説明

通信装置、その処理方法及びプログラム

【課題】隣接するネットワーク間の帯域の干渉を抑制させる技術を提供する。
【解決手段】通信装置は、ステーションとして機能し、他のアクセスポイントにより構築されたネットワークに接続して通信を行なう第1の通信インターフェースと、アクセスポイントとして機能し、第1の通信インターフェースと同じ通信方式で且つ同じチャネルを用いて通信を行なう第2の通信インターフェースと、所定の通信方式で他の装置と通信を行なう第3の通信インターフェースとを具備する。通信装置は、第3の通信インターフェースを用いた通信の接続が確立された場合、第1の通信インターフェースの接続先である他のアクセスポイントと第3の通信インターフェースを用いて通信が行なえるか否かを判定し、他のアクセスポイントと第3の通信インターフェースを用いて通信が行なえると判定された場合、第1の通信インターフェースによる接続を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、その処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユビキタス社会の広がりに伴い、ネットワーク機能を備えた各種装置は、装置間において画像情報や決済情報など様々な種別の情報を交換するようになってきている。このような背景の中、例えば、情報交換時のセキュリティを確保するため、装置間の通信を直接接続により実現する手法が存在する。
【0003】
ここで、例えば、無線LAN(Local Area Network)を用いた通信が知られている。このような無線LANに関する技術として、アクセスポイントとステーションとの両方の機能を有するデュアルモード端末が知られている。デュアルモード端末においては、接続相手の形態に応じて、それら機能を切り替えて接続する手法(AP-STA Dual方式)が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
一般に、デュアルモード端末においては、無線ハードウエアとして、無線RFモジュールが1つ設けられる。1つの無線ハードウエアを使用し、アクセスポイントとステーションの両方の機能を同時に提供する無線ハードウエア(AP-STA Dual対応ハードウエア)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−298687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したAP−STA Dual対応ハードウエアを用いた場合、当該無線ハードウェアを用いた通信は、同一の無線チャネルを使用しなければならないといった制限ができる。
【0007】
また、AP−STA Dual対応ハードウエアを用いて、アクセスポイントとステーションとの機能を同時に使用した場合、両ネットワーク間で無線帯域の競合が発生してしまう。これは、一方のインターフェースから受信したパケットを他方のインターフェースのネットワークへ転送する場合などに顕著となる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、隣接するネットワーク間の帯域の干渉を抑制させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様による通信装置は、ステーションとして機能し、他のアクセスポイントにより構築されたネットワークに接続して通信を行なう第1の通信インターフェースと、アクセスポイントとして機能し、前記第1の通信インターフェースと同じ通信方式で且つ同じチャネルを用いて通信を行なう第2の通信インターフェースと、所定の通信方式で他の装置と通信を行なう第3の通信インターフェースと、前記第3の通信インターフェースを用いた通信の接続が確立された場合、前記第1の通信インターフェースの接続先である前記他のアクセスポイントと前記第3の通信インターフェースを用いて通信が行なえるか否かを判定する判定手段と、前記他のアクセスポイントと前記第3の通信インターフェースを用いて通信が行なえると判定された場合、前記第1の通信インターフェースによる接続を切断する切断処理手段とを具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、隣接するネットワーク間の帯域の干渉を抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係わる処理の概要の一例を示す図。
【図2】実施形態に係わる処理の概要の一例を示す図。
【図3】実施形態に係わる通信装置10の構成の一例を示す図。
