説明

通信装置および通信方法

【課題】通信装置の小型化を図り、消費電力を低減する。
【解決手段】水中において超音波を伝送媒体として他の通信装置と通信する通信装置10Aは、1つの共振周波数によって超音波を検出または生成する圧電素子部15Aと、超音波を用いて情報を送受信する通信部20Aと、他の通信装置との通信を指示する通信指示が時系列に割り当てられた、他の通信装置と共通のタイムスロット100Aを記憶する記憶部40Aと、他の通信装置と同期を取り、タイムスロット100Aの通信指示に基づいて、通信部20Aを送信状態、受信状態、および、送信状態でも受信状態でもない待機状態の何れか1つに遷移させる制御部35Aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いた通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
潜水中のダイバーは、自身の安全を確保すべく、他のダイバーとの通信を行う必要がある。水中において超音波を用いて通信する装置は、下記特許文献1に示すように、2つの周波数の超音波による全2重で双方向の通信を行う通信装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−122690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、全2重で双方向の通信を行うためには、送信用の周波数を生成する超音波振動部と受信用の周波数を生成する超音波振動部の両方を設ける必要があるため、通信装置が大型化した。本発明は、簡易な構成で超音波を用いて双方向の通信が可能な通信装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかる通信装置は、水中において超音波を伝送媒体として他の通信装置と通信する通信装置であって、1つの共振周波数によって超音波を検出または生成する超音波振動部と、前記超音波を用いて情報を送受信する通信部と、前記他の通信装置との通信を指示する通信指示が時系列に割り当てられた、前記他の通信装置と共通のテーブルを記憶する記憶部と、前記他の通信装置と同期を取り、前記テーブルの前記通信指示に基づいて、前記通信部を送信状態、受信状態、および、前記送信状態でも前記受信状態でもない待機状態の何れか1つに遷移させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、通信指示が時系列に割り当てられ、他の通信装置と共通のテーブルに基づき、他の通信装置と同期を取って送信状態と受信状態と待機状態とを切り替えるため、1つの周波数の超音波を用いて他の通信装置と双方向に通信できることから、通信装置の小型化を図ることができ、更に、テーブルに従って通信されるため、待機状態に遷移した通信部は、送信および受信のための信号処理が不要であることから、通信部が消費する電力を低減できる。
【0008】
[適用例2]
上記適用例にかかる通信装置において、前記通信部は、一定の時間長さを越えない時間長さに分割したパケットを用いて、前記情報を前記他の通信装置と送受信することが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、パケットを用いた通信であるため、情報が分割して送られると共に、伝送中の障害に対して復元が容易できる。
【0010】
[適用例3]
本適用例にかかる通信方法は、水中において超音波を伝送媒体として他の通信装置と通信する通信方法であって、前記他の通信装置との通信を指示する通信指示が時系列に割り当てられた、前記他の通信装置と共通のテーブルに基づいて、前記他の通信装置と同期を取り、1つの周波数の前記超音波を用いて前記他の通信装置との間で前記超音波を用いて情報を送受信する通信部を、送信状態、受信状態、および、前記送信状態でも前記受信状態でもない待機状態の何れか1つに遷移させることを特徴とする通信方法。
【0011】
このような方法によれば、通信指示が時系列に割り当てられ、他の通信装置と共通のテーブルに基づき、他の通信装置と同期を取って送信状態と受信状態と待機状態とを切り替えるため、1つの周波数の超音波を用いて他の通信装置と双方向に通信できることから、通信装置の小型化を図ることができ、更に、テーブルに従って通信されるため、待機状態に遷移した通信部は、送信および受信のための信号処理が不要であることから、通信部が消費する電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】水中におけるダイバー間の通信を説明する図。
