説明

通信装置、通信方法、及び、通信システム

【課題】高速な近接通信を、消費電力を抑えて行う。
【解決手段】非接触通信メディア100が、RW200の低速通信によるポーリングに応答し、RW200が、非接触通信メディア100からの、ポーリングに対する応答を受信することにより、非接触通信メディア100とRW200との間で、低速通信を開始する。そして、RW200が、非接触通信メディア100との間で、低速通信が開始された後に、無線電力伝送を開始し、非接触通信メディア100が、RW200との間で、低速通信が開始された後に、RW200からの送信が開始される電力を受信し、その電力によって高速通信を開始し、非接触通信メディア100とRW200との間で、高速通信が行われる。本発明は、例えば、大容量のデータをやりとりする近接通信に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法、及び、通信システムに関し、特に、例えば、高速な近接通信を、消費電力を抑えて行うことができるようにする通信装置、通信方法、及び、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IC(Integrated Circuit)カード等を用いて、近距離で非接触により無線通信を行う近接通信が、例えば、電子定期券や、電子マネー等で利用されており、また、近接通信を利用した電子定期券や、電子マネーの機能を有する携帯電話機が広く普及してきている。
【0003】
近接通信は、例えば、ISO/IEC 14443や、ISO/IEC 18092(以下、NFC(Near Field Communication)ともいう)として規格化されている。
【0004】
NFCの規格に準拠した通信を行う通信方式としては、例えば、タイプA、タイプB、タイプCと呼ばれている通信方式がある。
【0005】
例えば、本件出願人であるソニー株式会社のFeliCa(登録商標)と呼ばれるICカードシステムでは、タイプCが採用されている。
【0006】
ところで、例えば、上述のタイプCでは、13.56MHzのキャリアが採用され、212kbps(kilo bit per second)や、424kbpsの通信速度で、近接通信が行われる。
【0007】
また、タイプA及びBでは、タイプCよりも低速である106kbpsの通信速度で、近接通信が行われる。
【0008】
以上のように、NFCの通信速度は、数百kbps程度で、低速であるため、例えば、画像のコンテンツ等の大容量のデータの伝送に適切であるとは、いえない。
【0009】
一方、NFCでは、ICカードをRW(Reader/Writer)かざすだけで、通信相手を特定し、相互認証を行うことができる。
【0010】
そこで、最初に、NFCで通信を開始し、その後、通信速度がNFCよりも高速な、例えば、無線LANや、Bluetooth(登録商標)等の高速通信に、通信方式を切り替えるハンドオーバが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009-218845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、最近では、NFCよりも高速な通信速度での近接通信が普及しつつある。そのような高速な近接通信の通信方式としては、例えば、TransferJet(登録商標)がある。
【0013】
TransferJet(登録商標)では、4.48GHzのキャリアが採用され、最高で、560Mbpsの通信速度で、近接通信が行われる。
【0014】
以上のようなTransferJetを、ICカードシステムに適用することで、ICカードと、そのICカードに対するデータの読み書きを行うRWとの間では、画像のコンテンツ等の大容量のデータの伝送を、迅速に行うことができる。
【0015】
TransferJet等の高速な近接通信の通信方式を、ICカードシステムに適用した場合、RWは、ICカードがかざされること等により近接したことを認識するために、無線によるRF(Radio Frequency)信号を出力して、ポーリングを行う必要がある。
【0016】
しかしながら、高速な近接通信を行うRWでは、高速な動作が要求されるため、低速な近接通信を行う場合に比較して、消費電力が大になる。
【0017】
そして、RWにおいて、ICカードが近接しておらず、したがって、ICカードとの間でデータのやりとりが行われていないとき、つまり、ポーリングが行われているだけのときにも、そのような大きな電力が消費されることは、RWでの平均的な消費電力が大になる。
【0018】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、高速な近接通信を、消費電力を抑えて行うことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の側面の通信装置は、無線によるポーリングを行うマスタ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1の通信手段と、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2の通信手段と、前記マスタ通信装置からの無線電力伝送によって送信されてくる、少なくとも、前記第2の通信を行うための電力を受信する電力受信手段とを備え、前記電力受信手段は、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記マスタ通信装置からの送信が開始される電力を受信し、前記第2の通信手段は、前記電力受信手段によって受信された電力によって動作を開始し、前記マスタ通信装置との間で、前記第2の通信を開始する通信装置である。
【0020】
本発明の第1の側面の通信方法は、無線によるポーリングを行うマスタ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1の通信手段と、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2の通信手段と、前記マスタ通信装置からの無線電力伝送によって送信されてくる、少なくとも、前記第2の通信を行うための電力を受信する電力受信手段とを備える通信装置の、前記第1の通信手段が、前記マスタ通信装置からの前記ポーリングに応答することにより、前記マスタ通信装置の間で、前記第1の通信を開始し、前記電力受信手段が、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記マスタ通信装置からの送信が開始される電力を受信し、前記第2の通信手段が、前記電力受信手段によって受信された電力によって動作を開始し、前記マスタ通信装置との間で、前記第2の通信を開始するステップを含む通信方法である。
【0021】
以上のような第1の側面においては、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記マスタ通信装置からの送信が開始される電力が受信され、第1の通信手段が、その電力によって動作を開始し、前記マスタ通信装置との間で、前記第2の通信を開始する。
【0022】
本発明の第2の側面の通信装置は、無線によるポーリングに対して応答するスレーブ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1の通信手段と、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2の通信手段と、前記スレーブ通信装置が、前記第2の通信を行うための電力を、無線電力伝送によって送信する電力送信手段とを備え、前記電力送信手段は、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記無線電力伝送を開始し、前記第2の通信手段は、前記無線電力伝送が開始された後に、前記スレーブ通信装置との間で、前記第2の通信を開始する通信装置である。
【0023】
本発明の第2の側面の通信方法は、無線によるポーリングに対して応答するスレーブ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1の通信手段と、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2の通信手段と、前記スレーブ通信装置が、前記第2の通信を行うための電力を、無線電力伝送によって送信する電力送信手段とを備える通信装置の、前記第1の通信手段が、前記スレーブ通信装置からの、前記ポーリングに対する応答を受信することにより、前記スレーブ通信装置の間で、前記第1の通信を開始し、前記電力送信手段が、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記無線電力伝送を開始し、前記第2の通信手段が、前記無線電力伝送が開始された後に、前記スレーブ通信装置との間で、前記第2の通信を開始するステップを含む通信方法である。
【0024】
以上のような第2の側面においては、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記無線電力伝送が開始され、前記第2の通信手段は、前記無線電力伝送が開始された後に、前記スレーブ通信装置との間で、前記第2の通信を開始する。
【0025】
本発明の第3の側面の通信システムは、無線によるポーリングに対して応答するスレーブ通信装置と、前記ポーリングを行うマスタ通信装置とを備え、前記スレーブ通信装置は、前記マスタ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1のスレーブ通信手段と、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2のスレーブ通信手段と、前記マスタ通信装置からの無線電力伝送によって送信されてくる、少なくとも、前記第2の通信を行うための電力を受信する電力受信手段とを有し、前記電力受信手段は、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記マスタ通信装置からの送信が開始される電力を受信し、前記第2の通信手段は、前記電力受信手段によって受信された電力によって動作を開始し、前記マスタ通信装置との間で、前記第2の通信を開始し、前記マスタ通信装置は、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信を行う第1のマスタ通信手段と、前記スレーブ通信装置との間で、前記第2の通信を行う第2のマスタ通信手段と、前記スレーブ通信装置が、前記第2の通信を行うための電力を、無線電力伝送によって送信する電力送信手段とを有し、前記電力送信手段は、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記無線電力伝送を開始し、前記第2のマスタ通信手段は、前記無線電力伝送が開始された後に、前記スレーブ通信装置との間で、前記第2の通信を開始する通信システムである。
【0026】