【図4】通信装置10における処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図5】図4のS106に示すチャネル変更可否判定処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図6】図4のS108に示す使用チャネル決定処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図7】実施形態に係わる処理の概要の一例を示す図。
【図8】実施形態に係わる処理の概要の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1(a)は、本発明の一実施の形態に係わる通信装置10を配して構成された通信システムの構成の一例を示す図である。
【0014】
通信システムには、アクセスポイント(AP)として機能するプリンタ21と、ステーション(STA)として機能するPC(Personal Computer)22と、通信装置10とが配されている。通信装置10は、アクセスポイントとステーションの両方の機能を有するデュアルモード端末(AP−STA Dual端末)である。
【0015】
ここで、通信装置10には、ステーション(無線LANの端末局)として機能する第1の通信インターフェース14aと、アクセスポイント(無線LANの基地局)として機能する第2の通信インターフェース14bとが設けられる。また更に、通信装置10には、第3の通信インターフェース14cも設けられる。
【0016】
第1の通信インターフェース14a及び第2の通信インターフェース14bを用いた通信は、同じ通信方式(この場合、無線LAN)を用いて行なわれる。また、第1の通信インターフェース14a及び第2の通信インターフェース14bは、同じ無線モジュール(無線ハードウェア)を使用して通信を行なうため、両インターフェースは、同一のチャネルを利用する。
【0017】
第3の通信インターフェース14cを用いた通信は、第1及び第2の通信インターフェースと同じ通信方式であっても良いし、異なっていても良い。本実施形態においては、第3の通信インターフェース14cを用いた通信は、有線LANを介して行なわれる。
【0018】
第1のネットワーク31は、プリンタ21により構築されたネットワークであり、第2のネットワーク32は、第2の通信インターフェース14bにより構築されたネットワークである。上述した通り、第1の通信インターフェース14a及び第2の通信インターフェース14bは、同一のチャネルを利用する。そのため、第1のネットワーク31及び第2のネットワーク32は、互いに同じ帯域を共有して使用することになるので、一方のネットワークで帯域利用が増えると、他方のネットワークにおける帯域利用の占有度が下がってしまう関係にある。この他、図1には、第3のネットワーク33として、有線LANを用いて構築されたネットワークも示されている。第3のネットワーク33は、プリンタ21と通信装置10との間を有線LANで接続する。
【0019】
ここで、本実施形態における通信システムの説明を分かり易くするために、通信装置10を介してPC22からプリンタ21にデータを送信する際の処理の流れについて簡単に説明する。
【0020】
まず、第3の通信インターフェース14cが無効、すなわち、有線LANを介してプリンタ21と通信装置10との間が接続されていない場合に、通信装置10を介してPC22からプリンタ21にデータを送信する場合について説明する。
【0021】
この場合、PC22から通信装置10へは、第2のネットワーク32を介してデータが送信され、通信装置10からプリンタ21へは、第1のネットワーク31を介してデータが送信される。そのため、このデータ送信時には、図1(b)に示す帯域占有時間が必要となる。
【0022】
ここで、第3の通信インターフェース14cが有効、すなわち、有線LANを介してプリンタ21と通信装置10との間が接続されたとする。図2(a)を用いて、この状況において、通信装置10を介してPC22からプリンタ21にデータを送信する場合について説明する。
【0023】
通信装置10は、第3の通信インターフェース14cが有効になったことを検出すると、第1の通信インターフェース14aを無効にする。そのため、PC22から通信装置10へは、第2のネットワーク32を介してデータが送信され、通信装置10からプリンタ21へは、第3のネットワーク33を介してデータが送信される。このデータ送信時には、図2(b)に示すように、図1(b)の場合に比べ、帯域占有時間が短くなる。
【0024】