【図2】本発明の実施形態に係る通信装置および酸素ボンベ用通信装置の機能構成を説明する図。
【図3】通信信号の構成を説明する図。
【図4】タイムスロットによる制御方法を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係る通信装置のハードウェア構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、通信装置について図面を参照して説明する。
【0014】
(実施形態)
図1は、水中におけるダイバー5A,5B間の通信を説明する図である。ダイバー5A,5Bは、超音波を伝送媒体として水中で互いに通信を行う通信装置10A,10Bをそれぞれ携行している。この通信装置10A,10Bは、防水処理や耐水圧処理が施されたダイバーウォッチの様態であり、ダイバー5A,5Bの腕にそれぞれ装着されている。また、ダイバー5A,5Bが保持する酸素ボンベ8A,8Bには、防水処理や耐水圧処理が施された酸素ボンベ用通信装置50A,50Bがそれぞれ設置されている。この酸素ボンベ用通信装置50A,50Bは、装着された酸素ボンベ8A,8Bのガス残量に関する情報を取得し、取得した情報をダイバー5A,5Bが装着する通信装置10A,10Bに向けて超音波により送信する。
【0015】
尚、通信装置10A,10B間の通信で用いられる超音波の周波数(f1)は、通信装置10A,10Bと酸素ボンベ用通信装置50A,50B間の通信で用いられる超音波の周波数(f1)と同一である。また、この周波数(f1)は、10KHzから2MHzの間の周波数を想定し、通信装置10A,10Bの大きさ、通信信号のパワーおよび回路構成における利点等を考慮して決定される。本実施形態では、周波数(f1)として455KHzを採用し、ビットレートとして2kbps〜8kbpsを採用する。また、通信装置10A,10Bの通信距離は、40m〜50m程度を想定する。
図2は、通信装置10A,10Bおよび酸素ボンベ用通信装置50A,50Bの機能構成を説明する図である。この中で、通信装置A(10A)および通信装置B(10B)、並びに、酸素ボンベ用通信装置A(50A)および酸素ボンベ用通信装置B(50B)は、機能構成やハードウェア構成は同一であるため、代表して通信装置A(10A)と酸素ボンベ用通信装置A(50A)の各機能部を説明する。
【0016】
最初に、通信装置A(10A)について説明する。通信装置A(10A)は、操作部30A、制御部35A、記憶部40A、通信部20A、圧電素子部15Aおよび表示部45Aを備える。
操作部30Aは、通信装置A(10A)を保持するダイバー5Aにより操作され、操作に応じた操作指示が制御部35Aに送られる。本実施形態では、操作部30Aは、通信装置A(10A)上に配置されたボタン(図示は略す。)を想定する。
制御部35Aは、操作部30Aから送られる操作指示に基づき、通信装置A(10A)の各機能部の動作を制御する。尚、通信装置A(10A)が通信を行う場合、制御部35Aは、送受信や非通信の指示を、テーブル(タイムスロット)100A(図4)に基づいて、通信部20Aを送信または受信の通信状態(通信モード)、または送信および受信を行わない非通信状態(待機モード)に遷移させるべく制御する。
【0017】
より詳細には、制御部35Aは、タイムスロット100A(図4)に基づいて通信部20Aによる送受信が行われる場合、送受信時において所定の電流を消費する通信モードに通信部20Aを遷移させ、通信部20Aを送信状態または受信状態に移行させた後、送受信を指示する。他方で、タイムスロット100A(図4)に基づいて通信部20Aによる送受信が行われない場合、通信部20Aを、送信状態でも受信状態でもない待機状態に遷移させることで、通信モードと比較して消費する電流が低減する。
また、通信装置A(10A)と通信装置B(10B)は、設定により何れか一方がマスターとして通信の制御を行い、他方がスレーブとしてマスターの制御に従うように製造されている。本実施形態では、通信装置A(10A)がマスターであり、通信装置B(10B)がスレーブに設定されている。
【0018】
