通信装置、通信装置の制御方法、通信システム、プログラム及び記録媒体
【課題】 通信装置が有する、受信した要求に対して応答を返す機能の動作を、容易かつ適切に設定できるようにする。
【解決手段】 通信装置に、リモートサービス(RS)機能の状態として、外部装置から要求を受信した場合に有効な応答を返す「有効」の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す「登録待ち」の状態と、有効な応答を返さない「無効」の状態との間を遷移させる場合に、通信状態が「登録待ち」の状態で上記外部装置から登録要求を受信した場合に「有効」の状態に遷移させると共に、その遷移の前は「登録待ち」の状態と「無効」の状態との間の切り替えを、その遷移の後は「有効」の状態と「無効」の状態との間の切り替えを、同じ「通信状態設定」の項目の設定に従って行うようにした。
【解決手段】 通信装置に、リモートサービス(RS)機能の状態として、外部装置から要求を受信した場合に有効な応答を返す「有効」の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す「登録待ち」の状態と、有効な応答を返さない「無効」の状態との間を遷移させる場合に、通信状態が「登録待ち」の状態で上記外部装置から登録要求を受信した場合に「有効」の状態に遷移させると共に、その遷移の前は「登録待ち」の状態と「無効」の状態との間の切り替えを、その遷移の後は「有効」の状態と「無効」の状態との間の切り替えを、同じ「通信状態設定」の項目の設定に従って行うようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部装置からの要求に対し、状態に応じて複数の反応を示す機能を有する通信装置、このような通信装置の制御方法、このような通信装置を備えた通信システム、コンピュータをこのような通信装置として機能させるためのプログラム、およびこのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の通信装置において、外部装置から要求を受信し、その要求に応じた動作を行って応答を返す機能を設けることが行われている。このような機能を、ここでは要求処理機能と呼ぶことにする。
そして、通信装置に要求処理機能を設ける場合、常にこれを有効にしておくことも考えられるが、セキュリティや処理負荷を考慮し、有効と無効を切替可能とし、必要な場合のみ要求処理機能を有効にできるようにすることが行われている。
【0003】
また、外部装置からアクセスしてその有効/無効を切り替えることができるよう、有効/無効の他に要求処理機能に係る通信について設定待ち状態を設けることも提案されている。この設定待ち状態は、基本的には外部からの要求に対して有効な応答を返さないものの、要求処理機能を有効にする旨の要求を受信した場合に、要求処理機能を有効にしてその旨の応答を返すようにしたものである。
例えば、通信装置の要求処理機能を利用し、外部装置から通信装置に種々の動作を行わせ、その結果に応じて通信装置を管理するような管理システムを構築する場合に、上記のような設定待ち状態を有効に活用できる。
【0004】
すなわち、図17に示すように、通信装置の出荷時の設定を設定待ち(登録待ち)状態としておき、ユーザの事業所等に設置された後、外部装置から通信装置にアクセスして要求処理機能を有効にすると共にその通信装置を管理対象として登録するようにすることにより、出荷時は通常の要求処理機能を無効にしておくことができる一方、通信装置を管理の対象とする際には通信装置側の設定変更を自動で行うことができる。また、通信装置を管理の対象から外す場合にも、登録待ち状態に戻しておけば、再度管理の対象とする際に、自動的に要求処理機能が有効な状態に遷移させることができる。
【0005】
これに対し、要求処理機能を完全に無効にしてしまうと、これを有効にするためには、手動で設定を変更しなくてはならない。従って、要求処理機能に関する通信の設定待ち状態を活用することにより、通信装置を管理システムの管理対象として登録する際の労力を軽減することができるといえる。
上記のような、要求処理機能に関する通信の設定待ち状態に関する技術については、例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2004−180276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通信装置のユーザは、必ずしも全ての通信装置について要求処理機能の有効化を望むわけではない。しかし、上記のような設定待ち状態で通信装置を出荷する場合、要求処理機能を有効化するような情報を送信してくる装置がある環境では、ユーザの意に反して要求処理機能が有効になってしまう場合もあるという問題があった。
また、要求処理機能を一旦有効にした後でも、外部装置からの要求に応じた動作を常に許可することが好ましくない場合もある。そして、このような場合には、必要な場合にのみ要求処理機能を有効にできるようにしたいという要望があった。
【0007】
しかし、上述したような特許文献1に記載の通信装置のように設定待ち状態を有効に活用しながら、上記のような問題を解決し、また要望に応えるような制御方式は、知られていなかった。
この発明は、上記のような問題を解決し、また要望に応えるためになされたものであり、通信装置が有する、受信した要求に対して応答を返す機能の動作を、容易かつ適切に設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の目的を達成するため、当該通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態との間を遷移する通信装置において、上記第2の状態において、上記外部装置から上記登録要求を受信した場合に自身を上記第1の状態に遷移させる遷移手段と、その手段による遷移の前は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたものである。
【0009】
あるいは、当該通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態との間を遷移する通信装置において、上記第1の状態において、上記外部装置から登録解除要求を受信した場合に自身を上記第2の状態に遷移させる遷移手段と、その手段による遷移の前は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたものである。
これらの通信装置において、上記同一項目の設定を、ユーザによる操作に従って行う手段を設けるとよい。
【0010】
また、この発明の通信装置の制御方法は、通信装置に、上記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した場合の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移させ、上記第2の状態において、上記外部装置から上記登録要求を受信した場合に自身を上記第1の状態に遷移させる遷移手順と、その手順による遷移の前は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手順とを実行させるようにしたものである。
【0011】
あるいは、通信装置に、上記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した場合の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移させ、
上記第1の状態において、上記外部装置から上記登録解除要求を受信した場合に自身を上記第2の状態に遷移させる遷移手順と、その手順による遷移の前は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手順とを実行させるようにしたものである。
【0012】
これらの各通信装置の制御方法において、上記通信装置に、上記同一項目の設定をユーザによる操作に従って行う手順を実行させるようにするとよい。
【0013】
また、この発明の通信システムは、第1の通信装置と、その第1の通信装置に対して登録を要求する機能を有する第2の通信装置とを備えた通信システムにおいて、上記第2の通信装置に、上記第1の通信装置に要求を送信する手段を設け、上記第1の通信装置を、上記第2の通信装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する通信装置とし、その第1の通信装置に、上記第2の状態において、上記第2の通信装置から上記登録要求を受信した場合に自身を上記第1の状態に遷移させる遷移手段と、その手段による遷移の前は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたものである。
【0014】
あるいは、第1の通信装置と、その第1の通信装置に対して登録を要求する機能を有する第2の通信装置とを備えた通信システムにおいて、上記第2の通信装置に、上記第1の通信装置に要求を送信する手段を設け、上記第1の通信装置を、上記第2の通信装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する通信装置とし、その第1の通信装置に、上記第1の状態において、上記第2の通信装置から登録解除要求を受信した場合に自身を上記第2の状態に遷移させる遷移手段と、その手段による遷移の前は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたものである。
【0015】
また、この発明のプログラムは、コンピュータを通信装置として機能させるためのプログラムにおいて、上記コンピュータに、上記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する機能と、上記第2の状態において、上記外部装置から上記登録要求を受信した場合に自身を上記第1の状態に遷移させる遷移機能と、その機能による遷移の前は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段の機能とを実現させるためのプログラムである。
【0016】
あるいは、コンピュータを通信装置として機能させるためのプログラムにおいて、上記コンピュータに、上記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する機能と、上記第1の状態において、上記外部装置から登録解除要求を受信した場合に自身を上記第2の状態に遷移させる遷移機能と、その機能による遷移の前は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段の機能とを実現させるためのプログラムである。
これらの各プログラムにおいて、上記コンピュータに、上記同一項目の設定をユーザによる操作に従って行う機能を実現させるためのプログラムを含めるとよい。
【0017】
また、この発明の記録媒体は、上記のいずれかのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0018】
以上のようなこの発明の通信装置、通信装置の制御方法、または通信システムによれば、通信装置が有する、受信した要求に対して応答を返す機能の動作を、容易かつ適切に設定できるようにすることができる。
また、この発明のプログラムによれば、コンピュータを通信装置として機能させて上記のような通信装置の特徴を実現し、同様な効果を得ることができる。
この発明の記録媒体によれば、上記のプログラムを記憶していないコンピュータにそのプログラムを読み出させて実行させ、上記の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に、この発明の実施形態である通信システムの構成例を示す。
図1に示すように、この通信システム1は、第1の通信装置10と第2の通信装置20とを、通信経路Xを介して通信可能なように配置して構成したものである。ここで、通信経路Xとしては、インターネット、LAN(ローカルエリアネットワーク)、電話回線を始め、有線、無線を問わず、任意のものを使用可能である。
【0020】
このうち、第1の通信装置10は、この発明の通信装置の実施形態であり、第2の通信装置等の外部装置から要求を受信し、その要求に応じた動作を行い、その結果を応答として返す、要求処理機能を有する。そして、第1の通信装置10は、より具体的には、例えば、プリンタ,FAX装置,デジタル複写機,スキャナ装置,デジタル複合機等の画像処理装置のほか、汎用コンピュータ,ネットワーク家電,自動販売機,医療機器,電源装置,空調システム,ガス・水道・電気等の計量システム,自動車,航空機等の電子機器に通信機能を持たせた通信装置とすることが考えられる。
【0021】
また、第2の通信装置20は、第1の通信装置10から見て外部装置に該当し、第1の通信装置10に対して種々の要求を送信し、第1の通信装置10にその要求に従った動作を行わせ、その結果を応答として取得する機能を有する。そして、第1の通信装置10に対し、その第1の通信装置10の情報の送信と、自身への登録とを要求する機能も有する。なお、ここでいう登録とは、その登録した相手を、要求の送信先又は送信元として妥当な相手と認識するようにすることである。また、第1の通信装置10に対し、上記の登録の解除を要求(又は通知)する機能も有する。なお、この登録解除は、登録していた相手を、以後要求の送信先又は送信元として妥当な相手と認識しないようにすることである。
【0022】
次に、図2に、図1に示した第1の通信装置10のハードウェア構成を示す。
この図に示すように、第1の通信装置10は、CPU11,ROM12,RAM13,不揮発性メモリ14,通信インタフェース(I/F)15を備え、これらがシステムバス16により接続されている。
【0023】
そして、CPU11は、第1の通信装置10全体を統括制御する制御手段であり、ROM12や不揮発メモリ14に記録された種々のプログラムを実行することにより、切替手段等の各手段として機能する。