以上が、通信システムの全体構成の一例についての説明である。なお、上記説明した、プリンタ21、PC22及び通信装置10各々には、例えば、コンピュータが内蔵されている。コンピュータには、CPU等の主制御手段、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段が具備される。また、コンピュータにはその他、キーボード、マウス、ディスプレイ又はタッチパネル等の入出力手段等も具備される。なお、これら各構成部は、バス等により接続され、主制御手段が記憶手段に記憶されたプログラムを実行することで制御される。
【0025】
次に、図3を用いて、図1に示す通信装置10における機能的な構成の一例について説明する。なお、図1と同一の構成には、同一の符号を付しており、その説明については省略する場合もある。
【0026】
アプリケーション11は、通信機能を使用するプログラムを示している。通信処理部12は、通信に伴ってTCP/IP等のプロトコルスタックの処理を行なう。また、各通信インターフェース14a〜14bを使用した他の装置との通信処理を制御する。これにより、複数のインターフェースのいずれかを用いてパケットの送受信処理等が行なわれる。
【0027】
第1の通信インターフェース14aは、ステーションとして機能する。上述した通り、他のアクセスポイント(プリンタ21)により構築された第1のネットワーク31に接続し、当該ネットワーク31を介して各種データを通信する。第1の通信インターフェース14aによる通信は、第1の通信ハードウェア15aを介して行なわれる。
【0028】
第2の通信インターフェース14bは、アクセスポイントとして機能する。上述した通り、第2の通信インターフェース14bにより、通信装置10は、例えば、第2のネットワーク32を構築するアクセスポイントとして機能する。なお、本実施形態においては、第2の通信インターフェース14bは、無線LANのアクセスポイント機能を有する場合について説明するが、無線LANのステーション機能をも有し、アドホックネットワークを構築するように機能しても良い。第2の通信インターフェース14bによる通信は、第1の通信ハードウェア15aを介して行なわれる。
【0029】
第3の通信インターフェース14cは、有線LANを用いた通信を行なう。本実施形態においては、第3のネットワーク33へ接続し、当該ネットワーク33を介したデータの通信を制御する。第3の通信インターフェース14cによる通信は、第2の通信ハードウェア15bを介して行なわれる。
【0030】
なお、本実施形態においては、第3の通信インターフェース14cは、有線LANを用いた通信を行なう場合について説明するが、これに限られない。例えば、無線LANを用いた通信であっても良いし、また、ブルートゥース(Bluetooth)やUSB(有線でも無線でも可)などを用いた通信であっても良い。すなわち、第3の通信インターフェース14cは、第1の通信インターフェース14a及び第2の通信インターフェース14bが使用するチャネルとの干渉を回避できる通信であれば良い。
【0031】
第1の通信ハードウエア15aは、例えば、一組のアンテナ及びRFモジュール(無線モジュール)で構成される。そのため、第1の通信ハードウェア15aにおいて、同時に通信可能なチャネルは、1つのみである。第2の通信ハードウェア15bは、例えば、有線ケーブルが着脱されるジャック等で構成される。
【0032】
ここで、第1の通信インターフェース14a及び第2の通信インターフェース14bによる通信が同時に行なわれていれば、その通信には、共通の無線チャネルが使用される。これは、第1の通信ハードウエア15aの同時接続チャネル数に制限があるためである。そのため、第1の通信インターフェース14a及び第2の通信インターフェース14bは、それぞれが同時に通信状態にある場合、それぞれ同一チャネルに存在するネットワークに接続される。
【0033】
通信管理部13は、複数の通信インターフェース14a〜14b及び複数の通信ハードウェア15a及び15bの管理を行なう。通信管理部13は、例えば、各通信インターフェースの有効(UP)/無効(DOWN)の制御を含む各種設定や、各通信ハードウエアに対する伝送キャリアの周波数変更など物理レベルの設定を行なう。
【0034】
ここで、通信管理部13には、その機能的な構成として、監視部41と、リンク状態判定部42と、切断処理部43と、変更可否判定部44と、チャネル変更部45とが設けられる。
【0035】
監視部41は、各通信インターフェース14a〜14cによる通信の接続状態を監視する。
【0036】
リンク状態判定部42は、第3の通信インターフェース14cの接続が確立された場合に、第1の通信インターフェース14aと第3の通信インターフェース14cとが同一リンクであるか否かを判定する。同一リンクであるとは、第1のインターフェース14aが接続しているアクセスポイント(接続先)に対して、第3の通信インターフェース14cを用いて通信が行なえることをいう。