本発明の第3の側面の通信方法は、無線によるポーリングに対して応答するスレーブ通信装置と、前記ポーリングを行うマスタ通信装置とを備え、前記スレーブ通信装置は、前記マスタ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1のスレーブ通信手段と、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2のスレーブ通信手段と、前記マスタ通信装置からの無線電力伝送によって送信されてくる、少なくとも、前記第2の通信を行うための電力を受信する電力受信手段とを有し、前記マスタ通信装置は、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信を行う第1のマスタ通信手段と、前記スレーブ通信装置との間で、前記第2の通信を行う第2のマスタ通信手段と、前記スレーブ通信装置が、前記第2の通信を行うための電力を、無線電力伝送によって送信する電力送信手段とを有する通信システムの、前記第1のスレーブ通信手段が、前記マスタ通信装置からの前記ポーリングに応答し、前記第1のマスタ通信手段が、前記スレーブ通信装置からの、前記ポーリングに対する応答を受信することにより、前記スレーブ通信装置と前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信を開始し、前記電力送信手段が、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記無線電力伝送を開始し、前記電力受信手段が、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記マスタ通信装置からの送信が開始される電力を受信し、前記第2のスレーブ通信手段が、前記電力受信手段によって受信された電力によって動作を開始し、前記スレーブ通信装置と前記マスタ通信装置との間で、前記第2の通信を開始するステップを含む通信方法である。
【0027】
以上のような第3の側面においては、前記電力送信手段が、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記無線電力伝送を開始し、前記電力受信手段が、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記マスタ通信装置からの送信が開始される電力を受信する。そして、前記第2のスレーブ通信手段が、前記電力受信手段によって受信された電力によって動作を開始し、前記スレーブ通信装置と前記マスタ通信装置との間で、前記第2の通信が開始される。
【0028】
なお、通信装置や通信システムは、独立した装置であっても良いし、1つの装置を構成している内部ブロックであっても良い。
【発明の効果】
【0029】
本発明の第1ないし第3の側面によれば、高速な近接通信を、消費電力を抑えて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を適用した通信システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】非接触通信メディア100の構成例を示すブロック図である。
【図3】RW200の構成例を示すブロック図である。
【図4】非接触通信メディア100の構成例を示す平面図である。
【図5】非接触通信メディア100の構成例を示す断面図である。
【図6】RW200、及び、上位機器290の処理を説明する図である。
【図7】非接触通信メディア100、RW200、及び、上位機器290の処理を説明する図である。
【図8】非接触通信メディア100、及び、RW200の処理を説明する図である。
【図9】非接触通信メディア100、RW200、及び、上位機器290の処理を説明する図である。
【図10】非接触通信メディア100、及び、RW200の処理を説明する図である。
【図11】RW200の処理を説明するフローチャートである。
【図12】RW200の処理を説明するフローチャートである。
【図13】RW200の処理を説明するフローチャートである。
【図14】RW200の処理を説明するフローチャートである。
【図15】RW200の処理を説明するフローチャートである。
【図16】非接触通信メディア100の処理を説明するフローチャートである。
【図17】非接触通信メディア100の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[本発明を適用した通信システムの一実施の形態]
【0032】
図1は、本発明を適用した通信システム(システムとは、複数の装置が論理的に集合した物をいい、各構成の装置が、同一筐体中にあるか否かは、問わない)の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0033】
図1において、通信システムは、非接触通信メディア100,RW200、及び、上位機器290を有する。
【0034】
非接触通信メディア100は、例えば、現在流通しているクレジットカード程度のサイズのカード型の記憶メディアであり、RW200との間で、近接通信を行うことにより、データのやりとりを行う。
【0035】
RW200は、非接触通信メディア100との間で、近接通信を行い、上位機器290からの制御に従い、非接触通信メディア100に、データを記憶させ(書き込み)、また、非接触通信メディア100からデータを読み出す。
【0036】
上位機器290は、例えば、PC(Personal Computer)や、TV(テレビジョン受像機)、レコーダ等の、画像(静止画、動画)や、音楽、プログラム等のコンテンツ等のデータの提供、又は、記憶(記録)をすることができる機器であり、RW200を介して、非接触通信メディア100との間で、データのやりとりを行う。
【0037】
すなわち、上位機器290は、RW200を制御して、データを、非接触通信メディア100に記憶させ、また、データを、非接触通信メディア100から読み出す。
【0038】
以上のように構成される通信システムでは、RW200(マスタ通信装置)が、上位機器290に装着(接続)されると、無線によるポーリングを開始する。
【0039】
その後、非接触通信メディア100が、RW200にかざされること等によって、RW200と近接した状態になると、非接触通信メディア100(スレーブ通信装置)は、RW200からの、無線によるポーリングに対して応答し、これにより、非接触通信メディア100とRW200とが近接通信を開始する。
【0040】
そして、RW200は、上位機器290の制御に従って、非接触通信メディア100に、上位機器290から供給されるコンテンツ等のデータを記憶させ(書き込み)、又は、非接触通信メディア100からコンテンツ等のデータを読み出して、上位機器290に供給する。
【0041】
[非接触通信メディア100の構成例]
【0042】
図2は、図1の非接触通信メディア100のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0043】
非接触通信メディア100は、メディア制御用CPU(Central Processing Unit)110、不揮発メモリ111、高速通信スレーブコントローラ112、高速通信アンテナ113、アクセスLED(Light Emitting Diode)114、低速通信チップ120、低速通信アンテナ121、電力受信制御部130、電力受信アンテナ131、及び、位置ずれ検出LED132を有する。
【0044】
メディア制御用CPU110は、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112とバスを介して接続されており、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112を制御する。
【0045】
また、メディア制御用CPU110は、アクセスLED114と接続されており、アクセスLED114を制御する。
【0046】
不揮発メモリ111は、大容量(例えば、6Gバイトや8Gバイト等)の、例えば、NAND型のフラッシュメモリであり、カード制御用CPU110の制御に従って、カード制御用CPU110から供給されるコンテンツ等のデータを記憶し、また、記憶しているデータを読み出して、カード制御用CPU110に供給する。
【0047】
高速通信スレーブコントローラ112は、高速通信アンテナ113と接続されており、この高速通信アンテナ113を介して、無線により、RW200との間で、後述する低速通信チップ120の通信速度(第1の通信速度)より高速の通信速度(第2の通信速度)での近接通信(第2の通信)(以下、高速通信ともいう)を行う第2のスレーブ通信手段として機能する。
【0048】
ここで、高速通信スレーブコントローラ112と、RW200との間で行われる高速通信の通信方式としては、例えば、高速な近接通信を行うことが可能なTransferJet(登録商標)を採用することができる。その他、高速通信の通信方式としては、例えば、無線LANや、ワイヤレスUSB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)等の高速無線通信規格に準拠した通信方式を採用することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、高速通信の通信方式として、TransferJet(登録商標)を採用することとし、したがって、高速通信では、4.48GHzのキャリアで、最高で、560Mbpsの通信速度の近接通信が行われることとする。
【0050】
アクセスLED114は、メディア制御用CPU110の制御に従って、点灯、又は、点滅し、これにより、不揮発メモリ111に対するアクセスが発生していることを、ユーザに知らせる。
【0051】
低速通信チップ120は、低速通信アンテナ121と接続されており、この低速通信アンテナ121を介して、無線により、RW200との間で、所定の通信速度(第1の通信速度)での近接通信(第1の通信)を行う第1のスレーブ通信手段として機能する。
【0052】
ここで、低速通信チップ120がRW200との間で行う近接通信は、高速通信スレーブコントローラ112が行う高速通信の通信速度よりも低速な通信速度での通信(以下、低速通信ともいう)であり、その通信方式としては、例えば、所定の通信速度での近接通信を行うことが可能なFeliCa(登録商標)を採用することができる。その他、低速通信の通信方式としては、NFC等の無線通信規格に準拠した通信方式(例えば、タイプAやB等)を採用することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、低速通信の通信方式として、FeliCa(登録商標)を採用することとし、したがって、低速通信では、13.56MHzのキャリアで、212kbpsの通信速度の近接通信が行われることとする。
【0054】
また、低速通信の通信方式として、FeliCa(登録商標)を採用する場合には、低速通信としては、セキュアな通信が可能であり、相互認証を行うことができる。
【0055】
ここで、以上のように、低速通信チップ120が行う近接通信(低速通信)は、高速通信スレーブコントローラ112が行う近接通信(高速通信)よりも低速であるが、そのような低速な近接通信を行う低速通信チップ120には、高速な動作が要求されない。
【0056】
したがって、低速通信チップ120の動作に必要な電力(低速通信に必要な電力)は、高速通信スレーブコントローラ112の動作に必要な電力(低速通信に必要な電力)に比較して小さい。
【0057】
例えば、上述のように、低速通信の通信方式として、FeliCa(登録商標)を採用するとともに、高速通信の通信方式として、TransferJet(登録商標)を採用する場合には、FeliCa(登録商標)での通信に必要な電力は、TransferJet(登録商標)での通信に必要な電力の2桁程度小さい電力である。
