説明

通信装置およびレーダ装置

【課題】光伝送路の透過位相が変動する場合であっても、各系統に短絡用の切替スイッチを設けることなく、光伝送経路を伝送する光信号の位相を補正することができる通信装置、レーダ装置を得る。
【解決手段】本発明にかかる通信装置、レーダ装置は、複数の光参照信号を生成する参照信号生成部16と、光参照信号が、信号反射部13a、13bで反射して戻ってきた反射信号を各々出力する複数の参照信号出力部12a、12bと、参照信号出力部12a、12bから出力される各反射信号を各々電気信号に変換する複数の光電変換手段24a、24bと、複数の光電変換手段で変換された電気信号間の位相差を求める位相比較手段25と、位相比較手段25で求められた位相差により、複数の光伝送路9a、9bを介して伝送される信号の遅延を制御する遅延制御手段26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、離散した位置に配置された複数のアンテナとの信号の伝送を光で行う通信装置およびレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、レーダの分解能向上のため、複数のアンテナを広範囲に分散させて配置し、各分散配置されたアンテナを光ファイバ等で接続する構成が必要とされている。配置する範囲が広範囲になるため、各分散配置アンテナへ接続する複数本の光ファイバの長さは非常に長くなり、また、上記の複数本の光ファイバの配置形状は並行ではなく、放射状にする必要が有る。分散配置アンテナでは、各々の光ファイバの設置場所が異なっているため、光ファイバは、温度差や温度変化等により、長さが変化する。光ファイバの長さの変化については、全ての光ファイバが一様に膨張あるいは収縮するようであればビーム形成の際の位相は一様に変化するため問題にならないが、長さの変動が各光ファイバで一様にならなければ、複数の分散配置アンテナの設定位相が等位相にならず、合成利得が減少する問題がある。このため、従来、複数の分散配置アンテナを接続する伝送路の温度差や温度変化等による位相の変化を補償する通信装置としては、送信信号を各伝送路経由でそれぞれの各分散配置アンテナに送信し、複数系統のうち1系統のみをスイッチで導通から短絡に切り替えて、導通系と短絡系を含む各系統の反射波を合成器で合成後の反射成分から位相を検出し、補正する構成のもの(例えば、特許文献1参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−69819、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の通信装置は以上のように構成されているため、1系統のみを導通から短絡にスイッチで順次切り替えて位相を検出する必要があり、複数系統の同時処理ができないという問題点があった。また、スイッチでのインピーダンスのミスマッチによる不要な反射成分が大きくなり、不要な伝送線路からの反射成分も合成してしまうため、スイッチを切り替える度に、伝送線路に接続されている各移相器の透過位相を例えば複数回変更して測定し、平均化し、不要な反射成分を低減する必要があり、この間は、常に短絡した系が存在することになり、全系統を導通状態にした通常運用ができないという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、複数のアンテナに接続される光伝送路の透過位相が変動する場合であっても、各系統に短絡用の切替スイッチを設けることなく、光伝送経路を伝送する光信号の位相を補正することができる通信装置およびレーダ装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による通信装置は、複数の光参照信号を生成する参照信号生成部と、信号出力部と複数の光伝送路との間に各々設けられ、光伝送路に入力された光参照信号が、光伝送路とアンテナの間に設けられた信号反射部で反射して戻ってきた反射信号を各々出力する複数の参照信号出力部と、複数の参照信号出力部から出力される各反射信号を各々電気信号に変換する複数の光電変換手段と、複数の光電変換手段で変換された電気信号に基づいて、電気信号間の位相差を求める位相比較手段と、位相比較手段で求められた位相差により、光伝送路に入力される送信信号又は光伝送路から出力される受信信号の遅延を制御する遅延制御手段とを備えている。
【0007】
また、この発明による通信装置は、複数のアンテナからの受信信号を、複数のアンテナに各々接続された複数の受信用光伝送路を介して受信部に伝送する通信装置であって、
受信用光伝送路に各々接続される複数の光伝送路を介して受信用光伝送路に入力させる複数の光基準信号を出力する信号出力部と、複数の光伝送路と複数の受信用光伝送路との間に各々設けられ、複数の光伝送路を介して信号出力部から送信された光基準信号を受信用光伝送路に各々入力する複数の入力部と、受信用光伝送路と受信部との間に設けられ、受信用光伝送路を介して送信された光基準信号を電気信号に変換した信号に基づいて受信部に伝送する受信信号の位相を補正する位相補正手段と、複数の光参照信号を生成する参照信号生成部と、信号出力部と複数の光伝送路との間に各々設けられ、光伝送路に入力された光参照信号が、光伝送路と入力部の間に設けられた信号反射部で反射して戻ってきた反射信号を各々出力する複数の参照信号出力部と、複数の参照信号出力部から出力される各反射信号を各々電気信号に変換する複数の光電変換手段と、複数の光電変換手段で変換された電気信号に基づいて、光電変換手段で変換された電気信号間の位相差を求める位相比較手段と、位相比較手段で求められた位相差により光伝送路を介して伝送される前記光基準信号の遅延を制御する遅延制御手段とを備えている。
【0008】
また、この発明によるレーダ装置は、上記通信装置と、この通信装置と接続される複数のアンテナを備えている。
【発明の効果】
【0009】
この発明の通信装置およびレーダ装置は、上記のように構成されているので、複数のアンテナに接続される光伝送路の透過位相が変動する場合であっても、光伝送路とアンテナの間に短絡用の切替スイッチを設けることなく、光伝送路を介して伝送される信号の位相を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明のレーダ装置の構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る通信装置およびレーダ装置の回路系統図である。
【図3】図2に示した光伝送路の透過位相の測定に使用する参照波の位相を表す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る通信装置およびレーダ装置の遅延制御手段の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係る通信装置およびレーダ装置の全体の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1に係る通信装置およびレーダ装置の信号反射部の構成の一例を表す図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る通信装置およびレーダ装置の一例の回路系統図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る他の通信装置およびレーダ装置の一例の回路系統図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る通信装置およびレーダ装置の一例の回路系統図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る通信装置およびレーダ装置の一例の回路系統図である。
【図11】この発明の実施の形態5に係る通信装置およびレーダ装置の一例の回路系統図である。
【図12】この発明の実施の形態6に係る通信装置およびレーダ装置の一例の回路系統図である。
【図13】この発明の実施の形態6に係る他の通信装置およびレーダ装置の一例の回路系統図である。
