説明

通信装置および通信方法

【課題】複数コーデックに対応したテレビ会議端末のデータ伝送において、遅延時間を低減できる通信装置および通信方法を提供する。
【解決手段】パイプライン上の各処理ステップにおいて、データ処理単位を可変とし、使用するコーデックに応じて最適な処理単位を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像音声の伝送データ量の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ会議端末では、映像および音声の符号化を行うために特定のコーデックを使用す
るが、複数のコーデックを搭載し、それらを切り替えて使用することができる。
【0003】
特許文献1は、単位時間当たりの送信画像データ量が一定になるようにするためのテレ
ビ電話装置の発明である。
【0004】
テレビ会議端末などで使用する各種のコーデックは、符号化の処理を行うデータ処理単
位が異なる。ここでのデータ処理単位とは、データを入力して処理を行い、処理結果のデ
ータを出力するときの一度に入力するデータの長さと出力するデータの長さを指す。コー
デックによりデータ処理単位が異なるため、符号化からネットワークに送信するためのパ
ケット化等の各処理ステップをつないだデータ処理およびデータ伝送部分(パイプライン
)は、各コーデックに対応するように設計する必要がある。
【0005】
従来のテレビ会議端末では、複数のコーデックに対応するために、符号化およびパケッ
ト化する際のデータ処理単位(パイプラインのデータ処理単位)を、テレビ会議端末で想
定される複数のコーデックの処理単位のうち、最大のもののサイズとしている。これによ
りパイプラインを再設計することなく、パイプラインのデータ処理単位以下の様々なデー
タ処理単位のコーデックにも対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−355740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、パイプラインのデータ処理単位よりも小さなデータ処理単位のコーデックを使
用すると、パイプライン上において不要な待ち時間が発生することになる。たとえば、パ
イプラインのデータ処理単位が128バイトで、コーデックの処理単位が32バイトの場
合、32バイトのデータが4個たまるまで次の処理を開始することができない。この4個
たまるまでの待ち時間は遅延時間となる。この遅延時間が長くなると、テレビ会議の際に
、一方のカメラ映像およびマイク音声が相手に届くまでの時間が長くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、パイプライン上の符号化およびパケット化など
の各処理ステップにおいて、データ処理単位を可変とし、使用するコーデックに応じて処
理単位を設定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、複数コーデックに対応したテレビ会議端末のデータ伝送において、従来
のテレビ会議端末よりも遅延時間を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明をテレビ会議通信システムに適用した場合の一実施形態を示すシステ ム構成図である。
【図2】図1におけるテレビ会議通信装置の一具体例を示すブロック構成図である。
【図3】図2での記憶部から読み出されてメモリに展開されたプログラムの一具体例 を示す図である。
【図4】図2での記憶部に記憶されているコンテンツ対応テーブルの一具体例を示す 図である。
【図5】従来および本発明のパイプラインの一具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態では、テレビ
会議通信装置をテレビ会議端末とするものであるが、本発明はこれに限るものではなく、
映像または音声の通信を行う通信端末に適用可能である。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明を適用したテレビ会議通信システムの一実施形態を示すシステム構成図
である。本実施例のテレビ会議通信システムは、テレビ会議通信装置およびテレビ会議通
信方法を有し、1と2はテレビ会議通信装置、3はネットワーク、4はカメラ、5はモニ
ター、6はマイク、7はスピーカー、8はリモコンである。同図において、テレビ会議通
信装置1は、カメラ4、モニター5、マイク6、スピーカー7と接続され、映像と音声の
入出力を行うことができる。なお、テレビ会議通信装置2はテレビ会議通信装置1と同様
の装置および構成である。
【0013】
テレビ会議通信装置1は、ネットワーク3を介してテレビ会議通信装置2と音声会議お
よびテレビ会議を行うことができる。テレビ会議通信装置1の操作はリモコン8で行うこ