ROM12は、不揮発性の記憶手段であり、CPU11が実行するプログラムや、固定的なパラメータ等を記憶する。ROM12を書き換え可能な記憶手段として構成し、これらのデータをアップデートできるようにしてもよい。
【0024】
RAM13は、一時的に使用するデータを記憶したり、CPU11のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
不揮発メモリ14は、フラッシュメモリやHDD(ハードディスクドライブ)等による書き換え可能な不揮発性記憶手段であり、CPU11が実行するプログラムや、装置の電源がOFFされた後でも保持しておく必要があるパラメータの値等を記憶する。
【0025】
通信I/F15は、第1の通信装置10を通信経路Xに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)方式の通信を行うためのネットワークインタフェースとすることができる。そして、通信経路Xを介して他の装置と通信を行う場合、この通信I/F15とCPU11とが通信手段として機能する。なお、通信I/F15は、通信経路Xの規格や使用する通信プロトコル等に応じて適切なものを用意する。また、複数の規格に対応させて複数の通信I/F15を設けることも当然可能である。
【0026】
なお、図2には示していないが、第1の通信装置10に外部に対して通信以外の物理的な出力を行うためのエンジン部を設けてもよい。このエンジン部は、例えば第1の通信装置10がデジタル複合機(MFP)であれば、画像形成部、画像読取部、ファクシミリ通信ユニット等であり、CPU11がこれらの動作を適切に制御することにより、第1の通信装置10にコピー、プリント、スキャン、ファクシミリ通信等の種々の動作を実行させることができる。
【0027】
以上のような通信システム1において、第1の通信装置10には、要求処理機能に関する通信の状態を切り替えるための設定項目として、「登録状態」と「通信状態設定」を設け、これらにより、要求処理機能に関する通信の状態を、3つの状態の間で遷移させるようにしている。なお、以後の説明において、この要求処理機能に関する通信の状態のことを、単に「通信状態」と呼ぶことにする。
【0028】
図3に、これらの設定項目と通信状態との関係を示す。
この図に示すように、第1の通信装置10には、通信状態について、「有効」,「登録待ち」,「無効」の3つの状態を遷移させるようにしている。そして、「有効」の状態は、外部装置から要求を受信した際に必要な動作を行って有効な応答を返す第1の状態である。また、「登録待ち」の状態は、外部装置から要求を受信した際に、「有効」の状態に遷移するために必要な場合のみ、すなわち第1の通信装置10を「有効」の状態に遷移させる手続きに係る要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態である。また、「無効」の状態は、外部装置から要求を受信した際に有効な応答を返さない第3の状態である。
【0029】
そして、「登録状態」については、工場出荷時の設定を「未登録」とし、ユーザの利用環境に配置された後、第2の通信装置20との間で登録に係る処理を行い、第1の通信装置10が第2の通信装置20に登録された場合に、これを自動的に「登録済」に変更するようにしている。また、第1の通信装置10が第2の通信装置20に登録されている状態で、第2の通信装置20との間で登録解除に係る処理を行い、登録が解除された場合に、「登録状態」を自動的に「未登録」に変更するようにしている。
また、「通信状態設定」は、工場出荷時の設定を「許可」とし、ユーザの操作に従って、「許可」と「禁止」を切り替えることができるようにしている。
【0030】
図4にこのための操作画面の例を示すが、このような通信状態設定画面110を第1の通信装置10に設ける表示部あるいは第1の通信装置10にアクセスしたPC(パーソナルコンピュータ)等のブラウザに表示させ、ユーザによる許可ボタン111と禁止ボタン112の押下に従って、「許可」と「禁止」を切り替えるようにすればよい。
【0031】
そして、工場出荷時の、「未登録」かつ「許可」の設定がなされている場合には、第1の通信装置10が「登録待ち」の状態となるようにし、その後第2の通信装置20との間で登録に係る処理を行うことにより、「登録状態」を「登録済」に変更して自動的に通信状態を「有効」の状態に遷移させることができるようにしている。
従って、初めは登録要求に関するもの以外の要求処理機能を無効にしつつ、ユーザが操作しなくても要求処理機能が有効な状態に遷移させることができる。
【0032】
一方、「未登録」の状態では、ユーザが「通信状態設定」の設定を変更することにより、通信状態が「登録待ち」と「無効」の状態を遷移させることができる。従って、第1の通信装置10が第2の通信装置20に登録されることを希望しないユーザは、「通信状態設定」を「禁止」に設定することにより、第1の通信装置10が登録動作を行わない状態にすることができる。また、一旦「通信状態設定」を「禁止」に設定した後でも、これを「許可」に戻せば、再度第1の通信装置10の通信状態を「登録待ち」に戻して、第2の通信装置20に自動的に登録可能な状態とすることができる。
【0033】
また、「登録済」の状態では、ユーザが「通信状態設定」の設定を変更することにより、通信状態が「有効」と「無効」の状態を遷移させることができる。従って、一時的に第1の通信装置10の情報を第2の通信装置20に取得されない状態にすることを希望するユーザは、「通信状態設定」を「禁止」に設定することにより、第1の通信装置10が第2の通信装置20からの要求に対して有効な応答を返さない状態にすることができる。
【0034】
そして、この場合において、「登録状態」の内容は変更しないため、第1の通信装置10は、通信状態が「無効」の状態であっても、自身が第2の通信装置20に登録されていることは認識できる。従って、第1の通信装置10側で一方的に通信状態を「無効」にしても、第2の通信装置20側との間で登録に関する認識が食い違うことがなく、再度「通信状態設定」を「許可」に戻して通信状態が「有効」になった場合に、直ちに第2の通信装置20との間で協働的な動作を再開することができる。
もちろん、第2の通信装置20との間で登録解除に係る処理を行って、「未登録」の状態に戻ることも可能である。この場合、通信状態は「有効」から「登録待ち」に遷移することになる。
【0035】
なお、以上のような制御は、少なくとも、第1の通信装置10に対して登録を要求してくるような外部装置に対する要求処理機能について行うようにすればよい。そして、通信状態を「禁止」とする場合でも、他の装置からの要求については処理を許可するようにしてもよい。例えば、第1の通信装置10がMFPである場合、LAN(ローカルエリアネットワーク)内のPCからのプリント要求は、上記の通信状態によらず常に受け付けるようにしてもよい。そして、例えば第2の通信装置20とその他の装置とで、要求を送信してくる通信経路(ポート等)が異なるようにシステムを構築することにより、これらの要求を区別することができる。
【0036】
次に、図5乃至図9を用いて、上述した各通信状態における第1の通信装置10の動作や、その状態遷移について説明する。
まず図5に、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態で、第1の通信装置10が第2の通信装置20から登録以外に係る要求を受信した場合の処理シーケンス例を示す。なお、通信機能部101は、要求や応答の送受信に係る機能を有する部分であり、制御機能部102は、要求に係る動作を実行したり、ユーザI/F30による操作を検出したり、第1の通信装置10自身の状態を検出したりといった、要求や応答の送受信に係る機能以外の機能を有する部分である。
【0037】
なお、ユーザI/F30の例としては、第1の通信装置10の操作パネル、第1の通信装置10にアクセスしたPC等のブラウザやクライアントソフトに表示させるGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)等が考えられる。そして、ユーザI/F30は第1の通信装置10の一部である場合もそうでない場合もあるが、図5等においては、第1の通信装置10の一部でない場合について図示している。
【0038】
そして、この図に示すように、第1の通信装置10が、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態、すなわち「有効」でない状態で、第2の通信装置20から第1の通信装置10に関する情報の送信を要求する情報取得要求を受信した場合、要求処理機能が無効である旨を示す応答(情報取得応答)としてNG(失敗)応答を返すようにしている。また、この場合において、通信機能部101は制御機能部102にその要求の受信を伝えず、従って、制御機能部102はその要求に係る動作を行うことはない。
【0039】
また、要求の送信元である第2の通信装置20は、失敗の応答を受信するので、正常な応答が得られないのは通信エラーが発生したりそもそも第1の通信装置10が接続されていなかったりするためではなく、第1の通信装置10が要求処理機能を無効にしているためであるということを認識することができる。なお、要求処理機能を利用する情報取得要求以外の要求を受信した場合でも、上述と同様の処理を行うことができる。
【0040】
次に、図6に、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態で第1の通信装置10において第2の通信装置20に要求を送信すべきイベントが発生した場合の処理シーケンス例を示す。
この図に示すように、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態では、ユーザI/F30から第2の通信装置20に対する情報の送信を指示する情報送信指示があった場合等、第1の通信装置10から第2の通信装置20に情報を送信すべきイベントが発生した場合でも、情報の送信は行わない。
【0041】
この場合において、イベントを検出するのは制御機能部102であり、通信機能部101に対して情報の送信を指示するが、通信機能部101が送信を拒否し、制御機能部102に対して送信の失敗を通知するようにしている。この場合も、通信エラーとは区別できるようにするとよい。
また、第2の通信装置20に要求を送信すべきイベントは、ユーザI/F30からの操作検出に限らず、エンジン部における動作異常検出等、第1の通信装置10の内部で発生するイベントであってもよい。また、情報送信の失敗をユーザI/F30に通知することは任意である。図6におけるユーザI/F30と制御機能部102との間の破線の矢印は、このことを示すものである。
【0042】
次に、図7に、「通信状態設定」の変更により、通信状態が「有効」から「無効」に遷移する場合の処理シーケンス例を示す。
ここでは、最初の情報取得要求Aを受信した時点では通信状態が「有効」であったものの、その後ユーザI/F30からの指示に従い、「通信状態設定」が「禁止」に変更され、通信状態が「有効」から「無効」に遷移する場合の例を示している。
【0043】
そして、この場合、第1の通信装置10の通信機能部101は、通信状態が「有効」であった時点で受信した情報取得要求Aは制御機能部102に渡し、制御機能部102はこの要求に従って情報の収集等の必要な動作を行い、結果を通信機能部101に返す。そして、通信機能部101は、情報取得要求Aに対する応答として、要求に係る動作が成功した旨の情報及び要求された内容の情報を含む情報取得応答Aを返す。この応答は、応答時点では既に通信状態が「無効」であったとしても、行うようにしている。
一方、情報取得要求Bについては、第1の通信装置10が受信した時点で通信状態が「無効」であるので、図5の場合と同様、要求処理機能が無効である旨を示す応答として失敗応答を返すようにしている。
【0044】
次に、図8に、「登録状態」が「未登録」の状態における種々の動作の例を示す。この図においては、図をわかりやすくするため、第1の通信装置10側の処理を、通信機能部101と制御機能部102に分けずに示しているが、実際には図5乃至図7のように、通信機能部101と制御機能部102がそれぞれ担当範囲の処理を行うようにしている。
そして、始めに第1の通信装置10における「通信状態設定」が「禁止」であったとすると、通信状態は「無効」の状態であり、図5を用いて説明したように、第1の通信装置10は、第2の通信装置20からの要求に対して失敗の応答を返す(A)。また、第2の通信装置20に対して通知等を送信するようなイベントが発生した場合も、図6を用いて説明したように、その送信は行わない(B)。
【0045】
またこの状態では、第1の通信装置10は、第1の通信装置10を第2の通信装置20に登録し、「有効」の状態に遷移させる要求である登録要求についても、失敗の応答を返す(C)。
しかし、ユーザI/F30から「通信状態設定」を「許可」にする指示があると、第1の通信装置10は「通信状態設定」を「許可」に変更し、このことにより、通信状態が「無効」の状態から「設定待ち」の状態に遷移する(D)。
【0046】
そして、この状態では、第1の通信装置10は、第2の通信装置20から登録要求を受信すると、それに対して必要な処理を行い、成功の応答を返す。この応答には、自身のアドレスやID等を含めて送信するようにするとよい。また、第1の通信装置10は、成功の登録応答を返した後、第2の通信装置20に自身が登録されたものとして、「登録状態」の設定を「登録済」に変更する。そして、このことにより、通信状態が「設定待ち」の状態から「有効」の状態に遷移し、以後は第2の通信装置20からの要求に対して有効な応答を返す状態になる(E)。
【0047】
次に、図9に、「登録状態」が「登録済」の状態における種々の動作の例を示す。
第1の通信装置10は、始めに「通信状態設定」が「禁止」であったとすると、「登録状態」が「登録済」であっても通信状態は「無効」の状態であり、図5を用いて説明したように、第1の通信装置10は、第2の通信装置20からの要求に対して失敗の応答を返す(A)。また、第2の通信装置20に対して通知等を送信するようなイベントが発生した場合も、図6を用いて説明したように、その送信は行わない(B)。
【0048】