本実施形態では、通信装置A(10A)から通信装置B(10B)に送信される情報は、定型文である。この定型文は、「助けてください」、「もっと近くにきてください」等の通信相手に対する要求事項や伝達事項等であり、記憶部40Aに予め記憶されている。通信装置A(10A)に対する操作に基づいて定型文の一つが記憶部40Aから呼び出され、通信装置B(10B)に送信される。また、通信装置A(10A)から酸素ボンベ用通信装置A(50A)に送信される情報は、酸素ボンベ用通信装置A(50A)に対して情報の送信を要求する要求信号等である。従って、本実施形態において、1回の通信でやり取りされる情報量は30バイト程度を想定する。
記憶部40Aは、通信装置B(10B)や酸素ボンベ用通信装置A(50A)と通信するためのタイムスロット100A(図4)、通信条件、通信手順、自身や通信相手の属性情報および定型文を記憶する。
通信部20Aは、送信部24Aと受信部28Aを備える。送信部24Aは、送信する定型文や要求信号によって変調された周波数(f1)の通信信号を生成し、生成した通信信号を所定の出力まで増幅することにより高周波信号を生成する。生成した高周波信号は圧電素子部15Aに送られる。尚、通信信号のデータ構成については後述する。
【0019】
また、受信部28Aは、圧電素子部15Aから送られる高周波信号から通信信号を取得する。高周波信号が通信装置B(10B)から送信された場合、取得した通信信号には定型文が含まれる。この定型文は表示部45Aに表示される。また、高周波信号が酸素ボンベ用通信装置A(50A)から送信された場合、取得した通信信号には要求信号に対する返答情報が含まれる。この返答情報は、酸素ボンベ8Aのガスの残圧力を想定し、制御部35Aにより残時間を示す情報に変換され、変換された情報は表示部45Aに表示される。
圧電素子部15Aは、共振周波数(f1)を有する超音波振動部である。本実施形態では、圧電素子部15Aとして、弾性振動により超音波を送受信する超音波振動子(図示は略す。)を採用する。この超音波振動子は、超音波振動を検出した場合には高周波信号に変換して出力し、高周波信号が入力された場合には高周波信号に応じた超音波振動を生成して放射する。
【0020】
通信装置A(10A)は、図5に示すように、ハードウェアとして、CPU91、メモリー92、発振回路94、送信回路95、受信回路96および表示パネル93等を備え、これらのハードウェアはバス97を介して信号を授受可能に接続されている。上述した各機能部は、これらのハードウェアとメモリー92に記憶されたソフトウェアとが協働することにより実現される。
次に、酸素ボンベ用通信装置A(50A)について説明する。酸素ボンベ用通信装置A(50A)は、記憶部55A、制御部60A、データ取得部65A、通信部70Aおよび圧電素子部80Aを備える。
記憶部55Aは、通信装置A(10A)と通信するためのタイムスロット100B(図4)、通信条件および通信手順等を記憶する。また、制御部60Aは、酸素ボンベ用通信装置A(50A)の各機能部の動作を制御する。また、データ取得部65Aは、制御部60Aからの指示に応じて、酸素ボンベ8Aのガス残量に関する情報を取得し、取得した情報を通信部70Aに送る。
通信部70Aは、送信部74Aと受信部78Aを備える。送信部74Aは、データ取得部65Aから送られるガス残量に関する情報によって変調された周波数(f1)の通信信号を生成し、生成した通信信号を所定の出力まで増幅することにより高周波信号を生成する。生成した高周波信号は、圧電素子部80Aに送られる。
【0021】
受信部78Aは、圧電素子部80Aから送られる高周波信号から通信信号を取得する。取得した通信信号は制御部60Aに送られる。ここで、通信信号は、酸素ボンベ8Aのガス残量に関する情報の送信を要求する要求信号であり、制御部60Aは、この信号を受けて、データ取得部65Aに対して酸素ボンベ8Aのガス残量の取得を指示する。尚、酸素ボンベ用通信装置A(50A)が通信を行う場合、通信装置A(10A)と同様に、制御部60Aは、テーブル(タイムスロット)100B(図4)に基づいて、通信部70Aを通信状態(通信モード)、または非通信状態(待機モード)に遷移させるべく制御する。
【0022】
圧電素子部80Aは、圧電素子部15Aと同様であり、共振周波数(f1)を有する超音波振動部である。
酸素ボンベ用通信装置A(50A)は、ハードウェアとして何れも図示を略した、CPU、メモリー、発振回路、送信回路および受信回路等を備え、上述した各機能部は、これらのハードウェアと、メモリーに記憶されたソフトウェアとが協働することにより実現される。
