説明

通信装置および通信装置のプログラム

【課題】画面を表示する通信装置等を提供すること。
【解決手段】MFPは、ウェブサーバ71から命令を受信する。MFPは、ウェブサーバからサーバ動作命令を受信した場合、および、ウェブサーバ以外の経路から内部動作命令を受け付けた場合に、機能動作を実行する。MFPは、ウェブサーバからサーバ表示命令を受信した場合に、「処理中画面(その2)」や、「サーバ指示画面」をパネル39に表示する。またMFPは、機能動作を実行した場合に動作中画面をパネルに表示する。MFPは、「処理中画面(その2)」や「サーバ指示画面」を表示している期間中に、サーバ動作命令を受信した場合には「動作中画面」をパネルに表示し、内部動作命令を受信した場合には「動作中画面」をパネルに表示しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面データを用いて画面を表示する通信装置および通信装置のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、送信元の機器から通信装置へ、GUI(Graphical User Interface)画像パラメータ情報が送信される。通信装置は、受信したGUI画面パラメータ情報に基づいてGUI画面を構築し、表示部にGUI画面を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−207872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送信元の機器以外(例えば、送信元の機器以外の機器や、通信装置の内蔵タイマや入力部)から情報が入力された場合にも、通信装置の表示部にGUI画面が表示される構成とすることができる。この場合に、送信元の機器から送信されてくる情報をトリガとして表示されるGUI画面と、送信元の機器以外から入力されてくる情報をトリガとして表示されるGUI画面とが混在して表示されると、利用者が何れの情報によって表示されているGUI画面であるかを認識しにくくなる場合がある。本明細書では、このような不便性を解消することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に記載の通信装置は、ネットワークに接続されたサーバから命令を受信する受信手段と、サーバ以外の経路から命令を受け付ける受付手段と、受信手段がサーバから第1の動作命令を受信した場合、および、受付手段がサーバ以外の経路から第2の動作命令を受け付けた場合に機能動作を実行する機能動作実行手段と、受信手段がサーバから表示命令を受信した場合に表示命令対応画面を表示部に表示し、機能実行手段が機能動作を実行した場合に動作対応画面を表示部に表示する表示手段と、を備える通信装置である。表示手段は、表示命令対応画面を表示している期間中に受信手段が第1の動作命令を受信した場合には、動作対応画面を表示部に表示する一方で、受付手段が第2の動作命令を受け付けた場合には、動作対応画面を表示部に表示しないことを特徴とする。
【0006】
このように構成された通信装置では、サーバから表示命令を受けて画面を表示している期間内においては、サーバ以外の経路から入力された動作命令による画面が表示されない。よって、サーバから送信されてくる表示命令をトリガとした画面を表示している時に、サーバ以外から送信されてくる動作命令をトリガとして機能動作が実行されても、その機能動作に対応する動作対応画面が表示される事態を防止できる。これにより、サーバからの命令(表示命令、動作命令)によって表示されている画面であるか否かを利用者が認識しやすくなるため、利用者の利便性を高めることができる。
【0007】
また、例えば、画面データの種類ごとに優先順位を割り当て、一番上に積んである画面データの優先順位よりも低い優先順位の画面データは、その上に積むことが出来ないとする制御を行う場合には、画面データを積むことが出来るか否かの判断において、画面データの積む組合せを考慮することができない。しかし請求項2に記載の通信装置では、画像データ自身に、その上に積むことができる画面データの種類が関連付けられている。よって、画面データを積むことが出来るか否かの判断において、画面データを積む組合せを考慮することが可能となるため、より細かい制御が可能となる。
【0008】
また、請求項2に記載の通信装置では、指示手段によって、動作対応画面データを積むことができると積載可能情報が示す画面データを、スタックデータ構造の一番上に積むか否かの制御を行うことができる。これにより、動作対応画面の表示部への表示の可否を制御することが可能となる。
【0009】
また、請求項2に記載の通信装置では、サーバから表示命令を受けて表示命令画面を表示している期間内に、サーバから第1の動作命令を受信した場合には、動作対応画面を表示部に表示することができる。これにより、利用者がサーバからの命令によって表示されている画面であるか否かを認識しやすくなるため、利用者の利便性を高めることができる。
【0010】