とができる。
【0014】
カメラ4は、テレビ会議通信装置1と接続され、撮影した映像信号をテレビ会議通信装
置1へ出力する。
【0015】
モニター5は、テレビ会議通信装置1と接続され、テレビ会議通信装置1から出力され
た映像信号を入力し、表示する。
【0016】
マイク6は、テレビ会議通信装置1と接続され、集音した音声を音声信号としてテレビ
会議通信装置1へ出力する。
【0017】
スピーカー7は、テレビ会議通信装置1と接続され、テレビ会議通信装置1から出力さ
れた音声信号を入力し、音声を鳴らすためのものである。
【0018】
リモコン8は、テレビ会議通信装置1にリモコン信号の送信を行い、利用者からテレビ
会議通信装置1への操作指示を伝える。
【0019】
図2は、図1に示すテレビ会議通信システムでのテレビ会議通信装置1の内部構成の一
具体例を示すブロック構成図であって、101は制御部、102はメモリ、103−1は
映像エンコーダ、103−2は音声エンコーダ、104−1は映像デコーダ、104−2
は音声デコーダ、118は多重化部、119は分離部、105はストリーム処理部、10
6は記憶部、107−1はモニタ5への映像出力のための映像処理部、107−2はカメ
ラ4からの入力映像のための映像処理部、108−1はスピーカ7への音声出力のための
音声処理部、108−2はマイク6からの音声入力のための音声処理部、109はリモコ
ン処理部、110はネットワーク接続部、112は映像入力端子、113は映像出力端子
、114は音声入力端子、115は音声出力端子、116はリモコン入力端子、117は
ネットワーク接続端子である。
【0020】
制御部101は、後述するように記憶部106に格納されたプログラムをメモリ102
に展開し、展開したプログラムを実行することで各種プログラムに応じた機能を実現する
ものである。また、リモコン処理部109から入力した操作情報に応じてプログラムを制
御するものである。
【0021】
エンコーダ103−1は、映像処理部107からの映像信号を、エンコーダ103−2
は音声処理部108からの音声信号を入力し、入力した信号情報を圧縮符号化し、それぞ
れ映像データおよび音声データとして、後述する多重化部118またはストリーム処理部
105に出力するものである。
【0022】
デコーダ104−1およびデコーダ104−2は、後述する分離部119またはストリ
ーム処理部105から出力された圧縮符号化されている映像データおよび音声データをそ
れぞれ入力し、圧縮されている状態から映像信号および音声信号にそれぞれ伸張展開する
ものである。
【0023】
多重化部118は、エンコーダ103から入力した、MPEG−2システムでElem
entary Stream(ES)と規定される、圧縮符号化された映像データおよび
圧縮符号化された音声データを多重化して、Transport Stream(TS)
と呼ばれる、パケット化された映像音声データを出力する。
【0024】
分離部119は、ストリーム処理部105から出力された映像音声データを分離して、
映像データおよび音声データとするためのものである。
【0025】
テレビ会議通信端末2は、多重化部118および分離部119を有しない場合があり、
また有する場合であってもテレビ会議通信端末2の設定により、多重化および分離を行わ
ない場合がある。このような場合、(i)送信側では、圧縮符号化された映像データおよ
び圧縮符号化された音声データは、それぞれエンコーダ103−1およびエンコーダ10
3−2からストリーム処理部105に入力され、(ii)受信側では、ストリーム処理部
105から出力された圧縮符号化された映像データおよび圧縮符号化された音声データは
、それぞれデコーダ104−1およびデコーダ104−2に入力され、伸張復号されて映
像信号および音声信号となる。
【0026】
ストリーム処理部105は、入力された映像データおよび音声データから、ネットワー
クを介して他のテレビ会議通信装置2に送信するネットワークプロトコルのパケットであ
るネットワークパケットを生成し、連続したネットワークパケットである映像ストリーム
および音声ストリーム、または映像データと音声データが多重化された映像音声ストリー
ムを出力する。ストリーム処理部105は、多重化部118が存在しない場合またはその
機能がオフの設定となっている場合は、エンコーダ103−1、103−2から入力した
圧縮符号化された映像データおよび圧縮符号化された音声データを、映像ストリームおよ
び音声ストリームに変更する。また、ストリーム処理部105は、多重化部118が存在
し、かつその機能がオンの設定となっている場合は、多重化部118から入力したTra
nsport Streamである映像音声データを、多重化された映像音声データの、
連続したネットワークパケットである映像音声ストリームに変更する。
【0027】