次に、通信信号のデータ構成について、図3および図4を参照して説明する。図3に示すように、通信信号は、一定の時間長さを有するスロット毎に分割され、各情報は、各スロットに含まれるパケットにより伝送される。1つのパケットは、先頭を示し同期を取るためのプリアンブル領域、ID情報領域、伝達情報領域およびエラーチェックのための巡回冗長検査(CRC)領域で構成され、時間長さは不定であるが、1つのスロットの時間長さを超えることはない。
【0023】
ID情報領域には、スロットの番号、自身のID、自身の識別データ、相手先識別データ、製造番号、送信先ID等の情報が含まれる。また、伝達情報領域には、時刻情報やガスの残圧力等の情報が含まれる。
図4は、タイムスロットによる制御方法を示す図である。図4の上段には、通信装置A(10A)、酸素ボンベ用通信装置A(50A)、通信装置B(10B)および酸素ボンベ用通信装置B(50B)の駆動タイミングが各タイムスロット(100A〜100D)で示されている。これらのタイムスロット(100A〜100D)の横軸は時間軸を示し、縦軸は、ひとつの横軸の繰り返しで表現される。本実施形態では、ビットレートが4kbpsであって、1パケット当たり約30byteとした場合、通信のインターバルを決める1フレームは、ダイバー5Aとダイバー5Bによる水中通信には15スロットが好適である。また、1スロットの時間長さは、パケットの時間長さと、水中での超音波の伝播遅延時間を考慮して決定される。従って、本実施形態では、横軸方向には、15スロットで構成され、1周期が1秒程度である1フレームを配置し、縦軸方向には、2フレームで構成される1フィールドを定義する。
【0024】
それぞれの制御部35A,35B,60A,60Bは、それぞれのタイムスロット(100A〜100D)の各スロットを1フィールドの先頭から同一のタイミングで順次参照することで、通信相手である他の装置と同期を取ることができる。そして、1フィールドを構成する全てのスロットを参照した場合、1フィールドの先頭のスロットに戻り、同期が維持された状態で再度参照を繰り返す。従って、スロット31から始まるフレームは、スロット1から始まるフレームと同一の属性である。
タイムスロット(100A〜100D)に示すように、一部のスロットには、送信指示または受信指示を示す通信指示が、それぞれの通信相手と共有されて通信可能になるように割り当てられている。例えば、マスターである通信装置A(10A)は、タイムスロット100Aの1フィールドにおいて、スロット1(以降、「S1」と略す。他のスロットも同様。)、S16、S3、S18およびS7は、他の装置への送信指示が割り当てられている。また、S4、S19およびS22は、他の装置からの受信指示が割り当てられている。タイムスロット100Aにおいて上述した送信および受信のスロット以外は、待機状態(スタンバイ状態)を示すスロットである。これらのタイムスロット(100A〜100D)は、通信装置A(10A)、酸素ボンベ用通信装置A(50A)、通信装置B(10B)および酸素ボンベ用通信装置B(50B)を起動して使用する前に、マスターである通信装置A(10A)において決定され、他の装置に通知されると共に、それぞれの装置が備えるクロックが同期される。このようにして、タイムスロット(100A〜100D)を通信装置A、通信装置B、酸素ボンベ用通信装置A、酸素ボンベ用通信装置Bの間で共有する。
【0025】
図4の下段には、通信装置A(10A)、通信装置B(10B)、酸素ボンベ用通信装置A(50A)および酸素ボンベ用通信装置B(50B)において、1フィールドの参照が実行されるタイミングを示すチャートである。このチャートに示すように、S1およびS3において、通信装置A(10A)および通信装置B(10B)は、通信モードに遷移し、通信装置A(10A)は、通信装置B(10B)に対してパケットを送信し、通信装置B(10B)は、通信装置A(10A)から送られるパケットを受信する。尚、S1においては、同期を取りやすくするために、マスターからスレーブに何らかの情報をパケットで送信することが好ましい。また、S3のパケットは、S3が実行される前までに操作部30Aを介して入力された操作指示のうち、通信装置B(10B)に対する動作指示を想定し、通信装置B(10B)は、受信したパケットの動作指示に応じた動作を実行する。尚、S2においては、通信装置A(10A)および通信装置B(10B)は、送受信を行わないため、何れも通信モードから待機モードに遷移する。