しかし、ユーザI/F30から「通信状態設定」を「許可」にする指示があると、第1の通信装置10は「通信状態設定」を「許可」に変更し、このことにより、通信状態が「無効」の状態から「有効」の状態に遷移する(C)。
そして、この状態では、第1の通信装置10は、第2の通信装置20からの要求を受信すると、それに対して必要な処理を行い、成功の応答を返す(D)。また、第2の通信装置20に対して通知等を送信するようなイベントが発生した場合には、その送信を行う(E)。
【0049】
次に、図10乃至図12に、上述のような第1の通信装置10のCPU11が、第2の通信装置20からの要求を受け取る所定のポートに要求を受信した場合に実行する処理のフローチャートを示す。以下の各フローチャートに示す処理は、CPU11が所要の制御プログラムを実行することにより行うものである。また、このフローチャートに示す処理には、上述した登録及び登録解除に係る処理を含む。
【0050】
第1の通信装置10のCPU11は、装置の動作中は常時通信I/F15を介した外部装置からの要求や通知の受信を監視している。そして、上記の所定のポートにこれらを受信すると、図10のフローチャートに示す処理を開始する。なお、要求を別のポートに受信した場合には別の処理を行うが、この処理については適宜公知のものを採用すればよいので、説明を省略する。
【0051】
図10に示す処理においてはまず、ステップS11で受信内容をチェックする。そして、登録要求であれば、ステップS12に進む。
ステップS12では、「登録状態」を参照し、これが「未登録」であればステップS13に進む。そして、「通信状態設定」を参照し、これが「許可」であれば、通信状態が「登録待ち」であるので、登録要求に応じて登録に係る処理を行うべく、ステップS14以下に進む。
【0052】
そして、ステップS14で登録要求の送信元である第2の通信装置20のID(機番等)を通信先情報として不揮発性メモリ14に記憶する。そして、この処理によって、登録要求の送信元である第2の通信装置20を、通信相手となる(要求の送信元又は送信先として妥当な)通信装置として認識する。なお、ここで第2の通信装置20のIPアドレスも記憶するようにしてもよい。
【0053】
次のステップS17では、その第2の通信装置20に対して、登録要求に対する応答である登録応答を「成功」で送信する。
そして、ステップS18で、「登録状態」を「未登録」から「登録済」に変更し、この時点で第1の通信装置10は、通信状態が「登録待ち」から「有効」に遷移して、第2の通信装置20からの要求を受け付ける状態となる。従って、これ以降は、受信した要求に対して有効な応答を返すようにする。このステップS18の処理が、遷移手順の処理であり、この処理において、CPU11が遷移手段として機能する。
そして、次のステップS19で、第2の通信装置20との間で、要求や応答の送受信を正常に行うことができるか否かを確認するための通信試験を行って処理を終了するが、この処理は必須のものではない。
【0054】
また、ステップS13で「通信状態設定」が「禁止」であれば、通信状態が「無効」であるので、ステップS20に進み、登録応答を「失敗」で送信して処理を終了する。
一方、ステップS12で「登録状態」が「登録済」であった場合には、ステップS15に進み、「通信状態設定」を参照する。そして、これが「許可」であれば、通信状態が「有効」である、すなわち、既に通信相手となる第2の通信装置20が登録されているので、ステップS16に進んで要求送信元のIDを、ステップS14の処理で記憶した通信相手のIDと比較する。そして、一致していれば、送信元は通信先として認識済みであるので、ステップS17に進んで登録要求に対する応答を「成功」で送信し、以下の処理を行うが、ステップS18の処理は省略して処理を終了してもよい。また、ステップS16の処理で、IDに加え、またはこれに代えて、IPアドレスを使用することも考えられる。
【0055】
また、ステップS15で「通信状態設定」が「禁止」であれば、通信状態が「無効」であるので、ステップS20に進み、登録応答を「失敗」で送信して処理を終了する。
ステップS16でIDが一致しなかった場合には、既に通信先として設定済みの第2の通信装置20とは別の外部装置から登録要求を受信したことになるが、ここでは、第1の通信装置10には、通信相手として1つの外部装置のみを登録するようにしているため、このような場合には通信状態が「無効」である場合と同様にステップS20で「失敗」の応答を返して処理を終了する。
なお、通信相手として複数の外部装置を登録することを許可する場合には、ステップS15で「許可」であった場合にステップS14に進んで以下の処理を行うようにしてもよい。
【0056】
また、ステップS11で受信内容が登録解除要求であった場合には、図11のステップS31に進む。ここで、登録解除要求とは、第2の通信装置20が、第1の通信装置10に対して自身の通信相手から外れるよう要求するコマンドである。
そして、ステップS31では「登録状態」を参照し、これが「登録済」であった場合には、ステップS32に進み、「通信状態設定」を参照する。そして、これが「許可」であれば、通信状態が「有効」である、すなわち、受信した要求に係る処理を行う状態であるので、ステップS33で、「登録状態」を「登録済」から「未登録」に変更する。そして、このことにより、通信状態は、「有効」から「登録待ち」に遷移する。このとき、通信先情報として記憶しているIPアドレスの消去も同時に行うようにしてもよい。このステップS33の処理も、遷移手順の処理であり、この処理においても、CPU11が遷移手段として機能する。
【0057】
そしてその後、ステップS34で登録解除要求に対する応答として、登録解除応答を「成功」で送信し、処理を終了する。第2の通信装置20側では、この応答の受信により、第1の通信装置10が第2の通信装置20の通信相手から外れたことを認識することができる。ただし、再度第1の通信装置10に登録要求を送信することにより、第1の通信装置を通信相手として登録することができる。
【0058】
また、ステップS31で「登録状態」が「未登録」であった場合には、「通信状態設定」を参照するまでもなく、第2の通信装置20からの登録解除要求に対して有効な応答を返さない状態であるので、ステップS35に進んで登録解除応答を「失敗」で送信して処理を終了する。ステップS32で「通信状態設定」が「禁止」であった場合も、通信状態が「無効」の状態であるので、同様にステップS35の処理を行って処理を終了する。
【0059】
ステップS11で受信内容が登録要求と登録解除要求のいずれでもなかった場合には、図12のステップS41に進む。そして、ステップS31の場合と同様に「登録状態」を参照し、これが「登録済」であった場合には、ステップS42に進み、「通信状態設定」を参照する。そして、これが「許可」であれば、通信状態が「有効」である、すなわち、受信した要求に係る処理を行う状態であるので、ステップS43で要求に対する通常処理を行って終了する。この処理は、例えば情報取得要求に対して要求された情報を返すような処理である。
【0060】
一方、ステップS41で「登録状態」が「未登録」であった場合には、「通信状態設定」を参照するまでもなく、第2の通信装置20からの通常の要求に対して有効な応答を返さない状態であるので、ステップS44に進んで要求の応答を「失敗」で送信して処理を終了する。ステップS42で「通信状態設定」が「禁止」であった場合も、通信状態が「無効」の状態であるので、同様にステップS44の処理を行って処理を終了する。
なお、図11及び図12に示した処理の前に、図10のステップS16の場合と同様に要求の送信元のIDを通信相手の情報として記憶しているIDと比較し、一致した場合のみ要求に対する処理を行い、一致しない場合には「失敗」の応答を返すようにするとよい。
【0061】
以上の処理を行うことにより、第1の通信装置10は、通信状態が「登録待ち」の状態で所定のデータである登録要求を受信した場合に「有効」の状態に遷移することができると共に、第2の通信装置20から受信する要求に対し、自身の通信状態に応じた適切な対応を行うことができる。
【0062】
次に、図13に、第1の通信装置10のCPUが「通信状態設定」の内容を管理するために実行する処理のフローチャートを示す。
第1の通信装置10のCPU11は、装置の起動時に図13のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、ステップS51で、「通信状態設定」を「許可」にする旨の指示があったか否か判断し、この指示があれば、ステップS52に進んで「通信状態設定」を「許可」に変更し、ステップS51に戻って処理を繰り返す。
【0063】
また、ステップS51で指示がなければ、ステップS53に進み、「通信状態設定」を「禁止」にする旨の指示があったか否か判断する。そして、この指示があれば、ステップS54に進んで「通信状態設定」を「禁止」に変更し、ステップS51に戻って処理を繰り返す。また、ステップS53で指示がなければ、そのままステップS51に戻って処理を繰り返す。
【0064】
以上の処理により、ユーザからの指示に従って1項目の「通信状態設定」を「許可」と「禁止」の間で切り替えることができる。そして、「登録状態」の設定状態によらず、同一項目の「通信状態設定」を参照して通信状態を遷移させるようにしているため、「通信状態設定」の切り替えにより、「登録状態」が「未登録」であれば、通信状態を「登録待ち」と「無効」の間で切り替え、「登録状態」が「登録済」であれば、通信状態を「有効」と「無効」の間で切り替えることができる。
この処理が切替手順の処理であり、この処理においてCPU11が切替手段として機能する。
【0065】
また、以上説明してきたように、「登録状態」と「通信状態設定」の2つのパラメータにより、第1の通信装置10の通信状態を「有効」,「登録待ち」,「無効」の3つの状態の間で遷移させることにより、図3を用いて上述したような効果を得ることができる。
なお、「通信状態設定」の内容が、複数のスイッチの設定内容を論理演算等して求めるようなものであったとしても、求められた「通信状態設定」の内容に従って上述したような通信状態の制御を行うのであれば、「通信状態設定」が1つの設定項目であることに変わりはない。
【0066】
ところで、以上説明してきた実施形態の比較例として、図17に示したような自動登録機能に加え、通信状態をユーザが直接切り替えることもできるようにすることが考えられる。
図14に、この場合の通信装置の状態遷移例を示す。
この図に示すように、通信状態を手動で直接切り替えることができるようにした場合でも、通信状態を「有効」及び「登録待ち」から「無効」の状態に遷移させることはできる。しかしながら、この場合、通信状態が「無効」となった状態では、その前に通信状態が「有効」であったのか、「登録待ち」であったのかがわからないため、再度通信状態を利用しようとした場合に、どちらの状態に戻すのかを、ユーザが判断しなければならない。
【0067】
そして、長時間通信状態を「無効」にしておいた場合等には、その間にどちらの状態に戻すべきか、すなわち第2の通信装置20への登録が完了しているのか否かを忘れてしまう場合も考えられる。図14の破線矢印は、このことを示している。そして、通信状態を誤った状態に戻してしまうと、登録の有無について、第1の通信装置10側と第2の通信装置20側で齟齬が生じてしまい、動作が正常に行えなくなってしまうことが考えられる。
【0068】
例えば、通信状態を「有効」にすべきところを「登録待ち」にしてしまうと、第1の通信装置10側では登録がなされていないと認識し、第2の通信装置20側では第1の通信装置10の登録は完了していると認識することになる。そしてこの場合、通常は第2の通信装置20から再度第1の通信装置10に対して登録要求を送信しないため、いつまでも第1の通信装置の通信状態を「有効」に戻せないことになる。
【0069】
また、逆に通信状態を「登録待ち」にすべきところを「有効」にしてしまった場合には、第1の通信装置側10では第2の通信装置20に対してイベント通知等を行おうとするが、第2の通信装置20には第1の通信装置10が通信相手として設定されていないため、エラー応答を返してしまうことが考えられる。また、第1の通信装置10に、第2の通信装置20のIPアドレスが記憶されておらず、必要なアドレスがわからない旨のエラーが発生することも考えられる。
このように、通信状態を直接手動で設定させると、通信システム1の動作に不具合が生じる恐れがあることから、図3等を用いて説明したように、ユーザには「通信状態設定」のパラメータを設定させ、第1の通信装置10がこれに基づいて自身の通信状態を定めるようにすることが好ましい。
【0070】
ただ、システムに関して十分な知識のあるユーザ、例えばシステム管理者やサービスエンジニアに対しては、通信状態を直接切り替えることを許しても、適切に操作を行い、通信システム1の動作に不具合を生じさせないとも考えられる。
従って、パスワードや、所定の認証情報を記録したメモリカード、ICカード等により、管理者やサービスエンジニアとして認証したユーザに対しては、図14に示したような通信状態の手動での切り替えや、さらに「登録待ち」と「有効」の間での切り替えも許可し、「有効」,「登録待ち」,「無効」の状態を任意に切り替えることができるようにしてもよい。このようにすれば、第1の通信装置10における設定の自由度を向上させることができる。
【0071】
以上で実施形態の説明を終了するが、以上説明してきた実施形態において、システムの構成、具体的な処理内容、通信に使用する通信プロトコル等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
例えば、通信システム1内に第1の通信装置10や第2の通信装置20を複数設けてもよいし、第2の通信装置20を、第1の通信装置10と他の通信装置との間の通信を仲介する装置としてもよい。
【0072】
ここで、図15に、通信システムの、図1とは異なる構成例を示す。
この図に示した通信システムは、管理装置80によって、被管理装置である通信装置40を複数遠隔管理する遠隔管理システムである。