また、請求項3に記載の通信装置では、通信装置が起動した場合等などに、待機画面を表示部に表示することができる。これにより、通信装置のステータスが待機中であることが利用者にとって認識しやすくなるため、利用者の利便性を高めることができる。
【0011】
また、請求項4に記載の通信装置では、サーバ指示画面データによって、サーバからの指示内容を具体的に利用者に報知することができる。そして、あるサーバ指示画面データをサーバから受信し、次サーバ指示画面データをサーバから受信するまでの間に所定時間が発生する場合においても、当該所定時間においては、処理中画面データによって、処理中であることを利用者に知らせることができる。よって、利用者の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】サービス連携システムの構成を示すブロック図である。
【図2】MFPの動作フロー(その1)である。
【図3】MFPの動作フロー(その2)である。
【図4】MFPの動作フロー(その3)である。
【図5】画像データ記憶テーブルTB11の一例である。
【図6】画面データ記憶領域のスタック例(その1)である。
【図7】画面データ記憶領域のスタック例(その2)である。
【図8】画面データ記憶領域のスタック例(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<サービス連携システム10の概略>
図1を参照して、本発明を具現化した実施形態であるサービス連携システム10の概略について説明する。サービス連携システム10は、MFP(Multifunction Peripheral)51とウェブサーバ71とを備える。MFP51とウェブサーバ71とは、インターネット70を介して接続されている。
【0014】
ウェブサーバ71は、インターネットに接続された他の端末とHTTP、又は、HTTPSによる通信を行い、他の端末に対して所定のサービスを提供する。ウェブサーバ71によって提供されるサービスの一例としては、電子ファイル格納サービスが挙げられる。電子ファイル格納サービスは、サービス事業者が用意したネットワーク上のデータベースに電子ファイルを格納することが出来るサービスである。たとえば、Picasa(登録商標)ウェブアルバムや、flickr(登録商標)が、その一例である。
【0015】
また、ウェブサーバ71によって提供されるサービスにおいて、ウェブサーバ71からMFP51に対して、サーバ動作命令やサーバ表示命令が行われる場合がある。サーバ動作命令やサーバ表示命令の内容については、後述する。
【0016】
<MFP51の構成>
MFP51の構成について説明する。MFP51は、プリンタ19、スキャナ20、CPU32、記憶部33、LAN送受信部36、ボタン入力部38、パネル39、モデム40、電話回線接続部41、を主に備えている。これらの構成要素は、入出力ポート43を介して互いに通信可能に接続されている。
【0017】
CPU32は、記憶部33に記憶されるプログラムや、LAN送受信部36を介して送受信される各種信号などに従って、各機能の制御を行う。なお、記憶部33は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(ハードディスク)などが組み合わされて構成されているとしてもよい。
【0018】
LAN送受信部36は、インターネット70を介して、ウェブサーバ71との間で各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する。ボタン入力部38は、MFP51の各機能を実行するためのキーである。ボタン入力部38は、タッチパネルとして、パネル39と一体に構成されていてもよい。パネル39は、MFP51の各種機能情報を表示する。
【0019】
プリンタ19は、印刷を実行する旨の内部動作命令を受け付けることに応じて、印刷を実行する部位である。スキャナ20は、読み取りを実行する旨の内部動作命令を受け付けることに応じて、読み取りを実行する部位である。なお、内部動作命令は、ボタン入力部38、電話回線網100、MFP51に接続されたパーソナルコンピュータ(不図示)、MFP51に内蔵されたタイマ(不図示)、などから出力される。モデム40は、ファクシミリ機能によって送信する原稿データを、電話回線網100に伝送可能な信号に変調して電話回線接続部41を介して送信したり、電話回線網100から電話回線接続部41を介して入力された信号を受信し、原稿データへ復調するものである。
【0020】
記憶部33は、画面データ記憶領域33a、画像データ記憶テーブルTB11、プログラム21を備える。画面データ記憶領域33aは、各種の画面データを、スタックデータ構造で記憶する領域である。スタックデータ構造は、最後に入力したデータが先に出力されるという特徴を有するデータ構造である。データを入力するときは新しいデータが一番上に積まれる。また、データを出力するときは、一番上に積まれているデータが優先して出力される。このような後入れ先出しのデータの入出力方式は、LIFO(Last In, First Out)と呼ばれる。