また、他のテレビ会議通信装置から受信した映像ストリームおよび音声ストリームを、
デコーダ104で処理するための形式である映像データおよび音声データに変更したり、
他のテレビ会議通信装置から受信したストリームが多重化された映像音声ストリームの場
合は、分離部119で処理するための形式であるTSの映像音声データに変更したりする
ためのものである。
【0028】
映像ストリーム、音声ストリームおよび映像音声ストリームは、映像データおよび音声
データおよび映像音声ストリームに、ストリーム処理部105が生成した時間情報や映像
および音声のフォーマット情報などのヘッダデータを付加したものである。
【0029】
記憶部106は、制御部101が実行するためのプログラムを格納するためのものであ
る。
【0030】
映像処理部107−1と107−2は、それぞれ映像入力端子112と映像出力端子1
13の制御を行い、映像入力端子112から入力した映像信号をエンコーダ103−1に
出力したり、デコーダ104−1から入力した映像信号を映像出力端子113へ出力した
りする。
【0031】
音声処理部108−1と108−2は、それぞれ音声入力端子114と音声出力端子1
15の制御を行い、音声入力端子114から入力した音声信号をエンコーダ103−2に
出力したり、デコーダ104−2から入力した音声信号を音声出力端子115へ出力した
りする。
【0032】
リモコン処理部109は、リモコン入力端子116から入力したリモコン信号を、制御
部101に操作情報として出力するためのものである。
【0033】
ネットワーク接続部110は、ネットワーク接続端子117を介して、ネットワーク3
を介して接続された他のテレビ会議通信装置と音声会議およびテレビ会議を行うために必
要な映像ストリームおよび音声ストリームや、接続情報の送受信を行う。
【0034】
映像入力端子112は、カメラ4と接続し、カメラ4から入力した映像信号を映像処理
部107−2へ出力する。
【0035】
映像出力端子113は、モニター5と接続し、映像処理部107−1から入力した映像
信号をモニター5へ出力する。
【0036】
音声入力端子114は、マイク6と接続し、マイク6から入力した音声信号を音声処理
部108−2へ出力する。
【0037】
音声出力端子115は、スピーカー7と接続し、音声処理部108−1から入力した音
声信号をスピーカー7へ出力する。
【0038】
図3は、図2におけるテレビ会議通信装置1で記憶部106から読み出されてメモリ1
02に展開されたプログラムの一具体例を示す図であって、301は映像符号化制御部、
302は音声符号化制御部、303は映像復号制御部、304は音声復号制御部、305
は多重化制御部、306は分離制御部、307はパケット送信制御部、308はパケット
受信制御部、309はパラメータ設定部である。
【0039】
映像符号化制御部301は、テレビ会議を行う際に、テレビ会議通信装置1の映像処理
部107やエンコーダ103などの各部を制御し、カメラから入力した映像を符号化して
映像データを出力するためのプログラムである。
【0040】
音声符号化制御部302は、音声会議またはテレビ会議を行う際に、テレビ会議通信装
置1の音声処理部108やエンコーダ103などの各部を制御し、マイクから入力した音
声を符号化して音声データを出力するためのプログラムである。
【0041】
映像復号制御部303は、ストリーム処理部105や映像処理部107などの各部を制
御し、受信した映像データを復号化してモニター5へ出力するためのプログラムである。
【0042】
音声復号制御部304は、ストリーム処理部105や音声処理部108などの各部を制
御し、受信した音声データを復号化してスピーカー7へ出力するためのプログラムである

【0043】
多重化制御部305は、多重化部118などの各部を制御し、映像データと音声データ
を多重化して、映像音声データとして出力するためのプログラムである。
【0044】
分離制御部306は、分離部119などの各部を制御し、ストリーム処理部105が出
力した映像音声データを映像データと音声データに分離するためのプログラムである。
【0045】
パケット送信制御部307は、ストリーム処理部105やネットワーク接続部110な
どの各部を制御し、映像データや音声データや多重化された映像音声データをネットワー
クに送出可能なようにパケット化を行い、映像ストリームや音声ストリームや映像音声ス
トリームとしてネットワーク3に送信するためのプログラムである。
【0046】
パケット受信制御部308は、ストリーム処理部105やネットワーク接続部110な
どの各部を制御し、ネットワーク3から映像ストリームや音声ストリームや映像音声スト
リームを受信し、受信したストリームをパケットの状態からヘッダデータを取り除き( デ
パケット化し)、映像データや音声データや映像音声データとするためのプログラムであ