【0058】
以上のように、低速通信に必要な電力は、小さいため、低速通信チップ120は、低速通信アンテナ121で受信される、RW200からの低速通信用のRF信号から得られる電力を電源として動作し、低速通信を行う。
【0059】
電力受信制御部130は、電力受信アンテナ131、及び、位置ずれ検出LED132と接続されており、位置ずれ検出LED132を制御する。
【0060】
また、電力受信制御部130は、電力受信アンテナ131を介して、RW200からの無線電力伝送によって送信されてくる、少なくとも、高速通信を行うための電力を受信し、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112に供給する。
【0061】
ここで、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112は、以上のように、電力受信制御部130から供給される電力を電源として動作し、高速通信を行う。
【0062】
なお、電力受信制御部130とRW200との間で行われる無線電力伝送の伝送方式としては、例えば、電磁誘導型を採用することができる。また、無線電力伝送の伝送方式としては、その他、例えば、磁気共鳴型等の無線電力伝送方式を採用することができる。
【0063】
電磁誘導型による無線電力伝送は、磁気共鳴型による無線電力伝送に比較して、電力の伝送効率はよいが、アンテナの位置ずれ(電力を送信するためのアンテナと、電力を受信するためのアンテナとの位置のずれ)に弱い。逆に、磁気共鳴型による無線電力伝送は、電磁誘導型による無線電力伝送に比較して、アンテナの位置ずれに強いが、電力の伝送効率が劣る。
【0064】
位置ずれ検出LED132は、電力受信制御部130の制御に従って、点灯、又は、点滅し、これにより、電力受信アンテナ131と、RW200(の後述する電力送信アンテナ241)との位置関係が、高速通信を行うのに十分な電力を、電力受信制御部130が受信することができる位置関係になっていること、又は、そのような位置関係からずれている(位置ずれが生じている)ことを、ユーザに知らせる。
【0065】
ここで、非接触通信メディア100において、メディア制御用CPU(Central Processing Unit)110、不揮発メモリ111、高速通信スレーブコントローラ112、アクセスLED114、電力受信制御部130、及び、位置ずれ検出LED132は、RW200による無線電力伝送によって送信(伝送)される電力によって動作し、低速通信チップ120は、RW200からの低速通信用のRF信号から得られる電力によって動作する。
【0066】
このため、非接触通信メディア100は、電源(バッテリ)を有しておらず、電子定期券や電子マネー等としてのICカード(やICチップ)と同程度のサイズのカード型に(小型に)構成することができる。
【0067】
[RW200の構成例]
【0068】
図3は、図1のRW200のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0069】
RW200は、RW制御用CPU210、高速通信マスタコントローラ220、高速通信アンテナ221、低速通信コントローラ230、低速通信アンテナ231、電力送信制御部240、及び、電力送信アンテナ241を有する。
【0070】
RW制御用CPU210は、例えば、USB等の所定のバスを介して、上位機器290と接続される。
【0071】
さらに、RW制御用CPU210は、高速通信マスタコントローラ220、及び、低速通信コントローラ230とバスを介して接続されており、上位機器290からの制御等に従い、高速通信マスタコントローラ220、及び、低速通信コントローラ230を制御する。
【0072】
また、RW制御用CPU210は、電力送信制御部240と1本の汎用I/O(Input/Output)(インターフェース)で接続されており、電力送信制御部240を制御する。
【0073】
高速通信マスタコントローラ220は、高速通信アンテナ221と接続されており、この高速通信アンテナ221を介して、無線により、非接触通信メディア100(図2)の高速通信スレーブコントローラ112との間で、高速通信としての近接通信を行う第2のマスタ通信手段として機能する。
【0074】
低速通信コントローラ230は、低速通信アンテナ231と接続されており、この低速通信アンテナ231を介して、無線により、非接触通信メディア100(図2)の低速通信チップ120との間で、低速通信としての近接通信を行う第1のマスタ通信手段として機能する。
【0075】
すなわち、低速通信コントローラ230は、低速通信アンテナ231から、RF信号を出力し、ポーリングをかける。
【0076】
一方、RW200に、非接触通信メディア100がかざされることによって、非接触通信メディア100(の低速通信アンテナ121(図2))と、RW200(の低速通信アンテナ231)とが近接すると、非接触通信メディア100(図2)の低速通信チップ120は、RW200の低速通信コントローラ230からのポーリングに対して応答するレスポンスを返す(負荷変調により送信する)。
【0077】
RW200の低速通信コントローラ230は、非接触通信メディア100の低速通信チップ120からのレスポンスを受信すると、その旨を、RW制御用CPU210に知らせ、これにより、RW制御用CPU210は、非接触通信メディア100が、RW200に近接したことを認識する。
【0078】
ここで、低速通信の通信方式として、例えば、上述のように、FeliCa(登録商標)を採用する場合、低速通信コントローラ230は、FeliCa(登録商標)のRWである。
【0079】
電力送信制御部240は、電力送信アンテナ241と接続されており、電力送信アンテナ241を介して、非接触通信メディア100が高速通信を行うのに必要な電力を、無線電力伝送によって送信する。
【0080】
なお、RW200が動作するのに必要な電力は、上位機器290、又は、図示せぬ電源から、RW200に供給される。
【0081】
[非接触通信メディア100の構成例]
【0082】
図4は、図2の非接触通信メディア100の物理的な構成例を示す平面図であり、図5は、非接触通信メディア100の物理的な構成例を示す断面図である。
【0083】
非接触通信メディア100は、図5に示すように、略長方形状のカード底部材300と、カード上部材400とを貼り合わせて構成される。なお、非接触通信メディア100の厚みは、0.8mmや1.6mm程度等とすることができる。
【0084】
ここで、図5は、非接触通信メディア100の長手方向の断面図である。
【0085】
カード底部材300には、図4に示すように、高速通信アンテナ113、低速通信チップ120、低速通信アンテナ121、電力受信アンテナ131、及び、メディア制御基板310が配置される。
【0086】
メディア制御基板310には、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、高速通信スレーブコントローラ112、電力受信制御部130、アクセスLED114、及び、位置ずれ検出LED132が配置される。
【0087】
なお、低速通信アンテナ121は、図4に示すように、カード底部材300の外周の内側部分に、コイル状に配置され、低速通信チップ120と接続されており、低速通信チップ120は、メディア制御基板310に配置された各ブロックとは、独立して動作する。
【0088】
また、カード底部材300の中心部分には、図4に示すように、高速通信アンテナ113と、コイル状の電力受信アンテナ131とが配置されている。
【0089】
以上のような高速通信アンテナ113、低速通信アンテナ121、及び、電力受信アンテナ131の配置によって、非接触通信メディア100が、表側(例えば、カード上部材400側)、及び、裏側(例えば、カード底部材300)のうちのいずれを向けて、RW200にかざされても、非接触通信メディア100とRW200との間で、低速通信、高速通信、及び、無線電力伝送を行うことができる。
【0090】
[RW200が、上位機器290に接続されたときの、RW200、及び、上位機器290の処理]
【0091】
図6は、図3のRW200が、上位機器290に接続されたときの、RW200、及び、上位機器290の処理を説明する図である。
【0092】
RW200のRW制御用CPU210(図3)は、例えば、いわゆるプラグアンドプレイの機能を有し、上位機器290と接続されると、その旨を表す挿入通知500を、上位機器290に送信する。
【0093】
上位機器290は、RW制御用CPU210からの挿入通知500を受信し、これにより、上位機器290は、外部機器が接続されたこと(外部機器の挿入)を検出し、その外部機器に関する機器情報を要求する機器識別用パケット510を送信する。
【0094】
RW制御用CPU210は、上位機器290からの機器識別用パケット510を受信し、自身の機器情報を伝えるために、その機器情報を含む機器識別応答パケット520を、上位機器290に返す。
【0095】
ここで、機器情報としては、機器名、機器タイプ、バージョン等がある。
【0096】
上位機器290は、RW制御用CPU210からの機器識別応答パケット520を受信し、その機器識別応答パケット520に含まれる機器情報に基づいて、外部機器が、上位機器290にとって取扱い可能な機器であるかどうかを判定する。
【0097】
外部機器が、上位機器290にとって取扱い可能な機器でない場合、上位機器290は、例えば、その旨を、図示せぬディスプレイに表示して、処理を終了する。
【0098】
外部機器が、上位機器290にとって取扱い可能な機器である場合、上位機器290は、動作を許可することを報知する動作許可パケット530を、RW制御用CPU210に送信する。
【0099】
RW制御用CPU210は、上位機器290からの動作許可パケット530を受信し、この動作許可パケット530によって、上位機器290に正常に認識されたことを認識して、非接触通信メディア100がかざされること等によって近接することを待つメディア待ち状態となる。
【0100】
一方、上位機器290は、RW200の状態を認識するために、定期的に、RW200の状態を要求する状態確認パケット540を、RW200に送信する。
【0101】
RW200のRW制御用CPU210は、上位機器290からの状態確認パケット540を受信し、その時点で、非接触通信メディア100が近接したことが検出(以下、メディア検出ともいう)されていない場合には、メディア検出がされていないことを表すメディアなし状態パケット550を、上位機器290に返す。
【0102】
上位機器290による状態確認パケット540の送信と、その状態確認パケット540に対する応答としての、RW制御用CPU210によるメディアなし状態パケット550の返信とは、メディア検出がされるまで、定期的に繰り返される。
【0103】
[上位機器290による動作許可パケット530の送信後、メディア検出がされるときまでの、非接触通信メディア100,RW200、及び、上位機器290の処理]
【0104】
図7は、上位機器290による動作許可パケット530の送信後、メディア検出がされるときまでの、非接触通信メディア100,RW200、及び、上位機器290の処理を説明する図である。
【0105】
RW200(図3)のRW制御用CPU210は、上位機器290からの動作許可パケット530を受信し、メディア待ち状態となると、低速通信用のRF信号の出力(の開始)を要求する低速通信RFonコマンド610を、低速通信コントローラ230に送信する。