【0021】
画面データ記憶領域33aは、2つの基本操作である、プッシュとポップによって記憶内容が更新される。画面データ記憶領域33aでは、CPU32は、一番上(トップ)の画像データだけにアクセスすることができ、それ以外の画像データにはアクセス不可とされている。新たに画像データが積まれる(プッシュされる)と、その新しい画像データがスタックのトップとなり、下にある画像データへのアクセスを不可としてしまう。画像データをスタックから取り出す(ポップする)と、二番目の画像データがスタックのトップとなる。
【0022】
CPU32は、画面データ記憶領域33aの一番上に積まれている画面データを読み出し、読み出された画面データを用いて、パネル39に画面を表示する。パネル39への画面表示は、ウェブサーバ71からサーバ表示命令を受信することや、内部動作命令を受信することなどをトリガとして行われるとしてもよい。
【0023】
また、図5に、画像データ記憶テーブルTB11の一例を示す。画像データ記憶テーブルTB11は、画面データ110、画面種類111、積載可能情報112、を記憶する。画面種類111には、「待機画面」、「処理中画面(その1)」、「処理中画面(その2)」、「動作中画面」、「サーバ指示画面」、「メニュー操作画面」、の6種類が存在する。「待機画面」は、MFP51の待機状態中に表示される画面である。「処理中画面(その1)」および「処理中画面(その2)」は、MFP51がウェブサーバ71との通信処理中に表示される画面である。「動作中画面」は、MFP51の印刷動作等の動作中に表示される画面である。「サーバ指示画面」は、ウェブサーバ71からの表示命令に従って表示される画面である。「メニュー操作画面」は、ボタン入力部38からの利用者の操作等によって表示される画面である。
【0024】
また、画面種類111の各々に対応して、画面データ110が備えられる。画面データ110は、パネル39に表示する画面を生成するためのデータである。なお、図5には、画面種類111に対応した画面データ110の代表的な画面例を示している。
【0025】
積載可能情報112は、画面データの上に、他の画面データのうち何れの画面種類111の画面データを積むことが可能であるかを示す条件である。「待機画面」は、全ての画面種類111の画面をその上に積むことが可能である。「処理中画面(その1)」は、全ての画面種類111の画面をその上に積むことが可能である。よって、動作中画面を処理中画面(その1)の上に積むことが可能とされている。「処理中画面(その2)」は、サーバ指示画面のみをその上に積むことが可能である。よって、動作中画面を処理中画面(その2)の上に積むことは不可とされている。「動作中画面」は、メニュー操作画面および処理中画面(その2)のみをその上に積むことが可能である。「サーバ指示画面」は、何れの画面種類111の画面を積むこともできない、最上位画面とされる。また「メニュー操作画面」も、何れの画面種類111の画面を積むこともできない、最上位画面とされる。
【0026】
また、記憶部33は、プログラム21を記憶する。CPU32は、記憶部33内のプログラム21に従って処理を実行する。プログラム21は、サーバアプリケーション21aを備えている。サーバアプリケーション21aは、ウェブサーバ71からサーバ動作命令やサーバ表示命令を受信して、受信した命令に応じた動作をMFP51に行わせるためのアプリケーションである。サーバ動作命令は、プリンタ19を用いた印刷動作や、スキャナ20を用いた読み取り動作などをMFP51に行わせるための命令である。サーバ表示命令は、「サーバ指示画面」をパネル39に表示させるための命令である。
【0027】
ウェブサーバ71の構成について説明する。ウェブサーバ71は、CPU72、記憶部73、通信部74、を主に備えている。ウェブサーバ71は、ネットワークにおいて、MFP51に対し、自身の持っている機能やデータを提供する装置である。CPU72は、各機能の制御を行う。記憶部73は、各種のデータを記憶する。通信部74は、様々な情報をMFP51との間で通信する。
【0028】
<MFP51の動作>
本実施形態に係るMFP51の動作を、図2ないし図4のフローと、図6ないし図8のスタック例を用いて説明する。MFP51は、「デフォルト本体表示モード」、「サーバ指示表示モード」、「一時的本体表示モード」の3種類の表示モードを備えている。
【0029】
「デフォルト本体表示モード」は、内部動作命令に従って、画面をパネル39に表示するモードである。「デフォルト本体表示モード」では、画像データ記憶テーブルTB11に記憶されている6種類の画面種類111のうち、「待機画面」「動作中画面」および「メニュー操作画面」の3種類を表示することが可能とされている。
【0030】
「サーバ指示表示モード」は、ウェブサーバ71からのサーバ表示命令に従って、画面をパネル39に表示するモードである。「サーバ指示表示モード」では、画像データ記憶テーブルTB11に記憶されている6種類の画面種類111のうち、「処理中画面(その2)」および「サーバ指示画面」の2種類を表示することが可能とされている。