【図14】この発明の実施の形態7に係る通信装置およびレーダ装置の一例の回路系統図である。
【図15】この発明の実施の形態8に係る通信装置およびレーダ装置の一例の回路系統図である。
【図16】この発明の実施の形態9に係る通信装置およびレーダ装置の一例の回路系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明を実施するための実施の形態1におけるレーダ装置の構成を示すものである。図1においてアンテナ設備1はそれぞれ分散した位置に配置され、たとえば、同一の目標を探知する場合など、各アンテナ設備1間の送信信号の位相差を制御することでビーム合成を行い、実質的に、各アンテナ設備1を設置した範囲と同等の大きさを持ったアンテナを使用すると同様の効果を得ることができる。また、地上設備2は、上記機能を実現するため、分散した位置に配置されたアンテナ設備1に伝送路3を使用して、位相を制御した送信信号を供給するが、アンテナ設備1の分散する範囲が広く、長距離の伝送を低損失で行う必要があるため、地上設備2からアンテナ設備1への通信伝送は、送信信号を光信号に変換して行っている。伝送路3については、図に示すように、それぞれのアンテナ設備1と地上設備2間は異なる場所どうしを接続するものであるため、日なた、日陰の違いなど、温度等の環境も異なるものとなり、地上設備2では、前記機能のほか、送信信号の、伝送路3間の透過位相やその透過位相の変化による信号位相のずれを補正する機能も必要である。
【0012】
図2は、本発明を実施するための実施の形態1における通信装置およびレーダ装置の回路系統図を示すものである。
図2において、レーダ送信を行う信号を発生する信号出力部4は、送信信号を電気信号として発生する信号発生手段5、電気信号を光信号に変換する電光変換手段6を信号生成部として備え、光信号に変換された送信信号を送信する光ファイバ7、光ファイバ7から出力される光信号を複数の送信信号に分配する分配手段としての光分配手段8で構成される。
信号出力部4から出力される複数の送信信号は、各々光伝送路9a、9bに入力される。送信信号を伝送する光伝送路9aは、光信号を伝送する光ファイバ10aと、光信号の遅延を調整する光遅延手段11aで構成され、同様に光伝送路9bは、光信号を伝送する光ファイバ10bと、光信号の遅延を調整する光遅延手段11bで構成される。光伝送路9aに参照信号出力部12a経由で入力し、信号反射部13a経由で出力される送信信号は、光電変換手段14aにより電気信号に変換されてアレイアンテナ15aに伝送され、アレイアンテナ15aにより空間に送信される。同様に、光伝送路9bに参照信号出力部12b経由で入力し、信号反射部13b経由で出力される送信信号は、光電変換手段14bにより電気信号に変換されてアレイアンテナ15bに伝送され、アレイアンテナ15bにより空間に送信される。
【0013】
参照信号生成部16は、複数の送信信号を伝送する各光伝送路間の透過位相の差を求めるために用いる参照信号を生成するものであり、高周波の電気信号を信号発生手段17で生成し、電力分配手段18で分配した後、電光変換手段19a、19bで光信号に変換し、光参照信号として出力する。参照信号生成部16においては、同一の波長、位相の電気信号で各々変調して生成された複数の光信号を光参照信号として出力させてもよいし、予め位相差が既知である電気信号により変調した各光信号を光参照信号として出力してもよい。また、参照信号は電光変換手段19a、19bで電光変換手段6とは別の波長の光で変換するようにすればよい。このように、電光変換手段19a、19bでは、電光変換手段6とは別の波長の光で変換して光参照信号を生成するようにし、光伝送路を伝送させる信号とは異なる波長の信号にすることで、送信信号を用いた通信時に、光参照信号を用いて位相補正を行うことができる。
【0014】
信号出力部4と複数の光伝送路9a、9bとの間には各々、光伝送路9a、9bに入力された光参照信号が、光伝送路9a、9bとアレイアンテナ15a、15bとの間に設けられた信号反射部13a、13bで反射して戻ってきた反射信号を各々出力する参照信号出力部12a、12bが設けられている。なお、参照信号出力部12a、12bは、光伝送路に光参照信号を入力する参照信号入力機能と光参照信号を出力する参照信号出力機能の両機能を具備したもので、ここでは、分波機能も具備する光合波手段21a、21b、光サーキュレータ20a、20bを用いる。光合波手段21a、21bは、信号出力部4から入力する送信信号と参照信号生成部16から入力する光参照信号を重畳させて光伝送路9a、9bに出力し、光伝送路9a、9bから入力する光信号から、光の波長の違いから、光参照信号が反射した反射信号のみを分離し、光サーキュレータ20a、20bに出力する。光合波手段21a、21bから出力された反射信号は、光サーキュレータ20a、20bより、光電変換手段24a、24bに出力する。光サーキュレータ20a、20bは、光合波手段21a、21bの入力の参照信号と出力の反射信号を分離することで光伝送路への入力ポートおよび出力ポートを構成する。
【0015】
また、各光伝送路9a、9bとアレイアンテナ15a、15bとの間には、光参照信号を反射させる信号反射部13a,13bも設けられている。ここでは、信号反射部13a、13bは、図2に示すように、光伝送路9a,9bから光参照信号を分離する光分波手段22a、22bおよび光反射手段23a、23bで構成するものとし、光の波長の違いにより、光分波手段22a、22bで参照波のみを分離して光反射手段23a、23bで反射し、光伝送路9a、9bに送り返す。
複数の参照信号出力部12a、12bの光サーキュレータ20a、20bより出力された各反射信号は、光電変換手段24a、24bにより各々電気信号となり、位相比較手段25で電気信号の位相を比較し、その位相差を基に遅延制御手段26で光遅延手段11a、11bの遅延量を算出し、光伝送路に入力する光信号である送信信号の遅延を制御する。
また、全体制御手段27は、レーダ送信と位相補正を含む全体の制御を行う。
【0016】
このように、図2に示す通信装置およびレーダ装置は、信号出力部4から出力される複数の送信信号を複数の光伝送路9a、9bに各々入力し、これらの光伝送路9a、9bを介して複数のアレイアンテナ15a、15bに送信信号を伝送する送信装置としての通信装置と、光伝送路9a、9bに各々接続される複数のアレイアンテナ15a、15bを具備している。なお、図2の各構成要素を図1の構成と比較すると、信号反射部13a、13b、光電変換手段14a、14b、アレイアンテナ15a、15bは、アンテナ設備1内に配置され、光伝送路9a、9bは伝送路3に該当し、その他は、地上設備2内の各機材に該当する。
【0017】
次に、動作について説明する。
図2において、信号発生手段5で発生された送信信号は、電光変換手段6で電気信号から光信号に変換され、光ファイバ7を経由後、光分配手段8で複数系統に分配され、光合波手段21a、21bに入力される。その後、送信信号は、光遅延手段11a、11b、光ファイバ10a、10bを経由後、光分波手段22a、22bを経由し、光電変換手段14a、14bで光信号から電気信号に変換後、アレイアンテナ15a、15bから空間に送信される。
【0018】
光伝送路9a、9bの透過位相を比較するための光参照信号は、信号発生手段17で発生され、電力分配手段18で複数系統に分配され、電光変換手段19a、19bで電気信号から、送信信号とは周波数が異なる光信号に変換される。その後、光伝送路9a、9bの透過位相を測定するため、光サーキュレータ20a、20b、光合波手段21a、21b経由で光伝送路9a,9bに入力され、光遅延手段11a、11b、光ファイバ10a、10bを経由後、光分波手段22a、22bで送信信号から分波され、光参照信号のみ光反射手段23a、23bで反射する。光参照信号の反射信号は、再度光分波手段22a、22b、光ファイバ10a、10b、光遅延手段11a、11bを経由後、光合波手段21a、21bで分波され、光サーキュレータ20a、20bを経由して出力される。