この遠隔管理システムは、管理装置80と、複数の通信装置40と、これらの間の通信を仲介する仲介装置50を備える。そして、このうち仲介装置50及び通信装置40をユーザ側の設置環境に配置し、これらと管理装置80とがインターネット70を介して通信可能な構成としている。そして、管理装置80が各通信装置40と通信を行って各通信装置40を集中的に遠隔管理する遠隔管理システムを構成している。
【0073】
また、このシステムにおいて、各設置環境内の仲介装置50と通信装置40は、互いにLANによって接続し、LANを介して通信可能としている。そして、セキュリティ面を考慮し、ファイアウォール60を介してLANをインターネット70に接続している。
さらに、設置環境A及びBにおいては、通信装置40が上述した実施形態における第1の通信装置に、仲介装置50が同じく第2の通信装置に該当する。そして、各仲介装置50が、通信を仲介する対象の通信装置40(あるいは他の仲介装置50)を登録し、管理装置80(あるいは他の仲介装置50)との間で通信を仲介するようにしている。
【0074】
また、設置環境Cの通信装置40′は、通信装置40と仲介装置50の機能を併せ持っており、このような場合には、通信装置40′が第1及び第2の通信装置の双方に該当すると考えることもできるし、管理装置80が第2の通信装置に該当すると考えることもできる。
【0075】
そして、このような遠隔管理システムにおいては、管理装置80や仲介装置50は、通信相手となる仲介装置50や通信装置40に登録を要求して自身に登録させると共に、登録した対象に種々の要求を送信して遠隔管理に必要な動作を行わせるようにしている。また、通信装置40にも、仲介装置50や管理装置80を通信相手として登録させ、装置内でイベントが発生した場合に、これを仲介装置50や管理装置80に対して能動的に通知させるようにすることも考えられる。
【0076】
また、ここでいう遠隔管理とは、管理対象から情報を取得し、その情報に基づいて何らかの動作を行うことである。例えば、管理対象の装置が画像処理装置である場合には、管理対象の各装置における画像形成枚数を集計したり、管理対象の装置からの異常発生通知に対応して適当なサービスセンタに通報を行い、修理担当者の派遣を促したり、管理対象装置のファームウェアのバージョン情報を取得し、そのバージョンが古いものであった場合に新しいファームウェアを送信して更新させたりといった動作が考えられる。また、単に管理対象から取得した情報を蓄積するような動作(例えば動作ログの作成)も含む。そして、このような動作は、管理装置80や仲介装置50と通信装置40とが要求やそれに対する応答を送受信し、これらが連携して処理を行うことにより実現することができる。
また、上記の要求や応答は、SOAP(Simple Object Access Protocol)メッセージとしてXML(Extensible Markup Language)により記載し、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)メッセージとして転送するようにすることが考えられる。
この発明は、このような通信システムについてももちろん適用可能である。
【0077】
また、この発明が、通信装置であればどのような装置にも適用可能であることはもちろんである。適用対象としては、上述したように、プリンタ,FAX装置,デジタル複写機,スキャナ装置,デジタル複合機等の画像処理装置のほか、汎用コンピュータ,ネットワーク家電,自動販売機,医療機器,電源装置,空調システム,ガス・水道・電気等の計量システム,自動車,航空機等の電子機器に通信機能を持たせた通信装置が考えられる。
【0078】
例えば、図15に示した遠隔管理システムにおいて、これらの各通信装置を被管理装置とし、図16に示すような遠隔管理システムを構成することが考えられる。この図においては、被管理装置である通信装置の例としてテレビ受像機91や冷蔵庫92のようなネットワーク家電、医療機器93,自動販売機94,計量システム95,空調システム96,航空機97,自動車98を挙げている。また、航空機97や自動車98のように広範囲を移動する装置においては、ファイアウォール(FW)60の機能も併せ持つようにすることが好ましい。
このような通信システムや通信装置にも、この発明はもちろん適用可能である。
【0079】
また、第1の通信装置とその通信相手となる外部装置との関係や通信の目的も、遠隔管理に限られることはない。例えば、処理の負荷分散のための分散処理システムを構成するノードとしてもよい。また、通信装置の情報をその通信相手となる外部装置に登録することも、必須ではない。
【0080】
また、この発明によるプログラムは、コンピュータを、上述した第1の通信装置10のような通信装置として機能させるためのプログラムであり、このようなプログラムをコンピュータに実行させることにより、上述したような効果を得ることができる。
このようなプログラムは、はじめからコンピュータに備えるROMあるいはHDD等の記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROMあるいはフレキシブルディスク,SRAM,EEPROM,メモリカード等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。そのメモリに記録されたプログラムをコンピュータにインストールしてCPUに実行させるか、CPUにそのメモリからこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上説明してきたように、この発明の通信装置、通信装置の制御方法、通信システム、プログラム又は記録媒体によれば、通信装置が有する、受信した要求に対して応答を返す機能の動作を、容易かつ適切に設定できるようにすることができる。
従って、この発明を適用することにより、通信システムを容易かつ柔軟に構築又は運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の実施形態である通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図1に示した第1の通信装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】同じく、第1の通信装置における通信状態を切り替えるための設定項目と、その内容に応じた通信状態について説明するための図である。
【図4】図3に示した「通信状態設定」の指定を受け付けるための操作画面の例を示す図である。
【図5】図1に示した第1の通信装置において、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態で、第1の通信装置が第2の通信装置から登録以外に係る要求を受信した場合の処理シーケンス例を示す図である。
【0083】
【図6】同じく、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態で第1の通信装置において第2の通信装置に要求を送信すべきイベントが発生した場合の処理シーケンス例を示す図である。
【図7】同じく、「通信状態設定」の変更により、通信状態が「有効」から「無効」に遷移する場合の処理シーケンス例を示す図である。
【図8】同じく、「登録状態」が「未登録」の状態における種々の動作の例を示す図である。
【図9】同じく、「登録状態」が「登録済」の状態における種々の動作の例を示す図である。
【図10】同じく第1の通信装置のCPUが、第2の通信装置からの要求を受け取る所定のポートに要求を受信した場合に実行する処理のフローチャートの一部である。
【0084】
【図11】その続きの処理を示すフローチャートである。
【図12】図10の別の部分の続きの処理を示すフローチャートである。
【図13】同じく第1の通信装置のCPUが「通信状態設定」の内容を管理するために実行する処理のフローチャートである。
【図14】比較例の通信装置における通信状態の遷移例を示す図である。
【図15】この発明の実施形態である通信システムの、図1とは異なる構成例を示す図である。
【図16】その更に別の構成例を示す図である。
【図17】従来の通信装置における要求処理機能に関する通信の状態遷移例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10:第1の通信装置、11:CPU、12:ROM、13:RAM、
14:不揮発性メモリ、15:通信I/F、16:システムバス、
20:第2の通信装置、30:ユーザI/F、40,40′:通信装置、
50:仲介装置、60:ファイアウォール、70:インターネット、80:管理装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部装置からの要求に対し、状態に応じて複数の反応を示す機能を有する通信装置、このような通信装置の制御方法、このような通信装置を備えた通信システム、コンピュータをこのような通信装置として機能させるためのプログラム、およびこのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の通信装置において、外部装置から要求を受信し、その要求に応じた動作を行って応答を返す機能を設けることが行われている。このような機能を、ここでは要求処理機能と呼ぶことにする。
そして、通信装置に要求処理機能を設ける場合、常にこれを有効にしておくことも考えられるが、セキュリティや処理負荷を考慮し、有効と無効を切替可能とし、必要な場合のみ要求処理機能を有効にできるようにすることが行われている。
【0003】
また、外部装置からアクセスしてその有効/無効を切り替えることができるよう、有効/無効の他に要求処理機能に係る通信について設定待ち状態を設けることも提案されている。この設定待ち状態は、基本的には外部からの要求に対して有効な応答を返さないものの、要求処理機能を有効にする旨の要求を受信した場合に、要求処理機能を有効にしてその旨の応答を返すようにしたものである。
例えば、通信装置の要求処理機能を利用し、外部装置から通信装置に種々の動作を行わせ、その結果に応じて通信装置を管理するような管理システムを構築する場合に、上記のような設定待ち状態を有効に活用できる。
【0004】
すなわち、図17に示すように、通信装置の出荷時の設定を設定待ち(登録待ち)状態としておき、ユーザの事業所等に設置された後、外部装置から通信装置にアクセスして要求処理機能を有効にすると共にその通信装置を管理対象として登録するようにすることにより、出荷時は通常の要求処理機能を無効にしておくことができる一方、通信装置を管理の対象とする際には通信装置側の設定変更を自動で行うことができる。また、通信装置を管理の対象から外す場合にも、登録待ち状態に戻しておけば、再度管理の対象とする際に、自動的に要求処理機能が有効な状態に遷移させることができる。
【0005】
これに対し、要求処理機能を完全に無効にしてしまうと、これを有効にするためには、手動で設定を変更しなくてはならない。従って、要求処理機能に関する通信の設定待ち状態を活用することにより、通信装置を管理システムの管理対象として登録する際の労力を軽減することができるといえる。
上記のような、要求処理機能に関する通信の設定待ち状態に関する技術については、例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2004−180276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通信装置のユーザは、必ずしも全ての通信装置について要求処理機能の有効化を望むわけではない。しかし、上記のような設定待ち状態で通信装置を出荷する場合、要求処理機能を有効化するような情報を送信してくる装置がある環境では、ユーザの意に反して要求処理機能が有効になってしまう場合もあるという問題があった。
また、要求処理機能を一旦有効にした後でも、外部装置からの要求に応じた動作を常に許可することが好ましくない場合もある。そして、このような場合には、必要な場合にのみ要求処理機能を有効にできるようにしたいという要望があった。
【0007】
しかし、上述したような特許文献1に記載の通信装置のように設定待ち状態を有効に活用しながら、上記のような問題を解決し、また要望に応えるような制御方式は、知られていなかった。
この発明は、上記のような問題を解決し、また要望に応えるためになされたものであり、通信装置が有する、受信した要求に対して応答を返す機能の動作を、容易かつ適切に設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の目的を達成するため、当該通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態との間を遷移する通信装置において、上記第2の状態において、上記外部装置から上記登録要求を受信した場合に自身を上記第1の状態に遷移させる遷移手段と、その手段による遷移の前は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたものである。
【0009】
あるいは、当該通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態との間を遷移する通信装置において、上記第1の状態において、上記外部装置から登録解除要求を受信した場合に自身を上記第2の状態に遷移させる遷移手段と、その手段による遷移の前は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたものである。
これらの通信装置において、上記同一項目の設定を、ユーザによる操作に従って行う手段を設けるとよい。
【0010】
また、この発明の通信装置の制御方法は、通信装置に、上記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した場合の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移させ、上記第2の状態において、上記外部装置から上記登録要求を受信した場合に自身を上記第1の状態に遷移させる遷移手順と、その手順による遷移の前は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手順とを実行させるようにしたものである。