【0031】
「一時的本体表示モード」は、ウェブサーバ71からのサーバ表示命令を受信している期間中において、ウェブサーバ71からサーバ動作命令を受けている場合のモードである。「一時的本体表示モード」では、6種類の画面種類111のうち、「処理中画面(その1)」および「動作中画面」の2種類を表示することが可能とされている。
【0032】
図2は、「デフォルト本体表示モード」における動作フローである。図2のフローは、MFP51の電源を投入している期間において動作する。また、図4は、「サーバ指示表示モード」および「一時的本体表示モード」における動作フローである。また、図6ないし図8は、それぞれ、「サーバ指示表示モード」、「一時的本体表示モード」、「デフォルト本体表示モード」における、画面データ記憶領域33aへの画像データのスタック例である。
【0033】
図2のS11において、CPU32は、画面データ記憶領域33aを初期化する。これにより、画面データ記憶領域33aには、記憶されている画像データが存在しない状態とされる。S13において、CPU32は、「待機画面」の画面データをスタックプッシュ処理の対象にする。そして、画像データ記憶テーブルTB11から、「待機画面」の画像データを読み出す。S15において、CPU32は、「待機画面」の画像データに対してスタックプッシュ処理を行う。
【0034】
図3のフローを用いて、S15において行われるスタックプッシュ処理を説明する。S111において、CPU32は、画面データ記憶領域33aに何れかの画面データが既に積まれている状態であるか否かを判断する。積まれていないと判断される場合(S111:NO)にはS113へ進む。S113において、CPU32は、スタックプッシュ処理の対象とされている画面データを、画面データ記憶領域33aに積む。そしてスタックプッシュ処理を終了する。
【0035】
一方、S111において、画面データ記憶領域33aに画面データが積まれている状態であると判断される場合(S111:YES)には、S115へ進む。S115において、CPU32は、一番上に積まれている画面データの積載可能情報112を読み出す。
【0036】
S117において、CPU32は、今回スタックプッシュ処理の対象とされている画面データを、現在一番上に積まれている画面データに対して積むことが可能であるかを判断する。当該判断は、スタックプッシュ処理の対象とされている画面データの画面種類111が、積載可能情報112によって積載可能とされている種類に合致するか否かを確認することによって行われる。合致しないと判断される場合(S117:NO)には、S119をスキップして、S17(図2)へ進む。よって、スタックプッシュ処理の対象とされている画面データが、画面データ記憶領域33aに積まれることがない。一方、合致すると判断される場合(S117:YES)にはS119へ進み、CPU32は、スタックプッシュ処理の対象とされている画面データを画面データ記憶領域33aに積む。そしてスタックプッシュ処理を終了する。
【0037】
本実施形態の説明例では、S15のスタックプッシュ処理により、図8(B)に示すように、「待機画面」の画像データが画面データ記憶領域33aに積まれる。
【0038】
図2のフローの説明に戻り、S17において、CPU32は、画面データ記憶領域33aの一番上に積まれている画像データを読み出し、パネル39に表示する。
【0039】
S19において、CPU32は、パネル39に表示中の画面を切り替えるトリガが発生したか否かを判断する。トリガの例としては、サーバアプリケーション21aの起動・終了、サーバ動作命令の受信、ストップキーの操作、サーバ表示命令の受信、内部動作命令の受け付け、などが挙げられる。なお、内部動作命令とは、ウェブサーバ71以外(例えば、ウェブサーバ71以外の機器や、MFP51の内蔵タイマやボタン入力部)から入力される、MFP51に印刷操作や読み取り動作などを実行させるための命令のことである。トリガが発生していない場合(S19:NO)にはS19へ戻り待機し、発生した場合(S19:YES)にはS21へ進む。S21において、CPU32は、サーバアプリケーション21aが起動したか否かを判断する。起動した場合(S21:YES)にはS27へ進み、起動していない場合(S21:NO)にはS23へ進む。
【0040】
S23において、CPU32は、ウェブサーバ71からサーバ動作命令を受信したか否かを判断する。サーバ動作命令を受信した場合(S23:YES)にはS27へ進み、受信していない場合(S23:NO)にはS25へ進む。
【0041】
S25において、CPU32は、サーバ表示命令をウェブサーバ71から受信したか否かを判断する。サーバ表示命令を受信した場合(S25:YES)にはS27へ進み、受信していない場合(S25:NO)にはS29へ進む。
【0042】
S29において、CPU32は、サーバアプリケーション21aが終了したか否かを判断する。終了した場合(S29:YES)にはS11へ戻り、終了していない場合(S29:NO)にはS31へ進む。