光サーキュレータ20a、20bから出力した反射信号はそれぞれ、光電変換手段24a、24bで光信号から電気信号に変換後、位相比較手段25にて位相比較される。
遅延制御手段26では、位相比較手段25の出力した位相差を基に、光伝送路9a、9bについて補正する光路長を算出し、光遅延手段11a、11bの遅延量を制御する。
【0019】
図3は、参照信号がこの発明の実施の形態1に係る位相補正装置の各部位を経由後の反射信号の位相を表す概念図である。図3にて位相を表す横軸の左端は、図2の信号発生手段17での信号発生時点とする。図3にて、光遅延手段11a、11bによる位相量をそれぞれφ、φ、そのほかの位相については、例えば、「φ17〜21a」としたときの「17〜21a」は、図2の信号発生手段17から光合波手段21aまでの経路を表し、「φ17〜21a」は信号発生手段17から光合波手段21aまでの透過位相を表す。同様に、図2の各部位を経由して、図3にて位相が横軸の正方向(右方向)に進むことを表す。図2のφ25a、φ25bは、図2の位相比較手段25に入力される2信号の位相である。
図2に示すとおり、反射信号は、光サーキュレータ20a、20bから光反射手段23a、23bまでの経路を往復するものであるため、位相比較手段25で比較する位相φ25aとφ25bはそれぞれ次のような位相の合計である。
【0020】
【数1】

【0021】
【数2】


他方、位相を揃えるべき送信波の経路に関しては、それぞれの位相φTa、φTbは式(3)、(4)に示すようになる。
【0022】
【数3】

【0023】
【数4】


なお、送信信号の経路について、光分配手段8から光合波手段21a、21bおよび、光分波手段22a、22bから光電変換手段14a、14bを経てアレイアンテナ15a、15bまでの経路については、予め位相を揃えておくことで位相ずれの影響の無視できる部分であり、式(3)、(4)からは除外している。
式(1)、(2)、(3)および(4)により、2つの光伝送路の位相ずれφ(=φTb−φTa)は、次のとおり。
【0024】
【数5】


また、参照波で位相量を測定する際に、既に光遅延手段11a、11bでは位相量φ、φが設定されていること、それに対して、更に光遅延手段11a、11b合計でφに相当する位相量を制御すればよいため、新たな補正量φ’、φ’は、次のとおり。
【0025】
【数6】

【0026】
【数7】


さらに、(6)、(7)を遅延量に変換し、光遅延手段11a、11bには次の制御量L、Lを設定する。
【0027】
【数8】

【0028】
【数9】


ただし、f参照波 は、光の周波数ではなく参照波の高周波としての周波数、Cは、光ファイバ中の光の伝播速度である。
【0029】
以上を含んだ遅延制御手段26の行う遅延補正処理の動作の流れの一例を図4のフローチャートにより説明する。
【0030】
遅延補正処理が起動された際に設定されている位相量をφおよびφとする。S401で位相比較手段25より位相差を入力し、その値を基に、送信系の位相差φを算出する(S402)。このとき、算出した位相差φが十分小さい値に収束していれば、設定されている位相量を変更する必要が無いためS407に進むが、位相差φが大きい場合は、位相量を変更する必要があり、S404以下を実施する(S403)。
位相差が大きい場合、光遅延手段11a、11bを制御することにより位相差を補正する必要がある。このため、式(6)、(7)で位相量を算出し(S404)、式(8)、(9)で位相量を遅延量に変換し(S405)、その値を光遅延手段11a、11bに設定する(S406)。光遅延手段11a,11bを制御した後、その設定に対して再度S401から位相ずれを確認し、収束するまで繰り返す。
S403で、位相差が収束している場合は、全体制御手段27に補正が完了したことを通知し、遅延補正処理を終了する。
なおS403で位相差が収束しているか判断するための判断基準は、アレイアンテナ15a、15bに要求されている位相の精度を基に決定するかまたは、S401からS406までの処理を繰り返した回数によって判断するなど、システム全体の要求を鑑みて設定すればよい。
また、系全体での位相測定誤差と光伝送路上の遅延量の制御の刻み幅が共に十分小さく、更に光伝送路上の遅延量の変化量に制限が無い場合、図4にてS403の判断を無くし、S402の後にS404を実施し、S405、S406を実施した後にS407に処理を移行するようにしても良い。
【0031】
また、レーダ送信波の送信を含む全体の動作の一例を、図5のフローチャートにより説明する。
全体制御手段27は、参照信号を発生する信号発生手段17に参照信号の発生を指示し(S501)、遅延制御手段26に補正を行うことを指示する(S502)。
遅延制御手段26では、予め、電気信号のケーブル、光ファイバおよび各デバイスの透過位相を常温で測定しておき準備しておいた透過位相を補正する位相量(φ=φa0、φ=φb0)を取得し(S511)、その値を基に式(5)〜式(9)を計算して、光遅延手段11a、11bに補正値を設定する(S512)。その状態で全体制御手段27より補正の指示を受けると、図4の処理を行い(S513)、補正が終了すると、全体制御手段27に補正の完了を通知する。このとき、処理終了時の補正の位相量(φ=φa1、φ=φb1)は記憶しておき(S514)、次に遅延補正処理が起動されたときに使用する。また、最終的な位相量(φ=φa1、φ=φb1)に従い、遅延制御手段26が出力した補正値は、次に遅延制御手段26が新たな値を出力するまで、光遅延手段11a、11bで保持される。
【0032】
全体制御手段27は、遅延制御手段26より補正完了の通知を受け取る(S503)と、信号発生手段17に停止を指示(S504)して参照信号を停止した後、レーダに関する通信の運用を開始する(S505)。その後、全体制御手段27では、通常運用中に毎回または必要に応じて定期的に遅延制御手段26を起動(S506、S507)し、遅延制御手段26は、そのつど、前回の位相量を取得(S515)して遅延補正処理を行い(S516)、補正値を更新する補正が終了すると、全体制御手段27に補正の完了を通知するとともに、最終的な補正の位相量を記憶(S517)する。全体制御手段27は、遅延制御手段26より補正完了の通知を受け取り(S508)、以下、同様に繰り返す。
なお、同じ光伝送路9a、9bを伝送される送信信号と光参照信号はそれぞれ異なる波長の光で変調されているため、全体制御手段27は、遅延制御手段26を起動する際に、2回目からは、レーダ送信のタイミングとは無関係に、補正を実施することができる。
また、全体制御手段27による制御は、光ファイバ10a、10bの温度差や温度変化等に起因する透過位相変化時に位相補正を可能にする効果があるが、手動等により代替できる場合等、全体制御手段27を使用するか使用しないかは、運用の形態や条件により、選択することも可能である。全体制御手段27を使用しない場合、遅延制御手段26は、図4の遅延補正処理において、S407の処理を実施せずに処理を終了する。
【0033】
なお、信号発生手段5、17は、シグナルジェネレータや、任意波形発生器等で実現できる。電光変換手段6、19a、19bは、電気信号に応じてレーザー光を強度変調する光変調器により実現できる。光分配手段8は、光信号用の分配器等で実現できる。電力分配手段18は、電気信号用の分配器等で実現できる。光合波手段21a、21bや光分波手段22a、22bは、光信号用の合分波器等で実現できる。光電変換手段14a、14b、24a、24bは、レーザー光で伝達されている強度変調信号を電気信号に変換すること等で実現できる。光遅延手段11a、11bは、ファイバストレッチャ等で実現できる。アレイアンテナ15a、15bを、アレイアンテナではない一般的なアンテナや、開口分割アンテナに変更しても同様な効果が得られる。光反射手段23a、23bは、光反射器や、光の偏光面を回転して反射するファラデーローテーター反射器等で実現できる。位相比較手段25は高周波用の位相比較器等で実現できる。遅延制御手段26は、ファイバストレッチャ等の制御回路等を含む信号処理回路で実現できる。
【0034】