【0011】
あるいは、通信装置に、上記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した場合の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移させ、
上記第1の状態において、上記外部装置から上記登録解除要求を受信した場合に自身を上記第2の状態に遷移させる遷移手順と、その手順による遷移の前は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手順とを実行させるようにしたものである。
【0012】
これらの各通信装置の制御方法において、上記通信装置に、上記同一項目の設定をユーザによる操作に従って行う手順を実行させるようにするとよい。
【0013】
また、この発明の通信システムは、第1の通信装置と、その第1の通信装置に対して登録を要求する機能を有する第2の通信装置とを備えた通信システムにおいて、上記第2の通信装置に、上記第1の通信装置に要求を送信する手段を設け、上記第1の通信装置を、上記第2の通信装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する通信装置とし、その第1の通信装置に、上記第2の状態において、上記第2の通信装置から上記登録要求を受信した場合に自身を上記第1の状態に遷移させる遷移手段と、その手段による遷移の前は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたものである。
【0014】
あるいは、第1の通信装置と、その第1の通信装置に対して登録を要求する機能を有する第2の通信装置とを備えた通信システムにおいて、上記第2の通信装置に、上記第1の通信装置に要求を送信する手段を設け、上記第1の通信装置を、上記第2の通信装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する通信装置とし、その第1の通信装置に、上記第1の状態において、上記第2の通信装置から登録解除要求を受信した場合に自身を上記第2の状態に遷移させる遷移手段と、その手段による遷移の前は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたものである。
【0015】
また、この発明のプログラムは、コンピュータを通信装置として機能させるためのプログラムにおいて、上記コンピュータに、上記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する機能と、上記第2の状態において、上記外部装置から上記登録要求を受信した場合に自身を上記第1の状態に遷移させる遷移機能と、その機能による遷移の前は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段の機能とを実現させるためのプログラムである。
【0016】
あるいは、コンピュータを通信装置として機能させるためのプログラムにおいて、上記コンピュータに、上記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する機能と、上記第1の状態において、上記外部装置から登録解除要求を受信した場合に自身を上記第2の状態に遷移させる遷移機能と、その機能による遷移の前は上記第1の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、その遷移の後は上記第2の状態と上記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段の機能とを実現させるためのプログラムである。
これらの各プログラムにおいて、上記コンピュータに、上記同一項目の設定をユーザによる操作に従って行う機能を実現させるためのプログラムを含めるとよい。
【0017】
また、この発明の記録媒体は、上記のいずれかのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0018】
以上のようなこの発明の通信装置、通信装置の制御方法、または通信システムによれば、通信装置が有する、受信した要求に対して応答を返す機能の動作を、容易かつ適切に設定できるようにすることができる。
また、この発明のプログラムによれば、コンピュータを通信装置として機能させて上記のような通信装置の特徴を実現し、同様な効果を得ることができる。
この発明の記録媒体によれば、上記のプログラムを記憶していないコンピュータにそのプログラムを読み出させて実行させ、上記の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に、この発明の実施形態である通信システムの構成例を示す。
図1に示すように、この通信システム1は、第1の通信装置10と第2の通信装置20とを、通信経路Xを介して通信可能なように配置して構成したものである。ここで、通信経路Xとしては、インターネット、LAN(ローカルエリアネットワーク)、電話回線を始め、有線、無線を問わず、任意のものを使用可能である。
【0020】
このうち、第1の通信装置10は、この発明の通信装置の実施形態であり、第2の通信装置等の外部装置から要求を受信し、その要求に応じた動作を行い、その結果を応答として返す、要求処理機能を有する。そして、第1の通信装置10は、より具体的には、例えば、プリンタ,FAX装置,デジタル複写機,スキャナ装置,デジタル複合機等の画像処理装置のほか、汎用コンピュータ,ネットワーク家電,自動販売機,医療機器,電源装置,空調システム,ガス・水道・電気等の計量システム,自動車,航空機等の電子機器に通信機能を持たせた通信装置とすることが考えられる。
【0021】
また、第2の通信装置20は、第1の通信装置10から見て外部装置に該当し、第1の通信装置10に対して種々の要求を送信し、第1の通信装置10にその要求に従った動作を行わせ、その結果を応答として取得する機能を有する。そして、第1の通信装置10に対し、その第1の通信装置10の情報の送信と、自身への登録とを要求する機能も有する。なお、ここでいう登録とは、その登録した相手を、要求の送信先又は送信元として妥当な相手と認識するようにすることである。また、第1の通信装置10に対し、上記の登録の解除を要求(又は通知)する機能も有する。なお、この登録解除は、登録していた相手を、以後要求の送信先又は送信元として妥当な相手と認識しないようにすることである。
【0022】
次に、図2に、図1に示した第1の通信装置10のハードウェア構成を示す。
この図に示すように、第1の通信装置10は、CPU11,ROM12,RAM13,不揮発性メモリ14,通信インタフェース(I/F)15を備え、これらがシステムバス16により接続されている。
【0023】
そして、CPU11は、第1の通信装置10全体を統括制御する制御手段であり、ROM12や不揮発メモリ14に記録された種々のプログラムを実行することにより、切替手段等の各手段として機能する。
ROM12は、不揮発性の記憶手段であり、CPU11が実行するプログラムや、固定的なパラメータ等を記憶する。ROM12を書き換え可能な記憶手段として構成し、これらのデータをアップデートできるようにしてもよい。
【0024】
RAM13は、一時的に使用するデータを記憶したり、CPU11のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
不揮発メモリ14は、フラッシュメモリやHDD(ハードディスクドライブ)等による書き換え可能な不揮発性記憶手段であり、CPU11が実行するプログラムや、装置の電源がOFFされた後でも保持しておく必要があるパラメータの値等を記憶する。
【0025】
通信I/F15は、第1の通信装置10を通信経路Xに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)方式の通信を行うためのネットワークインタフェースとすることができる。そして、通信経路Xを介して他の装置と通信を行う場合、この通信I/F15とCPU11とが通信手段として機能する。なお、通信I/F15は、通信経路Xの規格や使用する通信プロトコル等に応じて適切なものを用意する。また、複数の規格に対応させて複数の通信I/F15を設けることも当然可能である。
【0026】
なお、図2には示していないが、第1の通信装置10に外部に対して通信以外の物理的な出力を行うためのエンジン部を設けてもよい。このエンジン部は、例えば第1の通信装置10がデジタル複合機(MFP)であれば、画像形成部、画像読取部、ファクシミリ通信ユニット等であり、CPU11がこれらの動作を適切に制御することにより、第1の通信装置10にコピー、プリント、スキャン、ファクシミリ通信等の種々の動作を実行させることができる。
【0027】
以上のような通信システム1において、第1の通信装置10には、要求処理機能に関する通信の状態を切り替えるための設定項目として、「登録状態」と「通信状態設定」を設け、これらにより、要求処理機能に関する通信の状態を、3つの状態の間で遷移させるようにしている。なお、以後の説明において、この要求処理機能に関する通信の状態のことを、単に「通信状態」と呼ぶことにする。
【0028】
図3に、これらの設定項目と通信状態との関係を示す。
この図に示すように、第1の通信装置10には、通信状態について、「有効」,「登録待ち」,「無効」の3つの状態を遷移させるようにしている。そして、「有効」の状態は、外部装置から要求を受信した際に必要な動作を行って有効な応答を返す第1の状態である。また、「登録待ち」の状態は、外部装置から要求を受信した際に、「有効」の状態に遷移するために必要な場合のみ、すなわち第1の通信装置10を「有効」の状態に遷移させる手続きに係る要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態である。また、「無効」の状態は、外部装置から要求を受信した際に有効な応答を返さない第3の状態である。
【0029】
そして、「登録状態」については、工場出荷時の設定を「未登録」とし、ユーザの利用環境に配置された後、第2の通信装置20との間で登録に係る処理を行い、第1の通信装置10が第2の通信装置20に登録された場合に、これを自動的に「登録済」に変更するようにしている。また、第1の通信装置10が第2の通信装置20に登録されている状態で、第2の通信装置20との間で登録解除に係る処理を行い、登録が解除された場合に、「登録状態」を自動的に「未登録」に変更するようにしている。
また、「通信状態設定」は、工場出荷時の設定を「許可」とし、ユーザの操作に従って、「許可」と「禁止」を切り替えることができるようにしている。
【0030】
図4にこのための操作画面の例を示すが、このような通信状態設定画面110を第1の通信装置10に設ける表示部あるいは第1の通信装置10にアクセスしたPC(パーソナルコンピュータ)等のブラウザに表示させ、ユーザによる許可ボタン111と禁止ボタン112の押下に従って、「許可」と「禁止」を切り替えるようにすればよい。
【0031】
そして、工場出荷時の、「未登録」かつ「許可」の設定がなされている場合には、第1の通信装置10が「登録待ち」の状態となるようにし、その後第2の通信装置20との間で登録に係る処理を行うことにより、「登録状態」を「登録済」に変更して自動的に通信状態を「有効」の状態に遷移させることができるようにしている。
従って、初めは登録要求に関するもの以外の要求処理機能を無効にしつつ、ユーザが操作しなくても要求処理機能が有効な状態に遷移させることができる。
【0032】
一方、「未登録」の状態では、ユーザが「通信状態設定」の設定を変更することにより、通信状態が「登録待ち」と「無効」の状態を遷移させることができる。従って、第1の通信装置10が第2の通信装置20に登録されることを希望しないユーザは、「通信状態設定」を「禁止」に設定することにより、第1の通信装置10が登録動作を行わない状態にすることができる。また、一旦「通信状態設定」を「禁止」に設定した後でも、これを「許可」に戻せば、再度第1の通信装置10の通信状態を「登録待ち」に戻して、第2の通信装置20に自動的に登録可能な状態とすることができる。
【0033】
また、「登録済」の状態では、ユーザが「通信状態設定」の設定を変更することにより、通信状態が「有効」と「無効」の状態を遷移させることができる。従って、一時的に第1の通信装置10の情報を第2の通信装置20に取得されない状態にすることを希望するユーザは、「通信状態設定」を「禁止」に設定することにより、第1の通信装置10が第2の通信装置20からの要求に対して有効な応答を返さない状態にすることができる。
【0034】
そして、この場合において、「登録状態」の内容は変更しないため、第1の通信装置10は、通信状態が「無効」の状態であっても、自身が第2の通信装置20に登録されていることは認識できる。従って、第1の通信装置10側で一方的に通信状態を「無効」にしても、第2の通信装置20側との間で登録に関する認識が食い違うことがなく、再度「通信状態設定」を「許可」に戻して通信状態が「有効」になった場合に、直ちに第2の通信装置20との間で協働的な動作を再開することができる。
もちろん、第2の通信装置20との間で登録解除に係る処理を行って、「未登録」の状態に戻ることも可能である。この場合、通信状態は「有効」から「登録待ち」に遷移することになる。
【0035】
なお、以上のような制御は、少なくとも、第1の通信装置10に対して登録を要求してくるような外部装置に対する要求処理機能について行うようにすればよい。そして、通信状態を「禁止」とする場合でも、他の装置からの要求については処理を許可するようにしてもよい。例えば、第1の通信装置10がMFPである場合、LAN(ローカルエリアネットワーク)内のPCからのプリント要求は、上記の通信状態によらず常に受け付けるようにしてもよい。そして、例えば第2の通信装置20とその他の装置とで、要求を送信してくる通信経路(ポート等)が異なるようにシステムを構築することにより、これらの要求を区別することができる。
【0036】