【0043】
S31において、CPU32は、利用者によって、パネル39のストップキーが操作されたか否かを判断する。操作された場合(S31:YES)にはS11へ戻り、操作されていない場合(S31:NO)にはS33へ進む。
【0044】
S33において、CPU32は、現在パネル39へ表示している画面の表示を終了するか否かを判断する。当該判断は、例えば、内部動作命令に従った機能動作が進行した場合や終了した場合、新たな内部動作命令を受け付けた場合など、画面を切り替える必要があるときが挙げられる。具体的には、印刷動作において、印刷データを読み込んでいるときの「印刷データ読み込み中」と表示する「動作中画面」から、動作が用紙への印刷に切り替わったときの「印刷中」と表示する「動作中画面」に切り替えるとき、印刷が終了して「動作中画面」の表示が必要なくなったとき、などが該当する。表示を終了しない場合(S33:NO)には、S35をスキップしてS37へ進む。一方、表示を終了する場合(S33:YES)には、S35に進み、現在パネル39へ表示している画面の画面データを画面データ記憶領域33aから取り除く(スタックポップ処理)。
【0045】
S37において、CPU32は、パネル39への表示処理を試行する画面データが存在するか否かを判断する。表示処理を試行する画面データの例としては、内部動作命令によって表示される、「動作中画面」や「メニュー操作画面」が挙げられる。画面データが存在しない場合(S37:NO)にはS17へ戻り、存在する場合(S37:YES)にはS39へ進む。S39において、CPU32は、表示対象の画面データをスタックプッシュ処理の対象にした上で、S41においてスタックプッシュ処理を行う。なお、S41のスタックプッシュ処理の内容は、S15のスタックプッシュ処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。そしてS17へ戻る。
【0046】
本実施形態の説明例では、表示対象の画面データが「動作中画面」の場合には、S15のスタックプッシュ処理により、「動作中画面」の画像データが画面データ記憶領域33aに積まれる。よって、図8(B)の状態から図8(A)の状態へ遷移する。また、表示対象の画面データが「メニュー操作画面」の場合には、S15のスタックプッシュ処理により、「メニュー操作画面」の画像データが画面データ記憶領域33aに積まれる。
よって、図8(B)の状態から図8(C)の状態へ遷移する。
【0047】
<サーバ指示表示処理>
S27において行われるサーバ指示表示処理を、図4を用いて説明する。S213において、CPU32は、「サーバ指示表示モード」と「一時的本体表示モード」とのうち、何れのモードに切り替えを行うかを判断する。「サーバ指示表示モード」に切り替えると判断された場合には、S215へ進む。当該判断が行われる場合の例としては、サーバアプリ起動した場合(S21:YES)や、サーバ表示命令を受信した場合(S25:YES)が挙げられる。
【0048】
S215において、CPU32は、画面データ記憶領域33aの一番上に積まれている画像データの画面種類111が、「待機画面」であるか否かを判断する。一番上に積まれている画像データが「待機画面」ではない場合(S215:NO)にはS217に進み、CPU32は、スタックポップ処理(画面データ記憶領域33aの一番上に積まれている画面データを取り除く処理)を行う。そしてS215へ戻る。また、一番上に積まれている画像データが「待機画面」である場合(S215:YES)にはS219へ進む。これにより、画面データ記憶領域33aの一番上に「待機画面」が積まれている状態(例えば、図8(B)の状態)となるまで、スタックポップ処理を繰り返すことができる。
【0049】
S219において、CPU32は、「処理中画面(その1)」の画面データを、画面データ記憶領域33aの一番上に積む。これにより、「待機画面」の画面データ上に「処理中画面(その1)」の画面データが積まれた状態となる。なお、「処理中画面(その1)」の画面データは、全ての画面種類111の画面をその上に積むことが可能な画面データである。
【0050】
S221において、CPU32は、「処理中画面(その2)」の画面データを、画面データ記憶領域33aの一番上に積む。これにより、「処理中画面(その1)」の画面データ上に「処理中画面(その2)」の画面データが積まれた状態となる。本実施形態の説明例では、S215からS221の処理によって、画面データ記憶領域33aのスタック状態を、図8(B)に示す状態から図6(B)に示す状態へ遷移させることができる。そして、「処理中画面(その2)」の画面データは、「サーバ指示画面」の画面データのみをその上に積むことが可能な画面データである。よって、「サーバ指示表示モード」への移行が完了する。「サーバ指示表示モード」の期間中には、「動作中画面」をパネル39に表示しようとしても、「動作中画面」の画面データを画面データ記憶領域33aに積むことができないため、「動作中画面」が表示されることはない。