信号反射部13a、13bについて、上記実施例では、光分波手段22a、22bと光反射手段23a、23bで構成したが、図6のように、光サーキュレータ28a(28b)と、光分波手段29a(29b)により構成しても良い。図6の構成では、光分波手段29a(29b)は、光サーキュレータ28a(28b)より送信信号と光参照信号を入力し、送信信号を光電変換手段14a、14bに、光参照信号を光サーキュレータ28a(28b)に出力する。光サーキュレータ28a(28b)は、光分波手段29a(29b)から入力された光参照信号の反射信号を光ファイバ10aおよび10bに送り返す。このため、図6の構成でも信号反射部として使用可能である。
【0035】
また、参照信号の目的は、複数のアレイアンテナへ接続する、複数の光ファイバの透過位相差を検出するために、同じ周波数で位相関係が既知である信号を提供することである。このため、参照信号生成部16は、図2では、信号発生手段17で発生した高周波信号を、電力分配手段18で複数系統に分配後、電光変換手段19a、19bで電気信号から光信号に変換しているが、電光変換手段で電気信号から光信号に変換後、光分配手段で複数系統に分配する構成でも良い。また、信号発生手段17で発生する参照波の高周波信号は、CW(Continuous Wave:無変調連続波)であってもパルスであってもよい。CWの参照波を使用した場合、検出可能な位相差は±πの範囲であるため、遅延を制御できる範囲は参照波の高周波信号の波長の範囲に限定される。それに対し、参照波にパルスを使用すると、反射信号としてのパルスの到達時間の情報も加わり、±πの範囲外の位相差を検出し、遅延を制御することも可能になる。参照信号にCWを使用するか、パルスを使用するかは、制御する補正の範囲や必要な補正精度などによって選択すれば良い。
【0036】
図2では、アレイアンテナ15a、15b、光伝送路9a、9bが2系統の場合について説明したが、3系統以上の場合であっても、信号出力部で必要な系統数の送信信号を各々の光伝送路に送信し、各々の光伝送路の光路長を比較するために、各々の光伝送路に参照信号出力部と信号反射部を設け、参照信号生成部から各々の参照信号出力部に光参照信号を供給し、その信号反射部からの反射信号について位相比較手段で位相比較を行い、補正を行うことが可能である。
【0037】
以上のように、同じ高周波で変調された光参照信号を参照信号出力部12aから光伝送路9aに入力しその反射信号を再度参照信号出力部12aから取り出すため、位相比較手段25では、光伝送路9aの反射信号を、別の光伝送路9bの反射信号の影響を受けずに得ることが可能であり、これは、光伝送路9bについても同様である。また、光伝送路9aと9bの透過位相の比較を行うにあたり、対象とする光伝送路をスイッチなどにより切換選択する必要無く全ての光伝送路の透過位相を比較し、光伝送路の透過位相の差を補正することができる。
さらに、参照信号として、高周波で光信号を変調した信号を使用し、光信号を高周波の電気信号に変換された信号の位相差により光伝送路の透過位相の比較を行うため、光の波長(数μm)以上の光路差も検出し補正することができる。
【0038】
実施の形態2.
実施の形態1では、アレイアンテナ15aおよび15bで送信する送信信号は、信号出力部4で送信信号を発生する際に、信号発生手段5の発生する1信号を電光変換手段6で光信号に変換し、光分配手段8で分配することで、同じ信号を光伝送路9a、9bを通じてアレイアンテナ15a、15bに送っていた。複数のアンテナを分散配置したレーダでは、従来のフェーズドアレイレーダのように、送信アンテナの各アレイアンテナについて同じ位相、振幅で送信を行う方式の他、MIMO(Multi Input Multi Output)技術を応用し、各アレイアンテナ毎に位相、振幅を調整した異なる信号を送信、受信する方式もある(たとえば、特開2010−243237および、特開2011−158430参照)が、その場合も、光伝送路どうしの位相変動を補正する必要がある。図7および、図8は、MIMO技術を応用し、信号出力部から各光伝送路に異なる信号を送る構成である。
【0039】
図7において、レーダ送信を行う信号を発生する信号出力部4aは、信号生成部として送信信号を電気信号として発生する信号発生手段5a、5b、電気信号を光信号に変換する電光変換手段6a、6bを備え、さらに、光ファイバ7a、7bで構成される。その他、信号出力部4a以外に関しては、図2に記載の実施の形態1と同じである。
図7において、信号発生手段5aで発生された送信信号aは、電光変換手段6aで電気信号から光信号に変換され、光ファイバ7aを経由後、光合波手段21aに入力される。同様に、信号発生手段5bで発生された送信信号bは、電光変換手段6bで電気信号から光信号に変換され、光ファイバ7bを経由後、光合波手段21bに入力される。電光変換手段6aで使用する光も、電光変換手段6bで使用する光も、参照信号を変換する電光変換手段19a、19bとは異なる波長の光である。その後、送信信号a、bは、光遅延手段11a、11b、光ファイバ10a、10bを経由後、光分波手段22a、22bを経由し、光電変換手段14a、14bで光信号から電気信号に変換後、アレイアンテナ15a、15bから空間に送信される。
【0040】
図8は、この実施の形態の他の例を表す図である。図8において、レーダ送信を行う送信信号を発生する信号出力部4bは、送信信号を電気信号として発生する信号発生手段5a、5b、電気信号を光信号に変換する電光変換手段6a、6b、光合波手段30、光ファイバ7c、光分波手段8aで構成される。その他、信号出力部4b以外に関しては、図2に記載の実施の形態1と同じである。
図8において、信号発生手段5aで発生された送信信号は、電光変換手段6aで電気信号から光信号に変換され、信号発生手段5bで発生された送信信号は、電光変換手段6bで電光変換手段6aとは異なる波長の光で電気信号から光信号に変換される。電光変換手段6aで光信号に変換された送信信号と電光変換手段6bで光信号に変換された送信信号は、光合波手段30で合波され、光ケーブル7cを経由後、光分波手段8aで波長の違いにより分波され、光合波手段21aと光合波手段21bにそれぞれ入力される。その後、送信信号は、光遅延手段11a、11b、光ファイバ10a、10bを経由後、光分波手段22a、22bを経由し、光電変換手段14a、14bで光信号から電気信号に変換後、アレイアンテナ15a、15bから空間に送信される。
【0041】
光伝送路9a、9bの透過位相を比較するための光参照信号は、信号発生手段17で発生され、電力分配手段18で複数系統に分配され、電光変換手段19a、19bで電気信号から、送信信号とは波長が異なる光信号に変換される。その後、光伝送路9a、9bの透過位相を測定するため、光サーキュレータ20a、20b、光合波手段21a、21b経由で光伝送路に入力され、光遅延手段11a、11b、光ファイバ10a、10bを経由後、光分波手段22a、22bで送信信号から分波され、光参照信号のみ光反射手段23a、23bで反射する。光参照信号の反射信号は、再度光分波手段22a、22b、光ファイバ10a、10b、光遅延手段11a、11bを経由後、光合波手段21a、21bで分波され、光サーキュレータ20a、20bを経由して出力される。
【0042】
光サーキュレータ20a、20bから出力した反射信号はそれぞれ、光電変換手段24a、24bで光信号から電気信号に変換後、位相比較手段25にて位相比較される。
遅延制御手段26では、位相比較手段25の測定した位相差を基に、光伝送路9a、9bについて補正する遅延量を算出し、光遅延手段11a、11bの遅延量を制御する。
図7、図8いずれについても遅延制御手段26の動作については、図2で示される第1の実施形態と構成、動作とも同じであるので、その説明は省略する。
また、図7、図8では、アレイアンテナ15a、15b、光伝送路9a、9bが2系統の場合について説明したが、3系統以上の場合であっても、同様に位相を比較し補正を行うことが可能である。
【0043】