【0106】
低速通信コントローラ230は、RW制御用CPU210からの低速通信RFonコマンド610を受信し、その低速通信RFonコマンド610に従って、低速通信用のRF信号(低速通信用のキャリア)の、低速通信アンテナ231を介しての出力を開始する。
【0107】
その後、RW制御用CPU210は、低速通信のポーリングを行うことを要求する低速通信Polling要求コマンド620を、低速通信コントローラ230に送信する。
【0108】
低速通信コントローラ230は、RW制御用CPU210からの低速通信Polling要求コマンド620を受信し、その低速通信Polling要求コマンド620に応じて、ポーリングとしての低速通信Pollingパケット621の送信(RF信号による送信)を、低速通信アンテナ231を介して行う。
【0109】
ここで、非接触通信メディア100が、RW200に近接した状態にない場合、低速通信Pollingパケット621に対する応答は、返ってこない。
【0110】
そして、低速通信Pollingパケット621に対する応答が返ってこない場合、低速通信コントローラ230は、RW制御用CPU210からの低速通信Polling要求コマンド620に対する応答を、RW制御用CPU210に返さない。
【0111】
RW制御用CPU210は、低速通信Polling要求コマンド620に対する応答が返ってこない場合、低速通信Polling要求コマンド620を、低速通信コントローラ230に、定期的に送信する。
【0112】
これにより、低速通信コントローラ230では、低速通信Pollingパケット621が、定期的に送信される。
【0113】
また、図6で説明したように、上位機器290は、状態確認パケット540を、RW制御用CPU210に、定期的に送信するが、RW制御用CPU210は、低速通信Polling要求コマンド620に対する応答が返ってきていない場合には、状態確認パケット540に対する応答として、メディアなし状態パケット550を、上位機器290に返し続ける。
【0114】
その後、非接触通信メディア100が、RW200にかざされ、非接触通信メディア100とRW200とが近接すると、非接触通信メディア100(図2)の低速通信チップ120は、低速通信Pollingパケット621を受信し、その低速通信Pollingパケット621に対する応答としての低速通信Polling返信パケット622を、低速通信アンテナ121を介して送信する。
【0115】
RW200(図3)の低速通信コントローラ230は、非接触通信メディア100の低速通信チップ120からの低速通信Polling返信パケット622を受信し、その低速通信Polling返信パケット622に応じて、メディア検出がされたことを表すメディア検出レスポンス623を、低速通信Polling要求コマンド620に対する応答として、RW制御用CPU210に送信する。
【0116】
RW制御用CPU210は、低速通信コントローラ230からのメディア検出レスポンス623を受信し、このメディア検出レスポンス623によって、メディア検出がされたことを認識する。
【0117】
その後、RW制御用CPU210は、上位機器290からの(最新の)状態確認パケット540を受信すると、その状態確認パケット540に対して、メディア検出がされたことを表すメディア検出パケット630を、上位機器290に返す。
【0118】
上位機器290は、RW制御用CPU210からのメディア検出パケット630を受信し、そのメディア検出パケット630によって、メディア検出がされたことを認識して、状態確認パケット540の送信を停止する。
【0119】
また、RW制御用CPU210は、低速通信コントローラ230からのメディア検出レスポンス623を受信すると、非接触通信メディア100の不揮発メモリ111の容量を要求する容量確認コマンド640を、低速通信コントローラ230に送信する。
【0120】
低速通信コントローラ230は、RW制御用CPU210からの容量確認コマンド640を受信し、その容量確認コマンド640に応じて、不揮発メモリ111の容量の読み出しを要求する低速通信Readパケット641を、低速通信アンテナ231を介して送信する。
【0121】
非接触通信メディア100(図2)では、低速通信チップ120が、低速通信コントローラ230からの低速通信Readパケット641を受信し、その低速通信Readパケット641に応じて、内蔵するメモリ(図示せず)に記憶されている、非接触通信メディア100の不揮発メモリ111の容量のデータを読み出す。
【0122】
すなわち、非接触通信メディア100(図2)の低速通信チップ120は、図示せぬメモリを内蔵しており、そのメモリには、非接触通信メディア100の不揮発メモリ111の容量のデータが、あらかじめ書き込まれている。
【0123】
低速通信チップ120は、低速通信コントローラ230からの低速通信Readパケット641に応じて、その内蔵するメモリに記憶されている、不揮発メモリ111の容量のデータを読み出す。
【0124】
そして、低速通信チップ120は、不揮発メモリ111の容量のデータを、低速通信Readパケット641による読み出しの要求があったリードデータ642として送信する。
【0125】
RW200(図3)の低速通信コントローラ230は、非接触通信メディア100の低速通信チップ120からのリードデータ642を受信し、そのリードデータ642を、非接触通信メディア100の不揮発メモリ111の容量を表す容量データ643として、RW制御用CPU210に送信する。
【0126】
RW制御用CPU210は、低速通信コントローラ230からの容量データ643を受信し、図示せぬRAM(Random Access Memory)に一時記憶させる。
【0127】
一方、上位機器290は、RW200のRW制御用CPU210からのメディア検出パケット630を受信した後、RW200に近接した非接触通信メディア100が、コンテンツ等のデータを記憶することができる容量を有するかどうかを確認するために、非接触通信メディア100の不揮発メモリ111の容量を要求する容量確認パケット650を、RW制御用CPU210に送信する。
【0128】
RW制御用CPU210は、上位機器290からの容量確認パケット650を受信し、その容量確認パケット650に対し、図示せぬRAMに記憶された容量データ643を、容量データ651として、上位機器290に返す。
【0129】
上位機器290は、RW制御用CPU210からの容量データ643を受信し、その容量データ643を参照することで、非接触通信メディア100(の不揮発メモリ111)の容量を認識する。
【0130】
上位機器290は、非接触通信メディア100の容量から、非接触通信メディア100に対して、高速通信によって送信することができるデータの最大量、及び、非接触通信メディア100から、高速通信によって送信されてくるデータの最大量を認識することができる。
【0131】
なお、非接触通信メディア100とRW200との間では、以上のような、非接触通信メディア100の容量のデータのやりとりに代えて、又は、非接触通信メディア100の容量のデータのやりとりをする直前に、相互認証を行うことができる。
【0132】
相互認証を行う場合においては、相互認証に成功したときのみ、その後の処理(無線電力伝送、及び、高速通信等)が行われ、相互認証に失敗したときには、その後の処理は、行われない。
【0133】
以上のように、相互認証を行う場合には、非接触通信メディア100やRW200として偽造された不正な機器と、非接触通信メディア100、又は、RW200との間で、コンテンツ等のデータが、高速通信によって、不正にやりとりされることを防止することができる。
【0134】
RW制御用CPU210は、低速通信コントローラ230からの容量データ643を受信した後(相互認証が行われる場合には、相互認証の成功後)、低速通信用のRF信号の出力の停止を要求する低速通信RFoffコマンド660を、低速通信コントローラ230に送信する。
【0135】
低速通信コントローラ230は、RW制御用CPU210からの低速通信RFoffコマンド660を受信し、その低速通信RFoffコマンド660に応じて、低速通信アンテナ231からの低速通信用のRF信号の出力を停止する。
【0136】
ここで、GHz帯の回路の製造が簡単でないこと、数100KHzないし数MHzの周波数の回路の製造は容易であること、数100KHzないし数MHzの周波数の回路を構成するためのコンデンサ等の部品は安価であり、回路のコストを抑えることができること、等の理由により、無線電力伝送のRF信号の周波数としては、例えば、数100Hzないし数MHz程度が採用される。RW200(図3)の電力送信制御部240でも、そのような周波数で無線電力伝送が行われる。
【0137】
一方、低速通信の通信方式として、例えば、上述したように、FeliCa(登録商標)を採用する場合、キャリアの周波数は、13.56MHzであり、無線電力伝送で用いられるRF信号の周波数と近いため、FeliCa(登録商標)のキャリア、つまり、低速通信用のRF信号と、無線電力伝送で用いられるRF信号との間では、干渉を生じる。
【0138】
以上のように、低速通信用のRF信号と、無線電力伝送のRF信号と(の周波数)が干渉を起こすため、その干渉を防止するために、RW200では、無線電力伝送が開始される前に、低速通信用のRF信号の出力が停止される。
【0139】
なお、低速通信用のRF信号、及び、無線電力伝送のRF信号それぞれとして、互いに干渉を生じない周波数のRF信号が採用される場合には、低速通信用のRF信号の出力は、停止しなくてもよい。
【0140】
[低速通信用のRF信号の出力の停止後、高速通信が開始されるまでの、非接触通信メディア100、及び、RW200の処理]
【0141】
図8は、低速通信用のRF信号の出力の停止後、高速通信が開始されるまでの、非接触通信メディア100、及び、RW200の処理を説明する図である。
【0142】
RW200(図3)のRW制御用CPU210は、無線電力伝送の開始を指示する電力供給開始指示700を、電力送信制御部240に送信する。
【0143】
電力送信制御部240は、RW制御用CPU210からの電力供給開始指示700を受信し、その電力供給開始指示700に応じて、電力送信アンテナ241を介して、無線電力伝送のためのRF信号の出力を開始し、これにより、非接触通信メディア110への無線電力伝送が開始される。
【0144】
以上のように、非接触通信メディア110(図2)の電力受信制御部130は、低速通信の開始後(、その低速通信が終了してから(低速通信用のRF信号の出力が停止されてから))、RW200の電力送信制御部240が開始する無線電力伝送によって送信されてくる電力を、電力受信アンテナ131を介して受信する。
【0145】
そして、電力受信制御部130は、無線電力伝送による電力の、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112への供給(電力供給)を開始する。
【0146】
メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112は、電力受信制御部130からの電力を電源として、動作を開始する。
【0147】
ここで、非接触通信メディア100(図2)において、電力受信制御部130は、無線電力伝送による電力の強度(大きさ)に応じて、位置ずれ検出LED132を制御する。