【0037】
ここで、同一リンクであるか否かの判定方法について3つ例を挙げて説明する。
【0038】
まず、第1の方法について説明する。第3の通信インターフェース14cを用いた通信の接続が確立されると、第3の通信インターフェースにIPアドレスが割り当てられる。IPアドレスの割り当ては、一般に、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ等により行なわれる。このとき、割り当てられたIPアドレスのネットワーク部が同一であれば、同一リンクであると判定する。例えば、第1の通信インターフェース14aに割り当てられたIPアドレスが「192.168.22.5/255.255.255.0」であるとする。また、第3の通信インターフェース14cに割り当てられたIPアドレスが「192.168.22.10/255.255.255.0」であるとする。この場合、IPアドレスのネットワーク部が同一であるため、同一リンクであると判定される。また、例えば、第1の通信インターフェース14aに割り当てられたIPアドレスが「192.168.22.5/255.255.255.0」であるとする。また、第3の通信インターフェース14cに割り当てられたIPアドレスが「192.168.40.10/255.255.255.0」であるとする。この場合、IPアドレスのネットワーク部が異なるため、同一リンクでないと判定される。
【0039】
次に、第2の方法について説明する。第1の通信インターフェース14aが接続しているアクセスポイントに対して第3のインターフェース14cからパケットを送信する。そして、当該パケットに対する返信があれば、同一リンクであると判定する。例えば、リンクローカルなアクセスポイントのIPアドレスを指定してARP(Address Resolution Protocol)パケットを送信し、その返信を受信した場合には同一リンクであると判定する。
【0040】
次に、第3の方法について説明する。第3の通信インターフェース14cからブロードキャストメッセージを送信し、第1の通信インタフェース14aで当該ブロードキャストメッセージを受信した場合、同一リンクであると判定する。以上が、同一リンクであるか否かの判定方法の例示についての説明である。
【0041】
切断処理部43は、第1の通信インターフェース14aから送信されるパケットを、第3の通信インターフェース14cから送信されるように通信インターフェースの切り替えを行なう。この処理は、第1の通信インターフェース14aと第3の通信インターフェース14cとが同一リンクであると判定された場合に行なわれる。また、切断処理部43は、当該通信インターフェースの切り替え後、第1の通信インターフェース14aの接続を切断する。
【0042】
変更可否判定部44は、第2のインターフェース14bのチャネルの変更が可能であるか否かの判定を行なう。
【0043】
チャネル変更部45は、第2のインターフェース14bのチャネルの変更が可能であると判定された場合に、変更後に使用するチャネルを決定し、第2のインターフェース14bが使用するチャネルを当該決定したチャネルに変更する。以上が、通信装置10における機能的な構成の一例についての説明である。
【0044】
次に、図4を用いて、図1に示す通信装置10における処理の流れの一例について説明する。
【0045】
通信装置10は、監視部41において、第3の通信インターフェース14cの接続状態を監視している(S101でNO)。ここで、第3の通信インターフェース14cを用いた接続が確立されたことを検出すると(S101でYES)、この処理は開始される。
【0046】
この処理が開始されると、通信装置10は、リンク状態判定部42において、第1の通信インターフェース14aと第3の通信インターフェース14cとが同一リンクに接続されているか否かを判定する(S102)。すなわち、第1のインターフェース14aが接続しているアクセスポイントに対して、第3の通信インターフェース14cを用いて通信が行なえるか否かの判定を行なう。
【0047】
判定の結果、第3の通信インターフェース14cと第1の通信インターフェース14aとが同一リンクである旨検出できなかった場合(S103でNO)、通信装置10は、再度、S101の処理に戻る。すなわち、再度、第3の通信インターフェース14cを用いた接続が確立されるまで待機する。
【0048】
一方、第3の通信インターフェース14cと第1の通信インターフェース14aとが同一リンクであると判定された場合(S103でYES)、通信装置10は、切断処理部43において、通信インターフェースの切り替え処理を行なう。具体的には、第1の通信インターフェース14aから送信されるパケットを、第3の通信インターフェース14cから(迂回して)送信されるように通信インターフェースの切り替えを行なう(S104)。