る。
【0047】
パラメータ設定部309は、映像符号化制御部301、音声符号化制御部302など、
図3の各プログラムに対して、符号化の種類やパケットの種類に基づいて、一度に入力す
るデータの長さおよび一度に出力するデータの長さを指定するためのプログラムである。
【0048】
符号化の種類には、たとえば映像を符号化する方式としてはH.261やH.263や
H.264などがあり、音声を符号化する方式としてはG.711やG.722やG.7
28がある。ストリーム処理部105に入出力されるネットワークパケットの種類には、
RTP(Real−time Transport Protocol)やHTTP(H
ypertext Transfer Protocol)などがある。
【0049】
図4は、テレビ会議通信装置1の記憶部106に格納されているパラメータ設定テーブ
ルの一具体例を示す図である。パラメータ設定テーブルには、各種コーデックおよび各種
パケットを使用する際に、遅延時間が最小となるパラメータが記述されている。
【0050】
図4(1)は、テレビ会議通信装置1が送信処理を行う際の送信用パラメータ設定テー
ブルである。送信用パラメータ設定テーブルには、符号化種類に応じて、符号化時および
多重化時およびパケット化時に一度に入力するデータの長さと一度に出力するデータの長
さが記述されている。
【0051】
図4(2)は、テレビ会議通信装置1が受信処理を行う際の受信用パラメータ設定テー
ブルである。受信用パラメータ設定テーブルには、符号化種類に応じて、デパケット時お
よび分離時および復号時に一度に入力するデータの長さと一度に出力するデータの長さが
記述されている。
【0052】
ここでは、ストリーム処理部105におけるパケット化およびデパケット化時のパケッ
ト種類をRTPとしているが、別種類のパケットを使用する場合は、そのパケット種類用
のパラメータ設定テーブルを使用する。
【0053】
パラメータ設定テーブルで指定するデータの長さの単位は、時間情報としてミリ秒を用
いても良いし、サイズ情報としてバイトを用いても良い。ここではバイトとする。
【0054】
次にテレビ会議通信装置1でのテレビ会議時の映像および音声の送受信方法について説
明する。
【0055】
通話を開始すると、パラメータ設定部309は、記憶部106に記憶されている設定情
報を読み出す。設定情報には、符号化の種別およびパケット化の種別の情報が含まれてい
る。通話に使用する符号化およびパケット化の種別は、あらかじめテレビ会議通信装置1
の設定画面などで決定していても良いし、通話開始時にリモコン8を操作して選択しても
よい。ここでは、符号化とパケット化の種別があらかじめ決定しているものとする。
【0056】
次に、パラメータ設定部309は、記憶部106に記憶されているパラメータ設定テー
ブルを読み出し、通話に使用する符号化種類およびパケット種類とパラメータ設定テーブ
ルから、通話時に使用する各種パラメータを決定する。
【0057】
ここでの各種パラメータとは、符号化、多重化、パケット化、デパケット化、分離、復
号の各処理における入力データの長さと出力データの長さのことである。
【0058】
まず、送信側の処理について説明する。各種パラメータの値が決定すると、パラメータ
設定部309は、映像符号化制御部301および音声符号化制御部302に符号化のパラ
メータを、多重化制御部305に多重化のパラメータを、パケット送信制御部307に対
しパケット化のパラメータを、パケット受信制御部308に対しデパケット化のパラメー
タを、分離制御部306に分離のパラメータを、映像復号制御部303および音声復号制
御部304に復号のパラメータを設定する。
【0059】
映像符号化制御部301は、指定されたパラメータに基づいて、映像処理部107−2
から映像を指定量ぶんエンコーダ103−1へ入力し、エンコーダ103−1で符号化し
た映像データを指定量ぶん出力する。
【0060】
音声符号化制御部303は、指定されたパラメータに基いて、音声処理部108−2か
ら音声を指定量ぶんエンコーダへ103−2へ入力し、エンコーダ103−2で符号化し
た音声データを指定量ぶん出力する。
【0061】
多重化制御部305は、指定されたパラメータに基づいて、映像データおよび音声デー
タを指定量ぶん多重化部118へ入力し、多重化部118で多重化した映像音声データを
指定量ぶん出力する。なお、送信の際には、多重化の処理を行わずに、映像データおよび
音声データをそれぞれ、ストリーム処理部105でパケット化しても良い。
【0062】
パケット送信制御部308は、指定されたパラメータに基づいて、映像音声データを指
定量ぶんストリーム処理部105へ入力し、ストリーム処理部105でパケット化した映
像音声ストリームを指定量ぶん出力する。多重化の処理を行っていない場合は、映像デー