【0148】
位置ずれ検出LED132は、電力受信制御部130の制御に従って点灯等する。
【0149】
すなわち、位置ずれ検出LED132は、無線電力伝送による電力の強度が強いほど、明るく発光する。あるいは、位置ずれ検出LED132は、例えば、所定の3色のうちの、無線電力伝送による電力の強度に対応する色で発光する。
【0150】
したがって、非接触通信メディア100を、RW200にかざしているユーザは、位置ずれ検出LED132の発光状態を見ることによって、非接触通信メディア100が受信している電力の強度、ひいては、非接触通信メディア100をかざしている位置が、非接触通信メディア100で十分な電力を受信するのに適切な位置からずれているかどうかを認識することができる。
【0151】
なお、RW200からの無線電力伝送によって送信されてくる電力は、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112の他、アクセスLED114、電力受信制御部130、及び、位置ずれ検出LED132でも使用される。
【0152】
一方、RW200(図3)のRW制御用CPU210は、上述のように、電力供給開始指示700を送信した後、高速通信マスタコントローラ220の初期化を要求する初期化コマンド720を、高速通信マスタコントローラ220に送信する。
【0153】
高速通信マスタコントローラ220は、RW制御用CPU210からの初期化コマンド720を受信し、その初期化コマンド720に応じて、必要な初期化を行う。
【0154】
さらに、その後、RW制御用CPU210は、高速通信を行うのに必要な情報を交換するネゴシエーションを要求するネゴシエーション開始コマンド730を、高速通信マスタコントローラ220に送信する。
【0155】
高速通信マスタコントローラ220は、RW制御用CPU210からのネゴシエーション開始コマンド730を受信し、そのネゴシエーション開始コマンド730に応じて、高速通信アンテナ221を介しての、高速通信用のRF信号の出力を開始し、高速通信を行うのに必要な情報等を要求するための、高速通信に必要な情報を含むリクエストパケット731を送信する。
【0156】
ここで、RW200の電力送信制御部240が無線電力伝送を開始した直後においては、
非接触通信メディア110(の高速通信スレーブコントローラ112)は、動作は開始していても、まだ、高速通信を行うことができる状態にないため、RW200の高速通信マスタコントローラ220からのリクエストパケット731に対する応答を返すことができない。
【0157】
RW200の高速通信マスタコントローラ220は、リクエストパケット731に対する応答が返ってこない場合には、リクエストパケット731の送信を、周期的(定期的)に繰り返す。
【0158】
一方、非接触通信メディア100(図2)のメディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112は、電力受信制御部130からの電力を電源として、動作を開始すると、メディア制御用CPU110が、不揮発メモリ111の初期化を要求する初期化コマンド710を、不揮発メモリ111に送信する。
【0159】
不揮発メモリ111は、メディア制御用CPU110からの初期化コマンド710を受信し、その初期化コマンド710に応じて、必要な初期化を行う。
【0160】
さらに、メディア制御用CPU110は、高速通信スレーブコントローラ112の初期化を要求する初期化コマンド711を、高速通信スレーブコントローラ112に送信する。
【0161】
高速通信スレーブコントローラ112は、メディア制御用CPU110からの初期化コマンド711を受信し、その初期化コマンド711に応じて、必要な初期化を行う。
【0162】
不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112の初期化が終了すると、メディア制御用CPU110は、高速通信のネゴシエーションを要求するネゴシエーション開始コマンド740を、高速通信スレーブコントローラ112に送信する。
【0163】
高速通信スレーブコントローラ112は、メディア制御用CPU110からのネゴシエーション開始コマンド740を受信し、そのネゴシエーション開始コマンド740に応じて、ネゴシエーションを行う。
【0164】
すなわち、高速通信スレーブコントローラ112は、メディア制御用CPU110からのネゴシエーション開始コマンド740を受信した後に、RW200(図3)の高速通信マスタコントローラ220から送信されてくるリクエストパケット731を受信すると、そのリクエストパケット731に対する応答としての、必要な情報を含むレスポンスパケット741を返す。
【0165】
RW200(図3)の高速通信マスタコントローラ220は、非接触通信メディア100の高速通信スレーブコントローラ112からのレスポンスパケット741を受信し、これにより、非接触通信メディア100の高速通信スレーブコントローラ112と、RW200の高速通信マスタコントローラ220との間では、高速通信が可能となる。
【0166】
RW200の高速通信マスタコントローラ220は、非接触通信メディア100の高速通信スレーブコントローラ112からのレスポンスパケット741を受信すると、高速通信のネゴシエーションが完了したことを表すネゴシエーション完了レスポンス750を、RW制御用CPU210に返す。
【0167】
以上により、非接触通信メディア100(図2)の高速通信スレーブコントローラ112と、RW200(図3)の高速通信マスタコントローラ220とでは、高速通信のための初期化が完了するとともに、コネクション(通信リンク)が確立し、高速通信によるデータ伝送(やりとり)が可能な状態となる。
【0168】
[非接触通信メディア100とRW200との間での高速通信によるデータ伝送の処理]
【0169】
図9は、非接触通信メディア100とRW200との間での高速通信によるデータ伝送の処理を説明する図である。
【0170】
図8で説明したように、非接触通信メディア100、及び、RW200が、高速通信によるデータ伝送が可能な状態となった後、上位機器290は、非接触通信メディア100(の不揮発メモリ111)へのアクセスを要求するデータアクセスコマンド800を、RW200(図3)のRW制御用CPU210に送信する。
【0171】
ここで、データアクセスコマンド800としては、例えば、非接触通信メディア100からのデータの読み出しを要求するデータリードコマンドと、非接触通信メディア100へのデータの書き込み(記憶)を要求するデータライトコマンドとがある。
【0172】
データアクセスコマンド800が、データリードコマンドである場合、データリードコマンドとしてのデータアクセスコマンド800の他に、そのデータリードコマンドによって、非接触通信メディア100からの読み出しを要求するデータを特定するための情報も送信される。
【0173】
また、データアクセスコマンド800が、データライトコマンドである場合、データライトコマンドとしてのデータアクセスコマンド800の他に、そのデータライトコマンドによって、非接触通信メディア100に書き込むデータも送信される。
【0174】
RW200(図3)のRW制御用CPU210は、上位機器290からのデータアクセスコマンド800を受信し、そのデータアクセスコマンド800に応じて、そのデータアクセスコマンド800と同様の内容のデータリクエストコマンド801を、高速通信マスタコントローラ220に送信する。
【0175】
高速通信マスタコントローラ220は、RW制御用CPU210からのデータリクエストコマンド801を受信し、そのデータリクエストコマンド801に応じて、そのデータリクエストコマンド801と同様の内容の無線データリクエストコマンド802を、高速通信アンテナ221を介して送信する。
【0176】
非接触通信メディア100(図2)の高速通信スレーブコントローラ112は、RW200(図3)の高速通信マスタコントローラ220からの無線データリクエストコマンド802を受信し、その無線データリクエストコマンド802に応じて、その無線データリクエストコマンド802と同様の内容のデータリクエストコマンド803を、メディア制御用CPU110に送信する。
【0177】
メディア制御用CPU110は、高速通信スレーブコントローラ112からのデータリクエストコマンド803を受信し、そのデータリクエストコマンド803が、データの読み出し、及び、書き込みのうちのいずれを要求するコマンドであるかを判定する。
【0178】
そして、メディア制御用CPU110は、データリクエストコマンド803の判定結果に従い、データの読み出し、又は、書き込みを要求する不揮発メモリアクセスコマンド810を、不揮発メモリ111に送信する。
【0179】
なお、データリクエストコマンド803が、データの書き込みを要求するコマンドである場合には、書き込むべきデータも、上位機器290から、RW200を経由して、非接触通信メディア100の不揮発メモリ111に供給される。
【0180】
また、メディア制御用CPU110は、不揮発メモリアクセスコマンド810を、不揮発メモリ111に送信した後、不揮発メモリ111でのデータの読み出し、又は、書き込みが完了するまで、アクセスLED114を点滅等させる。
【0181】
これにより、非接触通信メディア100のユーザは、非接触通信メディア100(の不揮発メモリ111)に対するアクセスが行われていることを認識することができる。
【0182】
不揮発メモリ111は、メディア制御用CPU110からの不揮発メモリアクセスコマンド810に従い、データの読み出し、又は、書き込みを行う。
【0183】
そして、不揮発メモリ111は、データの読み出し、又は、書き込みが終了すると、不揮発メモリアクセスコマンド810に対する応答としての不揮発メモリレスポンス811を、メディア制御用CPU110に送信する。
【0184】
なお、不揮発メモリ111において、データの読み出しが行われた場合には、不揮発メモリレスポンス811の他、不揮発メモリ111から読み出されたデータも、メディア制御用CPU110に送信される。
【0185】
メディア制御用CPU110は、不揮発メモリ111からの不揮発メモリレスポンス811を受信し、その不揮発メモリレスポンス811と同様の内容の、データリクエストコマンド803に対する応答としてのデータレスポンス820を、高速通信スレーブコントローラ112に返す。
【0186】
高速通信スレーブコントローラ112は、メディア制御用CPU110からのデータレスポンス820を受信し、そのデータレスポンス820と同様の内容の、無線データリクエストコマンド802に対する応答としての無線データレスポンス821を、高速通信アンテナ113を介して送信する。
【0187】
RW200(図3)の高速通信マスタコントローラ220は、非接触通信メディア100の高速通信スレーブコントローラ112からの無線データレスポンス821を受信し、その無線データレスポンス821と同様の内容の、データリクエストコマンド801に対する応答としてのデータレスポンス822を、RW制御用CPU210に返す。
【0188】
RW制御用CPU210は、高速通信マスタコントローラ220からのデータレスポンス822を受信し、そのデータレスポンス822と同様の内容の、データアクセスコマンド800に対する応答としてのデータアクセスレスポンス830を、上位機器290に返す。
【0189】