【0051】
S223において、CPU32は、パネル39へ新たに表示する「サーバ指示画面」の画面データが存在するか否かを判断する。存在しない場合(S223:NO)には、S225をスキップしてサーバ指示表示処理を終了し、S17(図2)へ進む。一方、存在する場合(S223:YES)にはS225へ進む。S225において、CPU32は、「サーバ指示画面」の画面データに対してスタックプッシュ処理を実行する。そして、サーバ指示表示処理を終了し、S17(図4)へ戻る。
【0052】
本実施形態の説明例では、S225において、「サーバ指示画面」の画面データが画面データ記憶領域33aに積まれることで、図6(B)に示す状態から図6(A)に示す状態へ遷移する。
【0053】
一方、S213において、「一時的本体表示モード」に切り替えると判断された場合には、S231へ進む。当該判断が行われる場合の例としては、サーバ動作命令を受信した場合(S23:YES)が挙げられる。S231において、CPU32は、一番上に積まれている画像データが「サーバ指示画面」であるか否かを判断する。「サーバ指示画面」である場合(S231:YES)にはS235に進み、CPU32は、スタックポップ処理を行った上でS231へ戻る。また、一番上に積まれている画像データが「サーバ指示画面」ではない場合(S231:NO)には、一番上に「処理中画面(その2)」の画像データが積まれている場合(図6(B)の状態)であると判断され、S237へ進む。
【0054】
S237において、CPU32は、スタックポップ処理を行う。これにより、「処理中画面(その2)」の画像データが画面データ記憶領域33aから取り除かれる。これにより、画面データ記憶領域33aの一番上に「処理中画面(その1)」が積まれている状態となる。本実施形態の説明例では、S231からS237の処理によって、画面データ記憶領域33aのスタック状態を、図6(B)に示す状態から図7(B)に示す状態へ遷移させることができる。そして、「処理中画面(その1)」の画面データは、全ての画面種類111の画面データをその上に積むことが可能な画面データである。よって、「一時的本体表示モード」への移行が完了する。「一時的本体表示モード」の期間中では、「動作中画面」の画面データを画面データ記憶領域33aに積むことができるため、「動作中画面」をパネル39に表示することができる。よって、サーバ動作命令に応じた「動作中画面」を表示することができる。
【0055】
S239において、CPU32は、パネル39へ新たに表示する必要のある「動作中画面」の画面データが存在するか否かを判断する。具体的には、印刷動作を司るプログラムがサーバアプリケーション21aへ「印刷データ読み込み中」と表示する「動作中画面」や、「印刷中」と表示する「動作中画面」が必要と指示してきたときにパネル39へ新たに表示する必要のある「動作中画面」の画面データが準備され、存在するようになる。存在しない場合(S239:NO)には、S241をスキップしてサーバ指示表示処理を終了し、S17(図2)へ進む。一方、存在する場合(S239:YES)にはS241へ進む。S241において、CPU32は、「動作中画面」の画面データに対してスタックプッシュ処理を実行する。そしてサーバ指示表示処理を終了し、S17(図2)へ進む。
【0056】
本実施形態の説明例では、S241において、「動作中画面」の画面データが画面データ記憶領域33aに積まれることで、図7(B)に示す状態から図7(A)に示す状態へ遷移する。
【0057】
<効果>
本実施形態に係るMFP51では、ウェブサーバ71からサーバ表示命令を受けてパネル39に画面を表示している期間内(サーバ指示表示モード)においては、内部動作命令をトリガとした画面が表示されない。よって、サーバ表示命令をトリガとして表示される画面(サーバ指示画面)と、内部動作命令をトリガとして表示される画面(内部動作命令による動作中画面、メニュー操作画面、など)とが、混在してしまう事態を防止できる。これにより、サーバ表示命令によって表示されている画面であるか否かを利用者が認識しやすくなるため、利用者の利便性を高めることができる。
【0058】
また、前の「サーバ指示画面」の画面データを受信してから、次の「サーバ指示画面」の画面データを受信するまでの間に待機期間において、前の「サーバ指示画面」をパネル39に表示し続ける態様を採用する場合には、MFP51がエラー等によってフリーズしていると利用者が誤認してしまう場合がある。しかし、本実施形態に係るMFP51では、S221からS225の処理によって、「処理中画面(その2)」の画面データの上に、「サーバ指示画面」の画面データが積まれている構造を形成している。よって、上記の待機期間においては、前の「サーバ指示画面」の画面データを画面データ記憶領域33aから取り除くことによって、「処理中画面」をパネル39に表示することができる。これにより、MFP51がウェブサーバ71と通信中であることを利用者に知らせることができるため、利用者の誤認を防止することができる。
【0059】
