示す場合には、印刷装置への印刷要求(S32)に対する印刷終了信号を受信者Bが受信し(S36)、受信者Bから送信者Aへの処理終了信号が終了予定時間内に受信しなかった場合を示している。この(CASE:2)の場合、送信者Aが処理終了信号の受信を行う前である終了予定時間経過後、速やかに自動発呼を行う(S35)。
【0059】
これにより終了予定時間内に処理終了信号の受信が行われたか否かにより自動発呼を行うことができる。
【0060】
図4は、この発明に係わる通信管理システムの監視テーブルを示す図である。
【0061】
図4には、印刷依頼を複数のユーザ(受信者)に送信した場合に個々のユーザごとに処理終了信号の受信を監視するテーブルである。
【0062】
通常、監視テーブルは一時領域に作成され、処理終了信号を全てのユーザに対して受信したかあるいは自動発呼を行ったかにより一連の印刷依頼処理が終了した場合には、テーブル全体が消去される。
【0063】
例えば、監視テーブル40の宛て先ごとに主キーである監視ID40−1、印刷処理依頼した開始時刻40−2、処理終了までの終了予定時間40−3、送信したデータを識別する外部キーである送信データID40−4を有して構成される。また、監視テーブルの外部キーである送信データID40−4を主キーとするデータテーブル41は、主キーである送信データID41−1、印刷依頼したデータを格納した格納位置41−2、印刷依頼したデータサイズを示すデータサイズ41−3を有して構成される。
【0064】
このようなテーブル構成によって、宛て先として示されたIP(Internet Protocol)アドレスである「254.12.xxx.xxx」に対して「c:\temp\free」に格納されたデータサイズ「1240byte」である印刷依頼を開始時刻「13時55分24秒」に依頼を開始し、その終了時間まで「245秒」を要することが示されている。
【0065】
図5は、この発明に係わる通信管理システムの自動発呼を通知する画面を示す図である。
【0066】
図5には、終了予定時間内に処理終了信号を受信しなかった場合に表示される画面であり、指定された番号に自動発呼をする旨を示している。
【0067】
ここに示す例では、指定された時間である15秒後(51)にあらかじめ登録された「03−XXXX−XXXX」(52)に電話をかけて相手が電話に出たら受話器をとって要件を伝える。
【0068】
それに対して指定時間(51)内に自動発呼しない場合にはキャンセルボタン54を押下することにより自動発呼を中止することができる。
【0069】
図6は、この発明に係わる通信管理システムの監視を行う画面である。
【0070】
図6において、当画面を開いた瞬間における印刷依頼の内容を参照することができる。ここで当画面を開いた瞬間とは、当画面を開いた瞬間である表示時刻61における印刷依頼の内容を示している。
【0071】
さらに、当画面を開いた瞬間から遡ること15分前(68)までの内容を表示している。
【0072】
表示される内容として、監視ID62、宛て先63、開始時刻64、終了予定時間65、経過時間66、終了信号の有無67を有する。
【0073】
例えば、監視ID62が「1」であるレコードには、宛て先63「USER99(192.168.2.253)」に対して印刷依頼を開始時刻64「13:32:19」に行い、終了予定時間65「1221」を要することをしていている。さらに、当画面を開いた瞬間には、印刷依頼の処理が終了しているため経過時間66が表示されておらず、また終了信号の有無67については、終了信号を受信しているため「有」が表示されている。
【0074】
また、監視ID63が「2」であるレコードには、経過時間66が「245」と表示されていることから当画面を開いた瞬間である表示時刻61における印刷終了までの残り予定時間が245秒であることが分かり、さらに経過時間が表示されていることからも分かるように印刷の終了を示す終了信号が送達されてきていないことを終了信号の有無67に「無」として示している。
【0075】
そして、これらの監視画面の監視先リストは、参照のみの画面であるため閉じるボタン69のみが表示されている。
【0076】
次に、本システムの監視フローについて説明する。
【0077】
図7は、本発明に係わる通信管理システムの送信側の処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
図7において、印刷依頼を行う際に処理が開始され、印刷依頼を行うデータを作成し(S70−1)、作成したデータにおけるデータサイズを算出し(S70−2)、算出したデータサイズに基づいて印刷開始から印刷終了までの予定時間を算出する(S70−3)。算出したデータサイズ、終了予定時間と印刷依頼を行ったデータとを対応付ける制御を行い(S70−4)、対応付けを行ったデータの保存を行う(S70−5)。印刷依頼データを受信者側に送信し(70−6)、受信者システムで処理を行う(S70−7)。
【0079】
印刷依頼データを送信した送信先を常時監視し(S70−8)、終了予定時間内に終了信号を受信したか否か判別し(S70−9)、終了予定時間内に終了信号を受信した場合(S70−9でYES)には、上記保存を行ったデータの更新を行い、処理を終了する。それに対して、終了予定時間内に終了信号を受信しない場合(S70−9でNO)には、あらかじめ指定された番号に自動発呼を行う(S70−11)。