なお、図9の処理は、例えば、非接触通信メディア100に対する必要なデータすべての読み出し、又は、書き込みが完了するまで、繰り返し行われる。
【0190】
[非接触通信メディア100とRW200とが近接しなくなった場合のRW200の処理]
【0191】
図10は、非接触通信メディア100とRW200とが近接している状態から、近接しない状態になった場合のRW200の処理を説明する図である。
【0192】
非接触通信メディア100とRW200とが近接しなくなると、RW200(図3)の電力送信制御部240による無線電力伝送による電力の送信が、十分に行われなくなる。
【0193】
その結果、非接触通信メディア100(図2)の電力受信制御部130は、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112に、必要な電力を供給することができなくなり、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、高速通信スレーブコントローラ112、及び、電力受信制御部130は、動作を停止する。
【0194】
したがって、非接触通信メディア100とRW200との間の高速通信のコネクション(通信リンク)は切断される。
【0195】
このため、RW200(図3)の高速通信マスタコントローラ220が、無線データリクエストコマンド802(図9)等の無線パケット900を、高速通信アンテナ221を介して送信しても、その無線パケット900に対する応答は、非接触通信メディア100(図2)の高速通信スレーブコントローラ112から返ってこなくなる。
【0196】
以上のように、RW200の高速通信マスタコントローラ220に対して、無線パケット900に対する応答が、非接触通信メディア100の高速通信スレーブコントローラ112から返ってこなくなることによって、RW200の高速通信マスタコントローラ220は、非接触通信メディア100との間の高速通信のコネクションが切断されたことを検出する。
【0197】
RW200(図3)の高速通信マスタコントローラ220は、非接触通信メディア100との間の高速通信のコネクションが切断されたことを検出すると、その旨を表す高速通信切断検出レスポンス910を、RW制御用CPU210に送信する。
【0198】
RW制御用CPU210は、高速通信マスタコントローラ220からの高速通信切断検出レスポンス910を受信し、その高速通信切断検出レスポンス910に応じて、高速通信の停止を要求する高速通信停止コマンド920を、高速通信マスタコントローラ220に送信する。
【0199】
高速通信マスタコントローラ220は、RW制御用CPU210からの高速通信停止コマンド920を受信し、その高速通信停止コマンド920に応じて、高速通信用のRF信号の出力を停止する(高速通信を終了する)。
【0200】
さらに、RW制御用CPU210は、無線電力伝送の停止を要求する電力送信停止コマンド930を、電力送信制御部240に送信する。
【0201】
電力送信制御部240は、RW制御用CPU210からの電力送信停止コマンド930を受信し、その電力送信停止コマンド930に応じて、無線電力伝送を停止する。
【0202】
その後、RW制御用CPU210は、図7で説明した、上位機器290から動作許可パケット530を受信した場合と同様に、メディア待ち状態となり、低速通信用のRF信号の出力(の開始)を要求する低速通信RFonコマンド940を、低速通信コントローラ230に送信する。
【0203】
低速通信コントローラ230は、RW制御用CPU210からの低速通信RFonコマンド940を受信すると、図7で説明した場合と同様に、その低速通信RFonコマンド940に従って、低速通信用のRF信号の出力を開始する。
【0204】
さらに、RW制御用CPU210は、低速通信のポーリングを行うことを要求する低速通信Polling要求コマンド950を、低速通信コントローラ230に送信する。
【0205】
低速通信コントローラ230は、RW制御用CPU210からの低速通信Polling要求コマンド950を受信すると、図7で説明した場合と同様に、その低速通信Polling要求コマンド950に応じて、ポーリングとしての低速通信Pollingパケット621を送信する。
【0206】
そして、非接触通信メディア100が、RW200にかざされること等によって、非接触通信メディア100とRW200とが近接すると、以下、同様の処理が繰り返される。
【0207】
以上のように、非接触通信メディア100の低速通信チップ120が、RW200の低速通信コントローラ230からのポーリングに応答し、RW200の低速通信コントローラ230が、非接触通信メディア100の低速通信チップ120からの、ポーリングに対する応答を受信することにより、非接触通信メディア100とRW200との間で、低速通信を開始する。
【0208】
さらに、RW200の電力送信制御部240が、非接触通信メディア100との間で、低速通信が開始された後に、無線電力伝送を開始し、非接触通信メディア100の電力受信制御部130が、RW200との間で、低速通信が開始された後に、RW200からの送信が開始される電力を受信し、非接触通信メディア100の高速通信スレーブコントローラ113が、非接触通信メディア100の電力受信制御部130によって受信された電力によって動作を開始し、非接触通信メディア100とRW200との間で、高速通信を開始する。
【0209】
したがって、RW200は、ポーリングを、低速通信で行い、非接触通信メディア100がRW200に近接することにより、RW200のポーリングに対して、非接触通信メディア100からの応答があった後に、RW200から非接触メディア100に対して、高速通信に必要な電力を供給する無線電力伝送が開始され、さらに、非接触通信メディア100とRW200との間で、高速通信が開始されるので、低速通信が行われない場合に比較して、消費電力を抑えて、高速通信を行うことが可能となる。
【0210】
すなわち、低速通信を行わない場合には、RW200は、ポーリングを、高速通信で行う必要があり、そのような高速通信によるポーリングを行うRW200では、高速な動作が要求されるため、非接触通信メディア100がRW200に近接するのを待っている間(メディア待ち状態の間)の消費電力が大になる。
【0211】
これに対して、ポーリングを、低速通信で行う場合には、低速通信によるポーリングを行うRW200では、高速な動作が要求されず、したがって、非接触通信メディア100がRW200に近接するのを待っている間の消費電力を抑えることができる。
【0212】
その結果、高速通信を、消費電力を抑えて行うことができる。
【0213】
また、低速通信は、RW200が、無線電力伝送を開始する前に、低速通信のRF信号をオフにする(RF信号の出力を停止する)ことにより終了することができ、この場合、低速通信のRF信号、及び、無線電力伝送のRF信号それぞれとして、干渉が生じる周波数帯域のRF信号を使用しても、干渉を防止することができる。
【0214】
さらに、低速通信としては、例えば、FeliCa(登録商標)等のセキュアな通信を採用し、そのセキュアな通信である低速通信により、非接触通信メディア100とRW200との間で、相互認証を行い、その相互認証の成功後に、無線電力伝送を開始することができる。この場合、正規の非接触通信メディア100、又は、RW200と、不正な機器との間で、コンテンツ等のデータが、高速通信によって、不正にやりとりされることを防止することができる。
【0215】
[RW200の処理]
【0216】
図11ないし図15は、図3のRW200の処理を説明するフローチャートである。
【0217】
なお、図11及び図12のフローチャートに従った処理は、上述の図6及び図7で説明したRW200の処理に対応し、図13のフローチャートに従った処理は、上述の図8で説明したRW200の処理に対応する。
【0218】
また、図14のフローチャートに従った処理は、上述の図9で説明したRW200の処理に対応し、図15のフローチャートに従った処理は、上述の図10で説明したRW200の処理に対応する。
【0219】
RW200が、上位機器290と接続され、RW200の電源がオンにされると、図11に示すように、ステップS11において、RW200は、上位機器とのネゴシエーション、すなわち、図6で説明した挿入通知500や、機器識別用パケット510、機器識別応答パケット520、動作許可パケット530、状態確認パケット540のやりとり等を行い、処理は、ステップS12に進む。
【0220】
ステップS12では、RW200は、低速通信用のRF信号の出力を開始し(RW信号をオンにし)、処理は、ステップS13に進む。
【0221】
ステップS13では、RW200は、図7で説明したように、低速通信Pollingパケット621を送信して、処理は、ステップS14に進む。
【0222】
ステップS14では、RW200は、メディア検出がされたかどうか、つまり、非接触通信メディア100が近接したことが検出されたかどうかを判定する。
【0223】
ステップS14において、メディア検出がされていないと判定された場合、処理は、ステップS13に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0224】
また、ステップS14において、メディア検出がされたと判定された場合、すなわち、RW200が、非接触通信メディア100が、RW200に近接し、低速通信Pollingパケット621に対する応答としての低速通信Polling返信パケット622を、RW200に返してきた場合、処理は、図12のステップS21に進む。
【0225】
すなわち、図12は、図11に続くフローチャートである。
【0226】
図12のステップS21では、RW200は、図7で説明したように、低速通信Readパケット641を、非接触通信メディア100に送信することで、非接触通信メディア100の容量(不揮発メモリ111の容量)を取得し、処理は、ステップS22に進む。
【0227】
ステップS22では、RW200は、低速通信用のRF信号の出力を停止し、これにより、低速通信を終了して、処理は、図13のステップS31に進む。
【0228】
すなわち、図13は、図12に続くフローチャートである。
【0229】
図13のステップS31では、RW200は、図8で説明したように、無線電力伝送を開始し、処理は、ステップS32に進む。
【0230】
ここで、RW200において、無線電力伝送が開始されることで、非接触通信メディア100とRW200との間で、高速通信を行うことができるようになる。
【0231】
ステップS32では、RW200は、図8で説明したように、高速通信のためのネゴシエーションを行い、処理は、ステップS33に進む。
【0232】
ステップS33では、RW200は、上位機器からコマンドが送信されてきたかどうかを判定する。
【0233】
ステップS33において、上位機器からコマンドが送信されてきていないと判定された場合、処理は、ステップS33に戻る。
【0234】
また、ステップS33において、上位機器からコマンドが送信されてきたと判定された場合、すなわち、上位機器からRW200に対して、図9で説明したデータアクセスコマンド800が送信されてきた場合、処理は、図14のステップS41に進む。
【0235】
すなわち、図14は、図13に続くフローチャートである。
【0236】
図14のステップS41では、RW200は、上位機器290からのデータアクセスコマンド800を受信し、処理は、ステップS42に進む。