次に、図5乃至図9を用いて、上述した各通信状態における第1の通信装置10の動作や、その状態遷移について説明する。
まず図5に、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態で、第1の通信装置10が第2の通信装置20から登録以外に係る要求を受信した場合の処理シーケンス例を示す。なお、通信機能部101は、要求や応答の送受信に係る機能を有する部分であり、制御機能部102は、要求に係る動作を実行したり、ユーザI/F30による操作を検出したり、第1の通信装置10自身の状態を検出したりといった、要求や応答の送受信に係る機能以外の機能を有する部分である。
【0037】
なお、ユーザI/F30の例としては、第1の通信装置10の操作パネル、第1の通信装置10にアクセスしたPC等のブラウザやクライアントソフトに表示させるGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)等が考えられる。そして、ユーザI/F30は第1の通信装置10の一部である場合もそうでない場合もあるが、図5等においては、第1の通信装置10の一部でない場合について図示している。
【0038】
そして、この図に示すように、第1の通信装置10が、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態、すなわち「有効」でない状態で、第2の通信装置20から第1の通信装置10に関する情報の送信を要求する情報取得要求を受信した場合、要求処理機能が無効である旨を示す応答(情報取得応答)としてNG(失敗)応答を返すようにしている。また、この場合において、通信機能部101は制御機能部102にその要求の受信を伝えず、従って、制御機能部102はその要求に係る動作を行うことはない。
【0039】
また、要求の送信元である第2の通信装置20は、失敗の応答を受信するので、正常な応答が得られないのは通信エラーが発生したりそもそも第1の通信装置10が接続されていなかったりするためではなく、第1の通信装置10が要求処理機能を無効にしているためであるということを認識することができる。なお、要求処理機能を利用する情報取得要求以外の要求を受信した場合でも、上述と同様の処理を行うことができる。
【0040】
次に、図6に、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態で第1の通信装置10において第2の通信装置20に要求を送信すべきイベントが発生した場合の処理シーケンス例を示す。
この図に示すように、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態では、ユーザI/F30から第2の通信装置20に対する情報の送信を指示する情報送信指示があった場合等、第1の通信装置10から第2の通信装置20に情報を送信すべきイベントが発生した場合でも、情報の送信は行わない。
【0041】
この場合において、イベントを検出するのは制御機能部102であり、通信機能部101に対して情報の送信を指示するが、通信機能部101が送信を拒否し、制御機能部102に対して送信の失敗を通知するようにしている。この場合も、通信エラーとは区別できるようにするとよい。
また、第2の通信装置20に要求を送信すべきイベントは、ユーザI/F30からの操作検出に限らず、エンジン部における動作異常検出等、第1の通信装置10の内部で発生するイベントであってもよい。また、情報送信の失敗をユーザI/F30に通知することは任意である。図6におけるユーザI/F30と制御機能部102との間の破線の矢印は、このことを示すものである。
【0042】
次に、図7に、「通信状態設定」の変更により、通信状態が「有効」から「無効」に遷移する場合の処理シーケンス例を示す。
ここでは、最初の情報取得要求Aを受信した時点では通信状態が「有効」であったものの、その後ユーザI/F30からの指示に従い、「通信状態設定」が「禁止」に変更され、通信状態が「有効」から「無効」に遷移する場合の例を示している。
【0043】
そして、この場合、第1の通信装置10の通信機能部101は、通信状態が「有効」であった時点で受信した情報取得要求Aは制御機能部102に渡し、制御機能部102はこの要求に従って情報の収集等の必要な動作を行い、結果を通信機能部101に返す。そして、通信機能部101は、情報取得要求Aに対する応答として、要求に係る動作が成功した旨の情報及び要求された内容の情報を含む情報取得応答Aを返す。この応答は、応答時点では既に通信状態が「無効」であったとしても、行うようにしている。
一方、情報取得要求Bについては、第1の通信装置10が受信した時点で通信状態が「無効」であるので、図5の場合と同様、要求処理機能が無効である旨を示す応答として失敗応答を返すようにしている。
【0044】
次に、図8に、「登録状態」が「未登録」の状態における種々の動作の例を示す。この図においては、図をわかりやすくするため、第1の通信装置10側の処理を、通信機能部101と制御機能部102に分けずに示しているが、実際には図5乃至図7のように、通信機能部101と制御機能部102がそれぞれ担当範囲の処理を行うようにしている。
そして、始めに第1の通信装置10における「通信状態設定」が「禁止」であったとすると、通信状態は「無効」の状態であり、図5を用いて説明したように、第1の通信装置10は、第2の通信装置20からの要求に対して失敗の応答を返す(A)。また、第2の通信装置20に対して通知等を送信するようなイベントが発生した場合も、図6を用いて説明したように、その送信は行わない(B)。
【0045】
またこの状態では、第1の通信装置10は、第1の通信装置10を第2の通信装置20に登録し、「有効」の状態に遷移させる要求である登録要求についても、失敗の応答を返す(C)。
しかし、ユーザI/F30から「通信状態設定」を「許可」にする指示があると、第1の通信装置10は「通信状態設定」を「許可」に変更し、このことにより、通信状態が「無効」の状態から「設定待ち」の状態に遷移する(D)。
【0046】
そして、この状態では、第1の通信装置10は、第2の通信装置20から登録要求を受信すると、それに対して必要な処理を行い、成功の応答を返す。この応答には、自身のアドレスやID等を含めて送信するようにするとよい。また、第1の通信装置10は、成功の登録応答を返した後、第2の通信装置20に自身が登録されたものとして、「登録状態」の設定を「登録済」に変更する。そして、このことにより、通信状態が「設定待ち」の状態から「有効」の状態に遷移し、以後は第2の通信装置20からの要求に対して有効な応答を返す状態になる(E)。
【0047】
次に、図9に、「登録状態」が「登録済」の状態における種々の動作の例を示す。
第1の通信装置10は、始めに「通信状態設定」が「禁止」であったとすると、「登録状態」が「登録済」であっても通信状態は「無効」の状態であり、図5を用いて説明したように、第1の通信装置10は、第2の通信装置20からの要求に対して失敗の応答を返す(A)。また、第2の通信装置20に対して通知等を送信するようなイベントが発生した場合も、図6を用いて説明したように、その送信は行わない(B)。
【0048】
しかし、ユーザI/F30から「通信状態設定」を「許可」にする指示があると、第1の通信装置10は「通信状態設定」を「許可」に変更し、このことにより、通信状態が「無効」の状態から「有効」の状態に遷移する(C)。
そして、この状態では、第1の通信装置10は、第2の通信装置20からの要求を受信すると、それに対して必要な処理を行い、成功の応答を返す(D)。また、第2の通信装置20に対して通知等を送信するようなイベントが発生した場合には、その送信を行う(E)。
【0049】
次に、図10乃至図12に、上述のような第1の通信装置10のCPU11が、第2の通信装置20からの要求を受け取る所定のポートに要求を受信した場合に実行する処理のフローチャートを示す。以下の各フローチャートに示す処理は、CPU11が所要の制御プログラムを実行することにより行うものである。また、このフローチャートに示す処理には、上述した登録及び登録解除に係る処理を含む。
【0050】
第1の通信装置10のCPU11は、装置の動作中は常時通信I/F15を介した外部装置からの要求や通知の受信を監視している。そして、上記の所定のポートにこれらを受信すると、図10のフローチャートに示す処理を開始する。なお、要求を別のポートに受信した場合には別の処理を行うが、この処理については適宜公知のものを採用すればよいので、説明を省略する。
【0051】
図10に示す処理においてはまず、ステップS11で受信内容をチェックする。そして、登録要求であれば、ステップS12に進む。
ステップS12では、「登録状態」を参照し、これが「未登録」であればステップS13に進む。そして、「通信状態設定」を参照し、これが「許可」であれば、通信状態が「登録待ち」であるので、登録要求に応じて登録に係る処理を行うべく、ステップS14以下に進む。
【0052】
そして、ステップS14で登録要求の送信元である第2の通信装置20のID(機番等)を通信先情報として不揮発性メモリ14に記憶する。そして、この処理によって、登録要求の送信元である第2の通信装置20を、通信相手となる(要求の送信元又は送信先として妥当な)通信装置として認識する。なお、ここで第2の通信装置20のIPアドレスも記憶するようにしてもよい。
【0053】
次のステップS17では、その第2の通信装置20に対して、登録要求に対する応答である登録応答を「成功」で送信する。
そして、ステップS18で、「登録状態」を「未登録」から「登録済」に変更し、この時点で第1の通信装置10は、通信状態が「登録待ち」から「有効」に遷移して、第2の通信装置20からの要求を受け付ける状態となる。従って、これ以降は、受信した要求に対して有効な応答を返すようにする。このステップS18の処理が、遷移手順の処理であり、この処理において、CPU11が遷移手段として機能する。
そして、次のステップS19で、第2の通信装置20との間で、要求や応答の送受信を正常に行うことができるか否かを確認するための通信試験を行って処理を終了するが、この処理は必須のものではない。
【0054】
また、ステップS13で「通信状態設定」が「禁止」であれば、通信状態が「無効」であるので、ステップS20に進み、登録応答を「失敗」で送信して処理を終了する。
一方、ステップS12で「登録状態」が「登録済」であった場合には、ステップS15に進み、「通信状態設定」を参照する。そして、これが「許可」であれば、通信状態が「有効」である、すなわち、既に通信相手となる第2の通信装置20が登録されているので、ステップS16に進んで要求送信元のIDを、ステップS14の処理で記憶した通信相手のIDと比較する。そして、一致していれば、送信元は通信先として認識済みであるので、ステップS17に進んで登録要求に対する応答を「成功」で送信し、以下の処理を行うが、ステップS18の処理は省略して処理を終了してもよい。また、ステップS16の処理で、IDに加え、またはこれに代えて、IPアドレスを使用することも考えられる。
【0055】
また、ステップS15で「通信状態設定」が「禁止」であれば、通信状態が「無効」であるので、ステップS20に進み、登録応答を「失敗」で送信して処理を終了する。
ステップS16でIDが一致しなかった場合には、既に通信先として設定済みの第2の通信装置20とは別の外部装置から登録要求を受信したことになるが、ここでは、第1の通信装置10には、通信相手として1つの外部装置のみを登録するようにしているため、このような場合には通信状態が「無効」である場合と同様にステップS20で「失敗」の応答を返して処理を終了する。
なお、通信相手として複数の外部装置を登録することを許可する場合には、ステップS15で「許可」であった場合にステップS14に進んで以下の処理を行うようにしてもよい。
【0056】
また、ステップS11で受信内容が登録解除要求であった場合には、図11のステップS31に進む。ここで、登録解除要求とは、第2の通信装置20が、第1の通信装置10に対して自身の通信相手から外れるよう要求するコマンドである。
そして、ステップS31では「登録状態」を参照し、これが「登録済」であった場合には、ステップS32に進み、「通信状態設定」を参照する。そして、これが「許可」であれば、通信状態が「有効」である、すなわち、受信した要求に係る処理を行う状態であるので、ステップS33で、「登録状態」を「登録済」から「未登録」に変更する。そして、このことにより、通信状態は、「有効」から「登録待ち」に遷移する。このとき、通信先情報として記憶しているIPアドレスの消去も同時に行うようにしてもよい。このステップS33の処理も、遷移手順の処理であり、この処理においても、CPU11が遷移手段として機能する。
【0057】
そしてその後、ステップS34で登録解除要求に対する応答として、登録解除応答を「成功」で送信し、処理を終了する。第2の通信装置20側では、この応答の受信により、第1の通信装置10が第2の通信装置20の通信相手から外れたことを認識することができる。ただし、再度第1の通信装置10に登録要求を送信することにより、第1の通信装置を通信相手として登録することができる。
【0058】
また、ステップS31で「登録状態」が「未登録」であった場合には、「通信状態設定」を参照するまでもなく、第2の通信装置20からの登録解除要求に対して有効な応答を返さない状態であるので、ステップS35に進んで登録解除応答を「失敗」で送信して処理を終了する。ステップS32で「通信状態設定」が「禁止」であった場合も、通信状態が「無効」の状態であるので、同様にステップS35の処理を行って処理を終了する。
【0059】
ステップS11で受信内容が登録要求と登録解除要求のいずれでもなかった場合には、図12のステップS41に進む。そして、ステップS31の場合と同様に「登録状態」を参照し、これが「登録済」であった場合には、ステップS42に進み、「通信状態設定」を参照する。そして、これが「許可」であれば、通信状態が「有効」である、すなわち、受信した要求に係る処理を行う状態であるので、ステップS43で要求に対する通常処理を行って終了する。この処理は、例えば情報取得要求に対して要求された情報を返すような処理である。