また、画面データの画面種類111ごとに優先順位を割り当て、画面データ記憶領域33aの一番上に積んである画面データの優先順位よりも低い優先順位の画面データは、その上に積むことが出来ないとする制御を行う場合には、画面データを積むことが出来るか否かの判断において、画面データの積む組合せを考慮することができない。しかし本実施形態に係るMFP51では、積載可能情報112によって、画像データ自身に、その上に積むことができる画面データの種類が関連付けられている。よって、画面データを画面データ記憶領域33aに積むことが出来るか否かの判断(S117)において、画面データを積む組合せを考慮することが可能となるため、より細かい制御が可能となる。
【0060】
また、本実施形態に係るMFP51では、サーバ表示命令を受けて表示命令画面を表示している期間(サーバ指示表示モード)内に、ウェブサーバ71からサーバ動作命令を受信した場合には、S237において、一時的本体表示モードに移行することができる。一時的本体表示モードでは、画面データ記憶領域33aの一番上に、「処理中画面(その1)」の画像データ(全ての画面種類111の画面データをその上に積むことが可能な画面データ)が積まれている。よって、サーバ表示命令を受信している期間中であっても、サーバ動作命令による「動作中画面」の画面データを、画面データ記憶領域33aに積むことができる。よって、サーバ動作命令をトリガとする「動作中画面」をパネル39に表示することができるため、利用者の利便性を高めることができる。
【0061】
また、本実施形態に係るMFP51では、S11からS13の処理によって、「待機画面」の画面データを画面データ記憶領域33aの一番下に積むことができる。よって、MFP51が起動した場合等などに、「待機画面」をパネル39に表示することができる。これにより、MFP51の起動時等において、MFP51のステータスが待機中であることが利用者にとって認識しやすくなるため、利用者の利便性を高めることができる。
【0062】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0063】
<変形例>
「サーバ指示表示モード」では、「処理中画面(その1)」の画面データ上に「処理中画面(その2)」の画面データが積まれた状態となる(S221)としたが、この形態に限られない。「サーバ指示表示モード」において、「処理中画面(その1)」のみが積まれた状態としてもよい。そして、「サーバ指示表示モード」においては、「動作中画面」の画面データを画面データ記憶領域33aに積むことが出来ないように、フラグ等を用いた制御を行うとしてもよい。
【0064】
また、図5に示した画面データ110の画面例は一例である。図5に示した画面例以外の画面内容であってもよい。
【0065】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0066】
MFP51は通信装置の一例である。ウェブサーバ71はサーバの一例である。プリンタ19、スキャナ20は機能動作実行手段の一例である。電話回線網100、ボタン入力部38等はサーバ以外の経路の一例である。サーバ動作命令は第1の動作命令の一例である。内部動作命令は第2の動作命令の一例である。印刷動作等は機能動作の一例である。処理中画面(その2)、サーバ指示画面は表示命令対応画面の一例である。パネル39は表示部の一例である。画像データ記憶テーブルTB11は積載可能情報記憶手段、画面データ記憶手段の一例である。処理中画面(その2)は処理中画面データの一例である。動作中画面は動作対応画面の一例である。
【0067】
また、S23、S25を実行する制御部は受信手段の一例である。S37を実行する制御部は受付手段の一例である。S17を実行する制御部は表示手段の一例である。S15を実行する制御部は記憶制御手段の一例である。S35、S225、S241を実行する制御部は指示手段の一例である。
【符号の説明】
【0068】
10:サービス連携システム、51:MFP、71:ウェブサーバ、19:プリンタ、20:スキャナ、32:CPU、39:パネル、TB11:画像データ記憶テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されたサーバから命令を受信する受信手段と、
前記サーバ以外の経路から命令を受け付ける受付手段と、
前記受信手段が前記サーバから第1の動作命令を受信した場合、および、前記受付手段が前記サーバ以外の経路から第2の動作命令を受け付けた場合に機能動作を実行する機能動作実行手段と、
前記受信手段が前記サーバから表示命令を受信した場合に表示命令対応画面を表示部に表示し、前記機能実行手段が前記機能動作を実行した場合に動作対応画面を前記表示部に表示する表示手段と、
を備え、
前記表示手段は、