【0049】
通信インターフェースを切り替えた後、通信装置10は、切断処理部43において、第1の通信インターフェース14aの接続を切断する(S105)。そして、変更可否判定部44において、第2の通信インターフェース14bの使用チャネルの変更可否を判定する(S106)。この処理(チャネル変更可否判定処理)の詳細については後述する。
【0050】
判定の結果、第2の通信インターフェース14bの使用チャネルを変更しない場合(S107でNO)、この処理は終了する。一方、変更すると判定された場合(S107でYES)、通信装置10は、チャネル変更部45において、第2の通信インターフェース14bが通信に使用するチャネルを決定する(S108)。そして、第2の通信インターフェース14bが使用するチャネルを当該決定したチャネルに変更する(S109)。その後、この処理は終了する。
【0051】
次に、図4のS106に示すチャネル変更可否判定処理の詳細について説明する。ここでは、チャネル変更可否判定処理の一例として、3つ例を挙げて説明する。
【0052】
まず、図5(a)を用いて、チャネル変更可否判定処理に係わる第1の方法について説明する。
【0053】
この処理が開始すると、通信装置10は、変更可否判定部44において、まず、第1の通信インターフェース14aが接続されていたネットワーク配下のクライアント(装置)の数を取得する。すなわち、第1のネットワーク31に接続されているクライアント(装置)の数を取得する(S201)。
【0054】
このクライアントの数の取得は、どのような方法で行なわれても良い。例えば、第1のネットワーク31のアクセスポイントが、QoS(Quality of Service)機能をサポートしている場合、そのビーコン情報には、QBSS LOADという情報要素が含まれている。そして、この情報要素を構成しているパラメータの1つであるStation Countには、アクセスポイントに接続されているクライアント数が設定されている。そのため、第1のネットワーク31に接続されているクライアントの数は、アクセスポイントから送信されるビーコン情報を参照することにより取得できる。
【0055】
その後、通信装置10は、変更可否判定部44において、当該取得したクライアント数が、所定の閾値を越えているか否かを判定する。クライアント数が所定の閾値を越えていれば(S202でYES)、「変更あり」をリターンした後(S203)、この処理を終了する。すなわち、第2の通信インターフェースの使用チャネルが変更されることになる。一方、クライアント数が所定の閾値を越えていなければ(S202でNO)、「変更なし」をリターンした後(S204)、この処理を終了する。
【0056】
なお、図5(a)の説明では、第1のネットワーク31に接続されているクライアント数を取得する場合について説明したが、第2のネットワーク32に接続されているクライアント数を取得し、その結果に基づいてチャネル変更の可否を判定しても良い。第2のネットワーク32は、第2の通信インターフェース14bにより構築されたネットワークであるので、当該ネットワークにアソシエーションしている装置の数を取得すれば良い。
【0057】
次に、図5(b)を用いて、チャネル変更可否判定処理に係わる第2の方法について説明する。
【0058】
この処理が開始すると、通信装置10は、変更可否判定部44において、まず、第1の通信インターフェース14aが接続されていたネットワークの帯域使用率を取得する。すなわち、第1のネットワーク31の帯域使用率を取得する(S301)。
【0059】
この帯域使用率の取得は、どのような方法で取得しても良い。例えば、第1のネットワーク31のアクセスポイントが、QoS(Quality of Service)機能をサポートしている場合、そのビーコン情報には、QBSS LOADという情報要素が含まれている。そして、この情報要素を構成しているパラメータの1つであるAvailable Admission Capacityには、アクセスポイントが割り当て可能な残りの帯域が設定されている。そのため、第1のネットワーク31の帯域使用率は、アクセスポイントから送信されるビーコン情報を参照することにより取得できる。
【0060】
その後、通信装置10は、変更可否判定部44において、当該取得した帯域使用率が、所定の閾値を越えているか否かを判定する。帯域使用率が所定の閾値を越えていれば(S302でYES)、「変更あり」をリターンした後(S303)、この処理を終了する。すなわち、第2の通信インターフェースの使用チャネルが変更されることになる。一方、帯域使用率が所定の閾値を越えていなければ(S302でNO)、「変更なし」をリターンした後(S304)、この処理を終了する。