以上のように、図7および、図8に示した通信装置およびレーダ装置のように、各アレイアンテナ毎に位相、振幅を調整した異なる信号を送信する構成にしても、実施の形態1と同様に光伝送路どうしの位相変動を補正することができる。
【0044】
実施の形態3
実施の形態1および実施の形態2は、いずれもアレイアンテナ15a、15bより送信信号を送信する構成だったが、図9に示すように、アレイアンテナを受信用に使用する構成でも同様に光伝送路の透過位相の補正を行うことができる。
図9では、レーダ信号の受信を行うが、実施の形態1の送信信号と受信信号では、信号の流れが逆となるため、信号出力部4の替わりに信号入力部32を備え、光電変換手段14a、14bの代わりに電光変換手段31a、31bを備え、送信用のアレイアンテナ15a、15bの代わりに受信用のアレイアンテナ15c、15dを備える他は、図2と同様である。
【0045】
図9において、アレイアンテナ15c、15dで受信した電波は、電光変換手段31a、31bにより光信号に変換され、信号反射部13a、13bから光伝送路9a、9bに入力し、参照信号出力部12a、12b経由で信号入力部32に送られる。信号入力部32は、光分配手段8b、光ファイバ7d、光電変換手段33、受信手段34で構成され、光信号で送られてきた受信信号を光分配手段8bで重畳してビーム合成し、光ファイバ7dで光電変換手段33に送られ、光電変換手段33で電気信号に変換した後、受信手段34で受信処理を行う。このとき、光分配手段8bでビーム合成を行うためには、それぞれの光伝送路9a、9bの透過位相をそろえる必要がある。光伝送路9a,9bの透過位相の変動を補正するために、参照信号生成部16で生成した光参照信号を参照信号出力部12a、12b経由で光伝送路9a、9bに入力し、信号反射部13a、13bで反射して戻ってきた反射信号を光電変換手段24a、24bで電気信号に変換し、位相比較手段25で位相を比較し、遅延制御手段26で光遅延手段11a、11bを制御する。遅延制御手段26による補正方法の詳細は、実施の形態1と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、図9による通信装置およびレーダ装置では、アレイアンテナ15c、15d、光伝送路9a、9bが2系統の場合について説明したが、3系統以上の場合であっても、同様に透過位相の変動の補正を行うことが可能である。さらに、図9では、各々の受信信号は受信部において、光分配手段8bにより合成されたが、受信信号を合成せず、複数の受信手段に入力する構成であっても同様に透過位相の補正を行うことができる。
【0046】
以上のように、同じ高周波で変調された光参照信号を参照信号出力部12aから光伝送路9aに入力しその反射信号を再度参照信号出力部12aから取り出して比較するため、位相比較手段25では、光伝送路9aの反射信号を、別の光伝送路9bの反射信号の影響を受けずに得ることが可能であり、これは、光伝送路9bについても同様である。また、光伝送路9aと9bの比較を行うにあたり、測定する光伝送路をスイッチなどにより切換選択する必要無く全ての光伝送路の比較し、アレイアンテナ15c、15dから光伝送路9a、9bを介して受信信号を伝送する場合であっても、光伝送路の透過位相の差を補正することができる。
【0047】
実施の形態4.
実施の形態1および実施の形態2は、いずれもアレイアンテナ15a、15bより送信信号を送信する構成であり、実施の形態3は、アレイアンテナ15c、15dを受信用に使用する構成だったが、送受信を1つのアレイアンテナで実現し、送受信用のアレイアンテナ15e、15fで送信および受信を行う構成であっても同様に光伝送路9a、9bの透過位相の変動の補正を行うことができる。
図10において、送受信部35は、図2の信号発生手段5と図9の受信手段34の機能を併せ持つ送受信手段36、図2の電光変換手段6と図9の光電変換手段33の機能を併せ持つ光送受信手段37、光ファイバ7、光分配手段8cから構成される。また、アレイアンテナ側にある光送受信手段38a、38bは光送受信手段37と同様に、図2の光電変換手段14a、14bと、図9の電光変換手段31a、31bの機能を併せ持つ。アレイアンテナ15e、15fは、図2の送信用アレイアンテナ15a、15bの機能と、図9の受信用アレイアンテナ15c、15dの機能を併せ持つ。
送受信手段36では、レーダ信号の送受信を行い、光送受信手段37は受信、送信の双方向についてレーダの高周波の電気信号と光信号の変換を行う。図10では、送受信部35は、実施の形態1の送信信号と受信信号を処理するため、信号出力部4の代わりに送受信部35を備え、光電変換手段14a、14bの代わりに光送受信手段38a、38bを備え、送信用のアレイアンテナ15a、15bの代わりに送受信用のアレイアンテナ15e、15fを備える他は、図2と同様である。
【0048】
図10において、送受信手段36で発生された送信信号は、光送受信手段37で電気信号から光信号に変換され、光ファイバ7を経由後、光分配手段8cで複数系統に分配され、光合波手段21a、21bに入力される。その後、送信信号は、光遅延手段11a、11b、光ファイバ10a、10bを経由後、光分波手段22a、22bを経由し、光送受信手段38a、38bで光信号から電気信号に変換後、アレイアンテナ15e、15fから空間に送信される。
また、アレイアンテナ15e、15fで受信した電波は、光送受信手段38a、38bにより光信号に変換され、信号反射部13a、13bから光伝送路9a、9bに入力し、参照信号出力部12a、12b経由で送受信部35に送られる。送受信部35は、光信号で送られてきた受信信号を光分配手段8cで重畳してビーム合成し、光ファイバ7を経由し光送受信手段37で電気信号に変換した後、送受信手段36で受信処理を行う。
【0049】
光伝送路9a、9bの透過位相を比較するための光参照信号は、信号発生手段17で発生され、電力分配手段18で複数系統に分配され、電光変換手段19a、19bで電気信号から、送信信号とは波長が異なる光信号に変換される。その後、光伝送路9a、9bの透過位相を測定するため、光サーキュレータ20a、20b、光合波手段21a、21b経由で光伝送路9a,9bに入力され、光遅延手段11a、11b、光ファイバ10a、10bを経由後、光分波手段22a、22bで送信信号から分波され、光参照信号のみ光反射手段23a、23bで反射する。光参照信号の反射信号は、再度光分波手段22a、22b、光ファイバ10a、10b、光遅延手段11a、11bを経由後、光合波手段21a、21bで分波され、光サーキュレータ20a、20bを経由して出力される。
【0050】
光サーキュレータ20a、20bから出力した反射信号はそれぞれ、光電変換手段24a、24bで光信号から電気信号に変換後、位相比較手段25にて位相比較される。
遅延制御手段26では、位相比較手段25の出力した位相差を基に、光伝送路9a、9bについて補正する光路長を算出し、光遅延手段11a、11bの遅延量を制御する。
遅延制御手段26による補正方法の詳細は、実施の形態1と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、図10では、アレイアンテナ15e、15f、光伝送路9a、9bが2系統の場合について説明したが、3系統以上の場合であっても、同様に透過位相の変動の補正を行うことが可能である。
【0051】
以上のように、同じ高周波で変調された光参照信号を参照信号出力部12aから光伝送路9aに入力しその反射信号を再度参照信号出力部12aから取り出して比較するため、位相比較手段25では、光伝送路9aの反射信号を、別の光伝送路9bの反射信号の影響を受けずに得ることが可能であり、これは、光伝送路9bについても同様である。また、光伝送路9aと9bの透過位相の比較を行うにあたり、対象とする光伝送路9a,9bをスイッチなどにより切換選択する必要無く全ての光伝送路の透過位相を比較し、光伝送路9aおよび9bを介してアレイアンテナ15eおよび、15fと送受信部35の間で送信信号および受信信号を伝送する場合であっても、光伝送路の透過位相の差を補正することができる。
【0052】
実施の形態5.