次に、S4において、待機モードの通信装置A(10A)および通信装置B(10B)は、通信モードに遷移し、通信装置B(10B)は、通信装置A(10A)に対してパケットを送信し、通信装置A(10A)は、通信装置B(10B)から送られるパケットを受信する。このパケットは、通信装置B(10B)が動作指示に応じた動作を実行した結果に関する返答情報を想定する。続いて、S5において、通信装置A(10A)および通信装置B(10B)は、待機モードに遷移する。
【0026】
次に、S7において、通信装置A(10A)は通信モードに遷移し、酸素ボンベ用通信装置A(50A)に対してパケットを送信する。また、起動時以来待機モードであった酸素ボンベ用通信装置A(50A)は、通信モードに遷移し、通信装置A(10A)から送られるパケットを受信する。このパケットは、通信装置A(10A)から酸素ボンベ用通信装置A(50A)に対する動作指示を想定する。
次に、S8において、通信装置A(10A)および酸素ボンベ用通信装置A(50A)は、待機モードに遷移し、通信装置B(10B)および酸素ボンベ用通信装置B(50B)は、通信モードに遷移する。続いて、通信装置B(10B)は、酸素ボンベ用通信装置B(50B)に対してパケットを送信し、酸素ボンベ用通信装置B(50B)は、通信装置B(10B)から送られるパケットを受信する。このパケットは、通信装置B(10B)から酸素ボンベ用通信装置B(50B)に対する動作指示を想定する。この後、S9において、通信装置B(10B)および酸素ボンベ用通信装置B(50B)は、待機モードに遷移する。
【0027】
続いて、S16およびS18において、通信装置A(10A)および通信装置B(10B)は、通信モードに遷移し、通信装置A(10A)は、通信装置B(10B)に対してパケットを送信し、通信装置B(10B)は、通信装置A(10A)から送られるパケットを受信する。このパケットは、通信装置A(10A)から通信装置B(10B)に対する動作指示を想定し、通信装置B(10B)は、受信したパケットの動作指示に応じた動作を実行する。尚、S17においては、通信装置A(10A)および通信装置B(10B)は、送受信を行わないため、何れも通信モードから待機モードに遷移する。
【0028】
次に、S19において、通信装置B(10B)は、通信装置A(10A)に対してパケットを送信し、通信装置A(10A)は、通信装置B(10B)から送られるパケットを受信する。このパケットは、通信装置B(10B)が動作指示に応じた動作を実行した結果に関する返答情報を想定する。続いて、S20において、通信装置A(10A)および通信装置B(10B)は、待機モードに遷移する。
次に、S22において、通信装置A(10A)および酸素ボンベ用通信装置A(50A)は通信モードに遷移し、酸素ボンベ用通信装置A(50A)は、通信装置A(10A)に対してパケットを送信し、通信装置A(10A)は、酸素ボンベ用通信装置A(50A)から送られるパケットを受信する。このパケットは、S7の動作指示に応じた動作を実行した結果に関する返答情報を想定する。
【0029】
次に、S23において、通信装置A(10A)および酸素ボンベ用通信装置A(50A)は、待機モードに遷移し、通信装置B(10B)および酸素ボンベ用通信装置B(50B)は、通信モードに遷移する。続いて、酸素ボンベ用通信装置B(50B)は、通信装置B(10B)に対してパケットを送信し、通信装置B(10B)は、酸素ボンベ用通信装置B(50B)から送られるパケットを受信する。このパケットは、S8の動作指示に応じた動作を実行した結果に関する返答情報を想定する。この後、S24において、通信装置B(10B)および酸素ボンベ用通信装置B(50B)は、待機モードに遷移する。
上述のように1フィールドが実行され、マスターである通信装置A(10A)からの終了指示が送信されるまで、フィールド単位で繰り返される。
以上、述べたように、通信装置A(10A)、通信装置B(10B)、酸素ボンベ用通信装置A(50A)および酸素ボンベ用通信装置B(50B)は、自身のスロットが待機状態である場合、制御部(35A,35B,60A,60B)からの指示に応じて、それぞれ待機モードへ遷移する。この結果、通信モードにおいて10mA〜数10mA程度の電流を消費する通信部(20A,20B,70A,70B)の消費電流は低減し、消費電力を1/10程度に低減させることができる。
【0030】