【0237】
ステップS42では、RW200は、上位機器290からのデータアクセスコマンド800に対応する無線データリクエストコマンド802(図9)を、高速通信で送信する。
【0238】
そして、非接触通信メディア100からRW200に対して、無線データリクエストコマンド802に対する応答である無線データレスポンス821(図9)が送信されてくるのを待って、処理は、ステップS42からステップS43に進み、RW200は、その無線データレスポンス821を受信し、処理は、ステップS44に進む。
【0239】
ステップS44では、RW200は、非接触通信メディア100からの無線データレスポンス821に対応するデータアクセスレスポンス830(図9)を、ステップS41で上位機器290から受信したデータアクセスコマンド800に対する応答として返し、処理は、図13のステップS33に戻る。
【0240】
図15は、非接触通信メディア100とRW200とが近接しない状態になった場合(非接触通信メディア100がRW200から取り外された場合)のRW200の処理を説明するフローチャートである。
【0241】
非接触通信メディア100とRW200とが近接しなくなると、RW200の無線電力伝送による電力の送信が、非接触通信メディア100に対して、十分に行われなくなり、非接触通信メディア100は、高速通信を行うことができなくなって、非接触通信メディア100とRW200との間の高速通信のコネクション(通信リンク)は切断される。
【0242】
ステップS51では、RW200は、非接触通信メディア100との間の高速通信のコネクションが切断されたことを検出し、処理は、ステップS52に進む。
【0243】
ステップS52では、RW200は、高速通信用のRF信号の出力を停止し(高速通信を終了し)、処理は、ステップS53に進む。
【0244】
ステップS53では、RW200は、無線電力伝送を停止し、処理は、ステップS54に進む。
【0245】
ステップS54では、RW200は、低速通信用のRF信号の出力を開始し、さらに、低速通信Pollingパケット621(図7)を送信して、処理は、図11のステップS14に戻る。
【0246】
[非接触通信メディア100の処理]
【0247】
図16及び図17は、図2の非接触通信メディア100の処理を説明するフローチャートである。
【0248】
なお、図16のフローチャートに従った処理は、上述の図7で説明した非接触通信メディア100の処理に対応し、図17のフローチャートに従った処理は、上述の図8及び図9で説明した非接触通信メディア100の処理に対応する。
【0249】
非接触通信メディア100が、RW200にかざされ、RW200と近接した状態になると、図16に示すように、ステップS101において、非接触通信メディア100は、RW200からの低速通信Pollingパケット621(図7)を受信し、処理は、ステップS102に進む。
【0250】
ステップS102では、非接触通信メディア100は、RW200からの低速通信Pollingパケット621に対する応答としての低速通信Polling返信パケット622(図7)を返し、処理は、ステップS103に進む。
【0251】
ステップS103では、非接触通信メディア100は、RW200から、不揮発メモリ111の容量の読み出しを要求する低速通信Readパケット641(図7)が送信されてくるのを待って、その低速通信Readパケット641を受信し、処理は、ステップS104に進む。
【0252】
ステップS104では、非接触通信メディア100は、低速通信チップ120が内蔵する、図示せぬメモリにアクセスし、不揮発メモリ111の容量のデータを読み出して、処理は、ステップS105に進む。
【0253】
ステップS105では、非接触通信メディア100は、不揮発メモリ111の容量のデータを含むリードデータ642(図7)を、ステップS103で受信した低速通信Readパケット641に対する応答として、RW200に返す。
【0254】
その後、RW200において、低速通信用のRF信号の出力が停止され、さらに、無線電力伝送が開始されるので、処理は、ステップS105からステップS106に進み、非接触通信メディア100は、RW200による無線電力伝送によって送信されてくる電力の受信を開始し、処理は、ステップS107に進む。
【0255】
ステップS107では、非接触通信メディア100は、RW200による無線電力伝送によって送信されてくる電力を電源として、高速通信を開始する。
【0256】
すなわち、図17は、非接触通信メディア100の高速通信の処理を説明するフローチャートである。
【0257】
ステップS111において、非接触通信メディア100は、高速通信に必要なデバイス、すなわち、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112を初期化し、処理は、ステップS112に進む。
【0258】
ステップS112では、非接触通信メディア100は、高速通信のためのネゴシエーションを行い、処理は、ステップS113に進む。
【0259】
ステップS113では、非接触通信メディア100は、不揮発メモリ111に対するデータの読み書きを要求する無線データリクエストコマンド802(図9)が、RW200から送信されてきたかどうかを判定する。
【0260】
ステップS113において、無線データリクエストコマンド802が送信されてきていないと判定された場合、処理は、ステップS113に戻る。
【0261】
また、ステップS113において、無線データリクエストコマンド802が送信されてきたと判定された場合、処理は、ステップS114に進み、非接触通信メディア100は、RW200からの無線データリクエストコマンド802を受信し、処理は、ステップS115に進む。
【0262】
ステップS115では、非接触通信メディア100は、無線データリクエストコマンド802に応じて、不揮発メモリ111にアクセスし、必要なデータの読み書きを行って、処理は、ステップS116に進む。
【0263】
ステップS116では、非接触通信メディア100は、ステップS114で受信した無線データリクエストコマンド802に対する応答である無線データレスポンス821を、RW200に返す。
【0264】
そして、処理は、ステップS116からステップS113に戻り、以下、非接触通信メディア100において、高速通信に必要な電力を受信することができなくなるまで、すなわち、非接触通信メディア100とRW200とが近接した状態でなくなるまで、ステップS113ないしS116の処理が繰り返される。一方、ステップS113において一定期間の間にRW200からコマンドが来ない場合、処理を終了するように設定してもよい。さらに、ステップS113において、無線データ転送の終了を指示するコマンドを受けた場合に、処理を終了するようにしてもよい。このようにすることで、非接触通信メディア100とRW200とが近接した状態であっても、必要のない時に消費電力を下げることが可能となる。
【0265】
なお、カード型の非接触通信メディア100は、図2で説明したように、第1に、ギガバイトオーダ等の大容量の不揮発メモリ111、第2に、無線によるポーリングを行うRW200との間で、低速の近接通信である低速通信を行う低速通信チップ120、第3に、RW200との間で、低速通信より高速の近接通信である高速通信を行う高速通信スレーブコントローラ112、第4に、RW200からの無線電力伝送によって送信されてくる、少なくとも、高速通信を行うための電力を受信する電力受信制御部130を備える。
【0266】
したがって、非接触通信メディア100は、大容量、かつ、バッテリレスで非接触通信を行うカード型の可搬メディアとして機能し、RW200にかざすだけで、そのRW200に接続された上位機器290から、音楽や映画等のコンテンツの大容量のデータを読み出して保存する(書き込む)ことができる。
【0267】
さらに、非接触通信メディア100は、RW200にかざすだけで、そのRW200に接続された上位機器290に、非接触通信メディア100に記憶(保存)された音楽や映画等のコンテンツの大容量のデータを転送して再生することができる。
【0268】
また、低速通信チップ120が行う低速通信として、FeliCa(登録商標)等のセキュアな通信を採用することにより、非接触通信メディア100に対するコンテンツの読み書きに対して、課金処理を行うことが可能となる。
【0269】
ここで、例えば、CD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disc),BD(Blu-Ray Disc)(登録商標)等の従来の光学式メディアでは、読み取り面の傷により、アクセスが不能となることがあり、これを防止するためには、専用のケース等への保管が必須となるが、ケース含む光学式メディアの持ち運びは、不便である。
【0270】
また、従来の光学式メディアでは、容量が規格で定められているため、大容量化を図るには、仕様の変更を含めた変更コストがかかる。
【0271】
さらに、従来の光学式メディアでは、例えば、直径が12cm等と規格で定められているため小型化が困難である。
【0272】
また、従来の光学式メディアについては、光学式メディアに対するデータの読み書きを行うドライブ(読み書き装置)の小型化が困難であり、このことは、特に、いわゆるネットブックと呼ばれるPC等の小型の機器に、ドライブを搭載するときに問題となる。
【0273】
さらに、従来の光学式メディアのドライブには、光学式メディアを回転させるための駆動部、及び、トレーを開閉するための駆動部が必要となり、コストアップ、及び、耐久性の問題がある。
【0274】
また、従来の光学式メディアについては、ユーザが、光学式メディアを使用するのに、ドライブのトレーの開閉を行う必要がある。すなわち、トレーを開け、光学式メディアをトレーに載せ、トレーを閉めるという3つのアクションが必要となる。
【0275】
さらに、従来の光学式メディアでは、データの読み書きに、光学式メディアを回転させる必要があるため、光学式メディアが停止している状態から、データの読み書きを開始するまでの初期アクセスに時間がかかる。
【0276】
また、シリコン系メディアである、例えば、USB(フラッシュ)メモリについては、データの読み書きに、USBメモリを、PC等のUSB端子に挿入する必要があるため、PCに不慣れな 子供やお年寄りには扱い辛い。
【0277】
さらに、USBメモリについては、形状、及び、容量が、規格で定められていないため、自由な形状、及び、容量の製品が存在するが、その反面、すべての年齢層を考慮した統一された使用感を提供することが困難である。
【0278】
また、USBメモリと同様のシリコン系メディアである、例えば、SDカード等のフラッシュデバイスでは、極端に小型化されているため、いわゆるはめ殺しでの使用が前提になっており、可搬するには小さすぎる。
【0279】
さらに、フラッシュデバイスは、子供やお年寄りが使うには小さすぎて不便であることがあり、電子機器に挿入する向きが決まっているので、扱い辛いことがある。
【0280】
また、従来の非接触ICカードでは、ギガバイトオーダの大容量のデータを扱えるものは存在しない。
【0281】
一方、非接触通信メディア100では、「かざす」という1つのアクションだけで、データの読み書きを行うことができる。
【0282】
また、非接触通信メディア100は、接点及び読み取り面を持たないため、傷に強く、持ち運びや保管時に、ケースが必要ない。
【0283】