タおよび音声データを指定量ぶんストリーム処理部105へ入力し、ストリーム処理部1
05でパケット化した映像ストリームおよび音声ストリームを指定量ぶん出力する。
【0063】
次に受信の方法について説明する。テレビ会議通信装置1が、通話相手のテレビ会議通
信装置2の送信した映像音声ストリームを受信すると、パケット受信制御部309は、指
定されたパラメータに基づいて、ネットワーク接続部110からパケットを指定量ぶん入
力し、入力したパケットをストリーム処理部105でデパケット化し、デパケット化した
映像音声データを指定量ぶん出力する。テレビ会議通信装置2で映像データと音声データ
の多重化の処理を行っていない場合は、デパケット化したデータは、映像音声データでは
なく、映像データと音声データとして独立して出力する。
【0064】
分離制御部306は、指定されたパラメータに基づいて、ストリーム処理部105から
映像音声データを指定量ぶん入力し、入力した映像音声データを分離部119で分離し、
分離した映像データおよび音声データを指定量ぶん出力する。テレビ会議通信装置2で映
像データと音声データの多重化の処理を行っていない場合は、分離制御部306で処理を
行う必要は無い。
【0065】
映像復号制御部303は、指定されたパラメータに基づいて、分離部119またはスト
リーム処理部105から映像データを指定量ぶん入力し、入力した映像データをデコーダ
104で復号し、復号した映像を指定量ぶん出力する。
【0066】
音声復号制御部304は、指定されたパラメータに基づいて、分離部119またはスト
リーム処理部105から音声データを指定量ぶん入力し、入力した音声データをデコーダ
104で復号し、復号した音声を指定量ぶん出力する。
【0067】
図5は、従来の処理と本実施例の処理の一具体例を示す図である。図5(1)は、従来の
処理のパイプラインを用いた場合を示しており、各処理における処理単位が大きくなって
いる。このため信号入力からパケット送信までの処理遅延が大きくなっている。図5(2)
に、本実施例でのパイプラインを示す。符号化および多重化およびパケット送信の各処理
ステップでの処理単位のサイズをパラメータの指定により任意に設定できるようにしてい
る。これにより、使用するコーデックを変更してもパラメータを設定するのみで容易に対
応することができる。また、処理単位を可変とし使用するコーデックおよびパケットの種
類に応じたサイズにすることで、従来のパイプラインに比べ遅延量を削減している。
【0068】
以上により、パラメータ設定テーブルに基づき、送信処理において映像および音声の符
号化とパケット化が行われ、受信処理においてデパケット化と映像および音声の復号が行
われる。パラメータ設定テーブルに記述された、符号化の種類およびパケット化の種類に
応じたパラメータを設定することで、多様な符号化の種類およびパケット化の種類に対応
することができ、符号化からパケット化にいたるまでの処理の間の不要な待ち時間が発生
することを防ぐことができる。
【実施例2】
【0069】
テレビ会議通信装置1のハードウェアの制限などにより、コーデックの種類やパケット
化の種類に適したデータ処理単位までパイプラインのデータ処理単位を小さくできない場
合がある。その場合、パイプラインのデータ処理単位ぶんまで、処理結果のデータが蓄積
するのを待つ必要があり、その待ち時間が遅延時間となってしまう。
【0070】
上記を解決するために、実施例1の各出力処理において、処理結果である本来のデータ
に加えて意味を持たないデータ(0データなど)を、処理結果のデータ量がパイプライン
のデータ処理単位に満たない分だけ付与(パディング)して、パイプラインのデータ処理
単位に至るようにして出力する。これにより、エンコーダ103、多重化部118、ストリーム処理部105、分離部109、デコーダ104は、処理結果のデータがパイプラインのデータ処理単位に至るまで蓄積するのを待つことなく、次の処理を進めることができる。
【0071】
パディングデータを付与する場合は、データ伝送時にヘッダデータをつける。ヘッダデ
ータには、パディングデータサイズまたは本来のデータサイズを記述する。これにより、
パディングデータを付与した処理部から出力されたデータを入力する次の処理部において
、ヘッダデータに記述されたデータサイズを読み取り、本来のデータとパディングデータ
の区別を行い、本来のデータのみを取り出すことが可能となる。
【0072】
パラメータ設定テーブルには、実施例1と同様に各種コーデックおよび各種パケットに
適したデータ処理単位を記述する。各処理部にパラメータを設定する部分などは実施例1
と同様であるため説明を省略する。
【0073】
各処理部でのデータ出力時において、パラメータ設定テーブルで設定されたデータの長
さよりもパイプラインのデータ処理単位が大きい場合、つまり待ち時間が発生する場合は