また、パケットのID情報領域には、スロットの番号が保持されるため、1つの装置においてタイムスロット100の時間的なタイミングにズレが生じた場合であっても、受信したパケットのスロットの番号に基づいてズレを補正できる。
また、通信装置10A,10Bと、酸素ボンベ用通信装置50A,50Bのような機能が異なる複数の装置に、スロットを割り振ることにより、センシング機能と双方向データ通信機能とを実現できる。
また、通信間隔や通信頻度を、通信の緊急度や通信装置10A,10Bや酸素ボンベ用通信装置50A,50Bのバッテリー容量等に応じてタイムスロット100に設定できる。
また、タイムスロット100のスロット数に応じて、スロットを割り振る機器を増やすことができるため、1:1の通信や1:N通信、および、通信装置10A,10Bを介した酸素ボンベ用通信装置50A,50B間の通信のように、橋渡し方式によるN:N通信を容易に実現できる。
【0031】
以上、本発明を図示した実施形態に基づいて説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、以下に述べるような変形例も想定できる。
(1)酸素ボンベ用通信装置50A,50Bは、要求信号を受信する受信機能を備えたが、受信機能を持たず、ガス残量に関する情報を一定の時間間隔で送る様態であっても良い。
(2)タイムスロット(100A〜100D)の各スロットは、1台の装置に対する情報には限定されず、受信先のID情報を備えることで、複数の特定の装置に対する情報であっても良い。また、1台の装置から不特定な複数の装置に対して送信するブロードキャスト情報でも良い。
(3)通信装置A(10A)と通信装置B(10B)との間で授受される情報は、定型文の様態には限定されず、定型文に対応して予め両者間で取り決めた定型文のID番号であっても良い。
【符号の説明】
【0032】
5A,5B…ダイバー、8A,8B…酸素ボンベ、10A,10B…通信装置、15A,15B…圧電素子部、20A,20B…通信部、24A,24B…送信部、28A,28B…受信部、30A,30B…操作部、35A,35B…制御部、40A,40B…記憶部、45A,45B…表示部、50A,50B…酸素ボンベ用通信装置、55A,55B…記憶部、60A,60B…制御部、65A,65B…データ取得部、70A,70B…通信部、74A,74B…送信部、78A,78B…受信部、80A,80B…圧電素子部、91…CPU、92…メモリー、93…表示パネル、94…発振回路、95…送信回路、96…受信回路、97…バス、100,100A,100B,100C,100D…タイムスロット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中において超音波を伝送媒体として他の通信装置と通信する通信装置であって、
1つの共振周波数によって超音波を検出または生成する超音波振動部と、
前記超音波を用いて情報を送受信する通信部と、
前記他の通信装置との通信を指示する通信指示が時系列に割り当てられた、前記他の通信装置と共通のテーブルを記憶する記憶部と、
前記他の通信装置と同期を取り、前記テーブルの前記通信指示に基づいて、前記通信部を送信状態、受信状態、および、前記送信状態でも前記受信状態でもない待機状態の何れか1つに遷移させる制御部と、を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
前記通信部は、一定の時間長さを越えない時間長さに分割したパケットを用いて、前記情報を前記他の通信装置と送受信することを特徴とする通信装置。
【請求項3】
水中において超音波を伝送媒体として他の通信装置と通信する通信方法であって、
前記他の通信装置との通信を指示する通信指示が時系列に割り当てられた、前記他の通信装置と共通のテーブルに基づいて、前記他の通信装置と同期を取り、1つの周波数の前記超音波を用いて前記他の通信装置との間で前記超音波を用いて情報を送受信する通信部を、送信状態、受信状態、および、前記送信状態でも前記受信状態でもない待機状態の何れか1つに遷移させることを特徴とする通信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−23923(P2011−23923A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166435(P2009−166435)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】