図11は、実施の形態6の構成の一例を表す図であり、アレイアンテナ15c、15dで受信した電波を受信用光伝送路39a、39bにより受信部40に送り、受信部40中のビーム合成手段41では、受信信号を数値化したデータにDBF(Digital Beam Forming)と呼ばれる処理などを行うことで、計算によりビーム合成を行う。信号出力部42は、ビーム合成手段41で扱う受信信号について、受信用光伝送路39a、39bの温度変化を補正するために基準となる信号を生成するものであり、信号発生手段43、電光変換手段6、光ファイバ7、光分配手段8により構成する。信号出力部42で生成した光基準信号は、たとえば図2の送信信号と同様に、光伝送路9a、9bを経由し、入力部44a、44bから受信用光伝送路39a、39bに供給される。入力部44a、44bはそれぞれ電力結合手段45a、45bで構成される。受信用光伝送路39a,39bはそれぞれ、光ファイバ46a、46bにより構成される。また、参照信号出力部12a、12b、信号反射部13a、13b、参照信号生成部16については、図2のものと同じであり、説明において詳細は省略する。また、光伝送路9a、9b、光電変換手段14a、14b、24a、24b、位相比較手段25、遅延制御手段26は、図2の同じ符号のものと同じである。
【0053】
次に、動作について説明する。
図11において、信号出力部42中の信号発生手段43で生成された基準信号は、電光変換手段6で電気信号から光信号に変換され、光ファイバ7を経由後、光分配手段8で複数系統に分配され、参照信号出力部12a、12bに入力される。その後、光基準信号は、光遅延手段11a、11b、光ファイバ10a、10bを経由後、信号反射部13a、13bを経由し、光電変換手段14a、14bで光信号から電気信号に変換後、入力部44a、44bに送られる。このとき、それぞれの入力部44a、44bに位相のそろった基準信号を提供するためには、それぞれの光伝送路9a、9bの透過位相をそろえる必要がある。光伝送路9a、9bの透過位相を補正するために、参照信号生成部16で生成した光参照信号を参照信号出力部12a、12b経由で光伝送路9a、9bに入力し、信号反射部13a、13bで反射して戻ってきた反射信号を光電変換手段24a、24bで電気信号に変換し、位相比較手段25で位相を比較し、遅延制御手段26で光遅延手段11a、11bを制御する。遅延制御手段26による補正方法の詳細は、実施の形態1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0054】
信号出力部42で生成され、光伝送路9a、9bで伝送された光基準信号は、光電変換手段14a、14bで電気信号に変換され、アレイアンテナ15c、15d側にある入力部44a、44bを構成する電力結合手段45a、45bから途中電光変換手段47a、47bで電気信号から光信号に変換され、各々受信用光伝送路39a、39bを構成する光ファイバ46a、46bに入力される。
アレイアンテナ15c、15dから出力された受信信号は、光電変換手段14a、14bから出力された基準信号と、電力結合手段45a、45bで結合され、電光変換手段47a、47bで電気信号から光信号に変換される。光信号に変換された信号は、受信用光伝送路39a、39bを構成する光ファイバ46a、46bを経由し、光電変換手段48a、48bで光信号から電気信号に変換後、A/D変換手段49a、49bでアナログ信号からデジタル信号に変換され、位相補正手段50a、50bで電力結合手段45a、45bからA/D変換手段49a、49bまでの位相および減衰量の差の補正を行い、ビーム合成手段41でビーム合成計算を行う。このため、A/D変換手段49a、49bは、受信信号および、基準信号を振幅と位相の情報を含んだ、同相成分(In−phase(以下Iチャネルと呼ぶ))と直交成分(Quadrature−phase(以下Qチャネルと呼ぶ))で数値化し、このIチャネルとQチャネルの値を複素数として出力する。ところで、電力結合手段45a、45bからA/D変換手段49a、49bまでの2つの系は、受信信号と基準信号が共に伝達するため、系に起因する振幅差や位相差は受信信号と基準信号の両方で同様に発生する。このことから、位相補正手段50a、50bでは、A/D変換手段49a、49bが出力する複素数で表現された受信信号を、A/D変換手段49a、49bが出力する複素数で表現された基準信号で除算するなどの計算により系に起因する振幅差や位相差を除去できる。
【0055】
また、図11では、2つの受信アンテナであるアレイアンテナ15c、15dで受信した信号を、2つの光ファイバ46a、46bで伝送し、2つの位相補正手段50a、50bで補正する際に、2つの位相が同一な基準信号を供給する例について説明したが、3つ以上のアレイアンテナで受信した信号を、各々アレイアンテナと同数の光ファイバで伝送し、各々アレイアンテナと同数の位相補正手段で補正する際に、各々位相が同一な基準信号を供給し、位相を補正する場合も、同様に行うことができる。
【0056】
さらに、図12は、実施の形態6の構成の他の一例を表す図であり、図11では、基準信号を光電変換手段14a、14bで電気信号に変換した後、電力結合手段45a、45bで受信信号と結合したが、光電変換手段14a、14bを経ずに光信号のまま光合波手段51a、51bで結合させても良い。図12の場合、光電変換手段14a、14bを使用しないこと、受信信号と基準信号を、光で結合させるため、電力結合手段45a、45bの代わりに光合波手段51a,51bを使用すること、電光変換手段47a、47bでは、受信信号のみを光信号に変換すること以外は、図11と同様である。
【0057】
以上のように、同じ高周波で変調された光参照信号を参照信号出力部12aから光伝送路9aに入力しその反射信号を再度参照信号出力部12aから取り出すため、位相比較手段25では、光伝送路9aの反射信号を、別の光伝送路9bの反射信号の影響を受けずに得ることが可能であり、これは、光伝送路9bについても同様である。また、光伝送路9aと9bの位相の差を検出することができ、検出した位相差に従い光遅延手段11a、11bで遅延を補正することで、同一の位相の基準信号を入力部44a、44b、44c、44dに供給することができる。また、基準信号と参照信号は、異なる波長の光で信号を光信号に変換されるため、基準信号を伝送中の光伝送路9a、9bに同時に光参照信号を入力しても干渉することが無く、基準信号の伝送中にも補正を行うことができる。さらに、参照信号として、高周波で光信号を変調した信号を使用し、位相差の検出に際しても光信号を高周波の電気信号に変換してから比較を行うため、位相差は光よりも波長の長い高周波の波長に対する位相差で検出され、光の波長(数μm)以上の光路差も検出し補正することができる。
このようにして供給する、同一の位相の基準信号を、アレイアンテナ15c、15dからの受信信号と同じ伝送路を経由させ、その透過位相により受信信号の補正を行うことで、受信信号をデジタル処理を行う場合にも、位相の補正を行うことができ、同時刻の受信についてマルチビームを構成することができるなどの効果もある。
【0058】
実施の形態6.