【0060】
一方、ステップS41で「登録状態」が「未登録」であった場合には、「通信状態設定」を参照するまでもなく、第2の通信装置20からの通常の要求に対して有効な応答を返さない状態であるので、ステップS44に進んで要求の応答を「失敗」で送信して処理を終了する。ステップS42で「通信状態設定」が「禁止」であった場合も、通信状態が「無効」の状態であるので、同様にステップS44の処理を行って処理を終了する。
なお、図11及び図12に示した処理の前に、図10のステップS16の場合と同様に要求の送信元のIDを通信相手の情報として記憶しているIDと比較し、一致した場合のみ要求に対する処理を行い、一致しない場合には「失敗」の応答を返すようにするとよい。
【0061】
以上の処理を行うことにより、第1の通信装置10は、通信状態が「登録待ち」の状態で所定のデータである登録要求を受信した場合に「有効」の状態に遷移することができると共に、第2の通信装置20から受信する要求に対し、自身の通信状態に応じた適切な対応を行うことができる。
【0062】
次に、図13に、第1の通信装置10のCPUが「通信状態設定」の内容を管理するために実行する処理のフローチャートを示す。
第1の通信装置10のCPU11は、装置の起動時に図13のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、ステップS51で、「通信状態設定」を「許可」にする旨の指示があったか否か判断し、この指示があれば、ステップS52に進んで「通信状態設定」を「許可」に変更し、ステップS51に戻って処理を繰り返す。
【0063】
また、ステップS51で指示がなければ、ステップS53に進み、「通信状態設定」を「禁止」にする旨の指示があったか否か判断する。そして、この指示があれば、ステップS54に進んで「通信状態設定」を「禁止」に変更し、ステップS51に戻って処理を繰り返す。また、ステップS53で指示がなければ、そのままステップS51に戻って処理を繰り返す。
【0064】
以上の処理により、ユーザからの指示に従って1項目の「通信状態設定」を「許可」と「禁止」の間で切り替えることができる。そして、「登録状態」の設定状態によらず、同一項目の「通信状態設定」を参照して通信状態を遷移させるようにしているため、「通信状態設定」の切り替えにより、「登録状態」が「未登録」であれば、通信状態を「登録待ち」と「無効」の間で切り替え、「登録状態」が「登録済」であれば、通信状態を「有効」と「無効」の間で切り替えることができる。
この処理が切替手順の処理であり、この処理においてCPU11が切替手段として機能する。
【0065】
また、以上説明してきたように、「登録状態」と「通信状態設定」の2つのパラメータにより、第1の通信装置10の通信状態を「有効」,「登録待ち」,「無効」の3つの状態の間で遷移させることにより、図3を用いて上述したような効果を得ることができる。
なお、「通信状態設定」の内容が、複数のスイッチの設定内容を論理演算等して求めるようなものであったとしても、求められた「通信状態設定」の内容に従って上述したような通信状態の制御を行うのであれば、「通信状態設定」が1つの設定項目であることに変わりはない。
【0066】
ところで、以上説明してきた実施形態の比較例として、図17に示したような自動登録機能に加え、通信状態をユーザが直接切り替えることもできるようにすることが考えられる。
図14に、この場合の通信装置の状態遷移例を示す。
この図に示すように、通信状態を手動で直接切り替えることができるようにした場合でも、通信状態を「有効」及び「登録待ち」から「無効」の状態に遷移させることはできる。しかしながら、この場合、通信状態が「無効」となった状態では、その前に通信状態が「有効」であったのか、「登録待ち」であったのかがわからないため、再度通信状態を利用しようとした場合に、どちらの状態に戻すのかを、ユーザが判断しなければならない。
【0067】
そして、長時間通信状態を「無効」にしておいた場合等には、その間にどちらの状態に戻すべきか、すなわち第2の通信装置20への登録が完了しているのか否かを忘れてしまう場合も考えられる。図14の破線矢印は、このことを示している。そして、通信状態を誤った状態に戻してしまうと、登録の有無について、第1の通信装置10側と第2の通信装置20側で齟齬が生じてしまい、動作が正常に行えなくなってしまうことが考えられる。
【0068】
例えば、通信状態を「有効」にすべきところを「登録待ち」にしてしまうと、第1の通信装置10側では登録がなされていないと認識し、第2の通信装置20側では第1の通信装置10の登録は完了していると認識することになる。そしてこの場合、通常は第2の通信装置20から再度第1の通信装置10に対して登録要求を送信しないため、いつまでも第1の通信装置の通信状態を「有効」に戻せないことになる。
【0069】
また、逆に通信状態を「登録待ち」にすべきところを「有効」にしてしまった場合には、第1の通信装置側10では第2の通信装置20に対してイベント通知等を行おうとするが、第2の通信装置20には第1の通信装置10が通信相手として設定されていないため、エラー応答を返してしまうことが考えられる。また、第1の通信装置10に、第2の通信装置20のIPアドレスが記憶されておらず、必要なアドレスがわからない旨のエラーが発生することも考えられる。
このように、通信状態を直接手動で設定させると、通信システム1の動作に不具合が生じる恐れがあることから、図3等を用いて説明したように、ユーザには「通信状態設定」のパラメータを設定させ、第1の通信装置10がこれに基づいて自身の通信状態を定めるようにすることが好ましい。
【0070】
ただ、システムに関して十分な知識のあるユーザ、例えばシステム管理者やサービスエンジニアに対しては、通信状態を直接切り替えることを許しても、適切に操作を行い、通信システム1の動作に不具合を生じさせないとも考えられる。
従って、パスワードや、所定の認証情報を記録したメモリカード、ICカード等により、管理者やサービスエンジニアとして認証したユーザに対しては、図14に示したような通信状態の手動での切り替えや、さらに「登録待ち」と「有効」の間での切り替えも許可し、「有効」,「登録待ち」,「無効」の状態を任意に切り替えることができるようにしてもよい。このようにすれば、第1の通信装置10における設定の自由度を向上させることができる。
【0071】
以上で実施形態の説明を終了するが、以上説明してきた実施形態において、システムの構成、具体的な処理内容、通信に使用する通信プロトコル等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
例えば、通信システム1内に第1の通信装置10や第2の通信装置20を複数設けてもよいし、第2の通信装置20を、第1の通信装置10と他の通信装置との間の通信を仲介する装置としてもよい。
【0072】
ここで、図15に、通信システムの、図1とは異なる構成例を示す。
この図に示した通信システムは、管理装置80によって、被管理装置である通信装置40を複数遠隔管理する遠隔管理システムである。
この遠隔管理システムは、管理装置80と、複数の通信装置40と、これらの間の通信を仲介する仲介装置50を備える。そして、このうち仲介装置50及び通信装置40をユーザ側の設置環境に配置し、これらと管理装置80とがインターネット70を介して通信可能な構成としている。そして、管理装置80が各通信装置40と通信を行って各通信装置40を集中的に遠隔管理する遠隔管理システムを構成している。
【0073】
また、このシステムにおいて、各設置環境内の仲介装置50と通信装置40は、互いにLANによって接続し、LANを介して通信可能としている。そして、セキュリティ面を考慮し、ファイアウォール60を介してLANをインターネット70に接続している。
さらに、設置環境A及びBにおいては、通信装置40が上述した実施形態における第1の通信装置に、仲介装置50が同じく第2の通信装置に該当する。そして、各仲介装置50が、通信を仲介する対象の通信装置40(あるいは他の仲介装置50)を登録し、管理装置80(あるいは他の仲介装置50)との間で通信を仲介するようにしている。
【0074】
また、設置環境Cの通信装置40′は、通信装置40と仲介装置50の機能を併せ持っており、このような場合には、通信装置40′が第1及び第2の通信装置の双方に該当すると考えることもできるし、管理装置80が第2の通信装置に該当すると考えることもできる。
【0075】
そして、このような遠隔管理システムにおいては、管理装置80や仲介装置50は、通信相手となる仲介装置50や通信装置40に登録を要求して自身に登録させると共に、登録した対象に種々の要求を送信して遠隔管理に必要な動作を行わせるようにしている。また、通信装置40にも、仲介装置50や管理装置80を通信相手として登録させ、装置内でイベントが発生した場合に、これを仲介装置50や管理装置80に対して能動的に通知させるようにすることも考えられる。
【0076】
また、ここでいう遠隔管理とは、管理対象から情報を取得し、その情報に基づいて何らかの動作を行うことである。例えば、管理対象の装置が画像処理装置である場合には、管理対象の各装置における画像形成枚数を集計したり、管理対象の装置からの異常発生通知に対応して適当なサービスセンタに通報を行い、修理担当者の派遣を促したり、管理対象装置のファームウェアのバージョン情報を取得し、そのバージョンが古いものであった場合に新しいファームウェアを送信して更新させたりといった動作が考えられる。また、単に管理対象から取得した情報を蓄積するような動作(例えば動作ログの作成)も含む。そして、このような動作は、管理装置80や仲介装置50と通信装置40とが要求やそれに対する応答を送受信し、これらが連携して処理を行うことにより実現することができる。
また、上記の要求や応答は、SOAP(Simple Object Access Protocol)メッセージとしてXML(Extensible Markup Language)により記載し、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)メッセージとして転送するようにすることが考えられる。
この発明は、このような通信システムについてももちろん適用可能である。
【0077】
また、この発明が、通信装置であればどのような装置にも適用可能であることはもちろんである。適用対象としては、上述したように、プリンタ,FAX装置,デジタル複写機,スキャナ装置,デジタル複合機等の画像処理装置のほか、汎用コンピュータ,ネットワーク家電,自動販売機,医療機器,電源装置,空調システム,ガス・水道・電気等の計量システム,自動車,航空機等の電子機器に通信機能を持たせた通信装置が考えられる。
【0078】
例えば、図15に示した遠隔管理システムにおいて、これらの各通信装置を被管理装置とし、図16に示すような遠隔管理システムを構成することが考えられる。この図においては、被管理装置である通信装置の例としてテレビ受像機91や冷蔵庫92のようなネットワーク家電、医療機器93,自動販売機94,計量システム95,空調システム96,航空機97,自動車98を挙げている。また、航空機97や自動車98のように広範囲を移動する装置においては、ファイアウォール(FW)60の機能も併せ持つようにすることが好ましい。
このような通信システムや通信装置にも、この発明はもちろん適用可能である。
【0079】
また、第1の通信装置とその通信相手となる外部装置との関係や通信の目的も、遠隔管理に限られることはない。例えば、処理の負荷分散のための分散処理システムを構成するノードとしてもよい。また、通信装置の情報をその通信相手となる外部装置に登録することも、必須ではない。
【0080】
また、この発明によるプログラムは、コンピュータを、上述した第1の通信装置10のような通信装置として機能させるためのプログラムであり、このようなプログラムをコンピュータに実行させることにより、上述したような効果を得ることができる。
このようなプログラムは、はじめからコンピュータに備えるROMあるいはHDD等の記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROMあるいはフレキシブルディスク,SRAM,EEPROM,メモリカード等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。そのメモリに記録されたプログラムをコンピュータにインストールしてCPUに実行させるか、CPUにそのメモリからこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上説明してきたように、この発明の通信装置、通信装置の制御方法、通信システム、プログラム又は記録媒体によれば、通信装置が有する、受信した要求に対して応答を返す機能の動作を、容易かつ適切に設定できるようにすることができる。
従って、この発明を適用することにより、通信システムを容易かつ柔軟に構築又は運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の実施形態である通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図1に示した第1の通信装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】同じく、第1の通信装置における通信状態を切り替えるための設定項目と、その内容に応じた通信状態について説明するための図である。
【図4】図3に示した「通信状態設定」の指定を受け付けるための操作画面の例を示す図である。
【図5】図1に示した第1の通信装置において、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態で、第1の通信装置が第2の通信装置から登録以外に係る要求を受信した場合の処理シーケンス例を示す図である。
【0083】
【図6】同じく、通信状態が「無効」又は「登録待ち」の状態で第1の通信装置において第2の通信装置に要求を送信すべきイベントが発生した場合の処理シーケンス例を示す図である。
【図7】同じく、「通信状態設定」の変更により、通信状態が「有効」から「無効」に遷移する場合の処理シーケンス例を示す図である。