【0061】
なお、図5(b)の説明では、第1のネットワーク31の帯域使用率を取得する場合について説明したが、第2のネットワーク32の帯域使用率を取得し、その結果に基づいてチャネル変更の可否を判定しても良い。第2のネットワーク32は、第2の通信インターフェース14bにより構築されたネットワークである。そのため、当該ネットワークへの接続に際して、接続を所望する装置は、Add TSメッセージで使用帯域を指定してくるため、それぞれの装置が使用している帯域の総計を採れば良い。また更に、第2の通信インターフェース14bの使用するチャネルに対応する帯域の帯域使用率を取得し、その結果に基づいてチャネル変更の可否を判定するようにしても良い。
【0062】
次に、図6を用いて、図4のS108に示す使用チャネル決定処理の詳細について説明する。
【0063】
この処理が開始すると、通信装置10は、チャネル変更部45において、まず、第2の通信インターフェース14bのチャネル候補の中からいずれかを選択する(S401)。なお、チャネル候補は、例えば、ROM等に予め格納しておけば良い。
【0064】
続いて、通信装置10は、チャネル変更部45において、第2及び第3の通信インターフェースの通信方式が同一であるか否かを判定する。例えば、第2及び第3の通信インターフェースの通信方式がともに無線LANであれば、同じであると判定される。
【0065】
判定の結果、同じであれば(S402でYES)、通信装置10は、チャネル変更部45において、S401で選択されたチャネル候補と、第3の通信インターフェース14cのチャネルとが同一であるか否かの判定を行なう。この結果、両者のチャネルが同じであれば(S403でYES)、通信装置10は、再度、S401の処理を実施し、チャネル候補を再選択する。
【0066】
一方、第2及び第3の通信インターフェースの通信方式が異なる場合(S402でNO)、又はS401で選択されたチャネル候補と第3の通信インターフェース14cのチャネルとが異なる場合には(S403でNO)、この処理は終了する。
【0067】
ここで、図7及び図8を用いて、第2の通信インターフェース14bの使用チャネルを変更する場合の具体例について説明する。ここでは、第3の通信インターフェース14cが、第1及び第2の通信インターフェース14a及び14bと同様に、無線LANを用いた通信を行なうものとする。
【0068】
この場合、図7に示すように、第1及び第2の通信インターフェース14a〜14bは同一チャネル(この場合、第1のチャネル)を用いて通信を行なっている。ここで、第1及び第2の通信インターフェース14a〜14bと異なる帯域を利用する第2のチャネルを用いて、第3の通信インターフェース14cによる接続が確立されると、第1の通信インターフェース14aは無効にされ、その接続が切断される。
【0069】
第1の通信インターフェース14aが無効にされた後、図5(a)及び図5(b)で説明したチャネル変更可否判定処理が実施される。ここでは、説明の便宜上、チャネル変更ありと判定されたとする。この場合、第2及び第3の通信インターフェースの通信方式は、同一である(つまり、両方とも無線LANを利用)。そのため、図8に示すように、第2の通信インターフェース14bのチャネルは、第1及び第2のチャネルと異なる帯域を利用する第3のチャネルに変更される。
【0070】
上述した通り、第1のネットワーク31及び第2のネットワーク32は、一方のネットワークで帯域利用が増えると、他方のネットワークにおける帯域利用の占有度が下がってしまう関係にある。そのため、第2のインターフェース32により使用されるチャネルを変更することにより、隣接するネットワーク間における帯域の干渉を抑制させられるので、帯域の有効利用を図れることになる。
【0071】
以上が本発明の代表的な実施形態の例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0072】
(その他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステーションとして機能し、他のアクセスポイントにより構築されたネットワークに接続して通信を行なう第1の通信インターフェースと、
アクセスポイントとして機能し、前記第1の通信インターフェースと同じ通信方式で且つ同じチャネルを用いて通信を行なう第2の通信インターフェースと、
所定の通信方式で他の装置と通信を行なう第3の通信インターフェースと、
前記第3の通信インターフェースを用いた通信の接続が確立された場合、前記第1の通信インターフェースの接続先である前記他のアクセスポイントと前記第3の通信インターフェースを用いて通信が行なえるか否かを判定する判定手段と、