【0080】
図8は、本発明における通信管理システムの受信側の処理の流れを示すフローチャートである。
【0081】
図8において、印刷依頼データを受信すると処理が開始され、受信したデータの内容を解析し(S80−1)、解析結果が印刷依頼である場合に印刷依頼に基づいてプリンタで印刷依頼データを出力する(S80−2)。
【0082】
プリンタからの印刷結果を受信して(S80−3)、印刷結果を踏まえて印刷依頼の送信者に送出する終了信号を生成する(S80−4)。生成した終了信号を印刷依頼を送信した送信者に対して送出する(S80−5)。
【0083】
以上の実施例のような構成による処理により、本発明の通信管理システムでは、送信者側と受信者側との間の通信回線などの障害による情報の不伝達を防止できる。
【0084】
上記実施例によって、本システムでは即時性の高い通信を行う際の情報伝達を確実なものとすることが可能になる。
【0085】
なお、上記フローチャートに示す処理は、コンピュータにより実行可能な通信管理プログラムによっても実現できる。
【0086】
本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、送信者の処理依頼に対して受信者の処理装置で処理した処理結果を常時監視する通信管理システムおよび送信装置および受信装置および制御方法およびプログラムに適用可能であり、特に、送信者の処理依頼を行ったデータサイズを算出してデータサイズに基づいた処理装置における処理終了までの予定時間内に処理終了を示す処理終了信号を受信しない場合に予め登録してある番号に自動発呼するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係わる通信管理システムのシステム全体構造を示す全体図。
【図2】本発明に係わる通信管理システムのシステム構成を示す図。
【図3】本発明に係わる通信管理システムの処理の流れを示すシーケンス図。
【図4】本発明に係わる通信管理システムの監視を行うテーブル構成を示す図。
【図5】本発明に係わる通信管理システムの自動発呼を行う自動発呼通知画面を示す図。
【図6】本発明に係わる通信管理システムの処理終了を通知する処理完了画面を示す図。
【図7】本発明に係わる通信管理システムの送信側の処理の流れを示すフローチャート。
【図8】本発明に係わる通信管理システムの受信側の処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0089】
1 送信者ネットワーク
2 PC
3 ルータ
4 サーバ
5 受信者ネットワーク
6 ルータ
7 PC
8 プリントサーバ
9 プリンタ
10 通信回線
11 電話機
12 電話機
20 送信者システム
20−1 インタフェース
20−2 入力部
20−3 データ生成部
20−4 データサイズ算出部
20−5 終了時間算出部
20−6 制御部
20−7 保存部
20−8 依頼部
20−9 終了信号制御部
20−10 発呼部
20−11 監視部
20−12 表示部
21 受信者システム
21−1 インタフェース
21−2 解析部
21−3 出力制御部
21−4 プリンタ
21−5 信号生成部
21−6 信号発信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して接続された送信装置から受信装置間への処理依頼に対する通信内容を管理する通信管理システムにおいて、
前記送信装置は、
前記処理依頼のデータサイズを算出するデータサイズ算出手段と、
前記データサイズ算出手段により算出したデータサイズを有する前記処理依頼が前記受信装置からの処理終了を示す処理終了信号を受け取るまでの予定時間を算出する終了時間算出手段と、
前記終了時間算出手段による前記予定時間の算出が行われた前記処理依頼を前記受信装置に送信する送信手段と、
前記終了時間算出手段により算出された予定時間内に前記処理終了信号の送達が行われるかを監視する監視手段と、
前記監視手段により監視された前記処理終了信号の受信が前記終了時間算出手段によって算出された前記予想時間以内に完了しない場合に前記受信装置に対して自動発呼する自動発呼手段と
を具備し、
前記受信装置は、
前記送信手段により送信された前記処理依頼を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記処理依頼の依頼内容にしたがって処理を実行する処理実行手段と、
前記処理実行手段により行われた処理の終了を示す前記処理終了信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段により生成された前記処理終了信号を前記処理依頼を行った前記送信装置に対して該処理終了信号を発信する信号発信手段と
を具備することを特徴とする通信管理システム。
【請求項2】
前記自動発呼手段は、
あらかじめ登録した電話番号に自動的に発呼する
ことを特徴とする請求項1記載の通信管理システム。
【請求項3】
前記終了時間算出手段は、