前記表示命令対応画面を表示している期間中に前記受信手段が前記第1の動作命令を受信した場合には、動作対応画面を前記表示部に表示する一方で、前記受付手段が前記第2の動作命令を受け付けた場合には、前記動作対応画面を前記表示部に表示しないことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記表示命令対応画面を表示するための画面データである表示命令対応画面データ、および前記動作対応画面を表示するための画面データである動作対応画面データを記憶する画面データ記憶手段と、
前記画面データをスタックデータ構造で前記画面データ記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
を備え、
前記表示手段が、前記スタックデータ構造の一番上に積まれている画面データによる画面を前記表示部に表示するよう構成されている通信装置であって、
さらに、
前記画面データの上に他の画面データのうち何れの画面データを積むことができるのかを示す積載可能情報を記憶する積載可能情報記憶手段と、
前記表示部に別の画面の表示を試みるトリガが発生した場合に、前記スタックデータ構造の一番上に前記別の画面を表示するための画面データを積むよう前記記憶制御手段に指示する、または、前記スタックデータ構造の一番上に積まれた画面データをスタックデータ構造の一番上から取り除くよう指示する指示手段と、
を備え、
前記画面データ記憶手段はさらに、前記表示命令対応画面データとも前記動作対応画面データとも異なる画面データを記憶し、
前記記憶制御手段は、
前記指示手段から指示された場合であり、かつ、前記スタックデータ構造の一番上に積まれている画面データに前記別の画面を表示するための画面データを積むことができると前記積載可能情報が示す場合に、前記別の画面を表示するための画面データを前記スタックデータ構造の一番上に積む処理を実行する一方で、
前記指示手段から指示された場合であり、かつ、前記スタックデータ構造の一番上に積まれている画面データに前記別の画面を表示するための画面データを積むことができると前記積載可能情報が示さない場合に、前記別の画面を表示するための画面データを前記スタックデータ構造の一番上に積む処理を実行せず、
前記積載可能情報記憶手段が記憶する積載可能情報は、前記表示命令対応画面データの上に前記動作対応画面データを積むことができるとは示しておらず、
前記指示手段は、
前記受信手段が前記サーバから前記表示命令を受信した場合に、上に前記動作対応画面データを積むことができると前記積載可能情報が示す画面データを前記スタックデータ構造の一番上に積むよう前記記憶制御手段に指示し、
その後に、前記スタックデータ構造の一番上に前記表示命令対応画面データを積むよう前記記憶制御手段に指示し、
前記受信手段が前記サーバから前記第1の動作命令を受信した場合に、前記スタックデータ構造の一番上に積まれた画面データを取り除くよう前記記憶制御手段に指示することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記画面データ記憶手段はさらに、待機画面を表示するための画面データである待機画面データを記憶し、
前記指示手段は、前記通信装置が起動した場合、または、前記表示命令対応画面の表示を終了するよう命令された場合に、前記スタックデータ構造の一番上に前記待機画面データを積むよう前記記憶制御手段に指示することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記表示命令対応画面データは、
処理中の旨を知らせる画面を表示するための処理中画面データと、
前記サーバから受信した前記表示命令に基づく画面を表示するためのサーバ指示画面データとを備えており、
前記処理中画面データは、その上にサーバ指示画面データを積むことができるように設定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の通信装置。
【請求項5】
ネットワークに接続されたサーバから命令を受信する受信手段と、
前記サーバ以外の経路から命令を受け付ける受付手段と、
前記受信手段が前記サーバから第1の動作命令を受信した場合、および、前記受付手段が前記サーバ以外の経路から第2の動作命令を受け付けた場合に機能動作を実行する機能動作実行手段と、
前記受信手段が前記サーバから表示命令を受信した場合に表示命令対応画面を表示部に表示し、前記機能実行手段が前記機能動作を実行した場合に動作対応画面を前記表示部に表示する表示手段と、
を備え、
前記表示手段は、
前記表示命令対応画面を表示している期間中に前記受信手段が前記第1の動作命令を受信した場合には、動作対応画面を前記表示部に表示する一方で、前記受付手段が前記第2の動作命令を受け付けた場合には、前記動作対応画面を前記表示部に表示しないことを特徴とする通信装置のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−100145(P2012−100145A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247403(P2010−247403)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】