前記他のアクセスポイントと前記第3の通信インターフェースを用いて通信が行なえると判定された場合、前記第1の通信インターフェースによる接続を切断する切断処理手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1の通信インターフェースによる接続が切断された後、前記第2の通信インターフェースにより使用されるチャネルを変更するか否かを判定する変更可否判定手段と、
前記チャネルを変更すると判定された場合、前記第2の通信インターフェースにより使用されるチャネルを異なるチャネルに変更するチャネル変更手段と
を更に具備することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記第3の通信インターフェースは、
前記第1の通信インターフェース及び前記第2の通信インターフェースと同じ通信方式であり、
前記チャネル変更手段は、
前記第2の通信インターフェースにより使用されるチャネルを前記第3の通信インターフェースにより使用されるチャネルと異なるチャネルに変更する
ことを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記変更可否判定手段は、
前記第1の通信インターフェースが接続されていたネットワークに接続される装置の数又は前記第2の通信インターフェースにより構築されたネットワークに接続される装置の数が、所定の閾値を越えている場合に前記チャネルの変更を行なうと判定する
ことを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項5】
前記変更可否判定手段は、
前記第1の通信インターフェースが接続されていたネットワークにおける帯域使用率、前記第2の通信インターフェースにより構築されたネットワークにおける帯域使用率又は前記第2の通信インターフェースにより使用されるチャネルに対応する帯域の帯域使用率が所定の閾値を越えている場合に前記チャネルの変更を行なうと判定する
ことを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1の通信インターフェース及び前記第2の通信インターフェースは、同一の無線モジュールを使用して通信を行なう
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
ステーションとして機能し、他のアクセスポイントにより構築されたネットワークに接続して通信を行なう第1の通信インターフェースと、アクセスポイントとして機能し、前記第1の通信インターフェースと同じ通信方式で且つ同じチャネルを用いて通信を行なう第2の通信インターフェースと、所定の通信方式で他の装置と通信を行なう第3の通信インターフェースとを有する通信装置の処理方法であって、
判定手段が、前記第3の通信インターフェースを用いた通信の接続が確立された場合、前記第1の通信インターフェースの接続先である前記他のアクセスポイントと前記第3の通信インターフェースを用いて通信が行なえるか否かを判定する工程と、
切断処理手段が、前記他のアクセスポイントと前記第3の通信インターフェースを用いて通信が行なえると判定された場合、前記第1の通信インターフェースによる接続を切断する工程と
を具備することを特徴とする通信装置の処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
ステーションとして機能し、他のアクセスポイントにより構築されたネットワークに接続して通信を行なう第1の通信インターフェース、
アクセスポイントとして機能し、前記第1の通信インターフェースと同じ通信方式で且つ同じチャネルを用いて通信を行なう第2の通信インターフェース、
所定の通信方式で他の装置と通信を行なう第3の通信インターフェース、
前記第3の通信インターフェースを用いた通信の接続が確立された場合、前記第1の通信インターフェースの接続先である前記他のアクセスポイントと前記第3の通信インターフェースを用いて通信が行なえるか否かを判定する判定手段、
前記他のアクセスポイントと前記第3の通信インターフェースを用いて通信が行なえると判定された場合、前記第1の通信インターフェースによる接続を切断する切断処理手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−129734(P2012−129734A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278396(P2010−278396)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】