実施の形態1ないし実施の形態5はそれぞれ、送信信号、受信信号、基準信号を2本の光伝送路で伝送する光伝送路の補正について示したが、光伝送路が3本以上でも同様に光伝送路の補正は可能であり、光伝送路が3本である一例を図13に示す。図13では、光伝送路が3本になり、補正を行う参照信号も3本必要となるため、信号出力部4cでは、3分配である光分配手段8dを使用して3つの送信信号を発生し、参照信号生成部16aでは、信号発生手段17により発生した参照信号を3分配である電力分配手段18aにより3分配し、それぞれ電光変換手段19a、19b、19cで光参照信号に変換する。新たな追加された3本目の送信信号は、参照信号出力部12c、光伝送路9c、信号反射部13cを介してアレイアンテナ15gより放射される。
【0059】
光伝送路が2系統の場合と同様、光伝送路9a、9b、9cの透過位相を測定するための光参照信号は、信号発生手段17で発生され、電力分配手段18aで複数系統に分配され、電光変換手段19a、19b、19cで電気信号から、送信信号とは波長が異なる光信号に変換される。その後、光伝送路9a、9b、19cの透過位相を比較するため、光サーキュレータ20a、20b、20c、光合波手段21a、21b、21c経由で光伝送路に入力され、光遅延手段11a、11b、11c、光ファイバ10a、10b、10cを経由後、光分波手段22a、22b、22cで送信信号から分波され、光参照信号のみ光反射手段23a、23b、23cで反射する。光参照信号の反射信号は、再度光分波手段22a、22b、22c、光ファイバ10a、10b、10c、光遅延手段11a、11b、11cを経由後、光合波手段21a、21b,21cで分波され、光サーキュレータ20a、20b、20cを経由して出力される。
【0060】
光サーキュレータ20a、20b、20cから出力した反射信号はそれぞれ、光電変換手段24a、24b、24cで光信号から電気信号に変換後、位相比較手段25a、25bにて位相比較される。また、3またはそれ以上の信号の位相を比較するため、1つの反射信号を基準として、ここでは、光電変換手段24bの出力を電力分配手段52で2分配し、残りの各反射信号と位相比較手段25aでφ25aとφ25bを、位相比較手段25bでφ25cとφ25bを比較することで、3またはそれ以上の光伝送路の反射信号の位相差を検出する。
遅延制御手段26a、26bで位相差から遅延補正量を求める計算については、式(1)から式(9)を同様に適用するが、基準とする光伝送路は補正量を0とするため、式(6)、式(7)については、次の式(10)、式(11)にようにすること以外は同じである。
【0061】
【数10】

【0062】
【数11】


以上のように、光伝送路およびアレイアンテナが3系統以上の場合であっても、光伝送路が2系統の場合と同様に、同じ高周波で変調された光参照信号を参照信号出力部12a,12b,12cから光伝送路に入力しその反射信号を再度参照信号出力部12a,12b,12cから取り出して検出した位相差に従い光遅延手段11a,11b,11cで遅延を補正することで、アレイアンテナ15a、15b、15gから送信する送信信号相互の位相を制御することができる。
【0063】
実施の形態7.
図14は、図13の構成を一部変更した例である。図13では、光電変換手段24a、24b、24cで反射信号を電気信号に変換した出力のうち、光電変換手段24bの出力を2分配し、残りの各反射信号と位相比較手段25aでφ25aとφ25bを、位相比較手段25bでφ25cとφ25bを比較したが、図14では、光電変換手段24a、24cの出力を電力切替手段53で1つずつ選択し、位相比較手段25cでは、電力切替手段53の選択に従い、順番にφ25aとφ25bの位相差とφ25cとφ25bの位相差を出力する。遅延制御手段26cは、それぞれの位相差を基に順に光遅延手段11a、11cの制御を行う。
図14において、図13と同一の構成部品に関しては同一の符号を付してその説明を省略する。また、信号出力部4a、参照信号出力部12a、12b、12c、信号反射部13a、13b、13cについては、内部の構成も含めて図13と同じであるため、図において内部の記述を省略する。
実施の形態6では、光電変換手段24a、24cで反射信号を電気信号に変換した出力をそれぞれ光電変換手段24bで反射信号を電気信号に変換した出力と比較したが、実施の形態7では、光電変換手段24a、24cの出力を電力切替手段53で1つずつ切替ながら光電変換手段24bの出力との比較を位相比較手段25cで行い、位相差を基に遅延制御手段26cで、光遅延手段11a、11b、11cの遅延量を制御する。また、図14は、光伝送路が3系統の例を示したが、光伝送路が4系統以上の場合も同様に反射信号の位相を比較し、遅延量を制御することが可能である。
【0064】
実施の形態8.