前記受信装置との通信経路ごとに通信効率を示すデータ伝送効率を管理するデータ伝送効率管理手段と、
前記データ伝送効率管理手段により管理された通信経路ごとの単位時間当たりのデータ伝送効率を少なくともネットワーク帯域幅と伝送損失率から算出するデータ伝送効率算出手段と
を具備し、
前記データ伝送効率算出手段により算出された単位時間当たりのデータ伝送効率に対して前記データサイズ算出手段により算出したデータサイズを伝送して前記処理装置における処理の終了の予定時間を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の通信管理システム。
【請求項4】
通信回線を介して処理依頼を処理依頼受信側装置に送信する送信装置において、
前記処理依頼のデータサイズを算出するデータサイズ算出手段と、
前記データサイズ算出手段により算出したデータサイズを有する処理依頼が前記処理依頼受信側装置からの処理終了を示す処理終了信号を受け取るまでの予定時間を算出する終了時間算出手段と、
前記終了時間算出手段による前記予定時間の算出が行われた前記処理依頼を前記処理依頼受信側装置に送信する送信手段と、
前記終了時間算出手段により算出された予定時間内に前記処理終了信号の送達が行われるかを監視する監視手段と、
前記監視手段により監視された前記処理終了信号の受信が前記終了時間算出手段によって算出された前記予想時間以内に完了しない場合に前記処理依頼受信側装置に対して自動発呼する自動発呼手段と
を具備することを特徴とする送信装置。
【請求項5】
通信回線を介して処理依頼を処理依頼送信装置から受信する受信装置において、
前記処理依頼を前記処理依頼送信装置から受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記処理依頼の依頼内容にしたがって処理を実行する処理実行手段と、
前記処理実行手段により行われた処理の終了を示す前記処理終了信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段により生成された前記処理終了信号を前記処理依頼を行った前記処理依頼送信装置に対して該処理終了信号を発信する信号発信手段と
を具備することを特徴とする受信装置。
【請求項6】
通信回線を介して接続された処理依頼送信装置から処理依頼受信装置への処理依頼に対する通信内容を管理する通信管理システムの制御方法において、
前記処理依頼送信装置は、
前記処理依頼のデータサイズをデータサイズ算出手段で算出し、
前記データサイズ算出手段により算出したデータサイズを有する前記処理依頼が前記処理依頼受信装置からの処理終了を示す処理終了信号を受け取るまでの予定時間を終了時間算出手段で算出し、
前記終了時間算出手段による前記予定時間の算出が行われた前記処理依頼を送信手段で送信し、
前記終了時間算出手段により算出された予定時間内に前記処理終了信号の送達が行われるかを監視手段で監視し、
前記監視手段により監視された前記処理終了信号の受信が前記終了時間算出手段によって算出された前記予想時間以内に完了しない場合に前記受信装置に対して自動発呼手段により自動発呼し、
前記処理依頼受信装置は、前記送信手段により送信された前記処理依頼を受信手段で受信し、
前記受信装置によって受信した前記処理依頼の依頼内容にしたがって処理を処理実行手段で実行し、
前記処理実行手段により行われた処理の終了を示す前記処理終了信号を信号生成手段で生成し、
前記信号生成手段により生成された前記処理終了信号を前記処理依頼を行った前記送信装置に対して該処理終了信号を発信する
ことを特徴とする通信管理システムの制御方法。
【請求項7】
通信回線を介して接続された処理依頼送信装置から処理依頼受信装置への処理依頼に対する通信内容を管理する通信管理システムにおける処理をコンピュータにより実行させる通信管理プログラムであって、
前記処理依頼のデータサイズを算出するステップと、
該算出したデータサイズを有する前記処理依頼が前記処理依頼受信装置からの処理終了を示す処理終了信号を受け取るまでの予定時間を算出するステップと、
該前記予定時間の算出が行われた前記処理依頼を前記処理依頼受信装置へ送信するステップと、
該算出された予定時間内に前記処理終了信号の送達が行われるかを監視するステップと、
該監視された前記処理終了信号の受信が前記算出された前記予想時間以内に完了しない場合に前記処理依頼受信装置に対して自動発呼するステップと、
前記処理依頼送信装置により送信された前記処理依頼を受信するステップと、
該受信した前記処理依頼の依頼内容にしたがって処理を実行するステップと、
該実行した処理の終了を示す前記処理終了信号を生成するステップと、
該生成された前記処理終了信号を前記処理依頼を行った前記処理依頼送信装置に対して該処理終了信号を発信するステップと
を特徴とする通信管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−74370(P2006−74370A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254412(P2004−254412)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】