、パイプラインのデータ処理単位と同じデータサイズとなるようにパディングデータを付
与し、パディングサイズまたは本来のサイズを記述したヘッダを付与して出力し、次の処
理部へ伝送する。
【0074】
以上により、ハードウェアの制約などでパイプラインのデータ処理単位が小さくできな
い場合でも、パディングデータを付与してパイプライン上を伝送することで、不要な待ち
時間が発生することを防ぐことができる。
【0075】
以上の実施例においてはテレビ会議端末を例に挙げて説明したが、本発明の適用対象は
、テレビ会議端末に限るものではない。映像音声の伝送に関わる応用であれば何でもよく
、例えば、乗用車に搭載したカメラや放送通信融合システム等における映像音声の伝送デ
ータ量の制御方法としても利用可能である。
【0076】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであ
り、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実
施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例
の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部につ
いて、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0077】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば
集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能
等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することにより
ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の
情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、また
は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0078】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全
ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接
続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1、2 テレビ会議通信装置
3 ネットワーク
4 カメラ
5 モニター
6 マイク
7 スピーカー
8 リモコン
101 制御部
102 メモリ
103−1、103−2 エンコーダ
104−1、104−2 デコーダ
118 多重化部
119 分離部
105 ストリーム処理部
106 記憶部
107−1、107−2 映像処理部
108−1、108−2 音声処理部
109 リモコン処理部
110 ネットワーク接続部
112 映像入力端子
113 映像出力端子
114 音声入力端子
115 音声出力端子
116 リモコン入力端子
117 ネットワーク接続端子
118 多重化部
119 分離部
301 映像符号化制御部
302 音声符号化制御部
303 映像復号制御部
304 音声復号制御部
305 多重化制御部
306 分離制御部
307 パケット送信制御部
308 パケット受信制御部
309 パラメータ設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像と音声を圧縮符号化して送信する通信装置であって
映像信号を入力し、圧縮符号化して映像符号化データとして出力する映像符号化部と
音声信号を入力し、圧縮符号化して音声符号化データとして出力する音声符号化部と
前記符号化された映像符号化データおよび前記符号化された音声符号化データを入力し、パケット化したデータとして出力するパケット送信部と、
前記映像符号化部、音声符号化部、および前記パケット送信部が一度に入力するデータの長さおよび一度に出力するデータの長さを設定するパラメータ設定部とを有し、
前記映像信号および音声信号を符号化しパケット化してネットワークに送信する場合に、
前記パラメータ設定部は前記映像符号化部および音声符号化部における符号化の種類おならびにネットワークに送信するパケットの種類に基づいて、符号化部およびパケット送信部が一度に入力するデータの長さおよび一度に出力するデータの長さを設定すること
を特徴とする通信装置。
【請求項2】
圧縮符号化された映像および音声を受信する通信装置であって
パケット化したデータを入力し、映像符号化データおよび音声符号化データとして出力するパケット受信部と、