図15は、光伝送路が3系統以上でも同様に光伝送路の補正を行う更に別の一例を示す。
参照信号生成部16bでは、各々の伝送路に対して光参照信号を供給するとともに、光参照信号の反射信号の位相差を比較する際に、共通の基準として、参照信号を提供する。このため、図14のように光伝送路が3系統の場合、信号発生手段17により発生した参照信号を電力分配手段18bで6分配し、そのうちの3信号をそれぞれ電光変換手段19a、19b、19cで光参照信号に変換し、各アレイアンテナ15a、15b,15gに至る光伝送路9a,9b,9cの透過位相を比較するために使用する。
光参照信号は、図13と同様に参照信号出力部12a、12b、12cから光伝送路9a、9b,9cに入力し、反射信号が参照信号出力部12a、12b、12cを経由して出力され、それぞれ光電変換手段24a,24b、24cで電気信号に変換される。電気信号に変換された反射信号はそれぞれ位相比較手段25d、25e、25fで参照信号との位相を比較し、位相差を基に遅延制御手段26d、26e、26fで光遅延手段11a、11b、11cの遅延量を制御する。また、図15は、光伝送路が3系統の例を示したが、光伝送路が4系統以上の場合も同様に反射信号と参照信号の位相差を算出し、遅延量を制御することが可能である。
【0065】
以上のように、参照信号生成部16bから光伝送路と同数の光参照信号と、光伝送路と同数の参照信号を生成し、光参照信号は各々の光伝送路9a,9b,9cに入力してその反射信号を出力し、各々の反射信号を電気信号に変換した結果と参照信号の位相差を算出し、位相差に基づき各々の光伝送路9a,9b,9cの光遅延手段11a,11b,11cでの遅延量を制御することで、アレイアンテナ15a、15bおよび、15cから送信する送信信号相互の位相を制御することができる。
【0066】
実施の形態9
図16は、図15の構成を一部変更した例である。参照信号生成部16cでは、信号発生手段17により発生した参照信号を電力分配手段18cで4分配し、そのうちの3信号をそれぞれ電光変換手段19a、19b、19cで光参照信号に変換し、各アレイアンテナ15a、15b、15gに至る伝送路の透過位相を測定するために使用する。図16において、図15と同一の構成部品に関しては同一の符号を付してその説明を省略する。
図15では、光電変換手段24a、24b、24cで反射信号を電気信号に変換した出力をそれぞれ参照信号と比較したが、図16では、光電変換手段24a、24b、24cの出力を電力切替手段53aで1つずつ切替ながら参照信号との位相の比較を位相比較手段25gで行い、位相差を基に遅延制御手段26gで、光遅延手段11a、11b、11cの遅延量を制御する。また、図16は、光伝送路が3系統の例を示したが、光伝送路が4系統以上の場合も同様に反射信号と参照信号の位相を比較し、遅延量を制御することが可能である。
なお、上記各実施の形態においては、合波、分波を行う手段として、光合波手段、光分波手段を用いるようにしているが、これらは、合波、分波の一部の機能だけでなく、合波機能と分波機能の両方の機能を具備するものである。
また、上記実施の形態2ないし実施の形態9においても、実施の形態1と同様に、全体制御手段27を追加することで、光伝送路の温度差や温度変化等に起因する透過位相変化時に位相補正を可能にすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 アンテナ設備
2 地上設備
3 伝送路
4、4a、4b、4c 信号出力部
5、5a、5b 信号発生手段
8、8b、8c、8d 光分配手段
8a 光分波手段
9a、9b、9c 光伝送路
11a、11b、11c 光遅延手段
12a、12b、12c 参照信号出力部
13a、13b、13c 信号反射部
15a、15b、15c、15d、15e、15f、15g アレイアンテナ
16、16a、16b、16c 参照信号生成部
20a、20b、20c 光サーキュレータ
21a、21b、21c 光合波手段
24a、24b、24c 光電変換手段
25、25a、25b、25c、25d、25e、25f、25g 位相比較手段
26、26a、26b、26c、26d、26e、26f、26g 遅延制御手段
27 全体制御手段
32 信号入力部
35 送受信部
39a、39b 受信用光伝送路
40 受信部
42 信号出力部
43 信号発生手段
44a、44b、44c、44d 入力部
50a、50b 位相補正手段
53、53a 電力切替手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号出力部から出力される複数の送信信号を複数の光伝送路に各々入力し、前記複数の光伝送路を介して複数のアンテナに前記送信信号を伝送する通信装置であって、
複数の光参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記信号出力部と前記複数の光伝送路との間に各々設けられ、前記光伝送路に入力された光参照信号が、前記光伝送路と前記アンテナの間に設けられた信号反射部で反射して戻ってきた反射信号を各々出力する複数の参照信号出力部と、
前記複数の参照信号出力部から出力される各反射信号を各々電気信号に変換する複数の光電変換手段と、
前記複数の光電変換手段で変換された電気信号に基づいて、電気信号間の位相差を求める位相比較手段と、
前記位相比較手段で求められた位相差により前記光伝送路に入力される前記送信信号の遅延を制御する遅延制御手段と
を備えた通信装置。
【請求項2】
複数のアンテナからの受信信号を、前記複数のアンテナに各々接続された複数の受信用光伝送路を介して受信部に伝送する通信装置であって、
前記受信用光伝送路に各々接続される複数の光伝送路を介して前記受信用光伝送路に入力させる複数の光基準信号を出力する信号出力部と、
前記複数の光伝送路と前記複数の受信用光伝送路との間に各々設けられ、前記複数の光伝送路を介して前記信号出力部から送信された前記光基準信号を前記受信用光伝送路に各々入力する複数の入力部と、
前記受信用光伝送路と前記受信部との間に設けられ、前記受信用光伝送路を介して送信された光基準信号を電気信号に変換した信号に基づいて前記受信部に伝送する受信信号の位相を補正する位相補正手段と、
複数の光参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記信号出力部と前記複数の光伝送路との間に各々設けられ、前記光伝送路に入力された光参照信号が、前記光伝送路と前記入力部の間に設けられた信号反射部で反射して戻ってきた反射信号を各々出力する複数の参照信号出力部と、
前記複数の参照信号出力部から出力される各反射信号を各々電気信号に変換する複数の光電変換手段と、
前記複数の光電変換手段で変換された電気信号に基づいて、前記光電変換手段で変換された電気信号間の位相差を求める位相比較手段と、
前記位相比較手段で求められた位相差により前記光伝送路を介して伝送される前記光基準信号の遅延を制御する遅延制御手段と
を備えた通信装置。
【請求項3】
複数のアンテナに各々接続された複数の光伝送路を介して前記複数のアンテナから伝送される複数の受信信号が信号入力部に入力される通信装置であって、
複数の光参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記信号入力部と前記複数の光伝送路との間に各々設けられ、前記光伝送路に入力された光参照信号が、前記光伝送路と前記アンテナの間に設けられた信号反射部で反射して戻ってきた反射信号を各々出力する複数の参照信号出力部と、
前記複数の参照信号出力部から出力される各反射信号を各々電気信号に変換する複数の光電変換手段と、
前記複数の光電変換手段で変換された電気信号に基づいて、電気信号間の位相差を求める位相比較手段と、
前記位相比較手段で求められた位相差により前記光伝送路に入力される前記受信信号の遅延を制御する遅延制御手段と
を備えた通信装置。
【請求項4】
前記信号出力部は分配手段を有し、前記分配手段で分配された複数の信号を出力する請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記信号出力部は複数の信号発生手段を有し、前記複数の信号発生手段で生成された各信号を出力する請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記位相比較手段は、前記複数の光電変換手段で変換された反射信号を各々比較して、位相差を求める請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記位相比較手段には参照信号が入力され、前記位相比較手段は、前記参照信号と前記光電変換手段で変換された信号とを比較して、前記光電変換手段で変換された電気信号間の位相差を求める請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記位相比較手段は複数であり、前記複数の参照信号出力部の各々に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記複数の参照信号出力部と前記位相比較手段の間に設けられ、各参照信号出力部から出力される反射信号を選択して前記位相比較手段に出力する電力切替手段を備えた請求項7に記載の通信装置。
【請求項10】
前記光参照信号は、前記信号出力部から出力される信号とは異なる波長の光信号である請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項11】
前記光参照信号は、前記光伝送路を介して伝送される受信信号とは異なる波長の光信号である請求項3に記載の通信装置。
【請求項12】
前記参照信号出力部は、前記光伝送路に入力された前記光参照信号が前記信号反射部で反射して戻ってきた反射信号を分波する光分波手段と、
前記反射信号を前記位相比較手段に出力する光サーキュレータと
を有する請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記参照信号生成部と前記遅延制御手段とに接続され、前記参照信号生成部と前記遅延制御手段とを制御する全体制御手段とを備えた請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記信号出力部は、前記複数の光伝送路を介して前記複数のアンテナから伝送される複数の受信信号を入力する受信機能を具備する請求項3に記載の通信装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の通信装置と、前記通信装置と接続される複数のアンテナを備えたレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−76665(P2013−76665A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217476(P2011−217476)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】