【図8】同じく、「登録状態」が「未登録」の状態における種々の動作の例を示す図である。
【図9】同じく、「登録状態」が「登録済」の状態における種々の動作の例を示す図である。
【図10】同じく第1の通信装置のCPUが、第2の通信装置からの要求を受け取る所定のポートに要求を受信した場合に実行する処理のフローチャートの一部である。
【0084】
【図11】その続きの処理を示すフローチャートである。
【図12】図10の別の部分の続きの処理を示すフローチャートである。
【図13】同じく第1の通信装置のCPUが「通信状態設定」の内容を管理するために実行する処理のフローチャートである。
【図14】比較例の通信装置における通信状態の遷移例を示す図である。
【図15】この発明の実施形態である通信システムの、図1とは異なる構成例を示す図である。
【図16】その更に別の構成例を示す図である。
【図17】従来の通信装置における要求処理機能に関する通信の状態遷移例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10:第1の通信装置、11:CPU、12:ROM、13:RAM、
14:不揮発性メモリ、15:通信I/F、16:システムバス、
20:第2の通信装置、30:ユーザI/F、40,40′:通信装置、
50:仲介装置、60:ファイアウォール、70:インターネット、80:管理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態との間を遷移する通信装置であって、
前記第2の状態において、前記外部装置から前記登録要求を受信した場合に自身を前記第1の状態に遷移させる遷移手段と、
該手段による遷移の前は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
当該通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態との間を遷移する通信装置であって、
前記第1の状態において、前記外部装置から登録解除要求を受信した場合に自身を前記第2の状態に遷移させる遷移手段と、
該手段による遷移の前は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の通信装置であって、
前記同一項目の設定を、ユーザによる操作に従って行う手段を設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
通信装置に、
前記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した場合の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移させ、
前記第2の状態において、前記外部装置から前記登録要求を受信した場合に自身を前記第1の状態に遷移させる遷移手順と、
該手順による遷移の前は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手順とを実行させることを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項5】
通信装置に、
前記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した場合の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移させ、
前記第1の状態において、前記外部装置から前記登録解除要求を受信した場合に自身を前記第2の状態に遷移させる遷移手順と、
該手順による遷移の前は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手順とを実行させることを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の通信装置の制御方法であって、
前記通信装置に、前記同一項目の設定をユーザによる操作に従って行う手順を実行させることを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項7】
第1の通信装置と、その第1の通信装置に対して登録を要求する機能を有する第2の通信装置とを備えた通信システムであって、
前記第2の通信装置に、前記第1の通信装置に要求を送信する手段を設け、
前記第1の通信装置を、前記第2の通信装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する通信装置とし、
該第1の通信装置に、
前記第2の状態において、前記第2の通信装置から前記登録要求を受信した場合に自身を前記第1の状態に遷移させる遷移手段と、
該手段による遷移の前は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたことを特徴とする通信システム。
【請求項8】
第1の通信装置と、その第1の通信装置に対して登録を要求する機能を有する第2の通信装置とを備えた通信システムであって、
前記第2の通信装置に、前記第1の通信装置に要求を送信する手段を設け、
前記第1の通信装置を、前記第2の通信装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する通信装置とし、
該第1の通信装置に、
前記第1の状態において、前記第2の通信装置から登録解除要求を受信した場合に自身を前記第2の状態に遷移させる遷移手段と、
該手段による遷移の前は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
コンピュータを通信装置として機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する機能と、
前記第2の状態において、前記外部装置から前記登録要求を受信した場合に自身を前記第1の状態に遷移させる遷移機能と、
該機能による遷移の前は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段の機能とを実現させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを通信装置として機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する機能と、
前記第1の状態において、前記外部装置から登録解除要求を受信した場合に自身を前記第2の状態に遷移させる遷移機能と、
該機能による遷移の前は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段の機能とを実現させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項9又は10記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、前記同一項目の設定をユーザによる操作に従って行う機能を実現させるためのプログラムを含むことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか一項記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
当該通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態との間を遷移する通信装置であって、
前記第2の状態において、前記外部装置から前記登録要求を受信した場合に自身を前記第1の状態に遷移させる遷移手段と、
該手段による遷移の前は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
当該通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態との間を遷移する通信装置であって、
前記第1の状態において、前記外部装置から登録解除要求を受信した場合に自身を前記第2の状態に遷移させる遷移手段と、
該手段による遷移の前は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の通信装置であって、
前記同一項目の設定を、ユーザによる操作に従って行う手段を設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
通信装置に、
前記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した場合の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移させ、
前記第2の状態において、前記外部装置から前記登録要求を受信した場合に自身を前記第1の状態に遷移させる遷移手順と、
該手順による遷移の前は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手順とを実行させることを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項5】
通信装置に、
前記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した場合の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移させ、
前記第1の状態において、前記外部装置から前記登録解除要求を受信した場合に自身を前記第2の状態に遷移させる遷移手順と、
該手順による遷移の前は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手順とを実行させることを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の通信装置の制御方法であって、
前記通信装置に、前記同一項目の設定をユーザによる操作に従って行う手順を実行させることを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項7】
第1の通信装置と、その第1の通信装置に対して登録を要求する機能を有する第2の通信装置とを備えた通信システムであって、
前記第2の通信装置に、前記第1の通信装置に要求を送信する手段を設け、
前記第1の通信装置を、前記第2の通信装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する通信装置とし、
該第1の通信装置に、
前記第2の状態において、前記第2の通信装置から前記登録要求を受信した場合に自身を前記第1の状態に遷移させる遷移手段と、
該手段による遷移の前は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたことを特徴とする通信システム。
【請求項8】
第1の通信装置と、その第1の通信装置に対して登録を要求する機能を有する第2の通信装置とを備えた通信システムであって、
前記第2の通信装置に、前記第1の通信装置に要求を送信する手段を設け、
前記第1の通信装置を、前記第2の通信装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する通信装置とし、
該第1の通信装置に、
前記第1の状態において、前記第2の通信装置から登録解除要求を受信した場合に自身を前記第2の状態に遷移させる遷移手段と、
該手段による遷移の前は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段とを設けたことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
コンピュータを通信装置として機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する機能と、
前記第2の状態において、前記外部装置から前記登録要求を受信した場合に自身を前記第1の状態に遷移させる遷移機能と、
該機能による遷移の前は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段の機能とを実現させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを通信装置として機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記通信装置の登録を要求する機能を有する外部装置から要求を受信した際の対応として、有効な応答を返す第1の状態と、登録要求を受信した場合のみ有効な応答を返す第2の状態と、有効な応答を返さない第3の状態とを遷移する機能と、
前記第1の状態において、前記外部装置から登録解除要求を受信した場合に自身を前記第2の状態に遷移させる遷移機能と、
該機能による遷移の前は前記第1の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、該遷移の後は前記第2の状態と前記第3の状態との間の切り替えを、同一項目の設定に基づいて行う切替手段の機能とを実現させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項9又は10記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、前記同一項目の設定をユーザによる操作に従って行う機能を実現させるためのプログラムを含むことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか一項記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−293978(P2006−293978A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296527(P2005−296527)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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