前記映像符号化データおよび音声符号化データを入力し、復号して映像信号および音声信号として出力する復号部と
前記パケット受信部および前記復号部が一度に入力するデータの長さおよび一度に出力するデータの長さを設定するパラメータ設定部とを有し、
ネットワークからパケットを受信し映像信号および音声信号として出力する際に、
前記パラメータ設定部はネットワークから受信したパケットの種類および符号化の種類に基づいて、パケット受信部および復号部が一度に入力するデータの長さおよび一度に出力するデータの長さを設定すること
を特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の通信装置であって
前記符号化部で符号化された映像および音声符号化データを入力し、多重化して映像音声符号化データとして出力する多重化部を有し、
前記パケット送信部は前記映像音声符号化データを入力し、ネットワークに送信するためにパケット化したデータを出力し、
映像および音声データを符号化および多重化およびパケット化してネットワークに送信する際に、
前記パラメータ設定部は符号化の種類およびネットワークに送信するパケットの種類に基づいて、符号化部および多重化部およびパケット送信部が一度に入力するデータの長さおよび一度に出力するデータの長さを設定すること
を特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項2に記載の通信装置であって
前記パケット受信部は、映像と音声が多重化されたパケットを映像音声符号化データとして出力し、
前記映像音声符号化データを入力し、映像符号化データおよび音声符号化データとして分離して出力する分離部を有し、
映像と音声が多重化されたパケットを受信し、映像信号および音声信号として出力する際に、
前記パラメータ設定部はネットワークから受信するパケットの種類および符号化の種類に基づいて、パケット受信部および分離部および復号部が一度に入力するデータの長さおよび一度に出力するデータの長さを設定すること
を特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4に記載の通信装置において、
前記符号化部、前記パケット送信部、前記復号部、前記パケット受信部、前記多重化部または前記分離部の各処理部において、
ハードウェアの最小データ伝送サイズの制約などにより、前記パラメータ設定部で設定された長さではデータを出力できない際に、
パディングデータを付与してデータを出力すること
を特徴とする通信装置。
【請求項6】
映像と音声を圧縮符号化して送信する通信方法であって
映像および音声データを符号化しパケット化してネットワークに送信する際に、
符号化の種類およびネットワークに送信するパケットの種類に基づき、符号化処理およびパケット化処理において、一度に入力するデータの長さおよび一度に出力するデータの長さを設定すること
を特徴とする通信方法。
【請求項7】
圧縮符号化された映像および音声を受信する通信方法であって
ネットワークからパケットを受信し映像信号および音声信号として出力する際に、
ネットワークから受信したパケットの種類および符号化の種類に基づき、パケット受信処理および復号処理において、一度に入力するデータの長さおよび一度に出力するデータの長さを設定すること
を特徴とする通信方法。
【請求項8】
請求項6に記載の通信方法であって
映像および音声データを符号化および多重化およびパケット化してネットワークに送信する際に、
符号化の種類およびネットワークに送信するパケットの種類に基づき、符号化処理および多重化処理およびパケット送信処理において、一度に入力するデータの長さおよび一度に出力するデータの長さを設定すること
を特徴とする通信方法。
【請求項9】
請求項7に記載の通信方法であって
映像と音声が多重化されたパケットを受信し、映像信号および音声信号として出力する際に、
ネットワークから受信するパケットの種類および符号化の種類に基づき、パケット受信処理および分離処理および復号処理において、一度に入力するデータの長さおよび一度に出力するデータの長さを設定すること
を特徴とする通信方法。
【請求項10】
請求項6、7、8または9に記載の通信方法において、
ハードウェアの最小データ伝送サイズの制約などにより、符号化の種類およびネットワークで送受信するパケットの種類に基づいて設定された長さではデータを出力できない際に、
パディングデータを付与してデータを出力すること
を特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98810(P2013−98810A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240765(P2011−240765)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】