さらに、非接触通信メディア100では、従来の光学メディアやシリコン系メディアのように、挿入方向を気にする必要がない。
【0284】
また、非接触通信メディア100に対するデータの読み書きを行うドライブとしてのRW200には、従来の光学式メディアのドライブに必須の、上述の駆動部が必要ないので、従来の光学式メディアのドライブと比較して、小型化が可能となる、部品点数の削減によりコストダウンが可能となる、ドライブの耐久性が向上する、初期アクセスが高速になる、等の利点がある。
【0285】
さらに、非接触通信メディア100は、上述のように、クレジットカード程度のサイズのカード型の形状とすることにより、フラッシュデバイスと比較して、大きすぎもせず、小さすぎもしないので、財布やカードホルダ等に入れての持ち運びが容易である。
【0286】
また、非接触通信メディア100は、従来の光学メディアと比較して、不揮発メモリ111を変えるだけで、記憶容量を増加することが、仕様を変更することなく、容易に行うことができる。
【0287】
なお、非接触通信メディア100(図2)のメディア制御用CPU110、及び、RW200のRW制御用CPU210は、上述した各処理を、プログラムを実行することで行うが、このプログラムは、リムーバブル記録媒体からインストールすることや、インターネット上のサイトや、放送波等からダウンロードしてインストールすること等が可能である。
【0288】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0289】
100 非接触通信メディア, 110 メディア制御用CPU, 111 不揮発メモリ, 112 高速通信スレーブコントローラ, 113 高速通信アンテナ, 114 アクセスLED, 120 低速通信チップ, 121 低速通信アンテナ, 130 電力受信制御部, 131 電力受信アンテナ, 132 位置ずれ検出LED, 200 RW, 210 RW制御用CPU, 220 高速通信マスタコントローラ, 221 高速通信アンテナ221, 230 低速通信コントローラ, 231 低速通信アンテナ, 240 電力送信制御部, 241 電力送信アンテナ, 290 上位機器, 300 カード底部材, 310 メディア制御基板, 400 カード上部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線によるポーリングを行うマスタ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1の通信手段と、
前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2の通信手段と、
前記マスタ通信装置からの無線電力伝送によって送信されてくる、少なくとも、前記第2の通信を行うための電力を受信する電力受信手段と
を備え、
前記電力受信手段は、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記マスタ通信装置からの送信が開始される電力を受信し、
前記第2の通信手段は、前記電力受信手段によって受信された電力によって動作を開始し、前記マスタ通信装置との間で、前記第2の通信を開始する
通信装置。
【請求項2】
前記第1の通信手段による前記第1の通信は、前記マスタ通信装置が、前記無線電力伝送を開始する前に、前記第1の通信のRF信号をオフにすることにより終了される
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1の通信は、セキュアな通信であり、
前記第1の通信手段は、前記第1の通信により、前記マスタ通信装置との間で、相互認証を行い、
前記電力受信手段は、前記第1の通信による前記相互認証の成功後に、前記マスタ通信装置からの送信が開始される電力を受信する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
無線によるポーリングを行うマスタ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1の通信手段と、
前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2の通信手段と、
前記マスタ通信装置からの無線電力伝送によって送信されてくる、少なくとも、前記第2の通信を行うための電力を受信する電力受信手段と
を備える通信装置の、
前記第1の通信手段が、前記マスタ通信装置からの前記ポーリングに応答することにより、前記マスタ通信装置の間で、前記第1の通信を開始し、
前記電力受信手段が、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記マスタ通信装置からの送信が開始される電力を受信し、
前記第2の通信手段が、前記電力受信手段によって受信された電力によって動作を開始し、前記マスタ通信装置との間で、前記第2の通信を開始する
ステップを含む通信方法。
【請求項5】
無線によるポーリングに対して応答するスレーブ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1の通信手段と、
前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2の通信手段と、
前記スレーブ通信装置が、前記第2の通信を行うための電力を、無線電力伝送によって送信する電力送信手段と
を備え、
前記電力送信手段は、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記無線電力伝送を開始し、
前記第2の通信手段は、前記無線電力伝送が開始された後に、前記スレーブ通信装置との間で、前記第2の通信を開始する
通信装置。
【請求項6】
前記第1の通信手段は、前記無線電力伝送を開始する前に、前記第1の通信のRF信号をオフにすることにより、前記第1の通信を終了する
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1の通信は、セキュアな通信であり、
前記第1の通信手段は、前記第1の通信により、前記スレーブ通信装置との間で、相互認証を行い、
前記電力送信手段は、前記第1の通信による前記相互認証の成功後に、前記無線電力伝送を開始する
請求項5に記載の通信装置。
【請求項8】
無線によるポーリングに対して応答するスレーブ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1の通信手段と、
前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2の通信手段と、
前記スレーブ通信装置が、前記第2の通信を行うための電力を、無線電力伝送によって送信する電力送信手段と
を備える通信装置の、
前記第1の通信手段が、前記スレーブ通信装置からの、前記ポーリングに対する応答を受信することにより、前記スレーブ通信装置の間で、前記第1の通信を開始し、
前記電力送信手段が、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記無線電力伝送を開始し、
前記第2の通信手段が、前記無線電力伝送が開始された後に、前記スレーブ通信装置との間で、前記第2の通信を開始する
ステップを含む通信方法。
【請求項9】
無線によるポーリングに対して応答するスレーブ通信装置と、
前記ポーリングを行うマスタ通信装置と
を備え、
前記スレーブ通信装置は、
前記マスタ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1のスレーブ通信手段と、
前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2のスレーブ通信手段と、
前記マスタ通信装置からの無線電力伝送によって送信されてくる、少なくとも、前記第2の通信を行うための電力を受信する電力受信手段と
を有し、
前記電力受信手段は、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記マスタ通信装置からの送信が開始される電力を受信し、
前記第2の通信手段は、前記電力受信手段によって受信された電力によって動作を開始し、前記マスタ通信装置との間で、前記第2の通信を開始し、
前記マスタ通信装置は、
前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信を行う第1のマスタ通信手段と、
前記スレーブ通信装置との間で、前記第2の通信を行う第2のマスタ通信手段と、
前記スレーブ通信装置が、前記第2の通信を行うための電力を、無線電力伝送によって送信する電力送信手段と
を有し、
前記電力送信手段は、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記無線電力伝送を開始し、
前記第2のマスタ通信手段は、前記無線電力伝送が開始された後に、前記スレーブ通信装置との間で、前記第2の通信を開始する
通信システム。
【請求項10】
無線によるポーリングに対して応答するスレーブ通信装置と、
前記ポーリングを行うマスタ通信装置と
を備え、
前記スレーブ通信装置は、
前記マスタ通信装置との間で、第1の通信速度での近接通信である第1の通信を行う第1のスレーブ通信手段と、
前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信速度より高速の第2の通信速度での近接通信である第2の通信を行う第2のスレーブ通信手段と、
前記マスタ通信装置からの無線電力伝送によって送信されてくる、少なくとも、前記第2の通信を行うための電力を受信する電力受信手段と
を有し、
前記マスタ通信装置は、
前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信を行う第1のマスタ通信手段と、
前記スレーブ通信装置との間で、前記第2の通信を行う第2のマスタ通信手段と、
前記スレーブ通信装置が、前記第2の通信を行うための電力を、無線電力伝送によって送信する電力送信手段と
を有する
通信システムの、
前記第1のスレーブ通信手段が、前記マスタ通信装置からの前記ポーリングに応答し、前記第1のマスタ通信手段が、前記スレーブ通信装置からの、前記ポーリングに対する応答を受信することにより、前記スレーブ通信装置と前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信を開始し、
前記電力送信手段が、前記スレーブ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記無線電力伝送を開始し、
前記電力受信手段が、前記マスタ通信装置との間で、前記第1の通信が開始された後に、前記マスタ通信装置からの送信が開始される電力を受信し、
前記第2のスレーブ通信手段が、前記電力受信手段によって受信された電力によって動作を開始し、前記スレーブ通信装置と前記マスタ通信装置との間で、前記第2の通信を開始する
ステップを含む通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−186781(P2011−186781A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51365(P2010−51365)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】